「思えば遠くに来たもんだ」 タウングルーブ・新田泉代表 創業40周年記念 感謝の会
タウングループ 創業40周年記念「御取引先様 感謝の会」(新高輪プリンスホテルで)
新田代表
タウングループは7月4日、創業40周年記念の「御取引先様 感謝の会」を開催した。会には関係者約750名が参加、数学者で「国家の品格」など著作も多い藤原正彦氏の「教養のちから」をテーマにした講演に聞き入り、エンタテイメント・荒牧陽子さんのショーなどを楽しんだ。
新田泉・タウングループ代表は、同社事業について首都圏での年間賃貸仲介戸数は49,500件に達し、全国ランキングでも6位に入り、全国展開の足掛かりとして新たに福岡県に拠点を設けたこと、店舗展開は現在89店舗を2020年までに100店舗に拡大すること、賃貸管理戸数約40,000戸で稼働率は98%であること、40周年事業として今年1月、八潮市にタウンインドアテニスアカデミーを開講したことなどを報告し、「中原中也の詩にあるように『思えば遠くに来たもんだ』の感慨深いものがあります。今後も時代を超えて存続する企業としてお取引先の方々の役に立つ覚悟を新たにしました」と締めくくった。
また、タウンハウジング執行役員広報室室長・江上琢氏は、同社のブランド・ミッション「ひとを、まちを、もっと豊かに。」を改めて発表した。
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記者は他の取材があったので講演途中で退出したのだが、藤原先生は次のように切り出した。
「新高輪プリンスホテルでの講演に招かれるのは三度目ですが、いつも迷う。品川駅から歩いてくるのだが、道順をいつも間違える。困ったものです。
『教養』などと言われると、よほどの馬鹿を除き、みんな嫌な気分になる。世界中の誰一人として教養があるなどと思っていない。ものごとを知れば知るほど分からなくなる。私などは小学一年生より一万倍以上分からない。困ったもので、教養などまったくない。恥ずかしい限りです。
学者だって哲学者だって同じです。くだらないどうでもいいことを言葉で定義づけようとするが、その言葉そのものが分からない。死とは何か、世界とは何か、だれも何一つ定義づけることができない」
この軽妙な話に記者はすぐ引き込まれた。藤原氏ほどの人が品川駅からまっすぐ歩いて数分の新高輪プリンスホテルまでの道順を間違えるというのが面白いではないか。そして、よほどの馬鹿でない限り、みんな自分を無教養人とみなしていると話したのに合点がいった。
小生がこれまで40年も業界紙の記者として生きてこられたのも馬鹿を自覚し、馬鹿の限界を自分なりに理解してきたからだと思う。記事の量は、1カ月に原稿用紙にして200枚、300枚書いてきたのでそれなりの量になるはずだが、〝これが完璧〟と言える記事は一本も書いたことがない。だからこそ、読者の心を震わす完璧な記事を書こうと奮い立たせてきた。
藤原先生はこのあと、「改革に次ぐ改革を日本は行ってきたが、世の中はまったくよくなっていない」と話し、バブル崩壊後のわが国の社会経済について真相を看破した。
記者は、藤原先生の国語教育に力を入れるべきという主張に大賛成で、「祖国とは国語」(新潮文庫)など一連の著作を読んだ。藤原先生を講師に呼ぶタウングループも味なことをするものだ。
梓設計が本社機能 三井不 街づくり型「インダストリアルパーク羽田」満床稼働
「三井不動産インダストリアルパーク羽田(MFIP 羽田)」
三井不動産は7月5日、物流機能を含む免震複合用途施設「三井不動産インダストリアルパーク羽田(MFIP 羽田)」が竣工したのに伴うプレス説明会・内覧会を行った。
「MFIP羽田」は、首都高速1号羽田線「羽田」ICから約0.6km、京浜急行空港線穴守稲荷駅から徒歩7分、大田区羽田旭町に位置する敷地面積約36,000㎡、延べ床面積約81,000㎡の鉄骨造5階建て。
物流施設のほかオフィス、研修所などさまざまな用途が可能で、大田区が運営する産業支援施設の入居も決まっている。72時間対応の非常用発電機や免震装置などBCP機能の充実を図っている。
テナントは、梓設計が3階に本社機能を集約するほか、近鉄ロジスティクス・システムズ、デル、フジテックなどで満床稼働する。
現地は、同社とANA ホールディングスが連携し、羽田エリアの産業活性化に寄与する街づくり型開発プロジェクト「HANEDAインダストリアルパーク」として開発を進めてきた一角。2019年3月にはANA ホールディングスの新トレーニングセンター(ANA Blue Base)が竣工している。
同社常務執行役員ロジステックス本部長・三木孝行氏は、「これまでの施設の名称〝ロジスティクス パーク(LP)〟を〝インダストリアルパーク(IP)〟にする初めての物件。2万坪の敷地を相対で取得できた。これほど恵まれた土地はもう世の中に出てこない特別な価値ある物件でもあるので、当社固定資産として永遠に持ち続ける。施設には大田区羽田という立地、2万坪の敷地、街づくり型として思いを込めた。デザインもこれまでの物流とは全く違う。梓設計さんが本社ビルとして1フロアを賃借するというのはわが国ではおそらく初めてのケース。今期はこの施設を含め8物件が竣工する。今後も年間4物件のペースで取得していく」などと語った。
同社のロジスティクス事業施設は、稼働施設が20棟、開発中施設が13棟、計33棟となる。
外観ファサード
エントランス
三木氏
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記者は物流のことはよく分からないが、三木氏の話は魅惑的なフレーズがどんどん飛び出し、とても面白い。代表者の挨拶はこうでないといけない。
確かにデザインはおよそ物流(倉庫)らしくないし、梓設計が入居する3階部分はハイサッシ(Low-Eではなかったが)を採用し、天井高は5m以上あった。こんなゆったりした空間で仕事ができたら最高だろう。マンションの天井高がどんどん低くなっているので羨ましい。
梓設計が入居する3階部分
植栽
全国初の電気・ガス・水道料金の共同自動検針 積水ハウス 豊橋市の大型分譲地で導入
「コモンステージ ミラまち」
積水ハウスは7月2日、豊橋市の大規模複合開発「ミラまち」内で分譲中の「コモンステージ ミラまち」で、電力スマートメーターの通信技術を活用した電気・ガス・水道共同での自動検針を2019年10月から全国で初めて実用導入すると発表した。
豊橋市、第一環境、中部電力及び中部ガスが、電力スマートメーターの通信技術を利用した水道・電気・都市ガス共同自動検針の実施に合意したもの。
「ミラまち」は総開発面積約27万㎡の開発エリアに約400区画の戸建住宅と、商業施設・業務施設を設けるまちづくりプロジェクト。
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記者は以前から電気・ガス・水道代の検針を一度にできないかずっと思っていた。他の地域は分からないが、多摩市では電気代とガス代は月に1度、水道代は2カ月に一度、使用量と料金が書かれた紙が郵便ポストあるいは新聞受けに入れられている。
その検針に係る費用は馬鹿にならないと思ったので調べてみた。東京都水道局はホームページで「水道メータの検針から料金の請求、お支払い関係などに必要となる経費は、23区で年間約156億円必要となっております。(平成15年度)この金額は水道事業全体の約8%となっており、内訳は次のとおり」とし、検針や料金算定、料金に対する問い合わせに係る費用は39%としている。つまり、156×39%=60.8億円が人的検針などにかかる費用とみられる。
そのままの経費が減るのか、水道局に問い合わせたら、担当者は「自動検針にする場合のシステム変更・維持管理にも費用が掛かるので、自動検針に切り替えたら人的検針の費用がそのまま減るわけではない。逆に費用増ということもありうる」という回答だった。
同じ質問を東京ガスにもしたら、「自動検針については実験・準備を行っている段階で、いつ実施すかなどは未定」(広報)としている。
さて、どうなるのか。そのうちに新聞やNHKの受信料の集金人はなくなるかもしれない。ヤクルトや牛乳はどうなっているのか。
大手デベロッパー6社全てが「(倒産の)危険水域」!? 「週刊ダイヤモンド」に仰天
毎号面白い特集記事を組んでいる「週刊ダイヤモンド」の6月22日号の「最新版 倒産」記事には仰天した。「(倒産の)危険水域 ランキング完全版423社」のうちワースト250社に不動産会社が実に43社も入っているではないか。不動産業で上場している企業は145社(ネットによる)だから、約3分の1は危ないというのだ。
発表されたランキングの中には、確かにどうして存続しているのか不思議なくらいの〝死に体〟企業はあるが、何と東京建物のワースト22位を筆頭に東急不動産ホールディングスが52位、住友不動産が77位、野村不動産ホールディングスが81位、三井不動産が163位、三菱地所が174位、つまり上場不動産会社の売上高ベスト6社が〝堂々〟と200社までに入っている。この6社が〝危ない〟のであれば、他の不動産会社で〝安全〟なのはどこか知りたいくらいだ(逆に〝安全〟ランキングを発表すれば、雑誌は爆発的に売れ、株価も暴騰するのではないか)。
なぜ驚天動地のこのようなランキングが発表されたか。同誌は冒頭で①金融機関の融資の厳格化②人手不足③後継者不在④米中貿易戦争-などを背景に挙げ、6年ぶりに倒産危険度ランキング特集を復活させたとその理由を明らかにしている。
記者もこれには同意する。説得力があると思う。スルガ銀行の不適切融資は今後不動産業界全体に波及するのではないかと恐れている。
だが、しかし、わが不動産会社のベスト6全てが〝危ない〟と書かれたら反論しないわけにはいかない。
同誌によると、調査は①運転資金の増加分=資金繰り②内部留保③税引前営業利益④時価総額と有利子負債の額⑤総資産回転率-の5つの倒産危険度(Zスコア)を機械的に数値化して行われたもので、1.81未満は「倒産の懸念を否定できない」としている。
さすがに、大手デベロッパーのほかほとんどの電力会社や鉄道会社もランクインしていることに気が引けたのか、「不動産会社や鉄道会社のように、業種の特性上、他業種に比べ有利子負債が大きくなりやすく、総資産が膨らむ傾向にある業種の場合は、スコアは低めに出やすい」と言い訳をしているのだが、この機械的な処理に全て問題がある。
不動産業は有利子負債が多い業態であることは言うまでもない。バブル崩壊で売上高を上回る負債を抱えていた多くの企業が破綻したのはそのためだ。
しかし、超低金利の現在、有利子負債の多寡が即企業の存続につながるかどうかは分からない。負債を抱える力があるかどうかを見るべきだ。
そして、記者がもっとも不適切だと思うのは総資産回転率の計算だ。不動産業はプロジェクトが多額で長期化するケースが多く、マンションでも土地の仕入れから分譲-引き渡しまで最低2年はかかる。再開発の案件などでは数年どころか四半世紀に及ぶものも少なくない。
その間の景気の動向、地価変動リスクが伴う。これを危険といえば危険だが、そうした様々なリスクに耐えられる体力として資産は極めて重要なファクターになってくる。保有資産が大きいからこそ、回転率は低くてもビッグプロジェクトに取り組めるのが大手デベロッパーだ。回転寿司屋と不動産業を同じまな板に載せるからこんな結果になる。
同誌は、ストレートに数値をはじき出すのではなく、業種に応じて補正すればまったく異なった結果が出るはずだ。まあ、しかし、今回の特集は倒産危機の警鐘を鳴らした意味のある企画だと思う。
なぜ多摩センターはないのか 長谷工アーベスト「住みたい街(駅)ランキング」不思議
長谷工アーベストは6月27日、首都圏居住のモニターを対象に実施したWEBアンケート形式による「住みたい街(駅)ランキング」の調査結果をまとめ発表した。有効回答数は3,166件。
首都圏総合ランキングは、「吉祥寺」が調査を開始して以来15回連続の第1位、第2位は「横浜」第3位は「大宮」。「大宮」は前回13位からの浮上。
このほか「中野」が15位から6位に、前回18位の「立川」が7位に、前回11位の「赤羽」が8位に入り、初のトップ10入り。
ポイント制を加えた都県別ランキングでは、東京23区は「新宿」、東京市部は「吉祥寺」、神奈川は「横浜」、埼玉は「大宮」、千葉は「船橋」がそれぞれ1位。
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この種のランキングが発表されるたびに記者はうんざりする。アンケート回答者の居住地、年代、家族数などは全てトータルしてパーセンテージでしか公表されない。知りたいのはそれぞれどのような層のひとが「住みたい街(駅)」にどんな魅力を感じているのか、さらにまた、記者は最も大事だと思っているのだが、その「住みたい街(駅)」に住める可能性についての調査が欠落しているのが決定的に問題だと思う。そもそも「住む」とはどういうことなのかあいまいだ。
ベスト3の「吉祥寺」「横浜」「大宮」は、マンションなら坪単価は場所によっては500万円以上で、もっとも安くても徒歩圏なら250万円はくだらない。アンケート回答者のうち購入できる人は果たして何人いるか。「吉祥寺」も「大宮」も雑多な街だし、「横浜」だっていいのは、山手、桜木町の一角だ。
「新宿」と「渋谷」がそれぞれ4位、5位に入っているのも解せない。記者は、「渋谷」の高級住宅街を除けば住むところではないと思っている。「新宿」はキャッチバーにつかまって有り金全てを吐き出させられたところだし、「渋谷」は永遠の愛を誓った場所ではあったが、見事に捨てられた場所でもある。今でもトラウマになっている。
それならどうして「東京」はベスト20にも入らないのか。小生はお金があったら、「東京」に住みたい。皇居を見降ろすのは畏れ多いが、坪単価にしたら最低でも坪3,000万円の価値があると思う。
「赤羽」が8位なのは結構なことだと思う。いま長谷工コーポレーションが施工したマンションが分譲中だし、北区も〝住めば北区〟のキャンベーンを展開しているのが奏功したのかもしれない。
だがしかし、もっとも理解できないのが、どうしてわが「多摩センター」は東京市部のベスト10にも入らないことだ。ベスト10には「吉祥寺」「調布」「府中」「八王子」「高尾」の5つの京王線沿線の街(駅)が入っているのは嬉しいが、「多摩センター」が無視され「高尾」が入るなんて信じられない。
同社のニュース・リリースには、1位の「吉祥寺」について「住みたい街ランキングの常連の街であり、自然と都会的な部分のバランス感覚が優れていると感じるから。道を一本入ると庶民的な雰囲気が今なお漂っていて、飲食店数が多いので住みやすそうだと感じます」(20代・単身)とのコメントが付いているが、これはこのままそっくり「多摩センター」にも当てはまることだ。
一つひとつ書かないが、多摩センターほど広範囲に歩車分離の街が形成されているところはわが国にない。少なくとも街を歩いていて、車が突っ込んでくるリスクは皆無だし、子どもも大人も交通事故にあう可能性は極めて少ない。
デパートはなくなったが、ホテルがあり宴会もできる。コンサートホールだってある。飲食はみんなチェーン店になってはまったが、絶滅危惧種の草花をめでることもできる。風俗系の店もラブホテルだってあるし(なくなったか)、京王閣、府中競馬場にも近い。長谷工の立派な研究所だってあるではないか。
同社も含めこれから調査する機関は、アンケートを実施する際に、街(駅)の特徴や土地やマンションの相場なども伝えるべきだと思う。だれもが実現できない街(駅)を「住みたい街(駅)」ランキングとして調査する意味なんてどこにあるのか。みんな〝住めば都〟ではないのか。
記者がアンケートするなら、「住みたい街(駅)」ランキングではなく、「住める街(駅)」ランキングだ。こちらのほうが消費者の役に立つ。そのうち自分でやろうかしら。
分譲戸建て工事額・坪単価・広さ 長野県が1位 平成30年度 国交省住宅着工統計から
⇒PDFの画像文書1.pdf
別表は、国土交通省の住宅着工統計から平成30年度の分譲戸建て住宅の都道府県別戸数、1戸当たり工事予定額、坪単価、1戸当たり広さを調べ一覧にしたものだ。
この表から何が分かるか。まず、着工戸数。戸数が多いのはトップの東京都をはじめ神奈川、埼玉、愛知、千葉、大阪の順。逆に少ないのは鳥取、島根、徳島、高知、長崎の順。
戸数が多いのは大都市圏であり、少ないのは人口の少ない県であるのは当然だが、宮城県、広島県、熊本県などが比較的多いのは自然災害の影響か。
一戸当たり工事予定額は全国平均で1,564万円(坪単価49.8万円)となっており、多くの都道府県は平均値の前後の数値になっている。しかし、長野県は2,109万円と突出しており、隣の山梨県が1,933万円で2位。台風対策のためなのか高知県、沖縄県、三重県が1,800万円を超え、北海道、島根県なども比較的高い。低いのは宮崎県の1,383万円で、全国で唯一1,400万円を割っている。以下、福井県、滋賀県、和歌山県、石川県などが続く。
坪単価は全国平均で49.8万円。トップは長野県の60.4万円で、以下、沖縄県、高知県、山梨県などが50万円台の後半。低いのは福井県の41.6万円で、石川、滋賀県、群馬県などが続く。長野と福井では実に18.8万円の差がある。
一戸当たりの広さでは、全国平均は31.4坪。全国でもっとも広いのは長野県の34.9坪。以下、岐阜県、富山県、三重県、福井県、石川県が続く。狭いのはもちろん地価が高い東京の28.6坪で、京都府、青森県、神奈川県などが30坪を切っている。長野と東京の差は6.3坪。12畳大以上だ。
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面白いのは長野県だ。どうして住宅にお金を掛けるのか理由は分からないが、豪雪対策か地震対策か、健康住宅が浸透しているためか、それとも「海こそなけれ物さわに 万(よろ)ず足らわぬ事ぞなき」の長野県歌を知らない人はいないという勤勉で自立心が強く、反中央集権的県民性によるのか。少し昔だが、学校の図書館には「資本論」が備えられていたそうだ。
長野県宅地建物取引業協会事務局に聞いた。「個人的な見解ですが、土地が30坪の分譲戸建てなどはほとんどなく、車がないと動けない山岳部も多く、寒冷地でもあり、車が置けるスペースや防寒対策に費用をかけたりしているからではないか。飯田グループ? ほとんど聞きません。圧倒的に多いのは大手のハウスメーカー」とのことだった。
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もう一つ、分譲戸建てのガリバー企業、飯田グループホールディングスの影響が全国の分譲戸建て市場に大きな影響を及ぼしていると考えざるを得ない。
同社グループの2019年3月期の売上計上戸数は44,677戸で、単純比較はできないにしろ2018年度の住宅着工戸数の実に30.9%を占める。1戸当たり価格は2,678万円。土地代と建物価格の割合は分からないが、建物価格は坪30万円台のはずで、圧倒的な価格優位性を誇っている。
参考までに同社グループの空白区を紹介すると、富山県、鳥取県、島根県、高知県、長崎県、宮崎県の6件のみ。
ヒートショック予備軍 最多は千葉・宮崎 最少は長野 リンナイが都道府県ランキング(2018/11/3)
ポラス2019年3月期 売上高2,163億円 分譲戸建て契約2,654棟 ともに過去最高
中内氏
ポラスグループは6月24日、2019年3月期決算を発表。売上高は2,163億円(前年比8.4%増)、営業利益は129億円(同5.2%増)、経常利益は137億円(同7.2%減)、当期純利益は38億円(同9.7%減)となり、売上高は過去最高、2,000億円を初めて突破した。
セグメント別では、分譲住宅契約が2,654棟(同15.4%増)と過去最高となり、マンションも「浦和美園」や「新越谷」が好調で、契約戸数は468戸(同82.8%増)とこちらも過去最高。
戸建て注文住宅の契約棟数は576棟(同15.7%減)となり、分譲と注文の合計契約棟数は3,230棟(同8.3%増)となった。
プレカット事業などを手掛けるポラテックは、5工場体制による生産量の拡大や木造非住宅の強化により、売上高は810億円(同6.6%増)となり3期連続で過去最高を更新。
その他、仲介手数料は23億円(同7.6%増)、リフォーム受注高は79億円(同8.3%増)。
2020年3月期の連結業績予想は、売上高2,250億円(前年比4.0%増)、経常利益150億円(同9.0%増)としている。
発表会に臨んだ中内晃次郎・ポラスグループ代表は「2019年は創業50周年の記念すべき年であり、次の50年を誇りある未来にすべく『自他共存』の経営を推進し、圧倒的に美しい街づくり、デザイン・技術に優れた住まいの提案によるエリアシェアの強化を進める」と語った。
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記者が驚いたのは、品川典久・中央住宅社長が、総じて好調に推移している分譲住宅について語った中で、「江東、墨田などの城東エリアは、1宅地12、3坪の4,000万円を切る価格ありきの市場の中で苦戦している。数年前の年間140~150戸をピークに販売棟数は減少しており、昨年度は78棟に落ち込んだ。深刻な状況。より豊かな暮らしを提案する当社の経営理念からしてそのような戸建てとは競争したくないが、対策を考えないといけない」と話したことだ。
記者は、昭和50年代から60年代の前半にかけて徹底してミニ開発を批判する記事を書いた。定義は難しいが、概ね一宅地が30坪以下の数棟現場の建売住宅とした。
当時、都内の各区は開発指導要綱でミニ開発を排除する動きを示していたが、ひどい事例では、例えば60坪の土地に開発申請時は長屋として申請し、完成後は切り離した実質一宅地15坪の建売住宅がかなり供給された。ミニ開発のほとんどが建基法違反だった。そのような住宅を専門に分譲する業者が暗躍した。
事態を重く見た都市銀行などは一宅地30坪未満の戸建て分譲に対しては融資をしない措置を取った。
その後、時代は変わった。違反建築物はかなり減ったはずで、都市型戸建てに都市型3階建ても加わり、平成14年の都市計画法の改正により、自治体が面的な規制により最低面積を定めやすくなった背景もあり、一概に狭小住宅を「悪」と言えない市場(住宅は「幸せ」を売る商売であり、消費者が支持するものを「悪」と決めつけるのは難しい)が形成されているのも事実だ。
それでも、この問題は等閑視できない。どうして一宅地12、3坪の分譲が可能なのか、各区の対応はどうなっているのか、銀行融資はどうなっているのかなど時間をかけてでも取材して記事にしたい。
品川社長、そんな家とも呼べないような戸建てと競争などしないでいただきたい。きれいさっぱりそんなエリアと決別すべきだと思う。自治体の首長は、街のポテンシャルを引き下げるような戸建てをどうして放置しているのか。銀行はどうなっているのか。
品川氏
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決算発表会は記者懇親会とセットで行われているもので、記者も末席を汚している。懇親会ではいつも同社グループの料亭のような飲食店がつくった1500キロカロリーはありそうな弁当が配布され、酒も提供される。
記者はカロリーを気にしながら、きれいな女性からビールを勧められて断るのも失礼だと思い、一生懸命食べかつ飲んでいたら突然、「牧田さん、何かありませんか」と同社の広報マンから声がかかった。
一瞬ひるんだが、ただで弁当を貰いビールを飲ませてもらったのに何もしゃべらなければ、もう二度と声がかからないのではと思い、同社のマンションと戸建てについてひとこと話した。
マンションについては、「ルピアグランデ浦和美園」の商品企画を褒め、戸建てでは、数年前に三井不動産レジデンシャルが分譲してよく売れた「ファインコート浦和美園」の施工がポラテックであり、三井レジは「施工がポラスグループ」であることをパンフレットで大々的に扱ったことを紹介した。
広報マンは「うちの物件の取材をたくさんやってください」とまぜっかえしたので、「それは違う。ポラスの物件の取材ばかりしていたら、他社の商品企画がわからない。たくさんみて比較検討することが大事」だと言い返してやった。
どうもハウスメーカー担当の記者の方は、デベロッパーのマンションや戸建てを取材しない。これじゃ正確な市場を把握できないと思う。最近の分譲戸建てのリビング天井高が高くなってきたのは、間違いなくポラスの影響だと思う。
建築基準不適合物件は約3,800棟 前回発表より倍増 大和ハウス工業
大和ハウス工業は6月18日、建築基準の不適合問題に関する外部委員会の「調査報告書」を発表し、前回4月12日に公表した数値にデータ漏れがあり再調査した結果、建築基準不適合物件は戸建て・賃貸を含め追加棟数は1,885棟にのぼり、前回発表時の1,878棟と合わせ合計3,763棟に増加したと訂正。同時に再発防止策を発表した。
外部調査委員会は「調査を進めるなかで、驚きを禁じ得なかったことは、日本を代表するハウスメーカーである大和ハウス工業が、型式適合認定制度の在り方について、あまりにも迂闊に集団的な誤信を起こしてしまった経緯である」「大和ハウス工業は、本件不備により社会的信頼を損なったことを虚心坦懐に受け止めて、今後の改革に活かしていただくことを期待する」としている。
型式適合認定制度の理解・認識不足 大和ハウスの建基法不適合問題 外部調査委報告(2019/6/2)
驚天動地の「週刊住宅」「住宅新報」元編集長・顧問の本多氏のインタビュー記事
あ然、呆然、驚天動地-いかなる言葉でもってしても形容しがたい、もう絶句するしかない、あきれ果ててものも言えない(だから書くのだが)記事がわが業界紙の「週刊住宅」6月17日号に掲載された。8ページ建ての最終面(つまり裏表紙)の書籍紹介コーナートップに、競合紙の「住宅新報」の元編集長で顧問でもある本多信博氏の書籍「認知症にならない暮らし方 百歳住宅」(プラチナ出版社)のおためごかし※の紹介文だけならまだしも、何と全6段の4分の3くらいのスペースを割いて、本人のインタビュー記事を紹介しているのだ。
インタビーで語っている本多氏の発言も聞き捨てならない内容が含まれているのだが、これは後述するとして、よりにもよってお互いライバルと言ってよい業界紙が一方の元編集長・顧問が書いた本をインタビュー付きで、しかも題字下で紹介するなど常識的には考えられないことだ。さらにまた、住宅新報も本多氏も相手を〝格下〟と考えているのかもしれないが、そんな企画記事に無分別にも乗るなんて、狂っているとしか言いようがない。双方が痴呆状態に陥っているのではないか。
例えは適当でないかもしれないが、朝日新聞が読売新聞を、あるいはその逆をヨイショするようなもので、これはもうメディアの自殺行為だ。かつて、東急不動産の金指潔会長が「このままでは生き残れない業界紙」と苦言を呈したのを忘れたか。
こんな紙面を見ると、何だか負け犬がお互いの傷をなめあっている絵図そのものに思えてきて実に不愉快だ。ひょっとしたら両紙は持ちつ持たれつの兄弟紙か。そういえば、住宅新報の元編集長は現在、週刊住宅の記者として記事を書いている。私事だが、小生は同業の記者にはほとんどお友達がいないし、言葉もあまり交わさない。
※おためごかしとは、他人(ここでは本多氏)を持ち上げているように見せかけて実は自分(週刊住宅)の利益をもくろんでいるという意味。そのわけは、プラチナ出版は週刊住宅が破綻したあとに同社の社員らが2017年5月に立ち上げた会社であることからもこの言葉がぴったり。
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「聞き捨てならない」と書いたのは次の部分だ。
本多氏は、「住まいは生活習慣病の源」と持論を述べた後、「認知症を患いづらい住まいとは」という週刊住宅の記者の質問に対して「1年を通じて四季を感じられる住まいである…脳を活発に動かせる環境づくりが重要…その意味からマンションより戸建住宅のほうが認知症になりづらい家作りを実践しやすいと思っている」「認知症になりやすいのは独り暮らし」などと語っている。
さらにまた、積水化学の住宅カンパニーの「認知症の早期発見、重症化予防プロジェクト」を紹介し、「住友林業や東急不動産、東京建物などが高齢者向けの住まいに先導的に取り組んでいる」とも述べている。
「住まいは生活習慣病の源」なのかどうかはよくわからないが、小生の糖尿病は住まいと関係ない。言うまでもないことだが、食生活に問題がある。飲酒によって何かの病気を発症したとしても、やはり住まいとは関係ないはずだ。ただ、劣悪な住環境が生活習慣病を発症する要因になるかもしれないことについては否定しない。
しかし、認知症と住まいを関係づけるのは暴論だ。本人も話しているように認知症発症メカニズムは解明されていない。つまり、分からないのだ。分かっていないことについて勝手にしゃべるのもまた自由で、だからこそそう話しているのだろうが、マンションや戸建てを中心に約40年間取材している小生は承服しかねる。
「マンションより戸建てのほうが認知症になりづらい」とか「認知症になりやすいのは独り暮らし」などと、専門家の疫学的な調査研究を根拠に、したり顔で話すのはやめたほうがいい。
貴殿が「家庭内における役割分担と決まりごとに対する郷愁がシェアハウスの台頭の陰にある」(やや意味不明)と絶賛するシェアハウスはマンション形式が絶対的に多いはずで、だとすればシェアハウスは認知症の巣窟・予備軍にならないのか。圧倒的に独り暮らしが多いサ高住もまた認知症患者を発生させる「先導的役割」を果たすことになりはしないか。認知症発症率はマンションが少ない地方のほうが高いという研究も報告されている。
「このままでは生き残れない業界紙」 東急不動産HD・金指潔会長が苦言(2017/3//9)
欠けるのは「愛」 記者生活40年 業界紙に期待するものWebとの融合・連携 ④(2018/4/5)
住宅リフォーム 今年度からGDP統計に反映 規模は数兆円か
住宅リフォーム推進協議会(代表理事:國井総一郎・ノーリツ社長)の定時総会後の懇親会が6月14日行われ、初めて取材した。勝手が違うし、リフォームのことはよく分からないので早々に退散した。
唯一の成果は、住宅リフォーム統計が今年度からGDPの統計に反映されることだった。
現在、住宅リフォーム工事の着工届が必要な延べ床面積が10㎡以上のものは「建築物着工統計」に反映されており、住宅投資に含まれているが、着工届を必要としないものについては、計算が難しいためGDPには含まれていない。
このため、平成26年3月に閣議決定された「公的統計の整備に関する基本的な計画」に基づき、国土交通省は平成28年度から「建築物リフォーム・リニューアル統計」調査を開始し、今年度からGDP統計に含まれることになった。
建築物リフォーム・リニューアル調査によると、平成28年度の受注高は約10兆1,358億円、29年度は8兆6,578億円(住宅投資額は16.0兆円)だ。
住宅リフォームがGDP統計に反映されたらどれくらいの増額になるのかわからないが、数兆円はGDPを押し上げることになるのか。
しかし、国民生活センターに持ち込まれる住宅リフォームに関する相談件数はずっと年間1万件くらいで推移しているはずだ。GDP統計に反映されるのは結構なことだが、悪徳業者を排除する取り組みも必要だ。