立地、仕様、離れ、デザインなど抜群 単価は坪500万円弱 小田急不「調布」
「リーフィアレジデンス調布小島町」
小田急不動産が分譲中のマンション「リーフィアレジデンス調布小島町」を見学した。駅から徒歩5分と近いにも関わらず、商業エリアから一歩入った住居系エリアで、ZEH-M Oriented認定、専有面積平均75㎡超、内廊下方式、「ONEX」(離れ)付きなど商品企画が秀逸。デザインも美しい。坪単価予想(というよりは願望)は外したが、とてもいいマンションだ。
物件は、京王線調布駅から徒歩5分、調布市小島町二丁目の第一種住居地域(建ぺい率70%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,951㎡、地上7階建て全50戸。専有面積は26.10~128.80㎡(6~7階住戸5戸は別に5.40~6.06㎡のONEX付き)、現在先着順で分譲中の住戸(6戸)の価格は8,278万円~14,008万円(専有面積66.69~81.51㎡)。坪単価は500万円弱。建物は2024年6月竣工済。設計デザイン監修は西山建築デザイン事務所(西山広朗氏)、実施設計・施工は風越建設。
現地は、駅から遊歩道・大規模商業施設を抜けた住居系エリア(車道はあるが信号機はなし)。従前敷地は社宅。敷地西側は道路を隔てて第一種低層住居専用地域。建物は三方道路に接道。ZEH-M Oriented認定、内廊下方式を採用。住戸は東向きと西向きがほぼ半々。その他の主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ(一部除く)、御影石キッチン天板・洗面カウンター天板、食洗機、サッシ高2300ミリ、Low-E複合ガラス、6~7階の5住戸は食器棚標準仕様・5.40~6.06㎡のONEX(離れ)付き、物干しポール、全戸玄関宅配BOX・トランクルーム付きなど。
3月上旬からエントリーを受け付けており、これまでの反響数は約2,100件、7月下旬からのモデルルーム来場者は約280件。10月19日に供給した1期30戸のうち26戸が申し込み済み。申込者の約半数は地元居住者。ほかは世田谷区など中広域にわたっているが、隣接市の府中市は少ないという。
同社住宅事業本部住宅販売部マンション販売グループリーダー・清水徹氏は「用地を取得した段階から〝この価格で売れるのか〟という社内の声もあったが、ピン立地でここしかない条件を生かすよう6~7階をプレミアム住戸として仕様レベルを上げ100㎡超の専有部に『離れ』付きとし、物件全体で75㎡超の専有面積を確保し、1階の1住戸は専用利用権付き平置き駐車場とするなどプランニングには力を入れました。このような点がお客さまにご評価いただいています」と語った。
エントランス
モデルルーム
ドアノブも本物の木
写真左のゲートがあるのが専用カーポート付きの住戸、写真右は屋内から専用駐車場を写す
◇ ◆ ◇
調布市(布田駅)は、50年近く前に結婚して住んだ街だ。今はマンションなどがたくさん建っているが、当時は、畑などがかなり残っていた。住むならここだと思っていたが、バブルが発生し、駅近マンションは坪500万円を突破して、あきらめざるを得なかった。
今回のマンションは、2012年に京王線柴崎駅〜西調布駅、相模原線調布駅〜京王多摩川駅が地下化され、遊歩道などが整備されたことにより、住宅地として注目されるようになった、住宅地としては調布の一等地だと思う。
物件特性は上段で紹介したので省くが、御影石、タイルを多用し水平・垂直ライン、分節を強調したデザインがとにかく美しい。監修した西山広朗氏の名前はどこかで聞いたような気がしたので、「RBAこだわり記事」で検索した。3件がヒットした。一つは同社の「「リーフィアレジデンス上原」で、あとの2つはいずれもモリモトの「浜田山」と「目黒」のマンションだった。近くには大規模商業施設だけでなく市役所、図書館、病院、文化会館などの公共施設も揃っている。
現地を今春に見た段階で、坪単価は400万円台の後半どころか、500万円超ではないかと予想した(というより、500万円を突破している城北の北千住、大山などには絶対負けてほしくないという願望)。若干外したが、それでも予想は間違っていないと思う。
京王線はバブルがはじけてからこの40年近く、他の沿線と比較して割負けしているとずっと書いてきた。街のポテンシャルは負けていないはずなのに、小田急線より2~3割、あるいはそれ以上安い。
例えば、坪単価は730万円くらいで瞬く間に売れた三井不動産レジデンシャル「パークホームズ代々木西原」(69戸)。物件名にそうなっているように、小田急線(千代田線)代々木上原駅から徒歩9分の渋谷区西原に位置しているのだが(「代々木西原」の地名はない)、最寄り駅は京王新線幡ヶ谷駅で徒歩5分だ。しかも、代々木上原駅からだと坂がきついが、幡ヶ谷駅からだとフラットで緑道も利用できる。物件名を「代々木西原」でなく「幡ヶ谷」にしたら、この単価をつけられるかどうかは記者も自信がないが…。
「調布」とほぼ同じ、小田急線新宿駅から15分圏内の大和ハウス工業「プレミスト世田谷梅丘」(29戸)は、各駅停車の梅ヶ丘駅から徒歩9分だが、坪単価は630万円だ。こちらもわざわざ「世田谷」をつけている。
もう一つ。わが国初の全棟「ZEH-M」と全住戸「ZEH」マンション大京「ザ・ライオンズ世田谷八幡山」。各駅停車の京王線八幡山駅から徒歩3分の第一種低層住居専用地域立地で、坪単価は540万円台。やはり物件名に「世田谷」がついている。
駅名の看板が外されたり、余計なものがつけられたりする。「調布」も「八幡山」も梅ヶ丘駅とほとんど同じ距離圏なのに坪単価は100万円以上安い。どうしてこのような屈辱的な扱いを受けるのか、京王電鉄も自治体も考えないといけない。
だが、しかし、京王線は笹塚駅~仙川駅間約7.2kmの区間を高架化し、25か所の踏切を除却し、代田橋・明大前・下高井戸・桜上水・上北沢・芦花公園・千歳烏山は高架駅となる工事を進めている。いつ全体が完成するかわからないが、利便性は飛躍的に高まるはずだ。
隣接の遊歩道から写す
現地
エントランス
外観(水平、垂直、分節デザインが美しい)
わが国初の全棟「ZEH-M」全戸「ZEH」駅徒歩3分の1低層大京「八幡山」(2024/10/4)
代々木上原の1低層デザイン性高く借景見事小田急不・大和ハ・地所レジ「上原」(2022/3/11)
大激戦の「調布」割安単価で他社を圧倒三井不レジ名士の屋敷跡地は坪340万円(2011/5/11)
曰く言い難し三条実美の邸宅跡地価格はいくらかモリモト「ディアナコート目黒」(2018/3/2)
これを見よ比肩するマンションなしモリモト「浜田山」82016/3/2)
小田急バス×ブルースタジオ なりわい賃貸第二弾「meedo(みいど)」開業へ
なりわい賃貸住宅「meedo(みいど)」
小田急バスとブルースタジオは10月26日、全13戸と店舗営業も可能なシェア店舗を備えた、なりわい賃貸住宅「meedo(みいど)」の上棟イベントに合わせて現地見学会・説明会を開催した。小田急バスが保有するバスターミナルに、ブルースタジオが企画・設計監理を行うプロジェクトで、2022年のグッドデザイン賞ベスト100を受賞した「hocco(ホッコ)」に続く第2弾。来春に開業する予定。
建設するのは、延床面積47.20~64.59㎡の店舗可の「あきない住居タイプ」3戸、50.20~53.80㎡の店舗可の「なりわい居住タイプ」4戸、延床面積50.20~59.20㎡の店舗不可の「なりわい住居タイプ」3戸、延床面積67.90~72.04㎡の「住居専用タイプ」3戸の合計13戸と、居住者だけでなく地域の飲食店営業も可能な23.45㎡のシェア店舗。すべての住居はUa値0.46の国際基準レベルの高性能で、4.3~25.25㎡の多目的に利用できる土間がついている。
地域レジリエンス機能として、施設のシンボルとなる井戸(深井戸)、ハイブリッド照明、かまどベンチ、マンホールトイレ、充電設備、防災ベンダーを整備する。
「meedo(みいど)」は、施設のコンセプトである〝水と人々の営み〟のシンボルである井戸を掘り、計画地の周辺は「絵堂(えどう)」集落であったことから歴史を継承するために名付けられた。
説明会でブルースタジオ専務取締役/クリエイティブディレクター・大島義彦氏は、「三鷹駅からバスで30分近くかかるバスターミナルの住宅地。遠いところだからこそ、生活の延長として自分を表現できるよう企画した。3年前に完成した『hocco(ホッコ)』では毎月のようにイベントを行い賑わっているように実績もある。究極の専門店になる」と語った。
物件は、JR中央線三鷹駅南口から「晃華学園東」行き小田急バス28分「晃華学園東」バス停隣接、または京王線つつじヶ丘駅北口から「深大寺」行き京王バス7分「晃華学園」バス停徒歩数分、調布市深大寺東町2丁目の第一種低層住居専用地域、第一・二種中高層住居専用地域に位置する敷地面積約1,774㎡、建物は木造2階建て延床面積約299㎡のA棟(住居5戸・店舗1軒)、延床面積約498㎡のB棟(住居8戸)。工期は令和6年5月~令和7年3月。事業主・貸主は小田急バス、建築設計監理はブルースタジオ、施工はジェクト。
左から小田急バス取締役不動産ソリューション部長・下村友明氏、同社取締役社長・早川弘之氏、大島氏
模型
なりわい賃貸住宅「meedo(みいど)」
◇ ◆ ◇
大島氏は、〝ターミナル〟〝終点〟〝終着点〟を何度も口にした。この言葉から受ける印象は、♭落ち葉の舞い散る停車場は悲しい女の吹き溜まり だから今日もひとり 明日もひとり…過去から逃げてくる♭奥村チヨさんの歌謡曲だろうし、記者は、同世代の破天荒な生き方をした大好きな作家の一人、白川道の「終着駅」を思い出しながら複雑な気持ちで話を聞いていた。
しかし、終点は始発点でもある。身振り手振りの大島氏の熱弁に、この「meedo(みいど)」は人生をリセットし、新たなスタートを切るターニングポイントになるのではないかと考えるに至った。「究極の専門店」とは言いえて妙だ。肩肘を張らず、自分らしい生き方ができる。13の物語を奏でるのではないか。
Ua値0.46の賃貸住宅など市内は言うまでもなく小田急線、京王線のバス路線を駆け巡ってもここしかないはずだ。井戸は、50m掘削してくみ上げるもので、大腸菌などは検出されなかったという。飲料水として利用するにはハードルは高そうだが、国分寺崖線の湧き水だろうから冷暖房としての役割を果たすのではないか。
大島氏
隣接地の生産緑地では柿がたわわに実っていた
2024年グッドデザイン賞 不動産各社が受賞 ブルースタジオ・はちくりはうす金賞(2024/10/16)
地域の歴史・文化を継承し、コミュニティ育む ブルースタジオ 練馬区「種音(たね)」(2024/5/12)
裏山の借景活かし 断熱等級6クリア ブルースタジオ 賃貸住宅「SUNKA(サンカ)」(2023/12/26)
爛漫の春満喫 「hocco(ホッコ)」イベントに1000名超 小田急バス×ブルースタジオ(20224/2)
呉越同舟 三井不レジ・野村不・三菱地所レジ 674戸の定借「市川」分譲開始
「リーフシティ市川 ザ・タワー」
三井不動産レジデンシャル、野村不動産、三菱地所レジデンスは10月25日、京葉ガスが進める複合開発「リーフシティ市川」内で建設中の期間70年の定期借地権付き免震マンション「リーフシティ市川 ザ・タワー」674戸の第一期販売を11月2日に開始すると発表した。これまで約2,500組超の反響と500組超のモデルルーム来場者がある。
「リーフシティ市川」は、約3.7haの京葉ガス市川工場跡地計画のエリア愛称で、分譲マンションのほか共同住宅(賃貸)、シニア住宅、保育施設、地域貢献施設、レストルーム、中央広場、運動場などが計画されている。店舗(コンビニ)は2023年12月に開業済み。
マンションには、京葉ガス供給エリアでは初採用となる「カーボンオフセット都市ガス」のほか、「ZEH-M Oriented」の取得、「再生可能エネルギー一括受電」などを採用する。
物件は、総武本線市川駅から徒歩7分、市川市市川南2丁目の工業地域に位置する敷地面積約12,200㎡、29階建て全674戸。第1期専有面積は42.70~129.90㎡、予定価格は3,800万円台~19,600万円台(最多価格帯7,700万円台)。竣工予定は2026年12月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。
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記者は、千葉県内の好きな住宅地としては、計画的に整備された京葉線沿線以外では総武線の市川と習志野を真っ先にあげる。緑が多いからだ。現地はおおよその見当はつくが、見ていないのでなんとも評価できない。工業地域というのが気がかりではあるが、規模が約3.7haというから住環境は整備されるのだろう。
肝心の坪単価はわからないが、最多価格帯の専有面積を70~73㎡だと仮定すると、350万円前後になるはずだ。船橋駅南口の「西武船橋店」跡地の再開発マンションは坪単価500万円とも聞いているので、市川駅から徒歩7分の定借で坪350万前後というのは納得だ。
さて、これが売れるかどうか。千葉県居住者は都内に近い市川で7,700万円台(70~73㎡として)は魅力だろうが、都内居住者は江戸川を超えるのは抵抗感を感じるかもしれない。総武線沿線ではいま「駅近」の再開発マンションが猛烈な勢いで供給されているからだ。ここ数年間の総武線(都内)で分譲された再開発物件と、今後分譲される予定の主な物件を紹介する。
・野村不動産他「プラウドタワー小岩ファースト」(233戸)2022年竣工
・住友不動産「シティテラス新小岩」(268戸)2022年竣工
・野村不動産「プラウドタワー亀戸クロス」(934戸)2022年竣工
・野村不・阪急阪神不「プラウドタワー平井」(374戸)2024年11月竣工予定
・野村不動産他「プラウドタワー小岩フロント」(367戸)2025年11月竣工予定
・三井不レジ他「パークシティ小岩ザ・タワー」(731戸)2027年1月竣工予定
・日鉄興和不他「南小岩七丁目駅前地区」(約1,000戸)2029年度竣工予定
・三井不レジ他「「新小岩駅南口地区」(543戸)2032年竣工予定
以上、8物件でトータルすると4,450戸(販売対象外住戸含む)だ。このほかの物件も供給されているので、その数は数千戸に上るとみられる。
価格上昇も著しく、「プラウドタワー平井」までは坪400万円以下だったのが、「パークシティ小岩ザ・タワー」も「プラウドタワー小岩フロント」も坪400万円をはるかに突破している。20坪で8,000万円台の半ばか後半だ。(駅から距離のある物件は坪300万円以下もあるようだが)
ただ、この単価でも、他の沿線、例えば北千住、赤羽、大山などの城北エリアは坪500万円を突破しているので、これらと比較すれば割安感がある。
面白いのはこの3社の組み合わせだ。三井レジと野村不は総武線(都内側)で大激戦を展開しているのに、江戸川を渡ったら手を組むとは…経営者は何を考えているのかさっぱりわからない。三井レジ・嘉村社長、野村不・松尾社長、三菱地所レジ・宮島社長はほんの数か月しか違わない同じ1960年生まれの同学年だ。呉越同舟と言ったら怒られるか。
「リーフシティ市川」
中央広場
坪単価399万円圧倒的な割安感あり野村不・阪急阪神不「平井」最終分譲へ(2024/2/10)
総武線(亀戸~小岩)の開発に拍車再開発中心に5000戸超「亀戸」の上値圧力も(2021/9/1)
雲散霧消した不動産流通推進センターに対する積年の疑問 「嫌悪施設」取材
約40年にもわたる積年の不審・疑問がこの日2024年10月25日、きれいさっぱり払しょくされた。こんなうれしいことはない。疑問とは、不動産流通推進センターに対する記者の考え方で、それが完全な思い違い、偏見であることが取材で分かったからだ。
取材とは、この日実現した「物流施設が嫌悪施設になっている」(資料参照)ことに関する取材だ。同センター教育事業部統括参事・金子雅生氏と同センター教育事業部専門次官兼開発課長・櫻井弘久氏は、物流施設を「嫌悪施設」と決めつける意図は全くなく、不動産取引を円滑に進めるためには、重要な事項の不告知、不実告知を定めた宅建業法第47条第1号ニの「宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境…宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」については、事前に調査し、相手方に説明し、了解を得ることが必要と話した。
それともう一つ、同センターの前呼称「不動産近代化センター」を現在の「不動産流通推進センター」に変更した経緯を聞き(これは書かない)、記者が40年間にわたって抱き続けてきた不信感・疑問も雲散霧消した。
そればかりか、お二人は宅建士の最高位に位置付けられている「宅建マイスター」(現在約670人)事業を担当されており、今後「宅建マイスター」を取材するきっかけを与えてもらった。以前、「宅建マイスター」試験に挑戦したことがあるが、全然歯が立たなかった。「宅建マイスター」の頭脳がどうなっているのかとても興味がある。
◇ ◆ ◇
取材をお願いしたのは、今から6年前の2018年5月、当時の三井不動産常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏(現、顧問)は大勢の記者団の前で「もはや物流施設は嫌悪施設ではない」と語った言葉が頭の中にこびりついているのと、現在、シンガポールに本拠を置く日本法人「日本GLP」が計画している昭島市の「昭和の森ゴルフコース」など約65haを含む81.5haにも及ぶ物流拠点「玉川上水南側地区地区計画」(素案)の行方が気になっているからだ。
この点については上段で書いた通り。考えないといけないのは物流業界だ。具体的な事実に基づき「物流施設は嫌悪施設ではない」ことを地域住民らに説明・証明する必要があるのではないか。施設で働く人はみんなエッセンシャル・ワーカーだ。
(添付資料)物流施設が嫌悪施設になっていることに関する取材のお願い
貴センターのホームページ「不動産相談」(掲載日:2016年2月、重要事項説明における「嫌悪施設」の調査範囲)では、「通常『嫌悪施設』と言われるものには、騒音や振動の発生、煤煙や臭気(悪臭)の恐れ、危険を感じさせる、心理的に忌避されるものなどがあるが、嫌悪施設の明確な定義はないと言わざるを得ない。嫌悪を感じるかどうかは個々人により判断が異なり、また、時代背景や技術の進歩により嫌悪感が薄れることもあり、一概に言えない。宅建業者はそれらを踏まえ、説明すべきかどうかの判断をせざるを得ない」としながら、<住宅地近辺における主な嫌悪施設>として、「騒音や振動の発生」生じさせる施設として「大型車両出入りの物流施設」を例示されています。
私も、物流施設は小規模なものを除き、建設が許可されるのは工業系用途地域のみなので「嫌悪施設」と理解していましたが、添付いたしました記事の通り、「物流施設はもはや嫌悪施設ではない」と語り、街づくり、地域共生に力を入れている事業者がいます。
そこで、「物流施設」を嫌悪施設から除外することはないか、除外するには何が必要かなどを取材形式でお聞きしたいと思います。
売上高、営業利益、営業利益率とも拡大・向上大和ハウス事業施設(物流)事業(2024/10/12)
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「不動産近代化センター」の呼称変更については2014年と2015年に書いた記事を添付する。次のように書いている。
「この呼称についてはもう30年も前から変更すべきという記事を書いてきたし、直接訪ねて呼称変更を〝お願い〟したことがある。(この日10月25日、2~3人の方に対応していただいたが、けんもほろろだったのを思い出した)
なぜか。当時、記者はデベロッパーを取材していたのだが、不動産業界に『近代化』なる言葉が付けられた公益法人があるのに驚いた。『近代化』なる言葉は歴史の教科書に出てくる『戦前』のことだ。『もはや戦後ではない』と経済白書が謳ったのは昭和31年だ。どうして昭和の50年代にもなって『近代化』をわざわざつけなければならないのか不思議に思った。
確かに『全国宅地建物取引業協会連合会』(全宅連)という会員数が約11万(当時約14万)を擁す、主に街の不動産会社などからなる業界団体があり、『前近代的』と思われる部分も少なくなかった。
しかし、それでも大手デベロッパーや大手流通会社は良好な街づくりや住宅供給を行っており、他の業種を含めトップランナーだと記者は思っていた。『近代化』などと言われると、自分自身が時代遅れの俗物と言われているような気がした。
そこで『近代化』が付された団体があるかどうか調べた。今でこそネットで検索できるが、当時は電話帳やらその他の刊行物を調べ、『近代化』が付いている団体は不動産流通近代化センターのほかには、昭和44年に設立された財団法人東京タクシー近代化センターしかないことを突き止めた。東京タクシー近代化センターは平成14年に『東京タクシーセンター』に呼称変更されているので、現在、『近代化』のついている団体は不動産流通近代化センターしかないはずだ。」
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以上の記事で書いているように、30年昔(当時)といえば、記者が業界紙の記者として働きだしてから数年経過したころだ。全宅連系の会社が主な事業とする賃貸管理業は、時代遅れの「礼金」なる商習慣にかじりつき、墨守していた(今でもそうだろう)。今は、外国人に「礼金」は通用しないはずなので〝room charge〟(飲食店などの「お通し」「突き出し」はそう呼んでいるのではないか)とでも説明しているのだろうか。
記者は幸か不幸か、全宅連担当になったことは一度もないが(マンション・建売住宅担当にしてもらうよう当時の編集長に直談判した)、「前近代的」な業界を取材することなどしたくなかったし、「俗物」にもなりたくなかったのは事実だ。
今でもそうだろうが、不動産業界紙は取材対象ごとに、例えば行政、大手デベロッパー、ハウスメーカー、流通業界、賃貸業、中小業界団体などに分かれており、しかも数年ごとに配置換えが行われる。これでは絶対自立した記者にはなれない。業界紙も変わらないといけない。
81.5haの物流「GLP昭島プロジェクト」敷地内に4.5haの樹林地開発に疑問の声も(2024/9/21)
「近代化」が消えた 近代化センターが「不動産流通推進センター」に名称変更(2015/4/20)
唯一残っていた「近代化」が消える 不動産流通近代化センターが名称変更(2014/11/4)
大成建設・三井不動産など わが国初の超高層ビル屋上に風力発電実証実験
大成建設とチャレナジーは10月23日、三井不動産の協力を得てわが国初の超高層ビルの屋上に垂直軸型サボニウス式風車「サボニウス式風車」を30階建て「横浜三井ビルディング」に設置し、2025年4月から実証に向けた実験を行うと発表した。
「サボニウス式風車」は、従来の水平軸型プロペラ式風車「プロペラ式風車」には風車の風切り音や発電モーターの振動などの問題に加え、広い設置面積を要することや所定の風速や風向が安定しないと効率的な発電ができないことなどの課題があるのに対し、①装置の設置に必要な面積が小さく、軽量なため、設置場所の選定や組立が容易②全方位からの風を受けて24 時間連続で悪天候時でも発電が可能③低騒音・低振動で、バードストライクを回避可能-などの特徴がある。
チャレナジーは、東日本大震災に伴う福島の原発事故をきっかけに日本のエネルギー問題に着目し、次世代に安心安全なエネルギーを供給することをミッションに設立された。
大東建託 2025年3月期 2Q・通期業績予想&配当予想を上方修正
大東建託は10月22日、2024年5月2日に公表した業績予想と配当予想をそれぞれ上方修正すると発表。
第2四半期業績予想は、売上高9,072億円(前回発表予想比1.9%増)、営業利益710億円(同26.8%増)、経常利益738億円(同25.1%増)、純利益511億円(同31.0%増)。
通期業績予想は、売上高1兆8,300億円(同0.5%増)、営業利益1,200億円(同91%増)、経常利益1,230億円(同8.8%増)、純利益840億円(同10.5%増)。
年間配当は前期の555円から630円(前回予想575円)に増配する。
上方修正の理由を同社は、施工の平準化と工程の順調な進捗などにより完成工事高、総利益が増加したためとしている。
ポラス 木造建築の研究・情報発信拠点「ポラステクノシティ」来春竣工
「ポラステクノシティ」(完成予想図)
ポラスグループは10月21日、吉川美南駅東口周辺地区土地区画整理事業地内で建築中の木造建築の研究・情報発信拠点「ポラステクノシティ」を2025年3月に竣工すると発表した。
「ポラステクノシティ」は、住まいに関する技術展示スペースと地域住民のふれあいの場としてのイベントスペースからなる「交流と学びの場」「事務所」としてのオフィス棟、開発現場を見学できる実験棟・研究棟、注文住宅のモデルハウス4棟で構成。3棟ともZEB数値を達成し、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)を申請する予定しており、BIM活用(国土交通省補助事業「建築BIM加速化事業」利用)により、完全ZEB により3棟合計で年間杉10,214本分、森林面積11.3ha分のCO2排出削減効果があるとしている。
オフィス棟・研究棟は、一般流通材と大断面集成材、住宅用の金物を使用。75分準耐火木造建築であるオフィス棟は環境省「建築物等のZEB化・省CO2 化普及加速事業」に採択されている。
実験棟は、3階建ての戸建住宅サイズを室内に納め、様々な住宅性能実験を行うため982.5㎡の空間に12000mmの天井高を実現。大断面集成材を使用するほか、高さ3550mmのCLT耐力壁3段重ね(総高さ12000mm)とする。
施設は、敷地面積約6,002㎡、オフィス棟(木造3 階建)は延べ床面積約2,236㎡、研究棟(木造3階建)延べ床面積約1,327㎡、実験棟(木造1階建)の延べ床面積約1,050㎡。この他、注文住宅モデルハウス4棟(体感すまいパーク吉川美南)。竣工予定は2025年3月頃。
オフィス棟内部
実験棟内部
研究棟内部
井の頭公園に2分 隣接地も公園 リビング天井高4m超 コスモスイニシアの戸建て
「イニシアフォーラム井の頭恩賜公園」(完成予想図)
コスモスイニシアが分譲中の戸建て「イニシアフォーラム井の頭恩賜公園」を見学した。駅からはややあるが、井の頭公園へ徒歩2分(90m)、敷地西側はサクラの巨木が植わっている児童公園、周囲は建ぺい率40%、容積率80%の1低層、プランはリビング天井高4mなど-素晴らしい戸建てだ。
物件は、中央線吉祥寺駅南口から徒歩19分~20分(バス8分・徒歩5~6分)、三鷹市下連雀1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%=角地により緩和あり、容積率80%)に位置する全10区画。敷地面積は120.01~143.20㎡、建物面積95.96~108.35㎡、価格は12,000万円台~16,000万円台。建物は竣工済み。構造・規模は木造(在来)・2階建て。施工はタカマツビルド。
9月下旬から分譲を開始しており、これまで第1期1次4戸は分譲済み。
従前敷地は資材置き場。相対取引で取得。主な特徴は、敷地内無電柱化、インターロッキング舗装、2階リビングの天井高は4m超、高窓(ハイサイドライト、1・6号棟除く)。通風窓付き玄関ドア、2台カースペース(4区画)、フィオレストーンキッチン天板、Low-E複合サッシ、珪藻土壁、浴室タオル掛け2か所など。
担当者によると、吉祥寺・三鷹駅圏では同社のほか3社の分譲戸建てが1億円台半ばで今日杞憂されており、来場者のうちこの価格帯に手が届く人は少ないということだった。
リビング
玄関・ホール
◇ ◆ ◇
何に価値を見出すかだが、記者は三鷹市に住んでいた時から井の頭公園はしょっちゅう利用していた。動物園にも子どもを連れて行ったし、今でも花見はここが一番だと思う。この公園まで徒歩2分(90m)というのが素晴らしい。10年前、野村不動産が「プラウドシーズン井の頭公園」(20戸)を分譲したが、公園近接戸建ては10年ぶりの供給だ。
三方道路の角地で敷地西側は「下連雀さくら児童公園」と名がついているように、さくらの巨木が数本植わっており、そのほかイチョウ、サルスベリ、ナツメなどの高木もある。この借景もまた素晴らしい。周囲は1低層なので住環境も担保されている。
同社の最近の分譲戸建てでよく採用しているリビング天井高4m、〝魅せる〟玄関などプランもいい。
これらから総合的に判断して、南側道路に面した4戸の価格は2億円で、その他の住戸も1億円の半ばと読んだが外れた。外れはしたが、記者の評価は間違っていないと思う。通勤に井の頭公園を利用するのはきついが、休みの時などは散歩に絶好だ。
通勤はバス利用だろうが、最寄り駅の「明星学園入口」から吉祥寺駅までは山手線と同じくらい数分置きに運行されているので苦にならないはずだ。物件力があるのだから、この特性をしっかり伝えられるかどうかだろう。吉祥寺・三鷹駅圏でマンションが分譲されたら坪単価は600万円をくだらない。20坪で12,000万円、30坪だと2億円近いはずだ。
現地
現地
現地
植栽
「下連雀さくら児童公園」
見事な擁壁緑化建ぺい40%容積80%全18棟のコスモスイニシア「尾山台」完成(2022/10/4)
半年で330~340戸成約驚嘆すべき売れ行き全678戸の野村不「吉祥寺」(2019/5/21)
一頭地を抜くコスモスイニシアの都市型戸建て「田園調布桜坂」「成城」(2018/4/20)
商品企画の勝利即完の可能性もコスモスイニシア戸建て「グランフォーラム青葉台」(2019/2/15)
三菱地所レジ 全157区画「美浜の杜シティⅡ」内の90区画分譲へ
「ザ・パークハウス ステージ 稲毛海岸ヴィラ」
三菱地所レジデンスは10月21日、大規模一戸建て街区「美浜の杜シティⅡ」内に位置する「ザ・パークハウス ステージ 稲毛海岸ヴィラ」の事前案内会を10月26日から開始すると発表した。
同社の戸建てで初めて「ZEH』を導入。ハイブリッド給湯・暖房システム「TESハイブリッド暖給(リンナイ製)」を設置するほか、創エネのためにIGNITURE ソーラー(フラットプラン)導入による太陽光発電システムを設置する。また、生物多様性保全への取り組み「BIO NETINITIATIVE(ビオ ネット イニシアチブ)」の戸建て版を採用している。
稲毛海岸では、1960年代より、三菱地所レジデンスと三井不動産レジデンシャルが共同で街づくりを推進しており、一戸建て街区「美浜の杜シティ」と分譲マンション「ザ・ガーデンズ稲毛海岸」の完成を経て、今回が最終章となる「美浜の杜シティⅡ」では、全157区画のうち同社が90区画を分譲するもの。
物件は、JR総武線稲毛駅から徒歩18分~19分(バス6分・徒歩4~5分)、千葉市美浜区稲毛海岸2丁目に位置する全90区画。建物面積は101.72~111.99 ㎡、価格は未定。販売開始は2025年1月上旬。建物完成予定は2024年11月中旬。構造・規模は木造枠組壁工法(2×4工法)・2階建て。施工は三菱地所ホーム。
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2019年に分譲開始された全253区画の「稲毛海岸 美浜の杜シティ」は見学取材している。素晴らしい物件だった。問題の価格がいくらになるかだが、マンションほど自信がないので予想はやめておく。ヒントになるのは、前回は5,000万円前後が中心で、先日見学取材した野村不動産のマンション「プラウド新浦安パークマリーナ」は坪単価320万円で絶好調だ。2022年竣工した三菱地所レジデンスの新浦安のマンション「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」は坪222万円だった。
街並み(完成予想図)
わが故郷・伊勢市駅前の再開発マンション 坪単価は200万円弱か 長谷工不
「ブランシエラ伊勢市駅前」
長谷工不動産は10月20日、わが故郷・伊勢市の一等地のマンション「ブランシエラ伊勢市駅前」第1期30戸の抽選販売を開始した。
物件は、JR・近鉄山田線伊勢市駅から徒歩3分、伊勢市宮後一丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率600%)に位置する14階建て全102戸(一般62戸、非分譲40戸)。第1期(30戸)の専有面積は64.99~95.72㎡、価格は3,560万~5,950万円(最多価格帯4,100万円台)。竣工予定は2026年1月。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
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現地はよく知っている。従前は三重交通のバスターミナル・三交百貨店で、百貨店は2001年5月に閉店となった。
全体敷地はA・B・C地区に分かれており、A地区は三交イン伊勢市駅前「本館」(129室)として2016年に、B地区は三交イン伊勢市駅前「別館」(37室)などとして2023年にそれぞれ開業している。
今回のマンションは「伊勢市駅前C地区市街地再開発事業」(0.3ha)として令和2年に都市計画決定されている。
百貨店が閉店となってからほぼ四半世紀。ここまで再開発計画がまとまらなかったのは、地権者の調整がうまくいかなかったからだと聞いている。一般分譲の約半数が供給されたのだから何よりだ。坪単価は200万円を割っており、ぎりぎりの採算ラインか。
令和6年地価公示で、伊勢市の住宅地価格は平成26年度比で18.0%下落しており、人口10万人以上の244市のうちワーストの桐生市の19.0%下落に次いでワースト2にランクされており、隣接の松阪市も17.3%下落のワースト3に入っている。
令和6年地価公示バブル期の〝半値戻し〟上昇20市のみ福岡県4市がベスト10入り(2024/4/6)
またショック全国10万人以上259市の地価公示下落率最大はわが故郷・伊勢市(2023/3/25)