RBA OFFICIAL
 

 日神グループホールディングスは5月9日、2025年3月期決算を発表。売上高762億円(前期比5.9%減)、営業利益34億円(同2.3%減)、経常利益30億円(同4.8%減)と2期連続して減収減益となった。

 主力の不動産販売事業は売上高285億円(前期比14.6%減)、営業利益8億円(同57.9%減)。マンションの計上戸数は286戸(同26.5%減)、期末完成在庫は26戸(前期末21戸)。

 2026年3月期業績予想は売上高840億円(10.2%増)、営業利益38億円(同10.2%増)、経常利益34億円(同10.8%増)、純利益23億円(同11.8%増)を見込む。

 

 エスリードは5月9日、2025年3月期決算を発表。売上高947億円(前期比18.0%増)、営業利益145億円(同25.1%増)、経常利益137億円(同21.2%増)、純利益93億円(同24.1%増)と大幅増収増益、売上高・経常利益・純利益は創業以来最高となった。

 セグメント別では、主力の不動産販売事業は売上高657億円(前期比10.4%増)、営業利益は114億円(同12.4%増)。マンションの引き渡し戸数は3,172戸(前期2,644戸)。

 2026年3月期の業績予想は、売上高1,100億円(前期比16.1%増)、営業利益180億円(同23.7%増)、経常利益160億円(同16.4%増)、純利益107億円(同14.7%増)を見込む。年間配当は210円(前期185円)の増配を予定。


 

 

 東急不動産ホールディングスは5月9日、2025年3月期決算を発表。売上高1兆1,503億円(前期比4.3%増)、営業利益1,407億円(同17.1%増)、経常利益1,291億円(同17.0%増)、純利益775億円(同13.2%増)となり、売上高、営業利益、経常利益、純利益は、ホールディングス体制への移行前も含めて過去最高となった。

 セグメント別では、都市開発事業は売上高3,488億円(前期比4.5%減)、営業利益705億円(同32.7%増)。売上高は「Shibuya Sakura Stage」の通期稼働などで増収となったが、「住宅」では投資家向け売却等の減少などにより減収。営業利益は「Shibuya Sakura Stage」の売却益の計上、分譲マンションの粗利益率の改善などにより増益となった。期末のオフィス・商業施設の空室率は0.3%(同4.5P減)と引き続き低水準を維持。分譲マンションの計上戸数は1,006戸(同273戸減)、完成在庫は185戸(同58戸増)、次期売上予想に対する契約進捗率は76%(同2P増)となっている。

 戦略投資事業は売上高1,108億円(前期比2.6%増)、営業利益52億円(同65.9%減)。物流施設などの投資家向け売却等の減少による減収、インドネシアの分譲マンション計上戸数増などによる増収、北米における費用増加などにより増収減益となった。再生可能エネルギー事業は、全施設稼働後の総定格容量(持分換算前)は2,527MW(同699MW増)。

 管理運営事業は売上高3,658億円(前期比1.5%減)、営業利益250億円(同9.6%増)。リフォーム事業の譲渡や、東急スポーツオアシスの全株式譲渡に伴う連結除外などにより減収となったが、東急ステイを中心とした「ホテル」でのインバウンド需要の取込みなどにより増益となった。

 不動産流通事業は売上高3,454億円(前期比21.0%増)、営業利益508億円(同31.8%増)。「売買仲介」は取扱件数、取扱高の増加により、「不動産販売」は大型案件の取込みなどにより増収増益となった。

 2026年3月期業績予想は売上高1兆2,700億円(前期比10.4%増)、営業利益1,530億円(同8.7%増)、経常利益1,315億円(同1.8%増)、純利益850億円(同9.6%増)を見込む。年間配当金は1株当たり42.0円(前期36.5円)の増配を予定し、ROEは10.1%(前期末9.9%)を予想。

三井不動産 分譲マンション売上高・計上戸数・平均価格・完成在庫の推移

年度

売上高

(億円)

計上

戸数

平均価格

(万円)

完成在庫

(戸)

2000 2,210 4,831 4,575 140
2001 2,409 5,333 4,518 175
2002 2,286 5,118 4,467 485
2003 2,542 5,566 4,567 455
2004 2,974 5,130 5,798 490
2005 1,809 4,341 4,167 236
2006 2,024 4,487 4,510 267
2007 2,346 5,240 4,477 453
2008 2,749 5,206 5,281 826
2009 2,565 4,651 5,515 872
2010 2,660 5,455 4,877 638
2011 2,138 4,512 4,739 380
2012 2,362 4,956 4,765 223
2013 2,955 6,557 4,506 170
2014 2,495 4,858 5,136 83
2015 2,534 4,391 5,772 88
2016 2,772 5,200 5,330 321
2017 2,470 3,707 6,663 108
2018 2,522 3,283 7,683 141
2019 2,360 3,194 7,390 128
2020 2,903 3,775 7,689 150
2021 2,067 3,208 6,442 82
2022 2,356 3,196 7,373 55
2023 2,806 3,280 8,554 24
2024 3,776 3,693 10,225 32
2025 4,000 2,800 14,286  

 ※2025年度は同社の業績予想

image002.png

 既報の通り、三井不動産は5月9日、2025年3月期決算を発表。売上高は13期連続、営業利益、経常利益、純利益は3期連続で過去最高を更新した。また、記者は決算発表の2日前の5月7日付で「三井不動産2025年3月期決算 絶好調マンション 計上3,650戸 平均価格1億円超へ」と題する予想記事を書いた。計上戸数は予想より43戸多い3,693戸となったが、平均価格は予想通り10,225万円となった。今期の計上戸数は大幅に減少する見込みだが、1戸当たり平均価格はさらに上昇して14,286万円になる模様だ。

 別表・グラフを見ていただきたい。2016年度は計上戸数5,200戸で、1戸当たり平均価格は5,330万円、完成在庫は321戸だ。その後、計上戸数は減少しているものの平均価格はほぼ上昇の一途で、2024年度の平均価格はついに1億円を突破した。この9年間で2倍近くに上昇したことになる。

 注目すべきなのは、今期の業績予想だ。営業収益は前期比224億円増の4,000億円で、計上予定戸数は前期比893戸減の2,800戸だ。この通りだと、1戸当たり平均価格は4割近くアップの14,286万円になる。

 平均価格が大幅に上昇するのは、同社が幹事会社となっている「HARUMI FLAG SKY DUO」1,455戸(事業比率は未公表)、「パークコート ザ・三番町ハウス」193戸、「パークシティ高田馬場」325戸などの大規模・高額マンションが計上されるからだ。期初の計上予定戸数に対する契約進捗率は88.5%に達しているので、計画通り引き渡しが完了するのは間違いない。

 今期だけでなく、価格上昇は来期以降も続く。 「パークコート青山高樹町 ザ タワー」85戸、「パークシティ中野」807戸、「パークシティ小岩 ザ タワー」731戸、「パークタワー向ヶ丘遊園」241戸などか続々竣工する。

 三井不動産レジデンシャルの販売用不動産は用地取得関係費の期末残高は2.5兆円に上っている。同社だけでなく、大手デベロッパーは軒並み都心部の高額・再開発にシフトしている。野村不動産も総額23,560億円相当分(戸数換算19,760戸)の分譲用地のストックを確保していると公表した。競争は激化するが、よほどの景気変動がない限り、都心部の高額マンション坪単価は3,000万円以上、20坪で10億円以上になると記者は見ている。

 完成在庫について。記者は5月7日付の記事で、「完成在庫数は3Q末の9戸を上回るか下回るかは不明だ。販売戦略上『三田』は未分譲住戸が数十戸ある模様で、そうだとすると〝完成在庫〟としてカウントされる可能性もある」と書いた。期末の完成在庫数は32戸だ。同社はこの32戸に「三田」が含まれているかどうかはコメントしなかった。

 そこで提案だ。完成在庫の定義を変更してはどうか。野村不動産ホールディングスは数年前から完成在庫を「販売中」と「未販売」に分けて公表している(今期末は「販売中」が248戸で、「未販売」は279戸)。同社に倣って「販売中在庫」と「未販売在庫」にわけてはどうか。

三井不動産2025年3月期決算増収増益売上高、営業利益、純利益は過去最高更新(2025/5/10)

三井不動産 2025年3月期決算絶好調マンション計上3,650戸平均価格1億円超へ(2025/5/7)

「HARUMI FLAG」タワー棟第1期573戸平均15.3倍で即日完売坪単価421万円(2023/7/18)

 

 

 三井不動産は5月9日、2025年3月期決算を発表。売上高2兆6,253億円(前期比10.2%増)、営業利益3,727億円(同9.7%増)、経常利益2,902億円(同8.4%増)、純利益2,487億円(同10.8%増)となり、売上高は13期連続、営業利益、経常利益、純利益は3期連続で過去最高を更新した。

 セグメント別では、賃貸は国内外オフィスの賃貸収益や既存商業施設の売上の伸長により売上高8,723億円(前期比573億円増)、事業利益1,764億円(同73億円増)。期末における首都圏オフィス空室率(単体)は1.3%(当第3四半期末の2.5%から1.2pt改善)となった。

 分譲は、売上高7,580億円(前期比1,304億円増)、事業利益1,670億円(同318億円増)。国内住宅分譲は「パークタワー勝どきサウス」「三田ガーデンヒルズ」などの引渡しの進捗等により増収増益。マンション3,693戸(前期3,280戸)と戸建て417戸(同420戸)の計上戸数は4,110戸(同3,700戸)で、1戸当たり平均価格は10,063万円(同8,497万円)となり初めて1億円を突破した。完成在庫はマンション32戸、戸建ては22戸。一方、投資家向け・海外住宅分譲などは前期に高利益率物件を売却した反動などにより増収減益。セグメント全体では1,304億円の増収、318億円の増益となった。国内の新築マンション分譲の次期計上予定戸数2,800戸に対する契約進捗率は88.4%となっている。

 マネジメントは、売上高4,862億円(前期比234億円増)、事業利益716億円(同53億円増)。リパーク(貸し駐車場)における前期比での稼働向上の一方で、システム関係費用の増加などにより増収微減益、仲介・アセットマネジメントなどは、リハウス(個人向け仲介)における取引単価向上・AUMの拡大等により増収増益となった。

 施設営業は売上高2,240億円(前期比295億円増)、事業利益386億円(同122億円増)。ホテル・リゾートのADRが大幅に上昇したことや、東京ドームにおける稼働日数・来場者数の増加などが増収増益に寄与した。

 新築請負・リフォームなどのその他は、売上高2,846億円(前期比13億円増)、事業利益65億円(同24億円増)。

 期末総資産は9兆8,598億円(前期比3,7033億円増)、有利子負債は4兆4,160億円(同143億円減)。

 次期業績予想は売上高2兆7,000億円(前期比2.8%増)、営業利益3,800億円(同1.9%増)、経常利益2,850億円(同1.8%減)、純利益2,600億円(同4.5%増)。売上高、営業利益、純利益は過去最高の更新を見込む。次期年間配当は33円(前期比2円の増配)で、増配は5期連続となる見込み。ROEは8.2%(前期7.95%)を予定。

 

680ee4ae818e8_013.jpg
「ミライネス柏の葉キャンパス」(北道路側から)

 ポラスグループのポラスガーデンヒルズは5月9日、分譲戸建て「ミライネス柏の葉キャンパス」のメディア向け見学会を行った。戸建ての開発が今後加速するとみられる区画整理事業地内に位置する全5戸で、樹木やウッドデッキを配した中庭を取り囲むように配棟し、協定によりフェンスをなくしコミュニティの醸成を図っているのが特徴。

 物件は、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅から徒歩15~16分、柏市正連寺字出山の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全5戸。土地面積は170.00~172.00㎡、建物面積は102.71~112.39㎡、価格は7,490万~7,990万円。構造・規模は在来工法2階建て。建物は5月に完成済み。施工はポラテック。

 昨年9月から予定広告を開始し、今年3月までの問い合わせ件数は約100件、4月から契約を開始し、3戸が成約済み。来場者は約30件で、6割が千葉県居住者。うち半数が柏市内。残りは流山市のほか東京、埼玉、神奈川など。

 現地は、千葉県が施行している約272.9haの柏北部中央地区一体型特定土地区画整理事業地内に位置。周辺は戸建て住宅地で、地区計画により最低敷地面積は150㎡(45坪単価)以上に定められている。

 主な特徴は、全戸敷地面積が50坪以上、全棟ZEH、長期優良住宅、離れ(2戸)、「小路」、「ウッドデッキ」など。

 企画意図について同社設計部シニアマネージャー街並デザイン室室長・松井孝治氏は、「当社グループは街並み景観を大事にしており、それぞれがしのぎを削っている。当社は千葉エリアを担当しており、今回はプラスαの取り組みとして家と外を一体的に設計し、コミュニティを育む境界レスとしたほか、『離れ』を2戸設けるなど豊かな空間を演出した」と語った。

 また、同社ガーデンヒルズ事業部設計部企画設計室1係係長・水野貴裕氏は、「用地は2年前に取得。テーマは光と緑とコミュニティ。南側の3戸は前建の視線を気にされる方もいるので、中庭はあえて中央に配し、住戸間のフェンスもなくしコミュニティに配慮した」と話した。

 販売担当の同社ガーデンヒルズ事業部ウッドガーデン事業所営業課課長・石田和広氏は、「周辺はハウスメーカーの停止条件付宅地分譲が多く、土地代だけで5,000~6,000万円している。建売りは差別化を図れるかどうかが課題。価格は値ごろ感があり、完全ZEHとし、中庭や『離れ』の提案がお客さまから高い評価を頂いている」と語った。

680ee4ae818e8_012.jpg
中庭

IMG_6450.jpg
南道路の住戸から

IMG_6461.jpg
中庭

IMG_6463.jpg
離れ

IMG_6464.jpg
ウッドデッキ空間

◇        ◆     ◇

 ポラスグループの〝コモン〟を演出した分譲戸建てはかなり見学している。今回も差別化は図られていると思う。気になったのは、同社の建売りとは真逆の、街並みの統一感などまるでない周辺の停止条件付きと思われる住宅街だった。敷地面積だけでも100坪はありそうな豪邸もあれば、敷地全体がコンクリで固められている住宅もあった。

 購入した土地にどのような建物を建てようと勝手ではあるが、建物と外構・街並みは不可分だ。柏市の地区計画では1低層の敷地面積は最低150㎡(45坪)確保するよう求めているが、緑化基準はまったくない。ハウスメーカーもまたそれに倣ったのだろう。

 今後、区画整理事業地内では大量の住宅が建設されるのだろうが、てんでんばらばらの街にならないか心配になった。行政もハウスメーカーも美しい街並み形成にもっと力を入れるべきだ。

 

三井不動産 分譲マンション売上高・計上戸数・平均価格・完成在庫の推移

年度

売上高

(億円)

計上

戸数

平均価格

(万円)

完成在庫

(戸)

2000 2,210 4,831 4,575 140
2001 2,409 5,333 4,518 175
2002 2,286 5,118 4,467 485
2003 2,542 5,566 4,567 455
2004 2,974 5,130 5,798 490
2005 1,809 4,341 4,167 236
2006 2,024 4,487 4,510 267
2007 2,346 5,240 4,477 453
2008 2,749 5,206 5,281 826
2009 2,565 4,651 5,515 872
2010 2,660 5,455 4,877 638
2011 2,138 4,512 4,739 380
2012 2,362 4,956 4,765 223
2013 2,955 6,557 4,506 170
2014 2,495 4,858 5,136 83
2015 2,534 4,391 5,772 88
2016 2,772 5,200 5,330 321
2017 2,470 3,707 6,663 108
2018 2,522 3,283 7,683 141
2019 2,360 3,194 7,390 128
2020 2,903 3,775 7,689 150
2021 2,067 3,208 6,442 82
2022 2,356 3,196 7,373 55
2023 2,806 3,280 8,554 24
2024        

 

image002.png

 三井不動産の2025年3月期決算が5月9日に発表される。同社が2024年5月発表した期末業績予想では、賃貸・分譲・マネジメント・施設営業セグメントで事業利益は過去最高となる見通しだ。記者が注目しているのは国内分譲マンションだ。今後、上場デベロッパーの期末決算が発表されるが、同社の数値が飛びぬけて高くなりそうだ。

 同社の2025年3月期3Q決算では、国内分譲マンションは売上高2,008億円、計上戸数2,150戸、1戸当たり平均価格9,340万円、完成在庫9戸(戸建ては25戸)となっている。期末では三菱地所レジデンスとのJV「三田ガーデンヒルズ」1,001戸(事業比率は非公表)が計上されることになり、同社予想では売上高3,800億円、計上戸数3,650戸となっている。戸建てを含む国内分譲事業の売上高は4,200億円(戸建て400億円)、計上戸数は4,100戸(戸建て450戸)、営業利益は960億円、営業利益率は22.9%を予定している。

 この通りだと、マンションの売上高は前期比35.4%増となり、2000年度以降で最高だった2004年の2,974億円を1,000億円近く上回ることになる。1戸当たり平均価格は、2000年以降で最高だった2023年度の8,554万円を上回り1億円を突破することになりそうだ。平均価格が1億円を突破するのは業界初となる。

 完成在庫数は3Q末の9戸を上回るか下回るかは不明だ。販売戦略上「三田」は未分譲住戸が数十戸ある模様で、そうだとすると〝完成在庫〟としてカウントされる可能性もある。いずれにしろ、予定していた計上戸数3,650戸をクリアし、平均価格が1億円を突破しても〝売れ残り〟を出さない-こんなことはかつてなかった。

 過去の数値を見てみると、リーマン・ショックの影響を受けた2009年度は計上戸4,651戸に対して完成在庫は872戸で、在庫率は18.7%に達していた。戸建てを含む住宅事業の営業利益率は3.8%だった。

 

 大東建託は5月2日、2025年3月期決算を発表。売上高1兆8,423億円(前期比6.4%増)、営業利益1,188億円(同13.4%増)、経常利益1,294億円(同19.1%増)、純利益938億円(同25.7%増)と大幅増収増益となった。

 セグメント別では、建設事業は工程の順調な進捗と、施工量平準化などにより完成工事高は5,409億円(同9.9%増)、営業利益は471億円(同63.1%増)となった。完成工事総利益率は価格改定効果の寄与により前期比1.9ポイント増加の25.3%となった。 

 不動産賃貸事業は、一括借上物件の増加を背景に家賃収入が増加したことや「連帯保証人不要サービス」による収入拡大などにより売上高1兆1,646億円(同3.1%増)、営業利益803億円(同2.1%減)となった。入居者斡旋件数は、前期比2.1%増の344,855件。2025年3月末の家賃ベース入居率は97.8%(同0.1ポイント減)。

 不動産開発事業は、投資用マンションや買取再販事業が好調に推移したことにより売上高513億円(同64.8%増)、営業利益51億円(同142.0%増)となった。

 2026年3月期業績予想は、売上高1兆9,700億円(前期比6.9%増)、営業利益1,250億円(同5.2%増)、経常利益1,270億円(同1.9%減)、純利益900億円(同4.1%減)をそれぞれ見込んでいる。

◇        ◆     ◇

 同社が当日午後行った決算説明会をZoomウェビナーとして視聴した。時間は約1時間30分。事前に決算短信、説明会資料を読み込んでいたのでとても分かりやすかった。

 説明会に参加したアナリスト、メディアの関心の対象が異なるので当然だが、質疑応答ではROE20%、賃貸事業の利益率の減少、不動産開発事業の見通し、トランプ関税リスク、労務費・運搬費上昇、M&A、技術者の確保・育成など多岐にわたった。

 記者は、デザイン性の優れたマンションを供給してきたアスコットの役割に関心があるのだが、同社代表取締役社長執行役員CEO・竹内啓氏は「レジデンス、ホテル、物流などへの不動産投資残高は2025年3月期末で1,945億円。前期の58億円から大幅に増加した。このうちアスコットへの投資は約500億円。投資案件に対する出口もほぼ固まっており、今期は売上高1,300億円、利益は140億円を予定している。近い将来、コア事業の賃貸に続く第2の柱に育てる」と語った。

 もう一つ注目したのは、中期経営計画に対する取り組みで、社会課題解決型施設の建設は2023年度4施設7億円から2023年度は67施設147億円に伸ばしたことだ。〝大東建託グループらしい街づくり〟事例として千葉市との連携プロジェクトを紹介した。

 この他、建設・賃貸事業では価格転嫁ができ、空き家などのリスクも少ない大都市圏に人材を集中させるため、今年1月に営業拠点を約3割削減したと語った。一方で、営業担当者数は期末計画で3,000人(前期比30人増)とし、5年前から取り組んでいる外国人技術者の育成では約560人の実績があることを明らかにした。

 M&Aについては「成長するために時間を買うというスタンス」と答え、販管費の1,969億円(売上高販管費率10.7%)の削減は課題の一つであることも明らかにした。

 記者は、セーフティネット住宅制度について質問したかったのだが、場違いだと考え質問を控えた。2024年3月末現在、全国のセーフティネット住宅の登録戸数は895,982戸で、同社が管理する登録戸数は855,483戸、比率は95.5%に達している(現在の全国登録戸数は947,595戸)。同社が管理する賃貸住宅は高齢者や外国人だからといって入居を拒否しないそうだ。

セーフティネット登録住宅90万戸の96%は1社に集中氷解した疑念と深まった謎(2024/3/28)

 

 

Screenshot 2025-05-01 at 11-29-56 2025_05_01.pdf.png

ナイスは51日、全国有数の設備を備えた製材工場が竣工し、稼働を開始したと発表した。連結子会社のウッドファースト(本社:徳島県小松島市)の敷地内に建設してきたもので、製材された板材(ラミナ)は大倉工業(本社:香川県丸亀市)に供給される。

工場は、構造用集成材の材料となる板材(ラミナ)を製造する工場で、製材棟、加工棟の2棟で構成。製材棟は、原木の最大径60㎝まで投入できる自動製材設備を設置しており、また、全自動ループ機能により送材と加工を繰り返しながら無人で効率的に板材を生産するツインバンドソーを組み合わせた製材ラインになっており、全国でも有数の設備を備えた製材工場となる。424日に竣工式が行われた。製材は、協定に基づき大倉工業へ供給される。

日本木造住宅産業協会の「木造軸組工法住宅における国産材利用の実態調査」によると、住宅供給会社における国産材使用割合が50%を超えている一方、横架材については9.5%と著しく低い水準にとどまっている。同社は、横架材における国産構造用集成材の提案強化に努めることで、国産材の利用拡大への貢献を目指す。

Screenshot 2025-05-01 at 11-23-10 全国有数の設備を備えた製材工場が竣工、稼働開始| ナイス株式会社.png

 

image002.png 

先に紹介したように、令和6年度の住宅着工戸数がまとまった。首都圏マンションは53,599戸(前年度比11.2%増)で、都県別は東京都29,630戸(同22.0%増)、神奈川県13,524戸(同5.5%増)、埼玉県4,902戸(同25.1%減)、千葉県5,543戸(同21.8%増)となった。

一方、不動産経済研究所(不動研)は先に令和6年度の首都圏新築分譲マンション市場動向をまとめ発表。これによると、発売戸数は22,239戸(前期比17.0%減)で、過去最少だった1975年度の25,723戸を下回り、1973年の調査開始以来最少となり、販売在庫数は前期比455戸増の6,116戸となった。メディア各社もこれをコピペして〝市場縮小〟を印象付ける記事を書いた。

しかし、これを鵜呑みにするのは危険だ。別表・グラフで示したように、不動研のデータは首都圏市場全体の41.5%しか捕捉(カバー)していない。東京、神奈川は30%台であるのに対し、埼玉、千葉は70%前後だ。実勢を全然反映していない。捕捉率(カバー率)かこれほど低いのは、ここ数年、大規模再開発や建て替えマンション比率が高まり、寡占化が進む大手デベロッパーの情報収集力・資金力にものを言わせた戦略が劇的に市場を変えている。インナー(クローズド)が激増している。

いくつか事例を示そう。まず、再開発・大規模マンションの販売動向について。例えば積水ハウス他「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE(ザ ノースレジデンス)」。メディアは最高価格が25億円(305㎡、坪単価2,687万円)に注目したが、記者は「全然驚かなかった」。それより全484戸のうち実に半数以上の248戸が一般分譲されなかったことに驚いた。

いま人気になっている野村不動産他「URAWA THE TOWER」も全525戸のうち非分譲は45%の234戸に達している。同社は先日、都心エリアでの分譲マンションの供給数を拡大すると発表したが、そのリリースの中で「都心エリアでの高額分譲マンションとして 202410月に『プラウド神宮前』が竣工いたしました。本物件は、明治神宮の緑を望む立地に所在し、隈研吾氏監修の商品企画による外観デザイン・空間設計…順調に販売が進捗いたしました」とあるのだが、記者は全然知らなかった。全76戸がインナー販売された模様だ。

このように一般には公開・販売されないマンションは年間数千戸に達している可能性がある。

次に、建て替えマンションについて。以下は、記者が取材した主な建て替えマンションの戸数と非分譲住戸の戸数を示したものだ。

・「アトラスシティ千歳烏山グランスイート」248戸(非分譲104戸)
  ・「プロミライズ青葉台」761戸(地権者住戸205戸)
  ・「パークホームズ初台 ザ レジデンス」115戸(一般販売対象住戸65戸)
  ・「クレヴィア渋谷富ヶ谷」35戸(事業協力者住戸13戸)
  ・「プレミストタワー白金高輪」280戸(非分譲住戸127)
  ・「アトラス四谷本塩町」51戸(非分譲23戸)
  ・「ザ・パークハウス早稲田」115戸(事業協力者住戸36戸)
  ・「プラウドシティ阿佐ヶ谷」575戸(権利者住戸188戸)
  ・「ONE AVENUE(ワンアベニュー)一番町文人通り」32戸(事業協力者住戸10戸)
  ・「桜上水ガーデンズ」878戸(非分譲364戸)

以上、10物件の全戸数は3,088戸で、分譲されたのは63.5%、1,960戸となっている。また、旭化成不動産レジデンス「マンション建替え 調査報告書」によると、2024 3月末時点の同社の建て替え事例48物件の区分所有者の再取得率は60%となっている。

これらの結果から、建て替えマンションの約4割は非分譲になっているものと思われる。首都圏で年間どれくらいの建て替えマンションが分譲されているかわからないが、相当数に上っているはずだ。

さらにまた、不動研の調査対象外となっている専有面積が30㎡未満の物件も、このところの投資需要の高まりで年間数千戸が供給されている。これも不動研のカバー率を低くしている要因の一つだ。

完成在庫についても指摘したい。不動研の完成在庫を新規供給数で割ると在庫率は27.5%だ。常識的に考えれば、新規供給量の27.5%が在庫になったら利益は吹っ飛ぶ。危機的ラインだ。しかし、上場デベロッパーのマンション事業は軒並み好調だ。例えば三井不動産。同社の20253月期3Qのマンション販売戸数は2,150戸だが、完成在庫はわずか9戸しかない。同社は公表していないが、粗利益率は30%を超えるはずだ。

ただし、不動研の完成在庫数を着工戸数で割ると11.4%になる。これはまずの数字ではないか。価格先高観が強まっている現状を考えれば、よほど商品企画が劣っていない限り、値引き販売、赤字販売は避けられるはずだ。

以上見たように、着工戸数と不動研の調査データの乖離を関係者も一般の方もきちんと認識することが必要だ。でないと市場を見誤ることになる。

令和6年度住宅着工81.6万戸 持家3年ぶり増加 首都圏マンション11%増の5.3(2025/4/30

令和6年の住宅着工79万戸 2年連続減/供給÷着工=カバー率45(2025/1/31

業績好調なのに供給減 売れ行き悪化 在庫率30%の不思議 2024年首都圏マンション(2025/1/24

マンション供給減=市場縮小ではない 戸建ても底入れ・回復へ 今年の分譲住宅市場(2025/1/6

全て疑ってかかれ メディア・リテラシーの基本原則を忘れていないか(2022/12/5

マンションの質の退行・劣化、着工戸数の捕捉率、新築・中古の価格などを考える(2022/9/5

 

 

 

5 / 389
 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン