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 建設物価調査会は4月10日、2025年3月の建設物価建築費指数(東京2015年平均=100)をまとめ発表。工事原価は136.0(暫定)で前月比0.4%増(0.5ポイント(以下,p)、前年同月比4.7%増(+6.1p)となった。純工事費では137.1(暫定)で前月比0.4%増(+0.6p)、前年同月比4.7%増(+6.1p)となった。

 

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「ANESIA THE CENTRAL(アネシア ザ・セントラル)」

 トヨタホームが5月中旬に分譲するマンション「ANESIA THE CENTRAL(アネシア ザ・セントラル)」 を見学した。国営昭和記念公園に隣接する区画整理事業地内の一角で、同社の首都圏初の戸建てとの大規模複合開発。共用施設、設備仕様は間違いなく水準以上だ。

 物件は、JR中央・青梅線東中神駅から徒歩10分、昭島市もくせいの杜二丁目の第2種住居地域に位置する9階建て全68戸。専有面積は63.40~81.31㎡、価格は未定で、坪単価は300万円に乗るかどうか。竣工予定は2025年12月上旬。設計・監理はウィル・アーキテクツオフィス。デザイン監修はコトナ。施工は森組。販売開始は5月半ば。現在までのモデルルーム来場者は約50組。

 現地は、都市再生機構施行による9.5haの「立川基地跡地昭島地区土地区画整理事業地」内の一角にあり、開発面積は約3.0ha。同社としては全157区画の戸建て街区「トヨタホーム ザ・セントラル」との首都圏初の大規模複合開発。

 街全体にヤシノキを数十本植樹しているほか、有孔ブロックを多用しデザインを統一。また、タウンセキュリティを導入、車の出入り口を3か所に限定し、防犯カメラも設置。街区内の道路は車のスピードを抑えるための植栽帯の設置、電線・電柱の地中化などを図っている。国営昭和記念公園入口までは徒歩12分。

 建物は南向きと南西向き約6:4の割合。主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ(最上階は3000ミリ)、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンター、ソフトクローズ機能付きリビングドア、木調へだて壁、水栓付きバルコニー奥行き2m、浴室タオル掛け2か所、パナソニックの浴槽美泡湯など。共用施設としてパーティルームと併用のゲストルーム(約60㎡)が設けられている。

 同社はこれまでマンション販売は他社に委託してきたが、今回は自社で販売するという。力が入っている物件だ。

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ランドスケープ

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パーティルーム併用のゲストルーム(最上階の右端)

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模型の駐車場はすべてトヨタのミニカー(1000万円超のレクサスもあるとか)

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 同社のマンション見学は2017年の「アネシア築地ステーションレジデンス」以来久々だった。「築地」はミサワホームとのJVだったが、今回は単独。昭和記念公園に隣接した〝世界のトヨタ〟の商品企画を観るのが取材の目的だった。

 取材の目的は、立川駅圏ではマンション坪単価は400万円をはるかに超え、JR青梅線昭島駅圏では大和ハウスの「プレミスト昭島」が圧倒的な人気を呼んでおり、物件レベルや価格などを確認することにあった。

 立地は申し分ない。敷地南側は戸建て街区なので日照面で問題はないし、南西向きの住戸も敷地からセットパックして建てられており、緑地・歩道を合わせると幅は10mくらい確保されている。

 基本性能・設備仕様も水準以上だ。モデルルームに当てられている75㎡の角住戸プランは横入り玄関で、他の住戸も単純な田の字型ではないし、ディスポーザーも標準仕様としているのもいい。共用施設として、パーティルームとの併用だが、公園が一望できる8階の角住戸をシャワー室付きのゲストルームにしているのにびっくりした。この規模でゲストルームを設けているマンションは少ないはずだ。

 問題は、価格はいくらになるかだ。立川駅圏は坪400万円をはるかに突破しているので価格的には優位にあるが、昭島駅圏では坪280~290万円の大和ハウス「プレミスト昭島」があり、価格下げ圧力もかかっている。同社は「坪単価は300万円を目指す」としているが、記者も300万円前後だろうと予想する。

 駅周辺ではURの賃貸マンションの建て替えなど約55.9haの東中神駅周辺地区住宅市街地整備計画もあり、整備されれば街並みは一変するが、現段階で詳細は未定なので、強気な価格設定は難しいと見た。

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シンボルツリーのヤシノキ(車のスピードを緩める効果もある)

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現地(緑地帯・歩道の広さが分かる)

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東中神駅舎(左)と南口の再開発エリア

「プレミスト昭島」第2弾の第1期1次は143戸全戸の半数以上大和ハウス(2023/11/15)

平均75㎡レベル高いマリモ「昭和記念公園」 4カ月で半分以上の90戸超成約済み(20211/13)

トヨタホーム・ミサワ築地駅直結の「アネシア築地」は坪500万円突破か(2017/11/13)


 

 

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は4月10日、2025年3月の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は4,991件(前年同月比31.0%増)、坪単価は260.7万円(同4.1%増)、価格は4,945万円(同2.6%増)、専有面積は62.58㎡(同1.5%減)。成約件数は5か月連続で前年同月を上回った。坪単価は59か月連続で前年同月を上回った。

 中古戸建ての成約件数は2,195件(同62.8%増)、価格は4,030万円(同2.6%減)、土地面積は144.91㎡(同0.2%減)、建物面積は103.85㎡(同1.2%減)。成約件数は5か月連続で前年同月を上回った。


 

 

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須藤氏

 オープンハウスは4月10日、子育て中の共働き世帯の「住みたい駅・路線ランキング2025」を発表。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に住む20~40代の男女697人に聞いたもので、人気駅ランキングトップは品川で、目黒、五反田、横浜が同じ56ptで2位。ベスト10のうち都内が8駅を占めた。東京以外では2位の横浜と8位の川崎がランクインした。

 首都圏駅ランキングは、64ポイント(1人5駅が選択できる)を獲得した品川駅がトップで、以下、目黒・五反田・横浜(各56pt)、恵比寿(52pt)、東京(46pt)、新宿(44pt)、大崎(41pt)、川崎(40pt)、代々木(38pt)の順でベスト10。

 都県別では、東京都はこのほか9位池袋(37pt)、10位渋谷(36pt)がベスト10入り。神奈川県は横浜、川崎に次いで新横浜(30pt)かベスト3。埼玉県は大宮(37pt)、浦和(21pt)、和光市(14pt)、千葉県は千葉・柏(11pt)、西船橋(10pt)の順でベスト3。千葉・柏は埼玉県東川口駅と同じ。人気のなさが浮き彫りになった。

 人気の路線ランキングは、山手線(512pt)、JR東海道本線(204pt)、JR中央線※(138pt)がベスト3。JRが上位8路線を独占し、民間は9位の小田急線(102pt)、10位の東武東上線(81pt)のみ。

※( )書きで(快速)とある。中央線各駅停車駅を含めると3位以下になるという意味か。私鉄は特急、急行、快速などがある。京王線特急は特別料金なしで、数分置きから10分置きに新宿発がある。

 家を購入する際に重要視するのは、自宅から駅まで徒歩15分以内、土地の地形・形状(戸建て検討者か)、住居の向き・採光状況、教育環境、商業施設が上位にランクされた。住宅設備では耐震性・耐火性がもっとも重視され、金額の条件では住宅ローンの月々の支払金額が現在住んでいる居住費より+3万円なら許容できるとしている。

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 記者は、この種の調査は信じないことにしているが、根拠を示せば問題ないし、住宅購入検討者が何を考えているかの参考にもなる。同社の発表会は、ランキングを発表した同社開発事業部営業推進部長・須藤光輝氏の話がとても面白い(SBIアルヒの「本当に住みやすい街大賞」を徹底して批判したのは、何の根拠もないのに根拠がありそうに装ったからだし、メディアもそれに乗っかったからだ)。

 今回の取材も面白かった。須藤氏は大崎の自社マンションを買って住んでおり(購入時は坪420万円か)、本社のある東京駅JPタワーまでドアツードアで36分(奥さんは1時間)。〝便立地〟〝好立地〟だったら中古でも坪600万円はするはずだ。笑いが止まらないのではないか。大崎が7位に入ったのを喜んでいた(記者は高輪ゲートウェイ、浜松町を上位にするが)。

 須藤氏は昨年に引き続き〝穴場駅〟(記者はそのような駅はないと思う)として赤羽、東北沢、板橋、新綱島、登戸、橋本、戸田公園、新浦安、海浜幕張を取り上げた。子育てにふさわしい駅とは思えないが、これも須藤氏の勝手。記者はコメントなどしない。

 それより気になったことがいくつかある。最たるものは、調査項目の「居住環境で重視するもの」には「緑環境」がないことだ。共働き子育て世帯が「緑環境」を考慮しないはずはない。調査項目に「緑環境」を入れたら結果はまったく別のものになるのではないか。

 もう一つは、アンケートの設問そのものだ。〝住みたい〟駅・路線、つまり単なる〝願望〟に過ぎないので、それはそれで結構なのだが、上位10駅はマンションの坪単価にして1,000万円以上のところばかりだ(須藤氏が住む大崎はそこまでしないと思うが)。10坪でも億ションとなる。紹介された東京・神奈川・埼玉・千葉のそれぞれ上位各10駅(全体で40駅)のうち坪300万円以下の駅は5~6駅しかない。皆さん、あまりにも楽観的にすぎるのではないか。もう少し現実的な選択はできないものか。

 さらにもう一つ、同社グループが現在扱っている〝穴場〟の新築戸建て住宅の安さだ。条件は駅から徒歩15分以内、家族3人(子ども一人)で75㎡というものだ。例えば北区赤羽。平均価格は6,380万円で、住宅地の地価公示価格も示されており坪571万円だ。記者はこの安さに驚愕した。土地が20坪でも1億円を突破する。3階建てでも75㎡を確保するとなると、住宅地の建ぺい率、容積率を考えると土地面積は最低15坪は必要だ。15坪で8,565万円だ。

 現在、同社にこのような物件はあるのか確認してもらっている。なければ大きな問題になる。〝おとり広告〟として公取協から摘発されかねないし、われわれメディアのチェック能力も問われる。

「空き家」直接買取り首都圏で年間6,000~7,000棟オープンハウスグループ(2024/9/10)

オープンハウス「これから家を買うなら…」新築戸建て一都三県駅圏ランキング(2024/8/2)

〝めっちゃ〟10連発井上咲楽さん LIFULL HOME'S「住みたい街ランキング」発表(2024/1/31)


 

 

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竹内氏(右)と同社シニア・プロダクトマーケティングマネージャー寺村翔氏

 インテリジェント契約管理(Intelligent Agreement Management、以下IAM)のリーディングカンパニーであるドキュサイン・ジャパンは49日、「2025年度事業戦略説明 および『Docusign IAM for CX』」発表会を開き、日本市場に特化した「Docusign IAM for CX」を430日から本格ローンチすると発表した。

 Docusign IAMは、AIを活用して契約書の作成をスピードアップし、交渉を強化し、契約ポートフォリオを管理するための戦略的洞察を提供することで、シームレスな契約書の準備、締結、活用を実現する。

Docusign IAM for CXは契約業務における顧客体験(CX)の向上に特化したサービスで、①コンバージョン率の向上(エラーを減らし、スピードを上げる)②面倒さの解消(基幹システムとのデータ連携もノーコードで可能にする)③信頼性の提供(公的身分証を利用した本人確認を契約プロセスの中で実施可能)などにより、契約ライフサイクルの一元管理を民主化する。

 会見で同社取締役社長の竹内賢佑氏は「Docusign IAMは契約管理プロセスを刷新し、企業が煩雑なプロセスをシームレスで効率的、なおかつ安全に遂行できるよう支援します。また、この度、顧客体験(CX)の向上に特化したDocusign IAM for CXを日本市場に導入できることを大変嬉しく思います。これにより、企業は業務の効率化を進め、顧客満足度をさらに向上させるための強力なツールを手に入れることが可能になります。今後も、お客様のニーズを満たし、ビジネス上の課題を解決するソリューションの提供に努めてまいります」と語った。

 米国Docusign, Inc.は、180か国以上、160万社以上の顧客と10億人を超えるユーザーが同社のソリューションを利用しているIAMのリーディングカンパニー。ドキュサイン・ジャパンは日本法人。

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竹内氏(左)と寺村氏

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 取材の案内が届いたときは、取材対象外で、門外漢の記者が話を聞いてもちんぷんかんぷんだろうとは思ったが、誘いがあればNOと言わないのが記者のモットーだ。ひょっとしたら何かが得られると考え取材を申し込んだ。上段はほとんどプレス・リリースのコピペ。何を書いているのかさっぱりわからない。

 分からないけれども、竹内社長が会見で切り出した「ビジネスの世界ではすべて契約で成り立っている。お金の動きがあるところには必ず契約がある。わが国では長らく口約束がたくさん存在していたが、ここ20年くらい前からようやく紙などできちんと締結しようというようになってきた。ゆるぎない信頼はきちんとした契約がないと得られない」-これが全てだと理解した。ビジネスだけでなく、世の中は契約=約束で成り立っている。

 竹内氏は「注力市場は日本など8か国」「ターゲットは中小企業」などと語り、具体的な業種として「不動産業界」を名指ししなかったが、頭の中には〝アナログの代表格〟と目されている不動産業界や物量業界があるのは間違いない。国土交通省によると、不動産業の売上高は43.4兆円(全産業に占める割合は2.8%)、不動産業の法人数は32.9万社(同11.5%)、従業員数は133.7万人(同2.7%)だ。中小企業が多数を占める全宅連の会員数は約10万社。コンビニよりはるかに多い。宝の山かもしれない。

 ただ、不動産会社の社長の平均年齢は62.6歳(帝国テータバンク調査)で、全業種でもっとも高い。古い社長の頭を変えるのは容易でないとも思う。どう攻略するのか。

 そしてまた、住宅・不動産業界の記者も頭を切り替えないといけない。観る目がない記者、聞く耳を持たない記者、そしてそれを表現する技術がない記者は生き残れない。生成AIにとってかわられる。絶滅危惧種である自覚が足りないような気がする。

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 同社がターゲットにしていると思われるわが不動産業界。記者は、いわゆる全宅連などの街の不動産会社を取材したことはほとんどなく、自身の賃貸借契約も40年以上経験していない。友人・知人のアパート契約に立ち会ったときは、契約は賃貸人と賃借人は対等で、仲介業者も公平であるべきなのに、オーナーの立場、仲介業者の利益しか考えない対応に腹が立ったので、オーナーに直談判して賃貸借契約を改めさせたことがある。

一方、令和45月の宅建業法の改正によって、宅地建物取引士による記名・押印の必要がなくなり、重要事項説明書などの書面も電磁化が可能になり、オンライン相談も含めマンションデベロッパーなどは当たり前になっているはずだ。顧客一人当たりの対応時間は少なくとも数時間(もっとか)短縮できているはずだ。

ところが、2025225日付の不動産流通推進センターのプレス・リリースによると「国土交通省の令和5年度調査によれば、宅建業者の取引オンライン化の導入状況は、書面電子化で11%、IT重説で18%にとどまっています」とある。

記者は30年も40年も昔から「不動産近代化センター」の名称を改めよと主張してきた。現在の不動産流通推進センターの名称に変更になったのは今から10年前だ。国交省のデータは、いまだに〝アナログ体質〟から抜け出せない、時代遅れの商習慣から脱却できない業界の現状を浮き彫りにしている(3+6万円を保障している法律に問題はないのか)。 

雲散霧消した不動産流通推進センターに対する積年の疑問 「嫌悪施設」取材(2024/10/24

唯一残っていた「近代化」が消える 不動産流通近代化センターが名称変更(2014/11/4

 

 

 

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「ラグゼナプラス(LUXENA+)OTO 南千住」

 MIRARTHホールディンググループのタカラレーベンの賃貸マンション新シリーズ「LUXENA+」第1号物件「ラグゼナプラス(LUXENA+)OTO 南千住」を見学した。全戸に防音ルームを設置し、多様化する賃貸ニーズに対応したもので、相場より高めの賃料設定にも拘わらず、全26戸のうち10戸が成約するなど順調なスタートを切った。

 物件は、JR常磐線・つくばエクスプレス・東京メトロ南千住駅から徒歩6~7分、荒川区南千住五丁目に位置する14階建て全26戸。専用面積51.83・53.81㎡、賃料は24.3万~26.6万円/月、坪賃料は1.6万円弱。竣工は2025年2月28日。

 案件は、同社グループのタカラレーベン投資開発事業本部が手掛ける開発事業の一環で、管理はグループのレーベントラストが担当している。同部署ではこれまで43件のプロジェクトを手掛けている。

 現地は、西側の水戸街道など三方に接道。建物は1フロア2戸。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、食洗機、Aタイプ6700ミリ、Bタイプ6350ミリのワイドスパン、二重サッシ(防音室のみ)、タオル掛けなど。

 防音ルームは、24時間演奏可能なD-70以上(外部に音はほとんど伝わらない)とし、200V電源システムを完備。グランドピアノなどの楽器のほか多目的用途にも対応している。

 昨年11月からリーシングを開始しており、賃料設定は相場より2~3割高だが、これまで10室が成約済み。うち8割は楽器演奏希望者。

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防音ルーム

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検知

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 防音ルールの仕様・レベルがどのようなものかチェックするのが取材の主な目的だった。住戸全体の仕様レベルは同社の分譲マンションに近いとみた。防音ルームの性能については、同社広報担当のWさんにモデルルームに備えられているグランドピアノを弾いてもらい、居室の外で音が聞こえるかどうか試した。

 結果はほぼ完ぺき。かすかにピアノらしい音は聞こえたが、ベートーヴェンのピアノソナタかショパンのノクターンか、あるいは〝ドキドキ ドキドキ1年生 ピアノが弾けるかな〟のド・レ・ミ・ファ…か、全くわからなかった。分譲マンションへの展開も可能と見た。

 そこで一句。時は春、すべて〝外〟は音もなし。

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防音ルームでピアノを弾くWさん

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ドアの外はほとんど聞こえないレベル

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「グラスロック(Glass Rock)」

 森ビルは4月7日、開発を進めてきた「虎ノ門ヒルズステーションタワー」の多機能施設「グラスロック(Glass Rock)」が4月9日に全面開業するのに伴うメディア向け内覧会を開催した。2011年に虎ノ門エリアの再開発組合が設立されてから14年、わが国を代表する複合タウン「虎ノ門ヒルズ」が完結することになる。関心が高いのか、約200人のメディア関係者が駆けつけた。

 「Glass Rockは、「つながる」場、「まなぶ」仕掛け、「ひろげる」発信の3つの機能を提供するもの。企画・運営には慶應義塾大学の宮田裕章教授も「アドバイザー」として参画する。4階には法人パートナーと共創パートナーが利用する「Partners Lounge」(約569㎡)、地下1階にはすべてのカテゴリーの会員のための「Members Lounge」(約258㎡)と会員の取り組みを可視化する「Gallery」(約63㎡)を設置している。

 2階・3階は丸善ジュンク堂書店の新業態の書店「magmabooks」が入居し、会員以外の人にも学びの機会を広げるプログラムを展開。会員企業と省庁・自治体、NPO・NGO・アカデミアなどとのワークショップも開催する。1階には「TULLY'S COFFEE &TEA」の旗艦店などが入居している。

 施設は、東京メトロ虎ノ門ヒルズ駅直結、虎ノ門一・二丁目地区第一種市街地再開発事業A-2 街区に位置する敷地面積約2,445㎡、地下3階地上4階建て延床面積約8,800㎡。着工は2019年11月、竣工は2024年8月。デザイナーはOMA。施工は鹿島建設など。

「虎ノ門ヒルズ」は2011年4月、「環状第二号線新橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業」の一環として「虎ノ門ヒルズ 森タワー」(竣工2014年)が着工されてから、「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」(同2020年)「虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」(同2022年)「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(同2023年)に続き、今回の「Glass Rock」が加わり、区域面積約7.5ha、延床面積約80万㎡の複合施設が完成したことになる。

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「虎ノ門ヒルズ」全景

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 〝新業態〟という触れ込みの「magmabooks」に入ったときは、新刊本や芥川賞、直木賞受賞作などが山積みされており、どこにでもある本屋と一緒だと思ったが、すぐ普通の本屋とは異なることが分かった。ジャンルごとに書籍が並べられているのは他と同じだが、案内フラッグが棚の上部に設けられており、「来た道を振り返る」「都市と地球と私たち」「日本という方法」「どの道を行く? 」「私たちの現在地」「国家と民主主義」「生きづらさを感じたら」…などのフレーズが付いていた。

 この種の案内フラッグを見るのは初めてだった(似たものはあるかもしれないが)。「国家と民主主義」のコーナーには日本地図があったりして(間違いではないが)苦笑してしまうものもあるが、都市問題や住宅問題のコーナーにはコルビュジエやガウディなどの古典のほか聞いたこともない建築家や都市計画とは関係がなさそうな本もあり、選書の工夫が見て取れた。

 プレス・リリースには「本を読む前(読前)から読む最中(読中)、そして読み終わった後(読後)となる書店。コンセプトは『知は熱いうちに打て』」とあるが、その通りだと思う。

 店舗のカラーリングは深緑か群青色に統一されている。これも実にいい。黄緑やライトブルーでは具合が悪い。天井高も約4mと高い。

 これだけではなかった。筆者がもっとも印象に残ったのは2階と3階をつなぐ階段室だ。幅は2mくらいあり、壁の色も先に紹介した深緑か群青色。壁には、著名な日本人作家などの作品から引用・切り取ったと思われるフレーズが短冊状に並べられていた。

 しばし眺めた。数を数えたらざっと30人。写真も撮った。髙村光太郎、八木重吉、九鬼周三、中原中也(2作)、田中英光、宮本百合子、永井荷風、竹久夢二、牧野富太郎、柳田国夫、梅崎春生、日野葦平、中島敦、小川未明、高浜虚子、梶井基次郎、岸田劉生、亀井勝一郎、古川緑波、太宰治、正岡子規…22人。あと8人が分からない。きちんと撮るべきだったか。

 なぜ、現代作家はいないのか。版権が切れた死後70年以上経過しているのが味噌だ。小説は大半読んでいるはずなのに、フレーズは初めて聞くようなものばかりだった。その中で、もっとも好きなのは太宰治の「恥の多い人生を送って来ました」(人間失格)だ。自分自身のことだ。もう一つは、岸田劉生の「美は外界にはない。人間の心の喪にある」(想像と装飾の美)だ。本当にそう思う。さらに宮本百合子の「飼鳥になっては堪らない。そういう心持がした」(伸子)も、宮本百合子が生きた時代を考えると、よくわかる。

 さりげなく展示しているのもいい。各地の公園や博物館、図書館などの公共建築物には立派な虚像(どうしてわがパソコンはこんな悪戯をするのか)が建ち、これまた高価な自然石に名句が刻まれている。まあ、これはこれで結構なのだが、これ見よがしなのが鼻につく。

 このアイデアは他の書店も真似るといい。特許も実用新案申請もされていないはずだ。見学者の一人は「しおりにしたらいい」と話した。

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「magmabooks」

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他なの上部にはたくさん案内フラッグが設けられている

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都市計画関係の書棚

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階段室

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階段室

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 4階の「Partners Lounge」は見学するのを忘れたのだが、地下1階の「Glass Rock」の「Members Lounge」(約258㎡)では、オカムラの大容量のポータブルバッテリーがとてもいいと思った。容量はノートパソコンで3.5回分、スマートフォンで14回分充電が、同時に3台のパソコン利用がそれぞれ可能。隣り合う人同士でシェアして使用するのを想定しているそうだ。

 驚いたのは、「妄想ボード」だった。この「妄想」は、三井不動産の植田俊社長が、社長就任会見で「大切にしているのは『妄想』『構想』『実現』という言葉」と話したので、記者はこれを見出しにした記事を書いた。3,000件超のアクセスがあった。

 どうしてここに「妄想ボード」があるのか。森ビル関係者によると、同社のコミュニティマネージャーが何かの打ち合わせで呼びかけたものだという。主旨は植田氏と同じだ。植田氏が知ったら、してやったりとほくそ笑むのではないか。「妄想」⇒「構想」⇒「実現」が慣用句になるかもしれない。

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4階の「Partners Lounge」

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ポータブルバッテリー

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妄想ボード

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ホワイトボードには何を書いてもいいそうだ

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 主催者の見学推奨ルートに従って最初に見学したのは1階の「TULLY'S COFFEE &TEA」だった。記者はカフェを利用するのはコーヒーを飲むより、タバコを吸うのが目的なので、TULLY'Sはあまり利用しない。専ら喫煙室があるドトールだ。「DOU TOR」のロゴが目に入ると〝パブロフの犬〟になる。取材の行きと帰りに2度利用することが多い。

 「TULLY'S」の天井高は4mくらいあり、〝旗艦店〟とあるように広い。人だかりがしていた。素晴らしい店舗だとは思ったが、緑はすべてフェイク(本物を置いているカフェは皆無だが)。利用者に感想を聞いた。美しいか醜いか、本物か偽物かを見分けるのが仕事のはずのアートが専門の女性は「フェイク? 全然わからなかった。素晴らしいフェイク」と意に介さなかった。隣にいた不動産が専門だという女性は「(あなたは)5,000円もするチョコバー(記者はチョコ入りの酒かと思った)を売る店は本物のグリーンを置くべきと言いたいの」と話した。

 半分当たりで半分外れ。マンションなどの高額商品はもちろんだが、あらゆる施設の緑は本物にすべきというのが記者の持論だ。

 併設されている「ローズギャラリー」はよくわからなかったが、生産者の愛と心が込められた1本1,000円のバラの価値を理解する人は少なくないと思った。

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気にしない人もいるのだろうが、記者はフェイク・グリーンがとても気になった

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1つ5,000円以上する商品もたくさんあった

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無料で供されたジュース類(税込みで700円台か)

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「ローズギャラリー」

世界的潮流か大河のようなウェーブ、アール形状が美しい森ビル「麻布台ヒルズ」(2023/12/22)

「産業デベロッパー目指し、日々妄想」植田俊・三井不動産次期社長(2022/12/11)

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「多摩中央公園」人だかりの遊具

 Park-PFI制度を活用した多摩市の「多摩中央公園」が4月5日、リニューアルオープンした。午前10時に行われた記念式典には地元鶴牧中学校吹奏楽部の演奏と鶴牧小学校生徒の合唱が披露され、阿部裕行市長をはじめ関係者が出席し、開園を祝った。11時からの「第5回パークライフショー」には市内外から多くの人が詰めかけ、大賑わいとなった。主催者は週明けにも来園者数を公開するが、昭和62年の開園以来の人数になりそうだ。

 式典の冒頭、阿部市長は「私は今、感激で胸がいっぱいです。ここに至るまでの道のり、本当に大変でした。心からお礼申し上げます。いま多摩ニュータウンは再生とともに新たな挑戦の入り口に立っています、人口減少、少子化、高齢化などの様々な課題を一つひとつクリアしてきました。一昨年開館した市立図書館は年間100万人の方が訪れる施設となりました。健康寿命は東京都トップです。この多摩中央公園は昭和62年にオープンしました。今回のリニューアルオープンは、Park-PFI制度を活用した事業ですが、当時、この規模においては全国初の事業として着手しました。今日に至るまで、公園整備の選定委員会の委員長を務めてくださった町田誠さん、Park-PFI物林さんをはじめとするTAMAセントラルパークJV9社の皆さん、そして一緒になって汗を流していただいた市民の皆さん、心から感謝申し上げます。今後も、子どもたちからお年寄りまでみんなで楽しめる多摩中央公園をつくっていきたい」とあいさつした。

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公園のシンボル大池からセレモニー会場臨む

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テープカットセレモニー

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阿部市長

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 3歳児から87歳の人まで約40人(14組)に声を掛けた。この「こだわり記事」の読者の方は、記者のマンション価格予想がことごとく的中していることをご存じのはずだが、この日声を掛けた方の年齢はことごとく外れた。20代と思われる方は30代、30代は40代、40代は50代…極めつけは、イベントのライブショーで〝春の小川〟を歌っていた、どう見ても記者(76)より年上と思われる女性3人組。

 「私と同じ70代では」声を掛けたら「80代ですけどみんな20代と思っている。永山(多摩センターの隣駅)のキャンディーズよ。老人会じゃないわよ、地域の熟年会でも歌っているの」と笑わせた。この3人の方も含めほとんどの来園者は「広い」「緑が美しい」「遊具やカフェがいい」「図書館など文化施設も整っている」などと話した。以下、主な声を紹介する。( )内は記者。

・2年生と年長の子ども連れの30代の女性と50代の母親 川崎市からです。インスタで観て初めて来ましたが、広くて緑も多くとてもきれい。図書館もあるのがいい。どの季節もよさそう

・84歳の男性 もう42~43年前から都立桜ヶ丘公園に隣接した聖ヶ丘に住んでいます。どのような公園になるか楽しみにしてきました。駅に近く図書館があるのがいいですし、カフェや遊具を新設したのに魅力を感じます。民間が入るので儲かるかどうか。このほかでは、聖蹟桜ヶ丘の河川敷もいいですよ(「聖蹟桜ヶ丘かわまちづくり」が国土交通省の令和6年度「かわまち大賞」を受賞した)。多摩市は若い人を呼び込むのが課題ですが、住宅だけじゃつまんない。私が住んでるところもそうですが、森の中の住宅地ばかりなのが市のいいところ(この方とは新設されたカフェで一緒になり、建築設計の仕事をされていたとかで意気投合。40分くらい話し合った)

・77歳の女性と87歳の伯母 川崎市から来ました。あと3年で90歳ですよ。(えっ、それじゃ戦争を経験されている? )終戦の日、小学1年生のときでしたね。すずちゃん(三井のすずちゃんではなく友だち)と一緒に学校に行くとき、戦闘帽をかぶりゲートルをまいた軍人3人が学校に入ってきたのを覚えています。玉音放送? うちにラジオはありましたが、聞いた記憶はありません。ここの公園? 人が多いのにびっくりしました

・5歳の子ども連れの40代夫と30代妻 家は公園の反対側の八王子です。歩いてこられるし、遊ぶのに一番いい公園

・小学5年と年長組の子供二人の40代夫婦 僕は松戸出身。10年前に結婚して白山神社のそばに住んでます。多摩市は公園がいっぱいあっていい(ご主人)。私は生まれも育ちもここです(奥さん「隣はいかがわしい施設ですよね」と話したら、小学5年の僕が「ママ、いかがわしいって何? 」と聞いてきた。どぎまぎした記者は「僕は知らなくていいの」と答えた)

・Books散歩社(小さな古本屋さん) 落合のスーパー三徳近くで活動しています。大人向け? こっちのコーナーです(帚木蓬生はほとんど読んでますので…これ、西加奈子さんください。いくらですか)100円です。私も西加奈子にはまっています

・明治大学おくやまぜみ みんなの公園ミニ・ロゲイニング 地域活性化の一つとしてエントリーしました(えっ、政経学部? こだわり記事と百瀬恵夫で検索してみてください。たくさん記事がヒットします)

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旧富澤家

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明治大学おくやまぜみ みんなの公園ミニ・ロゲイニング

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焼きパンコーナー(丈は本物)

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 一つ残念に思ったことがあった。グリーンライブセンターの水琴窟だ。メディア向け見学会で従前の場所から移設されていたのを知っていたので、試しに鳴らしてみた。うんともすんともいわなかった。記者の後から試みていた人も同じ結果だった。

 不具合が生じたのだろうが、それならそれで〝故障中〟とでも表示すべきだ。それをしないのは、引き続いて管理・運営する市はどうでもいいことだと考えたのか。とても不愉快だった。(従前も鳴らないことがあった)

 水琴窟がどのようなものかご存じない方はネットなどで調べていただきたい。似たような音は簡単に体験することができる。湯を張った浴槽に風呂おけ・洗面器を逆さにして浮かべると、水滴が湯面に落ちる音がする。同じ理屈だ。

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グリーンライブセンター

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水琴窟

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東側法面には、土留めの金物がたくさん埋め込まれていた

Park-PFI活用した多摩中央公園4月5日オープンカフェなど整備し回遊性高める(2025/3/31)

 

Screenshot 2025-04-04 at 16-55-22 【報道】常設総合マンションギャラリー「ジオ ゲストサロン 新宿」を4月5日(土)に開設.pdf.png
「ジオ ゲストサロン新宿」

阪急阪神不動産は44日、新築分譲マンション総合ギャラリー「ジオ ゲストサロン新宿」を4月5日に新宿区の「新宿アイランドタワー」に開設すると発表した。

常設の総合マンションギャラリーは、首都圏では初の開設でマンションブランド〈ジオ〉35周年の節目に当たる。従来の販売・接客拠点としての機能に加えて、阪急阪神東宝グループと同社の歴史や住まいづくりへのこだわり、SDGsへの取組などを紹介する映像を提供する。

同社は、2001年から首都圏でのマンション分譲を展開しており、これまでに計89棟、5,400戸以上を供給してきた。首都圏での事業拡大を目指している。

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記者の知る限り、新宿にマンションの常設ギャラリーを開設するのは住友不動産、三井不動産レジデンシャル、伊藤忠都市開発、野村不動産、積水ハウス、大京に続いて7社目だ。4月16日にはメディア向け内覧会が行われるので、取材してレポートしたい。

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「リーフィアタワー海老名クロノスコート」

小田急不動産は43日、「リーフィアタワー海老名クロノスコート」のメディア向け見学会を行った。10年前から開発を進めている海老名駅西口の3.5haの複合開発「ViNA GARDENS」エリアの最終分譲となる3棟目のタワーマンションで、販売開始は6月から。これ野での免震工法に加え、ZEHM Oriented×低炭素建築物認定を取得しているのが特徴。人気を呼ぶのは必至だ。

物件は、小田急線海老名駅から徒歩4分、海老名市めぐみ町の商業地域に位置する31階建て304戸。専有面積は46.56121.04㎡、価格は未定。竣工予定は202610月下旬。売主は同社のほか小田急電鉄。設計・施工は三井住友建設。基本設計はアール・アイ・エー。

昨年11月から受付を開始した問い合わせ件数は1,300件、45日から開始する案内会は300件の予約が入っており満席となっている。

現地は、小田急海老名駅とJR相模線海老名駅間の3.5haの大規模複合開発「ViNA GARDENS」エリアの一角に位置し、2018年分譲の「リーフィアタワー海老名アクロスコート」(304戸)、2019年分譲の「リーフィアタワー海老名ブリスコート」(302戸)に続く3棟目のタワーマンション。今回がエリア内最後のマンションとなる。

三井住友建設が独自開発したマンション工法システム「Sulatto Rotary Tower」を採用することで居室内の大梁を大幅に削減しているのが特徴で、ZEH-M Oriented×低炭素建築物認定を取得。

住戸計画は、2~16階の低層階(約46~92㎡)、17~30階の高層階(約62~100㎡)、31階のプレミアム階(約100~121㎡)の3層構成で全33タイプ。主な基本性能・設備仕様は免震工法、二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ(最上階は2800ミリ)、フィオレストーンキッチン天板、食洗機、ティスポーザー、浴室タオル掛け2か所など。共用施設は2層吹抜のグランラウンジ、ゲストルーム2室、スカイラウンジ、メンテクラフトルーム、ランドリールームなど。

同社住宅事業本部開発企画部部長・松井みどり氏は「海老名エリアはこの25年間で大きく進化している。2015年に計画を発表した駅東口と繋ぐ西口の『ViNA GARDENS』の開発規模は3.5ha。賑わい創出と暮らしエリアから構成されており、街全体に統一デザインコードを採用し、アートなどもふんだんに盛り込んでいる。多くの方から価値が向上したという声を頂いている」と語った。

また、小田急電鉄まちづくり事業本部エリア事業創造部課長・政光賢士氏は、海老名エリアの開発の歴史を紹介。田んぼしかなかったエリアは1960年代以降の開発で変化し、2002年完成した駅東口のビナウォークに街並みが一変し、ViNA GARDENSの開発に合わせて特急ロマンスカーの停車駅になったことから利便性は飛躍的に向上、相鉄、JR合計の駅利用者は26万人にのぼり、多くの企業も集積していることから人口転入増が続いているエリアであることを強調した。

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2層ラウンジ

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政光氏が語ったように、海老名エリアは田んぼしかなかった昭和50年代の後半から同社や相鉄の住宅地開発を取材してきたので感慨深いものがある。新宿までのアクセスも似ていることから、どうしてもわが多摩センターと比較してします。多摩センターはバブル崩壊を機に地盤沈下する一方なのに、海老名はその逆だ。完全に追い抜かれた。

価格について同社は明らかにしなかったが、記者は坪単価は最低で320万円、高値挑戦するなら坪350万円とはじいた。的は外していないと思う。モデルルームは70㎡の3LDKだが、スパンは約8mあり、廊下面積を少なくすることでゆったりしたプランになっている。オプション仕様のハーフモデルや最上階100㎡超7戸のプレミアム仕様もいい。プレミアム住戸は深型食洗機、ツーボウル洗面化粧台、陶器ボウル、浴室天然石カウンターなどを採用している。

問題は、既分譲のタワーマンションの日影の影響を受けるはずで、それをどう評価するかだ。

いま一つよくわからなかったのは、施工を担当している三井住友建設の登録商標「SuKKiTSulatto」だ。コストを抑えたままフレームを従来の〝井桁〟から〝風車〟にすることで居室内の大梁を半減させたもので、2015年にグッドデザイン賞を受賞している。柱の数は変わらないのにどうして梁を半分に減らすことができるのか全然わからない。

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こんなことは書きたくないのだが、書かざるを得ない。見学会をぶち壊した記者がいた。この方は質疑応答の冒頭、市内の市街化調整区域が市街化区域へ変更になったことを話した。

小生は全然知らなかった。後で確認した。その通りだった。令和63月、海老名市役所周辺地区約39.4haが市街化区域に編入されている。40年くらい前、田んぼばかりの風景を眺めながら市役所に訪れたのを思い出した。

これはこれでいいのだが、あとがいけない。この方はその後も質問を繰り返した。質疑応答に当てられていた30分の大半を独り占めした。何を質問されているのかさっぱりわからなかった。多分、他の記者の方も同じだったと思う。

1か月前のフジテレビの会見と同じだ。視聴者から批判されたのは、のらりくらりのテレビ局幹部もさることながら、傲岸不遜のメディア関係者だ。この方がどのような記事を書くかわからないが、多分、読者(消費者)を満足させるものにはならないはずだ。記者は、自らの不勉強で知らないことやどのような答えが返ってくるかわからないことを聞いてはならない。これが基本だ。読者に知らせないといけないこと、例えばマンションでいえは価格の妥当性、商品企画、住環境、設備仕様レベルなどはきちんと取材しないといけない。「価格は未定」と主催者が話しても、記者は予想して坪単価を書くことにしている。

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現地

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