RBA OFFICIAL

IMG_1142.jpg
「レジクラマルシェ」(「W Comfort Towers」で)

 三菱地所グループの住宅系会員組織「三菱地所のレジデンスクラブ」は10月13日・14日・20日の3日間、地方創生とマンションコミュニティの活性化を目指す「レジクラマルシェ」を開催。3日間で想定の倍以上の約1,000名が集まった。

 「三菱地所のレジデンスクラブ」は、今年6月に発足した住まいに関するニーズをワンストップで対応する全国で約60万世帯のユーザー会員組織。

 「レジクラマルシェ」は、同組織と農業・水産・加工品を対象としたオーナー制度プラットフォーム「OWNERS」(https://owner-style.com)を運営するukka(代表取締役:谷川佳、小林俊仁氏)が連携して開催した第一弾。「レジクラマルシェ-岩手一関おいしい収穫祭-」と題し、マンションの共用スペースを会場として実施したもの。岩手県一関市農政課の職員をはじめ地元の生産者、ukkaのスタッフ、同社の関係者やマンション管理組合も参加した。

 イベントは、10月13日(土)は「武蔵野タワーズ」(587戸)で、14日(日)は「ザ・パークハウス上鷺宮」(261戸)で、20日(日)はW Comfort Towers」(1149戸)でそれぞれ行われた。

 ukkaは、2017年9月に創業されたITベンチャー。「100年後に続く食と農のあるべき形を創る」というミッションを掲げ、テクノロジーの技術を活用しながら、生産者と都市消費者をつなぐ新しい食材流通のプラットフォームサービス「OWNERS」を展開している。

 OWNERSに掲載される全国から厳選されたこだわり食材のオーナープランに事前登録することで、その食材の1口オーナーとして生産過程や収穫の様子を楽しみながら、最も旬な時期に生産者から直接届けられるサービス。2018年9月現在、登録生産者数は約100名、ユーザー数は約4,000名。

IMG_1183.jpg

IMG_1147.jpg

◇       ◆     ◇

 3日目の20日、「W Comfort Towers」(1149戸)で行われた「レジクラマルシェ」を見学取材した。ukkaの「100年後に続く食と農のあるべき形を創る」というミッションがいいではないか。

 三菱地所コミュニティ都心支店管理2グループ Wコンフォートタワーズ統括所長・野村亮平氏は、「わたしたちが考えていることとukkaの目指すものは共感できる。これからのマンション管理は、居住者の高齢化や理事のなり手不足などから、コミュニティを醸成しづらくなってくる。今回のように双方が協力し合うことでWin-Winの関係が築ける。Wコンフォートでも築14年を迎え、組合の主体的なイベントがしづらくなっているが、イベントの前に行った防災訓練には例年の倍の約200名が集まったように効果もあった。大きな第一歩を踏むことができた」と話した。

 30歳のukka谷川代表は「ネットを通じて第一次産業の抱えている課題を解決するのがわたしたちの役割。そのためには、都市の消費者とダイレクトにつなぐ必要がある。従来からある規模の大きい物産展は非効率で、消費者は印象に残らない。それより、もっと暮しに近くコミュニティを育て、シェアできるこれくらいの規模の街単位でのイベントのほうが反響も大きい。人と街、人と人を繋ぎ、地方創生の一翼を担いたい」と語った。

 同社には、他の地方自治体からも「うちもやりたい」という声がたくさん寄せられているという。

IMG_1155.jpg
谷川氏

◇      ◆     ◇

 参考までに、マンションコミュニティについて以下に触れておく。

 国土交通省は平成28年、「マンションの管理の適正化に関する指針」を改正し、マンションコミュニティについて「マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり、管理組合においても、建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが望ましい」と明文化した。

 その一方で、「マンション標準管理規約及び同コメント」の改正点として、「従来、本条第十号に掲げる管理費の使途及び第34条の管理組合の業務として、『地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成(に要する費用)』が掲げられていた。これは、日常的なトラブルの未然防止や大規模修繕工事等の円滑な実施などに資するコミュニティ形成について、マンションの管理という管理組合の目的の範囲内で行われることを前提に規定していたものである。しかしながら、『地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成』との表現には、定義のあいまいさから拡大解釈の懸念があり、とりわけ、管理組合と自治会、町内会等とを混同することにより、自治会費を管理費として一体で徴収し自治会費を払っている事例や、自治会的な活動への管理費の支出をめぐる意見対立やトラブル等が生じている実態もあった。一方、管理組合による従来の活動の中でいわゆるコミュニティ活動と称して行われていたもののうち、例えば、マンションやその周辺における美化や清掃、景観形成、防災・防犯活動、生活ルールの調整等で、その経費に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらされる活動は、それが区分所有法第65条に定める管理組合の目的である『団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理』の範囲内で行われる限りにおいて可能である」などと財産管理団体としての管理組合と自治会、町内会活動を混同しないよう求めた。

 また、指針改正の前、平成24年から27年にかけ11回行われた国土交通省「マンションの新たな管理ルールに関する 検討会」の第9回目で次のようなやり取りがあった。そのまま引用する。

 【安藤委員(安藤至・日本大学大学院総合科学研究科准教授)】 私は村辻委員のご意見よりもさらに厳格にとらえるべきだと考えております。先ほど、防災の取り組みにバーベキューを組み合わせるという話ですが、これに全員が喜んで参加しているのかということが知りたいですし、また全員が喜んで参加するようなイベントであれば、参加費を本人たちから徴集すれば良いと思います。仮に、防災訓練には参加したいがバーベキューには興味がない人、かつ区分所有者の方からしたら、自分たちのお金が目的外に使われている状況なわけですから、これは明確にすべきです。勝手に流用されては困るという考え方もあるのです。

 また、防災がそれほどまでに大事なのであれば、防災訓練の参加を現時点で、ちゃんと強制して行っているのかについても気になります。全員参加しているのでしょうか。それをせずに、参加できる、そして参加したい人だけで防災訓練を行い、気の合った人たちだけでバーベキューをやるというようなことにもし管理組合のお金を使っているのであれば、それこそまさに目的外使用であり、この最高裁の判例とかの考え方からすれば、もう完全に逸脱していると考えております。

 【吉田委員(吉田修・弁護士)】 今の村辻先生、安藤委員のご意見に賛成なんですが、特に外部の専門家を管理者に呼ぶということを今後考えていかなければいけないという場合に、そういう外部の管理者の人が勝手に恣意的にお金を使っちゃいけないんだよと、財産管理のために必要最低限のことしか使ってはいけないんだということがなければならないと思います。これは会社法等のことでお考えいただければ簡単だと思うんですけれども、会社法の場合に、取締役が目的外使用すれば、これは特別背任とか業務上横領ということになるわけです。

 現状において、どこからどこまでをどうするのかということはなかなか線引きができない。

 それはそうなんですけど、基準はつくっておかないとあいまいになってしまうと思います。

 ですから、バーベキューにしても、例えば最低限の文章を回すとか何とかというところまでは、通常なんだと思います。ところが、そこから上のところについては有志が有料でもって参加するんだとか、どこか線引き的なことは基準としてつけておかないと、今後、外部の専門家を管理者として入れたときに、チェックする基準がなくなってしまいますので、財産管理として必要最低限のところは、ある程度抽象的な基準として明確にしておくべきではないかと思います。

 【村専門委員(村裕太・三井不動産レジデンシャル開発事業本部都市開発二部部長)】 新築のマンションの分譲の立場から申し上げたいと思うのですが、昨今の購入者のご意向として、このコミュニティの形成というのは非常にニーズが高いというか、ご希望が多いことでございます。おそらく意識としては、震災等で自助、公助以外に共助をしていかなければいけないという部分があったりとか、防犯、防災とか、各先生からご指摘があったようなこともあるのですが、コミュニティの形成が良好なマンションというものが、よく清掃が行き届いていたりとか、設備の保守、維持がちゃんとできていたりと同等になるぐらい、やっぱり資産価値を高める、もしくは維持するのに必要なソフトだという認識がご購入者の方に強いからだというふうに私ども分譲主としては思っておりまして、逆に、売り主としてはコミュニティの形成に必要ないろいろなイベントなどを企画したりサポートしたりというようなことをむしろ積極的にお勧めしたり、お手伝いをしたりというようなことをやっております。おそらく購入者は今そういう意識をお持ちなのだと思います。

 【安藤委員】 今、村専門委員がおっしゃったことが仮に正しいのであれば、別に管理組合がお金を出さなくても、住人全員が自分たちで進んで町内会に参加し、町内会の経費でそのような取り組みをするはずですので、まさに管理組合と町内会とを混同する必要がないということを、ご説明されたのではないでしょうか。

 記者は、マンションコミュニティ形成については、「自分勝手の合理主義を貫けば、居住者間はもちろん地域や街のコミュニティをズタズタに切り裂き、活力をそぎ、やがてはそのマンションの価値すらも減じることにつながるはずだ。マンション単体で価値を維持・向上させるのは絵空事に過ぎない」というのが持論だ。

迷走する「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」コミュニティや議決権などめぐり激しい論議(2012/8/20)

マンションコミュニティを否定するのか 国交省マンション管理検討会(2015/4/4)

 

 

カテゴリ: 2018年度

tab01-sec02-bg.jpg
「プレミスト赤坂翠嶺」エントランス

 大和ハウス工業が11月に分譲するマンション「プレミスト赤坂翠嶺」を見学した。販売担当の販売事務所長・島田隆弘氏が「六番町? その比ではない」と豪語した通り、設備仕様レベルは高い。全19戸(非分譲1戸含む)の小規模物件だが、すでに半数くらいに申し込み要望が入っているという。

 物件は、東京地下鉄丸ノ内線赤坂見附駅から徒歩6分、千代田線赤坂駅から徒歩6分、港区赤坂四丁目の敷地面積約457㎡の第2種住居地域に位置する11階建て全19戸。専有面積は65.81~71.12㎡、価格は未定だが坪単価は650万円になる模様。施工は日本国土開発。竣工予定は平成31年3月上旬。

 現地はかつて政財界人がよく利用したというヒルトップの料亭跡地。住戸は1フロア2戸(11階は1戸のみで非分譲)。全戸南向き。4~5層くらいまでは前建の影響を受けるが、それ以上は開けている。

 デザイン監修は、同社の人気マンション「プレミスト九段」を手掛けたデザイン・ファーム合同会社代表・向井裕氏。モデルルームのインテリアデザインは数多くの高額マンションを担当している三井デザインテック・黒須理枝氏。

 主な設備仕様は、挽き板フローリング、突板建具家具、リビング・キッチン・居室床暖房、バキューム式ディスポーザー、ミーレ社製食洗器、電子コンベック、ウルトラ・セラミックストーンのキッチン天板、リビング天井高2600ミリなど。

 販売担当の同社東京本店マンション事業部第一事業部営業第一課販売事務所長・島田隆弘氏は、「周辺はコンパクトマンションが中心。当社の物件は1フロア2戸だが、四方に緑を配したランドスケープデザイン、一枚一枚手張りの外壁、隠れ家を演出したエントランス、料亭の土間をイメージしたアプローチ、光天井、ロートアイアン格子、版築、本物の木の庇などを使用したホール、竹林の庭などしっかり造りこんだ。キッチンはセラミック製、浴室のタイルは600角、バルコニーの手摺はロートアイアン…どこにも負けません」と話した。

IMG_1121.jpg
外観模型

IMG_1123.jpg
モデルルーム(サッシ廻りは天然石)

◇       ◆     ◇

 島田氏が豪語するだけのレベルにある。冒頭の「六番町」とは、同社が2年前に分譲したマンションで、記者は「三井不動産のパークマンションに負けない仕様」と書いた。

 その「六番町」と今回の「赤坂翠嶺」の仕様レベルについては、何とも言えない。同社内でも意見が分かれるのではないか。

 だが、本物志向で美しいというのは共通している。模型写真を見ていただきたい。「六番町」もそうだったが、シンメトリーの外観が美しい。組子・格子をデザインに取り込み、手張りでタイルを張ったという。バルコニーに本物のロートアイアンを使用するマンションは最近見たことがない。

 モデルルームの出来もいい。三井デザインテック・黒須氏を起用したのにも力が入っていることをうかがわせた。

 もう一つ。モデルルームはホテル・オークラと繋がっている新紀尾井町ビルにあるのだが、ここでは「プレミスト代々木公園パークフロント」35戸の接客を兼ねており、坪単価675万円ながら残りは2~3戸と聞いてびっくりした。

 この仕様レベルで大規模なマンションを見たいのだが…。

main-pic01.jpg
モデルルーム キッチン

「地価公示日本一」六番町にフェルメールを見た 大和ハウスが億ション(2016/3/14)

カテゴリ: 2018年度

img01.jpg
「Brillia 浦和仲町」完成予想図

 東京建物が分譲中の「Brillia 浦和仲町」を見学した。JR浦和駅から徒歩4分の全72戸で、坪単価330万円弱ながら好調な売れ行きを見せている。

 物件は、JR浦和駅から徒歩4分、さいたま市浦和区仲町一丁目に位置する13階建て全72戸(うち事業協力者用住戸4戸、提携企業向け分譲7戸含む)。専有面積は56.05~86.14㎡、中心価格帯は6,000万円台、坪単価は330万円弱。竣工予定は2019年12月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。

 7月から販売開始されており、未供給を含め残りは10戸未満と思われる。

 現地は、駅前の商業エリアの一角。敷地南側は現在、他社のマンション販売事務所など低層の建物が建っているのみで、高層マンションの日影の影響は受けそうだが開放感がある。

 建物は全戸南向き。二重床・二重天井、ディスポーザー、フィオレストーンキッチン天板、食洗機、専有部Wi-Fi(無線LAN)、玄関窓・窓サッシなどが標準装備。

img008.jpg
子ども部屋(奥に机と椅子)

◇       ◆     ◇

 三菱地所レジデンス・大栄不動産が2015年に分譲し、人気となった「ザ・パークハウス 浦和タワー」の坪単価が330万円台で、埼玉県内のマンションとしては最高値を付けた。その後、昨年分譲された野村不動産「プラウド浦和東仲町ガーデン」第1期70戸が坪単価300万円で即日完売した。

 今回の同社の物件は、坪単価330万円弱というのには驚いたが、それでも売れ行きが好調なのは〝駅近〟がそれだけ高い評価を受けたのだろうが、商品企画も優れている。

 同社の女性スタッフが中心となって立ち上げた、働く女性のためのプロジェクト「Bloomoi(ブルーモア)」を全面に押し立て、室内に風を取り込むため、ルーバーバルコニー、スリット入りリビングドア、玄関窓・窓サッシをそれぞれ採用するなど、〝光と風〟を取り込んだプランをアピールしている。

 記者はそれより、71㎡のやや狭い3LDKのプランで、柱・梁型が出ている約5畳大の北側居室を子ども部屋として提案している「Bloomoi(ブルーモア)」の提案力に舌を巻いた。

 昨年見学した「大山」でもそうだった。普通ならデッドスペースになるはずの柱・梁型スペースに机と椅子がうまく収まるようにしている。限られたスペースをどう生かすか。普段苦心しているからこそできる技だ。

 同じように、リビング側に多目的に利用できる〝ワーク・スタディスペース〟と呼ぶ「リビングDEN」を設置しているのもそうだ。家事をしながら子どもを見守るだけでなく、在宅勤務にも利用できるようにしているのがみそだ。

 浴室のタオル掛けも2本あった。記者などはどうでもいいようなことだが、マット、タオルケット(夫婦は別)を掛けるには複数必要とか。なるほど。

IMG_1090.jpg
モデルルームの入り口

IMG_1071.jpg
現地

埼玉県の最高単価マンション 地所レジ・大栄不「浦和タワー」好調スタート(2015/12/14)

 

 

 

カテゴリ: 2018年度

【早稲田】外観.jpg
「ザ・パークハウス早稲田」完成予想図

 三菱地所レジデンスは10月11日、民間分譲マンションと国家公務員宿舎跡地を「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」に基づき一体として開発したわが国初のマンション「ザ・パークハウス早稲田」の報道陣向けモデルルーム見学会を行った。建物の南側と東側が戸山公園に隣接する全115戸の規模で、坪単価は430~440万円になる模様。

 物件は、東京メトロ東西線早稲田駅から徒歩6分、新宿区戸山3丁目に位置する10階建て全115戸(事業協力者36戸含む)。専有面積は40.35~107.94㎡、予定価格は4,900万円台~1億7,000万円台。坪単価は430~440万円になる模様。竣工予定は2020年5月上旬。施工は不二建設。販売開始は11月。

 現地は、敷地北側が諏訪通りに面し、東側と南側は戸山公園、西側は学習院女子中・高等科に隣接。早大戸山キャンパスにも近接している。

 開発面積約2,726.62㎡のうち国有地跡地は約1,500㎡。残りは昭和46年に竣工した7階建て35戸の「メゾンドール早稲田マンション」。同社は、マンション管理組合の意向を受けて2009年6月に事業協力者として参画、2015年12月に国有地を取得し、2016年2月に一体敷地での建て替え決議が成立した。同社としては着工ベースで19件目の建て替えマンション案件となる。

 同社街開発事業部建替事業推進グループ長・貴家(さすが)雄一氏は、「約644万戸のマンションストックのうち築40年以上経過したものは現在73万戸だか、10年後には約2.5倍の185万戸、20年後には約5倍の352万戸に増加すると予測されている。当社は30年以上前から建て替え事業に取り組んでおり、今回の物件は着工ベースで19件目となる。高いノウハウを持っている」と話した。

 モデルルームは80㎡の2LDKダイブで、主な設備仕様は御影石またはクォーツストーンキッチン天板、食器棚、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナなど。リビング天井高は2450ミリ。

 6月から物件ホームページを開設しており、これまでの反響数は約1,500件。

◇       ◆     ◇

 記者は手放しで褒めるマンションはあまりないが、この物件は文句なしではないが(その理由は最後に書く)いい物件だ。何よりも公園に面している立地にほれ込んだ。それと、敷地は尾張徳川家の下屋敷があったところだそうで、歴史的建造物を表現した外観デザインが美しい。

 面白いのは、道路から20mの範囲は高さ規制が30mであり、それ以上は20m規制になっているために、公園に面した南側住戸は6階建てで、中庭を挟んだ北側住棟は10階建てになっている、その建物形状にも惹かれた。と同時にピント来るものがあった。これも最後に書く。

 さて、そこで単価予想。内覧会が始まる前、たまたま同席だった記者の方が新人だと仰ったので、「この種の見学会では物件の価格を言い当てるくらいの目を養ってほしい。わたしは坪単価にして430万円から450万円と予想する」と話した-その途端、予想を大きく外した三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 文京千石一丁目」を思い出した。〝まずい。また外したら恥をかくことになる。馬鹿なことなど喋るべきじゃなかった〟と後悔もしたのだが、担当者から冒頭の価格を予定していると聞かされ、胸をなでおろした。

 この種の見学会で何が楽しいかと言えば、単価を的中させることだ。記事は同業の方だけでなく、マンション購入を考えている一般の方が読まれる可能性もある。高い買い物をするお客さんが選択肢を誤らないよう、常にお客さんの側からも物件を観ることが大事だ。業界紙の記者はデベロッパーとお客さんを結ぶ橋渡し役でもある。

 単価を予測することは、自分とデベロッパーが同じ物差しで測っていることを確認する作業であり、それはまたお客さんがしっかり見えているかを自らに問う刻苦にも近い点検作業でもある。

image002.jpg
モデルルーム

◇       ◆     ◇

 一つ難点も指摘したい。昨日書いた野村不動産「プラウドシティ日吉」のリビング天井高は2400ミリだった。今回は2450ミリ。地所のほうがやや高いが、野村や地所のマンションとしてはやはり寂しい。

 どうしてそのようなことになるかと言えば、建築物の絶対高さ規制の壁があるからだ。記者はずっと昔からこの高さ規制を撤廃とまではいわないが、住宅の質を上げるためにも柔軟に対応すべきと主張してきた。高さ規制はその質を引き下げる効果しかもたらさない。

 全てはあの「国立マンション」から始まった。「イチョウ並木と調和する高さ」がどうして「イチヨウ並木と同じ20m」になったのか。あのとき、明和地所を孤立させた業界にも責任はあると記者は思っている。

 面白い建物形状になったのは、この規制があるからだが…。

業界初の玄関前宅配ボックス 三菱地所レジ「文京千石」 坪単価は400万円割る(2018/8/8)

 

 

カテゴリ: 2018年度

 日吉パース.jpg

 野村不動産(事業比率82%)は10月10日、関電不動産開発(同16%)とパナソニックホームズ(同2%)と共同で開発を進めている多機能複合型マンション「プラウドシティ日吉」のモデルルームを10月6日(土)からオープンすると発表した。野村不動産グループが提案する新・街づくり構想「BE UNITED構想」の第一号プロジェクトで、エリア初の免震構造を採用するほか、同社が所有し、地域に開放する「街の共用部」などを設けているのが特徴。坪単価は300万円になる模様。

 物件は、東京急行電鉄東横線・目黒線日吉駅から徒歩9分、横浜市港北区箕輪町二丁目に位置する開発面積約5.4haのマンション約1,320戸のほか、複合商業施設、地域貢献施設・健康支援施設、サービス付き高齢者向け住宅からなる複合開発。第一弾の住棟は20階建て全362戸で、専有面積は70.06 ~86.46㎡、価格は未定だが、坪単価は約300万円になる模様。入居予定は2020年3月下旬。施工は三井住友建設。

 現地は、商業施設などがあったところで、用途地域は準工だがマンション化が進んでいるエリアの一角。同じ3社が分譲して人気になった「プラウド綱島SST」も近い。

 10日に行われた記者発表会に臨んだ野村不動産代表取締役社長・宮嶋誠一氏は、「人々が住まい、働き、集い、憩う多機能型の街づくりを進めるとともに、車の両輪のように個人や団体、地域住民などと多様なプレイヤーと連携していくことが重要」などと「BE  UNITED構想」について語った。

 「BE  UNITED構想」を具現化するために必要な活動として「ACTO」と名付けた①「街の共用部」②エリアデザイナーの配置③エリアマネジメント組織の設立④「街サイト」の開設⑤地域交流拠点「吉日楽校」の活動-からなる5つの活動を行う。

 モデルルームは70㎡台の3LDKと83㎡の4LDKを1LDKにプラン変更した2室。御影石キッチン天板、ディスポーザー、食洗機などが標準装備。リビング天井高は2400ミリ(階高2.96m)。

免震パース.jpg
免震パース

◇       ◆     ◇

 記者発表会でもっとも驚いたのが、全体で3カ所に設置するトータルで約600㎡もある「街の共用部」だった。

 記者はすぐお金に換算した。1戸75㎡として計算すると何と8戸分に相当する。坪単価は300万円くらいだと思い、これまたお金に換算したら約5億5,000万円になるではないか。

 これを地域の一般社団のエリアマネジメント協議会などに無償で貸与するという。社団法人の税金は非課税なのだろうが、電気・水道・ガス代だってばかにならないし、同社の社員もエリアデザイナーとして活動をサポートするというから人件費だってかさむ。

 ずいぶん大盤振る舞いするものだと思ったが、今後供給する「亀戸」「池袋東」「板橋」のほか、中規模物件にも採用を検討することからも分かるように、地域に開放する付加価値をきちんと計算に入れているのだろうと結論付けた。

◇       ◆     ◇

 坪単価は坪300万円を超えるかどうかに注目していたが、約300万円と聞いて納得した。近くで分譲中のJR西日本プロパティーズ「ジェイグランディア日吉」より高くはならないし(最終的に単価は325万円に落ち着いたようだ)、かといって「綱島SST」よりは高くなるのは間違いないと考えていた。

 設備仕様レベルは、免震はさすがだが、はっきり言って〝プラウド〟にしては物足りなかった。サッシ高は約2.4mあり、引き戸を多用していたのはよかったが、リビング天井高は2400ミリしかない。〝プラウド〟でこの天井高はかつてあったかどうか。最初にブランド化した15年くらい前に遡るのではないか。

 なぜそんなに低いのか。ご存じの通り、横浜市の高さ規制が厳しいからだ。もう馬鹿馬鹿しいからあまり書かないが、大規模開発だから高さ規制を緩和してもらって60mになったそうだ。60÷20=3、つまり階高は約3mということだ。

 行政も学会もデベロッパーも、そしてわれわれ消費者も責任があると思うが、どうしてもっと柔軟な考えができないのか。公開空地を設けるとか緑被率を高めるとか居住性の高いマンションなどの建築物は規制を緩め質の高いものに誘導すべきだ。

 いい例を示す。皆さんは住友商事が昭和58年に建設した「成城ハイム」をご存じか。用途地域は第一種低層住居専用地域だ。それでも12階が建った。素晴らしいマンションだ。

圧倒的人気呼ぶかJプロ「日吉」 事前内覧会は満席 キャンセル待ち50組超(2018/8/7)

野村不他「プラウド綱島SST」 次世代スマートタウンにふさわしい高いレベル(2017/6/21)

カテゴリ: 2018年度

p01.jpg
「プレミスト梅田」完成予想図

 大和ハウス工業が11月下旬に分譲する「プレミスト梅田」を見学した。先に同社マンション推進事業部開発推進部部長・藤原淳一氏が「価格は未定だが、坪単価は大阪府の過去最高になる」と語ったように、モデルルームは東京都内の億ションにひけをとらない。果たして坪400万円の大台に乗るかどうか。

 物件は、阪急梅田駅から徒歩5分、JR大阪駅から徒歩8分、大阪市北区中崎西二丁目に位置する16階建サウス棟58戸と17階建てノース棟75戸の合計133戸。専有面積は54.73~122.40㎡、価格は未定。竣工予定は平成32年3月上旬。施工は大末建設。販売代理は日本住宅流通。

 空間デザイン・設計に浅井謙建築研究所、ラウンジ家具にCASSINA、庭園デザイン監修に石勝エクステリア、ラウンジフロアに@aromaをそれぞれ起用している。

 サウス棟は1フロア3~4戸構成、標準階の住戸の専有面積は50~60㎡台、最大で約113㎡(2戸)。ノース棟は1フロア2~5戸構成、専有面積は50~70㎡台が中心、最大が122㎡(2戸)。いずれも内廊下方式を採用し、全戸角住戸プラン。

 販売担当の同社マンション事業部営業部第二課 販売事務所長・三浦大輔氏は「来週から一般向けに告知する。この3連休(6~8日)の事前案内会も8組×3クールは全て満室。価格は未定だが、『梅田』はまだ伸びる余地がある」と話した。

◇       ◆     ◇

 最初に断っておく。記者は関西圏のマンション市場は全く分からない。しかし、この1年間で8物件を見学した。坪単価610万円の関西圏最高値の東急不動産「ブランズ芦屋 ザ・レジデンス」を筆頭に、坪342万円の三井不動産レジデンシャル他「北浜ミッドタワー」、坪362万円の野村不動産他「プラウドタワー北浜」などだ。

 「芦屋」はともかく、大阪府での過去最高高値マンションは坪370万円止まりのようだ。その価格を上回ると冒頭の藤原氏は明言した。だから最低でも坪380万円と記者ははじき、ひょっとしたら坪400万円の大台に乗るのではないかと予想した。

 坪単価が大阪府内最高値なのに専有面積は50~70㎡台が圧倒的に多く、50㎡台の浴室が1317、主寝室が6畳大というのはいま一つ理解できないが、三浦氏は「大阪では3~4億円というのはなかなか理解されない」と語ったように、大阪の市場性を考慮したのか。仮に坪400万円と計算すれば、ほとんどが8,000万円前後で、いわゆる億ションは4戸しかない。

 その億ションになりそうな122㎡のモデルルームはとてもよくできている。天井高が2600~2800ミリと高く、玄関を入ってすぐ正面に大きなバルコニーが広がり、リビング・主寝室のドアは親子ドア(幅は1200ミリくらいか)が採用されていた。

 庭園デザイン監修に石勝エクステリアを起用しているように、ランドスケープデザインも優れていると思った。

◇       ◆     ◇

 大阪駅前の再開発の最終章ともいうべき三菱地所を代表企業とする9社による敷地面積約46,000㎡の「うめきた2期地区」の計画も先に発表された。

 開業は2027年春だから、現段階でどのようなマンションが建設されるか分からないが、このままの社会・経済状況が続けば坪単価は500万円をはるかに突破すると記者は読んでいる。

 絶滅危惧種の大阪弁でいつもまくしたてていた〝能弁雄弁御三家〟の和田勇氏と矢野龍氏は第一線を退いた。唯一、残っていらっしゃる樋口武男・同社会長兼CEOに〝負けたらあかんで東京に〟と挑発したい。富裕層向けはどんどん高値追求していいというのが記者の持論だ。

IMG_0835.jpg
販売事務所の模型

大阪府の最高坪単価に 大和ハウス「梅田」 東急不「芦屋」には及ばず(2018/9/15)

 

 

カテゴリ: 2018年度

桃山台 先行外観写真.jpg
「シティテラス千里桃山台」

 住友不動産の「シティテラス千里桃山台」を見学した。同社が先に「昭和40年代に建築されたメゾネット集合住宅の建て替え事業として完成した」と発表したマンションで、周辺相場より20万円くらい高い坪単価270万円でも売れ行きがいいのに納得した。コピペなどしなくてしっかりものを見ないといけないことを改めて感じた。

 物件は、北大阪急行南北線桃山台駅から徒歩3分、大阪府豊中市新千里南町三丁目に位置する15階建て全277戸(非分譲住戸44戸含む)。専有面積は70.09~75.13㎡、発売済み未契約住戸の価格は5,500万円台~6,200万円台。坪単価は270万円。平成30年7月31日完成済。問合せ件数は約3,000件、来場は2,000組超で、7割超を販売済み。

 「千里ニュータウン」の玄関口・桃山台駅前で、都心の主要エリアへスムーズにアクセスできる御堂筋線直通の沿線、閑静な住環境でありながら商業や公益、教育などの施設が整備されている立地が評価されているという。

 販売担当の嶋田成希氏は「都心のマンションにひけをとらない質の高さが評価されている」と話した。

slide_01.jpg
モデルルーム

◇      ◆     ◇

 関西圏のマンション市場はさっぱり分からないのだが、この1年間で8物件を見学した。いずれもレベルの高い物件だったが、一般的なマンションの価格は首都圏の半値以下、直床が多く、天井が低く、グレードもそんなに高くないという印象を受けた。

 しかし、今回の「千里桃山台」はリビング天井高が2500ミリ、ディスポーザー、食洗器、ミストサウナ、Low-Eガラス、スロップシンクなどが標準だった。

 最近の首都圏マンションは、価格を抑えるディスポーザーやスロップシンク、ミストサウナなどは付けず、食洗器をオプションにする例が増えているが、同社は基本的には食洗器は標準装備するという。

 坪単価270万円はわが多摩センターより高い…しかし、新大阪に10分、梅田(地下鉄)に16分の交通便ならこれくらいして当然か。これからの梅田のマンションは坪400万円を突破するのは間違いない。

 御堂筋線は東京の中央線のような沿線と勝手に理解した。

IMG_0839.jpg

IMG_0838.jpg

カテゴリ: 2018年度

kv01.jpg
「ロイヤルシーズン西麻布」完成予想図

 末長組が分譲中の「ロイヤルシーズン西麻布」を見学した。同社が得意とする傾斜地の自社施工マンションで、PRC構造により柱・梁型を極力なくした空間と多面採光を実現し、無垢・挽き板をふんだんに用いているのが特徴。坪単価620万円は割安感がある。

 物件は、東京メトロ日比谷線六本木駅から徒歩8分・広尾駅から徒歩9分、港区西麻布3丁目の第二種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する8階建て(建築基準法上は地上5階、地下3階建て)全43戸。現在分譲中の第2期(9戸)の専有面積は49.48㎡~93.38㎡、価格は7,080万~20,200万円。坪単価は620万円。竣工予定は平成31年3月中旬。施工は末長組。販売代理はライフコーディネーター。約3分の1が分譲済み。

 現地は、ゆるやかな南下がりの傾斜地で、南側と北側に接道。それぞれの出入り口との比高差は4層分。南側道路のはす向かいはルーマニア大使館。

 建物は、吊り橋などに採用されているPC鋼線をコンクリ内に埋め込むことで躯体の強度を高めたPRC構造(プレストレス鉄筋コンクリート構造)とF2システム(PRC構造+耐震壁付ラーメン構造)を採用して、住戸内に柱・梁型が極力出ないようにしている。また、コンクリだけで防水できる工事も施している。

 住戸プランは43通り。エレベーターを4基設置し、各住戸の独立性を高めるとともに、吹き抜けを随所に設けることで多面採光を実現している。

 設備仕様は、ドアに無垢のウォールナットを採用しているほか、床は大理石とウォールナットの挽き板、ディスポーザー、オリジナル食器棚、サッシ下とその周りの壁の大理石張り、Low-E複層ガラスなど。

 販売担当のライフコーディネーター受託営業部長・佐藤義典氏は、「末長組は傾斜地が多い川崎市高津区で造成工事を請け負ってきた50年の歴史がある会社。多面採光が基本的理念で、土地が平らなところではやらないし、他社施工も請け負わない。差別化ができないし、コスト的にも難しい。傾斜地だからこそ技術力が生きる。2~3年前に都心のマンションも手掛けるようになった。仕入れ-施工を一貫して行っているからこそこの価格で分譲できる」と話した。

mv.jpg
モデルルーム

◇       ◆     ◇

 末長組のマンションを取材するのは「溝の口CASA」以来6年振りだ。その記事を添付したのでぜひ読んでいただきたい。信じられないだろうが、その物件は91戸に対して7基エレベーターが設けられていた。単純計算して13戸に1基の割合だった。今回は4基だから11戸に1基だ。

 エレベーターを設置すれば避難階段も同数だけ設置することになる。これだけでも工事費が嵩むことが容易に想像できる。普通のマンションは50戸に1基ついていればいいほうだ。

 出隅入隅が多いのにも驚いた。採光・開口部は、ペントハウスタイプの120㎡のタイプが11カ所なのはともかく、専用エレベーター付き151㎡のタイプが9カ所(うちコーナーサッシが3カ所)、49㎡のタイプでも6カ所だ。

 無垢のウォールナットを採用したリビングドアと居室ドアは内にも外にも開くもので、リビングドアの重さは60キロだという。1枚数百万円もするドアをたくさん見てきたが、今回のドアはシンプルで美しい。

◇       ◆     ◇

 同社の企業理念をホームページから引用する。

 「末長組の思いは、創業以来一貫して変わっていません。まず、私たち自身が住みたいと思える住まいをご提供しよう。つくり手である私たちが心底好きになれるものでなければ、 住んでいただく方にご満足いただくことなど到底できない、と」

 先に書いたサッシ下とその周りの壁の大理石張りは、窓を開けたとき吹き込む雨などにより床が劣化するのを防ぎ、メンテもしやすいよう、長年の経験からそのようにしていると聞いた。同社の矜持を見た。

kv03.jpg
北側からの外観

傾斜地を得意とする末長組の「ロイヤルシーズン溝の口CASA」(2012/8/24)

 

 

カテゴリ: 2018年度

01_外観完成予想CG(北東側).jpg
「ザ・パークハウス 渋谷南平台」完成予想図

 三菱地所レジデンス(事業比率50%)・大林新星和不動産(同30%)・東急不動産(同20%)は10月6日、「ザ・パークハウス 渋谷南平台」(総戸数100 戸)のモデルルームをオープンする。坪単価は850万円で、三菱地所レジデンスが2014年に分譲して人気になった「ザ・パークハウス グラン千鳥ヶ淵」の坪単価800万円を越える同社としてはバブル崩壊後の最高値マンションで、設備仕様は〝グラン〟に匹敵する。

 物件は、JR山手線渋谷駅から徒歩7分、渋谷区南平台町の第二種住居地域(建ぺい率70%、容積率300%)に位置する10階建て全100戸(事業協力者住戸30戸含む)。専有面積は56.44~215.30㎡、予定価格は1.2億円台~7.1億円台。坪単価は850万円。施工は東急建設。竣工予定は2019年11月中旬。販売開始は10月下旬。

 現地は、高級住宅街として知られる「南平台」の一角で、「セルリアンタワー東急ホテル」へは徒歩3分の立地。敷地は元JTの事務所跡地。南平台アドレスでは11年ぶりの分譲。

 建物のデザイン監修はSKM設計計画事務所取締役副代表・桐本将和氏で、共用部にはイタリア「Minotti」社のインテリアを配置。ロートアイアンをふんだんに用いたマスターラウンジからは、高さ約2m×幅約3mの「稲田石」を配した庭園が眺められるようにする。

 また、車寄せで専属スタッフが入出庫を代行するバレーサービス を「ザ・パークハウス」で初導入。「セルリアンタワー東急ホテル」の会員制フィットネスクラブが利用でき、「東急百貨店」の様々なショッピングサービスも受けられる。

 プランは1LDK(56.44 ㎡)~3LDK(215.30 ㎡)まで全23タイプ。室内廊下には60cm×60cm角の天然石、フローリングには天然の突板を採用する。

20_マスターラウンジ.jpg
マスターラウンジ

14_215-A(エントランス).jpg
215㎡の玄関・エントランス(広さは3m×3m。天井が低いのは気になったが)

16_215-A(リビング・ダイニング).jpg
215㎡のモデルルーム

15_215-A(ドレッシングルーム).jpg
ドレッシングルーム

◇       ◆     ◇

 表参道駅に近い「青山ギャラリー」に入ったとたん、甘い花の香りが鼻腔をくすぐり、心を満たした。添付した写真の生花が放つ香りだった。生花は毎週、花屋さんにアレンジしてもらうのだという。

 この瞬間、「千鳥ヶ淵」を超えるかもしれないという予感は、間違いなく超えるという確信に変わった。

 一事が万事。あとは観なくても容易に想像がついた。シアターや模型、モデルルーム、担当者の話などから、この物件に賭ける三菱地所レジデンスの意気込みがストレートに伝わってきた。坪単価850万円も納得した。

 わがデベロッパーは、寺院の造花のように豪華ではあるが、100円ショップで買ったようないかにも安物のフェイクを飾り立てることに何の痛痒も感じず、アンケートと称して個人情報を慇懃無礼に聞き出し、販促費に計上し、結局は購入者が負担することになる「来場者プレゼント」などと詐称ギリギリの商品券を配布する-こんな無礼なことはやめるべきで、きちんと対応するのがおもてなしではないか。価格が高い安いの問題ではない。このマンションを見習うべきだ。

IMG_0813.jpg
青山ギャラリーの生花

◇       ◆     ◇

 渋谷の再開発については触れるまでもないが、渋谷駅圏では、三井不動産レジデンシャルが期間70年の定期借地権付き「パークコート渋谷 ザ・タワー」505戸(販売戸数355戸)を近く分譲するし、旭化成不動産レジデンスの渋谷駅直結の「宮益坂ビルディング」建て替えマンションもある。

 「渋谷」は定借付きだから価格は異なるはずだし、「宮益坂」はコンパクトが中心になりターゲットは異なるが、地所レジとしては後塵を拝するわけにはいかない。仕様レベルを上げ、機先を制す狙いだと読んだ。

 最高価格の7.1億円台の215㎡のモデルルームには、カリマンタン エボニーの突板壁が採用されていた。カキノキ科カキノキ属の広葉樹で、心材は比重が1を超え水に沈む高級家具材のようだ。紫檀や黒檀などと比べ木目の濃淡がでるので美しい。一時期シャム柿が流行したが、それとは異なる。

 什器・調度品も同様。見学に同行してもらった同社の女性広報担当は「これはバカラ、これはフェラガモ、あれはエルメス」などと言い当てた。この日は野球の取材でラフな格好をしていたが、ハイヒールの値段は記者が普段履いている革靴より数倍もした。

 〝グラン〟を冠しなかったのは、共同事業物件のためで、担当者は「仕様レベルはグランと同じ」と話した。7.1億円の住戸には複数の申し込みがあるはずだ。同駅圏の最近の高級マンションでは、鹿島の「センチュリーフォレスト」と同クラスか。

17_215-A(キッチン).jpg
キッチン

皇居が一望できる唯一無二のマンション三菱地所レジ「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」(20ページ2013/8/5)

感動的ですらある鹿島建設「センチュリーフォレスト」(2012/1/25)

カテゴリ: 2018年度

kanda_APY04.jpg
「クリオ神田」完成予想図

 明和地所の「クリオ日暮里セントラルマークス」と「クリオ神田」の共通モデルルームを見学した。いずれも駅から徒歩2分の商業地エリアに立地するが、プランがなかなかいい。価格も抑制気味で、単身者、DINKSなどに支持されそうだ。

 「日暮里」は、JR日暮里駅から徒歩2分、荒川区西日暮里2丁目に位置する敷地面積304㎡の14階建て41戸(住戸は36戸)。専有面積は32.34~70.00㎡、坪単価は370万円。施工は坂田建設。竣工予定は2020年5月下旬。

 「神田」は、JR神田駅から徒歩2分、千代田区鍛冶町2丁目に位置する敷地面積507㎡の14階建で52戸(住戸36戸、事業協力者住戸14戸、事業協力者店舗1戸、管理事務室1戸)。専有面積は32.34~60.45㎡。価格は未定だが、坪単価は420~430万円位になる模様。竣工予定は2020年12月下旬。施工は未定。

kanda_G04.jpg  nippori_gaikan.jpg
「クリオ神田」(左)と「クリオ日暮里セントラルマークス」

◇       ◆     ◇

 同社のコンパクトマンションシリーズ〝ラベルヴィ〟にしなかったのは、専有面積60㎡以上の3LDKもほぼ1フロアに1~2戸含まれているためで、同社は3LDKのニーズもあると読みプランニングしたと思われる。

 そのプランがいい。間取り図を紹介したが、「日暮里」の53㎡の2LDKは北向きだが3面最高で、33.00㎡の1LDKは間口が7.0m。70.00㎡の3LDKは7.5mスパンの東南角住戸。

 「神田」も、南向き60.45㎡の3LDKの間口は7.7mで、32.34㎡の1LDK専用ポーチ付きで北西角住戸。

 同社は2018年3月期末で契約残高393億円(857戸)を確保。未契約住戸は172億円(403戸)で、完成在庫は10億円(22戸)。完成在庫は2019年3月期にはゼロを目指す。

2.png
「クリオ日暮里セントラルマークス」の53㎡のプラン

m-d.png
「クリオ神田」の60㎡のプラン

 

カテゴリ: 2018年度
 

 

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン