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 すてきナイスグループの元代表取締役会長兼最高経営責任者・平田恒一郎(71)、元代表取締役副会長・日暮清(67)、経理担当の元取締役・大野弘(63)の3容疑者が7月25日、金融商品取引法違反により横浜地方検察庁に逮捕されたことを各メディアが報じた。逮捕容疑は、2015年3月期決算でペーパーカンパニーを通じて架空取引を行い、有価証券報告書に4億9,600万円の経常利益があったなどと虚偽の報告を記載したため。

 同社は当日、「当社元代表取締役等が逮捕されたことを極めて重く受け止めております」「第三者委員会の調査報告の内容につきましても十分に検討のうえ、可能な限り速やかに再発防止策の策定等の必要な対応を進めてまいります」とコメントした。

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 大変ショックを受けた。この日(25日)、同社が昨夜(24日)発表した174ページにもわたる「第三者委員会調査報告書」を途中まで読み、取材のため出かける昼過ぎに平田元会長らが逮捕されたことを知った。3人とも取材や決算発表会で何度もお会いしており、平田元会長とは、同社に入社したころからのお付き合いで、年齢も近いことなどから親近感があり、免震マンションや木造建築物、CLT活用などについての応援記事を書いてきただけに残念でならない。

 唯一の救いは、第三者報告書では一連の粉飾決算は平田元会長らごく限られた役員しか関与しておらず、多くの社員は同社はきちんと法令順守している会社だと思っていたことだ…だからこそ裏切られたという気持ちも大きいだろうが…。

 第三者報告書はほぼ目を通したので、気が付いたことを改めて紹介したい。

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「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」オープンイベント

 サスティナビリティ特化型のベンチャーコミュニティ「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」は7月24日、「地域との共創」をテーマとした第1回目のオープンイベントを開催。TBM×神奈川県、ユーグレナ×石垣島、自然電力×小布施町のベンチャーと自治体の共創・連携事例が報告された。

 神奈川県のいのち・SDGs担当理事・山口健太郎氏は「『SDGs日本モデル』宣言を世界に向けて発信した。すでに148の企業・団体などの賛同を得ている。県がハブとなって走りながら考え、行動に移していく」と話した。神奈川県は、国からSDGs達成に向けた先導的な取り組みを行っている10の「自治体SDGsモデル事業」に選定されている。

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山口氏

 県の報告を受けたTBM経営企画本部 ニュービジネスデザイナー・岡澤友広氏は、「LIMEXを世界に向けて発信していく」と語った。LIMEXは同社が開発した主成分が石灰石からなる新素材で、プラスチック代替製品として期待されている。先に同社や県などの22団体・企業から構成される「かながわアップサイクルコンソーシアム」が結成され、2021年の自走を目指している。

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岡澤氏

 ユーグレナは、ミドリムシの食品化と大規模培養プラント建設に成功し、2005年に設立されたベンチャー企業。へルスケアやエネルギー・環境事業などの多角化を進めており、2014年に東証一部に上場。同社特命担当室テクニカルディレクター・村花宏史氏は、「石垣島はミドリムシの生産拠点で、当社にとって〝聖地〟。ネーミングライツによって商店街を『ユーグレナモール』としたのは大きなメリット」と話した。

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村花氏

 小布施町役場企画政策課(地域おこし協力隊)・塩澤耕平氏は、「小布施町は40年前から街づくりに取り組んでおり、今後も町内外の企業、団体、大学などとの協働を積極的に」進めていくと語り、塩澤氏の奥さんでもあるながの電力・塩澤美幸氏は「小布施町の使用電力の20%供給を目指すとともに、通信、インフラ、農業、非観光、小売り事業なども展開していく」と夢を語った。

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塩澤ご夫妻

 小水力発電によって長野県小布施町の約350世帯に電力供給している自然電力エナジーデザイン部マネージャー・佐藤李子氏は「『1% for community』基金事業では、熊本のクラフトビール、こども食堂、塾アブなどいくつか投資先が決まっている」と報告した。

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佐藤氏

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 わが国のどんどんシュリンクしていく経済社会、齢70のわが身の行く末を考えると世紀末の像しか描けないのだが、この日の若い方たちの熱のこもった報告を聞いて〝日本も捨てたもんじゃない〟と思えてきた。とてもハッピーな気分になった。明るい未来がほのかに見えてくるではないか。

 報告の中でもっとも注目したのは自然電力の「1% for community」だ。頭が下がる。

 同じような呼称としては「経団連1%(ワンパーセント)クラブ」があるが、これは経常利益や可処分所得の1%を社会貢献活動に拠出しようという活動だ。

 経団連の報告によると、2017年度(357社)の社会貢献活動支出合計額は1,997億円で、1社平均は5億9,300万円だ。

 これが多いか少ないか、記者は判断材料がないのでよく分からないが、企業の2017年度末の内部留保額は446兆円にものぼっていることを考えると、やはり少ないのではないか。GDP550兆円の1%をSDGsに充当すれば、消費増税と同額になる。SDGsにどんどん投資する企業・団体・個人が増えることに期待したい。

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 小生は、BSやCSで毎日のように西武ライオンズの中継を観るのだが、ユーグレナはCMのスポンサーにいつも登場するので名前はよく知っている。

 この日(24日)、イベント終了後、同社から乳酸飲料「飲むユーグレナ」が振舞われた。とても美味しかったので、もう1個もらってかみさんに飲ませた。「とても美味しい」とのことで、「30本入り7,020円は妥当な値段」と評価した。

 皆さんにもお勧めだ。

サスティナビリティ特化 東建 ベンチャーコミュニティ「City Lab Ventures」始動(2019/4/20)

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「H¹O 日本橋室町」ントランス

 野村不動産は7月17日、従業員10名未満の小規模オフィスビルブランド「H¹O(エイチワンオー)」(H¹O:Human First Office)を立ち上げ、第一弾の「H¹O 日本橋室町」を2019年11月にオープンすると発表した。

 スモールビジネス(従業員10名未満の事業者)のニーズを徹底分析し、①プライバシーが確保された個室執務空間②有人受付コンシェルジュが日中常駐③共有会議室・ラウンジを設置④全室個別空調、一部物件シャワールーム・駐輪場・宅配ボックス設置-などが特徴。

 今後、東京都心五区を中心に新築、リノベーション、PMO内、大規模ビル内に設置し、2023年度末までに新規15拠点の開設を予定している。

 「H¹O 日本橋室町」は、9階建てPMO日本橋室町内にあり、最小1.43坪(1~2名用・3区画)~最大21.37坪(21~24名用・1区画)。

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「H¹O 神田」完成予想図

 

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 東京都足立区は10月1日から、150㎡以上の宅地開発事業を対象に戸建て住宅の最低敷地面積を66㎡以上と定めた「足立区宅地開発事業調整条例」を施行する。

 「良好な住環境の保全及び安全で快適な生活環境を形成することを目的」(同条例第1条)とするもので、建ぺい率が80%の地域(商業、近隣商業地域を除く)と建ぺい率が60%の地域(駅から概ね500m以内)は66㎡、建ぺい率が60%の地域(駅から500m以上)は70㎡、建ぺい率が50%の地域は83mとしている。

 同一の事業者が宅地開発事業により戸建て住宅を建築し、検査済証の交付を受けた日から起算して3年以内に行う一体的な事業は、1の宅地開発事業とみなす。

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 7月8日付で「狭小住宅」の取材を開始すると書いたが、この足立区の条例は全く知らなかった。今日(7月16日)、足立区に取材に行って初めて知った。それまでの「足立区環境整備基準」はあくまでも「指導要綱」だ。拘束力が異なる。

 記者も賛成だが、これでは150㎡未満の敷地分割は防げない。仮に140㎡を3分割したら46.7㎡(14.1坪)だ。150㎡と140㎡の土地が連坦していたら、前者は2戸しか建てられないが、後者は3戸建つ。また、150㎡の土地を50㎡と100㎡に分筆して2業者に売れば、やはり50㎡の戸建てが3戸建つ。これで良好な住環境の保全が図れるのか。

 記者が取材したいのは敷地面積が60㎡以下の狭小住宅がどれくらい建設されているかだ。相当あるようだが、全く見当もつかない。

 各自治体はデータを持っているはずだが、「建築計画概要書」が閲覧できるのは場所を特定しなければならず、しかも1回10件以下の制限を設けている。本気で住環境の保全を考えるなら、いったい敷地が60㎡以下の狭小住宅がどれくらい建設されているのか広く住民に伝えるべきだと思う。

都心部で増殖する「狭小住宅」とは何か 「居住の自由」か居住環境の保護か(2019/7/8)

 

 

 

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上田知事(右)から感謝状を受け取る木村氏(中央)

 積水ハウスは7月11日、同社の環境配慮型住宅「グリーンファースト」の売り上げの一部を埼玉県「彩の国みどりの基金」に寄付している額が昨年度122万8千円、累計1,473万2千円(7,366棟)に達したことを受け、上田清司埼玉県知事から感謝状の贈呈を受けた。

 県庁で行われた感謝状贈呈式で上田知事は、「埼玉の豊かな自然を守り育てるため多大な寄付をされた」と謝意を述べ、同社埼玉営業本部の木村良典営業本部長に感謝状を手渡した。

 木村氏は、「当社は幸せな住まいを一貫して追求している。家は百年、一生もの。いいものをつくり、次の代はリフォームして、ずっと住んでいただきたい」と応えた。

 「彩の国みどりの基金」は緑の創出や森林保全を推進するもので、同県が08年に自動車税の一部と寄付金を財源として創設。校庭の芝生化や森林整備、県民参加の植樹会などの事業を行い、昨年度は1,203haの緑を再生した。

 同社は2010年、基金制度に賛同し、県内で建設した「グリーンファースト」1棟につき2千円寄付することを始めた。戸建て住宅1棟に〝3本は鳥のために、2本は蝶のために〟の「5本の樹」計画を盛り込むことを基本としている。

 昨年度は木育事業として県農林部から50万円の助成を受け、県内5カ所のショールームで、キッズルームを県産材に触れられる空間にリニューアル。床と壁の一部及び玩具に県産の杉と檜を取り入れた。

 同社のグリーンファーストの割合は堅調に推移し、昨年は79%、埼玉県内では8割超となった。

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上田知事と懇談する関係者(知事室で)

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シニア住宅増築分(完成予想図)

 東急イーライフデザインは7月11日、34年の歴史を誇るシニア向け住宅の先駆け介護付有料老人ホーム「光が丘パークヴィラ」を運営する光ガ丘ヘルスケアの全株式をしたと発表した。

 現在の居室専用面積は約40㎡、49㎡で、余剰容積を利用して50〜60㎡台のシニア向け住宅18室を増築し、デイルームや介護浴室を増設し、軽度な介護度の入 居者の日常生活をサポートする機能も高める。改築工事の完了は2020年9月の予定で、延床面積は約2,381㎡となる。

 

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 三井不動産は7月11日、全社共通の業務の決済・押印手続き・会計処理などの標準化・効率化を図る新システムを今年4月から導入し、年間約58,000時間の業務量と約840,000枚分の紙資料が削減できる見通しと発表した。

 「働き方改革」の一環として2016年9月にITイノベーション部を中心に経理部、総務部、各事業部の事務担当者を含む総勢80名の部門横断型のプロジェクトチームを発足し、個別最適化されていた業務プロセスの標準化と、独立していた決済システムと会計システムの統合化に取り組み実現したもの。

 新システムの導入により、年間約58,000時間の業務量が削減でき、契約書類、経費精算書、帳簿書類の入力・出力・押印などを電子化することで年間約840,000枚分の紙資料が不要となる見通しで、さらには印刷・郵送・保管コストなどの削減が可能になるとしている。

 決裁・会計業務を支える基幹系システムをNTTデータ イントラマート社の「intra-mart®」とSAP社の統合基幹業務システム(ERP)パッケージである「SAP S/4HANA®」を用いて構築し、経費精算機能としてコンカー社の経費精算・経費管理クラウド「Concur® Expense」とクラビス社のクラウド記帳サービス「STREAMED」を採用。また、システム基盤として日本マイクロソフト社のクラウド プラットフォーム「Microsoft Azure」とSAP社のマネージド型クラウド基盤「SAP HANA® Enterprise Cloud」を活用している。

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 年間約58,000時間の業務量と約840,000枚分の紙資料が削減されるとあるのに驚いたのだが、これだけではイソップの「牛と蛙」だ。

 そこで12日(金)、同社広報に問い合わせたら、この日は「創立記念日で特別休養日とさせていただきます」のテープしか流れなかった。

 やむを得ないので、1,526名の従業員一人当たりの労働時間に換算したら年間38時間になった。月に約3.1日だから、さらに業務の効率化を図れば週休3日制が実現できるのではと考えた…この計算は間違っているか。

 紙資料の削減は見当がつかない。参考になるのは三菱地所のデータだ。同社は本社移転後の1年間の働き方及びワークプレイス改革により複合機出力数が45%、文具購入量が46%それぞれ削減できたと発表した。

 これでもよく分からない。厚さを考えた。一般的な上質紙は100枚で1cmというから約84mの高さ、つまりマンションなら28階建ての紙が不要になる計算だ。従業員一人当たりだと約5.5cm、550枚分だ。

 業務量と紙資源の削減をお金に換算したらいくらになるのか。興味のある人は計算していただきたい。数十億円にはなるはずだ。

 ついでに、同社と各社にお願いだ。発表会・見学会などの返事も全てメールで可にしていただきたい。全部で月に10回、年間100枚は削減できる。

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 本日(16日)、年間約58,000時間の業務量と約840,000枚分の紙資料が削減される見通しについて同社から回答があった。

 業務量削減については、「個人や部門によって当該業務への従事度合いが異なるため、一人当たりの削減時間は出せませんが、全体で年間約30人分の業務が削減されて他業務に従事可能となる計算」で、紙資料については「約7%相当の削減」ということのようだ。

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小嶋氏

(下線は小嶋氏が加筆訂正したものです。小嶋氏の想いを伝えるため、ほとんど手を加えておりません)

 元ヒューザー社長・小嶋進氏が7月8日、「REB-1000」(清水修司理事長)主催のセミナー&情報交換会の特別講演として「今だから話せる耐震強度偽装問題の真相とその後」について約2時間10分にわたり熱弁をふるった。国家権力の「偽装」に対する非力さ、自らの馬鹿さ加減について、時に声を詰まらせ、震わせる小嶋氏の話に、通常よりはるかに多い約300名の参加者は聞き入った。生々しい部下とのやり取りを記録した録音テープも公開された。

 小嶋氏は、「わたしの馬鹿さ加減がこのような事態を招いた」と切り出し、「東京拘置所に収監されていた329日間は誰とも話せなかった。なんの悪いことをしたのか分からず、世の中は不条理で成り立っていることをつくづく感じさせられた」と語り、耐震偽装マンション購入者に対し「申し開きできない。まことに申し訳ない」と謝罪。

 「グランドステージ藤沢」の施工を担当したために破産に追い込まれた元木村建設社長・木村盛好氏にも謝罪し、「国交省公表後2営業日後にはメイン銀行の預金凍結により強制不渡り破産となった、がその後、破産管財人が和解金17億円をメイン銀行から回収した事実により木村建設はすぐにでも倒産する会社ではなかった」と国や銀行などを批判。

 「木村建設不渡りの5日後には藤沢マンションの元請設計の森田一級建築士が稲村ケ崎で溺死体となって発見された。その遺書と同じ書体で11月14日に藤沢市役所担当者と『どこが間違っているのか指摘してほしい』との打合せ記録の報告書がある。小嶋詐欺罪証拠の一つ『10月27日イーホームズ指摘によって危険性を知ったうえで翌28日の藤沢引渡しを中断しなかった』との検察主張に対して、イーホームズは藤沢などの竣工検査済物件に対しての指摘がなかったことを証言する元請け設計士が亡くなった。

 そして北海道㈱晃研深川氏が耐震構造改修図面8棟のうち4棟を作成提出後にレンタカーで海釣りに行き、堤防に駐車しようとバックしてそのまま海中に転落して溺死してしまった」

 「329日間投獄後の2006年4月に保釈されたときには、ヒューザーもジャスティも個人も破産、瑕疵担保責任の連帯保証人である木村建設も消滅、元請けの森田一級建築士も耐震構造改修図作成の深川一級建築士もすべて消えていた」

 「こうして小嶋は丸裸となり耐震強度補強による瑕疵担保責任が果たせなくなった。結果、詐欺(2項詐欺)罪が確定した。これらは偶然の出来事なのだろうか」などと語った。

 一方で、イーホームズ・藤田東吾社長に対して「これまで66年生きてきて最悪な日本人」と怒りをあらわにした。「新聞記事などにより都議に献金400万円をしながら2700万円の虚偽増資によって資本金を5000万円とし、2002年3000万の売上を2004年には11億円に伸ばしたが、月間1300件から1700件の申請案件に対して構造担当の検査資格者はわずか2名のみで無審査だった。イー社存続のためにヒューザーを『耐震偽装は心の犯罪。一番儲かるのはデベロッパーであり、身の危険を顧みずヒューザーに乗り込んだ。民間確認検査機関だからできたことであり、悪を糺して公表した第一発見者であることを評価してほしい』と国会の場で目の前で語っていたので『何言ってるんだよ、この野郎』とどなってしまった」

 小嶋氏は破産管財人が作成した資料を投射しながら「収支計算書」における収入がヒューザーは50億3600万、ジャスティホームは3億9700万、小嶋個人(申告資産)7500万円の合計が55億に対して、「配当表」における総額約55億9000万円とは計算が合わない(収入金額を配当額が越えることはあり得ない)ことや、管財人が業務報酬としてヒューザーから3億4570万を受領しながらほぼその同額3億5000万円をジャスティホームの破産債券としてダブル記載したことを報告した。

 一方ジャスティ破産配当ではヒューザーへの破産配当1億950万を除いた配当金2億9780万円からグランドステージ藤沢の配当金1億8830万円を差引いた1億950万円を管財人「配当」としたことによって、破産管財人の収入総額は6億円相当(2社業務報酬4億4750万円+配当1億950万円+小嶋個人推定額)となることを明らかにした。

 管財人に破産関係書類の開示を求めたが「期限が過ぎたので破棄した」として協力してもらえなかったことを付け加えた。

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「REB-1000 セミナー&情報交換会」代々木・SYDホールで)

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 実は、事件が発覚する直前、小嶋氏をRBAタイムズで取り上げることが決まっていた。取材の数日前だったか、小嶋氏から「牧田さん、歯が痛くて喋れない。キャンセルしてくれないか」との連絡が入った。

 そのまま大事件となり、小嶋氏が逮捕されて取材する機会を失った。取材が実現し、新聞を発行していたら弊紙も記者も袋叩きにあっていたかもしれない。

 当時、小嶋氏はもっとも好きなデベロッパーの社長だった。記者が理想とする〝普通のサラリーマンが無理なく買える100㎡(30坪)マンション〟をたくさん供給していたからだ。商品企画を褒める記事を書いてエールを送った。

 また、小さいころの夢は小嶋氏が総理大臣で、記者が農林大臣だったことなど、お互いが田舎育ちの世間知らずで、その馬鹿さ加減を自慢しあったこともあった。100㎡マンションは序の口に過ぎず、150、160㎡に挑戦するとも聞いていたので、それを楽しみにしていた。

 少しは小嶋氏の性格を知っていたので、事件が発覚したときも「小嶋氏は絶対知らなかったはずだ」という確信はあった。

 ただ、小嶋氏が国家賠償請求訴訟を起こそうという気になったのは分からないではないが、法律の無謬性に反旗を翻すのは無謀というものだ。大変失礼だが、小嶋氏も甘い。しかし、如何なる大地震災害に対しても被災した個人住宅に国庫支出しなかった国が、この耐震偽装事件では緊急対策費用として直ちに80億円の補正予算を可決した。そして微々たるものとはいえ7棟の建替マンションに対して取壊費用や共用部の一部建築資金を助成し、或いは住民の仮住まい家賃や引っ越し費用の補助金として20億程度を拠出した。他にも銀行ローンの金利減免措置を講じたことなどは、国が確認制度の欠陥や検査機関の非の一部を認めたことに他ならなない。

 ヒューザー・小嶋氏に提訴された中田横浜市長がコペルニクス的馬鹿者と発言したが、建替えや耐震改修工事は姑息な助成や補助ではなく、小嶋氏が全戸無償で瑕疵担保責任を果たそうと139億円の国家賠償請求を提訴したことは動かしようのない事実。地動説を唱えた聖人を引合に出した横浜市長の意図は不明だが、耐震偽装事件の本質(制度の欠陥)と事件の対応(個人犯罪に矮小化)が地動説から500年後の現代において法治国家の体を成していないことの証左というべきである。

 マスコミの責任について。検察の「姉歯+建築会社+ヒューザーによる組織犯罪」というシナリオ通りにマスコミが動いたのは紛れもない事実だ。

 記者は事件が発覚してから取材を試みようとしたが、ある人から「(取材を)やめたほうがいい」という忠告を受けて書くのをやめた。取材を断念するのは忸怩たるものもあったが、所詮一業界紙の記者が徒手空拳で取材したところで大マスコミにはかなわないという諦念もあった。

 この日(8日)、元気な姿で登壇し、いつもの〝小嶋節〟をぶち上げたのに安堵したのだが、生々しい録音テープなどの事実を突きつけられて、国家権力に対する無力感、敗北感を記者も味わわせられた。当初は証拠資料にされなかった録音テープを聞けば、「組織犯罪」でないことは誰でもわかる。

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 小嶋氏は、自らの著作「擬装 『耐震偽装事件』ともうひとつの『国家権力による偽装』」(発行:金曜日)でもこの日の講演でも、杜撰な建築確認審査制度を厳しく批判している。その通りだと思う。記者も2度ほど取材しあきれ返ったことがある。

 一つは昭和50年代の後半だった。当時、敷地面積が100㎡以下のいわゆる「ミニ開発」が盛んにおこなわれ、自治体は対応に苦慮していた。確認申請業務を担当していたある区役所の担当者は、記者に対して「ミニ開発戸建てのほとんどは何らかの形で建築基準法に違反している」と言い切った。書類さえ整っていれば、そのまま建築確認は許可されるということを知った。

 もう一つは、市街化調整区域内で開発が許可される建基法第34条第1号(1号店舗)が埼玉県で大量に建設され、分譲されている実態を取材したときだ。昭和60年代の前半だった。1号店舗とは主に調整区域内に居住する居住者向けに衣類、食料品、家庭用雑貨、文具、書籍、新聞・雑誌、花・種苗などを販売する小売店のことで、他の都道府県では年間数えるほどしか建設されていなかったのに、同県では100戸単位で開発が許可されていた。これも書類が整っていれば許可されるという不思議な世界があった。

横浜傾斜マンション問題 どこも〝安全宣言〟を出せないのはなぜか(2015/11/13)

戸建てを越えたヒューザーのマンション(2004/8/30)

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 不動産流通研究所は7月8日、「住宅・不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識」を発刊した。

 住宅・不動産販売事業者や仲介事業者、賃貸住宅オーナーや管理会社が「ハザードマップ」を使い、取り扱う物件の購入者や入居者、地域住民を自然災害から守れるよう、ハザードマップの見方、説明の仕方などをイラストや画像などを多用し分かりやすく解説しているほか、ハザードマップを災害種別に分類・整理し、入手方法、情報の読み取り方などについて解説している。

 また、実務の現場で「ハザードマップ」をどのように活用していけばいいのか、そのポイントや注意点も盛り込んでいる。

 B5判、4色刷、68ページ。価格:定価900円(税別)。監修:東京大学大学院 工学系研究科 社会基盤学専攻教授・池内幸司氏、不動産鑑定士 ときそう代表取締役・吉野荘平氏。発行:不動産流通研究所。一部書店、ネット書店で販売。同社への購入申し込みは(電話03-3580-0791)、もしくはホームページ(https://shop.re-port.net)へ。

 

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 隠花植物か顕花植物か分からないが、都心部でどんどん増殖しているという「狭小住宅」について取材することにした。しかし、そもそも「狭小住宅」とは何かと考えたとたん行き詰まってしまった。定義などないからだ。ないものについて書くのは難しい。

 「住宅」そのものの定義だって怪しい。「人が住むための家」「すみか」(広辞苑など)くらいしか説明されていない。日本国憲法は「居住の自由」(第22条)「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(第25条)「住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利」(第35条)を謳ってはいるが、「住宅」そのものについての言及はない。

 建築基準法もしかり。居室の採光・開口部、天井の高さ(最低2.1m)などの規定はあるが、「住宅」とは何ぞやについて触れていない。都市計画法にも「住宅」の文言はしばしば登場するが、「住宅」の定義はない。

 頼みの国土交通省「住宅着工動向調査」には様々な調査項目があるにも関わらず、住宅の敷地の広さについてのデータはない。

 あるのは総務省の「住宅・土地統計調査」くらいだ。そこには「住宅」とは、「一戸建の住宅やアパートのように完全に区画された建物の一部で、一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができるように建築又は改造されたもの」と定義づけ、「完全に区画された」とはコンクリート壁や板壁などの固定的な仕切りで、同じ建物の他の部分と完全に遮断されている状態をいい、「一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができる」とは、①一つ以上の居住室②専用・共用の炊事用流し(台所)③専用・共用のトイレ④専用・共用の出入口を有しているものとしている。

 従って、ここでは「住宅」とは総務省の定義に基づいて記述することにするが、だからといって「住宅」とは何かという本質については全く迫れていない。わが国で「住宅」なる言葉がいつから用いられていたかも不明だ。白川静「字通」には、「住まい」は字鏡集で用いられていたとあるので、平安か室町時代ではそのような概念が漠としてあったと思われる。

 しかし、奈良時代には「墾田永年私財法」があったが、江戸時代までは農民・商人などは土地の所有権はなかったはずで、「居宅」「母屋」「小屋」「家督」「妾宅」「庵」「屋敷」「長屋」「借家」などの言葉からすると、「住宅」なる言葉が市民権を得たのはずっと最近のことかもしれない。

 岸田國士は昭和18年に発表した「力としての文化――若き人々へ」(河出書房)で次のように述べている。

 「元来、住宅などといふものは、最もその国の風土習慣を重んじなければならぬものであり、その建築は、いづれの点からみても、国民生活の特色を発揮し、時代の変遷に応じたその国の文化を如実に現すべき筈のものであります。従つて、厳密に云へば、文化住宅などといふ言葉は意味をなさないのでありますが、一歩譲つて、『文化』の最尖端を行く住宅建築のことを指すなら、それは第一に、民族興隆の意気と理想とを象徴するものでなければならないのであります。
 ところが、事実は、『文化住宅』といへば、概してもの欲しさうな和洋折衷の簡便主義、赤瓦青ペンキといふ風な植民地的享楽気分が土台になつてゐるのが普通であります。
 なるほど、『文化住宅』の設計者は、これこそ経済的条件のゆるす限り、合理的かつ趣味的要求を満たしたものと云ふかも知れません。時代の風潮といふものは恐ろしいもので、合理的とは簡便第一であり、趣味的とは伝統を忘れて感覚の刺戟を追ふことだつたのであります」(青空文庫より)

 そしてまた、先の敗戦までは「国民」は「朕(天皇)の臣民」であったわけだから、「住宅」が絶対的排他的所有権として定着したのは高々この80年くらいのことかもしれない。

 …などと書いてくると、全然前へ進めない。この前の藤原正彦先生の話と同じだ。言葉でもって言葉の定義づけをするとなると堂々巡りになり、迷路にはまり込むばかりだ。

 なので、もう「住宅」の定義はよして、本題の「狭小住宅」に移ることにするが、この「狭小」なる言葉もまた難物で、とらえどころがない。「小さくて小さい」と言われても、イソップの「蛙と牛」だ。時代によって人によってその大きさ・小ささの認識はまちまちだ。数値で計れないところがある。

 参考になるのは、各自治体が条例や指導要綱で定めている最低敷地面積だ。平成14年(2002年)の都市計画法改正によって、自治体は全ての用途地域域で敷地面積の最低限度の基準を面的に定めることが可能となり、これによって最低敷地面積を定める自治体が増えている。

 例えば、中野区は「建ぺい率40%の第一種低層住居専用地域の最低敷地面積は60m」とし、平成16年6月24日施行後、敷地分割により最低敷地面積の数値を下回る建築敷地は、建築確認申請が出来なくなった。

 足立区は、「足立区環境整備基準」で事業区域の面積が150㎡以上の場合、建ぺい率によって最低敷地面積を定めており、建ぺい率が60%で駅から500mの交通利便地域では66㎡、それ以外は70㎡以上とするよう定めている。

 他の区も同様に、葛飾区の「葛飾区宅地開発指導要綱」は、6区画以上の分譲住宅の場合で建ぺい率60%の地域では66㎡以上とすることを求め、墨田区の「墨田区良好な建築物と市街地の形成に関する指導要綱」は、宅地開発を行う事業者は原則として宅地の最低敷地面積を60㎡以上と定めている。

 断っておくが、記者はだからといって敷地が60㎡、あるいは66㎡未満の住宅を「狭小住宅」と呼ぶわけではない。この前も書いたが、一概に狭小住宅を「悪」と言えない市場(住宅は「幸せ」を売る商売であり、消費者が支持するものを「悪」と決めつけるのは難しい)が形成されているのも事実だ。

 だが、しかし、これらの住宅が面的に広がったらその住宅地の資産価値はどうなるのか、再利用の際にネックにならないかなどの問題は残る。

 この誰からも制約を受けない「居住の自由」と、社会的な富ともいうべき「居住環境」の両面からこの問題にアプローチすることにする。いったい、どこに行きつくのか記者もまったくわからない。まずは実態から調べることにした。

カテゴリ: 2019年度
 

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