基本性能・設備仕様レベル高い 販売好調に納得 大成有楽不「秋葉原」
「オーベルアーバンツ秋葉原」
大成有楽不動産が分譲中のマンション「オーベルアーバンツ秋葉原」を見学した。同社は先に第1期1次・2次35戸の契約を完了したと発表したので、その人気の秘密を探るのが主な目的だった。道路を挟んで敷地南側は総武線の高架だが、二重サッシを採用して対処している。設備仕様レベルは高い。
物件は、JR・東京メトロ秋葉原駅から徒歩6分、JR総武線浅草橋駅から徒歩5分、台東区浅草橋4丁目の商業地域に位置する14階建て85戸(販売対象住戸71戸)。専有面積は34.64〜73.04㎡、坪単価は600万円。竣工予定は2026年4月中旬。設計・監理は安宅設計。施工は東鉄工業。
現地は、秋葉原駅と浅草橋駅のほぼ中間。敷地西側の清洲橋通りなど三方接道。主な基本性能はZEH-M Oriented、低炭素建築物認定、内廊下方式、二重床・二重天井、リビング天井高2,450ミリ、複層ガラス・Low-eガラス、二重サッシ、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、ウルトラファインバブル、ミストサウナ、室内物干し金物、オレンジ・ラボ収納、トイレ・アラウーノなど。
同社マンション事業部部長付・竹田直人氏は「等価交換事業で、地権者の方に喜んでいただける商品企画とし、建築部門とも連携しながら工期などもチェックして進めている。お客さまにも評価されているのでほっとしている」と、同社マンション事業部事業室(第一部)・日下田希氏は「廊下を含めて水回りをタイル張りとし、キッチン天板をフィオレストーンを採用し、間取りも7~9mスパンのワイドスパンにしていることが評価されている」とそれぞれ語った。
天板がフィオレストーンのキッチン
◇ ◆ ◇
取材の主な目的は、このところ台東区でのマンション供給が増えているので市場動向を探ることだった。秋葉原-浅草橋を歩いて見て回ったのだが、同社の物件の隣接地はヘーベルハウス(賃貸)で、三井不動産レジデンシャル、積水ハウス、阪神阪急不動産の建築中の共同住宅があった。
まず、価格(単価)。4~5年前だったら、坪単価400万円がアッパーで、それからするとずいぶん高くなったと感じたが、他も高くなっているのでこんなものか。総武線高架をどう評価するかだが、立地条件は他社物件と比べて同社の物件が一番いいと思った(みんな商業立地だから似たり寄ったりともいえるが)。基本性能・設備仕様レベルも高い。竹田氏と日下田が話した通りだ。
これは、物件と全く関係ないのだが、竹田氏は同社野球部の監督を務めている。部はRBA野球大会にも出場しており、通算成績は26戦し、12勝14敗、勝率.462だ。投手力はいいのだが、野手の高齢化が進み、拙守・拙攻で勝ちきれないのが現状だ。勝てないのはやはり監督の責任だ。人事部と連携し、年に1人くらいは野球経験者を採用したらどうか。
現地
人と人、内と外・街をつなぐ 全戸出窓付き ポラス「育実の丘 上尾」好発進
「育実の丘 上尾」モデルハウス
ポラスグループのポラスマイホームプラザは2月3日、人と人、内と外・街をつなぐことをテーマにした分譲戸建て「育実の丘 上尾」のメディア向け見学会を行った。物件は、長期優良住宅、埼玉県子育て応援分譲住宅認定を取得している駅から徒歩18分の全22戸で、昨年12月から販売を開始し、これまでに14戸を契約済み。好スタートを切った。14戸のうち8戸は県内(市内は2戸)で、都内の4戸を含む6戸が県外居住者。
物件は、JR高崎線上尾駅から徒歩18分、埼玉県上尾市東町1丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率160%)に位置する全22戸。土地面積は109.80~130.03㎡、建物面積は90.78m2~106.02㎡、価格は3,780万~5,180万円(4,000万円半ばが中心)。竣工予定は2025年5月中旬。構造は木造2階建(在来工法)。施工はポラテック。
全体敷地の従前は畑。三方接道(それぞれ幅員4m)。開発道路は幅員4.5mとし、各住戸に地役権を設定して全居住者が利用できる遊歩道と広場を設け、隣近所が緩やかにつながるよう容積不算入の自動点灯照明付き出窓(奥行き350ミリ)を全住戸に設けているのが特徴。
主な基本性能・設備仕様は、長期優良住宅認定、1階リビング天井高は2700ミリ、食洗機、床暖房、床は突き板フローリング、階段ステップは15段、引き戸はトイレを含めてソフトクローズ機能付き、侵入の恐れのある窓は防犯ガラス、樹脂サッシなど。
昨年12月から販売開始。これまで最高価格の5,180万円の住戸を含む14戸が契約済み。契約者の属性は、市内2件を含み県内居住者が8件、都内4件を含み県外居住者が6件。世帯年収は500~800万円。20~30代の共働きファミリーが中心で、勤務先は都内が多いとか。
同社営業企画設計課2係係長・髙橋健太郎氏は「広域から集客ができており、価格の高低にかかわらずまんべんなく売れている。当社グループの『灯りのいえなみ協定』と連動させ、遊歩道や広場に面した各住戸に出窓を設けたのが特徴」などと話した。
イメージ図
モデルハウス
高橋氏
◇ ◆ ◇
今は昔。記者の記憶に誤りがなければ、1980年頃までの歌舞伎町の路地裏には、「飾り窓」がごく普通にあった。ぞっとしない美女と手を振りながら会話を交わしたものだ。出窓は1990年ころまで、つまりバブルがはじけるまでは分譲マンションや戸建てには当たり前のように採用されていた。住戸内への通風・採光が主目的ではあったが、出窓部分に思い思いの観葉植物や手作りの人形などを飾り、淡い色のカーテンで遮ることで内と外を緩やかにつなぎ、人と街とのコミュにケーションを醸成する効果も大きかった。その置物などからそこに住まう家族のありようをうかがい知ることができた。
ところが、バブルがはじけて以降は出窓を採用するデベロッパーはほとんどなくなった。住宅を人や街と緩やかにつなげるという発想はどこかへ吹っ飛んだ。価格を抑えるため敷地面積はそれまでの50坪から30坪に縮小し、いかに外と遮断するかがテーマになった。
今回、同社が採用した出窓は自動点灯し、室内を見せたくなければブラインドを下すこともできるのがいい。その効果のほどをしっかり調査して、報告してほしい。
◇ ◆ ◇
価格について。4,000万円台の半ばの価格が高いか安いか。これは購入検討者が考えることだが、基本性能・設備仕様レベルからいって、ものすごく安いと記者は思った。これまで上尾駅圏で分譲されたマンションの記事も添付するので読んでいただきたい。いまマンションが分譲されたら、坪単価は最低でも250万円はするはずだ。土地代がただでも30坪なら7,000万円以上だ。
とはいえ、5,000万円は一般的なファミリー層の取得限界のような気もする。
出窓
遊歩道
◇ ◆ ◇
埼玉県子育て応援分譲住宅認定制度は今年度末で終了することを聞いた。同県のホームページによると認定を受けたマンションは54件。分譲戸建ては全90件で、戸建てはポラスグループが70件を占めている。
この制度がスタートしたのは2010年。第一号マンションは有楽土地他「グランシンフォニア」(923戸)、分譲戸建てはポラス「育実の丘」だった。制度の批判などしたくないが、当初から成功するとは思わなかった。
県のマスコット「コパトン」も、最初のバッジは夫婦と子ども2匹(2人)だけだったのに違和を覚えた。いつの間にか3匹(3人)になったが、それほど高くない(失礼)認定基準を満たしたマンションや分譲戸建てに県のお墨付きを与えても、購入者にはメリットがないからだ(固定資産税や都市計画税の減免措置などを行えば別だが)。
今後どうするか。子育てはもちろん、レベルの高い住宅は高さ規制を緩和し、容積率を割り増しするのが一番効果的だと思う。
近くの畑(手前は菜の花だが、奥の葉っぱが三葉に分かれた野菜は初めて見た。三つ葉ではないはず)
埼玉県初のZEHマンション 総合地所「ルネ上尾」 第1期45戸が即日完売(2021/6/29)
ポラス子育て応援分譲第1号「育実の丘」入居イベント(2013/4/30)
埼玉県「子育て応援認定制度」中身ある制度に改善を(2012/9/11)
ポラス 「埼玉県子育て応援分譲住宅」認定1号 浦和で分譲(2012/9/7)
有楽土地他「グランシンフォニア」はたらくママを支援する 「ママサポ」がテーマ(2010/6/25)
令和6年の首都圏分譲戸建て着工戸数 過去11年間で最少の5.3万戸
国土交通省の住宅着工統計によると、令和6年(1~12月)の首都圏分譲戸建て着工戸数は前年比10.2%減の53,339戸となった。直近では、最多だった令和元年より15.8%減少し、過去11年間で最少となった。
都県別では、東京都16,744戸(前年比7.3%減)、神奈川県14,015戸(同7.3%減)、埼玉県13,250戸(同13.5%減)、千葉県9,330戸(同14.5%減)。
首都圏分譲戸建て市場は、新型コロナが発生した令和元年初では売れ行き悪化が懸念されたが、リモートワークなどが進んだことなどから売れ行きは逆に好転。各社が用地手当てに注力した結果、令和元年の着工戸数は63,360戸(前年比2.0%増)に伸びた。しかし、〝コロナ特需〟は長続きせず、令和4年以降は売れ行きは鈍化、調整局面に入っている。
全国の令和6年の着工戸数も前年比11.7%減の121,191戸となり、2年連続で減少している。
令和6年の住宅着工79万戸 2年連続減/供給÷着工=カバー率45%(2025/1/31)
GHG削減、ネイチャーポジティブ取り組み強化 大和ハウス&住友電設 勉強会
小山氏(左)と広瀬氏(住友電設川崎テクニカルセンターで)
大和ハウス工業は1月27日、「業界動向勉強会<環境(2024年度>)を住友電設川崎テクニカルセンターで開催。座学として、同社サステナビリティ統括部長・小山勝弘氏が気候変動・生物多様性関連の動向と同社グループの取り組みを、住友電設人材開発部長・広瀬勝実氏が施設のESGの取り組みをそれぞれ紹介。その後、同施設内の太陽光発電システム・蓄電池・スマートマネジメントシステムなどの環境配慮設備・安全危険体感室見学会を行った。
小山氏は、カーボンニュートラル戦略として①攻めの施策-原則すべての屋根に太陽光パネルを設置②トップ企業の社会的責任-2030年度原則ZEH・ZEB率100%③隗より始めよ-自社施設の原則ZEB化・太陽光などで2025年度RE100達成-の3つの柱を推進しており、2030年(環境インパクト)としてバリューチェーン全体で40%以上GHG(Greenhouse Gas)削減を目指すと語った。
GHG削減目標を達成するためには、サプライチェーン(資材製造)の脱炭素化が欠かせないとし、サプライヤーと様々な取り組みを行っていることを紹介。ゼロ・カーボンビル推進の一例として木造・木質化の推進を挙げた。
生物多様性|ネイチャーポジティブへの挑戦では、2055年の創業100年には「生物多様性のノー・ネット・ロス」を目指すとし、サプライチェーン全体で「森林破壊ゼロ」「生物多様性損失ゼロ」を掲げており、23年度の全事業での緑化実績は20.7万㎡、累積で46.4万㎡(東京ドーム約9個分)に達したと語った。
◇ ◆ ◇
住友電設の川崎テクニカルセンターは、敷地面積約2,938㎡、建設面積約1,593㎡、延床面積約5,207㎡のS造4階建て。施工は大和ハウス。建築物省エネルギー性能表示制度BELSで1~2階の事務所エリアは「NearlyZEB」、3~4階の管理人住宅は「ZEH」認定を受けている。
具体的な取り組みとして、広瀬氏は①PV(NearlyZEB) ②V2Xシステム(EV-太陽光発電-蓄電池エネマネ系列)③V2H(管理人住宅)Xシステムを紹介。住友理工の遮熱フィルム「Refleshine(リフレシャイン)を執務室の窓ガラス90㎡に施工している(検証の結果、未施工の部屋より5℃の差があることが分かった)。
また、住宅エリアには、管理者が住み込みで勤務することを想定した専用面積50㎡台のオール電化のZEH住居が併設されている。管理形態が3交代制になったため現在は空き家になっており、住居は社員向けに家賃無料で賃貸するそうだ。
社員の皆さん、これはお勧め。単身はもちろん夫婦で住める。家賃相場からしたら月額10万円、年間約130万円が浮く計算になる。電気代、水道代も会社負担なら年間200万円の居住費が削減できるではないか。2~3年住めば、分譲マンションの頭金がたまる。空き家対策は喫緊の課題だ。
感電体験コーナー(記者も0.1アンペアを体験した。ビリッときた。致死量はケタ違いだそうだ)
〝空き家〟になっている住戸(LDK)
◇ ◆ ◇
住友電設の施設は、建築概要からして容積率は178%だ。施設が位置するエリア一帯は法定容積率200%の準工地域なので、どうして容積を余しているのか質問したら、建物の絶対高さ規制が20mに定められているためだった。施設の1~2階の階高は10mくらいあった。
もうこれ以上は書かないが、環境性能や緑被率が高い建築物は容積率の緩和を行うべきというのが記者の持論だ。言葉は悪いが〝アメとムチ〟を使い分けることで:建築物の質は高まる。
緑被面積について。2023年度の緑化面積は凄い数値だと思うが、これは事業活動で失われた緑と相殺した数値であることを祈りたい。参考までに同社グループの「サステナビリティレポート2024」によると「当社グループが操業する事業活動地域(拠点) 数は1,588件あり、そのなかから1次スクリーニングで生物多様性の影響評価を行うべきサイトを69件4,239ha に絞りました。2023年度、生物多様性にとって重要と判定されたサイトは35件2,994haとなり、そのうち生物多様性に配慮した管理計画を策定済みのサイトは4 件135haとなっています」とある。
わが国の市街化区域全体における緑被率は23.2%といわれている。増えてはいないはずだ。国土交通省の建築着工統計には建築物の床面積は公表されているが(令和6年は10,274万㎡)、建築物と土地は不可分だ。統計に緑被面積を加えるべきだとずっと思っているのだが…。さらにまた、企業のESGの情報開示義務化を強化すべきだ。
施設の敷地(面積に比べて緑化率は低いと思った。車はEV車)
大東建託 不動産開発事業強化へ デベロッパーのアスコット子会社化
大東建託は1月31日、スタンダード市場上場のアスコットを公開買付けにより取得し、子会社化することを決議したと発表した。アスコットの親会社・森燁有限公司(所有割合44.96%)と、第2位株主のSBI ホールディングス(同32.17%)と同日付けで本公開買い付けに応募する旨の契約も締結した。買い付け額は351億円(普通株式1株260円)。
アスコットは1999年4月設立。首都圏を中心に分譲マンションや賃貸マンション事業を展開してきたが、一方で、2024年9月30日時点で、スタンダード市場の上場維持基準である流通株式比率25%以上を充足していないなどの経営課題を抱えていた。
大東建託は、中期経営計画で2030年までに不動産開発事業をグループの柱の一つとすることを目指している。
◇ ◆ ◇
少し驚いたが、まあ納得できる。大東建託が不動産開発事業に力を入れることを読めなかったのが悔しい。同社は昨年10月、経団連会館で記者懇親会を開いた。竹内啓社長は体調不良とかで、代わりの方があいさつし、「不動産事業を拡大する」と話した。
記者は同社が分譲事業部門を立ち上げると解釈し、その方に質問したのだが、言下に否定された。あれからわずか3か月だ。当たらずとも遠からず。M&Aのほうがはるかにコスト・エネルギーは抑えられる。
そのアスコット。中央区日本橋・人形町で商品企画に優れたマンションを供給していたというイメージしかない。資金力・情報力に勝る大手デベロッパーとは戦えず、最近は地方に転出しているのではないか。
大東建託が何を考えているかよくわからないが、中途半端なことはしないほうがいいと思う。同社の建設・賃貸事業で培ったノウハウ・資源を生かせば、既存の不動産開発市場に風穴あけることができるのではないか。分譲戸建て、不動産売買・仲介に留まらず、〝地方創生〟〝令和の日本列島改造〟の風の流れをつかむことができるかどうかではないか。
新型コロナ不動産業界再編促すかアスコットTHEグローバル社を連結子会社化(2020/11/14)
令和6年の住宅着工79万戸 2年連続減/供給÷着工=カバー率45%
カバー率=供給戸数÷着工戸数(%)
国土交通省は1月31日、令和6年12月と令和6年計の新設住宅着工戸数をまとめ発表。12月の総戸数は62,957戸(前年同月比2.5%減)で8か月連続の減少で、利用関係別では持家は17,821戸(同4.6%増)で3か月連続の増加、貸家は26,424戸(同2.1%増)で3か月ぶりの増加、分譲住宅は18,182戸(同14.7%減)で8か月連続の減少。分譲住宅の内訳は、マンションは7,550戸(同22.3%減)で先月の増加から再びの減少、一戸建住宅は10,513戸(同8.3%減)で26か月連続の減少。
首都圏マンションは3,087戸(同45.7%減)で、都県別は東京都1,997戸(同0.6%増)、神奈川県651戸(同65.9%減)、埼玉県310戸8同45.8%減)、千葉県129戸(同89.4%減)。
令和6年計では、総戸数は792,098戸(前年比3.4%減)となり、2年連続の減少。利用関係別では、持家は218,132戸(同2.8%減)で3年連続の減少、貸家は342,044戸(同0.5%減)で2年連続の減少、分譲住宅は225,309戸(同8.5%減)で2年連続の減少。分譲住宅の内訳はマンションは102,427戸(同5.1%減)で2年連続の減少、一戸建住宅は121,191戸(同11.7%減)で2年連続の減少。
首都圏の総戸数は前年比2.9%減で、内訳は持家(同2.9%減)、貸家(同0.0%増)、分譲住宅(同6.6%減)。分譲住宅の内訳はマンション(同3.3%減)、一戸建住宅(同10.2%減)。建築工法別では、プレハブは93,077戸で3年連続の減少(前年比10.0%減)、ツーバイフォーは95,095戸で3年ぶりの増加(前年比4.7%増)となった。
首都圏マンションは50,990戸(前年比3.3%減)で、都県別では東京都26,612戸(同3.0%増)、神奈川県14,064戸(同8.3%減)埼玉県5,525戸(同5.1%減)、千葉県4,789戸(同16.6%減)となった。
◇ ◆ ◇
グラフは、不動産経済研究所の2024年首都圏マンション供給戸数を住宅着工戸数で割ったもので、カバー率とした。首都圏全体の供給戸数は23,003戸、着工戸数は50,990戸なので、カバー率は45.1%と50%を割っている。都県別のカバー率は東京都38.8%、神奈川県35.0%、埼玉県60.0%、千葉県93.1%となっている。これほど差が大きいのに、その理由に触れずマンション市場について論じることが適切なのか、考えていただきたい。
秩父宮ラグビー場のイチョウ 移植検討に向けた調査実施 三井不動産
秩父宮ラグビー場のイチョウ(昨年1月撮影)
三井不動産は1月27日、秩父宮ラグビー場の東側に所在する港区道のいちょうについて移植検討のための調査を2月から行うと発表した。
今回調査するのは全19本のうちの2本。樹木医の立会いのもと、舗装・砕石を撤去し、歩道や車道に伸びている根や土壌の状況、一部舗装下の根系の密度や伸長状況を調査し、根回しを実施した場合の効果を測定するため、歩道側の太根の一部を環状剥皮し、樹木周囲の一部について根回しを実施する。
その調査結果を踏まえ、樹勢助長措置、維持管理・継続調査、発根調査、外観診断、デンドロメーターによる幹周変化の比較などを実施する。
調査結果の概要については、東京都環境影響評価審議会に報告を行うとともに、公式ウェブサイトなどを通じて公表するとしている。
◇ ◆ ◇
「樹齢100年超の巨木を移植した事例はあるでしょうか。あったなら、その移植に関する費用はどれくらいでしょうか。ないのであれば、その理由をお聞かせください」とchatGPTに質問した。
ほとんど瞬時に回答があった。次の通りだ。
「樹齢100年を超える巨木の移植事例は存在します。例えば、東京の日比谷公園にある『首かけイチョウ』は、樹齢約400年の巨木で、1901年に道路拡張工事のため、約500メートル離れた現在の場所に移植されました。
巨木の移植には多大な労力と費用が伴います。具体的な費用は、樹木の大きさ、移植距離、作業環境などによって大きく異なります。一般的な庭木の移植費用は、人件費を基に算出されますが、巨木の場合、特殊な機材や専門的な技術が必要となるため、費用はさらに高額になります。
巨木の移植が困難な主な理由は以下の通りです。
技術的な難しさ:巨木は根系が広範囲に広がっており、根を傷つけずに掘り起こすことは非常に難しいです。また、移植後の活着(根付くこと)を確実にするためには、専門的な知識と技術が求められます。
高額な費用:前述の通り、巨木の移植には多大な費用がかかります。特に、特殊な機材の使用や専門家の人件費などが費用を押し上げる要因となります。
環境への影響:巨木の移植は、その周辺の生態系や景観に影響を及ぼす可能性があります。また、移植先の環境が適切でない場合、樹木が適応できず枯れてしまうリスクもあります。
これらの理由から、樹齢100年を超える巨木の移植は慎重に検討されるべきであり、実施には専門家の綿密な計画と評価が必要です」
皆さんいかがか。「首かけイチョウ」は記者も知っている。しかし、ChatGPTは自らの知識の少なさを隠すためか、「例えば」としてしか「首かけイチョウ」を紹介できなかった。(記者の質問がいけなかった。「過去10年に事例はあるか、あったら何件か」と聞けばよかった)
費用については回答がなかった。Chatも取材不足を露呈したということだ-Chatが記者の記事を読んでいるのは確認した。Chatで公開されても恥ずかしくない、間違いでない記事を書こうと思う。Chatとは絶対喧嘩しないことだ。
「首かけイチョウ」
木造建築の復興・拡大目指す「フォレストビルダーズ」 初期会員26社が総会
「フォレストビルダーズ」総会(ホテル インターコンチ東京ベイで)
宮沢氏
AQ Groupが主導して昨年10月に発足した建築集団「フォレストビルダーズ」は1月23日、都内で総会を開催し、初期会員26社が「木造建築都市(まち)の復興」と「脱炭素社会の実現」をミッションに掲げ、早期に加盟企業を100社体制にすることを確認した。
AQ Groupが開発した一般流通材を組み合わせて高倍率耐力壁や高倍率水平構面を実現させた3階建て以下の低層木造建築に適用する「AQダイナミック構法」と、4階建て以上の中層木造建築を対象とした技術「木のみ構法」を武器に「フォレストビルダーズ」の拡大を図り、2030年には受注戸数20,000戸を実現させ、日本一の木造建築集団を目指していくとしている。
全389戸の90%に可動収納「UGOCLO(ウゴクロ)」総合地所他「柏ディアパーク」
「ルネ柏ディアパーク」
総合地所は1月30日、ZEH-M Oriented、「BELS(ベルス)」5ランク、ABINC認証などを取得している京成電鉄、FJネクストとの共同事業マンション「ルネ柏ディアパーク」の販売を開始したと発表した。
物件は、JR柏駅から徒歩15分、柏市豊四季台1丁目に位置する14階建て全389戸。専有面積は61.98~84.94㎡、価格は4,188万~7,598万円(先着順)。竣工予定は2026年8月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。
全50タイプ347戸の90%に長谷工コーポレーションが開発した可動収納ユニット「UGOCLO Plus(ウゴクロ プラス)」(2列可動)、「UGOCLO S(ウゴクロエス)」(1列可動)、また新築分譲マンションとして初めて「UGOCLO Half(ウゴクロ ハーフ)」(1列可動・通り抜け可)を採用。共用施設はパーティールーム・マルチラウンジ・ゲストルーム・サウナルーム、スタディラウンジ、ランドリールームなど。管理は外部管理者方式「smooth-e(スムージー)」を採用している。
物を持たない生活提案 三菱地所レジ「Roomot」第5弾「Sotomo」
イメージ図
三菱地所レジデンスは1月30日、多様化するライフスタイルに応じた間取りの改善や自分らしい暮らし方を賃貸マンションシリーズ「ザ・パークハビオ」で提案する「Roomot(ルーモット)」の第5弾「Roomot Sotomo(ルーモット ソトモ)」を「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」に導入すると発表した。
「Roomot Sotomo」は、専有空間だけでなく、「外も」もっと活用すれば自由で豊かな暮らし方ができるとし、PacPortが開発したIoT宅配ボックス「Pabbit Locker」サービスを活用し、シェアリングサービスなどと組み合わせ、物を持たない住まい方を提案するもの。
「Pabbit」は、専用アプリ「Pabbit APP」を用い、荷物の伝票番号を認証キーとしてマンションの集合玄関および着床制限付エレベーターのセキュリティを解錠することで、居住者が不在でも「Pabbit Locker」まで配達を可能にする。入居者は「Pabbit APP」を通じて宅配ボックスへの配達状況やシェアリングサービス、サブスクリプリションサービスなど外部サービスにアクセスできる。非対面配送だけでなく、日対面集荷(当面はクリーニング)も可能にする。
「Roomot(ルーモット)」は、2021年の第一弾「MIXINK」をはじめ第2弾「Luxwer」、第3弾「desko」、第4弾「BathMor」を2023年までに発表。今回の「日本橋三越前」には初めて「BathMor」を採用する。
発表会で同社建築マネジメント部長・森島大登氏は「今回の提案は『ルーモット』シリーズ初のソフト面での取り組み。社会情勢やトレンド、ライフスタイルが劇的に変化する中、限られた生活領域をどうしたら確保できるか試行錯誤を行ってきた。専有部分に留まらず外のサービスを上手に活用すれば、自由な暮らしが実現できる」と語った。
「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」は、東京メトロ三越前駅から徒歩7分、中央区日本橋堀留町1丁目に位置する敷地面積約385㎡、10階建て全54戸。専用面積は27.86~61.32㎡。竣工予定は2025年3月10日。
森島氏
「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」エントランス
◇ ◆ ◇
以下は、記者の持論であって今回の同社の発表会とは関係がないことをお断りしておく。
マンション購入者・居住者の不満が収納の少なさにあることから、発表会では収納率について語られた。従来から理想は専有面積の10%以上と言われており、デベロッパーは10%以上確保するよう取り組んできた。10年くらい前までは3LDKの広さは21~22坪(69~73㎡)が標準だった。
現在はどうか。首都圏で分譲される平均専有面積は約20坪(66㎡)まで縮小している。なぜか、理由は簡単だ。用地費・建築費などがどんどん上昇する一方で、購入検討者の収入は上昇してこなかった。デベロッパー各社は専有面積圧縮を図り、天井高を下げたり設備仕様レベルを下げたりして、利益を確保しながら価格抑制を行ってきた(収納効率を上げるため涙ぐましい努力はしているが)。
さて、そこで記者の提案だ。このまま用地・建築費高騰が続けば、デベロッパーは専有面積を広げ、収納率を挙げるようなことはまずしない。となると、購入者・居住者が対策を練るほかない。一番簡単で有効なのは、サブスクを活用しながら〝余分なものは持たない〟〝必要ないものは捨てる〟ことだ。
記者は自分の持ち物を捨てられたことは数えきれないほどあるが、妻の持ち物を〝捨てろ〟などとは一言も言ったことはない(自分が捨てられるのが怖いからでもあるが)。世の男性諸氏もそうだろうと思う。夫婦が共同で利用するものを除き、夫と妻の二人の所有物(収納量)を100としたら、持ち分比率は夫30%:妻70%くらいではないかと考えている(乖離はもっと大きいか)。
女性の皆さん、余分なものは捨ててはいかがか。今回の「三越前」を分譲マンションとして考えれば、坪単価は1,000万円だ。収納スペースを1坪とし、利回り5%として計算すると年間収納コストは50万円(月4.2万円)だ。郊外はどうか。坪250万円以下はほとんどないので、20坪で収納率10%とすれば収納コストは25万円(月2.1万円)。決して安くない。着なくなった衣服、履かない靴などを保管するためにいかに無駄遣いをしているかを考えてほしい。
以上。皆さんは馬鹿馬鹿しいと考えるかもしれないが、記者は大まじめだ。今回の提案は、記者の考えと一致する。
そして何よりいいのは、「Roomot」の第4弾「バスタブユニット」を「三越前」に初採用することだ。これは以前にも書いた。記者もそうだが、湯船につかる人は少なくなっているはずだ。シャワーで十分。浴槽を取っ払えば電気、ガス、上下水道代の節約になるし、苦痛なバス掃除からも解放される。
今は持ち運べるバスがあるではないか。マンションの共用部分に採用するのもいい。そうすれば価格は下げられるし、専有部の収納スペースを広げられる。仮にそのスペースを0.5坪とすれば50戸で25坪だ。その効果は計り知れない。
洗い場とバスタブを兼ねた「Roomot BathMor」「日本橋三越前」に導入地所レジ(2023/12/17)