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「プラウドギャラリー武蔵小杉」

 野村不動産が先にオープンした、神奈川県内の「プラウド」マンションを比較検討できる常設「プラウドギャラリー武蔵小杉」を見学した。販売機能だけでなく伊勢丹新宿本店、BLUE BOTTLE COFFEE、arflex、parkERs、@aromaの5社のライフスタイルブランドと連携し物販販売、新しいライフスタイルを提案する同業他社の常設モデルルームとは一味も二味も異なる施設だ。

 場所は、JR南武線武蔵小杉駅から徒歩1分、東急東横線武蔵小杉駅から徒歩3分の武蔵小杉タワープレイス4階と10階、延床面積は約254坪(約841㎡)。現在、「プラウド武蔵新城ステーションマークス」(109戸)「プラウド溝の口イースト」(44戸)「プラウド元住吉ガーデンズ」(117戸)「プラウド新丸子」(97戸)の4物件を紹介している。

 4階は、接遇スペースと「リビングSTUDIO」、「キッチンSTUDIO」、「Cafeスペース」の3つのエリアからなり、「プラウド」と親和性の高い内装にしているのが特徴だ。例えば、伊勢丹新宿本店との連携では、食器やキッチン家電が展示されており、バーコードを読み取ることで商品の詳細が分かり購入も可能。来場者に1本600円以上もするBLUE BOTTLE COFFEEなどの飲み物を無料で提供する。「リビングSTUDIO」に展示されている家具類は全てArflex製で、観葉植物はparkERsがアレンジ。各スタジオ、レセプション空間は@aromaの香りでくつろぎの空間を演出する。

 10階は、71㎡の3LDK、33㎡の1LDKのコンセプトルームのほか、テレワークスペースや「インテリア住宅ローン」「宅配型収納サービス」の紹介コーナーがある。

 施設のチーフ・大平章博氏は、「常設ギャラリーは『代官山』『池袋』『五反田』に次いで4施設目。現在紹介している物件は『元住吉』『溝の口』『新丸子』『武蔵新城』の4物件ですが、みんな人気。これからも川崎市の物件を中心に供給物件は続々控えており、ラインアップを整えていきます。接客ブースは20卓あるのですが、これでは足りないくらいで、もう1フロア拡充することを検討しています。販売拠点として長期にわたり機能させていきたい」と語っている。

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parkERsがアレンジしている観葉植物

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伊勢丹新宿本店の食器類提案

◇        ◆     ◇

 マンションデベロッパーの常設販売拠点・モデルルームはこれまで十数か所見学している。内装仕上げグレードの高さでは、5つ星ホテルそのものの伊藤忠都市開発「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」がやや抜けている。広さでは710坪もある住友不動産の「総合マンションギャラリー新橋館」が図抜けている。

 今回の「プラウドギャラリー武蔵小杉」はどうか。販売する物件が坪300万円台から400万円台が中心であることから、お金持ち対象ではない。少し背伸びしたら届きそうなレベルだ。「プラウドと親和性の高い」仕様にしているのも納得だ。

 これに近い常設モデルとしては、コスモスイニシア「イニシアラウンジ三田」がある。こちらはparkERsを起用したコスモスイニシアの世界観がいかんなく発揮されている。素晴らしい。

 さらにまた、モデルルームではないが、積水ハウスの新しいオフィス提案「SUMUFUMU TERRACE(スムフム テラス)」の「新宿」「青山」「池袋」「錦糸町」ともよく似ている。

 この野村不動産、コスモスイニシア、積水ハウスの3社は互角だろうと思うが、総合的な提案力を加味すると、野村不動産に軍配が上がるのではないか。お客さんに提供するというBLUE BOTTLE COFFEE BOLDを今度飲んでみよう。

 現在紹介している「元住吉」(坪単価368~370万円)は来週抽選予定で全117戸のうち第1期として100戸を供給する。1LDKの比率が高い「新丸子」(坪単価400万円)は駅から徒歩2分、全てがコンパクトの「溝の口」は新提案の「スタイリングキューブ」「ドレッシングクローク」などを提案している。

 「スタイリングキューブ」の開発に当たっては大平氏も参加しており、横1400ミリ×幅1000ミリのキッチン天板にキャスター付き可動収納が付いているのが特徴で、調理スペースやカウンターテーブルなど多目的に利用できるようになっている。

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お客さんに無償で提供される飲料(酒の提供はない)

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スタイリングキューブ

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 これは松尾大作社長にお願いだ。記者は最近しつこいくらい浴室のタオル掛けの本数を記事にしている。たかが1本1万とか2万円のタオル掛けをコストを下げるために1本に減らしたり、あるいはゼロにしたりするデベロッパーが増えているからだ。

 ファミリー向けは2本が必須であることはみんながそう思っている。御社は「オハナ」を含めて2本が標準かと思ったが、そうでないようだ。社長!社長が一声かければ2本が標準になる。「プラウド」のブランド力は圧倒的な商品企画力と設備仕様レベルの高さで築いてきたはずだ。

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タオル掛け2か所

目を見張る710坪のマンションギャラリー 住友不「汐留」開設/第一弾は「虎ノ門」(2022/1/14)

木漏れ日、渓流の音…イニシアの世界観を表現 総合ギャラリー「三田」(2021/7/30)

積水ハウス「スムフム テラス錦糸町」/往年のRBA野球スター選手が勤務(2020/4/18)

これは凄い ホテルなら5つ星 伊藤忠都市 「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」(2020/9/10)

 

カテゴリ: 2022年度

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「リビオタワー羽沢横浜国大」

 日鉄興和不動産が分譲開始した「リビオタワー羽沢横浜国大」を見学した。「羽沢横浜国大」駅から徒歩1分の全357戸で、6月4日から販売開始した第1期1次111戸、第1期2次7戸のうち100戸以上に申し込みが入った。来場者は700件を突破している。

 物件は、相鉄・JR直通線羽沢横浜国大駅から徒歩1分、横浜市神奈川区羽沢南2丁目の準工業地域(建ぺい率80%、容積率430%)に位置する敷地面積約7,407㎡、地上23階地下1階建て全357戸(募集対象外住戸7戸含む)。専有面積は28.12~83.16㎡。第1期2次(7戸)の価格は3,958万~8,188万円(36~74㎡)。全体平均坪単価は340万円。竣工予定は2023年11月下旬。売主は同社のほか三菱地所レジデンス。設計・監理はアール・アイ・エー。施工は熊谷組。販売代理は東急リバブル。

 敷地は、寺田倉庫による区画整理事業地の一角。同社の倉庫があったそうだ。建物の1階から4階までは寺田倉庫が運営する商業施設、子育て支援施設、医療施設、大学活動支援施設が予定されている。住居部分は5階以上。

 6月4日~12日に第1期1次の111戸のほか、第1期2次の7戸を供給し、100戸以上に申し込みが入った。エントリー数は4,300件に達しており、来場者も700件を突破している。来場者の属性は神奈川区が10%、市内が30%、県外が約半数。5~10階まで8スパンある28㎡・36㎡のタイプ(48戸)などは投資需要もあるという。

 主な基本性能・設備仕様は、制震構造、内廊下方式、二重床・二重天井、二重サッシ、リビング天井高2500ミリ(最上階は2700ミリ)、ハイサッシ、ワイドスパン、御影石キッチン天板、ディスポーザー、食洗機、自動開閉機能付きトイレ、浴室タオル掛け2か所など。このほか、共用部にはOKAMURA、ダイキン工業、bitlock、ソニーPCLなどの最新のデジタル技術を結集してアクティブラウンジを設ける。

 同社住宅事業本部再開発推進部再開発推進第二グループ・坂井秀斗氏は、「2023年には相鉄・東急直通線の開業が予定されており、駅1分の利便性、資産性が評価されている。隣駅の武蔵小杉駅圏のマンションは坪単価400万円をはるかに突破してきているので、こちらを選択される方も多い。設備仕様レベルを高くしている」と話した。

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2層吹き抜けのエントランスホール

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モデルルーム

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 83㎡、90㎡のモデルルームのレベルは高い。プランもいい。間口は、コンパクトを除き東南向き、南向き住戸のほとんど6.4m以上で、10m近いタイプも多い。坪単価については触れない。

 新横浜にあるモデルルームを見学したときは現地を見ていなかった。現地を見ずに記事を書くのは、現場主義を標榜する記者の沽券にかかわるので、翌日、野村不動産の武蔵小杉の常設「プラウドギャラリー」の取材あと現地を見ることにした。

 2019年に開業した羽沢横浜国大駅に着いたのは午後4時40分頃。武蔵小杉駅から1駅だからものの数分だろうと思ったがとんでもない。15分もかかるのに驚いた。そのうち半分は地上、半分は地下だった。いったい全体どこを走っているのか全く分からなかった。JR貨物船などと並行して走っているようだ。それにしてもて首都圏の鉄道路線でこれほど駅間距離=時間が長いのは他にあるのか。中央線快速の新宿-東京間と同じだ。

 駅周辺は駅舎と2~3階建てくらいの換気塔、2階建てのドラッグストアしかなく、四囲は小高い戸建て住宅地。物件の愛称は「HAZAWA VALLEY(ハザワバレー)」とあったのは、シリコンバレーにあやかったのか。横浜国大までは坂を上って20分かかると言われたのであきらめた。

 朝からなにも食べていなかったので、唯一見つかった小さな居酒屋に立ち寄った。30年前に開業したそうで、手作り料理が売りだった。ぬか漬けは〝おばあちゃんの味〟とお客さんは言うそうだ。マンションの完成まであと1年少し。入居者が押し掛け、居酒屋さんの苦労が報われてほしい。

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駅舎(緑は少ない)

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建築現場(右側の建物はどうしてこんな位置にあるのか換気塔)

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居酒屋の前から写す(手前の建物がドラッグストア)

カテゴリ: 2022年度

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「ルピアコート南流山」

 ポラスグループ中央住宅が分譲中の「ルピアコート南流山」のモデルルームを見学した。同社のヒットアイテム「ピアキッチン」を全住戸に標準装備しているのが特徴で、5月から分譲開始し、これまでに第1期1次・2次・3次32戸が完売している。

 物件は、つくばエクスプレス・JR武蔵野線南流山駅から徒歩10分、流山都市計画事業本地区一体型特定土地区画整理事業地域内の第二種住居地域に位置する8階建て全68戸。6月下旬に分譲する第2期15戸の専有面積は58.83~70.65㎡、価格は未定。全体の坪単価は230万円。竣工予定は2023年2月中旬。設計はボンドデザイン一級建築士事務所。施工はファーストコーポレーション。販売代理は東京中央建物。

 5月7日に分譲開始した第1期1次25戸のほか、これまで第1期2次5戸、第1期2次2戸の合計32戸を完売。来場者は160組。属性は流山市55%、その他千葉県20%、東京都15%、埼玉県10%、TX沿線利用者。

 現地は、2014年分譲のNTT都市開発・大成有楽不動産・長谷工コーポレーション「ウェリス南流山」345戸に隣接。徒歩圏には商業施設、公園、学校などの生活利便施設が整っているエリアの一角。

 建物はL字型で、住戸は南向きが約8割、西向きが約2割。主な基本性能・設備仕様は、ワイドスパン、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ(2~8階)・2500ミリ(1階)、ピアキッチン、食洗機、変身クローク、複層ガラス(Low-E)、まもるんスペース、AKUDANA、浴室タオル掛け2か所、ちょいおきレール、片寄マイギャラリーなど。

 同社は人気の要因を「おおたかの森より南流山がよいとの評価をしている方が想像以上に多いことに驚いています。流山市の子育てに関する取り組みや考え方に強く共感し”子育て”にフォーカスしたときに、ピアキッチンプランがいいと判断、全ての住戸に採用しました」としている。

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モデルルーム

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 来場者160組で第2期までの47戸が完売するとすれば、歩留まり率は約3割だ。極めて好調と見ることができる。その最大の要因は、実用新案取得済みのピアキッチンを全戸標準装備したことにある。

 同社は価格を公表していないが、仮に同様のキッチンカウンター、バックカウンター、収納などをオプションとして購入すれば100万円くらいするはずだ。20坪換算だと価格を約2%上昇させる要因となる。小さくない数字だ。それでもマンション検討者の心を捉えてきた。同じものは他社は採用できないが、バックカウンター・収納は装備すべきだ。

 もう一つ、強調したいのはワイドスパンだ。東西軸の長い敷地形状だからできたのだろうが、58㎡でも間口は6m、68㎡で6.45m、70㎡で6.65㎡ある。間口を広く取ることによって浴室と玄関クロークを窓付き(一部除く)としている。

目からうろこ キッズスペースに一変「変身ラウンジ」 ポラス「津田沼」竣工完売(2022/6/16)

NTT都市開発他「ウェリス南流山」 半年で5割以上分譲済み 販売順調(2014/12/8)

 

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「イニシアグラン札幌イースト」(

 コスモスイニシアは6月17日、アクティブシニア向け分譲マンション「イニシアグラン札幌イースト」(203戸)が竣工・入居開始となり、再開発事業「北4東6周辺地区第一種市街地再開発事業」全体の「まちびらき」が5月26日に開催されたと発表した。

 物件は、地下南北線さっぽろ駅から徒歩11分、札幌市中央区北四条東七丁目に位置する敷地面積約11,542㎡、14階建て全203戸(分譲対象住戸202戸、医療関連施設等区画1戸)。専有面積は41.63~82.44㎡。竣工は2021年9月。施工はフジタ・岩田地崎建設・田中組 特定建設工事共同事業体。管理は大和ライフネクスト。

 「北4東6周辺地区第一種市街地再開発事業」は、平成25年に策定された「札幌市まちづくり戦略ビジョン」に基づき、にぎわいの創出と環境共生型のまちづくりを目指し、「住宅・商業複合地区」「公共公益地区」「医療・福祉複合地区」で構成されている。

 「イニシアグラン札幌イースト」は、1階にクリニックモール、マンション内には多目的ルーム、ホワイエ、ミーティングルーム、ミュージックスタジオ、小浴場、大浴場(男女別)、プレイルーム、ゲストルーム、カフェダイニングの9つの共用施設を備えている。

 「フレイル」と呼ばれる、心身活力や生活機能などの日常生活を送るための機能が低下し、将来要介護状態となる可能性が高い状態を予防するため、社会参加(つながる)、体力(動く)、栄養(食べる)ことに力を入れるとしている。

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まちびらき

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大浴場

またイニシアだ!UDの企画抜群 アクティブシニア向け「グランコスモ武蔵浦和」(2015/3/24)

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「クレヴィア西馬込」

 先の伊藤忠都市開発「クレヴィア新御徒町」に続き「クレヴィア西馬込」を紹介する。こちらはコンパクトからファミリーまでをターゲットにした物件で、始発駅であることもあり、約700件の反響を集めている。

 物件は、都営地下鉄浅草線西馬込駅から徒歩7分、大田区西馬込一丁目の準工業地域に位置する7階建て全     44戸(うち事業協力者用住戸8戸)。7月中旬に分譲予定の第1期(戸数未定)の専有面積は36.45~81.76㎡、価格は未定だが、坪単価は370~375万円の予定。竣工予定は2023年4月下旬。施工は松尾工務店。設計・監理は安宅設計。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、玄関手洗い収納、スマートIoT機器など。

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玄関手洗い収納

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スタンダードミラー(左)とストレージミラー

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ユーティリティー・キャビネット(左)とデザイン・キャビネット

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 現地は見ていないが、以前、義妹が馬込に住んでいたので住環境は見当が付く。国道・第二京浜に面しており、準工エリアであるのはネックだが、道路沿いはマンションや飲食などの商業施設化が進んでいる。背後は起伏のある住宅街が広がっている。始発駅であることやファミリータイプの比率も高いことなどから反響を呼んでいるようだ。

 特徴の一つは、玄関手洗い収納が装備されていることだ。戸建てではかなり一般化しているが、分譲マンションで付いているのは初めて見た。デザイン性もいい。

 もう一つ、「新御徒町」の記事でも書いたが、ユーティリティー・キャビネット、デザイン・キャビネットの二つの収納とスタンダードミラー、ストレージミラー、イルミネーションミラーの3つのミラーを組み合わせることでできる6タイプの中から、無償で選べるドレッシングルーム(洗面)の提案がいい。この種の提案も初めて見た。

 更にもう一つディスポーザー。40戸台の規模でディスポーザーが付いているのは、記者が見学した限りでは10件に1件もないはずだ。

 最後に、同社に提案だ。現在の賃料・維持管理費は月500万円はくだらないはずの、5つ星ホテルに匹敵する「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」を夜間は一般に開放してはどうか。飲食・喫煙を可能にし、モデルルームは宿泊可能にすれば、1泊5万円(2~3室)でも安い。常設モデルルームのビジネスモデルにしてほしい。賃料の3倍の売り上げが期待できる。マンションの成約率も間違いなくアップする。

退行する商品企画に一石 天井高2700ミリ&ワイドスパン 伊藤忠都市「新御徒町」(2022/6/18)

これは凄い ホテルなら5つ星 伊藤忠都市 「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」(2020/9/10)

 


 

 

カテゴリ: 2022年度

 千葉大学名誉教授で、スケルトン・インフィル方式を編み出し、日本マンション学会会長などを歴任された小林秀樹氏が、6月22日に行われるマンションコミュニティ研究会(代表・廣田信子氏)主催の第25回フォーラム「マンションの長寿命化に向けた取り組み…二つの老いにどう備えるか…」で基調講演をされる。視聴申し込みは6月19日まで、以下のURLへ。https://www.mckhug.com/blog/25

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 小林先生が基調講演をされることは、廣田氏からのメールで知った。テーマの「二つの老いにどう備えるか」はマンション管理業界、管理組合の大きなテーマの一つだが、肩書が「名誉教授」になっていたのに驚き、名誉職に退く年齢でもないと思い、小林秀樹研究室情報サイトで調べた。

 絶句するほかなかった。先生が2020年3月末で定年退職されたのは仕方がないとしても、2022年3月12日付の【ご報告】には、「半年前に肝内胆管癌が発見され治療を進めています。幸い治療の効果で生活にそれほど支障はありません。詳しくは、癌ブログを公開しました」とあるではないか。恐る恐る読んだ。〝闘病記〟の第1回目には次のように綴られている。

 「2021年6月に肝内胆管癌がみつかったとき、すでにステージⅣで肝臓に転移しており、手術はできない状態であった。

 そのとき、最初に調べたのは、癌を克服する方法であった。手術の可能性はないのだろうか。抗がん剤治療はどんなものだろうか、新しい治療法はあるのだろうか、などを本やネットで調べた。

 しかし、手術以外に完治の見込みはない難治性の癌であることを知った。もちろん、希望を捨てたわけではない。抗がん剤が効いて癌が小さくなれば、手術できる可能性は残されている。

 妻は、私以上につらかったはずだ。食事療法の本を買い込み、ニンジンジュース、癌によい食事を調べて毎日つくってくれた。感謝しかない。

 そして、次に知りたいと思ったことは、余命をどう生きるかであった。夫婦の趣味である登山の田部井淳子さんの闘病記を読んで勇気づけられた。また、同じ癌で亡くなった川島なお美さんは、亡くなる3週間前まで舞台に立っていたそうだ。その生き様に心を打たれた。そして、多くの方のブログが心に染みた。

 そうだ…私も癌と過ごした記録を残しておこう。それは、余命を生きた証にもなるはずだ」と。

 その後、本日(6月18日)現在、21回ブログを更新されている。文量は1回あたり400字原稿用紙3枚前後か。

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 このような記事を書くのはつらい。小生の妻も28年前、乳がんで死亡しているからだ。しかし、先生の闘病記を読んで、これは伝えなければならないと思った。先生がわが国の住宅政策、街づくり、団地再生・活性化に大きな役割を果たされていることを知っていただきたいので書くことを決断した。先生にもご了解を頂いた。

 先生との出会いは12年前だ。「感動的な催しを取材することができた」と記事に書いたように、「もう一つの住まい方推進協議会(Alternative Housing & Living Association)」が主催した「第6回もうひとつの住まい方推進フォーラム2010 〝複合〟でつなぐ地域の暮らしと福祉」を取材したときだ。

 その時の記事と先生の講演要旨を添付する。座学ではなく、実践に基づく講演なのでとても参考になる。今回の記事も、この講演を参考にしていただくのが最大の目的だ。

 その後、先生が参加された国土交通省などの会合を何度も取材させていただいた。とにかく先生の話は面白い。しかも、すらりとしてかっこいいのだ。いつも西城英樹さんとだぶらせて話を聞いた。年齢は小生より二回りは低いはずだとずっと思ってきた。

 先生の記事のアクセス数も多く、旭化成ホームズが主催したフォーラムの記事は6,000件をはるかに突破した。主だった記事も添付する。

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 先生が行った2020年10月10日の最終講義をビデオで視聴した。「40年の研究人生を振り返って」というテーマで、1時間半にわたって話された。

 大学の先生の最終講義を受講・聴講するのはこれで2度目だ。最初は十数年前、明治大学・百瀬恵夫名誉教授だった。この時は特別に許可され、学生さんと一緒に長椅子に腰かけて受講した。

 講義を通じて企業のあり方、人間としての生き方を学んだ。その後の取材にも生かされている。先生は「CATが大事」と話された。「C」とは「Compliance(コンプライアンス)」、「A」とは「Accountability(アカウンタビリティ)」、「T」とは「Traceability(トレーサビリティ)」だ。

 これを守らない政治家がいかに多いことか。百瀬先生は「代議士は詐欺師か大馬鹿野郎のどちらか」と話されたこともあった。

 そして今回の小林先生。先生は講義の締めくくりとして、①住民の暮らしの現場を大切にする。〝なぜ〟が研究のヒントになる②一人ひとりの要求を大切にする。顕在的要求から潜在的要求を引き出す企画者たれ③これからの建築・都市を考えるうえで、対立・矛盾の中にチャンスがある-この3つのメッセージを学生さんに贈った。

 百瀬先生と小林先生に共通するのは「武闘派」「実践派」ということだ。百瀬先生は中小企業研究の第一人者として知られるが、経営者はもちろん従業員などと酒を飲み交わしながら大企業に負けない理論を打ち立てた。「百瀬教」を名乗る研究者や経営者がたくさんいる。記者は勝手ながら「武闘派」と呼んだ。

 小林先生は、どちらかというと優男で、柔道5段(と聞いた覚えがある)でいくつもの武勇伝を持つ百瀬先生と対照的だが、座学を枕にするような先生ではないことを、12年前の取材で知った。前段で書いた通りだ。

 最終講義でも「現場」「実践」を何度も話し、セキスイハイムの「オーサンス」や旭化成ホームズの「母力」などの家づくり研究に参画したのもとても勉強になったと語った。「研究室の外に出よう」とも呼び掛けられた。

 6月22日の基調講演ではどのような話をされるのか。

〝羽ばたけないかごの鳥〟国交省 団地再生検討会 エアコンなし 議論白熱30度超に(2008/6/8)

マンションコミュニティ研究会 設立5周年フォーラム「豊かな未来へ」(2015/12/4)

平成の田園調布になるか1区画200坪の街づくり つくば市の「春風台」(2015/5/26)

厚くて高い法の壁 合意形成の難問も立ちはだかる 国交省「団地再生あり方検討会」(2015/3/18)

「理想の間取りは普通の間取り」 小林秀樹・千葉大大学院教授(2014/1/22)

〝複合〟でつなぐ地域の暮らしと福祉 「もう一つの住まい方推進協議会(AHLA)」フォーラム(2010/10/29)

「複合」の魅力とその可能性(2010/11/16)

「おーお明治」大学の誇り 百瀬恵夫名誉教授の「瑞宝中綬章」受章を祝う会に300名(2017/8/8)

 

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「クレヴィア新御徒町」

 伊藤忠都市開発が近く分譲する「クレヴィア新御徒町」(52戸)と「クレヴィア西馬込」(44戸)のモデルルームを「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」で見学した。現地は見ていないが、商品企画は間違いなくいい。いかにも同社らしい物件だ。「新御徒町」から紹介する。

 物件は、都営大江戸線新御徒町駅から徒歩5分、都営浅草線蔵前駅から徒歩9分、台東区鳥越一丁目の商業地域(建ぺい率56.71%、容積率499.56%)に位置する14階建て全52戸。専有面積は32.11~67.69㎡、価格は未定だが、坪単価は460万円の予定。竣工予定は2023年12月上旬。設計・監理は陣設計。施工は第一建設工業。分譲開始は7月上旬の予定。

 最大の特徴は、全住戸の天井高が約2.7m以上で、約2.2mのハイサッシ、1LDKでも5000ミリ以上のワイドスパンという商品企画だ。効率的な設計により、限られた面積を最大限に活用するもので、「TEN-DAKA」「YOKO-HIRO」「TATE-BAKO」「AKA-RI」の4つの特徴を「Hi-SUMA」と総称している。

 また、省エネ法の省エネ基準に比べ一次エネルギー消費量を10%以上削減し、その他低炭素化に資する措置が講じられている場合、「住宅ローン減税」などの優遇を受けることができる「低炭素建築物」認定を、同社としては初めて受けた物件でもある。

 さらに、ドレッシングルームは「スタンダードミラー」「ストレージミラー」「イルミネーションミラー」の3つのミラーと「ユーティリティ・キャビネット」「デザイン・キャビネット」の2つの収納を組み合わせることでできる6通りのプランを、自分の好みで自由に選べる無償の「DRESSIMO」を採用する。

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32㎡のプラン

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 現地を見ていないので何とも言えないが、立地はおおよその見当がつく。隅田川花火を見るためにマンションを買うお金持ちがいるエリアの一角ではないか。坪単価は高いような気もするが、23区のコンパクトマンションは軒並み坪400万円を突破してきているので、こんなものかとも思う。

 さて、約2.7mの天井高。このところ激しいマンションの価格上昇に反比例するように、天井高はどんどん低くなっている。2500ミリあれば高いほうとかで、2400~2450ミリが当たり前になっている。天井高を下げればその分だけ鉄やコンクリも少なくて済むのでコストは下がるし、天井高を下げることで階数(戸数)を増やすことも理論的には可能だ(実際は容積率の規制があるので難しいが)。

 今回の物件で天井高を2.7mとしているのは、建ぺい率、容積率などの法的規制によるものだろうが、供給が増え競争も激化しているコンパクト市場に与えるインパクトは大きい。

 間違いなく居住性は向上する。しかし、その居住性を定量的に計る物差しはない。デベロッパーは天井高を下げたのでその分価格を下げたとか、逆に高くしたので価格にオンしたなどとは絶対言わない。建基法では居室の天井高は2.1m以上と定めているのみだ。

 その価値判断材料になると思うので、三井不動産レジデンシャル「パークコート六本木ヒルトップ」とモリモト「ディアナコート本郷弓町」、そして先日見学した三菱地所レジデンス「The Parkhabio(ザ・パークハビオ)SOHO 大手町」の記事を添付する。

 「六本木」のリビング天井高は標準階でも3,400~3,450ミリ、最上階は4,150ミリだった。「本郷弓町」は、建基法ではあと2層積み上げられたのにそうしないで、天井高を2.7m確保した。これが圧倒的な人気を呼んだ要因だった。三菱地所レジの「MIデッキ」には感動した。

 今回の物件もまた、どんどん退行する居住性能に一石投じるものだ。反響が注目される。

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ハーフモデル(天井高2400ミリならエアコンの下部あたり)

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「DRESSIMO」(デザイン性なら左、収納重視なら右とか)

感動的な天井高2730ミリの「MIデッキ」 職住一体型SOHO 三菱地所レジ「大手町」(2022/6/15)

あっぱれ!モリモト 階数を2層分減らし天井高2.7m確保「本郷弓町」(2014/5/23)

現段階で最高品質のマンション三井不レジ「パークコート六本木ヒルトップ」(2011/11/16)

 

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「レーベン小田原 THE TOWER

タカラレーベンが分譲中の「レーベン小田原 THE TOWER」を見学した。小田原駅前の商住複合再開発マンションで、昨年秋からの優先分譲、今春の第1期分譲を終え、分譲対象住戸のうち8割強が成約済みだ。購入者の約3割が都内居住者ということからも分かるように、利便性、資産性が圧倒的人気の要因だ。

物件は、JR・小田急小田原線小田原駅西口から徒歩1分、小田原市城山一丁目の地下1階地上17階建て全190戸(うち非分譲住戸38戸、優先分譲住戸72)7月上旬分譲予定の第2期(戸数未定)の専有面積は35.9080.21㎡、価格は未定。竣工予定は20245月下旬。設計・監理は三輪設計。施工は西武建設。売主は同社のほか万葉倶楽部。事業主は小田原駅前分譲共同ビルマンション建替組合。

昨年10月に優先分譲として72戸を成約。第1期一般分譲として今年521日に62戸を抽選分譲し、150組の申し込みがあり、平均2.4倍で即日完売。これまでの来場者は約370組。地元が約3割、県内が約4割、都内が約3割。

現地は、小田原駅西口を出て徒歩数十秒。屋根付きのバス、タクシー乗り場があるので雨でも傘はほとんど必要ない立地。通路を挟んで東側には鉄道高架線があり、線路を挟んだ対面には商業ビルなどが建っているが、高層階からは小田原城や相模湾が望める。敷地の西側は緑が豊富な小高い丘の住宅地。

建物は、13階が医療・商業施設などの店舗が予定されており、住戸は4階以上。プランはコンパクトから100㎡以上の住戸8戸まで多彩な23タイプ。

主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2500ミリ、二重サッシ(線路側)で住戸側は樹脂サッシ、内廊下方式、たからの水など。

販売を担当する同社マンション事業本部営業推進事業部第1営業統括部第2営業部部長・平岡篤氏は「社内の再開発チームが取り組んでいるプロジェクトで、4月まではモデルルームをオープンしていなかったが、残りは18戸。購入者の方は今回の唯一無二の価値を理解されています。3年前、駅東口で坪単価220万円の物件が供給されていますが、それとは比較になりません」と語っている。

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完成予想図

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ライブラリーラウンジ

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 添付した同社の「福岡天神」「東川口」の記事も合わせて読んでいただきたい。凄いというほかない。「福岡天神」「東川口」もそうだったのだが、〝坪単価については書かない〟という約束で、「R.E.port」の記者の方と一緒に見学が実現した。なので坪単価は想像してもらうほかないのだが、小生と「R.E.port」の記者の方も予想はどんぴしゃりだった。自慢するようだが、現地取材をたくさんこなすと単価は見えてくる。(「福岡天神」「東川口」は外れたが)

90㎡のモデルルームもよくできている。オプション仕様ではあるが、「このままの仕様にしてほしい」という購入者もいるそうだから、同社の提案力がうかがえる。

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 皆さんは二宮金次郎をご存じか。小生は学校の校庭に薪を背負いながら本を読んでいるコンクリ製の全身像を知ってはいたが、どこの生まれで、成人してどのような功績を残したのか、教わっているはずだが全く記憶にない。(戦争前はブロンズだったが、武器製造のため供出されたと聞いていた)

 今回の取材で、その二宮金次郎が小田原市出身であることを知った。駅には、小生の小さいころとよく似たかわいい少年の銅像が建っており、今回のマンションの売主でもある万葉倶楽部が開発した「ミナカ小田原」の広場にもブロンズ製の夫婦像が建っている。金次郎の身長は160cm台で、奥さんは150cmくらいだ。驚いたのは、金次郎は帯刀していたことだ。どうして農民が帯刀を許されたのか。伝記などを読んでいただきたい。

 帰りの電車の時間まで30分以上あったので、マンションの建設現場に立って通行する20人以上に「二宮金次郎を知っていますか」と声を掛けた。高校生が圧倒的に多かったのだが、ほとんどの人が知っていた。像は校庭に建っており、学校でも習うそうだ。

 そういえば、小生は授業中いたずらばかりしていたので、廊下にいつも立たされた。嫌いな音楽の授業などは裏山でひとり遊んでいた。それでも末は博士か大臣かと言われた。今は昔だ。

 「R.E.port」の記事について。小生の記事より半日早く(昨日18時)アップされている。単価に触れていないのは同じだが、うまくまとめている点では「R.E.port」に軍配を上げざるを得ない。しかし、二宮金次郎に触れている点では小生の記事が勝る。どちらが勝つか、皆さんに決めていただきたい。

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駅東口の金次郎のブロンズ像(小生の小さいころにそっくり)

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駅前の「ミナカ小田原」設置されている二宮金次郎夫婦像(金次郎は刀を差している)

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「ミナカ小田原」

威力絶大 PPP×企画提案力 タカラレーベン「レーベン東川口GRANDEST」(2022/3/17

福岡の最高峰 第1100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」(2022/3/15

カテゴリ: 2022年度

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「ルピアコート津田沼」

 ポラスグループ中央住宅は6月15日、コロナ禍の真っ最中に分譲開始した〝さわらない・もちこまない〟ノンタッチをテーマにしたマンション「ルピアコート津田沼」が竣工完売したのに伴うメディア見学会を行った。モデルルーム見学会では分からなかった、同社の生活者視点にたった商品企画に目からうろこが出た。

 物件は、JR津田沼駅から徒歩12分、船橋市前原西4丁目の第一種中高層住居専用地域に位置する7階建て全53戸。専有面積は68.02~71.75㎡、価格は3,998万~5,288万円(最多価格帯4,500万円台)、坪単価は215万円。竣工は2022年5月26日。施工はイチケン。販売代理は東京中央建物。

 契約開始は昨年6月6日で、竣工した今年5月26日までに全戸完売。購入者の半数は船橋市、習志野市居住者で、約2割の都内など地元以外は何らかの地縁のある人が目立ったという。中心年齢はプレファミリー中心の30代の前半。総来場者数は319件。

 竣工見学会で、同社マンションディビジョン部長・中島教介氏は、「アプローチはルートがいくつもありネックだったが、コンセプトをはじめ中身(商品企画)が評価された。当社のヒットメーカー西牟田が考案した『変身ラウンジ』などを見ていただきたい。ここまでやっている物件は他にないはず」と語った。

 販売代理の東京中央建物プロジェクトマネージャー・髙橋雅史氏は、「ピアキッチンやノンタッチの設備仕様に高い評価を頂いた。競合にも競り勝った」と話した。

 〝ヒットメーカー〟として紹介された同部の西牟田奈津子氏は、各所に採用されているノンタッチキーや実用新案取得済みの「車の出し入れ まもるんスペース」と「変身ラウンジ」など共用部の施設について説明した。

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「変身ラウンジ」

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変身前のラウンジ壁面 

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変身前の窓(左)と変身後の窓

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「まもるんスペース」の床

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 この物件については昨年5月、モデルルーム見学会を取材し記事にしている。その時見落とした、そして今回初めて紹介されたことを追加する。

 前段の「変身ラウンジ」は唖然とするほかなかった。大規模物件ではキッズルームは当たり前になっているが、この程度の規模の物件ではまずない。西牟田氏が考案したのは、壁面や窓の扉をあけ放つと、写真のような子ども向けのイラストや遊具が飛び出すものだ。そんなにコストがかかるわけではないが、発想が面白いではないか。ラウンジには不燃処理を施した本物の木が一部に採用されていた。

 前回の見学会で見落とした「まもるんスペース」には、いい年をした記者もはしゃいでしまうほど意表を突くものだった。機械式駐車場の車の出し入れの際の子どもの事件を防ぐための1.5畳大のスペースを設けたものだが、何とスプレーで床に水をかけるとイヌ、ワニ、ブタ、ライオン、ウマ、ペンギン、リス、ウサギ、オットセイ、ゾウなどのイラストが浮かび上がるではないか。

 「まもるんスペース」は2019年に取材しており、キッズデザイン賞協議会会長賞を受賞したが、動物のイラストが浮かび上がる仕掛けは2020年から採用したという。(これは他の用途にも使える)

 この他、ノンタッチをごみ置き場のドアに採用したのは多分同社が業界初だと思うし、ノンタッチで取り出せる宅配ロッカー、エントランスにTOTOの大人用と子ども用の「アクアオート(自動水栓 きれい除菌水タイプ)」を採用しているのも初めて見た。エントランス部分のQRコード付きのニラ、スミレ、アジサイ、アヤメ、キキョウは購入者が植えたそうだ。これもキッズデザイン賞を受賞した〝ルピア花クラブ〟の取り組みによるものだという。

 同社のマンションや戸建てがよく売れる要因の一つに、これらきめ細かな商品企画がある-そのアイデアを世に送り出してきたのは、今年6月10日付で定年退社した前取締役・金児正治氏(62)の功績が大きい。代わって成瀬進氏が取締役に就任した。どこかで聞いたような名前だと思い検索したら、調整区域の開発物件「ハナミズキ春日部・藤塚」の見学会で話を聞いている。マンションも担当することになってどのような次の手を打つのか。楽しみだ。

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購入者が植える草花を決めた植栽帯の一部

熱男! ポラス中央住宅取締役・金児正治氏(62)が退任(2022/6/10)

〝さわらない・もちこまない〟コロナ対策随所に ポラス「津田沼」好調スタート(2021/5/29)

ポラス 第14回キッズデザイン賞に「AKUNDANA」と「育実の丘 東大宮」2作品が受賞(2020/8/21)

調整区域の市民農園付き200㎡邸宅 ポラス「ハナミズキ春日部・藤塚」企画秀逸(2020/7/3)

ポラスのマンション好調 商品企画支えるのは2児のワーキングママ・西牟田奈津子氏(2019/9/15)

 

カテゴリ: 2022年度

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「The Parkhabio(ザ・パークハビオ)SOHO 大手町」

 三菱地所レジデンスは6月14日、新たなライフスタイルを提案するコワーキングスペースを併設した職住一体型賃貸マンション「The Parkhabio(ザ・パークハビオ)SOHO 大手町」が完成したのに伴う記者見学会を行った。千代田区の駐車場地縁義務の緩和を受けて1階部分に約60㎡のコワーキングスペースを確保し、新建材の「MIデッキ」を天井部に採用することでリビング天井高を2730ミリとし、共用部の壁面に突板を採用しているなど見どころの多い賃貸マンションだ。

 物件は、東京メトロ・都営三田線大手町駅から徒歩7分、JR神田駅から徒歩6分、千代田区内神田一丁目の商業地域に位置する敷地面積約260㎡、13階建て延べ床面積約2,287㎡の全49戸。専用面積は25.31~50.63㎡。現在募集中の賃料は137,000~286,000円(礼金なし、敷金1か月)。契約期間は2年。管理費は20,000~3,000円。竣工は2022年6月15日。設計・施工は大豊建設。敷地建物所有者は三菱地所レジデンス。貸主は三菱地所ハウスネット。

 リーシングは順調で、第1期として12件に申し込みがあり、契約のめども立ったという。スタートアップ企業は約2割で、当初想定した通りという。

 物件の特徴は、①1階にコワーキングスペースを設置し、通勤時間ゼロという蓋らしいライフスタイルを提案②内神田の立地を生かし、まちの賑わい創出に寄与③居室やコワーキングスペースの天井部に新建材の「MIデッキ」を採用し、木材の質感を実現したこと。

 ①のコワーキングスペースは、スギ材を天井と壁仕上げに多用した「Style Lounge」と名付けた天井高6m、約60㎡。作業効率を追求し、オフィスチェアやモニターを完備。壁面アートからは時間帯で変化するオリジナルのBGMが流れ、空調音や生活音の低減を図っている。仮眠が取れるコクヨ製のソロワーク用ブースdop(2基)や個室(2室)、一部外部にも開放する会議室を整備。法人登記も可能にし、スタートアップ企業の支援を行う。

 ②では、2020年4月に施行された「内神田一丁目周辺地区都市再生駐車施設配置計画」を活用し、付置義務駐車場(5m×3m×2台)の緩和を受け、コワーキングスペースの設置を可能にした。内神田エリアの街の賑わい創出に寄与する。

 ③のMIデッキは、三菱地所とケンテックが共同開発し、MEC Industryが製造するハイブリッド建材で、鉄筋と木(もく)が一体化された型枠にコンクリートを打設することで、天然木の現し空間を創出することができる。同社としては初めて採用するもので、天井高2,730ミリを実現した。

 同社は、今回の「大手町」のほか「代々木公園」「祐天寺」を建設中で、今後、都内を中心に3年間で5棟の「The Parkhabio SOHO」シリーズの継続的な供給を目指す。

 見学会で同社常務執行役員賃貸住宅計画部長・森山健一氏は、「賃貸事業は2004年に事業開始し、三菱地所レジデンスの分譲のノウハウを生かしながら展開してきており、今秋にはトータルで100棟が完成する。SOHOは2019年から企画を開始。コロナ禍で働き方改革が一気に進むなか、職住一体型の新しいライフスタイルを提案した。今後も多様なニーズに応えていく」と語った。

 また、同社賃貸住宅計画部第四グループ主任・福井一哉氏は、今回のSOHOを社内ベンチャー新事業として応募・採用された経緯について説明。460件のアンケートや28件の直接アンケートなどで賃貸住宅の1階は使われていないこと、通勤時間が長いことなどに着目し、オフィスと住宅の中間領域としてのSOHOを提案したという。ハード面で差別化を図ったことで、二重賃料負担の課題がある既存のシェアハウスやシェアオフィスとの競合もないと話した。

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1階コワーキングスペース

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1階コワーキングスペース

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1階賃貸エントランス

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 見学受付の賃貸エントランスに着いたとたん、本物とすぐ見分けられる木が眼前に広がった(写真参照)。もうこれだけで見学した甲斐があったと思った。このところの三菱地所グループの木質化の取り組みは半端でないからだ。

 コワーキングスペースは前段で書いた通り。2層吹き抜けの空間は60㎡よりはるかに広く感じられ、マスク越しではあったが木の香りが鼻腔に広がった。勧められるままにdopに座ってみた。瞑想(小生のパソコンは真っ先に「迷走」に変換した。馬鹿野郎)するのに最適だし、そのまま眠るのもいい。値段も聞いたが、コクヨに問い合わせていただきたい。

 賃貸住宅がまたいい。広さはともかく、実装されたMIデッキを初めて見たが、実に美しい。感動的だ。型枠が現しになるのだからコンクリまみれかと思ったが、まったくそんなことはなかった。天井高2730ミリの分譲マンションなどこの数年間見たことがない。これだけでも大きな価値がある。森山氏らに「分譲にも採用できないか」と聞いたら、「購入者の了解が得られるかどうかの課題がある」とのことで、現段階での採用は考えていないようだ。(二重天井と比較して断熱性能はどうか分からないが、最近の分譲は2400ミリが当たり前になりつつあり、ケミカル製品だらけの内装を考えたら、節や多少の汚れがあっても購入者は納得するはずで、記者は可能だと思う)

 設備仕様も、タオル掛けが1か所、スライドバーのフックは1つ(三菱地所レジデンスはそれぞれ2か所が標準)の浴室を除き、同社の分譲仕様とそれほど遜色ない。キッチン・洗面の天板はフィオレストーンで、トイレはタンクレス。ドア、クロスなども(どこと比較するかだが)郊外マンションに負けない。

 細かいことだが、専用面積34㎡のプランでは、玄関を入ってすぐに奥行き約10cmのDreesing Wallがあり、その隙間に小物入れや衣服を掛けられるようにしており、天井部分には靴・ブーツなどが収納できるCorridor Closetがあった。これも分譲に採用できる。

 2階に設けた全49戸分の駐輪場は平置き型で賃料は300円というから良心的だ。1階のゴミ置き場はエアコンが付いていた。そんな分譲マンションはあるのか。

 家賃は相場より高いが、木をふんだんに用いた居住性能、コワーキングスペースなどを考慮すればむしろ安いか。容積対象に対するレンタブル比率(コワーキングスペース+住宅専用)は95.4%でしっかり事業性も確保している。

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Cタイプ(34㎡)のDreesing Wall(左)とCorridor Closet

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Eタイプ(50㎡)内観

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Eタイプバルコニー(軒天は職人仕上げ)

カテゴリ: 2022年度
 

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