社名変更から10年 大和地所レジデンスに今後の展開などを聞く

オープンエアリビング
大和地所レジデンスは、社名を2015年4月1日付で日本綜合地所から現社名に変更して10年が近く経過する。かねて同社に質問していたことに関して回答があった。これまで書いて記事もいくつか紹介する。一緒に読んでいただきたい。
①最近の用地取得難、建築費高騰にどのように対処してきたか
-2024年を振り返って
・価格上昇に対応するため、用地取得においては、価格競争ではなく極力相対での土地取引に努めてきた他、販売代理を通して当社の販売力をご評価いただいたことにより、デベロッパー各社とJV による共同事業も推進してきました。都心部の用地確保が難しくなっている中で、郊外の駅前開発や大規模再開発、かつ駅近の案件も注力し、都市周辺部での開発を強化しています。
・建築費高騰に対しては、合理的な設計を行いつつデザイン・商品企画によって差別化することに努めています。施工会社とも早期連携・協力し、効率的な施工でコストダウンできるところは下げ、一方で当社独自の商品企画や立地に合わせた仕様にもこだわり、付加価値を出せるところは出すようにしています。
・また、用地仕入れ前の案件検証にあたっては、開発担当だけではなく営業・建築・市場調査・経営企画・財務等の各部門間の連携を強化し、全社一体となって事業性の検証と実行推進することにより、価格競争に翻弄される憂き目にあうことなく、難易度の高い事業もしっかり完結できるよう取り組んでいます。
② 富裕層向けはともかく、普通の需要層は取得限界を超えています。
その具体的な対応策は如何か
・上記①の対応を図り事業原価や販売経費等も創意工夫することで、エリアや駅距離に左右されることなく普通の需要層でも手が届く価格設定を行っています。
・また、価格上昇の中でも、購入者が満足できる「快適さ・住みやすさ・資産価値」を兼ね備えた新築マンションを提供するため、さまざまな施策を導入しています。
1. 快適さの追求エリアやターゲット層に応じた独自のオリジナル商品企画を建築費高騰の中でも採用し、ZEH-M物件の推進を行なっています。
また、充実した共用施設の提供も必要不可欠なものと考え、ワークラウンジ・カフェスペース等の快適な在宅ワーク環境を備え、パーティールーム・キッズルーム等、コミュニティにも配慮した多様な共用施設を整備し提供しています。その他、EV充電設備の他、シェアサイクル・EV カーシェアを導入し、車を持たない生活面にも配慮した設備やソフトの検討も行っています。
購入面では金利上昇+物件価格高騰の中でも、40年・50年の長期住宅ローンで月々の負担を軽減しながら資産形成が可能であり、固定資産税の軽減措置・エコすまい支援事業の補助金など、ZEH基準や省エネ基準に適合する住宅を推進しています。
2. 住みやすさの向上「都心だけではない選択肢」の提案に向け、「駅近×再開発近接エリア」「職住近接エリア」の住みやすさと将来性を両立に注目しています。
例)
•「ヴェレーナシティ鎌倉深沢」「ヴェレーナ湘南藤沢」(都心アクセス+再開発近接&新駅開発エリア)。
•「ヴェレーナシティ木更津マリーナベイ」「ヴェレーナ西新井」「プライムレジデンス武蔵浦和」(オフィス・商業施設が揃う職住近接エリア)。
3. 資産価値の確保
再開発エリア近接のマンションは 将来の価値を見据えた開発 が進んでおり、中古市場でも人気が高い他、管理面においても予備認定マンション制度を活用し、管理計画や長期修繕計画の評価を事前に受けることで資産価値を担保し、フラット35 の金利優遇や大規模修繕後の固定資産税軽減等のメリットも享受可能なため、価格高騰の中でも、「快適さ・住みやすさ・資産価値」を備えたマンションを提供するため、独自の企画商品の導入・共用施設の充実・金融支援策の活用・立地戦略の最適化 など、多面的な工夫を行っています。
③ 御社の商品企画がユーザーに支持されています。
突出していると考えますが、いかがか
・当社は創業以来「独創的で価値ある住まい」を提案していくことを理念とし、常にお客様に喜んでいただける付加価値の高い商品企画を提案し続けてきました。「オーブンエアリビング」「床下収納」「コンサバトリスペース」などに代表される当社の独創的な商品企画は、おかげさまでご好評をいただいており、不動産の資産価値を上げることにも繋がっています。今後も新たな商品企画を提案していきます。
④ 完成在庫を出さないのも凄いですが、具体的な販売戦略について
・②において「快適さ・住みやすさ・資産価値」を備えたマンションを提供することの他、インフレ時代に突入し住宅市場の二極化が進行、金利上昇+物件価格高騰により、購入検討層が購入自体を迷う層へ移行している中で、長期住宅ローンや行政・金融機関の購入支援策による資金計画の提案の強化、また、建築費・人件費の上昇により値下がりは期待しにくい等のリセールバリューを可視化した資産価値や購入動機付け等、常に「価格と金利のバランスを考慮した柔軟な販売手法」を追求し、その販売を、勉強会や研修を重ねた当社社員が外注することなく一貫して行っております。
⑤販売代理を増やすようですが、共同事業はいかがか
・販売代理事業を開始して2年が経ち、おかげさまで取引企業数20社、受託戸数1,000戸となりました。この事業は、販売代理を最終目的としているわけではなく、販売代理を受託することにより当社の営業力や企画力、提案力を実感していただき、今後の事業において共同事業主として参画させていただくことを目指しておりますので、引き続き各社との信頼を構築するために継続していきます。
⑥2025年度の主な供給物件-立地、商品企画、設備仕様などについて
・次年度の供給物件においても、当社のオリジナルであるオープンエアリビングの他、コンサバトリー・コーナーサッシ、メゾネットやロフト、またZEH-M 基準や予備認定等の資産価値を付加したプロジェクトを予定しています。
・「ヴェレーナブリエ港南中央」駅近・コンパクト、および商業充実のターミナル上大岡に近い立地・「足立区島根計画」再開発が進む西新井エリア
・「府中市三好町計画」府中周辺エリアかつ100戸超の大規模レジデンス
・その他武蔵新城、日吉、久が原等、「駅近×再開発近接エリア」「職住近接エリア」に注目し、住みやすさと将来性を両立した立地に供給を予定しています。
⑦ その他、新規事業、再上場など
・「快適さ・住みやすさ・資産価値」という面で今の市場で求められる仕様と合わなくなってしまったマンションにおいてはリノベーション事業やマンション建替事業を提案、増加する単身世帯やDINKSのニーズにお応えするためにコンパクトマンション事業など、多様な変化に適応するため多方面において事業参画し、社会にとって必要とされる会社であり続けたいと考えております。
・なお、これまで業績も順調に推移してきており、おかげさまで当社の信用力も向上し資金調達もプロジェクト融資の範囲で十分賄うことができていますので、現時点では再上場は予定しておりません。

オープンエアリビングバルコニー
メタセコイア11本見事な植栽計画大和地所レジ「ウェレーナグラン北赤羽」見学会
大和地所レジデンスマンション販売代理事業設立2年で1,000戸達成
期間72年の定借で坪410万円早期完売も納得大和地所レジ「門前仲町」
天晴れ!日本庭園とつなぐ共用部の演出見事大和地所レジ「茅ヶ崎東海岸」
販売開始から4か月で完売 JR西日本プロ・大和地所レジ「横濱山手」全75戸
際立つ設備仕様の高さ激戦地で早期完売大和地所レジ「ヴェレーナグラン湘南藤沢」
販売好調の秘密を見た15カ月で全戸完売歩留まり率23.6%大和地所レジ「西新井」
天井高3m超、20畳大の床下収納など大和地所レジ「赤羽北フロント」竣工見学会
「フロント」に続き「ザ・マークス」も分譲へ大和地所レジ必見の「赤羽北」
またまた千葉NT中央で驚異的な売れ行き大和地所レジ「アリーナ」176戸
風致地区巧みに生かした住戸プラン・ランドスケープ秀逸大和地所レジ「上大岡」
駅近 100㎡商業隣接驚愕の坪140万円大和地所レジ「千葉NT中央ザ・フロント」
駅から15分克服できる商品企画大和地所レジ「ヴェレーナ浦和ザ・ハウス」
抑制気味の単価設定に納得間違いなく売れる大和地所レジデンス「東京イースト」
〝ヴェレーナグラン〟の名に恥じない商品企画大和地所レジデンス「浦和仲町」
大和地所レジ北赤羽の川沿いで商住複合「パレ・ド・プラージュ」
中古マンション・戸建てとも契約件数が大幅増 2025年2月 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は3月10日、2025年2月度の首都圏不動産流通市場の動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は4,152件(前年同月比23.9%増)、坪単価は261.2万円(同4.8%増)、成約価格は4,985万円(同2.6%増)、専有面積は62.99㎡(同2.1%減)となった。成約件数は4か月連続、坪単価は58か月連続で前年同月比を上回った。
中古戸建の成約件数は1,690件(同44.8%増)、成約価格は3,920万円(同0.6%増)、土地面積は145.81㎡(同6.2%増)、建物面積は104.33㎡(同2.0%増)となった。
駅から徒歩13分 現地まで信号ゼロ 多摩川がすぐそば 名鉄都市開発「中河原」
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「メイツ中河原」
名鉄都市開発が分譲中の「メイツ中河原」を見学した。駅からは徒歩13分とややあるが、現地までは信号が一つもなく、緑も豊富で、多摩川へは1~2分。住環境は申し分ない。
物件は、京王線中河原駅から徒歩13分、府中市南町四丁目の準工業地域/第一種中高層住居専用地域(建ぺい率45.49%、容積率192.07%)に位置する敷地面積約8,428.35㎡、8階建て全223戸。3月に分譲予定の第1期6次(戸数未定)の専有面積は61.23~87.68㎡、予定価格は3,900万円~7,200万円(最多価格帯5,200万円台、坪単価は250万円。竣工予定は2026年1月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
主な基本性能・セ氏美仕様は、ZEH-M Oriented、直床、標準階リビング天井高2500ミリ、ディスポーザー、食洗機、スカイラウンジ(コワーク&スタディスペース、おこもりPOCKETなど)、Mʼsドア、ホームストッカー、浴室タオル掛け1か所など。

模型

現地(樹木はトウカエデ)
◇ ◆ ◇
分譲単価は安いと思うが、駅からの距離をどう評価するかがポイントだろう。強調できるのは、駅から現地まで信号機は一つもなく、歩道、公園、遊歩道などを通れることだ。交通量の多い多摩川通りから一歩入っており、周辺には府中多摩川かぜのみち、公園2か所、小学校、府中市郷土の森公園などのほか、中高層マンション、ゆうせいチャレンジド東京多摩支店、郵便局、読売新聞、東京エレクトロンなどが建ち並んでいるが、嫌悪施設はない。
自転車を利用すれば府中駅、多摩川緑地、東京競馬場なども10分前後だ。ランニング好きにはたまらない立地ではないか。信号なしで20~30キロは走れるのではないか。
モデルルームでは、トイレと収納の開き戸にはプッシュプルドアが採用されており、把手は壁面まで後退されていた。とてもいいと思ったのだが、物件ホームページにもパンフレットにもそのことが触れられていなかった。

トイレドアノブ(壁面までせっどバックされている)

現地(手前の常緑樹はクスノキ、右側の樹木はトチノキ。右側奥が建物)

多摩川かぜのみち
大人も子どもも〝我慢〟しない コスモスイニシア 一時預かり施設 有楽町に開業

「ANO-NE Kids Club(あのね キッズクラブ)」
コスモスイニシアとコスモスホテルマネジメントは3月10日、子育て中の国内・インバウンドを対象とした一時子ども預かり屋内遊び場「ANO-NE Kids Club(あのね キッズクラブ)」(認可外保育施設)をメディアに公開し、2025年4月1日にグランドオープンすると発表した。
コスモスイニシアグループは「次世代を担う子どもや若者」をグループ共通のESGテーマの1つに掲げ、当期純利益の2%程度をESG投資に充当し、人的支援も積極的に行う社内起業「Next Generation Challenge」を推進しており、同施設はその一環。コスモスイニシアとコスモスホテルマネジメントが共同で推進するPoC事業として展開する。
事業開始した背景には、コスモスホテルマネジメントが運営するアパートメントホテル「MIMARU(ミマル)」の年間利用者45万人のうち、宿泊者の9割以上が外国人で、家族利用が約9割、子ども連れが約8割を占め、中長期滞在が多く、ベビーシッターを経験している宿泊者から「日本での滞在時にも子ども預け、高級ディナーや美術館など子連れでは体験できない観光も楽しみたい」とのリクエストが寄せられてきたことなどがある。
施設は、この問題を解決するために企画された。子どもが自ら行きたくなるような施設を造ることで、子どもを預ける精神的ハードルを下げ、保護者の育児負担を軽減し、海外ゲストにとっては訪日時の体験の幅を広げ、観光促進と満足度の向上に繋げる狙いがある。JR有楽町駅から徒歩5分、千代田区有楽町1丁目に位置するKOKOビル4~5階の延床面積約150㎡。営業時間は平日14:00~22:00/土日祝10:00~22:00、定休日なし(臨時休業の場合あり)。対象年齢:4~10歳。利用時間:最短1時間から。利用料金(保険料込):2,500円(1名、1時間)。ビル運営:コトブキ、遊具の保守点検:KTS、ビルおよび遊具の設計監修:環境デザイン研究所。最低1人、保育士が常駐する。ビル2層分が吹き抜けとなっており、多層空間になっているのが特徴。
事業を立ち上げたコスモスイニシアR&D戦略部新規事業推進二課・南野理沙氏は「私も4歳の男の子がいます。自分の時間を持てない悩みを抱えています。また、子どもを預けて自分の時間を楽しむことに罪悪感を感じる人も少なくありません。この施設は子どもが楽しめることを大前提に、大人も安心できる企画にしました」と語った。
コスモスホテルマネジメントKURO-GO事業推進部事業企画課課長・佐々木麻美氏は「インバウンドのゲストの方はベビーシッターや託児所に子どもを預けて歌舞伎、寺社仏閣、寿司屋、居酒屋、エステを利用したいという声は多く、お子さんも親と一緒の訪問先は楽しくない。そんな悩みを解決したのがこの施設」と話した。
当面、1日8組の利用者を想定し、1年後に検証してその後の展開を図る。

施設内 イメージ

南野氏(左)と佐々木氏
◇ ◆ ◇
同じような施設は昨年1月、三井不動産が孤独な子育て(孤育て)を支援する、民間初のママ・パパ用休憩室を併設した一時預かり保育施設「YASMO武蔵小杉」を見学取材したことがある。保育園に子どもを預けることに抵抗感があるファミリーが対象で、預かるのは生後3か月から未就学児。休憩室も備えられているのが特徴だった。
今回の施設は、4歳児以上というのがミソだ。「ANO-NE(あのね、これからパパとママはね、お前の人生を左右するかもしれない、二人きりの大事な時間を過ごしてくるからね。ここで遊んでいてね」が通用する年代だ。インバウンドが主なターゲットだろうが、有楽町周辺にはラグジュアリーホテルが多く、高級飲食店、劇場もある。アッパーミドルの利用もあるかもしれない。子どもにとっても〝僕一人、夫婦そろって留守がいい〟になるかもしれない。
米国ノースカロライナから2週間の日程で来日しており、明後日(水曜日)帰国する30代の夫婦が見学のために訪れていたので話を聞いた(通訳は佐々木氏)。ご主人は東京マラソンにも出場し3時間40分で完走し、奥さんは皇居でトレーニングをしたのだという。訪れたのはムーミンパーク、ディズニーランド、スカイツリー、新宿(おもちゃ屋)、明治神宮などとか。この種の施設は米国にはなく、ベビーシッターを利用するのだそうだ。

見学のため訪れていたご夫婦

〝パパ、ママ、どこに行ってもいいけど、僕を捨てないでね〟

上階

下階
夏季、冬季とも睡眠や血圧に好結果 慶大と共同研究 野村不「床快full(ユカイフル)」

野村不動産は3月6日、同社が開発した住戸全体の床空調システム「床快full(ユカイフル)」が居住者の健康に及ぼす影響を慶應義塾大学と共同研究を行った結果、転居前後で睡眠や血圧に良い影響を与えることが分かったと発表した。共同研究は、慶應義塾大学伊香賀俊治教授(現名誉教授)、川久保俊准教授と行ったもの。
夏季の調査は、転居前調査(2022年7~8月)と転居後調査(2023年7~8 月)に実施。その結果、①転居後は転居前に比べ、測定期間中の平均気温が日中約3.6℃、夜間約1.5℃上昇したにもかかわらず、全館空調の効果で水回りを中心とした室温の低下が見られた。転居前後でのアンケート調査では「体のだるさ」「疲れ」「イライラ」といった指標において改善が見られた②就寝中の寝室環境において、平均室温は0.2℃と若干上昇するも、相対湿度は9.6%と大幅に低下、平均CO2濃度も低下が見られた。転居前後の質問において、「暑くて眠れない」「ジメジメして眠れない」と回答した割合が大幅に低下、また、睡眠効率においても2.4%の改善と有意な効果が見られた。
冬季の調査は、転居前調査(2022年12月~2023年1月)と転居後調査(2023年12月~2024年1月)に実施。その結果、③転居後は転居前に比べ外気温は1.5℃程度上昇。各室の室温は、転居前では居間を除く全ての室でWHO(世界保健機関)推奨最低室温の18℃を下回る時間が存在したが、転居後では18℃を下回る時間はなく、1日を通して室温が高く維持されている。「手足が冷える」と感じる人の割合が低下した④参加者のうち転居前に起床後収縮期血圧が、日本高血圧学会の定める正常高値血圧(115mmHg)以上と以下に分類して比較したところ、正常高値血圧では血圧が3.9mmHg低下するなど、血圧が高い人ほど有意に低下するという結果が見られた。
研究成果は、2024年3月の日本建築学会関東支部研究発表会、8月の日本建築学会大会で発表された。
AQ Group 新社長に取締役・加藤博昭氏 宮沢社長は代表取締役会長に

加藤氏
AQ Groupの代表取締役社長に取締役・加藤博昭氏が3月1日付で就任した。創業社長の宮沢俊哉氏は代表取締役会長に就任する。2025年5月28日開催予定の定時株主総会で正式決定される予定。
加藤氏は1986年、AQ Group(アキュラホーム)初の新卒社員として入社。営業職や工務店支援事業に従事。その後、支店長、本社部長、関連会社社長を経て2018年に執行役員、2023年に常務執行役員、2024年に取締役を歴任。
大成有楽不動産 新社長に取締役執行役員・植草健史氏

植草氏
大成有楽不動産は3月3日、新社長に取締役執行役員経営管理本部副本部長(経理担当)兼不動産事業統括本部副本部長・植草健史氏が4月1日付で就任すると発表した。代表取締役社長・浜中裕之氏は取締役に就任する。
植草氏は1964年11月21日生まれ。千葉県出身。1988年3月、早稲田大学卒、同年4月、大成建設入社。2012年4月、社長室コーポレート・コミュニケーション部IR室長、2017年4月、企画調査部長、2024年1月、大成有楽不動産取締役執行役員(現職)に就任。
3.11から14年 仙台市も2年連続人口減 増加は名取市のみ 太平洋岸39市町村人口
2011年3月11日の東日本大震災から明後日で14年が経過する。警察庁の発表によると、令和7年3月7日現在、死者は19,500人、行方不明者は2,520人で、昨年からの増加はなかった。復興庁によると、関連死は令和6年12月31日現在、3,808人で、前年より6人増加した。令和7年2月現在、避難者は27,615人で、前年から988人減少した。施設別では仮設住宅や賃貸住宅が10,515人(前年より97人減)、親族・知人宅などが16,995人(同888)人減)となっている。
令和7年度の復興庁の予算概算(東日本大震災復興特別会計)は4,864億円(れいわ6年度当初予算は4,707置く円)。「第2期復興・創生期間」の最終年度においても必要な取組を精力的に進めるとしている。
別表の通り、震災被害を受けた太平洋岸に位置する岩手、宮城、福島、茨城県の39市町村の令和7年2月1日現在の人口をまとめた。
前年同月比で人口が増加したのは宮城県名取市のみで、仙台市も0.2%減少(前年より0.1ポイント増)。39市町村全体では前年から0.9%(前年より0.1ポイント増)、約2.2万人減少した。
被災前人口との比較では、人口が増加しているのは仙台市(4.7%増)、名取市(7.9%増)、利府町(3.0%)のみ。女川町が40.5%、南三陸町が36.5%、大槌町が34.5%それぞれ減少している(原発被災地は除く)。
3.11から13年前年比で仙台市も人口減少増加は名取市のみ太平洋湾岸の39市町村(2024/3/10)
「死んだ家が蘇った」オーナー 空き家リノベラボ「太子堂の家」完成 Jam

「太子堂の家」

〝不動産・建築・リノベーションのプロフェッショナルチーム〟をうたうJam(Japan asset management株式会社)は3月8日、空き家活用プロジェクト「太子堂の家」竣工見学会&懇親会を開催。築68年の借地権付き64㎡の専用住宅オーナーと同社が8年間の定期賃貸借契約を結び、共同投資して約1,200万円の工事費をかけ、隣接地事業者に転貸する仕組み。転借人は「民泊」として活用する。プロジェクトには同社のほか、地元でコミュニティ施設を運営する空き家リノベラボパートナー・三茶ワークカンバニーなど多くの企業・団体がかかわっている。
プロジェクトは、オーナーが相続で建物を取得したが、再建築が不可であることから世田谷区の空き家相談を介してJamが紹介されスタート。現行法では第一種住居地域・近隣常行地域にまたがっており、建ぺい率60%・80%、容積率200%・300%のエリア。建物は耐震補強を行っているが、「大規模修繕」「大規模の模様替え」に該当せず、2025年4月以降の建基法改定による申請は不要だった。現在の土地所有者は、底地権者が物納したため財務省。
建物オーナー(61)は「三茶WORK 茶や」で行われた懇親会で、「もともとは祖母の家で、祖母、父母と私の4人で30年くらい住んでいた。私は30代のとき大田区に移り住んだ。以後は父が住んでいたが、死亡してから4~5年空き家になっていた。家も死んだと思っていたが、生き返った。心から嬉しい」と語った。
Jam代表取締役/仕掛人・内山博文氏は「この3年間、地域の方々とつながるプロジェクトに取り組んできた。今回の物件はその集大成。街づくりの形が見えてきた。わくわくしている」と話した。
空き家リノベラボ(通称「あきラボ」)は、不動産・建築・金融 の多角的な視点から、空き家・相続不動産の課題解決をあきラボパートナーと連携し、ワンストップでサポートするプラットフォーム。

耐震補強の柱と梁

階段

水槽(オーナーのお父さんは30センチもする金魚を飼っていたとか)

道路幅は約1.5m

内山氏
◇ ◆ ◇
Googleの地図検索を頼りに現地に向かったのだが、丁目と番地までしか表示がなく、号にたどり着くまでは番地を一周りしなければならなかった。細い路地に入ってすぐ既存不適格建築物であることが分かった。道路幅は2mどころか1.5mくらいしかなかった。同様の既存不適格建物はこのほか数軒あった。
頂いた資料のBeforeには接道なし、再建築不可/旧法借地権付き、用途/規模は専用住宅木造2階建て、築年数は昭和31年、建築面積/延床面積は40.94㎡/64.12㎡とあった。
昭和31年は記者が7歳のときだ。既存の玄関ドア、天井現し、13段の階段、柱、窓、壁、水槽、庭石、樹木などを見て、懐かしさがこみあげてきた。
と同時に、合法的に建てられたのかの疑問が湧いた。関係者によると、現状の敷地面積は83.9㎡だが、当時の敷地面積は不明で、着地権でもあることから建築当時はおおらかな形で申請がなされ、当時の建ぺい率60%(容積率は定めがなかった)には適合していたのではないかということだった。

和室(6畳)


現し天井
◇ ◆ ◇
懇親会では多くの方と歓談した。不動産は排他的・絶対的な支配権を有し、空き家はテーマが大きすぎ、権利関係も複雑なので記者は取材を避けてきた。この種の対症療法的な空き家リノベは根本的な問題の解決にはつながらないと考えているが、「古いものが残ってよかった。新しいものとの共存が大事」「地域の住民にとって(空き家のままより)安心できる」「転借人は地域とのコミュニケーションを大切にしている方」「路地が大好き」「私も相模原に空き家がある。何とかしたく、見学会に参加した」などと切実な声を聴いた。
メディアは信用されていないことも感じた。「取材です」と声を掛けると、眉をしかめる人もいた。「あなた、神宮外苑をどう思ってるの? 」と問われたので、「三井不動産は『経年優化』を目指している。いい街になると思いますよ」と答えたのがいけなかった。集中砲火を浴びた。(RBAタイムズのホームページで「神宮外苑」を検索していただきたい。野球記事もあるが全部で143件ヒットする。記者は嘘は書かない)
築60年、既存不適格、借地権…難問クリア空き家リノベラボ「house matsubara」(2024/8/7)
自立と低自立の二重円構造くっきり 高齢者の住まいと暮らし ケアリングデザイン調査

小野氏(左)と阿久津氏
一般社団法人ケアリングデザイン(代表理事:小野由記子氏)は3月7日、2024年「100年人生 自立をかなえる住まいと暮らし」をテーマにした調査報告発表会&トークセッションを開催。小野氏がショッキングな調査結果を報告したほか、国内外のエイジングテックの第一人者である千葉大学医学部附属病院特任准教授・阿久津靖子氏がデンマークなどの先進的な取り組みを紹介し、小野氏と阿久津氏のトークセッションも行われた。
調査は、75歳以上の高齢者1,000人を対象に、外出習慣や生活動作など身体的機能6項目と、意思決定などの人生マインド8項目の回答を点数化し自立度を設定。調査の結果、自立度の高い「自立シニア」は39.0%の390人、「中自立シニア」は38.9%の389人、自立度の低い「低自立シニア」は22.1%の221人となった。
自立して暮らすことが難しくなった場合、すまいをどうするかの問いに対しては、自立シニアも低自立シニアも自宅に住み続けたいと回答した人は約70%に達した。
自立シニアは外出機会が多く、周囲とのコミュニケーションが活発で、有職者も2割。食事の準備、掃除や洗濯、お金の管理を自分で行い、外出に積極的であることを明らかにした。一方、低自立シニアは健康上の課題を抱えている人が4割程度に達し、外出頻度は33.0%(自立シニアは68.7%)と低い数値にとどまっていることが分かった。
自立シニアの考えや行動については、①自分の意見や行動に責任を持っている②人から指図されず自分で判断して行動する③自分の考えに自信を持っている④趣味や楽しみ、好きでやっていることがある⑤状況や他人の意見に流されないほう⑥何か夢中になれることがある⑦これからの人生に目的を持っている⑧何か人のためになることをしたい-と答えた人は8~9割に上った。他方で、非自立シニアは①②⑤以外は5割を割っている。⑦は19.0%、⑧は26.2%の結果になった。
自立シニアの住まいに関する考えでは、50%以上の人がポジティブな考えを持っている反面、低自立シニアは20%未満の回答となった。
住まいで大切だと思う点のトップ10を自立シニアと低自立シニアとで比較したところ、日当たり、風通しや湿度、くつろげる場所、機密性・断熱性、浴室・洗面所の室温。生活上十分な広さ、収納、安全な階段などすべての項目で自立シニアはほぼ6割の人が高い関心を示した一方で、低自立シニアは2~3割台にとどまり、ドーナツ状の二重円を描いた。
ありたい暮らしの実現度では、自立シニアは様々な項目で高い実現度に達している一方で、低自立シニアは低い数値にとどまり、「自宅に人を招く」は31.0%(自立シニアは75.1%)と大きな隔たりがみられる。
住まいの満足度と自立度は比例しており、幸福度については自立シニアは「高い」が28.7%(低自立は5.4%)、「ふつう」が56.4%(同43.9%)、「低い」が14.9%(同50.7%)と大きな差が出ている。
調査結果について小野氏は「心身共に健康な自立シニアは思い通りに生き生きと暮らしを楽しんでいることが分かった。100年人生を自立して幸福に過ごすために、暮らしを下支えする住まいのあり方について今後も調査していきたい」と語った。
調査は、公益財団法人日本財団の2024年度助成プログラムを受けて実施したもの。
小野氏に続いて登壇した阿久津氏は、国内外の高齢者政策を紹介し、わが国はデンマークなどの先進国と比べかなり遅れていると指摘。今後必要なのは、高齢者が自立して暮らす、テクノロジーと一緒に暮らすことが必要と強調した。エイジング・イン・プレイス(Aging in Place)があるかどうか、テクノロジーを活用するかどうかで経済格差、健康格差が広がると語った。具体的には、高齢者の「孤独」「移乗・移動」をサポートするかが重要であると指摘した。
一方で、高齢者の金融資産は増加し、スマートシティ、スマートホームが普及し、住宅メーカーの取り組みも加速し、最近の人は抵抗なくスマホ・アプリ、AIなどを自由に扱えるようになったプラス面での現状にも触れ、マンションの管理会社が日常的にサービスを提供する絶好のチャンスであり、今後は図書館やスーパー、薬局などで相談ができる仕組みを構築したいと語った。
阿久津氏は今後3年間、千葉大大学院で研究し、具体的な取り組みなどを提案するのだそうだ。

会場(KARIMOKU RESEARCH CENTER)
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もうすぐ76歳になる記者は、調査結果が自立シニアと低自立シニアのドーナツ状の二重円構造を明らかにしたことにショックを受けた。住宅価格が上昇し、あらゆる面で分譲より劣る賃貸住宅の賃料も安くない現実を改めて突きつけられた。6割以上の高齢者が自立できない何らかの問題を抱えているということだ。〝お前は自立できているか〟と問われれば自信はない。
社会全体が高齢者の居住環境の改善に取り組まないといけないことを痛感させられたセミナーだった。
小野由記子氏もハイブリッドキッチン提案 西武池袋本店「くらしのデザイン展2022」(2022/3/21)


