長谷工不動産HD 収益不動産開発の新会社・長谷工総合開発 営業開始
長谷工不動産ホールディングスは6月27日、2025年2月14日に設立した収益不動産開発を行う新会社「株式会社長谷工総合開発」の営業を7月1日から開始すると発表した。
同社グループの長谷工不動産と総合地所がそれぞれ事業展開していた収益不動産開発事業を吸収分割により継承するもの。
外壁に国産スギの外装材 明和地所〝クリオ〟1000棟記念「桜新町」人気
「クリオ桜新町ザ・クラシック」
明和地所が分譲中の「クリオ桜新町ザ・クラシック」のモデルルームを見学した。同社の〝クリオ〟シリーズ1,000棟を記念する物件で、住友林業の耐候性、耐久性に優れた国産スギ材による外装材を採用し、田園都市線の駅から徒歩5分、1低層、72㎡以上の広さなどが人気になっており、全30戸のうち残りはわずか。文字通り同社の記念碑的なマンションになりそうだ。
物件は、東急田園都市線桜新町駅から徒歩5分、世田谷区新町三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%=角地により70%、容積率150%)に位置する3階建て30戸。専有面積は72.33~160.39㎡、7月に分譲予定の住戸(3戸)の価格は未定。竣工予定は2026年11月下旬。設計は三輪設計。施工はノバック。
現地は、桜新町駅から徒歩5分の4方道路に囲まれた第一種低層住居専用地域。従前は賃貸マンション。
建物は、住友林業が開発した耐候性、耐久性に優れた国産スギ材を活用した外装化粧部材「SUSTIMBER(サスティンバー)ー外壁」を2、3階の外壁部分に採用。1フロア7~12戸構成(うち100㎡超8戸)、8か所に「光庭」(ライトウェル)、プランター設置(2階以上)、屋上室外機など。
主な基本性能・設備仕様はZEH-M Oriented、内廊下方式、扁平梁、二重床・二重天井、リビング天井高2500~2550ミリ、梁下サッシ高2350ミリ、ディスポーザー、食洗機、ウルトラファインバブル、フィオレストーンキッチン・洗面天板、ドアノブ壁面後退、ワイドスパン(70㎡台でも最低6700ミリ)など。
同社営業担当者は、「4月下旬から分譲開始し、残りはわずか。世田谷区で2014年以降に分譲されたマンションは178物件で、うち田園都市線駅徒歩5分以内は19物件、1低層の物件は当社の物件を含めてわずか2物件。この希少性と、居住面積が広いのがお客様に評価されています」と語った。
エントランス
ラウンジ
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同社の創業は1986年4月。同社ホームページには、1994年5月、供給戸数10,000戸を達成、1996年9月、東京証券取引所市場第二部株式上場、2005年2月、供給戸数30,000戸を達成、2014年7月、供給戸数40,000戸を達成、2020年2月、供給戸数45,000戸を達成、2025年4月、供給棟数1,000棟を達成、供給戸数49,408戸(2025年3月期)などとある。
つまり、創業時の同社を知る役員・社員は一人もおらず、関係者もほとんどが後期高齢者ということだ。記者も数少ないそのうちの一人だろう。2005年2月に累計供給戸数30,000戸達成とあるように、それまで年間平均1,500戸を供給したことになる。まさに〝飛ぶ鳥を落とす〟勢いにあった。
そして今回、〝クリオ〟シリーズ供給棟数1,000棟記念の「桜新町」。1,000棟のうち記者はどれくらい見学取材しただろうか。数十棟はくだらないはずだ。その中で、記念碑的なマンションといえば真っ先に「クリオ レミントンヴィレッジ国立」(353戸、2001年12月竣工)を上げるが、首都圏初のディスポーザー付きマンションとなった「クリオ レミントンハウス三鷹」(102戸、1998年2月竣工)と〝好立地〟の「クリオレミントンハウス文京播磨坂」(81戸、2003年8月竣工)がベスト3か。最近では「クリオ川越大手町」(49戸、2023年6月竣工)、「クリオ湘南江ノ島グランマーレ」(65戸、2023年3月竣工)がいい物件だった。
同社営業担当者によると、「SUSTIMBER(サスティンバー)ー外壁」は国立競技場の屋根や「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」に採用されているものと同じで、分譲マンションに採用されたのは同社の物件のほか「パークホームズ城北中央公園」がある。
「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」は見学取材している。見出しに「〝杉乃木〟ホテル」と書いたように、とにかく美しい。素晴らしいホテルだ。今回の「桜新町」も経年による風合いが1低層の住宅街になじむはずだ。間違いなく同社の記念碑的マンションになる。
和モダン見事に表現出色の出来アクタス・モデルルーム明和地所「川越大手町」(2022/10/15)
明和地所設立35年周年「片瀬江ノ島」大人気隣接地には35年前竣工の大京の物件(2021/10/15)
さすが三井不動産わが国初の本物の木造〝杉乃木〟ホテル「神宮外苑」に誕生(2019/11/13)
創業30周年の明和地所「クリオ青葉台」で廊下幅1.5m実現(2015/8/20)
野村不動産 「GX志向型住宅」仕様のマンション供給推進
「プラウド横浜東神奈川フロント」
野村不動産は6月26日、マンションブランド「プラウド」で、ZEH水準よりも高い断熱性や省エネ性を備えた「GX志向型住宅」仕様の物件供給を推進すると発表。第一号物件として「プラウド横浜東神奈川フロント」(124戸)を7月に販売開始するほか、今年度中に着工する4物件で全戸「GX志向型住宅」仕様とする。
ZEH水準とは「断熱等性能等級5」と「一次エネルギー消費量等級6」を同時に達成している住宅のことで、同社は、2022年11月以降着工した物件は原則ZEH水準の仕様としており、2024年5月からはZEH水準を上回る「断熱等性能等級6以上」の基準を満たした6物件を着工している。
「GX志向型住宅」仕様にするためには、①断熱等性能等級6以上②再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率35%以上などの要件を満たす必要があり、要件を満たせば、「子育てグリーン住宅支援事業」の1戸あたり160万円の補助対象となる。
「東神奈川フロント」などでは、断熱性能の向上のため①一部の天井部分の断熱補強、高性能部材の採用、外壁部分の断熱性能の確保②窓などの開口部以外での熱損失を減少③一部住戸にて二重サッシを採用し、省エネ性能の向上では①ハイブリット給湯器の導入に加え、タンクユニットの設置により、有事の際の防災性にも配慮②水回りは全ての設備で節水機能を搭載③高効率エアコンを主寝室に標準整備する。
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結構な取り組みではあるが、記者は「ZEH」についてもっとわかりやすい制度にすべきだと思っている。制度・文言には「ZEH」のほかに「次世代ZEH+」「ZEH+」「ZEH水準」「ZEH基準」「ZEH-M」などがあり、「ZEH-M」は「Nearly ZEH-M」「ZEH-M Ready」「ZEH‐M Oriented」に分かれている。とても分かりづらい。
この中で特に問題だと思っているのは「ZEH水準」だ。この基準を満たすために熱効率の高い窓面を少なくする動きもみられるのは注視すべきだ。
もう一つ。記者は住宅の質は、敷地の緑化率と不可分で、緑化率を高めることが必要だと思っているが、分譲戸建てなどは敷地の狭小化が進んでおり、緑化率が住宅の質と関連づけて論じられることはほとんどない。緑化率の高い住宅に誘導するため自治体は緑化地域制度を活用すべきだ。
三井不動産 「ららテラス」首都圏6施設目の「北綾瀬」オープン
「三井ショッピングパーク ららテラス北綾瀬」
三井不動産は6月24日、ライフスタイル型商業施設「ららテラス」として首都圏6施設目となる「三井ショッピングパーク ららテラス北綾瀬」をオープンした。年間売上目標は120億円、年間来場者目標は350万人以上。
北綾瀬駅北改札からからペデストリアンデッキで直接接続されており、「暮らし 綾なす」を施設コンセプトに、綾瀬エリア初となる大型フードコートの10店舗のほか、地域居住者のデイリーニーズに応じた全51店舗が入居する。
この他、地域に愛される施設を目指した取り組みとして、綾織を取り入れた外観とし、ストリートピアノの設置を予定。その他、ZEBOriented(物販等)、DBJGreenBuilding認証、太陽光パネルの実装(約80,000kWh/年)、屋上・歩道の緑化(計約960㎡の緑地)などサステナブル社会の実現に向けた取り組みを行っている。
同社は国内商業施設として、22施設のリージョナル型ショッピングセンター、13施設のアウトレットモール、37施設の都心型・複合型商業施設、15施設のライフスタイルパークを展開しており、今回の「北綾瀬」はライフスタイルパークに該当し、首都圏では「南千住」「武蔵小杉」「TOKYO-BAY」「HARUMI FLAG」と、2025年5月31日にオープンした「川口」続き6施設目。コンセプトは「街の賑わい」と「日常生活の彩り」の提供。
施設は、東京メトロ千代田線北綾瀬駅直結、足立区谷中四丁目に位置する敷地面積約8,700㎡、鉄骨造4階建て延床面積約31,800㎡。設計は基本設計が石本建築事務所、実施設計が大本組。施工は大本・三浦建設共同企業体。環境デザインは船場。運営・管理は三井不動産商業マネジメント。
北綾瀬エリアの世帯数は2018年の12,101世帯から2024年は14,116世帯と右肩上がりで増加しており、1㎞圏内の新築マンションも2022年の1棟から2025年5棟に増加。坪単価は数年前と比較すると倍近くに上昇している。
ペディストリアンデッキ
フードコート
屋上緑化
抜群に美味しい「ザファーム」のミニトマト「ららテラスHARUMI FLAG」(2024/3/1)
「南船橋」駅直結の商業施設開業/再開発「日本橋」の次は「水道橋」か三井不動産(2023/11/29)
目を引く巧みなランドプラン、個性的な住戸プラン ポラス「流山おおたかの森」
「SHIN TOKI ヴィレッジ 流山おおたかの森」
ポラスグループのポラスガーデンヒルズは6月20日、分譲戸建て「SHIN TOKI ヴィレッジ 流山おおたかの森」のメディア向け見学会を行った。従前は林地の全48戸で、隣接する同社の既分譲「楽家RAKUYA 流山おおたかの森」(全18棟)とともに緑をふんだんに盛り込んだランドスケープと、それぞれ個性的な住戸プランにしているのが目を引いた。
物件は、東武アーバンパークライン豊四季駅から徒歩9~10分(流山おおたかの森駅から徒歩20~22分)、流山市長崎1丁目・野々下三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する開発面積9,992㎡の全48戸、土地面積は135.61~160.88㎡、建物面積は91.70~103.15㎡、価格は4,990万~6,890万円。建物は2025年5月完成済。構造は木造スレート葺2階建て。施工はポラテック。
〝「時」の流れ、「木」の質感を取り込んだ「気」もちの良い空間〟をコンセプトに、街区全体を第1期から第3期に分け、第1期の「楽家」(16戸)は、シンプルライフ研究家マキさんとLIXILのバックアップのもと、様々な工夫を盛り込んだ住空間をデザインしている。第2期「TOKI-TO-KI」(23戸)は、デザイン性の高い深い軒や落ち着きのある素材を設えた住宅が連なる街並みを演出。第3期「デザイナーズ街区」(9戸)は、同社の社内コンペによって選ばれた〝唯一無二〟の個性的なプランにしているのが特徴。以下、各氏のコメント。
同社設計部企画設計課主任・西村馨氏 第1期の「楽家」は、「豊四季」(3棟)「流山おおたかの森」(18棟)「松戸・高柳」(全28棟)に次ぐ第4弾で、新しいものも取り入れて進化、ブラッシュアップさせている
同社設計部企画設計課課長・工藤政希氏 第2期の「TOKI-TO-KI」は、緑と庭をつなぐデッキを配するなど森を取り込む気持ちのいい空間づくりに力を注いだ。アレクサなどIOTも採用し、快適な空間を提案している
同社ガーデンヒルズ事業部設計部企画設計課2係主任・樋上周作氏 デザインコンペには12名25件の応募があった。
同社設計部街並デザイン室エステリアデザイン係デザイナー・阿佐美直也氏 全体としてオンとオフ、内と外など多様な空間を演出したデザインにした。流山市のグリーンチェーン戦略の認定を申請する予定
同社ウッドガーデン事業所用地二課課長・髙島彰氏 従前は全体で2万㎡以上ある山林。隣接する18棟と少し離れた3棟現場を同じ地主さんから取得したことがあり、今回は造成後の土地を事業主から2020年1月に取得した。流山市の開発行為に適合させるため開発面積を9,992㎡にしたのがポイント。工事期間は予定していた3年間から1年延びたが、この間の地価の上昇により建築費の上昇を吸収できた。地主さんとも良好な関係を築いており、今後の開発につなげたい
同社ウッドガーデン事業所営業課2係リーダー主任・藤井 文人氏 現段階の問い合わせ件数は329件で、うち来場は209件。約3分の1が市内居住者。子どもいる世帯は約7割。土地面積が広く、価格を抑制したのが高い評価を頂いている。注文住宅を考えている方が多く、競合する分譲戸建てはほとんどない。現在、当社グループは280物件を分譲しているが、ネットによる閲覧数はベスト3に入っている
左から樋上氏、西村氏、松井氏、工藤氏、阿佐美氏
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豊四季駅から徒歩10分の表示に十分間に合うよう20分前に駅に降りたのだが、道を間違え、着いたときは10分以上経過していた。同社設計部シニアマネージャー兼街並デザイン室室長・松井孝治氏の冒頭の挨拶が終わっており、上段で紹介した髙島氏が用地取得の経緯について説明する段階だった。
髙島氏の話の中で、記者が注目したのは開発面積を9,992㎡にしたことだった。ピンときた。
平成22年10月1日施行の「流山市開発事業の許可基準等に関する条例」によると、市街化区域での開発行為の1区画当たり最低面積は135㎡以上で、開発区域が5,000㎡以上の場合は1区画150㎡以上(ただし予定建築物の敷地面積の合計の70%を超えない範囲内において135㎡とすることができる)、開発面積が5,000㎡~10,000㎡未満の道路幅員は6m、開発面積が10,000㎡~30,000㎡未満は9m、公園面積は事業区域の面積の6%以上と定められている。
つまり、開発面積が10,000㎡を超えると、敷地面積、道路幅員、公園面積など規制が厳しくなるのを避けるために頭を悩ましたということだ。開発申請したのは多分、条例が施行される前だろう。「TOKI」には〝時との戦い〟の意味もあるか。
髙島氏
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以下は、記者の好みによる判断であり、好みによっては全く違った結果になるし、デザイナーズ街区は9棟のうち2棟しか見学していないことを最初に断っておく。
モデルハウス見学は4棟。最初に見学した10号棟は、「楽家街区」の「成長の家」「自由の家」「両立の家」「効率の家」の4プランのうち「自由の家」を採用。敷地面積は約136㎡。南西の角地。1階のLDK(17.8帖)に隣接して玄関ともつながる「土間」(3帖)の提案が素晴らしく、家事動線に配慮した洗面所とその隣のパントリーは多目的(自由)に使えるようにしている。白を基調に下デザインも秀逸だった。この時点で、この住戸を上回るものはないと判断した。
次いで見学したのは43号棟の「TOKI-TO-KI」の一つ。敷地面積は約150㎡。企画意図がすぐ分かった。明らかに子育て世代の入居を想定したもので、LDK(18.7帖)の横に収納にも子どもの〝隠れ家〟にもなるスペースと、その上部にSkip Floor(3.7帖)を設け、1層を2層にしているのが特徴(この部分はロフトでもないし、建基法に定められている居室の天井高2.1mを満たしていない。どうなっているのか)。ただ、〝隠れ家〟は、こどもが成長したら夫婦喧嘩のときの夫か妻の〝隠れ家〟にはなりそうもないので評価を下げた。
3番目は、44号棟の「デザイナーズ街区」。敷地面積は約135㎡。北道路に接道。デザインウォール囲まれた玄関を開けるとすぐ、広々とした玄関・ホールと、その先に6帖大はありそうなテラスが目に飛び込んできた。玄関・ホールとテラスの天井パネルは一体となる仕上げにもなっていた。まず、郊外の分譲戸建てにはないプランだ。これまた素晴らしい。ただ、敷地の南側は隣地の高さにして約3mの駐車場になっており、テラスの先はコンクリの擁壁。これをどう評価するか悩ましい(2階がほぼ駐車場面)。
4番目は、45号棟の「デザイナーズ街区」。敷地面積は約150㎡。やはり北道路。このころには早く見学が終わらないかと考えていた。
ところが、豈図らんや。玄関に入った途端、10号棟もその他のモデルハウスもすっ飛んだ。目もくらむ真っ白な世界が記者を有頂天にした。建具・建材、設備仕上げに至るまで全て白。白が基調の戸建てやマンションは数えきれないほど見てきているが、それらをはるかに凌駕する。夫婦二人の居住を想定しているためか、1階全体が回遊できるプラン(洗面は2ボウル)と、2階は居室の壁を取り払えば15.2帖(他にクローゼットなど)の大空間になる提案もいい。4棟の中でここが一番いいと結論づけた。白は人の好みにも空の青にも海の青にも染まる。
いったい、このプランは誰が提案としたのか聞いた。設計監理課の櫛野さんだった。
全体的な感想としては、幅員6mの道路をクランクさせ、カーポート、庭などとの空間演出が街並みを美しく見せ、各棟は分譲戸建てにはあまりない個性的なプランが多いのが印象に残った。
従前が山林・林地の分譲戸建ては、この2週間でポラスの「ビー・グレイス柏 未来隣区」(92区画)、リストと東急リバブルが販売代理の「マークヒルズ新横浜」(172区画)に次いで3物件目だ。
10号棟モデルハウス
10号棟モデルハウス
43号棟モデルハウス
43号棟モデルハウス
44号棟モデルハウス
45号棟モデルハウス
45号棟モデルハウス
現地
南ひな壇の全172区画ランドスケープ生かすブラン秀逸リスト&リバブル「新横浜」(2025/6/16)
ポラス柏駅圏で全92区画の分譲戸建て好調スタート集会所は法人化して寄付(2025/6/6)
「成長する家」「両立の家」などシンプルで心地よい暮らし5提案ポラス「高柳」好調(2024/4/26)
5月の訪日外客数 前年同月比21.5%増の約369万人 5月として過去最多
日本政府観光局(JNTO)は6月18日、2025年5月の訪日外客数は前年同月比21.5%増の3,693,300人で、5月として過去最高だった2024年の3,040,294人を65万人以上上回り、同月としては過去最高を更新したと発表した。
5月は桜シーズンと夏休みシーズンの間に挟まれた時期であり、多くの市場で訪日需要が前月に比べ落ち着く時期であるものの、一部の市場で祝日やスクールホリデーに合わせた訪日需要の高まりがみられたことなどにより、東アジアでは中国、東南アジアではフィリピン、欧米豪では米国を中心に訪日外客数が増加したことが今月の押し上げ要因となった。
インドで単月過去最高を更新したほか、韓国をはじめ中国、台湾、米国など21市場で5月として過去最高を記録した。
Before12.9万円⇒After19.3万円 リノベ効果覿面 東急不動産×リノべる「北葛西」
「コンフォリア北葛西」(撮影:黒岩翼写真事務所)
東急不動産とリノべる6月19日、築年数の経過に伴う空き家課題を抱える賃貸マンションにリノベーション工事を施しバリューアップした両社のリノベーション協業第三弾「コンフォリア北葛西」が竣工したのに伴うメディア向け内覧会を実施した。全56戸のうち空き家だった16戸と共用部分をリノベした結果、平均賃料は従前の12.9万円(坪6.3万円)から19.3万円(坪9.5万円)に改善し、周辺の築浅マンション同等の賃料水準を実現した。リーシングも好調で、竣工時までに12戸が成約。リノベ効果をまざまざと見せつけた。
リノベーション協業第三弾は、築32年(当時)だった賃貸マンションを昨年9月にリノベーション工事を施すことを前提に東急不動産が取得。全56戸のうち空き家だった16戸と共用部分を対象に、リノベるがプロジェクトマネジメント、総合企画、設計・施工。陳腐化した間取りを変更するとともに、キッチンに食洗機を設置するなど水回り部分の設備を一新。共用部分は100台しか収容できなかった駐輪場を170台へ増設し、公園をイメージした緑をふんだんに植樹し、住まいや地域に愛着が持てるような演出を随所に施している。
物件は、東京メトロ東西線西葛西駅から徒歩15分、江戸川区北葛西5丁目の第一種住居地域(建ぺい率70%、容積率300%)に位置する1991年竣工の8階建て全56戸(リノベーション実施16戸)。施工は戸田建設。平均専用面積は67.37㎡(20.38坪)。リノベーション施工は2025年4月。
エントランス(before) エントランス(after)(撮影:黒岩翼写真事務所)
左・左中・右中:階段室のウォールグラフィック。階ごとに動物が異なり、足跡も異なる。右:エレベーター内部をグラフィックウォールに(撮影:黒岩翼写真事務所)
植栽(中庭)
植栽(エントランス)
壁は黒板クロス、床はインナーテラス風仕上げ
リビング
玄関
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築古の、特に駅からの距離がある賃貸マンションは、何もしなければ空きが大量に発生し収益の悪化を招くのは必至で、一方で、設備仕様を更新し外構・共用部分などの充実を図れば、築浅の周辺物件に負けない物件にすることができる好例だと思う。
竣工が1991年4月だから、バブルが崩壊した1990年(平成2年)には着工されていたのだろう。当時、記者は賃貸マンションの取材はほとんど行っていないので、仕様レベルが高いか低いかは分からないが、天井高は2450ミリ、直天、二重床、サッシ高は1800ミリ、トイレ・浴室部分の段差などは分譲レベルでも見られたものだ。
リノベに当たって、専用部の和室を洋室にし、従前はエアコンが使えなかった洋室にエアコンを設置し、玄関は下駄箱から棚にするなどのリノベ工事は当然として、子育てファミリーの入居を意識した共用部のリノベ工事が目を引いた。
従前はどうだったか分からないが(多分、なにもなかったのだろう)、敷地の外周部と中庭には、一つひとつを公園に見立てた植栽がふんだんに施されていた。一般的な賃貸マンションではまずありえないし、分譲マンションでもここまで緑を配す物件は多くないはずだ。
エレベーターや階段室には子どもが楽しめる動物のモチーフを用いたグラフィックウォールや足跡をデザインに取り込む仕掛けを施し、専用部の玄関サインには再生木を使用している。些細なことだが、このような心配りが消費者に支持されるのだと思う。
子どもの感性・社会性の発達と会話の関連研究 積水ハウス×京都大学
積水ハウスと京都大学は6月18日、2024年度から実施している包括連携で、今年度からの2か年で実施する共同研究テーマを「住まいにおける子どもと家族との会話によるつながりに関する研究~子どもの感性・社会性の発達を目指して~」にすると発表した。同日、公開報告会をリアル&オンラインで開催し、全国の家族を対象にしたプレ調査結果を報告した。
包括連携は、子どもの感性発達に有効な住提案に関する知見の拡大・創出を目的として2024年から実施しているもので、1年目は共同研究の本格始動に先立ち、住まいにおける「家族のつながり」が子どもの感性や幸福感にどのような影響を与えるのかを探るため、長子が小学校3年生~高校3年生相当の男女と、その長子を対象とした832人を対象としたインターネットによるプレ調査を実施した。
その結果、親とのコミュニケーションに満足している子どもは「今、幸せだ」と感じている割合は76.3%、親との会話が十分とれていると答えたのは38.0%、親とのコミュニケーションに「満足」と回答した子どもは、知的好奇心や感性などの子どもの非認知能力が育まれている傾向が強いことなどが分かった。
共同研究テーマを「住まいにおける子どもと家族との会話によるつながりに関する研究」にしたのは、京大式AGORAを実施した結果、共同研究テーマは、①「感性」に加え、「社会性」も対象にした研究②「子ども」だけでなく、「家族」も対象にした研究③「言葉」、「対話・会話」を対象とした研究が大事との結論に達したため。
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プレ調査の結果は、いずれも納得できるものばかりだった。しかし、記者は逆のことを考えた。親子のコミュニケーションが十分でない子どもの23.7%は「今、幸せだ」と感じていないということでもある。
ここでその理由について深煎りはしないが、ファミリー層の住宅取得(賃貸も同様)環境は厳しさを増している。文科省の調査によると、不登校児童は年々増加しており、令和5年は約34.6万人、1,000人当たり37.2人に上っている。
積水ハウスはこれまでレベルの高い住宅を供給しており、ユニバーサルデザインについてもどこより先進的な取り組みをしていると思う。「5本の樹計画」に代表されるように緑環境の保全にも力を入れている。
共同研究では、住宅の質と緑などの住環境が子どもにどのような影響を及ぼすかについても踏み込んでいただきたい。さらにまた、劣悪な住環境でも立派な大人に成長する子どもはたくさんいるはずだ。
南ひな壇の全172区画 ランドスケープ生かすブラン秀逸 リスト&リバブル「新横浜」
「マークヒルズ新横浜」
リストグループと東急リバブルが販売を担当している分譲戸建て「マークヒルズ新横浜」を見学した。新横浜駅から徒歩22~27分とやや距離はあるが、南ひな壇造成の全172区画の大規模開発で、比高差にして10~20mのランドスケープを巧みに利用したプランが秀逸。極めて好調な売れ行きを見せている。
物件は、新横浜駅から徒歩22~27分(横浜線小机駅から徒歩16~21分)、横浜市港北区鳥山町の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率80%)に位置する開発面積約45,489㎡の全172区画。現在先着順で分譲中の住戸(5戸)の敷地面積は125.89~159.17㎡、建物面積は100.19~103.68㎡、価格は6,480万~7,480万円。構造規模は木造2階建て。事業主(売主)はあさひハウジングセンター。販売代理はリストインターナショナルリアルティ、東急リバブル。
今年2月から契約を開始しており、これまで年内供給予定の87区画のうち44区画が販売済み。建物建築停止条件付き宅地分譲も可能。
現地の従前は山林。横浜市内の100区画以上の戸建て分譲としては、2017年分譲の野村不動産「プラウドシーズン横濱洋光台」(203区画)以来8年ぶり。比高差にして10~20mの南ひな壇造成地を生かし、各住戸の日照・通風・プライバシーを確保し、四つ角のない街区構成にして安全性にも配慮しているのが特徴。
主な基本性能・設備仕様は、長期優良住宅認定、リビング天井高2500ミリ、食洗機、床暖房、Low-E複層ガラスなど。
同社グループのリストサザビーズインターナショナルリアルティ販売営業部係長で、同社野球チームの主砲でもある岩島誠氏は、「全172区画のうち年内供給予定は87区画。残りは造成中で、全体完成予定は2027年3月。当社の受託する戸建て開発規模としては過去最大。周辺の分譲戸建てと比較して価格は1,000万円以上の乖離がありますが、月間平均11区画が成約できているように、南ひな壇の立地と、長期優良住宅認定、同じ間取りが一つもない企画が評価されています」と話した。
また、東急リバブルアセット事業本部営業統括部契約コンサルティンググループ主任で同社野球チームの監督を務める大槻俊彦氏は、「リストさんの『辻堂』の販売代理を当社も担当した縁で、今回の物件も契約後から引き渡しまでの多岐にわたるサポートをさせていただいていますが、わくわくするプランがお客さんに高く評価されていると思います。私自身がこれまで担当してきたレベルの高い分譲戸建てと比べてもそん色ありません」と、太鼓判を押した。
インナーガレージ付き(階段の先)
中庭付き
岩島氏(左)大槻氏
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この前書いたポラス「ビー・グレイス柏 未来隣区」(全92区画)の記事と合わせて読んでいただきたい。とてもよく似ている物件だ。「柏」は駅から徒歩22~23分、従前は林地で高低差10mはありそうな大規模開発。今回の「新横浜」も駅から徒歩22~27分の従前は山林で、高低差にして10~20mの大規模開発。
常識的に考えたら、年間30区画売れればいいほうだろうが、いずれも好調なスタートを切った。購入者は、駅まで徒歩あり、自転車あり、車ありというのもよく似ている。価格も、駅近のマンション(柏駅は坪単価400万円以上、新横浜は500万円突破か)と比べればかなり安い。片や埼玉県、一方は神奈川県をホームグラウンドにしている。地域を熟知しているからこそ土地を仕入れられたのだろう。その目利き力の確かさに脱帽するほかない。
今回の「新横浜」は、従前が山林だった地形を生かしたプランがいい。モデルハウスは2棟。一つは、エントランス-キッチン-リビングの間にパティオ(中庭)を設け、階段下からも採光できている。もう一つは、インナーガレージ付きで、リビングから愛車を眺められるようにしている。大槻氏が「わくわくするプラン」と語ったのもよくわかる。分譲戸建てにはあまりないプランだ。
中庭を通じ階段下から採光しているモデルハウス
インナーガレージ付き(その先はシンボルツリー)
シンボルツリーのヤマボウシ
「マークヒルズ新横浜」エントランス
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三菱地所 英国の不動産ファンド運用会社買収 運用資産残高(AUM)6.8兆円に
三菱地所は6月13日、英国・ロンドンに本拠を構える不動産ファンド運用会社Patron Capital Partners社の持分を取得し、子会社化することを決定したと発表した。
Patron社は1999年設立。英国及び欧州大陸各国で不動産及び不動産価値を基盤とする事業会社や不動産デットなどを投資対象とするオポチュニスティック型ファンド※を運用。これまで17か国、114投資案件・200取引、累計900万㎡の物件への投資実績があり、累計のエクイティ調達額は53億ユーロ、2024年12月末時点の運用資産残高(AUM)は46億ユーロ(約7,590億円、1ユーロ164.9円換算)。
三菱地所グループは、「長期経営計画2030」でROE10%の目標達成に向け、ノンアセット事業を成長領域の一つに位置付けており、2030年度末のAUM目標10兆円を掲げている。今回の買収後のAUMは約6.8兆円となる。
※ファンドの主要な期待リターンの源泉が、市場動向予測に基づいた不動産の売買による、キャピタル・リターンの獲得を目的としたファンド(一般社団法人不動産証券化協会による定義)