サステナビリティを体験し理解するイベント 野村不動産が主催 18社が協賛 再掲
和なり屋の藍染の実演・体験ワークショップ(写真提供はすべて野村不動産)
野村不動産は8月31日・9月1日、「衣・食・住・遊・学」をテーマに同社を含む19の企業が集まり、各企業のサステナビリティの取組みについての展示・ワークショップ・セミナーを楽しみながら体感できるイベント「SUSTAINABLE FUTURE FES 2024 in IKEBUKURO」をサンシャインシティ文化会館ビルで実施した。
協賛企業・団体は青山フラワーマーケット、Andeco、エイトレント、Eco Flow、花王、ごみの学校、Circular Kyoto、ZACOプロジェクト、サンシャイン水族館、サントリー、国際協力NGOジョイセフ、スターバックスコーヒージャパン、ハートフルクリエーション、BRING、BLUE COMPOST、東京・森と市庭、YKK AP、和なり屋の18企業・団体(ブースは13企業・団体)。
参加対象者は野村不動産グループカスタマークラブ会員で、不要になった子ども用運動靴やスニーカー、衣類などを回収してアフガニスタンの子どもたちに寄贈したりリサイクルしたりするサスビナリティ活動に参加するとBRING BOTTLE WATER をプレゼントされ、サンシャイン水族館の入場チケットが当たる抽選会も行われた。同社は今後も2050年カーボンニュートラル実現へ貢献するため同様のイベントを継続して行っていく。
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企業向けのこの種のイベントはたくさん行われているのだろうが、一般の消費者が気軽に参加できるのがとてもいい。様々な展示・ワークショップなどを体験し、各企業が環境保護や人にやさしい商品・サービス提供に力を入れていることが理解できるし、SDGsに貢献する消費行動を考えるきっかけにもなる。
記者はすべてのブースを見学したわけではないが、いくつか紹介する。驚いたのはサントリーだ。何と14年前の2010年に取材した「パフカル」が紹介されていた。商品紹介は省くが、同社はその2年後の2012年、トヨタ自動車と「トヨタサントリーミドリエ(上海)園芸有限公司」を設立し、市場を海外に求めた。
ついでに、読者の皆さんには、サントリー「TOKYO CRAFT 〈東京クラフト〉」もお勧めだ。糖尿の記者はビール、ウイスキーはあまり飲まないのだが(「山崎」は飲みたくても買えない)、「TOKYO CRAFT」は毎日のように飲んでいる。病みつきになること請け合いだ。
売上げ倍々増 これはヒットする サントリーミドリエ「パフカル」(2010/6/7)
花王とスターバックスは、それぞれ自社製品のプラスチック容器の再利用に力を入れているのを知った。花王は洗剤やシャンプーなどの容器の完全リサイクルを目指しており、ライバル会社を含めた他社とも連携を進めコスト削減に努めている。
スターバックスは、プラスチック製タンブラーを回収し、新たな製品づくりにつなげていく「タンブラー部」の取り組みを強化する。試作品(アート作品)を見たが、無限の可能性を秘めていると思った。
ZACOプロジェクトも素晴らしい。博報堂DYホールディングスが2020年に設立した会社で、大量に廃棄される雑魚を買い取り、タイ焼き風にして販売している。味は肉まんに近いそうだが、様々な味付けが可能だろうし、漁業の生産性向上にもつながるはずだ。雑魚をみそ汁に使うと最高においしい。冷凍パックにしたら売れるはずだ。
青山フラワーマーケットのブースでは葉っぱを水に浸すと葉柄から芽が出る「ウンベラータ」を頂いた。成木は数十センチになるそうだ。記者は、オフィスの観葉植物レンタル会社から捨てるポトスの葉っぱをもらって10年くらい自宅に飾っており、以前、葉っぱから芽が出る「マザーリーフ」を育てたことがある。同社の「parkERs」は、これまでマンション現場などでかなり見学してきた。いい会社だ。
その瞬間、福井氏に惚れた三菱地所レジ SOHOタイプの賃貸第2弾「代々木公園」(2022/10/13)
エントランスの切り花が持ち帰れるコスモスイニシア「Living With Green」サービス(2022/7/13)
5社ブランドとの連携がいい野村不の常設「プラウドギャラリー武蔵小杉」(2022/6/25)
東京・森と市庭ブースでは、54ページすべてカラーの冊子をもらった。「森の何でも屋」とあった。林業屋であり、木材屋でもあり、工務店であり、森のツアーガイドだ。野村不動産の「森を、つなぐ」東京プロジェクトにも参画している。これまたすごい会社だ。
「森を、つなぐ」東京プロジェクト始動 野村不HD 奥多摩町と協定(2022/11/28)
YKK APでは、非木造建築向けアルミ樹脂複合窓の新商品「EXIMA55」が展示されていた。樹脂サッシのよさは言うまでもない。戸建て用はかなり普及しているが、マンションは二重サッシの居室側に採用されているのが散見されるのみだ。爆発的に売れるのではないか。野村不動産も10物件くらいの「プラウド」に採用していくという。マンション恭順管理規約が改正され、管理組合が窓ガラスの改良を行えない場合は、区分所有者の責任と負担により実施することが容易になった。
Eco Flowでは、ポータブル電源が展示されていた。ベランダなどに置けるソーラーパネルとセットで10万円くらいに収まる製品もある。この前の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されたときは、3500台の在庫がゼロになったそうだ。
記者が訪れたときは、和なり屋の藍染の実演・体験ワークショップが行われた。和なり屋は浅草に本店を構えており、店の人か大道芸人の人が「浅草から愛(藍)を」「愛(藍)の花(泡)」「恋(濃い)愛(藍)」の連呼に参加者も応え、藍染に挑戦していた。
野村不動産は、同社グループのESG、SDGsの取り組みを網羅的に紹介していた。モデルルームで使用していた家具などをほぼ半値で購入できるコーナーも紹介されていた。他のブースより控えめだったのは、主催者として目立ちすぎてもいけないという配慮か。記者だったら、「プラウドのマンションは他とどこが違うか」をアピールする。例えば、東京都の「マンション環境性能表示」制度。おそらく「プラウド」はもっとも多く「★5つ」を獲得している企業だろうし、「全館空調・樹脂サッシ」マンションも断トツのはずだ。
持家32か月、分譲戸建て21か月連続減 令和6年7月の住宅着工戸数
国土交通省は8月30日、令和6年7月の住宅着工統計をまとめ発表。総戸数は68,014戸(前年同月比0.2%減、3か月連続の減少)。内訳は、持家19,858戸(同4.0%減、32か月連続の減少)、貸家31,546戸(同4.6%増、3か月ぶりの増加)、分譲住宅16,164戸(同4.8%減、3か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンション6,070戸(同4.7%増、先月の減少から再びの増加)、一戸建住宅9,973戸(同9.9%減、21か月連続の減少)。
首都圏は総戸数23,521戸(同5.6%増)、内訳は持家4,257戸(同6.3%増)、貸家11,586戸(同4.0%増)、分譲住宅7,591戸(同6.9%増)。
首都圏マンションは、総戸数3,155戸(同30.1%増)、都県別は、東京都2,249戸(同19.3%増)、神奈川県774戸(同320.7%増)、埼玉県132 戸(同53.8%減)、千葉県0戸(前年同月は70戸)。
まるでラグジュアリーホテル 素晴らしい外構デザイン 三井不レジ「PWS幕張」
「パークウェルステイト幕張ベイパーク」
三井不動産レジデンシャルは9月1日、シニアレジデンス「パークウェルステイト(PWS)」シリーズ最大規模の「パークウェルステイト幕張ベイパーク」をオープンする。開業に先立つ8月29日、メディア向け内覧会を行った。共用施設が充実しており、緑化率24%の緑をふんだんにあしらった外構デザインが秀逸、まるでラグジュアリーリゾートホテルだ。
現地は、幕張新都心の総面積約17.5haの住宅・商業などの複合機能を一体で開発する「幕張ベイパーク」内に位置。住宅などとの連坦建築物設計制度の適用を受けて建設された。
施設は中間免震構造を採用し、居室数は関東最大級の617室。緑地面積は約6,600㎡、敷地内に約2,400本の中高木を植樹。地域に開かれた広大な外庭と、入居者専用のプライベートな中庭・屋上庭園を含め10の庭を設けているのが特徴。
共用施設のガーデンスパ(大浴場)では、群馬県みなかみ町や栃木県那須塩原市から天然温泉を運び込み、年間を通じて3種類の温泉を楽しむことができるほか、時間限定で第三者も利用できる約260席のダイニング、クラフトビールなど酒を楽しめるガーデンバー、テラスなどを設置。この他、書店「文喫」がプロデュースするPWSシリーズ最多の蔵書数2100冊超のライブラリー、公園を臨むフィットネスルーム、最上階にはスカイビューラウンジとパーティールームを設けている。
ボリュームゾーンの53㎡の前払い方式の入居一時金(一人入居)は75歳で5,112万円、78歳で4,431万円、月額利用料は207,300円。月払い方式の月額利用料は471,300円〜。
2022年11月にホームページを開設してからこれまでの問い合わせは4,700件。今年6月から契約を開始し、185件の申し込みがある。入居者の属性は、居住地は千葉県内居者が65%、都内が23%、年齢は60代から90代で、平均年齢は81.3歳。2人入居は約3割。
施設は、JR海浜幕張駅から徒歩18分、千葉市美浜区若葉3 丁目の住居系用途地域(建ぺい率60%、容積率300%)に位置する28階建て全617室。住戸面積 一般居室(534戸)は42.40~71.28 ㎡、介護居室(83 戸)は22.88~23.89㎡。着工は2021年8月、竣工は2024年5月、開業は2024年9月。設計・施工は熊谷組。外観・インテリアデザインはホシノアーキテクツ、外構デザインは光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所、鳳コンサルタント、環境デザイン研究所。介護・看護パートナーは社会福祉法人太陽会、医療連携は太陽会・医療法人鉄蕉会。
外構
「遊歩の庭」(中庭)
「参集の庭」(屋上庭園)
ロビーラウンジ
ダイニングテラス
ガーデンスパ
ガーデンダイニング
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地獄の沙汰も金次第とはよく言ったものだ。小生のような貧乏人は宝くじでも当てないと入居できないが、お金持ちにとっては超割安だろう。月払いに換算すると、食事付きで1日約16,000円。ラグジュアリーホテルなら数万円はするはずだ。前払い方式の場合、想定居住期間が何年に設定されているかわからないが、長く住めば済むほど負担額は少なくなる。
外観・インテリアデザインを担当したホシノアーキテクツ、外構デザインの光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所、鳳コンサルタントなどはさすがというべきか。
吉永小百合さん「あなたはいつだって、今がいちばん好き」に胸キュン(2024/7/29)
他に比肩するものなし三井不レジシニア向け「パークウェルステイト西麻布」開業へ(2024/7/30)
「私もいつか住みたい」吉永小百合さん三井不レジシニア向け「PWS」CM発表会(2024/7/31)
「選ばれ続けるマンション」づくり堅持 三菱地所レジ・宮島正治社長 事業説明会
宮島氏
三菱地所レジデンスは8月29日、メディア向け事業説明会開催し、今年還暦を迎えた同社代表取締役社長執行役員・宮島正治氏(60)は、入社以来ほとんど住宅畑を歩み続けたことについて「とてもよかった」と振り返り、今後の展開について「マンションのお客さまからも施工会社からも『選ばれ続ける』姿勢を貫いていく」と語った。また、説明会後に行った約1時間30分の立食形式の懇談会では、メディアからのストレートや変化球にはもちろん、記者が投じた危険球をさらりとかわし、一つ一つ丁寧に答えた。
宮島氏は昭和62年(1982年)入社。最初に配属された第一住宅部では同社の記念碑的マンション「パークハウス多摩川」(全9棟575戸)を担当し、その後、様々なソリューションを提案するパートナー事業部にも一時籍を置いたが、「ずっとマンションをやってきてよかった。平成26年からは約5年間、住宅業務企画部長として経営にも携われたのはとても勉強になった」とこれまでの歩みについて語った。
平成23年(2011年)の東日本大震災を経験し、また、三菱地所、三菱地所リアルエステートサービス、藤和不動産の住宅事業の統合により、三菱地所レジデンスが誕生したことは大きな転機になり、「団結力が強まった」と述べた。
現在のマンション市場ついては、超富裕層は所有することのステータス性(メリットからベネフィット)、よりよい住環境(眺望、利便性、歴史など)、近しい価値観の共有、資産の分散を志向する傾向が顕著で、実需層はバブル崩壊やリーマン・ショックの経験がないことなどから、住宅価格が下落する不安より資産性を重視し、パワーファミリー(共働きによる収入と、買い替えなどによる売却マンションの差益)が増加していると説明。
今後の同社の展開については、「分譲マンション事業の売り上げ構成は約6割。これからも戸数を追わない。当面は年間2,000~2,500戸販売できるよう仕込んでいく。地価上昇、建築費上昇を見込んだ商品企画が重要となる。収益を圧迫しないよう心がけていく。再開発にも力を入れていく」と話した。最上級ブランドの「ザ・パークハウス グラン」は地方での展開もあり得ることを示唆した。また、顧客はもちろん、施工会社とのパートナーシップを重視し「選ばれ続ける姿勢を貫く」と強調した。
その他4割の比率となっている事業については、賃貸の「ザ・パークハビオ」が調整弁的な働きをしており、今後も利益を確保するため拡大していく姿勢を示し、このほか有料老人ホーム、学生マンション、リノベーション、ホテルコンドミニアムなどメニューを揃え、多角的に展開していくと話した。
記者は「富裕層がステータス性を重視するというなら、大・丸・有にマンションを分譲したら坪単価5,000万円か、それ以上でも売れるのではないか」と牽制球を投げたら、「区分所有者の街づくりなどへの反対リスクを考えると難しい」とかわした。
見慣れている人ほど評価が高い 中規模でも差別化徹底 大和ハウス「宮崎台」
「プレミスト宮崎台 RISETERRACE(ライズテラス)」
大和ハウス工業が分譲中の「プレミスト宮崎台 RISETERRACE(ライズテラス)」のモデルルームを見学した。同社初の「ZEH-M Ready」と「認定低炭素住宅」のW認定を取得しており、設備仕様レベルも高く、久々にレベルの高い中規模マンションを見たと思ったのだが、そんな記者の評価より、販売事務所長の飯田雄介氏の「(マンションを)見慣れている方ほど評価が高い」というコメントがこの物件特性を雄弁に物語っている。
物件は、東急田園都市線宮崎台駅から徒歩7分、川崎市宮前区宮崎三丁目の第一種中高層住居専用地域に位置する5階建て全45戸。7月19日から販売開始した第1期1次の専有面積は54.81~83.97㎡、価格は5,890万~9,930万円(最多価格帯7,500万円台)、坪単価は370万円。竣工予定は令和7年4月。施工は新日本建設。販売代理はライフコーディネーター。
現地は、閑静な住宅地が広がる高台に位置し、同社初の「ZEH-M Ready」と「認定低炭素住宅」のW認定を取得しているほか、住戸プランは、全戸7.4m超のワイドスパン、内廊下方式、リビング天井高2450ミリ、直床、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンター、リビング・主寝室床暖房、二重サッシ(室内側は樹脂サッシ)、玄関脇宅配ボックス、ソフトクローズ機能付き収納・引き戸、マルチデスクカウンター付き腰窓(一部を除く)、浴室タオル掛け2か所などが特徴。
同社南関東支店横浜マンション事業部営業課 販売事務所長・飯田雄介氏は「規模は45戸ですが、周辺物件に負けないよう、記憶に残るよう意識してプランニングしました。マンションを見慣れている方ほど評価が高く、第1期1次では約3割を供給し、すべて成約済みです」と語った。
マルチデスクカウンター
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見学をお願いしたのは、来週の9月2日(月)に同社の「マンション事業計画説明会」が予定されており、同社上席執行役員マンション事業本部長・富樫紀夫氏の話を聞くことになっているのだが、話されたことをそのまま伝えるのは簡単だが、それでは「か・ち・も・な・い」と判断したからだ。
正直に言えば、取材するまではレベルが〝並〟だったらどうしようかと思っていたのだが、結果は上々。期待以上の成果が得られた。飯田氏の「見慣れている方ほど評価が高い」-これ以上記者が言うことなど一つもない。もう一度、上段の設備仕様レヘルを確認していただきたい。差別化が徹底されている。
コロナ以降、マンション見学は激減している。デベロッパー各社からは取材の声はかからないし、かかったとしてもレベルの低いマンションなど見たくもない記者の利害が一致しているからだ。
しかし、今回の物件は現場取材の大切さを教えてくれた。この記事は富樫氏が話されることと齟齬を生じないはずで、「(読む)価値もない」記事にもならないはずだ。
「販売のネックになるものがない」 全241戸竣工完売へ 大和ハウス他「大倉山」(2024/3/16)
次世代環境配慮型木造店舗「セブン-イレブン福岡ももち店」 ナイス 地産地消に貢献
ルーバーと外壁にスギを用いた店舗外観(左)と福岡市産ヒノキを用いた店舗内観
ナイスは8月28日、セブン-イレブン・ジャパンの新たな次世代環境配慮型の木造店舗「セブン-イレブン福岡ももち店」で、同社が木材全般の調達及び加工を手掛け、地産地消に貢献したと発表した。
同店舗は、福岡市産材の活用に加え、省エネ・創エネ・蓄エネ設備を備えた次世代環境配慮型の店舗で、同社は同店舗で使用された構造材、羽柄材、内外装材など゛の木材全般の調達及び加工を手掛けており、構造材のうち約4割が福岡市産材、約3割がその他の九州産材になっている。
外装の木製ルーバーには、表層圧密加工を施した同社オリジナル木材製品「GywoodⓇ」、外壁には、自然な木目の立体感と美しい陰影を持たせた「凸凹GywoodⓇ」が採用されている。店舗全体における木材使用量は33.76㎥となっている。
シンプル・イズ・ベスト 記者の一押しは「静」 積水ハウス「6 HOUSES」
「6 HOUSES」
〝百聞は一見に如かず〟-積水ハウスは8月28日、顧客の“感性”を住まいに映し出すデザイン提案システム「life knit design」を体感できるリアルサイズの6棟からなる「6 HOUSES」のメディア向け見学会を「コモンステージみどりのⅡ」(茨城県つくば市)で行った。この良さは体感しないとわからない。「コモンステージみどりのⅡ」は8月24日にオープン、10月7日までの期間限定。すべての関係者に見ていただきたい。持家も賃貸も分譲も目指すべき方向性が見えてくるはずだ。
「Life knit design」は、2023年6月に発売したもので、従来の「テイスト」によるデザイン提案から、空間における色や素材、カタチなどから受ける印象を言語化し導き出した独自の「6つの感性フィールド」(「静peaceful」「優tender」「凛spirit」「暖cozy」「艶luxe」「奏playful」)に基づき、顧客の感性に寄り添った住宅・暮らしを提案するもの。現在、感性に響くこだわりの住まいがデザインされる場として「life knit atelier」を全国84か所で展開している。顧客からは「家族間で異なる感性を、写真やコメントで共有しコミュニケーションをとりながら家づくりができる」「潜在的な感性を引き出してくれる」などの声が寄せられている。
「6 HOUSES」は、これまで培ってきた同社のノウハウを注ぎ込み、リアルサイズ(約100㎡)の「6つの感性フィールド」すべてを同じ間取りで設計し、営業担当と顧客が最適解を導き出そうという試み。
外観・外構は、同社の「5本の樹」計画に基づき、在来種を中心とした低木・中高木を配することで、四季の移ろいを感じることができるようにしているのが特徴。建物の構造は鉄骨と木造のシャーウッドが半々。
静
暖
優
凛
奏
艶
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「life knit design」については昨年6月の記事を読んでいただきたい。この日(8月28日)は、ほぼ同じ間取りのリアルサイズ(約100㎡)の「6つの陥穽(わがパソコンはどうしてこのような意地悪をするのか。もちろん感性)」を比較体感できるというのでワクワクしながら見学会に臨んだ。
1棟当たり見学時間は15分という制限が設けられていた。記者一人なら十分だが、同時に数人の記者が見学するのだから、こまごまとしたことは聞けず、自分が興味あるものに絞り、自分の〝見る目〟を信じて評価することにした。
最初に見たのは「静」だった。ネーミングからは嫌な予感がした。お医者さんごっこまでした幼馴染の「静子」さんが思い出されたのだ。静子さんは名前とは真逆のお転婆だったので大人になるまで好きになれなかった…。
そんな嫌な思い出を振り払い、ままよと玄関を開けた、そのとたん、「白」の世界が飛び込んできた。カラーリングはほとんど白だ。収納は天井まであり、地窓からは庭が眺められ、リビングサッシ窓の向こうからは同社の「5本の樹」計画の樹木が優しく迎え入れてくれた。
この段階で、記者は「6 HOUSES」の中でこれが一番好きだろうと確信した。〝シンプル・イズ・ベスト〟-17年も昔の「加賀レジデンス」がよみがえった。何といっても美しいのは「白」だし、さらに言えば、白はどのような感性も受け入れ、その感性を際立てる役割を果たす。白鳥は悲しいのではない。空の青にも海の青にも染まず悠然と泳ぐ姿は実に凛々しく清々しい。
ほれ込んだのはデザインだけではない。住宅の基本性能・設備仕様レベルも高い。1階リビング天井高もサッシ窓も収納扉も2700ミリ、階段はメーターモジュール、引き戸はソフトクローズ機能付き、建具・家具などは角をアール状にしたユニバーサルデザインが施されていた。床はメープル材で、フェンスも庭のデッキも本物の木が使われている。
「静」を見終わってから、「暖」「奏」「凛」「優」「艶」の順に見学した。企画意図はそれぞれ伝わってきた。
「暖」の床はウォルナットで、天井にも同じ素材の木を張るなど木の豊かさや素材感を演出している。
「奏」は字のごとく、楽しくなりそうな家具などの配置で、子育て世代にぴったりだと思った。
「凛」は「緊張感のある空気感」がテーマで、家具の面取りがシャープだったり、床材のセンはアトランダムに配されていたり、主寝室は触れればただでは済まなさそうなツインベッド(ほかはダブルベッドが多かった)。「凛」の字はとても好きだが、小生の性格にはあわない。
「優」はよくある重厚感のある建具・家具が配されており、床はオーク材。小生より誕生日が2日か3日早い同学年の〝優秀〟な住宅評論家・H氏が「これが一番」と話した。そうだろうと思った。好みには性格が反映する。
「艶」はなまめかしい艶子さんを連想したのだが、肩透かし。床材は濃い目のウォルナットで、これまた軽佻浮薄そのものの記者にはあわないと選外。結局、「静」が最後まで残った。
見学の事前も事後も気になったのは、夫婦の好みが一致するのはまれだろうから、夫婦喧嘩に発展しないかということだ。結局は腕力か金力がものをいうのだろうか。担当者に聞いたら「それがいいんです」と全然気にしていないようだった。
エントランス
静
窓からの庭
静のドア
H氏(艶の庭のデッキで)
凛の床(見づらいが床材は幅も長さもいろいろ)
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とてもうれしかったのは、やはり「5本の樹」計画が徹底されていたことだ。各住棟の敷地面積は54坪(180㎡)で、建築面積は20坪(66㎡)くらいだろう。敷地北側の道路を川に見立て、エントランス部分は入江=里山だ。2台駐車のガレージにはさざ波が打ち寄せる入り江をイメージしたデザインが施されており、地産地消の景石も配されている。敷地南側の庭は「山」をイメージし、起伏を設けて自然の山のように中高木をふんだんに配し、ウッドデッキで本を読んだり家族で楽しんだりできるよう演出されている。
数えたわけではないが、敷地内には20本くらいの中高木が植えられていた。昭和の時代の建売住宅の敷地面積は40~60坪が普通で、外構をしっかり造り込んだものも少なくはなかったが、20本もの中高木を植えたデベロッパーはほとんどいなかった(皆無ではなかった)。
担当者に中高木・低木の主な樹種を聞いた。アオダモ、モミジ、ヤマボウシ、シラカシ、ナナミノキ、フェイジョア、オリーブ、ユズリハ、ヤマツツジ、ハクサンボク、セイヨウシャクナゲ、ナツハゼ、クロガネモチ、イヌシデ、ヒサカキ…。これらを植栽デザインの樹本である不等辺三角形の形で植えるのだそうだ。
いま、地球温暖化防止対策として街路樹を含めた緑被率(樹冠被覆率)を高めるのが有効とされているが、この日見学した「6 HOUSES」の緑被率は50%近くあるのではないか。
優のウッドデッキ
顧客の“感性”を住まいに映し出す新デザイン「life knit design」始動 積水ハウス(2023/6/20)
これほど〝美しい〟マンション見たことない 鹿島建設「加賀レジデンス」(2007/5/18)
積水ハ「赤坂グリーンクロス」にオープンイノベーション施設「イノコム・スクエア」
「InnoCom Square(イノコム・スクエア)」エントランスゾーン
積水ハウスと積水ハウスイノベーション&コミュニケーション(積水ハウスイノコム)は9月5日、港区赤坂2丁目の「赤坂グリーンクロス」にオープンイノベーション施設「InnoCom Square(イノコム・スクエア)」を開設する。開業を前にした8月26日、メディア向け内覧会を行った。
「積水ハウスイノコム」は2024年2月1日に設立。積水ハウスグループのグローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”を実現すべく、「住まいと暮らし」を基軸にした6つの大分類、16の中分類の領域技術、顧客基盤、データ、人財を活用し、オープンイノベーションのさらなる推進と人財育成を目指す。
開設する「イノコム・スクエア」は、同社グループの人財や研究者が常駐することで、自然にイノベーションが生まれる「価値創造の場」として運営する。また、当社グループが事業や課題を提示し、スタートアップ企業を募るリバースピッチイベントなども積極的に行っていく。
施設は、東京メトロ溜池山王駅直結、港区赤坂2丁目の「赤坂グリーンクロス」23階の約882㎡。天井高は2800ミリ。エントランスゾーンには屋根型の梁や無垢フローニングを採用しているほか、施設内全体に、同社グループ会社の建材や家具メーカーの技術による再利用が難しい端切れや廃盤木材を活用し、サーキュラーエコノミーを具現化している。
内覧会で積水ハウスイノベーション&コミュにケーション代表取締役・辰井伸洋氏はリバースピッチでは、同社が培ってきた技術、顧客基盤、データ、人財(材)を活用し、「この指とまれ」を掛け声に事業者を募集し、向こう10年間のCVC投資規模50億円(組合存続期間10年)と掛け合わせて、住まいと暮らしを基軸とした社会課題の解決を目指すと話した。
エントランスゾーンのロゴ
「InnoCom Square(イノコム・スクエア)」おもてなしエリア
辰井氏
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取材の目的は2つあった。一つは、もちろん「InnoCom Square(イノコム・スクエア)」がどのような施設であるかを確認することで、もう一つは、同社と日本生命が共同事業主として建設した「赤坂グリーンクロス」がどのような建物かを見学することだった。
後者から先に紹介する。同ビルは「BELS」認証の5つ星、「ZEB Oriented」評価、「CASBEE建築(新築)」Sランク(自己評価)を取得しているSクラスのビル。何が素晴らしいかといえば外構だ。ビルの四囲を見て回った。総合設計により建てられた建物だから、緑が豊富なのは当たり前だが、これほど豊かな植栽を施しているビルは赤坂・溜池山王・赤坂見付駅圏には「赤坂インターシティ」以外にはまずない。どこの都心部のオフィスビルと比較しても互角以上のはずだ(「新・里山」には負けるが)。
草花や中高木にはほとんど名札・バーコードがつけられており、中高木はみんな成木が植えられていた。さすが「5本の樹」計画の積水ハウスだと思った。絶滅危惧種とされる「ヒトツバタゴ(なんじゃもんじゃ)」は、樹齢100年と言われる神宮外苑のそれより立派だった。
溜池山王駅から直結の地下2階からエントランスホールの3階までの壁面などには、高性能吸音プラスター「BASWAphon・バスワフォン」が天井から吊り下げられていた。その数は何千本、何万本だろう(もっと多いか)。これまた素晴らしい。エレベータの庫内の床と手すりには本物の木が使われていた。
施設内はどうか。エントランスはナラ材の屋根型梁とナラ材の無垢のフローリングが施されており、「Inno Com Square」のロゴはホワイトアッシュ、メープル、ゼブラウッド、ウォルナット、チェリー、ナラ、ブビンガで作られており、一部にわが国の伝統技法の「契り」や「草木染め」が採用されていた。このほか、スペース内には長さ7メートルの「ナラ枯」を用いたカウンター、同社グループのアイダ、マルホン製のソファ・テーブルなどが配されていた。
一つ気になったのは、施設の目玉の一つでもある多目的スペース「おもてなしエリア」には観葉植物が4本(鉢)しかなかったことだ(窓際のくつろげるスペースは本物の観葉植物)。施設全体でも鉢植えは7つしかなかった。これまで見学してきた同社のマンションモデルルームやオフィスにはふんだんに緑が配されていたので、その落差が目立った。
いくつか記事を添付する。「グランドメゾン伊勢山」「グランドメゾン品川シーサイドの杜」や「SUMUFUMU TERRACE」の記事を読んでいただきたい。同業他社の先進的な〝みどり〟の取り組みも紹介する。
「赤坂グリーンクロス」外構
ヒトツバタゴ
「赤坂グリーンクロス」共用部分(エスカレーターから)
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辰井氏が話した「この指とまれ」はいかにも積水らしいと思う。累計CVC投資額が数百億円に達している同業の三井不動産や三菱地所とは桁違いだが、業態が異なる。例えていえば、積水ハウスはひがな一日、船上から釣り糸を垂れ、魚が引っ掛かるのを待つ漁法だ。一網打尽の底引き網漁法とどちらがいいか単純に比較などできない。 記者は小さい頃、人差し指を突き立て〝この指とまれ〟とトンボや蝶々をおびき寄せ、捕獲したことは何度もある(好きな女性に成功したことは一度もないが)。
イノベーションによって人間は進化し、生き延びてきた。「住まいと暮らし」を基軸に同社がどのようなイノベーションを生み出し、気候変動、高齢化社会、食糧危機などの地球的課題をどう解決していくか期待したい。
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「夜目遠目笠の内」 今夜も美しい女踊りの南越谷阿波踊り堪能 住宅広報連絡会
南越谷阿波踊り
「夜目遠目笠の内」ということわざがある。女性は、夜見るとき、遠くから見るとき、笠をかぶっているときに見るのが一番美しいという意味だ。言いえて妙。記者はおまけに近眼と老眼。姥桜も乙女桜に見える。このことわざにもっともふさわしい阿波踊りを今夜(8月24日)、ハウスメーカーの広報担当などで構成される住宅広報連絡会主催の8月度臨時会「地域活動の現状視察 南越谷阿波踊り」で堪能した。
会場となった南越谷阿波踊りは、本場・徳島、高円寺と並ぶ「日本三大阿波踊り」の一つ。住宅広報連絡会のメンバーでもあるポラスグループの創業者で徳島出身の故・中内俊三氏の呼びかけで始まったもので、今回が38回目。前夜祭の金曜日を含め、24日(土)、25日(日)の3日間で60~70万人の来場が見込まれている。
本場・徳島出身の積水化学工業住宅カンパニー広報・渉外部広報担当部長・馬場雄大氏(左)とポラスグループコミュニケーション部広報課・青柳浩二氏(飲食店で)
「にわか連」に参加するための練習
「えっ、鉦はこんなに重いの? 」(2~3キロありそうだった。ポラスの女性の方は難なく持ち上げ、鹿の角でできた撞木(バチ)で連を自由自在に操るそうだ)
◇ ◆ ◇
「地域活動の現状視察 南越谷阿波踊り」は今回で20数回目。記者はおそらくただ一人の皆勤賞。目的は、各社の広報担当者や同業の記者の方たちと歓談することも楽しいのだが、冒頭に書いたように美しい女踊りを鑑賞することと、酒を飲むことだ。
きれいに撮れていないが、デジカメに収めた写真を紹介する。女性がつま先立って踊るときの衣装(すそよけ)の煽情的な裾模様と白い脛がたまらなく美しい。女性はハイヒールを普段から履いているからだろうか、もう芸術的というほかない。スケベ爺と言わないで頂きたい。異常なほどの足指フェチだった谷崎潤一郎と比べれば、小生など足元にも及ばない。
以下は、ポラスグループ提供
◇ ◆ ◇
この日の参加者は、ハウスメーカー広報担当が9社17人、メディア関係者などが10人の総計27人。多いか少ないか、記者が判断することではないが、もっとも多かったころと比較すると半減している。
増やそうとするならば、やはり目的を明確にすることだと思う。飲み放題を楽しむのか(2時間では短すぎると思うが)、身内同士の交流を深めるのか、メディア関係者とコンタクトをとるのか、「にわか連」に加わって踊りたいのか…などだ。何度も言う。小生は目に彩な阿波踊り魅了されたからだ。これまでも同業の記者の方と歓談したことはほとんどない。
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三井不動産 旧そごう川口店2025年春リニューアルオープン
「(仮称)川口駅前商業施設計画」
三井不動産は8月22日、旧そごう川口店のリニューアル計画「(仮称)川口駅前商業施設計画」を着工したと発表した。開業は2025年春の予定。
本事業は、2021年2月に閉店した旧そごう川口店建物のそごう・西武持分を同社が取得し、同社ブランドの商業施設としてリニューアル・再開業を行うもの。建物はJR京浜東北線川口駅東口からペデストリアンデッキで接続されている。
リニューアルに際しては、旧そごう川口店の特徴である大時計や大理石などを残しながら、アパレル・コスメ・生活必需品や生鮮・スイーツなどのグルメ店舗など約100 店舗を揃え、活気ある街づくりに貢献するとしている。
施設は、JR京浜東北線川口駅からペデストリアンデッキにより直結、川口市栄町3丁目の敷地面積約8,900㎡、11階建て延床面積約68,800㎡、店舗面積約21,500㎡、店舗数約100店舗。開業予定は2025年春。設計・施工は大成建設。環境デザインはスペース。