なぜだ マンション完成在庫827戸(前期比82.6%増) 東急不HD 2021年3月期
東急不動産ホールディングスは5月11日、2021年3月期決算を発表。売上高9,077億円(前期比5.8%減)、営業利益565億円(同28.7%減)、経常利益465億円(同31.0%減)、純利益216億円(同43.9%減)と減収減益となった。オフィスなどは堅調に推移したものの、新型コロナの影響を受けウェルネス、ハンズなどが営業損失となったのが響いた。コロナによる特別損失として66億円を計上した。
オフィス・商業施設などの都市事業は売上高3,049億円(同4.2%増)、営業利益550億円(同4.7%増)と増収増益。オフィス空室率は1.3%(前期は0.6%)と低水準を維持した。
マンションなどの住宅事業は、売上高1,463億円(同7.3%増)、営業利益は84億円(同1.2%減)となり、利益率が低下した。
管理事業は売上高1,848億円(同3.1%減)、営業利益66億円(同4.2%減)、仲介事業は売上高1,284億円(同2.3%減)、営業利益123億円(同19.1%減)となった。ウェルネスは114億円、ハンズは44億円の営業損失を計上した。
2022年3月期業績予想は、売上高10,400億円(同14.6%増)、営業利益800億円(同41.5%増)、経常利益665億円(同42.8%増)、純利益300億円(同38.4%増)。売上高は初の1兆円超を目指す。セグメントは従来の7事業から4事業に再編。人財と資源活用の観点から社会的役割の親和性が高い事業領域に区分する。
また、同社は同日、2030年を目標年度とする長期ビジョン「GROUP VISION 2030」を発表。「WE ARE GREEN」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーであるグリーンを基調に、多様なグリーンの力を融合させ、魅力あふれる多彩なライフスタイルを創造するとしている。具体的数値ではROE10%以上、営業利益1,500億円以上を目指す。
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ウェルネス事業やハンズ事業が新型コロナの影響を受け営業損失を出したのはやむを得ないが、住宅事業でマンションの完成在庫を827戸(前期比82.6%増)も出したのに驚いた。3Qの段階でも453戸あったので増えるとは思っていたが、これほどの在庫を出すのは信じられない。
同社は在庫増について、コロナの影響を受け販売を先送りしたことや期末に竣工が集中したためとしているが、これは同業他社と同じはずだ。
他社はどうか。三井不動産は3Qの段階でマンション計上戸数2,969戸に対して完成在庫は151戸だ。先に決算を発表した野村不動産ホールディングスは計上戸数3,669戸(戸建て含む)に対して完成在庫は販売中が239戸で、未販売182戸と合わせ421戸だ。
先日も書いたが、大和地所レジデンスは2020年3月期の870戸に続き、2021年3月期の完成戸数898戸を3月の時点で完売したと発表した。同水準のモリモトも完成在庫は少ないはずだ。
これらと比較して同社の在庫の多さは異常だ。827戸といえば、三井不動産がリーマンショック後の2010年3月期で計上戸数4,651戸に対して、872戸の完成在庫を出したのと同水準だが、その時は最悪期だったし計上戸数がまったく異なる。
コロナ禍でもマンションや分譲戸建ては堅調な動きを見せており、同社も今期売上予想に対する期初の契約済みは54%(前期比4ポイント+)としているので在庫を圧縮できるかもしれないが、完成後1年経過すれば「中古」とみなされ、売れ残りというイメージが広がる。販売経費もかさむ。営業マンだって疲弊する。
同社のマンションはこの2年間一つも見学していないが、同業他社と比べて見劣りするのか。商品企画、ブランディングを考える必要があるのではないか。
余計なお世話だし、同社に限ったことではないが、住宅評論家や専門家を起用し(ただではないはず)、狙い目だとか住みたい街だとか語らせるのはいかがなものか。逆効果だってある。タレントはお金がかかるかもしれないが、集客力は桁違いのはずだ。東京建物は「ブリリア」を打ち出したとき、これで成功した。大成有楽不動産は昔、オードリー・ヘプバーンを起用した。故人のため著作権料はものすごく安かったと聞いた。
もう一つ。分譲戸建ても計上戸数はゼロだ。〝街づくりの東急〟はどこへ行ったのか。
ついでにもう一つ。記者は〝マンションはハ行〟と書いたことがある。三井不動産「パークホームズ」、三菱地所「(ザ・)パークハウス」、野村不動産「プラウド」、東京建物「ブリリア」、大和ハウス工業「プレミスト」だし、住友不動産も「(シティ)ハウス」だ。「ブランズ」が負けるはずないではないか。
大激戦の「調布」 割安単価で他社を圧倒 三井不レジ 名士の屋敷跡地は坪340万円
「パークホームズ調布 ザ レジデンス」
三井不動産レジデンシャルが分譲中の「パークホームズ調布 ザ レジデンス」を見学した。駅から徒歩6分の邸宅跡地。昨年10月の販売開始からこれまでに全162戸のうち約半数を供給。競合物件がひしめく中、割安単価で早期完売を狙う戦略と見た。
物件は、京王線調布駅から徒歩6分、調布市小島町1丁目の近隣商業地域・第1種中高層住居専用地域(建ぺい率80.94%、容積率245.28%)に位置する敷地面積約4,587㎡、8階建て全162戸。専有面積は57.03~74.86㎡、先着順で分譲中の住戸(4戸)の価格は5,990万~7,190万円(67.30~70.75㎡)。坪単価は340万円。竣工予定は2022年2月下旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。
昨年10月から販売を開始しており、4月末までに第1期の約半数を供給。ゴールデンウィークから第2期の販売が始まっている。
現地は、みずほ銀行の前身「調布銀行」や、創設期の京王電鉄の取締役を務めた地元の名士・井上家の屋敷跡地。
建物は3棟構成で、標準階の住戸は南向きが5~6戸、東向きが12戸、西向きが9戸。
主な基本性能・設備仕様は、直床・二重天井、リビング天井高は1~3階は2550ミリ、4階以上は2500ミリ、人造大理石キッチンカウンター、食洗機、エコガラス(複層ガラスにLow-E膜をコーティング)など。
エントランス
旧井上家(ホームページより)
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調布駅圏では、京王線の地下化工事が完了した2013年ころから駅前の相鉄不動産「グレーシア調布」120戸、住友不動産「セントラルレジデンス調布ステーションコート」190戸、旭化成不動産レジデンス「アトラス調布」331戸が相次いで供給された。その後は目立った物件は分譲されていなかったが、ここにきて供給が増加。その数は8物件815戸にのぼる。大激戦の様相を呈している。同社物件を除く7物件は次の通り。(順不同)
①住友不動産「シティハウス調布」65戸(徒歩4分)
②阪急阪神不動産「ジオ調布」73戸(徒歩10分)
③日鉄興和不・三菱地所レジ「調布ザ・ハウス」64戸(徒歩9分)
④東急不動産他「プランズシティ調布」305戸(徒歩7分)
⑤ブリス「ブリシア調布」31戸(徒歩12分)
⑥日鉄興和不・リビタ「リビオレゾンTHURSDAY」50戸(徒歩6分)
⑦大和ハウス工業「プレミスト調布クロス」65戸(徒歩8分)
これらはそれぞれ立地条件が異なるが、坪単価は320万~370万円の範囲に収まっており、競合は免れない。このほか同沿線では単価水準が近いつつじヶ丘駅前の日鉄興和不動産「リビオつつじヶ丘 タワーレジデンス」105戸が分譲中で、府中駅圏では三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス府中」182戸が近く分譲開始となる。
今回の取材は、競合他社から「三井さんが単価を引き上げてくれれば、うちも売りやすくなるのだが…」という声を聞いていたので、それを確認するためでもあった。
坪単価340万円と聞いて、〝わが道を行く〟隣接の住友不動産「シティハウス調布」65戸を除いてみんな割を食うと思った。設備仕様レベルは普通の〝パークホームズ〟だろうが、立地もさることながら外観デザインはいい。同業他社の動向を睨みながら割安単価に設定することで〝いち抜け〟を企図したのではないか。〝仲良しこよし〟で足並みをそろえないのはいかにも同社らしい。
京王線の〝割り負け〟については、この前書いた東京カンテイ「2020年 マンションPER」の記事を参照していただきたい。新宿から15分の調布は、小田急線だと成城学園前、東急線だと二子玉川、田園調布、JR中央線だと三鷹とほぼ同じだ。池袋からだと東上線の朝霞、西武線のひばりが丘、東京駅の総武快速だと亀戸あたりか。
このうち調布が単価水準で勝てるのは朝霞、ひばりが丘で、亀戸とは互角か。成城学園、二子玉川、田園調布とは同格とは言わないが、単価は200万円くらい引き離されている。街のポテンシャルはそんな負けていないはずなのに。
現地(手前が住友不動産のマンション)
建設現場
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京王線の同社のマンションでは、近く初台駅から徒歩2分の建て替え「パークホームズ初台 ザ レジデンス」115戸(一般販売対象住戸65戸)が分譲される。敷地北側に高速・甲州街道が走っており、京王線の鉄道の騒音も気になるが、南側は緑道に面しており、借景・住環境は申し分ない。坪単価450万円以下はありえないと見たが、500万円に届くかどうか。
「パークホームズ初台 ザ レジデンス」の建設現場
「志茂」「多摩センター」は〝割安〟か 東京カンテイ「2020年 マンションPER」(2021/5/8)
〝北千住に負けるな〟割り負け京王線の希少免震 日鉄興和不「つつじケ丘」(2020/1/9)
「道」を景観に取り込んだプラン秀逸 旭化成不動産レジ「アトラス調布」完成(2015/5/20)
調布駅前の一等地 住友不「セントラルレジデンス調布ステーションコート」(2014/3/21)
相鉄不動産 調布駅前の一等地で再開発マンション(2013/10/3)
FJネクスト 2021年3月期 減収減益 ワンルーム伸びるも中古マンション4割減
エフジェーネクストは5月10日、2021年3月期決算を発表。売上高72,988百万円(前期比14.0%減)、営業利益7,351百万円(同29.4%減)、経常利益7,334百万円(同29.0%減)、純利益4,983百万円(同26.0%減)と減収減益となった。
主力の新築マンション売上高は33,819百万円(前期比6.2%増)、売上戸数1,142戸(同8.3%増)。内訳は資産運用型ワンルーム「ガーラマンション」が売上高26,006百万円(同13.9%増)、売上戸数969(同14.4%増)、ファミリー向け「ガーラ・レジデンス」が売上高7,812百万円(同13.3%減)、売上戸数173戸(同16.4%減)。中古マンション売上高は21,484百万円(同41.1%減)、売上戸数871戸(同42.0%減)。
2022年3月期の業績予想は、売上高810億円(前期比11.0%増)、営業利益80億円(同8.8%増)、経常利益80億円(同9.1%増)、純利益55億円(同10.4%増)を計画している。
全23棟の3階建て 販売順調 アグレ都市デザイン「アグレシオプラス西新井Ⅳ」
「アグレシオプラス西新井IV」(写真提供は同社、撮影はカメラマン・重松善樹氏)
アグレ都市デザインが分譲中の戸建て「アグレシオプラス西新井IV」を見学した。分譲開始5カ月で全23戸のうち約半数が契約済み。順調な売れ行きを見せている。
物件は、東武スカイツリーライン西新井駅から徒歩15分、足立区島根四丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)・近隣商業地域(同60%・同300%)に位置する全23戸。先着順で分譲中の住戸(8戸)の土地面積は70.05~82.24㎡、建物面積は98.12~125.85㎡、価格は4,180万~5,180万円。完成予定は2021年3月上旬~2021年6月中旬。構造は木造軸組工法3階建て。設計・施工はアグレ都市デザイン。今年1月から販売を開始しており、全棟完成前の建築中のプロジェクトであるが、これまでに約半数が契約済み。
現地は、旧日光街道から一歩入った戸建て住宅街。モデルハウスは建物面積119.83㎡3階建て。1階はフリーウォールで仕切られた5.3帖と6.1帖の居室とトイレなど。2階が19.6帖のLDKと洗面・浴室、トイレ、3階が7.1帖と5.1帖の居室2室。
主な基本性能・設備仕様は、防犯アルミ樹脂複合サッシ、Low-E複層ガラス、食洗機など。
同社東京支店次長・平川正寿氏は、「販売は順調。当社は棟数だけで勝負せず、ミドル、アッパーミドルをメインターゲットにデザイン性と質にこだわっている。最近は完成するまでに完売する物件も多い」と語った。
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同社の分譲戸建てを見学するのは2010年12月以来、実に10年振りだった。間隔が空いた理由はとくにないが、最近の業績がよく、供給戸数を伸ばしているので見学を申し込んだ。
今回の物件は足立区の第一次取得層向けだが、実績からするとアッパーミドル向けの23区の西側、多摩エリアが多いので、また見学をお願いしレポートしたい。
明和地所 2021年3月期 マンション順調に推移 大幅増収増益
明和地所は5月10日、2021年3月期決算を発表。売上高50,109百万円(前期比23.6%増)、営業利益3,626百万円(同121.3%増)、経常利益3,007百万円(同184.0%増)、純利益2,721百万円(同448.3%増)と大幅増収増益となった。
主力の不動産販売事業は、新型コロナ対策としてマンションの引渡しを前期から当期に変更した住戸があったため830戸(前期比86戸増)、中古マンション69戸(前期比16戸増)の引渡しを行ったことなどから売上高は43,666百万円(前期比27.5%増)、セグメント利益は3,621百万円(同126.7%増)となった。
2022年3月期業績予想は売上高52,100百万円、営業利益3,900百万円、経常利益3,100百万円、純利益2,600百万円を予想。2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」を適用するため、対前期増減率は記載していない。
価格と駅距離の壁跳ね返す 大和地所レジ「西新井」5カ月で半数成約
「ヴェレーナシティ西新井」
大和地所レジデンスが分譲中の「ヴェレーナシティ西新井」を見学した。グロス指向が極めて強い足立区で、駅から徒歩14分の駅距離ながら、販売開始5か月で全118戸のうち60戸弱を成約するなど好調な売れ行きを見せている。オープンエアリビング・ルーフバルコニー付きなど多彩なプランを用意した商品企画が光る。中広域からも集客できているのがそれを証明している。
物件は、東武スカイツリーライン西新井駅から徒歩14分、足立区六月二丁目の第一種住居・第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率249.60%)に位置する10階建て全118戸。先着順の住戸(11戸)の専有面積は65.78~75.68㎡、価格は4,108万〜5,598万円(最多価格帯4,100万円台)、坪単価は210万円。竣工予定は2022年5月中旬。設計・監理は建築計画。施工は長谷工コーポレーション。
昨年12月18日から販売を開始し、これまでに高額住戸を中心に半数近い60戸弱を成約。購入者は地元中心だが、高額住戸購入者は中広域から集客した顧客が目立つという。
現地は、戸建てや低中層の公営住宅などが建ち並ぶ住宅街の一角。建物はTの字型で、標準階1フロア南向きが7戸、西向きが9戸。
主な基本性能・設備仕様は、直床・二重天井、リビング天井高は2450~2600ミリ、御影石キッチンカウンター(人造大理石などとセレクト制)、食洗機、ミストサウナ、芯心1m廊下など。共用施設では、コワーキングラウンジ・スペース、キッズ&パーテールーム、ペアレンツサロン、デッキテラス、オーナーズパークなど。
販売担当の同社営業第4部次長・山下文博氏は、「購入者の半分は地元の方ですが、中広域からも集客できており、オーブンエアリビング付きやルーフバルコニー付きの5,000万円を超えるタイプもよく売れています。『ここに住めばいい住宅に住める。駅距離は許容できる』という声もお客さんから聞かれます。来春の竣工までの完売が目標」などと語った。
モデルルーム
モデルルーム
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取材の約束の時間まで1時間余りあったので、現地の道路を隔てて対面にある小公園のベンチに座り、缶コーヒーを飲みタバコを吸いながら(足立区の公園は禁煙になっていないようだ)、いつものようにマンションの坪単価と売れ行きを予測した。小生は事前に価格などをチェックしない。自分の目利き力を養うためだ。
駅からは14分の表示だ。現地周辺は戸建てや低中層の公営住宅ばかりで、商業施設は少ない。土地代がただでも坪単価170万円以下はありえないとは考えたが、売れる価格としてはじき出したのはグロスで4,000万円、坪180万円だ。それでも年間40戸を売るのがやっとで、完売まで3年近くかかると予想した。
これはあてずっぽうではない。確信がある。東武伊勢崎線は極めてグロス指向の強い沿線だ。今でも昭和57年分譲の日本ランディック「パークハイツ越谷」339戸を思い出す。質が高かったにもかかわらず、それが災いしさっぱり売れず、1戸当たり500万円も値引きせざるを得なかった。当時は2,500万円の厚い壁があった。東武鉄道から苦情をもらうのを覚悟して〝魔の伊勢崎線〟と書いた。
いまもそれは変わらない。10年以上前になるが、駅近の東武鉄道「リライズガーデン」(738戸)は坪196万円と安かったが、完売まで数年かかったはずだ。最近の事例では、極めてレベルが高かった駅から徒歩9分の坪単価210万円のコスモスイニシア「イニシア西新井」(81戸)も竣工までに完売できなかった。
大和地所レジデンスは2020年3月期の870戸に続き、2021年3月期の完成戸数898戸を3月の時点で完売したと発表した。「西新井」は来期物件だが、この期末完売記録は途絶えるのが必至だと結論づけた。
しかし、記者の予想は見事に覆された。坪210万円(建築費を考えるとありえない単価ではないが)で、しかも、わずか5か月で半数近く売れるなどというのは信じられない。残り60戸を売るのは容易でないと思うが、山下氏は自信たっぷりだった。
一つだけ言い訳。グロス4,000万円予想は当たらずとも遠からず。全118戸の平均専有面積は69.82㎡(21.2坪)。単純計算すれば坪210万円×21.2坪=4,452万円だが、これは同社の〝十八番〟オープンエアリビングタイプ13戸をはじめ、ルーフバルコニー付き10戸、角住戸タイプ17戸などの高額住戸が単価を引き上げており、それ以外は4,000万円台の前半に価格を抑えている。
建設現地
対面の喫煙可能の公園(利用者は1時間の間、記者のほかに老女2人と老犬1匹のみ。砂場は犬猫のフン害を防ぐためのネット)
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「ここに住めばいい部屋(住宅)に住める。駅距離は許容できる」とお客さん自身が語ったそうだが、この言葉にすべてが言い尽くされている。難点をカバーして余りある商品企画がユーザーの心をとらえたといえる。
専有面積71㎡のモデルルームがそれを象徴している。10.53㎡のオープンエアリビング、6.12㎡のテラス、30.58㎡の専用庭を合わせ100㎡超の居住空間を演出している。玄関ホール・廊下幅はオプションだが1.4mあった。また、ルーフバルコニー付きや角住戸は5,000万円を超えるが、これを見せられたら背伸びしてでも購入しようと考えるはずだ。
設備仕様レベルも単価からすれば水準以上だ。この姿勢は立派だ。前段で2021年3月期完成戸数898戸を完売したことを紹介した。年間1,000戸近くを供給し、毎年のように完成在庫を出さないのは、そうした姿勢が消費者に評価されているのだろう。
天晴れ!大和地所レジ 仕入れの妙 商品企画にも生かす「赤羽北フロント」(2020/9/9)
「屋外でマスク付けていても…」記事を補足・修正 いっそうの自衛策が必要
当欄の5月3日付「『屋外でマスク付けていても感染相次ぐ』西村大臣発言 具体的数値・事例示すべき」記事に補足を加え、以下のように修正する。当社のスタッフから参考になるテレビ番組の記事を紹介され読んだからだ。その番組では、屋外でマスクを付けてはいたが、車座になってジュースを飲み、会話を交わして感染した事例が報告されていた。
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当初、メディア報道を聞いたとき、歩いていてもつまり空気感染も変異株はありうるのかと思ってしまった。
出掛けるのは週に1度か2度の取材のほかは、散歩、図書館(現在は貸し出しのみ)くらいで、人と話すのもヤクルトファンの酒屋の親父と「西武どうした」「ヤクルト強いね」(現在、勝率は西武より上)などと一言二言、お互いの傷口に塩をすり込むか、なめあうことくらいしかやっていないので、高齢者&糖尿の記者はよけいに西村発言にショックを受けた。
「屋外でマスクを付けていても感染する事例が相次いでいる」-屋外でマスクを付けていても、多くの人が車座になり、ジュース(あるいは酒)を飲んで会話するのは危険-というのは誰でもよくわかる。
大臣はそのような事例を念頭に置いて発言したのだろうと善意に解釈することにしたが、やはり言葉足らずだった。具体例を話すべきだったし、メディアも質問して正確に伝えるべきだった。
不正確だから誤解を生じる-これが今回の教訓だ。みんなストレスは極に達している。だからこそ政治家もメディアも事実に基づいて情報を発しないといけないということだ。
もう一つ、今回の西村発言で記者なりに考えたのは、間接的な濃厚接触を徹底して避けることが大事ではないかということだ。
家庭や職場、学校などでの濃厚接触は避けられない。しかし、これらの場でコロナは自然発生しないし、コウモリ説は根強いが犬や猫、ハエや蚊、肉や野菜などから感染した事例もないはずだ。感染源は間違いなく外にある。外から持ち込まれるコロナを入口で徹底して排除する以外はないということだ。
昨年の今ごろ、WHOは感染者の1割くらいが無症状と発表したが、最近は3~4割くらいではないかと専門家はいう。自覚症状がないまま多くの人を感染させるというのはやはり怖い。これは変異株との関連もありそうだ。
このことに関して、皆さんにもう一度注意を促したい。今年1月、都営地下鉄大江戸線の運転手間で39人ものクラスターが発生し、間引き運転をせざるを得なかった事例だ。
東京新聞は「東京都営地下鉄大江戸線が昨年末から今月11日まで間引き運行した原因となった運転士間の新型コロナウイルスの集団感染が、共同利用する庁舎の洗面所の蛇口経由で広がった可能性が高いことが14日、都交通局への取材で分かった。手をかざすと自動的に水が流れるセンサー式ではなく、手で回すタイプの蛇口だった」と報じた。
コロナ感染を防ぐための手洗いの蛇口が感染源だったとは。ここに悪魔的で狡猾なコロナの実態が垣間見える。
これを発展的に考えると、電車などの吊革に触らない、座席に座らない、外ではトイレを使用しない、エレベータに乗らない、ドアは足で蹴る、名刺交換はしない…えっ、皆さんはすでに実践している?
記者はタバコがやめられず、アウシュビッツのガス室のような公衆喫煙所をたまに利用するが、これはやめていただきたい。誰もいない公園、路上では吸ってもいいようにしていただきたい。
飲食はよくて、飲酒はだめと一律に要請するのも訳が分からない。酒が悪いのでは断じてない。飲む人が気を付ければ感染は防げるのではないか。こと細かに条件を付けて緩和措置を取るべきだろうと思う。ホテルの対策は涙が出るほど凄い。
厚労省は「リスクが高まる5つの場面」の一つに「飲酒を伴う懇親会等」を挙げ、「飲酒の影響で気分が高揚すると同時に注意力が低下する。また、聴覚が鈍麻し、大きな声になりやすい。特に敷居などで区切られている狭い空間に、長時間、大人数が滞在すると、感染リスクが高まる。また、回し飲みや箸などの共用が感染のリスクを高める」としている。
-まあ、これは身に覚えがある。酒で失敗した例は挙げればきりがない。帰りの電車がなくなるのはいいほうで、キャッチバーにつかまり十数万円の持ち金全部(帰りのタクシー代は勘弁してもらったが)を払わされたこと、街頭で〝女〟を買ってしまったこと、みんなと一緒に夜中の公園で大声を出して歌っていたら警官が駆けつけてきたこと(学生のとき、念のため)、銀座のど真ん中でお尻を出したこと、気が付いたら駅のベンチで寝ていたこと…しかし、飲まざるを得ない酒もある。彼女に捨てられ、一人寂しくやけ酒を飲み、滂沱の涙を流したことだって皆さんもあるはずだ。独りであるいは二人くらいで静かに飲む酒のどこが悪いのか。
ファシズムは気が付かないうちにわれわれを蝕んでいくと誰かが言った。本当に敵はコロナなのか。
「志茂」「多摩センター」は〝割安〟か 東京カンテイ「2020年 マンションPER」
東京カンテイが5月6日発表した「2020年 マンションPER」(首都圏版)について記者なりの感想を紹介する。
「PER」とは、株の世界ではよく用いられる、株価が1株当たり利益の何倍まで買われているかを示す株価収益率(Price Earnings Ratio)のことで、それを新築マンションに当てはめ、マンション価格が同じ駅圏のマンション賃料の何年分に該当するかを求めた数値だ。
レポートによると、2020年に分譲されたマンションの平均価格は7,743万円(70㎡換算=坪単価365万円)で、分譲マンションの平均賃料256,601円(同=坪賃料12,097円)の24.69(対象駅圏155駅)と高い水準を示した。首都圏平均よりマンションPERが高い駅圏は83駅に達しており、逆にPERが低い比較的割安であることを示す駅圏は周辺3県に点在する程度としている。
もっともPERが高かったのは「学芸大学」の36.00。マンション価格は12,402万円(坪単価585万円)、マンション賃料は287,113円(坪賃料13,535円)だった。以下、「成城学園前」「飯田橋」「自由が丘」「荻窪」「外苑前」「参宮橋」「代々木上原」「神谷町」「東池袋」の順で「割高な駅」としている。
一方で、もっともPERの低かったのは「志茂」の16.96で、マンション価格は5,181万円(坪単価244万円)、マンション賃料は254,616円(坪賃料12,003円)。以下、「八王子」「三郷中央」「稲毛海岸」「有明テニスの森」「国分寺」「相模大野」「戸塚」「千葉」「八千代緑が丘」の順で「割安な駅」となっている。
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東京カンテイの調査能力には脱帽するほかない。分譲マンションの賃料も把握しているので、このようなレポートが出せる。「割高な駅」「割安な駅」は思い当たる物件もあり、なるほどと思う。
実は記者も、もうずいぶん昔だが、分譲マンションの坪単価を駅圏ごとに定点観測したことがある。供給物件の多寡、駅からの距離、ターゲットなどによって変動するのは難点だが、おおよその相場を把握することができ、空白区などは〝穴場〟と考えていたものだ。
ただ、マンションは基本的には投資商品ではないので、賃料と比較してPERをはじき出すようなことは考えも及ばなかったし、分譲マンションを賃貸に回した場合いくらの賃料になるかなど調べようもなかった。
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「割高な駅」については、23区では軒並み坪単価は300万円以上となっているので高い数値を示すのは当然だ。ただ、同一駅圏の物件を比較し、「割高」「割安」とするのは比較的容易だが、駅圏そのものを「割高な駅」「割安な駅」とするのはいかがなものか。アルヒの「住みやすい街大賞」に「川口」が選ばれているのと同様だ。何を重視するかで街の評価は一変するはずで、「割高」「割安」を評価するのは投資家であり、ユーザーだ。価格は、物件数が多ければ平準化されるが、少ない場合はその物件特性がそのまま反映されることになり、賃料は面積が広くなるほど坪賃料は低くなるので、単純比較もできないのではないか。
例えば、レポートでもっとも「割安な駅」とされている南北線「志茂」。駅周辺の1丁目や、赤羽駅に近い2丁目などはまずまずの住宅街を形成しているが、全体として道路は狭く、木密地域が多いエリアだ。4丁目、5丁目は工業系エリアで生活利便施設も乏しい。
レポートの対象になっているのは、工場跡地の三菱地所他「オイコス赤羽志茂」や道路沿いの物件だろう。坪単価は230~270万円くらいか。安いといえば安いが、周辺の住環境はいいとは言えず、北本通りは交通量が多く騒音も相当だ。小生は評価を保留する。
2018年~2019年の2年間もっともPERが低かった、わが京王相模原線「京王多摩センター」についても触れざるを得ない。
PERは15.96だったので「志茂」より低い。「徒歩15分の大規模マンショの影響から価格の割安感が実態よりも過剰に示されている状況が依然として続いている」とレポートにはある。
「徒歩15分の大規模マンション」はタカラレーベン「レーベン多摩センターBeaut」(240戸)だ。坪単価は170万円くらいだった。2018年に完成し、2020年春ころまでに完売している。
物件を観ていない(取材を申し込んだが断られた)ので何とも言えないが、住環境は申し分ない。この物件の南側に、今から15年前に分譲された駅徒歩10分の扶桑レクセル「レクセル多摩センターマークレジデンス」(159戸)が建っている。記者は当時「驚きの〝旧価格〟」という見出し記事を書いた。
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読者の皆さんは、この京王多摩センター駅圏のPERをどう思われるか。やはり株式相場でよく用いられている、同じ業種の銘柄と比較して割安を示す〝割り負け〟を借りれば、信じられないほど割り負けしていると記者は思う。タカラレーベンの物件は、多摩市ではなく八王子市が所在地で、駅から遠く坂が相当きついのでこのような単価になっているのだが、そうした特殊要因を考慮しても安すぎる。これまでも何度も書いたが、デベロッパーは多摩センターの魅力をきちんと伝えきれていないと八つ当たりしたくなる。
多摩センターの魅力は、何といっても街並みが美しいことだ。駅から徒歩20分圏は完全歩者分離になっており、子どもが交通事故に遭う確率はほとんどゼロだ。緑のネットワークは隣駅の永山駅までつながっている。こんな街は全国どこを探しても見当たらないはずだ。
街のポテンシャルを計る重要な指標と考える「ホテル・百貨店(大型商業施設)・文化の香り」も揃っている。
駅を降りてから「パルテノン多摩」(現在は改装中)までの約400mの舗道はレンガタイル敷で、幅員は50mもある。舗道の両サイドにはクスノキの巨木が数十本植えられており、アダプト制度による恵泉女学園大学などの花壇が目を楽しませてくれる。その先には多摩中央公園、多摩市立グリーンライブセンターがあり、その緑量の多さに圧倒されるはずだ。特定外来種のオオキンケイギクが大繁殖しているのは気掛かりだが、絶滅危惧種のキンラン、ギンランも季節になると可憐な花を咲かせる。駅前の京王プラザホテルの和食「あしび」は安くておいしく、多摩市限定販売の日本酒「原峰のいずみ」も飲める。
名誉か不名誉なのかわからないが、こんなわが多摩センターは2020年の「マンションPER」から消えた。昨年は駅から徒歩4分の山田建設「ミオカステーロ多摩センター」(26戸)が分譲されている。坪単価は260万円くらいのはずだ。そこで、東京カンテイに試算してもらった。
同社市場調査部主任研究員・高橋雅之氏は「ミオカステーロ多摩センター」について、「まだ登録されていないため、精緻な数値は算出できませんが、当該駅の同じ駅勢圏での賃料相場は概ね18.5万円/70㎡ですので、マンションPERはだいたい23.85くらいとなります。今の価格高騰局面が始まる以前の2013年当時のマンションPERは20~22程度で、それに比べればだいぶ割高感が増してきてはいますが、2020年の首都圏での平均値(24.69)を下回っていますし、東京都下でも22以上や24以上を示す駅は珍しくなくなってきていますので、今の市況の下では賃料見合いで妥当な価格かと思われます」と答えてくれた。
なるほど。しかし、多摩センター駅圏にはもうマンションの開発余地などほとんどない。「割安な駅」「割高な駅」にはランクされないはずだ。
ついでに京王線の割り負けについてもう一つ。多摩ニュータウンと街づくりがよく似ている港北ニュータウンの積水ハウスのZEHマンション「センター北」(45戸)は坪単価334万円で人気になっている。一方で、免震でZEHの東京建物他「ブリリアタワー聖蹟桜ヶ丘 ブルーミングレジデンス」(520戸)は人気にはなっているが、坪単価は270万円だ。新宿から15分の調布でさえ坪単価は300万円台の半ばが壁になっている。
皆さんはポテンシャルの違いと一笑に付すかもしれないが、どうしてこれほどの差がつくのか、記者はさっぱりわからない。これから書く、西新井駅から徒歩14分で、坪単価210万円の大和地所レジデンス「ヴェレーナシティ西新井」(118戸)は、分譲開始5か月で約半分が売れている。
爛漫の春 多摩川のそばZEH&免震 東京建物他「聖蹟桜ヶ丘」第1期は170戸(2021/4/4)
驚天動地 首都圏着工を上回る新規戸建て分譲 成約戸数!スタイルアクト調査(2021/2/19)
アグレ都市 2021年3月期 売上高、利益とも過去最高更新 配当も前期末18円⇒42円へ
アグレ都市デザインは5月6日、2021年3月期決算を発表。売上高20,485百万円(前期比12.8%増)、営業利益1,305百万円(同85.0%増)、経常利益1,137百万円(114.7%増)、純利益783百万円(同120.5%増)と大幅増収増益となった。売上高・各段階利益ともに過去最高値を更新した。
主力の戸建販売事業では、自社ブランド「アグレシオ・シリーズ」322棟、土地分譲25区画(アセットソリューション事業4区画を含む)の引渡しを行った。
期末配当は、3月12日公表の1株当たり38円から4円増配し、1株当たり42円(前期末は18円)とする予定。
2022年3月期業績予想は、売上高23,779百万円(前期比16.1%増)、営業利益1,438百万円(同10.2%増)、経常利益1,211百万円(同6.5%増)、純利益823百万円(同5.1%増)としている。期末配当も44円と増配を予想している。
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明日(5月7日)、同社の「アグレシオプラス西新井IV」(全23戸)を見学取材する予定だ。しっかり見学してレポートしたい。
情けない業界紙 猛威振るうコロナに同調 独自・現場取材ほとんどなし
ひどい世の中になってきたものだ。西村経済再生相は一昨日、「屋外でマスクを付けていても感染が相次いでいる」と発言した。外に出るなということか。宣言前はタバコ2本を吸うためにコーヒー代に1,350円も払って京王プラザを利用したが、今はどこも酒、たばこは禁止。昨日は仕方なく、スーパーで缶ビールを買って、公園ベンチに座り、むき出しでは白い目で見られそうなのでビニール袋に入れて、本を読みながら飲んだ。西武ライオンズは負けが込み、ついに5位転落。取材は7日に2本、11日に1本のみ。
やることがないから、わが業界紙の最新号を読んだ。これがまたひどい。記者のぼやきなど読みたくないだろうが、ざっと以下の通りだ。
「住宅新報」の5月4日号Web版。面白そうな記事見出しをチェックした。トップは「春の繁忙期 首都圏賃貸住宅市場 コロナ転機、コア業務に注力 需要変化と顧客対応」だが、記者は賃貸住宅市場に興味はないのでスルー。もっとも興味があるマンション・開発分野は、独自取材によるニュースはなし。
びっくりしたのは、「野村不HD 21年度売上高、利益とも過去最高 住宅と海外が業績をけん引」の記事だ。同社の2021年3月期はコロナの影響を受け減収減益たったのでフェイクニュースかと思ったら、なんと2022年3月期の予想記事だった。決算数字は遅行指標だから、次期決算予想について書くのは勝手だが、コロナがどうなるかわからない時点でこの種の記事を書くのはいかがなものか(同社は商業、ホテル事業の比率は高くないのは理解できるが)。まず事実から先に報じるべきだ。
〝羊頭狗肉〟の極めつけは「ニュースが分かる! Q&A エリア別首都圏コンパクトM事情 高額化で供給エリア変動」だった。このところのコンパクトマンションの価格(坪単価)上昇について触れたものだが、自ら足で稼いだ情報(情報源は予想がつく)ではないので、真新しい具体的な動きについてはなにもなし。「先輩」と「後輩」のばかばかしい漫才で終始している。紙がもったいない。
蛇足ながら、人の財布の中身を探りたいのは小生も同じ。「後輩」の方は足立区の40㎡のマンションを購入したそうだが、北千住はあるかどうか知らないが、坪単価は300万円以上だろうし、他のエリアでも坪280万円以下はありえない。「後輩」の方、貴殿の買ったマンションは3,600万~3,800万円くらいと予想したがどうだろう。記者なら、彼女が出来ても困らないようもっとポテンシャルの高いエリアを選ぶ。大きなお世話か。
〝なるほど〟と思わせる記事もあった。「GW商戦に向け新商品相次ぐ スキップフロア、ニューノーマル対応を提案 富裕層向けや普及価格の大空間も」だ。セキスイハイムやパナソニックホームズが平屋商品を発売するのは時代のニーズに合っていると思う。大和ハウスの富裕層向け「希(まれ)」は、記者もオンラインで取材したが、同紙の記事はあっさりしたものだったのは意外な気がした。
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4月26日付「週刊住宅」は、「水害より地震、物件価格に影響 分譲マンション約9%低下 倒壊への不安、8割以上に タワマン、弱点露呈」などと長ったらしい見出しの記事がトップだ。「災害リスクが分譲マンション価格にどのような影響を及ぼすか考察してみた」とあるので読んだが、中身は全くなし。ニッセイ基礎研究所や東京都の公表データをなぞっただけ。「考察」の使い方を間違っている。あとはプレス・リリースのオンパレード。現時点(5月4日)で5月3日号のWeb版はまだ掲載されていない。
コロナが猛威を振るっているのに同調するのか、両紙にはそれでも業界紙かといいたい。情けない。独自・現場取材をしなくなったら記者じゃない。かくいう記者は先週、5件の現場取材記事を書いた。読み比べていただきたい。
ついでに、不動産流通研究所のWeb「R.E.port」について。同紙は評論記事は少ないが、プレス・リリースはもちろん発表会・見学会の模様は過不足なく伝えている。小生の記事よりはるかにまとまっているものも少なくない。購読は無料だし、1週間遅れの新報や週刊住宅より業界の動きがよくわかる。「日刊不動産経済」は購読していないのでよくわからないが、独自取材記事もあるようだ。