「HARUMI FLAG」 土地と建物の価格比率は調整区域並みの7:93 算定は妥当
「HARUMI FLAG」の土地価格と建物価格の割合は「7:93」であることが分かった。購入者からもたらされた情報で「契約書には土地と建物の売買代金がそれぞれ記載されており、売買代金に対する消費税相当額は約8.53%でした」とあった。
ご承知のように、分譲マンションの土地価格に対する消費税は非課税なので、売買代金の8.53%が消費税額(建物価格の10%)ということは、仮に代金を100円とすると、建物価格は85.3円で、土地価格は100-85.3-8.53(消費税額)=6.17円ということになる。だから、住戸によって若干の変動はあるかもしれないが、「HARUMI FLAG」全体の土地と建物価格比率はこの「6.17:85.3」≒「7:93」(百分比)であることはほぼ間違いなさそうだ。比率的には都心部では土地:建物は7:3(郊外部は逆で3:7)が一般的だろうから、「HARUMI FLAG」は調整区域並みか林地の比率ではないか。
消費税額の算定についてはいくつかの手法があるが、記者は前回の記事で「東京オリンピック・パラリンピックの選手村に利用されるという特殊要件を考慮し、『開発法』を採用することで地価公示の10分の1以下の値段で都は事業者に『HARUMI FLAG』の土地を売却したのであるから、消費税もまたこの土地と建物の原価を基に算定すべきと考える」と書いた。この「7:93」の比率は記者の主張する通りで、適正な算定だと思うし、購入者もまた適正な額の消費税を納めることになると考える。
記者は評論家でないので、〝買い得〟かどうかの判断はしない。お客さまが判断することだ。新橋まで10分と想定されている「Bus Rapid Transit(バス高速輸送システム)」が機能するかどうかだけは心配だ。近く、どこかの路線で体験乗車しようと考えている。
坪単価214万円 信じられない安さ 大京 西川口駅から徒歩5分「川口並木」好調
「ライオンズ川口並木グランゲート」完成予想図
大京が分譲中の「ライオンズ川口並木グランゲート」を見学した。西川口駅から徒歩5分の全120戸で、坪単価は信じられないほど安い214万円。昨年12月から分譲されており、約7割が成約済みと好調なのも当然か。
物件は、京浜東北・根岸線西川口駅から徒歩5分、川口市並木3丁目の近隣商業地域・商業地域に位置する12階建て120戸。現在先着順で分譲中の住戸(9戸)の専有面積は65.91~70.20㎡、価格は3,492.5万~4,575.8万円。坪単価は214万円。竣工予定は2020年2月7日。設計・施工は長谷工コーポレーション。
昨年12月から販売を開始し、これまでに約7割が成約済み。Dタイプ(68㎡)、Iタイプ(66㎡)、Jタイプ(71㎡)は全て完売。
現地は、近商・商業地域だが周辺に嫌悪施設はほとんどない。南西側に接道している並木通りの幅員は約15mあり、日照阻害もないと思われる。敷地は元UR都市機構の賃貸マンション。建物は南西向き。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2450~2600ミリ、食洗機、7.6mワイドスパン(一部除く)、換気口付き玄関ドア、通気ルーバー付き扉、自然換気ストッパー、グリーンカーテン用フック、エコガラスなど。
エントランスアプローチ
◇ ◆ ◇
見学するきっかけは先月、「ライオンズ朝霞ベルポートレジデンス」を見学した際に、担当者からこのマンションの売れ行きがいいということを聞いたから。
「川口」駅圏のマンションはこの10年間で10件は取材しているのに、「西川口」のマンションは取材したことがない。「街」のイメージもさることながら、供給も少ないからだ。
同社の資料によると、駅東口で徒歩5分圏内の物件は平成10年以降で10物件しかない。規模も同社の物件が最大だ。
驚いたのは価格の安さだった。京浜東北線沿線の坪単価は軒並み300万円を突破してきているので、250万円以下はあり得ないと読んだのだが大外れ。
なぜこれほど安いのか。販売担当者によると、用地取得が6年前で、しかも入札ではなく相対で取得できたのが最大の理由と話した。
6年前と言えば、まだリーマン・ショックの影響を引きずっていた頃なので納得もしたのだが、同社としては高値追求して販売に時間をかけるより早期完売しようという販売戦略もあるようだ。
価格が安いからと言ってレベルが低いかといえばそんなことはない。A~Eタイプまで全住戸の約半数は7.6mのワイドスパンだし、他のタイプも6.2~6.5mある。設備仕様もまずまずだ。
東京からの近さからいえば坪単価380万円の「北千住」と大差ない。多摩センターだってこんなに安くない。あとは街のイメージだが、これは人それぞれ。ユーザーが考えることだ。
モデルルーム
立地・環境に対する高い評価 大京・リゾン「ライオンズ朝霞ベルポートレジデンス」(2019/7/24)
レベル高い 単独事業としては大阪市内最大855戸 住友不「シティタワー大阪本町」
「シティタワー大阪本町」完成予想図
住友不動産は8月22日、単独事業者が大阪市で分譲するマンションとしては最大の全855戸の免震マンション「シティタワー大阪本町」のメディア発表・内覧会を行った。スーパーゼネコン・清水建設の施工で、天井高を2600ミリ確保し、窓にLow-Eガラスを採用するなどレベルの高いマンションだと思った。
物件は、Osaka Metro御堂筋線・中央線・四つ橋「本町」駅から徒歩5分、大阪市中央区備後町二丁目に位置する48階建て全855戸。専有面積は約37~120㎡、価格は未定。竣工予定は2021年11月中旬。設計・施工は清水建設。第一期の販売開始は2019年12月上旬。これまで2,000件以上の反響があり、モデルルーム来場予約は満席。
現地は「船場都心居住促進地区」に指定されており、2020年の人口予測が約10.4万人で、2005年実績の約6.7万人より56%も増加すると予測されている区内でもっとも人口が増加しているエリアの一角。建ぺい率100%、容積率600%の四方接道の商業地域立地だが、総合設計制度の適用を受け、容積率は1000%に緩和されている。
物件の戸数は、積水ハウス他「グランドメゾン新梅田タワーTHE CLUB RESIDENCE」の871戸、三菱地所他「ザ・パークハウス 中之島タワー」の894戸には及ばないが、単独事業としては市内最大。
主な基本性能・設備仕様は、免震工法、二重床・二重天井、リビング天井高2600ミリ、御影石キッチンカウンター、ディスポーザ―、食洗機、ミストサウナ、Low-Eガラス、約8割を占める2・3LDKはワイドスパン(モデルルームタイプは約75㎡で10m超)など。
同社住宅分譲事業本部 近畿事業部長・横田健二氏は、今回の物件のほか、ホテルとの複合賃貸マンション「梅田曽根崎計画」(住宅836戸・ホテル202室、2022年竣工予定)、区域面積約35,000㎡の「神戸新港突堤西地区」(マンション700戸含む複合再開発)などの大規模プロジェクトについて触れ、「梅田曽根崎計画」では大阪初の高級賃貸ブランド「ラ・トゥール」となること、ホテルは「ヴィラフォンテーヌ」となることを明らかにした。
足 元のマンション市況については、「ワンルームの供給が減少しているが、当社が展開するファミリーは順調。『大阪本町』はJVを組むより単独のほうがリスクはむしろ少ない。価格はお客さまと相談なので公表できない」と話した。
関係者によると周辺物件は軒並み坪300万円を突破してきており、同社の物件も300万円を突破するのはほぼ間違いない。
スカイアトリウム
横田氏(「RBA野球に一度参加したことがある」と話したので調べた。2008年だから41歳のときか。代打で出場しそのままレフトを守った。0-0-0だから四球でも選んだか、出塁率は10割。この日の会見を取り仕切った広報担当のS氏も代打で出場し、三振だったとか。試合は惨敗。記事参照)
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地方のマンション市場はよく分からないが、それでもランドマークとなるような物件はこの2~3年間で10物件は取材している。首都圏物件と比較してレベルも分かってきた。
同社の大阪圏では、「シティテラス千里桃山台」を昨年見ており、レベルの高さに驚いたのだが、今回の「大阪本町」も首都圏のタワーマンションと比較してもそん色ないレベルだと思う。
価格・売れ行きは分からないが、「グランドメゾン新梅田タワーTHE CLUB RESIDENCE」は第一期として坪340万円で400戸供給し、好調なスタートを切ったと聞いたので、同社も強気な価格設定をするのではないか。用地取得は6年前だそうだから、価格高騰が顕著になる前ではないか。
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「梅田曽根崎計画」はホテルとの複合開発になる。マンションとホテルの複合はありそうでない。記者が取材したことがあるのは東急不動産他「ブランズ横濱馬車道レジデンシャル」と、野村不動産「プラウド恵比寿ヒルサイドガーデン」くらいしかない。
ネットで調べたら、東急不動産の「ブランズ大阪本町」(分譲マンション98戸、ホテル259室)と、安田不動産「HAMACHO HOTEL&APARTMENTS」(賃貸マンション108戸、ホテル170室)もそのようだ。横田氏によると天王寺(「あべのnini」)がそうだという。
モデルルーム
坪単価270万円に納得 梅田に16分の近さ 住友不動産「シティテラス千里桃山台」(2018/10/9)
「HARUMI FLAG」の消費税額 事業者は公表せず
先日(8月13日)、「HARUMI FLAG」の消費税額を探る取材は空振りに終わったことを書いた際に、標準的な住戸の価格とその面積、消費税額を教えてもらうよう物件のPR事務局宛てにメールを送ったが、その回答が昨日あった。
回答は「デベロッパー側とも協議の結果、消費税額は、事業計画に関連するため未公表とさせて頂きますが、所定のルールに則り、適正に設定させて頂いております」とのことだった。
この回答は想定内だ。事業者は分譲住宅の消費税額を第三者に公表する義務はない。事業者側から聞けないと判断したので、炎天下に2時間半も立ちっぱなしで、購入者から聞き出そうと突撃取材を敢行したのだ。
なので、これ以上書かないが、消費税額がいくらか明らかになるのは時間の問題だ。国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」には、消費税について次のようにあるからだ。購入者がネットなどに公表して、額の妥当性などを論じてほしい。
「消費税相当額の扱いについて(宅建業)法第32条、第38条、第39条、第41条及び第41条の2等の規定の適用に当たっては、売買、賃借等につき課されるべき消費税等相当額については、『代金、借賃等の対価の額』の一部に含まれるものとして取り扱うものとする。(中略)宅地建物取引業者は、契約を締結したときは、遅滞なく、『代金の額』又は『借賃の額』を記載した書面を交付しなければならないこととされているが、消費税等相当額は、代金、借賃等の額の一部となるものであり、かつ、代金、借賃に係る重要な事項に該当するので、『代金の額』又は『借賃の額』の記載に当たっては、『当該売買、貸借等につき課されるべき消費税等相当額』を明記することとなる。(中略)なお、譲渡、賃貸等に課されるべき消費税等相当額は、法第47条第1号の重要な事項に該当することとなるので、宅地若しくは建物の売買、交換又は貸借の各当事者に対して故意に事実を告げず、又は不実のことを告げた場合には、法第47条違反となる」
つまり、消費税額は、重要事項説明書にその額を明記し、契約の当事者(購入者)に説明しなければならない。
消費税額の算定に当たっては、前回書いた通り、①土地価格と建物価格を時価で按分する②相続税評価額、固定資産評価額を基とする③土地、建物の原価を基にする-3手法が示されている。
東京オリンピック・パラリンピックの選手村に利用されるという特殊要件を考慮し、「開発法」を採用することで地価公示の10分の1以下の値段で都は事業者に「HARUMI FLAG」の土地を売却したのであるから、消費税もまたこの土地と建物の原価を基に算定すべきと考えるがどうだろう。
「HARUMI FLAG」の消費税額はいくら 突撃取材敢行 残念ながら空振り(2019/8/13)
「HARUMI FLAG」の消費税額はいくら 突撃取材敢行 残念ながら空振り
「HARUMI FLAG」全体像
「HARUMI FLAG」の消費税額(土地価格と建物価格)を知るべく、8月12日、突撃取材を敢行し、マンションパビリオンに出かけたが空振りに終わった。
この日はキャンセル住戸の再登録と申込者の契約会が行なわれており、門外で待ち構え、出てくる人に片っ端から聞けばわかると踏んだのが甘かった。
13:30から16:00まで、パビリオンの前の街路樹の木陰に汗みずくになって身を潜め待ち構えること2時間半。1時間に10組くらいの出入りはあったが、ほとんどの人は車かタクシー、バイク利用で、来場者から話が聞けたのは数組しかなかった。そのすべての人が「分からない」「他の人に聞いて」などとつれない返事ばかりだった。
これはダメだとあきらめ、パビリオンの方にダメもとで聞いたが、「PR事務局で聞いて」と予想通りの答えしか返ってこなかった。
◇ ◆ ◇
それでも収穫はあった。2組の中国人の方から話が聞けた。
日本に来てから7年という33歳の男性会社経営者は、「303㎡の1億2,300万円(坪単価394万円)を購入した。上海や北京のマンションよりはるかに安い。消費税? 10%。額? 分からない。今日は申し込みだけだ。そんな話出なかった。契約は後日」と話した。消費税額だけで少なく見積もっても数百万円はするのに何と鷹揚なことか。
もう一組の夫が工場長という40代と思われる主婦。「6,000万円くらいのを申し込みましたが外れた。上海のたいしたことないマンション持っていますが、それでも1億円。ここ(HARUMI)は安い。消費税? トータルで考えるからあまり考えない。中国の人がたくさん買っているようですが、みんな投資です。RBA? 聞いたことない。悪いこと書くんでしょ」と言われたので、「いえいえ、わたしほど正確で公平な記事を書く記者はいません」と返した。
このほか、3組の日本人に話しかけたが、「分からない」などと取り合ってもらえなかった。
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国税庁は、譲渡代金を非課税の土地価格と課税対象の建物価格に按分する場合、次の手法により合理的に区分することを求めている。
①譲渡時における土地及び建物のそれぞれの時価の比率による按分
②相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分
③土地、建物の原価(取得費、造成費、一般管理費・販売費など)を基にした按分
一方で、「建物と土地を一括譲渡した場合に、租税特別措置法に規定する法人税の土地の譲渡等に係る課税の特例の計算における取扱いによって建物と土地の価格を区分しているときには、消費税の計算においてもその区分したところによらなければなりません(基通10-1-5)」とあるが、残念ながら記者は意味が分からない。
①から③では、①の場合は消費税額少なくなり、③は逆にとてつもなく高額になり、②はその中間になるはずだ。
参考までに。記者が3年前に「坪単価は250万円」と予想したのは次のように計算したからだ。
土地代は、容積率400%と仮定して一種8万円/坪。建物はどんな立派なものでも150万円/坪。共用部分は充実するだろうから有効率(レンタブル比率)を80%(実際はもっと低いかもしれない)とすると、150÷0.8=188万円が工事費。これに経費、利益など30%上乗せし、土地代8万円を加算すると約250万円になる。
東京都と事業者は、当初事業計画より1%以上の売り上げ増となった場合は、契約に基づき「著しい利益増加」と判断し、利益を折半するとしている。記者はその分岐点は坪250万円と今でも信じている。折半は都民の理解を得られるか。「利益増加分すべてを都に戻すべき」という声も出てくるのは必至だ。
「HARUMI FLAG」の第1期600戸 平均2.6倍で即日完売(2019/8/7)
「HARUMI FLAG」「著しく利益増」の「著しく」とは当初売上計画の1%(2019/7/30)
「官民癒着」と原告 「誹謗中傷」と被告応酬 第6回 選手村住民訴訟 口頭弁論(2019/5/18)
「晴海」坪250万円予想の根拠 「週刊文春」も裏付け 当初単価は244万円と報道(2019/5/10)
名古屋市初の民間建て替えマンション 関電不動産開発・野村不・長谷工不
「本郷センターハイツ建替え事業」
関電不動産開発、野村不動産、長谷工不動産の3社は8月7日、名古屋市初の民間による分譲マンション建替え「本郷センターハイツ建替え事業」がスタートしたと発表。
「本郷センターハイツ建替え事業」は、昭和52年に建築された地上10階建ての商業施設と38戸の住宅を商業施設と住宅94戸に建て替える事業。「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)62条に基づく建て替え決議を用いた民間マンションとしては名古屋市初となる。
事業は、地下鉄東山線「本郷」駅前の顔として機能していたが、築後42年が経過し、建物・設備・施設の物理的・機能的な老朽化が進んでいたことから2014 年8月、建て替えを含めた将来計画の検討コンサルタントとして長谷工コーポレーションが支援し、2015年5月、管理組合による「建替え推進決議」が可決。その後2018年5月、関電不動産開発が店舗部分の区分所有権を買い取り、2018年8月、建て替え決議が可決され、事業パートナーとして野村不動産、長谷工不動産が選定された。
建て替え後は地上15階建て延べ床面積約10,279㎡の1階部分が商業施設と2階以上が94戸の住宅からなる建物となる。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2022年11月。
大和ハウス工業 築46年の北浦和のマンション建て替え工事に着手
「(仮称)与野大戸住宅第一マンション建替計画」
大和ハウス工業は8月9日、同社が参加組合員になっている与野大戸住宅第一マンション建替組合「(仮称)与野大戸住宅第一マンション建替計画」の本体工事を7月末に着手したと発表した。
従前のマンションは旧耐震の築46年の5階建て2棟60戸。耐震性の問題のほか、設備・建物の老朽化、間取りの陳腐化、エレベータのない不便さ、空き家率の増加などの課題を抱えていたため、2009年9月、「住宅対策委員会」を発足。22012年7月、大和ハウス工業と長谷工コーポレーションが事業協力者に選定され、建て替え計画がスタートしたが、2014年5月、建て替え決議が否決される。その後、建て替え推進派の努力により2017年10月、円滑化法により建て替えが決議された。
物件は、JR京浜東北線北浦和駅から徒歩11分、さいたま市中央区新中里1丁目に位置する7階建て延べ床面積約6,934㎡(従前は約4,242㎡)全87戸(同60戸)。施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2020年8月。事業コンサルはURリンケージ。
「凄くいい」来場者が感嘆 モデルルームの出来出色 好調の伊藤忠都市「上野池之端」
「クレヴィア上野池之端」
伊藤忠都市開発(事業比率60%)と東京建物(同40%)が分譲中の「クレヴィア上野池之端」のモデルルームを見学した。8月2日に第1期(23戸)を分譲開始したばかりだが、すでに20戸に申し込みが入るなど好調なスタートを切った。モデルルームの出来が出色だ。
物件は、東京メトロ千代田線根津駅から徒歩6分、JR上野駅から徒歩11分、台東区池之端2丁目に位置する18階建て62戸。専有面積は56.98〜108.84㎡。第1期(23戸)の価格は6,450万〜20,690万円、坪単価は440万円。竣工予定は2021年2月下旬。設計・監理はIAO竹田設計。施工はイチケン。
同社によると、今年2月末にホームページを開設以来、約800件の反響があり、モデルルーム来場者は約160組。
角住戸率100%、約7.2m~約9.4mのワイドスパンに加え、キッチン位置の変更や大空間の1LDKへの間取り変更できるメニュープランが人気となり、8月9日現在、第1期23戸のうち20戸に申し込みが入っている。
建物はクラシック・モダンをテーマに天然石・レンガをふんだんに用いたファサードとし、主な基本性能・設備仕様はディスポーザー、食洗機、グローエ水栓、吊戸棚、スロップシンクなど。
モデルルームのゆったりしたアイランドキッチンの提案がいい
◇ ◆ ◇
暑さが酷く、人間ビーフジャーキーになるのではないかと恐れたので、現地は見ていない。しかし、このエリアのマンションは、北から大京「サ・ライオンズ上野の森」(2008年竣工、212戸)、サンウッド・東急不・東建「ルネサンスタワー上野池之端」(2005年竣工、308戸)、三井不動産レジデンシャル「パークタワー上野池之端」(2010年竣工、175戸)、東京建物「ブリリアタワー上野池之端」(2019年竣工、361戸)を取材しているのでよく分かる。他にNTT都市開発「ウェリス上野池之端」(201年竣工、78戸)もあるが、こちらは取材していない。
とくに、三井レジの物件は、従前は著名な建築家・菊竹清訓が設計したホテル「HOTEL COSIMA」だったので、記者は2度ほど宿泊している。ファサードは奇抜だったが、借景が素晴らしかった。
伊藤忠都市開発の物件は、三井レジの物件の北側に立地。細長い敷地形状を生かし、「上野の杜」と「東大の杜」ビューをそれぞれ2戸ずつに配置した内廊下方式の1フロア4戸構成。スパンは前者が8.9mと9.4m、後者が7.2mと7.9m。
モデルルームは70㎡タイプで、廊下面積を圧縮するとともにエントランス側にトイレ、バス、洗面室を集約し、バルコニー側全面に「上野の杜」が眺望できるようにしている提案が圧巻だ。販売担当者が「来場者の皆さんは一様に〝凄くいい〟と感嘆の声を上げられる」と話したのも頷ける。
同社の最近の物件で印象に残っているのは「文京関口」「碑文谷」のモデルルームだが、今回の物件はそれらを上回る。
病院隣接 入居の年齢制限なし ミサワホーム初のシニア向け所有権付き「浦安舞浜」
「LUMISIA(ルミシア)浦安舞浜」完成予想図
ミサワホームは8月9日、同社初の所有権付きシニア向けマンション「LUMISIA(ルミシア)浦安舞浜」の見学会を行った。隣接する「スマートウェルネス拠点整備事業」として建設される医療・介護・子育て・住宅の複合施設「ASUMACI(アスマチ)」に隣接するもので、レベルの高いマンションだ。坪単価240万円は安いのではないか。
物件は、JR京葉線新浦安駅からバス9分、徒歩3分(運行予定のシャトルバスで約4分)、浦安市東野三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する4階建て全88戸。専有面積は42.39~90.76㎡、価格は3,580万~1億円。坪単価は240万円。管理費は27,600円~。生活支援業務費は30,910円/月。レストラン運営金は15,625円/月。竣工予定は2020年2月末。企画・販売代理はハイネスコーポレーション。設計・施工は大末建設。
現地は、国土交通省「スマートウェルネス拠点整備事業」にも認定されている、医療・介護・子育て・住宅からなる4階建て延床面積約3,232㎡の複合施設「ASUMACI(アスマチ)」に隣接。
同施設は開院から40年以上が経過し、耐震強化や機能更新などの課題を抱えていた地元の浦安中央病院の建て替え計画検討をきっかけに、地域包括ケアや子育て環境の整備を検討する浦安市、街の活性化を図る京葉銀行、国のスマートシティ構想に取り組んでいきたいというミサワホームの4社が合意に達し、2018年に着工された。2020年2月に竣工する。
今回の「LUMISIA(ルミシア)浦安舞浜」は、「ASUMACI(アスマチ)」に併設される賃貸住宅を自ら居住用(投資用とは聞かなかった)として購入したいという人が現れたのがきっかけで、そのようなニーズがあることが分かったため隣接地を買収して建設することを決定した。
建物はロの字型で、内廊下方式。建築基準法55条の2により敷地内の空地率を一定以上に確保することで高さを12mまで建てられる緩和を受けている。主な共用施設は24時間対応のコンシェルジュデスク、レストラン、大浴場、個浴室、AV・ホビールーム、図書カウンターなど。専有部の主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2400ミリ、サッシ高2100ミリ、二重床・二重天井、食洗機、玄関引き戸、メーターモジュールの廊下、セフィオンテクトのトイレなど。
入居者の健康長寿・未病を支援するため、豊田通商が開発した健康管理システム「からだステーション」が採用される。運動データを計測する専用ウェアラブル端末「Karamo(カラモ)」と血圧計・体組成計を提供し、入居者の健康データを一元管理する。そのデータをもとに、スタッフが健康指導やカウンセリング、運動プログラムの提供などを行う。
見学会で同社執行役員・佐藤徹氏は「医療・地域などとの連携を図り、自由で資産性が高く、いつまでも元気で暮らせる住宅を提供する。購入に際して旧自宅の買取再販、空き家対策も行っていく」と話した。
また、京葉銀行法人営業部長・古屋秀氏は「リバースモーゲージにも特別枠で対応する。今回の成功事例を県内の他の地域にも広げたい」と、医療法人社団やしの木会浦安中央病院院長・髙須雄一氏は「病院単独ではこのような事業は出来なかった。入居者の方々が長く健康でいられるよう手伝っていく」とそれぞれ語った。
同社は、完成後の9カ月後の2020年内完売を目指す。中期経営計画でも2023年までに3棟建設する計画で、首都圏・関西圏で数多くの相談が寄せられており、仕掛け中のものもあるという。
物件について説明する同社開発事業部都市開発課長・山崎将仁氏(左)と同部分譲・事業推進課長・富樫昌生氏(山崎氏が「どうぞお撮りください」と話したので撮りました)
◇ ◆ ◇
坪単価は一昨日見学したフージャースHDの「デュオセーヌ豊田」と同じ240万円と読んだが、がその通りだった。設備仕様レベルは考慮しないで立地条件のみで判断)。物件をたくさん見ると単価が見えてくる。
総合的に判断して「いいマンション」だと思った。何がいいかといえば、第一に、入居に年齢制限がなく、何人住んでも誰と住んでも痴呆になっても〝排除〟されないことだ。記者は「シニア向け」が分譲されたときからそうすべきと思っていた。
いまは「シニア向け」が圧倒的に少ないからそう呼ぶのかもしれないが、居住者の平均年齢が65歳を超えるマンションは激増する。そうなれば「シニア向け」という言葉は死滅する時代が来る。
記者などはどんなに年をとっても、若い女性が住む街・マンションに住みたいと思う。姥捨て山のように隔離されるのだけは嫌だ。若い人も年寄りも一緒に仲良く住めるのが本来のマンションではないか。
第二は、商品企画だ。約73㎡のモデルルームもシニアだけでなく普通のファミリーが入居してもいいように設定されていた。玄関引き戸、メーターモジュール廊下、幅広のトイレドアなどはお年寄りだけでなく万人に使いやすいものだ。年齢制限をなくしたことと合わせれば画期的な提案だと思った。
これまでのシニア向けの購入・入居者は圧倒的にお年寄りの単身女性が多いはずだが、このマンションは夫婦の入居比率が高くなるのではないか。
だが、しかし、ファミリーの入居を阻む問題が一つある。管理費などだ。一般的なマンションの3~4倍はする。高いのはレストランや大浴場などの維持・管理に費用がかかるので当然なのだが、月額4~7万円となるとファミリーは二の足を踏む。管理費を二本立てとし、若年層は利用ごとに課金されるようにしたらどうか。お金を払ってでもレストランや大浴場を利用しようと考える若年層はいるはずだが…これでは費用不足になるか…。難しい問題だ。
同社も他社も今後は「シニア向け」を企画するなら、賃貸-ファミリー-サ高住など多様な世代が住めるサスティナブルな街づくりを目指してほしい。
健康管理システム「からだステーション」の説明を聞く報道陣
◇ ◆ ◇
販売事務所や配布資料などに「ハイネスコーポレーション」の名が大きく出ていたので「ハイネス恒産」を思い出した。今の若い方はご存じないだろうが、バブル崩壊まで「ハイネス恒産」は住産協(現全住協)の中心メンバーだった。
関連はあるのかと聞いたら、同社ライフアドバイザー・東純二氏は「バブル崩壊後にハイネス恒産大阪支店から独立して設立された会社」と語った。
いまでは関西圏で供給されたシニア向けマンション約4,300戸のうち同社が分譲した7棟と他社物件の販売代理3棟を合わせると約1,700戸に上るトップシェアだという。首都圏での展開も検討しているそうだ。
大浴場
玄関引き戸
「HARUMI FLAG」の第1期600戸 平均2.6倍で即日完売
「HARUMI FLAG」全体像
三井不動産レジデンシャルを幹事とするデベロッパー10社は8月7日、「HARUMI FLAG」第1期600戸を8月5日に抽選分譲した結果、1,543組の申し込みがあり、最高71倍、平均2.57倍で即日完売したと発表した。これまでの見学者は5,100組超。
販売されたのは「SEA VILLAGE(A棟・B棟・D棟)」の211戸(最多価格帯8,600万円台)と「PARK VILLAGE(A棟・B棟・C棟・F棟)」の389戸(最多価格帯6,400万円台)。坪単価は302万円。
三方向を海に囲まれ、レインボーブリッジなどを見渡すことができる「眺望の良さ」、都心6区の平均専有面積より20㎡以上も広い「ゆとりあるプラン」、銀座へ約2.5㎞・中央区晴海という東京都心と湾岸エリアの結節点となる「利便性の高い立地」を中心に、「商業施設や保育施設、小中学校、公園等が揃うALL IN TOWN」であること、「子育て世代やシニア世代など誰もが住みやすいユニバーサルデザインの街」であることなどが評価されたという。
登録者の年代は30歳代31%、40歳代31%、50歳代18%、60歳代以上15%、居住地は中央・江東・港区で48%、家族数は2人32%、3人28%、4人27%、5人以上6%、職業は会社員58%、会社経営者・役員26%。
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2020東京オリンピック・パラリンピックの選手村として利用される〝レガシーマンション〟であり、メディアが〝格安〟などと大騒ぎしている割には、平均倍率が2.6倍という数字にはやや物足りなさを感じる。近年のマンションでいえば、規模を考えると「Tomihisa Cross」(1,093戸)や「SKYZ TOWER&GARDEN」(1,110戸)、「BAYZ TOWER&GARDEN」(550戸)のほうが盛り上がったような気がする。しかし、「HARUMI FLAG」の入居はずっと先だし、様子を見ようというユーザーが多いからではないかと考えると、妥当な数字にも思える。
参考までに紹介すると、昭和61年夏に分譲された民活第一号マンション「西戸山タワーホウムズ」(576戸)の来場者は約6万人に達し、申し込み倍率は実に44.2倍だった。
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