RBA OFFICIAL
 

IMG_0430.jpg
「晴海選手村土地投げ売りを正す会 第4回総会」(豊洲文化センターで)

 昨日(9月18日)の午後6時30分から午後8時過ぎまで行われた「晴海選手村土地投げ売りを正す会 第4回総会」の取材を許可されたので、一部始終を取材した。総会には「正す会」会員と支援者ら約30人が参加した。

 「正す会」の代表・中野幸則氏は「長い4年間の裁判の過程で事業の不当性を明らかにした一方で、行政訴訟の参加を足止めするような国や行政の姿がはっきりした。裁判の結果は予断を許さないが、都民の目から見た正しい司法の判断をしていただきたい。悪人をこのままほったらかすようなことはあってはならない。勝利を目指して頑張りましょう」と呼び掛けた。

 事務局長の市川隆夫氏は「万々が一(われわれが)勝利した場合、相手も控訴するだろうから長生きしないといけない。負けた場合は、新しい証拠を提出しないといけないし、メディア対策を練らないといけない」などと語った。活動資金は残り7万円しかないことも明らかにした。

 弁護団を代表して参加した千葉恵子氏は「(原告側が勝訴しても一銭も入らないのに)被告側の原告に対する批判は言えば言うほど自ら墓穴を掘り進んでいるのではないかと感じた」と一連の裁判を通じた率直な印象を述べた。

◇      ◆     ◇

 まず、取材を許可していただいた「正す会」に感謝申し上げる。記者は用意されていたお菓子は頂かなかったが、参加費(資料代)500円をきちんと支払い、座るのもためらわれたので最後尾で立ちっぱなしで話を聞いた。

 東京地裁裁判長宛ての「判決にあたっての要請」ハガキも資料封筒に入っていた。「都民に多大な損失を与え、違法・不当に開発業者に奉仕する都政の是正を願う」というフレーズをそのまま受け入れるわけにはいかないので返そうと思ったのだが、返し忘れた。

 4年間で150万円しか弁護士報酬が払えず、活動資金は残り7万円しかない「正す会」の財政事情を考えると、これは84円の封書で返すのも失礼なので、カンパでもしようか。

 一番の収穫は、被告の東京都(小池都知事)は日本不動産研究所(不動研)にわずか5か月の間に2度にわたり鑑定評価を依頼し、総額約1,810万円を支払っていることを原告側が「原告ら準備書面(15)」で明らかにしていることだ。(原告、被告とも「調査報告書」を鑑定評価書とみなしていないようにも受け取れるが、名称のいかんを問わず鑑定基準に基づいたものであるのは明らかだ。報酬額も半端でない)

 「原告ら準備書面(15)」によると、都は平成27年9月25日付で日本不動産研究所と約993万円で委託契約を結び、不動研は同年11月30日を発行日とする「調査報告書」をまとめ、額は約110億円(坪27.1万円、価格時点11月1日)としている。(第1回目)

 そして、都は平成28年2月23日付で不動研と約817万円で委託契約を結び、不動研は同年2月23日を発行日※とする「調査報告書」をまとめ、額は約130億円(坪31.9万円、価格時点4月1日)としている。(第2回目)

※これは明らかに誤植。2月23日に契約を結び、同日付で報告書をまとめられるはずがない。「4月23日」の誤りではないか。

 それにしてもわずか5カ月の間に、前提条件は若干異なるにしろ、2度にわたって調査依頼する理由はなにか。(平成29年7月の都の住民の監査請求に対する監査報告でも第1回目の調査報告書の存在は明らかにされていない)

 更に不可解なのは、被告側の水戸部証人は2回の調査委託があったことを認めたものの、第1回目の調査報告については「分からない」「よく覚えていない」を繰り返したことだ。

 「原告ら準備書面(15)」には次のようにある。

 淵脇(原告側弁護士) じゃあ、1回目は何だったんですか。(略)

 水戸部証人 1回目…もうちょっとそこは私は、申し訳ないですけれども、よく覚えていません。

 その後、関連する質問を淵脇氏は2度行っているが、水戸部証人は「いや、そこもちょっと覚えていません」「今頭の中にありません」「ちょっと前のほう(第1回目)、その評価額というものをちょっと覚えていないので」「個別のこういった案件の詳細については、部下にまかせているのはたしかなのでそこでちょっと覚えていません」を繰り返している。

 不可解なのはまだある。関係者間では既知の事実であるはずのパシフィックコンサルタンツが平成25年9月に作成した報告書に記載されている110億円について、水戸部証人は額はもちろん、報告書の存在すら知らなかったと証言したことだ。淵脇氏と水戸部証人のやり取りには次のようにある。

 淵脇 このパシフィックコンサルタンツ作成の「平成25年9月」の報告書、これをご覧になったことありますか。

 水戸部証人 ありません。今回の裁判で初めて、こういうものがあるというのを知りました。

◇       ◆     ◇

 この日、桝本不動産鑑定事務所・桝本行男氏も総会に出席されていた。桝本氏は「日本丸」のファンで、年間10回、もう50年も晴海ふ頭を訪れており、選手村の現地をよく知っているとのことだった。

 「原告ら準備書面(14)」には、桝本氏は「特に掘削の必要のない地下駐車場を建築費増大の理由としていることは不合理である」とし、「そもそも掘削工事は行われていない」と証言したことが記述されている。

 これが事実なら大問題だ。「HARUMI FLAG」のプロジェクトを発表したとき、事業者は駐車台数分(2,318台)を全て地下化すると発表した。裁判でも被告側はこれをコスト増大の理由の一つに挙げている。

 桝本鑑定士の証言が事実かどうか、記者も現地見学を申し込んでみる。いま「HARUMI FLAG」の物件概要を確認した。建物は全て地下1階がある。住戸は2階以上だ。記者は地階に平置き駐車場が整備されると思っていたのだが、構造は機械式となっている。ピット式だと可能なのだろうが、地上部分は駐車スペースにならないのか。

選手村裁判が結審 「HARUMI FLAG」利益は消費者(購入者)に還元すべき(2021/9/9)

東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟(2016/8/4)

文句なしにいい 街づくり・基本性能 坪単価280万円か HARUMI FLAG」(2019/4/24

東京BRT初体験 虎ノ門~晴海の終点まで28分 信号31か所、待ち時間6.6分(2021/3/1

「選手村マンション増収分折半」 選手村裁判の原告団が声明文(2019/9/18

またも平行線 「早く結審を」(被告)「議事録開示を」(原告)第8回選手村裁判(2020/1/18

オリンピック選手村裁判 原告側桝本鑑定士の意見書は証拠価値なし 被告側が意見陳述

「選手村マンション増収分折半」 選手村裁判の原告団が声明文

HARUMI FLAG」 土地と建物の価格比率は調整区域並みの793 算定は妥当

オリンピック選手村住民訴訟も佳境に 原告、被告双方 相手を「著しく」非難

「晴海」坪250万円予想の根拠 「週刊文春」も裏付け 当初単価は244万円と報道

三菱地所・鹿島建設 「ザ・パークハウス 晴海タワーズ」完成・完売(2016/4/14

三菱地所レジデンス・鹿島建設「ザ・パークハウス 晴海タワーズ クロノレジデンス」(2011/12/6

カテゴリ: 2021年度

ikukyu-0039.jpg
「男性育休フォーラム2021」

 積水ハウスが9月14日開催した「男性育休フォーラム2021」の「見逃し配信」を視聴した。受信・音声環境がとてもよく、ほとんどすべての話の内容を理解することができた。同社代表取締役社長執行役員兼 CEO・仲井嘉浩氏は「フォーラムを多様な取り組みを行うトリガーの第一歩にしていただきたい」とあいさつした。

 フォーラムでは、「男性育休白書2021」が発表されたほか、ジャーナリストで東工大准教授・治部れんげ氏がモデレーターとなり、日本ユニシス 代表取締役社長CEO・CHO 平岡昭良氏、サカタ製作所代表取締役社長・坂田匠氏、NPO法人フローレンス代表室長・前田晃平氏、積水ハウス代表取締役社長執行役員兼 CEO・仲井嘉浩氏によるパネルディスカッションが行われた。

 また、厚生労働省 雇用環境・均等局 職業生活両立課 課長補佐の加藤明子氏が改正育休法の概要を説明した。

 積水ハウスは2018年から「男性社員1か月以上の育児休業(育休)完全取得」を推進し、2021年8月末時点で、取得期限(子が3歳の誕生日の前日まで)を迎えた男性社員1,052名全員が1か月以上の育休を取得。2019年2月以降、取得率100%を継続している。

 今回発表された「男性育休白書2021」特別編は、男性の育休取得の「壁」を浮き彫りにする調査結果を報告している。今年6月に育児・介護休業法の改正が行われたが、男性の育休取得率は12.7%(2020年)にとどまっているが、その背景として、マネジメント層の75.0%が「取得して家族を大切にしてほしい」と思いつつ、ほぼ同数の73.8%が「人手不足で会社の業務に支障が出る」と心配していると指摘している。

 以下、パネルディスカッションで記者が印象に残った部分を紹介する。

積水ハウス トップダウン⇔ボトムアップ 機能する社風・文化

ikukyu-0003.jpg
仲井氏

 積水ハウスが育休制度を実施したのは、仲井社長がスウェーデンの郊外スマートシティを見学したとき、ベビーカーを引いていたのは男性ばかりの光景に感銘を受けたのがきっかけとされているが、仲井氏はその経緯について「帰国してすぐダイバーシティ推進部長と人事担当部長に相談し、うちも3カ月の育休制度を実施できないかと話したところ、1週間後にレポートが出来上がりまして、社員約2万人の約10%が対象となり『社長、3カ月にすると決算に影響します』と言われまして、『じゃどうしたらできる』と聞いたら『1か月ならできます』と言ってくれたので進めた」と語った。

 記者は、社長の指示とはいえ、育休制度を導入したらどうなるかをわずか1週間の間にレポートに仕上げるそのスピードに驚いたのだが、もともとそのような制度をすんなりと受け入れる風土・文化が同社にあるからだとも思う。

 この種の取り組みは経営者のトップダウンでないとうまくいかないとはよく聞くが、世の中がCS(顧客満足)一色だったころでも、同社の営業マンは「CSも大事だが、ES(従業員満足度)を満たしていることが前提」などと話したのを思い出す。ボトムアップも機能していたということだ。何の衒いもなく「『わが家』を世界一幸せな場所にする」をグローバルビジョンに掲げられるのもそうした風土・文化があるからだろう。

日本ユニシス 長期育休は仕事の多様性にも効果

ikukyu-0021.jpg
吉岡氏

 育休取得率26.7%、平均取得日数99日という日本ユニシス吉岡社長も興味深い話をした。

 「当社の生業として常にリノベーションを求めており、リノベーションには多様性が大切なのですが、性別とか国籍を超えて価値観、役割の違いを受け入れてインクルージョンしていくことがとても大事です。ところが、自分自身に多様性がないと(他人との)違いを認めたりリスペクトしたりできないんではないかと。そこで、イントラパーソナル・ダイバーシティと呼ぶんですが、自分自身に多様性をつけてもらおうと、社員には複数の役割を持ってほしいといっているんです。育休を経験すると全く違った役割を持つことになることが分かりました。しめしめと思いましたね。

 長い期間(育休を)取り、家事・育児や地域とのつながりを経験することで多様性を高め、違う価値観をリスペクトできる本当の多様性を見つけることができる。当社の育休が平均99日と長いのはそのためです」

 同社は来年4月1日付で社名を「BIPROGY(ビプロジー)」に変更する。変更の由来は「多様な人々とともに未来への新たな道すじを照らし出すという想いを込め、光が屈折・反射した時に見える7色(Blue、Indigo、Purple、Red、Orange、Green、Yellow)の頭文字」を取ったそうだ。「多様性」を意識した社名なのだろう。何と面白い会社ではないか。

サカタ製作所 育休100%にしたら出生率6倍

ikukyu-0023.jpg
坂田氏

 オンラインで参加したサカタ製作所・坂田社長もとても面白い話をした。

 同社は2015年、働き方改革の一環として、残業ゼロを目指すため属人化解消、業務の棚卸などを行ったが、男性の育休のハードルは全くなかったという。「育休を希望する社員の話を聞いた2017年の段階で、わたしは男性の育休を知らなかった」と坂田氏は話し、「育休を取った後の男性社員は雰囲気が変わる。びっくりします。怪しげな新興宗教に染まったのではないかと疑いたくなるほど凄く変化する。あとで理由が分かりました。1週間程度の育休取得者は〝おれはやれる〟という達成感があるんですね。育児、家事を手伝っただけで周りにも褒められる。

 ちょっと待てくれよ、女性はどうかと考えると、達成感などないですよ。うまくやらなければ批判されることはあっても褒められることはない。ところが、男性も長い間育休を取ると、褒めてなどもらえないですし、達成感もない。その代わり、女性に対する理解が深まる。そしてものすごくいいパパ、いい亭主の顔になる。仕事に向き合う姿勢も変わってくるんですね。そして〝また子ども作ります〟になるんです。実は、当社の出生率は残業ゼロを実現してから3倍に、育休取得100%にしてからは6倍に増加し、いまちょっとしたベビーブームが起きています。当社だけでこれほどのことができる。少子高齢化などの問題解決のヒントはここにあると思います」と報告した。

 坂田氏は極めて本質的なことを話した。育休はもちろん子育て・家事労働は男性・女性の区別なくともに負担し、関わることが当たり前となり、この種の「男性育休フォーラム」などが話題にも取材対象にもならない時代にしないといけない。

 

三重県 職員 育休取得率日本一から「男性の家事・育児力」最下位へ

 「男性育休2021白書」には「男性の家事・育児力」都道府県別ランキングが紹介されている。トップは沖縄県で、2位は鳥取県、3位は奈良県だ。

 わがふるさと三重県はあろうことか最下位の47位だ。総合スコアは31点で、46位の山口県の43点より10点以上も差を付けられ、最高点の沖縄県の216点を100点満点とすれば三重県は15点、完全に落第点だ。

 1年前の前回、三重県の男性職員の育休取得率は日本一として発表されたばかりだ。「男・性育」と読めばわからないでもないが、1年にして日本一から日本最悪に突き落とされるとは…。あれは恥部を覆い隠すイチジクの葉っぱだったのか。鈴木英敬知事は衆院選に出馬するため辞職した。

 それにしても「イクメン白書2020」では三重県は18位だったのに、この暴落、凋落の理由が知りたい。

 他にも最下位があるのではないかと心配になりネットを調べた。凄いデータがあるものだ。都道府県ランキングで三重県が最下位は焼鳥消費量、男性・女性BMIなどで、そのほか低いものでは姉さん女房比率(44位)、横断歩道での一時停止率(44位)、炭酸飲料消費量(45位)、飲酒費用(46位)などたくさんある。

 確かに言われてみると、焼鳥屋なるものは小さいころ見たこともない。BMIが低いのは痩せ型が多いということのようで、これは肥満よりいいことでベスト1ではないか。名前は忘れたが、著名な作家は三重県の女性がナンバーワン(良妻賢母という意味だったような気がする)と絶賛していた。記者もそう思う(良妻賢母という意味ではなく、みんなよく働き、総じて美しいという意味)。炭酸飲料や酒類を飲まないのは本当だろうか。

 1位はJUSCO店舗数、イオン店舗数、2016年参議院比例代表:民進党得票率くらいしかない。JUSCO、イオンが1位なのは、ともに発祥は三重県四日市市の旧岡田屋だから当然で、民進党の1位は、かつて同党に所属していた政治家の岡田克也氏が岡田家出身だからだ。

積水ハウス 「イクメンフォーラム2020」視聴 三重県の男性職員 育休取得率日本一(2020/9/20)

積水ハ イクメン白書2020全国ランク 九州男児が上位独占 かかあ天下群馬は最下位(2020/9/19)

カテゴリ: 2021年度

 大山町クロスポイント周辺地区市街地再開発組合は915日、東武東上線大山駅に近接する再開発事業「大山町クロスポイント」の起工式を97日に行ったと発表した。参加組合員として住友不動産とフージャースコーポレーションが事業参画している。

事業地は、大山駅から約300m西方に位置し、「ハッピーロード大山商店街」の一部と周辺住宅地などを含む約0.7haが施行区域。ハッピーロード商店街の道路を挟んだ4街区で構成。総戸数345戸の住宅と低層階に延床面積約4,000㎡超の商業区画を設けた総延床面積約40,000㎡超の大規模複合開発。竣工予定は202412月。施工は長谷工コーポレーション。総事業費は約193億円。

       ◆     ◇

 大山駅圏では、ハッピーロードを抜けたところで三菱地所レジデンスが11月に「ザ・パークハウス 板橋大山大楠ノ杜」(187戸)を分譲する。立地条件のよさから、記者は坪340~350万円と予想しているのだが、「大山町クロスポイント」はいくらになるか。

カテゴリ: 2021年度

比較表.png

9月グラフ.png image002.png

 東京都の新型コロナ感染者に占める年少者の割合が激増していることはこれまでも指摘してきたが、直近の9月5日から11日までの1週間の感染者10,474人と1月17日から23日までの1週間の感染者9,099人の年代別感染者数・比率を比較してみた。

 20歳未満の感染者と全体に占める割合は、直近1週間は1,981人で18.9%に達しているのに対し、1月時点の感染者は763人で8.4%だった。10ポイント以上も上昇している。

 一方、ワクチン接種が進んでいる70歳以上の感染者は、1月では1,380人、15.0%だったのが、直近1週間は496人、4.7%となっている。60代も直近1週間の感染者は1月よりほぼ半減し、比率も1月の9.0%から4.3%へ減少している。

 感染者がもっとも多い20代の直近の感染者は1月より人数も比率も増加しているほか、30代も同様の傾向を示している。

20歳未満・高齢者の比率増加20代は減少 グラフで見る東京都のコロナ感染者(2021/9/4)

 

カテゴリ: 2021年度

 東京2020オリンピック・パラリンピックの選手村裁判が結審した。無聊をかこつ記者は結果記録を閲覧しようと東京地裁を訪れたのだが、閲覧申請者が多いためか「今週は無理」と言われた。そんな時、同業の記者の方から〝特ダネ〟がもたらされた。大東建託の恒例の今年の「街の幸福度(自治体)ランキング」トップに「埼玉県比企郡鳩山町」が選ばれたというのだ。喜ぶべきなのか悲しむべきなのかとっさには判断できず、もう絶句するほかなかった。

◇       ◆     ◇

 早速、同社のホームページで確認した。確かに首都圏トップは「埼玉県比企郡鳩山町」で、「神奈川県横浜市都筑区」「東京都中央区」がベスト3。以下、中央区、港区、武蔵野市、印西町、目黒区、横浜市青葉区、文京区、逗子市がベスト10となっている。

 それぞれの自治体に対する偏差値、評点、回答数が記載されており、鳩山町のそれは87.3、74.2、67の順で、都筑区は70.5、70.3、1,155、中央区は69.7、70.1、1,039とあった。

 「幸福度の評点は、非常に幸福だと思う場合を10点、非常に不幸だと思う場合を1点とする10段階の回答平均を100点満点にするために10倍したものです」「偏差値とは、評点の平均値が50になるように変換し、評点の数値が評点の平均値からどの程度隔たっているのかを示したものです」とあり、回答者数は165,302名とある。

 このランキングを見てすぐ気が付いた。「鳩山町」は昭和を代表する開発面積約140ha、約3,200戸の大規模住宅地「鳩山ニュータウン」があり、居住者の高齢化が進行している代表的な街だ。2位の「都筑区」はUR都市機構による開発がもっとも新しいことから、横浜市はもちろん神奈川県下でももっとも年少人口・生産人口比率が高く、「中央区」もまた人口増加比率が23区でもとびぬけて高いことで知られる。

 このあまりにも対照的な街が幸福度でベスト3を占めるのをどのように理解すべきか。〝住めば都〟-若い人も年寄りもみんなそう考えているのならいいが、例えば年寄りが「非常に幸福」と答え、若い人が「非常に不幸」と答えたら、評点は55点になる。これはどう判断すればいいのか。この街の人は幸せなのか不幸なのか、誰も判断できないではないか。

 記者はこの種のランキングを無視することにしているが、大東建託さんも「本当に住みやすい街大賞」を発表しているアルヒさんも、いい加減やめたほうがいい。属性などはっきりしない人の声を寄せ集めて撹拌し、その声が「幸福度」やら「住みやすい街」の指標になるかのように喧伝するのは上場企業のやることではない。幸福と不幸を足して二で割る神経はどうかしている。

◇       ◆     ◇

 「鳩山ニュータウン」は記者にとって思い入れが深い住宅地だ。今から17年前に訪れた。記事の冒頭には「前日、同じぐらいの規模で同じように郊外型でありながら、驚くほど生き生きした街づくりが行われている山万『ユーカリが丘』団地を見学し、『鳩山はどうなっているか』気になってしょうがなかったからだ」とあり、そのあとすぐ「人口流失、高齢化、地域経済の停滞…などが集中的に現れているのではという仮説は当たった」と書いている。

 「売上げは数年前の3分の1。みんな車で数分の大型店に行く。増えたのは車だけ。道路事情がよくなったため車がひっきりなしに通り、60キロぐらいのスピードで通過していく」という商店主や、「コンビニまで歩くと20分。車がないと生活できない。学校の帰りもバスがものすごく混む。就職活動をやっているんですが、先日も面接の人から『残業もありますよ。通えるんですか』と聞かれた。結局、落とされたのですが『一人暮らしする』といえばよかったかなと。同級生も都内に引っ越していくし、気がついたら近所の家が空き家になっていたり…。独立したらマンションを借りようかと、親とも話しているんですが…」と語った都心の大学に1時間半かけて通う女子大生の声を紹介している。

 記事は以下のように締めくくっている。

「母娘と思われる二人連れに声をかけると、そのお母さんは『私ですか、この頭を見なさい。真っ白でしょ。あと2つで80歳。娘は50歳ですよ。でもね、これだけは書いといて。ここのお年よりはみんな自立していると。街もきれいでしょ』

 この母親の言葉に記者は救われた。

 真夏の陽気を思わす炎天下で、深緑の歩道が風を運んでくれた。白い葵の花が『ここはいいよ』と呼びかけた」

 今回、「幸福度」ランキングで圧倒的1位になったのは、あるいは建築家で東京藝術大学准教授・藤村龍至氏(42)らの同ニュータウン活性化の活動が浸透し、町民の意識を劇的に変え、地殻変動を起こしているのか。それなら嬉しいのだが…。

◇       ◆     ◇

 これは昨日(9月7日)のことだ。「風の橋」と名付けられた橋を渡ったところにあるわが街・多摩ニュータウンの下駄箱商店街の昼下がり。かつては八百屋や肉屋などで賑わっていた7店舗のうち3店舗はなくなり、残った4店舗は高齢者の「憩いの場」やカフェ、床屋などだ。

 コロナから逃げるため、記者はオープンタイプのカフェで食事をしようと席に着いたとたん、隣のデイサービスの施設のやはりオープンタイプのテーブルに腰かけていた記者と同年配かそれとも年上か、二人の女性のうち一人が片方の手で歌集を示しながら、もう一方の手で「いち、にい、さん」と相手の肩を叩きながら音頭をとり「白いブランコ」を歌い出した。

 か細くはあるが、緩やかなテンポと美しい歌声に記者は聞きほれた。お返しのつもりで拍手を送った。すると、一人の女性は「歌って楽しいわね、歌えるっていいね」と微笑み、〝この広い世界中のなにもかも ひとつ残らず あなたにあげる だから私に手紙を書いて 手紙を書いて〟〝人は誰も人生につまずいて人は誰も夢破れ振り返る〟〝今日の日はさようならまた逢う日まで また逢う日まで〟…30分以上も繰り返し歌った。

 なぜかこの間、ミーンミーンとせわしなく鳴いていたセミは沈黙し、その歌声は記者の三半規管から胡乱な右脳と左脳を覚醒し、心にしみわたると同時に、道行く人に愛の意味を伝え、風の道を通り抜け、天空を舞った。 

鳩山NT活性化を「私自身がアート」藝大卒・菅沼朋香氏「ニュー喫茶 幻」開業(2019/3/23)

〝生きた実験場〟〝やるしかない〟 多摩NT再生 第6回シンポ 藤村氏もエール(2019/2/8)

「鳩山ニュータウン」に吹いた風に想う(2004/7/2) 

カテゴリ: 2021年度

8月以降グラフ.png

 10未満.png image002.png

20代.png 30代.png

40代.png 50代.png

60代.png 70代.png

 8月1日から9月3日までの東京都の新型コロナ感染者の推移を年代別にまとめた。感染者は8月中旬をピークに各年代とも減少傾向にあるが、全体の感染者に占める割合は、20歳未満と60歳以上の増加が目立っている。20代は減少傾向が顕著で、30代、40代、50代は横ばいが続いている。

 デルタ株の脅威 70歳以上の10万人当たり感染者は実質1,000人超

人口10万人.png

 8月以降の人口10万人当たり感染者は別表の通り。20代が2,371人で最多。以下、30代の1,414人、10代の1,214人の順。最少は70歳以上の164人。

 ただ、70歳以上の高齢者のワクチン接種率を85%とし、接種者の感染がゼロと仮定した場合、人口10万人当たり感染者は1,093人となる。デルタ株の怖さが数字に表れている。

カテゴリ: 2021年度

0cbe5d6e-f642-48e4-856d-446ce4d873e4.jpg

 三井不動産レジデンシャルと首都圏不燃建築公社は8月30日、事業協力者として参画している「新小岩駅南口地区第一種市街地再開発事業」が8月10日に都市計画決定されたと発表した。

 プロジェクトは2019 年4月、新小岩駅南口地区再開発準備組合設立。JR総武・中央線新小岩駅南口に位置する約1.5haの区域で、駅前広場などの整備により駅周辺の回遊性・利便性を高めるとともに、約580戸の住宅、商業・業務施設を一体で開発する。2022年度に再開発組合設立・事業認可、2024年度に着工、2028年度に竣工する予定。

◇      ◆     ◇

 新小岩駅周辺では現在、葛飾区の「新小岩まちづくり基本構想」に基づいで北側地区、東北地区、西部地区、南口地区、東南地区の5地区、合計23.0haの再開発計画が進められている。すでに着工中の「東南地区」に続いて今回の「南口地区」再開発はその第2弾。

 東南地区(3.9ha)では、すでに「新小岩二丁目地区」内で住友不動産・ジェイアール東日本都市開発・日本貨物鉄道の15階建て「シティテラス新小岩」268戸の分譲が始まっている。坪単価は340万円程度と思われる。物件の南西側隣地には、事業主・株式会社とジェイアール東日本都市開発の11階建て賃貸マンションが建築中。

 北側地区(12.6ha)は駅前広場、くらし、賑わい・文化・交流、商業・賑わいゾーンなどの土地利用計画に沿って勉強会が行われている。

 西部地区(5.0ha)は、現況が狭小敷地の戸建てが多いことから、「低層住宅と中層住宅が共存する住宅地」を目指すとしている。

 東北地区(8.8ha)は、「魅力ある市街地と良好な住環境の形成を誘導する地区計画・高度利用」方針に基づいて勉強会が行われている。

 

カテゴリ: 2021年度

累計 表.png

累計グラフ.png

 830日の東京都の新型コロナ感染者は1,915人となり、8日連続して前の週の同じ曜日の感染者数を下回った。712日の緊急事態宣言による不要不急の外出自粛、都道府県間の移動回避、イベント縮小、飲食店などへの時短・休業要請、酒類の提供自粛、出勤者の7割削減要請など様々な措置が講じられているにもかかわらず、感染者は宣言発令時の4倍近くに達している。

宣言解除予定の912日まで残り2週間。1500人台までに減らせるかどうか予断は許さない。

都のデータから、712日~829日までの年代別・性別感染者の推移を表とグラフにまとめた。従来株の2倍近い感染力があるとされるデルタ株の猛威がワクチン接種効果をかき消していることをうかがわせる。

 累計の男女別・年代別感染者は別表の通り。感染者は338,731人となり、都民13,843,525人(31日現在)の2.4%、人口10万人当たり感染者は2,447人となっている。

 年代別では、もっとも多いのが20歳代の約9.9万人(全体に占める割合29.1%)で、以下、30歳代の約6.7万人(同19.8%)、40歳代の約5.3万人(同15.8%)、50歳代の約4.1万人(同12.0%)の順。ワクチン接種が進んでいることから60代以上の比率は10%台まで減少している一方で、20歳未満の年少者の感染が激増している。

10歳未満 感染激増 比率は全体の7%超に

10未満表.png

 10未満グラフ.png

メディアは最近、若年層の感染増加を報じているが、712日の緊急事態宣言あたりから10歳未満の増加傾向は顕著で、728日に138人と100人を突破し、比率も4.3%4%を超えると、その後は増加の一途。825日には308人で、感染者に占める割合は7.3%となった。家庭内感染のほか、市中感染も拡大しているとみられる。

10感染者は爆発的に増加 比率も10%超に

10代表.png

10代グラフ.png

今回の第5波でもっとも絶対数、全体感染者に占める割合が増加しているのが10歳代だ。712日は33人、比率6.6%だったのが821日には565人、比率11.1%となり、人数で約17倍、比率で4.5ポイント上昇した。829日の比率は過去最高の11.9%に上っている。

都のデータは10歳刻みなので、増加しているのは小学・中学・高校の生徒なのか、それとも18歳以上なのかは不明。

20絶対数はピーク時より半減 比率も30%割る

20代表.png

20代グラフ.png

コロナ発生時から絶対数、感染比率とももっとも高い数値を示してきた20歳代は、現在も基本的に変化はないが、比率そのものはやや減少傾向を示している。

感染者は813日に過去最多の1,810人(比率31.4%)を記録したが、829日時点でピーク時から半減している。比率は81日の37.5%をピークに減少に転じ、829日には26.5%(感染者817人)にまでに減少している。

30比率20前後で推移 60%:女40

30代表.png

30代グラフ.png

感染者、比率とも20歳代に次いで高い数値を示している30歳代は、感染者は増加しているが、全体に占める割合はほぼ20%前後で推移している。

また、累計感染者67,165人の男女別内訳は男性40,110人(比率59.7%):女性27,055人(同40.3%)と比率差が大きいのも特徴の一つとなっている。理由は不明。

40男性61%:女性39〝格差〟くっきり

40代 表.png

40代グラフ.png

20歳代、30歳代に次いで感染者が多い40歳代は累計53,484人。感染者は712日の91人(比率18.1%)から一貫して増加し、813日には955人(同16.5%)までほぼ10倍に達した。男女別では、男性32,863人(比率61.4%):女性2,0621人(同38.6%)と30歳代とともに男女比の差が大きい。

50比率は1012%で推移

50代表.png

50代 グラフ.png

50歳代の感染者は40,665人で、男性23,859人(比率58.7%):女性16,806人(同41.3%)。緊急事態宣言後の全体に占める割合は1012%内に収まっている。絶対数は712日の50人(比率10.0%)から813日には689人(同11.9%)まで増加。その後は減少傾向にある。

60下げ止まりから増加傾向へ

60代表.png

60代グラフ.png

60歳代は82日に52人、比率2.4%まで漸減したが、その後は下げ止まりから増勢に転じている。819日には182人、比率3.3%となるなど比率は3%前後で推移している。

70歳以上 8月以降は100人超 比率も増加

70以上 表.png

70以上 グラフ.png

70歳以上はワクチン接種が進むにつれて激減し、726日には18人で、全体の感染者に占める割合は1.3%まで下がったが、84日に100人を突破すると、その後は100人超が続いており、826日は191人で、全体の感染者に占める割合は4.1%となった。ワクチン接種を受けていない、受けたくない人が感染しているのだろうか。これもデルタ株の影響か。

100歳以上は147今年だけで131

100以上 グラフ.png

東京都の100歳以上の累計感染者は男性が27人、女性が120人の合計147人となっている。このうち1月以降の感染者は131人で、8月以降だけでも30人に達している。

100歳以上の令和311日現在6,641人なので、人口10万人当たり感染者は2,214人となる。都の人口10万人当たり累計感染者2,447人と比較して若干低いが、気になる数値だ。何とか感染を防げないものか。

 

カテゴリ: 2021年度

 優良ストック住宅推進協議会(スムストック※)は8月27日、オンライン記者会見を開催し、2020年度のスムストックの販売状況・活動などを報告し、今後の活動方針を示した。新会長に堀内容介氏(積水ハウス代表取締役副会長執行役員)を選出したことも報告された。

 2020年度のスムストック協議会10社による成約棟数は、TVCMやWeb広告などスムストック認知度向上策を実施した効果もあり、過去最高の1,922棟(前年度比14.8%増)となり、累計では13,899棟になった。

 協議会10社の戸建ストック383万棟のうち2021年3月時点の推定流通数は約11,600棟/年(流通率約0.3%)として、2020年度成約棟数1,922棟は捕捉率にして約17%としている。捕捉率は2017年度の15%から2ポイントアップした。

 スムストック住宅販売士は前年度の6,623名から6,965名に増加した。

 国土交通省がまとめた2020年度の安心R住宅宅の調査報告書の一戸建て提出件数470戸のうちスムストックは233件で比率は49.6%であることも報告された。

 新中期計画策定方針(2021年~2023年)では、「スムストックブランド」を時代の先を行く確固たるものとするための活動を強化する。具体的には捕捉率「20%以上」を目指すほか、住宅保証機構と連携した「買取再販型」保険商品の展開(2021年10月予定)や、脱炭素、レジリエンス、新しい生活様式など今後の社会環境の変化に対応できるスムストック査定方法の改良の検討、構築を図る。

 ※会員各社がこれまで供給してきた建物のうち、①新築時の図面、リフォーム、メンテナンス情報等が管理・蓄積されていること②建築後50年以上の長期点検制度・メンテナンスプログラムがあり、計画通りの点検・修繕を実施していること③「新耐震基準」レベルの耐震性能があることを満たした戸建てのこと

カテゴリ: 2021年度

1.jpg
試食会で供されたスープ(ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 東京汐留で)

2.jpg
食材の玉ねぎとトウモロコシ

 三菱地所と三菱地所グループのロイヤルパークホテルズアンドリゾーツは8月25日、「サステナブルな野菜を使ったスープ」のメディア向け発表会・試食会を行った。

 野菜スープは「オニオンスープ」と「コーンスープ」の2種類。オニオンスープは皇居外苑濠から除去された水草の「ヒシ(菱)」を堆肥化し、山梨県北杜市の協力農家で栽培された玉ねぎを、コーンスープは三菱ケミカルが開発した水と二酸化炭素に分解される生分解性樹脂「BioPBS」ストローを堆肥化し、長野県諏訪郡原村で栽培されたトウモロコシをそれぞれ使用。いずれも横浜ロイヤルパークホテル総料理長・髙橋明氏が監修した。

 提供するのは「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 東京汐留」など7か所のホテルで、期間は8月25日~10月31日(なくなり次第終了予定)。

 「ザ ロイヤルパークキャンバス 銀座8」と「ザ ロイヤルパークキャンバス 神戸三宮」では9月18日と19日、玉ねぎやトウモロコシを含めた野菜のマルシェを開催する。

 三菱地所グループは、2019年から「大地への恩返しプロジェクト」として皇居外苑濠から刈り取った水草「ヒシ(菱)」を堆肥化し、この堆肥を用いて北杜市で栽培された野菜を買い取った上で、三菱地所本社カフェテリアやロイヤルパークホテルズで食材として活用している。

 また、ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツは8月から、運営する一部ホテルの飲食店舗などで使用するストローを三菱ケミカルが開発した生分解性樹脂製品に切り替え、三菱ケミカルが行う生分解性樹脂の堆肥化プロジェクトに参加する。プロジェクトで栽培された野菜を三菱地所グループが買い取り、ロイヤルパークホテルズが食材として提供していく。

 三菱地所グループは、「三菱地所グループのサステナビリティビジョン2050」で「Be the Ecosystem Engineers」というスローガンを掲げ、都市と地方が継続的な共生関係を維持するための新たな資源循環(サーキュラーエコノミー)の実現を目指す取り組みを行っており、今回の一連のプロジェクトもその一環。

ヒシのイメージ.jpg
ヒシ(夏に大量発生する。小さな生物は大型の生物から身を守る機能があるが、繁茂すると生態系に大きな影響を及ぼすことから「エコシステム・エンジニア」と呼ばれている)

IMG_0112.jpg
除去作業

生分解性ストローのイメージ.jpg
生分解性樹脂「BioPBS」ストロー(見た目はプラスチック製とほとんど変わらない)

◇       ◆     ◇

 記者は、お湯を注ぐだけでいい粉末スープは自宅でよく飲んでいる。文句など言ったことはない。ありがたく頂いているが、自分から進んで飲みたいと思ったことはない。レストランなどでも同じだ。

 今日頂いた2つのスープは今まで飲んだスープとは天と地ほどの差があるおいしいものだった。記者などはこのスープと酒と多少のつまみがあれば何もいらない。素材の良さを引き出した髙橋さんの腕の凄さを見る思いがした。

 取材の帰り、「認証ワイン」でも買って帰ろうとレストランに寄ったら、販売はまだだった。担当者の方は「フェアトレード認証コーヒー」についても話された。価格は2,000円くらいになるという。これには驚いた。ラグジュアリーホテルでも1,500円くらいのはずだ。なぜそんなに高くなるのかについて、担当の方は「現地で働く人が適正な報酬を受け取り、安定的に良質な商品を提供するにはそれくらいコストがかかるということです」と語った。

 なるほど。記者も昨年からSDGsのバッジをつけるようにしているが、まだまだ甘い。記者もそうだが、読者の皆さんは1杯2,000円のコーヒーが飲めるだろうか。17のゴール到達への道のりは平易ではない。それでもSDGsの取り組みを加速させようとする同社の姿勢はさすがというべきか。

 使用済みの生分解性樹脂ストローを堆肥に利用し、今年10月に開業する国内初の高層ハイブリッド木造の「サ・ロイヤルパークキャンバス札幌大通公園」では、歯ブラシ、シェイバー、ヘアブラシなどのアメニティの一部はもみ殻を原料にしたものにするというのもとてもいい取り組みだ。

 この点について、ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ・仲條彰規副社長は、「SDGsの認識は急激に高まってきたが、業界全体としての取り組みは緒に就いたばかり。排水を再利用したり食材などをコンポストにしたりすることは進んでいるが、生分解性樹脂ストローを堆肥にするのは当社だけではないか」と話した。

 環境省は先日、6月にプラスチック資源循環促進法が成立したことを受け、大量の使い捨てプラスチック製品を扱う業者に対して、削減策を義務付けることを決定した。対象となるのはホテルのクシや歯ブラシなどのアメニティも含まれる。

 発表会でも少し話題となった山梨県北杜市の「空と土プロジェクト」は2度取材している。機会があったらまた行ってみたい。

三菱地所CSR「空と土プロジェクト」10周年 純米焼酎「大手町」販売など活動強化(2017/9/9)

〝ケロ、ケロ、ケロ〟カエルも歓迎 三菱地所・空土プロジェクト田植えツアー(2015/6/3)

三菱地所グループ「空と土プロジェクト」体験ツアーに同行取材(2012/10/19)

カテゴリ: 2021年度
 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン