郊外復権の一つになるか 外構・壁面緑化が見事 アンビシャス「上尾」

「アンビシャス上尾」完成予想図
アンビシャスが分譲中の「アンビシャス上尾」を見学した。駅から徒歩9分の全102戸で坪単価は180万円。4月末から販売を開始しており、これまで30戸が成約済み。順調なスタートを切った。
物件は、JR高崎線(上野東京ライン)・湘南新宿ライン上尾駅から徒歩9分、上尾市西宮下一丁目の第二種住居地域に位置する9階建て全102戸。現在分譲中の住戸(8戸)の専有面積は51.96~76.14㎡、価格は2,980万~4,670万円、坪単価は180万円。竣工予定は令和2年8月25日。設計・監理はソシアル綜合設計。施工は吉原組。
現地は、戸建て住宅街の一角。徒歩12分にはイオンモール上尾が2020年秋開業予定。敷地の従前は賃貸マンションと畑。三方が道路で、もう一方の南側も幅員約1メートルの建築基準法による水路(暗渠)。建物はL字型で、四方に緑を巡らせ、ごみ置き場・受水槽も壁面緑化でくるむなど外構・植栽に力を入れているのが大きな特徴。
住戸プランは、標準階は南南東向き9戸と南南西向き5戸の構成で、60・63・65・66・68・70・73・76㎡台の2LDK~3LDKが中心。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400~2550ミリ、食洗機、開閉両面ソフトクローズ機能付き引き戸など。
取締役建設部長・奥谷邦夫氏は、「外構には力を入れました。建物を敷地境界線からセットバックさせて、そのスペースに中高木を植えました。受水槽は壁面緑化を施し、立体駐車場の壁面はルーバーを配するなど、地域との親和性も図りました」と力説した。
販売担当の同社営業部次長・川畑武士氏は、「住宅情報誌の湘南新宿ライン沿線の物件アクセスランキングで2カ月連続してトップになった物件。来場者は地元が中心ですが、かなり広域から集客できています。コロナ禍で接客などに制約を受けていますが、販売は順調に進んでいます。三密? わたし? 大丈夫。昼食も700円くらいの弁当を買って事務所で食べています」と話した。(記者のこの日の昼食も、コンビニでおにぎり2個とビールを買い、公園で食べた。500円くらい。川畑氏に勝ったぞ)

モデルルーム

外構

ゴミ置き場・受水槽の壁面緑化
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「上尾」のマンションは昨年の同じころ、タカラレーベン「レーベン上尾GRAN MAJESTA」を取材している。売れ行きのいいのに驚いた。
今回の物件は、タカラレーベンの物件とは反対の方角で、今秋に開業予定のイオンモール上尾まで徒歩12分という立地もさることながら、外構・植栽に力を入れているのも大きな特徴の一つだ。
同社は平成16年に創業してからこれまで100棟以上約4,000戸のマンションを分譲している。1棟平均は約40戸だ。100戸以上の物件は今回で4棟目というから、その大きさが分かるはずだ。
「環境共生」「戸建て感覚」に力を入れてきたが、これらは一定の規模が確保できてより生きる。奥谷氏が植栽に力を入れたと強調したのも、同社が掲げる「環境をつくる」「快適をつくる」「安心安全をつくる」を具現てきたからではないか。
敷地の四方に緑を張り巡らせているランドプランは同社の特徴であり、これまでもたくさん見学してきたので〝なるほど〟と納得したのだが、長さ約40m、高さ約3mのゴミ置き場・受水槽の四方を壁面緑化による緑で覆っているのには驚いた。これまでも壁面緑化を施したマンションはかなり見学してきたが、これほどの規模の物件は記憶にない。舗道も透水性のコンクリート。
記者はwith&afterコロナのテーマの一つに見据えているのが〝郊外復権〟だ。在宅ワークが一挙に拡大し、マンションなど住宅にも大きな影響を与えると思っている。
都内23区ではマンションの坪単価は300万円を超えている。20坪で6,000万円以上だ。埼玉県でも浦和、大宮、川口、所沢などの主要駅圏も坪300万円をはるかに突破しており、金科玉条のようにもてはやされてきた〝駅近〟は坪400万円もあるかもしれない。
テレワークになれば、〝駅近〟や〝交通便〟〝資産性〟の価値は減殺し、逆に住環境や居住性が重要視されることになる。かといって喧伝されている〝田舎暮らし〟が爆発的に増えることもあり得ない。隠遁生活によるストレスの増大はもちろん、仕事や余暇活動に伴う移動コストは家計を圧迫するはずだ。都心部とほどよい距離の住宅が脚光を浴びると見ている。このマンションもそのうちの一つだ。

北側からの外観
東急不動産 在宅テレワークに対応したインテリアオプション マンションに導入

東急不動産は7月15日、分譲マンションシリーズ「BRANZ(ブランズ)」を主な対象とした在宅ワークに対応したインテリアオプションの開発に着手したと発表した。
コクヨと連携し、インテリアの販売やリフォーム事業等を手掛ける東急Re・デザインが居住前に工事・搬入を行うインテリアオプションとして開発することにしたもの。収納や家具の一部にワークスペースを組み込み、居住性を損なわずインテリア性の高いワークスペースの空間を創出する。
インテリアオプションは首都圏の「ブランズシティ世田谷中町」と「ブランズ浦和別所沼公園」に導入する予定。
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イメージ図を見て、安部公房の小説「箱男」を思い浮かべた。ダンボール箱にすっぽり入って、世の中の動きをのぞき窓から見つめる男の物語だ。そしてまた、ダンボール箱に入ったり、押し入れに籠ったりして遊んだ小さいころを思い出した。間違いなく男性にはこの種の経験があるはずだ。
仕事をするために収納に収められ、収納の一部と化すのに抵抗を感じる人もいるかもしれないし、わたしも嫌だが、理解を示す人はいるのではないか。問題は価格だが、収納も含めて数十万円で済むのではないか。居住スペースが確保できない人に最適だ。転倒防止もするのだろう。
大和ハウス 同社の国内外最高額・単価マンション NYマンハッタン地区で165戸分譲

「100クレアモントアベニュープロジェクト」外観イメージ(右側高層建物)
大和ハウス工業は7月15日、米国ニューヨーク州マンハッタンの地上41階建て複合型超高層分譲マンション事業「100クレアモントアベニュープロジェクト」の概要を発表した。
同社の米国現地法人Daiwa House Texas .Inc.(ダイワハウス テキサス) を通じ、豪州シドニー に本社を置くLendlease Corporation Limited(レンドリース コーポレーション)の米国現地法人と行う事業。
「100クレアモントアベニュープロジェクト」は、 Union Theological Seminary(ユニオン神学校)のキャンパス内で開発するプロジェクトで、教育施設や文化施設が建ち並ぶ「モーニングサイドハイツ地区」に位置。
建物は、ユニオン神学校の教育施設や教職員住宅で構成される同地区で最大の超高層地上41階建て延床面積約33,000㎡。販売住戸は165戸で、居住面積は65~315㎡、中心価格帯は2億3,000万円台になる模様。販売開始は2021年8月。竣工予定は2023年3月。
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建設地は、「人種のルツボ」と言われるマンハッタンの教育施設が多いエリアというから、東京の3A(赤坂、麻布、青山)や六本木、銀座、新宿、渋谷でもなく、文京区本郷や御茶ノ水エリアに近いのか。
中心価格が2億3,000万円台と言われても、その中心価格帯の居住面積が分からないので高いのか安いのかさっぱりわからない。仮に25坪としたら坪単価は920万円くらいか。
同社のこれまでの国内最高単価マンションは「プレミスト六番町」の坪単価800万円超だ。これを上回る同社の最高単価・高額マンションになりそうだ。完成予想図を見る限りでは立派な建物だ。
「地価公示日本一」六番町にフェルメールを見た 大和ハウスが億ション(2016/3/14)
東大を睥睨する野村不動産「プラウドタワー本郷東大前」(2010/6/10)
安すぎないか 中心市街地の一角で坪単価160万円 大成有楽不「八王子」

「オーベルグランディオ八王子エアーズ」
大成有楽不動産が7月5日に分譲開始した「オーベルグランディオ八王子エアーズ」を見学した。JR八王子駅から徒歩17分とややあるが、坪単価は160万円。遠隔物件でもなさそうな〝安さ〟で、全168戸のうち第1期25戸と追加販売した住戸7戸を供給し、7月13日現在、20戸が成約・申し込み済み。順調なスタートを切った。
物件は、JR中央線・横浜線・八高線八王子駅から徒歩17分、京王線京王八王子駅から徒歩20分(バス利用の場合:八王子駅よりバス6分・徒歩1分)、八王子市八幡町の商業地域(景観計画区域)に位置する15階建て全168戸。先着順で分譲中の住戸(12戸)の専有面積は69.03~81.42㎡、価格は3,208万~4,388万円(最多価格帯3200万円台)、坪単価は160万円。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。竣工予定は2022年1月上旬。販売代理は長谷工アーベスト。
現地は、車道とタイル張りの歩道を合わせ幅員約21mの甲州街道(国道20号線)に面しており、周辺には商業施設、金融機関が並び、マンション化も進む中心市街地の一角。地元で人気の八百屋もすぐ近く、[*1] 対面には明治初期に建てられたタバコ屋(蔵)がある。敷地は元スーパー。
建物はT字型で、1階に様々な用途として利用できるシェアキッチン&シェアスペースのほかコミュニティテラス、500種の雑誌がwebで読めるコミュニティラウンジ、シェアツールストレージを配置。標準階は南向き72~81㎡の5戸と、西向き69~72㎡の7戸で構成。主な基本性能・設備仕様は、同社オリジナルの収納「オレンジラボ」、0.7~0.8畳大の「ホームライブラリー」(一部)、「壁内蔵梁工法」、リビング天井高2500~2600ミリ、直床、複層ガラス(一部Low-Eガラス)など。
同社マンション事業本部事業室(第二)係長・庄司憲史氏は、「現在分譲中の他社物件とは単価・コンセプトが異なり、これから分譲される物件とは単価が異なるのでそれほど競合はしていない。テレワークを見据えた『ホームライブラリー』も提案した。順調なスタートを切れた」と話している。

「ホームライブラリー」
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京王線沿線に住む記者は、京王八王子駅から徒歩でモデルルームのある販売事務所に向かったのだが、古い町並みが続きやはり遠い。業界紙の「住宅新報」が坪単価160万円と報じていたので(交通便は記載なし)、〝これは相当立地が悪い〟と思ったが、現地はそうではなかった。市内の中心市街地ではないか。
駅からの距離のみだったら坪単価160万円は納得できないわけではないが、多摩の中核都市である八王子の中心市街地の一角であることを考えると〝安すぎる〟というのが率直な感想だ。
同社だけではないが、どうもマンションデベロッパーはわが多摩エリアを見くびっているとしか思えない。Afterコロナで脚光を浴びるのは多摩エリアだ。

対面のタバコ屋さん

看板には「タバコは動くアクセサリー」とあった
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庄司氏から聞いたのだが、京成電鉄が八王子駅から徒歩6分の商業エリアで、施工は長谷工コーポレーションで、販売代理は長谷工アーベストの「サングランデ八王子」(56戸)を分譲しているのを知った。現地も確認した。モデルルームを見学させてもらおうと電話したら「当日では…」と断られた。坪単価250万円と読んだ。単価が異なるのでそれほど競合はないはずだ。
タカラレーベンも近く分譲するというから、同時に見学取材しよう。

右側が現地
〝タワマンに負けない〟商品企画光る 明和地所「クリオ レジダンス八王子」(2017/12/11)
野村不動産「オハナ八王子オークコート」上々のスタート(2014/6/2)
大京 瀬谷駅前の再開発マンションの名称決定 価格はいくらになるか

「ライオンズ横濱瀬谷ステーションスクエア」
大京は7月10日、相鉄線背湯駅前の「瀬谷駅南口第1地区第一種再開発事業」の施設「ライブゲート瀬谷」内に建設中の分譲マンション名称を「ライオンズ横濱瀬谷ステーションスクエア」に決定したと発表した。
同再開発事業は、同社が参画している瀬谷駅南口第1地区市街地再開発組合が開発を進めているもので、ペデストリアンデッキで駅に直結する再開発施設は、地下階の駐車場、建物南側部分1・2階の物販・飲食などの商業施設、3~10階の住宅144戸(分譲住戸128戸、権利者住戸16戸)、建物北側部分3・4階の公共施設・瀬谷区民文化センター(仮称で構成されている。
相鉄本線瀬谷駅は、2019年11月に相鉄・JR直通線が開通したことで、新宿・渋谷・池袋にダイレクトにアクセスすることが可能になり、2023年3月までに相鉄・東急直通線も開通する予定。
分譲マンションは全戸南向きの配棟計画で、南側には幅員約14mの道路が整備され、部屋内からの開放感や明るさを享受することができる立地環境。間取りは1LDK+S~4LDK、専有面積は52.39 ~81.06㎡。竣工予定は2021年9月8日。設計はアール・アイ・エー。施工は戸田建設。
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マンションの名称決定くらいで記事を書かざるを得ないのが情けない。分譲時期も「未定」だそうだ。
モデルルームがオープンされたら取材したい。価格がいくらになるかだが、相鉄不動産が4年前に分譲した二俣川の再開発マンションは坪280万円で圧倒的な人気を呼んだ。
「二俣川」より「瀬谷」のポテンシャルは低いが、相鉄線の都心への乗り入れも実現したので、相当な値段になるはずだ。坪300万円以下はないような気がする。坪320万円でどうか。同社は最近高値追求しないのでもっと低いか。新型コロナの影響でマンション見学がほとんど皆無なので自信はない。
記録的な一挙供給量380戸 相鉄不他「グレーシアタワー二俣川」は坪280万円(2016/8/22)
業界に激震? 「マンション管理の常識を変えるサービス」 三菱地所が新会社設立


長谷川氏(ジャケットの下は地所の「赤」ではなく緑色のTシャツ)
三菱地所グループのマンション管理会社、三菱地所コミュニティは7月1日、管理コストの削減や修繕積立金不足、マンションの役員の担い手不足といった社会課題の解決を目指し、管理組合がマンション管理会社に業務を委託せずともマンション管理を簡単にできるアプリ「KURASEL(クラセル)」を開発、同日から申し込みを開始したと発表した。新しい商品・サービスは特許を出願中。
「KURASEL(クラセル)」は、三菱地所コミュニティの50年にわたり培ったマンション管理のノウハウを集約してマンション管理組合向けに開発したアプリ。マンション管理に関する知識や経験が少ない人や、忙しくて時間に余裕のない人でも、スマートフォンで簡単に自主管理ができる。具体的には、今までマンション管理会社が担ってきた所有者・居住者情報や契約・発注管理から理事会資料の保管・閲覧、収支状況・支払管理に至るまでの全てをスマートフォン及びWEB上のアプリで一元管理が可能になる。
アプリの利用料金は月々35,000円~(税別・1マンションにつき)。アプリの提供・運営は三菱地所コミュニティが6月1日付で設立した新会社・イノベリオスが行なう。
新会社は、平均的な1棟50~60戸くらいのマンションで年間200万円くらいのコスト削減が可能で、これまで「リプレイス」の選択肢しかなかった管理組合は同社が提供するアプリによる「自主管理」の選択肢が増えるとしており、2024年度末までに全国で3,000組合での導入を目標にしている。
会見に臨んだ社長執行役員・長谷川良裕氏は「これまでのマンション管理の常識を大きく変える革新的なサービス」であることを強調した。
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新型コロナの拡大が顕著になった3月以降、「自粛」に徹しニュース・リリース以外は一つも記者発表会・見学会を行ってこなかった三菱地所グループが4カ月ぶりに一矢を放ったのは主力のビルでもマンション分譲でもなく、どちらかといえばこれまで目立たない存在だったマンション管理についてだった。
メデイア向けの発表会参加呼びかけのフレーズもまた取材意欲をいたく刺激するものだった。「マンション管理組合が抱える、マンション管理コスト増、修繕積立金不足、役員のなり手不足といった様々なマンションの課題について真正面から向き合い、解決に向けて立ち上げる新しいサービスです。既存のビジネスモデルを大きく変える可能性のある革新的な新事業」とあった。発表会場も本社ビルだ。
会見に臨んだ長谷川社長と取締役常務執行役員の安藤康司氏をはじめ、10人以上の関係者はみんな地所のコーポレートカラーである「赤」ではなく、〝常識を変える(カエル)〟にふさわしい「緑」のTシャツを着ていた。意気込みはストレートに伝わってきた。
会見に参加した記者の数も常識を超えるものだった。毎月、マンション管理業協会が行なっている「記者懇親会」をはるかに超える40名くらいに達した。(三菱地所コミュニティが呼び掛けてきた団地の防災イベントを記者は何回か取材したが、他のメディアの方は数えるほどもなかった)
どうでもいいことはこれまで。本題に入ろう。このアプリは業界の常識を変える革新的なサービスになるかどうか。
最初に思ったのは「ノー」だった。記者は昭和50年に完成した多摩ニュータウンの戸数200戸近いマンションに住んでいる。管理組合の理事も務めたことがある。ボランティア組織の会員として団地内の樹木剪定やコミュニティ活動も行っている。樹木剪定は年間数百万円のコスト削減につながっているはずだ。
同社が国土交通省の資料から説明した一般的な50~60戸のマンションの管理費は1戸当たり約12,000円(70㎡で坪当たり約560円)だ。アプリ代35,000円というのは3戸分くらいだ。このお金をねん出できる組合は多くないと読んだ。もちろん、年間で200万円もコスト削減できれば話は別だが…。
そもそも、管理組合が自由に使える金などない。管理費のうち約半分は管理会社への業務委託費に消え、その他の光熱費、樹木剪定などの恒常的な維持管理・軽微な修繕経費などに支出すると、残された組合活動費は10%あるかどうかだ。
35,000円が高いと言っているのではない。アプリはそれくらいの価値があるはずだ。比較は難しいが、例えばマンション管理士など外部専門家を〝お助けマン〟として組合が依頼すればこれくらいの金額になるはずで、この金額に見合う仕事をこなしてくれると思う。マンション管理士の働き口がないのは、これまで専門家を起用(啓蒙)してこなかったことに問題がある。
確かに、自主管理は組合員の意識が高ければ不可能ではないと思う。樹木剪定などは素人でもできるし、自主管理で経費が抑えられる業務はたくさんあるはずだ。意識の高い組合はコスト削減を行っているはずだ。管理会社に丸投げなどしない。
しかし、そういった自主管理の意識が高い組合は少数派で、希薄だからこそ様々な問題が噴出している。そのような管理組合にアプリ提案の声は果たして届くのか。これにも疑問符を投げかけざるを得ない。35,000円を年間200万円のコスト削減にどのようにつなげるかの具体的な説明がこの日はなかったような気がする。
ただ〝200万円のコスト削減〟はマンション管理会社に対する警告でもある。アプリを活用すれば一般的なマンションでこれほどの経費が削減できるということは、いかに現在の管理会社が〝暴利〟(これは言い過ぎか)をむさぼっているかということを業界に発信することにならないか。
いま業界は、「リプレース(リプレイス)」の嵐にさらされている。業界各社がどのような反応を見せるか興味津々。
習志野市「奏の杜」防災訓練に過去最多1,000名 三菱地所グループ&管理組合(2018/3/11)
野村不 阪急塚田駅前の商住複合421戸 尼崎版「SDGsスマートマンション」第1号認定

「プラウド阪急塚口駅前」
野村不動産は6月26日、阪急神戸線塚口駅前の沿線最大規模で商業複合マンション「プラウド阪急塚口駅前」が尼崎版「SDGsスマートマンション」第1号事業に認定されたと発表した。
阪急神戸線では最大規模となる地上16階建て全421戸。基壇部(B1〜2F)の3層は商業施設を配し、大阪梅田・西宮北口・神戸三宮などの周辺都心部に近く便利な街「塚口」における多世代交流、生活サービス、住民コミュニティの充実した街づくりを目指す。
尼崎版「SDGsスマートマンション」は、環境配慮、地域経済活性化、社会課題への貢献など3つの要素を満たした付加価値の高いマンションを認定する制度。1戸当たり3万円が事業者に補助される。
物件は、敷地面積約6,485㎡、16階階建て421戸(うち非分譲住戸6戸)。専有面積は45.43〜115.59㎡。入居予定は2022年10月下旬。
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このような制度があることを知らなかった。あらゆる企業も個人も「SDGs」に取り組むべきだと思うし、小生だって17項目ある目標のうち半分以上に同意し実践しようと考えている。バッジももらって付けている。
3つの認定基準のうちHEMSはなかなか浸透していないが、政府は2030年までに全住宅に普及させようとしている。他の地域経済活性化、社会課題解決はそれほど高いハードルでもない。全てのデベロッパーは尼崎版「SDGsスマートマンション」の基準を満たすマンションを供給すべきだ。全国で年間10万戸供給とすれば30億円だ。安いものだ。ただ、補助金は購入者に直接給付したほうが効果的ではないかと思う。
「Doma(土間)」とLDK一体化 コスモスイニシア「日暮里テラス」企画秀逸

「イニシア日暮里テラス」
コスモスイニシアが8月に分譲する「イニシア日暮里テラス」(54戸)と「イニシア日暮里アベニュー」(45戸)のモデルルームを見学した。「Doma(土間)」とLDKを一体利用できるよう提案した、同社が「より良い住まいのカタチを、過ごし方から考えたネクスト・スタンダードの空間品質『すごしかたファースト』」と呼ぶ「テラス」のモデルルーム(56㎡)が秀逸。マンションの商品企画を一変させるかもしれない。
間取り図をご覧いただきたい。妻側住戸プランで、エントランスを入るとすぐ約2.9畳大の窓付きタイル張りの「Doma(土間)」があり、小上がりにして数センチの段差を設けた13.5畳大のLDKと一体利用できるようにしている。双方を合わせると約16.4畳大の広さになる。LDKの奥の居室・ベッドルームはスライドウォールで区切ればそれぞれ5.5畳大の2室に、開け放てば11.0畳大の1室になる。
物件は、JR日暮里駅から徒歩11分(三河島駅から徒歩5分)、荒川区東日暮里三丁目の商業地域・準工地域に位置する10階建て54戸。専有面積は34.21~66.44㎡、価格は未定だが、予定坪単価は324万円。竣工予定は2021年2月上旬。施工はライト工業。
当初はゴールデンウィークに分譲する予定だったが、新型コロナの影響で6月13日にモデルルームをオープン。新規顧客は1日6組に限定して対応している。「イニシア日暮里アベニュー」は、日暮里駅から徒歩12分の11階建て45戸。「テラス」を先行して販売する予定。

モデルルームプラン

「Doma(土間)」(手前)
◇ ◆ ◇
「土間」の提案は戸建てでは常識で、各社がそれぞれ競い合っている。マンションでも各社がこれまでたくさんトライしてきた。いま思い出すのは2010年に分譲された野村不動産・三井不動産レジデンシャル「中野ツインマークタワー」だ。「60㎡でも90㎡と同等の価値」を具現化したものの一つとして、玄関に約1畳大の「ライフガレージスペース」を提案したものだった。
しかし、今回のコスモスイニシアは「土間」と「LDK」の境を数センチの小上がりで区切るだけでほとんど一体利用が可能なスペースに変えた。恐らくこのような大胆な提案を行ったのは同社が初めてだ。
これと、同程度の面積の一般的な田の字型2LDKプランと比較していただきたい。一般的なプランだと、キッチンは3.3畳大、LDはせいぜい11畳大、居室は廊下を挟んで6畳大と4.5畳大くらいだろう。
コスモスイニシアの今回のプランは中住戸で採用するのは難しいだろうが、角住戸に採用すれば付加価値が高いので強気な値付けが可能になる。

共用部分

モデルルーム(左手前が「土間」)
旭化成ホームズ 「のきのま」モデル棟 土間・LDKと一体利用すれば30畳大の空間(2018/5/22)
活況市場反映 記録的な一挙販売 三井・野村「月島」(2013/6/25)
感動的なマンションを見た 野村不・三井不レジ「中野ツインマークタワー」(2010/11/26)
北区初のZEH 近鉄不「赤羽」/涙が出るほど嬉しかった「お父さん、頑張ってね」

「ローレルコート赤羽」
近鉄不動産が8月に分譲する「ローレルコート赤羽」を見学した。同社初、北区初の「ZEH-M Oriented(ゼッチマンションオリエンテッド)」認定マンション。共働きにターゲットを絞り、全81戸のほとんどを専有面積50~70㎡台の2・3LDKとしているのが特徴。資料請求はこれまでに850件に達している。
物件は、JR赤羽駅から徒歩8分、北区赤羽南二丁目の準工業地域に位置する敷地面積約2,658㎡の8階建て全81戸。専有面積は53.86~72.44㎡、価格は未定。竣工予定は2021年1月下旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。デザイン監修は南條設計室。
現地は、大日本印刷の印刷工場跡地。用途地域は準工地域だが、周辺には嫌悪施設はほとんどない。近接して、やはり大日本印刷の敷地跡地で長谷工コーポレーションのサ高住と三井不動産レジデンシャルの老人ホームがそれぞれ建設中。敷地東側は道路を挟んで小学校。病院も近い。敷地は三方道路に囲まれており、建物は南南東向き。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、食洗機、ディスポーザ、キッチン・リビング天井高2400ミリ(内蔵梁採用)、Low-Eガラス・樹脂サッシ、キッチン床暖房など。
これまで資料請求は850件あり、6月13日からモデルルームを完全予約制でオープン。すでに50件の来場がある。
◇ ◆ ◇
もちろん最大の〝売り〟はZEHマンションだ。記者は首都圏のZEHマンションを3件しか見学していないが、トータルでも数えるほどしかないはずだ。今回の物件は樹脂サッシを採用しており、リビングダイニングだけでなくキッチンにも床暖房を採用しており、内蔵梁を採用することでリビングダイニングと同様、キッチンの天井高も2400ミリ確保しているのがいい。
問題の価格はいくらになるか。同社は「未定」としているが、記者は坪330万円と読んだ。嫌悪施設はないが、倉庫街というイメージがぬぐえず、生活利便施設も少ないからだ。同社には〝そんなに安くないぞ!〟と怒られるか。
赤羽駅圏の最近のマンションでは、赤羽駅から徒歩8分で伊藤忠都市開発「クレヴィア赤羽ステーションテラス」(88戸)が分譲中だ。こちらは坪単価340万円。販売は好調で大きい間取りタイプが完売。これから狭いタイプの分譲が始まる。さらに、同社は駅から徒歩6分の「クレヴィア赤羽レジデンス」(68戸)を近く分譲する。記者は坪360~370万円と予想する。

赤羽駅前(30人くらいがタバコを吸っていた)
◇ ◆ ◇
赤羽は昔住んでいたのでよく知っている。取材を終えたのがちょうど昼頃。おなかが空いてきた。2月末からテレワークに突入してから、近所の行きつけの飲食店を利用したことはあるが、他のエリアで食事をしたことは一度もない。コロナ前は1日3回くらい利用していたタバコが吸えるカフェもこの間、入ったのは1度きり。
withコロナだ。勇気を奮い立たせてどこかに入ろうと考えたが、チェーン店の店は結構客が入っており、なかなか入る勇気がない。
取材はもう1件入っており、食事は我慢しようかとも思ったが、昔よく利用した赤羽一番街に向かった。屋台形式でひょっとしたら食事ができタバコも吸えるかもと考えたからだ。
あった!アットホームであった、アットホームであった、逢ったらぴったんと…。入れ、入るな、入れ、入るな、入れば、入れ、入る…お世辞にもきれいな店とは言い難いが、昔利用した店よりははるかに美しかった。早速ビールとシラスおろしを注文。嬉しくなってビールをもう一杯頼んだ。断っておくが生ビールを2杯飲んだくらいで小生は取材に全然影響ない。口がより滑らかになるほどだ。
勘定を済ますとき、店の若い女性とコロナ話をしたら、「お父さん、頑張ってね」と励まされた。涙が出るほど嬉しかった。「コロナに負けずに生きていたらまた来るからね」と返事した。
駅に帰り着いたときだ。値段がずいぶん安いと思い、貰ったレシートをみたら、お通し390円、シラスおろし390円、ビール490円、合計1,397円とあるではないか。間違いなくビールを2杯飲んだので、1杯分をつけ忘れたことが分かった。また戻る時間はなかったので、次の取材先に向かった。店の名前は分からないが、小生はこの恩は忘れないし、絶対にもう一度行ってきちんとビール代を払います。
〝住めば、北区東京。〟効果か、この漫画を描いた方と壇蜜さんが結婚したことも拍車をかけているのか、最近「赤羽」が人気だそうだ。確かにいい街だ。駅前で自由にタバコを吸える街はそうない。

記者が利用した飲食店(外のテーブルがそう)

赤羽一番街
「ザ・ガーデンズ東京王子」 販売好調/北区がPRポスター「住めば、北区東京。」(2016/9/18)
「HARUMI FLUG」引き渡し時期延期 販売再開も「未定」
昨日夜、NHKが「HARUMI FLUG」の「入居時期が1年程度遅れ」、すでに販売された940戸の既契約者は「デベロッパーの説明では、1年遅れの入居を受け入れるか、解約して手付金の返還を受けるか年末までに判断するように言われた」と報じた。その後、各メディアも一斉に記事を発信した。
この件について、事業主の幹事会社・三井不動産広報は「私たちから新たな引き渡し時期について話していない。いまゼネコンさんと折衝中」としており、「引き渡し時期が決まらないので、販売再開も現段階では未定」としている。
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引き渡し時期が当初予定の2023年3月より後にずれ込むことがほぼ確定した。
既契約者もショックだろう。マンションの購入者は引き渡し時期に応じて賃貸借契約の解除、子どもの転校、公共料金の手続きを行う。多くのマンション引き渡しが3月になっているのは、子どもの転校にそれほど抵抗感がないからだ(小生は、引き渡し直前になって子どもから「お父さん、引っ越しいやだ。友だちと別れたくない」などと泣きつかれ、手付流しで解約したことがある)。
しかし、報道にあるように、契約者が手付金の倍返しや違約金を請求することはまず認められないだろう。売買契約書に「引き渡し前の滅失・毀損」条項があり、天災地変その他売主または買主のいずれの責めにも帰すことのできない事由によって物件が毀損した場合は、売主は物件を修復して買主に引き渡すものとし、引き渡し期日については双方が協議するとなっている。協議がまとまらなければ、双方とも契約を解除できる、つまり契約は白紙、なかったことにし、その際の違約金支払いの責は双方ともないと明記されているはずだ。

