住宅着工 4か月連続減 ツーバイフォー50年 暦年で初めてプレハブ抜く可能性大
国土交通省は9月30日、令和6年8月の住宅着工動向をまとめ発表。総戸数は66,819戸で前年同月比5.1%減、4か月連続の減少となった。利用関係別では持家は19,597戸(前年同月比6.6%減、33か月連続の減少)、貸家は28,939戸(同1.4%減、先月の増加から再びの減少)、分譲住宅は17,240戸(同12.0%減、4か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンションは7,501戸(同5.0%減、先月の増加から再びの減少)、一戸建住宅は9,578戸(同17.4%減、22か月連続の減少)となっている。
首都圏分譲住宅は7,535戸で、前年同月比20.9%減少。マンションは3,330戸(前年同月比20.8%減)、で都県別は埼玉県310戸(同20.3%減)、千葉県 301戸(同49.8%増(、東京都1,574戸(同34.3%減)、神奈川県1,145戸(同6.0%減)。
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興味深いのはプレハブ住宅とツーバイフォー住宅の動向だ。令和6年1~8月では、プレハブ63,206戸(前年同期比10.7%減)で、ツーバイフォーは62,845戸(同 8.6%増)となっており、その差はわずか361戸。
プレハブは令和4年以降、ほぼ毎月10%前後で減少しており、一方のツーバイフォーは減少する月もあるが増加傾向にある。このまま推移すれば、暦年ではツーバイフォーがプレハブを上回る可能性が高まった。昭和49年(1974年)にツーバイフォーオープン化されてから50年の歴史で初めてプレハブを抜くことになる。
優勝はFRDジャパン サンフロ「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2024」
「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2024」(赤坂ガーデンシティで)
サンフロンティア不動産は9月27日、ピッチイベント「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2024」を開催。予選を勝ち抜いた8社の中から、ろか技術による陸上養殖システムを開発したFRDジャパンが優勝し、賞品としてセットアップオフィスの半年間無償利用権(1,040万円相当)を獲得した。
イベントは、〝東京を世界一スタートアップしやすい都市へ〟を目的に、複数のベンチャーキャピタルやスタートアップ支援企業と連携して立ち上げたプロジェクト「START-UP FRONTIER TOKYO」の一環として開催したもの。昨年に続き今回が2回目。
審査は、ビジョン(熱意)/ビジネスモデル(市場性)/独創性・新規性/推進力を審査基準に11名からなる審査員によって行われた。ピッチ制限時間は5分。
優勝したのは、さいたま市に本拠を置く2013年設立のFRDジャパン(https://frd-j.com/)。同社が開発した閉鎖循環式陸上養殖システムは、バクテリアを活用した独自のろ過技術により、最低限の換水率で水を循環させながら養殖を行うことを可能にしたもので、①地球に優しい②海水冷却コストが不要③「いつでもどこでも」養殖できるのが特徴。Phase1として年間生産量30トン規模の実証実験プラントを運用している。賞品として港区・新築フルセットアップオフィス「+SHIFT TAMACHI」の最上階フロア(24席/48.15坪)半年間無償貸与(1,040万円相当)を獲得した。
代表取締役CEO・十河哲朗氏は「人生で3度目のピッチ。2年前の前回は、20時間ぐらい考えて漫才をやったら、圧倒的な人気を博したが、何ももらえなかった。この2年間の悔しい思いが晴れた。とてもうれしい」とコメントした。
準優勝は、2020年設立の北里大学相模原キャンパス内に本社を置くフィジオロガス・テクノロジーズ(https://physiologas.co.jp/)。1回4時間、週3回の血液透析を受けている約34万人の患者とその家族の負担を軽減する在宅血液透析の普及を目指す装置を開発している。賞品として渋谷駅5分・新感覚セットアップオフィス「SOLIX SHIBUYA」の4名部屋の3か月間無償権(99万円相当)が贈呈された。
3位は、2023年創業の名古屋市本社のJOYCLE(代表取締役社長CEO・小柳裕太郎氏、https://joycle.net/)。ごみを運ばず、燃やさず、資源化しながら再生可能エネルギーを創出し、可搬型の分散型インフラサービスを開発・提供している。CO2排出権を販売し、新たな収益源にもできる。賞品として「SOLIX SHIBUYA」の6名部屋/曜日オフィス)3か月無償権(63万円相当)が贈呈された。
主催者を代表してサンフロンティア不動産代表取締役社長・齋藤清一氏は「社会課題、グローバル化を志向したピッチが多く、素晴らしいものばかり。わくわくした。日本は変わると。当社も、スタートアップオフィス事業を通じて社会に貢献していく」とあいさつした。
齋藤氏(左)と十河氏
十河氏
齋藤氏(左)と宮脇氏
齋藤氏
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20年くらい前か。ある会社が主催したピッチ(プレゼンテーション)イベントを取材したときは、制限時間を無視してしゃべり続け、警告音が一度どころか2度以上も鳴らされたところが続出した。これは完全にアウトだと思った。わが国の後進性を見せつけられた思いがした。今では、毎日のようにどこかでピッチイベントは行われているのだろう。
今回はどうか。審査員のANRIベンチャーキャピタリスト・金井絵里花氏が「わくわくするものばかりで、皆さんピッチ慣れされている」と講評されたように、制限時間を1分近くオーバーしたのは1社、30秒以上余したのが1社で、他はすべて制限時間20秒以内に収めた。
各氏の講評では、StartPass代表取締役CEO・小原聖誉氏が「わが国の現在のスタートアップの縮図」と語ったが、この言葉には様々な課題が山積していることを示唆していると受け止めた。また、Z Venture Capital代表取締役CEO・黄仁埃氏が「日本のピッチは変わってきた。いろんなところを破壊する、革新する意義深いものばかりだった」と語ったのがとても印象に残った。
素人の記者がもっとも高い評価点をつけたのはフィジオロガス・テクノロジーズだった。深刻で難しい人工透析についてとても分かりやすい説明を同社代表取締役・宮脇一嘉氏は行ったと思う。実用化は2029年とのことだが、透析医療を劇的に変えるはずだ。その他の病気も自宅で治療できる時代になるのだろう。
優勝したFRDジャパンも素晴らしいとは思ったが、記者は養殖魚には偏見を持っており、サーモンはそれほど好きではないし、養殖アユなどは天然物と味は全然異なる。まあ、しかし、近い将来には天然の魚が食べられなくなるといわれているので、陸上養殖は爆発的に増えるのではないか。
あとの各社は、審査員の方々も「審査が難しかった」と異口同音に話されたように、甲乙つけがたいものばかりだと思った。イベント後の懇親会では融資の話もまとまったのではないか。
会場(開幕を宣言したのは サンフロンティア不動産上席執行役員・小田修平氏)
〝わが国のイーロン・マスク育てよう〟B2B特化型エクイティ型プログラム三菱地所(2024/5/16)
三井グループ25社売上88兆円「三井みらいチャレンジャーズオーディション」発表(2024/3/20)
「彩」「祭」「才」と「愛」をつなぐ三菱地所「SAAI(サイ)」新東京ビルに移転(2023/11/17)
スタートアップと大企業を結ぶイベントに2,100名「住友不動産ベンチャーサミット」(2023/10/25)
優勝は「Solafune」サンフロ「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2023」(2023/9/22)
サステナブルな街づくりに拍車 野村不のエリマネ組織「Be ACTO 武蔵浦和」開業
「Be ACTO武蔵浦和」開業セレモニー
野村不動産は9月27日、JR武蔵浦和駅直結のJR東日本開発とのJVマンション「プラウドシティ武蔵浦和ステーションアリーナ」(277戸、2024年4月竣工)内に設けたエリアマネジメント組織「Be ACTO武蔵浦和」の活動拠点「マチノバ」の開業セレモニー見学ツアーを実施した。同社執行役員・上羽健介氏や地権者、関係者など多数が参加し、開業を祝った。
「Be ACTO」は、2018年に発表したサステナブルな街づくりを推進する「BE UNITED構想」を実践するための一般社団法人で、「ACTO」」には誰でも気軽に扉が開かれた場所「開く(あ)とびら」と、様々な活動のきっかけ「アクション」となる思いが込められている。拠点は「日吉」「亀戸」「目黒」に続き4か所目。
「マチノバ」は、住宅棟に同社が保有する約300㎡の会員制ラウンジ、レンタルキッチン、レンタルスペース、カフェ併設のシェア本棚のほか、店舗棟のヤオコー武蔵浦和店の100坪超のイベント広場にもなる5階屋上テラスなどから構成。会員になるのは無料で、施設の利用料をその都度払いするスポット会員、月1,100円でラウンジが使い放題のサブスク会員が選択できる。
開業セレモニーでエリアマネジメント担当の同社執行役員・上羽健介氏は「開発に当たって地権者のヤオコーさん、共同事業者のJR東日本さんなどと協議し、このようなランドマークとなる素晴らしい住宅・施設が完成しました。当社は、街が完成してからも地域住民のシビックプライドを醸成することを大切にしておりまして、バードとしての街づくりに加えまして、そこに住まう方々、団体、学校、企業さまなど街に愛着を育んで何世代も住みたくなるようなソフト面でのサステナブルな街づくりを目指していきます。その思いを形にしたのがこの『マチノバ』です。非常時には防災拠点としても活用していただきたい」とあいさつした。
このほかセレモニーには、地元出身のウクレレシンガー・宮武弘さんのライブ演奏やヤオコー、JR東日本、その他関係者多数が出席し、開業を祝った。
見学ツアーでは同社事業創発本部エリアマネジメント部推進課課長・石原菜穂子氏がガイド役を務め、「15年前に初めて行った愛着度調査で、住み続けたいと考える人ほど良好なコミュニティを形成していることが分かり、その後、2014年に全体竣工した大規模開発『ふなばし森のシティ』(約1,500戸)がきっかけとなり、エリアマネジメントの取り組みが始まりました。今回で『Be ACTO』は4か所目ですが、ドライブがかかってきました」と話した。
「プラウドシティ武蔵浦和ステーションアリーナ」エントランス
屋上テラス
「マチノバ」の一部
上羽氏
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「Be ACTO」は、「日吉」「亀戸」「目黒」のマンションを取材したとき聞いてはいたが、活動拠点を取材するのは初めてだった。とても勉強になった。
エリアマネジメントのことはよくわからないのだが、住宅供給戸数やターゲット層を変えることで、人口構成をコントロールしている山万「ユーカリが丘」は成功事例の筆頭だろうし、2002年に設立された「リガーレ(大丸有エリアマネジメント協会)」のような巨大な組織もあれば、小規模な任意団体もたくさんあるのだろうが、同社のような取り組みはそうないはずだ。規模の大小を問わず、地域の活力、環境の維持・向上、コミュニティ醸成に大きな力を発揮しているのは言うまでもない。
取材して嬉しかったのは、一般社団法人ACTOの「日吉」「亀戸」「武蔵浦和」の代表理事を務める元同社広報担当の井上直樹氏にお会いできたことだ。井上氏とはもう30年以上も昔からのお付き合いだ。酒もよく飲んだ。とくに「プラウド」が誕生して以降は大変お世話になった。書く記事に困ったときはいつも井上さんにお願いした。年間20件くらい見学したのではないか。当たり外れがないのが「プラウド」だった…いまもそうか。
大事なことを書き忘れた。見学ツアーでは、同社と埼玉大学が共同開発した「推しの木図鑑」が紹介され、浦和市立大里小学校4年生が推しの木授業で制作した約140点のうちわ作品も「さいたま市南区役所」で展示されていた。
「推しの木図鑑」は素晴らしい取り組みだ。全国の国語や社会科の授業に採用されたら世の中は変わる。記事も添付したので読んでいただきたい。それにしても、同じ日に行われた三菱地所レジデンスの隈研吾氏が出席した記者発表会にはメディアは60人も参加したのに、「マチノバ」は記者を含めてたった4人。これは何だ。
「推しの木」うちわ展示(さいたま市南区役所で)
読みだすと止まらないあらゆる関係者にお勧め野村不&埼大「推しの木図鑑」(2023/6/24)
緑被率43%(分譲棟)ランドスケープが最高 JR東日本・野村不「MEGURO MARC」(2023/12/9)
コンセプトは大地に生える二本の大樹 監修は隈研吾氏 三菱地所レジ「武蔵小杉」
「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」
三菱地所レジデンスは9月27日、「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」の記者発表会を開催し、同社代表取締役社長執行役員・宮島正治氏が「ザ・パークハウス」ブランドについて、同社第二開発部開発第一グループマネージャー・原喬弘氏がマンションの概要についてそれぞれ説明。宮島氏、外観デザインを監修した建築家・隈研吾氏と物件レポーターを務める俳優・高橋一生氏によるトークセッションも行われた。発表会にはメディア約60人が参加した。
現地は、武蔵小杉駅北側エリアの日本医科大学武蔵小杉キャンパス跡地で、市の「小杉駅周辺まちづくり推進地域構想」により、教育施設のA地区、医療地区のB地区、住宅のC地区に分かれて整備が行われており、今回の物件はC地区に該当。地域に開かれた「まち一体型複合開発」として整備される。
物件の中央には、地域に開かれ、まちの賑わいの拠点となる芝生の広場「コスギコミュニティパーク」を設け、2棟の間には、地域の人々も通ることができる「コスギプロムナード」を東西に敷設する。緑地率は約30%。建物は免震構造で、ZEH-M Oriented、ABINC認証を取得する予定。
外観デザインは、建築家・隈研吾氏が監修。デザインコンセプトは、ツインタワーを「大地から生える二本の大樹」に見立て、大地に近い低層部には緑とオープンスペースを広く確保し、大地と幹を繋ぐバーク(樹皮)をイメージした斬新なキャノピー(天蓋状の庇)を設ける。ファザードデザインはガラスとバークルーバーを重層的に重ね、上空へ伸びる大樹が大地から空に向かってグラデーションで溶け込むようなイメージで色調が整えられている。
物件の魅力を紹介する特設サイトには、レポーターとして俳優の高橋一生氏を起用。隈氏やプロジェクト開発担当者との対談を紹介する。
物件は、JR南武線・東急東横線武蔵小杉駅から徒歩3~6分、川崎市中原区小杉町1丁目に位置する敷地面積約20,172㎡、50階建て全1,438戸(サウス719 戸、ノース719戸)。専有面積は44.07~136.04㎡、価格は未定。竣工予定はサウスが2027年9月、ノースが2028年5月。設計・施工はフジタ。売主は同社のほか東京建物、東急、東急不動産。2024年9月27日からエントリー受付を開始し、来春にモデルルーム事前内覧会を開催する予定。
主な付帯施設(予定)は、高齢者福祉施設、高齢者住宅、クリニック、保育所、スポーツジム、スーパー、ドラッグストアなど。
宮島氏は、〝一生ものに、住む〟をスローガンに掲げる「ザ・パークハウス」の特徴として①品質②エコロジー=エコノミー③こだわりのカスタマイズ化④安心・安全⑤上質な暮らしを提案する管理からなる「5つのアイズ」を強調した。
隈氏は、「みどりの大地とシームレスにつながるデザインを低層部に施し、存在感のある2本の大樹の理想形を提案できた」と語った。
施設全体完成予想図
コスギプロムナード
エントランスホール(サウス)
エントランスホール(ノース)
フォトセッション(東京會館で)
左から宮島氏、高橋氏、隈氏
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川崎市の「新総合計画」に基づく約37haの再開発エリアの第一号マンション「THE KOSUGI TOWER」(689戸)が分譲開始されたのは2006年で、坪単価は220万円だった。売主は伊藤忠都市開発・東京建物・ジョイント・コーポレーションの3社。
それから20年近く。これまで供給されたマンションは1万戸(今回の物件を含む)を突破するはずだ。一つの駅圏でこれほど大量のマンションが分譲されたのは近年では武蔵小杉以外にない。記者はほとんどのタワーマンションや商業施設などを取材しており、訪れたのは20回はあるはずだ。
駅南口に林立するタワーマンションに圧倒され、街は好きになれないのだが、今回のマンションは駅北口で、周辺は低中層の建築物も多く、南口とは様相がやや異なる。高橋氏もそのあたりを紹介するのではないか。
さて、価格はいくらになるか。原氏は「未定」としており、モデルルームもないので現時点で予想するのは難しいが、最近の市況と隈氏のプレミアム価格も加味し、坪単価はボトムで550万円とみた。
当たるかどうかは自信はない。記者は、2013年分譲の同社の「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」の坪単価800万円もズバリ的中させたように、「これまで」の的中率は高いはずだが、ここ1~2年の価格暴騰にはついていけない。常識的に考えたら、この坪550万円だってべらぼうに高い。20坪で1億円超だ。隈氏が監修したタワーマンションは、2015年分譲の三井不動産レジデンシャル「パークコート赤坂檜町ザ タワー」以来ではないか。
物件が竣工する2028年ころには、武蔵小杉再開発の最終章となる、駅徒歩1分の三井不動産レジデンシャル「(仮称)小杉町一丁目計画」8約500戸)の分譲が始まるのではないか。
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この日駆けつけた報道陣は約60人。最近のマンション見学会では突出した多さだ。しかし、2か月前、吉永小百合さんが登壇した三井不動産レジデンシャルの「パークウェルステイト西麻布」のメディア向けトークセッションには確か200人のメディアが参加した。宮島氏、隈氏、高橋氏が束になってかかっても吉永さんにかなわないということか。
新国立競技場だけでない三井レジ「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修圧倒的人気(2015/12/22)
日本イコモス 神宮外苑地区街づくに関する公開説明会の開催を都に要望
日本イコモス国内委員会は9月24日、「神宮外苑地区街づくり」計画に関する事業者、東京都、国際NGOイコモス3者による公開説明会の開催と、東京都都市計画審議会の再審を求める要望書を小池百合子・東京都知事宛てに提出した。事業者の「事後報告書」は、以下の5点で不適切であるとしている。
1. 事業者が提出した「事後報告書」(2024年9月9日)は、樹木の本数のみの報告であり、都知事が要請された「緑の質」に関する検討が欠落している。
2. 日本イコモスは3年間に及ぶ調査により146本の毎木調査を実施し、指摘してきた。今回の報告では一切、検討が行われていない。環境影響評価は、科学的分析に基づくことが基本であり、再提出が必要である。
3. 環境影響評価書における科学的調査の欠落は、日弁連会長声明(2024年3月14 日)においても指摘されていた。今回、提示された芝生広場における計画は風致地区Aであるにも関わらず、一切、科学的調査が行われていない。植物社会学にもとづく、群落調査を実施し、環境影響評価書の再提出と審査が必須である。
4. 東京都は、港区長からのイチョウ並木保全の要請(2023年9月25日)、港区民からの同・要請(2024年9月9日)を受けとめ、ただちに名勝指定に必要な手続きをすすめ、文化庁に名勝指定要望を行うことを要請する
5. 日本イコモスが要請してきた「人命の安全保障の検証」(群集津波に関して)が欠落している。
リスト アジアを中心とした海外不動産取扱高100億円突破 前年同期比1.6倍増
取引例 物件名:THE LAUNIU WARD VILLAGE(ザ・ラウニウワードビレッジ=アメリカ・ハワイ) 151.43㎡ 価格386万USD(56,042万JPY、坪1,221万円)、レート:USD=145円
リストグループのリストインターナショナルリアルティ(LIR)は9月26日、2022年1月に設立したアジア不動産を中心に取り扱うアウトバウンドチームの海外不動産の取扱高が2024年9月17日時点で100 億円を突破し、取引件数は前年同期比で約1.6倍に増加したと発表した。
取引の増加について同社は、近年の円安傾向により日本円だけで資産を持つことはリスクだと考える顧客が増え、海外不動産へ資産分散をする傾向が強まっていることや、国内不動産の高止まり傾向により、投資機会を高める目的でアジア不動産へ関心を持つ顧客が増えたことが要因になっており、新たな傾向として、ハイブランドのレジデンスが集まっているドバイ不動産の取引が増加しているとしている。
LIRウェルスマネジメント事業部アウトバウンドチーム 課長・比留間雄大氏は「顧客の海外資産保有への関心は引き続き高いと感じており、特に米ドル資産を保有している顧客は外貨安メリットを受けやすく、資産の組み換えのために海外不動産購入に動いている傾向があります。また、これまで潜在ニーズの高かったドバイでエージェント提携を開始したことで、商品選択の幅が広がったことも取引増加の要因の一つ。一方で、日本の金融機関が提供する海外不動産向けの融資商品が皆無であるため、購入方法のほとんどがキャッシュです。海外不動産購入のハードルをさげるべく今後はローン商品も当社が率先して組み立てていきたい」とコメントしている。
取引例 物件名:One89 Wireless(ワンエイティナインワイアレス=タイ・バンコク)226.00 ㎡ 価格11,300万THB (47,460万JPY、坪693万円)、レート:THB=4.2円
「内閣総理大臣賞」などの「冠」の価値は高いか 第18回キッズデザイン賞表彰式
最優秀賞(内閣総理大臣賞)を受賞した「あそび大学」(右は吉田宣弘・経済産業大臣政務官)
キッズデザイン協議会は9月25日、「第18回キッズデザイン賞」表彰式を行い、最優秀賞(内閣総理大臣賞)の「あそび大学」(特定非営利活動法人あそび研究会)をはじめ優秀賞、奨励賞などが表彰された。
住宅・不動産業界からは、優秀賞(男女共同参画担当大臣賞)子どもたちを産み育てやすいデザイン部門で「誰でも使いやすい 座って囲める『キッチンテーブル』」(積水ハウス)、奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)子どもたちを産み育てやすいデザイン部門で「リーフィア狛江 蒼翠の街」(小田急不動産)と「For PET #子どもと育つ、家族で育む」(LIXIL住宅研究所)、特別賞(審査委員長特別賞)子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門で「子どもの身体活動からみた園庭園舎デザイン検証プロジェクト」(ミサワホーム総合研究所、ミサワホーム他)が選ばれた。
表彰式の冒頭、同協議会会長・坂井和則氏(TOPPANホールディングス代表取締役副社長執行役員COO)は、「今年の応募は409点で受賞作は237点。作品にはインクルーシブやジェンダーなど、時代と子どもの課題が如実に反映されている。優秀作品へノミネートされた33作品は素晴らしいものばかり」とあいさつした。
審査委員長の益田文和氏(インダストリアルデザイナー/オープンハウス代表取締役)は、「私は、この会場(六本木ヒルズ)の近くで生まれ育ったが、いい加減(都市生活を)やめようと山口県のオフグリットの田舎に引っ越した。することもないから毎日、虫を見ている」と切り出し、すべての動物はそれぞれに種特有の知覚世界をもって生きており、それを主体として行動しているという「ウンベルト」(環社会)の概念を引き合いにし「人間が世界を支配していると考えるのは大間違い。人間も自然・生き物の一つにしか過ぎない。虫も人間も一緒。大人になるとだんだん悪くなり、悪知恵が働くようになる。しかし、子どもは争わない、一人で生きられないという危機感を持っているし、物事の本質に気付いている。その意味で、子どもたちを支援するというより、その生きざまを形に表して奉仕するのが文明、文化。キッズデザイン協議会はその最先端にいる」と総評した。
坂井氏(左)と益田氏
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益田氏は記者と同い年の昭和24年生まれだ。いつ山口県に引っ越しされたのか。記者とは違って、都会育ちの益田氏が田園の憂鬱に耐えられるかどうか心配だ。3年が勝負だろう。
その益田氏と同協議会にはお願いがある。キッズデザイン賞が掲げる①子どもの安心・安全に寄与する②こどもの創造性や感性に寄与する③子どもや子育てにかかわる人に寄与する-この3つのミッションはよくわかるのだが、記者の取材分野である住宅などはユニバーサルデザイン(UD)の視点も取り込んで審査していただきたい。住宅・不動産業界はそのような視点でモノづくりを行っている。そうすれば応募はもっと増える。益田氏はIAUD国際デザイン賞の審査副委員長を務めているではないか。
もう一つ。最優秀賞の内閣総理大臣賞や優秀賞の経済産業大臣賞、こども政策担当大臣賞、消費者担当大臣賞、男女共同参画担当大臣賞などと「冠」を付けるのは結構だが、国民の支持率がくるくる変わり、低いときは2割くらいしかない内閣総理大臣賞はそんなに価値が高いか。それより、分かりやすい「金」「銀」「銅」か「益田文和賞」など各審査員の名前を付したほうが不変の価値があり、みんな喜ぶのではないか。官製の冠は競馬、競輪、相撲、花火大会、コンクール…ぞっとしない類の大会がふさわしい。日展、二科展、院展など芸術作品にそのような冠をつけるのは自殺行為だと思う。
グローバル化も進んでいる。「iF DESIGN AWARD」との連携を強化し、国内外でこの賞が注目されるようにしてはいかがか。
表彰式会場(虎ノ門ヒルズフォーラム)
阪急阪神不 積水ハウス・シドニー郊外のマンション事業に参画 約2,000戸開発
阪急阪神不動産は9月24日、積水ハウスが開発を進めているオーストラリア・シドニー近郊のマンション分譲事業「メルローズパーク」の南側街区ステージ1~7に参画し、共同で事業に取り組むと発表した。
「メルローズパーク」は、積水ハウスオーストラリアが2014年から開発を進めている約30haの大規模開発で、これまで1,075戸のマンションを分譲しており、今後約4,700戸の開発を計画している。阪急阪神不はそのうち約2,000戸の開発に参画する。
阪急阪神不にとって、オーストラリアでは初めての住宅分譲事業で、海外の同事業としてはベトナム・タイ・フィリピン・インドネシア・マレーシアに続く6か国目。今回の事業を含めて59プロジェクト約67,140戸の規模となる。
タカラレーベン 今後供給する全マンションをZEH対応に
MIRARTHホールディングスは9月24日、同社グループのタカラレーベンが今後分譲するマンブランド「LEBEN(レーベン)」、都市型コンパクトマンション「NEBEL(ネベル)」シリーズすべてに太陽光パネルを標準設置し、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)対応にすると発表した。
同社はこれまで「レーベン大分駅南LUXES」、「レーベン富山神通本町ONE TOWER」、「レーベン長野中御所THE PEERLESS」などでZEH対応マンションを供給している。
小田急不「リーフィア狛江 蒼翠の街」 キッズデザイン協議会会長賞受賞
「リーフィア狛江〈蒼翠の街〉」
キッズデザイン協議会「第18回キッズデザイン賞 子どもを産み育てやすいデザイン部門」の奨励賞「キッズデザイン協議会会長賞」を受賞した小田急不動産の分譲戸建て「リーフィア狛江〈蒼翠の街〉」を見学した。全8戸をZEH仕様(ZEH5戸、Nearly ZEH3戸)とし、開発地の中央にクルドサックを設け、各住戸が向き合うよう安全性にも配慮した企画が評価された。表彰式は9月25日に行われる。
物件は、小田急線「狛江駅から徒歩9分、狛江市中和泉三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)位置する全8戸。全区画に地役権(4.36~8.50㎡)が設定されており、分譲中の住戸(1戸)の土地面積は106.36㎡(約32.17坪)、建物面積は84.96㎡(約25.70坪)、価格は7,950万円。構造は2×4工法2階建て、建物は2023年8月下旬に完成済み。施工は三井ホームエンジニアリング。
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同社は、受賞が決まった時点でプレス・リリースを発表したが、コピペ記事を書きたくなく、自分の目で確認したかったので同社にお願いして、見学が実現した。物件を見て、各住戸に地役権を設定してクルドサックを設ける開発手法は珍しくないが、開発道路とクルドサックを居住者の交流の場にしようという企画意図がストレートに伝わってきた。残り1戸の価格は安いと思う。敷地面積は30坪強だが、クルドサックを含めれば50坪にも見える。
23区で市域面積がもっとも小さい狛江市は、以前住んでいた調布市に隣接し、好きな作家・宮尾登美子さんが住んでいたところなので、とても好きな街の一つだ。今回の受賞物件がある駅北口は、すぐ緑が豊富な住宅地が広がるのもいい。
あらゆる賞もそうだが、キッズデザイン協議会にはお願いが一つある。記者はこれまで同賞の受賞表彰式をリアルで取材してきたが、約2時間、黙って式の模様を眺めるのは苦痛だ(今年はオンライン参加にした)。
コピペ記事も書きたくないので、受賞したハウスメーカーやデベロッパーにお願いして取材したことはあるが、建築物などの受賞作はほとんど完成済みで、供用開始されているものばかりだ。結構気も使う。
発表から表彰式の間に、メディアや一般の人も参加できる審査員も参加した見学会を開催したら、同賞の意義や認知度が高まるのではないか。
現地
現地
残り1戸すこぶる好調小田急不動産の戸建て「世田谷喜多見」全10棟(2020/11/9)
建ぺい40%、容積80%の邸宅跡地に21区画売れ行き好調の小田急不「狛江」(2020/2/11)