消費者に分かりづらい長期優良住宅 見直しへ 住宅性能表示と一体化すべき
国土交通省は6月29日、第1回「長期優良住宅認定基準の見直しに関する検討会」(座長:松村秀一・東京大学大学院工学系研究科特任教授)を開催した。令和3年5月に「住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律」が成立・公布されたことを受け、長期優良住宅認定制度に新たに創設される災害配慮基準や共同住宅での認定促進、脱炭素社会に向けた省エネ対策の強化に係る認定基準の見直しなどについて議論するのが目的だ。
先に報告された「長期優良住宅制度のあり方に関する検討会」(同)最終とりまとめでは、平成21年6月に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(長期優良住宅法)による累計認定戸数は約102万戸(平成30度末時点)にのぼり、良質な住宅の供給に一定程度貢献しているとしながらも、消費者への意識向上につながっているかどうかは住宅事業者間で評価が分かれ、①共同住宅の認定がほとんど進んでいない②住宅性能表示制度と重複する評価項目が多いにも関わらず、別の制度であるために申請者の負担が大きい③建設コストが通常より高くなるにも関わらず、流通市場では認定制度はあまり評価されない④税制優遇などのインセンティブは10年後になくなり、増改築認定の場合は当初からインセンティブがほとんどない⑤賃貸住宅の認定実績がない⑥地価が高い都市部では規模の基準が厳しすぎる-などの課題も指摘されている。
「見直し検討会」は、これら「あり方検討会」が指摘した課題に基づいて、具体的な見直し案をまとめることになる。
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記者は、「あり方検討会」で各委員が指摘した「容積率等の緩和の可能性も検討することが望ましい」「長期優良住宅と住宅性能評価の仕組み自体をなるべく整合できるような形にしたほうがいいのではないか」などの声に賛成だ。
制度・モノサシが異なるといってしまえばそれまでだが、住宅性能評価制度と長期優良住宅制度は分かりづらい。
令和2年度の住宅着工戸数に占める住宅性能評価書交付件数は27.9%の約24.5万件で、長期優良住宅認定件数は12.5%の約10.1万戸しかないのは、消費者にとって分かりづらいのが最大の理由だと考えている。以下、まとまりを欠くが、記者なりの考えを紹介する。
住宅性能表示は、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき10分野・34事項について等級表示することで消費者が住宅の品質を理解しやすいように定めた制度だ。紛争処理体制を整え、消費者保護を図り、住宅ローンの優遇が受けられるという目的には賛成だが、当初からずっと腑に落ちないものを感じていた。
国土交通省のガイドラインには「建築基準法で定める基準を下回る住宅については違法と考えられますので、住宅性能評価書を交付することはできません」とある。
当然のことだ。しかし、逆に考えれば、建基法をクリアすれば「等級1」を取得できる。これは〝違法建築ではありません〟と消費者自らか費用(数万円から20万円と言われている)を払っているようなものだ。そうまでしないと、消費者に信用されない業界は情けないと思った。(それでも違法建築は防げなかった)
言い過ぎかもしれないが、住宅性能表示制度はお上がお墨付きを与えることで、建基法を満たしているに過ぎない住宅でも質の高い住宅であるかのような〝誤認〟を消費者に与えたという疑念をずっと抱いてきた。
長期優良住宅制度も同様だ。全然〝優良〟でないのに「優良」のお墨付きを与えた旧住宅金融公庫時代の「優良(中古)マンション」制度と大差ないといったらこれまた失礼か。
この制度の欠点を一つ指摘する。記者は住宅の価値は緑被率など緑環境や地域との親和性が重要だと考えている。長期優良住宅制度の9項目の評価基準の中に「良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること」とする「居住環境」がある。これは所管行政庁が審査することになっており、各行政庁が定める地区計画、景観条例などに適合させることが求められている。
これまた当たり前のことだ。しかし、地区計画、景観条例などは最低限の条件を定めたものが多く、「長期優良」にふさわしいかどうかは別問題だ。記者は、プレハブ建築協会が取り組んでいる「エコアクション」を高く評価しているが、それでも緑化面積率40%以上を目標にした建売住宅の供給率は2019年度実績で14.5%(前年比7.6ポイントマイナス)しかなく、2020年度目標の50%にはるかに及ばない。
大手ハスウメーカーですらこれが現状だ。建売住宅大手も含めた戸建てはコンクリで地面が固められたぺんぺん草も生えない住宅地がどんどん広がっている。この流れを変えるためにも長期優良住宅にふさわしい独自の指標を設けるべきだ。
住宅の質を計るモノサシは住宅性能表示制度、長期優良住宅制度だけではない。2001年に立ち上げたCASBEE、2012年運用開始の低炭素建築物認定制度、2013年運用開始の建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)、2016年ころから取り組みが始まったZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などだ。最近はZEHに力を入れているハウスメーカー・デベロッパーが多い。
この中で、記者はCASBEEとZEHをチェックするようにしている。CASBEEは評価結果を「Sランク(素晴らしい)」から「Aランク(大変良い)」「B+ランク(良い)」「B-ランク(やや劣る)」「Cランク(劣る)」の5段階で評価するもので分かりやすい。東京都の場合は、同様の「マンション環境性能評価」制度を平成17年に設け、断熱性、省エネ性、みどり環境など5項目についてそれぞれ★印3つ(満点は★15個)で評価している。これまで満点を取得したマンションはどれも素晴らしい物件だ。
ZEHは、国土交通省、通産省、環境省など別々の取り組みもあり分かりづらいところもあるが、目指す目標は一つなのでとても分かりやすい。
これらの制度と住宅性能表示、長期優良住宅は相互に関連していることではあるが、消費者は混乱するばかりだ。
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事業者は住宅性能表示制度と長期優良住宅をどのように利活用しているか。事業者のスタンスの置き方、制度の方向性を考えるうえで参考になりそうなので紹介する。
2021年3月期は46,620戸の戸建てを計上した飯田グループ6社は、住宅性能表示制度7項目で全て最高等級を取得しており、それを最大の〝売り〟の一つにしている。一方で、長期優良住宅認定は東栄住宅(2021年3月期は4,954戸)一社のみのはずだ。
住宅トップの積水ハウスは、2019年度の長期優良住宅認定取得率は93%だが、同社は最近ZEHに力を入れており、2020年度のZEH比率が91%に達し、2021年3月末時点で累計60,843戸となったと発表した。
デベロッパーはどうか。三井不動産レジデンシャルは、長期優良住宅認定を取得したマンションは数件あるが、年間数百戸をコンスタントに分譲している戸建てで長期優良住宅認定を受けたのは1件しかない。その理由を同社は「ファインコートの仕様から馴染まないところがいくつかあり、評価をクリアできないのと、維持保全計画は、建売住宅には馴染まない」としている。
では、同社の戸建てのレベルが低いかといえばそうではない。記事にも添付したが、2016年に分譲した首都圏初の〝ススマートウェルネス住宅〟「ファインコート等々力 桜景邸」などは長期優良住宅レベルをはるかに超えていた。
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「見直し検討会」に提出された出口健敬委員(不動産協会事務局長代理)と西澤哲郎委員(住宅生産団体連合会 住宅性能向上委員会SWG1リーダー)の資料について。
出口委員は、集合住宅の現行55㎡の面積要件を単身者の都市居住型誘導居住水準である40㎡に引き下げることを要望している。記者はこれに賛成だ。
住宅の質は基本的には広さではあるが、そもそも面積要件は官主導の住宅金融や税金控除などにはつきものだ。どこかで線を引かざるを得ないのだろうが、合理的な説明がつかないものは多い。記者はローン控除の面積要件を30㎡に引き下げろと20年前から主張してきた。
西澤委員が要望した低層賃貸住宅の可変性に関する認定基準である躯体天井高2,650ミリ以上の基準の緩和には同意しかねる。技術的なことは分からないが、天井高は住宅の質にとって重要だ。最近はコストを削減するためどんどん天井高を低くしているのは残念でならない。賃貸住宅でも躯体天井高2,650ミリというのは譲れないラインではないのか。
この点については、先の出口委員も20mの高さ規制を想定した場合「居室天井高2.45~2.5mを保持しようとすると、1層(階)減り、分譲売上の低下を招き、事業の起点である土地購入の難度が上がります」としているが、これは5m刻みが多い高さ規制に問題がある。1層を3mではなく、3.1とか3.2m刻みにすれば天井高は確保されるはずだ。長期優良など天井高の高いものについては容積の割り増しを行い、質の担保を図るのが合理的だと考える。記者は高さ規制を撤廃すべきというのが持論だ。
また、西澤委員が求めている床面積要因を55㎡以上(現行75㎡以上)に引き下げるというのは基本的には賛成だ。理由は出口委員の要望について書いたのと同じだ。
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住宅性能表示と長期優良住宅の申請に掛かる費用は1件5~10万円として、双方で年間35万件だから5~10万円×35万件=175~350億円となる。もちろん負担するのは他の誰でもない消費者だ。ローン控除などで還元されるとはいえ巨額だ。
長期優良住宅制度の合理化を図り、ハードルを高くして事業者や消費者がチャレンジしたくなるような制度にするか、それともCASBEEのようにランク付けして選択制にしたらいいと思うのだが、どうだろうか。
なぜ伸びない品確法性能表示&長期優良住宅 どうなる中古住宅評価(2015/9/4)
長期優良住宅が「CASBEE」で評価されないのはなぜ(2013/6/13)
敷地60㎡未満の分譲「狭小住宅」 都心部は軒並み50%超 最少の練馬は1.9%(2019/8/19)
首都圏初の〝ススマートウェルネス住宅〟完成 三井不レジ「等々力」(2016/3/24)
小田急不動産 1時間440円のレンタルスペース 本厚木駅30秒にオープン
「ODAKYU RENTAL SPACE本厚木」個室
小田急不動産は7月2日、小田急厚木ホテルビル地下1階にだれでも利用できるレンタルスペース「ODAKYU RENTAL SPACE本厚木」をオープンしたと発表した。
使いたい時にいつでも借りられるドロップイン形式で、WEB会議や作業に集中できる完全個室(1人専用)のワークスペース(7室)と、プロジェクターを完備した最大21名収容可能な会議室(1室)の計8室を設置した。個室の使用料金は1時間440円(税込み)。運営はクルトンに委託する。
施設は、小田急線本厚木駅から徒歩30秒、小田急厚木ホテルビル地下1階。
予約サイトURL:https://upnow.jp/metrominutes/search?keyword=ODAKYU%20RENTAL%20SPACE
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記者は、コロナが発生してから1年4か月、テレワークを行っている。取材などで外出しても店舗内で食事することをやめ、たばこも安全と思われるホテルなどを利用することにしている。ただで喫煙室を利用するのは失礼なのでコーヒーやワインなどを飲むが、1、2本吸うのに千円札も煙のように消えていく。
それと比べ、1時間440円というのはいかにも安い。施設内は禁煙だがホテルには喫煙室はあるはずだ。
京王不動産も会員制サテライトオフィス「KEIO BIZ PLAZA」を展開しており、多摩センターは時間貸しで165円/15分(最低利用料金660円/月)。
これからはこの種のホテルの施設を利用することにしよう。コーヒーを注文すればやはり1000円はかかるのか。
野球を通じて社会貢献「トラバース高谷川球場」完成/無料の野球アカデミー設立
「トラバース高谷川球場」竣工式(屋内練習場で、手前は農園のカボチャ)
当欄既報の測量調査、地盤改良会社のトラバース(本社:千葉県市川市、佐藤克彦社長)は7月3日、社会貢献の一環として自社設計・施工した少年野球グラウンド「トラバース高谷川球場」の竣工式を行った。当日は佐藤社長をはじめ、グラウンド建設とともに設立した「野球アカデミー」のコーチを務める同社副社長・G.G.佐藤氏、同球場の土地所有者、県議会議員、市議会議員など多数の関係者が完成を祝った。当日行われる予定だった野球アカデミーの開校式・野球教室は天候不順のため延期された。
竣工式のあと、佐藤社長は建設に至った経緯について次のように語った。
「当社は会社設立(昭和51年4月)から45年が経過するが、会社の利益は社員と分かち合い、関係者や地域などにも還元しないといけないという三位一体経営を父から教わった。球場を造ろうと思ったのは2年半前だった。江戸川に掛かっている妙典橋(千葉県道179号船橋行徳線)の西岸はきれいに整備され散歩する人たちも多いのに、反対側は青々としたまるで草原のような光景が広がっていた。この土地に球場を造って、青少年野球に貢献できないかと考えた。プロを引退した息子を含め元プロのセカンドキャリア支援に取り組み、社員として採用してきた結果、多くの野球経験者が集まるようになってきた。この人材を活かせば地元からプロを誕生させることができるのではないかと」
「グランド整備に当たっては、6種の石や砂などを埋めたが、水はけが悪かったり球が思ったように弾まなかったりしたので何度も入れ替えた」と悪戦苦闘したことも明かし、「ナイターも可能にしたので、アカデミーにたくさん参加していただきたい」と話した。
昭和14年生まれの地元の大地主という土地所有者(82歳)は、「以前は毎年5月、7月、9月に敷地内の雑草刈りをやっていたが、俺も歳をとった。(土地を貸してくれと)話が持ち込まれたときはいつ相続が発生するかわからないので躊躇したが、俺も高校のとき、ちょこっとだが野球をやったこともあり、トラバースさんのやっていることにも共感したので受けることにした。立派な球場ができてとても嬉しい。従前? ここら一帯はみんな蓮の田んぼだった。賃料? それは勘弁して。たくさんいただいている」と笑顔を見せた。
完成した球場は、東西線妙典駅と原木中山駅の中間くらいの市川市高谷に位置し、千葉県道179号船橋行徳線妙典橋のたもと。敷地面積は約1400坪。グラウンドは左翼・中堅は60m、右翼は50m。芝は天然芝(内野除く)。屋根・夜間照明付きの練習場には佐藤氏が25年前に考案した特許取得日本第一号のキャタピラーで簡単に運べるピッチングマシンが3台装備。
敷地内には約100坪の農園も設置。パクチー、カボチャ、カキ、チンゲンサイ、コマツナ、ユズ、サツマイモ、ネギ、キュウリ、ナス、タカノツメ、ピーマン、モロヘイヤなどを栽培。収穫して関係者などにプレゼントするのだそうだ。水遣り用の井戸を2基掘削している。
アカデミーは、小学生を対象に無料で定期的に開催予定。コーチにはG.G.佐藤氏をはじめ同社のNPB、独立リーグ、社会人野球出身者が務める。外部コーチとして元ヤクルト・西武ライオンズの米野智人氏を招へいする。
天然芝のグラウンド(外野から写す)
佐藤社長
関係者で記念撮影
佐藤鯱用が考案した日本で初の特許を取得したバッティングマシン
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「牧田さん、これ見てよ。私が息子のために25年前に日本で初めて特許を取得したピッチングマシンだ。最初、ボールは奥さんが入れる役割を果たしていたが、嫌がったので自動的に補給できるように改良した。デッドボール? 全然ない。コントロールはいい。130キロは出る」
佐藤社長は自慢げにこう話した。記者は事前にピッチングマシンがあるのを確認していたが、〝大きな仕事をしているのに中古を買うなんて何と中途半端な〟と思った。そんな歴史ものだとは全然知らなかった。
G.G.佐藤氏は「そう。わたしはこれでプロになった。これを使って市川からプロを育てたい」と語った。
ついでに聞いた。「佐藤さん、もうすぐオリンピック。北京の悪夢を再現する外野手はいませんか」「大丈夫。わたしみたいなへぼな選手は一人もいない。みんな素晴らしい選手ばかり」(日本代表の外野手は柳田・吉田・栗原・近藤・鈴木誠也の各氏)
土地所有者との交渉役を務めた創価高校-創価大野球部出身の越口誠氏は、「最初に土地を貸してくださいとお願いに行ったときは、ほとんど相手にされなかった。その後、市会、県会議員さんなどの協力も得て、当社のことも分かっていただき建設が実現した。元プロや独立リーグ、社会人野球経験者の入社も増えている。今回の球場建設も含めて野球を通じて業界を明るくしたい」と語った。越口氏は高校時代、通算49本の本塁打記録を残している。
カボチャ
農園
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トラバースは、RBA野球大会第30回、31回大会に参加(昨年の32回、今年の33回大会はコロナの影響で中止)。通算成績は8勝3敗、勝率.727の高率を残しているが、「元プロの出場は1人」という大会規定の壁と寄る年波には勝てないのかベスト8どまり。
記事はRBA野球大会ホームページhttps://www.rbayakyu.jp/の検索欄で「トラバース」を入力していただければ100本近くヒットするはずだ。
トラバース 自社設計施工の少年野球グラウンド整備 地域貢献の一環として無償提供(2020/12/23)
G.G.佐藤さんの実父 トラバース社長・佐藤克彦氏がポラス分譲地で絵画展(2019/2/6)
全27棟にオリジナル樹木 敷地全体では5+1本 大和ハウス「武蔵府中ひかりテラス」
「セキュレア武蔵府中ひかりテラス」
大和ハウス工業は7月2日、「家事シェアハウス」を全戸に盛り込んだ分譲戸建て「セキュレア武蔵府中ひかりテラス」のメディア向け見学会を行った。全戸に「家事シェアハウス」を採用するのは初めてで、6月19日から販売開始した第1期11戸ののうち4戸が成約済み、1戸が申し込み済み。
物件は、JR中央本線国分寺駅からバス約11分、バス停徒歩3分(京王線府中駅から約9分、徒歩3分)、府中市栄町二丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する開発面積約4,381㎡の全27戸。現在分譲中の住戸(6戸)の土地面積は113.02~123.17㎡、建物面積は88.62~90.36㎡、価格は5,490万~6,190万円(最多価格帯5,900万円台)。建物は完成済み。構造は軽量鉄骨2階建て。全体完成は2021年11月の予定。
現地は、東京農工大が社宅などとして所有・利用していた土地で、同社は約2年前に取得し、開発しているもの。府中市景観条例に基づき緑化を図り、全27戸にオリジナルの樹木を植樹するほか、敷地内の樹木には廃材を活用した樹名板を設置する。
「家事シェアハウス」は2017年から採用しているもので、玄関に家族それぞれの靴、コート、スリッパなどを管理できる「自分専用カタヅケロッカー」、リビングには自分専用の雑誌、美容グッズ、勉強道具などを収納できる「自分専用ボックス」と乱雑に散らかりがちな紙類を収納する「お便り紙蔵庫」、階段室には畳んだか洗濯物を一時的における「階段ポケット」を設けている。
また、昨年10月から販売開始した据え置き型ダストボックス「D’s stocker」を標準装備している。
府中市の開発指導要綱では、開発面積3,000㎡以上の最低敷地面積を110㎡とし、低層住居専用地域の緑地率を15%以上確保するよう求めている。
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記者は今年3月、この物件に近い「セキュレア武蔵府中なごみプレイス」(33区画)を見学しており、記事にもしているのでそちらも参照していただきたい。記事にも書いたのだが、今回の「ひかりテラス」のほうが国分寺駅にも府中駅にも出るのが便利なので、価格は6,500万円くらいが、ひょっとしたららもっと高くなると考えていた。
しかし、見学会で平均価格は約5,900万円と聞き、その安さに驚いたのだが、設備仕様などモデルハウスの全体的なレベルを考慮すれば、この価格帯もありかと考えた。
率直に言えば、完成販売で販売開始後10日間で5戸の成約・申し込みは少ないような気がする。バス便ではあるが、国分寺駅にも府中駅にも近い希少の一低層の住宅地であることを考慮すればもっと売れていいはずで、そうでないのは、若い世代では「家事シェア」は当たり前のことなので、心に響かなかったのか。
「家事シェアハウス」は結構なのだが、それを強調すれば販促に効果があるとすれば、家事労働は夫婦間で平等にシェアされておらず、妻に過大な負担がかかっている情けない現状をさらけ出すようなものだ。
さらに言えば、いまは共働きが多数派を形成しているとはいえ、専業主婦(主夫)も3割くらいあることを考えれば、「家事シェア」は全戸採用ではなく、選択制でもよかったのではないかと思う。
記者は、「イクメン」もそうだが、この専業主婦(主夫)の言葉が嫌いで、主婦あるいは主夫をきちんと職業として認め、家事労働も当然のように労働として評価する社会にすべきだと思う。そうなれば「家事シェア」なる言葉は意味をなさなくなり、死滅すると考えている。
ヤマボウシ(二季咲き)樹名板
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「家事シェア」より、記者が注目したのは全27戸にオリジナルの樹木を植樹することだった。敷地内の他の樹木には「樹名板」を設置するが、オリジナル樹木には設置しないということだったので、その名前を聞いた。シロモジ、ミツバツツジ、リョウブ、マンサク、カツラ、クロモジ、ナツハゼ、ツリバナ、シデコブシ、ヤマツツジ、エゴノキなどだ。今後、残りの16戸についても別の樹木が植えられる。
各敷地内には、オリジナル樹木のほかにもシラカシ、二度咲きヤマボウシなど少なくとも5本の中高木が植えられていた。「5本の樹計画」は積水ハウスの十八番だが、大和ハウス工業はオリジナル樹木を含めると6本だ。これらの中高木が育ったら素晴らしい景観を形成するのは間違いない。これは「家事シェアハウス」よりはるかに価値があると思うが、みなさんはいかが。
三菱地所レジ&モリモト 敷地1000坪超の1低層「自由が丘」1期20戸が完売
「ザ・パークハウス自由が丘ディアナコート」
三菱地所レジデンスとモリモトは7月1日、目黒区自由が丘アドレスの第一種低層住居専用地域に位置する「ザ・パークハウス自由が丘ディアナコート」第1期20戸を6月20日に抽選販売した結果、最高6倍、平均2.2倍で完売したと発表した。
物件は、東急東横線・大井町線自由が丘駅から徒歩9分、目黒区自由が丘3丁目の第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約3,619㎡、地下1階地上3階建て全44戸(分譲対象外12戸含む)。第1期(20戸)の専有面積は74.72~138.99㎡、価格は11,800万~29,700万円、平均価格は18,795万円。竣工予定は2022年6月下旬。設計・施工は東急建設。
自由が丘駅圏では希少の敷地面積が1,000坪以上の第一種低層住居専用地域に位置すること、生物多様性に貢献する面積29%超の緑を確保しているのが特徴。
物件エントリー数は2,347件、来場者は428件、登録申し込みは44件。
登録者の属性は、居住地は目黒区23%、世田谷区14%、年齢層は30歳代から70歳代まで幅広く、40歳代が最多、職業は会社役員・経営者が28%、会社員26%、医師16%、購入目的は自己居住用がほとんど。
三菱地所レジ・モリモト 自由が丘の1低層マンション 大規模緑化と既存樹木など保存(2021/4/9)
圧巻の眺望「メムズ竹芝」 眼下の浜離宮-隅田川-ビル街…「ウォーターズ竹芝」
「ウォーターズ竹芝」
水辺や「WATERS takeshiba(ウォーターズ竹芝)」を中心とした街づくりを推進するタウンマネジメント組織・一般社団法人竹芝タウンデザインなどは6月29日、「ウォーターズ竹芝」の報道陣向け内覧会を行った。記者は、施設内のラグジュアリホテル・メズム東京、アトレ竹芝、オートグラフ コレクション、干潟などを約2時間にわたって見学した。
「ウォーターズ竹芝」は、東日本旅客鉄道が開発した敷地面積約23,030㎡、26階建てオフィス高層棟、6階建て劇場棟、10階建て駐車場棟からなる延床面積約108,500㎡の複合施設。オフィス棟には14階までの全フロアにヤクルト本社が、15階以上はJR東日本グループの日本ホテルが運営する「mesm Tokyo Autograph Collection(メムズ東京 オートクラブ コレクション)」265室が、劇場棟は「JR東日本四季劇場」がそれぞれ入居している。施工は清水建設。開業は昨年4月。
竹芝エリアでは昨年10月、敷地面積約12,156㎡、40階建て延べ床面積約182,052㎡のソフトバンク本社が入居する「東京ポートシティ竹芝」が開業している。
また、近接エリアでは東京建物の32階建て免震タワーマンション「ブリリアタワー浜離宮」420戸が建設中。
「メムズ東京」ロビーラウンジから
勝どき、晴海のマンション群(「メムズ東京」ロビーラウンジから)
「BANK30」
「BANK30」
「BANK30」
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圧巻は「メムズ東京」だ。16階のロビーラウンジは、高さ約9m、幅数十mの180度吹き抜け空間で、眼下の浜離宮恩賜庭園から再開発計画が楽しみな約23haの築地卸売市場-隅田川-「勝どき ザ・タワー」「THE TOKYO TOWERS」などのタワーマンションが近景に広がり、遠景には都心のビル街や東京スカイツリーなどが眺望できる。緑や川・海などの景観や、都心の夜景が楽しめるラグジュアリーホテルはたくさんあるが、すべてを満たすホテルはまずない。「京都ブライトン」は6階吹き抜け、水天宮の「ロイヤルパーク」は5層吹き抜け空間があるが、外の景色は見えない。
客室は、40㎡台のchapter1から95㎡のchapter3、180㎡のchapter4まで。95㎡のchapter3を見学したが、客室のほか43㎡のバルコニー付きだ。ルームチャージは約20万円。chapter4は60㎡のバルコニー付きでルームチャージは100万円~とか。
バー&ラウンジ、ダイニング「シェブズ・シアター」などはカジュアルなもので、バンケットルーム(宴会場)は180㎡の1室のみで、大宴会などは想定していないようだ。
「メムズ東京」は、「Exactly like nothing else(唯一無二)」の価値である水辺と浜離宮恩賜庭園を臨む立地環境を生かした〝五感を楽しむ〟がコンセプト。マリオット・インターナショナルと提携することで、JR東日本グループのホテル全体の底上げを狙う。
「アトレ竹芝」は、同社初の〝駅外〟施設で、新業態のラグジュアリーオーシャンビューラウンジ「BANK30」は、海を目の前にショーと映像、音楽のセッションの3つのエリアで構成されており、料理、酒などはリーズナブルな値段だ。
干潟は、JR東日本が整備したもので、広さは150坪くらいか。ハゼなど10種以上の魚が釣れ、マイクロプラスチックごみ、オイルボール(油の固まり)なども流れ着くので、海の汚染状況が勉強できる。
〝小さなごみのようなものがマイクロプラスチックごみです〟
干潟で釣れるハゼなど
干潟
「東京ポートシティ竹芝」
三井不動産 総延べ床面積70万㎡の「MFLP船橋」全体完成
「三井不動産ロジスティクスパーク船橋(MFLP船橋Ⅲ」
三井不動産は6月30日、千葉県船橋市の「三井不動産ロジスティクスパーク船橋(MFLP船橋Ⅲ」が完成したのに伴う記者発表・内覧会を行った。7月1日には、約20,000㎡の緑地空間「MFLP船橋・&PARK」も竣工し、一般に開放する。
「MFLP船橋Ⅲ」は、敷地面積約58,800㎡の8階建て延べ床面積約270,000㎡。各階の倉庫・トラックバース面積は約27,000㎡と業界最大級の規模で、事務所の天井高は全フロア約3.6mを採用し、緑地空間を一望できる開放的なオフィス環境を実現。倉庫内は全館空調を実装し快適な労働環境を整備。トラックバースは国際基準である45ftコンテナ車両にも全フロア対応可能とするほか、免震構造・72時間対応の非常用発電機等のBCP対策や、車番認証システムを採用したトラックゲート、フラッパーゲートや顔認証システムによる入退館管理など、オフィスビル同等のセキュリティ計画も完備している。
「MFLP船橋」は、8年間かけて開発してきた事業で、2016 年10月竣工の「MFLP 船橋Ⅰ、2019年10月竣工の「MFLP 船橋Ⅱ」、2020年12月竣工の「三井不動産アイスパーク船橋」、2020年12月竣工の「MFLP 船橋・&GATE」と合わせ総延べ床面積約70万㎡の施設全体が完成したことになる。施設は、RE100 やSDGsの達成に向けた取り組みのほか、と「BELS」で「5STAR」を取得している。
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記者は、この日の取材を楽しみにしていたのだが、昨日、第2回目のコロナワクチンの接種を受けており、朝起きたら気分が悪く、急遽取材をキャンセルし、オンライン視聴に切り替えた。1回目は日常生活にほとんど問題なかったが、体温も朝は36.6°(記者の平熱は36.2°)あり、昼過ぎには37.5°まで上昇した。いま夕方は落ち着いてきており、味覚も食欲も飲酒の欲求も普段通り。左肩は腫れて痛い。
なので、上段の記事はほとんどコピペ。しかし、質疑応答の場面で、面白いやり取りがあった。物流施設を「嫌悪施設」として理解されているのか、一般紙の記者の方が「近隣対策」について質問した。
なるほど。これには一理ある。詳しくは分からないが、倉庫の建設が許可されるのは準住居地域、近隣商業・商業地域、準工業・工業地域、工業専用地域しかないはずだ。住居系ではまず許可されない。
逆に、いまは工業系でも商業系でもマンションがどんどん建設されている。そうしたところは物流施設を歓迎しないというのもよくわかる。この質問に対して、三木氏がどう答えるか注目したのだが、三木氏は「当社のこれまでの物流施設で反対されたものは1件もない」と言い切った。
同社は2021年3月の段階で、開発中を含め全国47か所で事業展開している。1か所も近隣住民などからの反対がないのは驚きだ。
記者は、もちろん立地条件にもよるが、物流施設とオフィス、マンション、商業施設などとの複合開発の可能性は大きいと考えている。同社の2019年7月に開業した「三井不動産インダストリアルパーク羽田(MFIP 羽田)」を見学した際、設計業の梓設計が本社機能をここに移したのを聞いた。
細部はまだ手付かずだったが、天井高は5mもあったのに驚愕した。京浜急行空港線穴守稲荷駅から徒歩7分だから、オフィス立地もありかとそのとき思った。
実は、今回の「MFLP船橋」の「Ⅰ」の竣工見学会が2016年に行われたとき「ここにマンションを建設したら坪単価180万円で売れる」と関係者と談笑したのを覚えている。同社は駅から徒歩3分の「パークホームズLaLa南船橋ステーションプレミア」(231戸)を坪単価210万円で分譲し、早期に完売している。
物流施設を複合施設にする場合は、容積率などの大幅緩和を行えばコスト的にも見合うはずだ。
もう一つ。物流施設で「CASBEE」で最高「S ランク」を取得している物件はほかにあるのか。
EC拡大 多様化する顧客ニーズ コロナ禍でも伸びる三井不ロジスティクス事業(2021/3/4)
駅前4.5haの再開発も三井不グループに決定 三井不レジ「南船橋」人気加速か(2020/10/23)
梓設計が本社機能 三井不 街づくり型「インダストリアルパーク羽田」満床稼働(2019/7/5)
わずか7年間でオフィス面積と肩並べる360万㎡開発 三井不のロジスティクス事業(2019/11/6)
ポラスグループ 2021年3月期 増収増益 分譲戸建てがけん引 契約棟数は3,212棟
ポラスグループは6月28日、2021年3月期決算を発表。売上高は2,329億円(前期比3.2%増)、営業利益163億円(同18.9%増)、経常利益176億円(同14.8%増)、純利益50億円(同14.8%増)となり、5期連続で売上高を更新、純利益、経常利益とも2年連続で過去最高を更新した。
分譲戸建てが好調で業績をけん引し、契約棟数は3,212戸(前期比27.7%増)と過去最高となった。マンションも首都圏供給ランキングベスト10に2年連続で入った。
プレカットは、加工ラインの新設・更新などにより外販受注棟数は38,912棟となり過去最高を更新した。
このほか、注文住宅、非木造住宅建築物、住宅展示場での受注棟数、リフォームなども概ね順調に推移した。
2022年3月期業績予想は、売上高2,400億円(前期比3.0%増)、営業利益170億円(同3.8%増)、経常利益180億円(同1.8%増)、純利益51億円(同1.5%増)を見込んでいる。
◇ ◆ ◇
記者がもっとも関心がある分譲戸建ての業績について、中央住宅・品川典久社長は、「コロナが発生した当初、住宅は全く売れないのではないかと危惧したが、5月下旬以降はネットの反響数が前年の倍以上に増加し、完成在庫は前期末336戸だったのが、現在は66戸に減少している。当社の商圏エリアでは、本拠地の越谷が伸び悩んでいるが、埼玉エリアの京浜東北・埼京線、東武東上線、松戸・城東エリアの常磐線、京葉線が伸びた。マンションの引き渡し戸数も前期より5.6%増で安定してきた」などと述べ、「大事なのは使命。当社は『住まい価値創造企業』をロゴに掲げているように、より豊かでいい街づくりを最大の目標としている。棟数ではない」と強調した。
これを受けて中内 晃次郎ポラスグループ代表も「(同業他社は)ポラテックのお客さんでもあるのであまり言えないのだが、当社は上場企業のように数字を最優先せず、上棟作業やアフターメンテナンスも社員が行っており、そこの部分を重要視している。人も育てながら力量の範囲内でじわじわと安定的に業績を伸ばすことを経営の基本に据えている」と語った。
同社の幹部がいつも口にするのはこの企業理念の実践だが、今回の決算数字にも、住宅着工が減少している中、同社の商圏での他社物件より500万円前後価格が高いにもかかわらず、シェアを伸ばし(2019年度10.3%⇒2020年度12.7%)、着工棟数を増やしている(2019年度2,300棟⇒2020年度2,455棟)のは、この理念を実践しているからだと思う。
両氏の話を聞きながら記者の念頭にあったのは、分譲戸建て御三家の数字だ。ご存じのように、飯田グループホールディングスの2021年3月期決算のグループ販売棟数は46,620棟だ。2020年度の全国分譲戸建ての着工戸数は129,351戸だから、単純比較はできないにしろ市場の36.0%を占めている。1戸当たりの価格も全国展開しているからでもあるが、2,720万円と他社と比較できないほど安い。
瞬く間に第2位の座に躍り出たオープンハウスの2020年9月期の販売棟数は、オープンハウス・ディベロップメントの2,804戸とホーク・ワンの2,477戸を合わせ5,281戸だ。オープンハウス・ディベロップメントは大都市圏での展開なので1戸当たりの価格は4,160万円と高いが、首都圏のマンション平均価格より2,000万円以上安い。
ケイアイスター不動産の2021年3月期の販売棟数は4,457棟で、これまで3位だったポラスグループを抜き去った。
住宅は〝幸せを売る〟商売でもあるし、記者は最近この3社の分譲戸建てを見学していないので軽々には言えないが、価格の安さと質の担保や緑環境の保全とはどう結びつくのか、それとも背馳するのか、永遠のテーマかもしれない。
ポラスに期待したいのは、行政や同業他社とも連携して埼玉県の緑環境の改善・向上に取り組んでほしいことだ。同社の分譲戸建てが売れているのは、街並みを整備して差別化を図っているからでもあるが、同時に地域全体の価値向上にも貢献する使命を担っているはずだ。
同社か商圏とする越谷、草加、八潮、さいたま市、戸田市、川口市、蕨市、松戸市、城東はグロス志向の強いエリアだ。当然、競争も激しい。一方で、これらのエリアの緑環境は都内の世田谷や杉並などと比べて桁違いに貧しい。この前、蕨市の緑環境について書いたので、こちらも読んでいただきたい。
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最近の分譲戸建て業界の動きとして、オープンハウス、ケイアイスター不動産、三栄建築設計の3社が4月13日付で「「一般社団法人日本木造分譲住宅協会」を設立し、理事長に三栄建築設計の小池信三氏が就任したと発表した。
木造分譲住宅における国産木材の利用を促進することで、国内の森林が持つ多面的機能の維持回復に資する活動を行い、SDGsの課題解決にも貢献するというのが目的のようだ。
詳細は分からないが、結構なことだ。ただ、どうして3社のみか、他社に呼びかけを行って断られたか、それとも排除したのか。機会があったら聞いてみたい。
埼玉県初のZEHマンション 総合地所「ルネ上尾」 第1期45戸が即日完売
「ルネ上尾」
総合地所が分譲中の「ルネ上尾」を見学した。埼玉県初の、同社としては2件目のZEHマンションで、5月22日に竣工販売した結果、第1期45戸が即日完売した。同物件も含めこの3年間で3物件365戸が供給されたにもかかわらず人気になっているのは、物件に力があり、上尾駅から徒歩7分、四叉路の対面に上尾市役所があるなど立地条件にも恵まれているからだ。
物件は、JR高崎線・湘南新宿ライン上尾駅から徒歩7分、上尾市宮本町の近隣商業地域・準住居地域・第2種住居地域に位置する10階建て全80戸。専有面積は68.02~81.63㎡、坪単価は200万円。建物は2021年4月に竣工済み。販売代理は長谷工アーベスト。設計・施工は長谷工コーポレーション。
第1期45戸を5月22日に抽選分譲し、即日完売した。これまでの資料請求は約540件、来場者は約180件。来場者の属性は、年代は30歳代が40%、居住地は上尾市が約50%、桶川市が約8%、さいたま市北区が約7%。年収は400万円台が約15%、500万円台が約20%、600万円台が約12%、700万円台が約10%、1,000万円以上も約15%。家族構成は1人が約15%、2人が約45%、3人が約25%、4人が約15%。
現地は、駅からフラットな市役所通りに面しており、対面は上尾市役所。従前は商業ビル。
建物は南西向きで、住戸プランは70戸が3LDKで、10戸が4LDK。主な基本性能・設備仕様は、直床、二重サッシ(室内側は樹脂サッシ・Low-Eガラス)、食洗機、稼働収納「ウゴクロ」、高効率エアコンなど。
◇ ◆ ◇
現地、モデルルームを見るまでは坪単価は200万円がアッパーだと思っていた。上尾駅は、大宮駅から2駅だがマンション立地としてはマイナーだ。ZEHは素晴らしいのだが、その良さは説明だけではなかなか伝わらない。そして何よりもこの2年間でタカラレーベンとアンビシャスの2物件で285戸も供給されている。全て需要は吸収されてしまっていると読んだからだ。
ところが、現地とモデルルームを見学して坪単価200万円は〝割安〟だと上方修正した。
まず、現地。駅東口から幅員15m以上ありそうな市役所通りをまっすぐ歩くと、ほどなくとても印象的な「スカイブルー乳白色」のガラス手すりの外観が目に入ってくる。四交路の対面にある市役所のほかには高層建築物はないので、端正なこのマンションがひと際目立つ。足元の植栽も豊かで、瞬時にそのデザインにほれ込んだ。外観だけでも、いかにこの物件に力を注いでいるかが伝わってくる。
ZEHマンションのよさについては省くが、嬉しかったのは二重サッシの居室側には樹脂サッシ・Low-Eガラスが採用されていることだった。関係者ならアルミサッシと樹脂サッシの断熱性は全く異なることはご存じのはずだ。
◇ ◆ ◇
コロナを避けるため、いつものようにコンビニでおにぎり1個と糖質ゼロの缶ビールを買って、駅から1、2分の市役所通りから一歩入った100坪近くありそうな小公園で食べた。敷地内にはレンガ張りの三角屋根の立派なトイレのほか、ヒマラヤスギ、イチョウ、モミジなどの樹木や滑り台などもあった。
土地は宮本町内会が所有しているとあったので、課税状況を調べるために市役所に寄った。担当部署では「個人情報なので、固定資産税、都市計画税などの課税がどのようになっているか公表できない。土地の所有関係などは登記簿などで調べていただきたい」と予想された答えが返ってきた。
住宅地図には「宮本児童公園」となっているので、課税は間違いなく非課税だろう。
嬉しかったのは、上尾市と西武ライオンズは2018年に「フレンドリーシティ」契約を締結しており、写真のような垂れ幕や等身大の森選手の看板などが設置されていたことだ。西武ライオンズのホームページによると、埼玉県内では2018年時点で31市町村と同様の協定を締結している。
〝住むなら埼玉〟〝住めば埼玉〟〝埼玉に住もう〟
「宮本児童公園」
市役所内
4~5層ありそうな市役所の吹き抜け空間
吹き抜け空間に掲げられている西武の横断幕
地所レジから専有卸受け分譲 タカラレーベン「上尾」1年で全183戸完売の勢い(2019/7/30)
タカラレーベン 所在地が全て異なる「北戸田駅」3物件 立地よく販売好調
「レーベン北戸田 ATOMOS」
タカラレーベンが分譲中のJR埼京線「北戸田駅」圏3物件を見学した。駅から徒歩12分の「レーベン北戸田 ATOMOS」72戸、駅から徒歩9分の「レーベン北戸田 LUMINOUS」33戸、駅から徒歩7分の「レーベン北戸田 SOLID」36戸だが、何と3物件の所在地は「レーベン北戸田 ATOMOS」(以下、「さいたま」)がさいたま市、「レーベン北戸田 LUMINOUS」(以下、「戸田」)が戸田市、「レーベン北戸田 SOLID」(以下、「蕨」)が蕨市と全て異なっている。自社物件どうしで共食い共倒れになりはしないかと心配したが、そんなことにはならず、3月から分譲開始した3物件合わせて141戸のうちすでに67%に当たる94戸が成約済みだ。3物件とも立地条件のいいのが好調の要因の一つと見た。
「さいたま」は、JR埼京線北戸田駅から徒歩12分、さいたま市南区辻7丁目の準工業地域に位置する15階建て全72戸。専有面積は62.92~76.05㎡。竣工予定は2022年3月上旬。設計・監理・施工は埼玉建興。
「戸田」は、JR埼京線北戸田駅から徒歩9分、戸田市戸田都市計画事業新曽第一土地区画整理事業地内の第一種中高層住居専用地域に位置する8階建て全33戸。専有面積は66.71~74.99㎡、竣工予定は2021年9月下旬。設計・監理・施工は埼玉建興。
「蕨」は、JR埼京線北戸田駅から徒歩7分、蕨市蕨都市計画事業錦町土地区画整理事業地内の第一種住居地域に位置する5階建て全36戸。専有面積は57.13~76.55㎡。竣工予定は2021年9月中旬。売主は同社のほか三信住建。設計・監理はデベロップデザイン一級建築士事務所。施工は埼玉建興。
3物件ともデザイン監修はウイ・アンド・エフヴィジョン石倉雅俊氏、インテリアはデザイナー遠坂麻理子氏。
モデルルームオープンは1月からで、契約開始は3月。これまでに「さいたま」は50戸、「戸田」は25戸、「蕨」は19戸が成約済み。
基本性能・設備仕様は、3物件とも二重床・二重天井、食洗機、たからの水など。パナソニックの天井埋込形ナノイー発生機「エアイー」を標準装備しており、床、建具、壁などには抗菌・抗ウイルス効果があるものを採用している。
同社マンション事業本部営業推進事業部第2営業統括部・三澤譲氏は、「用地取得は別々ですが、同時に分譲することで、販売コストを削減し、利益も按分できるので、その分だけお客さんにも還元できます。『戸田』と『蕨』は地元中心ですが、『さいたま』はさいたま市に地縁のない方からも反応が多いのが特徴です。販売状況は偏りもなく極めて順調。営業体制は7名で、週末の4席3サイクルは全て満席です」などと語っている。
モデルルーム
モデルルーム
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販売が好調なのはよくわかる。3物件ともじっくり時間をかけて見学した。「北戸田」は工場街のイメージが強いが、そんなことはなかった。
「さいたま」は駅からややあるが、広い道路を挟んだ隣接地は小学校。子育て環境は申し分ない。駅までのアクセスも途中桜並木などがありいい。単価も抑制気味だ。
「戸田」は、通学区の芦原小学校まで徒歩4分。区画整理事業地内なので住環境も悪くない。
「蕨」は、敷地裏側は戸田市。前面道路は交通量がそれほど多くなく、公園も近接。3物件の中で単価が一番高いのも納得だ。
モデルルームもよくできている。昨年見学した物件でも書いたが、昔のようにとがったところがなく、洗練されている。他社物件との差別化が出来ているはずだ。
「レーベン北戸田 ATOMOS」
「レーベン北戸田 LUMINOUS」
「レーベン北戸田 SOLID」
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「快適」「安心」「健康」「美容」を実現するという浄活水装置「たからの水」は、十数年前の発売当初から記事にしてきた。しかし、いくらその良さをアピールしても、経験しないとわからないので、次のように書いた。
「同社の売りの一つである実用新案登録済みの浄活水システム『たからの水』『マイクロバブルトルネード02(浴槽)』をもっと具体的に見える形でアピールしてほしいということだ。いわゆる〝見える化〟を進めてほしい。
コーヒーでも豆腐でもいい。水道水と『たからの水』を使用したのとではどれぐらい味が変るのか試飲・試食してもらったらどうか。まさか『マイクロバブルトルネードO2(浴槽)』の入浴ショーをやるわけにはいかないだろうが、少なくとも営業マンは全員体験すべきだろう。百聞は一見に如かず。いくらパンフレットなどで説明しても、営業マン自らが体験していなければ、パンフレット以上に説明しようがないではないか。風呂嫌いの記者などは『湯船につかるだけで垢が取れやすい』マイクロバブルトルネードO2に是非入ってみたいものだ」と。
その後、「たからの水」はモデルルームで何度も見てきたが、入浴ショーは一度も行っていないはずだ。ところがこの日、販売担当の三澤氏に勧められるままに、「たからの水」のシャワーを右手の甲に受けた。
その結果の写真がこれだ。今に始まったことではないが、みみず腫れのようにでたらめに血管(パソコンは最初に「欠陥」と変換した)が浮き出ているのが分かるはずだが、汚い手を見せるのがもちろん目的ではない。血管が浮き出るのは加齢によるものと言われている。
左手と右手を見比べていただきたい。左手より右手のほうの色がやや薄くなっているのがお分かりか。ごしごし垢を落としたわけではないのに、何と肌の色は白くなったではないか。この年になって肌の色などどうでもいいが、これは女性におすすめだ。凄いというほかない。三澤氏は「しばらくすると肌がすべすべするはず」と言ったが、年を取りすぎたためか、そんなことはなかった。
販売事務所にはナノイーの体験コーナーもあったが、体験しなかった。タバコの匂いを消してくれるそうだ。加齢臭はどうなるのか聞かなかった。
「たからの水」を浴びた右手がややきれいになっているのがお分かりか
駅で見かけた雌の1歳の犬(人に触られるのが大好きとかで、すぐはしたなく路上に寝転んだ。記者も触ってみた。もち肌ではなくサメ肌だったので鳥肌が立った。「たからの水」を浴びたらいいかも)