5月の訪日外客数 前年同月比21.5%増の約369万人 5月として過去最多
日本政府観光局(JNTO)は6月18日、2025年5月の訪日外客数は前年同月比21.5%増の3,693,300人で、5月として過去最高だった2024年の3,040,294人を65万人以上上回り、同月としては過去最高を更新したと発表した。
5月は桜シーズンと夏休みシーズンの間に挟まれた時期であり、多くの市場で訪日需要が前月に比べ落ち着く時期であるものの、一部の市場で祝日やスクールホリデーに合わせた訪日需要の高まりがみられたことなどにより、東アジアでは中国、東南アジアではフィリピン、欧米豪では米国を中心に訪日外客数が増加したことが今月の押し上げ要因となった。
インドで単月過去最高を更新したほか、韓国をはじめ中国、台湾、米国など21市場で5月として過去最高を記録した。
Before12.9万円⇒After19.3万円 リノベ効果覿面 東急不動産×リノべる「北葛西」
「コンフォリア北葛西」(撮影:黒岩翼写真事務所)
東急不動産とリノべる6月19日、築年数の経過に伴う空き家課題を抱える賃貸マンションにリノベーション工事を施しバリューアップした両社のリノベーション協業第三弾「コンフォリア北葛西」が竣工したのに伴うメディア向け内覧会を実施した。全56戸のうち空き家だった16戸と共用部分をリノベした結果、平均賃料は従前の12.9万円(坪6.3万円)から19.3万円(坪9.5万円)に改善し、周辺の築浅マンション同等の賃料水準を実現した。リーシングも好調で、竣工時までに12戸が成約。リノベ効果をまざまざと見せつけた。
リノベーション協業第三弾は、築32年(当時)だった賃貸マンションを昨年9月にリノベーション工事を施すことを前提に東急不動産が取得。全56戸のうち空き家だった16戸と共用部分を対象に、リノベるがプロジェクトマネジメント、総合企画、設計・施工。陳腐化した間取りを変更するとともに、キッチンに食洗機を設置するなど水回り部分の設備を一新。共用部分は100台しか収容できなかった駐輪場を170台へ増設し、公園をイメージした緑をふんだんに植樹し、住まいや地域に愛着が持てるような演出を随所に施している。
物件は、東京メトロ東西線西葛西駅から徒歩15分、江戸川区北葛西5丁目の第一種住居地域(建ぺい率70%、容積率300%)に位置する1991年竣工の8階建て全56戸(リノベーション実施16戸)。施工は戸田建設。平均専用面積は67.37㎡(20.38坪)。リノベーション施工は2025年4月。
エントランス(before) エントランス(after)(撮影:黒岩翼写真事務所)
左・左中・右中:階段室のウォールグラフィック。階ごとに動物が異なり、足跡も異なる。右:エレベーター内部をグラフィックウォールに(撮影:黒岩翼写真事務所)
植栽(中庭)
植栽(エントランス)
壁は黒板クロス、床はインナーテラス風仕上げ
リビング
玄関
◇ ◆ ◇
築古の、特に駅からの距離がある賃貸マンションは、何もしなければ空きが大量に発生し収益の悪化を招くのは必至で、一方で、設備仕様を更新し外構・共用部分などの充実を図れば、築浅の周辺物件に負けない物件にすることができる好例だと思う。
竣工が1991年4月だから、バブルが崩壊した1990年(平成2年)には着工されていたのだろう。当時、記者は賃貸マンションの取材はほとんど行っていないので、仕様レベルが高いか低いかは分からないが、天井高は2450ミリ、直天、二重床、サッシ高は1800ミリ、トイレ・浴室部分の段差などは分譲レベルでも見られたものだ。
リノベに当たって、専用部の和室を洋室にし、従前はエアコンが使えなかった洋室にエアコンを設置し、玄関は下駄箱から棚にするなどのリノベ工事は当然として、子育てファミリーの入居を意識した共用部のリノベ工事が目を引いた。
従前はどうだったか分からないが(多分、なにもなかったのだろう)、敷地の外周部と中庭には、一つひとつを公園に見立てた植栽がふんだんに施されていた。一般的な賃貸マンションではまずありえないし、分譲マンションでもここまで緑を配す物件は多くないはずだ。
エレベーターや階段室には子どもが楽しめる動物のモチーフを用いたグラフィックウォールや足跡をデザインに取り込む仕掛けを施し、専用部の玄関サインには再生木を使用している。些細なことだが、このような心配りが消費者に支持されるのだと思う。
子どもの感性・社会性の発達と会話の関連研究 積水ハウス×京都大学
積水ハウスと京都大学は6月18日、2024年度から実施している包括連携で、今年度からの2か年で実施する共同研究テーマを「住まいにおける子どもと家族との会話によるつながりに関する研究~子どもの感性・社会性の発達を目指して~」にすると発表した。同日、公開報告会をリアル&オンラインで開催し、全国の家族を対象にしたプレ調査結果を報告した。
包括連携は、子どもの感性発達に有効な住提案に関する知見の拡大・創出を目的として2024年から実施しているもので、1年目は共同研究の本格始動に先立ち、住まいにおける「家族のつながり」が子どもの感性や幸福感にどのような影響を与えるのかを探るため、長子が小学校3年生~高校3年生相当の男女と、その長子を対象とした832人を対象としたインターネットによるプレ調査を実施した。
その結果、親とのコミュニケーションに満足している子どもは「今、幸せだ」と感じている割合は76.3%、親との会話が十分とれていると答えたのは38.0%、親とのコミュニケーションに「満足」と回答した子どもは、知的好奇心や感性などの子どもの非認知能力が育まれている傾向が強いことなどが分かった。
共同研究テーマを「住まいにおける子どもと家族との会話によるつながりに関する研究」にしたのは、京大式AGORAを実施した結果、共同研究テーマは、①「感性」に加え、「社会性」も対象にした研究②「子ども」だけでなく、「家族」も対象にした研究③「言葉」、「対話・会話」を対象とした研究が大事との結論に達したため。
◇ ◆ ◇
プレ調査の結果は、いずれも納得できるものばかりだった。しかし、記者は逆のことを考えた。親子のコミュニケーションが十分でない子どもの23.7%は「今、幸せだ」と感じていないということでもある。
ここでその理由について深煎りはしないが、ファミリー層の住宅取得(賃貸も同様)環境は厳しさを増している。文科省の調査によると、不登校児童は年々増加しており、令和5年は約34.6万人、1,000人当たり37.2人に上っている。
積水ハウスはこれまでレベルの高い住宅を供給しており、ユニバーサルデザインについてもどこより先進的な取り組みをしていると思う。「5本の樹計画」に代表されるように緑環境の保全にも力を入れている。
共同研究では、住宅の質と緑などの住環境が子どもにどのような影響を及ぼすかについても踏み込んでいただきたい。さらにまた、劣悪な住環境でも立派な大人に成長する子どもはたくさんいるはずだ。
南ひな壇の全172区画 ランドスケープ生かすブラン秀逸 リスト&リバブル「新横浜」
「マークヒルズ新横浜」
リストグループと東急リバブルが販売を担当している分譲戸建て「マークヒルズ新横浜」を見学した。新横浜駅から徒歩22~27分とやや距離はあるが、南ひな壇造成の全172区画の大規模開発で、比高差にして10~20mのランドスケープを巧みに利用したプランが秀逸。極めて好調な売れ行きを見せている。
物件は、新横浜駅から徒歩22~27分(横浜線小机駅から徒歩16~21分)、横浜市港北区鳥山町の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率80%)に位置する開発面積約45,489㎡の全172区画。現在先着順で分譲中の住戸(5戸)の敷地面積は125.89~159.17㎡、建物面積は100.19~103.68㎡、価格は6,480万~7,480万円。構造規模は木造2階建て。事業主(売主)はあさひハウジングセンター。販売代理はリストインターナショナルリアルティ、東急リバブル。
今年2月から契約を開始しており、これまで年内供給予定の87区画のうち44区画が販売済み。建物建築停止条件付き宅地分譲も可能。
現地の従前は山林。横浜市内の100区画以上の戸建て分譲としては、2017年分譲の野村不動産「プラウドシーズン横濱洋光台」(203区画)以来8年ぶり。比高差にして10~20mの南ひな壇造成地を生かし、各住戸の日照・通風・プライバシーを確保し、四つ角のない街区構成にして安全性にも配慮しているのが特徴。
主な基本性能・設備仕様は、長期優良住宅認定、リビング天井高2500ミリ、食洗機、床暖房、Low-E複層ガラスなど。
同社グループのリストサザビーズインターナショナルリアルティ販売営業部係長で、同社野球チームの主砲でもある岩島誠氏は、「全172区画のうち年内供給予定は87区画。残りは造成中で、全体完成予定は2027年3月。当社の受託する戸建て開発規模としては過去最大。周辺の分譲戸建てと比較して価格は1,000万円以上の乖離がありますが、月間平均11区画が成約できているように、南ひな壇の立地と、長期優良住宅認定、同じ間取りが一つもない企画が評価されています」と話した。
また、東急リバブルアセット事業本部営業統括部契約コンサルティンググループ主任で同社野球チームの監督を務める大槻俊彦氏は、「リストさんの『辻堂』の販売代理を当社も担当した縁で、今回の物件も契約後から引き渡しまでの多岐にわたるサポートをさせていただいていますが、わくわくするプランがお客さんに高く評価されていると思います。私自身がこれまで担当してきたレベルの高い分譲戸建てと比べてもそん色ありません」と、太鼓判を押した。
インナーガレージ付き(階段の先)
中庭付き
岩島氏(左)大槻氏
◇ ◆ ◇
この前書いたポラス「ビー・グレイス柏 未来隣区」(全92区画)の記事と合わせて読んでいただきたい。とてもよく似ている物件だ。「柏」は駅から徒歩22~23分、従前は林地で高低差10mはありそうな大規模開発。今回の「新横浜」も駅から徒歩22~27分の従前は山林で、高低差にして10~20mの大規模開発。
常識的に考えたら、年間30区画売れればいいほうだろうが、いずれも好調なスタートを切った。購入者は、駅まで徒歩あり、自転車あり、車ありというのもよく似ている。価格も、駅近のマンション(柏駅は坪単価400万円以上、新横浜は500万円突破か)と比べればかなり安い。片や埼玉県、一方は神奈川県をホームグラウンドにしている。地域を熟知しているからこそ土地を仕入れられたのだろう。その目利き力の確かさに脱帽するほかない。
今回の「新横浜」は、従前が山林だった地形を生かしたプランがいい。モデルハウスは2棟。一つは、エントランス-キッチン-リビングの間にパティオ(中庭)を設け、階段下からも採光できている。もう一つは、インナーガレージ付きで、リビングから愛車を眺められるようにしている。大槻氏が「わくわくするプラン」と語ったのもよくわかる。分譲戸建てにはあまりないプランだ。
中庭を通じ階段下から採光しているモデルハウス
インナーガレージ付き(その先はシンボルツリー)
シンボルツリーのヤマボウシ
「マークヒルズ新横浜」エントランス
ポラス柏駅圏で全92区画の分譲戸建て好調スタート集会所は法人化して寄付(2025/6/6)
坪単価400万円突破か森田恭通氏の白の外観デザインがいいリスト「湘南辻堂」(2024/2/23)
BELS★5つ獲得多目的コミュニティ施設も整備全160区画のリスト「ノココタウン」(2020/3/3)
三菱地所 英国の不動産ファンド運用会社買収 運用資産残高(AUM)6.8兆円に
三菱地所は6月13日、英国・ロンドンに本拠を構える不動産ファンド運用会社Patron Capital Partners社の持分を取得し、子会社化することを決定したと発表した。
Patron社は1999年設立。英国及び欧州大陸各国で不動産及び不動産価値を基盤とする事業会社や不動産デットなどを投資対象とするオポチュニスティック型ファンド※を運用。これまで17か国、114投資案件・200取引、累計900万㎡の物件への投資実績があり、累計のエクイティ調達額は53億ユーロ、2024年12月末時点の運用資産残高(AUM)は46億ユーロ(約7,590億円、1ユーロ164.9円換算)。
三菱地所グループは、「長期経営計画2030」でROE10%の目標達成に向け、ノンアセット事業を成長領域の一つに位置付けており、2030年度末のAUM目標10兆円を掲げている。今回の買収後のAUMは約6.8兆円となる。
※ファンドの主要な期待リターンの源泉が、市場動向予測に基づいた不動産の売買による、キャピタル・リターンの獲得を目的としたファンド(一般社団法人不動産証券化協会による定義)
大和ハウス・大友社長 芳井会長に次ぎ「輝く女性の活躍…男性リーダーの会」に参加
大和ハウス工業は6月13日、同社代表取締役社長・大友浩嗣氏が「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」(事務局:内閣府)に同日参加したと発表した。会への参加は、同社代表取締役会長/CEOの芳井敬一氏が2021年3月の代表取締役社長時に参加して以来2人目。
同社は、ダイバーシティを経営戦略として捉え、2005年から女性活躍を推進しており、取り組みの結果、0.3%だった女性管理職は 6.1%に増加し、179名の女性が現場監督として活躍している。今後も女性や障がい、LGBTQ、シニアを含む多様な人財が多角的な視点を持って企業経営に参画できるよう、女性活躍推進も含めたダイバーシティ経営の強化に努めていくとしている。
「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」は平成26年6月、青井浩氏(丸井グループ代表取締役社長)ら9人の会社経営者などの呼びかけで発足。現在、会社経営者、知事・市町村長の約320名が参加している。
この他、「会」へ参加している住宅・不動産業界では西浦三郎氏(ヒューリック代表取締役社長・会長)、田中聡氏(積水ハウス代表取締役副社長執行役員)がいる。
◇ ◆ ◇
このような「会」があるのを全然知らなかった。まずは芳井会長、大友社長、西浦会長・社長、田中副社長に敬意を表したい。他の会員も検索した。名だたる企業経営者のほか、大学学長、都道府県の首長が名を連ねている。わが三重県も一見勝之・三重県知事のほか、前葉泰幸・津市長、竹上真人・松阪市長、伊藤徳宇・桑名市長、鈴木 健一・伊勢市長の名があった。
ただ、〝女性活躍〟に水を差すわけではないが、大企業経営者や大学の学長、首長などが先頭に立って〝女性活躍〟を呼びかけなければならないのは、わが国民性の事大主義を象徴するようで寂しい。
小生などは、今から50年近くも前のことだ。彼女とツーショットの写真を添え〝彼女が永遠に輝き続けられるように〟のタイトル付き結婚式案内状を送付したところ、彼女の親族から〝ふざけている〟との抗議を受け、親族向けには古臭い案内状を再送付したことがある。どちらの姓にするかでも、くじ引きで決めた(自分の姓になるよう、喫茶店のマッチ箱に細工をしたのだが)。
〝空と海と緑と〟最高にいいスカイラウンジ 「BLUE FRONT SHIBAURA」南棟開業へ
「BLUE FRONT SHIBAURA」
野村不動産と東日本旅客鉄道は6月12日、共同で開発を進めている「BLUE FRONT SHIBAURA」ツインタワーのうち南側の1棟目「TOWER S」の全体開業を2025年9月1日に決定し、また、浜松町芝大門・竹芝・芝浦の3地区で開発・運営を行う事業者と共に、共創型のまちづくり組織「芝東京ベイ協議会」を2025年11月を目途に設立することを決定したと発表した。
同プロジェクトは、「TOKYO&NATURE」を施設コンセプトに、都市の利便性と自然の豊かさが融合する〝空と海と緑〟の芝浦らしい自然の繋がりを意識した空間づくりを行い、多様なニーズに応え地域にひらかれた施設を目指す。
1~3階のショップ&レストランは9月1日、7~33階のオフィス&オフィスサポートフロアは8月、35~43階のラグジュアリーホテルフェアモント東京は7月1日にそれぞれ開業・入居する。オフィスの入居率は9割弱。うち野村不動産グループは3割、本社をはじめ8社が入居する。
本社移転の理由について松尾大介社長は「芝浦エリアは新しい海と空の結節点になることと、新宿本社は約50年間利用してきたことによる物理的な閉塞感から脱却するため。新しい本社は壁を取り払い、新しいイノベーションが生まれる空間とし、外部とのコラボレーションも生まれる仕掛けを施した」と説明した。
ブルーフロント芝浦は、港区芝浦一丁目に位置する区域面積約47,000㎡、地上43階地下3階建てTOWER Sと地上45階地下3階建てTOWER Nからなる延床面積約約550,000㎡。建物の高さは約230m。事業主体は野村不動産と東日本旅客鉄道。施工はTOWERSが清水建設、TOWERNは未定。設計は槇総合計画事務所、清水建設、オーヴ・アラ ップ・アンド・パートナーズ・ジャパン・リミテッド、日建設計。TOWER Sの着工は2021年10月、竣工は2025年2月。TOWER Nの着工は2027年度(予定)、竣工は2030年度(予定)。
各種認証では、WELLプラチナランク、LEEDゴールドランク、CASBEE 建築・スマートウェルネス オフィスSランク、ZEB Oriented、ABINCなど。
協議会の構成メンバーは、アルベログランデ、世界貿易センタービルディング、東急不動産、野村不動産、東日本旅客鉄道、貿易ビルサービス。
28階スカイラウンジ カフェ&バー
28階スカイラウンジ テラスエリア
28階スカイラウンジ ラウンジエリア
28階スカイラウンジ 個室サウナ
左から中川氏、新井氏、松尾氏
◇ ◆ ◇
この日は、正午から「BLUE FRONT SHIBAURA」の記者発表会が「フェアモント東京」で行われると思い込んでいた記者は、余裕をもって会場に着いた。
ところがどうだ。会見開始は午前11時からだった。主催者の野村不動産ホールディングス代表取締役社長・新井聡氏、野村不動産代表取締役社長・松尾大作氏、東日本旅客鉄道常務取締役・中川晴美氏の挨拶、プロジェクト説明はとっくに済んでいた。ざっと見渡したところ、メディアは100人くらいが参加していた。
取材の日時、時間を間違えたのはこの2週間で何と3度目だった。最初は5月29日の木曜日、明治記念館で行われた木住協の懇親会で、日にちを間違え前日に駆け付けた。2度目は先週の木曜日の6月5日、マンション管理業協会の懇親会。1時間遅れた。そして今回。理由は簡単、最近記者を悩ませている腹痛も手伝って、日程表に間違って記載したためだ。
なので、第二部のオフィス共用部・スカイラウンジ内覧会しか取材できなかったが、〝百聞は一見に如かず〟大収穫だった。現時点で最高クラスの共用部だと思う。
ラウンジは、①エンゲージメント向上の「ラウンジ」②イノベーション創造の「共創」③健康経営の「ウェルネス」④自然を生かした環境の「バケーション」&「テラス」⑤会議室の4つのゾーンに分かれている。
何が素晴らしいか。ラウンジ内は、最近流行りのアール形状が多用されているのはともかく、約1,500坪のフロアは緑であふれかえっていた。同じような光景は、〝まるで植物園〟の見出しを付けた野村不動産が2023年2月に開設した「プラウドギャラリー新宿」でも体験しているが、それ以来だ。他社を圧倒している。
これに関連することだが、国土交通省「優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG)」の第一号認定で、「BLUE FRONT SHIBAURA」は最高段階評価「★★★(トリプル・スター)」に次ぐ「★★」を獲得した。記者はこの決定に異議を唱えた。「★★★」にすべきだと。審査員の方々は現場を見ているのか。
「ウェルネス」がまた素晴らしい。野村不動産担当者が「メガロスを運営しているからできることで、まず他のオフィスビルにはない」と語ったように、スポーツクラブそのもの。フィットネスのほかにサウナ(男性)、岩盤浴(女性)、シャワー室、メディテーションルームが完備。
このほか、ヘルスケア測定・管理、予約システムなど共用部のデジタル化により快適な空間を実現する。
スカイラウンジの利用時間は10:30~22:30なので、ここで寝泊まりはできないが、〝家に帰りたくなくなる〟のではないかと思った。以前のこのエリア一帯は、鉄道や高速の騒音が激しく、働く場所・住む場所ではないと考えてきたが、〝働くなら、住むなら浜松町〟になるような気がした。
もう一つ、内覧会で驚いたことを紹介する。会見会場となった4階の「ボルルーム」は他のラグジュアリーホテルとそれほど変わらないと思ったが、メインエントランスがある3階の天井高は12mだ。ビル全体の高さは約230m、オフィスフロアの基本天井高は3m(階高4.55m)。単純に1フロアの階高を計算すると約5.3mで、最新のビルは6mを超えていることと比較すると決して高くはないが、1階から3階までの階高・天井高は半端でない。50mくらいあるのではないか。
エントランス
「ボルルーム」
スカイラウンジ(以下、全て)
テラス
会議室
「ウェルネスエリア」
「ウェルネスエリア」個室(利用料は3000円とか)
野村不「BLUE FRONT SHIBAURA」PJ一環「GREEN WALK」店舗公開(2025/5/27)
国交省「TSUNAG 認定」トリプル・スター 東京建物/三菱地所など/積水ハウス(2025/3/19)
芝浜小学校4年生93人自然、環境、遊び場、交通テーマに発表会芝浦エリマネ(2025/3/18)
〝表と裏をひっくり返し世界一の街に〟野村不「CULTURE FRONT」トークイベント(2024/11/26)
世界の水辺の再生・街づくりに学ぶ野村不「BLUE FRONT SHIBAURA」セミナー(2024/11/19)
素晴らしい 6億円(180坪)の大和ハウス5階建て「skye(スカイエ)錦糸町展示場」
「大和ハウスskye(スカイエ)錦糸町展示場」
大和ハウス工業は6月11日、同社の住宅展示場としては最高価格となる約6億円の重量鉄骨造5階建て「大和ハウスskye(スカイエ)錦糸町展示場」を6月14日(土)にオープンすると発表。オープンに先駆け同日、メディア向け見学会を行った。
同社は2013年から都市部の建て替え層をターゲットに5階建てまで対応可能な重量鉄骨造の戸建住宅商品「skye」を販売しているが、今回の「大和ハウスskye 錦糸町展示場」は、敷地面積が限られる都心部の土地を有効活用し、店舗、賃貸、インバウンドにも対応しているのが特徴。
外壁には袖壁「アトラクティブウォール」やタイル外壁などを採用し、外観はスタイリッシュモダンなデザインとしている。
1階は、賃貸収益を得られる店舗のほか、2台分駐車可能なビルトインガレージを想定。
2階の約40坪の親世帯住居スペースは、リビングに坪庭を設置するなど、落ち着いた和モダンな空間とし、将来は賃貸スペースに変更することも可能。
室内階段でつながる3階・4 階の約77.5坪の子世帯住居スペースには、同社の特長である2,720mmの天井高と吹抜けを組み合わせた開放的なLDK(42帖)を設置。4階には、バルコニーにつながるサウナを備えたバスルームや、シアタールームを想定した同社オリジナルの快適防音室「奏でる家」を採用。
5階の約28.5坪のゲストルームは、インバウンドの民泊対応も可能とし、枯山水をイメージした和風庭園を設置している。
見学会に臨んだ同社東京本店住宅事業部事業部長・岡田陽氏は、「この展示場は、当社過去最高価格となる6億円。技術とノウハウの結晶。敷地のポテンシャルを最大限生かしたいという顧客のニーズに応え、増加するインバウンドにも対応したもの。当社の東京エリアにおける高額分譲戸建ての契約者の半数は外国人。都心部の分譲マンションの坪単価は1,000万円、2,000万円に上昇しており、この種の戸建て商品は富裕層に理解されるはず。これまで「skye」の受注は年間90棟、うち東京が40棟。平均単価は2.1億円。今回の展示場オープンにより東京の目標を60棟に引き上げる」と語った。
施設は、墨田区錦糸4丁目(錦糸町住宅公園内)の重量鉄骨造5階建て延床面積約597㎡(180.88坪)。来場目標は年間1,000組。
3階リビング
5階和風庭園(手前が三重県産材の紫雲石)
和風庭園
◇ ◆ ◇
同社の富裕層向け戸建て商品「Wood Residence MARE-希-(マレ)」は素晴らしかったが、今回の「skye」もまた引けを取らない。
今回の「skye」の価格は、「希」の約3億円の2倍だが、坪単価は「希」が345万円なのに対し「skye」は333万円。設備仕様は「希」のほうが高いと思うが、「skye」のレベルが低いわけではない。
記者がいいと思ったのは、トータルな質の高さだ。1フロア約40坪。天井高は3階まで2720ミリ。子世帯の吹き抜け空間の天井高は約5.6m、LDKは42帖、サウナ付きの浴室にはトレーニングスペースも併設されており、防音ルーム付き。キッチン収納部分に天然石をあしらったシステムキッチンはイタリア・バルクッチーネで、バックカウンター・収納を含めた総額は2,000万円とか。
自然素材もふんだんに用いられている。それぞれのフロアには2m×1mの中庭や坪庭が配されており、床はタモ材、壁や寝室には塗り壁、組子、格子など。圧巻はラグジュアリーホテルをイメージしたゲストルームだ。10坪以上ありそうな和風庭園は奥山から渓谷、麓山(人里)、大海をイメージしたもので、景石、飛石、沓脱石、延石、延段には三重県産の紫雲石、栃木県産の芦野石、長野県産の諏訪鉄平石が採用されている。樹木はイロハモミジ、アカシデ、ヤマボウシ、ソヨゴ、クロモジ、ヒメユズリハなど。低木・地被は18種。
仮に、この住宅展示場のモデルハウスをそのまま分譲したら、駅からの距離(徒歩7分)、錦糸公園に隣接した立地、開放的な接道条件などからして、マンションなら坪単価800万円として14.4億円で売れると思う。
しかし、課題がないわけではない。同社は建設地を土地面積50坪、建ぺい率80%、容積率300%の商業系エリアを想定しているようだが、このような〝好立地〟の土地は、都心6区はもちろん23区内では〝希〟だろう。仮にあったとしても、土地の価値を最大限生かすなら、土地所有者は自宅兼店舗にはしないのではないか。ガラス張りは覗かれる心配もある。
そこで考えた。都心部ではなく、準都心や郊外の住居系エリアの需要を取り込むことも可能ではないかと。さらにまた、調整区域の建築基準法34条の1号店舗としても建築できるのではないかと。「希」の受注は郊外や地方が中心のようだから、「skye」の需要層である富裕層の中には、都心の喧騒から逃れ、海や山川の自然を満喫しようと考える人も多いのではないか。
中庭(3階)
3階キッチン(手前の横に長い部分は自然石)
4階の会場から階下を望む
現地
価格10億円超分譲戸建ての歴史を変えた諸戸の家「代々木上原」完売(2025/3/6)
「希」に見る設計依頼 1か月で来場100組超大和ハウス富裕層向け「MARE」(2021/6/2)
5月の東京圏の工事原価 集合住宅、事務所、工場、住宅とも上昇 建設物価調査会
建設物価調査会は6月10日、2025年5月の「建設物価 建築費指数」をまとめ発表。2015年を100とした東京圏の集合住宅(RC造)の工事原価指数は137.2となり、前月比1.3%、前年同月比6.5%上昇したほか、事務所(S造)、工場(S造)、住宅(W造)とも前月比、前年同月比とも上昇した。他の都市圏もほぼ同様に上昇した。
上昇要因として、生コンクリートは、セメントや砂などの原材料費や製造プラントの人件費、ドライバーの人件費や燃料油を含んだ輸送費、プラント施設の維持管理費など製造全般のコストの増加を背景としたメーカーの値上げを需要家が認め、価格転嫁していることを上げている。
一方、電線・ケーブルについて原材料である銅の国際相場価格の下落を背景に、需要家の値下げ要求の強まりから、メーカーや販売店が製品価格を引き下げ、指数動向のマイナスに寄与したとしている。
事務所(S造)の指数は137.0%で前月比0.4%増、前年同月比3.9%増。集合住宅(RC造)は137.2%で前月比1.0%増、前年同月比5.0%増。工場(S造)は135.7%で前月比0.5%増、前年同月比3.0%増。住宅(W造)は141.5%で前月比0.3%増、前年同月比2.9%増となっている。
マンション管理協 新理事長に世古洋介氏(三井レジデンシャルサービス会長)
世古氏(第一ホテル東京で)
マンション管理業協会は6月10日、定時総会を開き、前理事長・高松茂氏(三井不動産レジデンシャルサービス特別顧問)に代わって、新しい理事長に世古洋介氏(同社取締役会長)を選任した。総会後の懇親会での世古氏の挨拶は次の通り。
本日は、皆様ご多用中のところ、多数ご出席いただきましてありがとうございます。
ただいまご紹介いただきました、理事長の世古でございます。本日、定時総会後の理事会におきまして、高松前理事長の後任として、理事長に選任いただきました。
高松前理事長が、マンション管理業の成長・発展のために勧めてきた様々な取り組みをしっかり継承させるべく、微力ながら全力で取り組んでまいりますので、どうぞ皆様のお力添えをよろしくお願いいたします。(中略)
さて、近年わが国では、既存マンションの長寿命化が重要な課題と位置付けられており、我々マンション管理業が果たすべき役割の重要性もますます高まっていると認識しております。
一方で、人手不足やコストの上昇などマンション管理の現場では様々な課題も山積しています。
こうした課題に適切に対応し、マンション管理のプロとして、難易度が増している管理組合運営に対して適切なサポートを行い、お客様の信頼を得ながら、わが業界がますます発展成長していけるよう、鋭意努力してまいりたいと思います。
理事長就任に当たり、取り組むべき重要課題について3点申し上げたいと思います。
1つ目は、マンション管理適正評価制度の更なる伸長と定着です。本制度は、マンション管理に関する様々な項目を整理・点数化し、星の数で評価することで、管理の現状や課題を、お住いの皆様にも、また市場において見える化し、もってマンションの長寿命化を実現する素晴らしい制度だと認識しています。
こうした本制度の意義を、管理組合の皆様にも、また実務を担う管理会社の皆様にも、改めて認識いただき、すでに8400を超える登録を頂いていますが、今年度はさらに1万5000件へと伸長させ、社会に定着させていきたいと考えています。皆様の引き続きのご協力をよろしくお願いいたします。
2つ目は、今後さらに幅が広がっていくと思われます、新しい管理の在り方への対応です。新築から築年数40年超まで、あるいは小規模から大規模タワーマンションまで様々なマンションがあり、マンション管理におけるニーズは多様化しています。
例えば、今般のマンション法改正で法制化された「管理業者管理方式」や近年進んでいる様々な管理ツールのDX化など、管理組合運営も今後さらに変化・多様化していくことが見込まれています。こうした変化を的確にとらえ、業界として適切に対応していけるよう取り組んでいきたいと思います。
3つ目は、マンション管理業に携わる人々が生き生きと働ける魅力ある管理業界となることです。今申し上げた2つの課題にしっかり取り組みながら、我々管理業業界の役割や長年培ってきた専門性などをお客様によく理解していただき、また、評価していただくことで、業界で働く人々のやりがいにつなげていければと考えています。
皆様のお力をお借りしながら、こうした管理業を取り巻く諸課題に全力で取り組み、業界の発展に少しでも貢献していけるよう鋭意努力してまいります。
今後ともご指導ご鞭撻・ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
結びに、本日お集りの皆様のご健勝、ますますのご活躍をお祈り申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。