三菱地所レジ 販売業務効率化に「2秒でブッカク!」導入/「2秒でケンガク」お願い
三菱地所レジデンスは12月18日、RENOSY X(リノシークロス)が提供する「2秒でブッカク!」を12月から本格導入したと発表した。
「2秒でブッカク!」は不動産売買に特化した業者間のやり取りをオンライン上で完結するSaaS型システムで、物件問い合わせを効率化し、テレワークでの対応もより容易にするもの。
三菱地所レジデンスは、リノベーション事業部で「2秒でブッカク!」を導入し、物件の販売業務の効率化を進め、RENOSY Xにシステムへのフィードバックを行うことで、RENOSY Xではシステムのアップデートや今後のシステム開発に役立て、不動産業界全体のDXへ貢献していく。
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現場取材が途絶え暇なのと、「2秒でブッカク!」に反応してコピペして書くことにしたのだが、いったい何を書いているのかさっぱり分からない。
〝ブッカク〟には〝ぶっかけうどん〟を連想したのだが、まさか三菱地所がうどん屋を始めるわけがなく、寺社仏閣と関係があるのかとも考えたが、これもすぐに否定した。〝物件確認〟のことであろうと結論づけるまでに1分以上かかった。
それでも物件確認の仕事がどのようなものであるのか見たことがないので、「2秒でブッカク!」の価値が分からない。業界関係者の方は分かるのだろうか。具体的に時間にしたら何時間とでもしてくれたら分かりいいと思うが。
さて、そこでマンションデベロッパーの皆さんにお願いだ。今年はコロナ禍で見学が激減した。ことごとく断られた。見るべきだった物件は数十件にのぼった。
見学の可否、許諾を得るためのメールのやり取りをしなくて済むように、各社が共同してメディア見学サイトを立ち上げていただきたい。名付けて「2秒でケンガク(見学)」。〝いつでも可〟〝〇日なら可〟〝メディア必見〟〝最高グレード〟〝破格の値段〟〝来場殺到〟…などで検索できるようにしたら販促にものすごく効果があると思うがどうだろう。
記者が物件見学をやめたらジャーナリストとしては死に等しい。
12月17日の都の新型コロナ感染者 過去最多の822人 各年代で記録更新
東京都の新型コロナ感染者は822人となり、前日に記録した過去最多の678人を1日で更新した。年代別では20代、80代、90代を除く各年代が過去最多となった。経路不明者は472人で、不明率は57.4%だった。
性別・年代別の過去最多は次の通り。( )内はこれまでの最多記録。
・10歳未満男女 23人(12月9日20人)
・10歳未満男性 13人(12月2日11人)
・10代男女 47人(12月5日23人)
・10代女性 23人(12月5日23人)
・20代女性 106人(12月16日92人)
・30代男女 171人(12月16日123人)
・30代男性 105人(7月31日98人)
・30代女性 64人(12月5日56人)
・40代男女 123人(12月10日111人)
・40代男性 75人(12月16日70人)
・40代女性 48人(11月19日43人)
・50代男女 113人(12月16日94人)
・60代男女 63人(11月28日50人)
・70代男女 43人(11月9日32人)
・90代男性 6人(12月9日6人)
旭化成ホームズ 子育て向け賃貸住宅「母力」 50冊の絵本 無償提供PJ開始
「母力えほん箱」の一例
旭化成ホームズは12月17日、同社グループの子育て世帯向けの賃貸住宅「へーベルメゾン 母力(BORIKI)」を対象に、お母さん大学や31出版社などの協力を得て、親子間や入居者同士のコミュニケーションの活発化を目的とした「母力えほん箱」プロジェクトを11月から開始したと発表した。
同プロジェクトは、「へーベルメゾン 母力(BORIKI)」の中庭倉庫に10冊の絵本が入った「母力えほん箱」を設置し、3か月ごとに巡回し、内容を更新することで、1年3か月をかけて50冊の絵本を入居者に届けるもの。
お母さんたちが厳選した絵本を通じて親子のふれあいや居住者コミュニケーションが活発化されることを目指す。読み終わった絵本の部分に好きなシールが貼れるようにもする。
えほん箱の情報は、お母さん大学が運営するコミュニティメディア「BORIKI新聞」や「BORIKI通信」でも紹介する。
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1年3カ月間で50冊もの絵本が無料で読めるなんて素晴らしい取り組みだ。記者が最初に「母力」を見学したのは、8年前の「へーベルメゾン母力むさしの」だった。
そのとき記事にも書いたのだが、「母力」はゴーリキーの「母」でもあり、「強力」も連想させたので、とても頼もしく思ったものだ。「お母さん業界新聞」も頂いて読んだ。とても内容の濃いものだった。10万部も発行されているようだ。協力する出版社も昔懐かしい名が揃っている。
子どもの人格形成には「母(国)語」が欠かせないのは言うまでもないことだ。
絶望的になる既存不適格建築物の「空き家」 国交省の調査結果に思う
国土交通省は12月16日、令和元年空き家所有者実態調査結果をまとめ発表した。
調査は、空き家に関する基礎資料とするため5年ごとに実施しているもので、今回は平成30年住宅・土地統計調査から無作為に抽出した約12,000件を対象に行い、有効回答があった約6,000件(回答率47.7%)の結果をまとめたもの。
結果のポイントは以下の通り。
(1) 空き家の5割超は腐朽・破損がある。別荘や貸家・売却用等以外の「その他」の空き家では、腐朽・破損がある割合が6割を超える。
(2) 空き家の約4割は、最寄りの鉄道駅から2,000m以上離れているが、貸家用の空き家の約半数は、鉄道駅から1,000m未満に立地。
(3) 所有世帯の約7割は、空き家まで1時間以内の場所に居住。貸家用やその他の空き家を所有している世帯は、比較的近くに居住している割合が大きく、1時間以内が8割を超える。
(4) 空き家の管理頻度は、「月に1回~数回」の割合が最も大きく約4割。二次的住宅・別荘用の空き家の利用頻度についても「月に1回~数回」の割合が最も大きく約4割。
(5)空き家を取得した際に、登記の名義変更や新たに登記を行った割合は約8割。
(6) 今後5年程度の利用意向は、「空き家にしておく」が約3割、「賃貸・売却」や「セカンドハウスなどとして利用」がそれぞれ約2割。
(7) 賃貸・売却の場合の課題は、「買い手・借り手の少なさ」「住宅の傷み」「設備や建具の古さ」の順になっている。
(8) 寄付・贈与の意向があるもののうち、一定の費用負担を伴っても寄付・贈与をしたい人の割合は、約4割であった。
(9) 空き家にしておく理由は、「物置として必要」「解体費用をかけたくない」「さら地にしても使い道がない」の順になっている。
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「空き家」は大きな社会問題になっているが、記者はテーマが大きすぎるので手におえず、現場取材も難しいので深入りしてこなかった。
先日のことだ。神楽坂に取材する機会があったので、「神楽坂ホン書き旅館」(2007年/新潮文庫)でも紹介された「和可菜」に寄ってみた。文庫が出版されたころはまだ営業されていたような気がするが、この日は明らかに「空き家」になっていた。前面道路の幅員は2mあるかどうかなので、前途を思うと悲しくなった。
このような4m道路未満のいわゆる既存不適格建築物の「空き家」がどれくらい存在するか分からないが、東京都23区でもっとも空き家が多いとされる豊島区の平成25年の調査では、住宅総数の15.8%の約3万戸の空き家のうち4m未満道路に接道するもの37.2%に上っている。
他の都市も同様だ。京都市東山区では幅員4m未満の道路に接する空き家割合は47.8%で、上京区(44.5%)、山科区(44.2%)、右京区(41.0%)なども4割を超える。
国交省の調査と併せ考えると絶望的になってくる。後段冒頭に「深入りしない」と書いたが、記事は両刃の剣だ。下手をすると空き家解消どころか地域崩壊を引き起こす危険性もある。添付した8年前の記事にはアクセスが殺到した。具体的な地名を出していたら袋叩きにあったのだろうと思うと今でも恐ろしくなる。
限りなく限界集落に近い郊外団地 人口4割減55歳以上の人口比率は48.7%(2012/7/27)
16日の都のコロナ感染者 過去最多の678人/感染経路調査に強制力持たすべき
12月16日の東京都の新型コロナ感染者は678人となり、これまで最多だった12月12日の621人を上回り過去最多となった。年代・性別では、10歳未満の女性、20代の女性、50代の男女、50代の女性がそれぞれ過去最多を更新した。経路不明者は400人で、不明率は59.0%と高い数値を示している。
過去最多となった年代・性別の数値は以下の通り。( )内はこれまでの最多。
・10歳未満女性 14人(12月2日の9人)
・20代女性 92人(12月12日の87人)
・50代男女 94人(11月20日の92人)
・50代女性 49人(11月28日の41人)
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感染者は週末に向かって増加する傾向にあるので、水曜日の段階で過去最多を記録したのが気になる。
記者は4月以降、毎日のように都のオープンデータから年代・性別感染者の数字をエクセルに落とし込んで推移を見守ってきた。
今回の第3波が第2波と異なるのは、第2波は20代30代の若年層の感染者が圧倒的に多かったのに対し、第3波は若年層だけでなく、年少者、中高年へも拡大していることだ。
その原因はGo Toトラベル・イートにあると思っているのだが、菅義偉首相など政府関係者は「移動とコロナ感染拡大は関係ない」と強弁してきた。
これを文字通り受け取れば、つまりGo Toを利用するため電車や飛行機に乗り、歩くだけでは感染しないということだろう。しかし、トラベルやイートは食べることも目的の一つだ。三密は避けられず、感染リスクが飛躍的に高まるのは誰でも分かることだ。Go Toの実施に当たっては利用者から位置情報の提供を受け、追跡調査を行うべきだったと思う。
もう一つ、残念でならないのは経路不明者がなかなか減らないことだ。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は第1波の段階でクラスター班の疲弊を訴えていたが、保健師の増強などは行われてこなかったような気がする。
政府が1,200人の保健師を確保したと発表したのは11月26日だった。この数値が多いのか少ないのかの判断材料はないが、1都道府県当たり約26人だ。(厚労省のデータによると平成30年度の保健師は52 955人、うち東京都は3 931人。令和元年の宅建士は32.6万人)
これと関連することだが、人口約1,945万人の米国ニューヨーク州には感染経路をたどる「トレース部隊」があり、「トレーサー」は3,000人もいると8月に報道された。平成28年の段階で都の保健師は3,931人というデータはあるが、「トレーサー」制度などはないはずだ。感染経路をたどる仕事は保健師の資格がなくてもできるはずだ。
経路不明率が下がらないのは、保健所などの調査に感染者の〝協力〟が得られないことも一因とされている。福岡県は、コロナ感染者に情報提供を義務付け、正当な理由なしに拒否した場合は5万円以下の過料を科す罰則付きの条例案をまとめたが、パブリックコメントで「私権の制限につながる」などの反対の声が寄せられたことから罰則事項は削除することになったようだ。(朝日新聞より)
個人情報の保護に関する法律は5月15日付で改正され、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合や、公衆衛生の向上のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるときも、個人情報取扱事業者は、本人の同意なく、個人データを目的外に利用し、又は国の機関を含む第三者に提供することができる」(同法第23条第1項第2号及び第3号)としている。
新型コロナ 感染経路不明率 東京都など6割超 マンパワー・IT能力不足露呈(2020/8/29)
大和ハウス 「女性が輝く先進企業表彰」で「内閣府特命担当大臣表彰」受賞
表彰式 後列、右から2人目が同社・芳井敬一社長
大和ハウス工業は12月16日、内閣府「女性が輝く先進企業表彰」で「内閣府特命担当大臣(男女共同参画)表彰」を受賞したと発表した。
受賞理由は、①女性の管理職数が、2016年86人から2020年160人とほぼ倍増②現場監督職に業界トップレベルである152名の女性技術者が従事しているなど、女性の少なかった職域へ積極的に配属を行っている③事務職として入社した女性社員についても社内公募やFA制度を活用し、今まで女性の少なかった顧客対応や営業系への職種転換によりキャリアパスを創出している④育児との両立支援では、労働時間の免除による支援からキャリア構築を促進するための支援へと大きく方針を転換。子どもが誕生した従業員に対して一時金100万円を支給する制度「次世代育成一時金」利用者は既に延べ1万人(支給額100億円)を突破している⑤ダイバーシティの状況を事業所単位で可視化するために、事業所毎の評価指標の中に「事業所ダイバーシティスコア」を導入-していることなど。
同社は、今後もSDGsの達成に向けて女性や障がい者、LGBT、シニアを含むダイバーシティ経営の強化に努めていくとしている。
他の受賞は次の通り。
【内閣総理大⾂表彰】
資生堂
【内閣府特命担当大臣(男女共同参画)表彰】
伊藤忠商事
三州製菓
田辺三菱製薬
社会福祉法人篤豊会
りそな銀行
三井不「移動商業店舗」PJを始動/国や自治体の道路・公園占用緩和措置利用すべき
「移動商業店舗」プロジェクト
三井不動産は12月15日、車両と店舗が一体となった「移動商業店舗」プロジェクトを始動させると発表した。
すでに2020年9月から、10業種11店舗の事業者とともに首都圏のマンション4か所と日本橋・福徳の森でトライアルイベントを実施している。
「THE TOYOSU TOWER」管理組合理事長・菅谷武史氏は「様々なお店がマンションの近くに来ることで、便利なサービスによる生活利便性の向上と、豊洲にはない新しいお店との出会いにつながり、共働き・子育て等で忙しい居住者の楽しみの1つになりそうです」とコメントを寄せている。
同社は「移動商業店舗」プロジェクトを通じて、自宅やオフィスなどの身近な場所でリアルな買物を気軽にできる体験と、思いがけない魅力的なコンテンツ(店舗)と出会える体験価値の創出に取り組み、将来的にはホテルなど様々な移動式サービスに広げていくとしている。
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いい取り組みだ。同じではないが、三菱地所は9月、新宿三丁目の所有地で「バスあいのり3丁目テラス」開業した。
記者はコロナ感染を避けるため徹底して「三密回避」を実践している。取材などで外出しても、コンビニでお握りと缶ビールを買って野外で食べるか、一番安全と思われるホテルを利用するようにしている。
国土交通省や東京都、各自治体も飲食店を支援するため道路や公園の臨時使用に関する緩和措置を取っている。
国交省は6月、新型コロナ拡大を受け、テイクアウト、テラス営業のための道路占用許可を緩和した。東京都は7月、飲食店などを支援するための緊急措置として、都立公園内での占用許可の基準を緩和した。このほか、世田谷区、杉並区、江戸川区なども独自の〝キッチンカー(移動販売車)〟を行っている。
ところが、記者が知らないだけかもしれないが、国交省の緩和措置を受けて営業している店舗など見たことがないし、キッチンカーも見たことがない。なぜなのか不思議でならない。せっかく国や自治体が支援に乗り出したのだからどんどん利用すべきだと思う。〝夜鳴きそば〟〝屋台ラーメン〟はなくなったのか。爆発的にヒットするのではないか。商店街ぐるみで取り組めば知恵もわくはずだ。
出店テナントの様子
築84年 都内に現存する唯一の木造見番建築物見学会 青木茂建築工房が設計監理
「港区立伝統文化交流館」
青木茂建築工房が設計監理を担当した港区の旧協働会館「港区立伝統文化交流館」の見学会が12月14日行われた。コロナ禍のため1回30名の来場制限を行ったにもかかわらず、15日と合わせ8サイクル全240名が全て満席となった。(写真★は記者、それ以外は交流館ホームページから)
施設は、JR田町駅から徒歩8分、港区芝浦1丁目に位置する木造2階建て(既存棟)RC造2階建て(増築棟)延べ床面積約550㎡。
昭和11年に建設された既存棟は、「目黒雅叙園」の棟梁である酒井久五郎が手がけた都内に現存する唯一の木造見番建造物(「見番(けんばん)」とは「置屋」「料亭」「待合」からなる「三業」を取りまとめ芸者の取次ぎや遊興費を精算する施設)。
正面玄関には銅板葺きの唐破風(からはふ)をつけ、檜舞台のある「百畳敷」の大広間、木製引戸の卍崩し、階段支柱の擬宝珠(ぎぼし)などの技巧が凝らされた優美な姿を留めている。
第二次世界大戦中に芝浦花柳界が疎開し、戦後は「協働会館」と名を変え港湾労働者の宿泊所として使用された。2階は日本舞踊の稽古場、集会のために貸し出されていた。
老朽化のため平成12年に閉鎖され、一時は解体が決まったが、平成21年に港区指定有形文化財に指定され、地域の請願を受けて2年に及ぶ改修工事を経て、伝統・文化を次世代へとつなぐ「港区立伝統文化交流館」として令和2年4月に開館した。
改修に当たっては、文化財的価値を保存するため曳家で約8m移動させ、新たな基礎・耐圧盤を整備し、さらに耐震性を担保する補強工事を施したうえ、公の施設として活用するため増築部分にエレベータ、トイレ、スロープなどを設置した。
誰でも自由に利用できる1階は、建物や地域の変遷が分かる展示室をはじめ情報コーナー、飲み物や軽食を提供する福祉喫茶を設けている。予約制の2階は様々な用途に使えるようになっている。
見学会に臨んだ青木氏は「文化財としての価値を損なわないよう再利用できるものは極力残した。補強壁などは違和感のないように工夫も凝らした」などと語った。
青木氏★
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写真をご覧いただきたい。外観は84年前に建設されたままなのだろう。内観は置屋、料亭そのものでないので絢爛豪華とは言い難いが、装飾を施したガラス戸、擬宝珠などに往時がしのばれる。芸者さんなどが稽古を行った檜舞台付き「百畳敷」は、最大天井高は3.1m(10.23尺、今のマンションはせいぜい2.45m=8尺)、間口は8.7m(4.785間)だった。
今は使用されていないが、昔のままの和式水洗トイレも見せてもらった。タンクに水を貯め、ひもを引っ張ると水が流れる立派なトイレだった。本来の「掃き出し窓」も見た。文字通り箒でごみを外に吐き出す小窓だった。
驚いたのは、内観はあきらかに補強したと思われる壁などが設置されているのに違和感は全くないことだった。
そのことを青木氏に話したら、「キーストーンと同じ。力が加わるところに補強を施すから違和感がなくなる。単なる装飾ではない」と話した。けだし名言。建築の魔術師はいうことが違う。
青木氏はまた、「私はこれまでも結構木造のリファイニングを手掛けてきた。寺の設計も行ったくらい。それにしても昔の大工は凄い。100畳の無柱空間を造り、曳家も日常的に行ってきた」と語った。
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記者はこの日、別の取材もあり、空いた2時間を渋谷東武ホテルの「勉強カフェ」で本を読んで過ごした。コーヒーなど飲みたい放題で、ホテル内の喫煙室も利用でき1,100円だった。
この「交流館」は、改装工事(本工事+エレベーター工事)に約4.5億円かけた価値はある。弁当などの持ち込みが可能で、コーヒーが150円、軽食も注文できる。「密」も回避できそうだ。お勧めしたい。
当時の洋式トイレ★
補強壁★
掃き出し★
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不快な臭い芬々 〝住みやすい〟街ランキング調査 無聊をかこつ記者のつぶやき
この前、どこかのテレビ局が、〝住みたい〟ではなく〝住みやすい〟街ランキングで「川口」がトップになったと報じた。
そのまま見過ごしてもよかったのだが、新型コロナの影響で現場取材が極端に減った分だけストレスがたまり、無聊をかこつ小生の胡乱な神経を刺激するものがあった。以下は暇に飽かせて調べた住みたい街やら住みやすい街についての小生なりの見解だ。もちろん人それぞれ。誰がどこに住もうが住みたいと考えようと勝手だ。それに異論をはさむ意図は全くないことを最初に断っておく。
この〝住みやすい街〟は、アルヒ(ARUHI)の「住みやすい街大賞」のことで、①住環境②交通利便性③教育環境④コストパフォーマンス⑤発展性の5つの項目について住宅評論家などが審査して発表しているものだ。
これによると2021年のベスト10は①川口②大泉学園③辻堂④有明テニスの森⑤大井町⑥たまプラーザ⑦小岩⑧花小金井⑨千葉ニュータウン中央⑩浦和美園の順だ。
前年2020年のベスト10は①川口②赤羽③たまプラーザ④柏の葉キャンパス⑤入谷⑥王子⑦武蔵小金井⑧小岩⑨ひばりが丘⑩東雲で、2019年は①赤羽②南阿佐ヶ谷③日暮里④川口⑤柏の葉⑥勝どき⑦南千住⑧千葉ニュータウン⑨小岩⑩矢向の順だ。
冒頭に書いたように〝そうなの〟と受け流してもいいのだが、川口、赤羽が選ばれるのになぜ浦和、大宮、所沢はないのか、浦和美園、矢向、辻堂、東雲などと同レベルの街は数百か所はあるのではないかという疑問が沸々と湧いてきた。一方で坪単価400万円もするたまプラーザが上位にランクされる…この選定の根拠がまったく理解できない。
また、この大賞にはシニア向けも紹介されており、2021年は①武蔵小山②南大沢③平塚がベスト3だ。
南大沢がシニア向けというのも不思議だ。ここには葬儀場も老人向け施設もあるが、坂も多くバリアフリーに問題がある。アウトレットパークもシニア向け商品は少ない。
わが街・多摩センターのほうが南大沢と比べたらポテンシャルははるかに勝ると小生は思う。駅前のスーパーはものすごく安いし、金がなくても散歩する公園などに事欠かない。とはいえ、シニア向けに選ばれたら猛反発する。判断するのは他ではない、消費者だからだ。
どうもこの大賞は、他のランキングに対抗するためか差別化を図るためか、あるいは選者の趣向の反映なのか判然としないが、恣意的というか政治的な不快な臭いが芬々とする。デベロッパーの影もちらほら見え隠れするといっては失礼か。どこそこのラーメン、餃子がおいしいなどというB級グルメ紹介サイトと同じかそれ以下だ。
これよりは、いわゆるMAJOR7の全国のマンション購入意向者約78万人を対象にした「住んでみたい街アンケート」のほうが〝王道〟を行くような気がする。あれやこれやの前提条件をつけずストレートに消費者に聞いているからだ(結果としてMAJOR7が分譲するエリアが上位にランクされることはあるが)。
その最新の第32回の結果はどうか。①恵比寿②目黒③吉祥寺④自由が丘⑤横浜⑥品川⑦中目黒⑧表参道⑨二子玉川⑩代々木上原がベスト10だ。以下、⑪広尾⑫四ツ谷⑬代官山⑭東京⑮麻布十番⑯豊洲⑰飯田橋⑱渋谷⑲青山一丁目⑳茗荷谷㉑たまプラーザ㉒池袋㉓荻窪㉔鎌倉㉕中野㉖みなとみらい㉗代々木㉘学芸大学㉙高輪ゲートウェイ㉚市ヶ谷㉛白金台㉜三鷹㉝新宿㉞三軒茶屋㉟新浦安㊱目白㊲浦和㊳田町㊴神楽坂㊵白金高輪がベスト40だ。
これと似たものでは、リクルート住まいカンパニーの関東圏に居住している20歳~49歳の7,000人を対象にした「SUUMO住みたい街ランキング」調査がある。
2020年では①横浜②恵比寿③吉祥寺④大宮⑤目黒⑥品川⑦新宿⑧池袋⑨中目黒⑩浦和がベスト10。以下、⑪渋谷⑫東京⑬鎌倉⑭中野⑮表参道⑯自由が丘⑰赤羽⑱二子玉川⑲さいたま新都心⑳武蔵小杉㉑船橋㉒北千住㉓立川㉔たまプラーザ㉕柏㉖川崎㉗海老名㉘荻窪㉙三軒茶屋㉚藤沢㉛千葉㉜桜木町㉝三鷹㉞上野㉟津田沼㊱秋葉原㊲舞浜㊳みなとみらい㊴つくば㊵青山一丁目がベスト40。
このほかのランキングも紹介する。長谷工アーベストはWEBアンケート形式の「住みたい街(駅)ランキング」を発表しており、今年の首都圏ランキングでは、①横浜②吉祥寺③大宮④浦和⑤立川⑥三鷹⑦恵比寿⑧品川⑨池袋⑩船橋の順でベスト10入りしている。
大東建託も「住みたい街(駅)ランキング」を発表している。①吉祥寺②横浜③恵比寿④みなとみらい⑤鎌倉⑥自由が丘⑦中目黒⑧新宿⑨大宮⑩池袋の順。
LIFULL HOME'Sは「買って住みたい街」ランキング。2020年のベスト10は①勝どき②恵比寿③三鷹④北浦和⑤東京⑥八王子⑦浦和⑧町田⑨二子玉川⑩大井町の順。
まだある。東洋経済新報社の「住みよさランキング」だ。安心度、利便性、快適性、富裕度の4項目20指標を全国の自治体ごとに数値化し、順位づけしているものだ。
2020年は①野々市市(石川)②文京区③武蔵野市がベスト3。ベスト10のうち6市が石川、福井県。首都圏では渋谷区が13位、21位に新宿区、23位に立川市、24位に台東区、29位に豊島区がランクされている。
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以上、様々なランキングを紹介した。東洋経済のランキングは調査指標に問題があるといいたいのだが、言い出したらきりがない。ここでは言わないことにする。ランキング全体で共通するのは、選ばれた街(駅圏)のマンション坪単価は一部の郊外を除き300万円を突破することくらいか。
注目したいのは東京だ。過去のランキングを調べていないが、少なくとも10年前までは20位にも入っていないはずだ。住む街として認識されていなかった「東京」を日本の中心地としての地位を不動のものにした三菱地所はさすがというべきか。
記者も懐具合や家族、仕事のことを考慮に入れず、住みたい街をあげるなら真っ先に東京駅を中心に日本橋、銀座を選び、その次に赤坂、青山、六本木、神楽坂、神保町、大森、三浦半島などを選択する。わが多摩センターは年寄りには結構つらい。
東京、日本橋、銀座は文句なし。どうして三菱地所は東京駅周辺でマンションを分譲しないのか不思議だ。坪3,000万円でも安いと思う。神保町は本好きにはたまらない街だし、大森は「馬込文士村」を散歩したいからだし、三浦半島は海が好きだから選ぶ。
吉祥寺は選ばない。いいのは井の頭公園周辺だけで雑多な街だ。自由が丘は何度行ってもよく分からない街だ。
〝穴場〟などはないが、強いてあげるなら、どこのランキングにも一駅も選ばれておらず、割り負け感が著しいわが京王線と東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)、京急線だ。
京王線は2022年度の完成を目指し、笹塚駅-仙川駅間の道路と鉄道との連続立体交差事業を行っている。25か所の踏切をなくし、この間の7駅は高架駅となる。そうなれば一挙に利便性が高まる。
東武スカイツリーラインはとっくに複々線化がされており、日比谷線、千代田線、つくばエクスプレスとの接続もされている。遅延がもっとも少ない沿線の一つだ。
山がちの海岸線を走る京急線は、車窓からの光景が目まぐるしく変わりすっかり遠足気分にしてくれるのがいい。真夏に制服姿の青臭い防衛大の学生に出会うと性的興奮を覚えるし、せわしなく行き交う船が止まって見える観音崎ホテルからの眺望は全てを忘れさせてくれる。
JRと並行して走っているためか、負けてなるかと予定時刻より早く着きすぎて国交省から目玉を食らったというのもほほえましいではないか。
成長が見込める街(駅)では京葉線南船橋をあげたい。穴中の穴はここだ。いま三井不動産レジデンシャルが駅前でマンションを分譲しているが、坪単価は204万円だ。東京駅まで約30分。これほど安いエリアはまずない。
隣接する駅前の市有地約45,242㎡の再開発計画も決まった。三井不動産グループが商業、物販、飲食、サービス、公園のほかマンションも建設する。ここも劇的に変わるはずだ。
もう一つ。記者は街(駅)のポテンシャルを左右するのは①ホテル②デパート③緑環境、歴史・文化を感じさせる施設の3つだと考えている。ホテルは冠婚葬祭機能を備えたもので、デパートは最近流行らないので大型商業施設に置き換えてもいい。緑環境は街路樹や公園など、歴史・文化施設はコンサートホールなどだ。
この3つを満たす街(駅)は、山手線ターミナルなどを除くと意外と少ない。東京都は立川、八王子、神奈川県は横浜、みなとみらい、川崎くらいで、埼玉県と千葉県は皆無だ。(わが多摩センターはかつてこれを満たしていた)
まだまだ書きたいことはあるが、この辺でやめておく。言いたいのは〝住めば都〟だ。消費者の方々は雑音に惑わされず賢明な選択をしてほしいということだ。
過去最多の都の新型コロナ感染者 第1波-第2波-第3波でどう変わったか
東京都の新型コロナ感染拡大が止まらない。12月10日は602人となり、これまで最多だった12月5日の584人を上回る過去最多を記録した。感染経路不明者も62.3%と6割を超えた。
年代別・性別では、40代男性が77人となり、11月21日の69人を上回る過去最多となったほか、30代男性の85人、50代男性の54人も2番目の多さとなった。70歳以上の感染者は63人で10.5%となっている。
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新型コロナ感染者は東京都だけでなく全国でも過去最多水準で推移していることから、Go Toトラベルなどキャンペーンとの関連性が取りざたされているが、キャンペーン以前でも東京都の経路不明者は50%を超えており、そもそも政府はキャンペーン利用者を追跡調査などしていない。因果関係が不明になるのは素人でも分かることだ。
それでも何らかの手掛かりがつかめないか。記者は緊急事態宣言前の3月31日までの第1派521人、第2波の真っ盛りの8月7日の461人、そして12月10日の602人の都の感染者のデータを比較してみた。
別表・グラフがそれだ。これによると、第1波では20代から70代まで感染者は幅広く分布しているのが分かる。60台以上は171人で、全体の32.8%を占めた。
第2波は、緊急事態宣言の効果か、感染者の属性が大きく変化した。8月7日は20代と30代が突出しており、全体の感染者の65.9%を占めている。60代以上は36人で7.8%にとどまっている。7~10月は若年層が感染者の半数を占めるというこの傾向が続いた。
そして今回。何よりも絶対数が増加し、第1波と同じように各年代への広がりが顕著だ。60代以上は103人、比率も17.1%となり、第2波の3倍近くに増加している。
このように第1波-第2波-第3波(と呼べるのか)は似ているところもあれば全く異なるとも受け取れる。Go Toキャンペーンとの関連性は分からない。〝見えない敵〟に立ち向かうためにはデータは少なすぎる。