女子大近接する高台一等地 大成有楽不 学生賃貸「文京護国寺」満室稼働へ
「テラスカレッジ文京護国寺」
大成有楽不動産は2月26日、同社3物件目となる学生向け賃貸マンション「テラスカレッジ文京護国寺」が竣工したのに伴う関係者向け内覧会を開催した。駅から徒歩6分の低中層の住宅街の一角に位置し、周辺には日本女子大、お茶の水女子大などの大学が集まっている好立地が評価されたのか、全137室の99%に申し込みが入っている。
物件は、東京メトロ有楽町線護国寺駅から徒歩6分、文京区目白台2丁目に位置する敷地面積約1,644㎡、5階建て延床面積約3,288㎡の全137室。賃貸面積は16.86~24.73㎡、賃料は7.55万~9.25万円、食費は29,700円/月、管理費22.2万円(月払い可、1.9万/月)。稼働率は申し込みベースで約99%。女性専用が1フロア。
「テラスカレッジ文京護国寺」現地
ラウンジ
◇ ◆ ◇
護国寺駅周辺にはカフェや飲食店が少ないのは課題だが、現地は閑静な低中層の住宅街の一角で、分譲マンションなら坪800万円、戸建てなら2~3億円はするはずだ。日本女子大は徒歩圏のはずで、稼働率が99%というのも納得できる(親の負担を考えると複雑だが)。
ただ、居室内にはバスユニットが全て揃っているのは立派だと思ったが、調理器具はなかったのはどうかと思う。記者は北向き3畳間に間借りしたことがあるが、今の学生さんのニーズは何なのか。居室で米を炊き、料理することはないのか(記者は玄米にはまり、圧力鍋で米を炊き、骨まで食べられる魚料理をたくさんつくった。女性を泊めても大家は〝この前の女性と違いましたね〟などと嫌味を言うだけで黙認した。もちろん酒もたばこも可だった)。
それともう一つ。洗濯機置き場、ユニットバスは必要か。洗濯はコインランドリーで十分だ。風呂嫌いの記者は今はシャワーしか使わない(風呂掃除をかみさんに任すのは気の毒)。シャワー室だけにすれば賃貸面積を削れるし、その分、洗面スペースや本棚などの収納に使えるではないか。光熱費、水道代の節約にもなる。
食費は安いと思う。1日2食として1日1,000円。酒は飲めるのか、聞き忘れた。
一人暮らし環境を劇的に変える野村不「コリビング賃貸」第一弾「品川中延」(2025/2/19)
RCと木造の住み心地比較を東急不&三井ホーム混構造学生マンション「生田」(2024/3/24)
関西初の木造マンション「MOCXION(モクシオン)」完成三井ホーム(2023/2/16)
レンタブル比67%わが国初の社会人・学生・賃貸の複合長谷工「コムレジ赤羽」(2022/3/2)
東急不学生マンション第二弾「赤羽志茂」完成利回り8%超か年間1000戸へ(2019/2/28)
伊藤忠都市学生マンション第1弾「武蔵小杉」好調スタート〝至れり尽くせり〟(2017/3/21)
三井不 食の研究開発拠点「&mog Food Lab」1フロア10坪5階建て75坪の古いビル
「&mog Food Lab」
三井不動産は2月26日、日本橋を中心に取り組む食のイノベーション創出プロジェクト「&mog by Mitsui Fudosan」の一環として、食の研究開発拠点「&mog Food Lab」を開設したと発表。同日、プレス内覧会を行った。
同社は、2019年に発表した「日本橋再生計画 第3ステージ」で「食」を「新たな産業の創造」の戦略カテゴリーとしており、昨年3月に食の事業開発を支援するプラットフォーム「&mog」を始動した。&mogでは、同社が運営するハードアセットに加え、地元飲食店や商社など30以上のパートナーとの連携によるソフトを活用した事業開発の支援を通じて、食産業が抱える社会課題解決への貢献を目指している。
今回の「&mog Food Lab」は、食関連企業の「自前の研究開発施設を整備する投資余力が無い」「新規事業開発用の活動拠点が無い」「試食会に適したスペースが無い」などの事業課題に応える施設。オーブン・製氷機・食洗機・ミキサーなど飲食店レベルの厨房設備のほか、試食会スペース、撮影スタジオを完備し、一部は入居者以外も利用が可能。賃料は非公開だが、エリアの相場を上回るという。
ラボで開発された商品は同社の商業施設や日本橋の飲食店で販売し、新規事業の開発から都市実装までをワンストップで支援する。
施設は、日比谷線小伝馬町駅から徒歩約5分(人形町駅から徒歩約10分)、中央区日本橋富沢町に位置するワンフロア10坪、5階建て延床面積75坪。6年前に同社が取得し、耐震補強を行って賃貸するもの。
内覧会で同社日本橋街づくり推進部事業グループ主査・柿野陽氏は「施設は75坪単価の規模。入居企業へはハード・ソフト両面で食の研究開発を支援するとともに、商品は当社の商業施設や日本橋エリアのホテル向けやイベントで販売するなど、ワンストップで支援する。今後もブラッシュアップして街づくりに貢献していく」とあいさつした。
内覧会では、入居しているCOLDRAW、マチルダ、食の会のそれぞれの飲食品の試飲・試食が行われた。
ダイニング
フードラポ
試食会・商談スペース
フォトスタジオ
◇ ◆ ◇
この前は、三菱地所ホームが行った神戸・元町の一等地の敷地面積10坪、延床面積20坪の木造2階建てを見学取材したばかりだ。この日は、〝食文化の聖地〟日本橋・人形町の5階建て75坪のエレベータもない古いビル(1フロア10坪だから、階段などで1フロア5坪か)の施設見学会だった。
売上高が1兆円を超えるわが国を代表するデベロッパーのこのような取り組みが都問題を解決し、やがて大きなビジネスにつなげるのだろうと思った。
◇ ◆ ◇
試飲・試食させてもらったものの中で、記者の一押しは、日本橋の人気レストラン「食の會」のカレーだ。一口食べた瞬間、60~70年前に食べたカレーの味が口腔を満たし、当時の食事風景がよみがえった。これは我々のような高齢者には昔の懐かしい味を思い出させてくれるし、若い人はわが国の食文化・歴史を学べる。
「食の会」代表取締役・長内あや愛さんの説明によると、福澤諭吉が160年前に「Curry」を「コルリ」と訳してわが国に紹介して、カレーは広まったのだそうだ。肉の代わりに赤カエルを入れ、ネギ、ショウガ、メリケン粉を使用したという。(試食会では赤カエルではなく鶏肉が入っていた)
独自の冷温減圧技術で、多様な植物素材を使った唯一無二のノンアルコール飲料の開発に取り組んでいるCOLDRAWの「阿波柑」は、酒飲みの記者は日常的に飲みたいとは思わなかったが、開発意図は理解できる。酒が飲めない人、飲めるのに飲めないときに樹木や植物などの香りを楽しみながら酒飲みと会話が交わせる。(カラマツ、アカマツ、アブラチャン、ヒノキ、タイムなどの香りをブレンドした「KAMOSHIKA Drinks(カモシカ飲料)」はおいしい)
日替わりの家庭料理を約30か所の「テイクアウトステーション」で販売しているマチルダのしば漬けソース添え「アジフライ」は、二つの味が楽しめる。しば漬けは主菜のフライをしのぐ存在感があった。
COLDRAW代表取締役・西川信太郎氏
記者のデジカメで撮影したマチルダの試作品(スタジオブースで)
現地
〝継続は力なり〟土地区画整理事業参画で独走する野村不「所沢」の戸建て人気
「プラウドシーズン所沢」
野村不動産が「ToKoKoRo TOWN」と名付ける土地区画整理事業による再開発街区で分譲中の分譲戸建て「プラウドシーズン所沢」を見学した。所沢駅から徒歩10分、構想段階から約40年経過する約27.2haの土地区画整理事業地に位置する全120区画。昨年9月から販売が始まっており、第1期40戸が完売するなど好調な売れ行きを見せている。
物件は、西武線所沢駅から徒歩9~11分、所沢市都市計画事業北秋津・上安松土地区画整理事業地内の第一種低層住居専用地域・第一種住居地域(建ぺい率60%・70%、容積率100%・200%)に位置する全120区画。土地区画整理組合から保留地を取得して分譲するもの。同事業は今から約40年前の1984年、約100人の地権者により計画が持ち上がり、同社は施工の戸田建設とともに組合が設立された2017年に事業参画した。施行面積は約27.2ha、減歩率は約44%。従前はほとんど茶畑。
昨年5月にエントリー受付を開始し、これまでの来場者数は240件。販売開始は昨年9月からで、第1期(40戸)は、1億円超の住戸は抽選倍率が4倍になるなど人気となり完売。敷地面積は101.10~150.10㎡、建物面積は100㎡以上、価格は7,100万円台から10,800万円台(中心価格は8,000万円台)。建物は2×4工法2階建て。施工は西武建設(2期以降は細田工務店も加わる)。
主な基本性能・設備仕様は、「ZEH水準」、太陽光発電初期費用ゼロ円、月額利用料ゼロ円、発電電気量ゼロ円の「エネシャイン」、ジャワ鉄平・木曽石景石、1620ユニットバス、深型食洗機、LDと一体利用できる洋室など。
ターミナル駅から徒歩圏で、建物面積が30坪超というのが人気の要因。反響者は地元が36%、中域が21%、広域が43%。区画整理事業地内には大規模商業施設「SoKoLA」が開業済みで、約3万㎡の公園・緑地も整備される。
同社は昨年4月、課員4名からなる住宅事業本部戸建事業部区画整理事業課を立ち上げ、戸建事業部副部長の小林和人氏(56)が同課課長を兼任。小林氏は「区画整理事業に継続して参画してきたのは当社だけ。今回の区画整理事業は40年の歳月が経過し、地権者はほとんど代替わりした。土地所有に執着しない地権者が増えたのも計画がスムーズに運んだ要因の一つ。地権者の方々からは資産価値が上がったと評価されている。『SOKOLA』は30人の地権者による共同賃貸として信託方式を採用しており、転売リスクを軽減できているのも全国から注目されている。市も公園用地を取得するなど協力的」と話した。
同社はこのほか、保留地内のマンション「プラウドシティ所沢」(303戸)を近く分譲する。また、来年度から始動する隣接の約22haの土地区画整理事業にも参画。幕張本郷でも計画を進めている。
「SoKoLA」
◇ ◆ ◇
〝継続は力なり〟-取材してひしひしと感じた。取材には、小林氏と同じ年の同課課長・渡辺賢二氏、一回りくらい若そうな同課課長代理・長谷亮平氏、販売責任者の山縣里美氏も同席した。小林氏が「地権者の方々からは資産価値が上がったと評価されている」と語ったことを受け、長谷氏が「ガンガンやる」と息巻いたように、大いに盛り上がった。マンションの坪単価(記者は坪300万円を大きく超えることはないと予想)については固く口を閉ざした以外は、みんな口は滑らかだった。
なぜか。事業性が極めて高く、成功するのがほぼ見えたからだろう。値付けには悩んだようだが、記者は西武ファンだからではなく、客観的に判断して8,000万円台という価格帯は妥当だと思う。
〝価格は市場が決める〟-この原則もまた今回の事例が証明している。中広域から集客できているように、所沢にはそれだけのポテンシャルがある。これまで、バブル期には西武不動産の邸宅街や西口に林立するタワーマンション(この街づくりは頂けないが)も取材した。住友不動産・住友商事が2018年に分譲した「シティタワー所沢クラッシィ」の坪単価350万円には驚愕したが、「西武所沢S.C.」リニューアル、隈研吾氏の「角川武蔵野ミュージアム」、「エミテラス所沢」の開業などで所沢のポテンシャルは劇的にアップした。「ToKoKoRo TOWN」のタウンネーミングは宮崎駿監督の「トトロの森」からとったのだろう。
皆さん、同社が事業参画した2017年当時の分譲予定価格を想像していただきたい。同社が4年前に分譲した駅から徒歩9分の「プラウド所沢寿町」(107戸)は坪210万円だったのがヒントになる。
区画整理事業が息を吹き返すかどうかにも注目したい。かつて土地区画整理事業は「都市計画の母」と称された。都市居住者の住宅需要の受け皿となっていた。国土交通省のデータによると、2022年度末までの土地区画整理事業の着工面積は12,411地区、約37万haが着工された。これは、国土面積3,780万haの1%近く、全国の市街地の約3割に相当する。
しかし、この事業は土地価格、住宅地価格が上昇し続けることが前提であったため、バブル崩壊後は激減した。記者は減歩率が97%、つまり地権者にはほとんど土地が残らなかった広島県福山市郊外の「佐賀田土地区画整理事業(あしな台)」(19.5ha、342区画)団地を取材したことがある。この制度には、解散=自己破産は認められておらず、どこまでも施行者(組合)の責任が問われるという問題もある。
このため、現在施工中の土地区画整理事業は約670地区(約2.1万ha)、うち組合施行は約320地区(約0.7万ha)にとどまっている。
ゼネコンもデベロッパーもバブルが崩壊して以降、土地区画整理事業からほとんど撤退した。記者の知る限り、デベロッパーが参画した最近の土地区画整理事業は2011年着工の三井不動産「ビスタシティ守谷」と、2014年着工の相鉄不動産「泉ゆめが丘土地区画整理事業」しかない。
しかし、野村不動産だけは継続して土地区画整理事業に参画してきた。現在分譲中の「プラウドシーズン稲城南山」をはじめ稲城市の「栗平」「稲城上平尾」や「鶴川緑山」「千都の杜」「八千代緑ヶ丘」「船橋小室」「稲毛」「木下」…この40~50年間で30か所くらいに参画しているのではないか。〝独り勝ち〟だ。「ガンガンやる」は張ったりではないような気がする。
見事な茶畑もあった
公園・緑地
県都・浦和を抜く埼玉県最高単価マンション住友不・住商「所沢」(2018/12/28)
野村不戸建て「プラウドシーズン稲城南山」全87戸が早期完売へ(2018/7/25)
市街化区域編入から44年稲城・南山の区画整理で分譲開始(2014/9/25)
坪300万円超か駅前&すべて完結する「ゆめが丘ソラスト」近接相鉄不「ゆめが丘」(2024/7/22)
野村不動産 稲城の3つの区画整理事業地で千数百戸の戸建て・マンション(2014/8/2)
半年で57戸供給 大健闘の三井不レジ「ファインコート守谷ビスタシティ」だが…(2014/4/14)
「区画整理の限界を超える」か 全900区画の日本初のスマートシティ「守谷」(2013/2/22)
代々木公園「魚ジャパンフェス・ふくしま魚まつり」に長蛇の列 4日間で来場20万人
「SAKANA&JAPAN FESTIVAL(魚ジャパンフェス)2025 in 代々木公園」「発見!ふくしまお魚まつり&食べて応援!ニッポンの幸エリア」
2月20日から24日の4日間、渋谷区・代々木公園イベント広場~ケヤキ並木で行われた「SAKANA&JAPAN FESTIVAL(魚ジャパンフェス)2025 in 代々木公園」と同時開催の「発見!ふくしまお魚まつり&食べて応援!ニッポンの幸エリア」を見学取材した。主催は前者がSAKANA&JAPAN FESTIVAL実行委員会、後者が発見!ふくしまお魚まつり実行委員会、後援は前者が水産庁、後者が復興庁/経済産業省/福島県。イベントは、全国各地の魚介料理を提供するフードフェスを通じて、日本の魚食の活性化を図るのが目的で、総店舗数は82ブース。主催者によると4日間で約20万人が集まった模様。
「魚ジャパンフェス」は、2019年2月に東京・代々木公園でスタートしたもので、東京・お台場、大阪・扇町公園の3会場で毎年開催されているもの。これまで累計来場者は約210万人。今回もアユやのどぐろの塩焼き、あんこう、イクラ、イカ、マグロ、カニ、カニの甲羅焼き、カキ、ホタテ、タコ焼き、日本酒、クラフトビールなどのブースはどこも長打の列ができていた。
「発見!ふくしまお魚まつり」は、東京電力ホールディングスが取り組んでいるもので、ノドグロ、ヒラメなどの福島各地の旬の魚介類を使った海鮮丼や郷土料理、地酒などが提供された。
アユ(左)とノドグロの塩焼き
◇ ◆ ◇
この種のイベントを取材するのは初めてだった。「代々木公園Park PFI」の取材の帰りに寄ってみたものだが、「報道」受付コーナーがあったので、写真撮影などの許可を得ようと申し込んだら許可された(事前申し込みが必要のようだったが)。
なにしろ、初めてだったのでどこと何と比較していいのかわからなかったが、代々木公園は「屋外フェスの聖地」と言われているようで、来場者の多さにびっくりした。いくつか声を紹介する。( )は記者
・30代の男性 世田谷区に隣接した川崎から家族4人で来ました。イベントはネットで知りました。予算? 1万円くらい
・60代の女性 墨田区から来ました。魚が好きで、毎年来ています。予算? いくらでも(イクラ丼を食べていた)
・20代の西荻窪、北海道、愛知出身の学生3人組 ネットで知ったので来てみました
・30代の男性 所沢から来ました。遠い? そんなことありません
・20代の女性 江戸川区から来ました。能登、石川を応援したい
・60代の夫婦 (久々、記憶にないくらいに味噌ラーメンを食べたが、あの野性的な味はせず、和風ラーメンの味がした)今は昔と違って、店によって味はまちまちですよ
・30代の女性2人 目的は他にあったのですが、長野市からです。値段? そんなに高くない
・30代と思われる女性 中国・北京からです。このほやのから揚げはとてもおいしい(記者はほやが大好きだが、ほやそのものの味は全くしなかった。ほやはそもそも夏のもの)
記者が食べたものでは(報道陣には無料チケット5枚がプレゼントされた)、大好きなアユの塩焼きが抜群においしかった。新潟産で養殖のはずだが、骨まで食べられた。ただ、1匹1,000円は高い。石川・七尾の蒸しカキは3個で1,000円。小粒だが安いと思った。
寒かったので、月桂冠の熱燗を飲んだ。月桂冠は甘口のイメージが強く、この40年間は飲んでいなかったが、甘みはそれほど強くなく、おいしかった。アルコール度数5度の「アルゴ5」を試飲させてもらった。水のように飲める。女性におすすめだ。福島・楢葉町の芋ようかん、富岡町のラーメンも買った。
木調ルーバー多用した施設デザイン抜群 東急不など「代々木公園 Park PFI」
「代々木公園 Park PFI」のカフェ、レストラン棟(供用開始は3月中旬)
東京都の公募設置管理制度(Park-PFI)を活用した東急不動産、東急、石擔エクステリア、東急コミュニティーの4社による「代々木公園 Park PFI」の一部施設が2月20日、一部供用開始されたので見学した。東急設計コンサルタントが設計を担当している木調ルーバーを多用したカフェ、レストランなどの施設デザインが抜群。
供用が開始されたのはにぎわい広場、発信テラス、スケートボード広場、管理所など。カフェ、レストランなどは3月中旬、その他の施設の供用開始は6月の予定。
施設は、原宿駅から徒歩7分、渋谷駅から徒歩12分、渋谷区神南1丁目の敷地面積約4,182㎡。設計は東急設計コンサルタント、施工は東急建設。
都のPark-PFI制度を活用した公園は、2024年1月に供用開始された東京建物を代表とする「都立明治公園(渋谷区・新宿区)」に次いで2例目。
「代々木公園 Park PFI」にぎわい広場
水色の部分がカフェ、レストラン棟
〝3番人気〟新社長・大友浩嗣氏の得意技は「現場主義」 大和ハウス マスコミ懇談会
芳井氏(左)と大友氏(パレスホテル東京で)
大和ハウス工業は2月20日、マスコミ懇談会を開き、同社代表取締役社長CEOの芳井敬一氏をはじめ、4月1日付で新社長に就任する取締役専務執行役員・大友浩嗣氏ら役員が出席。報道陣との交流を深めた。
懇談会の冒頭、芳井氏は「当社には3つの〝切る〟がある。一つは新しいことに踏み切る、2つ目は合理的に踏み切る、そして3番目は思い切る。この3つを大事にして職務を全うしていく」とあいさつ。次期社長の大友氏を紹介したが、「週刊D社の次期社長予想記事では大友は3番目候補だった(爆笑)」と、(贔屓にしているはずの)D社をからかった。
続いて登壇した大友氏は「(社長交代を発表した前日の)12日夜8時半ころ、芳井から話があると連絡が入って、なんの準備もしていなかったが、明日、社長交代の記者会見をやる、国内事業をやってほしいと。これまで住宅事業本部長を7年、経営戦略本部長を2年半、海外本部長を1年務めたが、入社してから33~34年間は本社とは縁がない地方担当だった。自分の得意技は、その時に会得した現場主義。これを基本にみんなのモチベーションを挙げで元気な大和ハウスになるよう尽力する。芳井の圧を感じるが…(爆笑)」と語った。
懇談会の締めで、同社代表取締役副社長技術統括本部長・村田誉之氏は「大友さんは品行方正。やりたい放題でいい、大胆にやっていただきたい。芳井代表と二人三脚(国内と海外という意味か)で音頭をとれば、役職員はみんなで舟をこぐ」と締めくくった。
昨年と同様、懇談会後には参加者全員にランの鉢がプレゼントされた。
村田氏
懇談会会場((パレスホテル東京で)
◇ ◆ ◇
同社の社長交代は近いと小生は考えていたので、大友氏の新社長就任は極めて妥当だと思った。なので、D社の予想記事で大友氏が〝3番人気〟だったのには驚いた。芳井氏も大友氏も〝1番人気〟を暴露したようだが、小生は耳が遠く、一番人気の方がどなたか全然わからなかった。心当たりがある方ではなかった。
D社のF記者さん、どなたを1番人気にしたかわからないが(小生も昔、この種の記事を書いたことがあるが、的中したことはほとんどなかった)、これから社長になるには第一に現場をよく知っていること、第二に経営を学んでいること、第三にグローバルな視点を持っていることだ(バイリンガルは欠かせない)。この3つをチェックすれば候補者は絞れると思うが、もう一つ欠かせないのは、記者自身が現場を知らないといけないということだ。
大和ハウス新社長・COOに取締役専務執行役員・大友浩嗣氏芳井社長は会長へ(2025/2/16)
ペット不可を理由に飼育断念経験あり63% ペット飼育意向者 パナソニックH調査
パナソニック ホームズの「くらし研究室」は2月20日、2月22日が「猫の日」であることにちなみ、首都圏の賃貸住宅に住む犬・猫の飼育者・飼育意向者を対象にした「賃貸住宅におけるペット飼育に関する意識調査」まとめ発表。飼育意向者の62.8%がペット飼育禁止を理由に賃貸住宅での飼育を断念し、飼育者の62.8%が「ペット共生型賃貸」に住みたいと回答。ペット飼育者は、単に飼育可能な賃貸物件ではなく、家族であるペットと安心して豊かに暮らせる設備・仕様・サービスを備えた「ペット共生型賃貸」を求めていることがわかった。
「ペット共生型賃貸」とは、同社が2002年から公益社団法人・日本動物病院協会(JAHA)との提携を開始し、住まいにおける健康で快適なペット共生の暮らしに向けた設備・仕様・サービス等の拡充について監修を受けた賃貸住宅のこと。単に飼育が認められている賃貸物件を「ペット可賃貸」と呼んでいる。
アンケート結果によると、飼育意向者の62.8%がペット飼育禁止を理由に賃貸住宅での飼育を断念したことがあり、ペットとの暮らしに求められることは、「外出時の不安を減らすサービス」、「ペットに適したインテリア(床、壁等)やニオイ対策」で、①飼育者・飼育意向者の40.0%以上が「心苦しい」、「健康・安全面」を理由にペットを残して外出することが困る・不安であると回答②飼育者の95.0%が「ペットを飼えていること」に満足している一方、うち43.3%は「飼う環境」に不満を感じていると回答③「飼う環境」に対する不満の理由は、「ペットに配慮したインテリア(床、壁等)になっていない」(42.0%)がもっとも多く、次いで「ペットのニオイが残る」(38.4%)。
また、飼育者の62.8%が「ペット共生型賃貸」に住みたいと回答。飼育者のうち実際に「ペット共生型賃貸」に住んでいる人は20.9%で、飼育者の46.1%、飼育意向者の 83.7%が「ペット共生型賃貸」と「ペット可賃貸」の違いを理解していないことが分かった。
「ペット共生型賃貸」と「ペット可賃貸」の違いを理解すると、飼育者の62.8%が「ペット共生型賃貸」に住みたいと回答した。
今回の調査結果について、日本動物病院協会(JAHA)理事・獣医師の吉田尚子氏は、「『ペット共生型賃貸』と『ペット可賃貸』は、その内容には大きな違いがあり、特に、設備・仕様、サービス、住人同士のコミュニケーション、規約の観点で『ペット共生型賃貸』には多くの利点があります。ペットを飼いたいと考える人々のニーズに応えるためには、物件オーナーや管理者がペット共生型の住環境を提供することが重要です」とコメントしている。
アンケート対象者は首都圏在住の20歳~69歳の男女516人(賃貸マンション/アパートに住む犬/猫飼育者・飼育意向者)。
◇ ◆ ◇
記者はネコを外で眺めるのはいいが、飼育しようとうと思ったことは一度もない。それでも飼育頭数が900頭を超える人気になっているのはよくわかる。賃貸住宅のことはよくわからないが、分譲マンションはほとんどか犬猫などのペット飼育が可能になっているはずだ。結構なことだと思う。
ただ、一つだけ言いたいことがある。分譲マンションでのペット飼育が可能になったのは1990年以降だ。ペットとの共生を目指したからではない。バブルが崩壊し、売れ行きが悪化したために販売促進の手段としてペット飼育可にしたのがその理由だ。
それまでは、ほとんどのマンション管理規約でペット飼育を禁止していた。しかし、その一方で〝見て見ぬふり〟をして飼育を黙認する管理組合も多かった。そのため、仲介会社から「大丈夫でしょう」というこえを信じてマンションを購入した人が、入居後にペット飼育不可の規約を縦に提訴され、敗訴したいわゆる横浜ペット裁判があった。ペットを捨てるか退去するかを迫られた被告(入居者)は退去した。1993年(平成3年)だった。
その後の2009年に書いた記事を添付する。以下のように書いている。
「記者は20年以上前から『マンションでのペット飼育を可能にすべき』と主張してきた。ペット飼育の可否が問われた横浜裁判もずっと取材した。マンション管理規約に〝違反〟してペットを飼っていた被告(入居者)が敗訴したとき、記者は泣いた。犬を捨てるか退去するかを迫られた被告は、退去の道を選んだ。
勝訴した原告(管理組合)もペット不可に何の疑問を示さなかったデベロッパーや管理会社の将来はないと思った。ペットが好きとか嫌いとかという問題ではなく、人間の尊厳の問題だと思った。ペット飼育を認めなければ、やがてマンションそのものがユーザーから指弾を受けるだろう」
人も犬も〝非日常〟を楽しむ 東京建物「いぬのきもちコテージ」(2009/
社会&経済問題 同時解決へ 障がい者就労支援 三菱地所×VALT JAPAN「DIC丸の内」
「デジタルイノベーションセンター丸の内supported by 三菱地所」
三菱地所とVALT JAPANは2月21日、千代田区新大手町ビルに「デジタルイノベーションセンター丸の内supported by 三菱地所」(DIC丸の内)を開設したと発表。三菱地所代表執行役執行役社長・中島篤氏、VALT JAPAN代表取締役・小野貴也氏が開設に至った背景・経緯、今後の展開などについて説明した。同センターは千代田区唯一の障がい者就労継続支援A型事業所※で、デジタル業務に特化した就労継続支援A型事業所としては23区初となる。発表会に出席した樋口高顕・千代田区長も応援を約束した。
VALT JAPANは、障がい者特化型DXプラットフォーム「NEXT HERO」事業を手掛ける会社で、三菱地所は同社へ2024年1月に出資。DIC丸の内はが集積する丸の内エリアにDIC丸の内を開設することで、企業からニーズのあるデジタル業務をが受託。DIC丸の内と雇用契約を結んだ障がい者が、証憑データ入力、サイト情報のデータベース更新、書類のデータ化サービス、データ校正作業、AI関連業務(AIアノテーション)などを行う。今後5年間で全国にDICを20センター開設し、約1,000人規模の雇用を予定している。
中島氏は、2022年に立ち上げたコーポレートベンチャーキャピタル「BRICKS FUND TOKYO」について説明し、「DIC丸の内は『SustainabilityVision2050』で掲げた4つの重要なテーマのうちの『人を想い、人に寄り添い、人を守る』『新たな価値の創造と循環』に資する取り組み。官民が連携してより開かれた、安全なまちづくりを推進していく」とあいさつした。
小野氏(36)は「我々は〝就労困難者の大活躍時代をつくる〟をビジョンに掲げ、2014年に創業したスタートアップ企業。私は塩野義製薬出身で、ある患者会に参加したとき、一人ひとり障がいや難病、抱えている問題、課題はバラバラだったが、就職できない、仕事でうまくいかないという就労困難問題が全員に共通していた。この事実に衝撃を受け、会社を退社し、26歳で創業した。私自身も摂食障害(過食症)の疾患を抱えており、月30万円(1食当たり3,000円)が食事代に消えた。貯金は25万円しかなかったが、この25万円で一生かけてこの問題を解決しようと志し、今に至っている」と切り出し、2040年の労働力人口約6,902万人のうち約1,500万人が就労困難者となり、約1,100万人の労働力不足が生じるという労働市場の不均衡の問題、さらに就労継続支援B型事業所の月間平均賃金は約17,000円にしか過ぎず、発達障がいの経済損失額は約13.5兆円にも上る経済問題を指摘。
「DIC丸の内は、経済の中心地で就労支援という新たなモデルを行うことにより、就労支援領域と経済領域が分断されている社会を包括するのが狙い。約5,000の企業・事業所が集積し、上場企業の売上高が約155兆円という大丸有エリアで事業活動している三菱地所さんの強みと、2024年に連携した事業所数330か所、ネットワーク数2,000か所に上る国内最大級のPBO実績を誇る当社の強みを掛け合わせることで、DIC丸の内モデルを成功させ、事業を1都3県と地方に拡大し、5年で20センターを開所する。さらに将来的にはロンドンを拠点にグローバルにも展開していく」と、社会問題と経済問題の双方の課題解決を目指すことを強調した。
会見に同席した樋口高顕・千代田区長は「仕事が難しい方への就労機会の提供という社会課題、人手不足解消という企業の課題の両方を解決しようという野心的な取り組みを区としても2つの観点から応援していく。一つは、区内には令和4年以降はA型の事業所はなく、今回の施設は大変ありがたい、区民に資する取り組みだ。もう一つは、先般の区長選で公約の一つに掲げたことだが、既存ストックを活用した持続可能な都市へ再生していこうという考えと合致している。素晴らしい取り組み」と称えた。
現在、障がいや難病などにより、働く意志があっても働けない「就労困難者」は1,500万人(労働力人口の5人に1人)にのぼるといわれている。また、950万人いる障がい者の一般就職率は約6%(60万人)にとどまっており、厚生労働省の調査では、民間企業の51.7%が障がい者の法定雇用率を下回っている現状がある。
同センターは、東京駅から徒歩3分(東京メトロ丸の内駅直結)、千代田区大手町2丁目の新大手町ビル1階、広さは約60坪。主たる対象者は精神障がい者、発達障がい者。定員は20名(40名まで増員の予定)。利用対象は原則18~65歳未満。週20時間就労が条件。営業時間は9時~18時。
※障がい者就労継続支援A型事業所 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(障害者総合支援法)における就労系障害福祉サービスのうち、一般企業に雇用されることが困難な人で、雇用契約に基づく就労が可能である人に対し、事業所が直接雇用契約を締結して、就労や生産活動の機会を提供するもの。現在の事業所数は4,130か所、利用者数は87,262人(令和6年7月現在)。B型は14,407か所。
左から樋口氏、小野氏、中島氏
就労デモ
休憩スペース
◇ ◆ ◇
小野氏の話は、アジア初の女性作家でノーベル文学賞を受賞した韓江(ハンガン)氏の代表作で、拒食症が主人公の「菜食主義者」を読んだ後だったので、衝撃を受け、また感動的だった。
小生は2015年、障がいを抱える人の就労機会を提供するためポラスが立ち上げた「ポラスシェアード」を取材したことがある。小生の身内にも友人・知人にも障がいを抱えている人はたくさんいる。一方で、みんな健常者以上の能力を秘めていることも知っている。三菱地所「キラキラっとアートコンクール」はその能力を開花させた好例だ。なので、小生は障がい者の言葉には抵抗感がある。
そこで、小野氏に質問した。「私自身も〝お前はまともな人間か〟と問われればイエスとは言えない。障がい者は法律用語なので変更は難しいでしょうが、フランスには障がい者という言葉はないと聞いている。障がい者という言葉は世界共通語か」と。
これに対して、「我々も同じ思い。障がい者という言葉があるがゆえに障がいを生んでいる側面がある。我々は、障がい者手帳を持っているかいないか、ラベル的に人を判断するのではなく、その方が就労困難な状態であるかどうかを大事にしている。働きたいという意思はあるけれども就労困難な状態であれば、そこをテクノロジーや経済の力で補い、価値を提供していこうということ」と語った。
三菱地所にはお願いがある。センター内はフェイクグリーンばかりだった。オフィス空間に本物の緑とフェイクグリーンを設置した場合、前者のほうがストレス解消、生産性向上に効果があるという調査結果が出ている。本物のグリーンにするか、それとも「キラキラっとアート」の素晴らしいアート作品を購入しプレゼントしてはどうか。
センター内のフェイクグリーン
ポラス越谷市初の特例子会社へ障がい者中心の新会社設立(2015/3/30)
徒歩10圏内で9駅13路線が利用可能 パークビュー売り 積水ハウス「御徒町公園」
「グランドメゾン御徒町公園」
積水ハウスが分譲中のマンション「グランドメゾン御徒町公園」を見学した。徒歩2分の日比谷線仲御徒町駅を含め徒歩10分圏に9駅があるアクセスの良さに加え、販売対象34戸のうち22戸が公園に面している〝パークビュー〟が売り。周辺相場と比べ高額にもかかわらず、第1期で供給した23戸は申し込み完売。残りは未供給の6戸。極めて好調なスタートを切った。
物件は、東京メトロ日比谷線仲御徒町駅から徒歩2分(他に徒歩10分圏内に8駅)、台東区台東4丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率643%)に位置する14階建て49戸(事業協力者15戸含む)。4月12日から販売する第2期(4戸)の価格は9,990万~15,590万円、専有面積は45.03~62.17㎡。竣工予定は2026年7月下旬。設計・監理はIAO プランニング&デザイン。施工は松尾工務店。
敷地は東・南・西の三方に接道。販売対象34戸のうち22戸が、東側に位置する御徒町公園に面している。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、長期優良住宅認定、二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン・洗面天板、アラウーノ、ミストサウナ、メーターモジュール廊下、オリジナルドア建具、外開き扉のセットバックなど。
物件責任者の奥村氏は、「今回はパークビューが特徴で、公園に面した住戸はガラス窓面を大きくしたのが高い評価を得ています」と語った。
イメージ
◇ ◆ ◇
モデルルームがある「グランドメゾンギャラリー新宿」は3年前に新宿マインズタワー21階に開設したもの。
ギャラリーラウンジに入った途端、自然と同化したような、心の汚れが全て洗い流されたような不思議な感覚にとらわれた。広さは30坪くらいか。正面の床に白い小石と自然石を配し、その上部の縦格子がアトランダムに配されたスクリーンには刻々と変化する自然の情景が映し出された。映像は2度と同じものが流れないよう工夫されているとのことだった(日本財団の「THE TOKYO TOILET 広尾東公園トイレ」と同じ)。その奥の受付カウンターは全面ナグリ仕上げ。壁際には見事な松の枯れ盆栽。
ネットで調べたら、設計は三井デザインテックだった。三井デザインテックの本社にも見見事なナグリ仕上げの両開きドアがある。
これほど素晴らしいギャラリーを見たことがあるか考えた。すぐ思い出したのは、有楽町にある伊藤忠都市開発の「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」だが、例えていえば「有楽町」は外資系のラグジュアリーホテルラウンジで、今回の「新宿」は和風ホテル。(積水ハウスのギャラリーの1階下は伊藤忠都市開発の「ギャラリークレヴィア新宿」というのもまた面白い)
「グランドメゾンギャラリー新宿」
スクリーン
ナグリ仕上げのカウンター
松の枯れ盆栽
◇ ◆ ◇
住戸プランは、公園に面した55~70㎡台はもちろんだが、南西角の45~53㎡台の間口が7.4~8.3mのプランがとてもいい。人気になるのもよく理解できる。廊下幅を確保し、なおかつ面積を狭くし、居住性を高めている。
モデルルームの同社オリジナルドア木製建具について。記者はドアを閉めたときの音をランク付けしている。最悪は「バタン・ガタン」。使い古されたドアがこれだ。次は「ガチャン」、その次は「ガチャ」。これが一般的だ。最上位はイタリア製だ。「カチッ」と閉まる。わが国の室内ドアメーカーの製品にはまずないはずだ。
同社のオリジナルドアはどうか。リビングドアの見付は50ミリ、経年によるそり・歪みを防ぐため内部に金物が入っており、戸当たりはゴムではなくモヘア。重さは30キロ。締めてみた。「カチッ」ではなかった(同社広報担当者がそう表現した。記者ではない)。
同社も含めて国内ドアメーカーには「カチッ」と閉まるドアを開発してほしい(あったら失礼)。わが国の年間住宅着工戸数は約80万戸で、建築物着工件数は477,766棟(令和6年)もある。「カチッ」を開発したらゆるぎないドアトップメーカーの地位を築くのではないか。
御徒町公園
現地
基本性能・設備仕様レベル高い販売好調に納得大成有楽不「秋葉原」(2025/2/4)
日本財団「THE TOKYO TOILET」13か所目後智仁氏のトイレは植栽にも注目(2022/7/23)
眺望抜群坪単価500万円超でも人気か積水ハウス初のコンパクト「浅草花川戸」(2021/10/6)
2か所に花粉対策施したポラス「花小金井」 涙が出るほどうれしくなり、鼻水も止まる
「ルピアコート花小金井」
ポラス中央住宅が3月中旬に分譲するマンション「ルピアコート花小金井」モデルルームを見学した。駅からの徒歩11分のうちほとんどが美しい緑道を利用できる立地と、ピアキッチン付き(44戸のうち41戸)、業界初の花粉対策を2か所に採用しているのが特徴。その良さを訴え切れるかどうかが早期完売のカギを握るとみた。
物件は、西武新宿線花小金井駅から徒歩11分、小平市花小金井六丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する5階建て全44戸。専有面積は62.81~95.73㎡、価格は未定だが坪単価は340万円になる模様。竣工予定は2026年2月中旬。売主は同社のほか三信住建。設計はアム・ザイン一級建築士事務所。施工はオープンハウス・アーキテクト。販売代理は東京中央建物。
現地は、駅から徒歩11分のうち、ほとんどは通勤・通学に利用されている「小平グリーンロード」を利用できるのがポイント。建物は2棟構成で、標準階11戸のうち南西向きが6戸、南東向きが1戸、東向きが4戸。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、「おかえりシャワー」「窓マスク」、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、食洗機、収納・無垢材ダイニングテーブル付きピアキッチン(44戸のうち41戸)、「変身クローク」「FUTON収納」「まもるんドア」「タオル掛け2か所」「バルコニー水栓」など。
商品企画担当の同社マインドスクェア事業部 マンションDv営業企画課営業企画係リーダー・西牟田奈津子氏は「当社のマンションは、ピアキッチン付きで、角・妻住戸だけでなく中住戸も風が通るプランに高い支持を頂いている。今回は、国民の3人に1人の割合で発症するという花粉対策として、エントランスに花粉など80%以上防げる『おかえりシャワー』を設置し、さらに、花粉が気になる季節でも風通しができる『窓マスク』を設けた。いずれも当社オリジナル」と語った。
昨年11月から物件ホームページを立ち上げ、これまでの反響数は350件、2月8日にオープンしたモデルルーム来場者は50件。
「おかえりシャワー」(左)と「窓マスク」
模型
「まもるんドア」
◇ ◆ ◇
同社はこの花粉対策を施した物件について2月4日付でリリースしている。記者は、いまさら花粉対策もないと判断してスルーし、逆にモデルルーム見学会を提案した。
この日(2月19日)見学会が実現したわけだが、冒頭の西牟田氏の説明は半信半疑で聞いていた。発症の原因とされるスギ花粉などの飛来を防止するのは難しく、森林・林業をないがしろにしてきた罰が当たったのだと記者は考えているからだ。山林の中で生まれ育ち、花粉まみれの生活をしてきた記者は花粉症の症状は全くない。免疫ができているのだと思う。
「おかえりシャワー」はそれなりに効果があるのだろう。スイッチを押すと風速30m/sの暖かい風が10秒間天井から吹き出し、風の力で花粉やPM2.5なとの有害物質を落とすことができるというものだ。何度も浴びるのも可能だ。禿げ頭の人はともかく、紙のセットは乱れる。
似たような花粉対策マンションを取材しているので、この段階でも高をくくっていた。驚いたのは、西牟田氏が「皆さん、花粉症の人は手を挙げてください」と呼び掛けたところ、記者を除く13人のうち何と7人が手を挙げたことだ。半数以上だ。症状は〝鼻水が出る、鼻が詰まる〟〝目がかゆい、痛い〟〝くしゃみがする〟などだ。
モデルルームの「窓マスク」は心底驚いた。初めて見るものだった。花粉対策だけでなく、好きな時に風を取り込むことが出来るスグレモノだと思った。同業の記者の方々はさながら首相のぶら下がり取材のように西牟田氏に殺到した。
この様子を冷ややかに眺めていた小生は、「記者の方々はポラスのサクラじゃないの」と口走ったら、そばにいた同社広報担当は「サクラじゃありません。スギ(花粉)ですよ」とやり返してきた。一瞬、鼻ではなく息が詰まり、かゆいところに目が届く同社の取り組みに涙が出るほどうれしくなった。したたり落ちていた鼻水(寒さのせい)も止まった。
だが、しかし、記者の皆さん、注目すべきなのはバージョンアップしたピアキッチンだ。ヨーロピアンウォーク材の無垢のカウンターは80万円はするし、バックカウンターはこれまでの1200mmから1800mmに広げられている。そこには炊飯器、トースター、ロースター、ケトル…なんでも置けるというものだ。全部で百数十万円はするはずだ。これを標準祖エビしているマンションデベロッパーは皆無だ。ピアキッチン付きでない3住戸はほかにもたくさん魅力がるプランだ。
「東京こどもすくすく住宅の設計認定」を受けている「まもるんドア」には絶句した。室内を締めきり、換気扇を使用すると負圧状態になり、突然玄関ドアなどをあけると、開けっ放しのドアなどが締まることがあるのだそうだ。よちよち歩きの子どもがドアの隙間に手が挟まれた事故もあるという。「まもるんドア」はそんな事故を防ぐ効果があるという。実用新案を申請したとか。
このほか、この物件は、浴室・玄関下足入れ窓付き、ソフトクローズ機能付きリビングドア、プッシュプルドア(けが防止にもなる)などたくさん魅力がある。
問題は価格だろう。記者は坪単価300万円なら申し込みが殺到すると考えていたが、やはりそんなに安くはならない。郊外部でも「300万円の壁」は突破された。「取得限界の壁」との綱引きが始まった。
同社マンションディビジョン部長・中島教介氏は、記者がこの前書いた「18坪の3LDK」の記事を意識されたか、「当社は3LDKは70㎡以上が基本。よほどのことがない限り、70㎡以下の3LDKをつくらない」と語った。その言や良し。同社は貴重なデベロッパーだ。
ピアキッチン
2か所タオル掛け(左)と本物の観葉植物(皆さんは軽視するが、記者は一つひとつチェックする。コストカット対策としてタオル掛けをなくすデベロッパーは結構あるし、観葉植物はフェイクだらけ。購入者はフェイクの植物越しに食事をし、会話を交わすことがあるだろうか)
柏駅圏最大389戸 18坪(62㎡)の新型3LDKに注目総合地所「ルネ柏ディアパーク」(2025/(2/16)
駅東側10分、70㎡以上では8年ぶりポラス「大宮」坪単価400万円に挑戦(2024/4/5)
郊外部も坪300万円の時代へ予算額との隔たりどう埋めるか 総合地所「花小金井」(2023/10/25)
「ライオンズ関町北グランヒルズ」で見た第4世代の大京パッシブデザイン(2016/6/29)