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 LIFULL(ライフル)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」は5月15日、未婚者の理想の住宅についてインターネットによる調査結果をまとめ発表した。対象者は首都圏の20~40代の未婚男女(スクリーニング8,277名、本調査626名)。

 LIFULL HOME'Sに登録されているシングル向け中古マンション(ワンルーム、1K、1DK、1LDK、2K)の問い合わせ割合を見たところ、東京23区では41.6%になっており、需要の高さがうかがえるとしている(1都3県は26.1%)。

 結婚願望については、「実家暮らし」の人の「結婚願望なし」は40.4%に上っている(「実家暮らしではない」人の数値は公表されていない)。

 既に物件を購入している人に対し物件種別を聞いたところ、結婚願望なしでは「中古マンション」(37.05%)が最も多かったのに対し、結婚願望ありは「新築戸建て」(33.5%)が最多となった。

 既に物件を購入している人に対し重視したポイントを聞いたところ、「特にない/分からない」と回答した割合が結婚願望ありは11.8%だったのに対し、結婚願望なしは28.6%だった。

 最も選択率の高かったポイントは結婚願望ありが「駅からの近さ」(42.9%)で、結婚願望なしでは「家の広さ、間取り」(32.3%)だった。また、結婚願望の有無で乖離が大きいのは「駅からの近さ」(差異11.6pt)、「縁(えん)のあるエリア」(差異10.4pt)、「災害への耐性」(差異9.7pt)となっている。

 既に物件を購入している人に対し妥協できないポイントについて聞いたところ、結婚願望の有無に関わらず「電車以外の交通手段(バスなど)を利用する」「徒歩分数が15分以上かかる」(結婚願望あり:58.6%、結婚願望なし:52.1%)が最多となった。

 既に物件を購入している人に対し、「月収のうち住宅ローンの返済がどの程度を占めているか」を聞いたところ、結婚願望ありだと「2割以上3割未満」が最も多く39.2%になったのに対し、結婚願望なしでは「1割以上2割未満」と「2割以上3割未満」が同率の32.6%となった。

 「結婚願望がない」と回答した人のうち、物件購入者と物件購入検討者に購入(検討)理由を聞いたところ、物件購入者の最多は「特にない」(37.0%)だったのに対し、物件購入検討者は「自分のマイホームを持ちたい」(40.9%)「老後に住み場所を確保したい」(39.8%)となっている。

 調査結果について、LIFULL HOME'S総研チーフアナリスト・中山登志朗氏は「国の統計調査では『単独世帯』と表記されるおひとりさま=一人暮らしの世帯は、2000年の1,291万世帯から2020年には2,115万世帯へと824万世帯(増加率63.8%)に増加し、全世帯数に占める割合も38.0%に達しました。国立社会保障・人口問題研究所によれば2050年には単独世帯の割合は44.3%まで増加すると推計されています。今後も単独世帯が増加し続けることを念頭に、おひとりさまがより安心・安全に長く暮らせる住宅、そして自然にコミュニティ参加ができるソーシャル・アパートメント型の分譲住宅が日本でも普及・拡大していくことが求められます」とコメントしている。

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 未婚男女を対象にした、結婚願望と住まいについてのアンケートはとても面白いが、アンケート結果からは、はっきり言って何もわからないというのが記者の感想だ。そもそも20代から40代をひとくくりにまとめて質問することが適当かどうか。男性と女性とでも住宅取得意欲は全然異なるはずだ。もう少しきめ細かく調査していれば違った結果が出たのではないか。

 小生は若い人の考え方はさっぱりわからないが、単身女性が積極的に住宅取得に動いた1990年代半ばに30~40代の女性に取材したことがある。マンション価格が下落し、銀行も融資をしたからだ。そのころの結婚願望がないという人はまれだった。愛するに値する男がいるかどうかだった。住宅を取得する最大の理由は老後の備えだった。生活利便施設が充実していることと、夜間の安全性を重視する人が圧倒的に多かった。

 今後の住宅市場を考えると、都心部は坪単価1,000万円以上になる。準都心部や郊外の〝駅近〟マンションは坪単価500万円になるのではないか。ファミリーもそうだが単身者の住宅購入は難しくなる一方だ。

 賃貸住宅は相対的にレベルが低く、契約条件も厳しいので、マンションを買った方がいいと考えるが…中古マンションの住宅ローン減税の「控除期間」や「限度額」は新築並みにすべきだと思う。中山氏がコメントしているソーシャル・アパートメント型の分譲住宅については、共用施設が充実しているものは新築も中古も面積要件を30㎡以上にしていいのではないか。

 


 

 

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左からSUPER STUDIO取締役副社長COO兼CPO・花岡宏明氏、林氏、高波氏、三井不動産スポーツ・エンターテイメント本部商業施設運営一部長・渡辺誠氏

 三井不動産とSUPER STUDIOは5月16日、戦略的資本業務提携の契約を締結したと発表した。コマースビジネスにおけるオムニチャネルサービスの進化とイノベーションの創出を目指すもので、三井不はSUPER STUDIOが行う第三者割当増資による新株式発行の割当先となり、これまでの出資と合わせSUPER STUDIOは三井不の持分法適用会社となる。

 発表会に臨んだSUPER STUDIO代表取締役社長CEO・林紘祐氏は「今後は両社でオムニチャネルサービスのさらなる進化とイノベーションの創出を目指し、三井不動産と共に日本のコマースDXを牽引する存在として、新たなプロダクトやサービス開発なども視野に入れ、成長を続けてまいります」とコメント。

 また、三井不動産執行役員イノベーション推進本部ベンチャー共創事業部長・髙波英明氏は「SUPER STUDIOは、当社のオムニチャネル戦略を実現する上で、顧客体験の向上に必要な機能開発、実装における課題に対してのスピーディーな解決力、デジタル技術を含めた高い開発力、当社戦略への共感・提案力を持つ重要なパートナーです。この度の戦略的資本業務提携を通じ、両社のこれまでの取り組みをより深化させ、今後さらなる協業推進や事業展開、当社の様々なアセットを活用した新サービスの創出などを検討し、ともに成長してまいります」とコメントした。

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左から花岡氏、林氏、高波氏が履いていた白のスニーカー(ネットで調べた。小生の革靴より高い値段が付いている商品もあった)

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 SUPER STUDIOは同日、三井不動産及びグローバル・ブレインが共同で運営するスタートアップ投資事業「31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI事業」、ALL STAR SAAS FUND、きらぼしキャピタルなどを引受先とした第三者割当増資により約17億円の追加資金調達を実施し、これによりエクイティ性資金による累計資金調達額は約101億円になったと発表した。

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 Eコマースの名前だけは知っている。中古本はもっぱらアマゾンで買う。かみさんもネットショッピングをよく利用しているようだ。見たくもないのにテレビショッピングが大音量でCMを垂れ流している。しかし、小生はどのような業界か市場か、まったく興味はない。完全な門外漢だ。

 今回の取材は、話を聞いても分からないので見送ろうかと思ったのだが、誘いがあった取材は断らないというのが小生の取材姿勢だ。何か新しい発見があるかもしれないと考え出席した。たくさんの記者の方が詰めかけており、関係者を含めると50人はいたはずだ。

 発表会に登壇した方々の話も予想通りちんぷんかんぷん。わかったのは、オンライン、オフラインの垣根はなくなり(オムニチャネルと呼ぶことを初めて知った)、リアル店舗とECサイトの融合が加速度的に進んでいるということだ。

、SUPER STUDIOは全く知らなかったが、MIYASHITA PARK内の白スニーカーを展開するD2Cブランド(この言葉も初めて知った)「GO WITH WHITE(現:DOUBLEW)」は当初売り上げ目標の倍を達成し、「信じられない売り上げ」「ヒアリングから実装までめちゃくちゃ早い」(トークセッションでのモデレーター・槇正宗氏)などと、業界人を驚かせているようだ。

 よくよく考えてみれば、マンション販売現場もリアルとECの使い分けが進んでいる。大手デベロッパーを中心に販売事務所を設けないところが激増しているのがいい例だ。モデルルームを設けないで売るなど小生は信じられないが、これが当たり前になっている。営業利益率が飛躍的に高まっている大きな理由の一つにもなっている。

 具体的事例としては、野村不動産の「インテリアオンラインサロン」がある。同社グループ3社(野村不動産、野村不動産ソリューションズ、野村不動産パートナーズ)の会員15.7万人を対象に、「プラウド」マンションモデルルームや契約者の自宅に届けた納品事例写真から家具を探し購入できるようにしたものだ。「プラウドギャラリー武蔵小杉」では、モデルルームに設置されている家具・調度品・食器類がQRコードをかざして購入できるようになっている。

 同業他社では、「三井のすまいLOOP」「三菱地所のレジデンスクラブ」の会員数はそれぞれ30万人を突破している。文字通りデベロッパーが〝ゆりかごから墓場まで〟を売る時代に入っているということだ。

野村不動産グループ会員限定の家具販売サイト立ち上げ(2024/1/16)

5社ブランドとの連携がいい野村不の常設「プラウドギャラリー武蔵小杉」(2022/6/25)

若い人で溢れかえる「立体都市公園制度」を活用した三井不「MIYASHITA PARK」(2020/9/6)


 

 

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「meedo(みいど)」(手前は小田急バスのターミナル)

 小田急バスとブルースタジオは5月15・16日、なりわい賃貸住宅の第2弾「meedo(みいど)」(全13棟)が完成したのに伴う関係者・メディア向け完成内覧会を実施した。小田急バスのターミナル(終点)で、1低層の建設規制を巧みに利用し、地域に開かれた施設にしたのが特徴だ。シンボルの国分寺崖線からくみ上げた水を池に注ぎ、さらに遊歩道に沿って設けたせせらぎに流し、水はまた地下に戻す演出が見事。賃料は相場より3割高いそうだが、8戸が契約済みでリーシングも順調に進んでいる。断熱性能Ua値0.46を確保している。

 物件は、JR中央線三鷹駅南口から「晃華学園東」行き小田急バス28分「晃華学園東」バス停隣接、または京王線つつじヶ丘駅北口から「深大寺」行き京王バス7分「晃華学園」バス停徒歩数分、調布市深大寺東町2丁目の第一種低層住居専用地域、第一・二種中高層住居専用地域に位置する敷地面積約1,774㎡、建物は木造2階建て延床面積約299㎡のA棟(住居5戸・店舗1軒)、延床面積約498㎡のB棟(住居8戸)。賃料は、住居専用タイプは約72㎡で21.2万円(坪賃料約9.7千円)、店舗可のなりわいタイプは約53㎡で19.3万円(坪賃料11.8千円)。工期は令和6年5月~令和7年3月。事業主・貸主は小田急バス、建築設計監理はブルースタジオ、施工はジェクト。

 内覧会で小田急バス取締役不動産ソリューション部長・下村友明氏は「モビリティとコミュニティを掛け合わせた地域価値創造型のプロジェクトで、『hocco(ホッコ)』に続く第2弾。地域防災と共助がテーマ。太陽光発電システムを利用し、地下50mの井戸水を汲み上げ、製氷機で凍らせ、氷はかき氷に使用する」と話した。

 ブルースタジオ専務取締役/クリエイティブディレクター・大島義彦氏は「当社は10年以上前から100以上の自治体と地域創生の取り組みを行ってきた。今回のプロジェクトはその経験を生かしたもの。1低層などの住居系用途地域の再生・活性化が社会課題になっているが、なりわい賃貸住宅はソーシャルビジネスのモデルケースになるはず」と語った。

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「meedo(みいど)」エントランス部分(外壁は屋久島杉)

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遊歩道(左)とせせらぎ

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井戸(左)と水の量をペットボトルで測る下村氏

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池で泳ぐメダカ(記者の小さい頃は農業用水で泳ぐメダカを掬って食べた)

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下村氏(左)と大島氏

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 「hocco(ホッコ)」と「meedo(みいど)」についてはこれまでも記事にしているので、参照していただきたい。

 完成した「meedo(みいど)」は、地域レジリエンス機能のシンボルとして設けた井戸(深井戸)が最高に素晴らしい。1日24時間、365日稼働させるとのことだ。池にはメダカが泳いでいた。

 飲めるのかどうか、下村氏に聞いたら、「大丈夫。試験の結果、大腸菌はいないことが分かった。ミネラルが豊富で、コーヒーを淹れる水には適さないそうだが、水質検査を行い、かき氷にも利用する」とのことだった。試飲もさせてもらった。無味無臭、普通の水だった。

 1日当たりどれくらいの井戸水を汲みあげるのか聞いた。機転を利かした下村氏は500ml入りの空のペットボトルを持ち出し、一杯になるまでの時間をスタッフに計らせた。7.5秒で一杯になった。

 記者の計算が間違っていなければ(Chatでも確認したので間違っていないはず)、年間にすると2,102,400lになった。2lの水をスーパーで買うと約120円だそうだから、約1億2,614万円の価値があることが分かった。

 井戸を掘るのにいくらかかったかわからないが、メンテナンス費用はそれほど掛からないはずで、居住者や施設利用者らの心を癒し、地表温度を下げ、さらにまた水を地下に戻す仕掛けの利用価値は1億円をはるかに超えるはずだ。(この水の量を東京都の上下水道料金に換算すると約89万円だとChatは計算した。これが高いか安いかはわからない)

 1低層の建築規制についても一言。記者はこのあと、パナソニックホームズの分譲戸建て「パークナードテラス南荻窪 景邸」(23戸)を見学取材した。取材後、京王井の頭線富士見ヶ丘駅まで徒歩20~22分の表示だったので歩くことにした。途中で一服し、タバコを吸いコーヒー、酒でも飲もうと思ったからだ。

 ところが、周辺は1低層なので休めるカフェや居酒屋など1軒もなく、道に迷ったために駅に辿り着くまで1時間近くかかった。へとへとに疲れた。調整区域の一号店舗と同じように、1低層でのカフェや〝生業(なりわい)〟を可能にするよう法律を改正すべきだと思う。

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バス停留所の名前もこの日から「晃華学園東」に「晃華学園東」に「「meedo」が加わり「晃華学園東 meedo」に変更になった

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居住専用の2回からは生産緑地の借景が望める(居室内の床は3ミリのナラ材、窓は高断熱の樹脂サッシ)

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マンホールトイレ(普段は倉庫に保管されている)

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なりわい賃貸「meedo」イメージ(ホームページから)

小田急バス×ブルースタジオなりわい賃貸第二弾「meedo(みいど)」開業へ(2024/10/27)

2024年グッドデザイン賞不動産各社が受賞ブルースタジオ・はちくりはうす金賞(2024/10/16)

地域の歴史・文化を継承し、コミュニティ育むブルースタジオ練馬区「種音(たね)」(2024/5/12)

裏山の借景活かし断熱等級6クリアブルースタジオ賃貸住宅「SUNKA(サンカ)」(2023/12/26)

爛漫の春満喫「hocco(ホッコ)」イベントに1000名超小田急バス×ブルースタジオ(2022/4/2)

ブースタジオ小田急電鉄の社宅再生リノベ「ホシノタニ団地」完成(2015/6/26)

ブルースタジオ 木のぬくもりが伝わる「青豆ハウス」完成(2014/3/10)

 

 

 

 

 飯田グループホールディングスは5月15日、2025年3月期決算を発表。売上高14,596億円(前期比1.4%増)、営業利益804億円(同36.0%増)、当期利益491億円(同35.9%増)、純利益506億円(同36.3%増)と増収増益。営業利益率は前期4.1%から5.5%へ改善した。平均価格は3,130万円(同124万円増)、完成在庫は21,619戸(同5.0%減)となった。

主力の戸建分譲事業の計上戸数は38,627戸(前期40,493戸)、売上高12,091億円(前期比0.7%減)。各社の計上戸数(前期)、売上高(前期比)は次の通り。

・一建設    10,153戸(前期10,277戸) 売上高3,058億円(前期比1.6%増)
 ・飯田産業   6,221戸(前期6,166戸) 売上高2,291億円(前期比4.5%増)
 ・東栄住宅   4,747戸(前期4,719戸) 売上高1,793億円(前期比4.1%増)
 ・タクトホーム 5,281戸(前期5,522戸) 売上高1,772億円(前期比0.1%増)
 ・アーネストワン9,524戸(前期10,449戸) 売上高2,377億円(前期比7.6%減)
 ・アイディホーム2,681戸(前期3,340戸) 売上高 790億円(前期比11.8%減)

マンションは、計上戸数1,946戸(前期比206戸増)、平均価格は4,707万円(同743万円増)、売上総利益率は19.1%(同2.1ポイント減)。

次期業績予想は、売上高15,780億円(前期比8.1%増)、営業利益853億円(同6.0%増)、当期利益770億円(同3.6%増)、純利益510億円(同0.6%増)を見込む。

 

 

 

 マンション管理業協会は515日に行われた恒例の記者懇親会で、同協会と不動産情報サービスのアットホームが連携し、横浜市立大学の「マンション管理適正評価制度の情報開示が市場価格に与える影響」に関する研究を支援すると報告した。

アットホームは、同協会から提供を受けたマンション管理適正評価の登録情報を「不動産情報サイト アットホーム」に202211月から掲載している。今回の研究は、中古マンションの購入者側の情報の不足、情報の非対称性が著しい現状に着目し、同制度の情報が価格に与える影響を可視化するというのが目的。

同様の調査・研究は昨年4月、横浜市立大学(国際教養学部・齊藤広子教授)と同大(データサイエンス学部・鈴木雅智准教授)が行っている。オール満点の★5つのうち3以上のマンションは評価を取得していない物件と比べ価格は高く、11%の価格プレミアムが生じていると報告している。今回の調査・研究はその第2弾。

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 同制度は20224月にスター。良好なマンション管理が市場で適正に評価されるよう★の数(満点は★5つ)で〝見える化〟するのが目的だ。3月末の登録件数は8,250件となっている。

 この日の同協会の報告を受け、記者はてっきりアットホームの物件情報サイトに掲載されている★が付いているマンションは、近傍同種の物件と比較して価格が高いのか低いのかすぐ分かるものだと思った。

 ところがそうではなかった。調査・研究の結果報告は1年くらい先で、個別物件の価格がどのような評価を受けたかは公表されない可能性が高い。

 これにはがっかりした。学者・先生が★の多寡を数値的に処理し研究するのはいいことだが、調査期間が1年だとすれば、調査に要する時間とエネルギーをお金に換算したら多額に上るし、しかも、その結果報告はマンション購入検討者には届かない。

 いま必要なのは、★が付いたマンションを増やすことで、★の数が多いマンションほど市場で高い評価(価格)を受けていることを伝えることだ。

 学者・先生の研究を待たなくても、中古市場に精通した不動産流通会社の担当者なら★がついているマンションの属性、質がどのようなものかすぐ分かるはずで、近傍同種の物件との価格差も瞬時にはじき出せるはずだ。

 その担当者がはじき出した査定価格が適正かどうかの根拠となっているものの一つにレインズデータがある。レインズ情報は登録している不動産会社しか利用できず、消費者など一般の人がどのようなテータが搭載されているか知ることはできない。記者がある不動産会社でちらっと見た限りでは、成約価格の履歴もわかる。まさに〝打ち出の小槌〟だ。

 今回の同大学の調査・研究も、このレインズデータを利用できればいいのだが、もレインズデータの扱いは厳しく、以下のような規制がある。

 (1)会員(不動産会社)は、レインズ情報を、購入や売却等を検討する顧客への物件紹介、また取引価格を設定する根拠として明示すること等の不動産取引を成立させるため以外の目的で利用することはできません。レインズ情報を用いたデータベースや不動産検索サービス等を第三者に提供する行為や、レインズ情報を直接顧客に検索・閲覧等させるようなサービスを提供する行為は目的外利用に該当します。

(2)会員は、レインズ情報を、媒介行為その他の宅地建物取引業の用に供する目的以外の目的で利用し、利潤を得ることはできません。また、利潤を得ていない場合も、上記(1)の目的以外の目的で同情報を外部に提供・開示すること自体が、レインズ利用規程第14条第3項及びレインズ利用ガイドラインに違反します。

このように、レインズ情報は不動産会社が独占的、排他的に利用できるものだ。情報の非対称性がこれほどはっきり明示されている事例はほかにあるのか。同大学もレインズ情報にはアクセスできないはずだ。

だが、しかし、先にも書いたように仲介会社は、レインズデータに頼らなくても、独自のデータから★付きマンションの価値(価格)判断は瞬時にできるはずだ。登録件数が少ない今だからこそやるべきだと思う。同制度が世の中に浸透し、みんな★5つか★4つになったら、情報の希薄化が進み、価値判断の材料にならなくなる。

マンション管理適正評価 ★5つは11%のプレミアム 横浜市立大・齊藤教授らが報告(2024/4/2

 

 

 ナイスは5月14日、2025年3月期決算を発表。売上高2,430億円(前期比7.6%増)、営業利益46億円(同5.1%増)、経常利益43億円(同0.6%減)、純利益28億円(同31.7%減)となり、マンションなどの住宅事業が増収増益となった一方で、為替差益の減少などにより営業外収益が減少したことから経常利益はほぼ横ばい、前期は固定資産売却益24億円を計上していたため当期は特別利益が減少し、純利益は減益となった。

 セグメント別では、建築資材は売上高1,830億円(前期比7.7%増)、営業利益22億円(同21.3%減)。建材・住宅設備機器の売上が増加した一方、輸入材相場が軟調に推移したことにより減益となったほか、販管費が増加した。

 住宅事業は売上高507億円(前期比11.4%増)、営業利益35億円(同23.5%増)。計上戸数は636戸で、内訳はマンション363戸(新築211戸、中古152戸)、一戸建て273戸。

 次期業績予想は、売上高2,600億円(前期比7.0%増)、営業利益48億円(同3.7%増)、経常利益44億円(同2.2%増)、純利益30億円(同4.5%増)を見込む。年間配当は72円(前期は65円)の増配を予定。

 


 

 

 フージャースホールディングスは5月14日、2025年3月期決算を発表。売上高921億円(前期比6.6%増)、営業利益92億円(同3.2%増)、経常利益86億円(同13.2%増)、純利益54億円(同13.7%増)となり、資材高騰の影響を受けつつ売上総利益率を23.7%確保し、純利益は過去最高となった。

 不動産開発事業は、売上高536億円(前期比5.4%増)、営業利益48億円(同16.8%増)。マンション・戸建ての計上戸数は1,071戸(同46戸減)。今期計上予定のマンション1,266戸(同203戸増)の期初契約進捗は45%。24都道府県で44プロジェクトを展開している(うち事業完了は21プロジェクト)。

 CCRC事業は、引き渡し戸数の減少などから売上高37億円 (前期比69.2%減)、営業損失355百万円(前期は営業利益2,193百万円)。

 不動産投資事業は、売上高264億円(前期比68.8%増)、営業利益44億円(同95.7%増)。収益不動産、アパートの売却棟数が増加し、増益に寄与した。

 次期業績予想は、売上高1,325億円(前期比43.8%増)、営業利益129億円(同39.8%増)、経常利益100億円(同16.2%増)、純利益65億円(同19.0%増)を見込む。各段階利益で最高益更新の見通し。年間配当は72円(前期62円)の増配を予定。

 


 

 

 MIRARTHホールディングス(ミラースHD)は5月12日、2025年3月期決算を発表。売上高1,965億円(前期比6.1%増)、営業利益143億円(同7.1%減)、経常利益124億円(同4.3%減)、純利益82億円(同0.4%増)で、増収、営業・経常減益となった。

売上高は、不動産事業の新築分譲マンションの売上高は1,065億円、計上戸数は2,339戸(大都市圏比率は44.1%)、1戸当たり平均価格は4,557万円。営業利益率は6.3%。この他、発電施設の売電収入9,9億円、アセットマネジメント事業の運用報酬などにより11億円を計上。

一方、新築分譲マンションの引渡の増加などにより売上原価は前期比6.6%増の1,542億円となり、販売費及び一般管理費が前期比11.2増の279億円ななったことなどから減益となった。

次期業績予想は、売上高2,164億円(前期比10.1%増)、営業利益155億円(同7.9%増)、経常利益120億円(同3.4%減)、純利益80億円(同2.5%減)を見込む。今期計上予定のマンション2,820戸(同社持分2,150戸)の契約進捗率は47.8%。年間配当は21円(前期は30円)の減配の予定。

 大和ハウス工業は5月13日、2025年3月期決算を発表。売上高5兆4,348億円(前期比4.5%増)、営業利益5,462億円(同24.1%増)、経常利益5,159億円(同20.7%増)、純利益3,250億円(同8.8%増)となり、売上高、営業利益、経常利益、純利益とも過去最高を更新した。売上高はコスモスイニシアと大和リゾートの連結変更に伴う1,337億円の減収があったものの、米国戸建て事業の拡大などにより4期連続増収。営業利益は退職給付に関する数理計算の差異1,12億円が発生したことなどにより4期連続の増益となった。

 セグメント別では、戸建住宅事業は売上高1兆1,445億円(前期比20.3%増)、営業利益698億円(同98.6%増)。米国事業が拡大し、国内分譲住宅2,257戸(前期1,760戸)を計上したのが売上げ増に寄与した。請負住宅の計上戸数は2,810戸(同3,424戸)。

 賃貸住宅事業は、売上高1兆3,760億円 (前期比10.1%増)、営業利益1,299億円 (同12.2%増)。請負・分譲事業、賃貸・管理事業とも堅調に推移した。

 マンション事業は、売上高2,694億円(前期比39.0%減)、営業利益109億円(同70.8%減)。コスモスイニシアが持分法適用関連会社になった影響(売上高1,241億円、営業利益74億円)や引き渡し戸数減などにより減収減益となった。営業利益率は4.0%(前期8.5%)。

 商業施設事業は、売上高1兆2,271億円(前期比3.9%増)、営業利益1,459億円(同1.6%増)。請負・分譲事業や都市型ホテル売却、ホテル運営事業が順調に伸びた。

 事業施設事業は、売上高1兆3,697億円(前期比5.8%増)、営業利益1,596億円(同29.5%増)。請負・分譲事業で価格転嫁やVE提案などの取り組みが順調に推移し、物流施設の売却が計画を上回ったことなどにより増収増益となった。

 次期業績予想は、売上高5兆6,000億円(前期比3.0%増)、営業利益4,700億円(同14.0%減)、経常利益4,300億円(同16.7%減)、純利益2,730億円(同16.0%減)を見込む。年間配当は165円(前期150円)の増配の予定。

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 同社は5月14日、マスコミ向けスモールミーティングを行い、同社代表取締役社長CEO・芳井敬一氏、同社代表取締役社長COO・大友浩嗣氏、同社代表取締役副社長CFO、経営管理本部長・香曽我部武氏が出席し、約1時間にわたって記者団の質問に答えた。記者は体調が悪く(腹痛、飲み過ぎではないはず)、オンラインで視聴した。

  もっとも興味深かったのは、今年4月1日付で行った機構改革について芳井氏がその意図などについて説明したことだ。組織改革は「ハウジング・ソリューション本部」を新設し、それぞれの事業本部の機能強化・合理化とさらなるガバナンス強化を目的に、従来の7事業本部から2大本部に再編するもので、組織および業務のスリム化・強靭化を目指すものだ。芳井氏は「これまでの縦割り組織に横ぐしを入れた。効果は早晩出る」と語った。

 考えてみれば、あらゆるビジネスはソリューションだ。今回の機構改革は、売上げ10兆円への布石だとも受け取れる。社内の風通しをよくすることで〝ワンチーム〟にステップアップする狙いがあると見た。

 このことと関連するかどうかはわからないが、2つの新規事業について大友氏は注目すべき発言をした。

 一つは、2023年10月に立ち上げた非住宅の木造化・木質化を推進するプロジェクト「Future with Wood(フューチャー・ウィズ・ウッド)」に対する質問だった。大友氏は〝待ってました〟と言わんばかりに「私が立ち上げたプロジェクト」と紹介し、前期売上げ目標70億円に対し実績は178億円で、今期は200億円に伸ばし、将来的には3,000億円を目指すと話した。

 もう一つは、2024年5月にグループ3社で立ち上げた事業施設・商業施設の不動産ストック事業ブランド「BIZ Livness(ビズ リブネス)」だ。同社グループがこれまで建築してきた事業施設約22,000件、店舗・商業施設など約48,000件のノウハウを活用し、既存施設の建て替え、バリューアップ工事を通じて付加価値の高い建築物にリニューアルする事業で、近い将来4,000億円のビジネスに拡大するという。

 この二つの事業で売上高目標は7,000億円だ。競争が激しい既存の戸建て事業や賃貸事業などと比べて、今後の市場拡大が望める分野だ。

 同社の連結従業員数は48,483人(2024年3月31日)だ。1人当たりの売上高は約1.1億円だ。2055年目標の売上げ10兆円に伸ばすには人員を倍増させる必要があるが、DXを活用し、個々の能力を最大限引き出せばそれほど難しいことではないような気もする。同社のこれからの動きからは目が離せない。芳井氏は不気味な動きを最近している。

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は5月12日、首都圏の2025年4月の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,950件(前年同月比21.5%増)となり、6か月連続で増加。新規登録件数は15,885件(同6.0%減)で24年3月から14か月連続で減少。在庫件数は44,008件(同4.4%減)で12か月連続で減少した。

 成約㎡単価(坪単価)は前年同月比3.9%増の81.11万円(坪267.7万円)となり、20年5月から60か月連続で上昇し、90年11月の80.14万円(坪264.5万円)を上回った。前月比も2.7%の上昇。新規登録㎡単価は前年同月比25.7%増の92.61万円(305.6万円)となり、12か月連続で上昇した。前月比も。

 成約価格は、5,047万円で前年同月比0.6%増と、ほぼ横ばいながら6か月連続で上昇。専有面積は62.22㎡で、前年同月比3.2%減となった。

 中古戸建て成約件数は1,777件で前年同月比45.3%増となり、6か月連続で増加。平均価格は3,804万円で前年同月比5.7%減と2か月連続で下落。

 土地面積は151.06㎡(前年同月比1.1%増)、建物面積は102.09㎡(同2.0%減)となった。

 

 

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