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大友氏

 大和ハウス工業は2月13日、新しい代表取締役社長・最高執行責任者(COO)に取締役専務執行役員・大友浩嗣氏が、現在の代表取締役社長・最高執行責任者(COO)・芳井敬一氏は代表取締役会長・最高経営責任者(CEO)・海外本部長にそれぞれ4月1日付で就任すると発表した。異動の理由は、次期中期経営計画を見据え、経営体制を変更することで、国内外での事業展開を更に加速させるためとしている。

大友氏は、1959831日生まれ。198412月、同社入社。20114月、執行役員、20154月、常務執行役員、202210月、経営管理本部経営企画部長、経営戦略担当、20244月、取締役専務執行役員に就任(現)。

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 同社が社長交代のリリースを発表したのは2月13日の午後2時過ぎ。ちょうどその時、記者は三菱地所ホームの神戸元町の一等地での木造2階建て延床面積約20坪のメディア向け見学会に出席していた。

 異動のニュースを知ったのは午後7時過ぎだった。リリースには、同日午後5時から大阪証券取引所ビルで芳井氏と大友氏が同席して記者会見を開くとあった。残念至極。神戸から移動しても楽々間に合った。SNSなど一度も利用したことがない弊害がこんなところで現れた。

 同社のこれまでの社長の任期からして、交代は近いと見ていた。最近の芳井氏の動き言動からして〝仕上げ〟の段階にあると思っていた。

容積率800%の元町の一等地 10坪の狭小敷地に木造2階建て店舗 三菱地所ホー(2025/2/15

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「ルネ柏ディアパーク」

 総合地所が京成電鉄、FJネクストとともに共同で分譲している「ルネ柏ディアパーク」を見学した。柏市指定の「景観重点地区」内に位置していることから緑地率を23%確保し、ZEH-M OrientedとABINCの認証を受け、全389戸のうち約9割に可動収納ユニット「UGOCLO(ウゴクロ)」を採用し、新型コンパクト3LDKプランを提案しているのが特徴。

 物件は、JR常磐線柏駅から徒歩15分(バス約9分「向原住宅」バス停徒歩1分)、柏市豊四季台1丁目の第一種中高層住居専用地域に位置する敷地面積約13,972㎡、14階建て全389戸。先着順で販売中の住戸(25戸)の専有面積は62.43~84.61㎡、価格は4,188万~7,598万円(最多価格帯5,400万円台)、坪単価250万円前後。竣工予定は2026年8月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。

 現地の従前はUR都市機構の賃貸住宅で、2023年5月に同機構の入札により用地を取得。建物はコの字型で、東向き、南南西・南西向き、西向きがそれぞれ3分の1ずつ。

 物件ホームページ開設は昨年4月で、これまでの反響数は約800件、モデルルーム来場者は約360件(1/19現在)。うち約6割が地元からの反響・来場。販売開始は昨年12月で第1期として100戸を供給し、これまで70戸を成約している。

 主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented認証、ABINC認証、市条例の14%を上回る23%の緑地率、直床、リビング天井高2500ミリ、ディスポーザー、食洗機、可動収納ユニット「UGOCLO(ウゴクロ)」、「U’s スタイル」など。共用施設はパーティールーム、マルチラウンジ、ゲストルーム、サウナルーム、スタディラウンジ、ランドリールームなど10施設。管理会社管理者方式「smooth-e(スムージー)」も採用している。

 開発担当の同社分譲事業部マンション開発部開発1課課長・石井大祐氏は「戸数は柏駅圏最大級で、当社の物件としては全439戸の『ルネ横浜戸塚』に次ぐ規模。(記者の「遠い」という質問には)、物件のすぐそばには、通勤時間帯は2~3分置き、1日約200本が運行されている豊四季エリアの玄関口となるバス停『向原住宅』がある。来場者に対する成約率は23%と高い。(この単価帯の競合物件はかなりあるという質問には)共用施設を充実させ差別化はできている。今後、中広域からの集客を目指す」と語った。

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模型(バス停「向原住宅」があることが分かる)

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説明する石井氏

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 記者は、間口5400ミリ(フレーム奥行き1148ミリ)の62.43㎡(18.88坪)の新型コンパクト3LDKプランに注目した。全戸数の13%に当たる50戸で、リビングダイニングが約9.7畳大、キッチンが約3.6畳大で、洋室は約5.9畳大、約3.8畳大、約3.5畳大の3室。価格は4,000万円台の前半だろう。

 今から10数年前の3LDKといえば73~74㎡が〝標準〟とされていた。その後、用地・建築費が上昇する一方で、実質賃金が底這いを続けたことから、デベロッパー各社は専有面積圧縮などで価格抑制に努めてきた。しかし、このところの建築費高騰は多少の専有圧縮では対応できなくなっている。

 今回の物件で81㎡と62㎡の新型3LDKのモデルルームを設けたのは、建築費高騰対策として、さらにまた潜在的なニーズを掘り起こし、今後の展開に生かそうという狙いがあるはずだ。

 モデルルームを見てすぐ、これは支持されると思った。何がいいか。吊り型クロゼットやランドリークロゼットを配することでスペースを有効に活用していることと、キッチンは壁付けとし、リビングとの間に広いカウンターを設け、カウンターにダイニングテーブルを配した提案だ。LDKは13.3畳大だが、もう一つの81㎡のモデルルームの約15畳大のLDKとそん色がなかった。(ポラスの「ピアキッチン」がどうして人気なのか考えていただきたい)

 同社によると、第1期で供給した9戸は全て完売したという。購入者の中には5人家族もいたという。(ナイスがかつて70㎡の4LDKを供給したのをご存じか)

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62㎡(D2タイプ)モデルルーム

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62㎡(D2タイプ)間取り

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 同社のマンション見学会には、同業の見学会にはないものが一つある。配布される資料は微に入り細を穿つ-完璧だ。〝価格は未定〟などと消費者や記者を馬鹿にするようなことはしないし、どんな質問にも丁寧に答える。

 今回、小生が見学する前にメディア向け見学会が行われている。その際の記者と同社のQ%Aの資料がある。記者の質問は「竣工はいつか」「入居はいつか」「共用部には何があるか」「新型コンセプトは従来の60㎡台の3LDKと何が違うか」など、物件ホームページや概要を読めばすぐわかる、馬鹿馬鹿しい質問(要するに質問する記者は何もわかっていないことを露呈している)にもきちんと答えている。

 的を射た質問では「近郊エリアでのマンション市場は? 価格相場、本物件の値付けの理由など」があり、同社は「同駅で住友不動産、三井不動産レジデンシャルが分譲中。沿線手前の松戸駅や流山市内の物件価格が大きく上がっており、本駅でも5,000万円前後の価格帯も相場内」と答えている。

 この答えの成否は記者も分からない。質問自体、周辺物件を見ていなければあまり意味がない。小生が師と仰ぐ故・佐藤美紀雄氏はこのような場合、駅の反対側の徒歩15分のマンションが分譲されていれば、アポなしでモデルルームを見学した。担当者がまごつくと「私が何者かわからないのか」とすごんだ。歩くスピードは小生の2倍あった。タクシーを利用することはなかった。

 柏駅や流山おおたか駅で駅近マンションが供給されれば坪単価は400万円を超えるかもしれないが、一方で坪250万円前後のマンションはかなり供給されている。戸建てや中古マンションとの競合も避けられない。

販売開始1か月で半数以上成約・申し込み東武鉄道&大和ハウス「新柏」114戸(2024/4/25)

感動の金児氏vs宮崎氏トーク全196戸のポラス「柏」3カ月で100戸成約(2020/10/10)

「二度とできない設備仕様レベル」長島部長総合地所「横浜戸塚」第1期108戸成約(2020/1/29)

坪245万円に納得コロナ禍で半分以上を成約三井不動産レジ「柏タワー」(2018/3/14)

 

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「MOTOMACHI Wood Terrace」

 三菱地所ホームは2月13日、非住宅木造かつ都市木造の先駆けと位置付けるプロジェクト「MOTOMACHI Wood Terrace」のメディア向け完成見学会を行った。神戸元町の容積率が800%の防火・商業地域に位置する敷地約10坪の木造2階建てで、延床面積を100㎡以下にすることで準耐火建築物とし、構造躯体を現しにし、環境にも配慮しているのが特徴。テナントは木造建築物と相性がいい天然素材を扱うアパレル企業で、〝相思相愛〟のプロジェクトでもある。

 物件は、JR神戸線元町駅から徒歩3分、兵庫県神戸市中央区元町通1丁目の商業地域(容積率800%)に位置する建築面積34.38㎡(10.39坪)、延床面積68.13㎡(20.60坪)の木造軸組み工法2階建て。用途は店舗(テナント:マザーハウス)。

 現地は、鯉川筋と元町北通りに面した一等地で、目の前はすぐ大丸神戸店。狭小敷地であるため、道路斜線制限と隣地斜線制限により4階建てくらいにしかならず、エレベータを設置すると店舗面積が確保できない難点を抱えていた。

 この課題を解決するため、準耐火建築物が可能な木造2階建て100㎡以下とし、構造躯体を現しとした。同規模のRC造と比較して80%以上のCO2排出量を削減した。

 建物デザインは、人通りが多い角地であることから木材の素材感が外からも感じられるよう二方向をガラス張りとし、ガラス面を大きく見せられるよう天空に向け張り出すようにしている。内装は、店舗内の1・2階の間にCLT(Cross Laminated Timber)を採用し、オウシュウアカマツの構造梁をたすき掛けの現しにすることで、見上げの美しさを演出している。

 見学会に臨んだ同社代表取締役社長・ 細谷惣一郎氏は、「みやこ下地島空港ターミナル」「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」「CLT PARK HARUMI」「江北小路」など三菱地所グループのこれまでの中大規模建築物の木造・木質化の取り組みを紹介し、「当社は注文住宅、ソリューション、リフォームを3本柱として事業を展開しており、今年は『エアロテック』発売開始から30年を迎える節目の年。『MOTOMACHI Wood Terrace』は小さな一歩ではあるが、これを足掛かりに大きなプロジェクトに挑戦していく」と語った。

 都市木造・ソリューション事業領域の常務執行役員 都市木造技術推進部長・越川喜直氏は、今回のプロジェクトは収益性とデザイン性、環境配慮の視点から木造2階建てにしたのがポイントであることを紹介し、「自然素材を扱うマザーハウスさんとはコンセプトが一致し、ほぼ即決で入居を決めていただいた」と語った。

 営業担当の同社営業開発第一部長・鈴木正人氏は「プロジェクトがスタートしたのは2年半前。狭小敷地であり、建築費高騰の問題を抱えていたが、マザーハウスさんは早い段階から入居を決めていただいて、ともに進めてきた。着工は昨年7月、12月に完成。その後、内装工事などを行い、今回の引き渡しとなった」と説明した。

 マザーハウス代表取締役副社長・山崎大祐氏は、「10年くらい前からこのような店舗を探していた。対面に大丸神戸店があり、ここは特別な立地。限られた面積ではあるが、自然素材を大事にしている当社と木造は相性がいい。ガラス張りなのも視認性が高く、完成してほっとしている」と語った。

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左から細谷氏、越川氏、鈴木氏

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 記者はこれまで、敷地面積が30坪以下のミニ開発などをかなり取材してきたが、今回のような敷地面積がわずか10坪の狭小敷地のソリューション事業を取材するのは初めてだった。往復8時間以上もかけて取材する価値があるのかとためらいもあったが、首都圏から約10人のメディアが参加するというので取材した。

 見学会の冒頭、司会の同社広報担当・横須賀直人氏は「いつも通り、分かりやすく説明しますので大きく取り上げていただきたい」と話したのでその通りにしたつもりだ。

 細谷社長、越川常務の話はよくわかったし、RBA野球で活躍した同社の名物監督・鈴木氏の説明も完璧で、マザーハウス副社長の山崎氏のコメントもまた素晴らしかった。なぜ20坪の木造にしたのか、その謎も解けた。今回の店舗を含めエリア一角は古い建物ばかりだった。早晩、再開発の計画が持ち上がるはずだ。そうなれば元町エリア最高峰の建築物になるのは間違いない。10年先か20年先か。同社はその布石を打ったのではないか。

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1階店舗

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オウシュウアカマツの現し集成材

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この1~2階部分はCLT

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山崎氏

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 これはおまけ。マザーハウスの店舗内には値段が高そうな皮商品がたくさん展示されていた。小生の財布と同じサイズの財布を比べてみた。小生の財布はとても貧相に見えたので、すぐ引っ込めた。うちに帰ってかみさんに話したら、マザーハウス? 知ってるわよ。バングラデシュでしょ。あなたの財布もAquascutum。高くはないけど安物じゃない」と自慢げに話した(日高屋で食事をするといくらも残らないお金しか入れてくれないが)。

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2階店舗(手前の財布は小生のそれと値段は同じくらい)

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現地

素晴らしい!親子&木製シースルー玄関ドア三菱地所ホーム「江北小路」完成(2023/9/28)

三菱地所グループ総力結集国内初の高層ハイブリット木造ホテル札幌で着工(2020/3/26)

容姿端麗・眉目秀麗三菱地所×隈研吾「CLT PARK HARUMI」14日運用開始(2019/12/5)

「エコアイランドにふさわしい施設整備」三菱地所・吉田社長下地島空港竣工式典(2019/3/17)

シンプルで端正な姿が美しい三菱地所わが国初のCLT高層「高森」完成(2019/3/14)

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NLTコンテナ」

  三井ホームは2月12日、埼玉県加須市の同社埼玉工場で「NLTコンテナ」現場見学会を開催し、2025年2月から本格販売を開始したと発表した。同コンテナは15㎡で、価格は250万円(坪52万円)から。持家の着工戸数が減少する中、木造に注目が集まっていることを追い風に、非住宅のメニューの一つに加えようというのが狙いだ。

NLTとは、ネイル・ラミネイテッド・ティンバーの略称で、隣り合わせにした4材の側面を釘打ちすることを繰り返し束ねパネル形成したもの。同社の木造マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」の一部の床根太としても採用されている。

工期は約7日間と短く、強固で断熱性能が高く、接合方法にはボルト・ナットを採用することで再利用が可能で脱炭素社会にも貢献し、3階建てにすることもできるのが特徴。

想定される用途はリゾートホテルバンガロー、グランピング施設の客室、事務所、展示会ブース、移動販売店舗、カフェ、離れ・勉強部屋など。

試作棟は幅6.7m×奥行き2.4m×高さ2.4m、重さ4t構造は木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)、用途は木造コンテナ、工期は約7日間~(仕様により変更有)、価格は250万円(税別)~。設計・施工は三井ホーム。木材利用量は7、炭素貯蔵量は4t-CO2、スギの木に換算すると約8本に相当する。

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コンテナ内部

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NLT部材

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同じような商品は、三井不動産の「HUBHUB(ハブハブ)プロジェクト」、ミサワホームの「MISAWA UNIT MOBILITYMOVE CORE』」を見学取材しているが、今回の「「NLTコンテナ」も負けず劣らずだ。試行段階のため、同社は具体的な販売目標は示さなかったが、確かな手ごたえを感じているようだ。無限の可能性を秘めていると思った。

何がいいか。まず、床も壁も天井も全てが木造ということだ。外壁は群馬県産材、内装壁は福島、栃木、茨城にまたがる八溝山脈産材のスギ材。中に入ると甘い香りが鼻腔を満たした。

断熱性能も高い。同社は具体的な断熱性能の数値を公表しなかったが、寒冷地の基準をクリアする自信を見せた。鉄骨造などとは比べようもなく優れている。

問題の価格だが、同社木材建材事業本部施設建材営業部施設営業グループ兼木構造研究所主任・山本剛氏は「(ゼネコンなどの)類似品と比較して高くはない。価格が商談を進めるうえでネックにはなっていない」と自信をのぞかせた。

記者は法令上の制限などはよくわからないが、トレーラーで運べるということのようだ。土地に定着させなければ建築物に該当しないから、固定資産税、都市計画税の課税対象にもならない。

山本氏は10㎡を超えると建基法の確認申請が必要との主旨の説明を行ったが、ならば、これを2つに分けるとか、6畳大(9.9㎡)のコンテナを開発して販売してはどうか。爆発的に売れるのではないか。記者なら、施設を回転式にして、太陽光を追尾し、窓面はいつも自然光を取り入れるようにするし、朝昼晩、四季によって自由に向きを変えられるようにする。

今回の見学会では、もう一つ、驚くべき光景を目の当たりにした。埼玉工場(敷地面積約4.7ha)内の25m×40m(約1,000㎡)の施設も公開されたのだが、全て一般で流通している木材を使用して建てられたものだった。普通の鉄筋、鉄骨、木造在来だったら至るところに大きな柱や梁があるはずなのに、それらは一つもなかった。その隣の約600㎡の「スマート倉庫」は大工さん2人がわずか3週間で完成させたという。

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見学会(埼玉工場で)

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説明する山本氏

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工事用内の現しの天井

ミサワホーム 「いつも」「もしも」ZEH対応 トレーラーハウス「MOVE CORE」発売(2023/8/24

「柳屋」に勝てるか 旅館業&トレーラーがミソ 三井不「HUBHUB 日本橋人形町」(2021/11/18

三菱地所 生産者-産地-消費者つなげる屋外空間「バスあいのり3丁目テラス」開業(2020/9/5

 

 

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 東日本レインズのデータは、首都圏中古マンション坪単価はすさまじい勢いで上昇し続けていることを示している。

 ただ、首都圏をエリア別にみると、東京都心3区(千代田区、中央区、港区)の価格高騰が全体の価格を引き上げており、郊外はそれほど上昇していないことも分かる。この1年間のエリア別坪単価の推移を別表・グラフに示した。

 これによると、首都圏全体では2025年1月の中古マンションの坪単価は270.2万円で、前年同月比7.8%上昇している。エリア別にみると、都心3区は722.9万円(前年同月比30.8%増)、東京都区部407.8万円(同13.7%増)、東京都多摩185.5万円(同4.5%減)、神奈川県194.4万円(同1.1%増)、埼玉県139.7万円(同2.5%減)、千葉県136.3万円(同4.9%増)となっている。

 もう少しデータを詳しく見ると、都心3区の成約件数は218件で首都圏全体の成約件数に占める割合は6.7%、平均成約価格は13,275万円で首都圏全体の成約価格に占める割合は17.3%になる。

 この数字をどう見るかだが、記者は都心部の一等地は坪1,000万円どころか2,000万円、3,000万円に上昇すると見ているので、中古マンションはその7掛けとして現在の価格はわからないでもない。一般的な取得層の取得限界ははるかに超えているが、市場とはそのようなものだ。投機的な需要が価格を押し上げるのは十分理解できる。得をするのか損をするのか、それはわからない。

 郊外はどうか。新築マンションは土地代がタダでも坪単価は200万円を突破しつつある。記者は、一般的な需要層の購入取得限界は坪250~300万円とみている。現在の住宅ローン金利水準が継続されればという条件はつくが、相対的に賃貸住宅の賃料が高く、面積を中心とする質の向上も期待できない現状を考慮すると、現在の中古マンションの坪単価はまだ上昇の余地があると見ている。

 課題は、中古マンションの断熱性能を引き上げることと、管理組合運営を理事会方式から管理業者管理方式に切り替えることで、組合員の負担を軽減することではないかと考えている。

 買取再販業者には、水回りのリフォームだけでなく、窓ガラスの断熱性能を高めてほしい。断熱フィルムを張るとか、断熱ガラスに改修すべきだと思う(区分所有法、標準管理規約上も可能になっている)。

 管理業者管理方式の採用については、利益相反を懸念する声もあるが、仮に管理業者がそのようなことを行ったら、その会社だけでなく親会社、業界の大問題に発展する。そのような愚は冒さないはずだ。管理会社と組合のWin-Winの関係は構築できるはずだ。報酬(組合員の負担)も相場とされる1,000円/月というのも理事の負担を考えれば妥当な金額ではないか。

2025年1月の中古マンション・戸建ての約件数は2けた増東日本レインズ(2025/2/11)

 

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電信柱より低く強剪定されている加須市・ゆりのき通り街路樹ユリノキ

 今は昔。駅頭でハンドマイクを握り、「学生諸君、労働者諸君(正確には通行人の皆さん)」と呼び掛けたことがあった。しかし、この日(2月12日)、送迎バスの中にいるメディア関係者など20~30人の方に何の断りもなく突然、「皆さん、窓から見える街路樹のユリノキが大量に丸裸にされている光景を見ていただきたい」と呼び掛けた。

 こんなことをしたのは打負けて初めてだった。不愉快に思われ、嫌われるのは承知の上だった。それほど腹が立ち、涙が出そうなほど悲しくなったからだし、一人でも同調してくれる人がいてほしかったからだ。そもそも、小生は「私はジャーナリストというものが好きではない。彼らはだいたい軽薄で、無駄口をたたき、途方もなく図々しい」(ミラン・クンデラ「冗談」=岩波文庫)そのものだし、自分自身が嫌なのに同業の方々に声を掛けるのは失礼でもあると思い、もう30年も昔に同業のメディアの方々と縁を切った(飲んでもいいと思う同業の方は数えるほどしかいない)。

 ユリノキとは、住宅都市整備公団によって昭和61年に整備された「加須・大利根工業団地」(97.4ha)の市道「ゆりのき通り」に植えられている街路樹で、市の道路公園課によると総本数は約300本。今回、高さ約5mをめどに強剪定されたのは156本。

 強剪定したことについては「強剪定するまでは高さが10m超のものが多く、大きくなりすぎて倒木の恐れがあり、電線が断裂される恐れもあるため。剪定に関し、市民からの(伐りすぎ)苦情は一切なく、工業団地入居企業からのクレームもない」と説明している。強剪定に要した費用は非公表(1本1万円では済まないはず)で、残りの約150本はいつ剪定するかは決まっていないという。

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墓碑銘は「ユリノキ」

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 もうこれ以上書かない。「RBA」「こだわり記事」「街路樹」「街路樹が泣いている」「神田警察通り」などで検索していただきたい。かなりヒットするはずだ。千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏が講演会で語った「街路樹虐待は自分の首を縛るようなこと」という言葉を紹介する。

 小生は今、ブッダの思想を勉強中で、ブッダは「不殺生」「五戒」を説いた。小生はタバコを吸い酒も飲むのでこれには言葉もないが、「不偸盗戒」「不邪淫戒」はしていない。街路樹は基本的には自然樹形にして、強剪定は避けるべきだと思う。

 それにしても、市民もそうだが、工業団地に入居する46の企業からも苦情が出ないのが不思議だ。ビッグモーター問題はどうしたのだ。〝喉元過ぎれば熱さ忘れる〟ということか。156本の〝墓標〟を見て何とも思わないのか。

 樹高20~30mにもなるユリノキを高さ5mで伐るのは「強剪定」ではなく「伐採」だと記者は思う。泣くな!ユリノキ!人間なんて所詮そんなものだ。

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〝街路樹虐待は自分の首を縛るようなこと〟藤井・千葉大名誉教授 強剪定を批判(2024/7/24)

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は2月10日、2025年1月の首都圏不動産流通市場動向をまとめ発表した。

 中古マンションの成約件数は3,242件(前年同月比19.6%増)、坪単価は270.2万円(同7.8%増)、価格は5,147万円(同5.9%増)、専有面積は62.86㎡(同1.7%減)。成約件数は2ケタ増で、3か月連続で前年同月を上回った。成約単価は20年5 月から57か月連続で前年同月を上回り、成約価格は3か月連続で前年同月を上回った。

 中古戸建の成約件数は2,279件(同33.0%増)、価格は3,785万円(同0.5%減)、土地面積は144.73㎡(同1.8%増)、建物面積は103.29㎡(同0.3%増)。成約件数は前年比大幅増となり、3か月連続で前年同月を上回った。

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「Brillia 深沢八丁目」(写真提供:東京建物株式会社)

 東京建物は2月10日、4ランクに設定されているZEH-M(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)の最高ランク『ZEH-M』(※1)を取得している、日本で初めて竣工した大規模建築物(※2)「Brillia 深沢八丁目」のメディア向け内覧会を行った。東急田園都市線桜新町駅から徒歩9分の期間70年の定期借地権付き3階建て全38戸で、高い省エネ・再エネ・創エネの取り組みを行うことで、住棟全体で101%、住戸ごとで114%一次エネルギー消費量削減率を達成している。

 物件は、東急田園都市線桜新町駅から徒歩9分、世田谷区深沢八丁目の第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約2,938㎡、延床面積約3,412㎡、3階建て期間70年の定期借地権付き全38戸 (一般分譲販売戸数37戸、提携企業優先住戸1戸)。現在先着順で分譲中の住戸(3戸)の専有面積は70.82~74.59㎡、価格は12,298万円~14,898万円、既分譲の坪単価は623万円。2月分譲予定の第2期4次以降(戸数未定)の専有面積は63.88~134.15㎡、予定価格は10,700万円台~29,900万円台。建物は2024年12月に完成済み。設計・施工は大末建設。デザイン監修は牛込昇建築設計事務所。

 主な基本性能・設備仕様は、『ZEH-M』認定、CASBEE Sランク、BELS★5、東京都マンション環境性能表示★15(満点)、低炭素住宅認定、リビング天井高2450ミリ、フィオレストーンキッチン天板、食洗機、ディスポーザー、カップボード、ミストサウナ、タオル掛け2か所、全熱交換器、アルミ樹脂複合サッシ、アルゴンガス入りLow-E複層ガラス、エネファームなど。

 これまでの来場者数は310件。30代から60代まで幅広く、面積が広く高額住戸を検討している人ほど『ZEH-M』など環境配慮を高く評価しているという。昨年5月から販売を開始しており、成約件数は21戸。

 竣工内覧会に臨んだ同社執行役員住宅事業第二部長・佐林繁氏(57)は「当社は2018年の『弦巻』をはじめ『聖蹟桜ヶ丘』『自由が丘』などでZEH-Mの取り組みを行ってきており、新たに14棟のZEH-Mが竣工する(累計26棟)。これまで分譲マンション購入検討者には『ZEH-M』という選択肢はなかったが、今回の『深沢八丁目』は分譲業界全体のベンチマークとなるのではないか。今後も特徴のあるマンションを供給していく」と語った。

 国のZEH-Mの定義では、一次エネルギー消費量削減率に応じて『ZEH-M』、Nearly ZEH-M、ZEH-M Ready、ZEH-M Orientedの4ランクに分けられており、年間の一次エネルギー消費量の収支を正味ゼロ以上とする『ZEH-M』はその最高ランクとなっている。

 今回の物件は、屋上に366枚の太陽光パネルを設置し、「断熱等性能等級6」を全住戸(一部中住戸は「等級7」)で取得するなど高い省エネ性能と、燃料電池「エネファーム」による創エネを組み合わせることで、住棟全体で101%、全住戸114%の一次エネルギー消費量削減率を達成している。この結果、一般的な省エネ基準の住戸と比較して年間で111,000円(月平均約9,200円)の光熱費削減が見込まれる。

 また、従前の土地利用が幼稚園(日体幼稚園)だったことから、砂場の砂から作成したアート作品や世田谷区の保存樹木であったアカマツから作成したアート作品など、4名のアーティストによるアート作品を共用部に設置。「廃食油」を回収しリサイクルする取り組み「すてないくらしプロジェクト」に加え、空間デザインの力でゴミ分別や衛生環境の課題解決を目指した「通いたくなるゴミ置き場『GOMMY』」を採用している。

※1 4ランクの最上位を『ZEH-M』と表記

※2 建築物省エネ法における大規模建築物(延床面積2,000㎡以上)での区分で、同物件は2024年12月竣工、もっとも早く竣工した

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太陽光パネル(写真提供:東京建物株式会社)

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共用部アート(写真提供:東京建物株式会社)

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共用部アート(写真提供:東京建物株式会社)

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中庭の植栽

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外構(下部の石はフェイクかと思ったら本物の玄武岩だった)

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左から同社住宅事業第二部 事業推進グループ課長代理・西池拓人氏、佐林氏、同社住宅エンジニアリング部 建築企画1グループ グループリーダー・幸地浩一郎氏

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「Brillia 深沢八丁目」メディア向け内覧会

◇       ◆     ◇

 最高価格の29,990万円(134㎡、坪単価736万円)のモデルルームを見た瞬間、同社の最高級ブランド「ロワ・ヴェール」を思い出した。同社が億ション市場に参入したのは1989年(平成元年)で、ブランド名は「ロワ・ヴェール」だった。ところが、その翌年にバブルがはじけたため「ロワ・ヴェール」は数物件しか供給されなかった。

 なぜ、その「ロワ・ヴェール」を思い出したかといえば、当時の「ロワ・ヴェール」に今回と同じアイランドキッチンが採用されていたからだ。

 当時のキッチンカウンターは御影石で、全体的に設備仕様レベルは高かったが、今回の住戸のデザインは白が基調でとてもいい。玄関・ホールは10畳大近くあった。

 坪単価は、所有権なら坪単価800万円とはじき、定借だから8掛けとして640万円と予想したが、その通りとなるのではないか。

ファサードデザインもいい。邸宅街にふさわしい重厚で硬質な磁器質タイルを多用し、敷地内にあったサクラ、アカマツ、瓦、石などを内装やアートに取り込んでいる。

肝心の『ZEH-M』の威力は体感することができなかった。資料では外気温が-1.9℃、エアコンの吹き出し22℃の設定で、室内温度は断熱等性能「等級7」(深沢)が20℃以上、「等級5」がほぼ19℃以下、「等級4」がほとんど18℃台であることが示されている。しかし、この日の外気温は10℃を上回っていたはずで、その温度差を体感できず、エアコンを使用していない居室、廊下、トイレなどの気温は20℃あったような気もしたが、何度かは確認できなかった(エアコンは25℃に設定されていた)。

今後分譲される24次以降は完成した建物内で案内されるはずなので、その良さが分かるのだろう。

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309号室(写真提供:東京建物株式会社)

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309号室(写真提供:東京建物株式会社)

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309号室(写真提供:東京建物株式会社)

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 今回の取材の目的の一つに、佐林氏が何を話すかがあった。約30分間のプレゼンテーション(説明)は完ぺきだった。プレゼンはかくありきの見本だと思った。基本的には用意した資料を読みながら話したのだが、一語一語、ゆっくり話したのでとても分かりやすかった。

 この落ち着いた話し方を聞きながら、2つのことを思い出した。一つは、同社のマンションブランド「Brillia(ブリリア)」についてだ。同社がマンションブランドをそれまでの「東建ニューハイツ」「プランヴェール」「Brillia(ブリリア)」、最高級「ロワ・ヴェール」などから「Brillia」に統一したのは2003年だった(野村不動産が「PROUD(プラウド)」を立ち上げたのは2002年)。

 当時、東建はもちろん大手デベロッパーだったが、マンションブランドとしては〝並〟でしかなかった。その〝並〟のブランドを劇的に変えたのが「Brillia」だが、佐林氏はその統一・立ち上げの中心的な役割を担っていた。

いまさら「Brillia」の実績紹介もないだろうが、マンションの歴史に名を刻んだ「Brillia Tower 池袋」(2013年竣工)、「Brillia Towers 目黒」(2017年竣工)、「Brillia Tower 堂島」(2024年竣工)の記事を添付する。ぜひ読んでいただきたい。同社のマンション供給は多くはないが、業界全体を変える力を持つ物件を時々供給するから、目が離せない。

 この日(10日)、記者はこの間の感想と今後の展開について質問した。佐林氏は「『Brillia』の第一号を供給したのは2001年だから、20年以上が経過した。感慨深いものがある。社員一人ひとりがいいものを届けようと取り組んできた結果が実を結んだ。当社の供給戸数は多くはないが、都市部を中心に特徴のある、いいものを今後も供給していく」と語った。

 もう一つは、佐林氏が同社の野球部エースとして活躍したころのことだ。皆さんは、平成元年のドラフト指名で読売巨人から3億円という破格の契約金を提示されながら〝野球は趣味で〟との名言を残して三井不動産に入社した志村亮氏(現在、三井不動産リアルティ常務執行役員)をご存じか。

 志村氏は三井不に入社後、RBA野球大会でも獅子奮迅の活躍をしたのだが、佐林氏も負けていなかった(志村氏は慶大卒の左腕で、変化球のキレが桁違いで、佐林氏は早大卒の右腕で速球が持ち味だった)。

 そしてまた面白いのは、志村氏と慶大時代にバッテリーを組んでいた髙橋浩氏が東建に入社したことだ(現在、常務執行役員)。佐林氏と高橋氏が黄金バッテリーを組んだのだが、当時の東建の攻撃力・守備力はマンションと同じ〝並〟だった。拙攻・拙守で負ける試合が続いた。それでも佐林氏はナインを責めることはしなかった 。

 この日のプレゼンで佐林氏は〝一人ひとり〟を強調した。仕事もまた野球と同じ、チームワークが大事で、一人では勝てないことを学んできたからだろうと思った。皮膚にたるみはやや見られたが、体型はこの前お会いした志村氏と同じ、全く崩れていなかった。

 36年のRBA野球大会の歴史の中で、同社の最高記録は佐林-高橋バッテリーが活躍した平成5年の第5回大会に樹立したベスト4だ。この記録は現在も突破されていない。がんばれ東建!

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佐林氏

数少ない東建の〝ヴィンテージマンション〟コスモスイニシアのリノベ「学芸大学」(2024/9/9)

大阪の市場を劇的に変えた東京建物&HPL「ONE DOJIMA PROJECT」竣工(2024/5/18)

積水ハウスわが国初全戸ZEH対応「グランドメゾン覚王山菊坂町」(2018/1/10)

資料請求18,000件今年前半の目玉マンション東建「目黒」は坪600万円(2015/4/2)

東京建物「Brillia Towers目黒」の坪600万円が意味するもの(2015/4/2)

東京建物他「BrilliaTower 池袋」わずか7週間で全322戸が完売(2013/9/4)

究極の隈研吾マンション 豊島区庁舎と一体の東京建物「Brillia Tower 池袋」(2013/3/19)

 

 国土交通省の社会資本整備審議会住宅宅地分科会第4回マンション政策小委員会(委員長: 齊藤広子・横浜市立大学国際教養学部教授)は2月7日、第4回目の会合を開催。同省は、とりまとめ(案)に関する令和6年12月26日から令和7年1月24日まで行ったパブリックコメントで寄せられた31の個人・団体の意見154件(うち賛成意見11件)を整理し、(案)に盛り込こんだことを報告し、各委員が論議した。(案)は修正を加えたうえで、近く最終とりまとめとして公表される。

 パブリックコメントから(案)に反映されたのは、①区分所有者の責務が果たせない場合、行政代執行には行政コストを要する②管理不全マンションの再生の困難性を明示すべき③地方公共団体の権限強化の前提として、マンションが社会的資本であることを明示すべき④区分所有者や管理組合の意識等を高める方策について一層の強化が必要である⑤区分所有者や管理組合の意識等を高める方策について一層の強化が必要である⑥管理業者管理方式は利益相反(自己取引)となることが前提であり、その関係性を正しく記載すべき⑦監事はマンション管理士のほか、弁護士や公認会計士などの専門家も想定される-など。

 とりまとめ(案)では、建物と区分所有者の「2つの老い」等が進行し、マンションの管理・再生の両面で課題が深刻化していることから、新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、管理・再生の円滑化等を実現するため、①マンション管理適正化を促す仕組みの充実②多様なマンション再生ニーズに対応した事業手法の充実③地方公共団体によるマンション管理適正化・再生円滑化への関与の強化・充実などが盛り込まれている。

 (案)に対する各委員からの異論はほとんどなく、齊藤氏は「幅広い論議ができたことを大変うれしく思う」と感想を述べ、今後の取り組みで重要な3つの視点として①マンションは社会資本であり個人資産でもあるので、誤解を生じないようさらに論理的に詰める必要がある②区分所有法の改正を前提とした新制度へ対応するサポーターの人材確保が重要③管理主体者である管理組合の意識を高めるための環境整備と実態把握に努めることが重要などと述べた。

 国交省住宅局長・楠田幹人氏は、昨年11月から短短期間で最終とりまとめを行った各委員の労をねぎらったあと、「建物と居住者の二つの老いに象徴されているように、マンションには様々な課題を抱えている。良好な居住環境を確保するためには、新築段階から再生-解体までの合意形成を円滑に進めることが大事。今回の最終とりまとめを踏まえ、関係機関と連携し、開会中の国会に提出する予定の法案に盛り込んでいく。今後とも様々な課題解決のため継続して論議していただきたい」と語った。

管理会社管理方式、自治体の体制強化など論議国交省・マンション政策小委員会(2024/12/20)

 

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都立明治公園

東京建物は23日、同社が代表構成団体となるTokyo Legacy ParksTLP」)が開発・運営する都立明治公園(渋谷区・新宿区)の初年度来園者数は 240万人を突破したと発表した。

同公園は、都立公園として初めて都市公園法に基づく公募設置管理制度(Park-PFI)を活用した公園で、2025131日で全面開業1 周年を迎えた。

同社はこの他、Park-PFIを活用した2026年開業予定の福岡市博多区の「明治公園整備・管理運営事業」に事業参画している。都内では同手法による東急不動産グループが主体の「都立代々木公園」の供用が20252月に開始される。わが多摩市の「TAMA セントラルパーク JV」が令和7年にオープンする。

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都立明治公園「誇りの森」(左)と「インクルーシブ広場」

Screenshot 2025-02-07 at 10-39-09 【ニュースレター】都立公園として初のPark-PFI事業「都立明治公園」開業一周年.pdf.png
「明治公園整備・管理運営事業」イメージ図

        ◆     ◇

記者は、同公園に都合4度訪れている。タバコが禁止なのはどうかと思うが、確かにいい公園だ。利用者数が1年間で240万人超、1日当たり6.6千人を突破したという数字にびっくりした。

これほど利用者が多い公園は他にないわけではない。上野恩賜公園は年間1,000万人超、1日当たり2.7万人だから桁違いだ。他の施設はどうか。東京ドームシティの年間来街者は約3,800万人で1日当たり10万人、プロ野球の球団別2024年入場者数は阪神がトップで約301万人、わが西武は最低の約156万人だ。

 では、公園が所在する渋谷区・新宿区内はどうだろうか。両区とも公園利用に関するデータを公表していないのでわからないが(調査を行っているかどうかも不明)、規模が約16,179㎡の明治公園と同じくらいの公園と比べたらまず他にないのではないか(規模が桁違いの「新宿中央公園」や、立地・コンセプトが異なるやはりPark-PFIを活用した「MIYASHITA PARK」のほうが多いはずだが)。

 仕方がないので、千代田区が令和4年に行った公園利用に関する実態調査・アンケート調査を参考に、少し公園について書くことにする。

 千代田区は、皇居や都立日比谷公園を抱えていることから緑被率が高く、一方で面積が23区最小で人口も約6.7万人と少ないことから、区民一人当たりの公園面積は約25.5㎡と23区で断トツであることが知られている。

 これに異論をはさむつもりはないのだが、三菱地所が所有する丸ノ内北口ビル(丸の内オアゾ)で勤務していた経験からして豊かな緑を享受した実感はない。

 例えば、いわゆる大丸有エリア(大手町・丸の内・有楽町)。地価は坪1億円近くするはずだ。同エリアで多くのビルを所有する三菱地所(丸の内だけで約30棟)は入居企業などとエリアマネジメント組織を立ち上げ、ウォーカブルな街づくりを推進している。仲通りはその代表だ。わが国でもっとも美しい街並みを形成しているのではないか。

しかし、課題も多い。大丸有エリアに公立図書館は一つもない(都立日比谷図書館はあるが)。ネットで調べたら、23区で図書館が最も少ないのは中央区で4館しかなく、次いで少ないのは千代田区の6館だ(1位は世田谷区の21館)。区域面積に占める設置率でも千代田区は13位、中央区は16位だ(トップは文京区)。

大丸有エリアには、都立日比谷公園を除けば区立公園は約1,357㎡の内幸町広場しかない。地価を坪7,000万円とすると時価は約290億円。区の利用実態調査によると、この広場の平日1日当たり利用者は367.5人、年間にすると約13.3万人だ。290億円の価値がある土地価格を利用者の数で割ると1人・1回当たり約22万円だ。広場の維持・管理費も含めるとものすごいコストをかけ、利用者もまたとてつもなく価値のある広場を利用していることになる。

区全体はどうか。区の調査によると、区内57か所の公園利用者は1日当たり約5.7万人で、1公園当たり995人だ(国土交通省の令和3年度 都市公園利用実態調査によれば、全公園の平均利用者数は2,161人)。

この数値をどう見るかだが、区の公園利用に関するアンケート調査(配布数21,324 通、回収数7,575通、回収率3.5%)では、「利用しない」子どもは43.3%、大人は19.7%にも上っている。大人の利用目的は「子どもと遊ぶため」が74.1%と他を圧倒している。利用しない理由を聞いたところ、大人の半数(複数回答)は「未回答」「その他」となっている。

これらの結果について、管理者(区)の視点から見た課題としてハード(ボール遊び、スケボー、遊具など)・ソフト(多数の禁止事項、樹木剪定、利用に関する要望など)とも利用者のニーズに応えられていない、利用されない公園がもったいない、整備手法に問題があるなどとしている。

 課題の認識はあるようだが、問題は今に始まったことではない。改善しようとしなければ、課題を認識していないのと同じだ。

時とともに成長する「うめきた公園」 美しい「JAM BASE」先行街びら(2024/9/4

東建&東建リゾート 都市型スパ「TOTOPA都立明治公園店」3月22日開業(2024/3/16

過去の記憶蘇る 東京都初のPark-PFI活用した「都立明治公園」完成(2023/11/4

「多摩中央公園改修」の疑問氷解 樹木5000 うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/10/21

「使われ活きる公園」 逆読みは〝使われず危機に瀕する公園〟 国交省「公園検討会」(2022/11/1

若い人で溢れかえる 「立体都市公園制度」を活用した三井不「MIYASHITA PARK(2020/8/

 

 

 

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