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「プラウドタワー川口クロス」

 野村不動産は9月30日、JR京浜東北線駅から徒歩3分の大規模複合再開発「プラウドタワー川口クロス」のモデルルームを10月2日(土)から完全予約制でオープンすると発表した。事前エントリー数は3,500件を超えており、オンラインでの案内会も開催予定という。

 物件は、JR京浜東北線川口駅から徒歩3分、川口市栄町三丁目に位置する敷地面積約9,069㎡、地上28階・地下2階建て全481戸(非分譲住戸31 戸含む)。専有面積は46.63~115.77㎡。竣工予定は2023年2月下旬。施工は前田建設工業・埼和興産共同企業体。

 建物の1~3Fを商業フロアとし、医療施設、子育て支援施設など約30店舗の入居を予定。「都市型コンパクトタウン」の街づくりを推進しており、敷地の外に出なくても生活に必要な買い物環境・施設が揃う安心で利便性の高い住環境を提供する。

 また、物件は川口駅前に位置する川口銀座商店街「樹モール」と隣接しており、同物件の商業フロアとの相乗効果や、敷地内に川口駅方面から東西に通り抜け可能な敷地内通路を設置することで、駅前エリアの新たな賑わいの創出を見込んでいる。

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第15回「キッズデザイン賞」記者発表・表彰式(六本木ヒルズ  アカデミーヒルズ49で)

 キッズデザイン協議会は9月29日、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つ優れた製品・空間・サービス・活動・研究などを顕彰する「キッズデザイン賞」の第15回受賞作品234点の中から最優秀賞、優秀賞、奨励賞、特別賞など優秀作品36点を発表した。応募総数は409点だった。

 住宅・不動産業界からは積水ハウスの次世代室内環境システム「SMART-ECS(スマートイクス)」が経済産業大臣賞優秀賞「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」(一般部門)に選ばれたほか、同社の「台の森プロジェクト」がキッズデザイン協議会会長賞奨励賞「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」(リテラシー部門)に、ケイアイスター不動産の「おおきいおうちとちいさいおうちがあるおうち」が同「子どもたちを生み育てやすいデザイン」(個人・家庭部門)に、旭化成ホームズの「子育て家族のコミュニティ創造型集合住宅〝子育て共感賃貸住宅 母力〟」が同「子どもたちを生み育てやすいデザイン」(男女共同参画部門)にそれぞれ選ばれた。

 最優秀賞の内閣総理大臣賞は新渡戸文化学園/ VIVITA JAPAN / tokotodesignの「VIVISTOP NITOBE FURNITURE DESIGN PROJECT」が選ばれた。

 同賞は、2007年に創設されてから累計応募数は5,785点、受賞数は3,439点となった。

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内閣総理大臣賞を受賞した「VIVISTOP NITOBE FURNITURE DESIGN PROJECT」

◇       ◆     ◇

 他の記者の方はどうかわからないが、この記者発表・表彰式の取材は結構疲れる。年を取るごとにそう感じる。開始されるのは午前10:30で、終わるのは12:00だ。この間、主催者のあいさつに始まり、経済産業省、内閣府、東京都のあいさつ、益田文和・審査委員長の講評、各賞の発表・賞状授与が行われる。優秀作品は36点だから、あいさつなどを除けば単純計算しても1作品について1.7分しか割かれていない。マスク越しだし、記者はおまけに耳が遠くなったので、よく聞き取れない。各作品がどのようなものかさっぱりわからない。

 なので、広報事務局に「私は過去何度が記者発表・表彰式を取材させていただいておりますが、受賞作そのものを当日見ることができるものはともかく、施設などは実際に見ることはできません。優秀賞を発表されてから、表彰式までの期間を利用して、各受賞者の了解の上で、個別取材・見学を可能にしてはいかがでしょうか」とメールした。

 記者の気持ちが通じたか、益田審査委員長は総評で次のように興味深いことを話された。

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益田氏

 「オリンピック・パラリンピックがやっと終わった。(私は嫌で)見なかったんですけど、すごく気になったことがある。何で勝とうとするんだろう、勝つことばっかり報道されて、それにみんな感動しているが、私は、一人が勝つためにいったいどれだけの人が負けているか、負けていることが普通であることを学ばないといけないと思う。常に勝つこと勝つこと、あげくの果てに震災に勝ったとかコロナに勝ったとか、勝っていないですけど、それを言い出す。これは大きな間違いです。

 だって、自然災害や感染症は目の前にあったら『逃げろ!』です。真っ先に逃げないといけない。子どもは知っている。われわれは足を引っ張っちゃいけない。

 実は、キッズデザイン賞は別に勝ち負けをうんぬんしていない。うちはこんなのやったから凄く売れたとか、市場を席巻したとか、そんな話していない。みなさんのいいアイデアや素晴らしい着想、実践を持ち寄って、お披露目して、みんなで見て感心して、できれば自分たちもやってみようと考えていくプラットホーム、対話の場です。このことがとても素晴らしいし、そういう機会を作ろうと私は常に考えている。

 私はサステナブルデザインが専門ですので、SDGsなどを考えるにつけ、キーワードがあることに気が付いた。それは、小さくてローカルで、つまり分散していて、オープンで、コネクトされているということです。これが未来の姿、サステナブルな社会、経済の姿です。キッズデザイン賞もみんなそう、そのような仕掛けがある。(中略)

 この賞を通じて新しい未来の社会が見えてきているような気がする。何よりもこのことを多分子供たちは感づいているし、ちゃんと評価していると思う。子どもたちと一緒に未来を創っていくつもりでデザインに取り組んでいきたい」

 記者は、益田先生のオリンピック・パラリンピックについて話されたことには賛成しかねる。野球だってゴルフだってテニスだってあらゆるスポーツは同じ条件(この同じ条件というのがとても大事)で力やスピード、技、頭脳を競うから人に感動を与える。スコアなどどうでもよければ、だれも見向きもしないし、競技などなりたたない。アスリートはみんな「自己との闘い」を最優先しているはずだ。

 しかし、キッズデザイン賞やSDGsに触れられたのはその通りだと思う。先に書いたように、記者もまた作品に触れ、見学する機会を与えられるべきだ。ただ単に受賞作を記事にするのはメディア・ライターの仕事ではない。来年からは記者発表・表彰式の前に見学取材できる機会を与えていただきたい。

 もう一つ、お願いだ。益田先生が仰ったことと少し違うかもしれないが、内閣支持率が30%にも満たない、しかも任期(人気)があと1週間もないのにどうして10もの総理大臣賞やら経産大臣賞などを設けるのか。小生はさっぱり理解できない。総理や大臣が作品を見ていないことくらい子どもだって知っているはずだ。〝うそつきは泥棒の始まり〟だ。嬉しく思わないのではないか。タイトルも長すぎる。

 それより、19人の審査委員賞としたほうがはるかにいい。子どもたちにも記憶として残るはずだ。

 明後日は、ケイアイスター不動産の「おおきいおうちとちいさいおうちがあるおうち」を取材させていただくことになっている。旭化成ホームズの「母力」は住宅も素晴らしいが、ゴーゴリの「母」を連想させるネーミングがとてもいい。積水ハウスの「台の森プロジェクト」は仙台なのでちょっと遠いか。

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積水ハウス「SMART-ECS(スマートイクス)」

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積水ハウス「台の森プロジェクト」

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ケイアイスター不動産「おおきいおうちとちいさいおうちがあるおうち」

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旭化成ホームズ「母力」

 

総理大臣賞に福祉型障がい児入所施設「まごころ学園」 第14回キッズデザイン賞(2020/9/30)

ワンストップで子育て支援 積水ハウス「大網白里市子育て交流センター」(2020/10/3)

ポラス 第14回キッズデザイン賞に「AKUNDANA」と「育実の丘 東大宮」2作品が受賞(2020/8/21)

あれから6年 「BORIKI(母力)」じわり浸透 旭化成ホームズ「母力おぎくぼ」見学会(2018/8/22)

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廃屋になっている住宅

 「限りなく限界集落に近い首都圏の郊外団地」(平成24年7月27日付)の記事を書いてから9年。この街をまた訪ねた。予測した通りの限界集落に突き進んでいるのか、それとも再生へ方向転換しているのか、不安と期待が入り混じる中での取材だった。高齢化人口割合は44%に達し、75歳以上の後期高齢者は4人に1人の割合というデータからは前者だが、「街は一度死んだほうがいい」と死中に活を求める説得力のあるもあり、結論を出すのはまだ先のようだ。

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平成24年1月(左)と令和3年1月の団地人口ピラミッド

 前回の記事では、2つの団地の合計世帯数は1,464世帯(昭和44年4月比5.4%減)、人口は3,302人(同46.9%減)と書いた。

 その後、住居表示の変更が行われており、現在の人口統計データからは従前団地と正確に比較することはできないが、約9割をカバーしていると思われる数値で比較してみた。

 これによると、令和3年1月1日現在の団地世帯数は1,539世帯(前回の平成24年1月1日比1.3%減)、人口は2,890人(同14.4%減)、1世帯当たりの人口は1.8人(同0.4ポイント減)となっている。65歳以上の高齢化率は44.0%(同12.1ポイント増)、75歳以上の後期高齢者の割合は25.6%(同12.9ポイント増)と実に4人に1人の割合に達している一方で、15歳未満の年少人口割合は4.3%(同3.8ポイント減)と大幅に減少している。

 人口構成や世帯数などから類推すると、昭和44年比では人口は半減し、空き家・空き地・駐車場の比率も関係者の話からして3割くらいに達しており、独り暮らしの高齢者もかなりの人数に上っていると思われる。

 これを人口ピラミッドにした。ピラミッド型でも釣り鐘型でも棺桶型でもない逆三角形型だ。平成24年ではまだ希望のふくらみがあった若年層が激減しているのがよくわかる。例えていえば、もはや地中から水を吸いあげる力もなくなった老木か、あるいは少しでもバランスを崩せば横倒しになりそうな耕作放棄地の破れ案山子のようにも見える。

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きちんと整地されている空き地

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シャッター商店街

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 前回取材したときはなかった駅前のスーパーに寄ってみた。入口近くには薬品や化粧品が並んでおり、線香のコーナーもあり、大人用の紙おむつなど介護品も多くのスペースを占めていた。生鮮食品はコンビニに負けそうな品揃いしかなかった。

 商店街は前回と同様、シャッター商店街化しており、居酒屋などはコロナの緊急事態宣言下でもあるからか、ほとんどが9月末まで休業するとのビラが貼られていた。広い表通りには街路樹が1本も植わっていない。

 街並みは、「3分の1は空き家、空き地、駐車場」と居住者から聞いていた通り、乱杭歯か歯抜けトウモロコシ状態だった。前回取材と少し違ったのは、2015年2月に施行された「空き家対策特別措置法」(空き家法)の影響か、雑草が生い茂ったままの廃屋は少なく、地面がコンクリで固められたり、雑草が刈り取られたりしている空き地・駐車場が増えたように感じられたことだ。役所によると、老朽建築物の除却・建て替えに最大50万円(国が2分の1負担)の補助制度を利用したのは過去3年間で11件とのことだった。

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1本の街路樹も植わっていない広い道路

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空き家になっているアパート兼用住宅か

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「売地」の看板が掛かっている空き家

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 団地に隣接する公園のベンチに座ってタバコを吸いながら談笑していた3人の男性に声を掛けた。( )内は記者。

 (タバコが値上げになりますが)87歳の男性は「俺、10万円分買った。一番安い『わかば』や『ラーク』など全部で9万7,800円。値上げされると10万5,500円になる。年金生活じゃやっていけない」(…)

 続けて、「俺、団地内に4つ(4軒)持っている。昭和50年に1軒買った」(50万円でしょ)「よく知ってるね。そう。そして1年後に隣の一戸建てを100万円で買い、その後10年くらい経ってから900万円で買い増しした。(バブルのころの値段か)そして今から10年前に更地を400万円で買った。4軒のうち3軒は地続きだから60坪。女房? 昨年亡くなった」(お父さん、職業は何だったんですか)「アブラショッコ。17歳からそれ以外の仕事をやったことない」(アブラショッコって何ですか)「車の修理。組合が強かったから稼げた」

 70歳の男性は「以前住んでいたところで親父が93歳で死んで、女房は施設に入っているので、8年前からここに引っ越しして一人でアパートに住んでいる。家賃? 3万7,000円。一戸建ては4万5,000円から5万円が相場」
 生まれたときから団地の近くに住んでいるという80歳の男性は「みんな人間的にはいい人ばかりだが、どこか病んでいる。俺? とび職だった。全国歩いてた」

 そこに、隣町に住んでいるという昭和13年生まれの男性(83)が加わった。「往復2時間、土手を超えて県道に出て田んぼを通って、歌を歌いながら散歩している。歌? 警察予備隊を経験したので軍歌も歌うが、学校唱歌もよく歌う。歌はいいよ。田んぼで大声を出しても誰からも文句言われない。〝勝ってくるぞと…〟〝君の名は…〟〝京都、大原、三千院…〟知ってるか? 」(もちろん)

 さらにまた、白い毛の犬を連れた同年代と思われる女性が現れた。驚いたのはその犬だ。何と里芋のように茶色く膨れ上がっ睾丸が股間からはみ出ているではないか。(どうしたんですか)「これ、病気。年齢は16歳。人間なら90歳近い」

 3人組は「こうしてここに集まることを日課にしているから、みんなお友達になれる。朝6時半に来るといいよ。オジンオバンが50人くらい集まって体操している」

 団地の近くの広い敷地の住宅が多い住宅地に住む30代の女性にも話を聞いた。

 「子どもが生まれるのがきっかけで、夫の実家があるここの分譲住宅を買ったのは6年前。土地が30坪ちょっとで価格は1,500万円。買い物は駅前のスーパーを利用しています。団地の商店街はほとんど閉まっているので利用しません。近くできる大型店舗まで歩いて数分。わたし? 普通のパート」と話した。

 大型商業施設は駅から約7分の調整区域。実現までずいぶんもめたそうだが、住民の期待は大きいようだ。

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股間にぶら下がっている睾丸

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大型商業施設の建設現場

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 前回取材したときと同じ不動産会社に取材を申し込んだ。社長(47)が気安く応じてくれた。

 社長は「10年前? 覚えていないが多分わたしが応じた。これは私の見解ですが」と前置きしたうえで、「このままでは団地再生は無理。寝たきりだと立ち直れない。一度死んだほうがいい。そうすれば、駅近の地の利が生かせる。2つの敷地を一緒にして、ニーズが高い40~50坪の立派な住宅に再生できる。大型商業施設の工事も始まったし、これをきっかけに光明を見いだし、10年後、20年後には団地は生き返っているかもしれない。当社の業績? 10年前と比べれば地価が下がっているので1件当たりの単価は下がっているが、買い増しニーズを取り込めており、件数は1.5倍くらいに増加し、売上高は堅調に推移している。」と語った。

 第三者は口が裂けても口にできない「一度死んだほうがいい」は正鵠を射る言葉ではないか。きれいごとでは済まない現実を見続けている当事者だからこそ言える言葉だ。

 先ほど、「人口ピラミッドは破れ案山子」と書いたが、そうではなくてバランスを崩しても倒れない「やじろべえ」と訂正する。死中に活とはこのことをいう。

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喫茶店に置かれていたアケビとカボス(利用者の庭で採れたそうだ)

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空き家の花にはたくさんチョウが集まっていた

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花を植えている空き地も結構あった

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美しい庭の家もたくさんあった(白とピンクの花は酔芙蓉、下方は江戸萩)

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〝見かけないやつだな、お前は誰だ〟(決して怪しい者ではありません)

〝夜明け〟はやってくるのか〝再耕〟は可能か 大和ハウス 団地再生勉強会(2021/8/31)

限りなく限界集落に近い首都圏の郊外団地 人口4割減55歳以上の人口比率は48.7%(2012/7/27)

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「ルピアグランデ柏」エントランス

 ポラスグループの中央住宅は9月28日、「ルピアグランデ柏」のメディア向け完成見学会を行った。販売開始は昨年7月からで、これまでに全196戸のうち188戸を成約。坪155万円という圧倒的安さと、価格に見合う価値以上の提案が奏功、駅から徒歩15分と準工立地のハンディをものともしなかった。

 販売代理の長谷工アーベスト、同社関係者らの説明によると、駅からやや距離はあるもののイオンモールへ徒歩3分の立地、敷地面積10,000㎡超に〝西海岸のリゾートを創る〟をコンセプトに、戸建てとマンションの複合開発とし、共用部分にヤシやソテツなどをふんだんに用い、マンションは70㎡超、ピアキッチン設置比率45%、ディスポーザー、食洗機、リビング天井高2440ミリ以上などの設備仕様レベルが高い評価を得たという。

 これまでの来場者は約750組。〝柏にリゾートが現れた〟と評判になったという。

 残り8戸はリノベーション研究・開発のため敢えて残し、モデルルームとして模様替えし来年1月に販売する予定。

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エントランスの植栽

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インナーガーデンの植栽

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 記者は昨年10月に行われた記者発表会の記事で「感動の金児氏vs宮崎氏トーク」と絶賛した。その記事と一緒に読んでいただきたい。もう何も言うことはない。

 完成した建物を見て、植栽の見事さはどこにも負けないと思った。総延長500mの「ウエストコーストアベニュー」(敷地延長部分)に植えられていたヤシの木14について冗談半分で「このヤシはいくら」と聞いたら、同社マンションディビジョン課長・湯村元昭氏は「高さが8m超は1本85万円、6mのほうは1本45万円」ときちんと答えた。これだけで710万円だ。こんなことをするデベロッパーはまずない。

 共用部分や専有部分の仕上げは、坪単価155万円であることから〝さもありなん〟と納得したのだが、この単価でこの水準のマンションを分譲できるのは奇跡に近い。今は、郊外マンションでも3LDKは20坪そこそこで、ショートスパン、床暖房、食洗機、ディスポーザーなしが当たり前で、それでも坪単価170万円以下はありえないと思う。

 どうしてこんな奇跡的な安値で分譲できるのかが唯一の疑問だったのだが、その謎が解けた。坪単価155万円(消費税込み)の建物価格と土地価格の比率は75%:25%であることを同社担当者は明かした。

 早速計算した。坪当たりの建物価格は155万円×75%=116.3万円で、土地価格は155万円×25%=38.8万円だ。ただし、建物価格には消費税率10%の値段が積み上げられているので、実質的な建物価格は116.3万円-(116.3×10%)=104.7万円となる。

 この建物価格でこの水準の設備仕様レベルを確保できるのは不思議だが、やはり謎解きの解は仕入れ値の安さにある。1種坪38.8万円という土地価格は首都圏では最低ラインのはずだ。同社がこの土地を取得したのは2018年12月だ。入札だったが、同業他社は駅からの距離、準工立地などに腰が引けて応札できなかったのだろう。

 参考までに紹介するが、記者は「HALUMI FLAG」の坪単価は250万円が妥当と書いてきた。その根拠は、事業者が土地を1種(容積率100%)8万円という値段で取得したからで、実際の「HALUMI FLAG」の土地価格と建物価格の割合は「7:93」となっている。今回の「柏」の「25:75」と比較していただきたい。「柏」の土地価格の割合はかなり低いが、「HALUMI FLAG」は桁違いだ。その異常さが見えてくるはずだ。

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戸建て購入者も利用できる木造の集会所(庭には50m掘り下げ、飲料にもなる井戸がある)

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集会室内部

感動の金児氏vs宮崎氏トーク 全196戸のポラス「柏」3カ月で100戸成約(2020/10/10)

選手村裁判 開発法による鑑定手法が適法なら当初の坪単価250万円は妥当(2021/9/19)

「HARUMI FLAG」 土地と建物の価格比率は調整区域並みの7:93 算定は妥当(2019/9/30)

 


 

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「セルリアンタワー東急ホテル」

 東急ホテルズは9月28日、東急ラヴィエールと協働し、アクティブシニア層向けの1年間にわたる長期宿泊プラン「ロングステイ 365days」を「セルリアンタワー東急ホテル」で2021年10月1日(金)から開始すると発表した。募集開始から1週間ですでに約30組の応募があるという。

 宿泊期間を長期の1年間とすることで、「スタッフが家族の一員のように毎日の暮らしに寄り添い、日常を支える存在となり、我が家のような暮らしがホテルで叶う」をコンセプトにしている。

 宿泊プランは、参考部屋タイプ:スーペリアツイン/キング(19~31F、37.6㎡)、参考価格:1室(最大2名)、一括払い500万円(サービス料込・消費税・東京都宿泊税込)、月払いの場合(前払い制)1か月当たり平均42万円。フィットネスクラブの利用やランドリー・駐車場利用無料などの特典のほか、エグゼクティブラウンジ利用券(月5回利用)、バースデーディナー招待券をプレゼントする。

 東急は、アクティブシニアに対しワンストップでサービス提供を目指す東急ラヴィエールを設立。本プランは東急ホテルズが企画し、東急ラヴィエールがTOKYU POINT会員を対象とした約36万人(1都3県、40歳以上)に対して、計4回の「いきいきわくわく東急ラヴィエールだより」を配信し、本プランを紹介していく。

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 5つ星ホテルに年間500万円で宿泊できるなんて羨ましい。その他、食事代などの費用を含めたら最低で年間1,000万円だろう。「ザ・キャピトルホテル東急」も追加しないのだろうか。

世界に誇れる隈研吾氏デザインの「ザ・キャピトルホテル東急」(2011/2/25

 

 

 


 

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「クリオ湘南江ノ島グランマーレ」

明和地所は922日、「クリオ湘南江ノ島グランマーレ」を924日(金)から販売開始すると発表した。小田急線片瀬江ノ島駅から徒歩4分の全67戸で、オーシャンビュー&富士山の眺望が期待できる江ノ島の一等地であることから人気は必至だ。16戸用意した100㎡超は同駅エリアでは19年ぶりという。坪単価は400万円を突破するか。

物件は、小田急江ノ島線片瀬江ノ島駅から徒歩4分、江ノ島電鉄江ノ島駅から徒歩 3 分藤沢市片瀬海岸一丁目の商業地域に位置する地上13階・地下1階建て全67戸。専有面積は55.04111.01㎡。第1期(30戸)販売価格は4,353.2万~17,998.3万円(最多価格帯7,500万円台)。竣工は20233月下旬。設計は共同エンジニアリング。施工は三井住友建設。デザイン監修はウイ・アンド・エフヴィジョン石倉雅俊氏。

現地は、小田急線と江ノ電・江ノ島駅のほぼ中間。メイン通りに面しており、境川がすぐそば、片瀬江ノ島海岸-江ノ島から富士山も眺望できる絶好の立地。三方道路に接道。建物は内廊下設計。

住戸プランは、標準階フロアは東向きのオーシャンビュータイプが3戸と富士山ビューの西向きが3戸の6戸構成。角住戸は1フロア4戸。100㎡超のプレミアムプランは16戸。ロングボードにも対応した洗い場付きサーフボード置場、Wi-Fi対応のオーナーズラウンジを備える。

主な基本性能・設備仕様は、食洗機、ディスポーザー、二重床・二重天井、インテリアを好みに合わせて自由に設定できるセレクトシステム「conomi(コノミ)」、バルコニースロップシンクなど。

同社の建設担当者は「江ノ島の風景と美しく調和するアースカラーを基調として低層部と上層部のデザインに動きをつけ、エントランスアプローチは、ロートアイアンの門扉と木目調のキャノピーが海辺の邸宅らしさを演出し、エントランスホール脇のラウンジは水盤と緑に彩られたテラスと一続きの空間となり、リゾートのような寛ぎの時間を過ごしていただけるよう計画。各住戸プランは、オーシャンビューが中心で、もうひとつのリビング空間として江ノ島の海を間近に感じられる2m幅のバルコニーを設えています」とコメントしている。

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水盤ラウンジ

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集会室

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 現地は今年6月に確認済み。海好きにはたまらない立地だ。第1期の分譲戸数が30戸と全住戸の半分近いということからも人気になりそうなことがうかがわれる。

 坪単価は問い合わせ中だが、平均で300万円を突破しそうだ。機会があったら見学してレポートしたい。

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モデルルーム

バブル時 坪450万円⇒リノベ 坪211万円 コスモスイニシア「湘南タワーズ」分譲(2021/6/10

 大和ハウス工業は9月22日、同社グループの大和リビングマネジメントと大和リビングを2022年1月1日付で合併し、大和リビングを存続会社とすると発表した。意思決定の迅速化とワンストップ体制によるステークホルダーの利便性向上を実現するため。

 大和リビングは1989年設立。大和ハウス工業が施工する賃貸住宅の管理・運営を担ってきた。業容拡大を受け2012年、大和リビングマネジメントを設立し、マスターリース・サブリース事業の移管による機能分担の明確化を図るとともに、大和リビングマネジメントを完全親会社、大和リビングを完全子会社とする組織体制の刷新を行った。

 大和リビングの2021年3月期の売上高は998億円、経常利益は90億円、純資産は475億円、大和リビングサービスの2021年3月期の売上高は5,311億円、経常利益は208 億円、純資産は139億円。

 合併後の大和リビングは、所在地 東京都新宿区西新宿6丁目11番3号、代表者は匝瑳繁夫氏、事業内容はマスターリース・サブリース事業およびメンテナンス関連事業賃貸住宅、賃貸マンションの管理・運営事業など。資本金は1億円。

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「森のつかい」キャラクター カタカタ(左)とモリボックリ

 東急不動産と東急不動産SCマネジメントは9月22日、環境保全活動「エコマキ」の一環として、自然を守るいきものたちを描いた絵本の展示・動画の上映と、音を奏でる木製のキャラクター「森のつかい」を組み立てるワークショップを関東・関西の全11施設で2021年10月23日(土)から順次開催すると発表した。

 開催するのは関東ではデックス東京ビーチ、ノースポート・モール、東急プラザ表参道原宿、東急プラザ銀座、東急プラザ戸塚、東急プラザ渋谷、東急プラザ蒲田。参加人数は各施設とも先着50~180名、開催日時は10月23日から。イベントでは、音のなる「森のつかい」工作キット1つがプレゼントされる。

 東急不動産ホールディングスグループは「緑をつなぐ」プロジェクトとして継続的な森林保全の取り組みを推進しており、キットは保全森林である岡山県西粟倉村の間伐材を使用している。

 「緑をつなぐ」プロジェクトURL:http://tokyu-midori.com/

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 同社の「緑をつなぐ」プロジェクトの代表事例として紹介されている「ブランズタワー梅田North」「渋谷ソラスタ」は観ていないが、「東急プラザ表参道原宿」「世田谷中町プロジェクト」「東京ポートシティ竹芝」は素晴らしい。

 「渋谷ソラスタ」に隣接して建設される鉄骨・木造のハイブリッド13階建て「(仮称)道玄坂一丁目計画」の竣工は来年だ。デベロッパーの「木」の取り組み競争が激化しているが、この種の競争はどんどんやってほしい。

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「世田谷中町プロジェクト」

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「東京ポートシティ竹芝」

 

 令和3年 都道府県地価調査は、全国全用途で昨年に引き続き下落となったが、その下落率は縮小した。住宅地の下落率も縮小しており、商業地においては、国内外からの集客増加による店舗・ホテル需要等で上昇していた地域では回復の遅れがみられる一方、都市中心部におけるオフィスの安定的な需要を受け、三大都市圏の商業地は9年連続の上昇となっている。今後も引き続きコロナ禍を契機に加速した人々のワークスタイルやライフスタイルの変化に寄り添いながら、コロナ収束後を見据えて事業を着実に進めていく。

 オフィスは、「人が集まって作業をする場」から、「コミュニケーションを通じた社員同士の信頼関係を構築する場」「アイディアの創発を促すディスカッションや意思決定の場」へのシフトが進んでおり、新たなテナントニーズに応え た高付加価値のオフィスは需要が高い。東京駅前常盤橋プロジェクト「TOKYO TORCH」の一部である「常盤橋タワー」(2021年6月末竣工)では、非接触での入館やエレベーター手配、食堂における食事の注文や決済等々が可能になる就業者専用アプリを導入して就業者の利便性・快適性向上を図ったほか、共用スペースを活用した出会いやつながりを生み出す仕掛けを施しており、既に9割の企業が内定しているなど引き合いが強い。

 また、多様な働き方を支えるワークプレイスの一つとして2018年より各地域と連携して進めている「ワーケーション事業」では、和歌山県・南紀白浜や長野県・軽井沢、静岡県の熱海や伊豆下田においてワーケーションオフィスを開業・運営している。

 今後も、新たな価値を生み出すために必要な交流拠点、多様な働き方を支えるワークプレイスを提案していく。

 住宅は、テレワーク活用に伴う郊外需要が高まる一方で、利便性の高い都心エリアの需要も継続している。室内の収納スペースをテレワークスペースに変更する「“work”in closet」や、共用部にワークスペースを設置した住宅など、ニーズを捉えた商品企画を推進しており、特に「ザ・パークハウス名古屋」や「ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン」などの販売が好調だ。

 引き続き、オフィスや住宅などの垣根を超えた、多様なワークスタイル、ライフスタイルに対応する施策を提案していく。

 なお、まちづくりを手掛ける当社では、DXで目指すまちづくりのビジョンを示した「三菱地所デジタルビジョン」を策定し、リアルとデジタルが一体となったまちづくりを推進している。DX を通じて一人ひとりの「個」のニーズに 合った快適なライフスタイルをサポートすることを可能にし、まちに関わる個々人がまちにある機能やサービス、商品等々を使い倒せるような仕組みを構築していく。

 また、まちづくりにおいては、SDGsに関する各種施策も積極展開しており、例えば、丸の内エリアのビル18棟と横浜ランドマークタワーの計19棟の使用電力すべてをRE100対応の再生可能エネルギーに切り替えた。

 丸の内エリア18棟のCO2削減量は約16万トンで、エリアにおける当社所有ビルCO2排出量の約8割に相当する。2022年度には、丸の内エリアにおけるすべての当社所有ビルで再エネ電力を導入し、その他エリアに おいても積極的に導入する。今後も、一企業の枠を超え、行政機関や地域の企業などと一体となって持続可能な都市の姿を示していきたい。
 

 今回の地価調査は全国全用途で2年連続の下落となったが、下落幅は減少した。住宅地については全国平均で下落幅は縮小したほか、都心部および近郊の交通利便性の高い地域の引き続きの上昇や、昨年より上昇が見られる 地域の範囲拡大などもみられる。一方、東京圏および大阪圏の商業地については、新型コロナウイルス感染症の感染 拡大に伴う先行き不透明感から、概ね横ばいまたは下落に転じている。

住宅市場に関しては、テレワークをはじめ、「住まう」と「働く」の境界が薄まるなか、価値観やニーズの多様化がさらに顕著になっている。都心・駅前立地の新築物件や、交通・生活利便性に優れる物件の評価は依然高いことに加えて、間数・広さを求めての準都心や郊外物件の販売も好調であり、底堅い需要を感じている。また、中古売買についても、グループ会社における本年4~6月の首都圏での成約件数が過去最高を記録するなど、コロナ禍を受けた住み替 え需要もまだ一巡したとは考えていない。総じて強い需要を感じる状況ではあるが、引き続き市場環境を注視しながら、多様化するニーズに対して幅広い選択肢で応えていく。

オフィス市場に関しては、エリアによって一時的な空室率上昇が見られるものの、今後は単なるテレワークの導入に留まらない働き方の変化が加速すると想定される。コミュニケーションを重視したオフィス空間への変更や本社機能のあり方変化、郊外拠点やシェアオフィス利用を増やすなど、企業のニーズも非常に多様化している。オフィスに集まる意義やオフィスが生み出す価値を見つめ直しながら、時間と場所を選ばない自由な働き方を実現する空間やサービスの提供を続けていく。

商業・ホテル市場に関しては、緊急事態宣言の影響もあり引き続き厳しい状況が続くことは想定しているものの、ワクチン普及などを含む消費経済活動再開への期待は高まっており、需要の回復を注視したい。

物流市場に関しては、eコマースの拡大などを踏まえ、旺盛な投資意欲が継続するものと想定する。

このように長引くコロナ禍は社会や人々の価値観に大きな影響を与え、不動産関連事業にも様々なニーズの変化をもたらしている。当社としては、グループ全体としてDXやサステナビリティの取り組みを強力に推進しながら、これまで同様、個人・法人に関わらずお客様に寄り添い、ニーズを的確に捉えた独創性の高い商品・サービスの提供を続ける。

地価調査は、不動産の取引動向や中期的な展望を反映したものであり、様々なマクロ指標と合わせて今後も重要指標のひとつとして注視していく。

 

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