ターゲットは不動産業界も IAMリーディングカンパニー ドキュサイン 日本市場に注力
竹内氏(右)と同社シニア・プロダクトマーケティングマネージャー寺村翔氏
インテリジェント契約管理(Intelligent Agreement Management、以下IAM)のリーディングカンパニーであるドキュサイン・ジャパンは4月9日、「2025年度事業戦略説明 および『Docusign IAM for CX』」発表会を開き、日本市場に特化した「Docusign IAM for CX」を4月30日から本格ローンチすると発表した。
Docusign IAMは、AIを活用して契約書の作成をスピードアップし、交渉を強化し、契約ポートフォリオを管理するための戦略的洞察を提供することで、シームレスな契約書の準備、締結、活用を実現する。
Docusign IAM for CXは契約業務における顧客体験(CX)の向上に特化したサービスで、①コンバージョン率の向上(エラーを減らし、スピードを上げる)②面倒さの解消(基幹システムとのデータ連携もノーコードで可能にする)③信頼性の提供(公的身分証を利用した本人確認を契約プロセスの中で実施可能)などにより、契約ライフサイクルの一元管理を民主化する。
会見で同社取締役社長の竹内賢佑氏は「Docusign IAMは契約管理プロセスを刷新し、企業が煩雑なプロセスをシームレスで効率的、なおかつ安全に遂行できるよう支援します。また、この度、顧客体験(CX)の向上に特化したDocusign IAM for CXを日本市場に導入できることを大変嬉しく思います。これにより、企業は業務の効率化を進め、顧客満足度をさらに向上させるための強力なツールを手に入れることが可能になります。今後も、お客様のニーズを満たし、ビジネス上の課題を解決するソリューションの提供に努めてまいります」と語った。
米国Docusign, Inc.は、180か国以上、160万社以上の顧客と10億人を超えるユーザーが同社のソリューションを利用しているIAMのリーディングカンパニー。ドキュサイン・ジャパンは日本法人。
竹内氏(左)と寺村氏
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取材の案内が届いたときは、取材対象外で、門外漢の記者が話を聞いてもちんぷんかんぷんだろうとは思ったが、誘いがあればNOと言わないのが記者のモットーだ。ひょっとしたら何かが得られると考え取材を申し込んだ。上段はほとんどプレス・リリースのコピペ。何を書いているのかさっぱりわからない。
分からないけれども、竹内社長が会見で切り出した「ビジネスの世界ではすべて契約で成り立っている。お金の動きがあるところには必ず契約がある。わが国では長らく口約束がたくさん存在していたが、ここ20年くらい前からようやく紙などできちんと締結しようというようになってきた。ゆるぎない信頼はきちんとした契約がないと得られない」-これが全てだと理解した。ビジネスだけでなく、世の中は契約=約束で成り立っている。
竹内氏は「注力市場は日本など8か国」「ターゲットは中小企業」などと語り、具体的な業種として「不動産業界」を名指ししなかったが、頭の中には〝アナログの代表格〟と目されている不動産業界や物量業界があるのは間違いない。国土交通省によると、不動産業の売上高は43.4兆円(全産業に占める割合は2.8%)、不動産業の法人数は32.9万社(同11.5%)、従業員数は133.7万人(同2.7%)だ。中小企業が多数を占める全宅連の会員数は約10万社。コンビニよりはるかに多い。宝の山かもしれない。
ただ、不動産会社の社長の平均年齢は62.6歳(帝国テータバンク調査)で、全業種でもっとも高い。古い社長の頭を変えるのは容易でないとも思う。どう攻略するのか。
そしてまた、住宅・不動産業界の記者も頭を切り替えないといけない。観る目がない記者、聞く耳を持たない記者、そしてそれを表現する技術がない記者は生き残れない。生成AIにとってかわられる。絶滅危惧種である自覚が足りないような気がする。
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同社がターゲットにしていると思われるわが不動産業界。記者は、いわゆる全宅連などの街の不動産会社を取材したことはほとんどなく、自身の賃貸借契約も40年以上経験していない。友人・知人のアパート契約に立ち会ったときは、契約は賃貸人と賃借人は対等で、仲介業者も公平であるべきなのに、オーナーの立場、仲介業者の利益しか考えない対応に腹が立ったので、オーナーに直談判して賃貸借契約を改めさせたことがある。
一方、令和4年5月の宅建業法の改正によって、宅地建物取引士による記名・押印の必要がなくなり、重要事項説明書などの書面も電磁化が可能になり、オンライン相談も含めマンションデベロッパーなどは当たり前になっているはずだ。顧客一人当たりの対応時間は少なくとも数時間(もっとか)短縮できているはずだ。
ところが、2025年2月25日付の不動産流通推進センターのプレス・リリースによると「国土交通省の令和5年度調査によれば、宅建業者の取引オンライン化の導入状況は、書面電子化で11%、IT重説で18%にとどまっています」とある。
記者は30年も40年も昔から「不動産近代化センター」の名称を改めよと主張してきた。現在の不動産流通推進センターの名称に変更になったのは今から10年前だ。国交省のデータは、いまだに〝アナログ体質〟から抜け出せない、時代遅れの商習慣から脱却できない業界の現状を浮き彫りにしている(3%+6万円を保障している法律に問題はないのか)。
雲散霧消した不動産流通推進センターに対する積年の疑問 「嫌悪施設」取材(2024/10/24)
唯一残っていた「近代化」が消える 不動産流通近代化センターが名称変更(2014/11/4)
最後の多機能施設「グラスロック」開業 開発着手から14年 「虎ノ門ヒルズ」全体完成
「グラスロック(Glass Rock)」
森ビルは4月7日、開発を進めてきた「虎ノ門ヒルズステーションタワー」の多機能施設「グラスロック(Glass Rock)」が4月9日に全面開業するのに伴うメディア向け内覧会を開催した。2011年に虎ノ門エリアの再開発組合が設立されてから14年、わが国を代表する複合タウン「虎ノ門ヒルズ」が完結することになる。関心が高いのか、約200人のメディア関係者が駆けつけた。
「Glass Rock」は、「つながる」場、「まなぶ」仕掛け、「ひろげる」発信の3つの機能を提供するもの。企画・運営には慶應義塾大学の宮田裕章教授も「アドバイザー」として参画する。4階には法人パートナーと共創パートナーが利用する「Partners Lounge」(約569㎡)、地下1階にはすべてのカテゴリーの会員のための「Members Lounge」(約258㎡)と会員の取り組みを可視化する「Gallery」(約63㎡)を設置している。
2階・3階は丸善ジュンク堂書店の新業態の書店「magmabooks」が入居し、会員以外の人にも学びの機会を広げるプログラムを展開。会員企業と省庁・自治体、NPO・NGO・アカデミアなどとのワークショップも開催する。1階には「TULLY'S COFFEE &TEA」の旗艦店などが入居している。
施設は、東京メトロ虎ノ門ヒルズ駅直結、虎ノ門一・二丁目地区第一種市街地再開発事業A-2 街区に位置する敷地面積約2,445㎡、地下3階地上4階建て延床面積約8,800㎡。着工は2019年11月、竣工は2024年8月。デザイナーはOMA。施工は鹿島建設など。
「虎ノ門ヒルズ」は2011年4月、「環状第二号線新橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業」の一環として「虎ノ門ヒルズ 森タワー」(竣工2014年)が着工されてから、「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」(同2020年)「虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」(同2022年)「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(同2023年)に続き、今回の「Glass Rock」が加わり、区域面積約7.5ha、延床面積約80万㎡の複合施設が完成したことになる。
「虎ノ門ヒルズ」全景
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〝新業態〟という触れ込みの「magmabooks」に入ったときは、新刊本や芥川賞、直木賞受賞作などが山積みされており、どこにでもある本屋と一緒だと思ったが、すぐ普通の本屋とは異なることが分かった。ジャンルごとに書籍が並べられているのは他と同じだが、案内フラッグが棚の上部に設けられており、「来た道を振り返る」「都市と地球と私たち」「日本という方法」「どの道を行く? 」「私たちの現在地」「国家と民主主義」「生きづらさを感じたら」…などのフレーズが付いていた。
この種の案内フラッグを見るのは初めてだった(似たものはあるかもしれないが)。「国家と民主主義」のコーナーには日本地図があったりして(間違いではないが)苦笑してしまうものもあるが、都市問題や住宅問題のコーナーにはコルビュジエやガウディなどの古典のほか聞いたこともない建築家や都市計画とは関係がなさそうな本もあり、選書の工夫が見て取れた。
プレス・リリースには「本を読む前(読前)から読む最中(読中)、そして読み終わった後(読後)となる書店。コンセプトは『知は熱いうちに打て』」とあるが、その通りだと思う。
店舗のカラーリングは深緑か群青色に統一されている。これも実にいい。黄緑やライトブルーでは具合が悪い。天井高も約4mと高い。
これだけではなかった。筆者がもっとも印象に残ったのは2階と3階をつなぐ階段室だ。幅は2mくらいあり、壁の色も先に紹介した深緑か群青色。壁には、著名な日本人作家などの作品から引用・切り取ったと思われるフレーズが短冊状に並べられていた。
しばし眺めた。数を数えたらざっと30人。写真も撮った。髙村光太郎、八木重吉、九鬼周三、中原中也(2作)、田中英光、宮本百合子、永井荷風、竹久夢二、牧野富太郎、柳田国夫、梅崎春生、日野葦平、中島敦、小川未明、高浜虚子、梶井基次郎、岸田劉生、亀井勝一郎、古川緑波、太宰治、正岡子規…22人。あと8人が分からない。きちんと撮るべきだったか。
なぜ、現代作家はいないのか。版権が切れた死後70年以上経過しているのが味噌だ。小説は大半読んでいるはずなのに、フレーズは初めて聞くようなものばかりだった。その中で、もっとも好きなのは太宰治の「恥の多い人生を送って来ました」(人間失格)だ。自分自身のことだ。もう一つは、岸田劉生の「美は外界にはない。人間の心の喪にある」(想像と装飾の美)だ。本当にそう思う。さらに宮本百合子の「飼鳥になっては堪らない。そういう心持がした」(伸子)も、宮本百合子が生きた時代を考えると、よくわかる。
さりげなく展示しているのもいい。各地の公園や博物館、図書館などの公共建築物には立派な虚像(どうしてわがパソコンはこんな悪戯をするのか)が建ち、これまた高価な自然石に名句が刻まれている。まあ、これはこれで結構なのだが、これ見よがしなのが鼻につく。
このアイデアは他の書店も真似るといい。特許も実用新案申請もされていないはずだ。見学者の一人は「しおりにしたらいい」と話した。
「magmabooks」
他なの上部にはたくさん案内フラッグが設けられている
都市計画関係の書棚
階段室
階段室
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4階の「Partners Lounge」は見学するのを忘れたのだが、地下1階の「Glass Rock」の「Members Lounge」(約258㎡)では、オカムラの大容量のポータブルバッテリーがとてもいいと思った。容量はノートパソコンで3.5回分、スマートフォンで14回分充電が、同時に3台のパソコン利用がそれぞれ可能。隣り合う人同士でシェアして使用するのを想定しているそうだ。
驚いたのは、「妄想ボード」だった。この「妄想」は、三井不動産の植田俊社長が、社長就任会見で「大切にしているのは『妄想』『構想』『実現』という言葉」と話したので、記者はこれを見出しにした記事を書いた。3,000件超のアクセスがあった。
どうしてここに「妄想ボード」があるのか。森ビル関係者によると、同社のコミュニティマネージャーが何かの打ち合わせで呼びかけたものだという。主旨は植田氏と同じだ。植田氏が知ったら、してやったりとほくそ笑むのではないか。「妄想」⇒「構想」⇒「実現」が慣用句になるかもしれない。
4階の「Partners Lounge」
ポータブルバッテリー
妄想ボード
ホワイトボードには何を書いてもいいそうだ
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主催者の見学推奨ルートに従って最初に見学したのは1階の「TULLY'S COFFEE &TEA」だった。記者はカフェを利用するのはコーヒーを飲むより、タバコを吸うのが目的なので、TULLY'Sはあまり利用しない。専ら喫煙室があるドトールだ。「DOU TOR」のロゴが目に入ると〝パブロフの犬〟になる。取材の行きと帰りに2度利用することが多い。
「TULLY'S」の天井高は4mくらいあり、〝旗艦店〟とあるように広い。人だかりがしていた。素晴らしい店舗だとは思ったが、緑はすべてフェイク(本物を置いているカフェは皆無だが)。利用者に感想を聞いた。美しいか醜いか、本物か偽物かを見分けるのが仕事のはずのアートが専門の女性は「フェイク? 全然わからなかった。素晴らしいフェイク」と意に介さなかった。隣にいた不動産が専門だという女性は「(あなたは)5,000円もするチョコバー(記者はチョコ入りの酒かと思った)を売る店は本物のグリーンを置くべきと言いたいの」と話した。
半分当たりで半分外れ。マンションなどの高額商品はもちろんだが、あらゆる施設の緑は本物にすべきというのが記者の持論だ。
併設されている「ローズギャラリー」はよくわからなかったが、生産者の愛と心が込められた1本1,000円のバラの価値を理解する人は少なくないと思った。
気にしない人もいるのだろうが、記者はフェイク・グリーンがとても気になった
1つ5,000円以上する商品もたくさんあった
無料で供されたジュース類(税込みで700円台か)
「ローズギャラリー」
人・人・人…開設以来の大賑わい? Park-PFI活用の「多摩中央公園」5日開園
「多摩中央公園」人だかりの遊具
Park-PFI制度を活用した多摩市の「多摩中央公園」が4月5日、リニューアルオープンした。午前10時に行われた記念式典には地元鶴牧中学校吹奏楽部の演奏と鶴牧小学校生徒の合唱が披露され、阿部裕行市長をはじめ関係者が出席し、開園を祝った。11時からの「第5回パークライフショー」には市内外から多くの人が詰めかけ、大賑わいとなった。主催者は週明けにも来園者数を公開するが、昭和62年の開園以来の人数になりそうだ。
式典の冒頭、阿部市長は「私は今、感激で胸がいっぱいです。ここに至るまでの道のり、本当に大変でした。心からお礼申し上げます。いま多摩ニュータウンは再生とともに新たな挑戦の入り口に立っています、人口減少、少子化、高齢化などの様々な課題を一つひとつクリアしてきました。一昨年開館した市立図書館は年間100万人の方が訪れる施設となりました。健康寿命は東京都トップです。この多摩中央公園は昭和62年にオープンしました。今回のリニューアルオープンは、Park-PFI制度を活用した事業ですが、当時、この規模においては全国初の事業として着手しました。今日に至るまで、公園整備の選定委員会の委員長を務めてくださった町田誠さん、Park-PFI物林さんをはじめとするTAMAセントラルパークJV9社の皆さん、そして一緒になって汗を流していただいた市民の皆さん、心から感謝申し上げます。今後も、子どもたちからお年寄りまでみんなで楽しめる多摩中央公園をつくっていきたい」とあいさつした。
公園のシンボル大池からセレモニー会場臨む
テープカットセレモニー
阿部市長
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3歳児から87歳の人まで約40人(14組)に声を掛けた。この「こだわり記事」の読者の方は、記者のマンション価格予想がことごとく的中していることをご存じのはずだが、この日声を掛けた方の年齢はことごとく外れた。20代と思われる方は30代、30代は40代、40代は50代…極めつけは、イベントのライブショーで〝春の小川〟を歌っていた、どう見ても記者(76)より年上と思われる女性3人組。
「私と同じ70代では」声を掛けたら「80代ですけどみんな20代と思っている。永山(多摩センターの隣駅)のキャンディーズよ。老人会じゃないわよ、地域の熟年会でも歌っているの」と笑わせた。この3人の方も含めほとんどの来園者は「広い」「緑が美しい」「遊具やカフェがいい」「図書館など文化施設も整っている」などと話した。以下、主な声を紹介する。( )内は記者。
・2年生と年長の子ども連れの30代の女性と50代の母親 川崎市からです。インスタで観て初めて来ましたが、広くて緑も多くとてもきれい。図書館もあるのがいい。どの季節もよさそう
・84歳の男性 もう42~43年前から都立桜ヶ丘公園に隣接した聖ヶ丘に住んでいます。どのような公園になるか楽しみにしてきました。駅に近く図書館があるのがいいですし、カフェや遊具を新設したのに魅力を感じます。民間が入るので儲かるかどうか。このほかでは、聖蹟桜ヶ丘の河川敷もいいですよ(「聖蹟桜ヶ丘かわまちづくり」が国土交通省の令和6年度「かわまち大賞」を受賞した)。多摩市は若い人を呼び込むのが課題ですが、住宅だけじゃつまんない。私が住んでるところもそうですが、森の中の住宅地ばかりなのが市のいいところ(この方とは新設されたカフェで一緒になり、建築設計の仕事をされていたとかで意気投合。40分くらい話し合った)
・77歳の女性と87歳の伯母 川崎市から来ました。あと3年で90歳ですよ。(えっ、それじゃ戦争を経験されている? )終戦の日、小学1年生のときでしたね。すずちゃん(三井のすずちゃんではなく友だち)と一緒に学校に行くとき、戦闘帽をかぶりゲートルをまいた軍人3人が学校に入ってきたのを覚えています。玉音放送? うちにラジオはありましたが、聞いた記憶はありません。ここの公園? 人が多いのにびっくりしました
・5歳の子ども連れの40代夫と30代妻 家は公園の反対側の八王子です。歩いてこられるし、遊ぶのに一番いい公園
・小学5年と年長組の子供二人の40代夫婦 僕は松戸出身。10年前に結婚して白山神社のそばに住んでます。多摩市は公園がいっぱいあっていい(ご主人)。私は生まれも育ちもここです(奥さん「隣はいかがわしい施設ですよね」と話したら、小学5年の僕が「ママ、いかがわしいって何? 」と聞いてきた。どぎまぎした記者は「僕は知らなくていいの」と答えた)
・Books散歩社(小さな古本屋さん) 落合のスーパー三徳近くで活動しています。大人向け? こっちのコーナーです(帚木蓬生はほとんど読んでますので…これ、西加奈子さんください。いくらですか)100円です。私も西加奈子にはまっています
・明治大学おくやまぜみ みんなの公園ミニ・ロゲイニング 地域活性化の一つとしてエントリーしました(えっ、政経学部? こだわり記事と百瀬恵夫で検索してみてください。たくさん記事がヒットします)
旧富澤家
明治大学おくやまぜみ みんなの公園ミニ・ロゲイニング
焼きパンコーナー(丈は本物)
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一つ残念に思ったことがあった。グリーンライブセンターの水琴窟だ。メディア向け見学会で従前の場所から移設されていたのを知っていたので、試しに鳴らしてみた。うんともすんともいわなかった。記者の後から試みていた人も同じ結果だった。
不具合が生じたのだろうが、それならそれで〝故障中〟とでも表示すべきだ。それをしないのは、引き続いて管理・運営する市はどうでもいいことだと考えたのか。とても不愉快だった。(従前も鳴らないことがあった)
水琴窟がどのようなものかご存じない方はネットなどで調べていただきたい。似たような音は簡単に体験することができる。湯を張った浴槽に風呂おけ・洗面器を逆さにして浮かべると、水滴が湯面に落ちる音がする。同じ理屈だ。
グリーンライブセンター
水琴窟
東側法面には、土留めの金物がたくさん埋め込まれていた
Park-PFI活用した多摩中央公園4月5日オープンカフェなど整備し回遊性高める(2025/3/31)
総戸数は微増 分譲戸建ては28か月連続減少 令和7年2月 住宅着工
国土交通省は3月31日、令和7年2月の住宅着工統計をまとめ発表。総戸数は前年同月比2.4%増の60,583戸となり、10か月ぶりの増加となった。内訳は持家16,272 戸(前年同月比0.2%減)で2か月連続の減少、貸家25,744戸(同3.2%増)で先月の減少から再びの増加、分譲住宅18,213戸(同5.1%増)で10か月ぶりの増加。分譲住宅の内訳はマンション8,422戸(同12.5%増、2か月連続の増加)、一戸建住宅9,628戸(同0.8%減、28か月連続の減少)。
首都圏マンションは3,995戸(同4.2%減)で、都県別は東京都2,413戸(同8.5%増)、神奈川県552戸(同37.6%増)、埼玉県717戸(同17.4%減)、千葉県313戸(同63.0%増)。一戸建て住宅は4,282戸(1.3%減)で、都県別は東京都1,401戸(同1.1%減)、神奈川県1,120戸(同11.4%増)、埼玉県1,030戸(同12.5%減)、千葉県731戸(同0.9%減)。
Park-PFI活用した多摩中央公園4月5日オープン カフェなど整備し回遊性高める
「ケヤキハウス」
多摩市は3月30日(日)、Park-PFI制度を活用した「多摩中央公園」のリニューアル工事完了に伴い、メディア向け内覧会を実施した。カフェや遊具を新設することで既存の公園内施設との連携を図り、「誰もが楽しめる賑わいある公園」として生まれ変わる。グランドオープンは4月5日(土)。当日は午前10時から午後8時までマルシェ、飲食キッチンカ―、物販、LIVEなど様々なセレモニー、イベントが行われる。
多摩中央公園は、京王・小田急多摩センター駅から徒歩5分、多摩市落合2丁目に位置する面積約112,900㎡。開設年は昭和62年10月。開設から30年以上が経過し、一部施設の老朽化が進んでおり、最近の公園ニーズに対応するためPark-PFI制度を活用。令和3年10月に公募し、応募があった2グループのうち、市の事業費総額約30億円に対して約27億円の提案を行った物林株式会社を代表企業とするTAMAセントラルパークJV9社が事業者として選ばれた(落選グループは約30億円)。国の補助事業として15.7億円の社会資本整備総合交付金を活用する。事業期間は令和25年3月末までの20年間。
新たな施設として「ケヤキハウス」「エディブル&フラワーガーデン」などを整備。老朽化したカスケード、大池のろ過・浄水設備の更新を行った。
また、公園内のパルテノン多摩、中央図書館(2023年開館)、グリーンライブセンター(G.L.C)、旧富澤家住宅の4つの特定施設との連携を強化し、回遊性を高めるため舗道を整備している。
この他、幼児~小学生向け遊具広場、車いす利用者も楽しめるウェルビーイング遊具広場、運動用具が収納できる自由広場、BOOKパーク、きらめきの広場、大池前テラスなどが新設されている。
公園内の植栽計画では、ナラ枯れ、東側法面の土砂崩壊対策、整備事業による伐採樹木は全体の2割以上の1,125本となったが、広島市から寄贈された原爆二世アオギリが植樹され、サクラもたくさん新植されている。
内覧会のナビゲーターで公園の改修整備・運営事業者JVグループ統括責任者・室橋智氏(物林営業本部長)は「既存の施設を設計、施工した会社からもヒアリングを行った。難しい事業ではあったが、コストを抑える工夫もし、国産材の木を使い、周辺環境との親和性を重視した」と説明した。
多摩中央公園(市のホームページから)
パルテノン多摩「きらめきの広場」
「足るを知る」がコンセプトの水盤
大池
「エディブル&フラワーガーデン」
遊具広場
ウェルビーイング遊具広場
原爆二世のアオギリ
手前は新植されたと思われるサクラ
室橋氏
自由広場(室橋氏の背後は運動用具などを収納できる小屋。右側は隣接する桜美林大学の敷地だが、公園との垣根は設けられていない)
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小生は公園の緑や街路樹をかなり見てきたが、Park-PFIによる公園整備事業は三井不動産「MIYASITA PARK」、積水ハウス・三菱地所他「海の中道海浜公園官民連携推進事業」、東京建物「都立明治公園」、大和リース「鳥居崎海浜公園」、東急不動産グループ「代々木公園Park PFI」しか知らない。
なので、今回の以下の記事が正鵠を射ているかどうかの自信はない。さらにまた、多摩市民として利用してきたこともあり、市民だから贔屓目に見ようとする自分と、市民だからこそ厳しい目で見ようと考えるもう一人の自分がいた。取材中の2時間、双方がせめぎ合いをしたが、贔屓目に見る必要はそれほどなく、厳しい目で見ても「合格点」が付けられると結論付けた。第三者が厳しい目で評価しても同じ結論に達するのではないか。
とくに評価したのは3点。第一は公園運営事業者の管理センターとトイレが併設されている「ケヤキハウス」だ。木造平屋建てのカフェは外壁のスギ材のほか、内装にも本物の木がたくさん採用されており、ペット同伴利用も可能(一部除く)。
第二は、リニューアルオーブンされるグリーンライブセンターだ。これまでは植物鑑賞が中心だったが、市民参加するセンターへと生まれ変わる。コナラとサクラの巨木の萌芽更新は興味深いし、水琴窟は移設して残されている。シンボルツリーのカツラは見事な自然樹形を描いており、高さは20mくらいある。また、センターの維持管理にかかわってきた恵泉女学園大学が最後の活動として植えた草花もオープンに彩を添えている。同大学はアダプト制度による多摩センター駅周辺の美化に大きな役割を果たした。
第三は、豊かな緑と4つの特定施設の回遊性を高めた遊歩道の新設だ。公園内の回遊性が飛躍的に向上した。
市はこれまで公園利用者数をカウントしてこなかったが、これを機にカウントするという。Before Afterはわからないが、利用者が大幅に増加するのは間違いない。
ペット同伴可能の「ケヤキハウス」テラス席(天井高が2400ミリくらいで低いとは思ったが、座って利用するので問題ないか。右側は広場が展開する)
よく見えないかもしれないが、手前の建物は事業者が整備した管理センター、その奥は市が費用負担したトイレ(軒裏は手前はケミカル製品、億は本物の木。このあたりにも事業者がコストを抑制した努力がうかがわれる)
新設された旧富澤家への遊歩道
旧富澤家
土砂崩壊対策として樹木は伐採され、全面芝生が植えられた東側法面。背後はグリーンライブセンター(芝生の管理は大変だが、費用は事業者の収益から充当するので市の負担増はないという)
萌芽更新のトライ(手前はサクラ、奥はコナラ)
水琴窟
シンボルツリーのカツラ
伐採木は総理大臣賞を受賞したNPO多摩グリーンボランティア森木会などが再利用する)
木調ルーバー多用した施設デザイン抜群東急不など「代々木公園 Park PFI」(2025/2/25)
Park-PFI活用「都立明治公園」来園者240万人突破東京建物/公園を考える(2025/2/7)
「うめきた公園」事業者は自画自賛でも大阪市の指定管理者評価の評点は77点(2024/9/4)
「多摩中央公園改修」の疑問氷解樹木5000本うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/10/21)
三菱地所・積水ハウスなど国営公園初のPark-PFI「海の中道海浜公園官民連携事業」(2021/5/17)
プレ協 「住生活向上推進プラン2025」の進捗など活動報告会
「2024年度プレハブ建築協会活動紹介&懇談会」(TPKガーデンシティ御茶ノ水で)
プレハブ建築協会(プレ協)は3月26日、「2024年度プレハブ建築協会活動紹介&懇談会」を開催。A4判79ページにもわたる膨大な資料をもとに住宅部会、PC建築部会、企画建築部会、広報委員会、教育委員会など7部会・委員会が活動報告を行い、報告会後は協会関係者と約20人の報道陣との意見交換を行った。
住宅分科会は、主な取り組みの一つ「住生活向上推進プラン2025」について、戸建てZEH供給率87%(目標85%)、ストック住宅断熱・省エネリフォームにおける消費量削減率50%(同30%)、工場生産のCO2排出量70%(同65%)、工場における再エネ電気の利用率90%(同75%)は目標数値を引き上げ、そのほかの住宅性能表示取得率(戸建85%、共同10%)、長期優良住宅認定取得率(戸建85%、低層共同10%)などは目標達成を目指す。
環境分科会は、工場生産段階、居住段階でのGHG排出量は大きく削減が進展しており、今後はサプライチェーンのCO2排出量の削減に取り組んでいくとしている。また、「微景観」という新しい概念を導入し、環境に配慮した住宅供給に力を入れていくとしている(別掲の記事参照)。
住宅ストック分科会は、各社ともリフォーム売上高は堅調に実績を伸ばしており、「住宅省エネキャンペーン2024」の利用率は62,000件で、前年度比60.6%増加したことを報告した。
PC建築部会は、PC(Precast Concrete)工法は生産性向上による小人化、働き方改革による担い手不足、地球環境への配慮の観点からPC工法は有効であることを強調した。
規格建築部会は、令和6年能登半島地震応急仮設住宅建設について、1月~10月までの着工戸数は石川県が6,882戸で、プレ協が4,467戸(プレ協比率64.9%)であることを報告した。
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懇親会の冒頭で乾杯の音頭を取った創樹社代表取締役社長・中山紀文氏は、最近の住宅市場について触れ、持家の着工戸数が減少し厳しい状況が続いていること、プレハブ住宅の着工戸数は初めてツーバイフォー住宅に追い抜かれるなど、プレハブ業界は〝転機〟にあるとし、新しい展開を求めた。
記者もその通りだと思う。持家着工戸数は、近年で最多だった平成25年の354,772戸から漸減傾向が続いており、令和6年は218,132戸(前年比2.8%減)と38.5%減少。3年連続して分譲住宅薬効戸数を下回った。また、プレハブ着工戸数も、近年で最多だった平成28年の148,528戸より37.8%減の93,077戸(同10.0%減)となり、ツーバイフォー住宅の95,095戸(同4.7%増)に初めて暦年で追い抜かれた。
今後も、少子高齢化、人口減少、社会経済状況の変化、空き家の増加、持家ニーズの減退などからこの状況は続くと思われる。ただ、協会会員の個社で見ると、各社とも海外事業や非住宅などへの多角化を進めており、業績自体はそれほど落ち込んでいない。
Prefabrication由来による「プレハブ建築協会」と会員会社の事業内容からすると、「プレハブ」の呼称は変更すべきだと40年昔から考えているが、歴史・由緒ある名称が変更される可能性はないと見ている。
〝転機〟を迎えているのはむしろメディアのほうだ。いまはプレハブも在来もハウスメーカーもデベロッパーも同じ事業を行っており、垣根はない。なのに、ハウスメーカーを取材源とする業界紙はデベロッパーを全く取材しない。紙媒体にしがみついている陋習も含めて改めるべきだ。
プレ協狭小住宅に新概念「微景観」ハウスメーカーの矜持見たい(2025/3/27)
オープンハウス 耐災力養う「子どもと学ぶ在宅避難!おうちのサバイバル体験」
「子どもと学ぶ在宅避難!おうちのサバイバル体験」
オープンハウスは3月26日、一般社団法人デイリーストックアクションと共催して「子どもと学ぶ在宅避難!おうちのサバイバル体験」イベントを同社渋谷ショールームで開催した。激甚化する自然災害に備えるには、事前の備えや在宅避難(耐災力)が大切だとする同社の取り組みの一環で、春休みということから定員30人を超える親子連れ家族約40人が参加、地震の揺れ体験、災害時トイレの使い方、ローリングストックの試食などを体験しながら学んだ。
イベントでは、①在宅避難って何? ②地震が起きた際どうする? もしもの避難シミュレーション③おうちのセーフティーゾーンはどこ? ④携帯用トイレを設置してみよう⑤災害時の食事の大切さとローリングストックについて⑥常温保存食品!こんなにお手軽で満足ランチ⑦地震の揺れを体験ゾーンなどか行われた。
同社は、大きな災害が起こった際に命を守る力「耐災力」をテーマに掲げており、ひとりひとりの事前防災、いざという時の備えが重要だとしている。一方で、都心部の子育て世代には浸透していると言い難いことからイベントを実施したもの。
デイリーストックアクションは2018年、一般社団法人日本ソイフードマイスター協会内に発足、2023年に単独法人化。在宅避難時の食料備蓄対策に特化し、日常の小さな災害にも役立つ常温保存食品を活用したレシピを通じて災害時対策も兼ねた日常生活に浸透する家庭での食料備蓄の在り方を啓蒙している。
参加者に提供される試食品
フレキシブルオフィスシリーズ旗艦施設「xLINK丸ビル」開業 三菱地所
「xLINK丸ビル」ラウンジ
三菱地所は3月28日、フレキシブルオフィスブランド「xLINK(クロスリンク)」シリーズの旗艦施設「xLINK丸ビル」を4月1日に開業すると発表。同日、施設をメディアに公開した。
施設は「丸の内ビルディング」(丸ビル)の27階と28階に設けたもので、27階には107坪の共用ラウンジを新設。ラウンジにはカフェ、ソロワークブース、フォーカスブース、ミーティングブース、ボックスシート、リフレッシュルームなどが設けられている。
ラウンジに併設する形で用途・規模の異なるフレキシブルオフィス3種「サービスオフィス」「会議室付小割オフィス」「ハーフセットアップオフィス」を新規導入する。
同社は2030年までに丸の内エリアにフレキシブルオフィスを3万坪(丸の内エリアの貸付有効面積の5%程度)に拡大する。「Torch Tower」への導入も検討している。
「xLINK丸ビル」ラウンジ
「ハーフセットアップオフィス」
エントランス
◇ ◆ ◇
上段の記事は同社のブレス・リリースをコピペしたものだ。見学・体験会では同社執行役常務・荒木治彦氏、同社フレキシブル・ワークスペース事業部長・河野安紀氏、同社フレキシブル・ワークスペース事業部ユニットリーダー・岩本祐介氏、それと入居企業のもう一人の方がスピーチされた。記者は、配布された資料にメモしたのだが、その資料を会場に忘れてきたので紹介できない。
ただ、河野氏のスピーチの一部だけは鮮明に覚えている。記者の心に響いたからだ。河野氏は次のように話した。
「手前味噌で申し訳ございませんが、『xLINK(クロスリンク)』が入居の方々に支持されるのは、圧倒的な立地です。この圧倒的な緑と空の抜け感。皇居の自然が都会の喧騒から一歩引いた静けさと品格を漂わせています。ここには創造力と集中を高める力があり、唯一無二の存在感があります」
なぜこの部分だけ覚えているかといえば、唯一無二の〝価値〟はここ(大丸有)にしかないと思っているからだ。案内された28階の66坪のオフィスからは皇居が見渡せた。皇居が見渡せる価値は何ものにも代えがたい。記者はこれまで10回以上は皇居が見渡せるオフィス、ホテルを経験している。
だが、しかし、分譲マンションはどうかというと、眼下に皇居が見下ろせるマンションは同社の「ザ・パークハウ グラン千鳥ヶ淵」(73戸)と三井不動産「パークマンション千鳥ヶ淵」(63戸)しかないはずだ(2物件とも見学した人はほとんどいないのでは)。
「緑の価値」について補足すると、大手町・丸の内・有楽町・永田町地域の緑被率は23.89%だ。都心部でこれほど緑被率が高いのはここしかない。
そこで、この唯一無二の価値を測った。この66坪のオフィスを分譲したら、坪単価にして5,000万円とはじいたが、ラウンジなどの価値を含めたらこれでも安いと思う。賃料について荒木氏は「一般的なオフィスの数倍」と話すのにとどめ、岩本氏も「豪華にしようと思えばいくらでもできるが、アッパーミドルの利用を想定して内装などは極めてシンプルにした」と語ったのをどう受け止めるか。
見学したオフィスは、廊下を含めた共用部分のデザインが素晴らしい。「xLINK(クロスリンク)」の開業に合わせリニュアルしたそうで、ラウンジのアール形状が目立ったのは、女性利用も想定しているからだろうか。造作家具などを配置するだけで済み、初期費用を抑え、退去時の原状回復費用が少なくて済むハーフセットアップオフィスはとてもいい。
左から荒木氏、河野氏、岩本氏
廊下
66坪のオフィス(皇居の写真も撮ったが、掲載するのはためらわれる)
オフィス入り口部分
隣接小学校への日影に配慮 つくば駅直結の商業地域で5階建て 大和ハウス
「d_ll TSUKUBA(ディ「d_ll TSUKUBA(ディールつくば)」(左)と「大和ハウスつくば駅前ビル」
大和ハウス工業は3月27日、つくばエクスプレスつくば駅直結の複合施設「(仮称)つくば市吾妻20街区プロジェクト」が2月28日に竣工し、3月28日から順次オープンすると発表した。同日、五十嵐立青・つくば市長も出席した会見を行い、施設をメディアに公開した。
プロジェクトの敷地面積は約7,639㎡。「d_ll TSUKUBA(ディールつくば)」(地上5階・地下1階建て)、「大和ハウスつくば駅前ビル」(地上4階建て)、立体駐車場「D-Parking つくば駅前ビル駐車場」(地上5階建て、駐車台数353台)の3棟から構成。3棟の延床面積は約20,933㎡。着工は2023年6月1日。施工は村本建設。
敷地の従前は国家公務員宿舎。2017年6月、茨城県から土地を取得。法定容積率が400%なのに対して、つくば市の要請を受け、敷地北側に位置する市立小学校への日影に配慮するため5階建てとし、容積率を大幅に余しているのが特徴。
「d_ll TSUKUBA」の1 階と2階にはクリニックや学習塾、カフェ、保育施設など16店舗が入居予定。3階~5階は最大36 区画に分割可能なオフィスフロア。オフィスフロアには、同社グループ会社の大和ハウスリアルティマネジメントやスタートアップ企業など16社が入居予定。オフィス天井高は2800・3000mm、賃料は2万円(共益費込み)/坪。現在、約8割のテナントが決まっている。「屋外デッキ接続エレベーター」を設置し、道路を挟んだ反対側の同社のホテルや商業施設とデッキで直接アクセスできるようにしている
「大和ハウスつくば駅前ビル」は、同社茨城支店と大和ハウスグループ会社3社が順次入居し、約200人のグループ従業員が勤務する拠点となる。フリーアドレスや集中ブースを設置する。1階には戸建住宅を検討している顧客との商談スペースやモデルルームを設けている。
2つのビルは環境配慮型施設として、屋上に太陽光発電システム(「d_ll TSUKUBA」約40kW、「大和ハウスつくば駅前ビル」約30kW)やリチウムイオン蓄電池を設置。「BELS」5つ星と「ZEB Ready」を取得している。
五十嵐氏は「市の中心市街地の取り組みは非常に大きな課題だった。市民からは将来を懸念する声が多く届いている。それが今、大きな変化が生まれている。センタービルはリニューアルされ大きな賑わいを見せており、今回の施設の隣ではスーパーシティの取り組みが進んでいる。70街区(吾妻二丁目国家公務員宿舎跡地)、中央公園のリニューアルなども進行中で、この施設はそのど真ん中に位置する。本来ならマンションが一番簡単だろうが、そうではなく地域に配慮されたことに感謝申し上げる。回遊性が高く、脱炭素の取り組みなど環境にも配慮していただいている。市の思いを汲んでいただいた」と挨拶した。
同社執行役員・高吉忠弘氏は、「2023年に着工後、建設現場の人手不足、計画の一部変更などで竣工が予定より若干遅れた(約3か月)が、先ほど市長様から過分なお褒めの言葉を頂き、本当に光栄に思います」などと応えた。
「d_ll TSUKUBA(ディ「d_ll TSUKUBA(ディールつくば)」(左)と「大和ハウスつくば駅前ビル」
左から五十嵐氏、同社茨城支店長・八友明彦氏、高吉氏
◇ ◆ ◇
この施設については、昨年5月30日に行われた地鎮祭・記者会見を取材し、記事にしているので参照していただきたい。肝は、市の要請を受け法定容積率を大幅に余し、建物を5階建てとし、隣接する市立小学校へ日影を落とさない配慮がなされていることだ。
そして、道路を挟んだ東側には3.83haの駅直結の中央公園もあるのも特徴の一つだ。
3.83haといえば、大阪駅に直結する「グラングリーン大阪」の都市公園「うめきた公園」4.5haには及ばないが、街づくりは対照的だ。「うめきた公園」は従前用途地域の準工業地域を商業地域に変更し、つまり日影規制を取り払うことで、南側の高層建築物を可能にした。
一方、今回の施設は公園との景観にも配慮したという。どちらがいいか。記者も分からない。取材後、公園側から施設を眺めた。公園の高木と施設の高さはほぼ同じが、高木の方が高かった。学校に面したビルの窓も極力小さくしたという。
左のビルの窓は小さく、幅が広い空間を挟んで右側は小学校の敷地
中央公園からの施設
三井不 一時預かり保育「YASMO」 アルファコーポに事業譲渡
三井不動産は3月25日、ママ・パパ用休息室併設の一時預かり保育「YASMO(ヤスモ)」事業を同日付でアルファコーポレーションに譲渡したと発表した。
YASMOは、三井不動産グループが2018年度に創設した新事業提案制度「MAG!C」から生まれた事業で、2024年1月にYASMO武蔵小杉を店舗開設し、運営を行ってきた。
アルファコーポレーションは、YASMO武蔵小杉のオープン当初より保育サービスを担当してきた事業者。同社の専門性を最大限に活用し、同社のサービスとして継続することが最適であると結論付けた。
大人も子どもも〝我慢〟しないコスモスイニシア一時預かり施設有楽町に開業(2025/3/10)
三井不「MAG!C」発〝孤育て〟支援ママ・パパ休憩室付き一時預かり保育施設開設(2024/1/13)