〝いま一つのリビオ〟巻き返しの狼煙 新日鉄興和不 銀座にギャラリー開設
「+ONE LIFE LAB銀座ギャラリー」
吉澤氏
新日鉄興和不動産は4月24日、銀座1丁目に開設した単身世帯のライフスタイル、価値観など考察し、情報を発信する研究所「+ONE LIFE LAB銀座ギャラリー」のプレス発表会・内覧会を行ったが、冒頭、同社常務取締役住宅事業本部長・吉澤恵一氏が「当社のマンションブランド〝リビオ〟はいま一つ」と話したのが気にかかる。この話から先に書く。
吉澤氏が「いま一つ」と話した真意はよくわからないが、いまマンション市場を支配している大手から取り残されている、もどかしさがそのような言葉になったのではないか。
これを聞き、記者も同じように感じた。それは同社に対する期待が大きいからだ。
もう40年近くも昔か。当時、日鉄ライフが新日鉄の社宅跡地などで積極的にマンションを分譲し始めた。レベルの高い商品企画をみて、〝大手デベロッパーを超えるのは既存のデベロッパーではなくて、異業種から参入したこのような会社だ〟と確信した。
その後、社名は新日鉄都市開発になり、さらに紆余曲折があり2012年に興和不動産と合併していまの社名になった。建て替えの「テラス渋谷美竹」「ザ・レジデンス神宮前」「横濱紅葉坂レジデンス」などで業界の話題になったころだ。興和不はマンションも手がけていたが、どちらかと言えばビル事業を得意としており、両社の合併はシナジー効果が大きく、大手の一角を占めるのではないかと記者は予想した。そして2013年、他社に先駆けてコンパクトマンション市場に参入した。
その後はというと、同社が〝ぶら下がりの〟物件はあるが、幹事となった話題物件はほとんど記憶にない。これが残念だ。あの商品企画力はどこに行ったのかと言わざるを得ない。驚嘆した「赤坂インターシティAIR」との落差があまりにも大きすぎる。情報収集力、目利き力で大手に差をつけられているとしか思えない。一つ指摘すれば、同社は販売部隊を持っていない。現場を知らないといい商品企画は生まれない。
しかし、今回の「銀座ギャラリー」の開設は巻き返しの強いメッセージだと受け止めたい。吉澤氏は今後のマンションの展開について、「2017年度は400~500戸。2018年度は1,300戸、2019年度は2,300戸に増やす」と話した。
先に書いたように、いまマンション業界は、大手5~6社が抜け出しており、次位に同社や電鉄会社など数社が上位グループ入りをうかがっている図式だ。〝新日鉄〟の看板があるのだから同社が浮上することは十分可能だ、戸数のことを言っているのではない。商品企画で他社を圧倒してほしい。いよいよジャンプする時代だ。
感動の組子-ヘンデル-社長挨拶-内覧フルコース堪能 新日鉄興和「赤坂インターシティAIR」見学(2017/9/27)
新日鉄興和不 「東京日本橋」「大手町」「浅草橋」共同マンションパビリオン(2013/2/8)
近鉄不の矜持を見た 天井高2700ミリ 「港区」「タワー」「海」前面に「浜松町」
「ローレルタワー ルネ浜松町」
近鉄不動産(事業比率60%)と総合地所(同40%)が7月に分譲する「ローレルタワー ルネ浜松町」を見学した。ゆりかもめ日の出駅から徒歩1分の眼前に東京湾が広がる総合設計制度の適用を受けた23階建て全227戸の規模で、階高約3.6m、リビング天井高約2.7m。「港区」「タワー」「海」を前面に押し出す注目のマンションだ。
物件は、ゆりかもめ日の出駅から徒歩1分(浜松町駅から徒歩10分)、港区海岸2丁目に位置する23階建て全227戸。第1期(戸数未定)の専有面積は51.09~140.55㎡、予定価格は5,900万円台〜25,000万円台(最多価格帯7,100万円台)、坪単価450万円。竣工予定は平成31年12月末日。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。デザイン監修はベイシスデザイン事務所。
現地は、準工エリアで倉庫街として知られているところだが、2年前にサンケイビルが分譲した「ルフォン リブレ浜松町」に近接。「ルフォン リブレ浜松町」は都心を向いたマンションだが、こちらは海側と都心側の両方を向いているのが特徴。
建物は、東京都の総合設計制度の適用を受け、広い広場を整備。今回分譲対象の住戸は6階以上で、プランは内廊下方式を採用、東京湾を望める東向きと都心が眺望できる西向きが6:4くらいの割合か。いずれもワイドスパンが特徴。21階以上の間口は約12~18m。
基本性能・設備仕様は、階高を約3.6m、リビング天井高を約2.7m、サッシ高を約2.35mそれぞれ確保、高速道路の騒音対策としては一部二重サッシを採用するほか、JIS規格最高グレードT-4等級に対し約3dB遮音性が高い複層ガラスを採用。このほか二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、フィオレストーン天板、グローエ水栓、陶器ボウルなどが標準。
新しい提案としては、クレーンにより撮影した全方位の写真をCG加工し、希望住戸からの眺望が想像できるようにするほか、キッチンはIHとガスコンロが選択できるようにしている。
◇ ◆ ◇
モデルルームを見て、近鉄不動産が7年前に分譲した「グランド ミッド タワーズ大宮」を思い出した。その時の記事には「埼玉県の最高レベル」「ザ・ペニンシュラ東京も手がけているデザイナー橋本夕紀夫氏がコーディネート…亀甲仕上げの床をはじめ建具・面材は全てクリ、トチなどの突き板の手仕上げによるものだ。天井高は3メートル。廊下幅は1~1.2メートル。ドアはイタリア製だ」と書いた。
今回の物件も、同社の矜持を感じた。並々ならぬ力をこの物件に注いでいることがストレートに伝わってきた。約140㎡の〝Executive〟モデルルームのデザインは鈴木ふじゑ氏だ。玄関・ホールの広さは4畳大近くあり、キッチンは約11畳大、リビング・ダイニングは約26畳大。圧倒的な存在感がある。床は天然石か突板の選択制。キッチンもガスかIHかを選べる。建具もオークの突板仕上げ。
価格が高いような気もしないではないが、浜松町駅圏では三井不動産レジデンシャルの「パークコート浜離宮ザ・タワー」が坪単価600万円で圧倒的な人気を呼んだ。それと比べるのもどうかと思うが、駅から徒歩10分で、ベイブリッジや対岸の夜景に魅せられる人も多いはずだ。
2年前にサンケイビルが分譲した近接する「ルフォン リブレ浜松町」もまずまずの人気になった。その比較からも坪450万円は納得だ。
同社は今年3月、このマンションにわが国で初めて衛星インターネットを導入するとニュース・リリースしたが、希望する全住戸からの全方位の眺望写真が見られるというのは業界初ではないか。こちらのほうがニュース価値があるような気もする。
埼玉県の過去最高レベルマンション 近鉄不動産他「グランド ミッド タワーズ大宮」(2010/6/2)
人気は全国区 坪600万円でも圧倒的人気 三井レジ「パークコート浜離宮ザ・タワー」(2017/1/23)
「めざましテレビ」そのまま 朝から元気 サンケイビル「ルフォン リブレ浜松町」(2015/1/20)
1週間に5件 全て売れ行き好調 マンション・戸建ての販売現場に本物の生花・観葉植物
「ルピアコート市川妙典」モデルルーム
いま何が嬉しいかと言えば、わが西武ライオンズの快進撃だ。昨日は8回の段階で0-8の劣勢を覆して9回サヨナラ勝ちを収めるという長いプロ野球の歴史の中で初の快挙をやってのけた。
これと同等くらいに嬉しいのは、この1週間で見学したマンション・分譲戸建ての7現場のうち実に5つの販売事務所・モデルルームに本物の生花・観葉植物が飾られていたことだ。
まずその物件を紹介する。コスモスイニシアの戸建て「グランフォーラム田園調布本町 桜坂」と「グランフォーラム成城学園前」、東京建物・三菱地所レジデンスのマンション「ブリリア一番町」(昨日記事配信)、ポラスのマンション「ルピアコート市川妙典」、住友不動産のマンション「シティハウス中野テラス」だ。
記者は昨年5月、「いい加減にしてほしい モデルルームのケミカル製品・造花の氾濫」という記事を書いた。それが通じたわけではないだろうが、わずか1週間でこれほどの物件のモデルルームなどに本物の生花・観葉植物がセットされていた。喜ばずしていられようか。
そして、さらに嬉しいのは、これから分譲される「シティハウス中野テラス」を除いて全て売れ行きが好調ということだ。もちろん本物の生花・観葉植物を使用したことが販売に好結果をもたらしたなどとは書かないが、来場されたお客さんに好印象を与えたのはまず間違いない。
この4物件については追い追い記事にするが、本物の植物がどのような効果をもたらすか、これまた最近経験した例を一つ紹介する。
記者は、青山1丁目にある、タバコが吸えるいつも生花が飾られているレトロな雰囲気がする喫茶店によく通った。いまでも近くで取材する機会があると必ず利用する。先日、道端に咲いていたハナニラを数本摘んで、その店のカップにそのまま挿した。店の人が気を遣ってくれて、もう1つカップを用意してくれた。
気持ちのいい冷水につかることで生気を増したハナニラを眺めながら煙草をくゆらせていたら、店の女性経営者が「かわいいわね。わたしも造花は嫌いで、いつも生花を活けているけど、この草花で店の空気が変わる。感動しちゃう」と声を掛けてくれた。
誰にも顧みられないような野の草花でも周囲の空気を一変させる力を秘めている。
一生に一度か二度の大きな買い物をするマンションや戸建ての購入希望者に、フェイクだらけの床やら壁やらしか提供できないのだから、せめて観葉植物くらいは本物を使ってほしい。それがお客さんに対する礼儀だ。「本物の観葉植物は手間暇がかかる」という無神経なデベロッパーが少なくないのが全く理解できない。いやなら置かないほうがまだましだ。
「グランフォーラム成城学園前」玄関(カウンタートップはフィオレストーン)
ハナニラ(先日、阪急阪神不動産の戸建て記事では阪神ファンに失礼なことを書いたが、このハナニラの写真を記事に添えた。阪神ファンの怒りを鎮める効果をもちろん狙った。今のところ苦情・抗議は届いていない。ハナニラの効果か)
いい加減にしてほしい モデルルームのケミカル製品・造花の氾濫(2017/5/23)
.
〝住まいに美を〟「@cosme」とコラボ「板橋本町」 新日鉄興和不動産
「リビオレゾン板橋本町ステーションサイド」完成予想図
新日鉄興和不動産は4月18日、〝住まいに美を追求する〟「Plus Be@uty PROJECT」の研究成果を反映した分譲マンション「リビオレゾン板橋本町ステーションサイド」の見学会を行った。日本最大の化粧品・美容の総合サイト「@cosme」メンバーの女性を対象に行った理想の住まいに関するアンケート調査結果を商品企画に盛り込んだ。モデルルームは5月3日(木)からオープンする。
物件は、都営地下鉄三田線板橋本町駅から徒歩2分、板橋区大和町に位置する14階建て全95戸。専有面積は30.44~68.36㎡、予定価格は2,600万円台~5,800万円台、坪単価は300万円弱になる模様。竣工予定は2019年7月中旬。売主は同社のほか大栄不動産。設計・監理は環境デザイン研究所。施工は川村工営。
内廊下方式で、西向き住戸は住居系地域が一望できるが、東側は高速道路に面しているので、その騒音がかなりの難点になる。
今回の物件は、全95戸のうち77戸が約30㎡台のタイプであることから@cosmeとコラボし、「@cosmeメンバー」対象にウェブアンケートを実施(有効回答801件)し、その回答をもとに@cosme編集部と座談会を行うなどして商品企画に反映した。
「美」をサポートするオリジナル洗面化粧台・プランを共同開発したほか、「住みながら美容」を実現する設備として紫外線を遮るLow-Eガラスや天井ナノイー発生器、エステケアシャワーヘッドを採用。このほか食洗機や湿度調整にも活用できる室内物干しを採用し、フロアコンセントを設置し収納スペースに工夫も凝らした。
同社はコンパクトマンションシリーズ「リビオレゾン」を2011年秋に第一弾を販売開始してからこれまで首都圏のみで24物件930戸を供給している。
座談会
洗面化粧台
◇ ◆ ◇
約1時間の発表会は、女性の「美容」に関することにほとんど費やされた。企画に参画した@cosme編集部の若い男女2人が参加して同社住宅事業本部開発第三部開発第二グループの和田浩明氏とのトークセッションも行われた。
@cosmeのスタッフは「メーキャップの小物は十数点、多い人は50点もあり、収納しきれない」「メイクは鏡やクローゼットと近いほうがいい」(女性)「女性は時間がないことに対していろいろ工夫している。(プロジェクトに)ワクワクしている」(男性)などと話した。
外見を美しく見せる美の研究に異論はない。これはこれで結構なことだと思う。
記者はかつて三井不動産レジデンシャルが洗面室に自然光を採り入れた戸建てを見学したことがあり、最近では東急不動産の「日比谷パークフロント」に夜の女性に変身する女優ミラーが女子トイレに設置されているのも見た。三井不動産の「東京ミッドタウン日比谷」には、裸で日比谷公園を眺めながらシャワー室が女性用のみに設置されているのも見学した。
ただしかし、これが一番大事なことだと思うが、今回のトークセッションでは体の中身(心)を美しくすることについては全く言及がなかった。これが理解できない。「女性は化粧などしなくても基本的に美しい。素顔と化粧のギャップを見せられるのはたまらない。そんなことより、中身・心を磨くために芸術に親しむとか本を読むことのほうが大事ではないか」と質問したら、女性スタッフは「中身についてもやっています。食べることとか…」と答えた。(記者は心を美しくしたほうがいいと質問したつもりだが)
感心したコメントもあった。28歳のイケメン独身男性スタッフは、「理想の住まいは、女性が笑顔でいることができること」と話した。仰る通りだ。記者も28で結婚するとき「彼女が生涯輝ける星であり続けるように」と誓った。
ところが、彼女が満天の空でキラキラ輝いていたのは子どもが産まれたころまでで、その後は曇天にかくれるように表情が曇り、ときには雷鳴がとどろく土砂降り状態となり、泥酔して朝帰りをしようものなら玄関ドアチェーンを内から掛けられたこともあった。
後悔先に立たず。忸怩たる思いがする。記者の二の舞を演じないように、イケメン独身男性スタッフと同社には連れ合いが笑顔でいられる理想の住まい=夫婦の形を築いてほしい。多少劣悪な居住環境でも女性は美しく輝けると確信している。
もう一つ、興味深い話も聞けた。@cosme女性スタッフは「詐欺メイク」なる文言を発した。男性を欺くためではなく、自分自身を欺くために変身する化粧という意味だそうだ。外出するたびに自らを消す行為をすることが楽しいのか悲しいのか、美しくなろうとするのか醜く見せようとするのか。不可解千万。
記事とは関係ないかもしれないが、自分が「ブス」だと思っている、そしてまた自分が美人だと信じ込んでいる全ての女性に西加奈子さんの「きりこについて」(角川文庫)をお勧めする。「ブス」の呪縛から解放されるはずだ。
ラウンジ
リビングで〝ながら化粧〟ができるフロアコンセント
坪750万円でも好調 「Brillia」最高峰 東建・地所レジ「一番町」 サロンに乃村工藝
「Brillia 一番町」完成予想図
東京建物(事業比率60%)と三菱地所レジデンス(同40%)の「Brillia 一番町」を見学した。半蔵門駅から徒歩3分の番町文人通りなど三方道路の角地で、東京都の総合設計制度の適用を受けた免震マンション。坪単価750万円もさることながら、立地にふさわしいアートを各所に採用するなど「Brillia」の最高峰だ。売れ行きも絶好調。
物件は、東京メトロ半蔵門線半蔵門駅から徒歩3分、千代田区一番町に位置する18階建て全106戸(販売戸数は82戸)。専有面積は74.08~201.89㎡、第2期(戸数未定)の予定価格は14,100万円台~27,800万円台(74.08~106.54㎡)、最多価格帯は18,000万円台。坪単価は750万円。竣工予定は平成31年9月上旬。設計・施工・監理は三井住友建設。デザイン監修は日建設計。
今年3月から分譲開始されており、高層階の坪単価1,000万円超の住戸はすべて完売するなど販売は好調に推移しており、これまでに約半数が成約済み。
現地は、道路を挟んだ対面に高層ビルやマンションが建っており、中層階以下では皇居は一望できないが、番町文人通りの対面はローマ法王庁大使館。戸数が100戸超の番町エリアのマンション供給は過去20年間で4物件しかないのも特徴。
建物は、免震工法を採用しているほか、東京都総合設計制度の適用を受け、サウスガーデンとノースガーデンなど広い空地・緑地を確保。住戸プランは3~14階までは1フロア7戸、15~17階は6戸、最上階の18階は4戸構成のワイドスパンが特徴。
設備仕様は、ポーゲンポール社のキッチン、シーザーストーン、突板面材、陶器洗面ボウル、グローエの多機能シャワーベッド、ミーレの食洗機、ユニオン社のドア把手、オークの突板床、その他はなど。リビング天井高は14階までは2600ミリ、15~17階が2800ミリ、最上階は3200ミリ。
販売担当のゲストサロン副所長・松野尾和樹氏は「ゲストサロンは乃村工藝社を起用。極力お客さま同士が出会わすことがないようにシンプルにし、生花は定期的に替えるえるようにしている。シアターに水を張ったのも乃村さんの提案。150㎡のモデルルームは『ザ・ペニンシュラ東京』を手掛けられた橋本夕紀夫氏がデザインを担当。4ミリ厚のオーク突板床、一脚400万円のトチノキのローテーブル、キッチンメーカーでは最高峰のポーゲンポール社製。お客さまの評価が高く、『Brillia』の最高峰を担当することになって光栄」と話した。
基壇部のガラスファサード(左)とエントランスホール
サロンに掲げられていた生花
コイが泳いでいるように見えるシアターの下に設置された〝池〟
150㎡のモデルルーム(玄関から)
1脚400万円のトチノキのテーブル(左)とクスノキのテーブル
◇ ◆ ◇
ここ数年間に番町エリアのマンションは10件近く見学した。強く印象に残っているのは三井不動産レジデンシャルの「一番町」、東急不動産の「一番町」、大和ハウスの「六番町」などだ。もちろん、過去4物件しかない100戸超の「三番町パークテラス桜苑」(102戸)「ザ・パークハウス グラン三番町」(148戸)「ブランズ四番町」(164戸)も見学している。
これらと比較して、今回の「一番町」のゲストサロン・モデルルームの出来栄えは勝るとも劣らない。東建の畢生の力作だと思う。
サロンに入ってすぐ写真で紹介した生花が目に飛び込んできた。名前を控えるのを忘れたが、かなり著名な方の〝作品〟だったはずだ。大ぶりのこれ見よがしのランの花とは全然異なる。
4つある接客ブースは個室。個室タイプは他社の物件にも多いが、シアターは個室の間に隔壁が設けられているので、隣同士お見合いすることはないようになっていた。
驚いたのは奥行きにして1m以上、幅にして10m以上の、皇居のお濠と実際に設置される水景をイメージした〝池〟がシアタールームに設置されていたことだ。その池には鯉や月、蓮、波紋などが映り込むようになっていた。シアターには次々とその道のプロによるアート作品が展開された。
これだけで、マンションのコンセプトである「和敬清寂」がすんなりと受け入れられた。
マンションの販売事務所の企画を手がけるのは初めてという乃村工藝社が、本格的にこの事業に乗り出したら販売事務所のあり方そのものを一変させるかもしれない。
150㎡のモデルルームも最高の出来だ。〝お客さんの期待以上〟に応えるから感動を呼ぶ。高額住戸から売れていったというのも納得だ。
モデルルーム
その美しさに声を失った 商品企画も秀逸 三井不レジ「パークコート一番町」(2017/2/21)
これぞ正統派の億ション 東急不動産「ブランズ ザ・ハウス一番町」竣工(2017/1/23)
「地価公示日本一」六番町にフェルメールを見た 大和ハウスが億ション(2016/3/14)
第1期167戸成約 小田急不ほか「海老名」のタワーマンション好調
「リーフィアタワー海老名アクロスコート」完成予想図
小田急不動産は4月12日、三菱地所レジデンス、小田急電鉄との3社共同プロジェクト「リーフィアタワー海老名アクロスコート」(304戸)の第2期販売を4月14日(土)から開始すると発表した。
1月6日にモデルルームをオープンし、これまで第1期1次~第1期3次として195戸を供給し、167戸が成約するなど販売は好調に推移している。専有面積は45.25~120.65㎡、最多価格帯は5,400万円台。総来場者は955件。
契約者は、20代後半のプレファミリーからシニア層まで多様な世帯で、持家からの住替えが全体の約60%、交通利便性の向上への期待感から広域勤務(都内および横浜市内)が全体の30%に達している。
マンションはアートだ 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」竣工
「パークコート青山 ザ タワー」
三井不動産レジデンシャルは4月11日、圧倒的な人気を呼んだ「パークコート青山 ザ タワー」のプレス向け竣工見学会を行った。
公開されたのは一部の共用部分のみだが、アール状デザインを全面に施した建物は〝美しい〟の一語に尽きる。
1階のコンシェルジュカウンターから2階のガーデンラウンジまで高さにして約40mの壁面に採用されている一片が長さ約150㎝、幅約10㎝のガラスはフランス製で、枚数は約6,000枚とか。1枚1枚にエナメルの白い線がアトランダムに塗られており、見る角度によって表情を変える。これを職人さんが張ったことを想像するだけで気が遠くなる。
床は一流ホテルでも経験できないようなふかふかのカーペット敷きで、壁面にはアートが飾られていた。
プライベートガーデンに設置されている安田侃氏のアートはどこかヘンリー・ムーアを連想させるもので、25階の倶楽部ラウンジのキッチン扉はモンドリアンの絵画のようだ。
全体がヴィーナス像そのもののアートだ。写真をとくとご覧あれ。
24階共用部分
安田侃氏のアート
2階のガーデンラウンジ
ガラスアート
1階から2階への階段(左)とエレベーター内
アロハ! 商業・価格・平置き 3点セット奏功 1期162戸即完 新日鉄興和「葛西」
「リビオシティ・ルネ葛西(TOKYO ALOHA PROJECT)」完成予想図
新日鉄興和不動産(事業比率70%)・総合地所(同30%)の「リビオシティ・ルネ葛西(TOKYO ALOHA PROJECT)」の第1期162戸が即日完売した。両社は4月12日にニュース・リリースするはずなので、詳細はそちらを読んでいただきたい。ここでは率直な感想に留めたい。
物件は、東京メトロ東西線葛西駅から徒歩18分(バス8分徒歩1分)、江戸川区東葛西9丁目の工場地域に位置する14階建て全439戸。専有面積は58.48~84.08㎡、第2期(戸数未定)の予定価格は2,900万円台~5,900万円台(最多価格帯4,400万円台)、坪単価は214万円。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は平成31年8月下旬。販売代理は長谷工アーベスト。
現地は、大規模商業施設「アリオ葛西」と「ホームズ葛西」に隣接。用途地域は工場地域だが、商業施設やマンション化が進んでおり、嫌悪施設はほとんどない。
建物はL字型で、住戸は約3分の2が南向きで、3分の1が西向き。平置き駐車場が257台。今回分譲は南向きで、プランは68㎡、72㎡、76㎡、84㎡の4タイプ。
テラスラウンジ
◇ ◆ ◇
即完を知ったときはわが目を疑った。この物件について両社は2月、記者発表会を行った。記者は出席しなかったが、業界紙がその内容を伝えた。記事を読んで、単価は安いが、バス便で439戸もあるから、「アリオ」などの大規模商業施設があるとはいえ販売は長期化するのではと判断・予測した。その判断・予測がものの見事に外れた。
即完を知って、おっとり刀で現場に駆け付けた。新日鉄興和不動産の住宅事業本部都市創造部・野上晋佑氏が興奮気味に次のように話した。
「大規模商業施設に隣接し、価格の安さ、平置き駐車場の3点セットが奏功した。社内でも『大丈夫か』などと危惧する声もあり、賛否両論があったが、手応えを感じていた。ターゲットが絞りやすく、お客さんの顔がしっかり見えていた。この結果が業界にもお客さんにも伝わり、いい流れになってほしい」
現地
◇ ◆ ◇
お世辞にもいいプランばかりとは言い難い。間口が5.8mの68㎡の3LDKは全23スパンのうち6スパン(合計84戸)あるが、これなどは昭和50年代の長谷工コーポの〝コンバス〟そのもので、当時〝広めの3LDK〟として成功した間取りだ。
設備仕様レベルも高いとは言えない。ディスポーザーも食洗機もついていない。郊外型のマンションとそれほど違わない。
それでも、第1期162戸即日完売に快哉を叫びたい。ひょっとしたら住宅にそれほどお金をかけない今のミレニアル世代にぴったりなのかもしれない。マンションの共用施設にはゲストルーム、キッズラウンジ、カフェラウンジ、小規模保育所などがあり、様々なコミュニティプログラムや〝コンシェルジュサービス〟も受けられる。
隣に大規模な商業施設があるのも大きな魅力なのだろう。ここでほとんどすべてを済ますことができる。葛西臨海公園も近い。この魅力を同社は訴え切ったということだろう。申込者は共働き世帯より専業主婦世帯が多いと聞いたが、これも納得。〝ここは最高。あなたは少しだけ通勤難を我慢すればいい〟というしっかり者の奥さんの声が聞こえてくる。(「アリオ葛西」「葛西臨海公園」を過小評価してはいけない。記者は7年前にその威力を実感した)
販売事務所、モデルルームもよく出来ていると思った。コンセプトの〝ALOHA〟を分かりやすく伝えている。シアタールームには本物の砂が敷き詰められていた。モデルルームにはフェイクでない観葉植物がセットされていた。「ウゴクロ」を活用した10畳大の主寝室の提案もインパクトがあった。
シアタールームの砂と木片、貝殻など
有楽土地「オーベル葛西ベイパークス」即完に納得(2010/5/14)
レベルが高い 長期優良住宅認定 東急電鉄他「十日市場」 順調なスタート
「ドレッセ横浜十日市場」完成予想図
東急電鉄・東急不動産・NTT都市開発の3社JVマンション「ドレッセ横浜十日市場」を見学した。横浜市が推進する「環境未来都市 横浜」のモデル事業で、長期優良住宅認定を受けた敷地面積約14,500㎡、全311戸の緑区最大級の複合プロジェクト。3月から分譲が始まっており、第1期85戸が完売。順調なスタートを切った。
物件は、JR横浜線十日市場駅から徒歩7分、横浜市緑区十日市場町に位置する14階建て・9階建て・11階建て3棟の全311戸。専有面積は62.46~90.43㎡。坪単価は未分譲の「ガーデンテラス」を除くと210万円前後と思われる。竣工予定は2019年7月下旬。販売代理は東急リバブル、東急不動産、東急ライフィア。施工は長谷工コーポレーション。デザイン監修は梓設計。
今年3月から分譲開始され、第1期70戸と追加の15戸が完売。4月13日に第1期2次(6戸)が分譲される。価格は3,848万~5,998万円(62.48~87.98㎡)。
現地は、横浜市が取り組む「環境未来都市計画」の青葉区たまプラーザ駅北側地区、磯子区洋光台周辺地区、相鉄いずみ野線沿線地域とともに4つのモデル地区に指定されているエリアの一角。
全体で20街区・21街区・22街区から構成されている3つの市有地街区のうちの20街区が今回のマンション街区。隣接する21街区には期間50年の定期借地権付きとしてサービス付き高齢者向け住宅、高齢者向け賃貸住宅、8棟の戸建てなどが計画されている。
物件は、駅からはなだらかな坂を上ったところに位置するが、途中には信号が1カ所しかなく、歩行者専用の歩道も整備されている。市はバリアフリー構想に基づき、唯一バリアフリーになっていない橋の整備も行う予定。
エリアマネジメント手法を導入し、コミュニティ活動、地域環境活動、サスビナリティ活動を「クオル」がサポートしていく。
隣接する21街区と合わせ建物内には保育園、学童施設、ミニスーパー、コミュニティカフェなども併設される。
建物は、敷地の南端に位置するサニーテラス、交流の中心となるメインストリートに面した東向きのリビングテラス、中庭を眺望するガーデンテラスの3棟で構成。別棟として交流拠点の「HANA-RE」が設置される。
住戸プランは平均74㎡のファミリー向け住戸が中心。基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450~2500ミリ(14階の最上階は3000ミリ)、食洗機、ディスポーザー、可動間仕切りのウゴクロなどのほか、防犯サポート&見守りの「ドア・窓センサー」か「モーションセンサー」のどちらかを選択できる「イッツコムインテリジェントホーム」が標準装備。
モデルルーム
◇ ◆ ◇
十日市場は、横浜市の定期借地権付き戸建て分譲を見学して以来6年ぶりに訪れた。駅の南口と北口にパチンコ屋が入居するビルがあるのはいかがなものかと思うが、住むにはいい街だ。
物件は、長期優良住宅認定を受けているだけに第一級品のレベルの高さだと思う。先日見学した、第1期162戸が即日完売した「トーキョー アロハプロジェクト」の坪単価は214万円だったが、こちらのほうがはっきり言ってレベルは高い。これは用地の取得価格によるものだろうが、横浜市民は恵まれている。都内23区ではまずこの価格ではこのレベルのマンションは取得できない。都下でも難しいのではないか。
一つだけ言いたい。ここで詳しくは書かないが、どうして長期優良住宅認定マンションが横浜市の集合住宅環境性能評価制度「CASBEE 横浜」でSではなくAランクなのか。物差しが異なると言ってしまえばそれまでだが、一般ユーザーにとっては非常に分かりづらい。整合性を検討すべきだ。
駅近くの歩道
◇ ◆ ◇
幹事会社の東急電鉄にも一つ注文。同社が二流会社ならこんなことは書かない。
これほど基本性能が高いのに、販売事務所やモデルルームの観葉植物はどうしてフェイクばかりなのか。シアタールームにシダ類を配置しているのはアイデアとしてはいいが、すぐに偽物だということが分かる。せっかくの価値を押し下げるようなものだ。東急ともあろうものがといいたい。同社に求めているのは並みのデベロッパーではない。積水ハウスの「品川」を見習ってほしい。
前段で少し触れた「トーキョーアロハ」ではその逆に本物の観葉植物が配されていた。シアタールームにコンセプトが分かりやすいように砂浜をイメージした砂・小石が敷かれ、流れ着いたような木片や貝殻、空き瓶がランダムに置かれていた。
シアタールームのフェイクの観葉植物(左)と「トーキョーアロハ」のシアタールーム
長期優良住宅が「CASBEE」で評価されないのはなぜ(2013/6/13)
デザイン秀逸 第1期1次43戸が即日完売 伊藤忠都市・東急不「文京関口」
「クレヴィア文京関口」完成予想図
伊藤忠都市開発と東急不動産が先に第1期1次43戸が即日完売したと発表した「クレヴィア文京関口」を見学した。コンパクトとファミリーの混合型で、坪単価410万円。デザインが秀逸だ。
物件は、東京メトロ有楽町線江戸川橋駅から徒歩2分、新宿区改代町に位置する9階建て全85戸。専有面積は35.02~106.68㎡、第1期1次(43戸)の価格は3,998万~17,898万円。坪単価は410万円。竣工予定は2019年2月中旬。設計・監理は陣設計。施工は佐藤工業。
第1期1次は3月24日(土)に登録を締め切り、最高4倍、平均1.34倍で即日完売。1月からの来場者数は280件超。駅から2分の利便性、南東の角地、モダンな外観デザインなどが評価されたという。
現地は、準工地域だが住宅地化が進んでおり、嫌悪施設などはほとんどない。また、江戸川橋地蔵通り商店街に面しているが、それほど車の往来もなく、道路を挟んだ南側も中層の建物がほとんどで、東南角地ということもあり、上層階は眺望が開ける立地だ。
そして何より強調したいのは、外観デザインが秀逸であることだ。完成予想図の通り水平ラインを強調したグリットとハイサッシの明るいデザインが美しい。
モデルルームもよくできている。設備仕様は逆梁ハイサッシ(一部腰窓)、シーサーストーンのキッチンカウンター、食洗機、グローエ水栓、天然石仕上げの床など。
住戸プランは30㎡台の1LDKが14戸、50㎡台の2LDKが36戸、60~70㎡台の3LDKが29戸、ペントハウスなど1億円以上のプレミアムが5戸。このバランスも絶妙だ。
レジデンスサロンでは各種物件資料を格納したタブレット端末を使用し説明する手法を採用。契約者にはタブレット端末を進呈する。
:現地