印象的な外観デザイン 訴求力のあるギャラリー 大京のコンパクト「蔵前」
「ライオンズミレス蔵前」
大京が一昨日の10月21日(木)第1期40戸の分譲を開始し、広い住戸は抽選になるほどの好調なスタートを切ったコンパクトマンション「ライオンズミレス蔵前」を見学した。坪単価450万円は高いか安いか、これは顧客が判断することだが、約356㎡(108.04坪)のマンションギャラリーには本物の立派な観葉植物を配し、「蔵前」の魅力を余すことなく伝え、商品企画では細部にこだわった外観デザインが印象的だ。
物件は、都営大江戸線蔵前駅から徒歩2分、都営浅草線蔵前駅から徒歩4分。東京メトロ銀座線浅草駅下車から徒歩8分、台東区駒形1丁目の商業地域に位置する15階建て97戸(非分譲住戸10戸含む)。ひ竣工予定は2023年3月10日。設計は現代綜合設計。施工は大京穴吹建設。10月21日(木)から第1期40戸の分譲を開始した。
現地は、表通りから1歩入った商業地域で四方道路に接道。敷地南側と東側は建物と同レベルの建物が建っている。建物デザイン監修はIKAWAYA建築設計代表取締役・井川充司氏。コンセプトは「TAYLOR Made TOKTO」。角を丸め、なめらかな曲面で包み込むような外観デザインとし、階によって窓の形や位置を変え、さらに基壇部や共用部分には松灰という釉薬を用いて焼き上げたオリジナルの陶板を採用。主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2400ミリ、食洗機など。
同社本店事業推進部事業推進一課課長・金井貴幸氏は、「ギャラリーにはエレベータを降りたらすぐ本物の観葉植物が目に入り、コリドーには〝ここに住めばこんな生活ができる〟ことをビジュアルに訴えられるよう地元の街並みやショップ、アート作品などを展示しました。商品企画では、〝売り〟の一つでもある隅田川花火大会を〝砂かぶり〟席で楽しめるように屋上にはテラスを設置しました。資料請求は1,000件近くに達しています」と語っている。
ギャラリーに据えられている本物の観葉植物
北側の外観(左)と南側の外観模型(窓がアトランダムに配されているのが分かる)
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同社は先月9月30日、メディア向け見学会を行っている。記者は各紙が報じた記事でこの物件の存在を知った。各紙は価格について次のように報じた。
「価格は未定だが、おおむね3300万円台から1億2000万円台までを想定しており、平均坪単価は400万円前後と見られる」(住宅新報)
「価格は未定だが、3,3000万円台から1億2,000万円台が目安。坪単価で400万円台の設定になりそうだ」(週刊住宅)
「価格は未定。そのために、予想値になるのだが、1DKを3,000万円以下で販売するのは、むずかしいのではないか、と思われる」(住宅ジャーナリスト・桜井幸雄の現場レポート/先端を読む-687-)
「住戸は、専有面積約25~69平方メートル。1DK・1LDKが59戸、2DK・2LDK・3LDKが35戸、全15タイプを用意」「販売予定価格は、3,300万円台~1億2,000万円台」(不動産流通研究所・R.E.poot)
つまり、みんな隔靴掻痒。記者は同じころ、坪単価が505万円の積水ハウス「グランドメゾン浅草花川戸」の記事を書いた。この価格には驚いたのだが、大京はいくらで分譲するのかとても興味があったので取材を申し込んだ。
同社のコンパクトを取材するのは2017年の「千代田岩本町」以来だったが、外観デザイン、マンションギャラリーの設営にはかなり力が入っている。メディア向け見学会を行った理由がよくわかった。訴求力は間違いなくある。
坪単価450万円が高いか安いか。23区内のコンパクトは2、3年前から軒並み坪400万円を突破してきているので、これもありかと思う。
当面は住友不動産の田原町駅から徒歩4分の「ザ・浅草レジデンス」113戸(記者は坪単価500万円とみたが)と競合しそうだが、大京の担当者は「積水ハウス」と競合していると話している。
現地(北側から写す)
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以下は、前述の記事とはほとんど関係ないおまけ。記者のつぶやきだ。
マンションの取材を始めてから40年が経過する。大京からはマンションのイロハを教わった。昔は鷹揚なもので、広報を通じて取材したことはなく、ほとんど役員クラスから直接情報を得た。原価はどのようにして積みあがっていくか、利益率をどれくらいに設定するかから、近隣対策費にはどれくらいのお金をつぎ込むかまで聞いた。
大京ばかりではない。子会社の扶桑興業(のちに扶桑レクセル)、かろりーな(その後グローベルス、現プロスペクト)、日神不動産、ダイア建設、明和地所、エフ・ジェー・ネクスト、菱和ライフクリエイト(現クレアスライフ)、明和地所、日本エスリード、日本綜合地所(現大和地所レジデンス)、ランド、プレザンスコーポレーション、シーズクリエイト、アンビシャス…OB会社の情報も収集できた。これまでグループ会社も含めて年間平均20~30物件として1,000物件くらいは取材している。
これくらい取材するとマンション市場が把握できる。記事はスピードが命だ。市場は刻々と変わる。旬の情報を読者の方に伝えられたと今でも思う。
ただ、記事にできない情報のほうが多かった。〝書くな〟と言われたことは一切書かなかった。もう時効だから書くが、こんなことだ。
明和地所の創業者、故原田利勝氏は社員の奥さんの月経の周期まで把握しており(なぜだか書くのは野暮)、奥さんの誕生日には必ずお花をプレゼントしたそうだ。生まれた子どもに「利勝」と付けた社員もいた。
大京のCMに出演していた故星野仙一氏とは何度も千駄ヶ谷駅近くの舗道でお会いした。故横山修二氏と面会した後などは満面に笑みを浮かべていた。心なしか胸の内ポケットが膨らんで見えた。
原田氏も横山氏も星野氏もみんな亡くなった。
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取材したこの日(10月22日)はわが西武ライオンズの49年ぶりの最下位を覚悟した日だ。前日は、これまで〝お客さん〟だったオリックス相手に惜敗し、残り1試合で最下位の日ハムに3厘差に迫られた。負け方もひどかった。今から13年前、2008年のあのG.G.佐藤さんの北京オリンピックの悪夢と同じ山野辺外野手の落球が致命傷になった。
取材中は野球のことなどさっぱり忘れていたが、同社の広報担当者は記者の傷口に塩をすり込む意図はなかったはずだが、オリックスファンだと話した。まあ、オリックスが優勝すれば、1995年(平成7年)の阪神淡路大震災以来だ。宮内さん、おめでとうございます。クソッ、山本め、宮城め、2人で11勝も献上した。来年は倍返しだ!
取材の帰り。たばこを吸いたくて蔵前駅周辺を探したが吸えるところは一つもなく、冷たい雨が降るなか悪態をつきながら浅草駅前の「神谷バー」まで歩いた。
生ビールとデンキブランを勧めるメニューには「相思相愛。交互に飲めば、非常に美味しい。どちらかだけでは、もの足りない」とあった。その通りに飲んだ。刺激的で甘い香りが口の中一杯に広がった。
記者を捨てた彼女とここでデンキブランを飲んだのはもう50年も昔だ。〝花を愛せる人になって〟が捨てセリフだった。立ち直るのに3年かかった。
その後10年以上かけてたどり着いたのは〝記事はラブレター〟だ。前段の業界紙の記事に欠けているのはこの「愛」だ。その欠片もないと言ったら失礼か。
坪400万円でも人気 第1期165戸販売完了 総合地所など「NAGOYA the TOWER」
「NAGOYA the TOWER」
総合地所など6社は10月20日、名古屋駅周辺で最高層(地上42階地下1階建て)のタワーマンション「NAGOYA the TOWER」の第2期を11月中旬に分譲すると発表した。
これまでの資料請求数は2,300 件超、モデルルームご来場も700件を超えるなど、2021年9月末時点で総戸数435戸のうち165戸を成約するなど第1期販売を終了している。
購入者の選好理由は「名古屋駅最寄り、かつ42階建ての超高層タワーマンション」「都心でありながら約2,000㎡の豊かな緑が敷地内にある」「バラが咲き誇るプライベート性の高いガーデ ン」「地下駐車場と38階以上の住戸専用の直通エレベーター」「名古屋駅周辺の摩天楼が一望できる地上29階のエグゼクティブラウンジ」「リニアを始めとする名古屋駅周辺の開発計画が多数あり、居住用だけでなく 投資用としても魅力がある」など。
第2期(20戸)の価格は4,118万~11,378万円(最多価格帯7,300万円台)、専有面積は36.17~85.57㎡。
2人暮らしにも対応 食洗機、1418バス装備 伊藤忠都市の賃貸「新井薬師」
「クレヴィアリグゼ中野新井薬師」
伊藤忠都市開発は10月20日、賃貸マンション「クレヴィアリグゼ」シリーズ初となる顔認証システムサービスを「クレヴィアリグゼ中野新井薬師」に導入したと発表した。
物件は、西武新宿線新井薬師前駅から徒歩2分、中野区松が丘1丁目に位置する9階建て33戸/店舗1区画。間取りは1DK・1LDK・2LDK(25.20~47.95㎡)。入居開始日は2021年9月24日。
3タイプからなる住戸は、オンとオフが切り替えられるよう寝室とダイニング空間を区分できる間取りとしたほか、壁一面に設置したクローゼットは、2人暮らしにも対応できる収納量を確保し、全住戸のキッチンに2口コンロと魚焼きグリルを標準装備。
また、1LDK・2LDK住戸にはビルトイン型の食器洗い乾燥機や大型のクローゼット、リネン庫、浴室乾燥機などの設備を完備。1LDK住戸の一部には1418ユニットバスを採用。インターネットにはNURO 光Connectを採用。
1階にはココカラファイン ヘルスケアが展開する「ココカラファイン新井薬師前店」を10月下旬に新規開店する予定。
顔認証システム
活発な法人間取引 「買い」が「売り」上回る 関東圏の中古マンション市場
国土交通省 不動産取引件数・面積データから
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は10月18日、季報Narket Watchサマリーレポート<2021 年7~9 月期>」をまとめ発表した。首都圏中古マンションの成約件数は前年比で7.8%減少し、5期ぶりに前年同期を下回ったが、成約㎡単価は前年比で9.3%上昇し、5期連続で前年同期を上回った。成約価格は前年比で6.6%上昇し、12年10~12月期から36期連続で前年同期を上回った。専有面積は前年比で2.4%縮小した。
中古戸建ての成約件数は前年比で2.8%減少し、5期ぶりに前年同期を下回った。成約価格は前年比で9.4%上昇し、5 期連続で前年同期を上回った。土地面積は前年比で6.9%縮小し、建物面積は前年比で1.3%縮小した。
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記者は1週間前の東日本レインズの月例速報Market Watchサマリーレポート(2021年9月度)でも記事にしたのだが、このところの中古マンション・戸建ての価格の上昇は〝異常〟だと思う。
いったい誰が売り誰が買っているのか、手掛かりを得ようと国土交通省が毎月公表している所有権移転登記データを基にした不動産取引件数・面積データを調べた。これによると、今年の3月の全国の法人⇒法人取引は2008年4月にデータが公表されてから過去最多の取引件数を記録したことが分かった。個人需要もさることながら、不動産会社が介在しているのは明らかだ。
データによると、関東圏の区分所有物件(ほとんどは中古マンション)の2009年の取引件数約9万件のうち、個人⇒個人は約3.7万件で全取引に占める割合は41.5%で、個人⇒法人は約1.3万件で13.9%、法人⇒個人が約3.6万件で40.3%、法人⇒法人は約0.8万件で4.1%だった。
興味深いのは法人間の売買データだ。これは、個人⇒法人の「買い」から法人⇒個人の「売り」を差し引いたもので、2009年はリーマン・ショックの影響で売り一色となっており、差し引きトータルで約2.4万件の売り越しとなっている。その後、2016年12月までの関東圏の各月ごとでは買い越しは2か月あるのみで、売り越しがほとんどだった。
2017年からは個人売買とともに法人間の売買も活発になり、直近の2020年は取引件数約10.4万件のうち、個人⇒個人は約4.7万件で45.5%、個人⇒法人が約2.4万件で23.3%、法人⇒個人が約2.9万件で27.7%、法人⇒法人が約0.4万件で3.4%となっている。
2009年と比較して、個人⇒個人の取引か多いのは当然だが、個人⇒法人の件数は倍近くに増加し、比率的にも9.4ポイント上昇している。また、法人⇒個人は0.7万戸減少し、割合も12.6ポイント減少。法人⇒法人は0.4万戸、比率は0.7ポイントそれぞれ減少している。法人間の売り買いは差し引き4,595件の売り越しとなっているように、2009年とは様変わりしているのが分かる。
今年に入っても法人の買い意欲は旺盛で、全国の今年3月の法人⇒法人の取引件数は811件となり、これまで最多だった前年同月の730件より81件多く、1か月間の取引件数としての最多記録を更新。関東圏でも1~6月の「買い」は約1.4万件で、約1.3万件の「売り」を上回っている。
この差が大きいのか小さいのかよく分からないが、株の世界と一緒だ。投資が目的であれば買ったものは売らないと利益は確定しない。当分の間、中古市場から目が離せない。
〝喉から手が出る立地〟価格はいくら タカラレーベン創業50周年記念「横浜山手」
「レーベン横浜山手 ONE WARD COURT」
タカラレーベンが11月から分譲する予定の「レーベン横浜山手 ONE WARD COURT」を見学した。山手駅から徒歩13分の傾斜地に立地する全228戸の大規模マンションで、同社の創業50周年記念にふさわしいデザインにこだわった物件だ。いったいいくらになるか、興味津々。
物件は、JR京浜東北線・根岸線山手駅から徒歩13分(JR根岸駅から徒歩19分・バス5分)、横浜市中区根岸加曽台の準住居地域、第一種住居地域、第一種低層住居専用地域に位置する開発区域面積13,504.14㎡(※分筆予定地・帰属道路・提供公園・譲受予定敷地面積を含む)の7階建て全228戸。専有面積は55.59~101.51㎡、価格は未定。竣工予定は2023年2月中旬。設計・監理は小野田建築設計事務所。施工は飛島建設。
現地は、山手駅から坂を上って下った、横浜市民にはよく知られている58系統、横浜市営バス間門バス停から徒歩1分の傾斜地立地。敷地は日石エネオスの社宅跡地。前面道路の本牧通りと擁壁の上に建つ建物の1階レベルは比高差にして2層くらいあり、敷地の最高レベルまでは約24mの傾斜地。
敷地は、市の土砂災害ハザードマップではレッドゾーンの警戒レベル3とイエローゾーンの警戒レベル2のエリアに指定されているが、指定解除のための造成工事が施工済み。建物は雁行設計の南向き3棟とそれぞれの棟とつながる東向けの3棟からなるEの字型6棟構成。デザイン監修にはウィ・アンド・エフヴィジョンを起用。鋭角的な縦と横の白い庇・マリオンが印象的な外観としている。
間取りプランは46タイプ用意。主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2400ミリ、食洗機、ディスポーザー、たからの水に加え、同社初の非接触式エレベーターを完備。共用施設はフィットネスルーム、パーティルーム、キッズルーム、ワークラウンジ、ゲストルームなど。
同社マンション事業本部営業推進事業部第2統括部 副統括部長・金光泰成氏は、「デベロッパーなら喉から手が出るほどの立地と規模。用地取得は昨年2月。取得後約1年かけて地盤・擁壁工事など行い、市のハザードマップのレッド・イエローソーンを解除できる予定になっています。反響は広域にわたっており、50周年記念物件としてスタートダッシュを掛けたい」と話している。
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記者は10年前、現地の道路を挟んだ隣接地で分譲された名鉄不動産「横濱山手テラス壱番館・弐番館」(234戸)を取材している。好調な売れ行きを見せた。当時の記事を見たら坪単価は170万円とあった。
また、数年前、どこの物件だったか思い出せないのだが、その取材の帰り、更地になっていたこの現場を見ている。マンションになったら素晴らしいものができると思ったものだ。
そして今回。同社の創業50周年記念物件というだけあって、商品化にはかなり力が入っているようだ。
問題は価格・坪単価だ。今はすさまじい勢いで価格が上昇しており、ほとんどのエリアで高値を更新している。
ここも高値を更新する可能性が高いと見た。何より魅力的なのは、「根岸風致地区」に隣接するという住環境だ。根岸地先の眺望も担保されており、根岸森林公園(徒歩15分)、本牧山頂公園(徒歩7分)、三渓園(徒歩14分)も徒歩圏だ。
さらにまた、約43haの米軍施設跡地の「根岸住宅地区」の街づくりもこれから本格化し、エリア全体の将来性も期待される。
同社はまだ価格を公表していないが、いったいいくらになるか。
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記者はマンションの現地取材をする際、価格・坪単価予想をする。自らの見る目を養い、デベロッパーや住宅購入希望者の意識・志向とのずれがあるのかないのかを確認するためだ。
価格について触れないのは、例えていえば冷めた紅茶、気が抜けたビール、伸びたラーメン、サビ抜きの寿司、西武と日ハムの消化試合、辛口評論家の甘党、酒屋の下戸、…目と舌の肥えた読者の方の興味を引くことはできず、締まりもないし塩梅がよろしくない。
前置きが長くなった。ズバリ予想。記者と一緒に見学した同業の横浜が地元の記者の方は「坪単価は、造成工事費にもコストがかかっており坪290万円くらいで、坪300万円超もありうる」と話した。
「現地から見える首都高速湾岸線の外側に広がる根岸地先の工場街の夜景はとてもきれいだ」といった。また、「58系統バスは本牧-桜木町-横浜まで通じており、横浜まで約30分で出られるのも魅力だ」と話した。
なるほど。山手駅や根岸駅を利用せず、バスを利用すれば横浜まで約30分というのは説得力がある。夜景がきれいというのは信じられない。かつて磯子プリンスに泊まったとき、工場街は墨を流したように暗い空と一体となり、かといって真っ暗闇にもなれず星などは見られなかったのを経験しているからだ。根岸と磯子の工場街は違うのか。嫌悪施設も遠くから眺めると愛でる景観になるのか。
そのプリンスの跡地に建った坪230万円くらいだった東京建物他「Brillia City 横浜磯子」は素晴らしく、「早期完売か」と予想したが、完売まではかなり時間がかかった。これまで予想を外した物件の最右翼だ。
そんなこんなで記者は、85㎡のモデルルームはとてもよくできていたのだが、山手・根岸両駅への距離も鑑みると坪280万円くらいではないかと予想する。あるデベロッパーの社長にも聞いたら即座に「坪280万円」と返ってきた。読者の皆さんはいくらと予想されるか。
建設現場
景観風致地区の一角 大和地所レジデンス「ヴェレーナグラン山手」(2018/5/8)
好調スタート 名鉄不動産「横濱山手テラス」(2011/2/3)
圧倒的な人気呼ぶか東京建物他「Brillia City 横浜磯子」(2012/2/2)
明和地所 設立35年周年「片瀬江ノ島」大人気 隣接地には35年前竣工の大京の物件
「クリオ湘南江ノ島グランマーレ」
明和地所が分譲中の「クリオ湘南江ノ島グランマーレ」のモデルルームを見学した。分譲単価は平均で片瀬江ノ島圏最高値の420~430万円にのぼるとみられるが、9月24日の販売開始から3週間後の10月14日現在、全分譲住戸65戸のうち55戸が販売済みで、残り10戸と絶好調。
物件は、小田急江ノ島線片瀬江ノ島駅から徒歩4分、江ノ島電鉄江ノ島駅から徒歩3分、藤沢市片瀬海岸一丁目の商業地域、第三号境川緑地、第三号鵠沼風致地区に位置する敷地面積1,510㎡、13階建て全67戸。10月下旬に販売予定の第2期(5戸)の専有面積は55.04~111.01㎡、予定価格は55㎡の住戸が4,900万円台(坪単価294万円~6,300万円台(同378万円)、100㎡は14,000万円台(同462万円)~17,000万円台(同561万円)。竣工予定は2023年3月下旬。設計は共同エンジニアリング。施工は三井住友建設。
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同社のプレス・リリースをコピペした記事では「人気必至」と書いたが、その通りだった。
いかに凄いか、販売担当の同社クリオ ライフサロン湘南主任・齋藤雄太氏の言葉をそのまま紹介する。
「この2か月間で来場者は400~500件。3LDKはほぼ完売。残っているのは2LDKとプレミアム住戸の5戸のみ。購入者は実需とセカンドハウス用が半々。約8割が都内の方。年代は20代から70代まで幅広く、二拠点居住を考えていらっしゃる方も多く時代の流れにマッチしているのが人気の要因。富士山ビューの境川側もオーシャンビュー側も風致地区に指定されているので、眺望が担保されているのも評価されています。
用地は、仕入れ担当がアパート、商店など7つをまとめたものです。2年前の段階で一度、コンパクトを計画していたのですが、その後、隣接する用地を取得できたので、当社の35周年記念物件として供給するようになりました。
私は入社8年目ですが、こんなに人気の物件を担当するのは初めてです。『元町』? 『元町』も早期完売しましたが、私は担当していません。『ZEHの綱島』? 『三河島』? これらも完売。いま完成在庫はひとつもありません」
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隣接地には、記者も取材したことがある1986年2月竣工の「ライオンズマンション片瀬江ノ島」(77戸)が建っている。現地に並んだ人がたくさんいたような記憶がある。
この物件の用地を取得し、販売したのは当時の大京のドル箱だった横浜支店だ。その横浜支店を最強の部隊に育て上げたのは当時専務取締役だった故原田利勝氏だ。
原田氏は1985年末に〝石もて追われるように〟(異説はあるが)大京を退社、翌1986年4月に明和地所を設立した。原田英明現社長は高校生のころだ。記者は会社を設立する2か月前のみぞれ交じりの寒い日、原田氏の腹心で、横浜支店長を経て当時北海道支店長だった高杉仁氏にインタビューしたことがある。〝鬼の目にも涙〟-横浜駅に近い喫茶店で、高杉氏は目を真っ赤にし、ほろほろと涙を流したのをよく覚えている。
あれから35年。これも何かの縁か。原田現社長も大喜びしているに違いない。よくぞこのような片瀬江ノ島の一等地をよく取得できたものだ。記者が社長だったら用地担当をはじめ全社員に金一封を贈る。
書き忘れた。2~9階のAタイプの75㎡の3LDK(8戸)は人気になるのは当然の8100ミリのワイドスパンで、10階以上の100㎡超のプレミアム住戸は設計変更に対応するのもいい。
バブルだ すさまじい中古マンションの値上がり レインズの9月のレポート
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は10月11日、月例速報Market Watchサマリーレポート(2021年9月度)を発表した。
首都圏の9月の中古マンションの成約件数は3,176件で前年同月比4.6%減少し、3か月連続で前年同月を下回った。成約価格は3,985万円で前年同月比7.9%上昇、専有面積は64.13㎡で前年同月比2.8%減少した。
新規登録件数は13,637件(前年同月比7.0%減)で、2019年9月から25か月連続で前年同月を下回った。在庫件数は34,742件(同15.5%減)となり、22か月連続で前年同月を下回った。
成約坪単価は205.0万円(同11.0%増)となり、20年5月から17か月連続で前年同月を上回った。新規登録坪単価は220.0万円(同15.4%増)。在庫坪単価は226.4万円(同13.9%増)と44か月連続で前年同月を上回った。
中古戸建ての成約件数は1,225件(同5.0%減)、新規登録件数は4,025件(同20.1%減)、在庫件数13,389件(同29.8%減)となった。成約価格は3,487万円(同9.8%増)となり、11か月連続で前年同月を上回った。
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記者は中古市場のことはよく分からないが、成約件数、新規登録件数、在庫が減る一方で、坪単価は成約、新規登録、在庫のいずれの段階でも上昇しているのは市況が低迷しているというよりは、先高観を反映している結果だ。かつてのバブル時と同じように、実需のほかに買い取り業者の介在が見え隠れする。〝中古マンションにバブル発生〟という見方はそんなに的外れでないと思うがどうだろうか。
レインズの地域別成約単価にそれは見て取れる。東京都区部は306.4万円(前年同月比12.4%増)で17か月連続、多摩は148.3万円(同4.5%増)で7か月連続、神奈川県の横浜・川崎市は184.5万円(同13.9%増)で16か月連続、神奈川県他は123.1万円(同12.7%増)で10か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。
また、埼玉県は124.1万円(同11.6%増)で16か月連続、千葉県は113.1万円(同10.7%増)で14か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。
これらを新築と比較すると、都区部は7掛け、多摩は6掛け、横浜・川崎は6.5掛け、神奈川県他、埼玉、千葉などは半値から5.5掛けくらいだ。
これをどう見るかだが、上昇率はすさまじい。都区部は都心と準都心、城東・城北エリアで単価水準はかなり差があるので、もう少しエリア別に分析しないと何とも言えない。都心3区は坪400万円をはるかに上回っているようだ。
多摩や横浜・川崎はいい水準だと思う。このほかの神奈川県他、埼玉、千葉は新築なら土地代がただでも建たない単価水準だ。かなり割り負けしていると思えるが、これももう少しエリア別にみる必要がありそうだ。
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かつてバブルの発生時は、中古マンションが市場をリードした。マンション転がしという言葉が流行ったころだ。買い取り業者が中古マンションを買い漁り、2転3転どころか5転6転したのち最初に転売した業者に戻ってくると最初の価格より2倍以上に値上がりしているのは日常茶飯だった。億ションの代名詞の「広尾ガーデンヒルズ」の坪単価はバブルが弾ける直前には3,000万円まで跳ね上がった。
新築はどうかというと、国土法の監視区域指定により一定面積以上の取引は届け出制になっており、価格上昇にブレーキが掛けられていたが、それほど効果を発揮しなかった。抽選が義務付けられていたいわゆる公庫融資付きマンションは、当選する確率を上げるため路上生活者を雇って販売事務所に並ばせるところもあった。競争倍率は軒並み数十倍に達した。公庫付きでない物件は、分譲開始とともに業者が買い占め、一般の手に渡らない事例が続出した。
現在の中古マンションはどうか。いわゆる〝ヴィンテージ〟マンションの売り出し価格をいくつか調べてみた。
記者が億ションの最高峰とみている「麻布霞町パークマンション」は最高値で坪1,543万円の値が付いている。2016年分譲の三井不動産「パークマンション檜町公園」の1戸55億円に抜かれるまで、わが国の最高値マンションだった1戸44億円の「ドムス南麻布」は坪945万円となっている。記憶は確かでないが、この物件は国土法違反で告発されたのではなかったか。売主の大建ドムスは届け出しなかったはずだ。パンフレットを当時の社長からこっそり見せてもらった。当時の坪単価で3,000万円を突破していたような気がする。
このほか、さすがというべきか「広尾ガーデンヒルズ」は坪904万円だ。「虎ノ門ヒルズ」は坪1,607万円、「パークコート千代田富士見」は坪1,199万円、「ワテラス」は坪949万円、「パークマンション三田綱町」は955万円、「パークタワー浜離宮」は坪832万円、「ウェリス代官山」は1,031万円、「パークコート青山」は坪1,177万円、「プラウド白金台」は坪905万円などとなっている。
1991年(平成2年)竣工の「有栖川ヒルズ」の坪2,947万円に抜かれるまで、わが国の新築高単価マンションナンバーワンだった1988年(昭和63年)竣工の坪2,913万円だった「ドムス南青山」は最高値で坪621万円だ。
記者は、そんなにいい物件だと思わなかった「有栖川ヒルズ」を除きみんな納得の価格だ。(「虎ノ門ヒルズ」は見ていないが、まだ安いのではないか)
眺望抜群 坪単価500万円超でも人気か 積水ハウス初のコンパクト「浅草花川戸」
「グランドメゾン浅草花川戸」
積水ハウスが11月上旬に分譲する「グランドメゾン浅草花川戸」を見学した。浅草駅から徒歩4分、同社初と思われるコンパクトマンション全25戸で、目の前が隅田公園-隅田川-スカイツリーという希少立地から坪単価は500万円超となるが、一挙販売になる可能性が高い。
物件は、東京メトロ銀座線浅草駅から徒歩4分、都営浅草線浅草駅から徒歩7分、東武伊勢崎線浅草駅から徒歩3分、台東区花川戸1丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率600%)に位置する14階建て全25戸(事業協力者住戸3戸含む)。専有面積は40.52㎡(2戸)・50.46㎡(20戸)、第1期(戸数未定)の価格は6,000万円台~8,600万区円台。坪単価は505万円の予定。竣工予定は2022年6月。設計・監理は別所浩司建築研究所。施工は日本建設。
現地は、銀座線浅草駅から徒歩4分×隅田公園近接物件は過去26年間でわずか1物件しかないという希少立地で、道路を挟んだ正面に徒歩1分の隅田公園があり、隅田川-スカイツリーが展開する。隣接地に東京地下鉄の無人変電所ビルが建設されるが、電磁波の影響を受けないことが確認済みという。浅草寺は徒歩5分、東京スカイツリーは徒歩14分。
建物は1フロア2戸構成で、全戸角住戸、内廊下方式、両面バルコニー、全戸南東向き。分譲対象の住戸は3階の1LDK2戸と4階以上の2LDK20戸。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ、Low-E複層ガラス、メーターモジュール廊下、「スマートUD」、24時間換気の「エアキス」、全戸浴室窓付きなど。
販売担当者は「当社には珍しい(初ではないか)コンパクトですが、基本スペックは『グランドメゾン』にこだわって仕上げています。坪単価は505万円を予定していますが、反響はとてもよく第1期で全て供給し、一挙に完売になる可能性が高いとみています」と語った。
完成予想図
建設現場(助六夢通りから)
模型(隅田川方面から)
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坪単価には正直驚いた。コンパクトでリバービューの立地からして坪単価は400万円を突破するのは間違いなく、ひょっとしたら人気になった東京建物「Brillia上野Garden」の430万円を超え450万円くらいではないかと予想した。
ところが、担当者によると上野・浅草駅圏の主だった中古マンションは軒並み坪500万円を突破しているとのことだった。
以前、浅草のマンションを見学したとき、隅田川花火を見物するためにマンションを購入するお金持ちがいたのを思い出したので、そのような層の購入希望者が多いのかと聞いたら、「花火は一部の住戸からしか見えません。花火は〝売り〟にしていません」ということだった。
新築もそうだが、このところ都心部の中古マンションがすさまじい勢いで上昇している。浅草で500万円とは…。モリモトの駅から少しある「ピアース浅草」も残り1戸だそうだ。
浅草寺
「緊急事態宣言が解除されて六区が大変賑わっている」と聞いたので夜7時ころ寄ってみた。この日は朝10時に朝食をとってからコーヒー2杯とお茶しか飲んでいなかったので、どこかで一杯と考えたが、ぐっとこらえ、いつものようにコンビニでおにぎり1個と缶ビールを買って路上飲みした。
大激戦の「築地」尻目に空白区で圧勝か 東京建物「Brillia上野Garden」(2019/11/11)
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坪単価は600万円台後半 モリモト「ピアース渋谷」 一般分譲30戸のうち第1期は19戸
モリモトの「ピアース渋谷」の販売が9月30日から始まった。「渋谷駅桜丘口地区」と「ネクスト渋谷桜丘地区」再開発事業地やセルリアンタワー東急ホテルに近接することから販売価格・売れ行きが注目されたが、坪単価は700万円に届かなかった模様で、第1期の分譲戸数は一般分譲の30戸のうち19戸に達することから好調に推移しそうだ。
物件は、JR渋谷駅から徒歩7分、渋谷区桜丘町の商業地域(建ぺい率80%、容積率427.80%)に位置する敷地面積約594㎡の全67戸。第1期の販売戸数は19戸で、専有面積は27.66~69.33㎡、価格は5,430万~17,000万円(最多価格帯5,400万円台)、坪単価は600万円台の後半とみられる。竣工予定は2022年11月下旬。施工は日本国土開発。
全67戸のうち同社友の会会員住戸が10戸、募集対象外住戸が27戸で、一般分譲は30戸。コンパクトタイプが大半。
今年6月に現地を見学したときは、「最上階は坪800万円もありうるが、平均坪単価は最低で650万円、アッパーで坪700万円と読んだ」と書いたが、ほぼ的中したようだ。
坪単価700万円とみたが…渋谷駅桜丘口再開発に近接 モリモト「ピアース渋谷」(2021/6/15)
野村不動産 駅東口徒歩3分の大規模複合「川口」(全481戸)モデルオープン
「プラウドタワー川口クロス」
野村不動産は9月30日、JR京浜東北線駅から徒歩3分の大規模複合再開発「プラウドタワー川口クロス」のモデルルームを10月2日(土)から完全予約制でオープンすると発表した。事前エントリー数は3,500件を超えており、オンラインでの案内会も開催予定という。
物件は、JR京浜東北線川口駅から徒歩3分、川口市栄町三丁目に位置する敷地面積約9,069㎡、地上28階・地下2階建て全481戸(非分譲住戸31 戸含む)。専有面積は46.63~115.77㎡。竣工予定は2023年2月下旬。施工は前田建設工業・埼和興産共同企業体。
建物の1~3Fを商業フロアとし、医療施設、子育て支援施設など約30店舗の入居を予定。「都市型コンパクトタウン」の街づくりを推進しており、敷地の外に出なくても生活に必要な買い物環境・施設が揃う安心で利便性の高い住環境を提供する。
また、物件は川口駅前に位置する川口銀座商店街「樹モール」と隣接しており、同物件の商業フロアとの相乗効果や、敷地内に川口駅方面から東西に通り抜け可能な敷地内通路を設置することで、駅前エリアの新たな賑わいの創出を見込んでいる。