豊洲二・三丁目の最後にして最高の再開発PJ IHI・三菱地所「豊洲セイルパークビル」
「豊洲セイルパークビル」
IHI(旧・石川島播磨重工業)と三菱地所は7月22日、東京都江東区豊洲二・三丁目エリアの最後の再開発プロジェクトとなる「豊洲セイルパークビル」の商業施設を7月24日に開業すると発表した。開業に先駆けた22日、メディア向け説明会・内覧会を開催した。駅前の豊洲センタービルが1992年10月に竣工してから33年、「職・住・遊・学」の街づくりの最後にして最高のピースがカチッと納まったのではないか。
物件は、豊洲駅から徒歩4分、江東区豊洲2丁目に位置し、18階建て延床面積約47,000㎡の「きんでん豊洲ビル(A棟)」と、15階建て延床面積約89,000㎡の「豊洲セイルパークビル(B棟)」から構成。設計はA棟が三菱地所設計、B棟が鹿島建設、施工は鹿島建設。2022年7月に着工し、竣工は2025年9月。
現地は、戦前から東京石川島造船所の工場として利用されていたところで、「ららぽーと豊洲」に隣接。現地を含む豊洲二・三丁目地区は平成14年6月に地区計画決定がなされた、開発面積約50.5ha、就業人口約3.3万人、居住人口約2.2万人の再開発等促進区。「職・住・遊・学」の街づくりが進められてきた。再開発計画プロジェクトとしては今回が最後となる。
施設は、オフィスとインキュベーショ ン施設「LIFESTYLE LAB “TOYONOMA”」、シェア企業寮「TRIAL HOUSE “TAMESU”」から構成。4~15階のオフィスは1フロア(標準階面積)約4,215㎡(1,275坪)、ZEH Oriented(事務所)を取得。標準階の天井高は2800ミリ(一部3000ミリ)。約50%が契約済み。
「TOYONOMA」は、コクヨが運営する〝新しいライフスタイルを生み出す参加型〟がテーマで、総床面積約1,500㎡。1時間からの短期利用、4名~6名の個室月額利用、イベントや企業の研修での大会議など多様な利用が可能。本格的な厨房設備を備えた飲食店営業許可取得済のテストキッチンを利用したポップアップ営業や製品展示など多様なPoC(実証実験)や社外活動にも対応。シャワーブース(2室)も備えている。
「TAMESU」は総床面積約1,500㎡。1R(約25㎡)36室と1LDK(約50㎡)3室の合計39室。運営はGOODTIME。100㎡のダイニングラウンジ、屋上菜園付き。TOYONOMA内のワークスペースも9:00~20:00まで利用可能。5年契約で家賃は1Rが12.5万円/月、1LDKが21.5万円/月。様々な企業やスタートアップとの異業種交流を促進し、企業やスタートアップ間での人的ネットワークの形成や学びの機会を提供する。
1~2階の商業テナントエリアには21店舗が出店。一部にペット同伴可能の店舗のほか、テイクアウトステーションが設置されている。床には小波のデザインが施されている。
エントランスホール(天井は本物の布)
エントランス
「TOYONOMA」
「TOYONOMA」
「TAMESU」
◇ ◆ ◇
ビルに入った途端、1~3階のエントランス吹き抜け部分の天井全体に帆(SAIL)をイメージしたデザインが目に飛び込んできた。帆布ではないようだが本物の布だった。これほどふんだんに布を用いた大規模施設を初めて見た。そのデザイン意図も理解した。豊洲エリアには、建築家・坂茂氏が設計した素晴らしい芝浦工大キャンパスの〝紙のレストラン〟があるが、こちらは「豊洲」の文化・歴史を考えたものだろう。
この「豊洲」は記者にとってどのような意味があるかを紹介しよう。この20年間、デベロッパーやハウスメーカーの取材を除けば、マンションやその他の開発事業の取材でもっとも多く訪れたのは、東の「豊洲」、西の「武蔵小杉」が双璧だろう。年間にならすと10回近いだろう。「20年間」に限定したのは、双方とも再開発マンションの分譲が本格化したからだ。
その嚆矢は、「豊洲」は2007年分譲開始の三井不動産レジデンシャル他「パークシティ豊洲」(1,481戸)で、「武蔵小杉」は2006年分譲開始の伊藤忠都市開発他「THE KOSUGI TOWER」(689戸)だ。分譲単価もほとんど同じで、前者は230万円、後者は220万円だった。
その後、どれくらいのマンションが供給されたか正確な数字は分からないが、おそらく双方とも6,000~7,000戸に上るはずだ。直近の分譲事例では、「豊洲」は2019年分譲開始の東急不動産他「ブランズタワー豊洲」(1,152戸)で坪単価416万円、「武蔵小杉」は2025年分譲の三菱地所他「ザ・パークハウス武蔵小杉タワーズ」(1,438戸)で坪単価は600万円超と思われる。
そして本日(22日)、15階のオフィス基準階から外を眺めたら、真正面の眼下に「ららぽーと豊洲」、その先の運河とともに超高層マンション3棟が目に飛び込んできた。同社広報担当者に確認したら三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス晴海タワーズ」と、三井不動産レジデンシャル他「パークタワー晴海」だった。泳いで渡れそうな指呼の距離だ(遊泳禁止だろうが、多分200mくらい)。
そこで算盤をはじいた。ここにマンションを建てたらいくらになるか。「坪700万円でどうですかね」と、同社広報担当者を挑発したら、笑いながら「ららぽーとの隣ですからね」と話した。すぐ上方修正した。高値追及したら坪1,000万円でも売れるのではないかと(この予想は的中しているはず)。
次に、「TAMESU」について。説明会場で配布された資料から坪賃料をはじいた。5年契約で約25㎡が12.5万円/月、約50㎡が21.5万円だから、前者は1.65万円/月、後者は1.42万円/月だ。少し高いような気もしたが相場並みだろうと。しかし、施設を見学して修正した。全体のフロア面積は約1,500㎡あり、100㎡超のダイニングラウンジと、田植え・収穫もできる田んぼなど屋上菜園付き。単純に1,500㎡を39戸で割ったら、坪賃料は1万円強になった。豊洲エリアでの寮・社宅は少ないはずで、人気を呼ぶのではないか。
「TOYONOMA」もよく企画されている。建具・家具などの仕上げは普通だと思ったが、全体的に環境負荷を低減するため紙管を多用していると聞いた。芝浦工大の〝紙のレストラン〟を参考にしたのではないだろうが…。
商業施設 メニューの一部
屋上菜園
イネが植えられていた
オフィスフロア15階(右端が三井のマンション、その隣2棟が三菱地所のマンション)
記者が頂いた「海鮮居酒屋 やまでん丸 豊洲セイルパーク店」の寿司
三菱地所レジ他「武蔵小杉」反響1万件超うち7割は都内 26日からモデルルーム案内会(2025/4/23)
マンション4300戸 武蔵小杉エリアで分譲開始(2006/2/17)
まさに紙わざ ヒントは「6」 坂茂氏が設計した芝浦工大のレストラン&カフェ(2022/10/25)
文にするのもためらわれる「急所●」新報の見出し/東急不「豊洲」の記事の感想(2022/3/8)
「豊洲人気」牽引する三井不動産「パークシティ豊洲」(2006/3/29)
マンション6000戸 豊洲地区で〝湾岸戦争〟拡大(2006/3/10)
イヌイ倉庫「月島荘」の大いなる挑戦 秋まつりで夢を語る若者(2016/9/16)
〝便立地、好立地〟三井レジ・三菱地所レジ「天王洲」分譲開始
「パークタワー品川天王洲」
三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスは7月18日、「パークタワー品川天王洲」(275戸)の第1期(79戸)の販売を7月19日(土)から開始すると発表した。これまで7,700組超の問い合わせがあり、モデルルーム来場者は670組超。
建物は、総合設計制度の適用を受け、免震構造を採用し、ZEH-M Orientedを取得。外観デザインは、周辺の水辺との調和をテーマとした「航跡波(こうせきは) 」をイメージしたグラデーションを描くデザインとし、天王洲の街の新たなランドマークを目指す。
エントランスホールは天井高約9mの吹き抜け空間とし、屋内でも自然を感じられるインナーグリーンを植栽。共用施設のフィットネスルームやランドリーラウンジ、スタディコーナー、パーティールーム、キッズルームは運河沿いに配置。
設計では、住戸のプロポーションを横長にすることで全ての居室にバルコニーに面した窓を設置している。専有部の天井高は最大約2.6m(プレミアムフロアは約2.8m)を確保。
物件は、東京臨海高速鉄道りんかい線・東京モノレール羽田空港線天王洲アイル駅から徒歩4分、品川区東品川2丁目の商業地域に位置する34階建て全275戸。第1期(79戸)の専有面積は65.49~107.01㎡、価格は1億4,110万~3億9,980万円。竣工予定は2027年8月下旬。施工は長谷工コーポレーション。建物デザインは日建設計。
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天王洲アイルといえば、「シーフォートスクエア」を思い出す。三菱商事、第一ホテルエンタープライズ、第一ホテル、宇部興産によるホテル、マンション、オフィス、商業施設からなる複合開発だ。マンション(139戸)の分譲開始はバブルの頃で、価格(坪単価)は思い出せないのだが、一般分譲されたのは一部の住戸で、2~3億円、坪1,000万円を超えていたのではないか。飛ぶように売れた。ホテルも最高に素晴らしかった(現在は「ANAホリデイ・イン東京ベイ」)。
その後、天王洲アイルのマンションは数物件取材したが、価格の上昇には唖然とするほかない。今回のマンションは〝便立地、好立地〟だと思う。坪単価は不明だが、1,000万円には届かないのではないか。
全254戸がキャナルビュー住友不動産「シティテラス品川イースト」(2015/2/9)
マンション再生メニュー 2つ⇒7つへ 旭化成ホームズ 区分所有法改正セミナー
左から大木氏、戎氏、鎌野氏、重水氏(神保町三井ビルディング4階ファミリーホール)
旭化成ホームズ・マンション建替え研究所は7月18日、「11回 高経年マンション再生問題 メディア懇談会」を開催。同研究所特任研究員・大木祐悟氏がモデレーターとなり、早稲田大学名誉教授・鎌野邦樹氏、弁護士・戎正晴氏、同研究所長・重水丈人氏による「区分所有法改正で、マンション再生はどうなるのか? 」をテーマにしたパネルディスカッションを行った。
区分所有法の改正は、建物の老朽化と居住者の高齢化という「2つの老い」の社会課題を解決するためのもので、2025年5月23日の国会で成立した。改正法では、区分所有法で定められている議決要因「全員の同意」「5分の4以上の賛成」などが緩和され、集会(総会)に出席しない・意思表示しない区分所有者や「所在等不明区分所有者」を分母から省いて決議してもいいことになり、再生メニューは、従来の建て替え決議とマンション敷地売却決議の2つに加え、建物の取り壊し敷地売却決議、取り壊し決議、再建決議、敷地売却決議、建物の更新決議の5つが加わるのがポイント。一部を除き2026年4月1日に施行される。3氏のコメントは以下の通り。
鎌野邦樹氏 今回の区分所有法改正に当たっては、法務委員会で16回、国土交通省の検討会でも同じくらいの回数にわたって論議され、大きな改正がなされた。従来は、法務省管轄の法制審議会、国会の法務委員会で論議がなされてきたが、今回は国交省所管の国土交通委員会でなされた。これは国民にとってマンションはもっとも重要な財産だという共通認識が背景にある。私は結果的によかったと思う。課題は、建て替えなど費用などお金の問題。法改正によって様々な再生メニューが示されたが、それに乗らない管理不全マンションがあちこちにできると、経済的にも地域にとっても非常な損失となる。それを未然に防ぐことが重要。
戎正晴氏 今回の法改正は、建て替えの意味が変わってきたということ。国の文章にもあるように、マンションは区分所有者の責任と費用で解体されなければならないのだが、マンションは解体責任を全然認識していない、解体までの費用が担保されていない現状がある。解体責任を果たすために、区分所有者にとってもっとも有利なのは建て替えで、今までの資産が新しい資産になり、終の棲家にもなる。これからは、解体積立金か解体保険になるか分からないが、解体費の確保を重視するマンション施策が中心に位置付けられるようになる。出口戦略を本気で考えなければならない時代になったということ。
重水丈人氏 この法改正の議論が始まったのは2022年の10月から。それ以降、当社のマンション建替え研究所ホームページへの問い合わせ件数は大幅に増加している(資料では、2022年度以前の3年間の問い合わせは240件前後だったのが、2023年度は324件、2024年度は335件に増加)。関心が高まっているということがはっきりしている。当研究所も、関心を持っていただいた方々へよりわかりやすくする情報を発信していくことに注力していく。マンションの合意形成で一番苦しいのは、反対されることではなくて、関心を持ってもらえないこと。たとえ違う意見でもちゃんと意見を戦え合わせれば前には進める。それが我々の役割。世に広めていきたい。
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今回のパネルディスカッションは、マンションの建て替えを中心とする再生(戎氏は「終活」と語った)がテーマなので、全体的な改正法については、国土交通省が7月8日に行った「令和7年度 改正マンション関連法に関する説明会」の記事を参照していただきたい。
改正マンション関連法に関する説明会に約480人 国土交通省&法務省(2025/7/8)
東京建物グループ 愛犬同伴型ラグジュアリー「レジーナリゾート由布院」開業へ
「レジーナリゾート由布院」
東京建物と東京建物リゾートは7月17日、2013年に開業した愛犬同伴型ラグジュアリーリゾートホテル「レジーナリゾート」シリーズの10施設目、九州初となる「レジーナリゾート由布院」を2025年秋に開業すると発表した。
「由布院」は、自然と調和した高台に位置し、くぬぎの杜の中に点在する、小さな村のような温泉リゾート。一軒家スタイルのヴィラスイート(約72~約82㎡)7棟と由布院の里山を見晴らす場所に立つメゾネットタイプのテラススイート(約69㎡)8室で構成。敷地内には由布岳を望む温泉露天風呂やドッグランを備えるほか、地元九州の旬の食材を吟味した創作日本料理を提供するレストランは愛犬同伴も可能。
東京建物グループは2024年8月、「フォーシーズンズホテル」と分譲マンションとの超高層複合タワー開発として日本初となる「フォーシーズンズホテル大阪」を、2024年9にはヒルトンのフラッグシップブランドである「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」としては京都初進出となる「ヒルトン京都」をそれぞれ開業。2028年にはアコーホテルズの最高級ラグジュアリーブランド「ラッフルズ」の日本初進出となる「ラッフルズ東京」の開業を予定している。
東京建物リゾートは、ホテル事業(愛犬同伴型ラグジュアリーリゾートホテル「レジーナリゾート」9施設、リゾートホテル1施設)、ゴルフ事業(河口湖カントリークラブなど計13施設)、温浴施設事業(「おふろの王様」10施設、都市型スパ「TOTOPA」1施設)の3事業を展開している。
「住宅省エネルギー性能証明書」取得率30%の意味 3割打者と同じ価値があるのか
昨日(7月16日)、コスモスイニシアが今年度着工するリノベマンションの30%を「住宅省エネルギー性能証明書」付きにすると発表した記事を書いたのだが、記者はこの「30%」の意味が全然分からなかった。以下は、野球好きの記者が「30%」「3割」の意味を考えて書く記事だ。外れたら謝るほかないのだが、リノベーション業界全体が取り組むべきだと思うので書くことにした。
まず、プロ野球の「3割バッター」について。3割バッターとは、打者が打席に立ち、そのうち四死球、犠打・犠飛を除く打数に対して3割以上の安打を放った選手に贈られる〝称号〟だ。91年の歴史を誇るNPBの中で通算打率.300以上の成績を残した選手は在籍者約1万人の中でわずか26人しかいない。長嶋茂雄さんの通算打率は3割ちょうど。3割を切りたくなかったから、〝永遠〟名セリフを残して引退したのだと思う。ちなみに、2024年の規定打席(試合数×3.1)以上打席に立った選手の個人打撃成績で、打率3割以上の成績を残した選手はセ・リーグが2人、パ・リーグが1人しかいない。
例外はイチロー選手だ。NPB通算打率は.353、米国・MLBの通算打率は.311、日米通算打率は.322だ。これを抜く選手はまず現れない。
これだけ書けば、「3割」がすごい数字だとわかっていただけるか。
「3割」といえば、「3割自治」という言葉がある。地方公共団体の歳入に占める自主財源である地方税の割合が3割程度しかないことを表す言葉で、3割以上の自治体は3~4割程度と言われている。もっとも自主財源比率が高い都道府県は東京都の90.6%(令和5年10月東京都財務局)。
「3割」は他にもある。医療費の自己負担比率だ。小生などの後期高齢者は原則「1割負担」だが、70最以下の人は原則「3割負担」だ。
本題に戻す。「住宅省エネルギー性能証明書」に関する公的データはない。証明書を発行している各機関・企業も年間どれくらい証明書を作成しているか公表しているところはないはずだ。ZEH水準の工事を施した物件がどれだけあるか、杳として知れない。
そうなると、限られた公表データから推測するほかない。国土交通省・総務省のデータによると、令和5年の住宅着工戸数は82.6万戸、既存住宅取引件数は15.9万戸、流通市場シェアは16.2%だ。住宅ストック約5,400万戸の断熱性能を満たす住宅(H11年基準)はストック全体の約18%(令和4年推計)。わが国のマンションストック総数は約704.3万戸(2023年末時点)。東日本レインズのデータによる2024年の首都圏中古マンション成約件数は37,222件、新規登録件数は190,880件。「2022年の中古住宅買取再販市場規模(中古戸建及び中古マンションの買取再販戸数の合計)は成約戸数ベースで前年比5.1%増の41,000戸と推計した」(矢野経済研究所)…などだ。
これらの数値から、記者はZEH水準の既存マンション流通量は2~3千戸くらいではないかと考えるのだが…だとすれば、コスモスイニシアの「住宅省エネルギー性能証明書」取得率30%は極めて高い水準のような気がする。
だが、しかし、分譲マンションも分譲戸建てもZEH水準が当たり前になりつつある。既存住宅もZEH水準が当たり前になるようすべきだと思う…リノベマンションの3割がZEH水準になり、それが当たり前になったら、3割バッターとの比較はどうなるのか…この記事は全然整合性が取れていないではないか。
6月の訪日外客数 過去最多338万人 上期累計も過去最速の2,000万人突破 JNTO
日本政府観光局(JNTO)は7月16日、2025年6月の訪日外客数は前年同月比7.6%増の3,377,800人となり、6月として過去最高を記録したと発表。1~6月の上半期の累計でも21,518,100人となり、前年同期を370万人以上上回るとともに、過去最速となる6か月で2,000万人を突破した。
6月は5月と同様に夏休みシーズン前となり、訪日需要が比較的落ち着く時期であるものの、多くの市場でスクールホリデーに合わせた訪日需要の高まりがみられたことなどにより、東アジアでは中国、韓国、東南アジアではシンガポール、インド、欧米豪では米国、ドイツが伸びた。
米国で単月過去最高を更新したほか、韓国や台湾、シンガポールなど15市場で6月として過去最高を記録した。
「住宅省エネルギー性能証明書」取得率30%へ コスモスイニシア リノベマンション
「コスモポリス品川」の3住戸で「住宅省エネルギー性能証明書(ZEH水準または省エネ基準)」取得
コスモスイニシアは7月16日、リノベーションマンション事業「INITIA & Renovation」について、今年度着工する既存マンションから「住宅省エネルギー性能証明書(ZEH水準※1・省エネ基準※2)」取得率30%を目標値とすることに決定したと発表した。証明書を取得するとローン控除の優遇措置や補助金申請が受けられる。
住宅の省エネルギー化の推進にあたり、YKK AP、u.company、エヌ・シー・エヌの3 社と協業体制を構築しており、これらの企業と連携しながら、設計や仕様検討の段階から、各物件に応じたZEH水準・省エネ基準到達に必要な条件の提示、申請業務のサポートなど、技術面・制度面において実務的な支援を受けながら省エネルギー化を進めているとしている。
※1 ZEH水準:建築物の断熱性能及び設備に関する基準を満たした住宅で、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上の性能を有する住宅
※2 省エネ基準:建築物の断熱性能及び設備に関する基準を満たした住宅で、断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上の性能を有する住宅
14年も前から断熱窓の提案に驚愕インテリックス「青山リノベーションスタジオ」(2025/7/4)
リスト 最高価格72.5億円のアジア初のポルシェブランドマンション タイで分譲開始
リストグループのリストインターナショナルリアルティ(LIR)とリストインターナショナルリアルティタイランド(LIRタイオフィス)は7月15日、アジアで初となる高級スポーツカーのポルシェをモチーフとしたブランデッドレジデンス「Porsche Design Tower Bangkok(ポルシェ デザイン タワー バンコク)」22戸を9月末日から共同で販売開始すると発表した。最高価格は72.5億円(坪単価2,108万円)となる予定。
LIRタイオフィスは、2018 年に高級不動産仲介ブランド「サザビーズ インターナショナル リアルティ®」 のタイ国内独占営業権を取得。これまでのタイ国内での高級不動産の販売実績が評価され、今回の物件の販売権利を取得。LIR東京オフィスと共同で、日本国内で初めて同物件を先行案内するイベントを6月25日にポルシェ銀座スタジオで開催した。
価格は約20億6,480万円から約72億5,000万円(専有面積約525~約1,135㎡)を予定している。
1戸25億円の分譲戸建て「元麻布」リストが分譲、契約済み(2025/7/10)
神宮外苑問題 新たな局面へ「都の公園まちづくり制度は違法」専門家有志が主張
神宮外苑イチョウ並木(青山通りから2025年7月14日撮影)
神宮外苑地区再開発の再考を願う建築・造園・都市計画・環境の専門家有志は2025年7月2日、文部科学大臣宛てに「神宮外苑再開発事業におけるJSCによる秩父宮ラグビー場の財産処分の認可申請への不認可及び適切な指導に関する要請書」を提出した。要請書は、神宮外苑の再開発を可能にした「東京都公園まちづくり制度」そのものが違法であると主張している。多くの専門家が制度を違法としていることから、神宮外苑問題は新たな局面を迎えた。
有志に名を連ねているのは、石川幹子氏(東京大学名誉教授)、糸長浩司氏(元日本大学教授)、大方潤一郎氏(東京大学名誉教授)、原科幸彦氏(千葉商科大学前学長、東京科学大学名誉教授)、藤本昌也氏(日本建築士会連合会名誉会長)、松隈 洋氏(神奈川大学教授)で、要請書の冒頭は次のようにある。
「私たち専門家有志は、神宮外苑の文化的資産及び環境の保全を求め、2023年3月8日以来、建築・造園・都市計画・環境政策等の420人の専門家の署名をもとに「施行認可の撤回及び環境影響評価の継続審議」を求める要請書を三度にわたり都知事、都議会議長及び環境影響評価審議会会長に提出してきました。(中略)しかし、現段階では何の回答もない状況です」
続いて、「東京都は2013年に作成した『東京都公園まちづくり制度実施要綱』の『公園まちづくり制度』を神宮外苑地区に適用し、秩父宮ラグビー場を『当初都市計画決定からおおむね五十年以上経過した未供用区域』とし、都市計画公園を削除しました。そして、再開発等促進区を定める地区計画を導入し、超高層事務所ビル等を建てることを可能にする都市計画を決定しました。これらの審議過程は、民主的で透明なものとはいえないだけでなく、都市施設の都市計画決定に関する知事の裁量権の濫用に当たる違法なものです」としている。
そして、「そもそも都市計画公園等の都市施設の都市計画決定あるいは変更にあたっては、都市計画基礎調査等を踏まえ『土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配するよう』定められている(都市計画法第13条第1 項第11号)にもかかわらず、当該都市計画公園に関するユーザーのニーズの動向や環境保全の必要性等を、客観的データ等を踏まえ、市民参加過程を含む正規の都市計画の審議過程を通じて十分に吟味しないまま、単に都市計画公園内の一部の土地の区域が『長期に渡って未供用』であるということを理由に当該未供用区域を都市計画公園区域から除外することは都市計画法に違反した違法な行為であるといえます。つまり、『東京都公園まちづくり制度実施要綱』は、都知事の都市計画の運用に関する著しい裁量権の逸脱を認めた違法な要綱であり、この要綱に基づく都市計画公園区域の変更も違法なものであるといえるのです」と主張している。
日本イコモスは、神宮外苑の再開発について、令和4年10月3日付「近代日本の公共空間を代表する文化的資産である神宮外苑の保全・継承についての提言」では「『公園まちづくり制度』の不適切な適用」としている。「公園まちづくり制度」そのものが違法としたのは今回が初めてと思われる。
このほか、神宮外苑の再開発に反対しているロッシェル・カップさんなどが東京都を訴えている「神宮外苑再開発事業認可取消等請求事件」では、令和6年5月10日付準備書面で「東京都公園まちづくり制度は要綱で定められた制度であるが、都市計画法の趣旨に反するものである以上、違法なものである」としている。
今気が付いたのだが、右のイチョウの枝ぶりからして、専門家が指摘している樹勢が衰えているイチョウか
移植が検討されている秩父宮ラグビー場前のイチョウ並木
◇ ◆ ◇
要請書を読んだ。都の行為が「違法行為」であると主張する方々に対して、判断材料がない段階で行政の長として答えようがないのではないか。有志の方々は、都の「東京都公園まちづくり制度」は都市計画法違反と主張するならば、「要請書」-つまり「お願い文」などという形式ではなく、事業を認可した東京都を被告とする行政訴訟を提起すべきだと思う。
しかし、都市計画法そのものは、行政の無謬主義に基づいており、都が都市計画法の何条に違反しているかを証明するのは至難の業だ。有志の方々は、違法の根拠として都市計画法第13条第1項第11号を持ち出しているか、これのどこに違反しているのか示していないし、秩父宮ラグビー場が昭和50年からずっと「未供用」(記事参照)とされてきたのは不条理だとしても、事実のようだ。全て法律が優先する。悪法も法だ。都も事業者も、施設内の「広場」を「都市公園」とは一言も言っていない。「都市計画公園」と「都市公園」は似て非なるものだ。これを混同しているから問題を難しくしている。「神宮外苑」が都市公園であるかの言説をまき散らしてきた専門家にもその責任はあると思う。(どこかの記事に、都が「未供用と断定」と書かれていたが、これは事実ではない。都市計画法でずっと「未供用」とされてきたのだ)
景観権に訴えても勝ち目はない。勝訴するためには、大量の巨木伐採によってどれほどの利益か損なわれるか科学的に証明する必要があると思うが、残念ながらわが国には、米国などで採用されている「i-Tree(都市緑地機能評価)システム」は一般化されていない。
ただ、石川幹子氏が7月14日に行われた緊急オンラインセミナー「神宮外苑で今、何が起きているのか? 」で語った「神宮内苑は代々木公園から水の供給が得られているから維持できているが、内苑も危機的状況にある。維持・管理ができないのであれば、明治神宮は国に返還すべき」という意見は傾聴に値すると思う。
〝街路樹虐待は自分の首を縛るようなこと〟藤井・千葉大名誉教授強剪定を批判(2024/7/24)
神宮外苑問題は都知事選の争点になるのか〝街路樹の味方〟の記者の独白(2024/7/2)
神宮内外苑問題・石川幹子氏外神田再開発・大城聡氏 東京1区市民連合フォーラム(2024/3/25)
氷の微笑、根回し、考え方更新、都市公園とは…神宮外苑を考えるシンポ千葉商大(2023/12/19)
秩父宮ラグビー場が「未供用」の謎「広場」は都市公園ではない神宮外苑再開発(2023/8/9)
小田急バス&ブルースタジオ なりわい賃貸「meedo」街びらき 想定の倍2000人超
「みいどまちびらき夜市」
小田急バスとブルースタジオは7月13日、「みいどまちびらき夜市」と銘打った店舗兼用賃貸住宅「なりわい賃貸住宅『meedo(みいど)』」街びらきイベントを開催。「Meedo」に入居する〝なりわい〟店舗のお披露目のほか焼き菓子、コーヒー豆、ヨーヨー釣り、ワークショップ、オリジナル雑貨、野菜市など趣向を凝らせた出店イベントに、来場者は想定1,000人の2倍強の2,000人超にのぼり、大賑わいとなった。
「meedo」は、JR三鷹駅から小田急バス28分晃華学園東「meedo」下車すぐ・京王線つつじヶ丘駅から京王バス7分徒歩1分、調布市深大寺東町2丁目の第一種低層住居専用地域、第一・二種中高層住居専用地域に位置する敷地面積約1,774㎡、木造2階建て延床面積約299㎡のA棟(住居5戸・店舗1軒)、延床面積約498㎡のB棟(住居8戸)。小田急バスが保有するバスターミナルに、ブルースタジオが企画・設計監理・運営を行うプロジェクトで、「住まいと商い・仕事が共存する“なりわい暮らし”」がコンセプト。2022年のグッドデザイン賞ベスト100を受賞した「hocco(ホッコ)」に続く第2弾。
かつてエリアには国分寺崖線の湧水用水・井戸があったことから、敷地内に設けた広場には井戸を掘り、せせらぎを設け、かまどベンチや停電時でも利用可能な自動販売機を設置し、有事の際は地域レジリエンスの拠点としても機能するようにしている。
夜市に参加した調布市多摩川に住む50代の男性は「子どもが梅ジュースのワークショップを体験しており、ここに来れば梅ジュースが飲めるというので家族3人で参加した。とてもおいしい。このように地域が盛り上がるのはとてもいいこと」と話した。その奥さん(30代ですよね、と声を掛けたらご本人は笑って否定しなかった)は「そんなに便利なところではないのに、こんなにたくさんの人が来ているのにびっくりしました」とイベントを満喫していた。
近くの分譲マンションを買ったばかりという小さな子ども連れの30代前半の夫婦も「凄い人が集まっている」と驚いていた。
夜市は15:00~20:00まで。出店したのは次の通り。「Paper&Print」(文房具販売・工場)「整体院はるかぜ」(整体院)「micro DELI&SHOP」(惣菜・スイーツ)「masala masara深大寺」(インド風カレー)「キミノコーヒー」(コーヒー豆販売)「焼き菓子chaco」(焼き菓子販売)「OYANEKO OYATSU」(焼き菓子 販売)「Sugar massege」(アイシングクッキーワークショップ)「MATOUKA」(アロマワークショップ)「sayanao」(シャカチャーワークショップ)「柴田真央」(雑貨販売)「地域農家さん」(野菜販売)。
井戸水をくみ上げる子どもたち
「キミノコーヒー」(コーヒー豆販売)
「柴田真央」(雑貨販売)
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イベントのお誘いには、「事前申し込みは不要で、お散歩ついでに、ちょっと涼みに、お酒を飲みに….」とあったので、暑い真昼を避けて夕方の4時から参加することにした。〝便立地、好立地〟でもないので参加者は少ないだろうから、近くのコンビニでウイスキーを買い、井戸から汲み上げた水を氷にしてもらって、どこかに腰かけて湧水ロックを楽しもうと。
豈図らんや。現地は人混みでごった返していた。立錐の余地もない。ありえない光景だ。どこからこんなたくさんの人が湧き出すのだろうと唖然とした。瓶ビールを買ったのだが、立ち飲みするほかなかった。
主催者もこれほど人が集まるとは予想していなかったようで、用意したパンフレット、うちわなどは足りなくなり、対応に追われていた。声を掛けるのもためらわれたので、湧水ロックはあきらめた。後で聞いたのだが、来場者は1,000人と読んでいたようだ。
皆さん、いかがか。仮に1,000人の来場だったら、1時間当たり200人だ。これなら余裕を持って対応できたのではないか。来場者はその倍だから常時400人以上が詰めかけていたことになる。この集客力、動員力はどこからくるのか。ヒントは〝なりわい〟だろう。
そこで考えた。このようなプロジェクトは、全国の住宅地の活性化、町おこしに活用できるのではないかと。1低層の用途規制を緩和し、調整区域の一号店舗と同じように空き家などを活用してはどうか。官民が連携すれば狭小敷地の併合・一体化も可能ではないか。「よそ者」「わか者」「ばか者」のほかに「高齢者」の知見を生かせば一石四鳥の町の再生が実現するのではないか。
せせらぎにはメダカが泳いでいた
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