RBA OFFICIAL
 

 国土交通省は3月31日、令和7年2月の住宅着工統計をまとめ発表。総戸数は前年同月比2.4%増の60,583戸となり、10か月ぶりの増加となった。内訳は持家16,272 戸(前年同月比0.2%減)で2か月連続の減少、貸家25,744戸(同3.2%増)で先月の減少から再びの増加、分譲住宅18,213戸(同5.1%増)で10か月ぶりの増加。分譲住宅の内訳はマンション8,422戸(同12.5%増、2か月連続の増加)、一戸建住宅9,628戸(同0.8%減、28か月連続の減少)。

 首都圏マンションは3,995戸(同4.2%減)で、都県別は東京都2,413戸(同8.5%増)、神奈川県552戸(同37.6%増)、埼玉県717戸(同17.4%減)、千葉県313戸(同63.0%増)。一戸建て住宅は4,282戸(1.3%減)で、都県別は東京都1,401戸(同1.1%減)、神奈川県1,120戸(同11.4%増)、埼玉県1,030戸(同12.5%減)、千葉県731戸(同0.9%減)。

 


 

 

IMG_5652.jpg
「ケヤキハウス」 

 多摩市は3月30日(日)、Park-PFI制度を活用した「多摩中央公園」のリニューアル工事完了に伴い、メディア向け内覧会を実施した。カフェや遊具を新設することで既存の公園内施設との連携を図り、「誰もが楽しめる賑わいある公園」として生まれ変わる。グランドオープンは4月5日(土)。当日は午前10時から午後8時までマルシェ、飲食キッチンカ―、物販、LIVEなど様々なセレモニー、イベントが行われる。

 多摩中央公園は、京王・小田急多摩センター駅から徒歩5分、多摩市落合2丁目に位置する面積約112,900㎡。開設年は昭和62年10月。開設から30年以上が経過し、一部施設の老朽化が進んでおり、最近の公園ニーズに対応するためPark-PFI制度を活用。令和3年10月に公募し、応募があった2グループのうち、市の事業費総額約30億円に対して約27億円の提案を行った物林株式会社を代表企業とするTAMAセントラルパークJV9社が事業者として選ばれた(落選グループは約30億円)。国の補助事業として15.7億円の社会資本整備総合交付金を活用する。事業期間は令和25年3月末までの20年間。

 新たな施設として「ケヤキハウス」「エディブル&フラワーガーデン」などを整備。老朽化したカスケード、大池のろ過・浄水設備の更新を行った。

 また、公園内のパルテノン多摩、中央図書館(2023年開館)、グリーンライブセンター(G.L.C)、旧富澤家住宅の4つの特定施設との連携を強化し、回遊性を高めるため舗道を整備している。

 この他、幼児~小学生向け遊具広場、車いす利用者も楽しめるウェルビーイング遊具広場、運動用具が収納できる自由広場、BOOKパーク、きらめきの広場、大池前テラスなどが新設されている。

 公園内の植栽計画では、ナラ枯れ、東側法面の土砂崩壊対策、整備事業による伐採樹木は全体の2割以上の1,125本となったが、広島市から寄贈された原爆二世アオギリが植樹され、サクラもたくさん新植されている。

 内覧会のナビゲーターで公園の改修整備・運営事業者JVグループ統括責任者・室橋智氏(物林営業本部長)は「既存の施設を設計、施工した会社からもヒアリングを行った。難しい事業ではあったが、コストを抑える工夫もし、国産材の木を使い、周辺環境との親和性を重視した」と説明した。

001-2_220510_143345_1.jpg
多摩中央公園(市のホームページから)

IMG_5611.jpg
パルテノン多摩「きらめきの広場」

IMG_5614.jpg
「足るを知る」がコンセプトの水盤

IMG_5620.jpg
大池

IMG_5622.jpg
「エディブル&フラワーガーデン」

IMG_5632.jpg
遊具広場

IMG_5637.jpg
ウェルビーイング遊具広場

IMG_5658.jpg
原爆二世のアオギリ

IMG_5687.jpg
手前は新植されたと思われるサクラ

IMG_5617.jpg
室橋氏

IMG_5640.jpg
自由広場(室橋氏の背後は運動用具などを収納できる小屋。右側は隣接する桜美林大学の敷地だが、公園との垣根は設けられていない)

◇      ◆     ◇

 小生は公園の緑や街路樹をかなり見てきたが、Park-PFIによる公園整備事業は三井不動産「MIYASITA PARK」、積水ハウス・三菱地所他「海の中道海浜公園官民連携推進事業」、東京建物「都立明治公園」、大和リース「鳥居崎海浜公園」、東急不動産グループ「代々木公園Park PFI」しか知らない。

 なので、今回の以下の記事が正鵠を射ているかどうかの自信はない。さらにまた、多摩市民として利用してきたこともあり、市民だから贔屓目に見ようとする自分と、市民だからこそ厳しい目で見ようと考えるもう一人の自分がいた。取材中の2時間、双方がせめぎ合いをしたが、贔屓目に見る必要はそれほどなく、厳しい目で見ても「合格点」が付けられると結論付けた。第三者が厳しい目で評価しても同じ結論に達するのではないか。

 とくに評価したのは3点。第一は公園運営事業者の管理センターとトイレが併設されている「ケヤキハウス」だ。木造平屋建てのカフェは外壁のスギ材のほか、内装にも本物の木がたくさん採用されており、ペット同伴利用も可能(一部除く)。

 第二は、リニューアルオーブンされるグリーンライブセンターだ。これまでは植物鑑賞が中心だったが、市民参加するセンターへと生まれ変わる。コナラとサクラの巨木の萌芽更新は興味深いし、水琴窟は移設して残されている。シンボルツリーのカツラは見事な自然樹形を描いており、高さは20mくらいある。また、センターの維持管理にかかわってきた恵泉女学園大学が最後の活動として植えた草花もオープンに彩を添えている。同大学はアダプト制度による多摩センター駅周辺の美化に大きな役割を果たした。

 第三は、豊かな緑と4つの特定施設の回遊性を高めた遊歩道の新設だ。公園内の回遊性が飛躍的に向上した。

 市はこれまで公園利用者数をカウントしてこなかったが、これを機にカウントするという。Before Afterはわからないが、利用者が大幅に増加するのは間違いない。

IMG_5655.jpg
ペット同伴可能の「ケヤキハウス」テラス席(天井高が2400ミリくらいで低いとは思ったが、座って利用するので問題ないか。右側は広場が展開する)

IMG_5657.jpg
よく見えないかもしれないが、手前の建物は事業者が整備した管理センター、その奥は市が費用負担したトイレ(軒裏は手前はケミカル製品、億は本物の木。このあたりにも事業者がコストを抑制した努力がうかがわれる)

IMG_5660.jpg
新設された旧富澤家への遊歩道

IMG_5665.jpg
旧富澤家

IMG_5706.jpg
土砂崩壊対策として樹木は伐採され、全面芝生が植えられた東側法面。背後はグリーンライブセンター(芝生の管理は大変だが、費用は事業者の収益から充当するので市の負担増はないという)

IMG_5711.jpg
萌芽更新のトライ(手前はサクラ、奥はコナラ)

IMG_5719.jpg
水琴窟

IMG_5720.jpg
シンボルツリーのカツラ

IMG_5716.jpg
伐採木は総理大臣賞を受賞したNPO多摩グリーンボランティア森木会などが再利用する)

木調ルーバー多用した施設デザイン抜群東急不など「代々木公園 Park PFI」(2025/2/25)

Park-PFI活用「都立明治公園」来園者240万人突破東京建物/公園を考える(2025/2/7)

「うめきた公園」事業者は自画自賛でも大阪市の指定管理者評価の評点は77点(2024/9/4)

「多摩中央公園改修」の疑問氷解樹木5000本うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/10/21)

三菱地所・積水ハウスなど国営公園初のPark-PFI「海の中道海浜公園官民連携事業」(2021/5/17)


 

 

 IMG_5537.jpg
「2024年度プレハブ建築協会活動紹介&懇談会」(TPKガーデンシティ御茶ノ水で)

 プレハブ建築協会(プレ協)は3月26日、「2024年度プレハブ建築協会活動紹介&懇談会」を開催。A4判79ページにもわたる膨大な資料をもとに住宅部会、PC建築部会、企画建築部会、広報委員会、教育委員会など7部会・委員会が活動報告を行い、報告会後は協会関係者と約20人の報道陣との意見交換を行った。

 住宅分科会は、主な取り組みの一つ「住生活向上推進プラン2025」について、戸建てZEH供給率87%(目標85%)、ストック住宅断熱・省エネリフォームにおける消費量削減率50%(同30%)、工場生産のCO2排出量70%(同65%)、工場における再エネ電気の利用率90%(同75%)は目標数値を引き上げ、そのほかの住宅性能表示取得率(戸建85%、共同10%)、長期優良住宅認定取得率(戸建85%、低層共同10%)などは目標達成を目指す。

 環境分科会は、工場生産段階、居住段階でのGHG排出量は大きく削減が進展しており、今後はサプライチェーンのCO2排出量の削減に取り組んでいくとしている。また、「微景観」という新しい概念を導入し、環境に配慮した住宅供給に力を入れていくとしている(別掲の記事参照)。

 住宅ストック分科会は、各社ともリフォーム売上高は堅調に実績を伸ばしており、「住宅省エネキャンペーン2024」の利用率は62,000件で、前年度比60.6%増加したことを報告した。

 PC建築部会は、PC(Precast Concrete)工法は生産性向上による小人化、働き方改革による担い手不足、地球環境への配慮の観点からPC工法は有効であることを強調した。

 規格建築部会は、令和6年能登半島地震応急仮設住宅建設について、1月~10月までの着工戸数は石川県が6,882戸で、プレ協が4,467戸(プレ協比率64.9%)であることを報告した。

 ◇     ◆     ◇

 懇親会の冒頭で乾杯の音頭を取った創樹社代表取締役社長・中山紀文氏は、最近の住宅市場について触れ、持家の着工戸数が減少し厳しい状況が続いていること、プレハブ住宅の着工戸数は初めてツーバイフォー住宅に追い抜かれるなど、プレハブ業界は〝転機〟にあるとし、新しい展開を求めた。

 記者もその通りだと思う。持家着工戸数は、近年で最多だった平成25年の354,772戸から漸減傾向が続いており、令和6年は218,132戸(前年比2.8%減)と38.5%減少。3年連続して分譲住宅薬効戸数を下回った。また、プレハブ着工戸数も、近年で最多だった平成28年の148,528戸より37.8%減の93,077戸(同10.0%減)となり、ツーバイフォー住宅の95,095戸(同4.7%増)に初めて暦年で追い抜かれた。

 今後も、少子高齢化、人口減少、社会経済状況の変化、空き家の増加、持家ニーズの減退などからこの状況は続くと思われる。ただ、協会会員の個社で見ると、各社とも海外事業や非住宅などへの多角化を進めており、業績自体はそれほど落ち込んでいない。

 Prefabrication由来による「プレハブ建築協会」と会員会社の事業内容からすると、「プレハブ」の呼称は変更すべきだと40年昔から考えているが、歴史・由緒ある名称が変更される可能性はないと見ている。

 〝転機〟を迎えているのはむしろメディアのほうだ。いまはプレハブも在来もハウスメーカーもデベロッパーも同じ事業を行っており、垣根はない。なのに、ハウスメーカーを取材源とする業界紙はデベロッパーを全く取材しない。紙媒体にしがみついている陋習も含めて改めるべきだ。

プレ協狭小住宅に新概念「微景観」ハウスメーカーの矜持見たい(2025/3/27)

 


 

 

IMG_5519.jpg
「子どもと学ぶ在宅避難!おうちのサバイバル体験」

オープンハウスは326日、一般社団法人デイリーストックアクションと共催して「子どもと学ぶ在宅避難!おうちのサバイバル体験」イベントを同社渋谷ショールームで開催した。激甚化する自然災害に備えるには、事前の備えや在宅避難(耐災力)が大切だとする同社の取り組みの一環で、春休みということから定員30人を超える親子連れ家族約40人が参加、地震の揺れ体験、災害時トイレの使い方、ローリングストックの試食などを体験しながら学んだ。

イベントでは、①在宅避難って何? ②地震が起きた際どうする? もしもの避難シミュレーション③おうちのセーフティーゾーンはどこ? ④携帯用トイレを設置してみよう⑤災害時の食事の大切さとローリングストックについて⑥常温保存食品!こんなにお手軽で満足ランチ⑦地震の揺れを体験ゾーンなどか行われた。

同社は、大きな災害が起こった際に命を守る力「耐災力」をテーマに掲げており、ひとりひとりの事前防災、いざという時の備えが重要だとしている。一方で、都心部の子育て世代には浸透していると言い難いことからイベントを実施したもの。

デイリーストックアクションは2018年、一般社団法人日本ソイフードマイスター協会内に発足、2023年に単独法人化。在宅避難時の食料備蓄対策に特化し、日常の小さな災害にも役立つ常温保存食品を活用したレシピを通じて災害時対策も兼ねた日常生活に浸透する家庭での食料備蓄の在り方を啓蒙している。

IMG_5522.jpg
参加者に提供される試食品

Screenshot 2025-03-28 at 17-24-16 2025年4月「xLINK(クロスリンク) 丸ビル」開業 丸ビルにxLINK旗艦施設と就業者向けビル共用ラウンジを新設 三菱地所.jpg
「xLINK丸ビル」ラウンジ

 三菱地所は3月28日、フレキシブルオフィスブランド「xLINK(クロスリンク)」シリーズの旗艦施設「xLINK丸ビル」を4月1日に開業すると発表。同日、施設をメディアに公開した。

 施設は「丸の内ビルディング」(丸ビル)の27階と28階に設けたもので、27階には107坪の共用ラウンジを新設。ラウンジにはカフェ、ソロワークブース、フォーカスブース、ミーティングブース、ボックスシート、リフレッシュルームなどが設けられている。

 ラウンジに併設する形で用途・規模の異なるフレキシブルオフィス3種「サービスオフィス」「会議室付小割オフィス」「ハーフセットアップオフィス」を新規導入する。

 同社は2030年までに丸の内エリアにフレキシブルオフィスを3万坪(丸の内エリアの貸付有効面積の5%程度)に拡大する。「Torch Tower」への導入も検討している。

IMG_5609.jpg IMG_5590.jpg
「xLINK丸ビル」ラウンジ

Screenshot 2025-03-28 at 17-24-43 2025年4月「xLINK(クロスリンク) 丸ビル」開業 丸ビルにxLINK旗艦施設と就業者向けビル共用ラウンジを新設 三菱地所.jpg
「ハーフセットアップオフィス」

IMG_5596.jpg
エントランス

◇        ◆     ◇

 上段の記事は同社のブレス・リリースをコピペしたものだ。見学・体験会では同社執行役常務・荒木治彦氏、同社フレキシブル・ワークスペース事業部長・河野安紀氏、同社フレキシブル・ワークスペース事業部ユニットリーダー・岩本祐介氏、それと入居企業のもう一人の方がスピーチされた。記者は、配布された資料にメモしたのだが、その資料を会場に忘れてきたので紹介できない。

 ただ、河野氏のスピーチの一部だけは鮮明に覚えている。記者の心に響いたからだ。河野氏は次のように話した。

 「手前味噌で申し訳ございませんが、『xLINK(クロスリンク)』が入居の方々に支持されるのは、圧倒的な立地です。この圧倒的な緑と空の抜け感。皇居の自然が都会の喧騒から一歩引いた静けさと品格を漂わせています。ここには創造力と集中を高める力があり、唯一無二の存在感があります」

 なぜこの部分だけ覚えているかといえば、唯一無二の〝価値〟はここ(大丸有)にしかないと思っているからだ。案内された28階の66坪のオフィスからは皇居が見渡せた。皇居が見渡せる価値は何ものにも代えがたい。記者はこれまで10回以上は皇居が見渡せるオフィス、ホテルを経験している。

 だが、しかし、分譲マンションはどうかというと、眼下に皇居が見下ろせるマンションは同社の「ザ・パークハウ グラン千鳥ヶ淵」(73戸)と三井不動産「パークマンション千鳥ヶ淵」(63戸)しかないはずだ(2物件とも見学した人はほとんどいないのでは)。

 「緑の価値」について補足すると、大手町・丸の内・有楽町・永田町地域の緑被率は23.89%だ。都心部でこれほど緑被率が高いのはここしかない。

 そこで、この唯一無二の価値を測った。この66坪のオフィスを分譲したら、坪単価にして5,000万円とはじいたが、ラウンジなどの価値を含めたらこれでも安いと思う。賃料について荒木氏は「一般的なオフィスの数倍」と話すのにとどめ、岩本氏も「豪華にしようと思えばいくらでもできるが、アッパーミドルの利用を想定して内装などは極めてシンプルにした」と語ったのをどう受け止めるか。

 見学したオフィスは、廊下を含めた共用部分のデザインが素晴らしい。「xLINK(クロスリンク)」の開業に合わせリニュアルしたそうで、ラウンジのアール形状が目立ったのは、女性利用も想定しているからだろうか。造作家具などを配置するだけで済み、初期費用を抑え、退去時の原状回復費用が少なくて済むハーフセットアップオフィスはとてもいい。

IMG_5569.jpg IMG_5576.jpg IMG_5580.jpg
左から荒木氏、河野氏、岩本氏

IMG_5607.jpg
廊下

IMG_5606.jpg
66坪のオフィス(皇居の写真も撮ったが、掲載するのはためらわれる)

IMG_5601.jpg
オフィス入り口部分

フレキシブルオフィス 2030年までに1万坪⇒3万坪へ拡大三菱地所丸の内エリア(2024/3/29)

皇居が一望できる唯一無二の地所レジ「千鳥ケ淵」(2013/8/5)

プレハブ建築協会の「まちなみワーキンググループ」(構成会社:積水化学工業、 積水ハウス、大和ハウス工業、パナソニックホームズ、ミサワホーム、岩村アトリエ、エムエフクリエイツ)がまとめた「都市型住宅地のデザインメソッド」を公表し、敷地が狭小な都市型住宅の優れた景観づくりにはきめ細かな細部への配慮・こだわりが欠かせないとし、新たな概念として「微景観」を打ち出した。

「微景観」は、326日に行われた同協会のメディア向け2024年度活動報告会で公表されたもので、「コンパクトであっても単なるミニ開発ではない、ハウスメーカーとしての矜持を感じるデザイン理論を今後とも構築していく」とし、一つ一つの素材選定、デザイン、配置に対して、きめ細かな対応を図ることで、全体に統一感を感じ、まちなみ全体に落ち着きを感じる景観を創ることができ、また、狭いスペースにも可能な限り植栽を施すことで、まちなみに潤いを感じる景観を創出することは可能としている。

具体的なデザインコーデとして、相隣間で補う借景的微景観、室内からの微景観、アプローチ周りの微景観、微景観阻害要因の軽減、微景観における宅盤段差のデザインなど事例などを紹介しながら17ページにまとめている。

        ◆     ◇

 記者は「微景観」なる造語をまったく知らなかった。そもそも「微」は微細、微小、微妙、微笑、微力、衰微などの熟語が示すように、どちらかといえば目立たない、取るに足りないことなど示す言葉だ。〝美景観〟の誤字ではないかと思ったくらいだ。

 都市型住宅については、明確な定義はない。バブル崩壊後に生まれた言葉だ。バブル崩壊前の分譲戸建てといえば、敷地規模は最低40坪、郊外住宅地では50坪、60坪が当たり前だった。一部のデベロッパーが供給していた敷地規模が30坪未満の住宅は〝ミニ開発〟として、銀行も住宅ローンの対象外としていた。

 ところが、バブル崩壊後はハウスメーカーもデベロッパーも敷地規模が30坪前後、他建物規模が30坪前後の分譲戸建てを積極的に供給するようになり、最近では敷地が15坪くらいの超ミニ開発も珍しくない。

 これらの現状に対し、プレ協のまちなみワーキンググループが一石を投じる形で「微景観」を打ち出したようだ。

 論より証拠だ。記者は敷地規模が30坪未満では敷地の緑化は難しいと考えているが、「微景観」を採用したこれらまちなみワーキンググループが供給している戸建ての見学を申し込むつもりだ。どこが見せてくれるか。

 

 

 

「d_ll TSUKUBA」「大和ハウスつくば駅前ビル」外観.jpg
「d_ll TSUKUBA(ディ「d_ll TSUKUBA(ディールつくば)」(左)と「大和ハウスつくば駅前ビル」

 大和ハウス工業は3月27日、つくばエクスプレスつくば駅直結の複合施設「(仮称)つくば市吾妻20街区プロジェクト」が2月28日に竣工し、3月28日から順次オープンすると発表した。同日、五十嵐立青・つくば市長も出席した会見を行い、施設をメディアに公開した。

 プロジェクトの敷地面積は約7,639㎡。「d_ll TSUKUBA(ディールつくば)」(地上5階・地下1階建て)、「大和ハウスつくば駅前ビル」(地上4階建て)、立体駐車場「D-Parking つくば駅前ビル駐車場」(地上5階建て、駐車台数353台)の3棟から構成。3棟の延床面積は約20,933㎡。着工は2023年6月1日。施工は村本建設。

 敷地の従前は国家公務員宿舎。2017年6月、茨城県から土地を取得。法定容積率が400%なのに対して、つくば市の要請を受け、敷地北側に位置する市立小学校への日影に配慮するため5階建てとし、容積率を大幅に余しているのが特徴。

 「d_ll TSUKUBA」の1 階と2階にはクリニックや学習塾、カフェ、保育施設など16店舗が入居予定。3階~5階は最大36 区画に分割可能なオフィスフロア。オフィスフロアには、同社グループ会社の大和ハウスリアルティマネジメントやスタートアップ企業など16社が入居予定。オフィス天井高は2800・3000mm、賃料は2万円(共益費込み)/坪。現在、約8割のテナントが決まっている。「屋外デッキ接続エレベーター」を設置し、道路を挟んだ反対側の同社のホテルや商業施設とデッキで直接アクセスできるようにしている

 「大和ハウスつくば駅前ビル」は、同社茨城支店と大和ハウスグループ会社3社が順次入居し、約200人のグループ従業員が勤務する拠点となる。フリーアドレスや集中ブースを設置する。1階には戸建住宅を検討している顧客との商談スペースやモデルルームを設けている。

 2つのビルは環境配慮型施設として、屋上に太陽光発電システム(「d_ll TSUKUBA」約40kW、「大和ハウスつくば駅前ビル」約30kW)やリチウムイオン蓄電池を設置。「BELS」5つ星と「ZEB Ready」を取得している。

 五十嵐氏は「市の中心市街地の取り組みは非常に大きな課題だった。市民からは将来を懸念する声が多く届いている。それが今、大きな変化が生まれている。センタービルはリニューアルされ大きな賑わいを見せており、今回の施設の隣ではスーパーシティの取り組みが進んでいる。70街区(吾妻二丁目国家公務員宿舎跡地)、中央公園のリニューアルなども進行中で、この施設はそのど真ん中に位置する。本来ならマンションが一番簡単だろうが、そうではなく地域に配慮されたことに感謝申し上げる。回遊性が高く、脱炭素の取り組みなど環境にも配慮していただいている。市の思いを汲んでいただいた」と挨拶した。

 同社執行役員・高吉忠弘氏は、「2023年に着工後、建設現場の人手不足、計画の一部変更などで竣工が予定より若干遅れた(約3か月)が、先ほど市長様から過分なお褒めの言葉を頂き、本当に光栄に思います」などと応えた。

Screenshot 2025-03-27 at 16-30-17 【大和ハウス工業】ニュースリリース:「d_ll TSUKUBA(ディールつくば)」「大和ハウスつくば駅前ビル」オープン.pdf.jpg
「d_ll TSUKUBA(ディ「d_ll TSUKUBA(ディールつくば)」(左)と「大和ハウスつくば駅前ビル」

IMG_5551.jpg IMG_5554.jpg
左から五十嵐氏、同社茨城支店長・八友明彦氏、高吉氏

◇        ◆     ◇

 この施設については、昨年5月30日に行われた地鎮祭・記者会見を取材し、記事にしているので参照していただきたい。肝は、市の要請を受け法定容積率を大幅に余し、建物を5階建てとし、隣接する市立小学校へ日影を落とさない配慮がなされていることだ。

 そして、道路を挟んだ東側には3.83haの駅直結の中央公園もあるのも特徴の一つだ。

 3.83haといえば、大阪駅に直結する「グラングリーン大阪」の都市公園「うめきた公園」4.5haには及ばないが、街づくりは対照的だ。「うめきた公園」は従前用途地域の準工業地域を商業地域に変更し、つまり日影規制を取り払うことで、南側の高層建築物を可能にした。

 一方、今回の施設は公園との景観にも配慮したという。どちらがいいか。記者も分からない。取材後、公園側から施設を眺めた。公園の高木と施設の高さはほぼ同じが、高木の方が高かった。学校に面したビルの窓も極力小さくしたという。

IMG_5563.jpg
左のビルの窓は小さく、幅が広い空間を挟んで右側は小学校の敷地

IMG_5565.jpg
中央公園からの施設

駅直結の一等地容積半分余す大和ハウス「(仮称)つくば市吾妻20街区PJ」着工(2024/5/31)

 三井不動産は3月25日、ママ・パパ用休息室併設の一時預かり保育「YASMO(ヤスモ)」事業を同日付でアルファコーポレーションに譲渡したと発表した。

 YASMOは、三井不動産グループが2018年度に創設した新事業提案制度「MAG!C」から生まれた事業で、2024年1月にYASMO武蔵小杉を店舗開設し、運営を行ってきた。

 アルファコーポレーションは、YASMO武蔵小杉のオープン当初より保育サービスを担当してきた事業者。同社の専門性を最大限に活用し、同社のサービスとして継続することが最適であると結論付けた。

大人も子どもも〝我慢〟しないコスモスイニシア一時預かり施設有楽町に開業(2025/3/10)

三井不「MAG!C」発〝孤育て〟支援ママ・パパ休憩室付き一時預かり保育施設開設(2024/1/13)


 

 

変動率100以上.png
  変動率100以上.pdf

 令和7年の地価公示の調査対象となっている全国1,377区市区町村のうち、1990年比で変動率が比較可能な市町村は755で、変動率が100以上の市町村は12道県49市町村しかない。755市町村の6.5%だ。別表に紹介した。

 49市町村を道県別にみると、もっとも多いのは福岡県と沖縄県でそれぞれ10市町村。次いで愛知県の8市町、北海道と宮城県の6市町、三重県と熊本県が2市町。他は茨城県、山形県、新潟県、大分県、長崎県が各1市町。

 どうしてこの49市町村はバブル期の地価を上回っているのか。調べる余裕はないが、単なる偶然ではないはずだ。それぞれの地域資源を生かし、企業を誘致し、雇用を創出し地域の活性化につなげているからではないか。地方創生のヒントがここにありそうだ。

首都圏商業地地価上位50区市変動率ベスト・ワースト50区市地価公示(2025/3/24)

首都圏住宅地地価回復率ベスト3は墨田、文京、茅ヶ崎市最悪は越生町、東金市など(2025/3/22)

東京建物、三菱地所、野村不、三井不デベロッパー4社の地価公示コメント(2025/3/22)

令和7年地価公示 1990年の〝半値戻し〟住宅地上昇率1位は2.4倍の沖縄・北中城村(2025/3/21)

旭化成ホームズのLONGLIFE総合研究所は325日、「50代を中心とした未婚者のくらしに関する調査」結果をまとめ発表した。昨年5月の第一弾「50代のくらしに関する調査」に続く、ミドルライフ研究会の調査研究第二弾。調査対象は現在未婚で一人暮らしの4564歳(ミドルシングル)の計1,600人(男女各800名)。

これによると、現在のくらしの満足度については、106点が42%、40点が29%。満足している人42%のうち、女性が約6割を占めている。

満足しているミドルシングルの価値観を見ると、「一人の時間を有意義に過ごせている(78%)」、「自分の人生は自分で決めてきた(76%)」、「今のライフスタイルが自分に合っており今後も大切にしたい(75%)」と回答。「どちらでもない・不満(現在のくらしの満足度50点)」の人と比較すると、一人でのくらしに価値を見出して楽しんでいることがうかがえる。また、「一人でいても寂しいとは感じない(75%)」とシングルであることで孤独や寂しさを感じているわけではない。

くらしの満足度の高いミドルシングルはどのようなことを実践しているのかを3つの健康的観点(身体的健康(からだ)・精神的健康(こころ)・社会的健康(交流))で調べたところ、「からだ」面では「休息をしっかりとる(71%)」「規則正しい生活をしている(58%)」と回答。運動の機会を持つ・サプリなどを意識的に飲むなどの積極的な行動よりも基本的な生活習慣が大事だということがうかがえる。

「こころ」面でも、目標や計画を立てる・知識や経験を積極的に得ることよりも、「自分なりの楽しみを見出している(72%)」「自分に合った気分転換方法がわかっている(68%)」と満足度を高める自分なりのポイントがあると回答している。

「交流」面では、新しい交流をどんどん求めるよりも、つかず離れず気楽なつながりや旧友とのつながりが満足度の高さのポイントと考えられるとしている。

同社は昨年、人生100年時代を迎え、人口動態の変化や婚姻率の減少が進む中、ミドルシングル(45歳~64歳の未婚・一人暮らし)が増加しており、この世代のくらしの実態を研究するためミドルライフ研究会を立ち上げた。

2020年の国勢調査によると、未婚率は30代が38.5%、40代が25.6%、50代が19.4%、60代が11.4%となっている。

自立と低自立の二重円構造くっきり 高齢者の住まいと暮らし ケアリングデザイン調査(2025/3/9

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン