木調ルーバー多用した施設デザイン抜群 東急不など「代々木公園 Park PFI」
「代々木公園 Park PFI」のカフェ、レストラン棟(供用開始は3月中旬)
東京都の公募設置管理制度(Park-PFI)を活用した東急不動産、東急、石擔エクステリア、東急コミュニティーの4社による「代々木公園 Park PFI」の一部施設が2月20日、一部供用開始されたので見学した。東急設計コンサルタントが設計を担当している木調ルーバーを多用したカフェ、レストランなどの施設デザインが抜群。
供用が開始されたのはにぎわい広場、発信テラス、スケートボード広場、管理所など。カフェ、レストランなどは3月中旬、その他の施設の供用開始は6月の予定。
施設は、原宿駅から徒歩7分、渋谷駅から徒歩12分、渋谷区神南1丁目の敷地面積約4,182㎡。設計は東急設計コンサルタント、施工は東急建設。
都のPark-PFI制度を活用した公園は、2024年1月に供用開始された東京建物を代表とする「都立明治公園(渋谷区・新宿区)」に次いで2例目。
「代々木公園 Park PFI」にぎわい広場
水色の部分がカフェ、レストラン棟
〝3番人気〟新社長・大友浩嗣氏の得意技は「現場主義」 大和ハウス マスコミ懇談会
芳井氏(左)と大友氏(パレスホテル東京で)
大和ハウス工業は2月20日、マスコミ懇談会を開き、同社代表取締役社長CEOの芳井敬一氏をはじめ、4月1日付で新社長に就任する取締役専務執行役員・大友浩嗣氏ら役員が出席。報道陣との交流を深めた。
懇談会の冒頭、芳井氏は「当社には3つの〝切る〟がある。一つは新しいことに踏み切る、2つ目は合理的に踏み切る、そして3番目は思い切る。この3つを大事にして職務を全うしていく」とあいさつ。次期社長の大友氏を紹介したが、「週刊D社の次期社長予想記事では大友は3番目候補だった(爆笑)」と、(贔屓にしているはずの)D社をからかった。
続いて登壇した大友氏は「(社長交代を発表した前日の)12日夜8時半ころ、芳井から話があると連絡が入って、なんの準備もしていなかったが、明日、社長交代の記者会見をやる、国内事業をやってほしいと。これまで住宅事業本部長を7年、経営戦略本部長を2年半、海外本部長を1年務めたが、入社してから33~34年間は本社とは縁がない地方担当だった。自分の得意技は、その時に会得した現場主義。これを基本にみんなのモチベーションを挙げで元気な大和ハウスになるよう尽力する。芳井の圧を感じるが…(爆笑)」と語った。
懇談会の締めで、同社代表取締役副社長技術統括本部長・村田誉之氏は「大友さんは品行方正。やりたい放題でいい、大胆にやっていただきたい。芳井代表と二人三脚(国内と海外という意味か)で音頭をとれば、役職員はみんなで舟をこぐ」と締めくくった。
昨年と同様、懇談会後には参加者全員にランの鉢がプレゼントされた。
村田氏
懇談会会場((パレスホテル東京で)
◇ ◆ ◇
同社の社長交代は近いと小生は考えていたので、大友氏の新社長就任は極めて妥当だと思った。なので、D社の予想記事で大友氏が〝3番人気〟だったのには驚いた。芳井氏も大友氏も〝1番人気〟を暴露したようだが、小生は耳が遠く、一番人気の方がどなたか全然わからなかった。心当たりがある方ではなかった。
D社のF記者さん、どなたを1番人気にしたかわからないが(小生も昔、この種の記事を書いたことがあるが、的中したことはほとんどなかった)、これから社長になるには第一に現場をよく知っていること、第二に経営を学んでいること、第三にグローバルな視点を持っていることだ(バイリンガルは欠かせない)。この3つをチェックすれば候補者は絞れると思うが、もう一つ欠かせないのは、記者自身が現場を知らないといけないということだ。
大和ハウス新社長・COOに取締役専務執行役員・大友浩嗣氏芳井社長は会長へ(2025/2/16)
ペット不可を理由に飼育断念経験あり63% ペット飼育意向者 パナソニックH調査
パナソニック ホームズの「くらし研究室」は2月20日、2月22日が「猫の日」であることにちなみ、首都圏の賃貸住宅に住む犬・猫の飼育者・飼育意向者を対象にした「賃貸住宅におけるペット飼育に関する意識調査」まとめ発表。飼育意向者の62.8%がペット飼育禁止を理由に賃貸住宅での飼育を断念し、飼育者の62.8%が「ペット共生型賃貸」に住みたいと回答。ペット飼育者は、単に飼育可能な賃貸物件ではなく、家族であるペットと安心して豊かに暮らせる設備・仕様・サービスを備えた「ペット共生型賃貸」を求めていることがわかった。
「ペット共生型賃貸」とは、同社が2002年から公益社団法人・日本動物病院協会(JAHA)との提携を開始し、住まいにおける健康で快適なペット共生の暮らしに向けた設備・仕様・サービス等の拡充について監修を受けた賃貸住宅のこと。単に飼育が認められている賃貸物件を「ペット可賃貸」と呼んでいる。
アンケート結果によると、飼育意向者の62.8%がペット飼育禁止を理由に賃貸住宅での飼育を断念したことがあり、ペットとの暮らしに求められることは、「外出時の不安を減らすサービス」、「ペットに適したインテリア(床、壁等)やニオイ対策」で、①飼育者・飼育意向者の40.0%以上が「心苦しい」、「健康・安全面」を理由にペットを残して外出することが困る・不安であると回答②飼育者の95.0%が「ペットを飼えていること」に満足している一方、うち43.3%は「飼う環境」に不満を感じていると回答③「飼う環境」に対する不満の理由は、「ペットに配慮したインテリア(床、壁等)になっていない」(42.0%)がもっとも多く、次いで「ペットのニオイが残る」(38.4%)。
また、飼育者の62.8%が「ペット共生型賃貸」に住みたいと回答。飼育者のうち実際に「ペット共生型賃貸」に住んでいる人は20.9%で、飼育者の46.1%、飼育意向者の 83.7%が「ペット共生型賃貸」と「ペット可賃貸」の違いを理解していないことが分かった。
「ペット共生型賃貸」と「ペット可賃貸」の違いを理解すると、飼育者の62.8%が「ペット共生型賃貸」に住みたいと回答した。
今回の調査結果について、日本動物病院協会(JAHA)理事・獣医師の吉田尚子氏は、「『ペット共生型賃貸』と『ペット可賃貸』は、その内容には大きな違いがあり、特に、設備・仕様、サービス、住人同士のコミュニケーション、規約の観点で『ペット共生型賃貸』には多くの利点があります。ペットを飼いたいと考える人々のニーズに応えるためには、物件オーナーや管理者がペット共生型の住環境を提供することが重要です」とコメントしている。
アンケート対象者は首都圏在住の20歳~69歳の男女516人(賃貸マンション/アパートに住む犬/猫飼育者・飼育意向者)。
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記者はネコを外で眺めるのはいいが、飼育しようとうと思ったことは一度もない。それでも飼育頭数が900頭を超える人気になっているのはよくわかる。賃貸住宅のことはよくわからないが、分譲マンションはほとんどか犬猫などのペット飼育が可能になっているはずだ。結構なことだと思う。
ただ、一つだけ言いたいことがある。分譲マンションでのペット飼育が可能になったのは1990年以降だ。ペットとの共生を目指したからではない。バブルが崩壊し、売れ行きが悪化したために販売促進の手段としてペット飼育可にしたのがその理由だ。
それまでは、ほとんどのマンション管理規約でペット飼育を禁止していた。しかし、その一方で〝見て見ぬふり〟をして飼育を黙認する管理組合も多かった。そのため、仲介会社から「大丈夫でしょう」というこえを信じてマンションを購入した人が、入居後にペット飼育不可の規約を縦に提訴され、敗訴したいわゆる横浜ペット裁判があった。ペットを捨てるか退去するかを迫られた被告(入居者)は退去した。1993年(平成3年)だった。
その後の2009年に書いた記事を添付する。以下のように書いている。
「記者は20年以上前から『マンションでのペット飼育を可能にすべき』と主張してきた。ペット飼育の可否が問われた横浜裁判もずっと取材した。マンション管理規約に〝違反〟してペットを飼っていた被告(入居者)が敗訴したとき、記者は泣いた。犬を捨てるか退去するかを迫られた被告は、退去の道を選んだ。
勝訴した原告(管理組合)もペット不可に何の疑問を示さなかったデベロッパーや管理会社の将来はないと思った。ペットが好きとか嫌いとかという問題ではなく、人間の尊厳の問題だと思った。ペット飼育を認めなければ、やがてマンションそのものがユーザーから指弾を受けるだろう」
人も犬も〝非日常〟を楽しむ 東京建物「いぬのきもちコテージ」(2009/
社会&経済問題 同時解決へ 障がい者就労支援 三菱地所×VALT JAPAN「DIC丸の内」
「デジタルイノベーションセンター丸の内supported by 三菱地所」
三菱地所とVALT JAPANは2月21日、千代田区新大手町ビルに「デジタルイノベーションセンター丸の内supported by 三菱地所」(DIC丸の内)を開設したと発表。三菱地所代表執行役執行役社長・中島篤氏、VALT JAPAN代表取締役・小野貴也氏が開設に至った背景・経緯、今後の展開などについて説明した。同センターは千代田区唯一の障がい者就労継続支援A型事業所※で、デジタル業務に特化した就労継続支援A型事業所としては23区初となる。発表会に出席した樋口高顕・千代田区長も応援を約束した。
VALT JAPANは、障がい者特化型DXプラットフォーム「NEXT HERO」事業を手掛ける会社で、三菱地所は同社へ2024年1月に出資。DIC丸の内はが集積する丸の内エリアにDIC丸の内を開設することで、企業からニーズのあるデジタル業務をが受託。DIC丸の内と雇用契約を結んだ障がい者が、証憑データ入力、サイト情報のデータベース更新、書類のデータ化サービス、データ校正作業、AI関連業務(AIアノテーション)などを行う。今後5年間で全国にDICを20センター開設し、約1,000人規模の雇用を予定している。
中島氏は、2022年に立ち上げたコーポレートベンチャーキャピタル「BRICKS FUND TOKYO」について説明し、「DIC丸の内は『SustainabilityVision2050』で掲げた4つの重要なテーマのうちの『人を想い、人に寄り添い、人を守る』『新たな価値の創造と循環』に資する取り組み。官民が連携してより開かれた、安全なまちづくりを推進していく」とあいさつした。
小野氏(36)は「我々は〝就労困難者の大活躍時代をつくる〟をビジョンに掲げ、2014年に創業したスタートアップ企業。私は塩野義製薬出身で、ある患者会に参加したとき、一人ひとり障がいや難病、抱えている問題、課題はバラバラだったが、就職できない、仕事でうまくいかないという就労困難問題が全員に共通していた。この事実に衝撃を受け、会社を退社し、26歳で創業した。私自身も摂食障害(過食症)の疾患を抱えており、月30万円(1食当たり3,000円)が食事代に消えた。貯金は25万円しかなかったが、この25万円で一生かけてこの問題を解決しようと志し、今に至っている」と切り出し、2040年の労働力人口約6,902万人のうち約1,500万人が就労困難者となり、約1,100万人の労働力不足が生じるという労働市場の不均衡の問題、さらに就労継続支援B型事業所の月間平均賃金は約17,000円にしか過ぎず、発達障がいの経済損失額は約13.5兆円にも上る経済問題を指摘。
「DIC丸の内は、経済の中心地で就労支援という新たなモデルを行うことにより、就労支援領域と経済領域が分断されている社会を包括するのが狙い。約5,000の企業・事業所が集積し、上場企業の売上高が約155兆円という大丸有エリアで事業活動している三菱地所さんの強みと、2024年に連携した事業所数330か所、ネットワーク数2,000か所に上る国内最大級のPBO実績を誇る当社の強みを掛け合わせることで、DIC丸の内モデルを成功させ、事業を1都3県と地方に拡大し、5年で20センターを開所する。さらに将来的にはロンドンを拠点にグローバルにも展開していく」と、社会問題と経済問題の双方の課題解決を目指すことを強調した。
会見に同席した樋口高顕・千代田区長は「仕事が難しい方への就労機会の提供という社会課題、人手不足解消という企業の課題の両方を解決しようという野心的な取り組みを区としても2つの観点から応援していく。一つは、区内には令和4年以降はA型の事業所はなく、今回の施設は大変ありがたい、区民に資する取り組みだ。もう一つは、先般の区長選で公約の一つに掲げたことだが、既存ストックを活用した持続可能な都市へ再生していこうという考えと合致している。素晴らしい取り組み」と称えた。
現在、障がいや難病などにより、働く意志があっても働けない「就労困難者」は1,500万人(労働力人口の5人に1人)にのぼるといわれている。また、950万人いる障がい者の一般就職率は約6%(60万人)にとどまっており、厚生労働省の調査では、民間企業の51.7%が障がい者の法定雇用率を下回っている現状がある。
同センターは、東京駅から徒歩3分(東京メトロ丸の内駅直結)、千代田区大手町2丁目の新大手町ビル1階、広さは約60坪。主たる対象者は精神障がい者、発達障がい者。定員は20名(40名まで増員の予定)。利用対象は原則18~65歳未満。週20時間就労が条件。営業時間は9時~18時。
※障がい者就労継続支援A型事業所 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(障害者総合支援法)における就労系障害福祉サービスのうち、一般企業に雇用されることが困難な人で、雇用契約に基づく就労が可能である人に対し、事業所が直接雇用契約を締結して、就労や生産活動の機会を提供するもの。現在の事業所数は4,130か所、利用者数は87,262人(令和6年7月現在)。B型は14,407か所。
左から樋口氏、小野氏、中島氏
就労デモ
休憩スペース
◇ ◆ ◇
小野氏の話は、アジア初の女性作家でノーベル文学賞を受賞した韓江(ハンガン)氏の代表作で、拒食症が主人公の「菜食主義者」を読んだ後だったので、衝撃を受け、また感動的だった。
小生は2015年、障がいを抱える人の就労機会を提供するためポラスが立ち上げた「ポラスシェアード」を取材したことがある。小生の身内にも友人・知人にも障がいを抱えている人はたくさんいる。一方で、みんな健常者以上の能力を秘めていることも知っている。三菱地所「キラキラっとアートコンクール」はその能力を開花させた好例だ。なので、小生は障がい者の言葉には抵抗感がある。
そこで、小野氏に質問した。「私自身も〝お前はまともな人間か〟と問われればイエスとは言えない。障がい者は法律用語なので変更は難しいでしょうが、フランスには障がい者という言葉はないと聞いている。障がい者という言葉は世界共通語か」と。
これに対して、「我々も同じ思い。障がい者という言葉があるがゆえに障がいを生んでいる側面がある。我々は、障がい者手帳を持っているかいないか、ラベル的に人を判断するのではなく、その方が就労困難な状態であるかどうかを大事にしている。働きたいという意思はあるけれども就労困難な状態であれば、そこをテクノロジーや経済の力で補い、価値を提供していこうということ」と語った。
三菱地所にはお願いがある。センター内はフェイクグリーンばかりだった。オフィス空間に本物の緑とフェイクグリーンを設置した場合、前者のほうがストレス解消、生産性向上に効果があるという調査結果が出ている。本物のグリーンにするか、それとも「キラキラっとアート」の素晴らしいアート作品を購入しプレゼントしてはどうか。
センター内のフェイクグリーン
ポラス越谷市初の特例子会社へ障がい者中心の新会社設立(2015/3/30)
徒歩10圏内で9駅13路線が利用可能 パークビュー売り 積水ハウス「御徒町公園」
「グランドメゾン御徒町公園」
積水ハウスが分譲中のマンション「グランドメゾン御徒町公園」を見学した。徒歩2分の日比谷線仲御徒町駅を含め徒歩10分圏に9駅があるアクセスの良さに加え、販売対象34戸のうち22戸が公園に面している〝パークビュー〟が売り。周辺相場と比べ高額にもかかわらず、第1期で供給した23戸は申し込み完売。残りは未供給の6戸。極めて好調なスタートを切った。
物件は、東京メトロ日比谷線仲御徒町駅から徒歩2分(他に徒歩10分圏内に8駅)、台東区台東4丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率643%)に位置する14階建て49戸(事業協力者15戸含む)。4月12日から販売する第2期(4戸)の価格は9,990万~15,590万円、専有面積は45.03~62.17㎡。竣工予定は2026年7月下旬。設計・監理はIAO プランニング&デザイン。施工は松尾工務店。
敷地は東・南・西の三方に接道。販売対象34戸のうち22戸が、東側に位置する御徒町公園に面している。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、長期優良住宅認定、二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン・洗面天板、アラウーノ、ミストサウナ、メーターモジュール廊下、オリジナルドア建具、外開き扉のセットバックなど。
物件責任者の奥村氏は、「今回はパークビューが特徴で、公園に面した住戸はガラス窓面を大きくしたのが高い評価を得ています」と語った。
イメージ
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モデルルームがある「グランドメゾンギャラリー新宿」は3年前に新宿マインズタワー21階に開設したもの。
ギャラリーラウンジに入った途端、自然と同化したような、心の汚れが全て洗い流されたような不思議な感覚にとらわれた。広さは30坪くらいか。正面の床に白い小石と自然石を配し、その上部の縦格子がアトランダムに配されたスクリーンには刻々と変化する自然の情景が映し出された。映像は2度と同じものが流れないよう工夫されているとのことだった(日本財団の「THE TOKYO TOILET 広尾東公園トイレ」と同じ)。その奥の受付カウンターは全面ナグリ仕上げ。壁際には見事な松の枯れ盆栽。
ネットで調べたら、設計は三井デザインテックだった。三井デザインテックの本社にも見見事なナグリ仕上げの両開きドアがある。
これほど素晴らしいギャラリーを見たことがあるか考えた。すぐ思い出したのは、有楽町にある伊藤忠都市開発の「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」だが、例えていえば「有楽町」は外資系のラグジュアリーホテルラウンジで、今回の「新宿」は和風ホテル。(積水ハウスのギャラリーの1階下は伊藤忠都市開発の「ギャラリークレヴィア新宿」というのもまた面白い)
「グランドメゾンギャラリー新宿」
スクリーン
ナグリ仕上げのカウンター
松の枯れ盆栽
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住戸プランは、公園に面した55~70㎡台はもちろんだが、南西角の45~53㎡台の間口が7.4~8.3mのプランがとてもいい。人気になるのもよく理解できる。廊下幅を確保し、なおかつ面積を狭くし、居住性を高めている。
モデルルームの同社オリジナルドア木製建具について。記者はドアを閉めたときの音をランク付けしている。最悪は「バタン・ガタン」。使い古されたドアがこれだ。次は「ガチャン」、その次は「ガチャ」。これが一般的だ。最上位はイタリア製だ。「カチッ」と閉まる。わが国の室内ドアメーカーの製品にはまずないはずだ。
同社のオリジナルドアはどうか。リビングドアの見付は50ミリ、経年によるそり・歪みを防ぐため内部に金物が入っており、戸当たりはゴムではなくモヘア。重さは30キロ。締めてみた。「カチッ」ではなかった(同社広報担当者がそう表現した。記者ではない)。
同社も含めて国内ドアメーカーには「カチッ」と閉まるドアを開発してほしい(あったら失礼)。わが国の年間住宅着工戸数は約80万戸で、建築物着工件数は477,766棟(令和6年)もある。「カチッ」を開発したらゆるぎないドアトップメーカーの地位を築くのではないか。
御徒町公園
現地
基本性能・設備仕様レベル高い販売好調に納得大成有楽不「秋葉原」(2025/2/4)
日本財団「THE TOKYO TOILET」13か所目後智仁氏のトイレは植栽にも注目(2022/7/23)
眺望抜群坪単価500万円超でも人気か積水ハウス初のコンパクト「浅草花川戸」(2021/10/6)
2か所に花粉対策施したポラス「花小金井」 涙が出るほどうれしくなり、鼻水も止まる
「ルピアコート花小金井」
ポラス中央住宅が3月中旬に分譲するマンション「ルピアコート花小金井」モデルルームを見学した。駅からの徒歩11分のうちほとんどが美しい緑道を利用できる立地と、ピアキッチン付き(44戸のうち41戸)、業界初の花粉対策を2か所に採用しているのが特徴。その良さを訴え切れるかどうかが早期完売のカギを握るとみた。
物件は、西武新宿線花小金井駅から徒歩11分、小平市花小金井六丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する5階建て全44戸。専有面積は62.81~95.73㎡、価格は未定だが坪単価は340万円になる模様。竣工予定は2026年2月中旬。売主は同社のほか三信住建。設計はアム・ザイン一級建築士事務所。施工はオープンハウス・アーキテクト。販売代理は東京中央建物。
現地は、駅から徒歩11分のうち、ほとんどは通勤・通学に利用されている「小平グリーンロード」を利用できるのがポイント。建物は2棟構成で、標準階11戸のうち南西向きが6戸、南東向きが1戸、東向きが4戸。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、「おかえりシャワー」「窓マスク」、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、食洗機、収納・無垢材ダイニングテーブル付きピアキッチン(44戸のうち41戸)、「変身クローク」「FUTON収納」「まもるんドア」「タオル掛け2か所」「バルコニー水栓」など。
商品企画担当の同社マインドスクェア事業部 マンションDv営業企画課営業企画係リーダー・西牟田奈津子氏は「当社のマンションは、ピアキッチン付きで、角・妻住戸だけでなく中住戸も風が通るプランに高い支持を頂いている。今回は、国民の3人に1人の割合で発症するという花粉対策として、エントランスに花粉など80%以上防げる『おかえりシャワー』を設置し、さらに、花粉が気になる季節でも風通しができる『窓マスク』を設けた。いずれも当社オリジナル」と語った。
昨年11月から物件ホームページを立ち上げ、これまでの反響数は350件、2月8日にオープンしたモデルルーム来場者は50件。
「おかえりシャワー」(左)と「窓マスク」
模型
「まもるんドア」
◇ ◆ ◇
同社はこの花粉対策を施した物件について2月4日付でリリースしている。記者は、いまさら花粉対策もないと判断してスルーし、逆にモデルルーム見学会を提案した。
この日(2月19日)見学会が実現したわけだが、冒頭の西牟田氏の説明は半信半疑で聞いていた。発症の原因とされるスギ花粉などの飛来を防止するのは難しく、森林・林業をないがしろにしてきた罰が当たったのだと記者は考えているからだ。山林の中で生まれ育ち、花粉まみれの生活をしてきた記者は花粉症の症状は全くない。免疫ができているのだと思う。
「おかえりシャワー」はそれなりに効果があるのだろう。スイッチを押すと風速30m/sの暖かい風が10秒間天井から吹き出し、風の力で花粉やPM2.5なとの有害物質を落とすことができるというものだ。何度も浴びるのも可能だ。禿げ頭の人はともかく、紙のセットは乱れる。
似たような花粉対策マンションを取材しているので、この段階でも高をくくっていた。驚いたのは、西牟田氏が「皆さん、花粉症の人は手を挙げてください」と呼び掛けたところ、記者を除く13人のうち何と7人が手を挙げたことだ。半数以上だ。症状は〝鼻水が出る、鼻が詰まる〟〝目がかゆい、痛い〟〝くしゃみがする〟などだ。
モデルルームの「窓マスク」は心底驚いた。初めて見るものだった。花粉対策だけでなく、好きな時に風を取り込むことが出来るスグレモノだと思った。同業の記者の方々はさながら首相のぶら下がり取材のように西牟田氏に殺到した。
この様子を冷ややかに眺めていた小生は、「記者の方々はポラスのサクラじゃないの」と口走ったら、そばにいた同社広報担当は「サクラじゃありません。スギ(花粉)ですよ」とやり返してきた。一瞬、鼻ではなく息が詰まり、かゆいところに目が届く同社の取り組みに涙が出るほどうれしくなった。したたり落ちていた鼻水(寒さのせい)も止まった。
だが、しかし、記者の皆さん、注目すべきなのはバージョンアップしたピアキッチンだ。ヨーロピアンウォーク材の無垢のカウンターは80万円はするし、バックカウンターはこれまでの1200mmから1800mmに広げられている。そこには炊飯器、トースター、ロースター、ケトル…なんでも置けるというものだ。全部で百数十万円はするはずだ。これを標準祖エビしているマンションデベロッパーは皆無だ。ピアキッチン付きでない3住戸はほかにもたくさん魅力がるプランだ。
「東京こどもすくすく住宅の設計認定」を受けている「まもるんドア」には絶句した。室内を締めきり、換気扇を使用すると負圧状態になり、突然玄関ドアなどをあけると、開けっ放しのドアなどが締まることがあるのだそうだ。よちよち歩きの子どもがドアの隙間に手が挟まれた事故もあるという。「まもるんドア」はそんな事故を防ぐ効果があるという。実用新案を申請したとか。
このほか、この物件は、浴室・玄関下足入れ窓付き、ソフトクローズ機能付きリビングドア、プッシュプルドア(けが防止にもなる)などたくさん魅力がある。
問題は価格だろう。記者は坪単価300万円なら申し込みが殺到すると考えていたが、やはりそんなに安くはならない。郊外部でも「300万円の壁」は突破された。「取得限界の壁」との綱引きが始まった。
同社マンションディビジョン部長・中島教介氏は、記者がこの前書いた「18坪の3LDK」の記事を意識されたか、「当社は3LDKは70㎡以上が基本。よほどのことがない限り、70㎡以下の3LDKをつくらない」と語った。その言や良し。同社は貴重なデベロッパーだ。
ピアキッチン
2か所タオル掛け(左)と本物の観葉植物(皆さんは軽視するが、記者は一つひとつチェックする。コストカット対策としてタオル掛けをなくすデベロッパーは結構あるし、観葉植物はフェイクだらけ。購入者はフェイクの植物越しに食事をし、会話を交わすことがあるだろうか)
柏駅圏最大389戸 18坪(62㎡)の新型3LDKに注目総合地所「ルネ柏ディアパーク」(2025/(2/16)
駅東側10分、70㎡以上では8年ぶりポラス「大宮」坪単価400万円に挑戦(2024/4/5)
郊外部も坪300万円の時代へ予算額との隔たりどう埋めるか 総合地所「花小金井」(2023/10/25)
「ライオンズ関町北グランヒルズ」で見た第4世代の大京パッシブデザイン(2016/6/29)
一人暮らし環境を劇的に変える 野村不「コリビング賃貸」第一弾「品川中延」
「TOMORE(トモア)品川中延」
野村不動産は2月18日、コミュニティ運営付き大型賃貸レジデンス「コリビング賃貸レジデンス」の第一弾「TOMORE(トモア)品川中延」が竣工したのに伴うメディア向け内覧会を行い、2月22日から現地内覧会を開催し、3月から入居を開始すると発表した。
「コリビング賃貸レジデンス」は、同社の社内起業第一号案件。都内のシングル向け賃貸住宅はこの10年間で家賃は22%上昇しているにもかかわらず、20~30代の賃金上昇率は10%にとどまり、20年超の築古が71%、30人未満の小規模が95%を占めていることに着目。20~30代の社会人単身者の〝ひとり暮らし環境〟のアップデートを目指すもの。
専用面積は、シャワールーム、トイレ・洗面台を備えた12~15㎡に抑える一方で、約90㎡のコワーキングスペース、約100㎡のコリビングスペース、シェアランドリーなどの共用部を充実させているのが特徴。
1階の24時間稼働の約100㎡コワーキングスペースでは、専属運営スタッフ 「コミュニティオーガナイザー」がコミュニティ運営を行い、利用者の「居心地づくり」「交流づくり」「活動づくり」を通じ、緩やかで活発なコミュニティ形成を育む。
7階のルーフバルコニー付き約95㎡の「コリビングスペース」では、キッチンで料理をつくり、ダイニングで隣人と一緒に食卓を囲み、ソファで気ままに過ごしたりするなど様々なシーンに合った心地よい空間をデザインしている。
シェアランドリーでは、パナソニック製のドラム式洗濯乾燥機を全15台(女性専用6台、男女兼用9台)設置し、洗濯機の利用状況がアプリから確認でき、待ち時間のストレスなく利用できるランドリーサービス 「LAUNDROOM」を初導入する。
また、初期費用のうち 「仲介手数料・敷金・礼金0円」(一部条件あり)とするほか、2025年3月末までの入居申込者を対象に「1ヵ月フリーレント」の「新規入居キャンペーン」 を開催する。
2月18日現在の内覧会予約は200件超で、男女割合は女性56%、男性42%、年齢割合は20代36%、30代44%、属性は会社員が78%、居住割合はシェア型住宅が40%で、60%は一般住宅など。
内覧会に臨んだ同社住宅事業本部賃貸・シニア事業部賃貸住宅事業二課長・黒田翔太氏(36)は「現在の一人暮らしの住環境は家賃が高い、築古が多い、設備が古い、規模が小さい、(シェアハウスは)水回りがない、初期費用が高いなどハードルが高い。これらを一挙に解決するのが『コリビング賃貸』。内覧会申込者は想定した通り。これまで検討しなかった層の潜在的なニーズを開拓できている」と語った。
世界のコリビング市場規模は2022年に132億万米ドルに達し、2028年までに638 億百万米ドルに達すると予想されている。
物件は、都営浅草線中延駅から徒歩1分(東急大井町線中延駅から徒歩4分)、品川区豊町6丁目の商業地域に位置する敷地面積約577㎡、建築面積335㎡、11階建て延床面積約2,424㎡全135戸、専用面積12.00~15.01㎡(居室設備 Wi-Fi・シャワールーム・独立洗面台・トイレ、一部家具付き住戸、バスタブ付き住戸あり)。月額賃料は90,000~、共益費は15,000円、水道光熱費は13,750円。入居開始は2025年3月(予定)。設計はフォルム建築計画研究所、施工は野村建設工業。デザイン監修はUDS。
コワーキングスペース
コリビングスペース
居室
シェアランドリーイメージ図
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同社が昨年11月に行った事業説明会での黒田氏のプレゼンを聞いて〝これはいける〟と直感したのだが、この日の黒田氏の話を聞き、商品企画の狙いがズバリ的中したことを改めて確認した。
それは、200件超の現地内覧会希望者の属性にはっきり表れている。男女比、年齢割合もさることながら、現居住形態はシェアハウスが40%で、他は1R・1K(27%)、1LDK以上(11%)、実家(17%)、その他(5%)と多数を占めたことだ。新規需要を掘り起こしたことを証明している。
これまでにないタイプなので、検討者がどう判断するかだが、1階のコワーキングスペース、7階のコリビンズスペースがとてもいい。1階は明るく温かい雰囲気を、7階はリラックスできる空間をそれぞれ演出している。観葉植物はすべて本物で、付け梁、家具・調度品なども本物の木を多用するなど質も高い。
もう一つ、この事業の成否のカギを握るのは、入居者同士を緩やかにつなげコミュニティを育むソフトサービスだと思う。その意味でコミュニティオーガナイザーの役割は大きいし、「COMMUNITY LUNCH」「HOME PARTY」「TOMORE TALK」などの「交流体験」を育む運営が重要になる。
この日(18日)、コミュニティオーガナイザーのミライ インスティチュート・田中三浪氏(ビジネスネーム)に浅煎りコーヒーのサービスを受けたのだが、小生は「私は深煎りが好き。蒸らしは30秒」と話したら、田中氏は「これも30秒」と返した。こんな一言二言が、お互いを認め合い、仲良くなるきっかけになる。
さらにもう一つ。バイリンガルだ。これからは外国語を話せないと生きていけない。外国語を習得できるサービスがあっていい。
ハード面では、敷地面積や建築面積、延床面積からして、コワーキング・コリビングスペース、シェアランドリーなどの共用施設を充実させながら、階段は容積に算入されない外階段にするなどレンタブル比率を高くしている工夫がなされていたのに注目した。
黒田氏(手前の花は本物)
田中氏
タオル掛け付きシャワールーム(左)とバス付き
本物の花
現地
1階エントランス
社内起業第一号 シェア型賃貸×コワーキング「TOMORE(トモア)」開発 野村不(2024/11/13)
CLTの断熱性能の高さ実感 大東建託 賃貸住宅第三弾「Forterb(フォルターブ)Ⅲ」
「Forterb(フォルターブ)Ⅲ」
大東建託は2月18日、CLT賃貸住宅の第三弾「Forterb(フォルターブ)Ⅲ」の1号棟の完成現場見学会を開催した。京王線つつじケ丘駅圏の調布市に完成した3階建て全12戸。賃料はエリアのRC造と同等価格で満室稼働。外気温は6~7℃だったにも拘わらず、26℃設定のエアコン1台で居室内は温かく、CLTの断熱性能の高さを実感した。
物件は、京王線つつじヶ丘駅から徒歩10分、調布市西つつじヶ丘4丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する敷地面積776㎡、準耐火CLT工法構造木造3階建て。住戸は12戸、専用面積は40.45㎡。賃料は13.9~14.5㎡。省エネ性能はZEH-M Oriented。満室稼働。
壁に60mmの燃えしろ層を設け、1時間準耐火構造を採用し、共用廊下の天井と居室内の一部天井と壁にCLTの現しを設置したのが特徴。木材使用料は207㎥で、うちCLTは122㎥、、国産材が172㎥。。木材全体の炭素貯蔵効果は一般家庭37世帯分の年間CO2排出量に相当する。CLTの木材は岡山県産材。
同社は2019年9月に国内初となるオリジナルCLT工法による賃貸住宅「Forterb」の第一弾を、2021年11月に第二弾の戸建て注文住宅「GrounDK(グランDK)」を、2024年5月から第三弾「ForterbⅢ」をそれぞれ販売開始。今回、第三弾の1号棟が完成した。同社は2028年までにCLT使用量を現在の8倍2,000㎥を目指している。
玄関
内装
内装
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満室稼働にはやや驚いた。賃料(坪単価1万円超)は高いような気がしたが、見学会場となった住居には、見学の1時間前に26℃に設定したエアコン1台がつけられていたが、全住戸内は設定温度と変わらなかったはずだ。入居者もCLTの断熱性能の高さに満足するのではないか。
率直な感想を言えば、もう少し現しの部分を増やしてほしかった。(木の構造躯体をケミカル製品で覆った場合、木がもたらす様々な効果はどうなるのかものすごく興味がある)
現地
外廊下
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商品説明を行った同社技術開発部次長・岡本修司氏は、賃貸住宅は入居者募集のポータルサイトでは「賃貸マンション」でなく「アパート」に該当すると話した。
この問題に少し触れてみよう。記者は「賃貸マンション」だろうと「アパート」だろうと、これは呼称の問題で、商品の質の優劣を示すものではないと思うが、実際は「アパート」のほうが劣るとみなされ、賃料設定でも安くせざるを得ない現実があるようだ。今回、同社が賃料は〝RC造と同等価格〟と強調したのはこの現実を物語っている。
いくつかのポータルサイトで「アパート」とは何かを検索してみた。
「SUUMO」は、「一般的に、木造や軽量鉄骨造などの賃貸住宅を指す。対して鉄筋コンクリート造などの耐火構造の賃貸住宅は、一般的に『賃貸マンション』と呼ばれている。アパートは、マンションのように大きく張り出した柱などがないので間取りとして使いやすいが、壁や床などが比較的薄く、隣や上の階の物音が響くことも。その分、マンションより家賃は安め」とある。
「LIFULL HOME'S」は。「集合住宅・共同住宅の一種であり、1つの建物を仕切ってそれぞれ独立した住居にしたものを指します。似た建物として“マンション”がありますが、2つの言葉に明確な違いはなく、不動産会社が独自の基準で使い分けているケースがほとんどです。アパートと呼ばれる建物の例としては、木造もしくは軽量鉄骨造である、2階建て以下である、外観の雰囲気や設備が比較的簡素であるなどがあります」とある。
「at home」は、「英語の『アパートメント(apartment)』を略した言葉。わが国では1階建てもしくは2階建ての共同住宅で、建築構造が木造または軽量鉄骨構造のものを一般的に指している。しかし最近では2階建ての共同住宅であっても、重量鉄骨構造のものがあり、また外壁・内壁も軽量気泡コンクリートパネル等としているものもある。このため、マンションとアパートの外観上・構造上の区別がつきにくくなってきている」と定義している。
皆さんいかがか。どこも似たり寄ったりだ。はっきりした定義はないとしている。「賃貸マンション」と「アパート」に分けるからこのような混乱が起きる。統一するか、別の呼称に変更すべきだと思う。
2021年12月に行われた三井ホームの「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」見学会の記事を添付する。
当時の同社施設事業本部事業推進室営業推進グループ長&事業推進グループ長・依田明史氏は、「これまでこの種の賃貸マンションは『アパート』としてしか募集できなかったが、プレハブ協会と大手の募集サイト運営会社がマンションの定義を決め、首都圏不動産公正取引協議会の了解を得た結果、今年12月6日からは『マンション』として募集することが可能になったインパクトは大きく、『木造=安い』というイメージ・課題が払しょくできたと話した」と書いている。参考になるはずだ。(記者はタグを「マンション」として記事をアップした)
賃料は「調布並み」でも申し込み殺到三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸(2021/12/9)
1フロア1戸の全7戸 30坪で価格2.7億円 シーラ初の「渋谷富ヶ谷」早期完売
「THE SYLA SHIBUYA-TOMIGAYA(ザ・シーラ 渋谷富ヶ谷)」
シーラの同社初の分譲マンション 「THE SYLA SHIBUYA-TOMIGAYA(ザ・シーラ 渋谷富ヶ谷)」を見学した。敷地面積が約57坪の8階建て(管理人室1戸含む)全7戸-つまり、これまで前例がないと思われる1フロア1戸で、〝THE SYLA〟を冠した1戸平均2.7億円(坪単価900万円)の高額であるにもかかわらず、販売開始から3か月半で契約を完了した〝初物尽くし〟のマンションだ。快挙に拍手喝采。
物件は、東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩5分、渋谷区富ヶ谷一丁目の 近隣商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)、第1種低層住居専用地域(同60%、同150%)に位置する敷地面積約188㎡、8階建て全8戸(管理事務室1戸含む)。専有面積は90.99㎡(27.52坪)、バルコニー面積4.23㎡(1.23坪)、サービスバルコニー面積2.87㎡(0.86坪)。価格は平均2.7億円。間取りは1LDK。設計・監理はエム・エスデザイン、デザイン監修はSTUMP。施工はシーラ。建物は2024年12月に竣工済み。
分譲開始は昨年10月。ほぼ即日完売だったが、その後キャンセルが出たため最終契約は2月半ばとなった。
現地は、首都高速中央環状線と井の頭通りの交差点から一歩入った高層マンションなどが建ち並ぶ一角で、建物は1フロア1戸。敷地南西側は1低層の住宅街で、住戸はすべて東-南-西向き。
主な基本性能は、二重床・二重天井、長さ4700ミリのフィオレストーンキッチン天板+テーブル、Bosch深型食洗機、Whirlpool洗濯乾燥機、突板ヘリンボーン床仕上げ、木製玄関ドア・間仕切り壁、ワインセラー付き収納、バイオエタノール暖炉、全開口サッシ、調光機能付き照明など。共用施設は約1畳台の防災倉庫、冷凍・冷蔵機能付き宅配ボックスなど。
同社は、第一弾のマンションが好調裡に完売したことから、今後も用地が仕入れられればこの種のマンションを分譲する意向だ。
モデルルーム
主寝室
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冒頭、〝初物尽くし〟と書いたが、これまで40数年間、分譲マンションを見学・取材してきた記者にとっても、一戸建てを積み重ねたような1フロア1戸は見た記憶がない。多分、首都圏で初の1フロア1戸のマンションだと思う。
だが、しかし、考えてみればプライバシーを重視する人にとっては、理想のマンションかもしれない。購入者の属性も聞いたが、予想通り普通のファミリー契約者は1戸もない。同社の狙いが的中したということだろう。
シーラとクミカ(旧リベレステ)は2025年2月14日に開催した臨時株主総会で、クミカを完全親会社、シーラを完全子会社化とする株式交換による経営統合を議決。6月1日付で、クミカは社名をシーラホールディングスに変更し、シーラ取締役会長・杉本宏之氏が代表取締役会長に、シーラ代表取締役社長グループ執行役員COO・湯藤善行氏が代表取締役社長に就任する予定。
杉本氏(47)は業界の〝異端児〟として知られているようだが、記者は話を聞いた限りでは、〝異常〟なのはむしろ業界で、杉本氏は人間らしい生き方を貫いている〝正統派〟だと思う。かつてリベレステは温泉付きマンションを分譲して話題を集めた。新会社のシーラHDの今後の展開に注目したい。
エントランス
宅配ボックス(左の3ブースが冷凍・冷蔵機能付き)
エレベータ内(庫内は本物の布製)
内観(左はフィオレストーン天板、床はヘリンボーン、正面に暖炉)
南西側の全開口サッシからは富ヶ谷、松濤方面の邸宅街が見える)
主寝室の収納(下部は19着が収納できるスラックス・ズボンハンガー、上部はジュエリーボックス)
信頼性・透明性・認知度の向上へ不動産クラウドファンディング協会統合記念式典(2024/12/12)
住友林業と大東建託 幅広い分野で業務提携 国内最大級の2×4材製造目指す
光吉氏(左)と竹内氏
住友林業と大東建託は2月13日、両社の企業価値向上と脱炭素社会の実現に向け森林から住宅・不動産まで国内外の幅広い事業分野で業務提携することに基本合意したと発表した。合意したのは①海外事業分野②国内事業分野③木環の杜・国産材関連分野④その他。
提携の第一弾として、大東建託が住友林業子会社の木環の杜(こわのもり)(本社:福島県いわき市)に出資。地域のステークホルダーとも協働し国産構造用製材(ディメンション材※)の安定した供給・調達体制を構築し、国産材の利活用拡大と付加価値の最大化を図る。木環の杜が新設する四倉工場(福島県いわき市:2026年3月稼働予定)は年間原木投入量11万㎥を計画し、国内最大規模となるディメンション材の製造を目指す。
住友林業代表取締役執行役員社長・光吉敏郎氏は「木材の付加価値最大化と国産材の利用促進に向けた木材コンビナートの設立を掲げており、第一弾が木環の杜でのプロジェクトです。賃貸住宅の最大手である大東建託様と木造注文住宅を手掛ける当社の協業で質の高い国産材の構造用製材を供給し、国内林業の活性化に寄与していく」と、大東建託代表取締役社長執行役員CEO・竹内啓氏は「当社は2007年に地産地消による国産ディメンション材の利活用を開始しました。この度、住友林業様と森林から住宅・不動産まで国内外の幅広い事業分野において協業し、脱炭素社会の実現に貢献していきます」とそれぞれコメントを寄せている。
※ディメンション材とは「2×4(ツーバイフォー)材」をはじめとする構造用製材。主に木造枠組壁工法(2×4工法)による住宅に使用されている