個人「不動産エージェント」の普及を 〝先進企業〟3社が合同セミナー

左から豊永氏、水智氏、本田氏(虎ノ門ヒルズビジネスタワーで)
TERASS、ケラー・ウィリアムズ・ジャパン、リストサザビーズインターナショナルリアルティの3社は7月15日、報道陣向け「不動産エージェント合同セミナー」を開催した。個人エージェント(仲介者)が大半を占め、で社会的地位も高い米国の「不動産エージェント」をわが国でも普及させようと〝先進企業〟3社が手を組んでアピールしようというのが目的のようで、話はとても面白く説得力があり、記者はすっかり支援者になった。
セミナーの冒頭、TERASS代表取締役社長・江口亮介氏、ケラー・ウィリアムズ・ジャパン代表・寺田香織氏、リストサザビーズインターナショナルリアルティ広報・市原奈津美氏がそれぞれ「不動産エージェント」の導入背景や実績などについて説明。
江口氏は、2012年にリクルートに入社し、SUUMOの広告企画、商品戦略などに関わり、2019年4月、「もっと自由に働ける環境を作りたい」とベンチャー企業として同社を起業。日本でも様々なサービス分野で店舗からポータル、個人経済へと大きな流れが生じており、不動産仲介業でも同じ流れが起きるのは必至と語った。コロナ禍が追い風となり、同社の2021年2月現在の累計仲介取扱高は34.2億円となり、2023年3月までにエージェントを500人に増やす計画を掲げている。
寺田氏は、ケラー・ウイリアムズ(KW)の2020年度のエージェント+スタッフは約19万人、取引数は約126万件、取引高は約44兆円、加盟店は1,060+店と世界最大の規模を誇り、2019年12月に日本に進出してからKW TOKYOだけでも約50名のエージェントが活躍しており、計画中も含めて7店舗で展開すると語った。
市原氏は、同社はオークションハウス「サザビーズ」を起源とし、高級不動産売買の取引を得意としており、北海道から沖縄まで全国各地の物件案内や顧客対応が柔軟に行え、働きやすい環境を整えるため2021年4月にエージェント制度を導入したと話した。正社員とエージェントの雇用関係も選択制で柔軟に対応しており、宅建の資格がなくても現地案内や現地調査を行えるのが特徴のようだ。近い将来50人体制に増やす計画だ。
引き続いて、江口氏をモディレーターに、ケラー・ウィリアムズ・ジャパン所属の豊永美悠氏(36)、TERASS所属の水智崚氏(30)、リストサザビーズインターナショナルリアルティ所属の本田貴大氏(35)によるトークセッションが行われ、それぞれエージェントを選択した動機・目的、お客さんの反応、課題などについて語り合った。
豊永氏は、約60万人のフォロワーを持つインフルエンサーとしても活躍しており、オーストラリアでライセンスも取得している。「結婚-妊娠-出産-子育て-介護といった生き方とは異なるもっと多様性に富んだ継続できる働き方があるのではないかと、8年前、オーストラリアに住んでいたときエージェントになることを決断した」と語り、顧客とは売買成立後も付き合いが継続できており、「女性の方がどんどん参加してほしい」と呼び掛けた。
水智氏は、「不動産業界が大嫌いな住宅購入専門エージェント」という肩書がついており、「不動産業界は大きな課題を抱えている。サラリーマンは役割が分担されており、利益を上げるためのノルマも課せられている。これでいいのかとずっと考えてきた。もう自分でルールを決めてやるしかないと決断し、購入者サイドに特化してエージェントを始めた。働き方の選択肢が増えることは業界のためにもなるはず」「前職では1日11~12時間の勤務時間と往復2時間の通勤時間を要した。無駄も多かった。今では以前と比べ4分の1くらいの業務量で、前職と同じくらいの報酬が得られている」と語った。水智氏は購入者向けのユーチューブの発信にも力を注いでいる。
本田氏は、同社のトップセールスマンにもなった経歴の持ち主で、「10年近く営業職に就いてきたが、いろいろな方とお付き合いするうちに不動産営業だけでは満足できなくなってきた。もっと楽しく面白い人間になろうと。そこで会社とも相談してエージェントになった。雇用されているときのように休日の申請を出さずに済み、好きな時に旅行もできる」と、現在のエージェントに満足しているようだった。


江口氏
◇ ◆ ◇
「不動産エージェント」の将来性を暗示するかのような、実に楽しい分かりやすいセミナーだった。
前の取材を済ませ、会場となっている「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」に着いたのが12:30頃。セミナーまで1時間30分の空きがあった。まず一服と喫煙室に入ったら、だしぬけに「開所利用のルールをお守りください。ルールが守られない場合は、予告なく閉鎖させていただく場合がございます」と、すぐに合成とわかる慇懃無礼な声を背後から浴びせかけられた。小生に向けられた声かと思ったら、そうではなく1分間に10回も繰り返した。
エンドレスでしゃべらされる機械も大変だなあと同情しつつ、残りの時間をどうするか思案し、ひとまず「虎ノ門ヒルズ」のガーデンを散策してから、コロナから逃げるため3階にあるオープンタイプのレストランでノンアルコールの白ワインとビールを飲んだ。ワインはぶどうジュースそのもので、ビールはホップの味はしたが何だか炭酸が強く薬草の香りがしたので満足できなかった。
そんな後だったので、セミナーの1時間というものはイライラが雲散霧消し、本物の酒を味わったようなとても爽快な気分になった。
主催者のその後の配慮もよく行き届いている。いつでも何度でもセミナーの模様を視聴できるようYouTubeのURLメールが送られてきたし、追加の質問にも答えるという。これほど丁寧な対応は10に一つあるかないかだ。
◇ ◆ ◇
ただ一つ、「不動産エージェント」が消費者から圧倒的な支持を得るには大きな壁・課題があるような気がする。「安心・安全」の取引が担保できるのかという点だ。アメリカではエージェントが当たり前になっているといっても、わが国では男女を結びつける仲人のような売り手と買い手の双方から報酬を得るシステムが定着している。その是非はともかく、企業の看板が消費者の「安心・安全」を保障してくれるのは事実だ。
一方で、エージェントは、弁護士のような仕事ではあるが、法的には規制するものはないはずで、悪意のエージェントをどう排除するのかという課題は残る。そうでなくとも不動産取引にはトラブルがつきものだ。本物の詐欺師というものは、自分が騙していることを自覚していないから始末が悪い。額が額だけに、取り返しのつかない事件にも発展しかねない。
とはいえ、弁護士資格のように難しい資格制度を導入するのは現実的ではないし、宅建資格でいいかどうかについても異論がでるはずだ。米国はどうなっているかわからないが、米国方式がそのままわが国に通用するのか。今度はこれをテーマにセミナーを開いてほしい。さらにまた、不動産流通会社に属している営業マンを加えたセミナーを開けば参加者が殺到するのではないか。

虎ノ門ヒルズステップガーデン&オーバル広場


森に溶け込む淡い7色きのこ 伊東豊雄氏担当の日本財団「THE TOKYO TOILET」PJ

「代々木八幡公衆トイレ」
日本財団は7月16日、誰もが快適に利用できる公共トイレを渋谷区内17 カ所に設置する「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの11か所目となる「代々木八幡公衆トイレ」が完成したのに伴うメディア向け見学会・撮影会を行った。トイレの一般利用は同日から開始される。
デザインを担当したのは、プリツカー建築賞などを受賞した世界的な建築家・伊東豊雄氏で、タイトルは「Three Mushrooms」。隣接する代々木八幡宮の森から生まれた3本のキノコのようなトイレ。個室型のトイレを3つに分散させることで回遊性を生み出し、行き止まりがなく視線が抜けることで防犯性を高めているのが特徴。
伊東氏のコメントは次の通り。
公衆トイレは男性の僕でも出来るだけ利用したくないと考えていました。そこで今回、落ち着いて安心して利用できる、さり気ないデザインに是非トライしてみたいと思い、喜んでお受けしました。今回設置した代々木八幡公衆トイレは、「夜間でも女性が利用できるような安心感を抱けるトイレ」や「デザインが目立たず、さり気なく利用できるトイレ」になってほしいと思っています。


伊東豊雄氏(写真提供:日本財団)
◇ ◆ ◇
伊東氏の人柄そのもののトイレだ。地上から上に向かって淡いブラウンから白までの7色のグラデーションのデザインは、小さな丸い折り紙を張り付けたような、あるいは点描画のような仕上げで、世も末の絶望的なあのきのこ雲でも七つの大罪でもない、背後の代々木八幡の森にしっとりと溶け込んでおり、幸せを呼び込むラッキー7のそれで、童話の世界に引き込まれそうな雰囲気を漂わせている。
記者はこれまで開設された11か所すべてのトイレを見学したが、好きなベスト3を選ぶとすれば槇文彦氏の「恵比寿東公園」、隈研吾氏の「鍋島松濤公園トイレ」、そして今回の伊東豊雄氏の「代々木八幡公衆トイレ」を挙げる。
安藤忠雄氏の「神宮通公園トイレ」は恐れ多く、外から眺めるのがいい。


佐藤可士和氏担当の恵比寿駅西口は「白」の箱 日本財団「THE TOKYO TOILET」PJ(2012/7/15)
素晴らしい槇文彦氏、田村奈穂氏、片山正通氏 日本財団 渋谷公園トイレPJ(2020/9/21)
コスモスイニシア 田町駅前に常設ギャラリー デザインは「parkERs」

「イニシアラウンジ 三田」
コスモスイニシアは7月15日、同社初の「INITIA」の世界観が体感できる住まいの総合ギャラリー「イニシアラウンジ 三田」をオープンし、販売物件の案内を開始したと発表した。
同社が分譲する複数の新築マンションの情報などを提供するほか、今後はリノベーションマンションや新築戸建、中古マンションなども加えていく。
空間デザインは「parkERs(パーカーズ)」が監修。緑と水音に包まれる空間のなかで、住まいの相談だけではなく、3DCG で作成した室内画像が大型モニターに投影されたオンラインマンションギャラリー「ROOVcompass」でVR 内覧や情報閲覧ができる。
また、隣接するビル内に新築分譲マンション「イニシア青砥レジデンス」(40 戸)、「イニシア横浜天王町」(65戸)の2つのモデルルームも用意している。
総合ギャラリーは、JR 山手線田町駅から徒歩1分、港区芝5丁目34番7号 田町センタービル2階。営業時間は平日11:00~16:00/土日祝10:00~18:00(完全予約制)。定休日は水・木・第3火曜日(祝日営業、夏季・年末年始休暇あり)。
◇ ◆ ◇
常設総合ギャラリーを設けるところが増えている。取材を申し込み、実現したらレポートしたい。「parkERs(パーカーズ)」がデザイン監修を担当しているのは、フェイクではなく、本物の観葉植物を置くように主張してきた記者としてもとても嬉しい。(全て本物ではないかもしれないが)


カフェ
佐藤可士和氏担当の恵比寿駅西口は「白」の箱 日本財団「THE TOKYO TOILET」PJ

「恵比寿駅西口公衆トイレ」
日本財団は7月15日、誰もが快適に利用できる公共トイレを渋谷区内17か所に設置するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の10か所目の「恵比寿駅西口公衆トイレ」が完成したのに伴うメディア向け撮影会を行った。トイレは同日から供用が開始された。
担当したクリエイターは、国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロのグローバルブランド戦略、カップヌードルミュージアムなどのトータルプロデュースを手掛けた佐藤可士和氏で、タイトルは「WHITE」。佐藤氏は次のようにコメントしている。
<清潔・安心・調和>。多様性を受け入れる社会の実現を目的に実施された「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの参加にあたっては、公共のトイレに求められる“あたりまえのこと”をコンセプトとして臨みました。アルミルーバーにより明るく軽やかな印象を持たせ、都市の街並みに自然と馴染む静かな佇まいを心がけました。今回のプロジェクトは新築ですが、街中に存在する多くの公共トイレが<清潔・安心・調和>を獲得できるようなリノベーションの可能性も視野に入れながら考察しています。本プロジェクトのさまざまなデザイン案のトイレと共に、東京の公共空間の在り方を考えていくきっかけになることを願っています。
「THE TOKYO TOILET」は、暗い、汚い、臭い、怖いといったイメージが強い公共トイレを性別、年齢、障がいを問わず、誰もが快適に利用できるものにしようと同財団が取り組んでいるもので、これまで設置済みの9か所を含め2021年度中に渋谷区内17カ所に設置する。
設計デザインには建築家の隈研吾氏、伊東豊雄氏、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏など16名が参画。トイレの設計施工には大和ハウス工業、設置機器・レイアウトにはTOTOが協力している。

ピクトサイン(デザインは17か所全て佐藤氏が担当)

内部もほとんど白一色
◇ ◆ ◇
写真を見ていただきたい。建屋は四角形で、アルミに白い塗装を施した横ルーバーで覆われている。ピクトサインも薄いグレーなので、一見してとてもトイレとは思えない外観なのが特徴だ。
道行く人20人くらいに声を掛けた。トイレであることが分かった人と判別がつかない人は半々。分かった人は恵比寿駅をいつも利用する人が大半だった。
すぐそばで宝くじを売る女性は、「以前のトイレは汚かった。いつから使えるの? 渋谷区に17か所? えっ、全部で17億円? 」と驚いていた。

現地はJR恵比寿駅(アトレ恵比寿)と日比谷線恵比寿駅出入り口のすぐそば(奥の白い建物)
隈研吾氏の〝十八番〟外観は吉野杉のルーバー 日本財団「THE TOKYO TOILET」PJ(2021/6/25)
「フロント」に続き「ザ・マークス」も分譲へ 大和地所レジ 必見の「赤羽北」

「ヴェレーナグラン赤羽北ザ・マークス」
大和地所レジデンスは7月14日、人気のうちに完売した「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」に並列する「ヴェレーナグラン赤羽北ザ・マークス」のモデルルームをオープンすると発表した。
外観は、双子星の意味の〝BinaryStar〟をデザインテーマに、シンメトリーな高低差をもって大空をシャープに切り取る大庇のスカイライン、ライムストーン仕上げの柱と、隣接する「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」(分譲済)から連なる約100mに及ぶライン照明で存在感を創出した南向き中心の配棟計画。
商品企画では、3階スキップフロア&ストレージを設け、コンサバトリースペースやアイランドキッチン、ロフト、テラス、最上階ルーフバルコニー付き住戸など、約44㎡台~約100㎡台、29の多彩なプランを用意。
3階フロアの「SKIRAGE スキップフロア&ストレージ」は、リビング天井高約3.0m、約2.5mのハイサッシを採用、高さ約0.74m(一部0.64m)の床下収納を設置している。
物件は、JR埼京線北赤羽駅から徒歩3分、北区赤羽北二丁目に位置する12階建て全96戸。入居予定は2023年3月下旬。施工は森組。

.ルーフバルコニー付き最上階住戸
◇ ◆ ◇
記者は、この種のマンションデベロッパーの販売開始のプレス・リリースは書かないことにしている。「猿が木に登った」と書いても誰も読まず、「豚が木に登る」から記事になるのと一緒だ。
それでもコピペして紹介したのは、メディアの方も含めて関係者の皆さんにぜひともモデルルームを見学していただきたいからだ。その理由は、添付した記事を読んでいただきたい。卓越した商品企画もさることながら、教えてくれるかどうかはわからないが〝仕入れの妙〟にうなるはずだ。
デベロッパーの広報担当の方々にもお願いだ。新型コロナ感染リスクを避けるためメディアの見学を断っているところがたくさんある。〝お客さま優先〟というのもよくわかる。
だが、しかし、メディアもお客さんとつながっている。消費者のニーズがどこにあるか、アンテナを四方八方に張り巡らし情報を収集することを怠ったら記者でなくなるのと同様、一方的に情報を発信するだけで、メディアの取材を断る姿勢は顧客第一主義に背馳する。
顧客対応に追われている現場の方々の苦労はよくわかる。しかし、対策をしっかりとれば、ゼロではないかもしれないが、感染リスクは抑えられる。わが業界紙の記者の皆さんも現場取材ができず、窒息状態にあるのではないか。
大和地所レジデンスは小生の取材依頼を断ったことは全くない。

スキップフロア

床下収納
全国121万人の看護師の万感の思いここに 「ナースたちの現場レポート」を読んで

書評家・東えりか氏が朝日新聞で紹介しなかったら読まなかったはずの日本看護協会出版会編集部編「新型コロナウイルス ナースたちの現場レポート」(A5版/756ページ、税込み定価:2,860円)を小生も読んだ。
同書「はじめに」は、「2020年1月の中国・武漢への自衛隊の災害派遣から、第3波が来る12月までの約1年間にわたる、医療・ケア現場の様子と日々の暮らしを綴ったレポート。医療従事者としての使命感、未知のウイルスへの恐怖心、差別・偏見に対する怒りや悲しみ、大切な人への思いなど、看護職であり生活者でもある1人の『人』としての姿を垣間見られる貴重な記録」とあり、執筆者は162人、756ページに上ると記されている。
それぞれ執筆者の文量は少ないもので2ページくらい、多いものでも10ページくらいの完結型なので、小説と違ってどこから読んでもよく理解できるのが特徴で、これまで報じられてきた医療現場の映像とはまた違った説得力がある。
小生は比較的冷静に読めたのだが、同編集部に寄せられている読者の感想文に衝撃を受けた。「表紙を見るだけで、涙がでます」とあるではないか。小生も、滂沱の涙と鼻水でハンカチをべとべとになるまで濡らし、電車に乗っているのが恥ずかしくて途中下車した小説はたくさんあるが、表紙を見るだけで涙がでる書物に出会ったことは一度もない。
読後感想文には「この本は、国民全員が読むべき!」ともある。ぽっぺたをひっぱたかれたような気になった。
多分この読者の方も当事者で、この書籍には全国121万人といわれる看護師の皆さんの万感の思いが込められているのだろう。
以下長くなるが、同編集部の了解も得られたので、生々しい現場レポートを引用する。(順不同、敬称略)
「納体袋に収納するまで、個人防護服の交換と遺体周辺の清拭消毒を三度繰り返すため、1時間半程度要する。…家族は『ああ、袋に入っている』『顔が見える』とお別れの数分間を過ごされる。業者が棺の蓋をテープで密閉すると、もう顔を見ることができない。この数分間の顔を見せることが非常に大事な看取りのケアだと考える」(佐藤奈津子)
「いざ病棟内に入ると、思っていた何倍も何十倍も状況は悪かった。患者数は1病棟40人ほどいたが、3分の2は陽性患者であり、それを看護師2人で看ていた。看護師もまた、約半数が陽性となって休んでいたのだ」「火葬場に向かう際も、病院内で棺へ移すのだが、袋ごと棺に入れ、蓋を閉めた後にテープでぐるぐる巻きに固定し、消毒スプレーをびしょびしょになるまで噴霧する。…人生の最期に、全身防護服で顔もよく見えない人間に囲まれ、テープでぐるぐる巻きにされるなんて、本人は生前思いもしなかっただろうなと思うと、いたたまれない気持ちになった。看取る際もマスクを外すことも許されず、即時病院のドアを閉めなくてはならないこの状況を呪った。なぜ、こんなことになってしまったのかと毎日思った。病棟に戻り、こっそり一人で泣いた」(中島ひとみ)
「病棟看護師の残業は増え、病院の方針に恨みが募るくらい皆、疲弊していた。『自分は所詮使い捨ての看護師なのだ…』何度も思った」(むつき つゆこ=仮名)
「コロナウイルスの由来となった『太陽コロナ』が日食で陰った太陽の暗闇周辺を明るく輝かせているように、看護師の働く姿は本当に美しく輝き、笑顔は患者さんの希望の光になっている。2020年は人類の歴史に残る年になる。私たちが今、まさに実践している看護こそが、歴史として後世に語り継がれるのである」(山田眞佐美)
「疲れ切って、ベッドに入ってもなかなか寝つけない。薄闇に天井を見やると、涙が自然にあふれてくる。こんな日がもう3日ぐらい続いている。悔い無き人生を締めくくるべく、穏やかにがんばろうと決めた矢先だというのに…」(深井喜代子)
「『濃厚接触』を『濃厚な接吻』と思い込んでいた夫は、その意味を知ると、思わず笑いだした私に、理解できる説明がなかったことを真剣に怒った。専門用語を翻訳し、生活の知恵や工夫につなげることができるレベルにすることこそ、看護職が力を発揮しなければならないことだ」(吉田千文)
「保健所はこの30年間で半減してしまった。多くの都道府県で職員採用も抑制したため、保健所保健師は全国的に30代後半から40年代前半の中堅層が薄い」(村嶋幸代)
「『何かあったら、あなたが責任をとってくれるんですか』と返され…問答となってしまい、終わりが見えなかった。なかには1時間近くこのようなやり取りが続いたこともあった。…次第に私は、この業務が相談者の役に立っているのか疑問に感じるようになった。電話は途切れることなく鳴り続けていた。1つの相談が終わり受話器を置くと、息つく暇もなく眼前の電話が鳴る。数をこなし、たらい回しを続けているだけの機械のように思えてくる」(坂井志織)
「(電話相談は)1週間に1~2回順番が回ってきたが、連続36時間対応することもあった。事情があって事実を話したくない方などの調査に2時間以上要することもあった」(東口三容子)
「(積極的疫学調査は)感染症対策として最も重要だ。濃厚接触者と感染源の特定とハイリスク者の追跡により、感染拡大を最小限に抑えることになる。…(患者発生の)公表は、住民の感染予防の注意喚起が目的だが、個人や店舗を特定し攻撃するようなクレーム、SNSへの投稿、噂の流布など、患者の人権に配慮のない言動は後を絶たない」(竹林千佳)
「本書を読み進めていくと、想像を絶する困難な中でも看護職の強い使命感に支えられた行動力に感謝と敬意の気持ちが膨らむばかりでした。初期の頃は重症化した患者さんは家族にも会えず、亡くなった後でさえ遺骨になってからの対面という現実に、残された家族の切なさ、看取った看護師が感じた憤りや悲しさ、申し訳なさをひしひしと実感し、涙せずにはいられませんでした。つらく理不尽な現実も含めて、新型コロナに看護職がどう立ち向かったのか、貴重な歴史書となり得る本だと思っています」(髙橋則子=読者)
◇ ◆ ◇
皆さん、いかがか。小生は常磐大学特任教授・吉田千文氏の「『濃厚接触』を『濃厚な接吻』と思い込んでいた夫は、その意味を知ると、思わず笑いだした私に、理解できる説明がなかったことを真剣に怒った」に仲良し夫婦を思い浮かべたのだが、吉田氏のご主人の思い込みに同感だ。
小生はこの1年5カ月、徹底してコロナから逃げている。外食をやめたのは自分の判断で、かみさんに濃厚接触を拒否されたのは自業自得・自己責任だが、東京都の多くの区市は公園での飲食・飲酒を禁止し、公衆喫煙所なども閉鎖した。「経路不明者の大半は飲食関係」などとする専門家の知見とやらを唯一の根拠に、再三再四の緊急事態宣言で国は飲食店などでの酒の提供自粛を求めた(ほとんど強制)。
どなたか執筆者の方は医療現場を「まるで戦場のよう」と形容されていたが、飲酒・喫煙を禁止するのはヒットラーと同じだ。暴動どころか、こぶしすら上げられない情けない世の中になってしまった。
ここまで辛抱強く読んでいただいた皆さんに感謝する。が、しかし、小生の言いたいことはこれからだ。あとは明日以降。
三菱地所「TOKYO TORCH 常盤橋タワー」商業ゾーン開業延期
三菱地所は7月14日、2021年7月21日(水)に予定していた常盤橋タワー内の商業ゾーン「TOKYO TORCH Terrace(トウキョウトーチテラス)」の開業を延期すると発表した。緊急事態宣言の発令に伴い決定したもので、変更後のグランドオープン日については、今後の状況を踏まえ判断するとしている。
テーマは〝ゆるやかな隣人〟 コスモスイニシア 賃貸「nears(二アーズ)川崎」開業へ

外観
コスモスイニシアは7月14日、「“ゆるやかな隣人”のいる新しい暮らし」をコンセプトにした賃貸シェアレジデンス「nears(二アーズ)川崎」を11月に開業すると発表した。
ミレニアル世代を中心に広がっているシェアハウスに、「多様性のあるコミュニティ」や「職住融合の暮らし」などを付加したプランが特徴で、家族でも、友人でも、同僚でもない、他人同士が同じレジデンスに住み、仕事をする時間、食事をする時間、趣味を楽しむ時間、さまざまな時間を共有することで“ゆるやかな隣人”となっていく空間・機会を提供する。
共用フロアはキッチン・ダイニング・ラウンジ・ライブラリー・暖炉・オープンテラスを設置。働きやすい家具、ドリンク、Wi-Fiを備え、オンライン会議や集中作業、アイデア創出など、働き方によって空間を使い分けられるよう工夫を凝らしている。
標準的な居室は14.4㎡で、家具家電(ベッド、チェア、エアコン、冷蔵庫、Wi-Fi)や水回り(シャワー、トイレ、洗面)を備える。
物件は、JR川崎駅から徒歩4分、川崎市幸区中幸町に位置する14階建て全69戸(他に共用スペース、店舗2戸)。竣工予定は2021年10月下旬。

居室プラン
大東建託 セーフティネット住宅の登録住宅は約45万戸 全国の90%超か
セーフティネット住宅の登録件数・戸数が激増していることは先に書いたが、激増をけん引している大東建託パートナーズから記者の質問に対して以下の回答があった。
2021年7月12日現在、同社の全国登録住棟は63,686棟、住戸450,435戸となっている。同社は登録戸数に関し、「条件を満たす物件情報をデータで提供しており、直接登録作業を行っているわけではございません。登録作業につきましては、国交省の委託先企業様と各自治体において行われているため、1年間で登録された戸数に関しては、国交省の委託先企業様に確認作業が必要」としている。
このため、セーフティネット住宅情報提供システムに登録されている現在の総登録件数67,728件(棟に読み替えることができるのか)、総登録戸数496,884戸とデータは必ずしも一致しないかもしれないが、単純比較すると、同社の比率は棟数にして94.0%、戸数にして90.7%に達している。平山教授が指摘する「住宅セーフティネットとは大東建託物件のこと」を裏付けている。
登録を増やしている理由について同社は、「住宅セーフティネット制度発足時に、国交省より弊社に登録の協力依頼がありました。担当官より、制度の主旨および内容の説明を受け、それに賛同した為、ご協力させていただいております。弊社が進んで登録を行うことで、制度の認知度拡大や他社様の登録促進に繋がればよいと考えております」と回答している。
今後の方針については、「建物オーナー様や賃借人様への積極的なアピール等は実施しておりません。昨年より、国交省の委託先企業様へセーフティネット住宅制度の条件に合致する物件データを提供しております。提供した物件データは、各自治体の審査を経て、システムが整い次第、順次、セーフティネット住宅情報提供システムにアップされる仕様となっています。今後も国交省および各自治体と協力しながら登録を進めてまいります」としている。
◇ ◆ ◇
記者は賃貸住宅市場や同制度のことはよくわからないのでこれ以上書かないが、「住宅確保要配慮者の入居を拒まない」セーフティネット住宅法の趣旨からして賃貸管理トップ企業の同社が積極的に登録を進めているのはよく理解できる。
「住宅セーフティネットは-少なくとも現在の制度では-住宅困窮への対応に関し、ほとんど役に立ちそうにない」と結論づけた平山論文(「世界」2021年5月号)に関係者は向き合い、法が実効あるものになるよう取り組んでいただきたい。絶対的な量不足時代の陋習にしがみつく、利回りありきの賃貸市場から脱却してほしい。
リスト AIシステムを用いた高額中古マンション価格上昇率ベスト10発表
リストは7月13日、同社が開発したAI査定システム「mAI List(マイリスト)」を用いた高額帯マンションの査定額騰落率ランキングを作成・発表した。
東京23区内の築15年以内、新築時の平均販売価格が2億円以上の高額帯マンションに絞って作成したもの。
リストグループで都心の高額帯物件の仲介を行うリストインターナショナルリアルティ ウェルス事業部執行役員・銀座オフィス支店長の福島麦氏は次のようにコメントしている。
高級マンションが立ち並ぶ3Aエリアや人気の番町エリアが上位に来ていることは納得。また、有名建築家デザインのマンションや供給の少ない立地のマンションが上位に来ている印象。平均価格2億円以上の高額帯のマンションは、強固なセキュリティやコンシェルジュサービスなどソフト面の充実、大型車が置ける駐車場付きであることが必須条件に挙げられることが多い。
加えて、ペントハウスや庭園付き、300㎡以上の広々とした専有面積、眺望が良いなどの条件は、都心エリアでは供給が限られるため希少性が高く価値がつきやすい傾向にあり好まれる。
特に最近は、在宅時間の増加から広い家を求める富裕層顧客も多く、広い住戸は価値がより一層つきやすいのではないか。
インバウンド顧客は眺望を最も重視することが多い。また、新築マンションの供給は限られているので、築年数にこだわる顧客は減っている。
◇ ◆ ◇
この10物件のうち1位の「パークマンション三田日向坂」、10位の「ブリスベージュ神宮前」は取材しておらずよくわからないが、他の8物件は全て取材している。記事を検索した。「プラウド南青山」「パークマンション白金台サンク」はヒットしなかったが、残りの6物件は記事が残っていた。添付したので参考にしていただきたい。絶賛した物件もあり、それがAIに評価されているのはとても嬉しい。
現在の査定価格でもっとも坪単価の高いのは「パークコート青山 ザ・タワー」の1,510万円だ。この価格に記者も納得。コロナが収束し、再び経済が活性化すればまだまだ都心の好立地・高額マンションの価格は上昇するはずだ。新築で坪3,000万円は時間の問題だと思っている。
10物件のうち半分が三井不動産レジデンシャルの物件で、大和ハウス工業が2物件、野村不動産、三菱地所レジデンス、オリックスが各1物件だが、三井不動産レジデンシャルが高額マンション市場で独走しているのもよくわかる。2位以下との差は大きい。
機会があったら、同社のAIと対決したい。どちらの見る目が正鵠を射るか勝負しようぜ。
新国立競技場だけでない 三井レジ「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気(2015/12/22)
マンションはアートだ 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」竣工(2018/4/11)
乃木神社に隣接 垂涎の立地 三菱地所「乃木坂パークハウス」(2008/3/7)
「地価公示日本一」六番町にフェルメールを見た 大和ハウスが億ション(2016/3/14)
「麻布霞町」を超えるか 三井不レジ「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」(2014/7/4)


