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「SUMUFUMU TERRACE 新宿」

 先日見学した積水ハウスの「SUMUFUMU TERRACE 青山」に続き、同社の〝新拠点〟「SUMUFUMU TERRACE 新宿」を見学した。「青山」とはコンセプトがやや異なり、顧客と打ち合わせをする場でもあり、スタッフが働く場でもある。建具・家具、観葉植物などは全て本物で、デベロッパーのマンション総合ギャラリーとは比べようもないほどレベルが高い。

 場所は、交通案内:JR新宿駅から徒歩11分、都営大江戸線都庁前駅から徒歩5分、京王新線初台駅から徒歩9分、新宿区西新宿3丁目の「西新宿KSビル1階・2階」。定休日は火曜・水曜。新宿マインズタワーから移転した同社東京営業本部と東京西支店の事務所が併設されている。

 1階も2階も飲み物が振舞われるのは「青山」と同じ。コーヒーはSTARBUCKSだった。

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小池

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1階の受付カウンター

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 同社は「SUMUFUMU TERRACE」を〝新拠点〟と呼んでいるように、単なるショールームでも普通のオフィスでもない。記者もこの種の施設を見学したことはなく、「青山」は〝驚嘆〟と表現するほかなかった。

 今回の「新宿」は、その多くはガラス張りになっているので、スタッフと顧客接遇スペースをシームレスにつなぎ、あるいは緊張感も醸し出す不思議な空間だ。比較するものがないので表現は難しいのだが、〝働く場〟〝接遇スペース〟としては最高レベルではないか。

 立地条件は申し分ない。目の前は新宿中央公園と都庁。徒歩1~2分内に「パークハイアット東京」と「新宿ワシントンホテル」。

 1階には、直径十数メートルありそうな半透明の白いカーテンに覆われたラウンジ空間が配されており、大小の観葉植物と湧水池のように水面がゆらぐ小池も設置されている。受付カウンターに置かれている観葉植物「ジャボチカバ」は、天井のライトにより木漏れ日のように影がカウンターに映し出されるように工夫されていた。説明書きには「ParkERs」とあった。

 2階の接遇スペースの設備仕様レベルが高いのにびっくりした。中央に据えられているカウンターは古材をガラスで加工したもので、値段にしたら、この前見た目[me]の〝ただの石〟の99万円とは比較にならないほど高いはずで、壁には熊野古道の無垢の百年杉が掲げられており、その背後から音楽が流れるような仕掛けが施されていた。接遇個室のソファー類は全て本革。

 オフィススペースはガラス張りになっているので、仕事をしているスタッフの姿も見える。外部の人に〝見られる〟のはいい気持ちはしないだろうが、「ParkERs」が監修した観葉植物に囲まれて仕事ができるのは幸せだ。緑空間はストレスを解消し、労働生産性を向上させる効果があることは実証されている。

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2階

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2階

目に物見せる目[me]とは何者だ 驚愕の積水ハウス「SUMUFUMU TERRACE 青山」(2022/2/14)

木漏れ日、渓流の音…イニシアの世界観を表現 総合ギャラリー「三田」(2021/7/30)

カテゴリ: 2021年度

 フージャースコーポレーション(事業比率51%)と日本エスコン(同49%)は2月16日、参加組合員として事業参画している福島県いわき市の「いわき駅並木通り地区第一種 市街地再開発事業」(並木の杜シティ)を再開発組合とともに着工したと発表した。

 同事業は、市街地の高度利用と都市機能の更新を図り、いわき駅周辺の賑わい創出するのがコンセプトで、総敷地面積約1.1ha。2つの街区から構成されており、1街区には4階建ての商業棟(店舗・事務所等)、2街区には21階建て216戸の住宅棟が建築される。住宅棟はいわき市最高層の免震構造タワーマンショ ンとなる計画で、バリアフリー仕様住戸(55 戸)を設けるなど多世代居住を見込んだ次世代型分譲マンションを予定。名称は「ミッドタワーいわき」で、販売開始予定は2022年9月頃。

 設計は熊谷組・UG都市建築、ランドスケープ監修はスタジオゲンクマガイ。施工は熊谷組・加地和組・堀江工業特定建設工事共同企業体。竣工予定は2024年4月15日。

カテゴリ: 2021年度

 中央日本土地建物グループの中央日本土地建物は2月16日、学生レジデンス事業を住宅ブランド「BAUS(バ ウス)」シリーズに体系化し、新ブランド「BAUS CROSS(バウスクロス)」として事業化すると発表した。

 同社は1986年から学生レジデンス事業を展開しており、第1号の「ラフィーヌ駒沢」を皮切りに、これまで東京都内を中心に大阪、名古屋、仙台、福岡などで全26棟約2,600戸を開発・運用している。

 2022年2月下旬には、新ブランド第一弾「北新宿」(東京都新宿区)、第二弾「相模大野」(神奈川県相模原市)の2物件が竣工するほか、2022年度末には第三弾「板橋区加賀」が竣工する予定。

 2022年度末までに、首都圏18棟約1,800戸、全国で29棟2,900戸超となる。

カテゴリ: 2021年度

 

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「佐渡アウトドアベース」

サンフロンティア不動産は215日、同社創業者で現取締役会長の堀口智顕氏の生まれ故郷・新潟県佐渡市の玄関口である両津港ターミナル至近にアウトドアアクティビティの総合拠点「佐渡アウトドアベース」を319日(土)にオープンすると発表した。運営は同社グループのサンフロンティア佐渡(代表取締役社長:堀口智顕氏)が行う。

「佐渡アウトドアベース」は、両津港ターミナルから徒歩4分、大通りを挟んで向かい側には道の駅が所在するアクセスのよい立地。人と人 人と自然をつなぐをテーマに、佐渡の様々な観光資源と地域の魅力を繋ぎ、訪れる方々の体験型観光を支える、佐渡に初めて誕生するアウトドアの拠点。

館内には総合案内、ツアー販売窓口、アウトドアショップ、レンタルコーナー(自転車、釣り・トレッキング用品レンタル)、シャワー、更衣室、カフェ、休憩所、イベントスペースなどを兼ね備え、「アドベンチャーツーリズム」を総合的にサポートする設備と機能を備えている。

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ショップ

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釣り・トレッキング用品レンタル

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 同社は、日本トライアスロン連合(JTU)のオフィシャルスポンサーで、新潟県佐渡市とJTU共催の「佐渡国際トライアスロン大会」を応援しており、大会に参加した同社社員を取材したことがある。

 堀口さん、社員から日本代表になれる選手を育ててほしい。RBA野球大会も頑張ってほしいが、ロートル揃いでは多くを望めない。

台湾の義援金に謝意を込めて 前人未到の挑戦 沖縄から台湾へ150キロのリレー遠泳(2011/9/12

 

 

 

カテゴリ: 2021年度

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「SUMUFUMU TERRACE 青山(スムフム テラス アオヤマ)」

 積水ハウスが2月1日に開設した「SUMUFUMU TERRACE」の第5弾、「SUMUFUMU TERRACE 青山(スムフム テラス アオヤマ)」を見学した。東京メトロ銀座線外苑前駅から徒歩1分の一等地に位置し、約70坪のスペースはガラス張りで、100本を超える中低木・シダ類が植えられており、アートギャラリーそのもの。デベロッパーが展開するマンションギャラリーやハウスメーカーの住宅展示場などとは全く異なる。唖然とするほかなかった。

 「SUMUFUMU TERRACE」は、「家族みんなが住むコトに〝フムフム〟納得しながら家づくりをしてほしい」という想いを込めた〝新拠点〟で、「青山」は昨年11月にオープンした「新宿」「立川」「錦糸町」、12月に開設した「池袋」に続き5か所目。

 施設デザインはデザイナー・佐藤オオキ氏が率いるデザインオフィスnendoが担当。〝庭〟に着目したガラスと植物で仕切られた回廊型の空間で、足を進めるにつれて家づくりのアイデアがどんどん膨らんでいく体験を得られる仕掛けを施している。

 特徴の一つは、絵本作家の荒井良二氏や写真家の石川直樹氏、アートチームの目[mé]、東京藝術大学などの学生のアート作品などが展示されており、購入も可能になっていること。

 場所は、東京メトロ銀座線外苑前駅1b出口から徒歩1分(数十秒)、港区南青山2丁目の「D-LIFEPLACE南青山」の1F。公開されている広さは約70坪。営業時間は10:00~18:00(休館日:火曜日・水曜日・夏季休暇・年末年始)。入場は無料だが、原則として予約制。コーヒーなどの飲み物のサービスも受けられる。

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アート作品が展示されている回廊型のギャラリー

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ふんだんに植えられている緑

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 見学を申し込んだのは、佐藤オオキ氏がデザインを担当していることをプレス・リリースで紹介されていたからだ。見学する前は、デベロッパーの総合マンションギャラリーのようなものだろうと想像していたが、全然そうではなかった。冒頭に書いたようにアートギャラリーそのものだった。すぐ賃料を計算した。坪5万円はくだらないはずだ。

 それ以上に驚いたのは、〝売らんかな〟の雰囲気が全くなかったことだ。申し込めば家づくりや家探しなどの相談にも応じるとのことだったが、営業担当がぴったりとくっつき、手八丁口八丁の売り込みをするイメージが強いマンションギャラリーなどとは天と地ほどの差があった。

 アート作品は、好みもあるので何とも言えないが、記者は東京藝大の鈴木萌恵子氏の1点6.6万円、全6点の作品にほれ込んだ。(記者は油絵を描くので多少の審美眼はあると思っている)

 目の玉が飛び出し、息が詰まりそうなほど驚いたアートもあった。「目[me]」の「matter α」作品だ。

 撮影は不可だったので、もらったパンフレットのコピーをそのまま紹介する。「一見してどこにでもありそうな石。しかし、実は、目[me]によって極めて精緻に、長い時間をかけて、別の実在する石から手でトレースコピーされた驚愕のオブジェクト。注文が増えれば、その数だけ同じ〝どこにでもありそうな石〟が、複数の家に同時に出現します。アートとは、オリジナルとは、価値とは何か? を揺さぶる目[me]らしい作品」とある。

 サイズ・素材はH65×W160×D120ミリ、砂、石、岩の粒子ほか。納期は約3か月。価格は990,000円(税込)。

 皆さん、価格は桁違いではない。0の数は間違っていない。何と1個99万円だ。コピーには〝一見してどこにでもありそうな石〟とあるが、何度見てもどこにでも転がっていそうなただの石だ。広大な砂漠の中からダイヤモンドを探し出すことはほとんど不可能であるのと全く逆だ。ただの石ころ(砂岩のはず)に99万円の値段を付ける目に物見せる目[me]とは何者だ。神をも恐れぬ所業として断罪されても記者はしらないぞ。

 だが、しかし、目[me]にも言い分がある。やはりパンフレットから引用する。「制作の始まりは、川へ行き、無数に転がる石の中から、思い描く形の完璧な〝普通の石〟を探すこと。それをオリジナルとして、もう一方の石は、砂を硬化させて形を作り、体積、苔、傷、模様など細部にいたるまですべてを模倣し(彼らはその工程をレタッチと呼ぶ)、まったく同じ〝石〟をこの世に存在させる。また、その中で、オリジナルと、制作した石をシャッフルし、ひとつを川に投げる。彼らでさえも、いま手元にあるのがオリジナルか、制作した石なのか分からないのだ」

 ン? 99万円の価値があるのはオリジナルの石なのか、それとも模倣の石なのか。化学分析したらすぐ分かるのではないか。

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外壁材もアートとして展示されている 

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「目[me]」アーティスト・荒神明香氏、ディレクター・南川憲二氏、インストーラー・増井宏文氏 写真:阿部 健(Takeshi Abe)氏

Wリビングの提案がいい コスモスイニシア「イニシアクラウド渋谷笹塚」(2016/10/24)

 

カテゴリ: 2021年度

 当欄2月10日付で「プリンスホテル売却へ30か所で1,500億円は安すぎないか/西武は分譲に力入れて」の記事を書いた当日、西武ホールディングスは、子会社プリンスホテル(PH)が保有する「ザ・プリンス パークタワー東京」などホテル・レジャー施設31物件をシンガポールの政府系ファンドGICに約1,500億円で譲渡すると発表した。2021年5月13日に公表した中期経営計画に基づき、より強固な財務・事業体質を構築するための経営改革の一環で、譲渡による帳簿価額を前提とした譲渡益は800億円程度となる見通し。

 譲渡する施設の運営は昨年末に設立した「西武・プリンスホテルズワールドワイド(SPW)」が行い、PHは2022年4月1日付で「西武プロパティーズ」に吸収合併、「西武プロパティーズ」は「西武リアルティソリューションズ」に商号変更する予定。

 「西武リアルティソリューションズ」は総合不動産会社として今後本格化する品川・高輪・芝の再開発事業や軽井沢・箱根などのリゾート事業を強化し、向こう10年間に国内外のホテル拠点を84か所から250か所に拡大するとしている。

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 発表された施設31か所のうち記者が知っているのは「ザ・プリンスタワー東京」「サンシャインシティプリンス」「ザ・プリンス京都宝ヶ池」しかない。知らないことは書けないが、「ザ・プリンスタワー東京」の〝価値〟だけでも1,500億円あると思っているし、創業から60年以上の「苗場プリンス」を含む31施設で簿価を基準にした譲渡益は800億円にしかならないのは理解できない。なぜそんなに安いのか。「ザ・プリンス パークタワー東京」を詳しく見てみよう。

 「ザ・プリンス パークタワー東京」は、都営大江戸線赤羽橋駅から徒歩2分、都営三田線芝公園駅から徒歩3分、港区芝公園四丁目に位置。1990年(平成11年)、都市計画法第59条4項(特許事業)の認可を受けて建設されたもので、従前は昭和の時代から親しまれていた西武鉄道所有の「芝ゴルフ練習場」だった。

 敷地面積は約3.7haで、30階建て延べ床面積約9.1haの全603室。客室面積は約28~325㎡。宿泊料金はホームページによると約7万~254万円。設計は丹下都市建築設計、施工は鹿島建設。開業は2005年4月。

 ホテルに何を求めるかで評価は変わってくるが、記者は都内のラグジュアリーホテルの中でベスト10入りするのではないかと思っている。

 なによりも素晴らしいのは四方八方が芝公園という立地・眺望だ。こんなホテルは他にない。設備も充実しており、客室面積も平均40㎡以上だ。文字通り「西武・プリンスホテルズワールドワイド(SPW)」にふさわしいホテルだ。

 仮に、何の法的規制もないと仮定したら、地価相場からして坪1,300万円でも安いはずなので、敷地の評価額はざっと1,500億円だ。ここにマンションを建てたら坪単価800万円以下はありえず、販売総額は数千億円になるはずだ。

 ただ、実際はこのホテルには減価要因もある。前述したように都市公園と一体として開発する条件付きの特許事業だからだ。容積率の規制も受けており、他の用途に変更することなどはまず認められない。西武がこのホテルを売却の対象にしたのは法的規制が強いからということも考えられる。

 もう一つは稼働率の低さだ。このホテルはコロナ前からも稼働率の低さが指摘されていた。PHはホテルブランドを最上位の「ザ・プリンス」から「グランドプリンス」「プリンス」「プリンス スマート イン」まで4つに分けているが、「プリンス」が圧倒的に多いためか、あるいは「西武」のイメージがいま一つであるためか、「ザ・プリンス」の浸透度はいま一つのようだ。ブランディングに課題がありそうだ。外資系ホテルに学ぶ点は多い。

 さらに言えば、これはPHだけの問題ではないが、わが国のホテルの格付けだ。現在、フォーブスの「5つ星」を筆頭とする日本ホテル格付けが知られてはいるが、それほど浸透しているとも思えない。旅行代理店のサイトも肝心の質についてはどこも触れていない。わが不動産情報サイトと同じだ。

 それにしても売却価格は低すぎる。不動産鑑定の仕組みはどうなっているのか。GICにしてみればどうしても手に入れたかった物件であり、西武としては名を捨てて実を取ったということか。

プリンスホテル売却へ30か所で1,500億円は安すぎないか/西武は分譲に力入れて(2022/2/10)

 

カテゴリ: 2021年度

 西武ホールディングスが保有する国内のプリンスホテル約30施設を売却するとメディア各紙が報じている。例えば2月5日付朝日新聞。同紙は「東京都港区の『ザ・プリンス パークタワー東京』、『札幌プリンスホテル』(札幌市)、『グランドプリンスホテル広島』(広島市)など30施設」を「シンガポール政府系の投資ファンド『GIC』に売却する方向で検討していることがわかった」と報じた。

 これら一連の報道に対して西武HDは2月7日、「現時点で決定した事実はございません」とコメントを発表した。

 各紙の報道と西武HDのコメントから判断して売却の方向で検討しているのは事実のようだ。具体的な金額や施設名が報じられているのは、どこかがリークしたのだろう。

 この報道に、60余年、西武ライオンズをずっと応援し、西武不動産などを取材してきた記者は相当のショックを受けている。昨季、西武ライオンズは42年ぶりに最下位に転落し、先に西武建設の売却が決定されたばかりだ(セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武も売却する方向で検討されているとの報道はさておく)。

 「西武」「プリンス」ブランドはどうなるのか、そんなに深刻なのか。調べてみた。確かに業績は最悪だ。

 プリンスホテルの2021年3月期の売上高は699億円、営業損失は429億円、純損失は606億円だ。収益を悪化させているのは固定費の負担だ。営業費用1,129億円のうち人件費は34.3%に当たる387億円で、水道光熱費58億円、清掃・洗濯費45億円、借地借家料55億円のほかに「その他」が333億円に上っている。コロナ前の2019年3月期の売上高2,031億円、営業利益231億円(営業費用は1,790億円)、純利益146億円と比較して、売上高が66%減なのに、営業費用は37%しか減っていない。「所有」と「運営」一体型の事業形態がコロナの直撃を受けたことがよく分かる。

 西武HDは昨年5月に「総合報告書2021」を発表し、その中で代表取締役社長・後藤高志氏は「社長メッセージ」として次のように述べている。

 「従来、プリンスホテルは、『保有』と『運営』の一体構造で売上や利益を取り込むビジネスモデルで展開し、稼働率も高く収益をもたらしていました。しかし、コロナ禍で需要が瞬間蒸発したため、資産を保有することで生じる固定費の負担が重石となりました」とし、今後は「ホテル業では、一部資産を売却・流動化し、保有を継続するホテル資産は不動産事業へ移管します。これにより、プリンスホテルはホテルオペレーターとして、西武プロパティーズはアセットホルダーとして開発を進めるなど役割を明確にして、『攻め』を意識した体制のもとで事業を展開していきます」

 後藤社長がいうように「保有」と「運営」一体型のホテル事業はコロナの直撃を受けた。外資系ホテルはみんなそうであるように、分離するのが時代の流れのようだ。

 それにしても国内の全49施設のうち30か所も売却し、その額が1,500億円というのは安すぎないか。1か所平均で50億円だ。売却後も運営は当分「プリンス」として継続するというから、従業員の雇用も確保するという条件付きなのが売却価格を押し下げているのか。あと1年、2年辛抱すれば需要は回復するような気がするのだが…。

 ともあれ、西武ファンとしては残される「シティ」と呼ばれる都心部のホテルのイノベーションに期待したい。いかに都心の「プリンス」の価値が高いかを紹介する。

 西武HDの発表資料によると、グループが所有する東京23区の不動産は約46万㎡(大手デベロッパーを上回る規模=西武HD資料)にも達する。その大半は品川・高輪・芝のホテルだ。

 具体的に紹介すると、「ザ・プリンス さくらタワー東京」「グランドプリンスホテル高輪」「グランドプリンスホテル新高輪」の合計敷地面積は約8.8haで、「品川プリンスホテル」は約4.0haだ。合計で約12.8ha。これは8.5haの「六本木ヒルズ」や6.8haの「東京ミッドタウン六本木」を超える。これに、東京タワーや増上寺に隣接する約5.0haの「東京プリンスホテル」、芝公園内の約3.8haの「ザ・プリンスパークタワー東京」、約3.0haの「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」を合わせると約24.6haにもなる。

 これら7つのホテルの土地を時価評価したらいくらになるか。公示地価を参考に推測すると坪2,000万円として約1.5兆円だ。しかし、立地条件や規模かかして実際に入札されたらはるかに高い値段が付くはずだ。

 品川・高輪の再開発計画は決まっていないが、リニア新幹線、高輪ゲートウェイの開発とともに脚光を浴びることになる。「プリンス」には世間をあっと言わせる新機軸を打ち出してほしい。

 ただ、西武HDが中期経営計画で掲げるアフターコロナ後の「最良、最強の生活応援企業グループへ」のスローガンには一言いいたい。

 「最良、最強の生活応援企業グループ」の中核をなすのはもちろん鉄道事業だが、もう一つの柱である不動産事業を担う西武プロパティーズを「総合不動産会社」(後藤社長)と称するのには疑問を呈さざるを得ない。

 2021年3月期の西武HDの不動産事業は売上高553億円で、営業利益は154億円だ。不動産事業を担う西武プロパティーズの主な事業は商業施設やオフィスの賃貸業だから、これくらいの利益を確保するのは当然だ。むしろ23区に46万㎡の不動産(鉄道路線は入っていないはずだ)を所有する会社にしては事業規模が小さすぎる。土地の有効活用ができていないということになる。

 肝心の開発力も縮小する一方だ。西武プロパティーズはもう10年くらい前から目立った分譲マンション・戸建て事業を行っていない。JVマンションはあるが、みんな〝ぶら下がり〟だ。西武線沿線はデベロッパーの分譲事業の〝草刈り場〟になっている。情けない。堂々とトップシェアを占めてほしい。

 同業他社はどうか。売上高・利益とも桁違いの東急や近鉄はともかく、売上高は小田急、阪急阪神、相模鉄道、西鉄などに負けているのではないか。売上高は西武より少ない京急や東武もコンスタントにマンションを分譲している。不動産事業は微々たるものしかない京王も、「稼ぐ力」を強化するため、タカラレーベンが保有していたサンウッドの株式を取得した。リビタとともに不動産事業の拡大を打ち出している。

 分譲事業はリスクも大きく、同業他社と足並みを揃える必要はないかもしれないが、「最良、最強の生活応援企業」を消費者に印象づけるのは分譲住宅だ。住民の足になっているのだから親しみもあり、大手デベロッパーとも互角以上戦える強みもある。まず差し当たって老朽化が目立ち、施設の陳腐化も目立つ「新宿プリンス・新宿PePe-ペペ」「BIGBOX高田馬場」の建て替えを提案したい。マンションなら坪600万円以上になるはずだし、何よりも「西武」のイメージを一新できる。

 書き忘れた。わが埼玉西武ライオンズの2022年3月期第3四半期の売上高は189億円(前年同期比46.1%増)、営業損失は4億円(前年同期の営業損失は40億円)と改善した。

 北京オリンピック女子アイスホッケーチーム〝スマイルジャパン〟は予選1次リーグを1位で突破したが、全23選手のうち8人が「SEIBUプリンセスラビッツ」所属だと西武関係者から聞いた。次戦の準々決勝戦は強豪のフィンランドだそうだが、がんばれ!スマイルジャパン! 

ショック 分譲戸建ての施工・デザインが最高の西武建設の身売り(2022/1/28)

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 2月1日に亡くなった元東京都知事で芥川賞作家の石原慎太郎さん(享年89歳)の追悼文やコメントがたくさん報じられている。

記者は、石原さんの小説は好きではなくあまり読んでいないが、都知事時代、環境問題や住宅問題に積極的に取り組んだのが強く印象に残っている。

一度だけ、定例記者会見に出席し質問したことがある。20年くらい前だった。記者は「太陽光パネルを屋上に設置したり、壁面に緑化を施したりした民間住宅の固定資産税、都民税などを減免してはいかが」と。いつも「馬鹿な質問するな」と一喝する石原さんは、記者のほうを向いて「いい質問だ。検討する」と答えた。

固定資産税も都民税も減免になったことはないが、いまは多くの自治体で補助金などの助成を行っている。

住宅政策では、「東京の住宅は狭くて高すぎる。3割は安く供給できるはず」という石原さんの発案で事業化された定期借地権付き「東村山本町地区プロジェクトむさしのiタウン四季の街」もとてもいい取り組みだった。

その後、隈研吾氏がデザイン監修を担当したことで話題になった都が土地所有者の定借マンション「パークコート神宮前」も分譲され、都の「民設公園制度」第一号マンション「Brillia L-Sio 萩山」では公園にかかる固定資産税は免除された。「お台場」の開発に積極的に取り組んだのも石原都政の成果の一つだろう。

驚嘆の安さ 坪318万円 隈研吾氏がデザイン監修 三井不・東電不「パークコート神宮前」(2008/11/19

公園を所有するマンション 東建・西武「Brillia L-Sio 萩山」(2008/5/26

「むさしのiタウン」平均3.7倍の申し込み倍率に2007/2/13

 

 

 

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東京都の令和311日現在の人口は約1,384万人で、男女比は男性49.2%:女性50.8%だ。女性比率が高いのは、70歳以上の人口約246万人の男女比が男性41.8%:女性58.2%と女性比率が圧倒的に高いからで、その他の年代では男女比はほぼ半々だ。

新型コロナが国籍も人種も老若男女も富者も貧者も賢者も愚者もあまねく平等に襲い掛かるのであれば、感染者の属性も年代や性別を反映するはずである。

ところが、昨年10月までの第5波までと最近の第6波の感染者の属性は一変している。その差異を示したのが別表・グラフだ。

5波までの約38.0万人の感染者うち20代・30代・40代で全体の64.5%を占めており、男女比は男性56.0%:女性44.0%と男性が高く、3050代はほぼ男性6割:女性4割となっていた。

記者はこの差は、生物学的な性差もあるだろうが、三密を避けるのが困難な就業形態によるもので、また、女性の比率が低いのはリスクを避ける行動を取るという遺伝子的社会的なジェンダー規範によるものだろうと考えてきた。この社会規範は10歳未満や10代の生物学的な性差が未発達の若年層にも浸透しているのだろうと考えていた。

ところが、感染力が強いとされるオミクロン株が感染動向を一変させた。感染者が爆発的に増加した118日以降の第6波の性別・年代別感染者の数値と第5波までの数値を比べていただきたい。

118日は、20代女性が810人となり、20代男性の801人を抜いて、感染者が少ない月日を除けば、初めて性別・年代別で最多を記録した日だ。その後、24日までの18日間は最多を続けている。

異変は20代の女性だけではない。30代女性も21日に同世代の30代男性の数を抜くと、24日まで男性を上回っている。24日は1,866人となり20代男性の1,840人を抜いた。40代女性も同様だ。131日以降は5日連続して40代男性を上回っている。

これはなぜか。〝女性はリスクを避ける〟というジェンダー規範論では説明がつかないではないか。

そこで考えた。20代から40代の女性の感染者が爆発的に増加し、10歳未満や10代の感染者がこれまた爆発的に増えているのは、女性の置かれているジェンダー性差がよりくっきりと浮かび上がってきたからではないかという結論に至った。

例えば、10歳未満の感染者増と関連するのは保育士や学校の先生だ。都の保育士の数は約4.8万人で、女性の比率は約95%だ。平成30年のデータによると、小学・中学・高校など児童・生徒数約96.6万人に対して教職員は約6.4万人で、女性が占める割合は幼稚園が93.4%、幼保連携型認定こども園が94.8%、小学校が62.3%、中学校が43.7%、義務教育学校が54.4%、高校が32.5%だ。教育現場も圧倒的に女性が多い。

エッセンシャルワーカーの代表ともいえる、都の看護師数は平成30年のデータによると約9.7万人、准看護師数は約1.5万人で、女性比率は92.2%と圧倒的に高い。また、2016年の介護職員は11.0万人で、介護施設従事看護師は約1.2万人とある。

女性は家庭に帰れば、子どもの世話や家事労働が待ち受けている。女性のコロナ感染者数が男性を上回るという逆転現象は、わが国の社会的経済的女性差別と密接な関連がある。深刻な事態だと受け止めるべきだろう。

それにしても、これまで圧倒的〝多数派〟だった20代男性の感染減少はなぜなのか、新たな疑問が湧いて来た。24日は同世代の女性だけでなく、30代の男女にも追い抜かれた。累計感染者は約9.1万人なので、人口比にして10.5%だ。まさか集団免疫を獲得したためではないだろう。

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 総務省は1月28日、2021年(令和3年)の住民基本台帳人口移動報告をまとめ発表した。

 都道府県別の転入超過は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県のほか茨城県、群馬県、山梨県、滋賀県、大阪府、福岡県の10都府県。茨城県、群馬県、山梨県、滋賀県は前年の転出超過から転入超過へ転じた。転入超過数がもっとも縮小しているのは東京都(2万5,692人)。転出超過となっているのは広島県、福島県、長崎県など37道府県で、沖縄県は前年の転入超過から転出超過へ転じた。

 全国1,719市町村のうち転入超過は30.8%に当たる529市町村。転入超過数がもっとも多いのはさいたま市(1万527人)、次いで横浜市(1万123人)、札幌市(9,711人)の順。超過数が多い上位20市のうち首都圏が14市を占めている。

 年齢3区分別の転入超過数は、0~14歳はさいたま市、15~64歳は東京23区、65歳以上は札幌市がもっとも多い。東京23区は2014年以降初めての転出超過(1万4,828人)。

 3大都市圏は6万3,697人の転入超過で、前年に比べ2万915人の縮小。東京圏は8万441人の転入超過。前年に比べ1万7564人の縮小。26年連続の転入超過。名古屋圏は1万1,237人の転出超過。前年に比べ1,038人の縮小。大阪圏は5,507人の転出超過。前年に比べ4,389人の拡大。

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 新型コロナは人口動態にどのような影響を及ぼすか記者も注目していたが、在宅勤務、テレワーク、フレックスの普及・浸透とともに、都心部での住宅価格の高騰が周辺市部などへの移動を加速させたようだ。

 東京23区の人口が2014年以降で初めて減少に転じたのは、明らかにコロナの影響だ。新宿、豊島、中野などでは外国人の減少が続いている。

 周辺市の転入超過増もコロナが少なからず影響しているはずだ。記者は一般的なファミリーのマンション取得限界は6,000万円、坪単価にして250万円と考えている。例外として浦和、大宮、横浜市の中心部などは坪単価400万円を突破し、23区並みになりつつあるが、転入超過数の多いその他の各市はこの価格帯にほぼ収まっている。アフターコロナを見据え、居住面積の広さ、住環境のよさを求めている住宅購入検討者が増えていることをうかがわせる。この流れは止まらないはずだ。

 また、茨城県、群馬県、山梨県、滋賀県が転入超過に転じたのは、マスコミが喧伝している地方移住、二地域居住の効果かもしれないが、記者は〝田舎暮らし〟は楽しくもなく、甘くないと考えているのでコメントは差し控える。地方移住を考えている人は、丸山健二「田舎暮らしに殺されない法」(朝日文庫)を読んでから判断していただきたい。

 記者のお勧めは、都心部への程よい距離にあり、漁港がある三浦半島を代表とする東京湾岸(都内を除く)か、風景、水がきれいな相模湖、奥多摩、秩父あたりだ。

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※総務省の資料を転載

 

23区の外国人人口 5年ぶり減少 新宿区はピークから17%減少 新型コロナの影響か(2020/8/19

 

カテゴリ: 2021年度
 

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