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天井高2.7m、樹脂サッシ高2.4mのポラス「ひととき 流山市松ヶ丘・南柏」

 いつもマンションや戸建ての窓などの開口部の仕様はチェックするが、前日(7月30日)は、住友不動産を中心とする「断熱・省エネリフォーム推進タスクフォース」を取材していることもあり、この日(7月31日)のポラス「ひととき 流山市松ヶ丘・南柏」の開口部に注目した。ざっと数えたら数は20か所くらいあり、ワイド・ハイサッシもかなりあった。これでZEH水準にするのは容易なことではないはずだ。 

 これからの分譲戸建てやマンションはZEH水準が当たり前になるし、このことに疑義を呈するわけではないが、ZEH水準とは断熱等性能等級5と一次エネルギー消費量等級6を同時に満たした住宅のことで、この尺度だけでは住宅の質が高いか低いかは測れないことに注目すべきだと思う。

 むしろ、ZEH水準にして住宅ローン控除や各種の補助金交付の対象とするため、他の快適性にとって重要なことがないがしろにされていないかがとても気になっている。

 極論すれば、建物の出隅・入隅をなくして総2階にすればコスト・工期を圧縮でき、耐震性・断熱性・気密性も高めることが可能だ。また、天井高を下げれば、サッシ高も下げられるし、窓面積も建基法ぎりぎりまで小さくすることもできるし、吹抜け空間はなくし、床暖房もなしにすれば数値はさらに上げられる。心当たりがあるデベロッパーはいるはずだ。

 この考え方は、中央住宅不動産ソリューション事業部不動産開発部企画設計課課長・村田嵩胤氏村田氏とも一致した。村田氏は「様々な仕様を引き算すればZEH水準は可能。当社は居住性・快適性を犠牲にするようなことはしない。足し算で居住性を高めることが重要」と語った。

 そこで、同社を含めたすべてのデベロッパーに提案だ。窓など採光・開口部はその個所や面積、延床面積に対する窓面積の割合を公開してはどうか。差別化につながるはずだ。また、居住面積だけでなく、天井高を計算した体積も公開すれば〝売り〟になる(緑被率も公表すべきだと思う)。

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1階主寝室の天井高2.4mで、サッシ高もほぼ同じ「ひととき 流山市松ヶ丘・南柏」

ライフサイクルに対応した1.5階プランポラス「流山市松ヶ丘・南柏」好調(2025/8/2)

業界の垣根超えた「断熱・省エネリフォーム推進TF」発足住友不など7社・団体(2025/7/30)

 

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「ひととき 流山市松ヶ丘・南柏」完成予想図

 ポラスグループの中央住宅は7月31日、 流山市の分譲戸建て「ひととき 流山市松ヶ丘・南柏」(全67戸)のメディア向けモデルハウス見学会を行った。一部住戸を「1.5階プラン」として1階にキッズルームやベッドルーム、二階にセカンドリビングや大きめのバルコニーを設置することによって、それぞれの空間を家族のライフスタイル・サイクル・ステージに合わせて使用できるようにしているのが特徴。

 物件は、JR常磐線南柏駅から徒歩10~12分、流山市松ヶ丘1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率           60%、容積率150%)に位置する全67戸。土地面積は135.01~137.92㎡、建物面積は90.66~123.21㎡、価格は5,490万~6,790万円。建物は在来工法2階建て。

 第1期(14戸)は2023年7月7日から販売開始し、全戸引き渡し済み。2期(17戸)は2024年11月29日に販売開始し、これまで6戸を引渡済み。4期(18戸)は2025年3月28日から販売を開始し、これまで7戸が契約済み。3期(18戸)は2026年9月に販売予定。

 見学会で、同社不動産ソリューション事業部不動産開発部企画設計課課長・村田嵩胤氏は「戸建て住宅を検討されるDINKS、ファミリー層の方は〝今住む〟住宅を求めており、先々のことは考えていない方が多い。供給サイドも同様に、購入者のライフサイクルを考慮した分譲戸建てを供給しない。『1.5階プラン』は、将来、親の介護が必要になった場合のことなど、それぞれのステージに対応する、従来の建売住宅の概念を変えたもの。私は現在38歳。父親は体重100キロ超の62歳。その父親が脊椎手術によって一時期全く動けなくなり、介護を考えたのが、今回の企画につながったきっかけ」などと語った。

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村田氏

◇        ◆     ◇

 企画意図はすぐ理解した。将来のライフスタイルの変化に対応した分譲戸建てや、可変性に富んだ間取り提案を行っているマンションを取材はしているが、多くはない。その意味で、1.5階プランは現在の分譲戸建て市場に一石を投じるものだと思う(車椅子利用になった場合などに備え、トイレの位置やスペースを変えられるようにすべきだとは思うが)。

 販売が好調に推移している要因として、市の松ヶ丘地区地区計画により宅地開発では最低敷地面積を135㎡以上と定めていることもあるが、隣接する「豊四季みどりの広場」の存在も大きいと思う。

 「豊四季みどりの広場」は、都市計画によって「南柏特別緑地保全地区・松ケ谷特別緑地保全地区」に定められている約0.8haの樹林地で、歴史的財産である「野馬土手」がそのまま残っている。

 取材後にこの樹林地内を歩いた。気温は30℃をいくらか超えたほどだろう。蚊に襲われたのには閉口したが、動植物の宝庫だ。村田氏が「広場を嫌がる人は当社の戸建てを見向きもしない」と語ったように、この種の樹林帯を嫌がる市民は少なくないだろうが、この自然の借景は何物にも代えがたい。

 どのような樹木が植わっており、小動物が生息しているのかなどを調べようと、柏市と流山市のホームページを見たが、ヒットしなかった。将来にわたって守るべき貴重な資源について、きちんと調査すべきだ。

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現地(手前の影は「豊四季みどりの広場」によるもの)

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「豊四季みどりの広場」

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「豊四季みどりの広場」

 

 

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「KÚON 箱根強羅」エントランス

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左から横瀬氏、坂本氏、渡部氏、永井氏(オープンハウスGINZA Ⅺラウンジ)

 オープンハウスグループは8月1日、同社初の直営ホテル「KÚON 箱根強羅」を2025年11月に開業すると発表した。従前ホテルをリノベーションしたもので、客室数は14室。「KÚON」には、古語「久遠」の永遠・普遍の意味が込められている。〝きのうより少し、大人の自分になれる場所〟をテーマに、〝お茶と和菓子で五感をひらく、唯一無二のデザイナーズホテル〟を目指す。このほか、来年の冬、群馬県みどり市で第2弾を開業(受託運営)する。

 初のホテル開発・運営に至った経緯・背景について、同社サステナビリティ推進部副部長・横瀬寛隆氏は、2025年3月期決算で売上高12,958億円にまで成長した同社の新たな収益源の確立とブランド価値の向上を目指すためと説明。今年5月に開業したNOT A HOTELとのシェア別荘型ホテルの共同開発によりノウハウを蓄積したと語った。

 横瀬氏は1987年生まれ。慶大大学院理工学研究科修了。在学中は隈研吾研究室で建築と都市計画を学ぶ。卒業後は大手設計事務所、外資系デベロッパーなどを経て、2018年現職。同社は「地域共創」も重要なテーマとして位置づけており、同社創業者で会長の荒井正昭氏の出身地である群馬県のみなかみ町などで取り組んでいる。横瀬氏は群馬県を中心とする地域共創事業の責任者も務める。

 運営を担当するのは昨年10月に設立されたオープンハウス・ホテルズ&リゾーツ。同社代表取締役・渡部達也氏は、星野リゾートでキャリアをスタートさせ、約10年間、運営の最前線からマネジメントまで担当した経験を生かし、「変わり続ける時代に変わらない価値を届けるため、おもてなしと運営手法にイノベーションを起こし続ける組織として、旅を通じて普遍的なおもてなしを届ける。『KÚON 箱根強羅』は、既存ストックの活用と工期短縮、建築コストの削減を実現した持続可能な開発プランである」と語った。

 〝お茶と和菓子で五感をひらく、唯一無二のデザイナーズホテル〟がコンセプトであることから、会見では和菓子作家「紫をん」代表・坂本志穂氏が和菓子のデモンストレーションを行い、内装・インテリア監修パートナーとしてプロジェクトに参加しているnegu.incの永井健太氏がエントランス、客室、レストラン、カフェラウンジなどを画像で説明した。

 施設は、東京駅から電車で1時間30分、都内から車で1時間30分、神奈川県足柄下郡箱根町強羅に位置する敷地面積約2,286㎡、地下1階地上2階建て延床面積約906㎡(このほか駐車場約198㎡)。2009年竣工のホテルをリノベーションしたもので全14室。客室面積は32㎡と42㎡の2タイプ。源泉かけ流し温泉付き(42㎡は露天風呂)。チェックイン・チェックアウトは13:00・10:00。宿泊料金は42,000円~/人。運営はオープンハウス・ホテルズ&リゾーツ。開業は2025年11月8日。8月1日から予約を開始した。

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「hinenos-ひねもす-」(左)と「nocturne」 

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坂本氏(左)と渡部氏

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 会見場では、坂本氏による創作和菓子「hinenos-ひねもす-」と錦玉製※「nocturne」に新茶と水出し玉露茶が供された。また、スーツ姿の横瀬氏以外はいかにも和菓子作家、デザイナーらしいファッション・いでたちに、がさつを地で行く記者は面食らった。えもいわれぬ味の創作和菓子と、茶碗ではないグラスによる玉露茶のおもてなしは、荒井会長や〝便利地、好立地〟の同社の戸建てやマンション、同社野球部の面々のイメージとは全然一致せず、むしろ真逆だった。(リゾート地としての「強羅」は〝便利地、好立地〟かも知れないが)

 このことを横瀬氏に尋ねたら、「確かに当社が分譲する駅近マンションや戸建てとは異なるかもしれない。ブランドイメージの底上げも狙いの一つ」と語った。

 なるほど。主なターゲットになるはずの、訪日外国人にとって同社のマンションや戸建てを知る人は皆無のはずだし、いまわが国の抹茶は世界的ブームだそうだ。追い風になるかもしれない。

※錦玉製(キンギョクセイ) 寒天と砂糖を煮詰め、冷やし固めたもの。読み間違えないよう注意が必要

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会見場(オープンハウスGINZA Ⅺラウンジ)

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お茶と和菓子のデモンストレーション(観葉植物は左は茶の木、右はホウライショウ(蓬莱蕉・モンステラ)

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イメージ(以下、同じ)

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「有力新人が入った。来年は優勝だ」オープンハウス光永監督吠える(2021/7/23)

 

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「断熱・省エネリフォーム推進タスクフォース」発足式(新宿ベルサールグラント)

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キー・ビジュアルスローガン

 住友不動産を代表事業者とする三協立山、JBN・全国工務店協会、一般社団法人住宅開口部グリーン化推進協議会(AGW)、住友不動産ハウジング、LIXIL、YKK APの7社・団体は7月30日、既存住宅の断熱・省エネリフォームの認知・普及拡大を目指す「断熱・省エネリフォーム推進タスクフォース」(TF)を発足させたと発表。発足式には80人を超えるメディアが駆けつけた。

 TFを設立した背景には、2050年のカーボンニュートラル(CN)達成及び2030年度削減目標の実現に向け、家庭部門のCO2排出量削減には既存住宅の断熱・省エネリフォームの普及拡大が喫緊の課題だが、消費者への情報発信や普及が不足しており、認知度が高くない実情がある。

 この課題を解決するためには、既存の枠組みを超えた統合的なアプローチが必要との共通認識のもと設立された。環境省が推進する「デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしをつくる国民運動)」の一環として、7社・団体がが結集し、連携強化と普及促進を目指す。

 今後の活動として、①認知拡大分科会、営業力強化分科会、技術力強化分科会の分科会立ち上げ②断熱・省エネリフォームの認知度の向上を目的に、省庁・地方自治体と連携し、普及啓発に関する発信やイベントを開催(初年度)する。キャッチフレーズは「家族の幸せ まずは断熱」、キャラクターは「あったかいねぇこ」と「すずしいにゃ~こ」。

 代表事業者の住友不動産常務執行役員・岡田時之氏は、「わが国の住宅ストック約5,400万戸のうち8割超は現行の省エネ基準を満たしていない。要因はメソッドが知られていないことにある。この課題を解決するため、業界の垣根を超え、断熱・省エネリフォームの認知度向上と普及を目指し、持続可能な社会の実現にも貢献していく」と述べた、

 来賓として登壇した環境省地球環境局地球温暖化対策課長・杉井威夫氏は、既存住宅の断熱化・省エネ化の必要性などについて説明し、熱の流入・流失の大半は窓などの開口部にあることから、「コストの問題もあるが、そのメリットを消費者に伝えようとする皆さんの取り組みを精いっぱい応援していく」と語った。以下、発足式に臨んだ各氏のコメント。

三協立山執行役員・奥谷和正氏 2100年には猛暑・酷暑は40℃台になり、激暑・極暑に変わってくるだろう。これほどまでに環境が変わってきているのに建物に関しては旧態依然の仕様が残っている。気候変動に生活空間は付いていけていないのが現状

住友不動産ハウジング常務執行役員・徳田修氏 当社は、「新築そっくりさん」事業と、注文住宅事業を統合し新会社として今年4月1日付で発足した。30年の実績があるが、個社で情報を発信するのには限界がある。今後は、業界横断で全国規模で普及拡大に努めていく

LIXIL執行役専務・吉田聡氏 熱中症の発生は室内で起きるケースも多い。窓・ドアなどの開口部のリフォームをされた方はやってよかったという声が多いが、残念ながら窓そのものがリフォームできることをご存じない方が多い。TFを通じて普及拡大していく

YKK AP専務執行役員・中村力氏 私どものパーパスは「Architectural Productsで社会を幸せにする会社。」です。断熱性能はお客様にとって見えないもので、この価値をいかにわかりやすく伝えていくのかが大きなテーマ

JBN・全国工務店協会副会長・久原英司氏 当協会は全国約3,000社の工務店から構成される業界団体。施工技術の向上を図っている。リフォームは大多数が地域の工務店が担っている。TFの活動を通じて信頼性を高めていく

住宅開口部グリーン推進協議会事務局長・山岸史成氏 当協議会は全国800社からなる、住宅の開口部、窓に特化した流通店主体の団体。各社が連携し窓のリフォーム、断熱・省エネは当たり前の世界になるよう取り組んでいく

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発足式会場

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岡田氏

◇        ◆     ◇

 7つもの企業・団体が結集したからだとは思うが、発足式に80人超のメディアが駆けつけたのにびっくりした。主導したと思われる住友不動産のイベント動員力が図抜けているのはわかっている。最近の例では、一昨年10月に「新宿住友ビル」で開催したスタートアップ企業と同社テナントや取引先の大企業をマッチングさせるイベント「住友不動産ベンチャーサミット」では約2,100人を集めた。おそらく、どこを掘れば泉が湧き出るか知っているのだろう。

 とはいえ、今回のテーマである「断熱・省エネリフォーム」は、〝喫緊の課題〟〝極めて重要〟であるにも関わらず、リリースにもあるよう「消費者ヘの情報発信や普及が不足しており、認知度が高くないのが実情」だ。発足会に参加するメディアはせいぜい30~40人くらいだろうと記者は踏んでいた。

 ところが、会場に着いたら、用意されていた椅子はほとんど満席で、ざっと見渡したところ100人くらいいた。

 この80人超がどれほどすごい数字か。昨年7月、三井不動産レジデンシャルのシニアサービスレジデンス「パークウェルステイト(PWS)」のCM発表会で、吉永小百合さんがトークイベントで話されたのだが、確か100人くらいのメディアが押しかけていた。今回はそれより若干少ないが、テーマを考えたら信じられない数字だ。

 ただ、一つだけ理解に苦しむことがあった。今回の発足会で主催者は、発足会前・後に断熱・省エネリフォーム効果を体験できるYKK APとLIXILのショールーム見学を用意したのだが、実際に体験したのはYKK APは小生を含めて2人のみ(午前)、LIXILは10数人(午後)に留まった。断熱性能は、いくらUa値や光熱費削減効果の額を示されても、実際に体験してみないとその〝価値〟はまず理解できないと思うが…。

 斯くいう記者はどうかといえば、断熱性=快適性については20年以上前から精力的に取材してきた。外断熱マンションや長期優良住宅、CASBEE(都のマンション環境性能表示制度)、ZEHなどだ。「シェルゼ」や三菱地所ホームの全館空調「エアロテック」は一泊もさせてもらった。零下30度のモンゴルのホテルの館内はシャツ1枚で過ごせる。壁厚は50cmくらいあったのではないか。

◇        ◆     ◇

 これまで単板ガラスと樹脂サッシとの差が分かる簡便な装置はたくさん体験してきたが、YKK APとLIXILのショールームは初めてだった。ここでは詳細を紹介する余裕はないが、双方とも素晴らしい。とても参考になった。

 品川インターシティ内にあるYKK APの体感ショールームはプロユーザー向けで、一般には公開されていないが(新宿には一般向けがあり)、この日は特別に見学させてもらった。単板ガラスと樹脂サッシ、断熱等級の違いによって室内温度がどれほど変わるか詳細な数値も表示される。リフォーム用の新商品も展示されている。

 新宿ベルサールグラント内にあるLIXILのショールームは予約制だが、一般にも公開されており、〝昔の家〟〝今の家〟〝これからの家〟の断熱性能の違いが分かる。家族連れにお勧めだ。子どもも大喜びするはずだ。伊香賀俊治・慶大教授の調査研究の一部も紹介されている。

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YKK APの体感ショールーム(断熱性能の違いがとてもよくわかる)

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YKK APの体感ショールーム(サッシなどの違いによる室内温度の差異が一目瞭然)

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YKK APの体感ショールーム(リフォーム用新商品)

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LIXILのショールーム(外気温0℃に設定した施設をコートを羽織って見学する記者団)

「私もいつか住みたい」吉永小百合さん三井不レジシニア向け「PWS」CM発表会(2024/7/31)

吉永小百合さん「あなたはいつだって、今がいちばん好き」に胸キュン(2024/7/29)

建て替えより改修のほうがライフサイクル脱炭素に有効 住友不・東大・武蔵野大(2023/6/20)

スタートアップと大企業を結ぶイベントに2,100名 「住友不動産ベンチャーサミット」(2023/10/25)

効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30)

億ション住人を実感 明豊「シェルゼ」体験宿泊(2006/6/19)

人気必至 明豊の外断熱「シェルゼ木場公園」(2006/10/3)

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「ブランズシティ品川ルネ キャナル」(左)と「ブランズシティ品川テラス」

 総合地所、東急不動産、よみうりランド、長谷工コーポレーションは7月29日、東京海洋大学の敷地内にある期間70年の定期借地権付き「ブランズシティ品川テラス」と、その対面に位置する報知新聞本社跡地の所有権付き「ブランズシティ品川ルネ キャナル」の共同マンションギャラリーを設け、販売面で連携すると発表した。双方で449戸の大規模ツインマンション。

 「ブランズシティ品川テラス」は、東京モノレール天王洲アイル駅から徒歩6分・JR品川駅から徒歩13分、港区港南四丁目に位置する敷地面積約4,000㎡の期間70年の定期借地権付き、14階建て全216 戸。専有面積は61.67~80.57㎡、価格は未定。竣工予定は2026年11月。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト、東急リバブル。販売開始は9月上旬の予定。

 外観デザインテーマは「VOYAGE」で、2層吹き抜けのエントランスホール、吹き抜け空間上部には「水の流れや海面のウェーブ」をイメージしたフリンジアートを吊り、間接照明によって柔らかく室内空間を包み込む演出を施している。屋上緑化やZEH Oriented・低炭素建築物認定取得、太陽光パネル、ラウンジ、ワークスペース、冷凍冷蔵宅配ボックス、長谷工グループの可動収納ユニット「ウゴクロ」や「家事ラク動線」を導入している。

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ラウンジ

 「ブランズシティ品川ルネキャナル」は、東京モノレール天王洲アイル駅から徒歩6分、JR品川駅から徒歩14分、港区港南四丁目に位置する敷地面積約4,103㎡の19階建て全233戸。現在先着順で分譲中の住戸(4戸)の専有面積は56.33~61.85㎡、価格は12,900万~13,390万円。竣工予定は2026年10月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。

 ZEH-M Oriented、ABINC認証を取得。開放的な運河沿いに面した立地を活かし、1LDK+S〜4LDKまで多様な間取りを用意。多目的ラウンジ・ワークラウンジ・ランドリーカフェ、鳥の巣箱やバードバス、エコスタックを設置。「ウゴクロ」や無勾配排水工法「サイホン排水システム」、「フラットスラブ二重床」を採用。災害対策として雨水を貯水し、日常の植栽への水やりに利用しながら、非常時の飲料水を確保する「スマート・ウォーター・タンク」、非常用飲料水生成装置「WELLUP」を用意。災害による断水時には居住者の飲料水約6日間分(一人1日当たり約3L)を供給できる。

Screenshot 2025-07-29 at 17-37-07 ブランズシティ品川テラス 案内開始.pdf.png
イメージ図

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 現地は、マンションの取材で何度も通ったところだ。リリースには、「品川テラス」は東京海洋大学の敷地内にあるというので定期借地権付きで、「品川ルネ」は報知新聞の本社跡地にあるので「よみうりランド」が売主に入っているのに納得した。〝ルネ〟が前者には付いていないのは事業比率が異なるからか。

 定借と所有権付きのツインマンションはおそらく業界初で、検討者はどちらを選択するか、とても興味深い。敷地は別々だから管理組合も別々のはずで、それぞれの共用施設は双方がつかえるのかどうか。

 リリースを読んだ限りでは、設備仕様レベルが高く、価格は割安感がありそうだ。

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「175 Liverpool Street (リバープール ストリート)」(提供:Bates Smart)

 三菱地所は7月29日、オーストラリア・シドニーで住宅中心の複合開発2案件「One Darling Point (ワン ダーリン ポイント)」と「175 Liverpool Street (リバープール ストリート)」を始動すると発表した。いずれも豪州大手不動産デベロッパーであるLendleaseとの共同事業で、同社との第4 弾・第5弾案件。合計の総売上高は約3,000億円の見込み。

 「One Darling Point」(住戸数59戸、2028年竣工予定、総売上約5億豪ドル)は、アフォーダブル住宅を含む計画でSSDA許認可※(総合設計)を取得した複合開発で、古くからの高級住宅街で歴史的建造物を活用したシドニー東部でのプロジェクト、シドニー湾、ハーバーブリッジ、オペラハウスを臨む希少立地での開発なのが特徴。

 「175 Liverpool Street」(総戸数最大300戸、2031年竣工予定、総売上約25億豪ドル)は、既存のオフィスビルを高層住宅2棟へ建て替える再開発計画、オペラハウスに加え、豪州最古の公園「Hyde Park」を臨むシドニーCBDのプライム立地なのが特徴。

 同社は、2016年に大型タワーマンション「Melbourne Quarter East Tower」参画を皮切りにオーストラリアに進出、2021年に支店を設立。以降、住宅事業、オフィス、ホテル、物流施設など幅広く開発事業を推進している。累計投資額は約20億豪ドル(約1,860億円, 1AUD=93円換算)。今回のプロジェクトは、シドニーラグジュアリー住宅セクターでは「One Sydney Harbour Residences One」、「One Sydney Harbour Residences Two」、「One Circular Quay」に次ぐもの。

※SSDA(State Significant Development Approval)ニューサウスウェールズ州が定める不動産開発許認可制度。ニューサウスウェールズ州の住宅供給不足の解消を企図し、一定の給与所得の賃借人が入居可能なアフォーダブル住宅を一定の割合以上開発に含めることで、容積率や高さ制限等の緩和を認めるもの。

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「One Darling Point (ワン ダーリン ポイント)」(提供:Lendlease)

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 オーストラリアでの約3,000億円の開発規模がどのようなものかよくわからないのだが、今期(2026年3月期)の住宅事業の売上高予想が4,500億円だから、凄い数字だ。三井不動産の米国・マンハッタンでの「55ハドソンヤード」と「50ハドソンヤード」の総事業費は6,000億円なのでその半額。

 記者は、SSDAに注目している。欧米では年収が低い世帯向けの住宅を供給するのは義務付けられており、制度として当たり前になっているようだ。しかし、わが国ではそのような制度はない。

 似たものとして、住宅セーフティネット制度があるが、摂南大学現代社会学部 特任教授(神戸大学名誉教授)・平山洋介氏が指摘するように、ピースミール・アプローチ=対症療法的な手法では住宅困窮者は救われないような気がする。「付置住宅」制度は機能しているのか。

隈研吾氏+高田浩一氏「夢の匠の共演・結集」豪州社と地所レジシドニーで372戸分譲(2019/3/11)

セーフティネット登録住宅90万戸の96%は1社に集中氷解した疑念と深まった謎(2024/3/28)


 

 

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「さゆりキャリアカレッジ」(コスモスイニシアらしいジェンダーフリーを考えるプロジェクト)

 コスモスイニシアは7月28日、昨年度から実施している、女性の積極的なキャリア形成支援を目的とした社内講座「さゆりキャリアカレッジ」(コスモスイニシアらしいジェンダーフリーを考えるプロジェクト)を2025年度も始動したと発表した。

 プロジェクトは、約60名のマネージャー職およびリーダー職の女性従業員を対象に2024年10月に開講。同社取締役専務執行役員・岡村さゆり氏によるキックオフスピーチに始まり、全6回のプログラムを実施。取引先企業にも声掛けして実施した三井住友信託銀行とのイベントには7社89名が参加。「コスモスイニシアの管理職と非管理職を選択できる制度があることに驚きました」「ざっくばらんな雰囲気で率先して拍手をしたり反応したりして、皆さんで一体となって盛り上げているのが印象的でした」「企業の壁を超えて一人の働く女性として、ディスカッションすることができ、元気と刺激をもらいました」「社外の方と初対面でここまで親密にできる機会はない」「当社のキャリアが選択できる制度は世の中の当たり前ではないことを知った」などの声が集まった。

 今年度は、Season2と位置づけ、7月から2026年2月の間に特別企画1回を含む全6回のプログラムを実施する予定。より若年従業員を対象とし、職群に関わらず希望に応じて参加可能とした。

 「さゆりキャリアカレッジ」の名前の由来は、同社取締役専務執行役員・岡村さゆり氏の名前を冠したもの。創業時から役職関係なく、名前で呼び合う文化を象徴するような講座名にしたいというスタッフの願いが込められている。

 岡村氏は、1987年4月、リクルートコスモス(当社)入社。新宿支社・東京支社の営業部業務課で契約業務、顧客対応などを担当。1994年東京支社営業部業務課課長、2002年東京支社業務統括部次長、2008年事業統括グループ統括部部長、2014年執行役員経営企画室長、2019年4月取締役専務執行役員(現任)、2021年経営管理本部本部長(現任)に就任。

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岡村氏

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 もう70年近くも昔の話だ。時期になると、里山に咲き乱れる「ヤマユリ」を何本も摘んでは長い道のりを小脇に抱え、家に持ち帰り花瓶に生けていた。誰からも頼まれたのではない。最高に美しいと思ったからだ。

 ちょうどそのころ、唯一の愛読書「少年画報」(このほか、家には書籍は「家の光」しかなかった)で「赤胴鈴之助」の連載が始まり、ラジオでも放送が始まった。吉永小百合さんが子役で出演されていたのはずっと後に知ったのだが、「さゆり」と聞けば、ヤマユリ(今はカサブランカ)であり、吉永小百合さんしかない。

 リリースを読んだこの日の夕方も、三井不動産レジデンシャル「パークウェルステイト」テレビCMで流されている吉永さんの「あなたはいつだって、今がいちばん好き」の意味を喫茶店で考えていた。

 この台詞(コピー)は吉永さんだからこそ好意的に受け取られる。奥さんからこの台詞を聞かされたら、小生も含め世の男性の7~8割は心臓が凍りつき、そのままあの世行きになる人もいるのではないかと結論づけた。

 なので、岡村さん、申し訳ない。最初に名刺交換させていただいたのは10年も昔だと思う。その後、何度もお会いしているが、岡村さん=「さゆり」さんを結びつけることはできなかった。

 しかし、これまで取材してきた数えきれないデベロッパー・ハウスメーカーの中で、ジェンダーフリーを実践している最右翼の会社はコスモスイニシアだと思う。岡村さんだけではない。二言三言、言葉を交わすと、男であろうと女であろうと関係ないことが理解できる。稀有なデベロッパーだ。環境開発時代から同社のマンションを見学しているので、これは断言できる。

 同社にお願いだ。プログラムの一部でいいから取材をお願いしたい。ジェンダーフリーを標榜するのだから、男性の小生(誰も男だと思わないかも)の取材を拒否する理由はないはずだ。

 明日は、一部の〝選民〟を対象にしたマンション見学会が行われる。もちろん小生は対象外だ。

「私もいつか住みたい」吉永小百合さん三井不レジシニア向け「PWS」CM発表会(2024/7/31)


 

 

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「YURAKUCHO PARK」完成予想図(パースは景観協議中につき変更になる場合あり) 

 三菱地所は7月28日、東京・有楽「YURAKUCHO PARK」町駅前の解体工事中の「有楽町ビル」「新有楽町ビル」跡地(約1万㎡)に「YURAKUCHO PARK」を2026年度後半に開設すると発表した。

 「JAPA VALLEY TOKYO」を共同で開催するもので、世界的クリエイターであるファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)とNIGO®が手掛ける初のアート・商業・ホスピタリティ複合空間で、シンボルアートに現代アートの第一人者であるKAWSの作品を採用するなど、有楽町の都市空間を国際的な日本カルチャー発信の舞台へ変えていく。

 同社は、丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)の開発・再開発を継続的に手掛けており、1998年に丸の内エリアの価値創造に向けた取り組み「丸の内再構築」を公表してから、おおよそ10年毎に「第1ステージ」「第2ステージ」「NEXTステージ」と区切ってまちづくりを推進しており、現在は「NEXT ステージ」として主に常盤橋・有楽町において、地域連携やアーティストとの共創など、多彩な人が集う多様性あふれるまちづくりを推進している。

 「YURAKUCHO PARK」は、建物解体後すぐに新たな建物を建てるのではなく、次のまちづくりへとつながる準備期間に「まちの進化を体験できる空間」として開設するもの。同社は同様の期間限定の施設CLT PARK HARUMI」を2019年に開設したことがある。

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「YURAKUCHO PARK」完成予想図(パースは景観協議中につき変更になる場合あり)

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「YURAKUCHO PARK」完成予想図(パースは景観協議中につき変更になる場合あり)

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「YURAKUCHO PARK」完成予想図(パースは景観協議中につき変更になる場合あり)

容姿端麗・眉目秀麗 三菱地所×隈研吾 「CLT PARK HARUMI」14日運用開始(2019/12/5)

 

 

 

 

 

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第53回「名橋『日本橋』橋洗い」

 「名橋『日本橋』保存会」は7月27日、第53回「名橋『日本橋』橋洗い」を開催。日本橋地区の町内会や三井不動産を中心とする地元企業・テナントなどから約1,800人が参加した。イベントには消防署から散水車・はしご車も出動し、子どもたちは〝パンツの代えないからね〟と叫ぶ親の声など無視し、全身ずぶぬれになって楽しんだ。猛暑・酷暑の中、一帯にしばし涼しい風が吹いた。

 「名橋『日本橋』橋洗い」は、日本橋の美化保存を目的に年に一度、子どもから大人まで、日本橋地区の町内会や地元企業など「日本橋」を愛する多くの地元関係者が参加するイベント。オープニングセレモニーでは、日本各地の名水を「日本国道路元標」に注ぐ「名水 水あわせ」が行われ、環境に優しい洗剤を使用し日本橋を手作業で洗いあげた。仕上げに東京国道事務所の散水車や消防車により、1年の汚れを落とした。

 イベントの冒頭、名橋「日本橋」保存会会長・中村胤夫氏は「東京オリンピックの開催にあわせ川を見上げるように建設された首都高は、あと15年すると地下化され、この橋もなくなる。青空が戻ってくる。待ち遠しい限り。伝統を未来につなぐ日本橋になってくれることを願っている。散水車も来てくれる。皆さん、がんばりましょう」と声を掛けた。

 このほか、来賓として中央区長・山本泰人氏、中央区議会議長・原田賢一氏、東京国道事務所長・本田卓氏、中央警察署長・中島勝仁氏、日本橋消防署長・石澤幸洋氏、衆議院議員・辻清人氏、参議院議員・片山さつき氏、前東京都議会議員・石島秀起氏、首都高速道路 更新・建設局長・高野正克氏があいさつした。

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〝パパ、心も洗ったほうがいいよ〟

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◇        ◆     ◇

 初めて取材した。これほど大掛かりなイベントだとは全然思わなかった。それぞれおそろいの法被姿で、手には橋を洗うためのブラシを、足は濡れてもいいグッズ・草履履きないでたちで橋洗いにいそしんでいた。

 色とりどりの法被は、デベロッパーの三井不動産、野村不動産、東京建物、大栄不動産(三菱地所はなかった)、日本橋のたもとに本社ビルを建設中の野村ホールディングスに三越伊勢丹、文明堂、千疋屋、山本山、みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、清水建設、鹿島建設、TORAY、マンダリンホテル…さすが日本橋だ。

 イベント冒頭のあいさつは、中村氏だけは何とか聞き取れたが、約30分続いたそのほかの方の声は首都高の騒音と参加者の歓声にかき消され、全く聞き取れなかったのだが、さすが選挙演説で鍛えたのか、片山さつき氏の大きな〝足を洗います〟との声が聞こえてきた。しめたと思った。ごたごたに嫌気がさしたか。大スクープだ。しかし、そうではなかった。周囲の方に聞いたら、「足」ではなく「橋」を洗うとのことだった。

 三井不動産社長・植田俊氏も準備万端。法被に短パン、運動靴の作業スタイルで元気な姿を見せていた。「(社長、毎回参加しているんですか)もちろん、10年以上、いや、20年近くかもしれない」とのことだった。

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三井不動産・植田社長

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中央が片山さつき議員(足を洗う気はないのかハイヒールだった)

◇        ◆     ◇

 国土交通省に「東京都心における首都高速道路のあり方委員会」が設立された2002年前後の頃だ。記者は当時、三井不動産社長・岩沙弘道氏が「わたしが生きている間に日本橋川が再生されるのを見たい」と語ったのを覚えている。その時は、とても無理だろうと思った。岩沙氏が長生きしても日本橋川が再生されることなどありえない、絵空事だと。

 ところが、岩沙氏の想いは、次期社長・菰田正信氏に引き継がれた。同社が〝残しながら、蘇らせながら、創っていく〟というキャッチフレーズを掲げ、日本橋再生計画を本格化させたのは菰田氏が社長に就任した平成23年(2011年)ころからではなかったか。

 そして、平成28年(2016年)、国家戦略特区都市再生プロジェクトとして首都高の地下化のフ具体化の検討が始まり、平成31年(2019年)、都市計画変更素案が示され、同年、神田橋JCT~江戸橋JCT間を地下ルートで整備することが決定された。高架橋の撤去工事の完了は2040年度の予定。

 今から15年後の2040年といえば、岩沙氏は98歳、菰田氏は86歳、植田氏は79歳だ。それぞれ白寿(99歳)、米寿(88歳)、傘寿(80歳)を迎えるころだ。3人揃って再生が実現した日本橋川を見たとき、なにを話すかとても興味がある。記者が生きているなら91歳だ。インタビューしたいものだとは思うが…アユやヤマメは無理としてもフナやコイが泳ぎ、セーヌ川がそうなったように水泳・水遊びができ、両岸には四季の草花が咲き誇り、トンボや蝶、ツバメにウグイスなどが飛来する姿を見られるようになってほしい。

 若い記者の皆さん、この日本橋川の再生を過去にさかのぼってぜひ取材していただきたい。ベストセラーになるのは間違いない。

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アールの形状が美しい建築中の野村グループ本社ビル(事業全体は「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」、施工は清水建設)

三井不動産 ビルも賃貸も億ション並み「和」盛り込んだ「日本橋再生」(2014/1/29)

これでいいのか 川に背を向ける日本橋の街(2008/5/19)


 

 

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「へーベルメゾンBORIKIえほん箱パーティー2025」(横浜市役所アトリウム) 

 旭化成不動産レジデンスは725日、横浜市役所アトリウムで行われた「へーベルメゾンBORIKIえほん箱パーティー2025」のトークイベントをメディアに公開。宇宙航空研究開発機構(JAXA)名誉教授、はまぎんこども宇宙科学館館長の的川泰宣氏と、同社ヘーベルメゾンBORIKI担当の楯智也子氏が「絵本からはじまる宇宙とゆめのはなし」をテーマに語り合うもので、定員いっぱいの約300人の〝本好き〟の親子連れでにぎわった。〝おとな子ども〟を自認する記者は〝母力〟に圧倒され、右往左往するばかりだった。

 イベントは、地域貢献活動の一つとしてお母さん業界新聞社との共催で開催したもので、昨年の1月に続き今回が2回目。同社が管理する子育てファミリーを笑顔にする賃貸住宅「へーベルメゾンBORIKI」の絵本巡回サービス「BORIKIえほん箱」の絵本を市民にも楽しんでもらうのが目的。横浜市こども青少年局が後援し、出版社74社などが協力している。25日(金)と26日(土)のそれぞれ午前の部、午後の部に分かれた4部構成。各部の定員は300名で、参加費は無料。会場には「BORIKIえほん箱」の350冊が展示され、その場で読むことも購入することも可能。

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展示されている「BORIKIえほん箱」の一部

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的川氏(左)と楯氏

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〝パパ、ママ、ボクモ キット ホンスキニナルヨ〟

        ◆     ◇

 賃貸住宅「へーベルメゾンBORIKI」は、2012年に完成した第一号「へーベルメゾン母力むさしの」を取材しており、そのとき「『母力(BORIKI)』の字と発音から、記者はゴーリキーの名著『母』と山登りのおじさん『強力』を思い浮かべたのだが、『母力』はそのイメージはともかく、子育て真っ最中のお母さんたちの強い意志が『母力』と言う言葉に込められていることを実感した」と書いたように、強烈な印象を受けたことが今も残っている。業界関係者も衝撃を受けたようで、記事には約5,500件のアクセスがあった。

 そして今回。的川氏が冒頭、金子みすゞの詩を朗読したのにはドキリとした。記者などは詩人としての金子ではなく、酒癖・女癖の悪い夫から淋病をうつされ、26歳の若さで自死した薄幸の人生が先に頭をよぎるからだ。自分は酒癖・女癖もない(はず)が、〝だめ親父〟であることに変わりはなく、金子の名を聞くと責められているような感覚に陥る。

 金子は山口県出身で、的川氏は広島県出身とのことで引き合いに出されたのに納得したのだが、そもそもの取材の目的は「BORIKIえほん箱パーティー2025」がどのようなものかを見るためだったので、周りの記者の方たち(10人くらいか)が行儀よく椅子に腰かけ、メモを取っているのに失礼だとは思ったが、落ち着きのなさは大人になっても全然改善されない〝おとな子ども〟の記者はあちこち動き回った。

その甲斐はあった。記者席から手が届く「BORIKIえほん箱」のうち10冊くらい手に取り、パラパラとだが読んだ。デザインがみんな素晴らしいと思った。詩:内田 麟太郎・絵:高畠純・出版社:アリス館「うし」がその代表だ。

参加者の横浜市在住の30代のご夫婦にも話を聞いた。今年1月に市内の中古戸建てを買ったばかりで、お子さんは生後3か月の男の子。「毎日、数分ですが読み聞かせしています」とのことだった。

BORIKIえほん箱」の選書には何か基準があるのではないかと、お母さん業界新聞社大阪代表でお母さん大学大阪支局お母さん大学えほん箱プロジェクトリーダーの肩書を持つ宇賀佐智子さんに聞いた。当たらずとも遠からず。宇賀さんは「絵本は旭化成ホームズグループの7,100人から寄付されたリユースの約700冊のうち、汚れが目立つものや重複しているものを除いた約400冊を『BORIKIえほん箱』として登録しています。みんな知ってる『ぐりとぐら』などベストセラー本は外しています。書店も知らない本も少なくありません。74社の出版社ともつながっており、『BORIKIえほん箱』に選ばれるのは光栄という声も頂いています」と話した。

これで合点した。イベント参加者はみんな本好きで、絵本はみんな〝無印良書〟だということだ。

「失われた30年」と同じ長期不況が続く出版業界も「BORIKIえほん箱」に学んだ方がいい。先に発表された173回芥川賞と直木賞は双方とも27年ぶりの該当作なしとなったが、当然のような気がする。名前は出さないが、最近はひどい作品が多すぎる。記者が好きな作家・丸山健二氏(丸山文学にはまると中毒になる。他の小説が馬鹿馬鹿しくなる)に言わせると「大量生産による大量販売という出版界の潮流が主流と固定化され、それ以外は排除され、『悪貨は良貨を駆逐する』のたとえ通り、悪書が良書を駆逐する羽目になり、そんなお粗末な商法が蔓延り過ぎて罰が当たり、ついには悪書でさえ見向きもされなくなった」(いぬわし書房)ということだ。

最後に、記者が最近読んだ本の中からお勧めの3冊を以下に紹介する。

・梯久美子「狂うひと『死の棘』の妻・島尾ミホ」(新潮文庫) 本人へのインタビュー、現地取材のほか、膨大な資料を丹念に調べ上げて書かれたノンフィクション小説の傑作だ

・西永良成訳 ミラン クンデラ「冗談」(岩波文庫) 「存在の耐えられない軽さ」よりこちらのほうがいいと思う。「冗談」が人生を破滅に追いやる悲喜劇のドラマ。わが国の社会でもありそう

・工藤幸雄訳 リシャルド カプシチンスキ「帝国 ロシア・辺境への旅」(新潮社) ロシア「帝国」は永遠に不滅なのか。ロシアがどうしてウクライナに侵攻したか、停戦は容易でないことが分かる

旭化成ホームズ 子育て向け賃貸住宅「母力」 50冊の絵本 無償提供PJ開始(2020/12/17

あれから6 「BORIKI(母力)」じわり浸透 旭化成ホームズ「母力おぎくぼ」見学会(2018/8/22

オーナー&入居者の双方のニーズ満たす 旭化成ホームズが賃貸住宅見学会(2014/12/22

旭化成ホームズ 「へーベルメゾン母力むさしの」完成(2012/9/24

 

 

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