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「Brillia(ブリリア)長野北石堂ALPHA RESIDENCIA」

 東京建物(事業比率60%)と穴吹興産(同40%)は8月21日、長野市では過去最大規模となる、商業施設「ショッピングプラザagain(アゲイン)」の跡地に建設中の分譲マンション「Brillia(ブリリア)長野北石堂ALPHA RESIDENCIA」(全267戸)の報道陣向けプロジェクト説明会・モデルルーム内覧会を行った。坪単価は公表されなかったが、270~280万円台になる模様で、上層階2層のプレミアム住戸24戸は100㎡超で全て億ションとなる。

 物件は、JR北陸新幹線長野駅から徒歩5分、長野市大字南長野字石堂町並の商業地域に位置する敷地面積約4,423㎡、15階建て全267戸(販売戸数255戸、募集対象外住戸12戸)。専有面積は50㎡台~160㎡台、予定価格は2LDKが3,000万円台~、3LDKが4,000万円台~、4LDKが7,000万円台~。着工は2025年1月、竣工は2027年5月上旬の予定。設計は企画社、施工は北野建設。販売開始は2025年11月上旬の予定。

 現地は、長野駅から善光寺に続くメインストリート「善光寺表参道」沿いに位置する、1998年から2022年に閉館するまで24年間営業してきた「ショッピングプラザagain」の跡地。東京建物は長野県初進出、穴吹興産はこれまで県内で7棟327戸の供給実績がある。

 外観デザインは、北信五岳をはじめとする長野の雄大な山々の景色と、仏閣や長野駅善光寺口に見られる格子や列柱を建物のファサード全体へと展開し、「善光寺表参道」沿いの基壇部の軒天は木目調とするほか、共用部にはオリジナルのアートや長野県産材の栗などを活用した家具を設置する予定。

 建物は南向き:東向きがほぼ6:4の比率で、プランは2~13階は70㎡台の3LDKを中心に50㎡台~90㎡台で、14階・15階(最上階)は全住戸100㎡超のプレミアムフロア。

 主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、直床、リビング天井高は3~11階が2450ミリ、12~13階が2500ミリ、14~15階が2600ミリ、食洗機、ディスポーザー、タオル掛け2か所など。共用施設としてワーキングラウンジ、パーティルーム、ゲストルームなど。

 問い合わせ状況は、2025年4月22日から受付を開始してから1,000件超、モデルルーム来場予約は300件弱。顧客属性は、長野県内居住者が約半数、次いで都内居住者が約3割、年齢は30代~60代と幅広く、職業は会社員が約半数、そのほか会社役員、経営者、医師など。地域からUターンを見越した需要も一定数あり、全体の約8彫が長野に地縁を持つ人。

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アプローチ

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エントランス

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モデルルーム

◇        ◆     ◇

 わが故郷・三重県の次に好きな都県は高知県と長野県だ。高知県は大好きな作家・宮尾登美子さんのほか多くの作家を輩出している。また、記者の名前を冠した名酒・司牡丹もある。長野県は、不世出の作家・丸山健二氏の出身県でもあり、丸山氏は現在も県内に住んでいる。ノーベル文学賞クラスだと思うのだが、三跪九叩頭の礼を尽くしても丸山氏は固辞するだろうし、第一あの美しい大和言葉を翻訳できる人などいないのが残念だ。敬愛してやまない百瀬恵夫・明大名誉教授も長野県出身だ。

 取材後、街を歩いたが課題もある。街路樹・緑が貧弱だったのは気になった。AIによると、長野市の緑被率は都市計画区域全体では58%、市街化区域内では19%とある。東京23区の緑被率は約18.5%だ。行政も市民もこれは考えないといけない。

 蕎麦(取材を終えて山菜のてんぷらを食べようと思って入ったら、間違えて蕎麦屋に入ってしまった。蕎麦は好きではない)がどうして伊勢うどんの倍以上の値段なのかも理解できない。あのズルズルというはしたない音はやめたほうがいい。長野は丸山健二氏とイワナの骨酒と野沢菜だけでいい。

 中越・北陸の大規模マンションは2022年に見学した野村不動産他「ブリリアタワー金沢」(287戸)以来だ。同じ規模、同じ階高だが、確か「金沢」の工期は2年くらいだったはずだ。今回は2年半。これもまた価格を押し上げている要因の一つだ。億ションが24戸もあるのにびっくりした(それ以上の可能性もある)。販売のネックにはならないのか。人口は約37万人。大丈夫か。

 坪単価は公表されなかったが、記者は事前に坪単価250万円以下はありえず、かといって坪300万円は無理で、その中間くらいかとはじいたが、その通りになるはずだ。これは、販売担当者へのアドバイスだ。長野県人で県歌を歌えない人は皆無だと聞いている。接遇の際に、このことを知っていなければまとまるものもまとまらない。逆に、故郷を離れで首都圏に住む来場者に県歌を歌ってやったら、感激して購入に至るのではないか。

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長野駅西口

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長野駅東口

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「善光寺表参道」(街路樹は菩提樹か)

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現地

単価の安さに驚愕立地よく設備仕様レベル高い駅圏最大級の野村不他「金沢」287戸(2022/7/30)

分譲戸建て工事額・坪単価・広さ長野県が1位平成30年度国交省住宅着工統計から(2019/6/26)

 


 

 

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「応燕ハウスナイター」観戦会参加者の子どもたち

 目からうろこ-東京ヤクルトスワローズのトップスポンサーの1社であるオープンハウスは8月20日、「挑戦する人や組織を応援する」企業姿勢を体現した社会共創活動「O-EN HOUSE PROJECT」の一環として「応燕ハウスナイター」観戦会を開催した。見えにくさを感じる子どもを対象に、視覚支援機器を使って野球観戦するイベントで、参加者は一様に「よく見える」と語った。視力0.2で、眼鏡をかけてもなにもかもがぼんやりとしか見えない記者も機器を体験したが、信じられないほどくっきりと見えた。課題もあるが、無限の可能性を秘めていると思った。

 今回の野球観戦会は、東京都が企業によるパラスポーツへの支援の充実を図るため、スタートアップ企業のICHI COMMONSと協働し、2025年8月1日(金)に開設した、競技団体と企業との連携を促進するオンラインマッチングプラットフォーム「TEAM BEYONDパラコネクト」初の取り組みで、「TEAM BEYONDパラコネクト」の紹介により、オープンハウスと視覚支援機器「RETISSA ON HAND(レティッサ オン ハンド)」を開発したQDレーザのマッチング・協業が実現したもの。

 イベントでは、参加者全てにヤクルトのTシャツや選手のサイン入りボールがプレゼントされたほか、参加者代表として中島健太くん(10)と配川航太くん(11)が試合前に各チーム代表選手に花束を贈呈し、この日から放映開始されたオープンハウスの新CM「マイホームマン」に登場するモデル・女優の藤本唯千夏さん(14)の始球式などが行われた。

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参加者を代表して両チームに花束を贈呈する中島くん(左)と配川くん

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藤本さん

◇        ◆     ◇

 試合は、巨人相手にヤクルトが7-2で圧勝。前日(19日)は2-15で大敗した憂さを晴らした。村上が2回裏に先制弾を放ち、山田が決勝2ランを放った。

 この日、お母さんと一緒に観戦していた先天性の視覚障害があり、弱視で視力は両目で0.1弱の中島くんは2回表、巨人岸川が三振した場面をスクリーンショットで捕らえ、関係者を驚かせると、その裏、ヤクルト村上が先制のホームランを放つと、弱視で両目とも視力が低い配川航太くん(11)は応援傘を打ち振った。

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中島さん親子(左)と配川さん親子

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視覚支援機器を使って野球観戦する中島くん(左)と配川くん

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応援傘を打ち振る配川くん

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山田選手直筆のサイン入りボールをもらって喜ぶお子さん

◇               ◆     ◇

 中島くん、配川くん、お父さん、お母さん、最後までヤクルトを応援していたのかな。勝ててよかったね。おじさんはもう70年近く前からの西鉄-西武ライオンズファンでアンチ巨人。2回裏ヤクルトがリードした場面で取材を終え帰ったのは、またヤクルトが負けて、皆さんが悔しがるのを見たくなかったから。

 家に帰ったら、西武は2-5の敗色濃厚の9回表の攻撃。2ランホームランで1点差まで追い上げたが、反撃もここまで。これで3連敗。借金(この意味は二人に分かるかな)9つで勝率は.458。ヤクルトは借金が1つ減って20、勝率は.400。どっちが最終的に成績は上になるか。おじさんは、酒屋の親父がヤクルトファンなのでいつも傷をなめ合っている。

 まあ、しかし、野球とはこんなもの。プロ野球選手はみんな尊敬すべき存在。負けても罵倒などしないでね。大人になってもやけ酒(これまた二人には分かるかな)など飲まないでね。

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この日のヤクルト-巨人戦(神宮球場)

(本題の視覚支援機器について記事化するには、不動産広告と同じようにいろいろ規制があり、万全を期すため明後日以降にアップする予定)

「三菱地所を、見にいこう。」ナイター 女優の桜庭さんが見事な始球式(2015/9/3)

三菱地所の新CM発表会「三菱地所を、見に行こう。ナイター」(2013/9/5) 
 

 

 キッズデザイン協議会は8月20日、「第19回キッズデザイン賞」受賞作品233点を発表。今年は、夏の猛暑に配慮した遊び場づくりや空間設計、依然としてなくならない転落事故への対策、DXを活用したサービス、リアルな自然や素材に触れる体験の創出など、子どもたちを取り巻く社会環境を反映した応募作品が数多くみられ、また、過去の受賞作品の改良版やロングセラー商品の応募もあり、幅広いジャンルの作品が集まりまったとしている。

 同賞は、子どもの安全・安心と健やかな成長・発達に寄与する、優れた製品・サービス・空間・活動・研究などを顕彰するもので、2007年の創設以来、これまでの応募数は累計で7,386点、受賞数は4,381点にのぼっている。各大臣賞などの優秀作品は9月17日(水)発表される予定。

 

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「旧用賀名主邸」従前(左)と従後

 三井不動産と三井ホームは8月19日、江戸時代後期に建築された築250年以上の古民家「旧用賀名主邸」の耐震改修工事が完了したのに伴うプレス内覧会を実施した。「Hi ダイナミック制震工法」※を採用し、屋根の軽量化を図ったことで、同程度の建築物を解体・再建築する場合と比較してコストは5分の1程度に抑え、震度6強の地震でも倒壊することがないという。両社は古民家再生の新たなモデルケースとなることを期待している。

 プロジェクトの経緯について、耐震改修工事の総合設計を担当した三井不動産レッツ資産活用部チーフコンサルタント・石田宏次氏は、「オーナー様とは25年くらい前からのおつきあい。相談を受けたのは1年くらい前。安全性に問題があり、雨漏りもして、床の一部にたわみがあり、安心して維持管理できるようにならないかということだった。建物はわが国の伝統的建築工法である貫工法が採用されており、関東大震災も影響はなかったと聞いている。基礎はしっかりしていたので、三井ホームの技術力を持ってすれば建物は解体しないで極力そのまま残し再生できると考え、引き受けることにした」と語った。

 設計・施工を担当した三井ホーム東京支社東京オーナーサポート部副部長・内田敦氏は、「事前の調査の結果、耐震指数は0.3だった。0.7以上ないと倒壊の恐れがあったので、1.00まで引き上げることを考えた。Hiダイナミック制震工法を採用し、屋根はスギ+土+瓦の重量が1㎡当たり80㎏あったのを鋼板屋根にすることで1㎡当たり5㎏まで軽くし、全体では屋根の荷重を24tから1.5tに抑え、耐震指数は1.01以上にした。制震オイルダンパーは普通のもので5か所に施した。残せるものは極力残した。意匠などはそのままにした」と語った。

 土地・建物のオーナーの飯田浩一氏(63)は、「私は16代目。2006年まで親が住んでいた。私自身も25歳まで住んでいた。耐震性に問題があり、雨漏りもしたし、強風の時などの窓の音は凄いし(飯田氏自ら窓を揺らした。その音に記者は飛び上がった)、冬は寒い。居住条件はとても厳しい。どうしたら安全に、倒木などで近隣に迷惑をかけないかをフリーハンドで考え、専門家に任せることを決断した。様々なリスクを回避することができたので、今後は結婚式場とかロケなど地域の方々に楽しんでいただける」と話した。

 物件は、東急田園都市線用賀駅から徒歩8分、世田谷区上用賀3丁目に位置する敷地面積約300坪(1,000㎡)、延床面積約67坪(約220㎡)の木造平屋建て。設計・施工は三井ホーム。2025年3月に着工し、竣工は7月。

※「Hiダイナミック制震工法」は、江戸川木材工業が開発した技術で、古民家のような伝統的構法の建物にも採用可能な制震工法。建物の壁に複数の制震オイルダンパーを取り付けることで、大地震時の建物の変形を吸収し、柱や梁、壁等への負担を軽減できる。今回の工事では、建物南側の特徴的な意匠を残すため、居室の天井・床、縁側は仕上げ材も含めて改修はなっていない

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「Hiダイナミック制震工法」

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制震オイルダンパー

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屋根

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続き間の和室3室(1室全て8畳以上)

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縁側

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正面玄関

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内田氏(左)と石田氏

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飯田氏

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 旧名主の古民家を見学するのは今回で2度目だ。わが多摩市の多摩中央公園には江戸時代の名主だった「富澤家住宅」が移築・保存されている。建築年代は不明だが、18世紀後半とも推定されており、その後かなり増改築されたとある。欄間などに立派な装飾が施されており、当時の名主がどれほどの力を持っていたかよくわかる。

 今回はどうかといえば、欄間、床柱などを含め豪華さでは富澤家住宅に軍配を上げた。前述したように、これは18世紀の半ばと後半の違いではないかと解釈した。

しかし、驚いたのは柱だった。主要な柱の太さを測ったら1尺(37.88cm)角もあった。樹種はケヤキのはずだ。昔のわが家の大黒柱も太かったが、ここまではなかったはずだ。

 それ以上に驚いたのは敷地内の区の保存樹に指定されている樹木だ。玄関の前には樹齢300年超と言われる剪定がまた見事なクロマツが2本(もう1本のアカマツも同じくらいではないか)植わっていた。ケヤキの巨木は差し渡し1m以上あった。そのお陰で、この日の外気温は35℃を超えていたはずだが、敷地内は30℃強ではなかったか。

 それにしても、築250年以上の建坪67坪もある古民家をごく普通の耐震オイルダンパーを5か所に設置するだけで、しかも工期はわずか4か月で耐震補強ができるとは。三井ホームの施工力もそうなのだろうが、釘も金物も一切使わないわが国の伝統的貫工法(記者は「抜き」だと思った)もまた凄いではないか。

 オーナーの飯田氏はメディアの質問に対して「また住めるかも」と話した。ここに住まなくてどこに住むのか(記者は「飯田さんはどこに住んでいらっしゃるのですか」と聞くのをぐっとこらえた)。近隣の地価公示は坪(1種)約300万円だ。

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柱の太さは1尺角(貫との接合はくさびのみ)

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樹齢300年以上の黒松

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直径1m以上のケヤキの巨木

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◇        ◆     ◇

 今から250年前(1775年)と言われてもピンとこなかったので、ネットの年表で調べた。ちょうどこの年、アメリカ独立戦争が勃発したとある。わが国では田沼意次が幕府財政の改革に取り組んでいたころで、イギリスを中心とする産業革命の影響を受け、杉田玄白の「解体新書」が刊行された年(1774年)、平賀源内のエレキテル復元の年(1976年)などとある。

 わが故郷・三重県はどうかというと、国文学者・本居宣長(1730年~1801年)が活躍したころで、松尾芭蕉(1644年~1694年)、河村瑞賢(1618年~1699年)、三井高利(1622年~1694年)などもいる。三井高利は日本橋に「三井越後屋呉服店」を開業した豪商として知られているが、記者は河村瑞賢のほうが記憶に残っている。全国各地で航路開拓や治水工事を指揮した豪商として高校の歴史の教科書にも出てくる。出身地の南伊勢町には石塔が建っていた。皆さんいかがか、そのころの三重県人の活躍は凄いではないか。

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 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は8月15日、年報マーケットウォッチ2024年・年度を発表した。中古マンション市場は二極化が進行していることを裏付けるように、1億円以上の高額住戸の成約件数が激増しており、価格が2億円以上の在庫物件の坪単価は1,240万円に達している。注目すべきいくつかのデータを紹介する。

 坪単価は2013年に133万円(前年比4.7%増)となった以降上昇の一途で、2024年は254万円となり、2013年比で92.4%上昇している。

 2013年といえば、その前年末に衆院選が行われ、与党の民主党が大敗し、自公連立政権に移行し、安倍政権が打ち出した金融緩和、財政出動、成長戦略の「3本の矢」を柱とした「アベノミクス」が本格始動した年だ。デフレ脱却への期待感が高まり、株価とともに新築マンションも好調に推移した。首都圏供給量は56,478戸(前年比23.8%増)となり、坪単価も230万円(同8.1%増)となった。

 その後、供給量は漸減し、2024年の供給量は23,000戸(同14.4%減)で、坪単価は388万円(同4.0%減)となった。供給量が1973 年以降で最少になったのは、着工戸数に対するカバー率が45.1%と5割を割り、中でも価格水準が高い東京都と神奈川県は3割台にとどまったためで、坪単価も前年比で下落したのもその影響だ。供給減少=市場縮小と考えるのは市場を見誤ることにつながる(記事参照)。

 新築マンションと中古マンションの坪単価の2013年比上昇率はそれぞれ68.7%、90.9%であるのも、カバー率の大幅な低下によると考えられる。

 中古マンション市場も二極化が進行していると記事にしたが、都心3区(千代田区・中央区・港区)の2024年度の成約件数は2,715件(全体に占める割合は6.8%)で、坪単価は650万円(首都圏平均は258万円)、成約価格は12,536万円(同4,939万円)、専有面積は57.20㎡(同63.27㎡)、取扱高は3,045億円(首都圏全体は19,625億円)に注目したい。件数的にはわずか6.8%でしかないのに、首都圏全体の取扱高に占める割合は実に15.5%に達している。ちなみに、首都圏の市でもっとも坪単価が低いのは千葉県館山市の16万円で、以下、千葉県東金市30万円、埼玉県行田市38万円、埼玉県北本市39万円の順。

 二極化とも関連するが、価格が1億円以上の成約件数は2014年が282件(うち都内275件)、全体に占める割合は0.8%なのに対し、2024年は3,246件(同3,008件)、全体に占める割合は8.2%に増加している。特に2億円以上の成約単価は1,011万円(在庫単価は1,240万円)になっている。(記者は都心の一等地の新築は軒並み坪単価2,000~3,000万円になると見ている)

中古マンション・戸建て 7月も成約件数は大幅増加東日本レインズ(2025/8/15)

中古マンション市場も二極化都心と郊外は雲泥の差東日本レインズデータから(2025/7/12)

令和6年度首都圏マンション着工に対する不動研の戸数カバー率41.5%(2025/5/1)

 

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は812日、20257月の首都圏不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,979件(前年同月比24.6%増)となり9か月連続増加、坪単価は282.05万円(同8.2%増)となり205月から63か月連続の上昇、成約価格は5,303万円(同5.0%増)となり9か月連続で上昇、専有面積は62.05㎡(同3.0%減)となった。在庫件数は、前年同月比プラス 0.4%とほぼ横ばいながら244月以来15か月ぶりに増加した。

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中古戸建の成約件数は1,771件(前年同月比42.1%増)となり9か月連続で増加、成約価格は3,911万円(同0.3%増)となり2か月ぶりに上昇。土地面積は151.10㎡(同7.7%増)、建物面積は104.40㎡(同0.7%増)となった。在庫件数は、前年同月比プラス7.7%で229月から35か月連続で増加した。

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放置されたままの廃屋(2021年写す)

 国土交通省と総務省は8月8日、合同で「過疎地域を始めとする条件不利地域における集落の現況把握調査」結果をまとめ発表した。令和元年度の前回調査時と比較して、無人化・減少・新たに誕生した集落は1,132集落に達し、住民の半数以上が65歳以上の集落の割合は10ポイント以上増加して40.2%に上るなど深刻な現状が浮き彫りとなった。

 調査結果によると、条件不利地域に存在する集落数は78,485集落で、集落人口は1,432.9万人、1集落当たりの平均人口は184.9人。住民の半数以上が65歳以上である集落の割合は40.2%で、前回調査の29.2%から10ポイント以上増加した。(全国総人口における65歳以上人口の割合は令和元年の28.4%から令和6年は29.3%)

 前回調査時点の調査対象地域における集落数は、前回調査から694集落減少した。内訳は、無人化した集落が296集落(0.4%)、集落再編により減少した集落が617集落(0.8%)、新たに誕生した集落が219集落(0.3%)となっている。

 前回調査時に「10年以内に無人化する可能性がある」と予測された499集落のうち、今回調査までの5年間で実際に無人化した集落は63集落(12.6%)となった。

 無人化が危惧される集落における、当該集落から市町村の中心部への主な交通手段はデマンドバス・乗合タクシー35.5%(前回29.6%)、公営路線バス28.6%(同32.1%)、民営路線バス21.6%(同26.0%)。

 無人化が危惧される集落のうち、空き家の一部又は大部分で管理が不十分である集落は64.5%、道路・用排水路・河川などの管理が不十分又は荒廃している集落は47.1%。

 調査対象とした12の生活サービス機能の立地状況について、無人化が危惧される集落では、当面存続するとみられる集落に比べ、すべての生活サービスで立地割合が低いが、とりわけ立地割合に差がある生活サービスは商店・スーパー3.6%(当面存続するとみられる集落は22.9%)、飲食店・喫茶店5.8%(同20.9%)、ATM2.5%(同12.0%)、病院・診療所1.7%(同9.4%)。

 集落支援員や地域おこし協力隊等のサポート人材が活動する集落の割合は、集落支援員28.8%(前回19.3%)、地域おこし協力隊など22.0%(同19.9%)。

 「条件不利地域」とは、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法、山村振興法、離島振興法などにより、人口減少・高齢化が進み、財政力指数が0.5以下の全国1,718市町村の63.2%に該当する1,085市町村を指す。

 「集落」とは、一定の土地に数戸以上の社会的まとまりが形成された、住民生活の基本的な地域単位であり、市町村行政において扱う行政区の基本単位として市町村が判断したもの。

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 このリリースに全国紙5紙は翌日の9日付朝刊では反応しなかったが、共同通信は「65歳以上の高齢者が住民の半数以上を占める『限界集落』は、2024年4月時点で3万1515に上ったことが8日、国土交通省と総務省の調査で分かった」と配信したようだ。

 共同通信が「限界集落」としたのは間違いではないが、正確ではない。国交省と総務省のリリースは「条件不利地域」を調査対象にしたもので、「限界集落」の文言は使われていない。

 「限界集落」とは、ウィキペディア(Wikipedia)によると「地域人口の50%以上が65歳以上の集落。若者が流出し、冠婚葬祭などの社会的共同生活を維持することが限界に近づきつつある集落のこと」で「社会学者の大野晃が、高知大学人文学部教授時代の1988年に最初に提唱した概念」とある。

 みんなバブル景気に浮きたっていたときに、「限界集落」なる概念を打ち出し警鐘を鳴らした大野氏の慧眼は称賛に値するが、「65歳以上の人口比率が50%以上」という定義はやや乱暴だとずっと考えてきた。

 「限界集落」であっても社会的経済的に自立している自治体(集落)はたくさんあるはずで、高齢化人口比率のみが集落の衰退を招く主要な要因ではないことを記者は取材で実感している。首都圏のある駅前郊外住宅地を取材したが、1戸当たり土地面積が20~27坪、建坪が15坪という貧しい街づくりにあった(昭和50年代の開発なのでやむを得ない部分はあるが)。

 この団地は現在「3分の1は空き家、空き地、駐車場」(居住者)になっており、乱杭歯か歯抜けトウモロコシ状態になっている。ここまで放置してきた自治体の責任はあるが、根本的には絶対的排他的土地所有権が対応を困難にしていると思う。

 「限界集落」対策は重要な課題だが、それよりむしろ、「条件不利地域」(もう少しわかりやすい言葉はないのか)を抱える市町村が63.2.%にも達していることに注目すべきだ。大半の集落は〝便利地、好立地〟ではない〝不利地〟ということだ。官民学挙げてこの〝不利地〟を〝便利地、好立地〟に転換する手立てを考えてほしい。〝令和の米騒動〟はわれわれの死活問題であるはずの生活基盤がいかに脆弱であるかをさらけ出したが、減反政策は55年前の昭和45年(1970年)に開始された。そのつけが回ってきたということだ。過疎3法の施行も同じ昭和45年(1970年)だ。都市と農村の格差・対立が激化したころだ。

続・駅前の限界集落後期高齢者は4人に1人の割合〝死中に活〟光明見出す声も(2021/9/26)

 

 建設物価調査会は8月8日、2025年7月の東京都の「建設物価 建築費指数」(2015年=100)をまとめ発表。集合住宅(RC造)の指数は139.0と前月比0.1%増、前年同月比5.0%、事務所(S造)は137.7と前月比0.0%減で前年同月比3.0%増、工場(S造)は136.4と前月比0.1%減、前年同月比2.3%増、住宅(W造)は143.1と前月比0.3%増、前年同月比3.4%増となった。

 プラス寄与は、大手メーカーによる金属製建具の値上げや国際的な銅相場の上昇を要因とする電線類の価格の引き上げなど。マイナス寄与は、長引く建築需要の低迷から、価格競争が激化しているH型銅や異形棒鋼などの続落のほか、上水道用鋼管の下落など

 

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「KITAMOTO SIGNATURE EDIBLE LANDSCAPE」完成予想図

 ポラスグループ中央住宅は8月8日、早稲田大学と地域自治会との産学民連携による「エディブルランドスケープ(食べられる景観)」をコンセプトにした埼玉県北本市の分譲戸建て「KITAMOTO SIGNATURE EDIBLE LANDSCAPE」(全22戸)のメディア向け見学会を行った。当日は、プロジェクトに参加している早大リサーチ・イノベーション・センターの岡村竹史上級研究員、同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課課長・山下隆史氏、北本市本町3丁目自治会会長・花形俊夫氏、合同会社暮らしの編集室・江澤雄介氏、伊藤ファーム・伊藤和雅子氏、同社戸建分譲さいたま事業部部長・髙橋明氏がそれぞれの思いを語った。

 物件は、JR高崎線北本駅から徒歩13分、北本市本町3丁目の第一種低層住居専用地域・第一種住居地域(建ぺい率50%・80%、容積率60%・200%)に位置する全22戸。第1期1次10戸(うち3戸は契約済み)の土地面積は125.52~136.93㎡、建物面積は97.50~104.34㎡、価格は4,590万~5,190万円。完成予定は2025年9月22日。構造は木造2階建(在来工法)。施工はポラテック。

 早大との連携は、小規模分譲地をエリアのあちこちに「編み込み、つなぐ」ことで、分譲地自体だけでなく、エリア全体の価値向上を目指す「Interknitted Town」構想に基づくプロジェクト。分譲地の住民と地域の人々が一体となったコミュニティ醸成により、人々のパブリックライフを豊かにしていく試み。

 外構には実のなる樹木を植たり、全住戸に家庭菜園となるポタジェ(1.8m×0.6m)を設けることなどで果樹を育て、収穫して食べるエディブルな暮らしを提案する。

 また、分譲地内中央に長さ約50mの「PATH」(フットパス)をつくり、40坪の提供公園「PLAZA」とつなぎ、公園には食べられる樹木、約10種のバーブ類や食べられる花を植える。

 さらに、分譲地に隣接する約30坪の空き地になっている市有地を「AMU(編む)」として、新旧の居住者が交流できる場として整備する。

 見学会の冒頭、岡村氏は「2020年度からプロジェクトをスタートさせた。研究を進める中で、郊外街づくりビジョンとして『Interknitted Town』構想を取りまとめた。相互に(Inter)編む(knitted)という意味で、これまでは大規模開発で街づくりを行ってきたが、これからは既成の市街地の中に小さな分譲地を埋め込んでいくことが大事で、単に埋め込むだけでなく地域の資源、不足する機能を足し、ステークホルダーを巻き込んで編み込み、地域全体の価値向上、住環境を向上させていくことが重要と考えている。

 ライバルとしてトヨタの『WOVEN CITY(ウーブン・シティ)』構想があるが、『WOVEN』は豊田織機、つまり織物。我々の構想は、手作りならではの温かさ、柔軟性があって身体にフィットしやすい、解きほぐして修正ができる、再利用できるアナロジーを込めた。理論だけでなく、社会実証化したいと考えていたとき、ポラスさんから提案があって協議をして今日に至った。公園を地域に開く、近隣にある空地も巻き込み、ステークホルダーと一緒にやっていこうという『Interknitted』を体現できるいい事例だと思う。空間的にも社会的にも関係性をデザインしていくことが重要で、理論と実践のキャッチボールをしながら構想をアップデートしていく」と述べた。

 続いて登壇した山下氏は「これまでのやり方を超越した分譲地をつくりたいという思いで、スタートさせた。当社初の取り組みだが、全国でも初めてかもしれない。トピックは3つあり、1つ目はEdible(食べられる)を植栽すること、2つ目は公園と道路をつなぐフット・パスをつくったこと、3つめは分譲地に隣接する空き地を取り込んだこと。暮らしの編集室さんと伊藤ファームさんと一緒に今後2年間、様々なイベントを行いコミュニティの醸成をサポートしていく」と話した。

 花形氏は「私は半世紀前、20坪の分譲地を購入した。今回新たな分譲地ができることに感慨深いものがある。自治会の加入率は57%だが、新しい住民の方々と一緒になって盛り上げていきたい。かつては我々が花植えをしていた、今は空き地になっている市有地も再利用して街づくりに力を入れていく」と語った。

 地元居住者で様々な地域貢献・街づくり活動を行っている江澤氏は「様々な活動をしてきて、地域に対する愛着とか感覚は全く違っていることを常々感じている。今回のAMUの新しい取り組みによって共通言語が生まれることを期待している」と語った。

 長野県出身で結婚してから地元に住み、4~5町歩(約4~5ha)の農地で年間150種の野菜を生産している伊藤氏は「暮らしの編集室さんとイベントを一緒に行っていますが、農業体験やイベントを通じ、もともと暮らしている方と新しい住民の方がつながることにお手伝いできることがすごくうれしい」と語り、獲れたての野菜を披露・プレゼントした。

 高橋氏は、北極星の意味を持つ「POLUS」をグループの社名にし、地域密着の事業を堅持している同社にとって「北本は『最北端』ではあるが、豊かな自然を生かした街づくりに皆さんの共感を得られたことに心が熱くなった」と締めくくった。

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フットパス

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フットパス

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提供公園「PLAZA」

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ハーブ類がたくさん植えられている提供公園「PLAZA」

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市有地の空き地(手前はトライアとして栽培されているサツマイモ)

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ポタジェ

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左から高橋氏、岡村氏、花形氏、江澤氏、伊藤氏、山下氏

◇                 ◆     ◇

 北本駅から現地まで徒歩13分。記者は人の倍かかるので、タクシーで駆けつけることにした。駅に着いたのは13:20分。見学会開始の13:30分は楽勝だと思ったのがいけなかった。待ち時間を計算しなかったのがいけなかった。20分以上待たされた。会場に着いたときは、関係者のスピーチは半分以上済んでいた。上段の記事は各氏のスピーチは同社から送ってもらったテープを起こしたものだ。

 以下の文章は、配布資料を全く読み込んでおらず、各氏のスピーチも聞いていない段階で、いきなり提供公園(PLAZA)に案内されたときの率直な感想を交えたものだ。驚きが伝えられているのではないか。

 酷暑・猛暑の中、どうしてどこにでもある、しかもそんなに広くもない提供公園を見なければならないのかと思ったが、関係者の話を聞くうちに、これは凄い取り組みになると確信した。

 提供公園-ほとんどすべての開発行為には提供公園を設置することが義務付けられている。開発行為の数だけ提供公園があるはずだ。

 提供公園は「都市公園」の扱いを受ける。公園を占用する場合や公園内での物販、イベントを行なう場合は許可が必要だ。さらにまた、「何人も、みだりに…①都市公園を損傷し、又は汚損すること②竹木を伐採し、又は植物を採取すること③土石、竹木等の物件を堆積すること」は禁止されている(都市公園法11条)。可能なのは落ち葉や銀杏などを拾うことくらいしかない(いま話題になっている神宮外苑は都市公園ではなく「都市計画公園」であることに要注意。そして、事業者が整備するのは公園ではなく「広場」)。

 ところが、今回の「PLAZA」は果実が食べられる樹木のほか10種くらいのハーブ・花を植え、地域の人も含めて収穫し、イベントなどを行っていくという。法令に照らし合わせればありえないことだ。「AMU」は公園ではないから、少し違うかもしれない。地域住民の自主的な自治活動を支援するために市有地を地域に開放し、野菜の栽培などを許可する大義名分はありそうな気がする。

 いずれにしろ、全国の自治体は事業者から提供される、ほとんど利用者がいない「提供公園」の維持・管理に頭を悩ましている。今回の取り組みはその難問解決に一筋の光を灯すことになるかもしれない。

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モデルハウス

◇      ◆     ◇

 岡村氏は「メディアの皆さんに対する留意事項なのですが、大学のスタンス・リーガルチェックとして、消費者の購買意欲を刺激するようなものに大学の名前を使ってはいけないと言われている。私どもが商品にお墨付きを与えるようなイメージでPRはしないで頂きたい」とも語った-このことについては深入りしないが、企業の思惑はともかく、大学の先生方もメディアも単なるプロパガンダ、〝広告塔〟になってはいけないという警句だ。

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伊藤氏が披露した獲れたて野菜(オクラ、ニンニク、キュウリ、白ナス、ナス、トマト、タマネギ、宿儺カボチャ、オカワカメ、コマツナ、ピーマン、トウガラシ、カボス、ゴーヤ、エダマメ…)

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伊藤氏から頂いた冷凍焼き芋と日光トウガラシ(トウガラシは昔懐かしい本物のトウガラシ。普通のスーパーにはまず並ぶことはない。少し口に含んだだけで数分間は後を引く。カレー、ぺぺロンチーノなどに欠かせない)

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フランシス真悟「Ring of Light」

 野村不動産は8月6日、「BLUE FRONT SHIBAURA アートツアー」を開催。アート&カルチャープロデューサー・小林裕幸氏がガイド役を務め、3階エントランスの絵画を描いた作家のフランシス真悟氏がゲスト役となって4か所のアート作品について詳細な説明を行った。午前中の「BLUE FRONT SHIBAURA メディアセミナー」と合わせ1日がかりの取材だったが、とても楽しい1日だった。

 「アートツアー」では、3階エントランス正面のフランシス氏の「Ring of Light」、この作品と向き合う形で設置されているベ・セファ氏(Bae Se Hwa)の「Meditative Garden」、3階吹き抜け部分の鈴木康弘氏の「無限大をひらく」、28階エントランスのWOW ink.の「Flowing Presence」が紹介され、15の音で多層的な世界観を表現するサウンドスケープについても説明された。

 小林氏は、「設計デザインを担当した槇文彦さんと野村不動産さんから話を聞いたのは2022年。〝これは面白いぞ〟と思った。海や空の自然と人々をつなげるコンセプトに共感した。槇さんの最後の作品になったのではないか(槇氏は昨年6月死去。享年95歳)」と語り、それぞれの作品について説明した。

 フランシス氏の「Ring of Light」は、1枚2.6m×2.6mの全5枚の油絵。空の青や海の青を基調に見る角度、時間帯によって刻々と変化する自然を表現している。フランシス氏は「仙厓(1750年~1837年の臨済宗の禅僧で画家)に着想を得た。四角いモノ・建物と丸い自然・人が共生する世界を描いた」と語った。

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 色は光源・物体・視覚の三要素からなる。記者も油絵を描くが、見る角度で油絵の色が変わることなどありえない。なぜか、フランシス氏に聞いたら雲母を絵具の中に練りこんでいるとのことだった。これで謎が解けた。雲母は見る角度によって色が異なる。フランシス氏は下地に塗ったブルーも含め約1年で仕上げたそうだ。

 「Meditative Garden」について小林氏は、「ベ・セファ氏は韓国人アーティストで、芝離宮のランドスケープに着想を得て、オーク材を蒸して流線形に仕上げた唯一無二の作品」と讃えた。細長いオーク材3本をつなぎ合わせたものだが、どうしてこのようなことができるのか、記者は絶句した。

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ベ・セファ「Meditative Garden」

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 鈴木康弘氏の「無限大をひらく」はについて小林氏は、「作品はアルミ製。槇文彦氏が鈴木春信の『雪中相合傘』をモチーフにしたように、この作品も1本の傘に寄り添う2人になぞらえて設計されたエピソードにインスピレーション得ている。ファスナーのGipは同じように見えるが、人も建物も全て異なるのと同じ、鈴木氏の世界観がここに表現されている」と語った。

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鈴木康弘「無限大をひらく」

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 28階の「Flowing Presence」についてプロデューサーの萩原豪氏は、「ここで働く約2万人のワーカーの過ごし方の変化をセンサーが感知し、様々なデータも装置に入れて、海や空も同じように二度と同じ形にはならず、その意味ではワーカーがつくっていくインタラクティブアート」と説明した。この28階は一般の人の入室は不可だが、小林氏は「土曜、日曜を利用してアートツアーも企画したい」と話した。

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WOW ink「Flowing Presence」

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小林氏(左)とフランシス氏

◇        ◆     ◇

 先日(8月3日)、三菱地所が行った「石神の丘美術館」所蔵石彫の完成を記念する除幕式を取材し、石彫を制作した作家のケイト・トムソン氏から直接話をうかがったばかりだ。この日もまた、作家・フランシス氏から直接話を聞くことができた。

 ケイト氏はイギリス生まれ、フランシス氏はアメリカ生まれの違いはあるが、移り変わる自然と人のかかわりを描いているのは共通する。「アートがそれぞれ主張するのでなく、周囲と共存しているのがここのアートの特徴。海も空も国境を越えてどこかでつながっている」と締めくくった小林氏の言葉が印象に残った。

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槇文彦「恵比寿東公園」トイレ

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