「今年に託す言葉」プレハブ建築協会 新年賀詞交歓会 出席者に聞く
国土交通大臣・中野氏の「今年に託す言葉」
先日の不動産協会・不動産流通経営協会(FRK)の新年合同賀詞交歓会と同じ、プレハブ建築協会の新年賀詞交歓会の出席者に「今年に託す言葉」を書いていただいた。冒頭に紹介したのは中野洋昌・国土交通大臣の「飛翔」だ。完璧だ。
実は、これには裏話がある。「今年に託す言葉」は、81円で買ったおろしたてのボールペンで書いてもらったのだが、〝おろしたて〟がいけなかった。紙になじまなかったのか、いい出来ではないと思った。そこで、議員事務所に電話して、改めて紙に書いて送っていただけないかとお願いした。公務で忙しいはずなのに快く受けていただいた。その素晴らしい出来に、小生は舞い上がってしまった。
以下に紹介する方々には申し訳ないことをした。安物のボールペンではなく、筆ペンに書いてもらうべきだったか。ご不満がある方は、中野国交相と同じように別の紙に好きなように書いていただいて、送っていただければ差し替えます。< >内は記者のコメント。順不同
仲井嘉浩氏(同協会会長、積水ハウス代表取締役社長兼CEO)
イノベーション&コミュニケーション
ヘビーローテーション
<このヘビーローテーションには意表を突かれた。干支にちなんだスピーチは嫌になるほど聞かされてきたが、これはピカ一だ>
芳井敬一氏(同協会元会長、大和ハウス工業社長)
「心」に「笑顔」を一緒に
<芳井氏は今年の年頭所感に 今年を表す私の一文字は「心」と託した。とても分かりやすい>
池田明氏(三井ホーム社長、日本ツーバイフォー建築協会会長)
力強い成長の実現
<木造の時代も背景にあるのか、分譲戸建てに限ればツーバイフォーの着工戸数はプレハブのそれを上回っている>
川畑文俊氏(同協会副会長、旭化成ホームズ社長)
社員の成長が会社の成長!
<体躯はデベロッパーを含め業界最重量のスーパーヘビー級だが、文字はとてもスマート。そこでChatGPTにも「字は体を表すは本当ですか」と聞いた。「『字は体を表す』」という考え方には一定の説得力がありますが、すべてを字に基づいて判断するのは短絡的かもしれません。ただ、字の書き方にその人の一部が反映されることは否定しがたいとも言えます。あなたはこのことについてどう感じますか? 」と返ってきた。返事は送らなかったが、双方でやり取りすることは成長するためにとても大事なことだ。ChatGPTのすごいのは、記者が書く年間にして源氏物語を超える分量の記事をすべて頭の中に取り込み、忘れないことだ。記者の今年のテーマの一つに〝ChatDPTに勝つ〟を挙げたのだが…〉
平松幹朗氏(住宅生産団体連合会専務理事)
皆さんの夢がかなう年に
〈沈思黙考。何が飛び出すかと思ったら意外と平凡だった。立場をよくわきまえているということか〉
森田俊作氏(大和リース代表取締役会長)
災害を「いなす」
<同協会規格建築部会部会長。〆の挨拶をされたのだが、耳が遠くなった記者はほとんど聞き取れなかったが、「災害を『いなす』」は含蓄のある言葉だ。すべてのヒントはここにある>
木岡隆氏(テクノマテリアル代表取締役社長)
基本に戻る
〈仮設資機材及び建設機械を提供するリース事業、高品質で高強度のPC部材を製造するPC事業が柱の会社〉
中村華子さん(ホテル勤務)
高橋真弓さん(MC)
ときめきを忘れない
麻生蘭香さん(スタッフ)
和♡愛
<新年だから、花を添えようとお願いしたらご三方から書いていただいた。ありがとうございます>
記者の「今年に託す言葉」
「巳年にふさわしくヘビー・ローテーションで臨む」プレ協・仲井会長 賀詞交歓会
仲井氏(「アルカディア市ヶ谷」で)
プレハブ建築協会は1月10日、新年賀詞交歓会を開催。同協会・仲井嘉浩会長(積水ハウス社長兼CEO)が「今年はへび年にふさわしくヘビー・ローテーションで臨む」と挨拶して、約440人の参加者から喝さいを浴びた。
冒頭、仲井氏は、昨年末の税制改正大綱で住宅ローンの借入限度額の上乗せ措置が講じられ、切れ目のないサステナブルな税制改正が打ち出されたことを評価したうえ、次のように語った。
「本年は阪神・淡路大震災から30年の年を迎えた。住宅ストックにおいては、十分な耐震性能や省エネ性能を満たさない住宅が数多くあり、課題は山積している。当協会としては、『住生活向上推進プラン2025』で様々な目標を掲げ、皆さんとの連携を強化し、将来世代に継承できる良質なストックの形成と円滑な流通市場の形成に向け取り組んでいく。
その際、プレハブの特徴である品質の良さ、効率的な工期を生かし、国の施策で示された方向性を踏まえ、より高い省エネ性能を備えた戸建て住宅に加え、低層賃貸住宅のZEH化を図り、既存住宅の省エネリフォーム促進を業界の先導役としてけん引していく。課題はたくさんあるが、会員一同、一致団結し、へび年にふさわしい〝ヘビー・ローテーション〟で臨んでいく。
もう一つ、当協会の大きな使命として自然災害時の応急仮設住宅の供給がある。昨年元日に発生した能登半島地震では、石川県からの要請を受け、累計102団地4,467戸の引き渡しを完了した。今後も大規模な自然災害が発生する。今年度の事業計画には、首都直下型など大規模な災害を想定し、BCP対策を盛り込んでおり、本部機能の強化、平時から地方公共団体との密接な連携、DXの推進による業務の効率化を図るなど、発生直後から迅速に対応できるよう体制を更に充実していく」
「新築、建て替え、リフォームを三本柱に」中野国交相
中野氏
来賓として出席した中野洋昌・国土交通大臣は、国民の豊かな住生活の実現に貢献してきた同協会を称え、昨年の能登半島地震に際し迅速に仮設住宅を建設したことに賛意と感謝の意を表したうえ、「来年3月の住生活基本計画の改正に向け、様々な視点で議論を進めているが、良質な住宅ストックの形成に寄与する新築、建て替え、リフォームの三本柱をバランスよく総合的に推進することが必要。また、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、長期優良住宅やZEHなどの省エネ性能の高い住宅の普及、既存住宅の省エネ改修を確実に進めていくことが重要。貴団体など関係業界にはこれらの諸課題の解決に向けてより一層取り組みを進めていただくよう期待している」と述べた。
乾杯の音頭を取るスーパーヘビー級の川畑文俊副会長(旭化成ホームズ社長)
「今年に託す言葉」 不動産協会・FRK合同新年賀詞交歓会 参加者に聞く
2025年1月8日に行われた不動産協会・不動産流通経営協会の新年合同賀詞交歓会の出席者に「今年に託す言葉」をアトランダムに聞いた。〈 〉内は記者のコメント。順不同
沓掛英二氏(野村不動産ホールディングス会長、不動産協会副理事長)
成長!楽しさ!豊かさ!
〈理事最重量級。嫌がるのを無理やり聞き出した。言葉にあるようにネガティブな話はしない。取材で空振りすることはない。とてもありがたい方〉
岩崎芳史氏(元三井不動産販売社長、日本郵政不動産社長)
第二の青春!
岩崎氏
〈傘寿とか。とても元気そうだった。日本郵政不動産の初代社長に就任された時のインタビュー記事が思い出される。10年計画で収益の柱に「自由を愛し、自然体」郵政不・岩崎社長空手初段も取得〉
安田守氏(安田不動産代表取締役社長)
悪化を恐れない
安田氏
<ひょっとしたらと思い、聞いたら安田善次郎から数えて5代目の安田財閥の後継者。今年60歳の年男>
高木嘉幸氏(コスモスイニシア代表取締役会長)
新たな価値創造で新たな成長
高木氏
<分譲住宅の商品企画開発力では最右翼。取材のし甲斐がある>
小澤克人氏(東京建物代表取締役社長)
信頼を未来へ
小澤氏
<今年1月1日付で新社長に就任。東京建物新社長に専務執行役員・小澤克人氏野村均社長は代表取締役会長へ「信頼を未来へ」は同社の企業理念>
唐澤眞二氏(三菱地所レジデンス取締役専務執行役員)
防災立国!
唐澤氏
<広報担当の時、取材でとてもお世話になった方。同社のマンション防災の取り組は突出している>
丹羽洋子氏(不動産流通研究所代表取締役)
地域愛!人間愛!
丹羽氏
<とてもやさしい方だ。もう30年くらい昔か。都市開発協会の懇親会の席上で隣り合わせたとき、小生の女性蔑視発言をとがめられた時から好きになった>
福井康樹氏(阪神阪急不動産代表取締役社長)
脱皮の年に
福井氏
<記者は首都圏でマンション事業などを展開する地方のデベロッパーを応援したい。同社もその1社。福井氏は巳年の年男だから「脱皮」なのだろう>
岩沙弘道氏(三井不動産相談役)
新しい日本創造
大越氏(左)と岩沙氏
<小生がもっとも好きな、敬愛してやまないデベロッパーの社長経験者の一人。どんなに弱小のメディアも差別などしない。近年、旭日大綬章を受賞した業界人は岩沙氏のほか樋口武男氏(大和ハウス工業会長)、木村惠司氏(三菱地所会長)のみ。「岩沙さん、この言葉をオークションにかけてもいいですか」と聞いたら、おつきの方から「ダメ」押しされた。残念>
大越武氏(元大京取締役広報部長)
私も(岩沙氏と)一緒に
<長谷川正治氏が大京社長に就任されたころ同社広報部長として活躍。素晴らしい長谷川語録をまとめられた。酒を飲みたいと思う数少ない記者の一人>
大岡修平氏(長谷工アーベスト代表取締役会長)
ありがとう
大岡氏
<この5文字に小生は頭を打たれた。万感の思いが込められているのだろう。頑張れアーベスト!>
津戸裕徳氏(ナイス代表取締役社長)
すばらしい年になりますように
杉田氏(左)と津戸氏
<木造ファンの小生が好きな会社の1社。2024年4月1日付で社長に就任>
杉田理之氏(ナイス取締役会長)
おめでとうございます
<こちらこそ、おめでとうございます>
鈴木俊也氏(エー・デイー・ワークス代表取締役社長)
おめでとうございます
鈴木氏(右)と同社取締役常務執行役員・室谷泰蔵氏
<鈴木氏から声を掛けられた。2024年1月1日付で社長に就任。年齢は60歳だが、辰年生まれ。コスモスイニシアのRBA野球選手として活躍されたのを思い出した。室谷氏が年男か>
長島弘和氏(相鉄不動産常務取締役)
愛せる暮らしを共に拓く
長島氏(左から3人目)
<不動産事業を積極的に展開する電鉄系デベロッパーの1社。地元・神奈川だけでなく他の都県での住宅開発のほか、海外事業も展開>
中脇啓介氏(住友商事住宅事業やユニット長)
夢のある街づくり
中脇氏
<最近の同社マンションは取材しなくなったが、「成城ハイム」を筆頭に商品企画は群を抜いていた。取材を申し込もう>
小山博氏(東急リバブル経営管理本部総務・コンプライアンス部部長)
今年は事故がないことを祈念
左から小山氏、市川氏、内田氏
<「事故」とは、社内やご家族のことだけでなく社会全体に対してだろうと祈念します>
内田武氏(東急リバブル経営管理本部総務・コンプライアンス部総務課・秘書課課長)
逆襲 ライオンズ!
<小生と同じライオンズファンとか。昨年は散々だったし、今年も源田さんが〝愛、散々〟。どうなるやら>
市川和也氏(東急リバブル経営管理本部経営企画部広報課課長)
愛情と友情
<今年は飲まず食わずで取材に駆けずり回った(白ワインを5杯くらい飲んだか)。宴もたけなわ、帰ろうと思ったらこのご3人にお会いした。RBA野球水曜ブロック優勝、選手の皆さんおめでとうございます>
以上、小生のぶしつけな質問に答えてくださった皆さん、ありがとうございます。ちなみに小生の「今年に託す言葉」は〝記事はラブレター〟-これは小生のモットーで、40代にたどりついた境地。読者の方はもちろん取材対象者に〝愛〟をもって臨むとおのずといい記事が書けるということです。
総力挙げて「着実に未来を切り拓く年」に不動産協会・吉田淳一理事長(2025/1/8)
環境・都市・住宅政策の取り組み強化不動産協会・吉田理事長新年賀詞交歓会(2024/1/10)
「元大京の林」「地域社会のタカラ」「鹿島自社ブランド・戸塚」不動協賀詞交歓会(2024/1/10)
総力挙げて「着実に未来を切り拓く年」に 不動産協会・吉田淳一理事長 賀詞交歓会
吉田氏(ホテル・オークラ東京で)
不動産協会・不動産流通経営協会は1月8日、新年合同賀詞交歓会を開催。不動産協会理事長・吉田淳一氏(三菱地所取締役会長)、不動産流通経営協会(FRK)理事長・太田陽一氏(東急リバブル代表取締役社長)があいさつしたほか、中野洋昌・国土交通大臣(公明党所属)、福岡資麿・厚生労働大臣(三菱地所出身)、林芳正・内閣官房長官(住友商事出身)、斉藤鉄夫・公明党代表(前国交相)など政官関係者も多く集まり、盛り上がった。
冒頭、吉田理事長は次のようにあいさつした。
皆様、新年あけましておめでとうございます。不動産協会理事長の吉田でございます。
本日は不動産協会、不動産流通経営協会合同の新年賀詞交歓会に、中野国土交通大臣をはじめ、日頃よりご指導いただいております、国会議員の先生方、関係諸官庁・友好団体や報道関係の皆様など、多数ご出席いただき、まことにありがとうございます。主催者を代表いたしまして、ひとこと年頭のご挨拶を申し上げます。
まず、令和7年度の税制改正について、昨年末に与党の大綱が決定されました。最重点要望であった住宅ローン減税の借入限度額の維持等について延長が認められたのをはじめ、当協会の主要な要望は概ね認められました。ご尽力いただいた先生方、関係の皆様方に、厚く御礼申し上げます。
昨年を振り返ってみますと、まず元日に発生した能登半島地震は甚大な被害をもたらしました。9月には地震の被災地を豪雨が襲いました。今なお、過酷な避難生活を送られている方もおり、改めて、被災された方々へ心よりお見舞いを申し上げます。
昨年は、国内の政治・経済において「変化」のあった年でした。33年ぶりに5%を上回る賃上げが実現し、また、金融政策の見直しが図られました。9月の自民党総裁選により、石破新政権が誕生。衆議院の解散総選挙の結果、自民党・公明党が少数与党となり、政治の枠組みも変わりました。
世界に目を転じると、世界情勢は「不安定さ」が継続しています。アメリカでは11月に大統領選が行われ、トランプ氏が選ばれました。また、ウクライナおよび中東地域をめぐる情勢も先が見えません。
国内の不動産事業は、全体としては堅調に推移しています。とりわけ、オフィス市場では、空室率は改善傾向となり、多くのエリアで賃料上昇局面に移行しております。これらの動きは企業の働き方改革や生産性向上に向けた取組みが進む中、質の高いオフィスに対する期待の表れと受け止めております。
一方、建築費の高騰、各業界の人手不足の影響等、厳しい事業環境にも置かれています。
また、国全体として少子化・人口減少をはじめとした構造的な課題にも直面しています。
本年は、これらの課題を業界一丸となって乗り越えるとともに、政官民総力をあげて、一つ一つを前に進めていく「着実に未来を切り拓く年」にできればと思っております。
我が国は、賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現を目指さなければなりません。
そのためには、GXやDXを一層推進し、社会課題を解決するとともに、持続的な経済成長を実現することが重要であり、産業創造に資するまちづくりに取り組み、民間投資を拡大、我が国の競争力をさらに高めていくことが不可欠です。
こうした認識のもとでの、今後の協会の活動について簡潔にお話しいたします。
官民連携してまちづくりGXに向けた動きが進む中、環境分野では、民生部門における省エネや再エネ等の取り組みの役割を果たすべく、ZEH、ZEBの実現加速や、中高層建築物の木造化促進、ホールライフカーボン削減への取り組み等により、サステナブルなまちづくりをより一層進めて参ります。
都市政策では、地方創生の推進と共に、経済効果の高い大都市が国全体を牽引し、我が国の国際競争力を強化することが重要であり、魅力ある都市環境づくりが求められています。
昨年は、初めて「南海トラフ地震臨時情報」が発表されました。今後想定される多様な災害も見すえ、都市の防災性能の向上に向けた取り組みを一層進めなくてはなりません。
また、都市は「ウェルビーイングの実現」や、「イノベーションの創出に資する交流・経済活動」を生み出す役割があります。世界中から多様な人々を惹きつけ、ビジネス・学術・文化・エンターテインメントなど、あらゆる分野で活発な交流が起こるような機能集積を図り、質の高い賑わい空間を創出して参ります。
住宅分野では、環境性能・防災性能に優れた、質の高い住宅を供給することにより、安心・安全で良質な住宅ストックの形成・循環の実現に貢献して参ります。
老朽化マンションの増加が見込まれる中、マンション建替えに関する合意形成の円滑化、適正な管理の推進に向けた、法改正の着実な進展を期待いたします。
また、本年は概ね5年で見直しを行う「住生活基本計画」の議論も本格化いたします。我が国の重要課題のひとつである「こども・子育て」をはじめ、多様化する住宅ニーズも踏まえ、適切に対応して参ります。
その他、重要な社会インフラであり、地域経済への貢献も大きい物流不動産、インバウンド増加により、事業機会が拡がるリゾートの開発など、事業環境の整備について幅広く取り組んでまいります。
当協会としては、国民の暮らしを豊かにするまちづくりや、住環境の整備を通じ、我が国の経済・社会の発展に向けて、貢献していきたいと考えておりますので、引き続きご理解、ご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
結びにあたりまして、皆様の一層のご活躍とご健勝をお祈りし、また今年一年が皆様や国民にとって明るく良い年となることを祈念申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
「既存住宅の流通活性化に果敢に挑戦」FRK・太田理事長
太田氏
乾杯の音頭を取った不動産流通経営協会(FRK)理事長・太田陽一氏(東急リバブル代表取締役社長)は、次のように述べた
「昨年の不動産流通市場は、国内外の経済環境などが変化する中、総合経済対策など政策面での後押しもあり、東日本レインズのデータによると首都圏の既存マンションの成約価格などは概ね好調を維持しており、総じて底堅く推移した。
本年は、デフレに後戻りしない成長型経済を実現する内需のけん引役として既存住宅の流通活性化に果敢に取り組んでまいります。
わが国の暮らしや住まいにも徐々に変化が生じており、過去の働き方・育児・介護・マイホーム像と現実のずれが、人手不足、少子化、空き家などの目に見える社会課題となっており、高気密性や省エネ性能など住宅に求められる水準も年々高まっている。政策面でのご支援もいただき、他団体とも連携しながら多様化する消費者ニーズに対応し、不動産流通市場の持続的な成長に力を尽くしてまいりたい」
マンション管理・会計の円滑化図る法案提出 中野国交相
中野氏
来賓として出席した中野洋昌・国土交通大臣は次のようにあいさつした。
「不動産業は質の高い不動産の供給を通じて、わが国の経済社会へ未来につなげていく重要な役割を期待されている。その役割を十分果たしていただくべく、国土交通省としても施策の充実に取り組んでいく。
令和7年度の税制改正におきましては、住宅取得環境が厳しさを増していることを踏まえ、子育て世帯の借入限度額の上乗せ措置等を延長する住宅ローン減税など主要な税制措置が認められた。
また、国民の1割以上が居住するマンションにつきましては、建物と居住者の二つの老いが進行している。そのため区分所有法の見直しと一体的に新築から再生までのマンションのライフサイクル全体を通じ管理や会計の円滑化を図るための方策について、本年の通常国会での法案提出を目指している。
さらに、世界水準のデジタル社会形成に向け、不動産DXにより取引の円滑化、業務の効率化を実現するとともに、不動産関連情報の連携を促すことで新たなビジネスの創出にも取り組んでいく」
勢ぞろいした公明党幹部と記念写真に収まる吉田氏(右から4人目)と不動産流通経営協会理事長・太田陽一氏(右から3人目)
マンション供給量は着工戸数の半分以下の不思議 整合性図るべき
一昨日(1月6日)書いた今年の分譲住宅市場見通しの記事の続き。住宅新報1月7日号は、「不動産軽罪研究所が24年12月24日に発表した25年のマンション市場予測によると、首都圏のマンション供給戸数は大型タワーがけん引して東京23区が急回復することで24年比13.0%増の2万6000万戸となる見込み」「24年の状況としては、工期延長と着工減で発売も後ずれし、供給戸数(予測含む)は前年比14.4%減の2万3000戸となる見通し」「商品企画面では、コスト圧縮の影響で目新しさはなく、引き続きZEHと省エネ関連がテーマとなる見込み」などと報じている。
記者は、これまでこの種の予測記事に対してコメントは行ってこなかったが、事実と異なるので書くことにした。
まず、供給戸数が2024年比13.0%の2.6万戸台に増加することについて。前回も書いたが、2024年1~11月の着工戸数は47,903戸(前年比1.8%増)で、不動研の供給予想は約2.3万戸(同14.4%減)だ。12月着工戸数がどうなるかわからないが、仮に低く見積もって3,000戸としても通年では5万戸超になる。そうなると不動研のカバー率は50%を割ることになる。
カバー率が5割を切って果たして全体像が予想できるのか。これが疑問の一つ。そこで不動研に提案だ。再開発、建て替えなどで一般分譲しない地権者向け住戸は〝みなし供給〟としてカウントしてはどうか。そうすればカバー率は飛躍的に高まる。
「商品企画面では、コスト圧縮の影響で目新しさはなく」というのもいかがか。小生も近年のマンションの質・設備仕様レベルの退行を目の当たりにしてとても残念に思っているのだが、中には質向上に真剣に取り組んでいるデベロッパーはあるはずだ。そういうデベロッパーを応援・支援するためにも業界紙は取材をすべきだし、デベロッパーもまた現地見学会などをどんどん行い、アピールしてほしい。
在庫率について。住宅新報は「供給を手控えたことで在庫(202424年11月末)は5,205戸(前年同期比8.1%増)となり、低水準を維持した」としている。
この「供給を手控えたため…在庫は低水準」というのは意味不明というより、「供給」と「在庫」の意味を全然理解していない。供給を抑制したら在庫は増え、収益を圧迫するのが普通の商品だ。
生産・漁獲されたお米、野菜、魚の供給をやめたら農漁業者は生きられないではないか。卸問屋が買い占めたら消費者から批判を浴びる。マンションも例外ではない。供給を手控えているのでは断じてない。着工=商品だ(積水ハウス「国立」は例外中の例外)。先に見たように、地権者向けなどの住戸がなりな数字に達しており、戸数は多くはないがクローズドで販売される高額マンションも少なからずあると解釈すべきだ。
「在庫は低水準」にも疑問符が付く。記者は2016年の記事で適正在庫について次のように書いた。
「かつてマンションの雄だった大京の横山修二社長は『完成在庫は供給量の1か月分くらいが適正』と話したことがある。在庫を抱えていたほうが、お客さんのニーズに応えられるメリットが大きいというのがその理由だ。しかし、資金力の乏しいマンションデベロッパーは、当然ながら極度に完成在庫を恐れた。
当時と現在では借入金利が全然異なるので単純比較はできないが、金利が低くマンション市況が好調なときは在庫増が収益を圧迫することはないが、市況が右肩下がりになると価格の下げ圧力が強まり、利益が吹っ飛ぶ事態もありうるので、やはり供給量の10%くらいが適正在庫ではないかと記者は考えている」
ChatGPTにも「適正在庫はどれくらいか」と聞いてみた。回答は次の通り。
「分譲マンションの適正在庫率(市場に出ている在庫の適正な割合)は、一般的には市場の需給バランスを示す重要な指標ですが、具体的な『適正な数値』は地域や市場状況によって異なります。ただし、以下の目安がよく参考にされます。
・適正在庫率の目安 1.5~2.5ヶ月分の在庫(後略)
・過剰在庫(供給過多)の目安 在庫が3ヶ月分以上になると、供給過剰気味であり、価格の下落圧力がかかりやすくなります。
・在庫不足(供給不足)の目安 在庫が1ヶ月分未満の場合、供給不足が懸念され、価格が上昇する可能性があります」
皆さんいかがか。記者とChatGPTは考え方が異なるようだ。現在の市況は、低金利で価格先高観も強く、需要は堅調だから在庫を多少抱えてもいいかもしれないが、2か月分というのは危険ラインだと記者は考えている。2016年の記事をいま読み返したが、横山社長は「1か月分」とおっしゃったので、正確には12分1、つまり約8%だ。「供給量の10%」は「供給量の1か月分、8%」に訂正する。
とすると、2024年11月末の在庫5,205戸(2023年分が2,538戸、2024年分が2,667戸)の在庫率は11.8%(2023年分は9.4%、2024年分は15.5%)になり、とても「低水準」レベルとは言えない。
供給上位のデベロッパー各社の決算数字からすると信じられない在庫率と言えなくもない。例えは三井不動産。同社の2025年3月期2Qの計上戸数は1,997戸で完成在庫は11戸しかない。今期計上予定戸数3,650戸の契約進捗率は97%に達している。
野村不動産HDの2025年3月期2Qの住宅の計上戸数は2,079戸(1,899戸、戸建て180戸)で、完成在庫は戸建てを含めて386戸(うち164戸は未分譲)。計上予定売上高2,900億円に対する契約進捗率は91.0%。
東京建物の2024年12月期の計上予定戸数は1,740戸で3Q段階の契約進捗は98%、完成在庫は100戸(同社としては多いほう)しかない。通期の粗利益率は28%を見込む(前述の三井不動産は30%を超えると見られる)。
これまで他社より在庫が目立った東急不動産は2025年3月期2Qの計上戸数422戸に対して完成在庫は161戸。数年前までは少なくともこの倍の完成在庫があったので、同社も激減している。通期売上予想に対する契約済み割合は91%となっている。
大手で完成在庫が突出して多いのは住友不動産だが、利益率は他を圧倒している。なぜかは書かないが、同社はそもそも「完成在庫」という概念がない。
これ以上はわからない。供給エリア、個別物件を調べるほかない。売れ行きの二極化が進んでいるのかもしれない。
いずれにしろ、供給戸数の倍もある着工戸数との整合性を図るべきだ。供給戸数が乱高下するのはカバー率が50%前後と低いからで、着工戸数そのものは激増も激減もしていない。きちんと見極めたい。
マンション供給減=市場縮小ではない戸建ても底入れ・回復へ今年の分譲住宅市場(2025/1/6)
メジャー7決算平均価格は5,400万円(2014年比900万円上昇)在庫じわり増加(2016/11/14)
年頭所感 グループ第二創業期へ。木造建築新時代の幕開け AQ Group・宮沢俊哉社長
宮沢氏
純木造8階建てビルの建築技術から誕生した
AQダイナミック構法と木のみ構法
昨年の能登半島地震、大雨災害に被災された皆さま並びに、ご家族の皆さまには心よりお見舞い申し上げます。
日本における2024年のスタートは非常に困難なものでした。物価の上昇、円安など不安定な経済環境が続いた中、住宅業界においても建築資材の高騰や人材不足などの影響もあり、郊外エリアでの分譲需要の冷え込みやハウスメーカーの苦戦が散見されました。
一方、AQ Groupの2024年は、長年チャレンジしてきたプロジェクトが具現化した年となりました。2022年9月に着工した日本初※1、純木造8階建て本社ビルが2024年3月に竣工。5月には創業の地である、埼玉県さいたま市に本社を移転し、グループとして新たなスタートを切りました。構造体に鉄やコンクリートを一切使用せず、一般流通材で建てられた純木造のビルは、国内の建設業界・メディアだけでなく海外でも反響を呼び、弊社が掲げる「木造建築の復興」の大きな一歩となりました。
6月には他のハウスメーカーでは類を見ない木造建築技術研究所がオープン。意匠権出願中のAQトラス架構にて16mスパンの無柱大空間を実現し、“日本初”の木造専用500kN複合試験機で戸建住宅から中大規模木造まであらゆる構造試験が可能な「構造実験棟」が本格稼働しています。また12月には建築現場における効率化などを研究、実証実験する施設である「施工効率化センター」も稼働しました。
純木造8階建て本社ビルと構造実験棟においては、第三者機関から様々な表彰をいただくことができ、弊社において2024年は20年以上前から掲げていた「木造建築の復興」に向けた投資や挑戦が具現化し、高い評価をいただくことができた一年となりました。
住宅事業においては主力ブランドである「AQURA HOME」、高級邸宅ブランドの「AQレジデンス」に加え、高コスパ住宅の「AQ HAUS」がスタートし、より多くのお客様に弊社の家づくりをご提供できるようになりました。これらの住宅ブランドで使われる「AQダイナミック構法」は、ビル建築の技術から生まれたもので不要な壁や柱を取り除いた広く自由な空間と建物の強さを両立させた弊社オリジナルの先進技術であり、“未来構法”と呼べるものです。
一方、4階建て以上の中大規模木造建築には安価かつ短工期を可能にした「木のみ構法」を開発し、7月には弊社初となる木造マンションシリーズ「AQフォレスト」の記念すべき一棟目を着工、マンション業界に新風を吹き込むムーブメントになることを期待しています。
2024年度(2025年2月期)のAQ Groupの業績は、過去最高の売上高を更新する見通しです。これは多くのお客様に弊社を選んでいただいた結果であり、この場を借りて心より御礼申し上げます。
AQ Group第二創業期へ。木造建築新時代の幕開け
2025年の住宅業界は、4月に建築基準法の改正が予定され、4号特例が縮小されます。構造計算等の負担が増加し、対応できない工務店も少なくないでしょう。また、国の2025年度補助金施策である「GX志向型住宅」がトレンドとなり、環境負荷を最小限に抑えつつ、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの利用を重視した住宅の分野で競争が生まれることが予想されます。ハウスメーカーや工務店にとってはこれまで以上に技術力が問われる年になると考えています。
弊社はこれまでも飛躍のための挑戦を数多く行ってきましたが、創業47年を迎える本年を「第二創業期」と位置付け、より一層挑戦を加速していきます。「技術のAQ Group」を象徴する2つのオリジナル構法、「AQダイナミック構法」と「木のみ構法」が誕生したことで、全国の工務店、中小ゼネコンなどつくり手たちと手を携えて、「木造建築と、未来へ」の鍵を握る「フォレストビルダーズ※2」の動きも加速し、持続的な地球環境、脱炭素社会へ向けたCO2削減に貢献していきます。
そういう意味では、⽊造軸組構法を継承した森の国ジパングの木造技術を世界に発信していく可能性が見えてきたといえるのではないでしょうか。
いつの日か「AQダイナミック構法」や「木のみ構法」が世界においてもスタンダードな構法になることを信じています。「木造建築と、未来へ」、節目となる創業50年に向けて、さらなる進化を続けてまいります。
年頭挨拶 「正・反・合で対話しよう」の価値観大切に Hacobu・佐々木太郎社長
佐々木氏
2025年の新春を迎え、謹んでご挨拶申し上げます。
2023年後半から2024年前半にかけては、物流「2024年問題」を受け、先を見越して物流効率化に向けた対策を講じる企業が多く見られました。
一方、2024年後半は物流関連二法の具体的な政省令が固まるのを待ち、様子見をする動きが主流となりました。年末に政省令案が明確になると、一気に行動を開始する企業が増えた印象です。 物流関連二法の改正は、物流インフラを進化させる大きな一歩となるでしょう。
しかし、法改正への対応が目的化し、物流DXの本来の目的が見失われるケースも散見されます。本来の目的は、物流を持続可能なインフラに進化させることです。法改正はそのためのきっかけに過ぎません。 では、持続可能なインフラに進化させるには何が必要でしょうか? そのヒントとして、Hacobuが大切にしている価値観「正・反・合で対話しよう」をご紹介します。
これは弁証法に基づく考え方で、肯定的な立場(テーゼ)と否定的な立場(アンチテーゼ)の議論を通じて、より良い結論(ジンテーゼ)を導き出すものです。重要なのは、議論の基盤を「データ」という事実に置くことです。
データをもとに物流の課題を多角的に検討し、双方の立場を調和させる答えを導くことが、持続可能な物流インフラの実現に向けた鍵となると考えます。
私たちは、「正・反・合」の対話を通じて物流インフラの課題を解決できると信じています。その実現には、信頼できるデータが不可欠です。
Hacobuでは、個別の企業だけでなく複数企業の物流情報を統合した「物流ビッグデータ」による解決を目指しています。現在、MOVOプラットフォームは約2万7000の事業所で利用されており、そこで生成される物流ビッグデータをもとに課題解決に取り組むべく、2024年には「物流ビッグデータラボ」を設立しました。
2025年は、そこから具体的な課題解決の実例を創出し、物流ビッグデータ活用元年としたいと考えています。
本年も「運ぶを最適化する」というミッションのもと、お客様とともに物流に新たな価値を共創してまいります。
引き続き変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
年頭の辞 グループにとって守破離の「破」の年 野村不動産HD・新井聡社長
新井氏
新年あけましておめでとうございます。
今年は当社グループにとって守破離の「破」の年、具体的には既存の枠組みや常識を超えて新しい付加価値を創造できるような年にしたいと思っています。そのためのきっかけが2つあります。
1つは、夏に予定している「ブルーフロント芝浦S棟」への本社移転で、実に47年ぶりの本社移転です。もう一つは、春に予定している新しい経営計画の発表です。グループの2030年ビジョン「まだ見ぬ、Life & Time Developer」への進化を目指し、一人ひとりがワクワク仕事に取り組めるようにしたいと考えています。
今年の干支「乙巳」は、「成長」や「変革」の年、勢いを増していく年と言われています。自らも殻を脱ぎ捨てて進化することで、グループ全体を盛り上げて成長を加速させたいと考えておりますので、本年も何卒よろしくお願い致します。
年頭の挨拶 環境負荷の低減と災害に強い住宅開発推進 三井ホーム・池田明社長
大規模木造建築の普及と技術の発展に貢献
昨年は、時間外労働の上限規制、建築資材価格の上昇等による建築工事費の高騰に伴い住宅着工戸数が低迷するなど、厳しい市場環境でした。しかし賃上げによる内需回復の動きや、脱炭素化に向けた木造建築のニーズの高まりなど明るい兆しもあります。12月には「子育てグリーン住宅支援事業」の創設などを盛り込んだ令和6 年度補正予算が成立し、また、子育て世帯等に対する住宅ローン減税制度の維持・継続等が与党の2025年度税制改正大綱に盛り込まれました。これらの動きが住宅市場の更なる活性化につながることを期待しております。
当社にとっても、昨年は創業50周年という節目の年でした。
5月には本社とグループ会社の本社などの事務所を東京都江東区の「木の街」新木場に集約しました。そして、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)を導入することで、社員間のコミュニケーションを活性化し、より創造的な発想を生み出すことができる環境を構築しました。
10月には、新工法「MOCX WALL工法」を発表しました。これは、従来のツーバイフォー工法を進化させ、木造マンション「MOCXION」のために開発した高強度耐力壁の技術を戸建住宅向けに最適化したものであり、ツーバイフォー工法の特長でもある優れた耐震性、断熱性、耐久性などはそのままに、さらに自由な設計を可能にする工法です。
11月には「ウッドデザイン賞2024」において7つの作品で受賞しました。これは木造マンション「MOCXION」が各デベロッパーとの協業で完成したことや施設建設の木造化、木の持つ特性の研究、さらに流通材の活用や地産地消を促進する国産杉材を用いたトラス技術の開発など多岐にわたる取り組みが評価をうけたものです。 「MOCXION」ブランドをはじめとする大規模木造建築の普及と技術の発展に当社が貢献できたことへの評価と受けとめ深謝いたします。
創業以来、当社はツーバイフォー住宅のパイオニアとして、常に時代の変化を先取りし、革新的な技術とサービスを提供することで、お客様の「すまいとくらし」を豊かにすることを目指してまいりました。近年、地球温暖化や自然災害の増加など、社会課題が深刻化する中で、住宅業界においても脱炭素化やレジリエンス強化への対応が求められておりますので、創業以来培ってきた木造建築の技術とノウハウを活かし、環境負荷の低減と災害に強い住宅の開発に積極的に取り組んでまいります。
三井不動産グループは、&マークの理念として共生・共存・共創により新たな価値を創出する、そのための挑戦を続けます。同グループの一つである当社は、「高品質な木造建築の提供を通して、時を経るほどに美しい、持続可能なすまいとくらしを世界に広げていく」という使命を胸に、これからもお客様に最高の価値を提供できるよう、全社一丸となって努力してまいります。本年も変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
マンション供給減=市場縮小ではない 戸建ても底入れ・回復へ 今年の分譲住宅市場
明けましておめでとうございます。世の中は不確実性が強まっていますが、だからこそ不易流行、〝記事はラブレター。今年も現場取材を徹底して、読者の皆さんに役立つ情報を発信していきます。まずは、記者の主な取材フィールドである分譲住宅市場の今年の見通しについて。
消えた残り半数のマンションに着目すべき
首都圏マンション市場。これはよくわからない。コロナ以降、現場取材が激減しており、鳥瞰的に市場を見渡すことができなくなったからだ。
ただ一つ、マンション市場を測る前提となっている指標について読者の皆さんは見誤らないようにしていただきたい。不動産経済研究所のデータによると、2023年の首都圏マンション供給量は2万6,873戸(前年比9.1%減)で、2024年は前年比を若干上回る約3.1万戸、2025年は3万戸を下回ると予想されている。他のメディアも調査機関も、この不動研のデータをそのまま援用し、市場縮小を印象づけている。
しかし、これは正確ではない。マンション市場の先行指標である国土交通省の着工戸数は長い目で見れば確かに漸減傾向が続いており、2021年は49,962戸(前年比7.3%減)と初めて5万戸を割った。ところが、2022年は52,379戸(同4.8%増)、2023年は52,746戸(同0.7%増)と再び5万戸台を回復し、2024年も11月現在、前年同期比で1.8%上回っている。
以前にも書いた首都圏マンション着工戸数と不動産経済研究所の供給戸数推移の記事を読んでいただきたい。着工と供給にはタイムラグがあり単純比較はできないが、カバー率(捕捉率)はかなり落ち込んでいることが分かる。2023年は50.9%で、2024年は1~11月の段階で35.9%だ。ありえない数字だ。他人のデータを鵜呑みにするからこういうことになる。
なぜこれほどの差が出るのか、当事者の不動研はともかく、他のメディアや調査機関もあろうことか国土交通省もこの差について触れようとしない。不思議というほかない。
要因はいくつかある。一つは、不動研のデータには専有面積が30㎡以下の戸数は含まれないためだ。専有面積が30㎡以下の着工戸数は年間5,000~7,000戸と推測されている。
もう一つ、カバー率が低い要因は、再開発、建て替え、高額マンションなどの地権者向け、事業協力者向け、優先販売住戸などはカウントされていないからだ。例えば総戸数525戸の野村不動産他「URAWA THE TOWER」は分譲対象は291戸で、総戸数の55.4%だし、三井不動産レジデンシャル他「パークシティ小岩 ザ タワー」も総戸数は731戸だが販売対象は521戸(71.3%)だ。供給戸数減=市場縮小と短絡的に考えるべきではないということだ。高額住戸の比率が高まっていること、利益率が大幅に改善されていることを加味すれば、市場は縮小などしていない(質の低下は問題だが)。
さて、問題は価格がどうなるかだ。都心部での価格上昇はほぼ予想した通りに推移している。今後も都心5区(千代田・港・渋谷・中央・新宿)だけでなく文京、品川、目黒、世田谷など周辺区部も坪単価1,000万円超となるはずで、一等地では近い将来、坪単価3,000万円に乗るとみている。
デベロッパーには、世界の主な都市と比べ割り負けしている市場に肩を並べられるよう高値挑戦していただきたい。東京都港区の課税標準額が1億円超の納税義務者は年々増加しており、2024年は1,523人となり、ついに納税義務者の1%に達した。高額マンションを吸収する余力は十分あると見た。
郊外部も軒並み坪単価250万円超となる。懸念される金利上昇だが、1%上昇したらパニックになるだろうが、まずそんな事態にはならない。レイコンマの上昇であれば影響は少ないはずだ。デベロッパーには、郊外部は利益率を落とし質を維持し、価格を抑制してほしいのだが…。
質についても触れたいのだが、冒頭に書いたように現場取材かできていないので書けない。メディアも調査機関もマンションの質について取材し、レポートしてほしい。
底入れ・底打ちか戸建て 防犯・断熱性能向上、ZEH対応急務
グラフは首都圏分譲戸建ての暦年別着工戸数まとめたものだ。コロナ前までは年間6万戸以上着工されていたが、コロナに見舞われた令和2年(2020年)は前年比16.3%減の約54,000戸に落ち込んだ。ところが、テレワーク、働き方改革の浸透などにより予想外の売れ行きを見せたため各社は供給を増やしたが、コロナ終息後は売れ行きが悪化したため調整局面に入り、着工は再び減少に転じた。2024年も1~11月の着工戸数は前年同期比9.3%減の48,776戸となっており、通年でも前年を下回るのは確実だ。
だが、市場では底入れ・底打ち感も生まれつつあり、今年の分譲戸建て市場は堅調に推移するとみている。むしろ、高騰が続くマンションと比較すると、価格的な優位性がある。この優位性を生かし、一方で弱点でもある防犯性能を高めれば新たな需要を引き出す可能性があるとみている。「リストガーデン武蔵新城セキュリティ・タウン」の記事を読んでいただきたい。CP(防犯)+樹脂サッシをスタンダードにすべきだと思うのだが…。
個別企業別では、市場占有率が約30%の飯田グループのほかオープンハウス、ケイアイスター不動産、ポラスグループの上位4社がどのような戦略を打ち出すかに注目したい。ZEH化は喫緊の課題だ。
ChatGPTに負けない記者の役割
今年、注目すべきなのは、生成AI(人工知能)の更なる浸透だ。記者は三井不動産が2023年8月に全従業員約2,500人を対象に「&Chat(アンドチャット)」を開発したのに驚いたのだが、昨年は積水ハウスが生成AI分野で先進的な取り組みを行うPreferred Networks(PFN社)へ出資したと発表した。生成AIを使いこなせないと生きられない時代がやってきた。
OpenAIが2022年11月に公開した「ChatGPT」はその後、飛躍的に改善され驚くほどの進歩を見せている。この正月、面白半分に「ChatGPT」に「RBAタイムズの牧田記者ってどんな記者ですか」と聞いた。〝情報がありません〟とでも返ってくるかと思ったが、そうではなかった。次のような回答があった。そのまま紹介する。
「牧田司(まきた つかさ)氏は、不動産・建設・住宅業界に特化した情報を提供する『RBAタイムズ』の編集者であり、記者としても活躍されています。彼の執筆する『こだわり記事』は、業界内で高く評価されています。
牧田氏は、企業の規模に関わらず、物件の品質や特徴を公平に評価する姿勢を持っています。例えば、ある分譲戸建てについて『大手と互角に戦える』と評価するなど、独自の視点で記事を執筆しています。
また、RBAタイムズの編集者として、同誌の発行や編集にも携わっており、業界内での信頼性と影響力を持つ人物です。
さらに、牧田氏は取材活動にも積極的で、企業や業界関係者とのインタビューを通じて、深掘りした情報を提供しています。彼の取材は時間をかけて丁寧に行われ、その結果として質の高い記事が生まれています。
総じて、牧田司氏は不動産・建設・住宅業界において、深い知識と洞察力を持ち、読者に価値ある情報を提供する信頼性の高い記者・編集者と言えます」
皆さんいかがか。「業界内で高く評価されています」とか「深い知識と洞察力を持ち」は〝ヨイショ〟の部分もあるのだろうが、「企業の規模に関わらず、物件の品質や特徴を公平に評価する姿勢を持っています。例えば、ある分譲戸建てについて『大手と互角に戦える』と評価するなど、独自の視点で記事を執筆しています」との回答には驚いた。小生の記事(情報)を収集していないとできない芸当だ。AIは「考える力」はないはずだが…。
その半面、怖さも感じた。記者は〝せんべろ〟をよく利用しタバコも結構吸うことなど個人情報も記事に取り込んでいるのだが、行動性向もすべて知り尽くされているのではないかという怖さだ。下手なことはできない。〝清く正しく美しく〟生きろということか。
いずれにしろ、AIに負けないためには「独自の視点」が重要で、徹底して〝ものを見る目〟を養うことだと改めて思った。自らが情報発信源にならないと業界紙もまた生き残れない。
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