自然と都市の共生・調和へ「ONE PARK×ONE TOWN」「築地地区まちづくり事業」
「築地地区まちづくり事業」全体図
三井不動産を代表企業としてトヨタ不動産、読売新聞グループ本社を中心に 2024 年12月に設立した築地まちづくり株式会社(特別目的会社)は8月22日、「築地地区まちづくり事業」を推進する基本計画を発表した。
かつての築地市場は貨物列車を引き込むために扇の形状をしていたこともあり、築地の歴史や文化を継承し、調和や発展への願いを込め、「扇」をデザインモチーフに定めた。
また、陸・海・空のモビリティが乗り入れ可能なモビリティハブの形成として、地下鉄新駅、バス・タクシーなどに加え次世代モビリティ、舟運、空飛ぶクルマやヘリポートなど陸・海・空の多様なモビリティをつなぐ広域交通結節点を形成する。
基本計画のポイントは、自然と都市の活動の2つが共生・調和・発展し、社会的価値を創出するまちづくりを目指す「ONE PARK×ONE TOWN(ワンパーク ワンタウン)」。「ONE PARK(ワンパーク)」としては、①シンボリックな景観デザイン②水辺のオープンスペース③周辺資源と調和するプロムナード④舟運ネットワークを実現する「水都東京の再生」に関する4つのテーマを掲げる。
「ONE TOWN(ワンタウン)」では、①大規模集客・交流機能②食文化の発展・にぎわいの形成③迎賓・ホスピタリティ④イノベーションを図る「国際競争力の強化」に関する4つのテーマを掲げている。
構成企業は三井不動産(代表企業)、トヨタ不動産、読売新聞グループ本社、建設は鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店、設計は日建設計、パシフィックコンサルタンツ、協力は朝日新聞社、トヨタ自動車。
計画概要の所在地は中央区築地五丁目および築地六丁目各地内の都有地約19万㎡、総延床面積は約126万㎡、総事業費は約9,000億円、開業時期は2030年代前半以降。主要建物は大規模集客・交流施設(マルチスタジアム)、ライフサイエンス・商業複合棟、MICE・ホテル・レジデンス棟、舟運・シアターホール複合棟など合計9 棟。
周辺資源と調和するプロムナード
舟運ネットワーク
食文化・賑わいイメージ
マルチスタジアムイメージ
モビリティハブイメージ
波除広場イメージ
大規模集客・交流機能イメージ
水辺のオープンスペースイメージ
巨人の築地移転なし 後楽園とスポーツ・エンタメの2つの聖地へ 三井不など会見(2024/5/2)
7月の訪日外客数343万人 7月としては過去最多 台湾は単月過去最多を更新
日本政府観光局(JNTO)は8月20日、2025年7月の訪日外客数をまとめ発表。7月の訪日外客数は3,437,000人で、前年同月比4.4%増となり、7月として過去最高だった2024年の3,292,602人を14万人以上上回り、同月として過去最高を更新した。
東南アジアなど一部市場では夏場は訪日需要が落ち着く時期となるが、東アジアや欧米豪・中東を中心に多くの市場でスクールホリデーに合わせた訪日需要の高まりがみられたことなどにより、東アジアでは中国、台湾、東南アジアではインドネシア、インド、欧米豪では米国、フランスを中心に訪日外客数が増加したことが今月の押し上げ要因となった。
台湾で単月過去最高を更新したほか米国やフランス、インドネシアなど15市場で7月として過去最高を記録した。
目からうろこ 無限の可能性秘める視覚支援機器 オープンハウス・応燕ハウスナイター
「応燕ハウスナイター」観戦会参加者の子どもたち
目からうろこ-東京ヤクルトスワローズのトップスポンサーの1社であるオープンハウスは8月20日、「挑戦する人や組織を応援する」企業姿勢を体現した社会共創活動「O-EN HOUSE PROJECT」の一環として「応燕ハウスナイター」観戦会を開催した。見えにくさを感じる子どもを対象に、視覚支援機器を使って野球観戦するイベントで、参加者は一様に「よく見える」と語った。視力0.2で、眼鏡をかけてもなにもかもがぼんやりとしか見えない記者も機器を体験したが、信じられないほどくっきりと見えた。課題もあるが、無限の可能性を秘めていると思った。
今回の野球観戦会は、東京都が企業によるパラスポーツへの支援の充実を図るため、スタートアップ企業のICHI COMMONSと協働し、2025年8月1日(金)に開設した、競技団体と企業との連携を促進するオンラインマッチングプラットフォーム「TEAM BEYONDパラコネクト」初の取り組みで、「TEAM BEYONDパラコネクト」の紹介により、オープンハウスと視覚支援機器「RETISSA ON HAND(レティッサ オン ハンド)」を開発したQDレーザのマッチング・協業が実現したもの。
イベントでは、参加者全てにヤクルトのTシャツや選手のサイン入りボールがプレゼントされたほか、参加者代表として中島健太くん(10)と配川航太くん(11)が試合前に各チーム代表選手に花束を贈呈し、この日から放映開始されたオープンハウスの新CM「マイホームマン」に登場するモデル・女優の藤本唯千夏さん(14)の始球式などが行われた。
参加者を代表して両チームに花束を贈呈する中島くん(左)と配川くん
藤本さん
◇ ◆ ◇
試合は、巨人相手にヤクルトが7-2で圧勝。前日(19日)は2-15で大敗した憂さを晴らした。村上が2回裏に先制弾を放ち、山田が決勝2ランを放った。
この日、お母さんと一緒に観戦していた先天性の視覚障害があり、弱視で視力は両目で0.1弱の中島くんは2回表、巨人岸川が三振した場面をスクリーンショットで捕らえ、関係者を驚かせると、その裏、ヤクルト村上が先制のホームランを放つと、弱視で両目とも視力が低い配川航太くん(11)は応援傘を打ち振った。
中島さん親子(左)と配川さん親子
視覚支援機器を使って野球観戦する中島くん(左)と配川くん
応援傘を打ち振る配川くん
山田選手直筆のサイン入りボールをもらって喜ぶお子さん
◇ ◆ ◇
中島くん、配川くん、お父さん、お母さん、最後までヤクルトを応援していたのかな。勝ててよかったね。おじさんはもう70年近く前からの西鉄-西武ライオンズファンでアンチ巨人。2回裏ヤクルトがリードした場面で取材を終え帰ったのは、またヤクルトが負けて、皆さんが悔しがるのを見たくなかったから。
家に帰ったら、西武は2-5の敗色濃厚の9回表の攻撃。2ランホームランで1点差まで追い上げたが、反撃もここまで。これで3連敗。借金(この意味は二人に分かるかな)9つで勝率は.458。ヤクルトは借金が1つ減って20、勝率は.400。どっちが最終的に成績は上になるか。おじさんは、酒屋の親父がヤクルトファンなのでいつも傷をなめ合っている。
まあ、しかし、野球とはこんなもの。プロ野球選手はみんな尊敬すべき存在。負けても罵倒などしないでね。大人になってもやけ酒(これまた二人には分かるかな)など飲まないでね。
この日のヤクルト-巨人戦(神宮球場)
(本題の視覚支援機器について記事化するには、不動産広告と同じようにいろいろ規制があり、万全を期すため明後日以降にアップする予定)
「三菱地所を、見にいこう。」ナイター 女優の桜庭さんが見事な始球式(2015/9/3)
三菱地所の新CM発表会「三菱地所を、見に行こう。ナイター」(2013/9/5)
第19回キッズデザイン賞 受賞作品233点 社会環境を反映した作品多数
キッズデザイン協議会は8月20日、「第19回キッズデザイン賞」受賞作品233点を発表。今年は、夏の猛暑に配慮した遊び場づくりや空間設計、依然としてなくならない転落事故への対策、DXを活用したサービス、リアルな自然や素材に触れる体験の創出など、子どもたちを取り巻く社会環境を反映した応募作品が数多くみられ、また、過去の受賞作品の改良版やロングセラー商品の応募もあり、幅広いジャンルの作品が集まりまったとしている。
同賞は、子どもの安全・安心と健やかな成長・発達に寄与する、優れた製品・サービス・空間・活動・研究などを顕彰するもので、2007年の創設以来、これまでの応募数は累計で7,386点、受賞数は4,381点にのぼっている。各大臣賞などの優秀作品は9月17日(水)発表される予定。
三井不&三井ホーム 築250年超「旧用賀名主邸」耐震改修 貫工法も凄い
「旧用賀名主邸」従前(左)と従後
三井不動産と三井ホームは8月19日、江戸時代後期に建築された築250年以上の古民家「旧用賀名主邸」の耐震改修工事が完了したのに伴うプレス内覧会を実施した。「Hi ダイナミック制震工法」※を採用し、屋根の軽量化を図ったことで、同程度の建築物を解体・再建築する場合と比較してコストは5分の1程度に抑え、震度6強の地震でも倒壊することがないという。両社は古民家再生の新たなモデルケースとなることを期待している。
プロジェクトの経緯について、耐震改修工事の総合設計を担当した三井不動産レッツ資産活用部チーフコンサルタント・石田宏次氏は、「オーナー様とは25年くらい前からのおつきあい。相談を受けたのは1年くらい前。安全性に問題があり、雨漏りもして、床の一部にたわみがあり、安心して維持管理できるようにならないかということだった。建物はわが国の伝統的建築工法である貫工法が採用されており、関東大震災も影響はなかったと聞いている。基礎はしっかりしていたので、三井ホームの技術力を持ってすれば建物は解体しないで極力そのまま残し再生できると考え、引き受けることにした」と語った。
設計・施工を担当した三井ホーム東京支社東京オーナーサポート部副部長・内田敦氏は、「事前の調査の結果、耐震指数は0.3だった。0.7以上ないと倒壊の恐れがあったので、1.00まで引き上げることを考えた。Hiダイナミック制震工法を採用し、屋根はスギ+土+瓦の重量が1㎡当たり80㎏あったのを鋼板屋根にすることで1㎡当たり5㎏まで軽くし、全体では屋根の荷重を24tから1.5tに抑え、耐震指数は1.01以上にした。制震オイルダンパーは普通のもので5か所に施した。残せるものは極力残した。意匠などはそのままにした」と語った。
土地・建物のオーナーの飯田浩一氏(63)は、「私は16代目。2006年まで親が住んでいた。私自身も25歳まで住んでいた。耐震性に問題があり、雨漏りもしたし、強風の時などの窓の音は凄いし(飯田氏自ら窓を揺らした。その音に記者は飛び上がった)、冬は寒い。居住条件はとても厳しい。どうしたら安全に、倒木などで近隣に迷惑をかけないかをフリーハンドで考え、専門家に任せることを決断した。様々なリスクを回避することができたので、今後は結婚式場とかロケなど地域の方々に楽しんでいただける」と話した。
物件は、東急田園都市線用賀駅から徒歩8分、世田谷区上用賀3丁目に位置する敷地面積約300坪(1,000㎡)、延床面積約67坪(約220㎡)の木造平屋建て。設計・施工は三井ホーム。2025年3月に着工し、竣工は7月。
※「Hiダイナミック制震工法」は、江戸川木材工業が開発した技術で、古民家のような伝統的構法の建物にも採用可能な制震工法。建物の壁に複数の制震オイルダンパーを取り付けることで、大地震時の建物の変形を吸収し、柱や梁、壁等への負担を軽減できる。今回の工事では、建物南側の特徴的な意匠を残すため、居室の天井・床、縁側は仕上げ材も含めて改修はなっていない
「Hiダイナミック制震工法」
制震オイルダンパー
屋根
続き間の和室3室(1室全て8畳以上)
縁側
正面玄関
内田氏(左)と石田氏
飯田氏
◇ ◆ ◇
旧名主の古民家を見学するのは今回で2度目だ。わが多摩市の多摩中央公園には江戸時代の名主だった「富澤家住宅」が移築・保存されている。建築年代は不明だが、18世紀後半とも推定されており、その後かなり増改築されたとある。欄間などに立派な装飾が施されており、当時の名主がどれほどの力を持っていたかよくわかる。
今回はどうかといえば、欄間、床柱などを含め豪華さでは富澤家住宅に軍配を上げた。前述したように、これは18世紀の半ばと後半の違いではないかと解釈した。
しかし、驚いたのは柱だった。主要な柱の太さを測ったら1尺(37.88cm)角もあった。樹種はケヤキのはずだ。昔のわが家の大黒柱も太かったが、ここまではなかったはずだ。
それ以上に驚いたのは敷地内の区の保存樹に指定されている樹木だ。玄関の前には樹齢300年超と言われる剪定がまた見事なクロマツが2本(もう1本のアカマツも同じくらいではないか)植わっていた。ケヤキの巨木は差し渡し1m以上あった。そのお陰で、この日の外気温は35℃を超えていたはずだが、敷地内は30℃強ではなかったか。
それにしても、築250年以上の建坪67坪もある古民家をごく普通の耐震オイルダンパーを5か所に設置するだけで、しかも工期はわずか4か月で耐震補強ができるとは。三井ホームの施工力もそうなのだろうが、釘も金物も一切使わないわが国の伝統的貫工法(記者は「抜き」だと思った)もまた凄いではないか。
オーナーの飯田氏はメディアの質問に対して「また住めるかも」と話した。ここに住まなくてどこに住むのか(記者は「飯田さんはどこに住んでいらっしゃるのですか」と聞くのをぐっとこらえた)。近隣の地価公示は坪(1種)約300万円だ。
柱の太さは1尺角(貫との接合はくさびのみ)
樹齢300年以上の黒松
直径1m以上のケヤキの巨木
門
◇ ◆ ◇
今から250年前(1775年)と言われてもピンとこなかったので、ネットの年表で調べた。ちょうどこの年、アメリカ独立戦争が勃発したとある。わが国では田沼意次が幕府財政の改革に取り組んでいたころで、イギリスを中心とする産業革命の影響を受け、杉田玄白の「解体新書」が刊行された年(1774年)、平賀源内のエレキテル復元の年(1976年)などとある。
わが故郷・三重県はどうかというと、国文学者・本居宣長(1730年~1801年)が活躍したころで、松尾芭蕉(1644年~1694年)、河村瑞賢(1618年~1699年)、三井高利(1622年~1694年)などもいる。三井高利は日本橋に「三井越後屋呉服店」を開業した豪商として知られているが、記者は河村瑞賢のほうが記憶に残っている。全国各地で航路開拓や治水工事を指揮した豪商として高校の歴史の教科書にも出てくる。出身地の南伊勢町には石塔が建っていた。皆さんいかがか、そのころの三重県人の活躍は凄いではないか。
高齢化、無人化、空き家増…深刻化する過疎地域の集落浮き彫り 国交省・総務省調査
放置されたままの廃屋(2021年写す)
国土交通省と総務省は8月8日、合同で「過疎地域を始めとする条件不利地域における集落の現況把握調査」結果をまとめ発表した。令和元年度の前回調査時と比較して、無人化・減少・新たに誕生した集落は1,132集落に達し、住民の半数以上が65歳以上の集落の割合は10ポイント以上増加して40.2%に上るなど深刻な現状が浮き彫りとなった。
調査結果によると、条件不利地域に存在する集落数は78,485集落で、集落人口は1,432.9万人、1集落当たりの平均人口は184.9人。住民の半数以上が65歳以上である集落の割合は40.2%で、前回調査の29.2%から10ポイント以上増加した。(全国総人口における65歳以上人口の割合は令和元年の28.4%から令和6年は29.3%)
前回調査時点の調査対象地域における集落数は、前回調査から694集落減少した。内訳は、無人化した集落が296集落(0.4%)、集落再編により減少した集落が617集落(0.8%)、新たに誕生した集落が219集落(0.3%)となっている。
前回調査時に「10年以内に無人化する可能性がある」と予測された499集落のうち、今回調査までの5年間で実際に無人化した集落は63集落(12.6%)となった。
無人化が危惧される集落における、当該集落から市町村の中心部への主な交通手段はデマンドバス・乗合タクシー35.5%(前回29.6%)、公営路線バス28.6%(同32.1%)、民営路線バス21.6%(同26.0%)。
無人化が危惧される集落のうち、空き家の一部又は大部分で管理が不十分である集落は64.5%、道路・用排水路・河川などの管理が不十分又は荒廃している集落は47.1%。
調査対象とした12の生活サービス機能の立地状況について、無人化が危惧される集落では、当面存続するとみられる集落に比べ、すべての生活サービスで立地割合が低いが、とりわけ立地割合に差がある生活サービスは商店・スーパー3.6%(当面存続するとみられる集落は22.9%)、飲食店・喫茶店5.8%(同20.9%)、ATM2.5%(同12.0%)、病院・診療所1.7%(同9.4%)。
集落支援員や地域おこし協力隊等のサポート人材が活動する集落の割合は、集落支援員28.8%(前回19.3%)、地域おこし協力隊など22.0%(同19.9%)。
「条件不利地域」とは、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法、山村振興法、離島振興法などにより、人口減少・高齢化が進み、財政力指数が0.5以下の全国1,718市町村の63.2%に該当する1,085市町村を指す。
「集落」とは、一定の土地に数戸以上の社会的まとまりが形成された、住民生活の基本的な地域単位であり、市町村行政において扱う行政区の基本単位として市町村が判断したもの。
◇ ◆ ◇
このリリースに全国紙5紙は翌日の9日付朝刊では反応しなかったが、共同通信は「65歳以上の高齢者が住民の半数以上を占める『限界集落』は、2024年4月時点で3万1515に上ったことが8日、国土交通省と総務省の調査で分かった」と配信したようだ。
共同通信が「限界集落」としたのは間違いではないが、正確ではない。国交省と総務省のリリースは「条件不利地域」を調査対象にしたもので、「限界集落」の文言は使われていない。
「限界集落」とは、ウィキペディア(Wikipedia)によると「地域人口の50%以上が65歳以上の集落。若者が流出し、冠婚葬祭などの社会的共同生活を維持することが限界に近づきつつある集落のこと」で「社会学者の大野晃が、高知大学人文学部教授時代の1988年に最初に提唱した概念」とある。
みんなバブル景気に浮きたっていたときに、「限界集落」なる概念を打ち出し警鐘を鳴らした大野氏の慧眼は称賛に値するが、「65歳以上の人口比率が50%以上」という定義はやや乱暴だとずっと考えてきた。
「限界集落」であっても社会的経済的に自立している自治体(集落)はたくさんあるはずで、高齢化人口比率のみが集落の衰退を招く主要な要因ではないことを記者は取材で実感している。首都圏のある駅前郊外住宅地を取材したが、1戸当たり土地面積が20~27坪、建坪が15坪という貧しい街づくりにあった(昭和50年代の開発なのでやむを得ない部分はあるが)。
この団地は現在「3分の1は空き家、空き地、駐車場」(居住者)になっており、乱杭歯か歯抜けトウモロコシ状態になっている。ここまで放置してきた自治体の責任はあるが、根本的には絶対的排他的土地所有権が対応を困難にしていると思う。
「限界集落」対策は重要な課題だが、それよりむしろ、「条件不利地域」(もう少しわかりやすい言葉はないのか)を抱える市町村が63.2.%にも達していることに注目すべきだ。大半の集落は〝便利地、好立地〟ではない〝不利地〟ということだ。官民学挙げてこの〝不利地〟を〝便利地、好立地〟に転換する手立てを考えてほしい。〝令和の米騒動〟はわれわれの死活問題であるはずの生活基盤がいかに脆弱であるかをさらけ出したが、減反政策は55年前の昭和45年(1970年)に開始された。そのつけが回ってきたということだ。過疎3法の施行も同じ昭和45年(1970年)だ。都市と農村の格差・対立が激化したころだ。
続・駅前の限界集落後期高齢者は4人に1人の割合〝死中に活〟光明見出す声も(2021/9/26)
集合住宅(RC造)は前年同月比5.0%増 7月の建設物価 建築費指数
建設物価調査会は8月8日、2025年7月の東京都の「建設物価 建築費指数」(2015年=100)をまとめ発表。集合住宅(RC造)の指数は139.0と前月比0.1%増、前年同月比5.0%、事務所(S造)は137.7と前月比0.0%減で前年同月比3.0%増、工場(S造)は136.4と前月比0.1%減、前年同月比2.3%増、住宅(W造)は143.1と前月比0.3%増、前年同月比3.4%増となった。
プラス寄与は、大手メーカーによる金属製建具の値上げや国際的な銅相場の上昇を要因とする電線類の価格の引き上げなど。マイナス寄与は、長引く建築需要の低迷から、価格競争が激化しているH型銅や異形棒鋼などの続落のほか、上水道用鋼管の下落など
自然と人と街をつなぐ「BLUE FRONT SHIBAURA アートツアー」 野村不動産
フランシス真悟「Ring of Light」
野村不動産は8月6日、「BLUE FRONT SHIBAURA アートツアー」を開催。アート&カルチャープロデューサー・小林裕幸氏がガイド役を務め、3階エントランスの絵画を描いた作家のフランシス真悟氏がゲスト役となって4か所のアート作品について詳細な説明を行った。午前中の「BLUE FRONT SHIBAURA メディアセミナー」と合わせ1日がかりの取材だったが、とても楽しい1日だった。
「アートツアー」では、3階エントランス正面のフランシス氏の「Ring of Light」、この作品と向き合う形で設置されているベ・セファ氏(Bae Se Hwa)の「Meditative Garden」、3階吹き抜け部分の鈴木康弘氏の「無限大をひらく」、28階エントランスのWOW ink.の「Flowing Presence」が紹介され、15の音で多層的な世界観を表現するサウンドスケープについても説明された。
小林氏は、「設計デザインを担当した槇文彦さんと野村不動産さんから話を聞いたのは2022年。〝これは面白いぞ〟と思った。海や空の自然と人々をつなげるコンセプトに共感した。槇さんの最後の作品になったのではないか(槇氏は昨年6月死去。享年95歳)」と語り、それぞれの作品について説明した。
フランシス氏の「Ring of Light」は、1枚2.6m×2.6mの全5枚の油絵。空の青や海の青を基調に見る角度、時間帯によって刻々と変化する自然を表現している。フランシス氏は「仙厓(1750年~1837年の臨済宗の禅僧で画家)に着想を得た。四角いモノ・建物と丸い自然・人が共生する世界を描いた」と語った。
色は光源・物体・視覚の三要素からなる。記者も油絵を描くが、見る角度で油絵の色が変わることなどありえない。なぜか、フランシス氏に聞いたら雲母を絵具の中に練りこんでいるとのことだった。これで謎が解けた。雲母は見る角度によって色が異なる。フランシス氏は下地に塗ったブルーも含め約1年で仕上げたそうだ。
「Meditative Garden」について小林氏は、「ベ・セファ氏は韓国人アーティストで、芝離宮のランドスケープに着想を得て、オーク材を蒸して流線形に仕上げた唯一無二の作品」と讃えた。細長いオーク材3本をつなぎ合わせたものだが、どうしてこのようなことができるのか、記者は絶句した。
ベ・セファ「Meditative Garden」
鈴木康弘氏の「無限大をひらく」はについて小林氏は、「作品はアルミ製。槇文彦氏が鈴木春信の『雪中相合傘』をモチーフにしたように、この作品も1本の傘に寄り添う2人になぞらえて設計されたエピソードにインスピレーション得ている。ファスナーのGipは同じように見えるが、人も建物も全て異なるのと同じ、鈴木氏の世界観がここに表現されている」と語った。
鈴木康弘「無限大をひらく」
28階の「Flowing Presence」についてプロデューサーの萩原豪氏は、「ここで働く約2万人のワーカーの過ごし方の変化をセンサーが感知し、様々なデータも装置に入れて、海や空も同じように二度と同じ形にはならず、その意味ではワーカーがつくっていくインタラクティブアート」と説明した。この28階は一般の人の入室は不可だが、小林氏は「土曜、日曜を利用してアートツアーも企画したい」と話した。
WOW ink「Flowing Presence」
小林氏(左)とフランシス氏
◇ ◆ ◇
先日(8月3日)、三菱地所が行った「石神の丘美術館」所蔵石彫の完成を記念する除幕式を取材し、石彫を制作した作家のケイト・トムソン氏から直接話をうかがったばかりだ。この日もまた、作家・フランシス氏から直接話を聞くことができた。
ケイト氏はイギリス生まれ、フランシス氏はアメリカ生まれの違いはあるが、移り変わる自然と人のかかわりを描いているのは共通する。「アートがそれぞれ主張するのでなく、周囲と共存しているのがここのアートの特徴。海も空も国境を越えてどこかでつながっている」と締めくくった小林氏の言葉が印象に残った。
槇文彦「恵比寿東公園」トイレ
柔軟オフィスは生産性・WB・仕事の先延ばしに好影響永山晋・一橋大大学院准教授(2025/8/7)
「TOKYO TORCH PARK」から石彫アート〝月の恵み〟発信三菱地所×岩手県岩手町(2025/9/4)
〝表と裏をひっくり返し世界一の街に〟野村不「CULTURE FRONT」トークイベント(2024/11/26)
野村不&JR東日本芝浦PJ「BLUE FRONT SHIBAURA」イメージは寄り添う夫婦(2024/5/31)
柔軟オフィスは生産性・WB・仕事の先延ばしに好影響 永山晋・一橋大大学院准教授
多田氏(左)と永山氏(BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S 28階ラウンジで)
野村不動産は8月6日、「BLUE FRONT SHIBAURAメディアセミナー」を開催し、同社と共同研究を行っている一橋大学大学院ソーシャル・データサイエンス研究科准教授の永山晋氏(43)が、学術誌Scientific Reportsで審査中の「オフィス環境は職場のパフォーマンスに影響を与えるのか? 」をテーマにした論文内容を報告。多様な場所が選択できるオフィス環境(柔軟オフィス)は生産性、ウェルビーイング(WB)、仕事の先延ばしにポジティブな影響をもたらすと語った。
セミナーの冒頭、同社芝浦プロシェクト事業部・多田剛孝氏は「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」の概要などについて説明し、「専有部の約10%の3,300坪(10,890㎡)の共用空間を用意しており、これほどまでの共有空間を有するオフィスは国内にそうない」とし、約1,500坪(4,950㎡)の28階のラウンジなどを含め、「世界最高水準の圧倒的な共用空間」を強調した。
永山氏との共同研究については、「多様な場所、チョイスがあることで何がよくなるか、具体的に明らかにできればさらに説得力が増すという仮説のもとに、先生にお声掛けした」と説明した。
これを受け、永山氏は学術的な背景として、多様な場所が選択できるオフィス環境(柔軟オフィス)はワーカーのパフォーマンスを高めるのか、ポジティブ、ネガティブのどちらの結果も併存し、実験的手法が限られており、因果の理解も限定的であるとしたうえで、柔軟オフィスがもたらす矛盾を説明しうる3つの要因(①オフィス環境から「資源」をうまく得られるか②個人的特性③ワークスタイル)に焦点を当てフィールド実験を行ったと話した。
実験は、野村不動産の新宿本社勤務社員195名を対象に、新宿本社の固定オフィス勤務要請50名と、浜松町のトライアル柔軟オフィス勤務要請145名に分け、柔軟オフィス勤務と固定オフィス勤務とでは生産性・ウェルビーイング・仕事の先延ばしがどうなるかをBefore&Afterの2度にわたるアンケートにより検証した。
柔軟オフィス勤務要請を行った145名のうち柔軟オフィス勤務を選択したのは94名で、残りの51名は固定オフィス勤務選択した(要請にもかかわらず固定オフィス勤務を選んだ人の気持ちはよくわかる)。
アンケートの結果、柔軟オフィスを積極的に活用した場合のパフォーマンス・スコアは、固定オフィスと比較し、生産性は18.8%、ウェルビーイングは22.3%、仕事の先延ばしは19.8%低い水準となった。
柔軟オフィスでリラックスして仕事をする場所の多様性は生産性と仕事の先延ばしに対してポジティブな影響を及ぼし、集中して作業する場所の多様性も、生産性に対して有意にポジティブな影響を持つことを示唆した。一方で、同僚とのコミュニケーションをする場所の多様性、フォーマルな会議を行う場所の多様性、カジュアルな雰囲気で行う場所の多様性の影響については有意な影響は検出されなかったという。
この結果について、永山氏は、誠実性が高い人、リラックスしながら多様な場所を活用する人にとって柔軟オフィスは有効であると話した。
また、先延ばしは、現在と将来の報酬と労力の評価のバランスによって決定され、資源の低下は、近視眼的思考を引き起こし、とりわけ、将来生じる労力を過小評価し、「計画の誤謬」をもたらすと語った。
BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S 28階ラウンジ
◇ ◆ ◇
とても興味深いセミナーだった。「世界最高水準の圧倒的な共用空間」を備える「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」の入居企業の生産性、ウェルビーイング、仕事の先延ばしの数値は劇的に変わるのか。そのBefore&Afterを報告してほしい。
ただ、実験についていくつか分からないことがある。永山氏は「資源」とは認知、社会、構造、物理(ストレス・集中力、人間関係、仕事の自由度、機材の質など)と定義づけており、記者が重要な資源だと考えている価値の可視化が難しい「デザイン」「みどり」「音」「色」「アート」などはどうなっているのだろうか。
もう一つ「誠実性」について。永山氏は、誠実性は心理学のビッグファイブモデルの一つ(他は外向性、神経症傾向、開放性、協調性)で、「柔軟オフィスでは、誠実性が低い人に対してマネジメントの工夫が必要」と話した。
外向性や協調性に欠け、不真面目の権化のような記者はぐうの音も出ないが、28階ラウンジはビッグファイブのいずれも低いレベルにある多種多様なワーカーを受容するような気がするし、環境が全てを決定するものでもないと思う。職住近接の宿舎が与えられ、喫煙室完備の会館も利用できる究極の柔軟オフィス環境を享受できている国会議員の先生方は誠実性に欠ける人ばっかりだ(記者が選挙に行かないのは、そのような人と関わりたくないからでもある)。
〝空と海と緑と〟最高にいいスカイラウンジ「BLUE FRONT SHIBAURA」南棟開業へ(2025/6/13)
三井不動産 ロジスティクス事業 国内外78施設 約610万㎡ 累計投資額1兆3,000億円
篠塚氏
三井不動産は8月1日、ロジスティクス事業に関する記者説明会を開催し、同社常務執行役員ロジスティクス本部長・篠塚寛之氏は2025年度に6物件の着工を予定しており、国内外の開発施設は78件、総延床面積約610万㎡、累計投資額は約1兆3,000億円に達し、今後もコンスタントに事業を展開していくと語った。
篠塚氏は、2024年度に竣工したのは「Mistui Fudosan Logistics Park(以下、MFLP)仙台名取Ⅰ」「MFLP名古屋岩倉」「MFLP東京板橋」「MFLP横浜新子安」の4物件で、2025年度竣工予定は「MFLPつくばみらい」「MFLP一宮」「MFLP尼崎Ⅰ」「MFLP仙台名取Ⅱ」「MFLP入間Ⅰ」の5物件、2025年度着工予定は「MFLP海老名&forest」「MFLP三郷」「(仮称)淀川区加島物流施設計画」「MFLP京都八幡Ⅰ」「(仮称)MFLP杉戸」「水戸ロジセンター」の6物件と説明。
この結果、竣工済みは58物件約465万㎡、開発中は20物件約145万㎡、合計78物件約610万㎡で、2012年の累計投資額は約1兆3,000億円にのぼると語った。
篠塚氏はまた、「&INNOVATION2030」の長期戦略に基づき、事業戦略は①街づくり型開発、課題解決型開発による付加価値創出②データセンターや冷凍・冷蔵倉庫の開発促進、工場・インフラ設備など事業領域の拡大③三井不動産グループの保有材の活用、グリーン電力の創出などESGへの取り組み強化-の3本柱を推進し、単なる物流施設にとどまらず、①データセンター②BTS 型(オーダーメイド型)物流施設③冷凍冷蔵倉庫④ラボ・研究開発施設⑤賃貸工場など、オフィス・研究開発・ラボといったマルチユース機能を備えた複合業務施設の開発を促進すると語った。
地域社会との共生・連携では、「MFLP船橋」の「MFLPプレミアムフェスタ2024」には来場者約5,000人、「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」の「MIRAI FES」には来場者約3,000人が集まった。
事業領域の拡大については、2014年に参入したデータセンター(DC)については、世界のモバイルデータ通信量が今後5年間で年平均23%の成長を遂げると予想されていることを受け、現在の累計投資額約3,000億円を2035年までに約6,000億円に拡大する。「MFIP海老名」では、「MFIP羽田」に続きオフィス・研究施設が入居することが決まっている。また、新規事業「mitaseru」の製造工場を「MFLP船橋」に新設する。
ESGへの取り組みでは、「MFIP海老名&forest」には建物構造の一部に木材を採用し、三井不動産グループが所有する北海道の森林の木材を構造材や内装・仕上げ材に使用している。
「MFLP船橋」
「MFIP海老名&forest」
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