地盤沈下目立つ名古屋圏 三井不レジ「パークタワー栄」を取材して

「パークタワー栄」
三井不動産レジデンシャルは5月14日、「パークタワー」シリーズ名古屋初の「パークタワー栄」のコンセプトルーム「栄レジデンシャルサロン」事前内覧会を5月16日から開始するのに先駆け、メディア内覧会を実施した。
物件は、名古屋市営地下鉄東山線・名城線栄駅から徒歩10分、名古屋市営地下鉄東山線・鶴舞線伏見駅から徒歩8分、名古屋市中区栄二丁目に位置する敷地面積約1,121㎡の24階建て全95戸。専有面積は50.01~161.43㎡、予定価格は6,500万円(50㎡)、7,500万円(58㎡)、10,400万円(66㎡)、16,300万円(90㎡)、21,100万円(100㎡)、6億円超(161㎡)。竣工予定は2028年11月下旬。設計・監理・施工は矢作建設工業。販売予定は2026年7月上旬。2026年1月のホームページ開設以降、これまで500組を超える反響がある。
特徴は、①名古屋の中心として発展してきた「栄」の歴史・文化・緑が交差する立地②高層階からは360度の眺望が望めること③デザイン監修に星野裕明氏(ホシノアーキテクツ)を起用④角住戸比率約88%-など。
現地は、「本町通」など三方に接道。世界最大級のプラネタリウムを持つ科学館や美術館を擁する白川公園に近接。
主な基本性能・設備仕様は、免震構造、直床、リビング天井高2650ミリ(1部除く、最上階のラグジュアリータイプ2戸は2750ミリ)、ディスポーザー、食洗機(20階以上はMieleの深型)、フィオレストーンキッチン天板・洗面所(一部)など。
「栄レジデンシャルサロン」は、名古屋圏では珍しい360度の眺望が体験できる「Dynamic View LED」を採用している。
同社中部支店営業室主管・古谷歩氏は、「平均専有面積は76㎡で、過去10年間に供給された都心3区の平均面積より15㎡広い。『栄』という限られた地区のランドマークにする」と語った。
三井不動産のビルや三井不動産レジデンシャルのマンションのデザイン監修を数多く担当している星野裕明氏のビデオメッセージも紹介された。星野氏は呉服の街だった「栄」をイメージしたシンボリックな意匠デザインにすると語った。

エントランス

コンセプトルーム

「Dynamic View LED」

古谷氏
◇ ◆ ◇
取材の最大の目的は、今年の名古屋圏の地価公示上昇率は、東京圏と大阪圏だけでなく、地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)にも、さらにまた、全国平均よりも下回っている-この地盤沈下の理由を探ることにあった。
その理由の一つとして、先月の「ザ・ランドマーク名古屋栄」竣工内覧会の取材のときも感じたのだが、地元の大企業-トヨタ、JR東海、名鉄、中部電力(2021年にグループ入りしたエスコンは札幌などの地方で大活躍しているが)…などはマンションやビルなど街づくり・再開発で存在感を示していないということだ。中心的な役割を担っているのは、みんな東京や大阪などの〝外様〟ばかりだ。かつての中部圏は地元意識が強く、他者を寄せ付けない風土があった。〝今は昔〟だ。三重出身の記者は残念でならない。中日ドラゴンズが阪神、ソフトバンク、オリックス、日ハム、楽天、広島より弱いのは地盤沈下と関係はないのか。
何かにつけ話題になる〝上げ潮〟の福岡は、七社会(九州電力、西部ガス、西鉄、JR九州、福岡銀行、西日本シティ銀行、九電工)が街づくりを牽引している。デベロッパーでは福岡地所がある。名古屋・中部圏と対照的だ。
質疑応答では聞きたいことはたくさんあったが、聞けば記者の無知ぶりをさらけ出すことになるのでやめた。他の記者の方の質問に期待したがダメだった。結局のところ、何も知らないことを改めて思い知らされただけだった。
ただ、全くの空振りだったかといえばそうでもなく、いくつか収穫もあった。その一つは、主催者としてあいさつした古谷氏は、今年1月に異動で名古屋勤務になったということだ。名古屋弁が聞けなかったのは残念だったが、古谷氏は「HARUMI FLAG」を担当しており、今回の物件を皮切りに名古屋圏の事業を強化する狙いがあると読んだ。
もう一つは、「直床」の意味を知らないスタッフがいたということだ。つまり、名古屋では「直床」が多く、「二重床」は少ないのではないかということだ。
さらに、もう一つ。取材が終わったのは15時で昼食もまだだったので、安くておいしい飲食店がないか関係者に聞いたところ「味仙」を紹介されたのだが、開店は17時とのことなので断念せざるを得なかった。東京の人気店ではありえないことだ。
仕方がないので、タバコが吸えるカフェがないか探したのだが、栄駅まで1軒もなかった。駅地下のカフェはどこも禁煙なのはこの前の取材で確認している。これまた東京ではありえないことだ。(ギャラリーに近接する白川公園には「禁煙」の看板はかかっておらず、吸っている人がいた。記者も一服した)
…ここまで書いてきて、読者の方に失礼な、退屈極まりない記事だと思う反面、いま一つ元気がない名古屋圏の現状を伝えているような気もする。
肝心の坪単価について。予定価格から坪単価をはじくと429万円(50㎡)から696万円(100㎡)、1,230万円超(161㎡)とかなり差がある。
これは、どこのタワーマンションでも同じだ。敷地条件、日照、眺望と関係がある。物件の周囲は10数階建ての建築物が多く、同レベルの12階以下の1フロア5戸の住戸は南東・南西の角住戸は70㎡台だが、それ以外は50㎡台だ。単価はかなり抑えられているという印象を受けた。比較するのは適当ではないが、沖縄では坪400~500万円の物件も供給されている。

白川公園

現地
〝どえりゃでかい開発は外様ばっかや。どもならんがな〟三菱地所他「名古屋栄」続編(2026/4/11)
フージャースコーポ 首都圏外では初のシニア向け「デュオセーヌ覚王山」(2026/4/11)
差別化奏功市況いま一つの名古屋圏で好調竣工完売へフージャースコーポ「刈谷」(2026/4/10)
栄の中心地に大規模複合施設三菱地所他「ザ・ランドマーク名古屋栄」竣工(2026/4/7)
ランドスケープ&デザイン、共用施設…最高に素晴らしい「HARUMI FLAG」板状棟(2023/12/11)
100年住宅へ 外断熱など価値向上取り組み推進 築55年の洋光台南団地「成果報告会」

洋光台南第一住宅(提供:スタジオ・クハラ・ヤギ)
横浜市磯子区の洋光台南第一・第二住宅管理組合は5月9日、「二団地協同★南団地わくわく会議」の一環として「団地再生検討成果報告会」を開催した。二団地は、築55年の全1,459戸の大規模分譲マンション団地で、高経年マンションの様々な課題に向き合い、住民主導で団地再生を目指しており、2年前に「南団地わくわく会議」を立ち上げた。団地再生の取り組みは、国土交通省の令和6年度の「マンションストック長寿命化等モデル事業」にも採択されている。この日は、居住者や関係者など約70人が参加した。
洋光台南第一・第二住宅は、日本住宅公団(現・UR都市機構)によって建設された1971年築、39棟696戸の第一住宅(四街区)と、1970年築、33棟797戸の第二住宅(六街区)を合わせた敷地面積約15.6ha、5・7階建て72棟全1,493戸の分譲マンション。
二団地協同に取り組む背景には、築後55年を迎え、建物と居住者の二つの老いに加え、資材費、労務費の高騰、金利上昇、ナフサショックなど〝八難〟を抱える危機感があり、行政、専門家を巻き込み、住民主導で団地再生を実現するのが目的。
これまで、第一住宅では、全体構想案の作成、新集会所の建設、2023 年度からは住民有志の専門委員会活動などを行ってきた。第二住宅では、意見交換会や意識調査を実施してきたが、第一住宅・第二住宅の取り組みを加速させるため、2023 年度から2団地での意見交換を実施している。
「南団地わくわく会議」(二団地の住民有志による懇談会)は2年前に立ち上げたもので、再生事業に参画しているスタジオ・クハラ・ヤギ(設計事務所)、よこはま建築監理(マンション修繕・改良コンサル)、EOSplus(設備設計)、マインドスケープ(ランドスケープデザイン)など事業者と協働し、①100年住宅を目指す②資産価値の維持・向上③若年層・子育て世代の住民を増やす-3つの目的を掲げ、今すぐ取り組まなければならない課題を洗い出し、その対応策を報告書に盛り込んでいる。今後2~3年の団地再生ロードマップとして、外断熱工法による断熱性能の向上、サッシ交換、外観デザイン刷新、外構整備、照明更新、伐採木活用、ベンチ整備、植栽計画の策定、ワークショップ開催などを提示している。
「団地再生検討成果報告会」は二部構成で、洋光台南第一住宅管理組合理事長・木田進太郎氏が司会を務め、第一部ではスタジオ・クハラ・ヤギ代表取締役・久原裕氏、EOSplus電気設備チーフエンジニア・佐藤拓斗氏、マインドスケープデザイナー・三好あゆみ氏がそれぞれの立場から説明・報告。第2部では外断熱工事を16年前に行った竹山団地の竹山16-2団地管理組合法人事務局長・稲葉壮二氏が外断熱の効果について説明。また、洋光台南団地の設計を担当した日本住宅公団の建築士・井上十三男氏と濱恵介氏が当時のエピソードなどを紹介した。以下その概略。
久原氏は、耐震性能、躯体寿命に大きな問題はないとしながら、環境性能(断熱性能)を向上させる必要があるとし、外断熱工法を採用すれば飛躍的に性能が向上し、駅に近い立地条件を考慮すれば若年層にとっても魅力ある団に再生できると強調した。
佐藤氏は、二団地が抱える課題として特徴のない外観デザイン、既存外灯の老朽化、照度不足などをあげ、既存の妻側外構タイルを再利用し、照明デザインを一新して魅力向上を図りたいと語った。
三好氏は、この2年間の活動について、アンケート回答数が200件しかなかったこと、健全樹木は10%くらいしかないことなど課題はあるとしながら、ロボット草刈り機23台を導入したところ、居住者に〝ルンバ〟として人気になり、業界でも話題になったことを紹介した。
稲葉氏は、外断熱改修に関する効果を検証した研究論文を紹介しながら、「冬温かい、暮らしやすい。メーカー、ゼネコンからお金はもらっていないが、普及に貢献しているので感謝状くらいもらってもいい。『経年優化』という言葉もあるように、外断熱は長寿命化にぴったり」などと冗談を交えながら語った。
井上氏と濱氏は、井上氏が名前の通り昭和13年生まれの88歳(米寿)で、濱氏は6つ下の82歳であることを紹介。二人して数か月で図面を描き、工事発注までこぎつけたことなどを語った。また、濱氏は設計図はコピーするたびに位置図が数%伸び、建物が収まらず、街区道路を幅員2mくらいにするほかなかったと信じられないエピソードも明かした。「壁式工法」の耐震性にも触れ「大丈夫だろう」と語った。井上氏は、自ら居住する約12,000戸の「光が丘団地」の活性化活動に参加しており、〝シビックプライド〟の重要性を説いた。
報告会に参加した、入居開始から住んでいる女性(93歳)は「若かった頃は、みんなで草刈りをしました。時代が変わったということ。道路が狭いのは私もいつも通っているのでそう思いますが、なぜそうなったかの説明をお聞きし納得しました」などと、積年の疑問・不満が解消し、満足げだった。
国土交通省の令和6年度の「マンションストック長寿命化等モデル事業」では、複数の専門家・事業者が協同で大規模団地の再生に取り組む点、2団地の足並みを揃えるための意見交換を行っている点、住民アンケートや不動産事業者へのヒアリングにより、現状把握・課題の洗い出しを行う点、第一住宅でのアイデアブックの作成や集会所の新設、専門委員会活動などのこれまでの取り組みが評価された。

木田氏

左から久原氏、佐藤氏、三好氏

左から稲葉氏、井上氏、濱氏

報告会が行われた洋光台南第一住宅集会所(提供:スタジオ・クハラ・ヤギ)

報告会

いかにも昭和40年代の公団住宅

妻側の外観

外壁に使用されているタイル
◇ ◆ ◇
報告会は予定の3時間を30分も上回る長丁場に及び、小学生並みの45分の授業時間くらいが限界の記者は相当堪えたが、軽妙洒脱な木田氏のスピーチと各氏の話はとても面白かった。取材の声を掛けていただいた木田氏に感謝申し上げる。
驚いたのは、築55年というのに参加者には若い男女(30~50代か)が多いことだった。若年層・子育て世代の居住者も多い印象を受けた。広場では小さな子どもがたくさん遊んでいた。嬉しかったのは、93歳の女性の方の感想だった。年齢など全く感じさせない明瞭で美しい言葉に感動すら覚えた。
濱氏が東大の先輩で建築家・磯崎新(1931年- 2022年)にあこがれていたとの話には歴史を感じた。公団住宅の1960年代の「nLDK」表示を編み出したのは磯崎だと言われている(本人は肯定も否定もしていない)。
「外断熱」を採用するのは大賛成。中古マンションの最大の課題は断熱性の向上だと思う。木田氏は、現在の修繕積立金では実施するのはコスト的に難しく、見直しすることを示唆したが、断熱性向上のためのリフォーム工事への国の支援施策は継続されるはずだ。
「南団地」の中古マンション市場での評価を調べてみた。国土交通省の不動産情報ライブラリで検索すると、洋光台南第一・第二住宅と思われる2025年の中古マンション取引事例は29件ある。1戸当たり平均価格は1,358万円、平均面積は65.5㎡、坪単価は68.4万円だ。買取再販物件と思われる事例もあり、820万円(45㎡)⇒1,900万円、750万円(50㎡)⇒1,700万円でそれぞれ成約されている。いずれも改修済みだ。
この単価水準が今後も維持できるかどうかは分からない。何もしなければ漸減するのは容易に想像できる。
しかし、外断熱工事を実施し、デザイン、照明、ランドスケープなどを刷新すれば駅からの距離、生活利便施設の集積度などを考慮すれば単価を倍増させることは可能だと思う。
エレベーターなしをどうするかは分からない。建築基準法では、階数によるエレベーター設置の規定はなく、「高さ31mを超える建築物には、非常用エレベーターを設置しなければならない」(同法34条2項)の規定を初めて知った。
そういえば、民間の低層3階建て分譲マンションにエレベーターが設置されたのは昭和60年代の初めだったような気がする。5階建てはもっと以前から設置されているのが当たり前だった。

幅員2mの東西軸道路(桜のトンネルになるとか)

ロボット草刈り機


団地エントランス(敷地面積を戸数で割ると約104㎡)
素晴らしい! 448㎡の木造コミュニティ施設完成 築50年696戸の洋光台南第一住宅(2021/4/13)
「エステート鶴牧」の外断熱省エネ改修が成功した理由(2014/3/28)
電話勧誘による買取再販業者の手口浮き彫り 超安値で仕入れ倍で売る ある郊外事例

国土交通省「不動産情報ライブラリ」から作成※はリフォーム済み
郊外駅圏の中古マンション成約事例.pdf
坪単価差10倍-別表は国土交通省のWEB「不動産情報ライブラリ」に登録されている2025年に取引された東京都のある郊外駅圏の地域を特定した中古マンション取引データを示したものだ。中古マンション価格は駅からの距離、築年数などによって変動するが、この駅圏エリアでは最高単価と最低単価は何と10倍の差があることが分かった。
ある郊外駅圏といっても、東京駅から電車で約1時間、住宅地としても人気の高い地域として知られているところだ。新築マンションが供給されたら坪単価は400万円をはるかに突破するとみられている。
このエリアで昨年取引された中古マンションの事例は55件。平均値は坪単価141.3万円、成約価格3,164万円、平均専有面積73.9㎡、駅徒歩12.3分となっている。
別表は、データを坪単価(降順)を最優先して並べ替えたものだ。最高坪単価は、駅からは徒歩6分の2017年竣工の334.7万円(価格7,100万円)だ。この駅圏では数年前、駅から徒歩9分で分譲されたマンションの坪単価は252万円だった。それよりも32.8%も高い。今の中古マンション市場を象徴する物件でもある。
このほか、2000年までに竣工した中古マンションの坪単価は135.3万円以上となっている。これに対して、1987年以前の物件はほとんど坪100万円を割っている。
驚くべきなのは、何と坪50万円以下が7物件あることだ。最低単価は坪33.0万円で、最高単価の約10分の1、平均値と比較してもほぼ3分の1だ。
一般の人同士の売買なら他人がとやかくいう問題ではないし、中にはいわゆる〝心理的瑕疵〟物件もあるかもしれない。1981年(昭和56年)以前の築古物件は相場より安くなるのは理解できる。
しかし、これらの低価格の売買には間違いなく仲介業者が介在している。データを並べ替えると、安値で仕入れ高値で売却する〝手口〟が見え隠れする。例えば、1987年築の物件は2,600万円(75㎡)で仕入れ、価格を1,000万円上乗せして3,600万円で、1978年築の物件は650万円(65㎡)で仕入れ、2倍の1,300万円でそれぞれ売却したと思われる。
思い当たる節はある。記者の自宅マンションの売却を勧める電話がかかってくることがある。黙って聞いていると、リゾートマンションのような信じられないような低価格を提示される。
相手にしないで電話を切るのだが、買取再販業者は片っ端から電話勧誘を行っているのだろう。素人の人ならこの種の言葉巧みな電話勧誘に引き込まれるかもしれない。
エリアを限定した取引事例だけでこれほどの事例がある。首都圏全域に広げたら数百倍、年間数千件に達するのではないか。〝詐欺電話〟そのものといったら失礼か。
どうして、このような詐欺電話のような売買が後を絶たないのか。すべてが不動産情報の非対称性がもたらした結果だ。消費者には適正な不動産情報が伝えられないのだから、判断の下しようがない。
国土交通省や国民生活センターは電話勧誘などに注意喚起を呼び掛けているが、果たしてどれくらい効果を上げているか…。
◇ ◆ ◇
実態がどうなのか調べてみた。国民生活センターの消費生活相談データベースから「分譲マンション販売方法」で検索したら、2021年度から2026年度まで年間1,000件以上、約6,000の事例がある。「突然の電話でマンションの売却を持ち掛けられ、昨日来訪で売買契約した。契約書が無く説明不足で不安なのだがどうすればよいか」「複数の不動産事業者からマンション売却の勧誘電話がかかってきて迷惑だ。電話をやめさせるにどうしたらよいか」などだ。
原野商法の二次被害トラブルに関する相談も増加しているようだ。データは古いが、2017年度は1,196件と前年同期と比べ約1.8倍となっている。
リースバックに関する相談件数は、2019年の24件から2024年には239件へ増加している。
投資用マンションに関する相談件数は減少傾向にあるが、20歳代は2013年度の160件から年々増加し、2018年度(2019年2月28日時点)は405件と2.5倍になっている。国土交通省の注意喚起の呼びかけを添付する。
THEグローバル社 大東建託の完全子会社化で分譲マンション事業再拡大へ
大東建託のTOBにより同社の完全子会社となるTHEグローバル社の今後の動静が注目される。昨日(4月30日)行われた大東建託2026年3月期決算説明会で同社代表取締役社長執行役員CEO・竹内啓氏が「分譲マンション事業拡大は当然の流れ」と語ったように、再びマンション市場での位置を占めることになる可能性が高いと見た。
THEグローバル社の2025年6月期決算は、売上高617億円(前期比128.4%増)、営業利益54億円(同208.1%増)、経常利益46億円(同50.4%増)、純利益36億円(同35.7%増)。売上の大半は賃貸マンションを中心とする収益不動産事業で。全売上高に対する比率は83%となっており、分譲マンションは14%。2025年の供給は5物件261戸。
しかし、同社は2025年6月30日現在、分譲マンション供給実績は100棟4,100戸超となっているように、コロナ前まではマンションデベロッパーとしての地歩を築いていた。2012年は16物件712戸、2014年は11物件534戸を供給している。コンパクトマンションが得意分野で、東京都中央区での供給は21物件740戸に上っている。辻村久信氏、永山祐子氏、鈴木エドワード氏、アシハラヒロコ氏、北原照久氏など建築家・デザイナーとのコラボ物件も多く供給している。
また、同社グループの創業事業であるマンション販売代理事業では、これまで262棟、10,100戸を超えている。
近年は大手デベロッパーの市場寡占化が進んでおり、かつてのような勢いを取り戻せるかは不明だが、全国区の知名度(ハウスコム)と、全国営業網を通じた情報収集力、潤沢な資金力、〝デザイナーズマンション〟を武器にすれば、中長期的には供給大手の一角に食い込むことは可能だと見た。
大東建託のTOBにより2025年5月に完全子会社になり上場廃止となったアスコットの2026年3月期決算は、売上高462億円(27/3月期計画660億円)、営業利益71億円(同79億円)。今後も収益不動産事業、物流施設開発、投資ファンド事業に注力し、THEグローバル社との棲み分けを行うと見られる。
大東建託 2026年3月期決算 増収増益 アスコット社など不動産開発事業が寄与
大東建託 TOBによりTHEグローバル社を子会社化 双方はなにを目指すのか(2026/4/18)
新型コロナ 不動産業界再編促すか アスコット THEグローバル社を連結子会社化 (2020/11/14).
社内企画コンペNGC 選ばれた4企画を商品化・販売 コスモスイニシア

「Next GOOD Challenge(ネクスト グッド チャレンジ:以下NGC)」グランプリ企画
コスモスイニシアは4月24日、社内企画コンペ「Next GOOD Challenge(ネクスト グッド チャレンジ:以下NGC)」2025年の結果を発表。グランプリに選ばれたリノベーションマンション企画「『間数よりも大切なものがある』~今も、未来も、家族に心地良い住まい~」を含め全4企画を商品化し、販売する。
NGCは、未来の事業や商品企画を創造・実現する企画を社員から募集するもので、2025年度は、「5年後の未来のスタンダードになる住まい・サービス」をテーマに4チーム計12名がエントリー。各チームが約1年間、アイデアの構想からプランニング・プロモーション・セールスまでを見据えた企画を立案し、最終提案までにピッチ提案や中間プレゼンテーション、オフライン講評会を実施。
審査の結果、グランプリの「『間数よりも大切なものがある』~今も、未来も、家族に心地良い住まい~」を含めリノベーションマンション4企画が選ばれた。企画は順次商品化し販売される。
グランプリ企画は、回遊性を高めた水回りをコアに、開放感のあるシームレスなキッチン・リビング・小上がり居室空間を実現し、居室は子どもの成長やライフスタイルの変化に応じて空間を仕切ることができるようにしている。

グランプリ企画

◇ ◆ ◇
「田の字型プラン」からの脱却はもう数十年前からの課題だが、一向に改められる気配がない。むしろ退行している。間口を広げれば多様な間取りは可能だが、ショートスパンの専有圧縮がどんどん進んでいる。〝2戸1〟エレベータのセンターインや「横入玄関」は絶えて久しい。内廊下方式が増えているのだから、玄関ドアは引き戸にしてはどうかと考えているが、普及する気配はない。
今回のグランプリ作品はとてもいい。もともとの玄関位置が戸境壁のところに会ったから可能になったプランだろうが、主寝室はフリースペースを含めて13.1畳大ある。小上がりは3畳大か。これくらいがいい(下部収納にしたらもっとよかった)。
立川駅からバス便で多摩川の眺望がすばらしい 三信住建など5社JV「多摩川」

「プレミアムレジデンス立川」
三信住建、中央日本土地建物、第一交通産業、旭化成ホームズ、大和地所レジデンスの5社は4月23日、「プレミアムレジデンス立川」のマンションサロンを2026年4月25日にオープンすると発表した。最寄り駅の立川駅からバス便だが、南側の眺望がすばらしい多摩川に近接し、平均専有面積73㎡を確保し、奥行4mのバルコニーを設置するなど、価格次第では人気になる可能性を秘めている。
敷地南側に広がる多摩川の河川敷は対岸まで約500mの立地に加え、ZEH-M Oriented・低炭素建築物のダブル認定、共用部にはパーティー&キッズルームやラウンジ、サウナ付きゲストルーム、屋上テラス、設置率82%超の駐車場、専有部は奥行き4mのバルコニー、1階駐車場付き住戸など。
物件は、JR立川駅からバス約9分、バス停徒歩4分、立川市富士見町6丁目の準工業地域に位置する敷地面積約8,029㎡、8階建て210戸。専有面積は66.41~89.09㎡、価格は未定。竣工予定は2028年1月。販売代理は大和地所レジデンス。設計・監理はプラスデコ一級建築士事務所。施工はファーストコーポレーション・三信住建。販売開始は2026年5月下旬。
◇ ◆ ◇
多摩川に近いマンションといえば、記事にしたばかりの京王電鉄・リビタ「京王多摩川ハモンズ」があり、最近では調布・狛江からバス便の積水ハウス「多摩川シーズンズ」、住友不動産「シティテラス多摩川」がある。売主の一社・大和地所レジデンスは前社名の日本綜合地所時代に多摩川に近い中河原駅圏で分譲したのを覚えている。
今回の物件は、価格がいくらになるかが全て。このところの異常な価格高騰で、業界内では今後分譲されるマンションの価格は〝坪300万円以下はありえない〟という声が支配的だ。なので、この物件も坪300万円を突破しても記者は驚かないが、予想としては坪単価は300万円以下になると思う。それにしても売主の組み合わせが面白い。
引き戸多用リビタのノウハウ盛り込む京王電鉄「京王多摩川ハモンズ」反響2600件(2026/2/24)
緑化面積10,000㎡超ランドプラン秀逸坪単価も割安積水ハウス他「多摩川」(2026/1/17)
長期優良、ZEHに★3つの「みどり」住友不・長谷工の建て替え「多摩川」900戸(2024/3/30)
〝千葉の『渋谷』〟柏駅から徒歩10分 価格はリーズナブルか 総合地所「柏」

「ルネ柏ザ・レジデンス」
総合地所は4月23日、「ルネ柏ザ・レジデンス」のメディア向け竣工見学会を行った。駅東口の新規マンションは4年振りの供給で、反響数は予想の1.5倍の720件に上っており、予定価格はリーズナブルなことから早期完売するか。主なターゲットはDINKS。
物件は、JR・東武野田線柏駅から徒歩10分、柏市中央2丁目の第一種住居地域・近隣商業地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する7階建て53戸。専有面積は58.47~80.10㎡、価格は未定だが、70㎡台で6,500万円台を予定している。建物は2026年3月に竣工済み。施工は長谷工コーポレーション。
現地は、スーパー跡地。建物は全戸南東向き。主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、H-BAコンクリート、直床、食洗機、リビング天井高2500ミリ(Gタイプ4階除く)、可動式収納「UGOCLO S(ウゴクロ エス)」(9戸)、全戸玄関前宅配ボックス「DELBOX-SMART」、家電を遠隔操作できるIoTアプリ「Home Link」、ワークスペースやキッズスペースなど多目的に利用できる「エクストラ・リビング」(8タイプ)など。
昨年9月に物件ホームページを開設しており、同時期に販売を開始している駅西口の「ルネ柏ディアパーク」(389戸)との相乗効果もあり、反響数は想定の1.5倍の720件に上っている。5月2日から開始するモデルルーム見学申し込みは110件。約半数が柏市居住者。

◇ ◆ ◇
先日(4月16日)、オープンハウスグループが「これから家を買いたい共働き子育て世帯が住みたい駅・路線ランキング2026 ~関東版~」の発表会があり、同社開発事業部営業推進部上席課長・斎藤祥氏が「つくばエクスプレスに住む茨城県出身(取手市)の私からしたら『柏』は〝千葉の渋谷〟」と語ったのには仰天した。
確かに柏はいい街だとは思うが、茨城県出身者の不動産のプロが「渋谷」を連想するとは…。どこを起点にするかだが、東京からの電車時間は41分。わが多摩センターは55分(新宿からだと30分)だから、少し遠いが、街の熟成度・街並みは同レベルだと思う。マンション単価だって負けないはずだ。
これはさておき、今回の物件。柏駅圏のマンションはこれまでどれくらい見学しただろうか。数十物件はあるはずだ。もっとも強く印象に残っているのは、ポラス「ルピアグランデ柏 ココロリゾート」(196戸)、三井不動産レジデンシャル「パークホームズ柏タワーレジデンス」(191戸)、大京「ライオンズタワー柏」(265戸)だ。
「強く印象に残っている」のは分譲単価がものすごく安かったからだ。坪単価はポラスが155万円、三井不レジが245万円、大京が230万円だった。現在の中古価格は分からないが、分譲時の1.5倍くらいになっているのではないか。
この3物件のことを考えながら、今回の物件の分譲単価を予想した。ここでは明らかにできないが、同社担当者に「坪単価○○○万円なら、私も売る自信がある」と話した。その通りの価格になるはずだ。

外観(北側から)
柏駅圏最大389戸 18坪(62㎡)の新型3LDKに注目総合地所「ルネ柏ディアパーク(2025/2/16)
駅距離・準工のハンディものともせずポラス中央住宅「柏」全196戸ほほ完売(2021/9/29)
坪245万円に納得 コロナ禍で半分以上を成約 三井不「柏タワー」(2020/9/7)..
大京「ライオンズタワー柏」 竹中の免震で坪単価は230万円(2014/6/2)
引き戸多用 リビタのノウハウ盛り込む 京王電鉄「京王多摩川ハモンズ」反響2600件

「京王多摩川ハモンズ」(右が分譲棟)
京王電鉄の新マンションブランド「HAMMONS」の第一弾「京王多摩川ハモンズ」を見学した。京王多摩川駅前の前京王フローラルガーデン跡地を含む約2.8haの大規模複合開発の一翼を担う分譲棟で、同社としては久々のマンションだが、一棟リノベの実績が豊富なリビタのノウハウを結集した物件だ。
物件は、京王電鉄相模原線京王多摩川駅から徒歩2分(調布駅から徒歩17分)、調布市多摩川4丁目の近隣商業地域に位置する12階建て265戸。6月中旬分譲予定の第一期一次(戸数未定)の専有面積は48.42~86.93㎡、予定価格は5,400万円台~14,300万円台(最多価格帯8,800万円台、9,100万円台)。竣工予定は2027年9月下旬。設計監理・施工は奥村組。デザイン監修は仲建築設計スタジオ(外構・共用部分の一部)。管理は大和ライフネクスト。販売代理は丸紅都市開発、京王電鉄。
ブランド名の「HAMMONS」は、「波紋」「ハーモニー(協調)」「コモンズ(共有)」の3つの言葉を重ね合わせた造語。昨年9月にホームページを開設、これまでの反響数は約2,600件。反響者の約4割が地元、約3割が地元周辺区市、残りの3割が広域。
現地は、京王フローラルガーデン(旧京王百花苑)跡地を含む約2.8haの大規模複合開発の一角。「住み継がれる、暮らし継がれる街」を目指し、敷地内にはこのほか賃貸住宅(214戸)、スーパー(京王ストア運営)、認可保育園、商業施設、公園・広場などが整備され、駅舎の改修も同時進行の形で行われている。また、将来の高架下開発も見据え、キッチンカーなど通じた利活用を実施しにぎわい創出している。敷地南側は京王閣競輪場。多摩川へは徒歩6分。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、ウルトラファインバブルなど。共用施設はテーブルラウンジ、ルーフテラス、多目的スペースなど。
同社開発事業本部開発企画部分譲担当課長・金子啓太氏は、「グループのリビタのノウハウ・エッセンスを盛り込んでいるのが特徴。契約開始の6月下旬まで、当社の街づくりを理解していただくよう、お客さまとしっかり会話を交わし、詳細な価格などを決定する」と語っている。

広場

テーブラウンジ

ルーフテラス
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最初に断っておく。小生は記者歴と同じ約50年間、京王線沿線に住んでおり、電車、バス、タクシーからデパート、ホテル、スーパーなどを利用している京王ファンだ。なので、記事は多少〝よいしょ〟の部分もあるかもしれない。そのつもりで読んでいただきたい。かといって、他の電鉄会社が嫌いではない。野球は西武だし、鉄道会社(グループ不動産会社含む)は濃淡の差こそあれ、デベロッパーに負けない街づくりを行っているので応援したい。
さて、2011年に京王グループ入りしたリビタ、2024年にグループ入りしたサンウッドはともかく、京王電鉄(京王不動産含む)参画の分譲マンションは、最近のJVでは、野村不動産との「プラウド京王聖蹟桜ヶ丘」(134戸)、大和ハウス工業との「プレミスト昭島 モリパークグラン」(277戸)などがあるが、単独は他の首都圏電鉄会社と比較して圧倒的に少ない。記者の記憶では、購入を考えた1983年竣工の「京王府中マンション」が最後のような気がする。
モデルルームは71㎡と85㎡の2タイプ。71㎡は間口6300ミリで、トイレを除き、リビングドアも含むドアが引き戸になっており、ドアノブはスリット入りのユニバーサルデザイン。85㎡は南東角のオールオプション仕様で一部内容は標準住戸へオプション展開も可。壁面などは木調仕上げ。
検討者の皆さんへ。最近の京王線沿いのマンションでは、笹塚駅近のマンションは定期借地権分譲であるが坪900万円の値がついているが、他の沿線と比べ〝割負け〟が歴然としている。他の沿線と比較していただきたい。
これは、前述したように、近年は京王電鉄、京王不動産の分譲マンション・戸建ては少なく、大規模な住宅供給が少なかったことにも起因していると記者は見ている。
しかし現在、京王電鉄は笹塚駅~仙川駅間の高架化事業を行っており、25か所の踏切をなくし、7か所の都市計画道路を立体化する。事業により代田橋駅・明大前駅・下高井戸駅・桜上水駅・上北沢駅・芦花公園駅・千歳烏山駅は高架駅となる。まだ数年先だろうが、利便性は飛躍的に高まるはずだ。

現地(駅舎も改修中)
緑化面積10000㎡超 ランドプラン秀逸 坪単価も割安 積水ハウス「多摩川」(2026/2/16)
リビタ 一棟丸ごとリノベーション「つくば春日」30坪で施工は鹿島(2014/6/16)
青梅駅前再開発竣工式・祝賀会 フージャースコーポ マンション112戸完売

「デュオヒルズ青梅ザ・ファースト」
フージャースコーポレーションは4月22日、同社が参画している「青梅駅前地区第一種市街地再開発事業」の竣工式、祝賀会が4月21日行われ、再開発組合林理事長、大勢待青梅市長など約80人の関係者が出席したと発表した。
事業は2013年11月、青梅の歴史・文化・自然を活かした「商業と住宅環境の創造」「奥多摩観光の拠点」などを目的に再開発準備組合が設立され、2016年6月、「青梅市中心市街地活性化基本計画」に大臣認定されたもの。工事は2024年1月に着工、2026年3月31日に竣工した。
14階建ての商業・公益施設・住宅からなる複合再開発事業で、1階に商業施設、2 階に市立図書館(予定)、3階~14階に全112戸のマンション「デュオヒルズ青梅ザ・ファースト」で構成されている。
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このマンションは一昨年に取材している。記事を読んでいただきたい。規模が大きかったので竣工まで完売するかどうか疑問にも感じたが、完売しているようだ。大したものだ。
マンション販売在庫6,409戸 完成在庫3,629戸 企業間格差浮き彫り 不動研&CRI
不動産経済研究所は4月20日、首都圏の2025年度のマンション市場動向をまとめ発表。発売戸数は前期比2.6%減の2万1,659戸となり、1973年度以降で過去最少だった昨年度をさらに下回った。1戸当り平均価格は9,383万円(前期比15.3%上昇)、1㎡当り単価は141.9万円(同15.4%上昇)、販売在庫数は6,409戸(前期末比293戸増)となった。
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他社の調査結果についてとやかく言う立場にはないが、「販売在庫」の数値が気になる。AIによると「販売在庫とは、企業が販売目的で一時的に保管している商品、製品、原材料などの資産(棚卸資産)のこと」とある。その通りだろう。分譲マンションも広義の意味では販売中のマンションも「在庫」であることに変わりはないが、これまで、業界では「在庫」は「完成在庫」、つまり売りたくとも売れなくて完成後も残っているマンションのことを指すと理解されてきたはずだ。
ところが近年は右肩上がりの市場で、競合状況にもよめるが、売れ残っても販売上の障害にはならず、また、販売経費を削減する目的から竣工してから販売する物件も増えている。わざわざ「未供給在庫」と呼ぶデベロッパーもあるくらいだ。
不動研の「販売在庫」は、建物の未完成・完成に関わらず、供給した戸数のうち販売中のものをカウントしていると理解できる。つまり、6,409戸は2025年度だけでなく、それ以前に分譲された戸数も含まれるはずだ。だとすれば、2024年度の供給戸数22,239戸を含む過去2年間の供給戸数43,898戸に対する販売在庫率は14.6%となる。
一方で、長谷工総合研究所の「CRI」は、不動研のデータを基に「完成在庫」数を公表している。2026年2月末で3,629戸(前年同期比14.2%増)となっている。また、完成在庫÷直近1年間の総販売戸数の平均の数値として「完成在庫率」を公表しており、2026年2月末の完成在庫率は1.96か月となっている。総販売戸数とは、新規販売戸数と繰越販売戸数を合計したものだ。
カウントの仕方が異なるし、前述した「未供給完成在庫」が含まれるのか含まれないのか不明だから、この数値が高いのか低いのか判別できないが、記者は危険ラインだと思う。販売機会を逃さない適正在庫は年間供給戸数の1か月分、つまり8.3%だと考えているからだ。
これから上場デベロッパーの2026年3月期決算が発表されるので明らかになるが、総じてマンション事業は好調に推移しているのは間違いない。供給上位10社の市場占有率は50%に達するのではないか。そして、この10社の完成在庫率は1社100戸(某社は突出して多いが)とすれば完成在庫率は10%だ。
ということは、他の10位以下の大手系や中堅会社の供給戸数約1万戸のうち完成在庫は2割以上という推論が成り立つ。完成在庫が2割を突破したら、まず利益は出ない。売りたくても売れない完成在庫マンションがこれらのデベロッパーに偏在しているということだ。デベロッパー間の企業格差が拡大し、消費者に峻別される時代に突入したということかもしれない。
マンション完成在庫率16.7%は危険ライン〝新価格〟登場〝優勝劣敗〟市場へ(2026/3/22)
