三菱地所レジ 「朝霞台」に在宅ワーク用スペースなど「こだわりプラン」初導入
「ザ・パークハウス朝霞台レジデンス」
三菱地所レジデンスは1月14日、モデルルームを1月23日にオープンする「ザ・パークハウス朝霞台レジデンス」に在宅ワーク用スペースなど新しい需要を取り入れた「こだわりプラン」を導入すると発表した。
1階住戸に用意した専用テラスでは、水栓と作業台(カウンター)、防水コンセントを備えたアウトドアシンクを同社としては初めて設置。
1階住戸の一部タイプでは、リビングの床を一段下げたスペースを設け、段差をベンチ代わりにしたり、子どもたちのプレイスペースとして使えるようにしたりすることができ、さらに床を下げた分、天井が高くなるようにしている。ピットリビングの導入は初の試み。
また、必要な時だけワークスペースとして活用できる多用途に使用可能な「カスタムクローゼット」を導入する。ワークスペースの作業台となる棚板の仕様基準をロイヤルと共同開発したオリジナル商品。
物件は、東武東上線朝霞台駅から徒歩5分、JR武蔵野線北朝霞駅から徒歩5分、朝霞市浜崎2丁目に位置する8階建て64戸。専有面積は69.00~91.50㎡、竣工予定は2022年1月上旬。売主は同社のほか三信住建。設計・施工は川口土木建築工業。
「アウトドアシンク」
「ピットリビング」
◇ ◆ ◇
1階のアウトドアシンクは常識ではないかと思うが、同社が採用するのはかなり立派なものに見える。いかにも同社らしい。2階以上にはスロップシンクは付けないのか。ここ数年、デベロッパーはほとんど付けなくなった。あれば便利だと思うが…。
「ピットリビング」も戸建てでは常識だ。マンションでは皆無ではないが、珍しいはずだ。これを設置することで1階の天井高は最大でどれくらいになるのか。画像データからは20センチくらいか。とすれば、最大天井高は2700ミリくらいになるか。
気になる坪単価だが、周辺相場からすると255万円と読んだが、もっと高くなるかもしれない。
「カスタムクローゼット」
菅総理と一緒 住宅新報は「自助」呼びかけ/各社のコロナ対策、社長の昼食知りたい
住宅新報は1月12日号社説で「国内で新型コロナが確認されて約1年が経った。ほぼ出尽くした感がある公助に過大な期待は禁物だ。一人ひとりが危機感の薄れを改めて、自分や家族の安全は自力で守る覚悟でこの危機を乗り越えたい」と書いた。公助は期待せず、自助でコロナを乗り切れと。
なるほど。そうかもしれない。しかし、それを言ったら身も蓋もない。菅義偉総理と一緒だ。菅総理は昨年9月16日の総理大臣就任あいさつで次のように語った。
「私が目指す社会像、それは、自助・共助・公助、そして絆であります。まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットでお守りをする。こうした国民から信頼される政府を目指していきたいと思います」
記者は、菅総理が真っ先に「自助」をあげ、「公助」を3番目にしたことに愕然とした。率直と言えば率直だが、国のリーダーが言うべき言葉ではない。嘘でもいいから「公助」で皆さんを救うと宣言してほしかった。
記者は選挙に行かないので資格もないし、批判などしたくないのだが、菅総理は就任直後、学術会議の6人の任命を拒否しつまずいた。藪蛇と言うか火中の栗の典型だ。
8人会食も批判を浴びた。国の総理たるもの、情報収集も大事だ。何人と会食しようとかまわないと思うが、相手が悪かった。総理にすり寄る人も問題だ。
さて、菅総理や新報がいうようにわれわれは自助でコロナを乗り切るしかないのか。そうなったら結局は強者だけが生き残る。ついにわが国は無政府状態かそれとも統制国家に突入するのか。
ところで、最近の業界紙誌では不動産流通研究所のWeb「R.E.port」が緊急事態宣言の発出を受けて、デベロッパー・ハウスメーカーなどの対応策を8日、12日、13日の3度にわたって報じた記事がいい。全部で40社くらいか。
各社とも政府の呼びかけに応じ、テレワークに切り替え、出社率を3割に抑え、不要不急の外出や会合などを避けていることがよく分かる。
記者はマンションのモデルルーム見学くらいしか取材しなくなったが、各社の担当者は自宅と販売事務所の移動のみで、昼食や夕食はコンビニなどで弁当を買い、事務所内で食べていると聞いている。
立派なのは、ケイアイスター不動産の取締役第二分譲事業部長・浅見匡紀氏(41)だ。取材したのは昨年7月だったが、何と毎日、奥さんの手作りの弁当を持参して会社内で食べていると話した。中身は見せてくれなかったが、材料費だけなら1日500円でどうか。奥さんの弁当づくりに費やす時間をお金に換算したら…これは1,000円でどうか…〝そんなに安くないわよ〟と奥さんに怒られるか。
手弁当といえば、もう20年以上も昔だが、前夜の残りのカレーライスとかコンビニで買ったままのナポリタンなどの弁当を奥さんに持たされても文句ひとつ言わなかったRBA野球の選手がいた。それでも体は立派で、選手としてはトップクラスの働きをした。通算本塁打はこの人がトップで、まず破られないだろう。
言い忘れた。RBA3冠王の東急リバブル・岡住さんは実家が食堂店を営んでおり、毎日5食とか6食くらい食べたという。それでも先の通算本塁打王と対照的に全然太っておらず、それこそキン肉マンだった。
時効だろうからもう一つ書く。タカラレーベン村山義男会長の社長時代の昼食は凄かった。取材に行った時だ。取り寄せてもらった弁当を記者と一緒に食べたのだが、丑年の記者は20分くらいかかったのに、食糧難の時代を生き抜いてきたからだろう、4歳年上の村山氏はものの数分で平らげた。ご飯もおかずも全然残さなかった。在庫を抱えるのを極端に嫌った村山氏らしい。
業界紙誌も、プレス・リリースのコピペ記事ばかりでなく、ユニークな各社のコロナ対策とか自衛策を伝えてほしい。各社のトップの昼食を紹介したら面白いだろう。
平均75㎡ レベル高いマリモ「昭和記念公園」 4カ月で半分以上の90戸超成約済み
「ポレスター昭和記念公園」
マリモが分譲中の「ポレスター昭和記念公園」を見学した。青梅線東中神駅から徒歩10分の全168戸で、昨年9月の販売開始からこれまで90戸以上が成約済み。極めて好調に推移している。
物件は、JR青梅線東中神駅から徒歩10分、昭島市もくせいの杜2丁目に位置する10階建て全168戸。現在販売中の第3期4次(14戸)の専有面積は64.87~82.95㎡、価格は3,668万~4,638万円(最多価格帯3,800万円台)、坪単価は185~190万円。(3戸)竣工予定は2021年3月末日。設計・監理は三輪設計。施工は松村組。売主は同社のほか三信住建。販売代理はグローバル住販。
現地は、開発面積約66haの立川基地跡地昭島地区区画整理事業地内の一角に位置。国営昭和記念公園までは徒歩8分。建物は、コの字型で、標準階1フロア21戸のうち南向きが13戸。共用施設は全戸駐車場、ゲストルーム、ラウンジライブラリー、スタディブース、コミュニティルームなど。
主な基本性能・設備仕様は、平均専有面積75㎡、リビング天井高2.65m、直床、床暖房、Low-Eガラス、食洗器、スロップシンク、プッシュプルドア、ハンズフリーキーなど。
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見学したこの日(12日)、同社のマンション見学は予定に入っていなかった。「パークホームズ昭島中神」のモデルルーム見学を終え、現地とその近くのスーパーに寄る目的で歩いていたら、この「ポレスター」の販売事務所が目に入ったので、見学を申し込んだ。
コロナ禍で完全予約制をとっているはずなので断られると思ったが、事情を話したら同社営業本部おもてなし課・目崎真美氏は快く応じてくれた。
特徴は上記に書いた通り。レベルが高いマンションだ。改めて強調したいのはワイドスパンだ。面積が最小の64㎡でも6300ミリ確保し、70㎡台で6800ミリ以上、80㎡台以上だと8000ミリ以上ある。6000ミリくらいのショートスパン幅を利かせている最近の市場からすると突出している。このほか化粧鏡付きの玄関収納扉を標準装備している物件は他ではそうないはずだ。細かいところにも配慮しているのは今も昔も同じだ。
ワイドスパンだから提案できるモデルルーム(奥に収納スペースを提案)
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モデルルームを見学してうれしいことがあった。販売代理のグローバル住販営業部主任の小田部奨氏と会えたことだ。同社はRBA野球大会に参加しており、記者は小田部氏のユニークな名前にふさわしいプレー・言動にほれ込んだ。興味のある方は「グローバル住販」「小田部」「RBA」で検索していただきたい。5つや6つはヒットするはずだ。
甲府駅北口で駅から最も近いマンション1カ月半で約7割を販売 マリモ「甲府駅前」(2017/12/19)
わが国初の太陽熱給湯システム「ポレソーラー」搭載マリモ「ポレスター玉川上水」(2012/2/10)
〝安さ〟売り「ザ・ビッグ」に近接 三井不レジ他「昭島中神」 収穫大の今年初の見学
「パークホームズ昭島中神」
三井不動産レジデンシャル(事業比率60%)・西日本鉄道(同20%)・総合地所(同20%)3社JVの「パークホームズ昭島中神」を見学した。マンション見学はほぼ1か月ぶりで、この日(12日)は小雪舞う中、鼻水が出るはメガネが曇るはでマスクに悪態をつきっぱなしだったが、終わってみれば収穫の多い1日だった。今年も極力現地に足を運びレポートしていきたい。コロナはもちろん怖いが、記者が現場を見なくなったらそれは死も同然だ。デベロッパーの広報担当の皆さん、そして現場の販売担当の皆さん、今年も馬鹿な記者に付きあっていただきたい。
物件は、JR青梅線中神駅から徒歩9分(昭島駅から徒歩16分)、東京都昭島市宮沢町の準工地域に位置する10階建て全313戸。1月下旬に販売予定の第1期3次(戸数未定)の専有面積は58.80~81.72㎡、予定価格は3,200万円台~5,100万円台(最多価格帯3700万円台)。坪単価は180~190万円。竣工予定は2022年1月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
昨年12月から販売を開始し、これまで第1期1・2次58戸を供給し、50戸強が成約済み。
現地は、圧倒的人気を呼んだ2002年竣工の「プレイシア」(527戸)に隣接。用途地域からも分かるように工場跡地。周辺はマンション化も進んでおり、嫌悪施設は確認できなかった。〝安さ〟が売りのイオン「ザ・ビッグ昭島店」が徒歩2分、昭島駅前の大型ショッピングモール「モリタウン」が徒歩11分。
建物はF字型で、標準階1フロアの南西向きが14戸、南東向きが13戸、コミュニティガーデン・駐輪場に面した南西向きが8戸。住戸プランは各住棟の角住戸を除きほとんどが66㎡台。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2500ミリ、食洗器、エコガラスなど。
販売事務所所長で三井不動産レジデンシャル都市開発三部事業室主査・太刀川慶氏は「来場制限していることを考え合わせば、販売はまずは順調なスタート。わたしも担当するまで中神も昭島もよく知らなかったのですが、現地近くのスーパー『ザ・ビッグ』はとにかく安い。店がオープンする9時半にはレジに行列ができるほど。大規模『モリタウン』も徒歩圏というのが特徴。来場者の50~60%は市内です。青梅線での当社のマンション? 立川昭和記念公園と河辺の事例があります。昭島市では初です」と話した。
◇ ◆ ◇
販売事務所を訪れてすぐ太刀川氏から「北千住の取材でもお会いしている」と言われたとたん、その時の光景がよみがえった。「北千住」は太刀川氏も驚くほどの人気になったが、今回は果たしてどうか。
ほとんどの住戸が60㎡台で、床暖房がついておらず、引き戸もソフトクローズ機能付きでなかったのには驚いたが、生活利便施設が整っている立地第一次取得層にターゲットを絞り込み、価格4,000万円以下にして売る戦略が成功するかどうか。
三井不動産レジデンシャルが青梅線でマンションを分譲するのは今回が初めてではないかと思っていたが、事例はあるようだ。
モデルルーム
◇ ◆ ◇
太刀川氏の「安い」と強調したスーパー「ザ・ビッグ昭島店」がいかほど安いか確認することにした。
店内の至る所に「買えば買うほどに安さが分かります!」と大書きされた赤い垂れ幕(看板)が掛かっていた。
取り敢えずタバコを買った。値段は安くなかった。女性のレジ担当者に「タバコは安くならないんですか」と聞いてみた。「タバコは法律で安く売ってはいけないことになっています」と返ってきたので、「他の商品は他社と比べて安いんですか」と畳みかけたら、「当店は安さが売りですが、他店も安くしていますので…飲み物などは安いと思います」とのことだった。
そこで、1缶190円(+消費税10%)のサントリーのプレミアムモルツと東京クラフトビール(この生ビールはとてもおいしい)、特売品の1パック450円(+消費税10%)のイチゴ1パックを買った。ビールはコンビニなどで買ったら230~240円はするので間違いなく安いし、イチゴはこの前、友人にあげるためにスーパーで買ったのは2パック1,500円だったので、これも破格値でないか。太刀川氏の言葉に嘘はなかった。太刀川さんも飲んだことがなかったらぜひ東京クラフトを飲んでみてください。
このマンションを検討される方に一言。昭島市の新型コロナ感染者は1月7日現在315人(わが多摩市は285人)で、人口10万人当たりの感染者(率)は278人(多摩市は192人)なので、10万人当たり1,000人を超える新宿区や港区、渋谷区などの都心の物件を担当するよりはるかに感染リスクは低い。油断は禁物だが、郊外マンションのいいところだ。
もう一つ、途中で大変な僥倖に恵まれた。マリモ「ポレスター昭和記念公園」のモデルルームを見学できたことだ。この記事は後ほど紹介する。
「ザ・ビッグ昭島店」
ほぼ電柱の高さでぶった切られていたトチノキの街路樹
三井不レジ「パークホームズ立川」 「半ソト空間」だけでない魅力あり(2015//9/28)
都の区市町村別コロナ感染者 人口10万人当たり新宿、港、渋谷区の順で1000人超
1月7日現在の東京都の新型コロナの累計感染者と人口10万人当たり感染者(率)を区市町村別にまとめた。
もっとも多いのは世田谷区の5,300人で、以下、新宿区、大田区、足立区、練馬区、港区、杉並区、江戸川区、中野区、板橋区の順。23区でもっとも少ないのは荒川区の1,041人。市で最多は八王子市の1,340人で、町田市、調布市が続く。市部で少ないのは羽村市、武蔵村山市、国立市の順。
人口10万人当たり最多は1,410人の新宿区で、港区、渋谷区を合わせた3区が1,000人を超えている。以下、中央区、目黒区、中野区、台東区、千代田区、豊島区、世田谷区の順。もっとも少ないのは江戸川区。市でもっとも多いのは351人の武蔵野市で、西東京市、三鷹市の順。市部で少ないのは東村山市、東大和市、青梅市の順。
新型コロナ都道府県別感染者 人口10万人当たり最多は東京都493人 最少は秋田県17人
厚労省のデータをもとに1月7日現在の都道府県別感染者数と人口10万人当たりの感染者(率)をまとめた。
感染者は、東京都がもっとも多い68,790人で、以下、大阪府、神奈川県、愛知県、埼玉県、北海道、千葉県、兵庫県、福岡県、沖縄県の順。もっとも少ないのは鳥取県の156人で、以下、秋田県、徳島県、島根県、香川県、福井県、岩手県、山形県、佐賀県、青森県の順。累計感染者は263,158人。
人口10万人当たりでは、もっとも少ないのは秋田県の16.7人で、以下、新潟県、鳥取県、徳島県、島根県、岩手県、香川県、山形県愛媛県、青森県の順。もっとも多いのは東京都の493.3人で、以下、沖縄県、大阪府、神奈川県・北海道、愛知県、埼玉県、京都府、千葉県、兵庫県の順。全国平均は209.3人。
都の新型コロナ感染者 職業公表 医師・医療従事者など多数 大雑把すぎるのが欠点
東京都が新型コロナウイルス感染症対策サイトで公表している昨年10月から1月3日現在の感染者36,858人のうち職業欄に記載がある21,382人の職業を別表にまとめた。
もっとも多いのは会社員の8,062人で、以下、無職2,403人、学生2,105人の順。医師は225人、医療従事者は979人となっている。
◇ ◆ ◇
都の職業データからは、全体としてはコロナ禍でも生活維持に欠かせないエッセンシャルワーカーの感染が多いことは伝わってくるが、〝見えない敵〟新型コロナをあぶり出す意味では大雑把すぎて実態は把握できていないのが欠点だ。職業分類表のように分類する必要はないだろうが、もう少し詳しく調べるべきではないか。以下、記者の感想。
まず会社員。これは漠として捉えようがない。業種や内勤か外勤かなど勤務形態についても聞いていいのではないか。経営者や役員なども記載があっていい。
無職は、10歳未満の51人を含め若年層から高齢者まで幅広く分布しているが、これももう少し詳しく調べるべきだろう。
学生は、10代以上の人数を表にまとめたが、中学生や高校生なども含まれていると思われるので、大学生や専門学校生と区別すべき。
その他、自営業、接客業、サービス業、アルバイト、パート職員もどのような職種なのかさっぱりわからない。これでは職業を調べる意図がまったく分からないではないか。
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医師と医療従事者の年代別・性別感染者の分布を表とグラフにまとめた。
医師は、225人のうち約77%の人が男性で、医療従事者では、979人のうち約83%の811人が女性で、このうち20代と30代は512人で63%を占めている。
このデータからも分かるのだが、他の職業を含めて新型コロナは社会的弱者に集中的に襲い掛かり、ジェンダー性差をいやというほどあぶり出している。
菅総理は一都三県の緊急事態宣言発出について記者会見し、以下のように若い人向けに述べた。
「さらに、若い方々にお伝えしたいことがあります。最近の1都3県における感染者の半分以上が30代以下の若者の皆さんです。こうした皆さんは、感染されても多くの場合、重い症状が出ることはありません。しかし、若い方々への感染が更なる感染拡大につながっているという現実があります。どうか皆さんの御両親や祖父母、御家庭、友人など、世代を超えて大切な命を守るために御自身のことと捉えていただいて、行動をお願いしたい、このように思います」
これではやはり総理としての発信力はやや弱い。若い人の感染は確かに多いが、若い人たちの中には医療・介護従事者、接客業、サービス業、その他のエッセンシャルワーカーの感染が多いはずで、十把一絡げの物言いは若者の心に響かない。第2波のとき〝夜の街〟などと〝口撃〟したのと同様だ。小生はこのような時だからこそイソップ童話の〝北風と太陽〟が効果的ではないかと思う。
新型コロナ 爆発的に増加 感染者の〝職業不明〟割合 都は40%超82021/1/9)
新型コロナ 爆発的に増加 感染者の〝職業不明〟割合 都は40%超
東京都の新型コロナ感染拡大が止まらない。1月7日に2,447人となり初めて2,000人台に乗せると8日は2,392人、9日は2,268人と3日連続して2,000人台を記録した。経路不明者は12月23日以降、18日連続して60%台で推移しており、保健所業務もパンク寸前になっているようだ。
◇ ◆ ◇
東京都は10月から感染者の職業など属性をホームページで公表している。そこで10月1日から1月3日までの感染者36,858人の年代別・性別属性をオープンデータから調べた。以下、分かったことを紹介する。
まず、オープンデータの職業欄が空白になっている職業不明者について。不明者は15,448人で、不明率は41.9%となっている。この間の感染経路不明率は50~60%台で推移していることと考え合わせると、感染経路不明者の多くは職業も不明であることをうかがわせる。
職業不明者を性別・年代別で見ると、10代の28.6%と20代の38.8%を除く各年代で40%超えとなっている。
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感染者の4割以上の人が自らの職業を明かさないということの意味をみんな考えないといけない。これは前後不覚の状態で病院に担ぎ込まれた人というよりは、むしろ保健所の聞き取り調査に応じない人が圧倒的に多いことをうかがわせる。
調査に応じないのは、感染者の自宅に石が投げられたり落書きされたり、あるいは子どもの登所・登園を断られたりするなどコロナ自警団・警察が蔓延している背景があるからだが、自らの感染リスクにおびえながら必死で医療活動を行っている関係者のことを考えたら、これはいかにも不公平だ。
いま政府は特措法の改正作業を進めており、事業者や法人の罰則を盛り込むようだが、保健所などの経路調査などに応じない感染者に対しても何らかの措置を講ずべきではないか。都もまた、感染者の職業や感染経路を明らかにすることがコロナ感染拡大を防ぐ重要なポイントであることを分かりやすく都民ら伝える必要がある。
調査に協力的でない感染者に対しては、神奈川県のようなポイント制を導入したらどうか。調査に応じない人はマイナスポイントを付与し、治療に優先順位をつけたら、職業不明者は限りなくゼロになるはずだ。
新型コロナ感染者 職業の最多は「不明」35% 退院後の心のケア必要 都のデータ(2020/11/16)
正鵠を射る「ドワンゴ、七尾さん」の質問 国や自治体はもっと分かりやすい説明を
昨日(7日)の新型コロナ感染症に関する菅総理の会見をテレビで視聴した。もっとも的を射た質問をされたのは「ドワンゴ、七尾さん」だと思った。質問が終わった段階でNHKは中継を打ち切った。首相官邸ホームページには全文が掲載されているので、そのまま紹介する。
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(内閣広報官)
それでは、内閣記者会以外の方の御質問も頂きたいと思います。では、ドワンゴ、七尾さん。
(記者)
ドワンゴの七尾と申します。連日お疲れさまです。
第1波のときなのですけれども、西浦教授を始めとする尾身先生ら脇田先生、専門家会議によるシミュレーション、接触8割減という具体的な数値目標を立て、これは奇跡的だと思うのですが、かなり実現できたと思います。
それ以降、今日まで、東京都などの自治体発表による日々の感染者数等以外、大きく伝われているものはございません。国民が納得し、取り組むことができる一体感、これは大事だと尾身先生もおっしゃいましたけれども、今回では、かつてのような人流データ、あるいは企業等のテレワークの実施率、脇田先生のところで進められているゲノム分析など、こうした接触機会を減らすことにつながる様々なデータ、そして国民が一体感を持って目指すことのできる科学的な数値目標をアドバイザリーボードや分科会を始めとする、これまでの国内の科学的知見を総動員して、今後、政府の下で掲げる必要性についてお考えをお聞きします。お願いします。
(菅総理)
まず、科学的な知見に基づいて対策の具体的な内容だとか指標を定めることが重要だというように政府も認識しています。これまでの専門家の皆さんの御議論の中で、ステージ3、ステージ4という、そういう指標をつくってきているところです。
感染者数、病床使用率などについて、具体的な数値は定めさせていただいています。そのほか、感染状況を分析するための各地の人流、このデータも参考にしています。今後とも専門家の皆さんの知見を総動員しながら、その意見や評価を踏まえて政府としては対策はしっかり打っていきたい、そういう思いであります。
具体的な数値目標については、科学的知見については尾身会長からお願いします。
(尾身会長)
今の御質問は、多分2つあったと思いますけれども、1つ目のいろいろなデータを基に、それをしっかりと国民、一般の人にということですが、全くそのとおりで、我々も実は最近で言えば、多分御記憶が、分科会などの記者会見に参加していただいて、1つは人流の流れと、その感染の状況はどういうふうな関係があるかというのは随分分析をして、既に結果をまとめています。
それから、いろいろな介入がありますよね。時短介入だとか、それから当時8月ぐらいの、このいわゆる重点的に、比較的、いわゆる飲食を伴う、そういうとこの検査をしたことによってどれだけ効果があったというのは既にお示ししている。それから若い、これはつい1か月ぐらい前で御記憶があるかと思いますけれども、この無症状者の人が、無意識に感染を起こしているという、これは無意識ですから責任はありません。このこともデータとして、そういう意味で、まだまだやるべきことがあって、さらにデータがあればこれからも発信していくつもりですけれども、そういうことだけは。
あとは、目標という意味ですが、例えば今回のいろいろな解除についての目標とかということですけれども、これは数値の目標というものは一つの目安であって、それを総合的に判断しなくちゃいけない。なぜかといいますと、2つの理由があって、感染の状況というのを把握するのは数値だけではなくて、その他定性的な医療の体制の問題だとか、そういう我々は実態を知りたい、実態に近付くためには、感染者数だけあっても極めて部分的なこと、実態の部分的なことしか見られないということがまず一点です。
もう一点は、仮に数を決めて、例えば解除するとか何か対応、いわゆる数値の感染者数が幾つということだけでやったときに何が起こるかというと、実は感染者の数はある程度合格したけれども、実際に医療の体制がまだ全く求められるレベルに行っていないということもあるので、そういう意味で、数をそれだけ、当然、目安としての数はもう示しているわけですよね。だけれども、それだけで判断するというのは、私は誤る、だから、数値も参考にして総合的に判断するということが極めて大事だと思っています。
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小生は昨年の3月以降、東京都の新型コロナ感染症対策サイトが公表している感染者のオープンデータを入手し、リソースから年代別・性別感染者属性の推移を追い、その都度記事にしてきた。感染者を年代別・性別に分けることで、コロナは不公平な社会をあぶり出したと思う。
データ収集でもっとも注目してきたのは経路不明比率だった。感染が少ない時も多い時も都の経路不明者は50%前後で推移しているのは、保健所が疲弊して追跡調査が行えなくなったことよりも、感染者側に事情があるのではないかという仮説を立て、「新型コロナ 感染経路不明者が減らない理由 〝闇社会〟〝二重就業〟も一因」(2020/5/11)という見出しの記事を書いたところ、アクセスが殺到した(1月8日現在アクセス数は約5.6万件)。
「ドワンゴ、七尾さん」が「今日まで、東京都などの自治体発表による日々の感染者数等以外、大きく伝われているものはございません」と語ったのは正鵠を射るものだ。数値を生活者の視点で眺めれば、医療・介護従事者だけでなく、飲食店などで働く二重就労の問題にたどり着くのは容易なことだ。
厚労省は感染者の数値を毎日公表している。アドバイザリーボードは実に詳細だ。しかし、その数値の意味するものについて分かりやすく国民に伝えているかとなるとはなはだ疑問だ。各都道府県のホームページも同様だ。
1月7日現在、全国で約258,000人、東京都で約69,000人もの感染者がいるが、その具体的な情報は共有されているのか。今回の新型コロナでは疫学者の活躍が目立つが、先生方も正確な情報収集に苦労されているのではないか。
国と自治体が正確なデータ収集と公表を怠った典型的な例は、Go Toキャンペーンだろう。東京都も対象になった10月の段階で感染者は減少を示す数値ではなかった。むしろ、北海道などの数値は明らかに〝東京経由〟の感染拡大であることをうかがわせていた。
それでも国はキャンペーンを強行した。メデイアも煽った。10月半ばから都でも増加が目立ち始めたが、政府は一貫してキャンペーンと感染者の数値はエビデンスがなく、因果関係は分からないと言い張ってきた。そもそもキャンペーン利用者を追跡調査することなどはなから考えていなかったのだろう。
今回の緊急事態宣言発出について、菅総理は「経路不明の大半は飲食」と語ったが、劇的な効果が果たして期待できるのか。
飲食店を十把一絡げにして論じるべきではないと思う。例えばホテル。記者はこの10か月間ほとんど外食はしていないが、やむを得ないときは一番安全と思われるホテルやレストランを利用した。十分な感染対策を施し、利用者の追跡調査などを行っている飲食店は時短の対象外としてもいいのではないか。時短要請と追跡調査を一体として実施しないと、感染抑制は難しいような気がしてならない。
経路調査でいえば、北海道に注目している。12月25日現在、北海道の経路不明率は28.2%で、全国平均の47.9%を大きく下回っている。
これが感染者の減少とどのような関係があるのか分からないが(これこそ国民が一番知りたいこと)、感染経路がたどれているのは、厚生労働省のクラスター対策班の一員として北海道の第一波を早期に収束させた功労者といわれる西浦博・京都大学大学院教授(当時北海道大学教授)が説く「徹底してクラスターを叩く」ことを守っているからではないか。
宣言当日 都のコロナ感染者 激増の2,447人 経路不明は16日連続60%超
一都三県に新型コロナ緊急事態宣言が再発出された1月7日、東京都の感染者は2,447人となり、前日記録した過去最多の1,591人を856人も上回る最多記録を更新した。
年代別では、20代、30代、40代、50代が前日より100人以上増加するなど、90代を除く各年代で最多記録を大幅に更新した。
年代・性別では、20代男性が10,267人となり10,000人を突破した。経路不明者は1,645人(不明率67.2%)となり16日連続して60%を超えた。累計感染者は68,809人となった。
前日との比較