RBA OFFICIAL
 

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は10月10日、首都圏の2024年9月度の不動産流通市場動向をまとめ発表した。

 中古マンションの成約件数は3ね047件(前年同月比4.5%減)、坪単価は250.3万円(同4.7%増)、価格は4,861万円(同5.3%増)、専有面積は64.09㎡(同0.5%増)で、成約件数は3か月連続で前年同月を下回った。成約価は20年5月から53か月連続で前年同月を上回った。

 中古戸建ての成約件数は1,281件(同16.6%増)、価格は4,061万円(同3.5%増)、土地面積は139.66㎡(同0.1%増)、建物面積は103.71㎡(同0.6%減)で、成約件数は4か月連続で前年同月を上回った。成約価格は8か月連続で前年同月を上回った。

 

IMG_2097.jpg
「森林×ACT(アクト)チャレンジ2024」の表彰式(木材会館で)

 林野庁は10月9日、「森林×ACT(アクト)チャレンジ2024」の表彰式を新木場・木材会館で行い、合わせて森林づくり全国推進会議が主催する第3回森林づくり全国推進会議とシンポジウムを開催した。

 「森林×ACT(アクト)チャレンジ」は、森林整備への支援などを通じてカーボンニュートラルの実現や生物多様性保全に貢献する企業・団体の取り組みを募集し、顕彰するもので、グランプリ(農林水産大臣賞)には、地元の行政や森林組合と連携して、地域住も民を対象とした植樹や自然観察会などの活動を行っている特定非営利活動法人ちば森づくりの会が選ばれた。

 グランプリを受賞した同会理事長・林隆通氏は、「とても光栄。私たち都市住民の活動が、全国で3,300ともいわれる同じような活動をされている団体にも喜んでいただくことになる」などと喜びを語った。優秀賞(林野庁長官賞)は次の通り。

[森林づくり部門]
 ・大林組
 ・鹿島建設
 ・サンデン
 ・サントリーホールディングス
 ・四国苗販売
 ・生活協同組合コープしが
 ・ツムラ
 ・野村不動産ホールディングス
[J-クレジット部門](共同応募)
 ・滋賀銀行/金勝生産森林組合
 ・ダンロップフェニックストーナメント大会事務局/宮崎県/ExRoad
 ・ヤベホーム/対馬市(長崎県)

 不動産業界で優秀賞を受賞した野村不動産ホールディングス執行役員・田中克弥氏は「2年前に奥多摩町で『森を、つなぐ』プロジェクトを始動し、昨年に施業開始した。植林活動だけではなく、森林の生態系サービスを重視し、今後は社員参加型の取り組みへと発展させていく」と語った。

 受賞企業・団体には背丈ほどある木製盾が贈呈された。グランプリは石川県産材の無垢のスギノキ、優秀賞は能登半島のヒバ材で作られたものだった。

IMG_2069.jpg
左から農林水産副大臣・武村展英氏、林氏、中村氏

IMG_2087.jpg
林野庁長官・青山豊久氏(左)と田中氏

IMG_2061.jpg
木材会館

「SDGs QUESTみらい甲子園」2024年は40都道府県5,499校が対象

IMG_2117.jpg
左から菊池農業高校の渡辺悠慎さん(17)、村上遥さん(16)、久慈東高校の大道慶三さん(17)、川向駿さん(16)

 取材の主な目的は2つあった。一つは、美しい「木材会館」をもう一度見ることで、もう一つは、「SDGs QUESTみらい甲子園」で優秀賞として表彰された岩手県立久慈東高校と熊本県立菊池農業高校の生徒さんがどのようなアイデアを発表するのかについてだった。

 「木材会館」はやはり美しいことが確認できた。両校のそれぞれ2人の生徒さんのプレゼンテーションは最高に素晴らしく、うれしくなって舞い上がってしまった。予想以上の成果が得られた。

 何が素晴らしいか。自分の住む街の課題は、高校生なら調べれば分かるだろうが、その課題にどのようにして向き合い解決するかを見つけ出すのは容易ではなく、実践し検証するところまでこぎつけるのは至難の業のはずだが、両高の生徒さんが見事にやってのけたことだ。

 「SDGs QUESTみらい甲子園」は、高校生が持続可能な地球の未来を考え行動するために、SDGsを探求し、社会課題解決に向けたアイデアを募集し、表彰する産官民協働の取り組みで、2019年の第1回では61校214チーム、814人か参加した。2023年度は319校1,753チーム、7,255人へ、2024年の対象高校は40都道府県5,499校に達している。

 久慈東高校の「environment」チームは、〝日本一の白樺美林〟を誇る久慈市の白樺林が管理者の高齢化や後継者不足などから倒木などによる景観が悪化しているのに着目し、市や地元企業、農林業者などを巻き込み、白樺モルックを製作・開発し、白樺の樹皮などで抽出したエキスを漬物に混ぜる商品を開発中という。

 菊池農業高校のある菊池市は熊本県北東端に位置し、暴れ川と呼ばれる筑後川とともに度々水害を引き起こしてきた菊池川が流れていることで知られる。「菊池農業高校SDGsプロジェクト班」は、荒廃した竹林の再生・活用に取り組み、竹チップで家庭用の生ごみ量を半減させる段ボールコンポストを開発し、バイオ竹炭の製造にチャレンジしているという。

 両校の生徒さんのプレゼンが始まると、関係者など百数十人が集まっていた会場は水を打ったように静まり返り、終わったときは大きな拍手が巻き起こった。

 呑み助の記者は発表を聞きながら、白樺の樽をつくって日本酒にしたらどうかをずっと考えていた。日本酒だけでなく味噌も醤油もウイスキーもワインもみんな木の香りがまじりあっておいしくなる(樹木の香りを混入したクラフトビールなどは商品化されている)。タケノコは酒のつまみに最高で、竹炭の効用は言うまでもない。竹そのものも建築材としてもっと利用されていい。

 先ほども書いたように、グランプリを獲得した両校以外に2024年は40都道府県5,499校が参加するというではないか。みんな優れたアイデアばかりだと思う。

 この前取材したmore treesと、日本一人口の少ない奈良県野迫川村(のせがわむら)との「森林保全および地域活性化に関する連携協定」では、more treesの代表・隈研吾氏は「一番小さな村で活動することが、森林・林業にかかわる方に希望と勇気を与えるきっかけになることを願っている」とメッセージを寄せた。「みらい甲子園」もまた全国の森林・林業関係者に希望と勇気を与えるに違いない。

 両校の生徒さんだけでなく、すべての「みらい甲子園」にチャレンジする高校生の皆さん、さらにはスタートアップを目指す人に一つお願いがある。話法を学んでほしいということだ。ぜひ、丸谷才一(1925~2012年)の「挨拶はたいへん」(朝日文庫)を読んでいただきたい(ほかの文庫本でも挨拶について触れているが、どれだったか思い出せない)。

 作家としての評価はともかく、丸谷才一ほどの博学者はいないと思う。挨拶もまたピカ一だ。記者は四十数年の記者生活の中で、数千人の方が話すのを聞いた。しかし、感動を覚えたスピーチをした人は数えるくらいしかない。その方たちに共通するのは、原稿などを読む人はいないということだ。聴衆・参加者に向かって自分の言葉で話した。

IMG_2099.jpg
受賞盾

IMG_2100.jpg
グランプリ賞の受賞盾

TNFD提言に基づく自然に対する依存・インパクト分析結果公表野村不HD(2024/10/7)

坂本氏の遺志継ぎ隈氏代表のmore treesと日本一人口が少ない野迫川村森づくり協定(2024/10/6)

「森を、つなぐ」東京プロジェクト始動野村不HD 奥多摩町と協定(2022/11/28)

木造とコンクリートの見事な調和を図った「木材会館」(2012/10/2)

 

スマートニュースメディア研究所からメールが届いた。「第3回スマートニュース・メディア価値観全国調査(SMPP調査レポート)」で、わが国の「ニュース回避」傾向のある人は8%で、ニュース回避傾向がある人が最も多かったのは「20代以下・男性」(16%)、「30代・女性」(15%)、「20代以下・女性」(15%)だった。逆にニュース回避傾向が最も少なかったのは「60代・男性」(79%)、「70代以上・女性」(77%)、「60代・女性」(76%)というものだ。

NHKのニュースを「よく見る」と回答した人の割合は、ニュース回避傾向がある人で28%、全体で46%だった。民放のニュースを「よく見る」と回答した人の割合は、ニュース回避傾向がある人で36%、全体で59%だった。一方、新聞を「よく読む」と答えた人は、ニュース回避傾向がある人で41%、全体で59%となった。

 また、「マスメディアを信頼する」(とても信頼している、まあ信頼している)と答えた人の割合は、ニュース回避傾向がない人では74%だった一方、ニュース回避傾向がある人では41%にとどまった。マスメディアを「まったく信頼していない」とする人の割合は、回避傾向がある人では19%、回避傾向がない人では3%と大きく差が開いた。

調査対象は8-79歳の有権者で、郵送による回収数1,901(回収率42.6%)とオンライン(Web調査)による回収数2,000(同100%)。

        ◆     ◇

SMPP調査レポート」によると、SNSFacebookTwitter(現在はX)、LINEInstagramYouTubeTikTokなどがあり、今や世界で「知らない人はいない」サービスへと成長しており、日本における「ソーシャルメディア」利用者数は2022年時点で1200万人とされている(令和5年度版・総務省情報通信白書=ソーシャルメディアはSNSのほかに口コミサイト、掲示板サービスなども含むより広い概念を指す)。

全世代の79%SNSアカウントを1つは所持しており、45%がアカウントを複数所持、25%が「本名」「匿名」アカウントを両方持って使い分けをしているという。70代以上の全ての年代で、「SNSのアカウントを持っている」(79%)が「SNSのアカウントは1つも持っていない」(19%)を大幅に上回っている。

        ◆     ◇

上記レポートで「新聞をよく読む人」が全体で59%、回避傾向がある人の「マスメディアをまったく信頼していない」割合が19%に達しているのをどう理解すれはいいか、SNSを利用したことがない19%のうちの一人である記者はよくわからないのだが、新聞も含めマスメディアをまったく信頼していない人の割合がこれほど高いことについては、記者も含めて考えないといけない。

いつも思うのだが、記者発表会・見学会では、メモを取らない人が多すぎるし(メモを取らなくても頭に入る人は100人に1人くらいいるかもしれない。小生は耳が遠くなり、書きとれないのでメモを取らない人と結果として同じだが)、取材機会があるのにコピペ記事しか報じない大新聞、実物を見てもリリースしか書かない、自分が何を見ているのかわからない(その人の目を見るとよくわかる)…そんなメディアが多すぎる。〝講釈師見てきたようなうそを言う〟と五十歩百歩だ。

 そしてまた、生成AIが普及したためか、最近は主催者もあらかじめ用意された文章を読むだけで、スクリーンに誰も読めないような小さな文字・図表を映し出し、目を伏せっぱなしの人が多すぎる。

 参考になるかどうか。カルヴィーノの「アメリカ講義-新たな千年紀のための六つのメモ-」(岩波文庫、2011年第一刷、訳者:米川良夫・和田忠彦)から一部を以下に紹介する。

 「私には言葉というものがつねに曖昧で、出まかせに、ぞんざいに用いられているというよう思われ、そのために免(ゆる)すことのできないほどの不愉快さを感じているのです…何よりも不愉快なのは自分がしゃべっているときに感じているものなのですから…」(110ページ)

 「ときとして私には、何かしら疫病のようなものが人類をもっともよく特徴づけている能力、すなわち言葉を用いる能力を駄目にしているのではないかと思われることがあります。言葉の伝染病といったものでして、その徴候は識別的な機能や端的さの喪失、あるいはまた表現をおしなべてもっとも一般的な、没個性的で、抽象的な決まり文句に均一化させてしまい、その意味を希薄にして、語と語が新しい状況に出会うときに発する火花をいっさい消し去ってしまおうとする一種の無意識的・機械的な振る舞いとして表れています…私にとって大事なことは回復の可能性なのです。文学が(そして恐らくは文学だけが)、言葉の病気の蔓延を阻止できる抗体を生み出すことが可能なのです」(111112ページ)

性犯罪に加担し隠蔽してきたマスコミの罪は大きい ジャニーズ問題を考える(2023/9/9

IMG_0301 (2).jpg
杉原氏(2021年写す。今回は一段と黒くなっていた)

 分譲マンション事業に関する市場調査から商品企画、設計・監理まで幅広いサービスを提供しているトータルブレイン取締役副社長執行役員・杉原禎之氏に2年ぶりにお会いし、最近のトレンド、展望などについて話を聞いた。もともと顔は黒かったのだが、真っ黒だった。ゴルフ焼けでも酒焼けでもない。日焼けだ。雨ニモマケズ風ニモマケズ雪ニモ夏ノ暑サニモマケズ、自ら構想を練り仕上げた「月例レポート」を携え、毎日2~3社、月にして50社に説明して回る〝足〟のなせる業でもある。

 マンションデベロッパー50社といえば、ほとんどのプレイヤーを網羅していることになる。「月例レポート」は2008年の第一号から直近の2024年9月発行の「首都圏超ハイグレードマンション市場検証~@8,000千円/坪オーバーの市場状況を探る~」まで246号を数える。年間にして約10回発行していることになる。1号当たりのページ数は20ページ前後で、小説にすれば短編小説だが、ぎゅっと詰まった中身を加味すれば中編小説か。つまり、年間にして長編小説を3~4編発行していることになる。その価値たるや、金額に換算したら1冊数十万円だろう。

 最新号は、2007年以降の坪単価800万円以上の51物件がデータとしてまとめられており、うち12物件について物件の特徴、販売手法、購入者の傾向が紹介されている。

 一つひとつ紹介したいのだが、著作権の問題もあるし、杉原氏自らがまとめたデータを第三者に流すことなどできない。興味のある方は直接同社に問い合わせていただきたい。(記者は51物件のうち半数近くを取材しており、『RBAタイムズ こだわり記事』で紹介している。検索していただければただで読める)

 冒頭に「自ら構想を練り仕上げた『月例レポート』を携え、毎日2~3社、月にして50社に説明して回る」と書いたが、これは知らない方に説明が必要だ。記者はトータルブレイン創業者の故・久光龍彦氏とは長谷川工務店時代からのお付き合いで、師と仰ぐ業界人3人のうちの一人だ。亡くなられる2019年までは定期的にお会いし、酒を飲みながら歓談していたのだが、「月例レポート」は杉原氏がまとめているとは全然知らなかった。久光氏が1か月に回る会社は40社くらいだったから、この5年間で10社くらい増加している。これまたすごい。

 久光氏と杉原氏が異なるのは睡眠時間くらいか。久光氏は20時には床に就き、4時に起きていた。杉原氏は22時に就寝し、起きるのは5時だそうだ。

 実はもう一つ、久光氏と杉原氏の違いがある。価値観、人生観の違いだ。久光氏は、記者もそうなのだが、「不動産の価値」として居住環境を重視した。不動産(マンションなど)はあちこちに所有していたようだが、住んでいたのはカバザクラの突板がふんだんに用いられていた山の手のマンションだった。一方、杉原氏が最初に買ったのは港区の湾岸マンションだった(その後買い替えたかどうかは不明)。杉原氏がそのマンションを買ったとき、久光氏は笑って何も言わなかったが、〝なんであんなところに住むか〟という表情をしていた。

 この違いは、今回の「月例レポート」でも確認することができた。昨年ほぼ同時期に分譲された「三田ガーデンヒルズ」(1,004戸、以下「三田」)と「ワールドタワーレジデンス」(389戸、以下「浜松町」)の評価についてだ。

 記者は「三田」が分譲開始される10か月前に「坪単価は1,300万円でどうか」という記事を書いた。結果はその通りとなった。未分譲住戸が13戸あるが、どのような形で分譲されるのか(一般公開はされないのではないか)。「三田」は、「広尾」「六本木」「虎ノ門」「麻布台」とともに「5大ヒルズ」と称されるのは間違いない。

 「浜松町」は取材を申し込んだが断られた。なので設備仕様レベルはわからないのだが、坪単価1,176万円万円は妥当な値段だと思う。ところが、杉原氏は「私はもっと高くても売れたと思う」と話した。

 皆さんはいかがか。記者は「浜松町」の施工を担当した鹿島建設のファンで、ハイスペックだとは思うが、超高層建築物に四方八方囲まれている。「三田」と異なり、投資需要もあったはずだから、杉原氏が考えるように坪1,500万円でも〝先物買い〟で購入する投資家はいただろうが〝格〟が違う。「三田」は第2種住居地域(容積率400%)立地、「浜松町は商業地域(同900%)立地だ。

 つまるところ、数えれば20も30もある「不動産の価値」の要素のうち何を重視するかの違いだ。われわれ年寄りはみんな「居住環境」を重視するが、最近の人は「資産性」を重視する傾向が強い。

 一般的には、資産性とは値下がりする可能性が少なく、交通利便性が高いエリアと解され、23区でいえば港区、千代田区、渋谷区や中央区、新宿区、文京区の一部だろう。今後も東京-有楽町-新橋-浜松町-品川ゲートウェイ-品川エリアは国際交流拠点として異次元の再開発プロジェクトが目白押しだ。これらのエリアに立地するマンションは、よほどの社会・経済状況が変化しない限り、資産性が担保されるはずだ。将来性を考慮すれば、杉原氏が「浜松町」を「三田」以上に評価するのはわからないわけではない(先日、三菱地所関係者と話をしたのだが、仮に皇居が見下ろせる「大・丸・有」エリアでマンションが供給されたら、坪単価は5,000万円くらいになるという点で意見の一致を見た)

 だが、しかし、お金持ちは城南5山に代表されるように昔から高台立地を好んだ。1988年にバブルが崩壊するまでは、億ションといえば住居系立地がほとんどで、商業系エリアの物件は数えるほどしかなかった。「高台」であって「タワマン」ではない。

 「タワマン」好きのお金持ちには「齊藤ひろ子+浅見泰司 編著 タワーマンションは大丈夫か?!」(2020年、プログレス)に関する記事を添付したので読んでいただきたい。

将来性ある穴場・路線開拓、新しい視点の構築必要トータルブレイン・杉原副社長(2022/8/8)

「しつこく繰り返し」仕上げる月例レポートトータルブレイン副社長・杉原禎之氏(2021/8/31)

〝業界の名物男〟逝くトータルブレイン社長・久光龍彦氏享年79歳死因は…(2020/1/6)

単価予想1,300万円的中!三井レジ&地所レジ「三田ガーデンヒルズ」700戸供給済み(2023/9/20)

坪1300万円でどうか旧逓信省庁舎跡地の三井&三菱「三田ガーデンヒルズ」(2022/4/30)

齊藤&浅見先生、誰に読ませたいのか?! 「タワーマンションは大丈夫か?!」(2023/1/30)


 

 

 東京建物は10月3日、コクヨ、VIEと共同で、音楽や映像で脳に刺激を提供するソリューションを組み合わせた可動式ブース「VIE POD(ヴィーポッド)」を開発し、同社のオフィスビルなどで商品検証を行うと発表した。

 コクヨの既存商品「WORKPOD FLEX」をベースに、VIEが配信する「ニューロミュージック」(脳波への影響が科学的に実証された音楽)と映像コンテンツを取り入れたもの、ブース内でのアプリケーションの使用により、映像と音楽の刺激で「集中力」や「リラクゼーション」といった新しい付加価値を提供する。

 開発に至った背景として、従業員の生産性向上は多くの企業が直面している喫緊の課題とし、脳疲労の蓄積やそれに起因する集中力の低下、自律神経の乱れなどの新たな問題も明らかになっていることから、ワーカーのパフォーマンスとウェルビーイングの向上を促進するとしている。

◇        ◆     ◇

 これは間違いなく大きな効果がある。記者のかつての職場では「第九」が定期的に流されていた。この音楽が流れると「よし、やるぞ」と気合が入り、心を込めた記事を書いたものだ。圧倒的な人気を呼んだ2013年分譲の野村不動産他「Tomihisa Cross」のシアターでは「第九」第4楽章のBGMが流された。それだけ自信があったためだが、「第九」の音楽が流れたシアタターは40年以上の記者生活でここだけしかない。

 ただ、同じ音楽がのべつ幕なし流されたら、効果は半減するどころか、マンネリになって逆効果をもたらすと思う。みんなシアターに「第九」を流したら販促効果など全く期待できないだろう。

 この点について同社は「Well-being Lab.では、首都圏のビジネスパーソン1万人への調査結果を踏まえ、どのような行動や状況がウェルビーイングの向上に資するのかを分析した20個の『ウェルビーイング向上因子』を特定しています。『ウェルビーイング向上因子』を基に効果的な施策の検討を重ねる」としているので問題はないはずだ。

 注文もある。オフィスビルにあふれているフェイクグリーンは一掃し、すべて本物の観葉植物にすべきだと思う。同社は分譲マンションにプロが活けた「生け花」を設置したことがある。大変な人気を呼んだ。

 もう一つは、香りだ。アロマは好き嫌いがあるだろうが、気分がよくなるものはあるはずだ。

 これで、聴覚、視覚、嗅覚の3つ。五感まであとの味覚、触角も何とかなる。さらに大事なのは第六感だ。ひらめき、インスピレーションを誘発する職場環境が欠かせない。なんでもそうだ。根を詰めて仕事をしても名案は浮かばない。ヒントは〝遊び〟〝リラックス〟〝息抜き〟だ。記者などはほぼ1時間置きに書くのを中断してタバコを吸い、たまには酒を飲み、校閲することにしている。

坪750万円でも好調 「Brillia」最高峰 東建・地所レジ「一番町」 サロンに乃村工藝(2018/4/18)

地揚げから30年坪330万円のマンションに再生「Tomihisa Cross」(2013/9/5)

 

 

 

 野村不動産ホールディングスは10月4日、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく自然に対する依存・インパクト関係を分析した結果を公表した。

 同社グループの事業活動(用地・物件取得、資産調達、商品企画・設計、事業推進、保有)について、評価ツールを用いて分析したも。2022年度時点で同社グループが保有していた物件、分譲物件は約700件、298haで、分析の結果「当社グループは、事業展開の特性上、都心や首都圏において、すでに建物がある地域での開発が多いことから、新たに自然資本を損失する要素は少ないと考えております」「当社グループが開発・保有を行っている物件が集中しているエリアでは、当社グループの事業が自然に影響を及ぼすことも想定されますが、同時に、当社グループが自然の保護・復元等に向けて取り組みを行うことでの好循環を期待することができます」としている。

 同社グループの生物多様性に配慮した取り組みとしては、「プラウド国分寺」「(仮称)世田谷中町3丁目計画」「プラウドシティ小竹向原」などでABINC認証を取得したほか、2022年に締結した農林水産省との「建築物木材利用促進協定」では、今後5年間で10,000㎥の木材を建築資材として活用することを目指している。

 また、分譲マンション「PROUD(プラウド)」では、今後の建設に際し、共用部の内装に原則国産木材を使用することとしており、オフィスビルブランド「H¹O(エイチワンオー)芝公園」「野村不動産溜池山王ビル」で木造ハイブリッド構造を導入。同社グループが保有する奥多摩町の「つなぐ森」での「森を、つなぐ」東京プロジェクトは「自然共生サイト1」に認定された。商業施設「横浜ビジネスパーク(YBP)」では横浜国立大学協力のもと、生物多様性保全を進める「ホタルがすむ街づくり展」を2008年より毎年開催している。

 同社が生物多様性に配慮した取り組みを強化している背景には、世界経済フォーラム(WEF)の試算によれば、世界で創出された総GDPの半分以上の経済価値が自然資本に依存しており、その自然資本の劣化は社会経済の持続可能性に対する明確なリスクとされ、2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、2030年ミッションとして「生物多様性の損失を止め反転させる」「ネイチャーポジティブ(自然再興)」が掲げられた。

 これを受け、2021年6月、各企業の自然関連のリスク・機会を適切に評価できる世界共通のフレームワーク「TNFD(Task Force on Nature-related Financial Disclosures)」が設置された。TNFDは、各企業に自然関連情報を開示することを求めている。同社グループは2022年7月、TNFDフォーラムへ参画した。

 TNFD開示提言採用企業は世界320社で、このうち日本企業が80社を占め、国別では世界最多となっている。わが国の2024年度までのTNFDフレームワークによる開示を表明した建設・住宅・不動産会社はLIXIL、リゾートトラスト、積水ハウス、清水建設、住友林業、大成建設、竹中工務店、大和ハウス工業、大東建託、東急不動産ホールディングス、野村不動産ホールディングスの11社。2025年度の開示を表明した企業は大林組。三井不動産はTNFDフレームワークを参考にしながら、積極的な情報開示に努めていくとしている。

〝美は現しにあり〟木と鉄骨のハイブリッド実現野村不&清水建設「溜池山王ビル」(2023/11/21)

野村不動産「プラウド国分寺」国分寺崖線の既存樹を残し市民に一部開放(2016/7/26)

野村不動産 6月26日まで「ホタルがすむ街づくり展」開催(横浜ビジネスパーク)(2016/6/14)

ホタルやメダカ、せせらぎが見られる 新宿野村ビル(2008/6/9)

 

IMG_1989.jpg
水谷氏(左)と吉井氏(AEAJ 3階グリーンテラスで)

 一般社団法人more trees(モア・トゥリーズ)と“日本一人口の少ない秘境”奈良県野迫川村(のせがわむら)は10月2日、「森林保全および地域活性化に関する連携協定」を神宮前の公益社団法人・日本アロマ環境協会(AEAJ)3階グリーンテラスで締結した。締結式の模様はメディアに公開された。

 more treesにとっては国内22か所目(海外2か所)の活動地で、締結式を東京で開催するのは1か所目の高知県梼原町(隈研吾氏の作品で知られる)に次いで2度目。会場となった「グリーンテラス」は隈氏が手掛けた「僕の建築家としての原点となる作品」で、グリーンテラスからは隈氏が小学4年生のときに建築家を目指すきっかけとなった国立代々木競技場が正面に見える。隈氏は30年来の友人だったmore treesの初代代表・坂本龍一氏の死去に伴い昨年6月、遺志を継ぐ形で二代目代表に就任した。締結式では隈氏の手紙が披露された。

 締結式の冒頭、more trees事務局長・水谷伸吉氏は、主な活動として①森づくり②国産材利活用③カーボンオフセット④木育などセミナーを挙げ、今後の森づくりでは人工林が皆伐された後に再植林されない林地が3割強あることから、広葉樹に着目し、その地域の特性に合致した樹種の植林に力を入れ、「企業の森」づくりなど、都市と森林・林業を結びつける活動に力を入れていくと語った。

 協定締結式に臨んだ吉井善嗣村長は、風景写真(記事参照)をスクリーンに映し出し、 「野迫川村には広葉樹の森がたくさん広がっており、春には薄桃色のヤマプキやミズナラなどの木々や草花が咲き誇り、夏には青々とした木々に包まれ、秋にはカエデなどの黄色や赤の紅葉が広がります。そして、冬を迎えると、深々と雪が降り銀世界を描きます。四季折々の自然のリズムを楽しむことができます」と切り出し、村の概要について標高400~1,300m(平均700m)、総面積の97%が森林で、年間平均気温は札幌とほぼ同じ9.2℃、令和2年の国勢調査では人口は357人で、離島を除けば全国最小、年間を通して雲海が発生しやすいことから「天空の國」と呼ばれているなどと説明した。シイタケ、マツタケ、アマゴ(養殖)、凍り豆腐などが特産品だそうだ。

 森林・林業については、全国の林業地が抱える共通の課題である従事者の高齢化、担い手不足、急峻な地形、主伐期を迎えながら伐採されない人工林(樹齢約60年のスギ、ヒノキなど村有林は600ha)、放置間伐材などの課題解決に向けて、針葉樹の皆伐後の混交林化など森林の基盤整備、林業構造の強化などの川上と、木材利用・加工の拡大、森林サービスの顕在化・発展などの川中・川下の取り組みに力を入れていくと話した。

 隈氏は締結式に欠席したが、「僕にとってグリーンテラスは思い出深い場所です。1964年、小学4年生のとき、代々木体育館を見て建築家を目指そうと思った。グリーンテラスは建築家としての原点となる真向かいに建て、テラスから代々木体育館が見える。今回、ここで協定式が行われるのは二重三重の喜び。more treesの代表だった坂本さんとは30年来の友人。森づくりには様々な困難、共通の課題を抱えているが、一番小さな村で活動することが、森林・林業にかかわる方に希望と勇気を与えるきっかけになることを願っている」とメッセージを寄せた。

IMG_1992.jpg

野迫川村.png
野迫川村の雲海

野迫川村3.png
野迫川村の紅葉

野迫川村2 (1).png
野迫川村の冬

IMG_1961.jpg
全面的に国産ヒノキを使い、日本の伝統的な「木組み」の技を最大限に生かしたAEAJ グリーンテラス

IMG_1965.jpg
グリーンテラスエントランス庇

IMG_1966.jpg
壁全面にクロマツ材が張られている

IMG_1968.jpg
隈氏直筆のmore treesつみき(野迫川村に贈呈される)

IMG_1972.jpg
3階グリーンテラス

IMG_1975.jpg
木漏れ日をイメージした3階グリーンテラスの天井

IMG_1993.jpg
日本アロマ環境協会(AEAJ)1階

IMG_1994.jpg
日本アロマ環境協会(AEAJ)1階

◇      ◆     ◇

 故・坂本龍一氏がmore treesの代表を務めていたので動向には注目していたが、直接取材するのは初めてだった。隈先生の作品が見られるし、てっきり隈先生に会えると思い込み、事前の下調べなど全くしなかった。

 それでも収穫はたくさんあった。グリーンテラスは写真で紹介した。美しい。見事というほかない。野迫川村の概要は上段で紹介したが、財政状況を調べたら、歳入は15.3億円で、地方税比率は4.4%、地方交付税比率は68%、経常支出比率は88.5%、財政力指数は0.13%で、高齢化率は50%を突破しており、林業従事者は30人くらいだ。

 村長さんや隈さんのメッセージを聞き、野迫川村に隣接する十津川村の復興再生プロジェクト「高森のいえ」の見学を兼ねて訪れてみようという気持ちになった。野迫川村は、新幹線新大阪駅から電車、バスを乗り継いで約3時間だから、東京からだと6時間、宿泊費を含めると往復で10万円くらいか。

 クマもそうだが、怖いのはヤマヒルだ。村長さんに尋ねたら、「ヤマヒルはいる」と答えただけで、〝それがどうした〟という顔をしていた(水谷さんが「刺されたらタバコの火を近づけるとコロリと外れる」と助け船を出してくれた)。

 大好物のアユとイワナの骨酒に聞いたら、アユは標高が高いので棲息しておらず、村に唯一あるホテルでは骨酒の提供はないが、代わりにアマゴの養殖がさかんなので、自分で作れば飲めるとのことだった。

 それにしても、この日のメディアの参加者は記者を含めて数人だった。坂本さんの都知事宛ての手紙にはハゲタカのように群がったのに、more treesの本来の活動である森づくりのイベントにはどうして集まらないのか。これも危機に瀕する森林・林業の実態の反映か。山がダメになり、田んぼが少なくなり、川の水量が激減し、アユもウナギもカニも食べられなくなった。磯物も壊滅状態だ。そのうち近海魚は絶滅するのではないか。

 まだ言いたい。国土強靭化の肝は森林・林業の再生だと思うが、来年度の林野庁の予算要求額は3,478億円(前年度比117.8%)だ。一方、防衛省の予算要求額は過去最大の8兆5,389億円(同110.5%)だ。10年前の2017年度の予算額は林野庁が2,903億円で、防衛省が1兆8,260億円だった。伸び率は林野庁が19.8%増、防衛省が2.1倍増だ。同じ国を守り、人を守り育てるための予算(自衛隊は合法的に人を殺すことが許される場合がありえるが)なのなぜこれほど差が出るのか。釣り合わないではないか。自然災害の激甚化と森林・林業の衰退とは無関係ではないはずだ。

◇        ◆     ◇

 吉井村長と水谷事務局長はヤマヒルをご存じなのは当然だか、他の関係者やメディアの方は知らなそうな人ばかりだった。いかに恐ろしいか、田舎に移住するのにどのような覚悟が必要か。かつて書いた記事を紹介するので読んでいただきたい。

 「それより怖いのはヤマヒルだ。尺取虫のようにどこからともなく忍び寄り、やわらかい皮膚に食らいつく。血を吸われても気がつかないから始末が悪い。無理に引っぱがすと、皮膚ごとはがれ、なかなか血が止まらない。山ヒルは山道が獣道に変わって出現するようになった。全国どこでもそうだという。

 日本のユマヒルはまだたいしたことがないが、古山高麗雄が戦記小説に書いているように、中国とビルマの国境あたりのジャングルのヒルは強暴だ。人間を察知すると、葉裏に隠れている無数のヒルが「ザザザザッ」と葉を揺るがし、頭の上から襲いかかる。そして、知らないうちに陰部などに食らいつき真っ赤に膨れ上がる。(チンポコが2つになる記述もあった)無理に引き剥がすと出血多量で卒倒するのだという。仕方がないから、食らいつかれたまま下半身をさらし、石などでつぶすしかないのだという。

 田舎に帰省するとこの小説が頭に浮かび、田んぼのあぜ道すら怖くなる」

 

more trees 隈研吾氏とコラボした「つみき」マクアケで支援者募集(2015/9/24)

三菱地所レジデンス「西新宿タワー60」第1回コミュニティ支援イベント公開(2015/1/21)

セカンドライフは田舎暮らしより都会 三井不販のアンケート(2011/9/8)

 

 

コスモスイニシア.jpg
モデルルーム イメージ図

 コスモスイニシアは9月30日、多様化するライフスタイルにフィットするパナソニックの「Life Style Fit(ライフ スタイル フィト)」と同社の「すごし方ファースト」な空間設計を掛け合わせた、コンパクトな面積でも広いリビングを叶えたスぺパ*志向のモデルルームを「木場サニータウン」の1室に設け、同日から販売を開始したと発表した。

 「木場サニータウン」は、JR京葉線潮見駅から徒歩9分・東京メトロ東西線木場駅から徒歩19分の1983年1月竣工の全467戸の大規模マンション。モデルルームは61.50㎡、価格は4,380万円(坪単価235万円)。洗面室はリネン棚を置けるよう配置を変更し、ランドリー収納を設置。キッチンのまわりを移動できる、壁に接していないレイアウトプラン(フロートプラン)によって床面を空けることで、ロボット掃除機でもお掃除しやすい空間を設けた。

 「Life Style Fit」は、パナソニックが提供する住まいの設備や建材に関するサービスで、ユーザーのライフスタイルに合わせた暮らしの提案や診断を行うもので、ユーザーが「どんな暮らしがしたいか」という質問に答えることで、自分らしい暮らしにフィットするスタイルやプランを見つけることができるもの。

※スぺパ=スペースパフォーマンス:空間対効果、空間の利用効率を良くする暮らし方・過ごし方のこと

MCY004612_m.jpg

◇      ◆     ◇

 同社がプレス・リリースに添付した国土交通省の不動産価格指数と住宅金融支援機構のフラット35利用者調査のグラフも紹介する。これに基本性能や設備仕様レベルを価格に換算したら、その差はもっと大きい。「木場サニータウン」は見学したことがある。当時の坪単価は150万円くらいではなかったか。

 それにしても〝コスパ〟〝タイパ〟に〝スペパ〟とは…いまの若い人はそんなに合理的な生き方をしているのか。小生などは〝清く正しく美しく〟がもっとも美しい生き方だと思うが…だしぬけにクンデラの「存在の耐えられない軽さ」を思い出した。

コスモスイニシア2.png

 SA1_1085.jpg
トータルフューチャーヘルスケア共同プレス発表会(帝国ホテルで)

「急変の早期発見」「軽症での早期発見」社会実装へ-YKK AP、大東建託、NTT ドコモ・ベンチャーズ、中部電力の事業パートナー4社は104日、プレス発表会を開催し、イーソリューションズ子会社のトータルフューチャーヘルスケア(TFH)への出資を通じ、生活空間で発生する転倒などの急変や、認知症などの疾患リスクの早期発見モデルの社会実装に取り組む業界横断のプラットフォームを発足すると発表した。プレス発表会にはメディア約65人、関係者約50人が参加した。

プラットフォームを立ち上げたのは、転倒は、つまずきによる転倒だけでなく、脳卒中や心筋梗塞などの疾患起因による意識障害や、認知症やフレイルなどの心身の変化の兆候としても現れ、多くが生活空間で発生しており、寝たきり状態になるケースも多いことから、疾患リスクを早期発見できれば、医療費・介護費などの社会コストの削減に寄与できる可能性があるとしている。

早期発見モデルは、世界最先端技術を有するVayyar Imaging Ltd.Vayyar)、Binah.ai LtdBinah)、PSTPST)ら技術パートナーと提携して、優先的な実施権を持つTFHが開発する。技術パートナーは提携協議を進めている3社も含め今後も提携企業を増やしていく計画。実証協力機関は慶應義塾大学医学部。

SA1_0184.jpg
佐々木氏

主催者を代表してイーソリューションズ代表取締役社長・佐々木経世氏は、家で起きる転倒事故(年間743万件、死亡者数19万人)が多い現状や、認知症(潜在患者数1,002万人)、糖尿病(同2,469万人)、高血圧(同4,140万人)の受診率はそれぞれ12%、14%、43%にとどまっている深刻な状況を紹介し、「心疾患、脳血管、高血圧、糖尿病など8大疾患を早期発見すれば、医療費、介護費などの社会コスト(104.6兆円)は最大で13兆円削減できると予測されている。このような心強いパートナーに恵まれ、日本の未来のために一緒に取り組めることにわくわくしている」とあいさつした。

SA1_0547.jpg
魚津氏

事業パートナーで、各企業との連携を促進する商社的な役割を担うYKK AP代表取締役社長・魚津彰氏は、同社の樹脂サッシ出荷量は12年間で5倍に拡大したことを紹介し、今回の事業では「2025年に実証実験のため社員寮を建設し、TFHなどと共同研究し、新たな商品開発につなげる」と語った。

SA1_0594.jpg
竹内氏

大東建託代表取締役社長執行役員CEO・竹内啓氏は、2024年度を初年度とする中期経営計画で「託すをつなぎ、未来をひらく。」をパーパスに掲げたことを紹介し、「当社らしい街づくりを実践する『DKミライサークル』では、会員130万人のアプリ『ruum』と連携させて、賃貸住宅居住者225万人、介護関連施設179施設での実証実験と共同研究を進め、課題解決を目指す」と話した。

SA1_0629.jpg
前田氏

1億人超の利用者がいるNTT ドコモ・ベンチャーズ代表取締役社長・前田義晃氏は「今回の業界横断の事業では通信環境整備を支援し、加えて、ドコモのヘルスケア基盤と『Well-being 推定AI』を活用し、早期発見プラットフォームと連携することで疾病リスクの早期発見に貢献していく。医療・ヘルスケア分野のデジタルによる改革は不可欠」と述べた。

SA1_0687.jpg
林氏

中部電力代表取締役社長・林欣吾氏は、電力スマートメーターで計測した電力使用量をAIに分析し、フレイルを検知する、自治体向けサービスを開始していることを紹介し、「当社の電力解析技術とTFHの技術を掛け合わせ、フレイル以外の疾患対策を共同で開発する」と語った。

SA1_0749.jpg
前田氏

来賓としてあいさつしたエグゼクティブアドバイザーの国際協力銀行取締役会長・前田匡史氏は、「日本の課題発見力は高いが、それを解決するビジネスモデルを構築する能力が低い。佐々木さんと出会ったのは18年前。佐々木さんは天才です。とにかく巻き込む力がある。業界の枠を超えて企業を結び付けていく拡張性に富んでいる。これが天才たるゆえんです。今回の事業は日本発の新しいビジネスとして世界に展開できる。益々の発展を確信しております。祈っているのではありません」と語った。

SA1_0936.jpg
新井氏

また、順天堂大学理事長補佐医学部脳神経外科学名誉教授・新井一氏は「予防医学には、病気を発症させない健康増進など一次予防、いち早く病気を発見する二次予防、退院後の社会復帰を促す三次予防があります。私が注目しているのは今回の事業は二次予防に革命をもたらすのではないかということです」と絶賛した。

SA1_1153.jpg
質疑応答に答える各氏

        ◆     ◇

プレス発表会の案内が届いたとき、素晴らしい取り組みだと思った。と同時に不思議に思ったことが一つある。主催者企業4社のうち東海・北陸が発祥か本社を構える企業はYKK AP、大東建託、中部電力の3社もあることだった。

この日、配布された資料には、イーソリューションズ社長の佐々木氏は富山県黒部市出身、YKK AP社長の魚津社長は富山県出身、大東建託の竹内社長は富山県砺波市出身、中部電力の林社長は三重県出身とあるではないか。出身は不明だが、エグゼクティブアドバイザーの富山大学学長の齋藤滋氏も登壇し、あいさつした。

まだある。建築家・隈研吾氏もエグゼクティブアドバイザーとしてビデオメッセージを寄せたが、記者団からの質問に、佐々木氏は「隈さんとは40年来の友人」と答えた。富山県には隈研吾氏の作品「Toyamaキラリ」と日本酒ブランド「IWA」の酒蔵がある。

これで知恵の輪が解けた。これは東海・北陸発(初)であり、さらに言えば富山発(初)のプロジェクトだ。佐々木姓は東北に多いが、由来は滋賀県だといわれている。三重県出身の記者の母親も佐々木姓だった。地方閥があるかどうかは知らないが、富山の薬売り商法は生きている。先用後利だ。きっと花が咲く。数兆円のマーケットになるような気がする。がんばれ富山!佐々木さん!

一つ追加。写真はすべて主催者のオフィシャル画像。写真家のクレジットは不要のようだが、最高に素晴らしい。他社も見習ってほしい。いつも送られてくる人物の写真は遠景の米粒ばかり。拡大に耐えられない。

SA1_1144.jpg
プレス発表会場(帝国ホテルで)

スキーム.png

 

IMG_1900.jpg
左から横手氏、アレックス氏、鈴木氏(日比谷国際ビルで)

 三菱地所は10月1日、世界48都市、18,000室の家具付き賃貸住宅サービス事業を展開しているBlueground Holdings Ltd.(ブルーグラウンド)社のCEO兼共同創業者・Alex Chatzieleftheriou(アレックス ハジエレフテウ)氏らを招いて「Blueground Japan開業記念イベント」を開催した。

IMG_1891.jpg
鈴木氏

 イベントの冒頭、三菱地所住宅業務企画部長・鈴木智久氏は同社のフレキシブルリビング事業について説明。2019年にシンガポールのCo-Living(賃貸住宅)事業を展開しているスタートアップ・Hmlet社とJV事業を開始し、2023年11月には、三菱地所100%子会社のFL Japan Holdings(代表取締役:佐々木謙一氏)を設立。2024年10月現在、Hmlet Japan社は東京都心部で51拠点、1028室を運営している。

 一方、米国Blueground Holdings Ltd.とは、日本国内での独占的ライセンス契約を締結し、2023年11月に設立した三菱地所の100%子会社Blueground Japan(代表取締役:横手翼氏)が今春から日本市場でのサービスを始動させている。

 フレキシブル事業の特徴は、オンラインでの契約・契約期間の変更、申し込みから入居まで数日間、家具・家電・水道光熱費込みのオールインクルーシブル、24時間365日のトラブル対応、多言語によるサポートなど。

 ブランド戦略として、Hmletのターゲットは若年層/子一人暮らし/フリーランスなどで、価格帯は20~40万円/月、運営方式はコミュニティ重視、ソーシングは1棟単位の借り上げ・運営。Bluegroundのターゲットはエグゼクティブ/ファミリーで、価格帯は40~100万円/月、運営方式はプライベート重視、ソーシングは1戸当たりの借り上げ。

 将来展望として、この2ブランドの展開により2027年度は室数5,000室以上、売上高150億円以上、2030年は室数10,000室以上、売上高300億円以上を目指す。

IMG_1894.jpg
アレックス氏

 続いて登壇したアレックス氏は、創業する前の5年間は世界を飛び回り、ほとんどホテル暮らしで費用が高くストレスもたまることから創業を決断。設立当初は従業員10人、住戸数は100室だったのが、現在では従業員は1,000人以上、世界48都市で18,000室を運営している。2028年には100都市、1000,000室を目指すと語った。

 日本市場については、①ホテル滞在は費用が掛かりすぎる②家具付き賃貸物件が少ない③手続きが面倒で時間がかかる④テクノロジーが活用されていないなどの課題を挙げ、「東京はニューヨーク、ロンドンに次ぐ世界トップ3の都市。賃貸住宅はデザインが優れており、メンテナンスが行き届いている。(同社が基準としている)機能が備わっている。まだまだ伸びる。わくわくしている。完璧なパートナー(三菱地所)を獲得できた。事業が成功することを確信している」と語った。同社が独自開発した物件管理プラットホーム-オペレーション-ダイナミックプライシングのテクノロジーで差別化を図るとしている。

IMG_1895.jpg
横手氏

 Blueground Japanの取り組みについては横手氏が説明。外国人から見た言語の壁、貸主側の躊躇、アナログな手続きを解消した世界基準のサービスと日本の不動産ノウハウを掛け合わせて展開しており、現在運営している都心7物件(36室)の平均面積は53㎡、稼働率は56%、年内に100室に拡大すると話した。

 この後、Blueground Christos Misailidis氏、Alexandre Devoucoux du Buysson 氏、Hmlet Japan代表取締役兼Blueground Japan取締役・佐々木謙一氏によるトークセッション「フレキシブルリビング事業の現在」が行われた。

 各氏は、フレキシブル住宅市場は現在3~4%にとどまっているが、2030年には15%まで拡大すると話した。

IMG_1905.jpg
左から佐々木氏、アレクサンドル氏、横手氏、アレックス氏、クリストル氏、鈴木氏

家具付きマンション運営会社Blueground Japan社長は野球部の横手氏三菱地所(2024/10/1)

わが国賃貸市場の後進性衝く家具付き「Weave Place」浅草など都内7物目オープン(2023/3/4)

三菱地所オフィス家具引取・販売サービス「エコファニ」本格稼働(2022/3/15)

スマホ一つで住設機器・家電など操作・管理三菱地所スマートホームサービス開始(2021/11/4)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン