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「移動商業店舗」プロジェクト

 三井不動産は12月15日、車両と店舗が一体となった「移動商業店舗」プロジェクトを始動させると発表した。

 すでに2020年9月から、10業種11店舗の事業者とともに首都圏のマンション4か所と日本橋・福徳の森でトライアルイベントを実施している。

 「THE TOYOSU TOWER」管理組合理事長・菅谷武史氏は「様々なお店がマンションの近くに来ることで、便利なサービスによる生活利便性の向上と、豊洲にはない新しいお店との出会いにつながり、共働き・子育て等で忙しい居住者の楽しみの1つになりそうです」とコメントを寄せている。

 同社は「移動商業店舗」プロジェクトを通じて、自宅やオフィスなどの身近な場所でリアルな買物を気軽にできる体験と、思いがけない魅力的なコンテンツ(店舗)と出会える体験価値の創出に取り組み、将来的にはホテルなど様々な移動式サービスに広げていくとしている。

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 いい取り組みだ。同じではないが、三菱地所は9月、新宿三丁目の所有地で「バスあいのり3丁目テラス」開業した。

 記者はコロナ感染を避けるため徹底して「三密回避」を実践している。取材などで外出しても、コンビニでお握りと缶ビールを買って野外で食べるか、一番安全と思われるホテルを利用するようにしている。

 国土交通省や東京都、各自治体も飲食店を支援するため道路や公園の臨時使用に関する緩和措置を取っている。

 国交省は6月、新型コロナ拡大を受け、テイクアウト、テラス営業のための道路占用許可を緩和した。東京都は7月、飲食店などを支援するための緊急措置として、都立公園内での占用許可の基準を緩和した。このほか、世田谷区、杉並区、江戸川区なども独自の〝キッチンカー(移動販売車)〟を行っている。

 ところが、記者が知らないだけかもしれないが、国交省の緩和措置を受けて営業している店舗など見たことがないし、キッチンカーも見たことがない。なぜなのか不思議でならない。せっかく国や自治体が支援に乗り出したのだからどんどん利用すべきだと思う。〝夜鳴きそば〟〝屋台ラーメン〟はなくなったのか。爆発的にヒットするのではないか。商店街ぐるみで取り組めば知恵もわくはずだ。 

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出店テナントの様子

三菱地所 生産者-産地-消費者つなげる屋外空間「バスあいのり3丁目テラス」開業(2020/9/5)

テイクアウト、テラス営業のための路上占用許可を緩和 飲食店などを支援 国交省(2020/6/5)
 

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「港区立伝統文化交流館」

 青木茂建築工房が設計監理を担当した港区の旧協働会館「港区立伝統文化交流館」の見学会が12月14日行われた。コロナ禍のため1回30名の来場制限を行ったにもかかわらず、15日と合わせ8サイクル全240名が全て満席となった。(写真★は記者、それ以外は交流館ホームページから)

 施設は、JR田町駅から徒歩8分、港区芝浦1丁目に位置する木造2階建て(既存棟)RC造2階建て(増築棟)延べ床面積約550㎡。

 昭和11年に建設された既存棟は、「目黒雅叙園」の棟梁である酒井久五郎が手がけた都内に現存する唯一の木造見番建造物(「見番(けんばん)」とは「置屋」「料亭」「待合」からなる「三業」を取りまとめ芸者の取次ぎや遊興費を精算する施設)。

 正面玄関には銅板葺きの唐破風(からはふ)をつけ、檜舞台のある「百畳敷」の大広間、木製引戸の卍崩し、階段支柱の擬宝珠(ぎぼし)などの技巧が凝らされた優美な姿を留めている。

 第二次世界大戦中に芝浦花柳界が疎開し、戦後は「協働会館」と名を変え港湾労働者の宿泊所として使用された。2階は日本舞踊の稽古場、集会のために貸し出されていた。

 老朽化のため平成12年に閉鎖され、一時は解体が決まったが、平成21年に港区指定有形文化財に指定され、地域の請願を受けて2年に及ぶ改修工事を経て、伝統・文化を次世代へとつなぐ「港区立伝統文化交流館」として令和2年4月に開館した。

 改修に当たっては、文化財的価値を保存するため曳家で約8m移動させ、新たな基礎・耐圧盤を整備し、さらに耐震性を担保する補強工事を施したうえ、公の施設として活用するため増築部分にエレベータ、トイレ、スロープなどを設置した。

 誰でも自由に利用できる1階は、建物や地域の変遷が分かる展示室をはじめ情報コーナー、飲み物や軽食を提供する福祉喫茶を設けている。予約制の2階は様々な用途に使えるようになっている。

 見学会に臨んだ青木氏は「文化財としての価値を損なわないよう再利用できるものは極力残した。補強壁などは違和感のないように工夫も凝らした」などと語った。

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青木氏★

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 写真をご覧いただきたい。外観は84年前に建設されたままなのだろう。内観は置屋、料亭そのものでないので絢爛豪華とは言い難いが、装飾を施したガラス戸、擬宝珠などに往時がしのばれる。芸者さんなどが稽古を行った檜舞台付き「百畳敷」は、最大天井高は3.1m(10.23尺、今のマンションはせいぜい2.45m=8尺)、間口は8.7m(4.785間)だった。

 今は使用されていないが、昔のままの和式水洗トイレも見せてもらった。タンクに水を貯め、ひもを引っ張ると水が流れる立派なトイレだった。本来の「掃き出し窓」も見た。文字通り箒でごみを外に吐き出す小窓だった。

 驚いたのは、内観はあきらかに補強したと思われる壁などが設置されているのに違和感は全くないことだった。

 そのことを青木氏に話したら、「キーストーンと同じ。力が加わるところに補強を施すから違和感がなくなる。単なる装飾ではない」と話した。けだし名言。建築の魔術師はいうことが違う。

 青木氏はまた、「私はこれまでも結構木造のリファイニングを手掛けてきた。寺の設計も行ったくらい。それにしても昔の大工は凄い。100畳の無柱空間を造り、曳家も日常的に行ってきた」と語った。

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 記者はこの日、別の取材もあり、空いた2時間を渋谷東武ホテルの「勉強カフェ」で本を読んで過ごした。コーヒーなど飲みたい放題で、ホテル内の喫煙室も利用でき1,100円だった。

 この「交流館」は、改装工事(本工事+エレベーター工事)に約4.5億円かけた価値はある。弁当などの持ち込みが可能で、コーヒーが150円、軽食も注文できる。「密」も回避できそうだ。お勧めしたい。

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当時の洋式トイレ★

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補強壁★

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掃き出し★

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「パークコート渋谷 ザ タワー」

 三井不動産レジデンシャルは12月14日、渋谷区役所建て替え事業の一環として建設された期間70年の定期借地権付きマンション「パークコート渋谷 ザ タワー」が竣工したのに伴う記者内覧会を行った。1~2階の共用部分や地階2階のゴルフラウンジ、20・21階のビューラウンジ、36階のモデルルームなどが公開された。

 物件は、山手線渋谷駅から徒歩8分、原宿駅から徒歩12分、渋谷区宇田川町の商業地域に位置する期間約70年の定期借地権付き、地下4階地上39階建て全503戸。専有面積は40.01~208.89㎡、坪単価は780万円(前払い地代含む)。竣工は2020年8月下旬。設計は日本設計。施工は東急建設。

 2018年10月から販売を開始し、販売予定戸数の353戸のうち300戸が成約済み。残りの50戸は来年年明けに供給し、未販売の150戸は分譲にするか賃貸にするか現時点で未定。

 開発スキームは、渋谷区庁舎・公会堂の敷地約12,418㎡のうち約4,565㎡に期間70年の定期借地権を設定し、事業者として選定された同社が定期借地敷地にマンションを建設して分譲するというもの。渋谷区は地代収入を建て替え費用に充当するため実質的に建築費はゼロとなる。

 外観デザインは「東京ミッドタウン日比谷」も担当したホシノアーキテクツ・星野裕明氏。代々木競技場などと調和するように、上層階に向かって広がりを見せる曲線美を表現している。

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エントランスロビー(左側は垂直に流れる水景)

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クリエイティブステップラウンジのアート

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ステップラウンジ

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ステップラウンジ アート

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ザ・パークビューラウンジ

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ゲストルーム

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パーティルーム

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 2年前に眼が眩むほどの「パークコート青山 ザ タワー」を見学しているので、今回は落ち着いてみることができた。

 素晴らしいのは1階と2階の共用部分だ。1階のエントランスロビーは天井高約7.2m、床は花崗岩、壁は垂直に流れる水景を演出。その奥のクリエイティブラウンジから2階の様々な共用施設までのアプローチはスパイラル状の階段、スロープでつながっており、テイストが異なる家具調度品、壁面アートが眼を射る。

 2階のパーティルーム、コワーキングラウンジ、ミーティングルーム、ライブラリー、スタディルームなどは広々としており、言葉も出ない。ゲストルームは約50㎡。ホテルのスイート並みだ。

 20階と21階の2層の「ザ パークビューラウンジ」は螺旋階段でつながっており、吹き抜け部分の天井高は6.1m。ピクチャーウインド越しの代々木の森が圧巻。

 36階の141㎡の3LDKモデルルームは北向きだが、間口は約18m。全居室から代々木公園が展望できる。リビング天井高は2700ミリ。価格は4億9,040万円。

 坪単価は想定内だった。当初、記者には900万円くらいではないかという情報がもたらされたが、所有権付きでも坪900万円くらいだろうと予測していたので、そんなに高いはずはないと思っていた。前払い地代を含めて780万円というのに納得した。最上階の住戸の坪単価は2,400万円というが、これも驚きはしない。

 参考までに紹介すると、東急不動産が2007年に分譲したコンパクト「クオリア神南フラッツ」90戸は坪単価456万円だった。また、2012年分譲の日鉄興和不動産の建替えマンション「テラス渋谷美竹」196戸は坪440万円くらいだった。それからほぼ倍の価格になった。

 未分譲の150戸がどうなるか。担当者が「共用部の評価が高く、契約者の中には買い増しを検討される方もいる」と話したように、年明けの次回販売の反響によっては分譲に割り当てられる可能性もあるとみたがどうだろう。それとも近接する住友不動産「ラ・トゥール渋谷神南」54戸のように賃貸となるのか。

 コロナ対策としてWOTA社製のポータブル手洗いスタンドが共用部分に設置されていた。タンク方式のため20リットルの水を入れて電源に繋ぐだけでいいので、水道栓がなくても使用できるのが特徴で、スマホの除菌もできる。値段は150万円とか。

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モデルルーム

マンションはアートだ 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」竣工(2018/4/11)

非日常の極み 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」は坪単価950万円(2016/10/18)

住友不 高級賃貸5千戸突破 〝ラ・トゥール〟「渋谷神南」「渋谷宇田川」完成(2019/2/23)

東急不動産「クオリア神南フラッツ」も即日完売(2007/2/21)

 

 


 

 この前、どこかのテレビ局が、〝住みたい〟ではなく〝住みやすい〟街ランキングで「川口」がトップになったと報じた。

 そのまま見過ごしてもよかったのだが、新型コロナの影響で現場取材が極端に減った分だけストレスがたまり、無聊をかこつ小生の胡乱な神経を刺激するものがあった。以下は暇に飽かせて調べた住みたい街やら住みやすい街についての小生なりの見解だ。もちろん人それぞれ。誰がどこに住もうが住みたいと考えようと勝手だ。それに異論をはさむ意図は全くないことを最初に断っておく。

 この〝住みやすい街〟は、アルヒ(ARUHI)の「住みやすい街大賞」のことで、①住環境②交通利便性③教育環境④コストパフォーマンス⑤発展性の5つの項目について住宅評論家などが審査して発表しているものだ。

 これによると2021年のベスト10は①川口②大泉学園③辻堂④有明テニスの森⑤大井町⑥たまプラーザ⑦小岩⑧花小金井⑨千葉ニュータウン中央⑩浦和美園の順だ。

 前年2020年のベスト10は①川口②赤羽③たまプラーザ④柏の葉キャンパス⑤入谷⑥王子⑦武蔵小金井⑧小岩⑨ひばりが丘⑩東雲で、2019年は①赤羽②南阿佐ヶ谷③日暮里④川口⑤柏の葉⑥勝どき⑦南千住⑧千葉ニュータウン⑨小岩⑩矢向の順だ。

 冒頭に書いたように〝そうなの〟と受け流してもいいのだが、川口、赤羽が選ばれるのになぜ浦和、大宮、所沢はないのか、浦和美園、矢向、辻堂、東雲などと同レベルの街は数百か所はあるのではないかという疑問が沸々と湧いてきた。一方で坪単価400万円もするたまプラーザが上位にランクされる…この選定の根拠がまったく理解できない。

 また、この大賞にはシニア向けも紹介されており、2021年は①武蔵小山②南大沢③平塚がベスト3だ。

 南大沢がシニア向けというのも不思議だ。ここには葬儀場も老人向け施設もあるが、坂も多くバリアフリーに問題がある。アウトレットパークもシニア向け商品は少ない。

 わが街・多摩センターのほうが南大沢と比べたらポテンシャルははるかに勝ると小生は思う。駅前のスーパーはものすごく安いし、金がなくても散歩する公園などに事欠かない。とはいえ、シニア向けに選ばれたら猛反発する。判断するのは他ではない、消費者だからだ。

 どうもこの大賞は、他のランキングに対抗するためか差別化を図るためか、あるいは選者の趣向の反映なのか判然としないが、恣意的というか政治的な不快な臭いが芬々とする。デベロッパーの影もちらほら見え隠れするといっては失礼か。どこそこのラーメン、餃子がおいしいなどというB級グルメ紹介サイトと同じかそれ以下だ。

 これよりは、いわゆるMAJOR7の全国のマンション購入意向者約78万人を対象にした「住んでみたい街アンケート」のほうが〝王道〟を行くような気がする。あれやこれやの前提条件をつけずストレートに消費者に聞いているからだ(結果としてMAJOR7が分譲するエリアが上位にランクされることはあるが)。

 その最新の第32回の結果はどうか。①恵比寿②目黒③吉祥寺④自由が丘⑤横浜⑥品川⑦中目黒⑧表参道⑨二子玉川⑩代々木上原がベスト10だ。以下、⑪広尾⑫四ツ谷⑬代官山⑭東京⑮麻布十番⑯豊洲⑰飯田橋⑱渋谷⑲青山一丁目⑳茗荷谷㉑たまプラーザ㉒池袋㉓荻窪㉔鎌倉㉕中野㉖みなとみらい㉗代々木㉘学芸大学㉙高輪ゲートウェイ㉚市ヶ谷㉛白金台㉜三鷹㉝新宿㉞三軒茶屋㉟新浦安㊱目白㊲浦和㊳田町㊴神楽坂㊵白金高輪がベスト40だ。

 これと似たものでは、リクルート住まいカンパニーの関東圏に居住している20歳~49歳の7,000人を対象にした「SUUMO住みたい街ランキング」調査がある。

 2020年では①横浜②恵比寿③吉祥寺④大宮⑤目黒⑥品川⑦新宿⑧池袋⑨中目黒⑩浦和がベスト10。以下、⑪渋谷⑫東京⑬鎌倉⑭中野⑮表参道⑯自由が丘⑰赤羽⑱二子玉川⑲さいたま新都心⑳武蔵小杉㉑船橋㉒北千住㉓立川㉔たまプラーザ㉕柏㉖川崎㉗海老名㉘荻窪㉙三軒茶屋㉚藤沢㉛千葉㉜桜木町㉝三鷹㉞上野㉟津田沼㊱秋葉原㊲舞浜㊳みなとみらい㊴つくば㊵青山一丁目がベスト40。

 このほかのランキングも紹介する。長谷工アーベストはWEBアンケート形式の「住みたい街(駅)ランキング」を発表しており、今年の首都圏ランキングでは、①横浜②吉祥寺③大宮④浦和⑤立川⑥三鷹⑦恵比寿⑧品川⑨池袋⑩船橋の順でベスト10入りしている。

 大東建託も「住みたい街(駅)ランキング」を発表している。①吉祥寺②横浜③恵比寿④みなとみらい⑤鎌倉⑥自由が丘⑦中目黒⑧新宿⑨大宮⑩池袋の順。

 LIFULL HOME'Sは「買って住みたい街」ランキング。2020年のベスト10は①勝どき②恵比寿③三鷹④北浦和⑤東京⑥八王子⑦浦和⑧町田⑨二子玉川⑩大井町の順。

 まだある。東洋経済新報社の「住みよさランキング」だ。安心度、利便性、快適性、富裕度の4項目20指標を全国の自治体ごとに数値化し、順位づけしているものだ。

 2020年は①野々市市(石川)②文京区③武蔵野市がベスト3。ベスト10のうち6市が石川、福井県。首都圏では渋谷区が13位、21位に新宿区、23位に立川市、24位に台東区、29位に豊島区がランクされている。

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 以上、様々なランキングを紹介した。東洋経済のランキングは調査指標に問題があるといいたいのだが、言い出したらきりがない。ここでは言わないことにする。ランキング全体で共通するのは、選ばれた街(駅圏)のマンション坪単価は一部の郊外を除き300万円を突破することくらいか。

 注目したいのは東京だ。過去のランキングを調べていないが、少なくとも10年前までは20位にも入っていないはずだ。住む街として認識されていなかった「東京」を日本の中心地としての地位を不動のものにした三菱地所はさすがというべきか。

 記者も懐具合や家族、仕事のことを考慮に入れず、住みたい街をあげるなら真っ先に東京駅を中心に日本橋、銀座を選び、その次に赤坂、青山、六本木、神楽坂、神保町、大森、三浦半島などを選択する。わが多摩センターは年寄りには結構つらい。

 東京、日本橋、銀座は文句なし。どうして三菱地所は東京駅周辺でマンションを分譲しないのか不思議だ。坪3,000万円でも安いと思う。神保町は本好きにはたまらない街だし、大森は「馬込文士村」を散歩したいからだし、三浦半島は海が好きだから選ぶ。

 吉祥寺は選ばない。いいのは井の頭公園周辺だけで雑多な街だ。自由が丘は何度行ってもよく分からない街だ。

 〝穴場〟などはないが、強いてあげるなら、どこのランキングにも一駅も選ばれておらず、割り負け感が著しいわが京王線と東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)、京急線だ。

 京王線は2022年度の完成を目指し、笹塚駅-仙川駅間の道路と鉄道との連続立体交差事業を行っている。25か所の踏切をなくし、この間の7駅は高架駅となる。そうなれば一挙に利便性が高まる。

 東武スカイツリーラインはとっくに複々線化がされており、日比谷線、千代田線、つくばエクスプレスとの接続もされている。遅延がもっとも少ない沿線の一つだ。

 山がちの海岸線を走る京急線は、車窓からの光景が目まぐるしく変わりすっかり遠足気分にしてくれるのがいい。真夏に制服姿の青臭い防衛大の学生に出会うと性的興奮を覚えるし、せわしなく行き交う船が止まって見える観音崎ホテルからの眺望は全てを忘れさせてくれる。

 JRと並行して走っているためか、負けてなるかと予定時刻より早く着きすぎて国交省から目玉を食らったというのもほほえましいではないか。

 成長が見込める街(駅)では京葉線南船橋をあげたい。穴中の穴はここだ。いま三井不動産レジデンシャルが駅前でマンションを分譲しているが、坪単価は204万円だ。東京駅まで約30分。これほど安いエリアはまずない。

 隣接する駅前の市有地約45,242㎡の再開発計画も決まった。三井不動産グループが商業、物販、飲食、サービス、公園のほかマンションも建設する。ここも劇的に変わるはずだ。

 もう一つ。記者は街(駅)のポテンシャルを左右するのは①ホテル②デパート③緑環境、歴史・文化を感じさせる施設の3つだと考えている。ホテルは冠婚葬祭機能を備えたもので、デパートは最近流行らないので大型商業施設に置き換えてもいい。緑環境は街路樹や公園など、歴史・文化施設はコンサートホールなどだ。

 この3つを満たす街(駅)は、山手線ターミナルなどを除くと意外と少ない。東京都は立川、八王子、神奈川県は横浜、みなとみらい、川崎くらいで、埼玉県と千葉県は皆無だ。(わが多摩センターはかつてこれを満たしていた)

 まだまだ書きたいことはあるが、この辺でやめておく。言いたいのは〝住めば都〟だ。消費者の方々は雑音に惑わされず賢明な選択をしてほしいということだ。

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 東京都の新型コロナ感染拡大が止まらない。12月10日は602人となり、これまで最多だった12月5日の584人を上回る過去最多を記録した。感染経路不明者も62.3%と6割を超えた。

 年代別・性別では、40代男性が77人となり、11月21日の69人を上回る過去最多となったほか、30代男性の85人、50代男性の54人も2番目の多さとなった。70歳以上の感染者は63人で10.5%となっている。

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 新型コロナ感染者は東京都だけでなく全国でも過去最多水準で推移していることから、Go Toトラベルなどキャンペーンとの関連性が取りざたされているが、キャンペーン以前でも東京都の経路不明者は50%を超えており、そもそも政府はキャンペーン利用者を追跡調査などしていない。因果関係が不明になるのは素人でも分かることだ。

 それでも何らかの手掛かりがつかめないか。記者は緊急事態宣言前の3月31日までの第1派521人、第2波の真っ盛りの8月7日の461人、そして12月10日の602人の都の感染者のデータを比較してみた。

 別表・グラフがそれだ。これによると、第1波では20代から70代まで感染者は幅広く分布しているのが分かる。60台以上は171人で、全体の32.8%を占めた。

 第2波は、緊急事態宣言の効果か、感染者の属性が大きく変化した。8月7日は20代と30代が突出しており、全体の感染者の65.9%を占めている。60代以上は36人で7.8%にとどまっている。7~10月は若年層が感染者の半数を占めるというこの傾向が続いた。

 そして今回。何よりも絶対数が増加し、第1波と同じように各年代への広がりが顕著だ。60代以上は103人、比率も17.1%となり、第2波の3倍近くに増加している。

 このように第1波-第2波-第3波(と呼べるのか)は似ているところもあれば全く異なるとも受け取れる。Go Toキャンペーンとの関連性は分からない。〝見えない敵〟に立ち向かうためにはデータは少なすぎる。

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絹谷幸二・絹谷香菜子「生命(いのち)輝く」2017年200号(1940×2590)

 積水ハウスは12月11日、同社が設立・運営する「絹谷幸二 天空美術館」(梅田スカイビル タワーウエスト27階)で特別展示「天空(そら)をいろどる いのちのつながり」を12月19日(土)から2021年6月28日(月)まで開催すると発表した。

 絹谷幸二氏と日本画家である二女・絹谷香菜子氏が、親子で描き上げた合作「生命(いのち)輝く」のほか、「般若心経」をテーマとした対となる「自画像・夢」「漆黒の自画像」を初出品する。

 新登場の画家とつながるVR(バーチャル リアリティ)体験もできる。

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 絹谷幸二氏がNHKの絵画教室の講師をされていたころだから、もう30年以上も昔からのファンだ。当時は小生でも手が届く値段だった。二束三文にしかならない絵画をたくさん買ったのが悔やまれる。

 二女の絹谷香菜子氏の合作を同社リリースで初めて見た。たしかに絹谷幸二氏のタッチとはどこか異なる。全体的にたおやかな雰囲気が伝わってくる。

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「日和(ひより)ホテル東京銀座EAST」

 サンフロンティア不動産は12月10日、同社グループが運営する「日和(ひより)ホテル東京銀座EAST」の客室タブレットサービス「tabii(タビー)」による「超安眠ルーム」を期間限定で提供すると発表した。

 and factoryが提供し、ホテル全室に導入している客室タブレットサービス「tabii(タビー)」を通じ睡眠コンサルタントの友野なお氏監修の「睡眠五感」、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」「温熱感覚」など様々な安眠グッズを提供する。

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大浴場入り口

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露天風呂

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 記者は、ホテルで寝るときはほとんど酔っぱらっておりすぐ眠ってしまうので安眠グッズなるものに全く関心はない。「お客さん!チェックアウトですよ」とたたき起こされたこともしばしばある。しかし、同社のホテルは一度も見たことがないので見学をお願いした。

 施設は、JR京葉線・東京メトロ日比谷線八丁堀駅から徒歩4分、東京メトロ有楽町線新富町駅から徒歩3分、都営浅草線宝町駅から徒歩4分、中央区新富1丁目に位置する敷地面積約551㎡、11階建て延べ床面積約3,716㎡。客室数135室設計・監理は松田平田設計。施工は三井住友建設。付帯設備はレストラン、大浴場・露天風呂、スカイテラスなど。開業は2019年12月。

 客室は、全135室のうち94室が琉球畳、41室がカーペットタイプ。18㎡のダブル・ツインが中心で、デラックスツインが21㎡。靴を脱いでゆったりとくつろげるのが特徴だ。

 まず「日和(ひより)」について。「日和見め!」と叱声を浴びせられるような気がしないわけではないが、小さいころは「ええ(いい)日和やなあ」というのがあいさつで、日和山があり観光名所となっているのでいいネーミングではないか。

 強調できるのは天井高の高さだ。案内していただいた支配人の平山和行氏によると、1階のラウンジ、レストランは4.5m、客室は2.65mだった。これは〝売り〟の一つになるはずだ。最近の宿泊特化型ホテルの客室は2.5mあれば高いほうだ。

 デザインは、外国人利用者を意識したのだろうが、和をモチーフにしたデザイン、歌麿の絵画、琉球畳などを多用しているのも納得だ。

 最上階に大浴場・露天風呂(外から覗かれないようになっていたが)があり、屋上のスカイテラスでは京橋、東京、城東エリアが展望できる。

 最近は女性客が増加していると聞いたが、これも納得だ。

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スカイテラス

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客室 スタンダードツイン

 建築家・青木茂氏と親交があり、明治大学研究・知財戦略機構特任教授でアークブレイン代表取締役・田村誠邦氏が、建築設計者、工務店経営者、建築営業マンなどの建築系の実務者のための実務講座「建築サバイバル塾KSJ」を開講するとのメールが届いたので紹介します。

 記者も、これまでの経験から建築士などの方々が「士」として自立するためには消費者の潜在的なニーズを掘り起こし、デザインする必要性を強く感じています。

 田村氏は、これまで「同潤会江戸川アパートメント」など多くの建築物の再生事業に携わっており、森ビルのアーク都市塾の専任講師として、事業収支計画を軸に建築関連分野の実務知識を教え、延べ500人以上のプロを育成し、さらに2015年から3年間、建築設計者や工務店経営者、建築営業マンなどを対象とした「クライアント・アドバイザー養成塾」という社会人向けの塾を実施し、延べ100名近いプロを養成してきた。

 今回、塾を開講するのは、「建築業界は、オリンピック効果もあって、バブル以来の好景気に沸いていましたが、本格的な縮小社会の到来と新型コロナの影響により、かつてないほど厳しい状況に直面している」「新築需要全体が縮小する中では、これまでの集客や受注のやり方を繰り返すだけでは、需要縮小の波に飲まれてしまう。建築の専門家が建築のことだけを知っていれば済んだ時代は、とうに終わった」などという危機感が背景にある。

 そうした中、建築士などが自立するには、顧客の本当のニーズをきちんと把握し、それに応えることによって顧客との信頼関係をしっかりと築くことが大事であり、そのためには建築に隣接する不動産や税務、法務、事業収支やファイナンスなどについても、クライアントの質問に答えられる程度の専門知識やノウハウを身につけておくことが極めて重要」という。

 田村氏は「私も66歳になり、あと何年、現役でいられるかわかりません。そうした中で、私がこれまで40年以上にわたり培ってきた建築と不動産の中間分野の実務ノウハウやスキルをもう一度あますことなく次の世代の方々に伝える場を、ぜひ、つくりたいと思う」とメッセージを寄せた。
「建築サバイバル塾KSJ」の顧問に青木茂建築工房主宰・青木茂氏と東京大学大学院工学系研究科建築学専攻特任教授・松村秀一氏を迎え、創造系不動産代表取締役・高橋寿太郎氏を塾長補佐に、また、近畿大学建築学部准教授でSPEAC取締役・宮部浩幸氏をアドバイザーに迎える。

 開講に当たって青木氏は「建築家の仕事は多様な対応を迫られる。建築の技術のみならず法律、環境、世界の経済界の動き等を熟知しなければ建築家として大成は叶わない。田村誠邦先生は建築の経済の第一人者である。氏から学ぶことにより新しい知見を得ることを確信している」とコメントを寄せている。

 また、松村氏も「巨大な新築市場が長く継続していた建築界では、専門分化は究極まで進んでいるし、ある専門に特化して技を磨いた職人的な存在を讃える傾向も強い。しかし、ストックが飽和状態を超え市場環境が一変した今日、必要なのは建築と不動産、技術と経営等、複数の専門領域を軽々と同時にこなし得る知識とセンスを持った人材だ」とコメントしている。


「建築サバイバル塾KSJ」の詳細と「オンラインセミナー&個別相談会」の案内は次のURLで。

http://www.abrain.biz/kobetsu/

「旧耐震マンション 何も検討しない」選択肢はない アークブレイン・田村氏(2014/1/6)

 


 

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「東京レールゲートEAST」

 日本貨物鉄道(JR貨物)は12月10日、東京都品川区のマルチテナント型物流施設「東京レールゲートEAST」を2021年1月に着工すると発表。事業パートナーとして三井不動産が事業参画する。

 JR貨物は、「JR貨物グループ中期経営計画2023」で「総合物流企業への進化」を掲げており、今回の「東京レールゲートEAST」と先行稼働した「東京レールゲートWEST」(2020年2月竣工)と併せてJR貨物グループ各社の機能を結集し、入居テナントに対する集荷・配達・保管・荷役・梱包・流通加工などの一貫した物流サービスの提供が可能になるとしている。

 事業パートナーの三井不動産は「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)」を旗艦ブランドとして国内外で40物件展開しており、「東京レールゲートEAST」では開発計画の企画立案、テナント誘致を行い、竣工後は施設の運営・管理を行う。

 施設は、首都高速湾岸線大井南ICから約2km、東京都品川区八潮3丁目の東京貨物ターミナル駅構内に位置する敷地面積約76,493㎡、鉄骨造(一部CFT造)5階建て延床面積約174,404㎡。BCPは免震構造・72時間対応非常用発電機・24時間有人管理。施工はフジタ。竣工予定は2022年8月。

【JR貨物】東京貨物ターミナル駅_レールゲート2棟.jpg
東京貨物ターミナル駅構内

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アールシーコアの「ワンダーデバイス」(左)と被告の住宅

 「住宅新報」12月8日号は、意匠登録済みの住宅デザインが模倣されたとして東京地方裁判所に提起していた裁判で、原告のアールシーコアが勝訴したと報じた。アールシーコアは12月8日付で「日本初!住宅デザイン模倣裁判で勝訴判決」のプレス・リリースを発信していることを確認した。

 リリースによると、同社は2018年8月10日、意匠登録済みの都市型スローライフ住宅「ワンダーデバイス」のデザインと類似している住宅を販売した鳥取県のマキタホーム(小生とは全く関係がありません。念のため)に対し販売の差し止めと損害賠償を求め東京地裁に提起した。

 同地裁は2020年11月30日、同社が保有する意匠権と被告商品とは、住宅商品として物品の用途及び機能が同一の関係にあり、物品の形状などについても類似の関係にあるとし、その販売などの行為は意匠権侵害(意匠法23条)に当たると判断。被告に建物の製造、販売などを禁止し、損害賠償金を支払うことを命じた。

 同社は、被告商品のネット上での広告を同社ブランド〝BESS〟のユーザーが発見し、同社に通報があったことがきっかけで、被告会社と協議を試みたが、解決の見込みがないことからやむなく訴えたとしている。 

 また、同社のユーザーの「BESSに決めた理由」のトップは「商品(外観)が気に入った」としている。

 同社はリリースに次のような説明を加えている。

 2020年4月、ブランド構築におけるデザインの重要性を背景に意匠法が改正され、「建築物(不動産)」のデザインも保護対象となりました。

 それ以前は、デザイン保護の対象は「物品(動産)」のみでしたが、工業的に量産可能な住宅については「物品」の一種として1960年時点で「組立家屋」の分類で保護の対象となっておりました。

 当社商品「ワンダーデバイス」シリーズについては、デザイン重視の観点から、意匠法改正前の2005年から「組立家屋」として出願し、意匠登録されていました。

 そして本件意匠権については、2016年に「組立家屋」として出願し、2017年に意匠登録されています。今回の判決はこれに拠るものです。

◇       ◆     ◇

 住宅の外観や高さが周囲の住宅地になじまないとして訴えられた事例はあるが、デザイン模倣に関する裁判など聞いたことがない。画期的なことだと思う。

 記者はマンションや戸建て、その他建築物の取材でもっとも重視するのは商品企画で、〝美しいか美しくないか〟〝機能的かそうでないか〟の意匠デザイン・ユニバーサルデザインはしっかり確認する。多少の審美眼はあると自負している。

 昔も今も似たような内外装があまりにも多いのにあきれ返っている。設計担当者やデザイナーに「意匠登録、商標登録はしないのか」と聞いても「建築物にはなじまない」という返事が返ってくるばかりで、みんな諦めているようだ。

 今回、住宅などの意匠デザインが法的に保護されたのはとてもうれしい。建築家・デザイナーはもちろん供給サイドや消費者にとってもメリットは大きいはずだ。

 経産省は11月2日、意匠法改正により「ユニクロPARK 横浜ベイサイド店」、「上野駅公園口駅舎」「蔦屋書店(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)」「くら寿司浅草ROX店」が国内で初めて建築物、内装の意匠が意匠登録されたと発表している。

◇       ◆     ◇

 同社のホームページを開いて驚いた。何と、ドクダミの画像を背景に〝ドクダミのような会社でありたい。〟と白抜き文字があるではないか。「ドクダミの詩」も添えられている。全文を紹介はしないが〝厄介ながらも 見ようによっては愛嬌もあり 益をもたらす野の草 ドクダミ。花占いではないけれど、性格を花でたとえるならそんな会社かもしれない、アールシーコアは。〟とある。

 読者の皆さんはドクダミをどう評価するか知らないが、記者がもっとも好きな野草の一つだ。毎年春から夏にかけて道端に咲くドクダミを摘んでは葉っぱの香りを嗅ぎ、オフィスや自宅に持ち帰りいけて楽しむ。記者にとってはストレスを解消してくれる鎮静剤だ。顰蹙を買っても平気の平佐だ。

 記事も添付したのでご覧いただきたい。

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アールシーコアのホームページトップ(右側にドクダミの詩が載っている)

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