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小澤氏

社会課題解決と企業としての成長を両立させ「次世代デベロッパー」へ

昨年は日経平均株価がバブル期以来の最高値を更新したほか、日銀が金利政策を見直し、いわゆるマイナス金利政策を解除して17年ぶりの利上げを実施するなど、日本経済は大きく転換したといえる1年だった。そのような中でも当社は安定した成長を続けることができ、2024年を最終年とする中期経営計画を無事達成できる見込みである。

本年は新中期経営計画を116日に公表する。新中期経営計画では、長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」で掲げている「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立することを目指し、東京建物グループの更なる成長と発展を目指す計画となる。

事業環境の面では、エネルギー価格や建築費の高騰など、我々の事業を取り巻く環境は予断を許さない状況が続いている。

オフィス市場では空室率の低下や平均賃料の上昇がみられるが、リアルなコミュニケーションの場としてのオフィスの重要性の再認識に伴う更なる付加価値の提供が求められている。分譲マンション市場も高価格での成約が続いているが、物価上昇や金利の動向次第では市場に変化が現れる可能性があり、Brilliaブランドの更なる価値向上が重要となる。

当社が参画する東京駅前八重洲一丁目東第一種市街地再開発事業(A地区・B地区)については、2026年の竣工に向けて順調に進捗している。当社も本社移転を予定している本プロジェクトB地区のオフィスでは、心身の健康だけでなく、仕事における満足度ややりがいを含む、総合的な幸福を意味する「ウェルビーイング」をテーマとしている。この言葉は当社グループの役職員にとっても大事な考え方で、これを実現するためには、一人ひとりが自らの仕事に誇りを持ち、最大限の力を発揮できる企業文化を育むことが大切だ。その中で、持続的な企業価値の向上を実現し、社会にとって必要とされる会社であり続けるために新社長として全力で取り組みたい。

本年は新しい中期経営計画をスタートさせる当社グループにとって「新たな始まりと成長」を象徴する年である。次のステージへの第一歩を進む年ともなるよう、社員一丸となって、目標達成に向けて邁進していきたい。

テーマは都市間競争力強化 GX実現、地域資源価値最大化の3

昨年はインフレ経済への転換点という大きな節目を迎えた。足元の不動産市場は仲介市場の好調など良好な状態を維持している。ただ、国内の金利情勢など、そして海外に目を向ければ米国でのトランプ政権への政権交代、ウクライナ戦争、そして韓国の内政不安などリスク要因は枚挙に暇がないが、今こそこれまでの傾向延長にない高い成長や売上拡大を図り、利益を生み出す好循環へのシフトを模索する機会だ。金利のある世界を意識して、顧客に本当に価値があると認められる商品・サービスの提供に加えて、「スピード感」を今まで以上に意識しながら事業に取り組んでいきたい。

最重要拠点の「広域渋谷圏」では、昨年4月に新しい体験価値を享受できる場所「創造施設」を目指す東急プラザ原宿「ハラカド」が開業し、昨年7月には渋谷最大級のスケールとインパクトを誇る“次世代型ランドマーク”「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」の街開きを迎えるなど、複数の大型再開発で旺盛な不動産需要の取り込みを図ったほか、線路や幹線道路をまたぐデッキを新設するなど課題だった渋谷駅周辺のバリアフリー化も同時に進めることができた。また当社グループは「環境経営」に注力しており、具体的には再生可能エネルギー100%のデータセンターを北海道石狩市で着工するなど再エネ電気を活用した事業展開のほか、広域渋谷圏や長野県の蓼科でTNFDに基づく生物多様性の取り組みを積極的に進めてきた。

当社グループは今年5月、新しい中期経営計画を発表する。2030年度までの 10年間の長期経営計画における前半戦の再構築フェーズは、外部環境の追い風もあり全ての財務目標を2年前倒しで達成することが出来た。後半戦の「強靭化フェーズ」では、強固で独自性のある事業ポートフォリオを構築していく。新中期経営計画の6年間では、金利上昇影響の顕在化に加え、AIの技術革新による付加価値の定義の変化や、富裕層、アッパー層が増えたことによる消費の二極化の進行、また脱炭素などの環境価値が事業活動の「付加要素」から「前提条件」となり転換していくと考える。新しい中計では、強靭化フェーズにおける重点テーマとして、広域渋谷圏戦略を推し進めることによる「国際的な都市間競争力強化」、再生可能エネルギー事業を中心とした「GXの実現」、そしてリゾート事業に代表される「地域資源の価値最大化」の3つのテーマが重要だと考えている。その実現のために財務面と非財務面を統合した価値創造を推進していく。

 

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中内氏

木の魅力や交流と学びの場提供し、地域との繋がり強化

 2025年は、昨年7月の日銀による政策金利の引き上げ以降、「金利のある時代」が復活したことにより、長く続いたデフレ経済からインフレ経済に切り替わるとともに、モノの価格を上回るレベルで賃金レベルの上昇を目指すことになります。

 国際情勢に目を向けると、ウクライナ情勢、中東の動きやトランプ氏のアメリカ大統領就任など日本経済に影響を及ぼす大きな出来事が予定されており、引き続き注視していく状況にあります。

 一方で国内では、昨年1月1日に令和6年能登半島地震が発生し、夏には南海トラフ地震臨時情報の発表がされるなど今後も更なる災害等の対策及び備えが必要となります。

 2024年の住宅業界は、土地や資材価格の高止まり及び新設住宅着工戸数の減少による市場規模が縮小傾向となっております。当社においては、地域密着経営により地域の魅力を維持、向上させる街づくりを推進し、新築戸建事業、不動産仲介事業が堅調な一年となりました。

 本年は、4号特例の縮小による構造計算業務の拡大が予想されます。当社では、予てより全棟構造計算を行ってきましたので引き続き注力していく所存です。また、プレカットと設計業務を合わせたサービス提供により安心、安全な木造建築の供給に寄与できると考えております。

 3月には、ポラスグループ初の複合施設として、「ポラステクノシティ」がオープンします。木の魅力や交流と学びの場として地域との繋がりをより一層大切にしてきたいと思います。

 予測困難な時代だからこそ、どのような局面においても、冷静に対応し、お客様にご満足いただける商品・サービスの提供に努め、困難を乗り越えていける一年にしたいと考えております。                                                       

 

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芳井氏

人材育成 社内起業制度に総数約900件の応募

 2024年は、元日に「令和6年能登半島地震」が発生し、さらに9月には「能登半島豪雨」にも見舞われたことにより、13万棟以上の住宅が被害を受け、住まいのあり方が問われた年でした。また、住宅業界では政策金利の引き上げや物価上昇などが影響し、厳しい環境が続きました。このような状況下、当社グループは開発物件売却の順調な進捗や海外事業の業績拡大などもあり、2025年3月期の第2四半期決算において過去最高の業績を達成することができました。役職員全員の頑張りに心から感謝申し上げます。

 しかし、好業績でも決して慢心してはいけません。挑戦し続ける企業として、常に変化し、成長していくために、新年のスタートに際して、皆さんにお願いしたいことを3点お伝えします。

 1点目が、創業100周年をつくるリーダー人財を育てることです。当社の社是は「事業を通じて人を育てること」から始まります。人を育てることが事業の始まりであることを説いていますが、企業の発展も衰退も従業員の育成にかかっているということです。現在、当社では30年後の2055年に“将来の夢”を実現できる人財を育てるため、様々な制度を拡充させています。昨年に開始した、人財育成を兼ねた社内起業制度では、総数約900件の応募がありました。広い視野・視点で世の中の変化を捉え、次のビジネスの創造や業務改革に取り組むことは成長の大きな機会となります。皆さんも部下や後輩、そして自らを成長させるチャンスと捉え、積極的に挑戦してください。

 2点目が、本年を表す私の一文字「心」です。日々の業務において「その行動、発言、対応に心がこもっているか? 」「それは真心か? 」と自問してください。大和ハウスグループは、協力会社や取引先などお世話になっている多くの方々の力添えがあってこそ成長して来られました。社員一人ひとりが相手の立場に立ったコミュニケーションを大切にして、感謝の気持ちを忘れず、真心を持って行動し続けてください。

 最後に、「会社は社会の公器」です。当社は本年4月に創業70周年を迎えます。これは多くのステークホルダーに支えられてきた証しであり、人々に喜ばれる事業を通じて社会に還元しなければいけません。本社のある大阪では、2025年日本国際博覧会や大阪マルビルの建て替えなどを通じて、地域社会への貢献を進めています。各事業所でも地域と共にあることを改めて認識し、お客さま、取引先に感謝の意を示す機会を設けてください。

 本年も様々な課題があると思いますが、皆さんとともに全力で取り組んでいくことをお伝えし、私の挨拶とさせていただきます。

 

 国土交通省は12月27日、令和6年11月の新設住宅着工戸数をまとめ発表。総数は65,037戸で、前年同月比1.8%減、7か月連続の減少。内訳は持家19,768戸(前年同月比11.1%増、2か月連続の増加)、貸家26,717戸(同5.5%減、2か月連続の減少)、分譲住宅18,146戸(同7.3%減、7か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンション7,895戸(同2.9%増、4か月ぶりの増加)、一戸建住宅10,124戸(同14.5%減、25か月連続の減少)。

 首都圏マンションは総数4,276戸(同2.5%減)で、都県別は東京都2,193戸(同9.2%増)、神奈川県576戸(同61.1%減)、埼玉県645戸(同3.4%増)、千葉県862戸(同214.6%増)。

 首都圏分譲戸建ては総数4,328戸(同17.9%減)で、都県別は東京都1,333戸(同13.4%減)、神奈川県1,123戸(同22.5%減)、埼玉県1,045戸(同22.6%減)、千葉県827戸(同11.3%減)。

 建築物着工では、ホテルが中心とみられる宿泊業,飲食サービス業用は461棟(前年同月比20.4%増)、延床面積245千㎡(同166.1%増)で、1~11月は4,810棟(前年同期比5.7%増)、2,515千㎡(同42.2%増)となっている。


 

 

 今年は、日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新し、実質賃金もプラスに転じ、「水没下の金利」から「金利のある世界」に戻り、懸案だったデフレ脱却を強く印象付けた1年だった。

 しかし、その半面、ロシア-ウクライナ戦争はドロ沼化し、イスラエル・ガザ戦争が勃発し、シリアの政変など世界の武力紛争は収まる気配はなく、韓国の政変は、北朝鮮との戦争状態が74年間も続いていることを改めて思い知らされた。

 国内の出来事では、元日に能登半島地震が、翌日には羽田空港の飛行機衝突事故が起き正月気分は吹っ飛び、その後も地球温暖化による自然災害の激甚化、闇バイトによる住宅侵入・強盗、通り魔殺人、政治家の不倫騒動・パワハラ、政治と金問題などが連日のように報じられた。甲高い司会者・コメンテーターの声が雨あられのように降り注いでは三半規管を狂わせられた。外に出れば発狂寸前の街路樹虐待を見せつけられた。かつてにらみ合っていたカラスは激減し、高気密住宅に棲み処を奪われたのか、スズメは姿を消した。人間だけでなく、あらゆる生き物の命が軽んじられている印象を強く受けた1年でもあった。

 小生といえば、今年4月に「後期高齢者」の烙印を押された。恩恵といえば医療費の自己負担額が1割になったことくらいで、いいことはあまりなかった。わが西武ライオンズは歴史的な底這い状態が続いた。かみさんはどこで仕入れるのか、野球選手の不倫などネガティブ情報を機関銃のように乱発し、脛に傷持つ小生の古傷をこじ開け、塩を刷り込んだ。だんまりを決め込むと「あんたは私の話を聞かない」と攻め立てた。試合が終わるころは眠っていた。

 それでも、仕事(取材)に関しては、見当識障害は進行する一方で人の話すことばが聞き取れなくなったが、幸い、糖尿病の数値は安定して推移した。取材後はビールとイワシフライで1,000円でお釣りがくる「日高屋」の〝せんべろ〟を満喫することができた。「日高屋」「DOOTOL」「マクドナルド」が街のポテンシャルを測る〝御三家〟であることを業界紙記者のFさんから教わったのも、今年の大きな収穫の一つだ。

 そのお陰で、RBA野球記事は約120本、「こだわり記事」は約450本書くことができた。合計570本。土曜、日曜も関係なく書いた。400字原稿用紙にして1本当たり4~6枚だから、年間で2,280枚から3,420枚の計算になる。大河小説1冊分だ。

 RBA野球大会は、様々なことがあり、日曜、水曜ブロックとも決勝戦は12月にずれ込んだが、各チームの絆が強化された1年だった。優勝された日曜ブロック・青山メインランド、水曜ブロック・東急リバブルの選手の皆さん、おめでとうございます。

 「こだわり記事」の内訳は、マンションが約150件(賃貸含む)、一戸建てが約50件。その他が250件だ。

 記事は〝現場主義〟〝記事はラブレター〟を貫いた。コピペ記事は極力避けた。記者の視点から〝事実〟(これは曲者だが)をストレートに伝えることを心がけた。つたない記事を読んでいただいた読者の皆さんに感謝申し上げる。

 一つひとつ記事について振り返ることはしない。わが業界紙がこの1年間をどう振り返っているのかを紹介する。

 住宅新報の10大ニュースは次の通り。

・中野洋昌氏が国交大臣に就任
・大手住宅、M&Aで海外事業を拡大
・首都圏マンション価格、高騰続く
・省エネ性能ラベル、空き家対策推進プログラム
・住宅ローン金利が上昇
・住宅セーフティネット法改正
・マンション管理で指針策定 外部管理者方式など

 同紙は、このほか箇条書きで次の事象を重大ニュースとして紹介している。

・「令和6年能登半島地震」で最大震度7を観測
・日本銀行がマイナス金利を解除、大規模金融緩和政策を終了
・国内外の企業から半導体工場の誘致で地価急上昇に注目
・脱炭素社会に向けて大手住宅・不動産会社もGXの取り組みが進む
・単身者の増加が顕著に。全世帯に占める1人暮らしの割合は東京は54.1%
・空室率の低下と賃料の上昇でオフィスビル市況がコロナ禍から回復へ
・不動産クラウドファンディング協会と日本不動産クラウドファンディング協会統合
・北陸新幹線の金沢~敦賀間が延伸開業。東京と福井が直通で結ばれる
・インバウンド回復、訪日外国人客数が3337万人余りで過去最高を記録
・日経平均株価が34年ぶり更新。円安も34年ぶり水準に
・日本銀行が20年ぶりに新紙幣を発行
・気象庁が宮崎県沖で8月発生の地震で「南海トラフ地震臨時情報」を発表」
・三井不動産など明治神宮外苑の再開発で樹木伐採を始める

 週刊住宅タイムズの重大ニュースは次の通り。

・新築マンション価格の高騰進む
・国交省が「不動産業者による空き家対策」を推進
・インバウンドが回復、コロナ前を超す勢い
・国交省が「不動産情報ライブラリ」の運用開始
・能登半島地震が発生、石川県能登に大きな被害
・東京都心部に大型シニア住宅相次ぎ開業
・省エネ基準適合の全面義務化が正式決定
・不動産の相続登記の義務化が始動
・最高裁判断、「傍系の相続人の範囲、厳格に」
・板橋区に都内最大の街づくり型物流施設が竣工

 皆さんはこれをどう受け止められるか。これらについてコメントする立場にはないが、記者の感想を以下に紹介する。

 両紙とも首都圏マンションの価格高騰を上位に選んだ。その通りだと思う。しかし、今に始まったことではないが、元データは不動産経済研究所に依拠しているもので、独自の視点が欠落している。〝他人のふんどしで相撲を取る〟ようなことはやめるべきだ。(かくいう記者もマンションの現場見学・取材を行ったのは50件あるかどうか。肝心のメジャーセブンの物件は10件くらいだから、語る資格はないのだか)。

 価格高騰は地方圏にも及んだ。岡山駅前の坪単価355万円の再開発マンションが人気になったのに記者は驚いた。長野県白馬村では坪単価600万円(記者予想)の分譲ホテルが、沖縄県中頭郡北中城村では坪単価250万円の多目的マンションがそれぞれ人気になった。これらについても触れるべきだった。

 中古マンションの価格上昇についても両紙は取り上げているが、これもマクロデータに頼っているのみ。都心部のいわゆるヴィンテージマンションは新築価格を上回って取引されているように、中古が新築マンション上回るというバブル期と同じ様相を呈している。これらについて言及が両紙には全くない。

 賃貸市場にも触れてほしかった。記者は三菱地所レジデンスの家具・家電付きCo-Living、野村不動産の「TOMORE(トモア)」が市場に変革をもたらすと考えているし、サービスアパートメントでもコスモスイニシアなど5社が会見を開くなど新しい動きがあった。

 このほか、DXや建築着工、住宅着工動向について言及がないのはなぜか。DXはあらゆる分野に浸透し、対応できなければ市場から退場を余儀なくされることを示唆している。持家と分譲戸建ての着工減に歯止めがかかるのか、ホテルの着工激増をどう見るべきなのか、触れるべきではないのか。

 「空き家」問題だが、これはテーマが大きすぎて記者は取材をあきらめた。手に負えない。業界紙には具体的な取り組みについて報道してほしい。

 住宅新報は中野洋昌氏が国交大臣に就任したことを選んだ。これは全く理解不能。国交大臣の交代は、もとをただせば、自民・公明の与党が選挙に敗れ、公明党の石井啓一代表も落選し、代表を辞任したことから後任に国土交通大臣の斉藤鉄夫氏が選ばれ、空席を埋める形で公明党の中野氏が国交大臣に就任したということだ。大臣交代によって国土行政も変わるのなら重大ニュースになるだろうが、三権分立を揺るがすようなことは絶対あり得ない。

 週刊住宅の「東京都心部に大型シニア住宅相次ぎ開業」「板橋区に都内最大の街づくり型物流施設が竣工」を選んだのも首を傾げざるを得ない。都心の大型シニア住宅は相次いではいない。三井不動産レジデンシャル「西麻布」のみだた。住宅などの建築が不可の工業専用地域でどのような街をつくるのか。それが実現したら拍手喝采だ。

 それより、物流では、シンガポールに本拠を置く日本法人「日本GLP」による約65haという桁違いの物流施設「GLP ALFALINK 昭島」がどうなるのかに注目したい。昭島市は、この物流施設計画を含む約81.5haの「玉川上水南側地区地区計画」(素案)を発表した。

 住宅新報は「三井不動産など明治神宮外苑の再開発で樹木伐採を始める」ことも重大ニュースの一つとして取り上げているが、わが多摩センターや日比谷公園など全国の公園改修による巨木の伐採、街路樹の伐採・強剪定が行われている。〝街路樹のイチョウを伐らないで〟とイチョウに抱きつく住民らを千代田区はあろうことか〝暴力行為〟とし、住民ら10人に対して「立入行為禁止仮処分命令申立」を提訴した。〝話し合う〟ことが原則の民主主義は死滅した。

 千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏が三鷹市で行われた講演会で「強剪定された街路樹は委縮した心と社会の表れです。だから、木とお互い様だよ、共認しあえば涼しくもなるし、心も豊かになる。そういう社会を目指そうじゃありませんか」と締めくくったとき、会場に集まった約100人の聴衆からコンサートのアンコールのような拍手が巻き起こった。

 重大ニュースと関連することだが、記者がいささかショックを受けたのは、国内外の大メディアは存在感を失い、SNSが選挙や世論に大きな影響を及ぼしていることだ。記者はアナログ人間だから、SNSなるものを全く知らないが、世の中が劇的に変わっているということなのだろう。

 日本新聞協会によると2024年10月現在の一般紙、スポーツ紙の発行部数は約2,662万部(前年同月比6.9%減)で、1世帯当たり部数は0.45部(同0.04ポイント減)となっている。2008年に1世帯当たり部数が0.98部と1部を下回ってから漸減を続けており、一度も反転したことがない。15年後には新聞は死滅する計算だ。

◇        ◆     ◇

 余談だが、女性としてアジア初のノーベル文学賞を受賞した韓国のハン・ガン氏の代表作の一つ「菜食主義者」(クオン)について。友人から借りて読んだ。文章は平易で、登場人物が少ないのですらすら読める。家族とは、愛とは何かを考えさせてくれる作品だ。菜食主義者(拒食症)が主人公の一人となっているのは、パオロ・ジョルダーノ「素数たちの孤独」(早川書房)と、姉妹と性関係を持った姉の夫が登場するのはミラン・クンデラ「不滅」(集英社文庫)とそれぞれよく似ている。

 ハン・ガン氏のもう一つの代表作「少年が来る」(クオン)を図書館で借りて読もうとしたら予約数は100件を上回っている。借りるのは一人1週間として2年待ちだ。買って読もうとまでは思わないのであきらめた。韓国の作家といえば、「血と骨」などで知られるとヤン・ソギル氏(享年87歳)が今年亡くなった。

 今年鬼籍入りした人では、八代亜紀さん(享年73歳)にはショックを受けた。アンチ巨人の記者は〝ナベツネ〟こと渡辺恒雄氏(同98歳)は大嫌いだったが、考えを改める必要がありそうだ。「わが人生記」(中公新書)を読むことにした。


 

 

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「アイムス東久留米 ピー・ティー・サイト」

 ポラスグループ中央住宅マインドスクェア事業部は12月26日、同社初の「東京ゼロエミ住宅」最上位の「水準3」(旧制度)に該当する外皮平均熱還流率(UA値)0.46認証を受けた分譲戸建て「アイムス東久留米 ピー・ティー・サイト」(全6戸)のメディア向け見学会を行った。この日はぽかぽか陽気だったためUA値0.46の威力は確認できなかったが、玄関ドアは開けっ放しで、エアコンは止められていたにも関わらずとても温かかった。

 物件は、西武池袋線東久留米駅から徒歩8分、東久留米市氷川台1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全6戸。土地面積は120.18~122.24㎡、建物面積は94.72~97.31㎡、価格は6,490万~7,890万円(平均7,173万円)。建物は2024年10月に完成済み。構造・規模は2×6工法2階建て。施工はグローバルホーム。

 今年7月からの問い合わせ件数は104件。都内居住者が約7割で、希望価格は6,000万円台~7,000万円。同社の既存顧客比率は37.7%。6戸の内5戸が成約済み。

 現地の従前は畑。物件のすぐ南側は一級河川の黒目川。近くに桜並木と遊歩道が整備されている。黒目川は水源が小平霊園内の「さいかち窪」で、市内を横切り、埼玉県新座市-朝霞市を流れ新河岸川に合流する。

 主な基本性能・設備仕様は、太陽光発電システム、蓄電池、HEMS、高断熱の樹脂+Low-E複層ガラス「APW330」、ハイブリッド給湯器「エコワンX5」、高効率エアコン、アクセントパネル「木もれ美」など。

 同社マインドスクェア事業部設計部部長・鈴木征道氏は、「市の条例による開発行為の最低敷地面背は110㎡以上だが、それより広い120㎡を確保し、東京都の『東京ゼロエミ住宅』に適合させるためハイスペック仕様にして、差別化を図った」と語った。「東京ゼロエミ住宅」制度につい補足したポラス暮し科学研究所住環境Gグループ長・野田将樹氏は、「計画段階では最上位の『水準3』だったが、新基準では『水準B』となった。今後はGXに力を入れていきたい」と話した。

 都のデータによると、令和5年12月末時点で「東京ゼロエミ住宅」の認証を受けた戸建て住宅は都内新築住宅の1割超の7,974戸で、最上級の「水準3」は4,621戸となっている。(2024年9月30日までの旧基準の「水準3」は210万円/戸、2024年10月1日以降の新基準の「水準B」は160万円/戸の助成金が支給される。2024年10月からは基準が改められ、「水準3」は「水準B」となり、最上位はUA値0.35以下の「水準A」が設けられた)

 販売担当のマインドスクェア事業部東京西事業所事業所長・金井秀徳氏は、「東京西事業所は練馬区、板橋区から清瀬市に至るエリアで年間100棟くらい供給しており、東久留米では6番目の物件。パワービルダーは5,000万円台から6,000万円で、(大手の)S社、D社などは当社の物件より1,000万円くらい高い。お客さまからは価格のバランスがいいと評価された」と語った。

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内観

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現地

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 この記事を書いている今、中央住宅代表取締役社長・品川典久氏が今年6月の決算発表会で「当社で不足しているのは、営業を通じたお客様への説明がよく理解されていないことだ。設計担当は一つひとつ作品だと考えて取り組み、優秀な職人でないとできない施工を行うなど商品力には自信を持っている。これからは営業の教育に力を注ぐ」「もっと(価格が)高くても売れる」などと語ったのを思い出した。

 実は、本日から約2週間前、同社の坪単価420万円のコンパクトマンション「ルピアシェリール東久留米」を取材した。その時、同社広報担当N氏と今回の分譲戸建ての価格はいくらになるか話し合った。「『行徳』のように差別化が図れれば8,000万円でも売れるかも」と記者は話した。

 結果は大外れ。約1,000万円も安かった。金井氏が話したように、このエリアでは価格差にして2,000万円もある戸建て分譲が入り乱れて供給されている市場性を反映したのだろう。同社としても強気な価格設定ができない事情もよく分かった。

 だが、しかし、同社の課題はここにあると思う。ブランディングの強化だ。記者は企業の大小で物件の良否を測るようなことはしないのだが、同社の分譲戸建ては〝大手と互角に戦える〟と何度も書いてきた。リビング天井高は2700ミリ、サッシ高は2200ミリ、CP(防犯)ガラスは原則標準仕様、収納・引き戸・開き戸はソフトクローズ機能付き、食洗機は深型(埼玉中心)、本物の木の多用、階段ステップは15段…などだ。欠けているのは尺モジュールの階段幅くらいではないかと思っている。

 中内代表と品川社長に申し訳ないが、記者は同社の営業力に弱点があるとは思っていない。同社が主戦場とする埼玉県の街のポテンシャルに問題がある。自治体などと連携して取り組むことが必要だと思っている。

 もう一つ。先に〝CP(防犯)ガラスは原則標準仕様〟と書いたが、関連することを一つ。CP(防犯)ガラスを全戸に標準装備した「リストガーデン武蔵新城セキュリティ・タウン」の記事へのアクセス数は4,000件近くに達している。「防犯セキュリティ・ホーム認定」を受けた以降の問い合わせが6倍に増え、「戸建ては(防犯性が担保されていないから)買わない」と決めていた人が購入し、予算より1,000万円も2,000万円も高くても購入したというではないか。

 ポラスが「当社の分譲戸建てはCP(防犯)ガラスが標準」と打ち出せば、来場主、成約スピードは飛躍的に高まるはずだ。この記事は中内代表と品川社長にも読んでいただきたい。(記者が書く同社の戸建て記事へのアクセス数は同業他社物件と比べて少ないのはなぜだ。読む価値がないということか)

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現地近くの黒目川

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 取材の帰り。細田工務店が2025年1月に分譲する分譲戸建て「グローイングスクエア東久留米」(全8戸)の現場を見た。駅から徒歩14分の表示だが、黒目川の遊歩道が利用できる。第1期1次(3戸)の敷地面積は101.00~107.23㎡、建物面積は84.46~92.38㎡、予定価格は5,980万~6,980万円。

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「グローイングスクエア東久留米」

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現地近くの遊歩道

都心外周部で増える予感ボラスのコンパクト「東久留米」は坪420万円(2024/12/14)

コアなニーズ引き出した商品企画ヒットポラス「すみかプラス行徳」(2024/12/7)

ショック!戸建ての防犯(CP)ガラス取り付け率はわずか4.3%日本サッシ協会調べ(2024/11/29)

全戸にCPガラス IoT駆使し快適性も県初のリスト「防犯セキュリティ・ホーム認定」(2024/11/28)

ポラス 2024年3月期 15期ぶり減収・減益/同社の商品力は顧客に伝わっていないか(2024/6/29)

「日本一の街」完成祝う中央住宅・高砂建設・アキュラ「浦和美園E-フォレスト」(2022/4/17)

 

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「オウカス 世田谷仙川」

 野村不動産と野村不動産ウェルネスは12月24日、健康増進型・賃貸シニアレジデンス「OUKAS」シリーズの「オウカス 世田谷仙川」が、仏リード・ミデム社主催「MIPIM Asia Awards 2024」の「BEST RESIDENTIAL PROJECT」カテゴリーで「GOLD」を受賞したと発表した。

 「MIPIM」は、世界の不動産・建築関係者が一堂に会する世界最大級の不動産見本市で、2007年に創設されたアジア部門「MIPIM Asia Awards」は、アジア太平洋地域の卓越した業績とイノベーションを実現したプロジェクトを11の部門に分けて表彰するもの。

 「オウカス 世田谷仙川」は、"Tokyo wellness town"をコンセプトに環境・身体・精神・社会性に目を向けた計画で、木材の地産地消を促す森林循環に寄与すること、次世代への「杜の継承」と多世代にわたる地域の「健康づくり」に寄与すること、単身から夫婦での入居まで多様なニーズに合わせた自立した生活を支援する住まいとしたことなどが評価された。

 物件は、京王線仙川駅から徒歩14分・千歳烏山駅から徒歩15分、世田谷区給田1丁目に位置する敷地面積約9,064㎡、4階建て延床面積約11,521㎡、全186戸のサービス付き高齢者向け住宅。専用面積は20~60㎡、月額賃料は100,000円~491,000円(非課税)、管理費は71,000円(1人入居・非課税)、81,000円(2人入居・非課税)、サービス費は73,700円(1人入居・税込)、106,700円(2人入居・税込)、レストラン食費は56,100円/人(1日3食×30日・税込)。

 共用施設はダイニング、ゲストダイニング、大浴場(人工温泉)、フィットネススタジオ、コミュニティカフェ、ゲストルーム、カラオケ&シアタールーム、ライブラリー&ラウンジ、コンシェルジュデスク、美容室など。開業は2023年8月20日。設計監理は熊谷組(実施設計)、日建ハウジングシステム(基本設計・デザイン監修)、施工は熊谷組。

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 受賞を聞いてこの日(24日)、現地を見学した。首都圏8か所で展開する「OUKAS」がどのような施設であるかを確認することと、取材の帰りにかつてよく利用した飲み屋で飲むことだった。

 施設は、三井不動産レジデンシャルのタワー型大規模「パークウェルステイ(PWS)」とは趣が異なる接地型の4階建てで、本物の木材を採用した外観デザイン(一部木調)、住棟の中央に配された中庭などが素晴らしい。分譲マンションに置き換えた。坪単価500万円は無理としても、450万円でも売れると判断した。旭化成不動産レジデンス「アトラスシティ千歳烏山グランスイート」といい勝負だ。

 そして、第一生命が保有してきた約9haの土地を同社と第一生命保険、丸紅都市開発、相互住宅、NTT都市開発が協働して「SETAGAYA Qs-GARDEN(世田谷キューズガーデン)」として再生させたプロジェクトがまたいい。

 プロジェクトの核となる同社の施設やNTT都市開発の学生向けマンション「ウエリスアイビー世田谷仙川」、丸紅都市開発・相互住宅の「グランスイート世田谷仙川」、約3,789㎡の区立「給田松の香公園」などは樹齢100年超と思われる巨木を避けるように配置されており、子ども・教育、スポーツ振興、安全・防災、環境配慮など、地域住民のwell-beingを高めるコンテンツが揃っている。どのような開発スキームになっているのかわからないが、都市再生のモデルになる。

 Qs-GARDEN内はすべて禁煙なのは理解できなかったが、「THE TOKYO TOILET」に負けないトイレが整備されていた。取材後、Qs-GARDENのクリニックでインフルのワクチン接種を3,500円で受け(自治体によって高齢者は無料のところもある)、仙川駅前のいわし料理がとてもおいしい飲み屋で飲んだ。

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まるでリゾートマンション(右の白い建屋がトイレ、その奥が施設)

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遊歩道

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Qs-GARDEN

館内外の「みどり」最高延床は法定容積の22.5%増し三井不レジ「PWS藤沢SST」(2024/9/13)

京王線初か1低層の大規模環境性能表示満点の★15個旭化成不レジ他「千歳烏山」(2024/5/24)

 

 積水ハウス、積水ハウス イノベーション&コミュニケーション(積水ハウス イノコム)は12月23日、コーポレート・ベンチャー・キャピタル・ファンド(CVCファンド)「積水ハウス投資事業有限責任組合」を通じ、生成AI分野で先進的な取り組みを行うPreferred Networks(PFN社)へ出資したと発表。PFN社の先進的な生成AI技術を活用し、営業、設計、施工、アフターフォローといった住宅事業の各業務においてさらなる深化を目指す。

 同CVCファンドは、積水ハウスグループのオープンイノベーションの取り組みを加速させるために2024年4月に設立。本件は4社目の投資実行となる。

 PFN社は2014年3月設立。生成AIやAI半導体、先端技術を応用したソフトウェア・ハードウェア・ネット ワーク技術の研究・開発・販売を行っている。


 

 

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「レ・ジェイド茅ヶ崎東海岸南」

 日本エスコンは12月23日、神奈川県茅ヶ崎市の「レ・ジェイド茅ヶ崎東海岸南」が同日までに全戸完売したと発表した。

 茅ヶ崎駅から徒歩15分の全31戸で、坪単価は320万円。外観は、ガラス手摺りや砂地のような素材感の外壁を採用することで、周辺環境と調和するようなデザインとし、共用部には、ビーチ帰りの洗浄に適したシャワーブースやサーフボードを収納できるサーフラック、アウトドア用品のメンテナンスを行うDIYガレージなどの設備を用意。専有部では、ウッドデッキを標準仕様とした解放感のあるルーフテラス付き住戸を一部設けている。販売代理は大和地所レジデンス。

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 昨年6月取材した時点で20戸が完売していた。完売までは時間がかかることを改めて知った。近くの高額マンションは竣工後1年経過しているが、まだ完売までには至っていない。

1階天井高2800ミリ、30㎡のルーフテラス付き9戸日本エスコン「茅ヶ崎東海岸」(2023/6/19)

 

 

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