所得の多い人は緑被率の高い地域に住む その差100万円 立正大・榎本氏の論文
東京都の緑被率(都はみどり率の指標を用いている)を調べていたら、凄い調査研究論文を見つけた。立正大学の榎本毅氏による「東京23区における緑化の現状に関する研究」だ。
榎本氏の論文によると、「緑被率の低い地域は緑被率の高い地域に比べ全ての調査区において7.6%~52.9%二酸化炭素排出量が増加していることを確認できた」とあり、「所得においても関係があるのか、野村総合研究所のエリア別の推計結果『世帯当たり年間総所得』を参考にした(緑被率の高い地域、低い地域)における年間総所得は千代田区(950~1,100、580~620)、中央区(680~720、580~620)、港区(1,250~1,500、1,100~1,250)、新宿区(850~950、650~680)、文京区(720~780、580~620)、台東区(650~680、580~620)、墨田区(580~620、580~620)、江東区(650~680、580~620)、品川区(650~680、560~580)、目黒区(950~1,100、650~680)、世田谷区(720~780、580~620)、渋谷区(950~1,100、850~950)、中野区(580~600、500~530)、杉並区(680~720、530~560)、豊島区(680~720、580~620)、練馬区(680~720、580~620)であった(単位:万円)。この結果から墨田区においては解明する点もあるが、緑被率と所得については相関関係があると考えられる」としている。
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緑被率の低い地域は緑被率の高い地域と比べて二酸化炭素排出量が増加するというのは理解できるのだが、緑被率の高い地域に住む人のほうが低い地域に住む人より所得が多いことが調査で確認できたことが凄い(記者は、金持ちは絶対緑が多い山の手に住むと考えてきたが)。
例えば千代田区。緑被率の高いエリアに住む人の年収は950~1,100万円で、緑被率の低いエリアに住む人の580~620万円と比べ実に370~480万円の差がある。この他、目黒区は300~420万円、世田谷区は140~160万円、文京区は140~160万円、区全体として緑被率が低い台東区でも70~60万円の差がある。平均すると100万円くらいの差がある。緑被率が高い戸建てに住んでいる人のほうが年収が高いということだろうか(最近の分譲戸建ては敷地面積が狭く、ほとんどコンクリで固められるので、ぺんぺん草も生えないが)。
やはり区全体の緑被率が低い墨田区は所得差がないことについては記者もよくわからないが、緑被率より他の要素を重視するアジア系のコミュニティが形成されているのと関係がありそうな気がするのだが…。
三井不レジ賃貸「東京日本橋」アジア初のヒルトン最上級ラグジュアリーブランド
三井不動産レジデンシャルとヒルトンは9月25日、三井不動産が参加組合員として参画・推進している「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」の三井不動産レジデンシャルが事業推進する賃貸レジデンスの名称を「ウォルドーフ・アストリア・レジデンス東京日本橋」と決定し、ヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド「ウォルドーフ・アストリア・ホテルズ&リゾーツ」の名を冠したアジア太平洋地域初のレジデンスとなると発表した。入居開始は2027年秋の予定。
レジデンスは、プロジェクトのメインタワー(高さ約284m)の48~51階に誕生し、39~47階に開業予定のホテル「ウォルドーフ・アストリア東京日本橋」と連携し、「ウォルドーフ・アストリア・ホテルズ&リゾーツ」ブランドの象徴であるお客様一人ひとりに合わせたきめ細やかなサービスを居住者に提供する。
ヒルトンは、ウォルドーフ・アストリア・レジデンスをニューヨーク、ラスベガス、シカゴ、ドバイなど現在9軒展開しており、アジア太平洋地域では同ブランドのレジデンスは初となる。居住者専用の共用施設として50階にキッチン付きパーティーラウンジ、マルチルームを備えたテラス付きロビーラウンジを用意。50階ラウンジ一面に広がる屋外テラスは地上約250m。住居には、ホテルスタッフによるポーターサービス、ヴァレーサービスのほか、ランドリー・クリーニング、ハウスキーピング、ルームサービス、出張シェフ・ケータリングサービスなどを提供する。また、ホテルのレストラン、プール、スパ、フィットネスなどの共用施設の利用に際しては、レジデンス各フロアから居住者専用エレベーターでホテルフロアにアクセスできる。
日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業は、東京メトロ日本橋駅直結の総敷地面積約18,990㎡で、A街区は業務・商業施設からなる4階建て延床面積約約 5,100㎡、B街区は住宅・商業施設からなる7階建て延床面積約約 6,500㎡、C街区はフィス、商業施設、ホテル、居住施設、MICE施設、ビジネス支援施などからなる52階建て延床面積約約368,700㎡。都市計画・事業コンサルタント・基本設計・実施設計・監理は日建設計。外観デザインは日建設計、Pelli Clarke & Partners Inc。施工は日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業建設共同企業体。全体竣工は2026年9月末。
「ウォルドーフ・アストリア・レジデンス東京日本橋」は、C街区の48~51階に設けられ、延床面積は約14,800㎡。専用面積は約60~約430㎡。総戸数は71戸。入居開始は2027年秋の予定。
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専用面積が最大で約430㎡なのに驚いた。三井不動産レジデンシャルは2016年に分譲した「パークマンション檜町公園」では約580㎡、価格にして55億円(坪単価3,129万円)の供給実績があるが(麻布台ヒルズはもっと広くて高いのか)、賃貸レジデンスはどうなのか。
「Sensuous City(センシュアス・シティ)[官能都市] 2025」発刊 LIFULL HOME'S

「Sensuous City(センシュアス・シティ)[官能都市] 2025」
LIFULLの社内シンクタンク「LIFULL HOME'S総研」は9月24日、「Sensuous City(センシュアス・シティ)[官能都市] 2025」報告書を発刊した。2015年に発刊した第一弾の「Sensuous City(センシュアス・シティ)[官能都市]」に次ぐもので、第一弾の「センシュアス」(官能性)に加え、「ナラティブ」(物語)の概念を新たな調査項目に加え、「ナラティブ」が「センシュアス」や「ジェネリック」(普遍的魅力)に大きな影響を与えていることを浮き彫りにした。業界関係者必読の報告者だ。
調査は、47都道府県の県庁所在都市や政令指定都市、中核市に居住する20歳~64歳までの男女を対象に、時代の変化を捉える8指標・32項目について設問したもので、有効回収数は167都市の44,472件。
調査の結果、「センシュアス・シティ」総合ランキングは1位が千代田区・中央区、2位が横浜市西区、3位が豊島区、4位が大阪市北区・福島区、5位が横浜市中区、6位が渋谷区、7位が港区、8位が大阪市中央区、9位が福岡市博多区、10位が大阪市天王寺区・浪速区となった。2015年は上位だった武蔵野市、目黒区、金沢市、品川区、静岡市、盛岡市などは順位を下げるか、圏外となった。一方、宮崎市、松本市などの地方都市がランキング入りした。
同総研はセンシュアス度が向上した都市の特徴として、①カフェやレストランが多く、地元産の食材を用いた料理や地場のビールなど、豊かな「食」の経験が維持されること②きれいな青空や夕焼けや小鳥のさえずり、木陰での気持ちよい風など感じられる環境であること③路上での演奏・ライブなど都市の喧騒だけなく、歩くこと自体を楽しめること-なことが分かったとしている。
報告書は、A4版270ページに及ぶもので、同総研所長・島原万丈氏のほか、横浜市立大学都市社会文化研究科准教授・渡會知子氏、一橋大学大学院ソーシャル・データサイエンス研究科教授・清水千弘氏、ディ・プラス橋口理文・吉永奈央子氏、九州大学大学院人間環境学研究院都市・建築学部門助教・有馬雄祐氏、柏市役所副市長・山田大輔氏、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻講師・吉江俊氏、LIFULL HOME'S PRESS編集部・渋谷雄大氏、東京情報堂代表取締役・中川寛子氏、スピーク共同代表/東京R不動産ディレクター・林厚見氏の論文・寄稿文が掲載されている。
島原氏は「2015年に発表した『Sensuous City[官能都市]』は、『動詞で都市を測る』というユニークな評価方法を提案しました。それから10年。私たちの都市は大きな転換点を迎えています。全国的に広がる市街地再開発は、土地の高度利用を進め、機能性や安全性を高める一方で、街の『らしさ』を希薄にしてきました…『Sensuous City 2025』では、前回から継承する『関係性』と『身体性』のフレームを基盤に、評価指標となるアクティビティ項目を時代に合わせてチューニングしました。さらに今回は、新たに『ナラティブ』という概念を導入して都市がセンシュアスであることの意義について深い分析を試みています。ナラティブとは、人々の経験や記憶、さらには歴史や文化が重なり合って紡がれる都市の『語り』のことです…ナラティブが都市の幸福やシビックプライドを増幅させる――この循環こそが、センシュアス・シティの大きな意義です。本調査が、これからの都市政策やまちづくりの新たな指針を描くための契機となることを願っています」とコメントしている。
報告書は希望する人に無料で進呈される(なくなり次第終了)。希望する人はLIFULL HOME'S総研公式サイト:https://www.homes.co.jp/souken/report/202509/へ。


島原氏
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「官能」といえば「小説」しか思い浮かばない記者は、取材案内メールに「官能都市」の文言がちりばめられていたので、スルーしようかと思った。どうせ、根拠など全くない、ただ面白おかしく紹介するSBIアルヒ「本当に住みやすい街大賞」(昨年から公表されなくなったが、同社はその功罪を明らかにしていない)か、デベロッパーの影が透けて見える〝住みたい街〟やら〝住みやすい街〟の類だろうと考えたからだ。
まあ、しかし、時間はたっぷりある。同総研副所長・チーフアナリストの中山登志朗氏のような楽しい人が登壇するのだろうから、冷やかしの一つや二つ浴びせかけてやろうと参加することにした。
ところが、豈図らんや。予想した発表会とは全然異なった。島原氏は同社のシンボルカラーのオレンジで身を固めて登場するのかと思ったら、濃紺のスーツだった。
報告書は前段で紹介した通りだ。「官能」の本来的な意味である「五感で感じる」をモノサシにして都市を評価したものだ。島原氏は第1章で「雑多さや猥雑さ、いかがわしさ、夜など、政治的な〝正しさ〟で武装した資本とアカデミックな工学が重視してこなかった、あるいは意図的に排除した、人間が生きる場所であるところの都市の本音を救出する意図もあった」と、発刊した理由を述べていように、官製の報告書では絶対ない、主人公である居住者の生の声であふれかえっている。〝路上でキスした〟〝素敵な人に見とれた〟〝地元産の食材や郷土料理を楽しんだ〟〝木陰で気持ちよい風に吹かれた〟などだ。総合ランキング1位の「東京都千代田区・中央区」だって容赦しない。ウォーカブルの指標では3位になった理由として、「『道端でくつろぐ猫を見かけた』の144位が足を引っ張った」ことを挙げている(記者は千代田区、中央区はウォーカブルな街づくりのトップランナーだと思っている。ネコを見かけないのがマイナス要素になるとは…)。
嬉しくなる指標項目もある。「グラングリーン大阪」の街づくりの評価が高いのもそうだが、都市のリトリートでトップは「日野市、多摩市、稲城市」となっていることだ。「木陰で気持ちよい風に吹かれた」のが評価ポイントだという。わが多摩市が素晴らしい街であることをこれまで何度も記事にしてきたが、居住者も同じ考えのようだ。一方で「江東区」がこの指標で2位となっており、「公園や水辺で緑や水に直接ふれた」というのがその理由なのは解せない。江東区は多摩市と対照的に住居系用途地域が極端に少なく、工業系ばかりで緑が少なすぎると思っているのだが…だからこそ住民は少ない公園や水辺を評価していると理解することにした。
参考までに、記者は街のポテンシャルを測るモノサシを紹介すると、①大勢の人が集まり、おいしてものが食べられるホテルがあること②なんでも揃うデパートがあること③歴史・文化施設があること-この3つが基準で、最近はやや軌道修正し、タバコが吸えるドトールとせんべろが可能な日高屋があることを追加した。これにマクドナルドを加えた〝御三家〟が不動産進出の決め手になることを同業の記者から教わった。
各氏の論文を一つひとつ紹介する余裕はないが、島原氏は序章で「もしこの10年間に国内で出版された都市論の中から最も重要な10冊を選べと言われたら、吉江俊氏の『<迂回する経済>の都市論』(2024年)は、その筆頭に上げたい画期的な一冊」と綴っている。「<迂回する経済>の都市論」を早速ネットで購入した。
林氏の寄稿「みんながデベロッパーになる時代」は現在の街づくりに警鐘を鳴らしている。「デベロッパーは意味的には終わった」の言葉には肺腑をえぐられた。
ただ、報告書に注文・疑問もある。記者は、調査範囲をもっと広げ約260ある人口10万人以上にしたらどうかと質問したら、島原氏は「広げたいのだが、コストがかかるので…」と話した。ならば、先日発表された積水ハウスの「男性育休白書」と連携したらどうか。素晴らしいものになるはずだ。疑問点は、先の「日野市、多摩市、稲城市」は似ているようで似ていない。「豊島区」は風俗も所在する池袋もあれば、戸建て住宅街もある。他の区市もそうだろう。広域・狭域の視点も必要ではないか。
-読みだしたら止まらない。書き出したら止まらない。もうやめる。とにかく面白い。業界関係者必読の書だ。
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報告書で興味深いことを発見した。経歴だ。島原氏は「1989年リクルート入社」で、LIFULL HOME'S総研所長に就任したのは2013年とある。1989年といえばリクルート事件が発覚した翌年だ。所長に就任した2年後に「官能都市」を発刊したことになる。
島原氏のほかにもリクルート出身の執筆者は3人いる。林氏は、リクルート創業者の江副浩正が立ち上げたデベロッパー・スペースデザインに在籍していた。清水氏は2000年11月に リクルート住宅総合研究所主任研究員に就任している。橋口氏もリクルート入社とある。
なぜ、このようなことを書くかといえば、記者にとってリクルートは特別な存在だからだ。リクルート事件では数回にわたって特集記事を書いた。コスモスイニシアは創業時からずっと取材してきた。〝デベロッパーの頭脳〟と呼んでいいほど商品企画が優れている。それは、江副の「自ら機会をつくり、機会によって自らを変えよ」という起業家精神がずっと引き継がれているからだと思う。「官能」と「都市」を結びつけ、さらにまたナラティブ(語り)を付加した島原氏もまた創業時のDNAを受け継いでいるに違いない。
夫の育児・家事の満足度高いのは佐賀、沖縄、山梨、三重積水ハ「男性育休白書」(2025/9/22)
唯一無二街の歴史・文化を継承ポラスの最高傑作蔵のある「ことのは越ヶ谷」第2弾(2025/9/19)
京都好きには堪らない自然素材ふんだんにコスモスイニシア50周年「京都御所南」(2025/9/13)
〝負けたらあかんで東京に〟返上「グラングリーン大阪」南館3/21オープン(2025/3/17)
〝都落ち〟考えるヒントに「都県境の家賃が安い駅ランキング」 LIFULL HOME'S(2024/12/19)
〝めっちゃ〟10連発井上咲楽さん LIFULL HOME'S「住みたい街ランキング」発表(202024/1/31)
越年しても発表されないSBIアルヒ「本当に住みやすい街大賞」なぜか(2024/1/13)
頂門の一針、蜂の一刺しにならないがアルヒ「本当に住みやすい街大賞」批判(2021/12/12)
不快な臭い芬々〝住みやすい〟街ランキング調査無聊をかこつ記者のつぶやき(2020/12/14)
墓地に隣接〝田の字地区 最後の低単価物件〟タカラレーベン他「京都河原町五条」

「レーベン京都河原町五条ONE SUITE」
タカラレーベン(事業比率40%)・パナソニックホームズ(同35%)・積水化学工業(同25%)の3社JVマンション「レーベン京都河原町五条ONE SUITE」のモデルルームを見学した。京都市の中心地「田の字地区」の玄関口に位置する11階建て(高さ規制31m)の大規模物件で、敷地南側に寺院がある関係で、南側住戸の日照が担保され、共用施設が充実しているのが特徴。販売担当者は「田の字エリアでこの価格で分譲できる最後の物件」と強調した。
物件は、京都市営地下鉄烏丸線五条駅から徒歩4分、京都市下京区の商業地域、近隣商業地域(建ぺい率80%、容積率574.07%)に位置する11階建て全186戸。第2期(戸数未定)の専有面積は50.68~85.03㎡、予定価格は5,300万円台~10,500万円台(最多価格帯7,300万円台)。竣工予定は2026年9月上旬。デザイン監修はウイ・アンド・エフヴィジョン。施工は日本国土開発。
第1期(72戸)の契約会を9月6日に実施し40戸が契約済み。申込者の7割が京都市内居住者で、その他は東京都を中心に広域に広がっておいる。これまでのエントリー数は約1,000件。
現地は、市内中心地の「田の字地区」の玄関口にあたる五条駅が最寄り駅で、敷地形状は凸型に近く、底の部分に当たる北側が高さ規制31mの五条通に面しており、突き出た部分は駐車場に当てられている。駐車場の左右(建物の南側)は長さ数十メートルにわたって墓地が広がっている。
標準階の住戸は内廊下を挟んで南向きが10戸、北向きが8戸。プランは南西角の85㎡台が10戸、南東角の81㎡台が10戸、北東角の74㎡台が10戸。このほかは50~60㎡台。
主な基本性能・設備仕様は直床、リビング天井高2400ミリ、ガス洗濯機・乾燥機「乾太くん」など。共用施設はフィットネスルーム、ゴルフシミュレーションルーム、ゲストルーム、マルチルーム、屋上テラス、ラウンジなど。
同社マンション事業本部西日本支社営業推進部第2営業部1課・上田遼氏(26)は、「おそらく、田の字地区を中心とするエリアでこの価格で買える最後のマンションになるはず」と語った。


ラウンジ
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価格については詳しくは触れない。現地を見ていないし(見る余裕がなかった)、価格は市場(消費者)が決めるものだ。ただ、上田氏が語ったように、単価は割安感があると思う。今後は、調整区域だろうが土地代がただだろうが、坪単価250万円以下はありえず、建築費・人件費の上昇を考えると、早晩300万円になるのは間違いない。
ましてや、この物件は京都駅から歩こうと思えば約20分の至近距離だ。関係者によると田の字エリア内は坪400万円を軒並み突破しており、とくに人気の高いエリアの物件は坪800万円しているそうだ。
そして何よりこの物件の特徴は、隣接する墓地はほとんど永代所有権が設定されているので、他の用途に転用される可能性がない、つまり、マンションの南側に面した住戸の日照が担保されているということだ。商業地域立地で、敷地の南側数十メートルにわたって高い建物が建たないマンションなど100に一つあるかないかだろう。第1期に申し込んだ人は圧倒的に地元居住者が多いのは、この日照権が担保されている実利を選択したからだろう。同社もまたそこにターゲットを絞り込んだと思われる。
逆もまた真〝京都らしくないが、京都を知る人の評価高い〟大和ハウス「三条堀川」(2025/9/13)
京都好きには堪らない自然素材ふんだんに採用コスモスイニシア50周年「御所南」(2025/9/13)
夫の育児・家事の満足度高いのは佐賀、沖縄、山梨、三重 積水ハ「男性育休白書」


積水ハウスは9月19日、「男性育休白書2025」を発表した。「白書」は2019年から公表しているもので、今回が7年目。企業で働く男性の育休取得の実態を探るのが目的。同社は、9月19日を「育休を考える日」として記念日に制定しており、賛同企業・団体は昨年の154から174に増加している。
調査は、全国47都道府県別に配偶者および小学生以下の子どもと同居する20代〜50代の男女9,262人を対象にウエイトバックにより集計し、さらに従業員10人以上の企業の経営者・役員、部長クラスの男女400人、一般生活者男女2,000人を加え、インターネットにより実施したもの。
設問に当たっては「男性の家事・育児力」を決める4指標5項目を設定-①「女性の評価」で、女性(妻)から見た男性(夫)が行っている家事・育児の実践数と、男性(夫)が子育てを楽しみ、家事や育児に積極的に関与しているかどうか②男性の「育休取得経験」③女性(妻)から見た男性(夫)の「1週間の家事・育児時間」④男性の「家事・育児参加による幸福感」をそれぞれ数値化して1位に47点〜47位に1点を付与、各項目の点数を足し上げることで、都道府県別の「男性の家事・育児力」ランキングにしている。
調査結果によると、①未就学児と同居する男性の育休取得率は36.3%となり、取得率は急速に高まっている②自分の夫は「とるだけ育休」と思わない女性が昨年より増加した一方で、男性育休取得者は5割以上が「育休中に何をすればいいのか分からない」と“手探り”状態でスタートしている③よりよい育休にするカギは夫婦間のコミュニケーション④育休によるポジティブな変化が生まれている⑤「男性の家事・育児力全国ランキング2025」の1位は前回に続き沖縄県がトップで、2位は岡山県(前回25位)、3位は福井県(同10位)となり、最下位は2年連続で兵庫県-などとなった。
同社は、男性社員の育休1か月以上の完全取得を目指し、2018年9月より特別育児休業制度の運用を開始。2025年8月末時点において、取得期限(子が3歳の誕生日の前日まで)を迎えた男性社員2,497人全員が1か月以上の育休を取得しており、2019年2月以降、取得率100%を継続している。今後も、「男性の育休取得が当たり前になる社会の実現」を目指して活動を続け、世の中に先んじたダイバーシティを推進し、ESG経営のリーディングカンパニーを目指すとしている。
男性育休白書2025特設ページ:https://www.sekisuihouse.co.jp/ikukyu/research.html
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男性諸氏、貴殿は女性(妻)が提示する28種類の育児・家事労働とは何か、答えられるか。同社の資料によると、それは食事作り、片付け、洗いもの、部屋の掃除、水回りの掃除、布団敷き、ゴミ出し、植物の水遣り、洗濯、アイロン、クリーニング、買い物、家計の管理、入浴、寝かしつけ、起こす、着替え、おむつかえ、トイレ付き添い、ミルク、食事の介助、保育園・幼稚園の送迎、勉強・宿題の手伝い、歯磨き、必要なものの購入、保護者会・PTAへの出席、急病時の対応…だそうだ。(妻自身が夫に求める要求は何種類あるか聞きたいものだ)
記者は、先妻が幼稚園の先生をしていたことから少しは育児・家事を手伝った。妻の下着を干すのはとても嫌だったが、生乾きのおむつのアイロンがけほど楽しいものはない。妻が死んでから約10年間〝主夫〟も経験した。〝仕事か子育てか〟の選択肢などなかった。先の28項目の中で、嫌いな掃除はほとんどしなかったが、ほかはせざるを得なかった。学校からの連絡簿に〝トイレを持ってこさせて〟〝ナプキンを用意せよ〟と書かれていたのには頭にきた(トレイとナフキンを読み間違えたのだが、育児・家事労働は1分1秒を争う。このようミスは数えきれない)。家政婦を雇ったこともある。小生の下着をきちんとたたまれたのには閉口した。馬鹿なこともたくさんした。おいしいものを食べさせようと、100グラム1000円の牛肉やマスクメロンを買ったり、鶏がらスープを作ったり、鰹節を削ったりした。ラーメンにはふかひれ缶詰を使った-子育てはこういうものではないことを子どもが成長してから知った。すべて後の祭り。
「白書」については、これまでもその都度記事にしている。参照していただきたい。ずっと疑問に思っていることに触れたい。「男性の家事・育児力都道府県ランキング」の乱高下についてだ。
今年上位10都道府県は、沖縄県は2年連続でトップだが、2位岡山県は昨年25位から、3位福井県は昨年10位から、4位大分県は昨年46位から、5位山形県は昨年11位から、6位大阪府は昨年27位から、7位長崎県は昨年26位から、8位宮城県は昨年18位から、9位宮崎県は昨年30位から、同点で10位の山梨県は昨年24位から、島根県は昨年18位からそれぞれ上昇した。
今年ワースト10都道府県は、47位兵庫県は2連連続でワーストで、46位岩手県は昨年29位から、45位岐阜県は昨年31位から、同じ点数で43位の群馬県は昨年6位から、長野県は昨年37位から、42位の愛知県は昨年37位から、40位の北海道は昨年23位から、39位の埼玉県は昨年41位から、38位の山口県は昨年32位からそれぞれ下落した。
前年ベスト10だった都道府県の今年はどうかというと、2位同点の鹿児島県は24位へ、秋田県は24位へ、4位の佐賀県は30位へ、5位の高知県は12位へ、6位の群馬県は43位へ、7位の徳島県は28位へ、8位の福岡県は27位へ、9位の熊本県は13位へ下落し、10位の福井県のみが3位へ上昇した。
また、昨年ワースト10の今年はどうかというと、2年連続最下位の兵庫県を除けば、46位大分県は4位へ、45位香川県は37位へ、同点43位静岡県は24位へ、茨城県は17位へ、41位栃木県は23位へ、40位埼玉県は39位へ、39位福島県は28位へ、38位神奈川県は22位へランクを上げた。
このように毎年乱高下を繰り返しているのは、5項目ごとに順位を付け、1位には47点、最下位には1点を付与する相対評価をしているからだが、それにしても、得点の差大きすぎる。2025年1位の沖縄県の総合点(スコア)は213点なのに対して、最下位の47位兵庫県は44点しかない。一挙に引き上げられるのは嬉しいだろうが、谷底に突き落とされる都道府県行政担当者や都道府県民の男性はたまったものじゃない。
順位が乱高下する理由の一つとして同社担当者は、サンプル数が少ない(全回答者を単純に47都道府県で割ると1都道府県当たり248人)ことを挙げたが、ならば費用はかさむだろうがもっと人数を増やしたらいかがか。結果は異なるのか。
とはいえ、白書のランキングはとても面白い。女性(妻)から見た男性(夫)の評価が低いことと、男性(夫)の幸福度は必ずしも一致しないことをデータは示している。
例えば「夫が行う育児・家事実践数」上位・下位と「男性の育児・家事に対する満足度」上位・下位の乖離が激しい都道府県を⇔で示すと高知県(1位⇔28位)、富山県(2位⇔38位)、新潟県(14位⇔41位)、和歌山県(23位⇔44位)、佐賀県(44位⇔1位)、三重県(37位⇔4位)などとなっている。
「夫の育児・家事関与度」上位・下位と「満足度」の関係では鳥取県(23位⇔47位)、長野県(44位⇔18位)、鹿児島県(4位⇔30位)など。
「男性の育休取得日数」と「満足度」は埼玉県(4位⇔35位)、和歌山県(7位⇔44位)、東京都(3位⇔31位)、宮崎県(46位⇔11位)、山梨県(41位⇔3位)、島根県(40位⇔7位)、熊本県(47位⇔19位)、京都府(44位⇔5位)など。
「夫の家事・育児時間」と「満足度」では三重県(41位⇔4位)、新潟県(15位⇔41位)、鳥取県(26位⇔47位)、長崎県(47位⇔18位)などとなっている。
これらのギャップは何に由来するのか、考える価値はある。とりわけ、記者は「満足度」が高い佐賀県(1位)、沖縄県(2位)、山梨県(3位)、三重県(4位)、京都府(5位)、島根県(7位)に興味がある。記者の友人・知人の中には佐賀県出身の男性もいた。ご本人は周りの人から総スカンを食らったのに、悪評を笑い飛ばした。満足な一生を終えたはずだ。沖縄県人は添付した新垣進氏の記事を読んでいただきたい。大変失礼だが、これらの府県出身者は三重県出身の記者を含めて総じてオポチュニスト(日和見主義者)だ。
一方で、他の項目の順位が高いのに「満足度」が低い鳥取県(47位)、岩手県(46位)、和歌山県(44位)、新潟県(41位)など、総合ランクが低い兵庫県、岩手県、岐阜県、群馬県、福島県、愛知県、埼玉県などは男性も女性も考えたほうがいい。すべては〝愛〟の欠如によるのではないか。
同社にお願いだ。白書は育児・家事だけでなく、それぞれの地域の気候風土や産業構造、社会経済状況、離婚率、住宅環境なども調査対象にしたら、これらのギャップは何が原因か明らかになるはずだ。
男尊女卑・家父長制の文化は色濃く残っており、群馬県の〝かかあ天下〟高知県の〝いごっそう〟佐賀県の〝葉隠〟熊本県の〝肥後もっこす〟などは生きているのではないか。離婚率が低い北信越地方は住宅面積と関連はあるのかどうか、離婚率が高い沖縄、宮崎、福岡、大阪などは自立した女性が多いのか、身勝手な男性が多いのか、それとも愛に生きる人が多いのか。2年連続最下位の兵庫県は県政の乱れ・混乱の影響はあるのか…興味は尽きない。
「沖縄への熱い思い」関東沖縄経営者協会会長・新垣進氏が講演 OSI研究会(2025/4/20)
「育休を考える日」のPJサイト公開積水ハ賛同企業・団体は過去最多174(2025/9/8)
積水ハウス「男性育休白書2024」取得率は過去最高27%「とるだけ育休」課題も(2024/9/23)
積水ハウス「男性育休白書」男性の家事・育児力トップ沖縄県/ランク乱高下はなぜ(2024/9/23)
同床異夢夫も妻も相手の家事労働に不満6割深刻な実態浮き彫りリンナイ調査(2024/9/1)
男性の家事・育児力 1位は高知県ワーストは茨城県積水ハウス「男性育休白書」(2023/9/19)
男性の家事・育児力 1位高知 2位沖縄 3位鳥取ワーストは山口積水「男性育休白書(2022/9/14)
三重と福岡同じ育児時間で幸福度は47位と1位積水ハウス「男性育休白書」(2021/10/1)
多様な取り組みのトリガーに/三重県最下位に転落男性育休フォーラム2021(2021/9/17)
積水ハイクメン白書2020全国ランク九州男児が上位独占かかあ天下群馬は最下位(2020/9/19)
50階建てツイン1,455戸の入居開始 「HARUMI FLAG」全5,632戸完成

「HARUMI FLAG」
三井不動産レジデンシャルを代表とする三菱地所レジデンス・野村不動産・住友不動産・住友商事・東急不動産・東京建物・NTT都市開発・日鉄興和不動産・大和ハウス工業の特定事業者10社は9月19日、「HARUMI FLAG」内の最後の50階建て1,455戸のツインタワー棟「HARUMI FLAG SKY DUO」が竣工し、同日から引渡しを開始したと発表した。
「HARUMI FLAG」は、東京都が施行する晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業において、特定建築者が約13haの土地に5,632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設を合計で24棟建築するほか、保育施設、介護住宅などを整備するもの。
「HARUMI FLAG SKY DUO」は、開発の進む湾岸エリアの突端部、東京湾を挟んでレインボーブリッジに正対する立地に位置する、ランドマーク性やシンボリックな存在としての特性を備えている。
2つのタワーの48階にはそれぞれ「SKY LOUNGE URBAN」「SKY LOUNGE OCEAN」ラウンジを設置している。
街づくりの特徴は、免制震ハイブリッド工法と長期優良住宅認定、低炭素建築物認定、スケルトン・インフィルの採用など。専有部の平均面積は約74㎡、リビング・ダイニングの天井高は約2,600mm、廊下の有効幅は約1,000mm、サッシュ高は約2,100mmなど。


SUN VILLAGE48階BOOK CORNER

PARK VILLAGE48階SKY LOUNGE OCEAN

唯一無二 街の歴史・文化を継承 ポラスの最高傑作 蔵のある「ことのは 越ヶ谷」第2弾

分譲地街並み(左)と1号棟リビング
ポラスグループ中央住宅は9月18日、「ことのは 越ヶ谷~蔵のある街づくりプロジェクト~」の第2弾の分譲戸建て4棟のメディア向け見学会を行った。価格は8,000万円前後で、〝唯一無二〟の和テイスト・和モダンを演出したもので、隣には同社が耐震補強を施し、越谷市に寄付した江戸末期に建設されたという「蔵」が建っている。街づくり・和テイストで括ればポラスの最高傑作だと思う。
プロジェクトがスタートしたのは2013年。同社は蔵を含む土地・建物を地主から購入し、蔵は壊して全て分譲戸建てにかる予定だったが、「歴史的建造物の蔵を壊すのはあまりにも無神経。地域の方々と協議を重ね、蔵や古材、灯籠なども残してプロジェクトに賛同していただける人に分譲することに決めた」(品川典久社長=当時)。当初はコーポラティブ住宅として分譲する意向だったが、買い手が現れず、蔵は耐震補強を施し、曳家の手法で現在地に移し、第1弾として2017年に戸建て4戸を分譲した。
今回はその第2弾。分譲地の東側は幅員7.9mの旧日光街道に、北側は幅員6mの公道に接道。景観協定を締結し、1・2号棟と3・4号棟の間に設けた幅4m、長さ約20mの共有地(地役権設定)には、従前敷地内にあった敷石を再利用し、東屋風のスペースを設け、居住者同士のコミュニティの醸成を図っている。この他、各住戸には従前の古民家に使用されていた瓦、欄間、構造材、梁などをインテリアとして取り込んでいる。
物件は、東武スカイツリーライン越谷駅から徒歩6分、越谷市越ヶ谷3丁目の近隣商業地域に位置する全4戸。土地面積は109.77~151.90㎡、建物面積は99.77~145.94㎡、価格は7,780万~8,480万円。構造はツーバイフォー工法2階建て・3階建て。引き渡し予定は2025年11月中旬。
6月27日から広告を開始し、これまで37組の来場があり、うち市外居住者は18組。1棟は契約済み。街づくりや長期優良住宅認定が高い評価を受けているという。
1号棟は「坪庭のある家」、2号棟は「縁側のある家」、3号棟は「土間のある家」、4号棟は「掘り炬燵のある家」とし特徴を持たせるとともに、旧日光街道に面した3号棟と4号棟は3階建てにし、用途地域が近隣商業地域であることから、多目的に利用できるテラス・土間・フリースペースを1階の道路側に設けているのも特徴の一つ。
見学会で同社戸建分譲設計本部設計二部営業企画設計課課長・池ノ谷崇行氏は「2013年に用地を取得した段階では、敷地内にあった蔵は取り壊して全て分譲することにしていたが、地域文化の価値の創造を理念にのっとって保存することを決定した。蔵は2025年の登録有形文化財に登録される予定で、カフェなどのイベントや空き家相談にも当社も参加して運営していく」と語った。また、同課係長・玉越啓資氏は「当社グループは住まい価値創造企業として地域の価値を創造し、未来に継承することを主眼にしている。今回は宿場町として地域に残っていた和のテイストを取り入れ、和モダンで外も中もデザインした。屋根は瓦屋根とし、外壁もモルタル仕上げとし、古材を再利用して随所にちりばめた」と話した。

区画割

共有地

分譲地に隣接する油長内蔵

街並み

共有地

4号棟3階から共有地を望む

共有地デザイン

左から池ノ谷氏、玉越氏マインドスクェア事業部営業課主任・鈴木祐喜氏
◇ ◆ ◇
冒頭に〝唯一無二〟〝ポラスの最高傑作〟と書いたが、心底からそう思った。「ことのは 越ヶ谷」については、これまで5本の記事を書いているので、それらも参照していただきたい。最初に取材したときは10年以上も続くプロジェクトだとは全然思わなかった。注文住宅を含めれば年間3,000戸以上も戸建てを供給する同社が、その0.3%にしか過ぎない宅地にこれだけの時間とコスト(蔵の耐震補強、曳家などには相当のお金がかかっているはず)を掛けて地域に貢献しようという姿勢は賞賛に値する。
同業の記者の方は、近隣物件との価格の差や完売までのめどについて質問したが、記者は〝唯一無二〟物件とごくありふれた〝価格ありき〟の物件(多分5,000万円台中心)と比較などできないし、注文住宅ならいざ知らず、このようなコミュニティ形成をテーマにした、徹底した和モダンの住宅で、桁違いの価格の分譲住宅を購入しようとする人はそう多くはないはずで、完売までにはそれなりの時間がかかると思った。
しかし、モデルハウスには市外からも18組が来場しているように、自然素材をふんだんに採用した商品企画に惚れ込む人は必ずいると思った。蔵を日常的に使える価値は高く、地域の歴史・文化の価値を継承しようという同社の姿勢に共感する人も少なくないはずだ。
つい最近、自然素材をふんだんに採用した事例を取材した。コスモスイニシアの「イニシア京都御所南」だ。共用部は古材が再利用され、天然石や土壁、和紙クロスなどが至るところに採用されていた。モデルルームのリビングに小上がり障子が用いられているのにびっくりした。マンションのリビングに障子を用いた物件など見たことがない。しかし、これは京都だけでなく、外からの視線が気になるあらゆる地域のマンションにも戸建てにも採用できると思った。
そして今回。確か3号棟の「土間のある家」だったと思うが、2階リビング窓などの開口部機は全て障子が採用されていた。和風住宅に障子はつきものだが、ここまで徹底しているのに驚いた。床や壁、建具・家具など本物にこだわっているのは「京都御所南」と同じだった。
価格について。記者は現地に着いてすぐ値段は8,000万円くらいだろうと予想した。内装仕上げを見てむしろ割安だと思った。同社の分譲戸建てがよく売れる理由がよくわかる。これまでたくさん現場を取材してきたおかげだし、劣悪な物件をたくさん見学している検討者もまた学習しているのだと思う。

欄間(一部)

古代の梁を再利用した一例

3号棟(3階から)

メープル材の挽き板フローリング

旧日光街道に面した3・4号棟

3・4号棟外観
◇ ◆ ◇
取材とは関係ないが、越谷駅西口の「カフェOB」が最高に素晴らしい。コーヒーは1敗280円と安く、タバコも吸える(越谷駅周辺にはタバコが吸える飲食店はほとんどない)。そして何より素晴らしいのは、内装は全て本物の木が採用されていることだ。了解を得たので写真を紹介する。本物だからこそ経年の変化が楽しめる。記者はこれが美しいと思う。

カフェ OB

カフェ OBの床

カフェOBの内観
京都好きには堪らない 自然素材ふんだんに コスモスイニシア50周年「京都御所南」(2025/9/13)
ポラス 越谷市の中心市街地活性化に一役 築120年の古民家でイベント(2017/2/16)
ポラス「ことのは 越ケ谷」戸建て4棟も完成、分譲へ(2017/4/1)
ポラス 蔵のある街づくりプロジェクト「ことのは 越ヶ谷」蔵の補修が完了(2015/8/6)
ポラス 越ケ谷小3年生107人を対象に「蔵の曳家」体験イベント(2014/10/2)
RC造に匹敵する江戸の蔵残す ポラス「蔵のある街」プロジェクト(2014/3/15)
隈研吾氏とのコラボ「モクコンの家」第1号棟竣工 大成建設ハウジング

「ノキテラス」(山口県長門市)
大成建設ハウジングは9月18日、建築家の隈研吾氏とのコラボレーションによるデザインシリーズ「モクコンの家」、1棟目となるデザインモデル「ノキテラス」の竣工式を2025年9月16日(火)に行ったと発表。竣工式には、発注者のヤマネ鉄工建設・山根正寛代表取締役をはじめ関係者が参列し、「モクコンの家」が地域のシンボルとなり地域社会に良い影響を与えることを祈念した。
また、同日、新商品「モクコンの家CUSTOM」を発表した。従来の「モクコンの家」のコンセプトはそのままに、生活スタイルにあわせた間取り変更が可能。デザインの美しさはそのままに、暮らしに寄り添った間取りを提供する。
新商品「モクコンの家CUSTOM」のプロトタイプは、「ノキノテラス」が1階は81.10㎡(51坪)、2階が89.28㎡(27坪)で、合計170.38㎡(約52坪)。参考価格は11,200万円(税抜き)。「ハコノテラス」は1階が77.13㎡(23坪)、2階が65.77㎡(19坪)、3階が65.21㎡(19坪)で、合計214.67㎡(約65坪)。参考価格は13,900万円(税抜き)。

「ノキノテラス」

「ハコノテラス」
地役権設定しアプローチ空間に3つの庭 敷地延長の課題解消 ポラス「大宮公園」

「ブリスト大宮公園 共庭の景(ともにわのけい)」
ポラスグループの中央グリーン開発は9月17日、風致地区に位置する分譲戸建て「ブリスト大宮公園 共庭の景(ともにわのけい)」(全2棟)を開発したと発表した。双方の敷地に地役権を設定し、アプローチ空間を共用することで、小規模分譲住宅の敷地延長の課題を解消するのが狙い。
これまでの敷地延長を含む戸建て開発は、敷地延長部分は通路以外の用途に利用することが難しく、アプローチと車・庭の動線が重なり、プライバシーや安全の配慮に欠けることなどから、価格に差を設けるなどして対応せざるを得ない課題がある。
この課題を解消するため、今回は2号棟の敷地延長部分と1号棟の風致地区の壁面後退部分に地役権設定し、アプローチ空間を共有することで、日常的に顔を合わせやすい街区計画とした。駐車スペースとアプローチを分けて歩車分離を実現し、安全性を確保している。
また、地役権設定範囲を中心に、テラスやデッキ、家庭菜園スペースなどを設置し、プライベートな場所とつながりを育むことを自由に調整できる3つの庭を計画している。
1号棟は主寝室や水回りを1階にまとめ、1階で生活が完結できる住まいとし、2号棟は水回りを2階に集中させるとともに、”半外・半内”の空間を演出しているのが特徴。
物件は、東武アーバンパークライン大宮公園駅から徒歩10分、さいたま市大宮区寿能町2丁目に位置する全2棟。土地面積は196.32~199.93㎡、建物面積は107.44~118.00㎡、価格は8,180万円、8,480万円。


令和7年 都道府県地価 全用途とも4年連続で上昇
国土交通省は9月16日、「令和7年都道府県地価調査」結果をまとめ発表。全国の地価は、全用途平均・住宅地・商業地とも4年連続で上昇し、上昇幅が拡大するなど、景気が緩やかに回復している中、地域や用途により差があるものの、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇傾向が継続するなど、全体として上昇基調が続いているとしている。全国21,441地点を対象に令和7年7月1日時点の価格を調査したもの。
用途別・圏域別地価動向では、住宅地を圏域別にみると、東京圏の平均変動率は3.9%と5年連続で上昇し、大阪圏の平均変動率は2.2%と4年連続で上昇し、ともに上昇幅が拡大した一方で、名古屋圏の平均変動率は1.7%と5年連続で上昇したものの、上昇幅はやや縮小した。地方圏のうち、地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)の平均変動率は4.1%と、13年連続で上昇したが、上昇幅はやや縮小した。地方四市を除くその他の地域の平均変動率は0.0%と、平成8年から29年続いた下落から横ばいに転じた。
商業地を圏域別にみると、東京圏の平均変動率は8.7%と13年連続で上昇し、大阪圏の平均変動率は6.4%と4年連続で上昇し、ともに上昇幅が拡大した。名古屋圏の平均変動率は2.8%と5年連続で上昇したが、上昇幅はやや縮小した。地方圏のうち、地方四市の平均変動率は7.3%と13年連続で上昇したが、上昇幅はやや縮小した。地方四市を除くその他の地域の平均変動率は0.6%と3年連続で上昇し、上昇幅が拡大した。
工業地も、平均変動率は東京圏が6.7%、大阪圏が6.8%、地方四市が10.7%となるなど全体として上昇した。
地価動向の特徴として、住宅需要は引き続き堅調であり、地価上昇が継続している。特に東京圏や大阪圏の中心部において高い上昇を示している。リゾート地域などでは、別荘・コンドミニアムや移住者、従業員向けの住宅需要を背景に、引き続き高い上昇を示している。子育てしやすい環境が整備され、転入者が多い地域では、堅調な住宅需要に支えられ、引き続き高い上昇を示している。もっとも上昇率が高い都道府県は沖縄県(5.7%)、県庁所在都市では東京23区(8.3%)となっている。
商業地は、主要都市では、店舗・ホテルなどの需要が堅調であり、オフィスについても空室率の低下傾向や賃料の上昇傾向によって収益性が向上していることから、地価上昇が継続している。マンション需要との競合が見られる地域では、引き続き高い上昇を示している。特にインバウンドが増加した観光地等では、引き続き高い上昇を示している。再開発事業等が進展している地域では、利便性や賑わいの向上への期待感から、地価上昇が継続している。もっとも上昇率が高い都道府県は東京都(11.2%)、県庁所在都市では東京23区(13.2%)となっている。
工業地では、好調なeコマース市場による大型物流施設用地などに対する需要を背景として、高速道路等へのアクセスが良好で労働力も確保しやすい工業地では、引き続き高い上昇を示している。もっとも上昇率が高い都道府県は東京都(10.6%)であった。
その他、大手半導体メーカーの工場が進出した地域では、関連企業も含めた従業員向けの住宅需要のほか、関連企業の工場用地や事務所・ホテル・店舗の需要も旺盛となっており、引き続き住宅地、商業地、工業地ともに高い上昇を示している。
以下、変動率が高い住宅地と商業地、価格が高い住宅地と商業地、全国都道府県別の対前年比平均変動率を紹介する。変動率が0.0%以下の県は鹿児島、徳島、愛媛、高知、鳥取など九州、四国地方に多いのは集中郷など気候変動が影響しているのかどうかは不明。価格は坪価格に換算した。価格と容積率は不可分なので、記者は容積率100%、いわゆる1種当たりの価格で公表したら、結果は異なると思う。






