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 国土交通省は12月20日、第3回「社会資本整備審議会住宅宅地分科会マンション政策小委員会」(委員長:齊藤広子・横浜市立大学国際教養学部教授)を開催し、各委員がマンションの維持管理の適正化や再生の円滑化に向けた取組みの強化など「とりまとめ(案)」に向けた意見交換を行った。

 国交省は今回の論議を踏まえ、小委員会とりまとめ(案)についてパブリックコメントを実施し、2024年2月7日の第4回マンション政策小委員会でとりまとめに向けた審議を行う。

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 記者はオンラインで視聴したのだが、操作を間違え、音声のみで齊藤委員長ほか各委員の顔・姿は見えなかった。視聴する目的は、だれが何を発言するかであって(記者は齊藤委員長のきれいな声と一部の委員の声は判別できるが)、各委員の顔が見えなければ取材の目的は達成できない。これが残念だった。すべて記者の責任だ。

 それでも各委員の意見はよく理解できた。管理会社管理方式では利益相反が取り上げられたが、手続き・契約をしっかりすれば利益相反は防げるのではないかと楽観的に考えるようになった。管理会社管理方式の1戸当たり負担額は中古マンションで1,000円/月が相場のようだから、これは加速度的に普及するのではないか。国交省は総会の前にきちんと説明することを義務化し、変更時(リプレイス)や利益相反に該当する事案も同様の扱いをすると説明した。(現状ではどんぶり勘定が多いはずだ)

 この方式を採用する場合、監事の役割が増すとして、「とりまとめ(案)」はマンション管理士などの外部専門家の選任が望ましいとしているが、これはどうか。億単位の財産を左右する重要な決定に、マンション管理士は安値で受託しないと思うし、適正な報酬額などはじき出せないのではないか。利益相反が発覚したら、重い責任を管理会社に課すほうがいいのではないか。

 注目すべき発言もあった。戎正晴委員(弁護士・明治学院大学法学部客員教授)は、区分所有法などは区分所有者の居住を前提としており、「居住しない(不在所有者)の責任はあいまい。責任を放棄している」とまで語った。この「責任放棄」はどういう意味かよくわからない。あとでゆっくり考えることにした(法は居住しないといけないとは規定していない)。それより、反社勢力を排除しているように賃借人などとして実際に居住している人の権利・義務を明確にすべきだと考えている。(マンション管理の両輪であるコミュニティ条項を削除したのは問題だったといまでも思っている)

 これも戎委員だったと思うが、「管理所有」の是非を指摘した。鋭い指摘だと思った。実態を記者は知らないが、かつてライベックスは学生マンションの共用部分を自社所有として登記したが、同社が破綻して問題になったことがある。また、駐車場を事業者が区分所有している事例も少なからずあるはずだ。国交省は実態を調査する旨の発言をされた。どうなるか。

 一定の基準を満たすマンションの管理計画を認定する制度(マンション管理計画認定制度)についても、各委員から意見がたくさん出された。記者は、マンション管理業協会が取り組んでいるマンション管理適正評価制度との統一を図るべきだと思っている。認定制度は令和6年11月現在で1,523件しか認定されていない。一方で、適正管理制度は、令和6年度末までに10,000件の登録を目指している。記者は大きな期待を寄せている。間違いなく市場で評価されるはずだ。齊藤氏はそれを実証した。

 このことと関連するが、「とりまとめ(案)」は地方自治体の体制・権限強化の方向性を示したが、これはマンション管理に関する専門家を育成して初めて機能することだ。そんな余裕のある自治体があるとは思えない。記者は、機能不全に陥る前に国なり自治体が買い取り、住宅困窮者などに低家賃で賃貸すべきだと思っている。

マンション管理適正評価最終コーナーへ「たった1割」「ちょうど1割」達成なるか(2024/11/15)

「管理者と管理業者は構造的に利益相反の関係」香川弁護士旭化成不レジ基調講演(2024/8/23)

大和ライフネクスト第三者管理者方式既存中心に76組合受託 2026年に200組合へ(2024/5/22)

第三者管理者方式徴収額は月額1,000~2,000円/戸マンション管理協(2024/5/16)

マンション管理会社 3割が投資用中心に第三者管理者方式導入国交省(2023/12/26)


 

 

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「プラウドタワー岡山」

 野村不動産、JR西日本不動産開発は12月19日、参加組合員として参画している岡山市駅前の市街地再開発事業マンション「プラウドタワー岡山」第1期164戸の抽選販売を12月7日行った結果、最高価格3億6,998万円の住戸を含み、最高8倍、平均2.15倍で即日完売したと発表した。

 JR岡山駅徒歩3分の再開発という立地に加え、免震構造、長期優良住宅などか評価され、申込者は約7割の地元岡山だけでなく首都圏や関西圏からの申し込みもあったという。

 物件は、JR岡山駅から徒歩3分、岡山市北区駅前町に位置する敷地面積約3,249㎡、31階建て全422戸(分譲367戸)。竣工予定は2026年4月下旬。専有面積は44.92~193.87㎡。坪単価は355万円。

 この他、再開発事業として16階建てのホテル棟(ホテル・商業施設・オフィス)と7階建て(1階がアミューズメント施設)が併設される。

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 毎日、各社からプレース・リリースは20本くらい届く。この日(19日)、同社からリリースが届いたのは午前中だったが、リリースをチェックしたのはかなり酔っぱらっていた午後9時前だった。第1期の供給戸数の多さと競争倍率に驚いた。

 記者は20年くらい前、減歩率が97%という前代未聞の広島県福山市郊外の土地区画整理事業「佐賀田土地区画整理事業(あしな台)」(19.5ha、342区画)を取材した帰りに、倉敷市に立ち寄ったことはあるが、岡山駅には一度も降りたことがない。20ある政令指定都市の中でも人口は下位(19番目)くらいしか知らない。

 そのままコピペして記事化しても「か・ち・は・な・い」ので、坪単価を聞いてからアップすることに決めた。同社広報担当者に「牧田さんは、いくらだと思いますか」と問われたので、320万円と応えた。根拠として、大阪の「グラングリーン」の坪単価1,000万円を基準にし、札幌、仙台、福岡などは坪400万円を突破していることを勘案し、1,000×半値×8掛け×2割引きとした。320万円になる。(事業者と岡山県民の皆さん、申し訳ない。低く評価しすぎたか)

 正解は上段で書いた通り。予想は外れた。まあ、大きくは外さなかったので良しとしたのだが、大和ハウス工業他「ONE札幌ステーションタワー」(坪単価400万円、1億円以上は130戸)が2021年11月から1年9か月で全542戸を完売したのと同じくらい〝プラウド〟はすごい。

 

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「minanoba相模原」

 東京建物は12月19日、地域密着型商業施設の新ブランド「minanoba(ミナノバ)」を立ち上げ、第1号物件「minanoba相模原」を2025年3月5日にオープンすると発表した。第2号物件も川口市で開発を進めている。

 「minanoba」シリーズは、地域のニーズに合わせたスーパーマーケット・飲食・物販・サービス店舗を集積し、近隣居住者にワンストップで便利な体験を提供することを企図している。

 「minanoba相模原」は、小田急線小田急相模原駅から徒歩9分、相模原市南区南台三丁目に位置する敷地面積約7,341㎡、鉄骨造・2階建て延床面積約8,646㎡。スーパーマーケット・ライフのほかドラッグストア、アイスクリーム、歯科、買い取り、総合衣料、100円ショップ、寿司など11店舗が入居する。

 

 野村不動産ホールディングスは12月19日、戸建て施工会社・中里建設の株式を取得し、2025年4月1日付で野村不動産グループ入りすると発表した。都心型戸建事業の安定供給体制構築が目的。

 中里建設は中里建設は2004年6月設立。本社は埼玉県新座市、社長は中里且也氏、資本金は500万円、従業員数は23名。これまで戸建の施工を中心に累計1,000戸超の戸建て施工実績があり、とくに難易度の高い都心エリアでの施工を強みとしているという。

 野村不動産は、都心型戸建事業に力を入れており、これまで累計150戸(2024 年12月現在)を供給している。今後、建築費上昇や労働力不足など受注先の選定は難易度が増す可能性があり、中里建設をグループに迎えることで都心型戸建事業の安定的な供給体制を構築する。

 

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「都県境の家賃が安い駅ランキング」

 記者もそうだし読者の皆さんもそうだろう。住居を移すとき必ず考えるのは、勤務地にもよるだろうが、転居先が都心に近いかどうかだ。都心から離れるのは、何の根拠もないはずなのに「都落ち」のイメージが付きまとい、決断を鈍らせる。

 デベロッパーもまた都心志向が強く、「日本橋」や「大丸有」が東京のわが国の中心地であるかのイメージを植え付け、そこを起点に価値(価格)を測る。メディアもまたそれに追随している。

 そんなモノサシより、子育て環境、緑環境を重視したモノサシがあっていいとずっと考えているのだが、昨日(12月18日)、「LIFULL HOME'S 2025年トレンド発表会」が考えるヒントを与えてくれた。「ずらし駅」だ。家賃が高いターミナル駅、特急・急行停車駅の前後の、家賃が安い各駅停車駅に目線を移せば家賃負担額を減らせることに着目したものだ。

 同社が示したデータは、ポータルサイトへの問い合わせ件数のみの比較なので、賃貸住宅選びにはいま一つ説得力に欠ける。そんなことを同社広報担当に話したら、東京から「日吉」へ「都落ち」したという担当者が「都県境の家賃が安い駅ランキング」を発表しているというので、リリースを送ってもらった。

 リリースは2024年9月11日付で、家賃を抑えながら都内へのアクセスの良さの両立もできるのではないかということに着目。東京都と隣接する神奈川県、埼玉県、千葉県の間を走る30以上の鉄道路線に注目。各路線においてギリギリ都内に位置する“ギリ都内駅”と一駅で都内に行ける“ほぼ都内駅”を「都県境の駅」として単身向け家賃相場を調査し、差額の大きい順にランキング化したもの。

 以下に紹介する。とても面白い。やはり家賃相場にも「都落ち」の影がちらつく。

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 神奈川県は、「川崎」「武蔵小杉」「古淵」がベスト3。それぞれ「品川」「大崎」「町田」と比較した結果だ。分譲マンションは、川崎も武蔵小杉もずいぶん高くなり、城北・城東エリアと同等かより高い。古淵はマイナーなイメージしかない(ネットで調べたら「日高屋」はなく「ドトール」は昨年閉店、「マクドナルド」は徒歩15分=この〝御三家〟は街のポテンシャルを測る物差しになることを同業の記者に教わった)。

 ベスト10のうち4駅が京王相模原線だ。これまで何度も書いてきたように京王線は他の沿線と比較してものすごく割り負けしている。わが多摩センターの新築マンションの坪単価は神奈川、埼玉、千葉の遠隔地と同じ250万円だ。さすがに残りはわずかのようだ。

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 埼玉県は、「戸田公園」「浦和」「和光市」がベスト3。それぞれ「浮間舟渡」「赤羽」「地下鉄成増・成増」との比較だ。浮間舟渡はなにもない街で、それより戸田公園が安いのはよくわからない。赤羽と浦和の比較では、記者は圧倒的に浦和が上位だと思う。和光市の街のポテンシャルは地下鉄成増・成増よりむしろ高いと思う。

 アルヒが〝本当は住みやすい街〟として1位に祭り上げた「川口」が8万円で、浦和の7.7万円より高いのは理解できない。「都心志向」の典型だ。

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 千葉県は、「市川」がトップで、2位は「松戸」、3位は同率で「小岩」「江戸川」。それぞれ「新小岩」「金町」「市川」「国府台」との比較だ。

 新小岩は総武線快速が停まるので高いのだろうが、市川より4,500円も高いのがよくわからないし、逆に小岩が市川より1,000円安い72,000円というのもよくわからない。つまり、新小岩と小岩は5,500円の差がある。「ずらし駅」が当てはまるかもしれない。

 試しにChatGPTに「駅の近く(5分以内)に『日高屋』『ドトールコーヒー』『マクドナルド』が全て揃っている埼玉県の駅を教えてください」と質問したら、わずか3駅しかなかった。まだそんなテータは蓄積されていないようだ。

2025年トレンドはデコ活・地方億ション・ずらし駅・防犯投資などLIFULL HOME'S(2024/12/18)

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「LIFULL HOME'S 2025年トレンド発表会」

 LIFULLが運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」は12月18日、「LIFULL HOME'S 2025年トレンド発表会」を開催し、LIFULL HOME'S総研副所長兼チーフアナリスト・中山登志朗氏が、来年の注目トレンドワードとして「デコ活」「ローカル億ション」「ずらし駅」「住まいの防犯投資」「家じまい元年」の5つを紹介した。

 「デコ活」とは、環境省が提唱している造語で、脱炭素:Decarbonizationでエコ:Ecoを実現しようというムーブメント。【デ】電気も省エネ断熱住宅(住環境で脱炭素)【コ】こだわる楽しさエコグッズ(省エネ家電・LEDなど住設備でエコ)【カ】感謝の心食べ残しゼロ(フードロス対策)【ツ】つながるオフィステレワーク(環境負荷の少ない働き方)など、3分野13種類の具体的なデコ活アクションが紹介されている。

「ローカル億ション」は、マンションの販売好調、地価・資材高騰、人件費の上昇などで大都市圏だけでなく地方圏でも億ションが当たり前になるとした。

 「ずらし駅」とは、利便性が高く賃料が高い駅圏の前後の各駅停車駅圏の賃貸住宅の問い合わせが増加しており、今後も賃料が低めに設定されている駅に目線をずらした「ずらし駅」の人気が高まるとしている。

 「住まいの防犯投資」は、闇バイトによる住宅侵入が相次ぎ社会問題化したことを受け、防犯ガラスの設置が新築やリフォームで増加するとしている。

 「家じまい元年」は、早めの相続対策を練る必要があると指摘した。

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中山氏

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 5つのトレンドワードはすべて納得できるものだった。「デコ活」でいえば、脱炭素、省エネに熱心でないデベロッパー、ハウスメーカーは相手にされなくなる時代に突入した。一つ付け加えればサーキュラー・エコノミー(CE)、サーキュラー・デザイン(CD)、サーキュラー・シティ(CC)だ。

 土地代がただでもマンション坪単価は200万円以下はありえない時代だ。「ローカル億ション」は当たり前だ。同社は、地方の億ションとして「旭川」(ツボ22万円)「首里金城町」(億ションは坪341万円)「宍道湖」(坪60万円)を紹介したが、それより記者が驚いたのは、大和ハウス工業「モンドミオ沖縄リゾート ライカムヒルズ」(129戸)だ。所在地は沖縄県中頭郡北中城村だ。坪単価は250万円。億ションもある。「村」で億ションが分譲されたのは「トマム」のほかにあるか。

 一つ、同社の資料で気になったことがある。同社は2020年から2024年5月までに億ションが分譲された都道府県を図示し、空白は岩手、山形、茨城、栃木、群馬、富山、三重、和歌山、鳥取、山口、徳島、高知、大分、宮崎の14県としている。これは、「LIFULL HOME'Sに掲載された億ションのある都道府県」としているからではあるが、群馬県高崎市では2021年に億ションが分譲されたし、フージャースコーポレーションが分譲開始した「水戸」にも億ションがある。栃木県宇都宮市、山梨県甲府市も億ション超は時間の問題だ。

 「ずらし駅」は生活防衛策として分からないでもないが、もう少し具体的で正確なデータを公表すべきだと思う。例えば、同社が例示した主要なメジャー駅とその周辺駅圏の2024年1~11月と2023年1~12月を比較した賃貸問い合わせ件数。「調布」は前年比83.5%なのに対して「布田」は10.87%、「国領」は134.7%、「西調布」は156.5%、小田急線の「下北沢」は91.6%なのに対して、「東北沢」は114.9%、「世田谷代田」は110.7%、「池ノ上」は109.5%、「新代田」は102.8%などだ。

 データはこれしかないので何とも言えないが、調布と布田は徒歩10分圏内だし、西調布とは駅力が全然違う。調布には「日高屋」も「ドトール」(禁煙だが)あるが「西調布」には両方ともない。小田急線の下北沢の人気は分かるが、住宅地としてはその周辺駅のほうがいいと言えなくもない。

 「住まいの防犯投資」と「家じまい元年」は、「リストガーデン武蔵新城セキュリティ・タウン」と「家じまいと空き家予備軍の最新事情」の記事を読んでいただきたい。CP(防犯)ガラスの採用に消極的だったハウスメーカー、デベロッパーは考え直すべきだ。

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 発表会場に着いたとき、おやっと思ったのは中山氏が着ているシャツだった。今年初めの同社恒例の「買って住みたい街」ランキング発表会で中山氏が着ていた鮮やかなオレンジのシャツよりやや濃いめでブラウンに近かったが、中山氏の好きな色だと思った。(ジャケットは記者が外出時に着るものとよく似ており、ウール100%の濃紺のふわふわ感がするものだった。値段は中山氏に負けた)

 そうではなかった。オレンジは同社のコーポレートカラー(オレンジといえばエルメスだが、少し違う)で、この種の発表会で着るようにしているとのことだった。よく聞き取れなかったのだが、このほかにもオレンジ色の靴とかネクタイ…などを用意されているという。

 LIXILのコーポレートカラーも同じオレンジなのでよく間違えられるとか。そういえば、LIXILとLIFULLはロゴもよく似ている。

 中山さん、いっそ会社のキャラクターとしてすべてオレンジのぬいぐるみになったらどうか。くまモンに負けない。反響数は爆発的に増加すること請け合いだ。

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わがデジカメもオレンジに染まった(左のキャラより中山氏がキャラになったほうがいいと思うがいかがか)

ショック!戸建ての防犯(CP)ガラス取り付け率はわずか4.3%日本サッシ協会調べ(2024/11/29)

全戸にCPガラス IoT駆使し快適性も県初のリスト「防犯セキュリティ・ホーム認定」(2024/11/28)

大阪一等地マンションは坪1,000万円沖縄の「村」は坪250万円でも人気大和ハウス(2024/9/11)

「空き家」直接買取り首都圏で年間6,000~7,000棟オープンハウスグループ(2024/9/10)

〝めっちゃ〟10連発井上咲楽さん LIFULL HOME'S「住みたい街ランキング」発表(2024/1/31)

免震、超高層、ディスポーザー、億ション…初尽くし公・商・住の東京建物「前橋」(2021/7/6)

 

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「CIC Tokyo (虎ノ門ヒルズビジネスタワー)」階段

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梅澤氏

 北米、欧州、アジア(東京)の9都市でスタートアップ向けシェアオフィス/ラボ、支援プログラムを運営するCIC(ケンブリッジ・イノベーション・センター)のCIC Japan合同会社は12月17日、メディア向け勉強会を開催。CICJapan会長・梅澤高明氏、同社CICTokyoゼネラルマネージャー・平田美奈子氏、同社CIC Instituteディレクター・名倉勝氏がそれぞれこれまでの実績、特徴、これからの展開などについて説明した。同社は、東京のほか2025年には福岡でも拠点を開設する予定。

 勉強会で梅澤氏は、「1999年創業のCICのミッションはスタートアップの活動環境を提供することで、グローバル的にもスタートアップのパイオニアだと自負している」と紹介し、これまで25年間、北米、欧州、アジア(東京)の9都市で事業展開してきた結果、入居者は2,500社超、累計資金調達は744億米ドル、年間イベント回数は3,000回以上、年間イベント参加者数は14万人超、わが国の入居企業は約330社に上ることなどを話した。

 CICJapanの大きな特徴として①グローバルネットワーク③環境・エネルギー(気候変動)・バイオ・ライフサイエンス・スマートシティ・宇宙などのディープテックへの注力③女性・外国人への支援のための環境整備のダイバーシティを挙げた。「グローバル展開が前提で、バイリンガルも当たり前。世界で戦えるスタートアップを育てたい」と語った。

 平田氏は、入居企業の1社でわが国史上最速でユニコーンを達成した企業として知られるSakanaAIを引き合いに出し、フレキシブルオフィス/オールインクルーシブル、多様性、バイリンガル、情報発信力がスタートアップには求められると話した。

 核融合工学で博士号を取得している名倉氏は、わが国での事業展開はグローバル展開が前提であり、海外ネットワークとも連携し、海外からの日本での起業も促し、異業種連携や大企業のリソースを活用することが大事などと語った。

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平田氏(左)と名倉氏

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 デベロッパーやハウスメーカーのこの種の取り組みの取材はそこそこ行ってきた。「スタートアップ」または「ベンチャー」のワードで記者の「こだわり記事」を検索すると50件以上がヒットする。主催者や参加者の熱気はストレートに伝わってきた。プレゼン・ピッチは昔と比べ数段よくなった。

 しかし、課題も山積していると思う。ベンチャー企業の5年生存率は約15%というから極めて経営が不安定なこと、ベンチャーキャピタルの投資姿勢にも問題があること、そして何よりも〝日本語の壁〟がグローバル展開を阻んでいると感じている。

 この点について、梅澤氏も平田氏も名倉氏も海外生活を経験しているとのことで、グローバル展開が前提で、バイリンガルは当たり前と話した。

 もう一つ、関連することとして、プロ野球選手などのアスリート、芸術家、学者などの人材の海外流失について質問したら、梅澤氏は、そのこと自体は問題ないとしながら、外国人のわが国での起業が難しく、先進国の中で最低レベルだと指摘したことだ(これも日本語の壁か、起業障壁はほかにあるのか)。母語(日本語)と外国語教育に力を入れないといけないことを改めて感じた。

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ロゴウォール

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共用部分 廊下

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共用部分 アート

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 驚いたのは、勉強会後のオフィス見学だった。虎ノ門ヒルズの15階と16階で合計面積は約6,000㎡。15階と16階をつなぐ階段幅は目測したら約3.5m。様々なイベントにも利用できるようにしているのだろう。

 これに目を奪われたのだが、約160室の個室と100席のコワーキングスペースの配置は常識を超えるものだった。わが国のマンションもホテルも飲食店もみんな同じ、限られたスペースを有効利用するためレイアウトは羊羹切りか短冊切りだ。言葉は悪いが、ブロイラーと大差ない。ところが、ここの個室とコワーキングスペースは極端に言えばアトランダム、乱切り。ありえないレイアウトだった。

 これは、創業者で最高経営責任者のティモシー・ロウ氏が京都に訪れたときの路地にヒントを得た演出とかで、廊下・共用スペースは〝うねうね〟うねっており、ところどころにベンチ・椅子、カウンター、アートなどが配されている。(こういうスペースが思わぬアイデアを生む)

 共用部には仮眠室やシャワールーム、ピンポン台、子ども用のゲームコーナーも備えられている。シャワールームは必須だと思うが、記者は見たことがない。

 オフィス見学を案内した方は「(デベロッパーのように)スペースを売っている気はしない。コミュニティの『場』が大事」とも語った。創業時のミッションが隅々まで浸透しているようだ。

 この方は(名前を出していい許可をもらっていないので伏せる)とてもwitに富む。勉強会が終わり、担当者が「これからオフィス見学会を行いますが、また戻ってきますので、貴重品以外はここに置いていただいて結構です」と話したのだが、この方はすぐ「貴重品だけここに置いといてください」とまぜっかえした。40数年間記者をしてきて、これほど面白い方は初めてだ。

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スタートアップと大企業を結ぶイベントに2,100名「住友不動産ベンチャーサミット」(2023/10/25)

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「(仮称)丸の内3-1プロジェクト」

 三菱地所、東宝、出光美術館は12月16日、「国際ビル」と「帝劇ビル」の建て替え事業「(仮称)丸の内3-1プロジェクト」の都市計画手続きが開始されたと発表した。国家戦略特別区域の都市再生プロジェクト認定に向け、歴史的な31m(百尺)の軒線を継承し、帝国劇場・出光美術間を再整備、皇居外苑を眺める低層屋上テラスを整備、ハイグレードオフィスを6階~29階に整備することなどが特徴。工事期間は2025年度~2030年度の予定。

 計画の特徴は、①帝国劇場・出光美術館の再整備と機能強化②皇居外苑を眺める低層屋上テラスの整備③東京メトロ有楽町線・都営三田線との駅まちまの接続④JR有楽町駅東西を結ぶ地下通路の新設など。

 三菱地所設計が建物全体設計を担い、低層部の外装デザイン提案に建築家・小堀哲夫氏を起用。「大手町・丸の内・有楽町地区まちづくりガイドライン2023」に沿った建物計画を行うとともに、歴史を継承しながら芸術文化の発信を象徴する、世界に誇れる風格ある新しい景観の創出を目指す。歴史的な31m(百尺)の軒線を継承。6~29階にハイグレードオフィスを整備する。

 帝国劇場はロビーホワイエの社交場的機能を強化し出逢い・交流を促進するとともに、あらゆる人々が快適に観劇を楽しめる空間整備や取組を実施する。出光美術館は展示公開エリアを拡充し東洋・日本古美術の魅力や独自性を国内外に発信するとともに、様々な文化発信プログラムの開催やアフターMICEメニューを提供する。美術館設計デザインは日建設計。

 皇居外苑に面した低層部屋上には、一般にも開放される屋外テラスを整備。MICEユニークべニューとしても活用することを想定している。

計画地は、千代田区丸の内三丁目1番地1号他、都市再生特別地区の区域面積約1.4ha、敷地面積合計約9,900㎡、延床面積 約176,000㎡、容積率約1,500%。階数・高さは地上29階、地下4階/約155m。工事期間は2025年度~2030年度の予定。

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低層部イメージ図

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低層屋上テラス イメージ

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帝国劇場イメージ(正面エントランス)

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近景イメージ(南東角エントランス)

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遠景イメージ

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左から丸山氏、杉本氏、阿部氏、野間氏(東京イーストサイドホテル櫂会で)

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杉本氏

 物流大手のセンコーと住宅メーカーの旭化成ホームズ、積水化学工業住宅カンパニー、積水ハウスの4社は12月16日、住宅物流での協業を2024年12月から開始したと発表。物流拠点・車両の共同利用・大型車両採用、環境に配慮した車両導入などにより、2025年までにドライバーの運転時間を約17,000時間/年、輸送CO2排出量を約500t/年(スギの木約35,800本)削減し、持続可能な物流体制の構築を目指す。

 記者発表会でセンコー代表取締役社長・杉本健司氏は、2024年4月に施行された働き方改革関連法によりトラックドライバーの時間外労働の上限規制により1人当たり労働時間を約2割削減すること、また2030年までに二酸化炭素排出量を対2013年度比で35%削減することが求められており、国の方針として2028年度までにトラックドライバーの1日当たり荷待ち・荷役にかかる時間を現在の平均3時間から2時間に短縮し、1台ごとの積載量を現在平均の38%から44%に引き上げること、配送を効率化するシステムを導入することなどが取りまとめられたことを報告。

 一方で、住宅物流は建築現場でのクレーン卸しに平ボディ車が減少し、特殊技術を持つドライバーが不足している現状があり、この課題を解決するため「住宅物流4社協議会」を2023年に発足させ、今回の協業に至ったと語った。

 主な協業施策として、①物流拠点・車両の共同利用②部材購入・輸送の共同実施③車両大型化+中継輸送による効率化④環境に配慮した車両導入・軽油代替燃料の活用などによるCO2排出量の削減の4つを挙げ、協業により2025年までにドライバーの運転時間は約17,000時間/年、輸送CO2排出量を約500t/年削減すると話した。

 発表会に臨んだ旭化成ホームズ執行役員施工本部長・阿部俊一氏は「当社は重要課題として『With Customer』『With Environment』『With Employee』の3つのWithを掲げており、今回の協業は志を一つにした意義ある取組」と、積水化学工業執行役員住宅カンパニー渉外・購買部長・丸山聡氏は「当社は8か所の工場でユニット住宅を生産しており、効率化、脱炭素にも取り組んでいるが、個社では限界もある。今回の枠組みを通じてより効率化、脱炭素に貢献する」と、積水ハウス専務執行役員技術・生産部門担当R&D本部長・野間賢氏は「この先、ものが運べなくなるのではないかという危機感を抱いている。それぞれの強み、弱みを効率化につなげ、環境にも貢献する」とそれぞれ語った。

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左から丸山氏、阿部氏、野間氏

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左から左から丸山氏、杉本氏、阿部氏、野間氏(センコー本社で)

Screenshot 2024-12-16 at 16-29-00 【リリース】センコー・旭化成ホームズ・積水化学工業・積水ハウス 住宅物流で協業.pdf Powered by Box.png

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 物流、特に運送業界は労働環境の改善、ドライバー不足、効率化、生産性向上が喫緊の課題だとは聞いてはいるが、これまでの取材はすべてが座学によるもので、(記者と同じ)〝アナログ〟の現場を全く知らないので、各氏の話を聞いてもさっぱりわからなかった。その逆に、どうして4社だけなのかという疑問が湧いた。ベロッパーも共通の課題であるはずだ。システムの標準化・共同化はどうなっているのだろう。パレット1つとっても全国共通にしたほうがいいことは素人でもわかる(記者は環境に考慮して木がいいと思う)。

 一つだけ分かったような気がしたのは、センコー本社内で行われたダブルトラックによるデモンストレーションだった。10トン車を2両つなげたもので、長さは約24m、荷物を含めた重量は約46トン。

 その大きさに仰天したのだが、この車両が通れる道路は幅員17~18m必要だとも聞いた。そんな広さが確保されている道路はどれくらいあるのだろうか。各社の生産拠点はそんなに広い道路につながっているのか。

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ダブル連結トラック

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ダブル連結トラック

物流の2024年問題解決へ5社連携伊藤忠商事・KDDI・豊田自動織機・三井不・地所(2024/5/19)


 

 

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記憶にないくらい久しぶりに、フリーペーパー「SUUMO新築マンション 首都圏版」の年末号「2030年の首都圏は? 東京23区未来予想図」を持ち帰った。重いのなんの。計ったら950960グラム。ページ数は744ページ。しかも上質紙でオールカラー。普通の雑誌だったら原価だけでも千円以上はする。無料で配布できるのはマンションのWEB広告などと抱き合わせだからだそうだ。コストは物件価格にオンされるのだろう。

さすがSUUMOだ。その前身「住宅情報」が発刊されたのは1976年だ。記者はそのころ、どうして不動産協会や都市開発協会、日本住宅建設産業協会(現全国住宅産業協会)などは共同の住宅購入相談所を設けないのだろうと考えていた(不動産協会は銀座・そごうに一時設置していたが)。

その後、読売新聞社が「住宅情報」に対抗するように住宅情報誌を発刊したが、長続きしなかった。差別化ができなかったからだ。現在のSUUMO事業を展開するリクルートホールディングスの20233月期の売上高は34,164億円で、SUUMOなどの住宅分野を含むマッチング&ソリューション事業の売上高は8,078億円だ。SUUMOだけでも売上高は1,000億円超と言われている。

年末版は、「住宅情報」時代と同じ「不動産会社ガイド」が中心に編集されている。紙面の大半を占める。今年は42社が掲載されていた。

最初に登場したのは三井不動産レジデンシャル、次はタカラレーベンで、日鉄興和不動産、相鉄不動産/相模鉄道、長谷工グループ…と続く。アイウエオ順ではない。ページ数順だった。三井レジは最多の40ページ、タカラレーベンは30ページで、もっともも少ない見開き2ページのブリスなど3社が一番後ろ。

掲載会社を見て、供給上位の会社が漏れていることに気が付いた。三菱地所レジデンス、住友不動産、オープンハウス、飯田グループ、モリモト、大和地所レジデンス、明和地所、日本エスコンなどのデベロッパーに住友商事、丸紅の商社、東武鉄道などの鉄道会社(系)などだ。まあ、しかし、42社なら首都圏マンション市場の7割くらいを占めるのだろうと計算した。

その一方で、電鉄(系)の〝攻勢〟が目立つ。東急、小田急、相鉄、京急、名鉄、近鉄、阪急阪神、京阪電鉄、西鉄など全42社の約2割を占める。首都圏電鉄会社で掲載されていないのは東武、西武、京王、京成の4社だ。

これらの会社の沿線は同業他社やデベロッパーのマンションの〝草刈り場〟になっており、総じて地価・マンション価格が低く、街のポテンシャルもいま一つだ。ひとえに、沿線の価値向上に取り組んでこなかった電鉄会社の責任だ。

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 しかし、消費者にとってはこれら〝割り負け〟沿線はいいこともある。デベロッパーに価格下げ圧力がかかっているからだ。SUUMOの絞り込み条件から「東京都」「60㎡以上」「4000万円未満」(坪単価200万円)で検索したら17件がヒットした。これに「神奈川県」26件、「埼玉県」34件、「千葉県」37件、「茨城県」10件を合わせると124件ある。この124件のうち圧倒的多数は〝割り負け〟沿線とJRだろう。

 これから分譲されるマンションは、どのような遠隔地でも坪単価200万円以下、つまり20坪で4,000万円以下はありえない。不動産に掘り出し物はないと思うが、〝住めば都〟だ。いい物件が見つかるかもしれない。

 SUUMOと他のマンションポータルサイトにお願いだ。AIを駆使し、購入検討者の属性、ライフスタイルに応じたセカンド・オピニオン機能を付加することだ(どこかやっていないか。SUUMOカウンターがその役割を果たしているのか)。検索条件に「日高屋」「DOOTOR」「マクドナルド」の御三家を加えてはどうか。「喫煙可」も必要かもしれない。レポーターなる人の記事(広告)は即刻やめるべきだ。

 

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