泣くな!ユリノキ まるで〝墓標〟全300本超5mへ強剪定 加須市ゆりのき通り
電信柱より低く強剪定されている加須市・ゆりのき通り街路樹ユリノキ
今は昔。駅頭でハンドマイクを握り、「学生諸君、労働者諸君(正確には通行人の皆さん)」と呼び掛けたことがあった。しかし、この日(2月12日)、送迎バスの中にいるメディア関係者など20~30人の方に何の断りもなく突然、「皆さん、窓から見える街路樹のユリノキが大量に丸裸にされている光景を見ていただきたい」と呼び掛けた。
こんなことをしたのは打負けて初めてだった。不愉快に思われ、嫌われるのは承知の上だった。それほど腹が立ち、涙が出そうなほど悲しくなったからだし、一人でも同調してくれる人がいてほしかったからだ。そもそも、小生は「私はジャーナリストというものが好きではない。彼らはだいたい軽薄で、無駄口をたたき、途方もなく図々しい」(ミラン・クンデラ「冗談」=岩波文庫)そのものだし、自分自身が嫌なのに同業の方々に声を掛けるのは失礼でもあると思い、もう30年も昔に同業のメディアの方々と縁を切った(飲んでもいいと思う同業の方は数えるほどしかいない)。
ユリノキとは、住宅都市整備公団によって昭和61年に整備された「加須・大利根工業団地」(97.4ha)の市道「ゆりのき通り」に植えられている街路樹で、市の道路公園課によると総本数は約300本。今回、高さ約5mをめどに強剪定されたのは156本。
強剪定したことについては「強剪定するまでは高さが10m超のものが多く、大きくなりすぎて倒木の恐れがあり、電線が断裂される恐れもあるため。剪定に関し、市民からの(伐りすぎ)苦情は一切なく、工業団地入居企業からのクレームもない」と説明している。強剪定に要した費用は非公表(1本1万円では済まないはず)で、残りの約150本はいつ剪定するかは決まっていないという。
墓碑銘は「ユリノキ」
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もうこれ以上書かない。「RBA」「こだわり記事」「街路樹」「街路樹が泣いている」「神田警察通り」などで検索していただきたい。かなりヒットするはずだ。千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏が講演会で語った「街路樹虐待は自分の首を縛るようなこと」という言葉を紹介する。
小生は今、ブッダの思想を勉強中で、ブッダは「不殺生」「五戒」を説いた。小生はタバコを吸い酒も飲むのでこれには言葉もないが、「不偸盗戒」「不邪淫戒」はしていない。街路樹は基本的には自然樹形にして、強剪定は避けるべきだと思う。
それにしても、市民もそうだが、工業団地に入居する46の企業からも苦情が出ないのが不思議だ。ビッグモーター問題はどうしたのだ。〝喉元過ぎれば熱さ忘れる〟ということか。156本の〝墓標〟を見て何とも思わないのか。
樹高20~30mにもなるユリノキを高さ5mで伐るのは「強剪定」ではなく「伐採」だと記者は思う。泣くな!ユリノキ!人間なんて所詮そんなものだ。
Park-PFI活用「都立明治公園」来園者240万人突破 東京建物/公園を考える
都立明治公園
東京建物は2月3日、同社が代表構成団体となるTokyo Legacy Parks(TLP」)が開発・運営する都立明治公園(渋谷区・新宿区)の初年度来園者数は 240万人を突破したと発表した。
同公園は、都立公園として初めて都市公園法に基づく公募設置管理制度(Park-PFI)を活用した公園で、2025年1月31日で全面開業1 周年を迎えた。
同社はこの他、Park-PFIを活用した2026年開業予定の福岡市博多区の「明治公園整備・管理運営事業」に事業参画している。都内では同手法による東急不動産グループが主体の「都立代々木公園」の供用が2025年2月に開始される。わが多摩市の「TAMA セントラルパーク JV」が令和7年にオープンする。
都立明治公園「誇りの森」(左)と「インクルーシブ広場」
「明治公園整備・管理運営事業」イメージ図
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記者は、同公園に都合4度訪れている。タバコが禁止なのはどうかと思うが、確かにいい公園だ。利用者数が1年間で240万人超、1日当たり6.6千人を突破したという数字にびっくりした。
これほど利用者が多い公園は他にないわけではない。上野恩賜公園は年間1,000万人超、1日当たり2.7万人だから桁違いだ。他の施設はどうか。東京ドームシティの年間来街者は約3,800万人で1日当たり10万人、プロ野球の球団別2024年入場者数は阪神がトップで約301万人、わが西武は最低の約156万人だ。
では、公園が所在する渋谷区・新宿区内はどうだろうか。両区とも公園利用に関するデータを公表していないのでわからないが(調査を行っているかどうかも不明)、規模が約16,179㎡の明治公園と同じくらいの公園と比べたらまず他にないのではないか(規模が桁違いの「新宿中央公園」や、立地・コンセプトが異なるやはりPark-PFIを活用した「MIYASHITA PARK」のほうが多いはずだが)。
仕方がないので、千代田区が令和4年に行った公園利用に関する実態調査・アンケート調査を参考に、少し公園について書くことにする。
千代田区は、皇居や都立日比谷公園を抱えていることから緑被率が高く、一方で面積が23区最小で人口も約6.7万人と少ないことから、区民一人当たりの公園面積は約25.5㎡と23区で断トツであることが知られている。
これに異論をはさむつもりはないのだが、三菱地所が所有する丸ノ内北口ビル(丸の内オアゾ)で勤務していた経験からして豊かな緑を享受した実感はない。
例えば、いわゆる大丸有エリア(大手町・丸の内・有楽町)。地価は坪1億円近くするはずだ。同エリアで多くのビルを所有する三菱地所(丸の内だけで約30棟)は入居企業などとエリアマネジメント組織を立ち上げ、ウォーカブルな街づくりを推進している。仲通りはその代表だ。わが国でもっとも美しい街並みを形成しているのではないか。
しかし、課題も多い。大丸有エリアに公立図書館は一つもない(都立日比谷図書館はあるが)。ネットで調べたら、23区で図書館が最も少ないのは中央区で4館しかなく、次いで少ないのは千代田区の6館だ(1位は世田谷区の21館)。区域面積に占める設置率でも千代田区は13位、中央区は16位だ(トップは文京区)。
大丸有エリアには、都立日比谷公園を除けば区立公園は約1,357㎡の内幸町広場しかない。地価を坪7,000万円とすると時価は約290億円。区の利用実態調査によると、この広場の平日1日当たり利用者は367.5人、年間にすると約13.3万人だ。290億円の価値がある土地価格を利用者の数で割ると1人・1回当たり約22万円だ。広場の維持・管理費も含めるとものすごいコストをかけ、利用者もまたとてつもなく価値のある広場を利用していることになる。
区全体はどうか。区の調査によると、区内57か所の公園利用者は1日当たり約5.7万人で、1公園当たり995人だ(国土交通省の令和3年度 都市公園利用実態調査によれば、全公園の平均利用者数は2,161人)。
この数値をどう見るかだが、区の公園利用に関するアンケート調査(配布数21,324 通、回収数7,575通、回収率35.5%)では、「利用しない」子どもは43.3%、大人は19.7%にも上っている。大人の利用目的は「子どもと遊ぶため」が74.1%と他を圧倒している。利用しない理由を聞いたところ、大人の半数(複数回答)は「未回答」「その他」となっている。
これらの結果について、管理者(区)の視点から見た課題としてハード(ボール遊び、スケボー、遊具など)・ソフト(多数の禁止事項、樹木剪定、利用に関する要望など)とも利用者のニーズに応えられていない、利用されない公園がもったいない、整備手法に問題があるなどとしている。
課題の認識はあるようだが、問題は今に始まったことではない。改善しようとしなければ、課題を認識していないのと同じだ。
時とともに成長する「うめきた公園」 美しい「JAM BASE」先行街びらき(2024/9/4)
東建&東建リゾート 都市型スパ「TOTOPA都立明治公園店」3月22日開業(2024/3/16)
過去の記憶蘇る 東京都初のPark-PFI活用した「都立明治公園」完成(2023/11/4)
「多摩中央公園改修」の疑問氷解 樹木5000本 うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/10/21)
「使われ活きる公園」 逆読みは〝使われず危機に瀕する公園〟 国交省「公園検討会」(2022/11/1)
若い人で溢れかえる 「立体都市公園制度」を活用した三井不「MIYASHITA PARK」(2020/8/3)
今後の住み替え意向 現在持ち家・貸家とも借家、既存住宅を選択増加 国交省調査
国土交通省は1月31日、令和5年住生活総合調査結果をまとめ発表した。同調査は土地統計調査(総務省)と同年に5年周期で実施しているもので、今回は14回目。土地統計調査(総務省)の調査対象世帯から無作為に抽出した世帯約11.4万世帯にアンケート用紙を送付し、回収世帯数は約7.3万世帯(回収率約64%)。主なポイントは次の通り。
住宅・居住環境に関する総合評価は、持ち家・借家全体では「満足」が23%、「まあ満足」が55%で、「多少不満」「非常に不満」は21%。比率は10年前と比べほぼ横ばいで、持ち家・貸家別でもそれほど変化はない。
住宅の不満率は23%で10年前から2ポイント低下し、居住環境の不満率は27%で横ばいとなった。家族類型別の不満率の推移は、親と子からなる世帯(長子17歳以下)の不満率は18%(10年前24%)と堅調に低下しており、単独世帯(64歳以下)は24%(10年前24%)、高齢者世帯(単身65歳以上・夫婦家計主65歳以上)は20%(10年前18%)となった。
住宅について個別要素ごとの不満率は「高齢者への配慮(段差がない等)」43.4%、「断熱性」41.1%、「エネルギー消費性能(光熱費の節約)」39.7%、「地震に対する安全性」38.4%が上位となっている。
居住環境の不満率は、「近隣のシェアオフィスなど自宅や職場以外で仕事のできる環境」45.9%、「敷地やまわりのバリアフリー化の状況」43.2%、「文化施設(図書館等)の利便」37.4%、「周辺からの延焼のしにくさ」34.8%、「道路の歩行時の安全性」34.5%などが上位となっている。
家族類型別、持ち家・貸家別総合評価は、単独世帯(65歳以上)と親と子からなる世帯の不満率はそれぞれ23%、22%と他の世帯よりやや高くなっている。
過去5年間の住み替えの理由は、単独世帯(64歳以下)と持ち家の親と子供からなる世帯は「自宅を所有するため」がそれぞれ18%、24%と高く、持ち家は「子どもの誕生・成長・進学」22%、「世帯からの独立」8%、貸家世帯は「世帯からの独立」22%などとなっている。
単独世帯(64歳以下)と65歳以上の夫婦世帯は、「高齢期の住みやすさ」「立ち退き要求、契約期限切れ」(貸家)「転勤や転職」「世帯員の減少」「住宅の質の向上」「居住費負担の見直し」「家の相続」「家族との隣居・近居」など理由は様々となっている。
今後の居住形態の意向は、現在持ち家・借家の世帯ともに「借家への住み替え」「既存住宅への住み替え」の意向が増加しているのが顕著。「借家への住み替え」は現在持ち家は19%(10年前は16%)、現在貸家は49%(10年前は34%)となっており、新築住宅・既存住宅(持ち家)の意向では、「既存住宅」を選んだのは現在持ち家、現在貸家とも24%(10年前は14%)となった。
今後の住み替え意向がある世帯のうち、単独世帯(64歳以下)、親と子供からなる世帯は「広さや間取り」「通勤・通学の利便」を重視する一方、65歳以上の世帯は「広さや間取り」「高齢者への配慮」「日常の買い物などの利便」を重視している。
GHG削減、ネイチャーポジティブ取り組み強化 大和ハウス&住友電設 勉強会
小山氏(左)と広瀬氏(住友電設川崎テクニカルセンターで)
大和ハウス工業は1月27日、「業界動向勉強会<環境(2024年度>)を住友電設川崎テクニカルセンターで開催。座学として、同社サステナビリティ統括部長・小山勝弘氏が気候変動・生物多様性関連の動向と同社グループの取り組みを、住友電設人材開発部長・広瀬勝実氏が施設のESGの取り組みをそれぞれ紹介。その後、同施設内の太陽光発電システム・蓄電池・スマートマネジメントシステムなどの環境配慮設備・安全危険体感室見学会を行った。
小山氏は、カーボンニュートラル戦略として①攻めの施策-原則すべての屋根に太陽光パネルを設置②トップ企業の社会的責任-2030年度原則ZEH・ZEB率100%③隗より始めよ-自社施設の原則ZEB化・太陽光などで2025年度RE100達成-の3つの柱を推進しており、2030年(環境インパクト)としてバリューチェーン全体で40%以上GHG(Greenhouse Gas)削減を目指すと語った。
GHG削減目標を達成するためには、サプライチェーン(資材製造)の脱炭素化が欠かせないとし、サプライヤーと様々な取り組みを行っていることを紹介。ゼロ・カーボンビル推進の一例として木造・木質化の推進を挙げた。
生物多様性|ネイチャーポジティブへの挑戦では、2055年の創業100年には「生物多様性のノー・ネット・ロス」を目指すとし、サプライチェーン全体で「森林破壊ゼロ」「生物多様性損失ゼロ」を掲げており、23年度の全事業での緑化実績は20.7万㎡、累積で46.4万㎡(東京ドーム約9個分)に達したと語った。
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住友電設の川崎テクニカルセンターは、敷地面積約2,938㎡、建設面積約1,593㎡、延床面積約5,207㎡のS造4階建て。施工は大和ハウス。建築物省エネルギー性能表示制度BELSで1~2階の事務所エリアは「NearlyZEB」、3~4階の管理人住宅は「ZEH」認定を受けている。
具体的な取り組みとして、広瀬氏は①PV(NearlyZEB) ②V2Xシステム(EV-太陽光発電-蓄電池エネマネ系列)③V2H(管理人住宅)Xシステムを紹介。住友理工の遮熱フィルム「Refleshine(リフレシャイン)を執務室の窓ガラス90㎡に施工している(検証の結果、未施工の部屋より5℃の差があることが分かった)。
また、住宅エリアには、管理者が住み込みで勤務することを想定した専用面積50㎡台のオール電化のZEH住居が併設されている。管理形態が3交代制になったため現在は空き家になっており、住居は社員向けに家賃無料で賃貸するそうだ。
社員の皆さん、これはお勧め。単身はもちろん夫婦で住める。家賃相場からしたら月額10万円、年間約130万円が浮く計算になる。電気代、水道代も会社負担なら年間200万円の居住費が削減できるではないか。2~3年住めば、分譲マンションの頭金がたまる。空き家対策は喫緊の課題だ。
感電体験コーナー(記者も0.1アンペアを体験した。ビリッときた。致死量はケタ違いだそうだ)
〝空き家〟になっている住戸(LDK)
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住友電設の施設は、建築概要からして容積率は178%だ。施設が位置するエリア一帯は法定容積率200%の準工地域なので、どうして容積を余しているのか質問したら、建物の絶対高さ規制が20mに定められているためだった。施設の1~2階の階高は10mくらいあった。
もうこれ以上は書かないが、環境性能や緑被率が高い建築物は容積率の緩和を行うべきというのが記者の持論だ。言葉は悪いが〝アメとムチ〟を使い分けることで:建築物の質は高まる。
緑被面積について。2023年度の緑化面積は凄い数値だと思うが、これは事業活動で失われた緑と相殺した数値であることを祈りたい。参考までに同社グループの「サステナビリティレポート2024」によると「当社グループが操業する事業活動地域(拠点) 数は1,588件あり、そのなかから1次スクリーニングで生物多様性の影響評価を行うべきサイトを69件4,239ha に絞りました。2023年度、生物多様性にとって重要と判定されたサイトは35件2,994haとなり、そのうち生物多様性に配慮した管理計画を策定済みのサイトは4 件135haとなっています」とある。
わが国の市街化区域全体における緑被率は23.2%といわれている。増えてはいないはずだ。国土交通省の建築着工統計には建築物の床面積は公表されているが(令和6年は10,274万㎡)、建築物と土地は不可分だ。統計に緑被面積を加えるべきだとずっと思っているのだが…。さらにまた、企業のESGの情報開示義務化を強化すべきだ。
施設の敷地(面積に比べて緑化率は低いと思った。車はEV車)
令和6年の住宅着工79万戸 2年連続減/供給÷着工=カバー率45%
カバー率=供給戸数÷着工戸数(%)
国土交通省は1月31日、令和6年12月と令和6年計の新設住宅着工戸数をまとめ発表。12月の総戸数は62,957戸(前年同月比2.5%減)で8か月連続の減少で、利用関係別では持家は17,821戸(同4.6%増)で3か月連続の増加、貸家は26,424戸(同2.1%増)で3か月ぶりの増加、分譲住宅は18,182戸(同14.7%減)で8か月連続の減少。分譲住宅の内訳は、マンションは7,550戸(同22.3%減)で先月の増加から再びの減少、一戸建住宅は10,513戸(同8.3%減)で26か月連続の減少。
首都圏マンションは3,087戸(同45.7%減)で、都県別は東京都1,997戸(同0.6%増)、神奈川県651戸(同65.9%減)、埼玉県310戸8同45.8%減)、千葉県129戸(同89.4%減)。
令和6年計では、総戸数は792,098戸(前年比3.4%減)となり、2年連続の減少。利用関係別では、持家は218,132戸(同2.8%減)で3年連続の減少、貸家は342,044戸(同0.5%減)で2年連続の減少、分譲住宅は225,309戸(同8.5%減)で2年連続の減少。分譲住宅の内訳はマンションは102,427戸(同5.1%減)で2年連続の減少、一戸建住宅は121,191戸(同11.7%減)で2年連続の減少。
首都圏の総戸数は前年比2.9%減で、内訳は持家(同2.9%減)、貸家(同0.0%増)、分譲住宅(同6.6%減)。分譲住宅の内訳はマンション(同3.3%減)、一戸建住宅(同10.2%減)。建築工法別では、プレハブは93,077戸で3年連続の減少(前年比10.0%減)、ツーバイフォーは95,095戸で3年ぶりの増加(前年比4.7%増)となった。
首都圏マンションは50,990戸(前年比3.3%減)で、都県別では東京都26,612戸(同3.0%増)、神奈川県14,064戸(同8.3%減)埼玉県5,525戸(同5.1%減)、千葉県4,789戸(同16.6%減)となった。
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グラフは、不動産経済研究所の2024年首都圏マンション供給戸数を住宅着工戸数で割ったもので、カバー率とした。首都圏全体の供給戸数は23,003戸、着工戸数は50,990戸なので、カバー率は45.1%と50%を割っている。都県別のカバー率は東京都38.8%、神奈川県35.0%、埼玉県60.0%、千葉県93.1%となっている。これほど差が大きいのに、その理由に触れずマンション市場について論じることが適切なのか、考えていただきたい。
秩父宮ラグビー場のイチョウ 移植検討に向けた調査実施 三井不動産
秩父宮ラグビー場のイチョウ(昨年1月撮影)
三井不動産は1月27日、秩父宮ラグビー場の東側に所在する港区道のいちょうについて移植検討のための調査を2月から行うと発表した。
今回調査するのは全19本のうちの2本。樹木医の立会いのもと、舗装・砕石を撤去し、歩道や車道に伸びている根や土壌の状況、一部舗装下の根系の密度や伸長状況を調査し、根回しを実施した場合の効果を測定するため、歩道側の太根の一部を環状剥皮し、樹木周囲の一部について根回しを実施する。
その調査結果を踏まえ、樹勢助長措置、維持管理・継続調査、発根調査、外観診断、デンドロメーターによる幹周変化の比較などを実施する。
調査結果の概要については、東京都環境影響評価審議会に報告を行うとともに、公式ウェブサイトなどを通じて公表するとしている。
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「樹齢100年超の巨木を移植した事例はあるでしょうか。あったなら、その移植に関する費用はどれくらいでしょうか。ないのであれば、その理由をお聞かせください」とchatGPTに質問した。
ほとんど瞬時に回答があった。次の通りだ。
「樹齢100年を超える巨木の移植事例は存在します。例えば、東京の日比谷公園にある『首かけイチョウ』は、樹齢約400年の巨木で、1901年に道路拡張工事のため、約500メートル離れた現在の場所に移植されました。
巨木の移植には多大な労力と費用が伴います。具体的な費用は、樹木の大きさ、移植距離、作業環境などによって大きく異なります。一般的な庭木の移植費用は、人件費を基に算出されますが、巨木の場合、特殊な機材や専門的な技術が必要となるため、費用はさらに高額になります。
巨木の移植が困難な主な理由は以下の通りです。
技術的な難しさ:巨木は根系が広範囲に広がっており、根を傷つけずに掘り起こすことは非常に難しいです。また、移植後の活着(根付くこと)を確実にするためには、専門的な知識と技術が求められます。
高額な費用:前述の通り、巨木の移植には多大な費用がかかります。特に、特殊な機材の使用や専門家の人件費などが費用を押し上げる要因となります。
環境への影響:巨木の移植は、その周辺の生態系や景観に影響を及ぼす可能性があります。また、移植先の環境が適切でない場合、樹木が適応できず枯れてしまうリスクもあります。
これらの理由から、樹齢100年を超える巨木の移植は慎重に検討されるべきであり、実施には専門家の綿密な計画と評価が必要です」
皆さんいかがか。「首かけイチョウ」は記者も知っている。しかし、ChatGPTは自らの知識の少なさを隠すためか、「例えば」としてしか「首かけイチョウ」を紹介できなかった。(記者の質問がいけなかった。「過去10年に事例はあるか、あったら何件か」と聞けばよかった)
費用については回答がなかった。Chatも取材不足を露呈したということだ-Chatが記者の記事を読んでいるのは確認した。Chatで公開されても恥ずかしくない、間違いでない記事を書こうと思う。Chatとは絶対喧嘩しないことだ。
「首かけイチョウ」
「雨にわ」の普及・実証事業 グリーンインフラ大賞「国土交通大臣賞」受賞
「おでかけひろば FUKU*fuku(左)と「世田谷トラストまちづくりビジターセンター」に設置されている「雨庭」
国土交通省が推進するグリーンインフラ官民連携プラットフォーム第5回グリーンインフラ(GI)大賞「国土交通大臣賞」に特定非営利活動法人雨水まちづくりサポート(共催:一般財団法人世田谷トラストまちづくり)の「武蔵野台地における『雨にわ』によるNbSの普及・実証事業」と、首都高速道路の「おおはし里の杜~都市部の道路空間を活用した”生きもの中心の緑地”~」が受賞し、表彰式が1月29日、東京ビックサイト「グリーンインフラ産業展2025」で行われる。
「雨にわ」は、市民・民間が参画する「地域共生」「流域治水」の取り組みの一つで、2地域(世田谷区、武蔵野市)での実践と地中も含めた雨水の見える化を実現し、様々なプログラムを通じた幅広い世代への普及・啓発を実施していることが評価された。「おおはし里の杜」は、大橋ジャンクション整備後のモニタリング・管理活動を通じた地域社会との共生の取り組みが評価された。
雨庭とは、屋根などに降った雨水を集めて、一時的に貯留し、ゆっくりと地面へ浸透させる庭(植栽帯を含む)のことで、雨が直接地面に浸透するため、下水道などにかかる雨水の流入負荷を軽減させ、生物多様性が豊かになり、水質を浄化する効果が期待されている。
GI大賞を受賞した取り組みは、武蔵野市(協力:武蔵野市ほか)と合わせて、取組効果として、親子向け普及ワークショップ、市民向け実践ワークショップなどのイベント参加者は未就学児から70代以上の市民まで延べ300名以上が参加し、モニタリングの結果、世田谷区に設置した約3㎡の雨庭で2023年は26㎥以上の雨水が地中に浸透したことが分かった。
グリーンインフラ官民連携プラットフォームは2020年3月に設立された。グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようというのが目的。2021年3月に第1回グリーンインフラ大賞「国土交通大臣賞」が決定された。
共催団体である世田谷トラストまちづくりの「雨庭」の取り組みは、2020年度に次大夫堀公園内里山農園でモデルの雨庭をつくり、個人宅で気軽につくることができる「自分でもできる雨庭」のコンセプトをまとめスタートした。世田谷区から委託を受け2021年度から「世田谷グリーンインフラ学校」を実施し、「雨庭づくりを通じて、グリーンインフラの魅力や意義を地域の中で率先して広めていく」リーダーの育成を目指し講座も行われている。ているもので、雨庭は「世田谷トラストまちづくりビジターセンター」(成城4丁目)、「おでかけひろば FUKU*fuku(雨水まちづくりサポートと共催)」(喜多見9丁目)などで実装されている。
「おでかけひろば FUKU*fuku(左)と
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大橋ジャンクションは、マンションが分譲されたとき取材しており、その後も数回訪れているので知ってはいたが、「雨庭」は全然知らなかったので、同財団にお願いして、上段の2か所の見学が実現した。もっと大掛かりなものかと思ったが、そうではなかった。やろうと思えば素人でもできそうなのがいい。
同財団の「自分でもできる雨庭の手引き」によると、材料はホームセンターで購入な材料・資材を用い、ガーデニングの延長線上で取り組むことができるとある。
作り方も簡単だ。スコップなどで約3.3㎡(1坪)のスペースに深さ約30センチの穴を掘り、そこに砕石、軽石、発泡ガラスレットなど浸透貯留材を深さ15~20cm投入し、その上に植物を植えたり枯山水仕上げとしたりするだけでよい。雨樋を利用した雨水タンクを併設することも推奨されている。施工費の目安は約4万円(植物:2万円、資材約2万円)。雨とみどりに関する区の助成制度もある。
効果も大きいではないか。記者の試算では、たった1坪(1.8m×1.8m)で深さ約8mの雨水をゆっくり地中に浸透させることができる。上下水道代に換算したら数千円にもなる。
そこですべてのデベロッパー、ハウスメーカーにお願いだ。雨水タンクの設置は当たり前になっているが、一歩進めて注文住宅、分譲住宅に「雨庭」を採用してほしい。それくらいのSDGsの「つくる責任」を果たしていいはずだ。
また、行政は「雨庭」を設けることを開発行為の条件に加え、採用されている住宅には上下水道代に見合う額を減免してはどうだろう。加速度的に普及するのではないか。
それにしても、世田谷トラストまちづくりは凄い。今回の「雨庭」を含め、「市民緑地・ちいさな森」「地域共生のいえ」「空き家等地域貢献活用」など「ひと」「まち」「自然」の取り組みを会員や市民、ボランティアとともに進めているのがとてもいい。区が住宅地として高い評価を得ている理由の一因は、こうした取り組みにあるのだろうと改めて感じた。
「世田谷トラストまちづくりビジターセンター」のそばに流れる野川
早大、ポラスら越谷市の産官学民の空き家対策連携協定 共同研究報告会に30人参加
「越谷市空家等対策に係る産官学民の連携協力に関する協定」共同研究報告会
埼玉県越谷市、早稲田大学リサーチイノベーションセンター、大里東自治会、ポラスグループは1月27日、「越谷市空家等対策に係る産官学民の連携協力に関する協定」に関する共同研究報告会を行った。報告会では、同大学学生1~3チーム(各2人)の空き家活用提案に対する参加自治会員約30人による〝人気投票〟も行われ賑わった。
会の冒頭、越谷市都市整備部建築住宅課調整幹・高森良浩氏は、空き家は全国に約900百万戸あり、47都道府県の空き家率がもっとも低いのは埼玉県の9.29%(約33万戸)で、同市は県内53市のうちもっとも低い志木市の5.22%、2番目の八潮市の5.32%に次ぐ3番目に低い6.22%(9,570戸)であると紹介。
平成27年度から令和6年12月までの空き家に関する市への通報は1,031件で、特定空き家認定は116件(うち86件が改善)、空き家になる要因の約6割が相続であることから令和4年に予防・抑制策として「住まいの終活ノート」配架開始し、セミナーなどを通じて所有者から寄せられた相談件数193件のうち106件で問題解消したこと、空き家発生の可能性の高い住宅は2,262件あることなどを報告した。
早稲田大学建築街づくりリサーチファクトリー・岡村竹史氏は、昨年11月に行った大里東自治会役員へのアンケート「あったらいいな こんな場所」では、気軽にお茶などが飲める、おしゃべりができる〝みんなの家〟や情報交換ができる場所、コミュニティを育むことができる店舗などを求める回答が多く寄せられたとし、自治会エリア内には18件の空き家があり、このうち市外在住が9人(県外2人、海外7人)に上るなど対応の難しさも指摘した。
この後、同大学修士1年の6人が3グループに分かれて、貸し本・古本屋などの「大里東 まちの図書室」、地域通貨を通じた新しい学童「MIX BASE」、多世代が利用できる「こしがや交差亭」をそれぞれ提案。参加自治会員約30人による人気投票の結果、「まちの図書館」が7票、「MIX BASE」が11票、「こしがや交差亭」が9票を獲得した。
中央住宅・髙橋重弘氏は、地区内にある約105㎡の土地に延べ床面積約115㎡の貸家(2戸)を建築した場合、総事業費は約3,147万円で、借入金3,000万円、返済期間30年(金利1.50%)だと表面利回りは6.6%になることなどを提案した。
参加者の一人で広報担当・髙橋さん(66)は、「空き家の利活用にはお金がかかる。自治会にお金はない。理想と現実には隔たりが大きい。予防策も大事。今後5年間どうなるのか見守りたい」と語った。
同協定は昨年7月に締結されたもので、2028年3月までに大里東自治会(約740世帯)区域内の空き家の利活用や予防・抑制などの試験的な取り組みを行い、空き家対策のモデルとなる仕組みづくりに寄与するのが目的。
左から高森氏、高橋氏、岡村氏、川村耕治・自治会長
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「空き家」問題の解決が喫緊の課題であることは分かるのだが、突き詰めていくと私的所有権の是非を問わなければならなくなるので、記者は敬遠・忌避することにしている。
今回の取材の誘いも断ろうと思ったのだが、何か新しい発見があるのではないかと受けることにした。
大正解だった。前日(26日)には、世田谷トラストまちづくりの空き家を活用した「おでかけひろば FUKU*fuku」を見学し、子ども連れの家族で賑わっていたのに嬉しくなったが、この日の学生さんの提案もとてもよかった。本好きの記者は「大里東 まちの図書室」が一番いいと思ったが、「MIX BASE」も「こしがや交差亭」も甲乙つけられなかった。
空き家を利活用するハードルは高いが、気前よく土地・建物を提供する篤志家が現れ、市が空き家を賃借し、固定資産税、都市計画税などの税金減免などを行い、利用者には無料でサービスを提供できるようになればいいのだが…。
岡村氏
「大里東 まちの図書室」を提案した山岸さん(左)と白鳥さん
「MIX BASE」を提案した大友さん(左)と澤村さん
「こしがや交差亭」を提案した西村さん(左)と井上さん
人気投票する参加者
賃貸住宅 シングル、ファミリー向きとも賃料は過去最高 LIFULL(ライフル)調査
LIFULL(ライフル)が運営する情報サイト「LIFULL HOME'S PRESS(ライフルホームズプレス)」は1月22日、2024年12月版の「LIFULL HOME'Sマーケットレポート」を公開し、東京23区のシングル向き、ファミリー向き賃貸住宅ともに過去最高賃料を更新したと発表した。
同レポートは、LIFULL HOME'Sに掲載された物件データ、ユーザーがLIFULL HOME'Sを介して不動産会社に問合せた物件データをマーケットごとに公開しているもので、首都圏シングル向け賃貸住宅の平均賃料は78,500円(平均専用面積26.20㎡=坪賃料9,887円)、(駅から)平均徒歩9分、平均築年数は19年。
ファミリー向け平均賃料は130,458円(同57.34㎡=同7,508円)、平均徒歩11分、平均築年数は23年。
エリア別でもっとも賃料が高いのは都心6区(千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区、文京区)で、シングル向け平均賃料は132,443円(同29.81㎡=同14,662円)、平均徒歩6分、平均築年数は17年。ファミリー向け平均賃料は302,313円(同64.23㎡=同15,532円)、平均徒歩7分、平均築年数は15年。
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データには基本性能・設備仕様は公表されていないのでよくわからないのだが、分譲マンションより劣るのは容易に想像がつく。賃貸を脱出してマンションや戸建てを購入する流れは変わらないだろう。
日新ハウジング・平山喜朗社長が死去 享年77歳
日新ハウジング代表取締役社長・平山喜朗氏が1月16日、死去した。享年77歳。
通夜は1月27日(月)18:00~、葬儀は1月28日(火)10:30~12:00、会場は天徳院会館(中野区上高田1-31-4)。喪主は長男・平山猛志氏。問い合わせはあすなろ葬祭(電話03-5318-2876)。
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生者必滅。わかっているつもりだが、涙が止まらない。昨年末までゴルフを楽しんでいたとか。
社長、さようなら。
合掌
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