床暖房もタオル掛けもなし 経済設計の極み それでも海好き惹きつける 相鉄不「平塚」

「グレーシア湘南平塚海岸」
中央日本土地建物「バウス平塚」を取材したあと、相鉄不動産がほぼ同時期に分譲開始した「グレーシア湘南平塚海岸」を見学した。中央日土地の物件が駅の傍なら、こちらは目の前がすぐ海。〝贅肉〟をそぎ落としたコンセプトが奏功したか、全100戸のうち海側の29戸を中心に33戸に〝赤いバラ〟が付いていた。
物件は、JR平塚駅から徒歩17分(平塚駅からバス6分、徒歩2分)、平塚市龍城ケ丘4丁目の第一種中高層住居専用地域に位置する5階建て全100戸。専有面積は62.99~88.84㎡、価格は2,900万円台~5,600万円台(最多価格帯3,900万円台。現在分譲中の住戸(40戸)の坪単価は196万円(全体予定は175万円)。竣工予定は2023年1月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
現地は、元公務員宿舎。目の前の防砂林-道路(橋)を渡るとすぐ海(表示は海まで3分)。海岸では、防砂林を伐採する計画に反対する地域住民がいるため着工は中断されているが、市民協働の森、レストラン、スポーツフィールド、カフェなどからなる「湘南海岸公園龍城ヶ丘ゾーン整備計画」がある。
建物は、コの字型で、海側の南向きが50戸、東向きが32戸、西向きが18戸。主な基本性能・設備仕様は直床、リビング天井高2480ミリ(最上階は2450ミリ)、良水工房など。床暖房はなく、浴室タオル掛け、食洗機などはオプション。間口6m以下も40戸ある。共用施設としてカームラウンジ、シェアストレージ、オーシャンビューテラスなど。南向き1階住戸には約12㎡のテラスと約10㎡の専用庭付き。
今年3月から分譲開始し、これまでに南向き29戸(分譲中の21戸の坪単価222万円)、東向き2戸(分譲中の12戸の坪単価154万円)、西向き2戸(分譲中の7戸の坪単価201万円)、合計33戸が成約済み。
販売担当者によると、予想以上の売れ行きで、購入者は海好きの人が多く、他社物件との競合は少ないという。

海に渡る橋の上から現地を写す

眼前の海は遠浅になっていないので遊泳禁止とか(泳げるところまでは10分くらいとか)
◇ ◆ ◇
相鉄不動産といえば、今年1月、坪単価717万円でも圧倒的な人気を呼んでいる「THE YOKOHAMA FRONT」(ザ ヨコハマ フロント)を見たばかりだ。
大激戦の「平塚」はどんな商品企画で勝負するのだろうとわくわくしながらモデルルームを見た。あにはからんや。その〝シンプルさ〟に唖然茫然するほかなかった。
これまでもこの種の経済設計のマンションを見学したことはあるが、今回はその極みだ。地域の需要ニーズを熟知するデベロッパーと、設計・施工のプロでしかなしえない技だ。コンセプトを明確に打ち出し、ターゲットを絞り込めば〝売れる〟ことを示した好例ではないか。
単価設定にもうなってしまった。海に面した側でも、前面の砂防林のマツも高さは5層分あり、最上階でも海が見えるかどうかは微妙とのことで、それほど高値に設定していないが、海の眺望が望めない東向き、西向きは価格を極端に低く設定している。
そこで小生は考えた。海の映像をカメラに、波の音を収音マイクに収め、室内にリアルに画像とともに音を楽しめるようにしたらどうだろう。その費用はどれくらいか分からないが、そうすれば価格をもっと上げられると。
太陽光を採光し、居室内に照らし出すシステムを採用すればマンションの値付けを劇的に変えられるとずっと昔から思っているのだが…。

敷地西側の道路を挟んだ防砂林
9物件1,100戸超の大激戦地に〝参戦〟 中央日土地「バウス平塚」(2022/4/13)
相鉄不・東急 横浜駅直結タワマン 第1期129戸完売 坪717万円「嫌悪施設」影響なし(2022/1/26)
9物件1,100戸超の大激戦地に〝参戦〟 中央日土地「バウス平塚」

「バウス平塚」
中央日本土地建物は4月12日、JR平塚駅から徒歩2分のマンション「バウス平塚」(118戸)のメディア向け見学会を行った。同駅圏では現在、同社物件含めて9物件、トータルで1,170戸の物件が分譲されている大激戦地で、同社は最後発。3月に供給した第1期30戸のうち約20戸を成約。「順調」な滑り出しのようだ。
物件は、JR平塚駅から徒歩2分、平塚市錦町の商業地域に位置する10階建て全118戸。現在先着順で分譲中の住戸(8戸)の専有面積は44.88~77.38㎡、価格は3,150万円~5,780万円。坪単価は230万円。竣工予定は2023年6月下旬。売主は同社(事業比率95%)のほか三信住建(同5%)。施工はファーストコーポレーション・三信住建共同企業体。販売代理は東急リバブル。
現地は、温浴施設跡地。三信住建が用地を取得した。敷地は東側と西側の2方道路に接道。建物外観は日本の御屋敷をコンセプトに木・石・土をイメージした素材を多用、エントランスは石積みとし、低層部は格子デザインを採用している。
住戸プランは東向きと西向きの2列配置で、1LDK~4LDKまで10タイプ。平均収納率を11.25%確保、クックパッド(cookpad)と共同開発したシステムキッチン「BAUS×cookpadコラボキッチン」を初採用しているのが特徴。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、物干しポール、浴室タオル掛け1か所など。
同社経営企画部総括次長 経営企画部広報室長・鈴木高廣氏は、「2016年にマンションブランド『BAUS(バウス)』を立ち上げ、供給ランキングの末席に名を連ねようと年間500戸を目標に展開してきたが、2019年から本格的に戸数が積みあがってきた。年間1、2回は内覧会などを行っていきたい」と語った。
同社住宅事業部総括次長・青木一浩氏は、「ブランドの由来である基本・基盤を意味するBasisを大切にし、丁寧な家づくり、品質にこだわって差別化を行ってきた。今年度は450戸、来期は540戸の目途が立った。500戸を安定的に供給していく」と話した。
物件の計画を担当する同社住宅事業推進第一部副長・能勢暁人氏は、「1月から集客を開始し、この2カ月半で来場は約200組。デザイナーを起用し、Cookpadとコラボしたシステムキッチンを採用するなどの差別化を図った。平塚駅圏では現在、9物件が分譲されており在庫は600~700戸と予測されるほどの激戦地で、〝第1期は20戸の壁〟があったが、第1期は30戸供給し、20戸を成約するなど何とかこの壁をクリアできた。順調な滑り出し。地元が4割で、75%が県内」と語った。

「パパっとニッチ」付きの「BAUS×cookpadコラボキッチン」

エントランスラウンジ
◇ ◆ ◇
同社はもっとも好きなデベロッパーの一社だ。バブル期でも浮利を追わず、「鴨居分譲地」「横浜白山分譲地」「戸塚台分譲地」「横浜あずま野分譲住宅」など、いかにも銀行系と頷ける良好な戸建て住宅地を開発してきたからだ。バブル崩壊で多くの銀行・証券会社系デベロッパーが市場から退場を余儀なくされた中で、同社が生き延びられたのもそのような企業姿勢を貫いてきたからだ。
だから、後発だからこそ同業と一味も二味も異なる商品を供給してくれるのではないかと、「BAUS(バウス)」にも注目している。
今回の「平塚」の77㎡のモデルルームはよくできていると思う。間口は7700ミリと広く、「BAUS×cookpadコラボキッチン」では、他社も似たようなものを開発しているが、キッチン用具を収められる高さ35センチの「パパっとニッチ」がいい。
ひとつだけ気になったのは水回りだ。浴室のタオル掛けは1か所だけだが、ファミリー層をターゲットにするのであれば2か所は必須で、洗濯機の上部にはハンガーが掛けられる収納を設けるべきだ。細かいことだが、消費者はこのようなきめ細かな、かゆいところに手が届く配慮に感動を覚える。
さらに言えば、今後の展開を考えると、年間500戸体制を支える販売部隊を強化すべきではないか。どことは言わないが、自前の販売部隊を持たない大手(系)は市況に流されやすい。ユーザーの声を直に聴くのと販売会社から間接的に聴くのとでは全然異なる。販売スタッフを通じて全社員が課題・問題を共有できるからこそ次に生きてくる。

タオル掛けは1か所

建設現場
中央日土地グループ2021年4月1日付で7社体制へ 事業別子会社再編(2020/12/18)
一戸当たり土地持ち分67㎡ 日土地ほか「バウス武蔵境」 悩ましい都市計画道路(2019/9/11)
驚嘆のアート・オフィス・デザイン 東京に新名所 日土地他「京橋エドグラン」誕生(2016/11/24)
設備仕様レベルはトップクラス 日土地「武蔵野富士見 ザ・レジデンス」(2015/12/10)
日土地 マンション事業本格参入 年間500戸から1,000戸体制へ(2015/10/6)
音楽好きにはたまらない 日土地がシェアハウス「シェアリーフ西船橋グレイスノート」公開(2014/2/19)
「日土地虎ノ門ビル」竣工 浮利を追わず、環境にかける同社の矜持を見た(2013/12/18)
日土地 次世代制震装置装備の「高井戸」1期即完(2013/6/4)
希少の海に近い1低層 水準以上の基本性能・設備仕様 大和地所レジ「茅ヶ崎東海岸」

「ヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸」
大和地所レジデンスが分譲中の「ヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸」「ヴェレーナシティ藤沢」「ヴェレーナグラン湘南藤沢」を見学した。3物件とも同社の〝十八番〟である「OPEN AIR LIVING」を盛り込んでおり、売れ行きも好調。同社は、毎年1,000戸前後を供給しても完成在庫を出さないことで知られているが、その理由は商品企画にあることを改めて学んだ。
まず、同社の最上位の〝グラン〟を冠した「ヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸」を紹介する。
物件は、JR茅ケ崎駅から徒歩15分、茅ヶ崎市東海岸南四丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する敷地面積約8,236㎡、地上4階・地下1階建て全111戸。専有面積は53.89~100.38㎡。現在先着順で分譲中の住戸(5戸)の専有面積は68.57~75.75㎡、価格は5,098万〜6,158万円。平均坪単価は280万円。竣工予定は2023年2月下旬。設計・監理は恒企画。施工は馬淵建設。
昨年10月から販売を開始しており、これまでに約7割を成約。地元居住者は約2割で、世田谷、中央、目黒、港区など都内が約5割を占めるなど広域から集客できているのが特徴だ。
現地は、第一種低層住居専用地域に指定されているように良好な戸建て住宅街の一角にあり、明治時代から地元の人によく知られていた噴水や池もあった別荘地跡地。同社は相対で用地を取得したが、豊富な湘南エリアでの供給実績がオーナーに評価されたという。
建物はロの字に近い回廊型で、周囲の地盤面より約1700ミリ高く整地したうえ、ユーロデザインを採用。サーフボード置場やシャワーブース、屋上スカイラウンジ、シーズンズガーデン、パーティーラウンジ、キッズルーム、アクアパティオなどの共用施設を整備し、100㎡プラン、奥行き4mバルコニー、ルーフバルコニー、屋上バルコニー、専用庭付きプランなど63タイプを提案。敷地北側には既存樹のマツも一部残している。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高約2440~2580ミリ、メーターモジュール廊下幅、御影石キッチン・洗面カウンタートップ、食洗機、大理石玄関床(プレミアム仕様)、ミストサウナ、タオル掛け2か所など。全開口サッシ・オープンエアリビング付きは21戸、オープンエアバルコニー付きは7戸。最上階住戸は逆梁ハイサッシを採用している。

モデルルーム

オープンエアリビングバルコニー

モデルルーム(趣味室の提案)
◇ ◆ ◇
坪単価は高いような気がしたが、最近の湘南エリアのマンションは価格がどんどん上昇しており、基本性能・設備仕様レベルは間違いなく水準以上だ。物件案内をしていただいた同社担当部長・星山淳吉氏とマンションギャラリー課長・松浦敬冶氏は「このところ販売スピードが上がっている」と話したように、購入検討者も周辺物件と比較して、エリアで希少の1低層のランドスケープデザインを含めてこの物件を選択しているのだろう。
もう一つ、これも人気の要因の一つと思われる「茅ヶ崎東海岸」に近いということだ。両氏には車で建設現場と現場から徒歩8分の茅ヶ崎海岸も見せていただいた。茅ヶ崎海岸に出たのは初めてだったが、防砂林の役割の大きさを知った。海岸沿いに走る国道の騒音はほとんど聞こえなかった。時間がゆったりと流れ、潮の香りと寄せては返す悠久の波を満喫した。次の「藤沢」の取材がなければ、丁重にお礼を言ってお別れを告げ、ビールでも飲みたかった。
この市民のプライベートビーチともいうべき海岸に近いというのも購入検討者を惹きつけたのだろうし、エリア一帯の地盤は固く、工事は直接基礎工法で済み、市の津波ハザードマップでも現地の「浸水深」はそれほどでないことも後押ししたのに違いない。(同マンションは津波避難ビルに指定されている)

タオル掛け2か所

建設現場
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これまでも何度も書いてきたが、記者は現場を見ないと成長・自立できない。成長・自立できなければ、いつお払い箱にあっても不思議でない不安定な立場に置かれていることを自覚すべきだ。事大主義に凝り固まり、プロパガンダのプレス・リリースのコピペ記事ばかり垂れ流してどうする。
記事の冒頭に、同社は毎年1,000戸前後を供給して完成在庫を出さないとも書いた。ジャーナリストを自称する貴殿または貴女、あなたはその理由を知りたくないのか。同社のモデルルームなどの販売現場を見ないと、その理由をつかむことは絶対できないだろう。

茅ヶ崎海岸沿いに走る国道(中央には富士山が見えたが、カメラは捉えていない)

茅ヶ崎海岸
大和地所レジ 茅ヶ崎の1低層で111戸 モデルルームオープン(2021/9/3)
3月の中古マンション 単価、価格の上昇続く 成約は大幅減少 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は4月10日、首都圏の2022年3月の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は前年同月比19.5%減となり、3か月連続で前年同月を下回った。成約坪単価は10.8%、成約価格は8.4%それぞれ上昇し 単価は23か月連続、成約価格は22か月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年同月比2.2%縮小した。
成約件数3,405件(前年同月比19.5%減少)を都県別にみると、東京都は1,806件(同18.7%減)、神奈川県は802件(同21.9%減)、埼玉県は392件(同19.3%減)、千葉県は405件(同18.0%減)といずれも大幅に減少した。
坪単価216万円(前年同月比10.8%上昇)を都県別にみると、東京都は291万円(同11.3%上昇)、神奈川県は165万円(同8.3%上昇)、埼玉県は134万円(同20.6%上昇)、千葉県は116万円(同12.3%上昇)。
成約価格4,158万円(前年同月比8.4%上昇)を都県別にみると、東京都は5,145万円(同6.4%上昇)、神奈川県は3,403万円(同8.1%上昇)、埼玉県は2,777万円(同21.5%上昇)、千葉県は2,582万円(同11.8%上昇)。
このほか、成約専有面積は63.58㎡(前年同月比2.2%減)となり、10か月連続して減少。在庫坪単価は240万円(前年同月比14.5%上昇)となり、50か月連続で前年同月を上回った。
中古一戸建ての成約件数は1,286件(前年同月比21.1%減)、成約価格は3,741万円(同7.9%上昇)、土地面積は138.91㎡(同3.5%減、建物面積は103.96㎡(同0.5%減)となり、価格は17か月連続で前年同月を上回った。
“シブシブ ノ シブヤ”展4/17まで 三井不のホテル「sequence MIYASHITA PARK」

〝“シブシブ ノ シブヤ〟(プレス・リリースから)
三井不動産ホテルマネジメントが運営する「sequence MIYASHITA PARK」は4月17日まで、渋谷教育学園渋谷高等学校(通称:渋渋)の2年生有志学生チームの企画展“シブシブ ノ シブヤ”を開催している。
企画展は、「渋渋」の2年生4人組54名が学校のカリキュラムの一環として行うもので、ホテルロビー内には1人ひとりの「自分の好きな渋谷の写真と好きな理由」と「渋谷の未来に向けての想い」を描いたA4サイズのパネルが展示されている。

展示
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どのような企画展かを確認するために「MIYASHITA PARK」に出かけた。同公園を訪ねるのは開業して間もない2020年の9月以来4度目だった。
この日はウイークデイの昼前ということもあってか、これまでと比べて人出は少ないように感じた。それでも若い人を中心にホテルで仕事をする人や公園でくつろぐ人、レストランで食事をする人の姿がたくさん見られた。
「渋渋」は初めて聞く言葉で、企画意図もよく分からなかったが、一つコメントを紹介する。「ココに女の子を連れていけばイチコロっていうデートスポットをあれば教えてほしい!」-小生は学生時代、この宮下公園の星空を見上げながら彼女との永遠の愛を誓った。当時は渋谷の夜は星が見えた。
帰りに3階にある「渋谷ワイナリー東京」に立ち寄った。白の渋谷ワイナリー「甲州」と深川ワイナリー「甲州」を飲み比べた。「渋谷」は渋みが刺激的で、「深川」はこれぞブドウという味が口内に広がった。ソムリエの方は「『渋谷』は縦に『深川』は横に広がる」と説明してくれた。「甲州」は90mlで700円。

「渋谷ワイナリー東京」
若い人で溢れかえる 「立体都市公園制度」を活用した三井不「MIYASHITA PARK」(2020/9/6)
日・韓・台・泰・越南…多国籍飲食街 黒白迫り京王カラーもかすむ「ミカン下北」

「ミカン下北」
京王井の頭線下北沢駅の高架下に3月30日に開業した京王電鉄の商業施設「ミカン下北」を見学した。駅の構内外は電車ラッピング、中吊りポスター、ホームドア、表示看板、改札、駅事務室まで「ミカン下北」のブランドカラーであるモノクロに染まり、何だか多国籍・無国籍の飲食街に迷い込んだかの錯覚を覚える。プロジェクトコンセプトの「ようこそ。遊ぶと働くの未完地帯へ。」が具現化されている。

駅のホーム
施設の敷地面積は約2,420㎡、2~5階建て延べ床面積約5,310㎡。A・B・C・D・E5街区から構成されており、下北沢カルチャーを感じさせる個性的な19の店舗が整備された。E街区は「本多劇場」に隣接。
開業を記念して同社はキャンペーン「未完祭」を展開しており、使い古しのビデオテープか白黒フィルムのような黒い線が駅構内の床や壁、天井など至るところに縦横無尽に走り、その線に沿い、あるいは交差するように「ミカン下北」のロゴマーカーや白抜き・黒抜きのデザイン化されたコピーが駆け抜けている。
もう40年以上も京王線に住み、すっかり心に沁み込んでいる京王電鉄のコーポレートカラーの京王ブルー、京王レッドはすっかりかすみ、添え物か引き立て役に回っているのに衝撃を受けた。右か左か、生か死か、小田急に負けていいのかと黒白を迫られているような気分に陥り、モノトーンの異様な世界に引きずり込まれたような錯覚を覚えた。
店舗も同様だ。わが国の居酒屋「下北六角」をはじめ韓国料理「ハヌリ」、台湾屋台料理「ダパイダン105」、ベトナム(越南)屋台料理「チョップスティックス」、タイ(泰)屋台料理「タイ屋台999(カオカオカオ)」などまるで多国籍・無国籍の飲食街のような佇まいで、記者に馴染みがあるのは本・雑貨・カフェラウンジの「TSUTAYA BOOKSTORE」くらいだ。
このほか、古着・雑貨の「東洋百貨店 別館」、グルメバーガー「Island Burgers」、ワインショップ・バー「下北沢ワインショップ・Bar FAIRGROUND」、ラーメン専門店「楽観」、ベーカリー&カフェ「THE STANDARD BAKERS」、大衆ビストロ「大衆ビストロハルタ」などが軒を連ね、コワーキングスペース、シェアオフィス、スモールオフィスからなる「SYCL by KEIO」や図書館窓口サービス「図書館カウンター」も整備されている。
訪れたのは開業したばかりの4月上旬ということもあるのだろうが、来街者でごった返していた。小生は「TSUTAYA」の60分飲み放題のアルコールプラン1,540円(税込み)を利用し、大好きな丸山健二氏の小説を読みながら、生ビールと林農林の「五一わいん カップワイン 白120ml」を3本飲み、つまみのチーズも食べた。
席は自由だったが、ほぼ満席でみんな仕事なのだろうノートパソコンに夢中になり、中にはパソコンに向かってしゃべっている人もいた。(TSUTAYAさん、利用者の目的はみんな異なる。小生は黙って飲んだが、杯を重ねるのは気が引けたし、パソコンに向かってしゃべる人の声はよく聞こえる。用途によって区切りをつけるべき)
この他、施設は一通り見て回った。「ミカン」は柑橘類ではなく「未完」の意味で、「下北沢カルチャーを感じさせる物販店と、商業施設への出店自体が稀有な人気飲食店を中心とした商業エリアに、『遊ぶように働く』を体現するワークプレイスが同居した、遊ぶと働くが混ざる新しい下北沢の形を提案する施設」「出店するテナントの、試行錯誤をしながら新たなものを生み出そうとする後ろ姿=『企む背中』をキーヴィジュアルとし、『実験』というキーワードをモノトーンのストイックな世界感で表現」(京王電鉄リリース)したという狙いもよく分かった。デザインを担当したDRAFT・山下泰樹氏もしてやったりと思っているはずだ。
世田谷区は現在、秩序ある街並みの形成を図るため約25haにわたるエリアを「下北沢駅周辺 地区計画」に定め整備方針を示し、小田急電鉄も線路の地下化に伴う約2.7haの「下北線路街」などの街づくりを進めている。
今回の挑発的な「ミカン下北」が小田急電鉄への挑戦状ではなく、共栄共存を目指すものであることを願いたい。タイ屋台料理店スタッフは「うちが一番たい」と話したが、小田急線の「シモキタ エキウエ」にはタイ料理店もある。大丈夫か。

エスカレーター

駅のホーム

小田急線との連絡口

「TSUTAYA BOOKSTORE」

ラーメン専門店「楽観」

施設内
小田急電鉄〝下北沢の新たな名所〟SOHO&店舗「BONUS TRACK」4月1日開業(2020/3/30)
業界初 障がい者アート マンション購入者・検討者に販売 三井不レジデンシャル

三井不動産レジデンシャルは4月7日、パラアーティスト(=障がいをもったアーティスト)のアート作品を分譲マンションの共用部や棟内モデルルームの商談コーナーなどに展示し、入居者や購入検討者などが購入できるサービスを開始すると発表した。
障がいのある人がアートを仕事にできる環境をつくることを目的に2007年4月に設立された3つのNPOが共同で運営しているエイブルアート・カンパニーの協力を得て実施するもので、この種の取り組みは業界初。
第一弾は2022年3月から入居が始まった「パークホームズ横浜本郷台リバーサイドヴィラTHE EAST」(224戸)で、マンション共用部(ラウンジ・ゲストルーム・コンシェルジュカウンター)と棟内モデルルームの商談ルームにパラアーティストのアート作品6点を展示し、入居者・購入検討者が気に入ったアート作品を購入できるようにした。作品は3か月ごとに入れ替えるという。
今後、同社が分譲するマンションで展開し、作品販売などの売上の一部をパラアーティストに還元することでダイバーシティ&インクルージョン推進にも貢献していくとしている。
サービスを開始する背景として、同社は2021年7月から実施している「PARAART サブスクby studio FLAT」が利用者に好評だったことを上げている。
今回の取り組みについてエイブルアート・カンパニーは、「より身近にアートと触れ合っていただく機会になると感じています。みなさんの生活に彩りを添えることができれば嬉しいです」とコメント。同NPOは現在、登録アーティスト数116名、12,540点の作品を軸に活動を行っている。
◇ ◆ ◇
最高に素晴らしい。障がい者のアートといえば、業界ではもう20年間も継続している三菱地所の「キラキラっとアートコンクール」が知られている。記者は2015年に取材したとき「われわれは『障がい者』という色眼鏡で作品を観がちだが、それが誤りであることに気づかされるはずだ。レッテルを貼ることで伸びる芽を摘み取ることが怖い」と書いた。
今も同じだ。この際「障がい者」とは何かをさておくとして、世に知られる作家も画家も音楽家もあらゆる芸術家はなにがしらの〝障がい〟を抱えていた。ドストエフスキー、ゴッホ、ピカソ、山下清、ベートーベン…。健常者だって問題を抱えていない人はいない。
少し関連することだが、記者はマンションモデルルームなどの緑のフェイクをやめろとしつこく書いてきた。今回の三井レジの取り組みをきっかけとなって、本物のアートや観葉植物が配置されることを期待したい。
三菱地所 障がい者のアート作品展10月30日から全国6会場で開催(2015/10/29)
アースカラーの空間演出が見事 積水ハウス「SUMUFUMU TERRACE 池袋」

「SUMUFUMU TERRACE(スムフム テラス) 池袋」(全体的にくすんでいるのは記者の腕ではなく屋外の野球撮影用のカメラのせい。以下同じ)
積水ハウスの「SUMUFUMU TERRACE(スムフム テラス) 池袋」を見学した。「暮らしのLibrary」がコンセプトになっており、早春のいまにピッタリのアースカラーで統一した空間デザインが最高だ。
「SUMUFUMU TERRACE」は、「皆が気軽に集える場所」をコンセプトとした新拠点で、同社は昨年末から今年初めにかけて「池袋」のほか「新宿」「立川」「錦糸町「青山」をオーブンしている。
「池袋」は、池袋駅からすぐで、東武と西武のデパート、ルミネ池袋に隣接・近接し、対面はホテルメトロポリタン。コンセプトは「暮らしのLibrary」で、全体がアースカラーで統一されており、書棚をデザインに取り込み、書籍のほか焼き物、緑、アートなどを巧みに配しているのが特徴。床は挽き板仕上げ。接客室は6~10畳くらいあり、対面は線路を挟んで西武デパートや西武HDの「ダイヤゲート池袋」が眺望できる。
見学したこの日は、東京北支店が担当するエリアの不動産流通会社との連携を強化するためのセミナーの準備が行われていた。土地なし顧客対応が狙いと思われる。
これまで「青山」と「新宿」を見学したが、記者は今回の「池袋」が一番好きだ。「青山」「新宿」も最高に素晴らしいのだが、貧乏人の記者などはその空間演出に一瞬たじろぐ。「池袋」にはそれがない。(デザイン・レイアウト担当者はエリア・顧客特性などを全て計算尽くのはずだ)
ここで働けば仕事の能率があがり、お客さんとの相談もスムーズに進むに違いない。
場所は、JR・東武・西武・東京メトロ池袋駅から徒歩2分、豊島区西池袋一丁目のメトロポリタンプラザビル11階。同社東京北支店の一角。昨年12月25日にオープン。毎週火曜日・水曜日・祝日は定休日。

受け付け

セミナーの準備中

「SUMUFUMU TERRACE」内

壁面
最高の〝働く場・接遇スペース〟 積水ハウス「SUMUFUMU TERRACE 新宿」(2022/2/17)
興味津々「週刊住宅」の記事 アンビシャス安倍社長・RIA土屋社長・田舎暮らし
4月4日付「週刊住宅」電子版のアンビシャス・安倍徹夫社長による「不動産市場と資金の行方 過去大不況との相違点、海外の動向」と題した寄稿文を興味深く読んだ。3日遅れの便りどころか、毎号、コピペ記事のオンパレードで〝一週間に十日来い〟と恋願う読者の期待をことごとく裏切っている同紙が放つ、記憶にないくらいの久々のクリーンヒットだ。
文冒頭の安倍氏の顔写真は10年くらい前のものだろうが、齢80に近いいまもそれほど変わらない。回春剤を飲んでいるのではと思わせるほど元気だ。小生も昨年末にお会いし、歓談したばかりだから保証する。
そんな安倍氏は次のようにいう。
「今の金融緩和政策は、お金が国内の実需に回りにくく、投資・投機の資金になったり、海外の事業に回ったりしている。投資・投機のお金が高値買いを呼び込み、実需の前に立ちはだかっている。一億円以上の住宅が買える人たちと、値上がりで住まいの購入に手が届かなくなった多くの人たち。その差が著しく広がってきている。地価の高い大都市で、生涯、賃貸住まいでも良いという人たちが多くいるが、老後の年金暮らしの人達は値上がりした家賃を払い続けられるだろうか。大都市では、70歳を過ぎて保証人無しで賃借することは非常に難しい。中国、韓国のように家を持てる人と持てない人の格差が広がり、社会の構造が歪んでいかなければ良いのだがと思う」
そして、「【山高ければ谷深し】 何がきっかけで崩れるかわからない。ただ、マーケットの状況が厳しくなっていき、追い風が強烈な向かい風になった時、それに立ち向かっていく人材が育つ」と締めくくっている。
寄稿文に記者もほぼ同感だ。「ほぼ」というのは、安倍社長と若干考え方が異なるからだ。記者は億ションを買える人が増えているのは結構なことだと思う。お金持ちが得をしようと損をしようと自己責任だ。デベロッパーが富裕層の財布の紐を解き、心をくすぐるマンションを供給するのは大歓迎だ。
だが、しかし、安倍氏がいうように、23区内で20坪のマンションを平均的なファミリー層が取得できなくなっている現実は異常だ。記者が理想とする100㎡で4,000万円というのは山の奥の調整区域でも無理ではないか。社会が「歪んでいる」としか言いようがない。年金生活者が安価で良質な賃貸住宅に住み続けられる保証など全くない。いったい全体、格差社会はどこまで進むのか。
安倍社長は、この一寸先は闇の歪んだ社会経済情勢を「何がきっかけで崩れるかわからない」と警告する。ロシアのウクライナ侵攻を念頭に置いているのは明らかだ。
少し脱線するが、この問題について少し触れたい。わが国も含め欧米社会は、最大級の言葉でもってロシアを批判しているが、プーチン大統領は「ネオナチからの解放」と言い放ち、そのプロパガンダが圧倒的な国民的支持を得ているというではないか。
どうしてこのような白と黒を、善と悪を、正と邪をひっくり返すことができるのか信じがたいが、よくよく考えると、かつてのわが国もそうだった。国民の目と口と耳を封じる徹底した言論弾圧・統制を行い、訳の分からない「八紘一宇」のスローガンでもって侵略戦争を合理化した。
歴史は繰り返すとはよく言ったものだ。中世の時代に立ち戻ったかのような、血を血で洗う、死には死をという、どれだけ多く〝合法的に〟人を殺すかが「戦争」であることをいま、われわれに突き付けている。
記者は若いころ、「国家が死滅する」ことを夢想した。「国家」は自死しない限りなくならないのか、そしてまた、「国家」が存在する限り「戦争」はなくならないのか。
話を元に戻す。わが国の憲法第二十二条には「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。②何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない」とある。いったいどれだけの人が「居住、移転及び職業選択の自由」を享受できているか、本当にわれわれは「国籍を離脱する自由」を持っているのか。「戦争」状態になったら、国籍を離脱するのは「国賊」になるのと等しい。
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同紙には腑に落ちない記事もある。RIAコア・ブレインズの土屋克己社長による12回にわたる「《祝!新入社員》不動産業界へ初めの1歩」という〝連載〟がそれだ。
連載は3月22日号からスタートした。不動産業界の社員教育のプロが新入社員に何を語るかとても興味があり、楽しみにしていたのだが、翌週号にも今週号にも載っていない。電話で問い合わせたら〝連載〟は月に1回というではないか。二の句が継げなかった。ならばどうして最初にそれを断らないか。
そもそも〝新入社員〟と呼ばれるのはせいぜい3か月だ。その間にみんな各現場に配属される。同紙と土屋氏は向こう1年間にわたってどのようにして新入社員を惹きつけるのか。それとも連載は来年の新入社員をターゲットにしているのか。
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コピペ記事のオンパレードの中にあって、出色の記事も同紙にはあった。鈴木秀雄記者の署名入り「ぶっつけ本番 愛媛移住、体験記 空き家で夢をかなえる 還暦過ぎての冒険へ」というタイトルの記事で、3月22日号と3月28日号にわたって掲載された。電子版なら今でも読める。
愛媛県山間部の築90年の廃屋同然の空き家を30万円で購入し、移り住んでから1か月の生活をレポートしたものだ。
鈴木氏はいう。「虚心坦懐、一年生の心に戻る暮らしの何と新鮮なことか。面白いことに、一緒に連れてきた猫たち(5匹とか)もそれぞれ個性が伸びて、自立しだした。土、緑、虫、鳥たちの声に本能が刺激されたに違いない」と。
蓼食う虫も好き好き。何もいうことはないが、都会育ちの鈴木さん、鳥獣被害にはくれぐれも注意したほうがいいですよ。愛媛にクマはいないだろうが、脇の下とか陰部など湿潤部分に食らいつく、イノシシ、シカ、サルなどが運んでくる、猫だって媒介するはずの尺取り虫に似たヤマヒルは怖いですぞ。
大きさはほんの数センチ、音もなく忍び寄り、食らいつくと血をいっぱい吸って丸々と太り、転げ落ちるまで離れない。痛さを感じないので始末が悪い。無理にはがそうとすると肉まで食いちぎられる。夜もおちおち眠ってなどいられなくなる。不眠症が心配だ。
ところで、鈴木さん、貴殿はそんな田舎からコピペ記事を垂れ流すのか。いい加減にしてほしい。それより毎号、田舎暮らしをレポートしたほうがいい。間違いなく読まれる。前段の土屋氏のコラムと同じだ。1年後の読者の反応はどうなるか。興味津々。
入社式訓示 劇的変化は特異ではなく通常の世の中に 三井不リアル・遠藤靖社長
新入社員の皆さん、ご入社おめでとうございます。
三井不動産リアルティグループの一員として皆さんを迎えられることを、グループ全社員を代表して心よりお祝いいたします。
我々を取り巻く環境は、2年前からのコロナ禍により、劇的に変化しています。DXなどオンライン型社会への移行が加速度的に進み、在宅勤務などの働き方をはじめ、日常生活全般に影響が広がっています。昨今では、ロシアによるウクライナ侵攻など世界情勢にも不透明感が広がっており、世の中の激しい変化はもはや特異ではなく、これが通常と考えるべき時代になったのだと思います。
現在では、スマートフォンなどによって、さまざまな情報を即時に簡単に得ることができます。しかし、劇的な変化が通常となった今、予期せぬ事件、予期せぬ人の感情・態度に直面した時、スマートフォンで簡単に得た情報や、スマートフォンによる人の顔を見ず、声を聞かない受発信で対応することは不可能です。自らがさまざまな人々と直接接することで得た経験や知識を糧に、自らの意思で考え、行動することがますます重要な時代になっているということを、皆さんにはよく考えて欲しいと思います。
混沌とした世の中ではありますが、皆さんには若者らしく、明るく、何事にも貪欲に好奇心を持ち、失敗を恐れずチャレンジして欲しいと思います。若い時は知らないことばかりで、色んなことにぶつかるのも当たり前です。臆することなく分からないことは分からないと言い、おかしいと思うことはおかしいと声を上げてください。
若い時にしかできない失敗をいっぱいして成長してください。我々もそれを正面から受け止められる会社でなければならないと思っています。
また、皆さんはこれまで20数年間、ご両親・ご兄弟・恩師・先輩・後輩・友人とたくさんの方のお陰で成長してきました。自分独りだけで成長してきた訳ではありません。社会人になってもこれは同じです。社会人生活
は楽しいことも厳しいこともあり、山あり谷ありですが、必ず周りには誰かがいます。人は周りの誰かに助けられ、またある時は誰かを助けながら生きています。自分ひとりで生きているわけではありません。これだけは絶対に忘れないでください。
最後に、皆さんの前途洋々たる未来と、令和4年という皆さんにとって記念すべき一年が素晴らしい年になることを祈念して、歓迎と激励の言葉とさせていただきます。皆さん、一緒に頑張りましょう。

