RBA OFFICIAL
 

IMG_5288.jpg
「太子堂の家」

Screenshot 2025-03-09 at 10-04-52 メール - 第三企画㈱ 牧田司 - Outlook.jpg

 〝不動産・建築・リノベーションのプロフェッショナルチーム〟をうたうJam(Japan asset management株式会社)は3月8日、空き家活用プロジェクト「太子堂の家」竣工見学会&懇親会を開催。築68年の借地権付き64㎡の専用住宅オーナーと同社が8年間の定期賃貸借契約を結び、共同投資して約1,200万円の工事費をかけ、隣接地事業者に転貸する仕組み。転借人は「民泊」として活用する。プロジェクトには同社のほか、地元でコミュニティ施設を運営する空き家リノベラボパートナー・三茶ワークカンバニーなど多くの企業・団体がかかわっている。

 プロジェクトは、オーナーが相続で建物を取得したが、再建築が不可であることから世田谷区の空き家相談を介してJamが紹介されスタート。現行法では第一種住居地域・近隣常行地域にまたがっており、建ぺい率60%・80%、容積率200%・300%のエリア。建物は耐震補強を行っているが、「大規模修繕」「大規模の模様替え」に該当せず、2025年4月以降の建基法改定による申請は不要だった。現在の土地所有者は、底地権者が物納したため財務省。

 建物オーナー(61)は「三茶WORK 茶や」で行われた懇親会で、「もともとは祖母の家で、祖母、父母と私の4人で30年くらい住んでいた。私は30代のとき大田区に移り住んだ。以後は父が住んでいたが、死亡してから4~5年空き家になっていた。家も死んだと思っていたが、生き返った。心から嬉しい」と語った。

 Jam代表取締役/仕掛人・内山博文氏は「この3年間、地域の方々とつながるプロジェクトに取り組んできた。今回の物件はその集大成。街づくりの形が見えてきた。わくわくしている」と話した。

 空き家リノベラボ(通称「あきラボ」)は、不動産・建築・金融 の多角的な視点から、空き家・相続不動産の課題解決をあきラボパートナーと連携し、ワンストップでサポートするプラットフォーム。

IMG_5299.jpg
耐震補強の柱と梁

IMG_5301.jpg
階段

IMG_5302.jpg
水槽(オーナーのお父さんは30センチもする金魚を飼っていたとか)

IMG_5304.jpg
道路幅は約1.5m

IMG_5306.jpg
内山氏

◇        ◆     ◇

 Googleの地図検索を頼りに現地に向かったのだが、丁目と番地までしか表示がなく、号にたどり着くまでは番地を一周りしなければならなかった。細い路地に入ってすぐ既存不適格建築物であることが分かった。道路幅は2mどころか1.5mくらいしかなかった。同様の既存不適格建物はこのほか数軒あった。

 頂いた資料のBeforeには接道なし、再建築不可/旧法借地権付き、用途/規模は専用住宅木造2階建て、築年数は昭和31年、建築面積/延床面積は40.94㎡/64.12㎡とあった。

 昭和31年は記者が7歳のときだ。既存の玄関ドア、天井現し、13段の階段、柱、窓、壁、水槽、庭石、樹木などを見て、懐かしさがこみあげてきた。

 と同時に、合法的に建てられたのかの疑問が湧いた。関係者によると、現状の敷地面積は83.9㎡だが、当時の敷地面積は不明で、着地権でもあることから建築当時はおおらかな形で申請がなされ、当時の建ぺい率60%(容積率は定めがなかった)には適合していたのではないかということだった。

IMG_5291.jpg
和室(6畳)

IMG_5292.jpg

IMG_5297.jpg
現し天井

◇        ◆       ◇

 懇親会では多くの方と歓談した。不動産は排他的・絶対的な支配権を有し、空き家はテーマが大きすぎ、権利関係も複雑なので記者は取材を避けてきた。この種の対症療法的な空き家リノベは根本的な問題の解決にはつながらないと考えているが、「古いものが残ってよかった。新しいものとの共存が大事」「地域の住民にとって(空き家のままより)安心できる」「転借人は地域とのコミュニケーションを大切にしている方」「路地が大好き」「私も相模原に空き家がある。何とかしたく、見学会に参加した」などと切実な声を聴いた。

 メディアは信用されていないことも感じた。「取材です」と声を掛けると、眉をしかめる人もいた。「あなた、神宮外苑をどう思ってるの? 」と問われたので、「三井不動産は『経年優化』を目指している。いい街になると思いますよ」と答えたのがいけなかった。集中砲火を浴びた。(RBAタイムズのホームページで「神宮外苑」を検索していただきたい。野球記事もあるが全部で143件ヒットする。記者は嘘は書かない)

築60年、既存不適格、借地権…難問クリア空き家リノベラボ「house matsubara」(2024/8/7)

 

IMG_5259.jpg IMG_5245.jpg
小野氏(左)と阿久津氏

一般社団法人ケアリングデザイン(代表理事:小野由記子氏)は37日、2024年「100年人生 自立をかなえる住まいと暮らし」をテーマにした調査報告発表会&トークセッションを開催。小野氏がショッキングな調査結果を報告したほか、国内外のエイジングテックの第一人者である千葉大学医学部附属病院特任准教授・阿久津靖子氏がデンマークなどの先進的な取り組みを紹介し、小野氏と阿久津氏のトークセッションも行われた。

調査は、75歳以上の高齢者1,000人を対象に、外出習慣や生活動作など身体的機能6項目と、意思決定などの人生マインド8項目の回答を点数化し自立度を設定。調査の結果、自立度の高い「自立シニア」は39.0%の390人、「中自立シニア」は38.9%の389人、自立度の低い「低自立シニア」は22.1%の221人となった。

自立して暮らすことが難しくなった場合、すまいをどうするかの問いに対しては、自立シニアも低自立シニアも自宅に住み続けたいと回答した人は約70%に達した。

自立シニアは外出機会が多く、周囲とのコミュニケーションが活発で、有職者も2割。食事の準備、掃除や洗濯、お金の管理を自分で行い、外出に積極的であることを明らかにした。一方、低自立シニアは健康上の課題を抱えている人が4割程度に達し、外出頻度は33.0%(自立シニアは68.7%)と低い数値にとどまっていることが分かった。

自立シニアの考えや行動については、①自分の意見や行動に責任を持っている②人から指図されず自分で判断して行動する③自分の考えに自信を持っている④趣味や楽しみ、好きでやっていることがある⑤状況や他人の意見に流されないほう⑥何か夢中になれることがある⑦これからの人生に目的を持っている⑧何か人のためになることをしたい-と答えた人は89割に上った。他方で、非自立シニアは①②⑤以外は5割を割っている。⑦は19.0%、⑧は26.2%の結果になった。

自立シニアの住まいに関する考えでは、50%以上の人がポジティブな考えを持っている反面、低自立シニアは20%未満の回答となった。

住まいで大切だと思う点のトップ10を自立シニアと低自立シニアとで比較したところ、日当たり、風通しや湿度、くつろげる場所、機密性・断熱性、浴室・洗面所の室温。生活上十分な広さ、収納、安全な階段などすべての項目で自立シニアはほぼ6割の人が高い関心を示した一方で、低自立シニアは23割台にとどまり、ドーナツ状の二重円を描いた。

ありたい暮らしの実現度では、自立シニアは様々な項目で高い実現度に達している一方で、低自立シニアは低い数値にとどまり、「自宅に人を招く」は31.0%(自立シニアは75.1%)と大きな隔たりがみられる。

住まいの満足度と自立度は比例しており、幸福度については自立シニアは「高い」が28.7%(低自立は5.4%)、「ふつう」が56.4%(同43.9%)、「低い」が14.9%(同50.7%)と大きな差が出ている。

調査結果について小野氏は「心身共に健康な自立シニアは思い通りに生き生きと暮らしを楽しんでいることが分かった。100年人生を自立して幸福に過ごすために、暮らしを下支えする住まいのあり方について今後も調査していきたい」と語った。

調査は、公益財団法人日本財団の2024年度助成プログラムを受けて実施したもの。

小野氏に続いて登壇した阿久津氏は、国内外の高齢者政策を紹介し、わが国はデンマークなどの先進国と比べかなり遅れていると指摘。今後必要なのは、高齢者が自立して暮らす、テクノロジーと一緒に暮らすことが必要と強調した。エイジング・イン・プレイス(Aging in Place)があるかどうか、テクノロジーを活用するかどうかで経済格差、健康格差が広がると語った。具体的には、高齢者の「孤独」「移乗・移動」をサポートするかが重要であると指摘した。

一方で、高齢者の金融資産は増加し、スマートシティ、スマートホームが普及し、住宅メーカーの取り組みも加速し、最近の人は抵抗なくスマホ・アプリ、AIなどを自由に扱えるようになったプラス面での現状にも触れ、マンションの管理会社が日常的にサービスを提供する絶好のチャンスであり、今後は図書館やスーパー、薬局などで相談ができる仕組みを構築したいと語った。

阿久津氏は今後3年間、千葉大大学院で研究し、具体的な取り組みなどを提案するのだそうだ。

IMG_5204.jpg
会場(KARIMOKU RESEARCH CENTER)

        ◆     ◇

もうすぐ76歳になる記者は、調査結果が自立シニアと低自立シニアのドーナツ状の二重円構造を明らかにしたことにショックを受けた。住宅価格が上昇し、あらゆる面で分譲より劣る賃貸住宅の賃料も安くない現実を改めて突きつけられた。6割以上の高齢者が自立できない何らかの問題を抱えているということだ。〝お前は自立できているか〟と問われれば自信はない。

 社会全体が高齢者の居住環境の改善に取り組まないといけないことを痛感させられたセミナーだった。

小野由記子氏もハイブリッドキッチン提案 西武池袋本店「くらしのデザイン展2022(2022/3/21

 

 

Screenshot 2025-03-08 at 09-07-40 国内初 女性活躍推進に特化したスタートアップ支援ファンド 「WPower Fund I」を設立 三菱地所.png

 東京都、三菱UFJ銀行、三菱地所、塩野義製薬、MPower Partnersは3月7日、女性活躍推進に特化した国内初のスタートアップ支援ファンド「WPower Fund I投資事業有限責任組合(WPowerファンド)」を設立したと発表した。同ファンドを通じ、日本から世界へ羽ばたき活躍する女性起業家を育成し、女性活躍を推進するスタートアップを支援する。ファンド規模は最大80億円。

 同ファンドは、わが国のスタートアップ投資はこの10年で10倍になったものの、女性起業家への投資額は全体のわずか2%にとどまっている一方で、女性創業者の数は年々増加し、新規起業の34%は女性によるものに着目。多くの優れた女性創業のスタートアップおよび女性関連ビジネスが資金調達に困難を抱えていることにより、イノベーションが阻害され、経済の活力が失われているとし、同ファンドを通して女性起業家および女性活躍推進に資する事業を支援する。

 ファンド名はWPower Fund I 投資事業有限責任組合。投資対象はアーリーステージの女性創業スタートアップ、女性活躍の推進等に資するサービス・商品を展開するスタートアップ。投資家は無限責任組合:WPower Fund GP有限責任事業組合、有限責任組合員は東京都、株式会社三菱UFJ銀行、三菱地所株式会社、塩野義製薬など。ファンド規模は最大80億円。

 三菱UFJ銀行は、「女性活躍推進は世界を大きく変貌させる可能性を秘める重要な取組として捉えており、この度組成する本ファンドが担う社会的な意義・責任は極めて大きいものと感じております。三菱UFJ銀行はアンカー投資家として、本ファンドを通じて日本を、世界を前に進めるチカラとして全力で支援してまいります」とコメントしている。問い合わせは広報部TEL:03-5218-1814。

 三菱地所は、「多様性豊かなまちづくり、多様な価値観・人材が生み出すイノベーションこそが、当社が社会に対して提供すべき価値と捉えており、国内の総合デベロッパーとしては初めて、女性のエンパワーメント原則(WEPs)に参画するなど、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの取り組みを推進しています」とコメント。問い合わせは広報部TEL:03-5218-1814。

 塩野義製薬は「本パートナーシップを通じて、社会課題解決に貢献するとともに、年齢や性別、人種、異文化等を超越したダイバーシティを有するSHIONOGIとして、今後一層、その融合を図り、継続的なイノベーション創出につなげ、持続性ある経営を推進し社会に対する責任を果たしていきたいと考えています」とコメント。問い合わせは塩野義製薬 https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3

 

  Screenshot 2025-03-08 at 00-00-18 ec0f9de254984f9fcddef851c0a047f7e08c0166.pdf.png
「体感すまいパーク吉川美南」

 ポラスグループの注文住宅を手掛けるポラテックとグローバルホームは3月6日、ポラスグループ6か所目の単独展示場「体感すまいパーク吉川美南」のメディア向け見学会を行った。展示場は3月1日(土)にオープンしたもので、土・日曜の2日間で200組以上の来場者があった。2022年1月に開設した、同社本拠地の「越谷」は2日間で140組だったことから、ポラテック取締役・橋本裕一氏は確かな手ごたえを感じているようだった。

 同展示場は、JR武蔵野線吉川美南駅から徒歩13分、吉川市による施行面積約59.1haの吉川美南駅東口周辺地区土地区画整理事業地内に位置する敷地面積約6,000㎡(1,800坪)。モデルハウス4棟と技術展示スペースを設けたオフィス棟、ポラス暮し科学研究所の研究棟と実験棟を併設。吉川美南駅東口開発はこれから本格化することから、同社は地域の新たな顧客開拓を目指す。

 橋本氏は「これだけのエリア(ポラス商圏)に人材(ポラス従業員約4,500人)を投入している会社はほかにない。『吉川美南』は営業拠点だけでなく、支店の一部、非住宅部門も移転し、ポラス暮し科学研究所の研究棟と実験棟も入る。これらは、広い土地を購入できたからこそ実現した。展示スペースは木造建築の学びの場とし、さらに地域交流拠点として新たな顧客を掘り起こしていく。この1年間で120棟の受注を目指す」と語った。

 オープンしたモデルハウスは、「PO HAUS ARZILL」「PO HAUS 和美庵」「北辰工務店 心」「HaS casa Leche」の4棟。延床面積はすべて20坪後半から30坪台のリアルサイズが特徴で、宿泊体験も可能。

 「PO HAUS ARZILL」は延床面積115.22㎡(34.85坪)、ホワイトスペース、フォイヤーなど多目的に利用できるスペースを随所に設け、プライバシーとオープンな空間の相反する要素の両立を目指す。価格は100万円/坪~。

 「PO HAUS 和美庵」は延床面積99.78㎡(30.18坪)。ダイニング天井、天井ルーバー、造作風呂、吹き抜け空間、ヌックなどに本物の木を多用している。価格は100万円/坪~。

 「北辰工務店 心」は延床面積96.54㎡(29.20坪)。共働き世帯を想定し、「最新住宅設備×IoT 技術」が助ける家事ラク住宅がテーマ。価格は80万円/坪~。

 「HaS casa Leche」は延床面積86.86㎡(26.22坪)。外観はライトブラウン(茶色)一色。ツーバイシックス工法と超高断熱仕様で曲線美と機能美をアピールしている。価格は90万円/坪~。

IMG_5127.jpg
橋本氏

IMG_5133.jpg IMG_5136.jpg
技術展示コーナー

あるジール.png Screenshot 2025-03-07 at 22-41-42 ec0f9de254984f9fcddef851c0a047f7e08c0166.pdf.png
「PO HAUS ARZILL」

詫び案.png Screenshot 2025-03-07 at 22-41-58 ec0f9de254984f9fcddef851c0a047f7e08c0166.pdf.png
「PO HAUS 和美庵」

北信.png  Screenshot 2025-03-07 at 22-42-15 ec0f9de254984f9fcddef851c0a047f7e08c0166.pdf.png 
「北辰工務店 心」

Screenshot 2025-03-07 at 22-41-11 ec0f9de254984f9fcddef851c0a047f7e08c0166.pdf.png Screenshot 2025-03-07 at 22-42-35 ec0f9de254984f9fcddef851c0a047f7e08c0166.pdf.png
「HaS casa Leche」

◇        ◆     ◇

 これまでもそうしたように、4つのモデルハウスについて、独断と偏見に満ちた記者の格付けを行うことを決めた。設計担当者による「PO HAUS ARZILL」、「PO HAUS 和美庵」、「北辰工務店 心」のプレゼンが終わった時点で甲乙は付けられず、互角だと判断した。そして最後、およそ家らしくない、奇怪な形と目立つようで目立たない土気色をした「HaS casa Leche」が紹介された。担当者いきなりシュールレアリズムの奇才サルバドール・ダリを口にした。ややあってサグラダ・ファミリアで知られるアントニ・ガウディとモダニズム建築の巨匠ル・コルビュジエの名前が飛び出した。

 担当者の方は最初から最後まで数分間、唯我独尊、わが道を行く。聴衆(同社関係者を含め50~60名か)を無視し、タブレットに神経を集中していた。

 3人の巨匠の名前に圧倒され、事大主義に侵されている記者はこの時点で、モデルハウスを見ていない段階でナンバーワンは「HaS casa Leche」にしようと決めた。早速、名刺交換した。グローバルホームHaS casaDv設計課注文設計1係主任・浅井直林氏だ。浅井氏は「外観は大地の色、ライトブラウン。アール? 人と地球にやさしい」と語り、好きな建築家としてアルヴァ・アアルトと安藤忠雄を挙げた。

 この外観に惚れ込む人はどれだけいるか、やたらと多いR形状(記者の自分自身の軟弱な性格を見るようでR形状は好きではない)に眉をしかめたのだが、決め手となったのは、リビングとキッチンをつなぐ白い壁にポツンと宙に浮いているような黒い帽子だった。ダリの再来かと。コーカサスの織物キリムのクッションと、階段の鉄のフレームをそのまま伸ばしLDKのテーブルにも物書きデスクにもなる提案もいいと思った。

 モデルハウス4棟を見終えた時点でも「Leche」の首位は揺るがなかった。次点は「PO HAUS 和美庵」だ。ナグリ仕上げの床、浴室壁のヒノキ(浴槽をヒノキにすると掃除が大変)、額縁絵のような窓枠・窓台も本物の木でできていた。「Leche」とはタッチの差だ。

 3位は「PO HAUS ARZILL」、4位は「北辰工務店 心」とした。「ARZILL」の幅6.3mの棒状キッチンとダイニングは人を呼ぶのにとてもいい。ただ、フォイヤーとLDKの使い方がいま一つよくわからなかった。「北辰工務店」は坪単価がもっとも安く、収納が多いので、むしろ検討者の一番人気になるかもしれない。実利的だ。最下位にして申し訳ないが、モデルハウス1棟につき見学時間が10分に制限されていたことと、意図を読む「心」が記者にはないためか、いま一つ「心」が伝わってこなかった。

IMG_5132.jpg
浅井氏 

IMG_5141.jpg IMG_5138.jpg
ぽっかり浮かぶ黒い帽子(左)とキリムを配したリビング床

IMG_5145.jpg IMG_5149.jpg
なぐ率上げの床(左)と額縁絵のような窓

5か所目の単独展示場「体感すまいパーク朝霞」オープンボラスグループ(2023/9/2)

延床876㎡の木造事務所工期5か月、建築費坪110万円ポラス「体感すまいパーク柏」(2023/4/29)

〝家に帰りたくない〟宿泊体験した社員ポラス「体感すまいパーク越谷」出足上々(2022/1/8)

ポラス 3か所目の単独住宅展示場「体感すまいパーク東浦和」開設2か月で550組来場(2021/3/19)

IMG_5163.jpg
「ヴェレーナグラン北赤羽マスタープレイス&マナープレイス」(手前は「マナープレイス」の駐車場)

 大和地所レジデンスは3月6日、販売開始からわずか1年で全318戸を完売するなど圧倒的な人気を呼んだ「ヴェレーナグラン北赤羽マスタープレイス&マナープレイス」のメディア向け竣工見学会を行った。高さ規制がない用途規制を逆手に取った床下収納・ロフト付きプラン(32戸)や黒御影石を多用したプレミアム住戸もさることながら、記者はメタセコイアを11本も植えたランドスケープデザインに惚れ込んだ。

 物件は、JR埼京線北赤羽駅から徒歩5分、北区浮間一丁目の工業地域に位置する敷地面積約1,500㎡の全318戸(19階建て「マスタープレイス」253戸、15階建て「マナープレイス」65戸)。専有面積は44.39~106.53㎡(平均70㎡超)、価格は4,400万円台~1億3,000万円台、坪単価は330万円。全体竣工は2025年2月上旬。設計・監理はスタイレックス。施工は長谷工コーポレーション。

 2022年9月にエントリーを開始し資料請求は5,100件。契約開始は2023年3月で、2024年3月に契約完了。契約者の3割弱が地元で、他は都内と埼玉など広域にわたっている。モデルルーム来場者は1,740件。

Screenshot 2025-03-07 at 10-53-58 0303.pdf.jpg
ロフト付きプラン

Screenshot 2025-03-07 at 10-54-21 0303.pdf.jpg
メゾネットプラン

IMG_5182.jpg
ラウンジ中央のオリーブ

◇        ◆     ◇

 商品企画が素晴らしかった「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」(89戸)、「ヴェレーナグラン赤羽北ザ・マークス」(96戸)の記事と一緒に読んでいただきたい。

 今回の見学会では、豊富な緑を配した植栽計画、共用施設、1億円超の最上階の100㎡前後のプレミアム住戸、高さ規制がない工場地域の規制を逆手に取った床下収納・ロフト付きプラン(32戸)などが紹介された。最近めっきり見かけなくなった黒御影石のキッチン天板を久々に見たし、サウナ付きプランにも驚いた。

 ポイントは、今回の物件に限ったことではないが、同社が設計を担当していることだ。設計施工一括発注方式(DB方式)か設計施工分離か-古くから論議されてきた問題なので深入りはしないが、ゼネコンに〝丸投げ〟していたら、同社物件の特徴でもあるメーターモジュール廊下幅、御影石キッチン天板、ミストサウナ、二重床・二重天井などはまず標準装備にならない。同社がしっかり設計を担当し掌握しているからこそユーザーの支持を得ており、〝工場街〟のイメージが強い北赤羽駅圏で3物件合わせ503戸をわずか3年少しで完売する離れ業を演じることができたのだと思う。

IMG_5176.jpg IMG_5180.jpg
荒川の借景

◇        ◆     ◇

 今回の見学会でもっとも驚いたのは植栽計画だった。現地に着いたときは外構の整備中で、円錐形をした落葉樹の巨木が目に飛び込んできた。責任者らしき人に声を掛けたらメタセコイアだった。1、2本なら納得できるのだが、〝並木〟と呼ばれるエントランス周りには11本のメタセコイアが植えられていた。樹齢は30年くらいだそうで、樹高は10mくらいあったのではないか。

 メタセコイアは街路樹として植えられるケースが多い。春先には青々と茂り、秋には赤く染まり、冬には落葉する。見事な樹形を描く。阿佐ヶ谷駅前の落葉した姿を見ていただきたい。ビュッフェの絵画のように美しい。

 マンション敷地にこれほどのメタセコイアが植えられている事例を記者は知らない。事業所ではサカタのタネ本社には20本くらいが植わっていたのを見たことがある。

 このほか、敷地内には河津桜、ケヤキ、常緑樹のカシ類などがたくさん植えられていた。同社は緑被率を公表していないが、これほど見事な植栽を施したマンションはそうないはずだ。(積水ハウスは負けないか)

 もう一つ、すごい演出があった。1階のラウンジ中央のガラス張りの中に枝ぶりが見事なオリーブが植えられていた。ホテルや高額マンション、オフィス空間に本物の樹木が植えられているのは珍しくないが、このような演出は初めて見た。

 関係者に話を聞いたら、「マスコミ嫌いの建築部長が渾身の力を込めた」植栽だそうだ。

 〝マスコミ嫌い〟とは耳が痛いが、その理由は何となく分かる。事実を伝えず、嘘ばっかり書くからだ。樹木は嘘をつかない。部長さん、小生はフェイクの観葉植物の批判記事をたくさん書いてきたように、フェイク記事は書かないことにしている。お金がないので御社持ちで一献いかがか。意見の一致をみるはずだ。部長さんは同社だけでなく、業界の宝だと思う。

IMG_5167.jpg
エントランス部分(はっきり写っていないがメタセコイアの姿が何本か見える)

IMG_5169.jpg
満開の河津桜

IMG_5170.jpg
水盤を備えたエントランス(周囲は本物の石)

2024年3月期引き渡し696戸全て完売来期進捗も80%大和地所レジデンス(2024/3/29)

天井高3m超、20畳大の床下収納など大和地所レジ「赤羽北フロント」竣工見学会(2022/3/24)

大和地所レジ早期完売「フロント」隣接の「赤羽北ザ・マークス」坪300万円超えるか(2021/8/4)

天晴れ!大和地所レジ仕入れの妙商品企画にも生かす「赤羽北フロント」(2020/9/9)
隣接のサカタのタネのメタセコイア圧巻大京のZEH-M (2020/2/21) 

main.jpg
「代々木上原の邸宅」 

 分譲価格が10億円を超えることからメディアで話題になった「諸戸の家」の分譲戸建て「代々木上原の邸宅」を見学した。代々木上原駅圏の第一種低層住居専用地域の邸宅街に位置する1邸で、竣工後ほぼ1か月で完売。5人のプロフェッショナルによる「技」が注ぎ込まれている、これまでの分譲戸建てになかったもので、新しい歴史を刻んだ記念碑的な物件だ。同社は今後、この種の分譲戸建てを年間10棟くらい供給する意向だ、

 物件は、小田急線・東京メトロ千代田線代々木上原駅から徒歩8分、第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%、条例により最低敷地面積180㎡)に位置する南東、南西側に接道する敷地面積242.12㎡(73.21坪)、延床面積303.96㎡(91.95㎡)、価格は10億円超。構造は2階建て木造・パネル工法。2025年1月完成。

 「諸戸の家」は、〝日本の山林王〟と称された三重県・桑名の諸戸家の事業を継承し、昭和50年6月創業(本社:桑名市)。これまで分譲住宅、自社設計・自社施工など5,000棟超の引き渡し実績がある。目指すのは〝「世代を超え、世代に継承される価値を生む〟スーパーラグジュアリー。

 現地の所在地は紹介しないという約束なので書かないが、間違いなく代々木上原駅圏の一等地だ。これまで取材したマンションをいくつか紹介する。読んでいただければ、代々木上原駅圏の相場が分かっていただけるはずだ。

 今はどうか。マンションの坪単価1,000万円をはるかに超えている。なので、土地が73坪で、建物が30坪近い戸建てが10億円を超えても全然驚かない。価格には驚かなかったが、プロフェッショナル人の〝競演〟には驚愕した。

 一つひとつ紹介しないが、これまで50社を超えるメディアがあまり触れていないことを中心に紹介する。圧巻は2階の37帖大のLDKだ。天井高は3.6m、天井は本物の木ルーバー・突板仕上げ、壁はブラックウォルナットと障子。家具・調度品はイタリアのミノッティ。食洗機は幅60センチのGAGGENAU(ガゲナウ)製、冷蔵庫はスウェーデン・アスコ。ダイニングテーブル、チェア、ソファ、ローテーブル、シャンデリアなどは総額で2,000万円とか。

 リビングドアがまたすごい。塗師・牧野昴太氏による世界にここしかない「ひび塗り」だそうで、本物の木に漆を9回塗り重ね、仕上げまで3か月、50工程を掛けたという。これまでたくさん高額リビングドアを見学してきたが、この「ひび塗り」は桁違いだった。

 全フロアに用いられていたクロスがまたすごい。見る角度によって微妙に表情が変わり、微細な文様が現れたので、布クロスかと思ったが、吉川氏は「ビニールクロス」とこともなげに語った。これまで布クロスやレザ―仕上げはたくさん見てきたが、ビニールクロスでここまで表現しているものは見たことがない。

 2階のトイレには絶句した。前日見学取材した旭化成ホームズ「FREX asgard(フレックス アスガルド)」の便器はグレーだったのに驚いたのだが、今回は「黒」だった。便器だけではない。手洗いカウンターの淵はデザイン処理された本物の木だった。

 牧野氏の「技」だけではない。商品企画を担当した同社常務取締役・吉川政弘氏が物件パンフレットに商品化に至った経緯を次のように明らかにしている。「二の足を踏むほどの(土地)金額に、やはりリスクが大きすぎる…私は緊張していました…様々な可能性に賭けようと考えました…諸戸の家をよく知る世界的ランドスケープデザイナーの石原氏と…(5人の)奇才に恵まれ、プロジェクトをスタートさせることができました」と。

 その5人の「技」を紹介する。「英国チェルシーフラワーショー」で12個のゴールドメダルを獲得するなど世界的なランドスケープデザイナーとして知られる石原和幸氏は1階の「緑の扉」やルーフバルコニー、バルコニー、リビングの植栽を担当している。

 京表具伝統工芸士・田中喜茂氏(弘誠堂三代目)による引箔技法によるアートは迫力があった。

 表現士・職人の肩書を持つ吉河清人氏による1階エントランスのアートは、天然石ソーダライトやラリマーを薄く何層も塗り重ね、スポンジやヘラを使用し、ここにしかない「青の存在」を表現したという。

 エントランス正面には迫力のあるアーティスト・大森レイ氏の作品が飾られていた。シュールな抽象画であり古来の屏風絵のようでもあり、不思議な魅力をたたえていた。

sub1.jpg
石原和幸氏によるルーフバルコニー

sub10.jpg
大森レイ氏によるアート

sub15.jpg
牧野昴太氏による「ひび塗り」

sub4.jpg
吉河清人氏によるアート

sub14.jpg
田中喜茂氏(弘誠堂三代目)

◇        ◆     ◇

 価格について。記者は価格が10億円超でも驚かないと書いた。単純比較は難しいだろうが、バブル期のマンションの最高価格はドムス「南麻布」の44億円(坪単価は3,000万円超)で、最近では三井不動産「六本木・檜町公園」の55億円(同)のはずだ。

 分譲戸建てはどうか。バブル期の最高価格はいくらだったか記者は全く記憶がないが、最近では、「成城学園」アドレスのコスモスイニシアと野村不動産のそれぞれ2.7億円が最高ではないか(5億円くらいの物件が供給されたとも聞くが)。10億円は単なる通過点にしか過ぎない。同社にも同業他社にも高額戸建てに挑戦していただきたい。敷地は100坪は欲しい。

sub16.jpg
エントランス

sub6.jpg
2階リビング

sub9.jpg
主寝室

◇        ◆     ◇

 今から60~70年くらい前だ。なぜ〝日本一の山林王〟と呼ばれたか理由は知らなかったが、三重・伊勢出身の記者は小学生のころ諸戸家を知った。毎年、伊勢新聞から発表される長者番付でいつも諸戸家はトップにランクされていたからだ。全国ランキングでも30位くらいに入っていたはずだ。

 Wikipediaによると、「諸戸宗家・本家の両家を合わせると、諸戸一族が所有する山林は巻間一万町歩といわれ、その財力や資産は数えることができないくらいの山持ちである」「初代清六(1846年~1906年)が米相場から、土地に手を出したのは1883年頃からであるが…わずか5年ほどで清六が買い集めた田地は5千町歩にものぼった。清六の土地買いは、田地田畑だけではなく、その後、東京の恵比寿から渋谷、駒場に至る住宅地30万坪を買いまくり、ひと頃は渋谷から世田谷まで、他人の地所を踏まずに行けたといわれる」とある。

 その後、「初代諸戸清六には4人の子がいたが長男と三男は夭逝し、次男の諸戸精太と四男の清吾が残った。諸戸家の家督を継いだのは四男の清吾であり、二代目諸戸精六と名乗り『東諸戸家』に、次男の精太は分家して『西諸戸家』となった。…初代諸戸清六は『山林は一坪たりとも減らすな』『木を伐るな』との遺訓を残したが、東諸戸家では2007年に所有していた山林をトヨタ自動車に売却して今は山林事業から撤退」(三重県の諸戸家FC2Home)しているようだ。

 ジョサイア・コンドルが設計した大正2年完成の二代目清六の邸宅・六華苑は国の重要文化財に指定され、一般に公開されている。

 一方の西諸戸家の事業を継承する諸戸ホールディングスの保有林は約2.800haのはずだ。

IMG_5105.jpg
クロスの文様

IMG_5110.jpg
同じ文様なのに見る角度により表情は全然異なる

IMG_5120.jpg IMG_5122.jpg
2階トイレ

最高2.7億円の住戸に申し込み5件〝プラウドシーズン〟の歴史に刻む野村不「成城」(2022/2/8)

1フロア1戸の全7戸 30坪で価格2.7億円シーラ初の「渋谷富ヶ谷」早期完売(2025/2/17)

代々木上原の一等地〝徳川山〟大京の最上位ブランド「リジェ」全12戸が人気(2024/1/12)

坪800万円をはるかに突破?三菱地所レジフラッグシップの「代々木大山」(2023/9/9)

代々木上原の1低層デザイン性高く借景見事小田急不・大和ハ・地所レジ「上原」(2021/2/12)

駅4分の1低層息をのむほど美しいサペリの建具三菱地所レジ「代々木上原」(2018/12/14)

三井不レジ「檜町公園」わが国の最高価格マンション1戸55億円成約済みか(2016/7/15)

積水ハウス「グランドメゾン上原」坪単価480万円でも億ション人気(2014/5/19)

野村不動産「プラウド上原」垂涎の的の低層3階建て(2011/4/25)

モリモト「ディアナコート代々木上原」2カ月で完売(2011/5/23)

 

IMG_5098.jpg
「FREX asgard(フレックス アスガルド)」モデルハウス

 旭化成ホームズは3月4日、先に発表したアッパー向けの3階建て新商品「FREX asgard(フレックス アスガルド)」モデルハウスのメディア向け見学会を行った。同社マーケティング本部営業推進部・林紳哉氏が「英知を結集した」と話した通りだと思う。外観も内観も黒が基調で、照明も敢えてダウンライトを抑え、暗くするなど〝黒づくし〟。設備仕様レベルも極めて高い。ターゲットとする玄人に受けるのではないか。

 モデルハウスは、駒沢公園ハウジングギャラリーに完成した建築面積約173㎡(52坪)、重量鉄骨3階建て延床面積約334㎡(101坪)。主な基本性能・設備仕様は、断熱等級6、全館空調、フルフラットスラブ・バルコニー、メーターモジュール廊下・階段、階段ステップ18段、幅3m×奥行き5m×天井高2.88mゴルフシュミレーター、水風呂付サウナ室など。

IMG_5049.jpg IMG_5054.jpg

IMG_5096.jpg
2階リビング

IMG_5079.jpg
フルフラットバルコニー&シェルウォール

IMG_5089.jpg
洗面

IMG_5088.jpg
トイレの便器の色にもこだわっている

◇        ◆     ◇

 新商品のコンセプト、設備仕様などは同社が1月に行った発表会の記事を参照していただきたい。

 外観は「黒」だった。若い人にも年寄りにも、お金持ちにも貧乏人にも、右寄りだろうが左寄りだろうが、つまり万人受けする「白」ではなく、真逆の「黒」一色だった。一見して、まあ、これもありかと。似たものは他にもある。考えてみれば、わが国の昔の民家は屋根瓦からコールタールの塗り壁、年を経るごとに黒ずむ柱に至るまで山水画そのもの、黒が基調だった。金色やら赤やら黄色やら青やらに派手にぬりたくったのは殿様かお寺、金持ちだけだった。

 驚いたのは、外観だけではない。内装・内観も黒が基調だったことだ。この種のモデルハウスはほとんど見たことがない。外のレニウムブラッグから、黒っぽいデザイン処理された大理石(瓦)-焼杉をモチーフにしたタモ材の黒・グレーへと緩やかにつなぐグラテーションは見事というほかなかった。

 照明も、ダウンライトは小さなLED照明しかなく、行燈・間接照明が多用されていた。これまた昔の民家そのものだった。

 だが、しかし、これが消費者に理解されるかどうかは別問題だと思った。黒一色の外観は、敷地規模が30~50坪の緑が圧倒的に少ない都市の住宅街になじむかどうか。これが第一の問題。第二は、明るい室内が常識のいまの住宅に、行燈・間接照明が理解されるかどうか。この世間の常識を覆すことができるかどうか。

IMG_5085.jpg
80万円するというイタリア製の椅子(座り心地が良かったためか、メモも取らずふんぞり返り独占していた記者がいた)

IMG_5086.jpg
エルメスにも負けないというイタリア製絨毯の微細な文様

◇        ◆     ◇

 外観・内装デザイン、コンセプトなどについて同社技術本部商品企画部開発第一グループリーダー・松本淳氏、同部同グループ・小泉雅由氏、同部内装・設備グループリーダー・杉原香菜氏がそれぞれ20分くらい熱っぽく語った。「堅牢で優美。これをしっかり両立させた」(松本氏)「上質で静謐」(小泉氏)「黒とグレーの居心地のいい空間」など魅力的なフレーズが飛び交った。

 一つひとつ紹介する余裕がないのは残念だが、デジカメで写真をたくさん撮ったので、その写真を紹介する。林氏が語った「が「英知を結集した」ことが分かるはずだ。

 肝心の価格。同社はプロトタイプ仕様の価格を公表していないが、記者は坪単価200万円をかるかに超えると読んだ。同社の富裕層向け「RAUMFREX(ラウムフレックス)」や大和ハウス「Wood Residence MARE-希-(マレ)」の設備仕様には負ける(価格が安い)かもしれないが、デザインは互角だ。業界最上位であるのは間違いない。

IMG_5060.jpg
レニウムブラッグの外壁

IMG_5084.jpg
焼杉をモチーフにしたタモ材による壁

IMG_5093.jpg
大理石の壁

IMG_5053.jpg IMG_5072.jpg IMG_5080.jpg
左から松本市、小泉氏、杉原氏

◇        ◆     ◇

 書きたくはないのだが、これは同社だけでなくすべてのハウスメーカー、デベロッパーに言いたいことなのであえて書く。この前書いた積水ハウス「グランドメゾン御徒町公園」の記事と一緒に読んでいただきたい。

 「FREX asgard」のモデルハウスの開き戸を締めたときの音だ。「カチッ」ではなかった。ドアだけでない。LOUIS VUITTON、Hermès、BOSCH、Miele、COLOMBO、Baccarat、Volvic…記者には縁のものばかりなのでどうでもいいのだが、わが国の〝ものづくり〟はどこに行ったのか。舶来コンプレックスは生きているのか。

徒歩10圏内で9駅13路線が利用可能パークビュー売り積水ハウス「御徒町公園」(2025/2/22)

アッパー向け3階建て新商品&戸建て全商品「断熱等級6」標準化旭化成ホームス(225/1/15)

出来すぎだ!焼杉!見どころ多い小田急バス×ブルースタジオ「hocco(ホッコ)」(2021/10/7)

「希」に見る設計依頼 1か月で来場100組超大和ハウス富裕層向け「MARE」2021/6/2)

アーチ型天井と列柱の無柱空間に驚嘆旭化成ホームズ「新宿」に富裕層向けモデル(2020/6/16)


 

 

代表取締役社長_道浦正治(6月27日付).jpg 代表取締役副社長_長田准(6月27日付).jpg
道浦氏(左)と長田氏

 プライム ライフ テクノロジーズ(PLT)は3月3日、社長人事・役員人事を発表。2025年5月27日付で代表取締役社長にパナソニック副社長執行役員・道浦正治氏が、副社長に同社顧問・長田准氏(前トヨタ自動車執行役員)がそれぞれ就任する予定。現代表取締役社長・北野亮氏は退任、現代表取締役副社長・西村祐氏は取締役(非常勤)に就任予定。

 2025年度フェーズ2の最終年を迎えるにあたり、道浦氏、長田氏へトップのバトンを渡し、これまで築いてきた基盤をより強固にし、事業ポートフォリオの変革とビジネスモデルの革新を進めていくため。

 道浦氏は1962年1月27日生まれ(63歳)。大阪府出身。1985年3月、同志社大学工学部卒。1985年4月、松下電工(現パナソニック)入社。2016年4月、パナソニックエコソリューションズ社常務、2019年7月、同社常務執行役員、2022年4月、同社副社長執行役員。2025年3月31日、同社退任予定。

 長田氏は1966年1月6日生まれ(59歳)。島根県出身。1990年3月、慶應義塾大学経済学部卒業。1990年4月、トヨタ自動車入社。2018年1月、同社常務役員、2021年1月、同社執行役員、2024年12月、同社執行役員退任、2025年1月、PLT顧問、現在に至る。

 

TOFROM YAESU_ 外観.jpg
「TOFROM YAESU TOWER」(左)と「TOFROM YAESU THE FRONT」

 東京建物は3月3日、東京駅前の再開発「八重洲プロジェクト」記者発表会を開催し、街区名称を「TOFROM YAESU(トフロム ヤエス)」に決定したと発表。プロジェクトA地区の再開発組合理事長で特定業務代行者代表企業でもある同社代表取締役社長執行役員・小澤克人氏と、プロジェクトB地区の再開発組合理事長・加藤一男氏がYNK(八重洲・日本橋・京橋)の玄関口にふさわしいウェルビーイングな街づくりを進めると語った。発表会には60名を超えるメディアと関係者など約100名が集まった。

 「TOFROM」のロゴは、伝統と最先端が溶け合う、進化を続けていく東京の最前線のエリアであるYNKエリアにふさわしい「八重洲へ(TO)/八重洲から(FROM)」多様な価値観を“つなげていく”という思いが込められた造語。

 ワーカーのウェルビーイング向上をオフィス全体でサポートするため、予防医学研究者・石川善樹氏監修のもと、個人のウェルビーイング状態を簡易に測定できるツール「ウェルビーイングスコア」を開発し、20個の「ウェルビーイング向上因子」をもとにした①わが国初の「喫泉室」や仮眠室を備えたリフレッシュ空間「YAESU SKY LOUNGE」②47都道府県の郷土料理などを提供する食堂・カフェ&バー・ビュッフェカウンター、サードプレイスとして多様な過ごし方を選択できるラウンジ空間、緑化やアート・お茶に特化した会議室などのウェルビーイングフロア「Wab.」③東京駅を眼下に望む「Rooftop Terrace」④短期でも利用可能なハイグレードフレキシブルオフィス「EXEVIA TOKYO YAESU」-などを整備する。

 国際都市東京の玄関口にふさわしい都市機能の強化としては、「日本医科大学八重洲健診ステーション」や約800名収容可能な劇場・カンファレンス施設を整備する。

 また、TOFROM YAESU TOWER地下階には、UR都市機構が整備する「バスターミナル東京八重洲」の第2期エリアを整備。今回のプロジェクトを含む第3期エリアの開業後には国内最大級の高速バスターミナル(3エリア合計20バース)となる。

 商業施設には、江戸の食文化を継承する創業100年超の老舗のほか個性的な飲食店など約70店舗がオープンする予定。

 加藤氏は「今から25年前、小さな夢と希望があった。その後、大きな夢に変化した。しかし、半面、目標が大きくなるにつれて相応の困難が伴った。長い長い時間との戦いでもあった。それでも、この再開発を我々の力でなし遂げるのだという強い思いがその困難を乗り越える糧となった。竣工まであと1年。我々の目標が形となる。これが次の世代への力強いスタートとなることを願う」とあいさつした。加藤氏は78歳。東京建物本社ビルに近接する創業175年(寛永3年)の「割烹 嶋村」の8代目代表取締役。

 小澤氏は、現段階でのオフィステナントの入居内定率は60%であることを明らかにし、「当初からの予定通りの進捗。急いで稼働率を上げるより、GDPからGDWを重視する世界的な流れであるウェルビーイングのコンセプトを十分理解していただいて入居していただくことを優先する」と語った。

 「八重洲プロジェクト」は、2000年、東京都駅前地区再生推進懇談会発足、2008年、京駅前八重洲一丁目東地区市街地再開発準備組合設立、2015年、都市計画決定。施行者・東京駅前八重洲一丁目東A地区市街地再開発組合による敷地面積約1,300㎡、10階建て延べ床面積12,000㎡の「TOFROM YAESU THE FRONT(トフロム ヤエス ザ フロント)」と施行者・東京駅前八重洲一丁目東B地区市街地再開発組合による敷地面積約10,600㎡、51階建て延床面積225,000㎡の「TOFROM YAESU TOWER(トフロム ヤエス タワー)」2棟で構成。主要用途は事務所、店舗、診療所、劇場・カンファレンス、バスターミナル、住宅など。設計はA地区が大成建設、B地区が大林組。施工はA地区が大成建設、B地区が大林・大成建設共同企業体。全体竣工は2026年7月。

集合①.jpg
加藤氏(左)小澤氏(東京スクエアガーデン 東京コンベンションホール)

TOFROM YAESU THE FRONT_ Rooftop Terrace.jpg
Rooftop Terrace イメージ

Wab. 緑の会議室.jpg
Wab.緑の会議室 イメージ 

◇        ◆     ◇

 これまで数えきれないほど再開発組合理事長のあいさつを聞いてきた。計画から完成までスムーズに運んだものなど一つもない。加藤氏は「今から25年前」と語りだし、「小さな夢と希望」が「大きな目標」となり、「相応の困難」「長い長い時間」との戦いが続いたことを淡々と語った。

 記者は穏やかな語りに感銘を受けた。いつものように会場の最後尾に座っていたので、加藤氏の年齢や割烹料理店の8代目店主などとは全く知らなかったが、ちょうど昼時だったので利用することにした。ホッケの日替わり定食はとてもおいしかった。

 頂いた資料には桜田門外の変などの歴史や久保田万次郎、獅子文六、田山花袋、豊島与志雄、永井荷風などか贔屓にしたことなどが記されていた。ビールと芋焼酎「嶋村」を2杯飲んだので、料金はいつもの「日高屋」の4倍だったが、文豪が利用した店で食事ができ、酒を飲める価値は値段には代えられない価値がある。

IMG_5044.jpg
嶋村

IMG_5046.jpg
日替わり定食

IMG_5048.jpg
ヒノキのカウンター

◇        ◆      ◇

 発表会後にメディアに紹介されたデモ施設では、「喫泉室」が最高に素晴らしかった。ブース(2m×2m)に入った途端、樹木(ヒバ)の香りが全身を貫いた。ブースは4つの予定で、価格をどうするか、樹木の香りを定期的に変更するかなどは検討中とのことだ。かつて、三菱地所が同じような商品を開発したのを思い出したが、値段が高かった。どうなったのだろう。

YAESU SKY LOUNGE_ RETREAT Room(喫泉室).jpg
「喫泉室」イメージ

IMG_5040.jpg
公開された「喫泉室」デモ

Wab. ラウンジ.jpg
Wab.ラウンジ イメージ

◇        ◆     ◇

 「TOFROM」には「住宅」も整備されるが、これは分譲でも賃貸でもなく、地権者用住居で、戸数は十数戸になる模様だ。建物の所有や処分に関する契約がどうなるのかわからないが、仮に区分所有建物であれば、記者は坪5,000万円、30坪で15億円(もっと高いか)で売れると思うが、みなさんいかがか。

_SPO3912.jpg
現場

六本木・日比谷・八重洲に続く4か所目の東京ミッドタウンは「日本橋」か(2023/3/8)

三井不「東京ミッドタウン八重洲」来春3月10日開業「都心生活者」取り込む戦略(2022/9/17)

Screenshot 2025-02-28 at 21-28-26 【プレスリリース(三井不動産他)】JR「関内」駅前「横浜市大通り公園1区~3区リニューアル事業」基本協定書締結-1.pdf.png
「横浜市大通り公園1区~3区リニューアル事業」

 三井不動産を代表企業とする京浜急行電鉄、ディー・エヌ・エー、東急の4社は2月28日、横浜市初の大型Park-PFI事業「横浜市大通り公園1区~3区リニューアル事業」に選定されたと発表した。

 大通り公園は、JR関内駅東側の1区から、西方向の横浜市営地下鉄阪東橋駅西側までの8区に至る全長約1.2㎞、幅員30~40m、面積約3.57haの地区公園。今回選定された1区~3区は、JR関内駅から横浜市営地下鉄伊勢佐木長者町駅までに至る面積約1.5ha。

 近接する「BASEGATE横浜関内」の事業者でもある4社がウェルカムガーデン、芝生広場、デッキテラス、イベント広場、ルーフトップテラス、デッキテラス、飲食店舗、プレイグラウンド、会員制農園、飲食・物販店舗などを整備する。2026年1月に工事開始し、2027年春に竣工・開園する予定。

Screenshot 2025-02-28 at 21-27-59 【プレスリリース(三井不動産他)】JR「関内」駅前「横浜市大通り公園1区~3区リニューアル事業」基本協定書締結-1.pdf.png

◇      ◆     ◇

 工事期間が1年少しと短いのがいい。比較はできないだろうが、渋谷区は全長約2.6㎞の都市公園「玉川上水旧水路緑道」の整備事業を行っているが、費用が100億円を超えること、多くの樹木が伐採されることなどに対する住民の反対もあり、構想段階から7年が経過するが、いつ完成するかわからない。

 わが多摩市もPark-PFI制度による「多摩中央公園改修事業」を行っているが、工事は令和5年6月から今年4月5日の全面開園まで2年近くかかる。公園内の樹木5,000本の2割以上の1,125本が伐採されることに記者は驚愕したのだが、市によると伐採予定の8割は実生ということだったので納得した。しかし、完成間近の公園を見ると、丸裸にされたように思う。伐採された樹木のリストを請求するつもりだ。

木調ルーバー多用した施設デザイン抜群東急不など「代々木公園 Park PFI」(2025/2/25)

「多摩中央公園改修」の疑問氷解樹木5000本うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/5/23)
 

 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン