14年も前から断熱窓の提案に驚愕 インテリックス「青山リノベーションスタジオ」
「青山リノベーションスタジオ」
インテリックスグループのインテリックス空間設計の個人向けショールーム「青山リノベーションスタジオ」を7月3日見学した。14年も前から断熱窓(二重サッシ)の提案を行っているのに驚愕した。
リニューアルでは、「生活課題の解決」と「多様化する高品質ニーズへの対応」をコンセプトに、最新設備を展示するだけではなく「どんな暮らしが実現できるのか」を提案できるショールームとなっている。
スタジオでは、断熱窓(Low-E樹脂サッシ)の施工例や、飛騨高山の家具を採用し、床は突板仕上げのヘリンボーン、電動カーテンとブラインド、キッチン動線、限られた収納スペースを有効に活用する提案などが体験できるようになっている。
同社リノベーションデザイン部部長・阿部貴氏は、「コロナ以降、資材の高騰、職人工賃の上昇が続いており、フルリノベの単価は2~3割はアップしている。今後も工事単価は上昇すると思われ、なるべく早めに決断されるのをお勧めしたい」とアドバイスしている。
同社は1998年2月設立。年間販売1000件を超えるインテリックスの「リノヴェックスマンション」の設計・施工のほか、同業他社のリノベ請負、個人向けリノベ施工を三本柱として事業展開しており、同スタジオは個人向けショールームで2015年に開設している。
「青山リノベーションスタジオ」リビング
洗面
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同社のリノベマンションを初めて見学したのは20数年前だ。物件そのものは〝好立地〟のいいマンションだったが、共用部分のサッシは手付かずだったのを思い出す。その後、同社が中心となって自主規制団体・リノベーション協議会(理事長:インテリックス会長・山本卓也氏、設立時はリノベーション住宅推進協議会で山本氏は同社社長)が平成21年5月20日に設立された。現在の会員数は736者にも及ぶ。〝リノベ〟は〝リフォーム〟に取って変わった。
しかし、記者はこのリノベにいい印象を持っていない。玉石混交の世界だ。ほんの200~300万円の工事を施しただけで、数百万円から1,000万円くらい価格にオンして暴利をむさぼる業者が続出した。
この日、「青山リノベーションスタジオ」を見学して、同業他社も一般の方も同社の「品質にこだわるまじめな『施工力』」(同社パンフレット「RENOVATION STYLE BOOK」)に学ぶべきだと思った。
その典型例が省エネ提案だ。写真のように、PLASTとトステム2社の二重樹脂サッシ(内窓)の提案を行っている。窓下は断熱壁にしている。これは、2011年3月11日、つまり東日本大震災が起きたその日から行っているそうだ。なぜその日だったかは、同社広報担当のTさんは「山本(当時社長の卓也氏)が提案することを決めた、その翌日に震災が起きたのでよく覚えています」と話した。
今から14年前だ。今でこそLow-Eガラスは当たり前になっているが、当時、二重サッシを採用するのは防音対策としてで、断熱性能を高めるものなどなかった。
マンション標準管理規約で、窓ガラスなどの防犯、防音、断熱性能の向上について管理組合がその責任と負担において実施すべき(実施できない場合は区分所有者の責任と負担)と定めたのはそれから5年後のことだ。それより前に、同社が既存マンションの断熱化に取り組んでいたのを聞いてびっくりした。今でもリノベマンションの窓の断熱工事を行っているのは少数ではないか。
断熱窓(二重サッシ)の提案(左がPLAST、右がリクシル)
へリーンボーンの床
元町仲通りの中心地販売好調インテリックス「リシャール横濱元町」(2016/2/8)
成田駅徒歩圏で12年ぶり イオンタウンに隣接 総合地所「ルネ成田サングランデ」
「ルネ成田サングランデ」(合成写真)
総合地所は7月3日、JR・京成成田駅徒歩圏で12年ぶりのマンション供給という「ルネ成田サングランデ」のメディア向け見学会を行った。道路を挟んだ対面に大規模商業施設「イオンタウン成田富里」が隣接しているのが特徴。
物件は、京成本線京成成田駅から徒歩10分、JR成田線成田駅から徒歩12分、成田市東町の第一種住居地域・準工業地域に位置する10階建て全119戸。専有面積は専有面積は60.50~85.03㎡、価格は未定で、3LDKで5,000万円台、2LDKで4,000万円台中心を予定。竣工予定は2027年1月末。売主は同社のほか京成電鉄。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売は長谷工アーベスト、京成不動産。販売開始は9月の予定。
敷地の従前はバッティングセンター・ゲームセンター。用地は2023年9月に取得。道路・京成本線鉄道線を挟んだ敷地南側の大規模商業施設「イオンタウン成田富里」に隣接。建物はT字型で、標準階の南東向きは11戸、南西向きは4戸。全31タイプで平均面積は71㎡。全住戸の約90%に可動収納「ウゴクロ」を採用。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M oriented、低炭素認定、直床、リビング天井高2500ミリ、食洗機、フィオレストーンキッチン天板(オプション)など。京成線に面した妻側住戸の5階以上は二重サッシを採用。コンセプトは、バイオフィリックデザイン。
今年3月から物件ホームページを公開しており、これまでの反響は370件。うち地元居住者は約6割。7月12日にオープンするモデルルーム見学申し込みは80件。
同社は、駅前の中古マンションは坪単価200万円台の中盤に上昇しており、反響も良好なことから竣工までの完売を目指す。
左側がイオン
外観
フレタスキッチン
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いつもは、微に入り細を穿つ、見学会はかくありきの説明会を開き、分譲単価を公表する同社だが、この日は分譲開始が9月とまだ先だからか、同社販売担当者は「3LDKで5,000万円台の前半から後半、2LDKで4,000万円台を予定」と含みを持たせた。
記者は見学前に、駅前の「日高屋」(駅前に日高屋とドトール、マクドナルドがあるかどうかは街のポテンシャルを測る重要ポイント)でビールと半ラーメンを食べた。税込み630円で、半ラーメンは240円。マンション単価はこれと同じ240(万)円だったらいいのになあと考えたが、甘かった。そんなに安くはならないようだ。仕方ない。
マンション購入検討者は、どんな郊外でも坪単価250万円以下はほとんどありえないことを覚悟すべきだ(日高屋は銀座の一等地でも半ラーメンは240円だか)。ただ、単価が安いか高いかは、みんな都心を中心に考える。これは改めたほうがいい。成田駅圏には大量の戸建て住宅街がある。〝都心回帰〟を志向するこれら戸建て居住者の需要を取り込むか、そういう需要は枯渇したか。
模型(わかりづらいが、左側に突き出ているのが横断歩道、マンションとイオンを直接つなげはほんの数秒。横断歩道を付け替えることはしないだろう)
現地(クレーンが建っているのが建設現場)
約1000区画の「成田はなのき台」細田工分譲開始8年で約9割完売(2014/4/21)
大和ハウス 戸建住宅の木造化率 24年度11.0%から25年度は15.3%へ
和田氏
大和ハウス工業は7月2日、戸建住宅事業計画説明会を開催し、同社上席執行役員 住宅事業本部長・和田哲郎氏が、経営数値と事業環境、重点取り組みテーマについて説明。国内販売戦略では請負事業は付加価値のある商品提案を行い、売り上げ単価の上昇を目指し、AI活用とGX対応の推進により規格住宅・セミオーダー住宅の拡大を図り、分譲住宅は木造住宅へのシフトを強化し、既存住宅の買取再販事業を強化すると話した。
経営数値について和田氏は、2025年3月期の売上高は11,445億円(うち海外6,363億円)、営業利益698億円(うち海外592億円)、営業利益率6.1%となり、売上高は米国戸建住宅が堅調に推移し、国内も販売状況の改善、生産性向上が進んだことから増収増益となり、2025年度計画は売上高12,300億円(うち海外6,845億円、営業利益760億円(うち海外600億円)、営業利益率6.2%%と説明。
戸建住宅を取り巻く環境としては、建築費の高止まり、実質賃金のマイナス、着工戸数は持ち家も分譲も減少傾向が継続しており、金利も上昇傾向にあることなどから厳しい市場が続いていると話した。明るい材料として、既存住宅市場が拡大していることを指摘した。
こうした事業環境の中、同社は2025年度の販売棟数を5,500戸(2024年度5,067戸)とし、2025年7月からは全注文住宅商品でZEH水準を上回る「断熱等級6」を標準化すると語った。
国内の販売戦略として請負事業は、断熱等級6を標準化し、Housing Meisterの活用などで付加価値のある提案を行い、売り上げ単価を増加させる。規格住宅・セミオーダー住宅では、AI活用とGX対応の推進により多様な顧客ニーズに適切に対応する。
分譲住宅は、注文住宅と同等のライフスタイル提案や高い断熱性能などで価格以上の価値を持つ住宅を供給し、木造比率を高める。
米国戸建事業は、バージニア州、カルフォルニア州、テキサス州の3拠点の子会社事業が好調で、2017年以降、供給戸数は10.3倍の8,502戸(2025年度計画)まで伸長していることから、2026年度には10,000戸超を目指す。
カーボンニュートラルの取り組みでは、従来の鉄骨造から木造へのシフトを強化し、木造比率は2024年度の11.0%(分譲住宅16.3%、請負7.6%)から2025年度は15.3%(分譲住宅24.3%、請負9.6%)に引き上げる。
既存住宅の買取再販事業(Livness)は、請負・規格住宅・分譲住宅事業と連携しワンストプで対応できる販売体制を整備し、売上高は2024年度の19,403百万円から2025年度は19,860百万円に伸ばす。
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記者は分譲住宅について新しい方針が打ち出されるのではないかと注目していたが、和田氏は第7次中期計画が25年度に終了し、第8次中期計画を策定中で、発表時には数値目標などを公表すると話し、具体的な数値は示さなかった。これまで公表していた2027年度目標の請負3,000棟、分譲住宅7,000棟、合計10,000棟は軌道修正されるのか。
駅5分の1低層 新ブランドタグ具現化 コスモスイニシア「祖師ヶ谷大蔵」
「イニシア祖師ヶ谷大蔵」
コスモスイニシアが創業50年を迎えたのを機に新たに策定したブランドタグライン「人生を変える、心地よさ。」を具現化した第一号マンション「イニシア祖師ヶ谷大蔵」のコンセプトルームを見学した。祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩5分の1低層に位置する従前が〝銭湯〟の物件。記者が先に取材した桜新町駅から徒歩5分の1低層が人気になっている、「クリオ」シリーズ〝1,000棟〟記念の明和地所「クリオ桜新町ザ・クラシック」(30戸)と極めてよく似ている物件だ。
物件は、小田急線祖師ヶ谷大蔵駅北口から徒歩5分、世田谷区祖師谷三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率70%、容積率150%)に位置する4階建て34戸。専有面積は49.67~119.12㎡、近く分譲する第1期2次(戸数未定)の価格は未定。坪単価は630万円くらいになる模様。竣工予定は2026年3月上旬。施工はライト工業。
現地は、祖師ヶ谷大蔵駅北口の「ウルトラマン商店街」から一歩入った低層住宅地。従前は老舗の銭湯。敷地は東西軸が長い長方形で、道路は敷地北側(建物セットバック含め幅9.2m)と西側(同13m)に接道。
住戸プランは、建物中央の中廊下を挟んだ南向き(18戸)と北向き14戸)、西向き2戸。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、フィオレストーンキッチン天板(プレミアム住戸はシーザーストーン)、食洗機、グローエ水栓、突板フローリング、親子リビングドア(一部)、ワイドスパンなど。
1月からエントリーを開始。4月から一部地元中心にインナーで販売を開始しており、14戸に対して9戸に申し込みが入っている。これまでの問い合わせ件数は500件超、コンセプトルーム来場者は67件。
新ブランドタグライン「人生を変える、心地よさ。」は、同社の創業50年(2024年2月)を機に策定されたもので、住宅は資産性や利便性だけでなく、家族と過ごす時間や自分と向き合うひとときに本質的な価値があるという意味が込められている。「祖師ヶ谷大蔵」の分譲開始に合わせて発表する予定だったようだが、設計に時間がかかったため、物件の一般公開に合わせて発表された。
ラウンジ
コンセプトルーム(LDK)
コンセプトルーム(玄関・ホール)
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コンセプトルームはよくできている。全体的な仕様レベルは高い。新ブランドタグラインを具現化していると思う。119㎡のメゾネットタイプのコンセプトルーム(うち玄関・廊下・LDK部分)の玄関・ホールは白が基調で、広さは約2.8帖大。リビングドアは幅115cmの親子ドア。突板フローリング、ワイドスパンなのもいい。北向きの70㎡台でも12.9mある。採光に配慮したコーナーサッシ付きも多い。
冒頭に、明和地所の「桜新町」と「極めてよく似ている」と書いたが、いずれも記念物件として位置づけられており、人気沿線(田園都市線と小田急線)の駅から5分の1低層、建ぺい率70%・容積率150%、敷地面積(「桜新町」)は1,886㎡、「祖師ヶ谷大蔵」は1,846㎡)、〝銭湯〟と〝1000棟〟も同じだ。異なるのは価格で、「桜新町」を紹介できないのは残念だが、「祖師ヶ谷大蔵」も人気必至と見た。
コンセプトルームがある同社のマンション総合ギャラリー「イニシアラウンジ三田」(緑は全て本物)
勝負分けた ロジックの力 言葉と造形の力 ポラス 第12回 学生・建築デザインコンペ
受賞者と審査員で記念写真(ポラテック本社「ウッドスクエア」で)
ポラスは6月30日、「第12回POLUS-ポラス-学生・建築デザインコンペティション」公開審査会を開催し、応募599点のうち一次選考を通過した5作品の中から最優秀賞(賞金50万円)に「暮らしは街にこぼれ」(武蔵野大学・小林由芽さん、野澤沙帆さん)、優秀賞(賞金30万円)に「編まれる時間の住まい」(慶應義塾大学大学院・所新太郎さん、井口雄貴さん、鈴木理紗さん)を選んだ。
コンペのテーマは「“t軸”の家/家々」で、サステナブルな未来に向かって、喜びを持って向き合える家やその集合のあり方を、具体的かつ実際的に提案してもらうもの。
最優秀賞の「暮らしは街にこぼれる」は、道をただの通行空間ではなく、「暮らしの一部」として捉えた全7戸の集合住宅。不定形の建物をアトランダムに配し〝森の抜け道〟〝秘密の密会所〟〝ポケット中庭〟など6つの庭がそれぞれの住宅を緩やかにつないでいるのが特徴。
受賞した小林さんと野澤さんは「模型を仕上げるのに今朝(30日)までかかった。この2日間の睡眠時間は2~3時間。とても嬉しい」と喜びを語った。
優秀賞の「編まれる時間の住まい」は、現代住宅は機能分節が招く思考の単一化であるとし、直線上に並べた機能を壁ではなく段差によって空間を分節し、直線住戸をランダムに交差させることで、生活に思考の余白と密度のある時間を作り出す提案となっている。
このほか、入選作品(賞金15万円)に「はみ出す境界、つながるのりしろ」(広島工業大学・村上寛明さん、中村日香さん)、「月と太陽の降る里」(九州大学大学院・矢野泉和さん、九州大学・菊池慎太郎さん、山之口涼霞さん)、「レジリエントな土壁」(デルフルト工科大学大学院・儲立人さん、中国美術学院・宋雨軒さん)の3作品が選ばれた。
各審査委員の講評は以下の通り。(発言順)
審査委員・中川エリカ氏(中川エリカ建築設計事務所) 今年のテーマは難しいと思っていたが、個性的な提案が多く、それだけ議論も多岐にわたった。すごく熱気帯びたコンペになった
審査委員・原田真宏氏(芝浦工業大学教授) 気になっているテーマだったが、皆さん果敢にチャレンジされた。有意義なコンペだった。欲を言えば、もう少しサステナブルな世界を見せてほしかった
審査委員・今井公太郎氏(東京大学生産技術研究所所長) とにかく応募の多いのがすごい。受賞作は完成度が高い。議論に応えるロジックと造形がいい。これが勝負の分かれ目となった
審査委員・野村壮一郎氏(POLUS社内審査委員) 今回の受賞作品は、図面も模型も、自分が住みたいと思わせる意欲が伝わるような提案が多かった
審査委員長・西沢立衛氏(横浜国立大学大学院Y-GSA教授) 言葉の力と造形の力に対する信頼が我々の中にある。受賞作品にはそれがあった。結果については、違った視点で考えれば違った結果になった。入賞を逸した方、順番が低かった方々もあまり気にしないで、よりよい建築を目指していただきたい
最優秀賞を受賞した小林さん(左)と野澤さん
最優秀賞の「暮らしは街にこぼれる」
優秀賞の「編まれる時間の住まい」
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テーマである「“t軸”の家/家々」に提示されている条件は単純だ。幅員10mの南西道路に接道する縦軸が40m、横軸が30m=1200㎡に7戸程度の木造住宅を建設するというものだ。用途地域も建ぺい率、容積率などの条件はない。
条件提示がない分、難しいと思った。自ら考えるほかないからだ。時間軸も難しい問題だ。過去から現在、未来へと悠久の流れを空間との関連でどう表現するのか、あるいはまた時間と空間の一点に照準を合わせればなにが生まれるのか。
記者は自分なりに、ごく単純にデザインが美しいもの、現法規で実現が可能と思われる作品を選んだ。それが「編まれる時間の住まい」だった。1階部分が「HARUMI FLAG」のように共用部分で、外にも開かれた空間になっており、2~3層の屋根の波打つ横ラインが美しい。
そのほかの作品では、「月と太陽の降る里」は5層分くらいあり、公共施設にすればランドマークになると思った。隈研吾さんも驚くのではないか。「はみ出す境界、つながるのりしろ」は出口がない迷路、解けない知恵の輪だ。どこかの国にこんな住宅はなかったか。「レジリエントな土壁」は審査委員から高い評価を得ていたが、図面が分かりづらかった。
大学院生・大学学部4年生を除く応募者の中で特に優秀な10作品に贈られるUJ賞(Under Junior award)に受賞した東京電機大学・佐久間勇次さん、阿部奏大さん、柿沼瑞幸さんともしばし歓談したが、その作品「絡まる」のデザインが素晴らしいと思った。どこか「麻布台ヒルズ」に似ており、同大学の教授でもあったプリツカー賞を受賞した山本理顕氏もこのような作品があったような気がする。これがナンバーワンか。
要するに、作品は愛と憎しみと同じだ。みんな紙一重。西沢氏も話したではないか。選ばれなくても落胆などしないことだ。
一つ残念だったのは、耳が遠くなったせいかプレゼンから質疑応答、自由論議、講評まで約4時間、話が聞きづらかったことだ。審査員の方々がこのように話したか自信がない。間違っていたら謝るほかない。
令和7年5月の住宅着工 43,237戸 1962年1月以来62年ぶりの低水準
国土交通省は6月30日、令和7年5月の新設住宅着工戸数をまとめ発表。新設住宅着工戸数は43,237戸となり、前年同月比34.4%減、2か月連続減少した。利用関係別では、持家は11,920戸(前年同月比30.9%減、2か月連続の減少)、貸家は18,893戸(同30.5%減、2か月連続の減少)、分譲住宅は11,924戸(同43.8%減、2か月連続の減少)、分譲住宅の内訳はマンション4,778戸(同56.5%減、2か月連続の減少)、一戸建住宅7,083戸(同29.9%減、2か月連続の減少)。
首都圏マンションは1,977戸(前年同月比66.6%減)で、都県別は東京都1,098戸(前年同月比56.0%減)、神奈川県611戸(同78.1%減)、 埼玉県63戸(同62.9%減)、千葉県205戸(同56.0%減)となった。
◇ ◆ ◇
これほど着工戸数が少ないのは記憶にないのでChat GPTに聞いた。さすがChatだ。「月次データがある1960年1月より後では、今回の43,237戸が最少。全期間(1960年〜)での最低は1960年1月の19,900戸。過去65年間で最低水準を記録したということで、これは戦後の住宅着工統計史においても極めて異例です」と答えた。令和6年3月の駆け込み着工の反動減ではあるが、それにしても異常だ。理由はよくわからない。
と書いたのだが、他のメディアは「1962年1月の41,813戸以来の低水準」と報じている。ChatGPTに確認したら、ChatGPTの誤りが分かった。よって、1962年1月以来62年ぶりの低水準に改める。
ポラスグループ 2025年3月期決算 プレカット振るわず減収減益 分譲は増収増益
中内氏(左)と品川氏
ポラスグループは6月30日、2025年3月期決算を発表。売上高2,768億円(前期比2.4%減)、営業利益144億円(同23.8%減)、経常利益149億円(同23.5%減)、純利益39億円(同18.2%減)となり2期連続の減収減益。主力の分譲住宅(中央住宅)は増収増益となったが、プレカット事業(ポラテック)が軟調な市況の影響により減収減益となったのが響いた。
セグメント別では、分譲住宅(中央住宅)は売上高1,026億円(前期比4.3%増)、営業利益54億円(同4.4%増)と増収増益。分譲戸建ては売上戸数2,730戸(同0.8%減)、マンションは403戸(同30.4%増)。注文住宅の売上棟数は583棟(同9.6%増)、賃貸・集合住宅の売上戸数は164戸(同3.8%増)。
不動産売買仲介は、仲介手数料42億円(同17.1%増)、件数3,141件(同16.9%増)。リフォーム受注額は112億円(同7.0%増)。
プレカット事業(ポラテック)の売上高は979億円(同5.3%減)、営業利益は42億円(同37.0%減)、経常利益は46億円(同33.7%減)。
次期業績予想は、売上高2,950億円(前期比6.5%増)、営業利益165億円(同14.4%増)、経常利益170億円(同13.9%増)、純利益48億円(同22.0%増)を見込む。
決算発表会に臨んだポラスグループ代表・中内晃次郎氏は、「軟調な市況の影響を受けたプレカット、資材高騰、人的資本への投資などにより減収減益となったが、分譲住宅はお客様の多様な価値観に対応した暮らし方提案、街づくりが評価された。注文住宅は『体感住まいパーク吉川美南』のオープンなどで受注棟数は700棟超(714棟)となった。売買仲介、リフォーム、賃貸仲介とも過去最高を更新した」と語った。
また、中央住宅代表取締役社長・品川典久氏は、「分譲事業は地域密着で大型、かつ豊かな幸せの街づくりを基本理念に置いており、全棟邸別設計をきちっと設計しているため(仕入れから分譲まで)時間がかかっており回転率の数値に現れているが、こうした他社との差別化が奏功しており、分譲ドメインでは昨年度、グッドデザイン賞10点、グループ全体では13点、キッズデザイン賞は18点、グループ全体で20点、このほか世界3大アワードなどを含め40点以上が受賞することができた。今年度の契約棟数は順調に伸びており、契約棟数は3,210棟が目標」と話した。
ポラス 2024年3月期 15期ぶり減収・減益/同社の商品力は顧客に伝わっていないか(2024/6/29)
「誰でもできるラグビー」元日本代表・田中さん 三井不 第28回 SPORTS ACADEMY
★「第28回 三井不動産SPORTS ACADEMY 『ラグビーアカデミー』」(東京ドームシティ ラクーアガーデン芝生広場、以下、★印写真は主催者提供)
三井不動産は6月28日(土)、「第28回 三井不動産SPORTS ACADEMY 『ラグビーアカデミー』」を開催。この日行われるJAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)との対戦のため来日しているマオリ・オールブラックス選手や田中史朗さん(元ラグビー日本代表)、マヂカルラブリー 野田クリスタルさん、ラグビー芸人 しんやさんなどを招き、小学校低学年(1~3年生約25名)を対象にした実技やトークショーが行われた。身長166cmの田中さんが「ラグビーは誰でもできる」と話したのが印象に残った。
イベントに参加したのは、マオリ・オールブラックスのアントニオ・シャルフーン、コーリー・エヴァウンス、メイソン・シゥバエアさんの3選手、元オールブラックス代表のデイン・コールズさん、元ラグビー日本代表・田中史朗さん、マヂカルラブリー 野田クリスタルさん、ラグビー芸人 しんやさん。小学1~3年生の子どもとボール回し、タックル(ゲストが腰につけている帯をむしり取るゲーム)、トライなどの実技やトークショー、全員の記念写真撮影会が行われた。
トークショーでは、ゲストから「子どもたちにとって外国の選手と交流できるのはとてもいい経験になる」「ラグビーの可能性を広げるイベント」「(日本の)人と文化が好き」などの声が上がった。女の子から鋭い質問も飛んだ。「どうしたらボールを持って速く走れるのですか」と。マオリ・オールブラックスの選手は「ボールを両手でしっかり持って、脇を締めること」と本質的なことを話した。なるほど、体当たりされボールを落としたらノッコン(スローフォワード)を取られる。
ご主人とお子さんと一緒に観戦していた都内に住む30代の女性は、「ラグビーファンです。リーチ・マイケルさんがいる東芝が贔屓チーム。今季は13~14試合、秩父宮に通いました。イベントに参加したのは小学2年の下の子で、小学6年の上の子もラグビーをやっています」と、とても楽しそうだった。
三井不動産は2016年から「BE THE CHANGE」というスローガンを掲げ、スポーツの要素を盛り込んださまざまな街づくりを手掛けており、2024年4月に策定したグループ長期経営方針「&INNOVATION 2030」では「新たなアセットクラスへの展開」を事業戦略の一つとして、「スポーツ・エンターテインメントを活かした街づくり」を加速させ、リアルの体験価値を最大化することを目指している。
★背番号「31」は三井不動産の「ミツイ」だそうだ
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ラグビーは高校のとき、体育の授業で習ったことしかない。先生から、タックルは足首にしろと教わったが、身長163cmしかない記者は、大きな生徒の太ももに抱きつき、そのままずるずると引きずられ、前進を阻めなかった屈辱的な思いしかない。サッカーもそうだが、猪突猛進そのもの、野蛮なスポーツだと決めつけた。
それでもスポーツはみんな好きだったので、大人になってからも50年以上、大学ラグビーや日本選手権、W杯などをテレビ観戦した。日本ラグビーは世界に通用しなかったので、劣等意識は深まるばかりだった。
ところが、W杯第8回(2015年)大会で世界の強豪・南アフリカに勝利したのをテレビで観ていた。日本中が沸き立った。〝ジャイアント・キリング〟という言葉が流行した。
田中さんが、リーチ・マイケルさんなどとともに日本代表選手だったのを最近知ったばかりだ。この日、身近で田中さんを見て、元神戸製鋼のラグビー選手だった大和ハウス工業代表取締役会長CEO・芳井敬一氏もそうだが、とても〝小さい〟のに驚いた。失礼だとは思ったが、「私は西武ライオンズファン。セカンドの滝澤選手は身長164cmですが、俊敏な守備力はトップクラス。田中さんの身長はいくつですか。ラグビーと身長は関係ないのですか」と聞いた。
田中さんは「私は166cm。努力は必要ですが、ラグビーは(背が低くても)誰でもできる」と答えた。夢と希望を与える言葉だ。この日参加した小さなラガーマンの中から日本代表が生まれるかもしれない。28回もSPORTS ACADEMYを開催してきた三井不動産と関係者にエールを送りたい。
左からマオリ・オールブラックス選手、コーリーさん、メイソンさん、アントニオさん
★田中さん
めっちゃ楽しい三菱地所など「仲通り綱引き大会2025」ソニー生命 2年ぶり4度目V(2025/5/22)
ラグビー世界最強NZ オールブラックス応援イベントに7000人超柏市×三井不(2019/9/14)
三井DT ミラノデザインウィークから読み解く「Design Trend Report 2025」
左からMERIDIANI、Minotti、Cassina
三井デザインテックは6月27日、2025年4月8日から13日に開催されたミラノデザインウィーク国際家具見本市の分析と家具や空間デザインの最新トレンドをまとめた「Design Trend Report 2025」を発表した。同社フェロー・見月伸一氏の視点で分析し、解説したもの。
レボードによると「COLOR TREND」については、「落ち着きと温かみを備えたアーストーンを基調に、空間に深みや奥行きを与える配色が目立った。ミルクティカラーを中心としたベージュ系の柔らかなグラデーションが多用され、ウッド素材との親和性が高い構成となっている。自然回帰の志向を反映するフォレストグリーンや、やや赤みを帯びたブラウンも多く、70年代ヴィンテージの空気感を取り入れながら、クラシックなトーンに現代的なニュアンスを加える試みが進んでいる」としている。
「MATERIAL TREND」については「素材そのものが空間の印象やメッセージを担う傾向が強まり、軽やかさや懐かしさを伴うウッド素材の再評価が進んだ。特に、鈍い光沢のミディアムウッドや乾いた質感の白木が多用され、曲線的な加工や異素材との組み合わせによって、穏やかで柔らかな雰囲気が生み出されている。また、再生素材や自然由来の素材の探究も深化しており、サステナブルであると同時に工芸的な価値をも備えた表現として注目された」としている。
左からMinotti、LOUIS VUITTON
「STYLE TREND」については「空間に対する身体的な距離感や過ごし方に焦点を当てたスタイルが広がった。奥行きを深く取ったソファや床座の提案に見られるように、柔らかな姿勢でくつろげる環境への関心が高まっている。70年代を想起させる有機的なフォルムや落ち着いた素材構成が特徴で、ヴィンテージとモダンの要素を融合させたスタイルが主流となった。個の寛ぎを尊重しながらも自然な対話が生まれる低重心のレイアウトや、素材のテクスチャーを活かした自由度の高い空間設計が、多様なライフスタイルに寄り添う新たなスタンダードとして提案されている」としている。
左からbaxter、Minotti
「トレンド分析から見える2025年のデザイントレンド」は以下の通り。
2025年のインテリアデザインは、サステナビリティやウェルビーイングへの関心が深化し、ヘルシーでストイックな志向に加えて、情緒や自由さを重んじる暮らしの価値観へと広がりを見せている。さらにパンデミックの収束から2年以上が経ち、コミュニケーションのあり方や生活様式の変化が進む中で家具の使い方も多様化し、新しい寛ぎ方や対話を重視したレイアウトの提案も行われるようになってきた。
その生活形態の変化を表すように、今年のミラノデザインウィークでは70年代の自然回帰や自由なムードを基調に、60年代カリフォルニアの開放感や80年代の華やかさなど、複数の時代を横断する要素を融合させた展示が多く見られた。異なる要素を組み合わせることでヴィンテージ感と現代的感性の調和を図り、ブランドごとに独自の世界観を構築する動きが顕著になっている。
こうした潮流の中で、インテリアは柔軟性や持続可能性を備えるだけでなく、人と人との対話を促し、自由で多様な暮らしを包み込む舞台としての役割を強めている。そして今、その空間が担うのは、単なる機能や様式の表現にとどまらず、個々の人生や感情に寄り添い、豊かさを語る“ストーリーテリング”型のアプローチである。その象徴ともいえるのが、Loro Piana による《La Prima Notte di Quiete》だ。70年代を想起させるインテリアを舞台に、音や光による演出だけで空間に物語を立ち上げた本作は、インテリアデザインがもたらす情緒的な豊かさを体感させる提案であり、これからのミラノデザインウィークが果たしていく文化的役割を先導する存在ともなっていた。
インテリアが、その場で営まれる人々の生活や物語を織り込んだ表現へと進化するなか、2025年のミラノデザインウィークは、自由で情緒的な暮らしの価値観とともに、多様なライフスタイルに寄り添う新しいデザインのあり方を具体的に提示していた。
Loro Piana による《La Prima Notte di Quiete》
長谷工不動産HD 収益不動産開発の新会社・長谷工総合開発 営業開始
長谷工不動産ホールディングスは6月27日、2025年2月14日に設立した収益不動産開発を行う新会社「株式会社長谷工総合開発」の営業を7月1日から開始すると発表した。
同社グループの長谷工不動産と総合地所がそれぞれ事業展開していた収益不動産開発事業を吸収分割により継承するもの。