建築業界に革命もたらす BIMの全面導入と工期圧縮 大和ハウス勉強会

大和ハウス工業 配布資料から
大和ハウス工業は4月13日、メディア向け「業界動向勉強会<建設DX(2026年)篇>」を開催。日本ERI BIM推進センター長・関戸有里氏が建築確認におけるBIM審査について、大和ハウス工業技術本部技術戦略部DX・BIM戦略室長・宮内尊彰氏が同社のBIMへの取り組みについてそれぞれ説明した。BIM(Building Information Modelling)は、建設業界が抱える深刻な人手不足、技能者の高齢化に対応し、建築基準法の厳格化による設計図書の作図・審査時間を劇的に短縮し、現場工事へのPC工法の導入などで革命的な変化をもたらすことを、専門的なことはさっぱりわからない記者でもよく分かった。
勉強会の冒頭、関戸氏は建設業界が抱える課題について、他業種と比べて人手不足が深刻で、60歳以上の技能者が全体の約4分の1を占めるなど高齢化が進んでおり、担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上は喫緊の課題だと指摘。また、一級建築士の高齢化も進んでおり、60歳以上の割合は10年前と比べ3倍の4割に達しており、平成19年の建築基準法の厳格化に伴う確認申請図書作成時間の増加、確認審査時間の増加も大きな課題の一つと説明した。
BIM(Building Information Modelling)は、コンピュータ上で作成した3次元の形状情報に、室などの名称、面積、部材の仕様、性能、仕上げなど物件特性情報を入力し、図表や表などを作成し、変更した場合も即座に反映できるシステム。
モデルを基にした情報は必ず整合し、発注者、設計者、審査員にとって大きなメリットがあり、国が推進するSociety5.0が目指す超スマート社会の実現に寄与すると語った。
宮内氏は、2017年に非住宅の全設計担当者約600人を対象にBIMを導入し、2018年の国内初のBIM審査試行から、同業他社を圧倒する約1,400件の建築物を建設し、2026年のBIM図面審査開始、2029年のBIMデータ審査に準備を整えていることを報告。「独自のBIM審査とCDE(共通データ環境)を活用することで、申請者及び審査者間でのコミュニケーション品質向上に一定の効果があることが分かった」と語った。

関戸氏(左)と宮内氏
◇ ◆ ◇
冒頭に「建築業界に革命的な変化をもたらす」と書いたが、これは大げさな表現ではなく、あと2~3年で実現すると記者は予測している。その根拠を示そう。
先月末、プレハブ建築協会の「2025年度プレハブ建築協会活動紹介・懇親会」が行われたのだが、PC建築部会広報安全委員会委員長・黒沢亮太郎氏は、「プラウドタワー渋谷」の事例などを紹介し、「(PC工法)は1層当たり7日間で積み上げる」「現場打ちコンクリート構造による施工は労働力不足、技術の伝承、労働環境や日数、SDGsなどの点から拡大は難しく、PC工法の採用に期待が高まってきている」と語った。
これまで建築物の1層当たりの建設日数は1か月くらいのはずだ(確か、鹿島だったと思うが1層当たり半月で積み上げる工法を開発した)。先日も同協会PC建築部会の3人の方に話を聞いた。近く記事化するので合わせて読んでいただきたい。工期は劇的に短縮される可能性がある。
そして、今回の勉強会。マンションなどの建築確認などの取材で役所にはよく訪れたが、机の上には担当者の姿が隠れるほどの書類が積み上げられ、棚には1件当たり数冊のファイルが収められている光景を覚えている。
現在は、あらゆる業種でDXの取り組みは進んでいるが、建築確認申請書類は「紙」なのは変わらないはずだ。宮内氏は、案件によっては何千枚にも及ぶ書類を整えなければならないと話した。全国の確認申請書類を積み上げたら、高さはどれくらいに達するか、エベレストを超えるかもしれない。BIMの導入によって、図面作成・審査の時間が圧縮され、紙の無駄も省かれる。これを金額に換算したらいくらになるか。
関戸氏は、「BIMシステムの中小企業への普及は金額が課題」と話したので、その金額を聞いたら「一人40~50万円」とのことだった。そこで、宮内氏に何人かと聞いたら「非住宅の担当者全員だから約600人(600×40~50万円=2.4~3.0億円)で、習熟度は人によって異なるが、教育には2017年から2020年まで3年間かけた」と話した。
勉強会では、BIMの全面導入によって、設計―確認申請-許可の時間はどれくらい短縮されるか聞き忘れたが、案件によっては数か月短縮されるのは間違いない。
課題も考えた。MIMシステムの導入と工期圧縮でコストは激減するはずだが、経済合理性と建築物を利用する人の満足度は必ずしも一致しないはずだから、発注者・設計者に求められるのはいかに利用者のニーズを先取りして取り込むか…マネジメント能力が問われる…これはAIには無理な仕事ではないか。
「7日で1層仕上げるPC工法」 部会〝七人の侍〟怪気炎 ブレ協 活動報告・懇親会(2026/3/31)
DXとCEが世の中を劇的に変える 大和ハウス「業界動向勉強会<建設DX篇>」(2024/12/21)
驚嘆 2030年の年間DX投資額350億円に拡大三井不「DX VISION 2030」策定(2024/8/5)
三井不・三井不レジ 分譲マンション・戸建て 契約から入居手続き 全て電子化へ(2021/7/26)
あっぱれ! 率先垂範 国土交通省不動産業課がフリーアドレス・ペーパーレス化実践(2018/12/21)
「発注者、設計者、施工者、入居者にもメリット」プレ協PC建築部会担当者
PC工法の位置づけ
| 構 造 | 工 法 | 主なPC部材採用部位 | |||
| 木(W)造 | 軸組工法 | ※ | |||
| 2×4工法 | ※ | ||||
| ユニット工法 | ※ | ||||
| 鉄骨(S)造 | 軽量鉄骨造 | 在来工法 | ※ | ||
| プレハブ工法 | ※ | ||||
| 重量鉄骨造 | 在来工法 | 基礎、免震基礎、内外壁、外壁、階段など | |||
| プレハブ工法 | ※ | ||||
| ユニット工法 | ※ | ||||
| 鉄筋コンクリート(RC)造 | 在来工法 | 基礎、免震基礎、内外壁、外壁、階段など | |||
| PC工法 | W-PC工法 | 構造躯体、その他各部位 | |||
| R-PC工法 | |||||
| WR-PC工法 | |||||
| 鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造 | 在来工法 | 基礎、免震基礎、内外壁、外壁、階段など | |||
| PC工法 | SR-PC工法 | 構造躯体、その他各部位 | |||
プレハブ建築協会のPC建築部会提供資料※基礎などで採用実績がある
プレハブ建築協会のPC建築部会幹事PC部材品質認定事業委員会委員長・福田務氏、同協会PC建築技術担当部長・川村敏規氏、同協会PC建築部会副幹事長・上山靖氏の3氏から「PC工法」について話を聞いた。目的はPC工法の普及・拡大の一点。以下の記事は、「建築業界に革命もたらす BIMの全面導入と工期圧縮大和ハウス勉強会(2026/4/13)」「「7日で1層仕上げるPC工法」部会〝七人の侍〟怪気炎ブレ協活動報告会(2026/3/30)」と一緒に読んでいただきたい。「建築業界に革命」もたらす」のは間違いないことを確信できるのではないか。
まず、冒頭の図表をしっかり確認していただきたい。この構造と工法の位置づけを理解しないと、前に進めない。全ての構造・工法の部位にPC部材が採用されていることが確認できる。
しかし、国土交通省の住宅・建築着工統計データにはプレハブ工法、2×4工法はあっても「PC工法」はないように、PC工法・PC部材だけで構築された建築物はごくわずかしかなく、建築物のどの部位にPC部材が採用されているかを判別するのは容易ではないようだ。PC工法に関する定量的なデータもない。「柱と梁のジョイント部分を見ればRCかPCかが分かるケースはあるが、化粧されていると分からない」(福田氏)とのことだった。
取材で福田氏は、PC部材ができるまでの型枠組立-配筋、部品取付-打設前検査-コンクリ打込-仕上げ-強度検査-脱型-製品検査-ストック-出荷前検査-出荷にいたる工程を動画付きで説明した。工場は、1年間くらい製品をストックすることもあるので、敷地広さは4万㎡から大きいものは10万㎡規模もあるという。部材の寸法はミリ単位で調整し、ビル・マンションなどの柱や梁は1本で10tを超えるものもあるという。
上山氏は「PCは適材適所に対応しているもの。RC造のいろんな部位に使っていただければ、発注者にも設計者にも施行者にも、そして入居者にも必ずお役に立てる。特殊なものではない。大手だけでなく、中堅もいろんな部位に使っていただきたい」と語った。
川村氏は「プレ協の全国に約90か所ある認定工場は、使用される生コンクリートはすべてJIS規格同等に管理され、性能はもちろん、オペレーションや検査の仕方も含めて、微に入り際を穿つ基準に基づいて工場として認定している。安心して使っていただける会社ばかり」と話した。
3氏とも話し合ったのだが、今は建築もハイブリッドの時代だ。すべての構造・工法にPC部材が採用されており、一方で「木」が多用されているように、現行の概念だけで理解するのは不十分で、複合的に捉えることが必要だ。機会があったら、国交省にも聞いてみたい。
概念といえば、「PC」はPrecast Concreteで、「Pre」は「前もって」という接頭辞、「cast」は鋳造すると訳されるのは分かるのだが、一般社団法人プレストレスト・コンクリート建設業協会(会員数35社、賛助会員48社)では「PC」はPrestressed Concreteの略だとされている。「stressed」は圧力をかけたと訳されるのだろうが、新たな疑問もわいた。鋳造したコンクリと圧力をかけたコンクリの差はどこにあるのか、Prestressedは高強度コンクリのことを指すのか。木造にも高強度の「Gywood(ギュッド)」がある。
知らないことを知ると知恵の輪が解けたような気がするが、知れば知るほど新たな疑問もわく。だから記者はやめられない。

プレストレスト・コンクリート建設業協会資料から
建築業界に革命もたらす BIMの全面導入と工期圧縮大和ハウス勉強会(2026/4/13)
「7日で1層仕上げるPC工法」部会〝七人の侍〟怪気炎ブレ協活動報告会(2026/3/30)
〝どえりゃでかい開発は外様ばっかや。どもならんがな〟三菱地所他「名古屋栄」続編

「ザ・ランドマーク名古屋栄」
以下の記事は、「栄の中心地に大規模複合施設三菱地所他『ザ・ランドマーク名古屋栄』」竣工(2026/9/9)」と合わせ読んでいただきたい。
「ザ・ランドマーク名古屋栄」のメディア発表会で三菱地所執行役員中部支店長・茅野静仁氏は、「このプロジェクトは、2020年3月に事業着手し、2022年7月に着工してから4年近くの今年3月末に竣工した。竣工はスタートだと認識しており、6月の商業・シネコンやコンラッドの開業に向けしっかり準備する。そして、今後5年、50年、100年先まで皆さまに愛していただけるよう、名古屋はもちろん国内外の方々に来ていただける、エリア全体の回遊性を高め、経済も回ることにもつながるウェルビーイングな街づくりを進めていく」と挨拶。また、オフィス入居率は98%で、残りの2%の坪賃料は名古屋圏最高の4万円であることを明らかにした。関係者によると、名駅でも坪賃料は3万~3.5万円で推移しているようだ。
続いて、同社中部支店第2事業ユニット副主事・服部謙吾氏がプロジェクトの概要説明を行い、「世界と人とまちをつむぐ文化・交流価値創造拠点となる、未来の名古屋をリードする新たなランドマークとなることを目指す」などと語った。
服部氏が説明したように、〝紡ぎ、織りなし、纏う〟外観・内装デザインは最高に素晴らしい。上層部のホテル階は空に伸びる「糸」を、ガラス面を多用。中層のオフィス階は縦横の「糸」の交わりを、下層階のシネコン階は「糸」をより密に織りなし、見る角度、日の当たり具合で多様な表情をみせるようそれぞれ表現。低層部ファサードは外装全体を舞台の幕を、基壇部のテナントは舞台と見立て、訪れる人は観客であり、これから始まる演劇の幕開けのように、街の人々の心をひきつける建築を目指しているという。内装にも、織物をイメージした格子や文様が多用されている。
服部氏は、RBA野球大会でエース・社がボストン勤務に異動したとき、代わりに投げた。

24階から大通りを見下ろす

エレベーターホール(織物の柄のように見える)

アルミの格子にも微細な文様が施されている

内装壁のタイル

基壇部

茅野氏(ひだり)と服部氏
◇ ◆ ◇
茅野氏も服部氏も、その後の質疑応答のメディアの方々も名古屋弁を話さなかったのに、三重県伊勢出身の記者はやや失望した。かつて大阪本社の積水ハウス、大和ハウス工業、住友林業の社長・幹部などは東京でも堂々と関西弁をしゃべったのに畏怖すら覚えた。中部圏もまた極めて地元意識が強かったはずだ。
そこで、次のような質問を用意したが、指名されることはなかった(馬鹿な質問をするだろうと司会者が判断したのか)。生成AIのアドバイスを得て、ほとんどそのまま再現する。
「すまんのう。わしも地元やで、名古屋のこと応援したい気持ちはあるんやけどなぁ。けど最近のどえりゃデカいビルやマンション見とると、三菱やら三井やら積水、長谷工、野村、高島屋やら外様ばっかやに。ほんま、どもならんわ。地元の名鉄や三交、中電あたりも、全然顔出しとらんやんか。なんや寂しいがな。名鉄百貨店も、あかんようになってしもたしなぁ…。それに今年の地価公示も、東京や大阪にえらい差つけられて、しまいにゃ地方にも負けとるて、どういうことやに。ドラゴンズもずっと地べた這っとるしよ。なんでこんなことになっとるんやて。ちゃんとあんじょう、わかりやすぅ説明してちょうよ」(茅野氏はどのように答えるか聞きたかった)
街行く60~70代と思われる男性に感想を求めたら次のように語った。
「栄は寂れとるがね。三越の建て替えはとん挫しとるわ。みんな名駅や伏見に客取られとるでかんわ。ガラガラだがね。名古屋人は金のことばっか考えるんだわ。女はブランド好きで、男に使わせて買わせるんだて。男は車買って、おなごをつるんだわ」(これも生成AIのアドバイスを得ている)
栄の中心地に大規模複合施設三菱地所他「ザ・ランドマーク名古屋栄」竣工(2026/9/9)
タイセイ高橋が完封打線つながり完勝三菱地所エース社の穴埋められず(2017/7/10)
三菱地所・服部は「元プロ」ではなく「早大在学中にクラブチームに所属」(2017/7/15)
3月の工事原価 前年同月比 集合住宅5.5%、木造住宅5.9%上昇 建設物価調査会
一般財団法人建設物価調査会は4月10日、令和8年3月の建設物価建築費指数(東京:2015年平均=100)をまとめ発表。工事原価は、集合住宅(鉄筋コンクリート造)が前月比0.1%上昇(前年同月比5.5%上昇)、事務所(鉄骨造)が前月比0.2%上昇(同3.4%上昇)、工場(鉄骨造)が前月比0.2%上昇(同3.4%上昇)、住宅(木造)が前月比0.1%上昇(同5.9%上昇)となった。
コスモスイニシア 複合型ドッグリゾート「Ruff-Laugh Chiba(ラフラフ千葉)」開業

「Ruff-Laugh Chiba(ラフラフ千葉)」
コスモスイニシアは4月3日、千葉県茂原市の複合型ドッグリゾート「Ruff-Laugh Chiba(ラフラフ千葉)」を2026年5月30日(土)にプレオープンすると発表した。
事業は、「茂原市民間提案制度」に基づき2020年に閉園した「ひめはるの里」の利活用として提案し、採用されたもので、地域資産の再生と、新たな交流・観光拠点の創出を目指す。
施設は、東京駅から茂原駅まで特急で約55分、茂原駅からタクシーで約10分、茂原長南ICから車で約10分の千葉県茂原市上永吉1076−1に位置。全9棟の客室(Ruff-inn CABIN)はプライベートドッグラン付きで、宿泊者限定のプライベートテントサウナ、ファイヤープレイスを備え、日帰りでドッグパークの利用も可能。2026年4月27日(月)から宿泊の予約受付を開始する。
このほか、リードフリーで一緒に遊んだりすることができる「Ruff SQUARE (ラフスクエア)」、フードやドリンクを提供する「CAFE STAND (カフェスタンド)」、リードフリーでイヌとヒトがゆったりと過ごせる室内ラウンジ「Ruff LOUNGE (ラフラウンジ)」、チェックイン受付エリア「RECEPTION & SHOP (レセプション&ショップ)」などを併設している。
プレオープン期間の2026年5月30日(土)〜7月10 日(金)まで、1人税込7,700 円~(夕朝食別)の特別価格で提供する。

以下、完成イメージ




旭化成ホームズ 子育て賃貸「ヘーベルメゾン BORIKI」関西・西日本で展開拡大

「BORIKI ひがしおおさか」外観(左)と「BORIKI」 の庭
旭化成ホームズと旭化成不動産レジデンスは4月3日、子育て共感賃貸住宅「ヘーベルメゾン BORIKI」を大阪・西日本での展開を拡大すると発表。大阪府内の2棟、広島市の2棟の合計39戸が2026年8月と10月に竣工予定で、4月から順次入居募集を開始する。
「BORIKI」は、行政による子育て支援や子育て世帯の定住促進に注力しているエリアで、初めての子育てに不安を抱えながらも、気軽に相談できる環境が少なく、地縁の薄さから孤立しがちな子育てファミリーの課題に応えるために企画された賃貸住宅。
設計においては、入居者同士が自然に顔を合わせ、交流が生まれる空間づくりを重視しており、運営側が日常的に関わりながら交流のきっかけをつくることで、無理のない形で人と人がつながる住環境を整え、地域との緩やかな連携も取り入れ、地域とともに子どもを育てる環境づくりに力を入れているのが特徴。
新入社員の皆さんへ―「記事はラブレター」こだわり記者からのメッセージ
住宅・不動産、建設会社に入社された皆さん、心より歓迎いたします。住宅は人々の暮らしを支える基盤であり、不動産・建設は街づくりや社会インフラを担う重要な産業です。皆さんがこれから携わる仕事は、社会にとって非常に大きな意味を持っています。
社会人としての第一歩を踏み出すにあたり、日々の業務では「PDCA(計画・実行・評価・改善)」を意識しながら、企業理念やパーパスの実現に向けて努力を重ねていくことになるでしょう。
そのうえで、座右の銘を「人生は愛」、モットーを「記事はラブレター」とする記者の立場から、皆さんにぜひ心がけていただきたいことを二つお伝えします。
第一に、「CAT」という考え方です。ネコ(CAT)と覚えてください。これは仕事だけでなく、生き方の基本にもなるものです。
Cは「Compliance(コンプライアンス)」です。法律や会社のルールを守ることは大前提であり、すべての行動の基準となります。自分の行動が社会的に許されるものかどうか、常に意識してください。小さな気の緩みが、大きな問題につながることもあります。
Aは「Accountability(説明責任)」です。自分の行動について、誰に対してもきちんと説明できるかどうかを判断基準にしてください。説明できないことは、最初からしない。この姿勢が信頼につながります。
Tは「Traceability(追跡可能性)」です。もともとは製造業などで重視される考え方ですが、「自分の行動や判断の過程をたどれるか」と置き換えると、日々の仕事や生活の質を高めるヒントになります。なぜその判断をしたのかを振り返る習慣は、成長を加速させます。
第二に、「6つのM」という視点です。これは、変化を実現するために必要な要素として、スーザン・ジョージ著「これは誰の危機か、未来は誰のものか」(岩波書店・荒井雅子訳、2011年刊)で提示されている考え方です。Money(資金)、Management(マネジメント)、Media(メディア)、そしてMission(使命)、Motivation(意欲)、Myth(神話・物語)の6つから成り立ちます。
中でも重要なのは、「使命」「意欲」、そして「神話(人を動かす物語)」の重要性です。人は合理性だけでは動きません。「なぜそれをやるのか」という意味やストーリーがあってこそ、大きな力を発揮します。自分の仕事にどのような意味があるのかを考えることが、成長の原動力になります。
また、情報との向き合い方も重要です。テレビやインターネットなど、情報源は多様化していますが、主体的に情報を取りにいく姿勢が求められます。業界の動きを知ることは、自分の仕事の質を高めることに直結します。日々の情報収集を習慣化してください。
業界の動きを知るには業界紙誌がありますが、週刊タイプがほとんどで、デジタル化の取り組みも遅れています。そこで、お勧めしたいのは不動産流通研究所のWeb「R.E.port」です。毎日午後6時に10本くらいの記事が公開されています。無料で読めます。これを読めば住宅・不動産業界の動きは分かります。
記者のWeb「こだわり記事」も読んでいただきたい。歳のせいで記者の仕事に欠かせない〝遠耳長目〟は退行する一方ですが、現場に足を運び、自分の目で見て、自分の頭で考えて記事化しています。この積み重ねが、他にはない価値を生み出すと考えています。皆さんの仕事も同じです。
最後に、少しだけ余談です。社会人になると、酒席の機会も増えるでしょう。適度に楽しむことは問題ありませんが、節度を保つことが大切です。自分を見失わない範囲で付き合うことを心がけてください。〝酒(灰)で胃を洗う〟のはいいことですが、〝人酒を飲む、酒酒を飲む、酒人を飲む〟-小生も含めてこれは慎まなければなりません。
皆さんのこれからの活躍を心から期待しております。
三井不「三井アウトレットパーク多摩南大沢」B街区建て替え 店舗110店⇒150店へ
三井不動産は4月2日、東京都八王子市の「三井アウトレットパーク 多摩南大沢」建替え計画(B街区)の建築工事に着手したと発表した。開業は2028年春を予定しており、完成後は東京都最大級のアウトレットになる。
施設は、京王相模原線南大沢駅から徒歩2分に位置する敷地面積約約47,500㎡、延床面積約約53,970㎡。2000年に開業。
計画では、A街区は営業を継続しながらリニューアル、B街区は建替えを行い、東京都最大規模のアウトレットにスケールアップする。B街区の建替えにより、従前約110店舗は約150店舗へ拡大。顧客から要望が多かったフードコートを含む飲食機能を強化する。
同社はまた、2026年3月8日に八王子市と三井不動産商業マネジメントと「包括的連携に関する協定書」を締結し、地域社会の活性化、市民サービスの向上を図る。
栄の中心地に大規模複合施設 三菱地所他「ザ・ランドマーク名古屋栄」竣工

「ザ・ランドマーク名古屋栄」久屋大通南側からの外観
三菱地所、J.フロント都市開発、日本郵政不動産、明治安田生命保険、中日新聞社の5社は4月9日、2026年3月31日に竣工した「ザ・ランドマーク名古屋栄」の竣工式&メディア向け内覧会を実施した。
物件は名古屋随一の商業エリア「栄」の中心に位置し、「世界と人とまちをつむぐ文化・交流価値創造拠点となる未来の名古屋をリードする新たな"ランドマーク"」がコンセプト。竣工前で成約率約98%に達しているオフィスのほか、東海エリア初の「コンラッド・ホテルズ&リゾーツ」、栄エリア初の「TOHOシネマズ」、商業施設「HAERA(ハエラ)」が整備されている。
外装デザインコンセプトは、紡績の街として発展してきた同地の歴史を継承するため"紡ぎ、織りなし、纏う"とし、様々な色の糸から美しい錦織物が出来上がり、新しい栄の未来(織物)が出来上がっていくさまを表現している。
31~40階の「コンラッド・ホテルズ&リゾーツ」は、「コンラッド」ブランドとしては名古屋初で、「ヒルトン」としては「ヒルトン名古屋」に続く市内2軒目。ホテルデザインには製造業やクラフトマンシップで知られる愛知県のアートや精巧な職人技を随所に取り入れている。
33~40階の客室は全170室(うちスイートルーム29室)。スタンダード客室は約50㎡で名古屋地区で最大級の広さ。31階にはロビーラウンジやオールデイダイニング、32階にはスパや屋内プール、ジム、40階にはルーフトップバーやレストラン、エグゼクティブラウンジを設けている。10階と11階には約180名の宴会場を備え、12階はオフィスエントランス・スカイロビー。
12~30階のオフィスフロアは、総貸付面積約26,000㎡。基準階面積約1,600㎡(約480坪)。竣工前の成約率は約98%に達している。
5~9階の「TOHOシネマズ 名古屋栄」は、全10スクリーン1,655席を設置。東海エリア初の「プレミアムシアター」「轟音シアター」を提供する。
B2~4階の「HAERA」は、J.フロント リテイリンググループが主導する大丸松坂屋百貨店とPARCOが手掛けたラグジュアリーモールが入居している。
広場の大部分には人工芝を整備し、南東面、南西面それぞれに約30㎡の大型モニターを設置し、情報発信拠点としている。
環境配慮の取り組みとしては、CO2フリー電力の導入、緑化面積20%以上、屋上緑化、「名古屋市建築物環境配慮制度(CASBEE 名古屋)」最高位のSランク、東邦ガスの地域冷暖房プラントの導入など。
物件は、名古屋市営地下鉄東山線・名城線栄駅直結、名古屋市中区錦三丁目に位置する敷地面積約4,866㎡、地下4階地上41階建て延床面積約約109,700㎡。主要用途はホテル、オフィス、シネコン、商業、駐車場。設計は三菱地所設計、竹中工務店、監理は竹中工務店。コンストラクションマネジメントは三菱地所設計、施工は竹中工務店。着工は2022年7月1日、竣工は2026年3月31日。

外観 北西側

オフィスラウンジ(13F)

オフィススカイロビー

ホテルロビーラウンジ(31F)

ホテルスイートルーム

屋上広場
◇ ◆ ◇
中部三県(愛知・岐阜・三重)の経済構造は、圧倒的なシェアを誇る自動車産業(輸送用機械製品の全国シェア52.5%)を筆頭に第二次産業の収益力が強いために、地域内の企業で自己完結する〝自前主義〟や地域の集団を重視する〝地域気質〟の保守性が指摘されてきた。
記者は、出身の三重県を離れて60年になるが、当時は、電力は中部電力、銀行は東海銀行(三重は百五銀行)、新聞は中日新聞(同伊勢新聞)、交通は名鉄(同三重交通)が独占的な地位を占めていた。今でも中日新聞の中部三県の購読シェアは50%近いはずだ。
この保守的な経済構造がデジタル・グローバル化への対応を遅らせたという指摘もある。リニア中央新幹線の開業が起爆剤となり、三大都市圏の「スーパー・メガリージョン」を牽引するのは中部圏だと期待されていたが、開業は大幅に遅れる見込みだ。
中部圏社会経済研究所の2026年度の東海3県の経済見通しは、「総じて、2026年度の東海3県経済は、家計部門の所得環境の改善が十分でなく、民間需要の自律的な拡大にはなお課題を抱える一方、設備投資の底堅さと外需・公需のプラス寄与によって、かろうじて1%成長を維持する拡大局面の兆しと位置づけられる」としている。
今年の地価公示でも〝低迷〟する名古屋圏を印象付ける結果となった。前年比上昇率では、3大都市圏の全用途平均4.6%、住宅地3.5%、商業地7.8%だけでなく、全国の全用途平均2.8%(名古屋圏2.3%)、住宅地2.1%(同1.9%)、商業地4.3%(同3.3%)を下回っており、地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)にも大きく引き離されている。今年2月には、名古屋駅前の名鉄百貨店が71年の歴史に幕を閉じた。
今回の「ザ・ランドマーク名古屋栄」の開業が地域経済の活性化に貢献することを期待しているのだが…事業者に地元のデベロッパーの名がないのは寂しい。
工事費上昇続く2月は前年同月比10.5%の坪107万円 国交省 建築着工統計
工事費上昇止まらず-国土交通省は3月31日、令和8年2月の建築着工統計をまとめ発表したが、工事費予定額は昨年同月の坪当たり単価96.9万円から10.5%上昇の107.1万円となった。
用途別の坪当たり工事費予定額は、居住用が92.3万円(前年同月比3.5%上昇)、非居住用は131.2万円(同20.7%上昇)となっている。情報通信業用、金融・保険業用、宿泊業・飲食サービス業用、教育・学習支援業用は坪単価200万円を突破している。
構造別では、木造は77.1万円(同4.2%上昇)、非木造の鉄骨鉄筋コンクリート造は219.3万円(同12.2%上昇)、鉄筋コンクリート造は144.88万円(同25.8%上昇)となっている。
工事費とは、工事原価や工事に伴う一般管理費などの工事価格と消費税額を合計したもので、土地購入代金、設計費、不動産取得税、受益者利益(補助金など)は含まれない。このため、分譲マンションや戸建ては発注者(売主)が利益を確保するためにこの予定価格に2~3割価格を上乗せして分譲するので、価格はさらに上昇する。


