〝ルネ〟最高峰で初の〝ルネタワー〟総合地所・JR東日本都市開発「八王子」
「ルネタワー八王子」
総合地所は8月27日、同社初の「ルネタワー」を冠した超高層マンション「ルネタワー八王子」のメデイア向け見学会を実施し、8月30日から一般向け事前内覧会を開始すると発表した。免震・長期優良住宅認定を取得する予定で、全住戸の3割以上が80㎡以上となりそうで、商品企画が秀逸。来場者がどのような反応を示すか興味津々。販売開始は11月の予定。
物件は、JR八王子駅から徒歩5分、京王線京王八王子駅から徒歩11分、八王子市寺町の商業地域に位置する32階建て全499戸(販売対象479戸)。専有面積は30.68~127.15㎡、予定価格は1LDK(30㎡台)が3,000万円台~、2LDK(50㎡台)が5,000万円円台~、3LDK(70㎡以上)が7,000万円台~。着工は2024年11月、竣工予定は2028年2月上旬。売主は同社のほかジェイアール東日本都市開発(事業比率は非公表)。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
現地は、ジェイアール東日本八王子支社跡地。敷地南側は中央線の線路。建物は免震構造・内廊下方式を採用。外観は桑都(そうと)と呼ばれていた八王子の歴史を表現するため、頭頂部にはティアラを配し、絹の縦糸と横糸をイメージしたデザインとしている。首都圏の長期優良住宅認定+階高30階以上としては0.3%(16物件)。13階以上の標準階住戸16戸のうち12戸は70㎡以上のワイドスパンで、妻住戸の114戸は9050mm×8900mmのスクエアプラン。
主な基本性能・設備仕様は免震構造、長期優良住宅認定、ZEH-M Oriented認定、二重床・二重天井、二重サッシ(線路に面した南側のみで内側は樹脂サッシ)、リビング天井高2600ミリ(31・32階のプレミアム住戸は2750ミリ)、ディスポーザー、食洗機(1LDK除く)、バックカウンター(一部除く)、浴室タオル掛け2か所などのほか、共用施設はパーティルーム、ワーキングラウンジ、防音室、スカイラウンジ、ゲストルーム、喫煙スペースなど。管理組合は理事会を設けない外部管理者方式を採用する。管理費の支払いなどはビューカードが利用できる。
6月下旬から物件ホームページを立ち上げ、これまでの反響数は約800件、モデルルーム見学予約数は約150件。うち約50%が市内居住者。
エントランスアプローチ
エントランスラウンジ
パーティールーム
ワーキングラウンジ
スカイラウンジ
防音室
リビングダイニング
120㎡モデルルーム
120㎡モデルルーム
120㎡モデルルーム
◇ ◆ ◇
物件概要や特徴などについて〝ルネタワー〟は同社初と担当者は説明したが、耳が遠くなった記者は〝夢タワー〟と聞こえた。伝統ある〝ルネ〟を〝夢〟に変更するのもありではないかと受け取った。物件ホームページやシアターのキャッチコピーを〝人生を、美しくするタワー。〟としているように、相当力が入った物件だ。共用部に喫煙コーナーを設けたマンションはそうない(三井不動産レジデンシャル「東雲」がそうだ)。
この日(27日)は、午前中に常磐線・千代田線金町駅圏の三菱地所・三菱地所レジデンス・三井不動産レジデンシャルの再開発商業施設の見学会があり、マンションも予定されているので、東京都の東の外れの金町と西の外れの八王子のマンションのどちらが高く売れるかを考えた。金町の概要は未定だが、来年に着工する予定で、単価は坪400万円を突破すると予想した。八王子は、東京駅を起点にすると金町より遠いが、街のポテンシャルは金町より高い(と思う)ので、当然坪400万円を超えると予想した。
ところが、見学会で配布された資料からすると、坪単価は400万円を超えるかどうかは微妙だ。同社は単価については触れてほしくないようなので、これ以上書かないが、同社の前身「安宅地所」時代を含めて40年以上〝ルネ〟を見てきた記者は、今回の物件は〝ルネ〟の最高峰だと思う(安宅地所を知っている社員はほとんどいないのではないか)。
モデルルームはよくできている。約80㎡はスクエアなのがいいし、約120㎡はオールオプションだが、デザインは白が基調で建具・家具にアール形状を多用しているのが目を引いた。とても美しい。外観デザインは絹織物を表現するため、縦糸と横糸をイメージしたルーバーを多用し、微細なデザインを施している。
安すぎないか中心市街地の一角で坪単価160万円大成有楽不「八王子」(2020/7/14)
〝タワマンに負けない〟商品企画光る明和地所「クリオレジダンス八王子」(2017/12/11)
〝一級品〟の住友不動産の再開発タワーマンション「サザンスカイタワーレジデンス」(2009/8/25)
長野駅近くで最大級のマンション267戸 うち24戸が億ション 東京建物・穴吹興産
「Brillia(ブリリア)長野北石堂ALPHA RESIDENCIA」
東京建物(事業比率60%)と穴吹興産(同40%)は8月21日、長野市では過去最大規模となる、商業施設「ショッピングプラザagain(アゲイン)」の跡地に建設中の分譲マンション「Brillia(ブリリア)長野北石堂ALPHA RESIDENCIA」(全267戸)の報道陣向けプロジェクト説明会・モデルルーム内覧会を行った。坪単価は公表されなかったが、270~280万円台になる模様で、上層階2層のプレミアム住戸24戸は100㎡超で全て億ションとなる。
物件は、JR北陸新幹線長野駅から徒歩5分、長野市大字南長野字石堂町並の商業地域に位置する敷地面積約4,423㎡、15階建て全267戸(販売戸数255戸、募集対象外住戸12戸)。専有面積は50㎡台~160㎡台、予定価格は2LDKが3,000万円台~、3LDKが4,000万円台~、4LDKが7,000万円台~。着工は2025年1月、竣工は2027年5月上旬の予定。設計は企画社、施工は北野建設。販売開始は2025年11月上旬の予定。
現地は、長野駅から善光寺に続くメインストリート「善光寺表参道」沿いに位置する、1998年から2022年に閉館するまで24年間営業してきた「ショッピングプラザagain」の跡地。東京建物は長野県初進出、穴吹興産はこれまで県内で7棟327戸の供給実績がある。
外観デザインは、北信五岳をはじめとする長野の雄大な山々の景色と、仏閣や長野駅善光寺口に見られる格子や列柱を建物のファサード全体へと展開し、「善光寺表参道」沿いの基壇部の軒天は木目調とするほか、共用部にはオリジナルのアートや長野県産材の栗などを活用した家具を設置する予定。
建物は南向き:東向きがほぼ6:4の比率で、プランは2~13階は70㎡台の3LDKを中心に50㎡台~90㎡台で、14階・15階(最上階)は全住戸100㎡超のプレミアムフロア。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、直床、リビング天井高は3~11階が2450ミリ、12~13階が2500ミリ、14~15階が2600ミリ、食洗機、ディスポーザー、タオル掛け2か所など。共用施設としてワーキングラウンジ、パーティルーム、ゲストルームなど。
問い合わせ状況は、2025年4月22日から受付を開始してから1,000件超、モデルルーム来場予約は300件弱。顧客属性は、長野県内居住者が約半数、次いで都内居住者が約3割、年齢は30代~60代と幅広く、職業は会社員が約半数、そのほか会社役員、経営者、医師など。地域からUターンを見越した需要も一定数あり、全体の約8彫が長野に地縁を持つ人。
アプローチ
エントランス
モデルルーム
◇ ◆ ◇
わが故郷・三重県の次に好きな都県は高知県と長野県だ。高知県は大好きな作家・宮尾登美子さんのほか多くの作家を輩出している。また、記者の名前を冠した名酒・司牡丹もある。長野県は、不世出の作家・丸山健二氏の出身県でもあり、丸山氏は現在も県内に住んでいる。ノーベル文学賞クラスだと思うのだが、三跪九叩頭の礼を尽くしても丸山氏は固辞するだろうし、第一あの美しい大和言葉を翻訳できる人などいないのが残念だ。敬愛してやまない百瀬恵夫・明大名誉教授も長野県出身だ。
取材後、街を歩いたが課題もある。街路樹・緑が貧弱だったのは気になった。AIによると、長野市の緑被率は都市計画区域全体では58%、市街化区域内では19%とある。東京23区の緑被率は約18.5%だ。行政も市民もこれは考えないといけない。
蕎麦(取材を終えて山菜のてんぷらを食べようと思って入ったら、間違えて蕎麦屋に入ってしまった。蕎麦は好きではない)がどうして伊勢うどんの倍以上の値段なのかも理解できない。あのズルズルというはしたない音はやめたほうがいい。長野は丸山健二氏とイワナの骨酒と野沢菜だけでいい。
中越・北陸の大規模マンションは2022年に見学した野村不動産他「ブリリアタワー金沢」(287戸)以来だ。同じ規模、同じ階高だが、確か「金沢」の工期は2年くらいだったはずだ。今回は2年半。これもまた価格を押し上げている要因の一つだ。億ションが24戸もあるのにびっくりした(それ以上の可能性もある)。販売のネックにはならないのか。人口は約37万人。大丈夫か。
坪単価は公表されなかったが、記者は事前に坪単価250万円以下はありえず、かといって坪300万円は無理で、その中間くらいかとはじいたが、その通りになるはずだ。これは、販売担当者へのアドバイスだ。長野県人で県歌を歌えない人は皆無だと聞いている。接遇の際に、このことを知っていなければまとまるものもまとまらない。逆に、故郷を離れで首都圏に住む来場者に県歌を歌ってやったら、感激して購入に至るのではないか。
長野駅西口
長野駅東口
「善光寺表参道」(街路樹は菩提樹か)
現地
単価の安さに驚愕立地よく設備仕様レベル高い駅圏最大級の野村不他「金沢」287戸(2022/7/30)
分譲戸建て工事額・坪単価・広さ長野県が1位平成30年度国交省住宅着工統計から(2019/6/26)
高額住戸の成約件数激増 価格2億円超は坪1,240万円(在庫) 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は8月15日、年報マーケットウォッチ2024年・年度を発表した。中古マンション市場は二極化が進行していることを裏付けるように、1億円以上の高額住戸の成約件数が激増しており、価格が2億円以上の在庫物件の坪単価は1,240万円に達している。注目すべきいくつかのデータを紹介する。
坪単価は2013年に133万円(前年比4.7%増)となった以降上昇の一途で、2024年は254万円となり、2013年比で92.4%上昇している。
2013年といえば、その前年末に衆院選が行われ、与党の民主党が大敗し、自公連立政権に移行し、安倍政権が打ち出した金融緩和、財政出動、成長戦略の「3本の矢」を柱とした「アベノミクス」が本格始動した年だ。デフレ脱却への期待感が高まり、株価とともに新築マンションも好調に推移した。首都圏供給量は56,478戸(前年比23.8%増)となり、坪単価も230万円(同8.1%増)となった。
その後、供給量は漸減し、2024年の供給量は23,000戸(同14.4%減)で、坪単価は388万円(同4.0%減)となった。供給量が1973 年以降で最少になったのは、着工戸数に対するカバー率が45.1%と5割を割り、中でも価格水準が高い東京都と神奈川県は3割台にとどまったためで、坪単価も前年比で下落したのもその影響だ。供給減少=市場縮小と考えるのは市場を見誤ることにつながる(記事参照)。
新築マンションと中古マンションの坪単価の2013年比上昇率はそれぞれ68.7%、90.9%であるのも、カバー率の大幅な低下によると考えられる。
中古マンション市場も二極化が進行していると記事にしたが、都心3区(千代田区・中央区・港区)の2024年度の成約件数は2,715件(全体に占める割合は6.8%)で、坪単価は650万円(首都圏平均は258万円)、成約価格は12,536万円(同4,939万円)、専有面積は57.20㎡(同63.27㎡)、取扱高は3,045億円(首都圏全体は19,625億円)に注目したい。件数的にはわずか6.8%でしかないのに、首都圏全体の取扱高に占める割合は実に15.5%に達している。ちなみに、首都圏の市でもっとも坪単価が低いのは千葉県館山市の16万円で、以下、千葉県東金市30万円、埼玉県行田市38万円、埼玉県北本市39万円の順。
二極化とも関連するが、価格が1億円以上の成約件数は2014年が282件(うち都内275件)、全体に占める割合は0.8%なのに対し、2024年は3,246件(同3,008件)、全体に占める割合は8.2%に増加している。特に2億円以上の成約単価は1,011万円(在庫単価は1,240万円)になっている。(記者は都心の一等地の新築は軒並み坪単価2,000~3,000万円になると見ている)
中古マンション・戸建て 7月も成約件数は大幅増加東日本レインズ(2025/8/15)
中古マンション市場も二極化都心と郊外は雲泥の差東日本レインズデータから(2025/7/12)
令和6年度首都圏マンション着工に対する不動研の戸数カバー率41.5%(2025/5/1)
中古マンション・戸建て 7月も成約件数は大幅増加 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は8月12日、2025年7月の首都圏不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,979件(前年同月比24.6%増)となり9か月連続増加、坪単価は282.05万円(同8.2%増)となり20年5月から63か月連続の上昇、成約価格は5,303万円(同5.0%増)となり9か月連続で上昇、専有面積は62.05㎡(同3.0%減)となった。在庫件数は、前年同月比プラス 0.4%とほぼ横ばいながら24年4月以来15か月ぶりに増加した。
中古戸建の成約件数は1,771件(前年同月比42.1%増)となり9か月連続で増加、成約価格は3,911万円(同0.3%増)となり2か月ぶりに上昇。土地面積は151.10㎡(同7.7%増)、建物面積は104.40㎡(同0.7%増)となった。在庫件数は、前年同月比プラス7.7%で22年9月から35か月連続で増加した。
隈研吾氏が設計監修 東通グループ ハイグレード賃貸「TOTSU PREMIUM」第一弾
「TOTSU PREMIUM 白金台二丁目(仮)」
東通グループは7月31日、ハイグレード賃貸マンション「TOTSU PREMIUM」シリーズ第一弾となる白金台の二丁目のプロジェクト「TOTSU PREMIUM 白金台二丁目(仮)」の設計監修を建築家・隈研吾氏が手掛けると発表した。
物件は、港区白金台二丁目に位置する敷地面積約614㎡、5階建て全8戸。着工予定は2025年11月28日、竣工予定は2028年1月28日。企画コンサルティングはケン・コーポレーション。
隈研吾氏は、「日本有数の幹線に徒歩で接続する白金台は、かつての上品な高級住宅地という枠を超え、新たな価値を帯びる街へと変化しつつある。斜面地に沿った閑静な住宅地の趣を継承し、前面道路に向けて植栽と石垣を設けることで、都市の中に森のような風景を創出する。各階に石垣・緑・空を感じられるデザインとしつつ、周囲のキャンパスや住宅地、文化財との景観的調和を図るため、ルーバーを用いて建物のボリューム感を繊細に分節することを目指した」とコメントしている。
同社はこれまで、スタンダードな賃貸物件シリーズ「THE TOTSU」を展開してきたが、今回の「TOTSU PREMIUM」は、東京の一等地で“上質な暮らし”の“賃貸”という選択ができる高級レジデンス。
期間72年の定借 伊藤忠都市開発「クレヴィア練馬」気になる京王線との差
「クレヴィア練馬レジデンス」
伊藤忠都市開発・フジ都市開発が9月に分譲する「クレヴィア練馬レジデンス」のコンセプトルームを見学した。期間72年の定期借地権付きで、坪単価は450万円くらいになる模様。高いか安いかよくわからないが、販売担当者によると、定借というのは販売のネックにはならず、21坪強(70㎡)でグロス8,000万円を超えてくるのがカギとなりそうだ。
物件は、西武線練馬駅から徒歩10分(中村橋駅から徒歩9分)・都営大江戸線練馬駅から徒歩12分、練馬区中村北2丁目に位置する期間72年の定期借地権付き全83戸。9月分譲予定の第1期1次(戸数未定)の専有面積は44.88〜82.73㎡、予定価格は5,700万円台〜13,900万円台(最多価格帯9,000万円台)。竣工予定は2026年11月下旬。設計・監理は日企設計。施工は木内建設。売主は同社のほか販売代理は伊藤忠ハウジング。
3月下旬からエントリーを開始しており、これまでの反響数は630件、コンセプトルーム来場者は70件。
現地は、練馬駅から続く商店街と千川通りの桜並木を抜けた、スーパーマーケット「LIFE」の隣接地。従前は駐車場。練馬駅と中村橋駅、それと大江戸線練馬駅が利用できるのがセールスポイントの一つ。建物は南向き・東向きの2棟構成。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、フィオレストーンキッチン天板、ディスポーザー、食洗器などのほか、全戸のリビング・ダイニング・キッチンの天井(一部)には、吸音・消臭・調湿性能を併せ持つ天井材「クリアトーン12SⅡ」を採用している。
エントランス(左)と中庭
◇ ◆ ◇
読者の皆さんは、坪単価を測るとき、どこを起点に考えられるか。おそらく交通利便性を重視して、(誰にとってかは不問にして)東京駅を考える人が大半を占め、あとはターミナル駅や浦和、横浜、千葉などの県都が続くのだろう。現在の単価地図を見ると、武蔵小杉が湾岸エリアと同等の評価を得ている例外はあるが、ほぼその通りになっているはずだ。
さて、練馬駅はどうか。記者は京王線に住んでいるので、新宿を中心に考える。乗換案内で検索すると都営大江戸線で新宿駅から17分だ。坪単価が600万円を超える石神井公園は、新宿駅からだと池袋経由で30分前後だ。池袋駅を中心に考えると、練馬は8~12分、石神井公園は9~13分だ。
生活利便施設の集積、街のポテンシャルなど総合的に判断すると、練馬駅より石神井公園駅を上位にあげる人が上回るかもしれないが(やはり公園の存在が大きい)、記者は互角の評価をする。練馬駅前に「ココネリ(Coconeri)」はあるし、区役所もある。
だから、わが京王線の笹塚の坪900万円、調布の坪500万円からして、西武池袋線の単価は高いような気がしないわけではないが、こんなもんだろうと思った。
ただ、価格が高いか安いかは、マンション購入検討者が考えることだからこれ以上は書かない。設備仕様レベルは水準以上だ。
インブルームと共同で開発した新たな洗面空間「MOTリネン」もギャラリーに展示されている。洗濯物を乾燥機から取り出してその場で畳んで、その場で収納でき、リネン庫の収納力を大幅に向上させたことに加え、様々な使い方ができるカウンターを備えており、吊戸棚、縦型収納、引き出し、ハンガーパイプなど様々な形状の収納スペースを備えているスグレモノだ。(この物件には装備されていない)
練馬駅圏では3年前に分譲されたモリモト「ピアース練馬レジデンス」(76戸)が坪440万円だったそうだ。
伊藤忠都市開発の定借マンションとしては、平成17年竣工の第一号の「タンタタウン」(678戸)以来、今回が5物件目だ。「タンタタウン」は首都圏で初めて長期の期間70年を設定した物件で、来場者は実に8,000件に達した。
「MOTリネン」
天王洲駅圏で定借と所有権付きツインの全449戸 総合地所など4社共同
「ブランズシティ品川ルネ キャナル」(左)と「ブランズシティ品川テラス」
総合地所、東急不動産、よみうりランド、長谷工コーポレーションは7月29日、東京海洋大学の敷地内にある期間70年の定期借地権付き「ブランズシティ品川テラス」と、その対面に位置する報知新聞本社跡地の所有権付き「ブランズシティ品川ルネ キャナル」の共同マンションギャラリーを設け、販売面で連携すると発表した。双方で449戸の大規模ツインマンション。
「ブランズシティ品川テラス」は、東京モノレール天王洲アイル駅から徒歩6分・JR品川駅から徒歩13分、港区港南四丁目に位置する敷地面積約4,000㎡の期間70年の定期借地権付き、14階建て全216 戸。専有面積は61.67~80.57㎡、価格は未定。竣工予定は2026年11月。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト、東急リバブル。販売開始は9月上旬の予定。
外観デザインテーマは「VOYAGE」で、2層吹き抜けのエントランスホール、吹き抜け空間上部には「水の流れや海面のウェーブ」をイメージしたフリンジアートを吊り、間接照明によって柔らかく室内空間を包み込む演出を施している。屋上緑化やZEH Oriented・低炭素建築物認定取得、太陽光パネル、ラウンジ、ワークスペース、冷凍冷蔵宅配ボックス、長谷工グループの可動収納ユニット「ウゴクロ」や「家事ラク動線」を導入している。
ラウンジ
「ブランズシティ品川ルネキャナル」は、東京モノレール天王洲アイル駅から徒歩6分、JR品川駅から徒歩14分、港区港南四丁目に位置する敷地面積約4,103㎡の19階建て全233戸。現在先着順で分譲中の住戸(4戸)の専有面積は56.33~61.85㎡、価格は12,900万~13,390万円。竣工予定は2026年10月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
ZEH-M Oriented、ABINC認証を取得。開放的な運河沿いに面した立地を活かし、1LDK+S〜4LDKまで多様な間取りを用意。多目的ラウンジ・ワークラウンジ・ランドリーカフェ、鳥の巣箱やバードバス、エコスタックを設置。「ウゴクロ」や無勾配排水工法「サイホン排水システム」、「フラットスラブ二重床」を採用。災害対策として雨水を貯水し、日常の植栽への水やりに利用しながら、非常時の飲料水を確保する「スマート・ウォーター・タンク」、非常用飲料水生成装置「WELLUP」を用意。災害による断水時には居住者の飲料水約6日間分(一人1日当たり約3L)を供給できる。
イメージ図
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現地は、マンションの取材で何度も通ったところだ。リリースには、「品川テラス」は東京海洋大学の敷地内にあるというので定期借地権付きで、「品川ルネ」は報知新聞の本社跡地にあるので「よみうりランド」が売主に入っているのに納得した。〝ルネ〟が前者には付いていないのは事業比率が異なるからか。
定借と所有権付きのツインマンションはおそらく業界初で、検討者はどちらを選択するか、とても興味深い。敷地は別々だから管理組合も別々のはずで、それぞれの共用施設は双方がつかえるのかどうか。
リリースを読んだ限りでは、設備仕様レベルが高く、価格は割安感がありそうだ。
マンション円滑化法 容積緩和の適用第一号 旭化成不レジ「千歳烏山」販売好調
「アトラスシティ千歳烏山グランスイート杜ノ棟」
旭化成不動産レジデンスは7月23日、全国初となるマンション建替え円滑化法第105条に基づく容積率緩和を受けた「アトラスシティ千歳烏山グランスイート」が完成したのに伴う記者内覧会を実施。同社開発第二事業本部マンション建替営業部長・島寛治氏、同社マンション建替え研究所所長・重水丈人氏、同社開発第二事業本部マンション建替営業部課長・酒井厚氏、同社開発第一事業本部・永谷摩鈴氏らが参加し、高経年マンションの建て替え問題に一石を投じるプロジェクトになることを強調した。この日は気温が35度を超える猛暑日となったが、20人超のメディアが駆けつけるなど、関心の高さがうかがえた。価格(坪単価450万円)は決して安くはないが、残りはわずかで好調な売れ行きを見せている。
物件は、京王線千歳烏山駅から徒歩9分・仙川駅から徒歩14分、世田谷区給田三丁目の第一種低層住居専用地域※(建ぺい率50%前後、容積率140%前後)に位置する敷地面積約13,247㎡、4階建て「風ノ棟」121戸(非分譲住戸48戸含む)と4階建て「杜ノ棟」127戸(同56戸含む)の全248戸(同124戸含む)。専有面積は39.60~90.98㎡(従前は50.25~57.53㎡)。7月下旬に販売予定の「風ノ棟」最終期(2戸)の専有面積は70.83・71.18㎡、予定価格は8,600万円台・9,000万円台。先着順で分譲中の「杜ノ棟」の住戸(2戸)の専有面積は64.23・69.58㎡、価格は8,980万円・9,198万円。竣工予定は2025年7月末。売主は同社のほか丸紅都市開発。設計・監理はNEXT ARCHITECT &ASSOCIATES。施工は大末建設。
※このほか「杜ノ棟」の敷地の一部は第1種住居地域に位置するが、大半は1低層
販売開始は2024年2月。これまで未分譲2戸を含み残戸数は4戸のみ。購入者は30代を中心とするファミリー層。従前マンション区分所有者の再取得予定は約61%の104戸。
プロジェクトは、1971年竣工の東京都住宅公社の7階建て2棟「給田北住宅」(171戸)の建て替え事業。2011年の東日本震災によるひび割れなどの被害を受け、2012年に耐震診断を受けた結果、耐震基準を満たしておらず、設備インフラの老朽化、間取りの陳腐化などの課題があることから2016年に「再生推進決議」がなされ、2017年に事業協力者を募集し、2018年に応募があった3グループの中から同社と丸紅都市開発が選定され、2021年、団地の一括建て替えが決議され、2022年建て替え組合設立、2023年7月に工事着手された。工期は2年。
建て替え決議は、所有者167人に対し賛成151人、非賛成16で可決。区分所有法第63条の催告により14人が建て替えに参加、2人は売渡請求権を行使した。
内覧会に出席した島氏らは、建物が竣工してから高さ規制10mの第一種低層住居専用地域に用途指定され、既存不適格建築物になり、耐震不足、居住者の高齢化(多くは分譲開始時からの入居者)、コロナ禍、資材費・人件費高騰、アスベストの除去、不成形な敷地条件への対応、近隣住民への説明などに苦労したこと、敷地内貫通道路を設置することで建物の高さ規制が10mから12mに緩和され、2014年のマンション建替円滑化法改正による「容積率緩和」措置(全国で15件の申請のうち同社は5件)により指定容積率が100%から137~139%になったことが事業化につながったことを強調した。
鳥瞰図
「アトラスシティ千歳烏山グランスイート杜ノ棟」
「給田北住宅」
中庭
中庭
中庭(中庭と屋上にはハーブがたくさん植えられている)
◇ ◆ ◇
このマンションについては昨年5月に取材しているので、その記事を参照していただきたい。基本性能・設備仕様については省略するが、今回の取材では、東京都の「マンション環境性能表示」で満点の★5つを取得しているのは15物件しかなく、とくに「みどり」とデザインの出来栄えを重視して見て回った。
「みどり」は、想像していた通りだ。とてもよくできている。同制度でこれまで「みどり」で満点の★3つを獲得したマンションはわずか160件しかない。各デベロッパーはここにもっと力を入れてほしい。
デザインも秀逸。「風ノ棟」と「杜ノ棟」の間に幅員2.4~3.8mの歩道状空地を設け、建物を雁行させているランドスケープは、10年前に同社が分譲した「アトラス調布」を彷彿させた。中庭に、樹齢はかなり違うはずだがシンボルツリーとしてサルスベリを植えているのも同じだ。
欲を言えば、もう少しマンション全体の外構などを見たかったが、一部は工事中でほとんどが契約済みであることなどから見学不可だったのは残念だった(お陰で汗だくにはならなかったが)。
こんなことは書きたくないのだが、取材する側のメディアの知識不足が目立った。内覧会に20人超が参加していたのはとても嬉しく、同社は質疑応答に約40分もかけ、一つひとつ丁寧に答えたのはいいのだが、メディアの質問の大半は建て替えに関するもので、基本的なことを理解していない人が多すぎる。例えば、塔屋は高さ規制の12mに入るのか、投資需要はあったか、中庭は容積緩和の要件か、特急停車は販売上のメリットがあるか、再取得率は上げたいのか、小規模の建て替えは可能か…などだ。
塔屋が高さ規制12mの対象になったら、4階建てなど絶対建たないではないか(日影規制など建基法には制限もあるが)。駅から徒歩9分で、価格(坪単価)も安くないマンションに投資需要があるわけがない。中庭を設置して容積が緩和されたらほとんどのマンションがそうなる。最寄り駅が各駅停車と特急停車駅では価格が異なるのは当然だ。再取得率は市場が決めること。建て替え事業は慈善事業ではない。(配布された資料は30ページに上るもので、説明も分かりやすく、小生は聞きたいことなどほとんどなかった)
関係者ですら経験したことがない高値圏に突入しているのでやむを得ない部分もあるが、価格(坪単価)は高いのか安いのか判断できない人もかなりいた。小生は坪450万円は高いような気がするが、他の沿線の物件や基本性能などを考慮すれば、こんなものかとも思う。残り4戸というのが何よりも消費者に理解されていることを物語っている。
興味深い話も聞けた。重水氏が質疑応答で話したことだと思うが、居住者の中には従前マンションを購入して以降50年間一度も引越しをしたことがない方も多く、不用品の処分についての相談も多く受けたとか。リバースモーゲージを利用された方も若干あったようだ。また、酒井氏は建築費・工期について「仮にこれから着工した場合、肌感では工期はさらに1年くらい伸びたのではないか」と話した。建築費の高騰、工期の長期化は他のデベロッパーでもよく聞く。お手上げ状態のようだ。マンション購入検討者の方も覚悟した方がいいと思う。価格上昇は序ノ口の段階だと思ったほうがいい。
エントランスホールの坪庭(石は栃木県那須産の芦野石)
屋上の緑化(ハーブ類がたくさん植えられていた)
雁行デザイン
植栽帯
立地、仕様、離れ、デザインなど抜群単価は坪500万円弱小田急不「調布」(2024/10/30)
わが国初の全棟「ZEH-M」全戸「ZEH」駅徒歩3分の1低層大京「八幡山」(2024/10/4)
京王線初か1低層の大規模環境性能表示満点の★15個旭化成不レジ他「千歳烏山」(2024/5/24)
「道」を景観に取り込んだプラン秀逸 旭化成不動産レジ「アトラス調布」完成(2015/5/20)
〝便立地、好立地〟三井レジ・三菱地所レジ「天王洲」分譲開始
「パークタワー品川天王洲」
三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスは7月18日、「パークタワー品川天王洲」(275戸)の第1期(79戸)の販売を7月19日(土)から開始すると発表した。これまで7,700組超の問い合わせがあり、モデルルーム来場者は670組超。
建物は、総合設計制度の適用を受け、免震構造を採用し、ZEH-M Orientedを取得。外観デザインは、周辺の水辺との調和をテーマとした「航跡波(こうせきは) 」をイメージしたグラデーションを描くデザインとし、天王洲の街の新たなランドマークを目指す。
エントランスホールは天井高約9mの吹き抜け空間とし、屋内でも自然を感じられるインナーグリーンを植栽。共用施設のフィットネスルームやランドリーラウンジ、スタディコーナー、パーティールーム、キッズルームは運河沿いに配置。
設計では、住戸のプロポーションを横長にすることで全ての居室にバルコニーに面した窓を設置している。専有部の天井高は最大約2.6m(プレミアムフロアは約2.8m)を確保。
物件は、東京臨海高速鉄道りんかい線・東京モノレール羽田空港線天王洲アイル駅から徒歩4分、品川区東品川2丁目の商業地域に位置する34階建て全275戸。第1期(79戸)の専有面積は65.49~107.01㎡、価格は1億4,110万~3億9,980万円。竣工予定は2027年8月下旬。施工は長谷工コーポレーション。建物デザインは日建設計。
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天王洲アイルといえば、「シーフォートスクエア」を思い出す。三菱商事、第一ホテルエンタープライズ、第一ホテル、宇部興産によるホテル、マンション、オフィス、商業施設からなる複合開発だ。マンション(139戸)の分譲開始はバブルの頃で、価格(坪単価)は思い出せないのだが、一般分譲されたのは一部の住戸で、2~3億円、坪1,000万円を超えていたのではないか。飛ぶように売れた。ホテルも最高に素晴らしかった(現在は「ANAホリデイ・イン東京ベイ」)。
その後、天王洲アイルのマンションは数物件取材したが、価格の上昇には唖然とするほかない。今回のマンションは〝便立地、好立地〟だと思う。坪単価は不明だが、1,000万円には届かないのではないか。
全254戸がキャナルビュー住友不動産「シティテラス品川イースト」(2015/2/9)
マンション再生メニュー 2つ⇒7つへ 旭化成ホームズ 区分所有法改正セミナー
左から大木氏、戎氏、鎌野氏、重水氏(神保町三井ビルディング4階ファミリーホール)
旭化成ホームズ・マンション建替え研究所は7月18日、「11回 高経年マンション再生問題 メディア懇談会」を開催。同研究所特任研究員・大木祐悟氏がモデレーターとなり、早稲田大学名誉教授・鎌野邦樹氏、弁護士・戎正晴氏、同研究所長・重水丈人氏による「区分所有法改正で、マンション再生はどうなるのか? 」をテーマにしたパネルディスカッションを行った。
区分所有法の改正は、建物の老朽化と居住者の高齢化という「2つの老い」の社会課題を解決するためのもので、2025年5月23日の国会で成立した。改正法では、区分所有法で定められている議決要因「全員の同意」「5分の4以上の賛成」などが緩和され、集会(総会)に出席しない・意思表示しない区分所有者や「所在等不明区分所有者」を分母から省いて決議してもいいことになり、再生メニューは、従来の建て替え決議とマンション敷地売却決議の2つに加え、建物の取り壊し敷地売却決議、取り壊し決議、再建決議、敷地売却決議、建物の更新決議の5つが加わるのがポイント。一部を除き2026年4月1日に施行される。3氏のコメントは以下の通り。
鎌野邦樹氏 今回の区分所有法改正に当たっては、法務委員会で16回、国土交通省の検討会でも同じくらいの回数にわたって論議され、大きな改正がなされた。従来は、法務省管轄の法制審議会、国会の法務委員会で論議がなされてきたが、今回は国交省所管の国土交通委員会でなされた。これは国民にとってマンションはもっとも重要な財産だという共通認識が背景にある。私は結果的によかったと思う。課題は、建て替えなど費用などお金の問題。法改正によって様々な再生メニューが示されたが、それに乗らない管理不全マンションがあちこちにできると、経済的にも地域にとっても非常な損失となる。それを未然に防ぐことが重要。
戎正晴氏 今回の法改正は、建て替えの意味が変わってきたということ。国の文章にもあるように、マンションは区分所有者の責任と費用で解体されなければならないのだが、マンションは解体責任を全然認識していない、解体までの費用が担保されていない現状がある。解体責任を果たすために、区分所有者にとってもっとも有利なのは建て替えで、今までの資産が新しい資産になり、終の棲家にもなる。これからは、解体積立金か解体保険になるか分からないが、解体費の確保を重視するマンション施策が中心に位置付けられるようになる。出口戦略を本気で考えなければならない時代になったということ。
重水丈人氏 この法改正の議論が始まったのは2022年の10月から。それ以降、当社のマンション建替え研究所ホームページへの問い合わせ件数は大幅に増加している(資料では、2022年度以前の3年間の問い合わせは240件前後だったのが、2023年度は324件、2024年度は335件に増加)。関心が高まっているということがはっきりしている。当研究所も、関心を持っていただいた方々へよりわかりやすくする情報を発信していくことに注力していく。マンションの合意形成で一番苦しいのは、反対されることではなくて、関心を持ってもらえないこと。たとえ違う意見でもちゃんと意見を戦え合わせれば前には進める。それが我々の役割。世に広めていきたい。
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今回のパネルディスカッションは、マンションの建て替えを中心とする再生(戎氏は「終活」と語った)がテーマなので、全体的な改正法については、国土交通省が7月8日に行った「令和7年度 改正マンション関連法に関する説明会」の記事を参照していただきたい。
改正マンション関連法に関する説明会に約480人 国土交通省&法務省(2025/7/8)