あふれる本物の緑 デジタル技術駆使した仕掛けも 阪急阪神不 新宿に常設モデル
「ジオ ゲストサロン 新宿」
阪急阪神不動産は4月16日、先に新宿アイランドタワーに開設した首都圏初の常設総合マンションギャラリー「ジオ ゲストサロン 新宿」を関係者・メディア向けに公開した。広さは約270坪で、首都圏で年間400~500戸をコンスタントに供給する販売拠点にする。本物の緑をふんだんに導入し、ゆったりくつろげる商談室や大型タッチパネル、3D=のグラム模型など最新のデジタル技術を駆使して〝ジオ〟の全てが分かる工夫・演出を行っている。素晴らしいギャラリーがまた誕生した。
同社グループは2001年から首都圏でのマンション分譲を展開しており、これまでに計89棟、5,400戸以上を供給してきた。サロンの開設は、〈ジオ〉ブランド35周年の節目の年でもあり、今後の首都圏での事業拡大を見据えたもの。
「あなたの未来、〈ジオ〉とここから。」をコンセプトワードに掲げ、本物の観葉植物をふんだんに盛り込んだ「ジオ ライブラリーフォレスト&商談室」と「ジオ ナレッジゾーン」では、緑の中に透明ディスプレイを設置し、リラックスして回遊できるように工夫を凝らしている。また、約9㎡の商談室(全11ブース)には特殊ガラスを採用し、スイッチ一つで透明⇔不透明の乳白色に切り替えることができるようにしている。
「ジオ ナレッジゾーン」にはタッチ式4面サイネージを設置。高精度センサーにより人の動きと連動したデジタルアートが楽しめ、同社の分譲実績、品質管理、商品企画などが全面で表示される。「ジオ ラボゾーン」ではパースやCGを立体的に視認できる3Dホログラム模型も設置し、従来の販売拠点では表現できなかったコンテンツを用意している。
コンセプトルームは約67㎡。「ジオ ナレッジゾーン」との壁を設けず、自由に出入りできるようにしている。バルコニーの壁にはORコードをかざすと、壁内部の鉄筋が見える仕掛けも施している。
サロン開設に伴う第一号物件は、荻窪駅から徒歩12分の第一種低層住居専用地域に位置する「ジオ荻窪」(99戸)。価格は未定で、記者は現地を見ていないが、駅から南側は良好な住宅街が多い。坪単価は700万円台とみた。
エントランス ウェディングゾーン(正面は6×2.6mの大型LEDモニター)
「ジオ ライブラリーフォレスト&商談室」(左)と「ジオ ナレッジゾーン」
特殊ガラスOFF(左)とON
4面サイネージ
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記者はこれまで、総合マンションギャラリーは20か所くらい見学している。各社ともそれぞれ趣向を凝らしており、優劣は付けづらいが、大きさでは住友不動産の「総合マンションギャラリー新橋館」がダントツの710坪だ。豪華さでは、5つ星クラスのホテルロビー・ラウンジを再現した伊藤忠都市開発の「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」と三井不動産レジデンシャル「三井グランディオーソ・クラブ」が双璧だ。
記者が好きな緑を中心としたデザインでは、積水ハウス「グランドメゾンギャラリー新宿」と野村不動産「プラウドギャラリー新宿」が素晴らしい。このほか、野村不動産「プラウドギャラリー武蔵小杉」、コスモスイニシア「イニシアラウンジ三田」が印象に残っている。
最近見たマンションギャラリーでは、東京建物「「Brillia Tower 堂島」、積水ハウス他「グラングリーン大阪 ザ ノースレジデンス」、日鉄興和不動産「リビオシティ文京小石川」がベスト3だ。
さて、今回の同社のギャラリーはどうか。新宿エリアでは三井不動産レジデンシャル、住友不動産、野村不動産、伊藤忠都市開発、積水ハウス、大京に続く7社目だが、他社に引けを取らないと見た。本物の緑をふんだんに採用しているのがなによりもいい。記者は10年以上前からマンション販売事務所などのフェイクグリーンをやめよと主張してきたが、本物を採用するところが増えている。結構なことだ。
「ジオ ライブラリーフォレスト」
商談室
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阪急阪神東宝グループについて。同社は、首都圏でのブランド力・認知度を向上させるため、阪急阪神東宝グループの歴史や住まいづくりへのこだわりなどの取り組みを映像で紹介するコーナーも設けている。
これは正解だろう。三重県出身で西武ライオンズファンの記者は阪急、阪神、近鉄、南海などは小さいころから知っていたが、野球ファンでない首都圏の方は同社グループがどのような事業を展開しているのか知らない人は多いはずだ。記者は2001年に同社が首都圏初のマンションを分譲したのも覚えているし、隈研吾氏が設計した2017年分譲の「ジオグランデ元麻布」も見学している。これまで取材してきて、商品企画はアピールしきれていないと思っていた。販売部隊も設けるべきだとも思う。
東宝宝塚はブランド力アップに大きな力を発揮するはずだ。記者は中学3年の修学旅行で東京に初めて行ったとき、日劇であられもないフレンチカンカンに目を白黒させた記憶がある。エンタメは三井不動産も力を入れているように無限の可能性を秘める。
ただ、プロ野球球団の阪神タイガースはよくわからない。野球ファンでない方の為に少し紹介すると、阪神の通算成績は.517で決して高くはない。リーグ優勝は6回、日本シリーズは2回しか優勝していないのに、2024年の観客動員数は巨人の約283万人を上回る約300万人で12球団トップだ。(わが西武の通算成績は.526で、リーグ優勝は23回、日本シリーズは13回も優勝しているのに、2024年の観客動員数は12球団最低の約156万人)
プロ球団を持つことやスポンサーになることが本業にどのような影響を与えるのか。最近の阪神はそうでもないが、ファンの方は何かにつけ東京に負け、チームも負け続けることに自虐的な喜びを感じる人が多いような気がするが…。ハイソなイメージが強い阪急とどうも一致しない。
徒歩10圏内で9駅13路線が利用可能 パークビュー売り 積水ハウス「御徒町公園」(2025/2/22)
見事な模型紹介コーナー 物件に込めた意気込みひしひし 日鉄興和不「文京小石川」(2025/1/25)
大阪の市場を劇的に変えた 東京建物&HPL「ONE DOJIMA PROJECT」竣工(2024/5/58)
〝ぶっ飛んだみどり〟だけでない 「グラングリーン大阪」タワマンに絶句(2023/10/12)
まるで植物園 五感で体験できる 野村不動産 マンション総合ギャラリー「新宿」(2023/2/21)
5社ブランドとの連携がいい 野村不の常設「プラウドギャラリー武蔵小杉」(2022/6/25)
目を見張る 710坪のマンションギャラリー 住友不「汐留」開設/第一弾は「虎ノ門」(2022/1/14)
木漏れ日、渓流の音…イニシアの世界観を表現 総合ギャラリー「三田」(2021/7/30)
これは凄い ホテルなら5つ星 伊藤忠都市 「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」(2020/9/10)
隈研吾氏がデザイン 〝グランデ〟首都圏第一号 阪急不動産(2017/3/6)
三菱地所ホーム 家の中に自然の中低木 最新モデルハウス「ONE ORDER」横浜に開設(2017/10/20)
1週間に5件 全て売れ行き好調 マンション・戸建ての販売現場に本物の生花・観葉植物(2018/4/19)
いい加減にしてほしい モデルルームのケミカル製品・造花の氾濫(2017/5/23)
3月の訪日外客数 前年同月比13.5%増の約350万人 3月としては過去最多
日本政府観光局(JINT))は4月16日、2025年3月の訪日外客数の動向をまとめ発表。外客数は3,497,600人で、前年同月比13.5%増となり、3月として過去最高だった2024年の3,081,781人を大きく上回り、同月過去最高を記録するとともに、3月までの累計では10,537,300人となり、過去最速で1,000万人を突破した。
国別では、最多は韓国の691,700人(前年同月比4.3%増)で、以下中国661,700人(同46.2%増)、台湾522,900人(同7.9%増)、米国342,800人(同18.2%増)の順。このほか前年同月比でインドネシア、マレーシア、インド、タイなどの増加が目立ち、香港、フィリピン、ベトナムなどは減少した。
全9戸 価格はすべて10億円超か 小田急不 代々木上原駅4分の南傾斜1低層
「(仮称)元代々木マンション」建築現場(右は三菱地所レジデンスのマンション)
建築主の小田急不動産は「ノーコメント」、つまりTesともNoとも言っていないので、以下の記事は、いわゆる建築計画のお知らせ看板の事実に基づいた記者の予想記事であることを断っておく。予想が外れても責任は取らないが、的中する確率は6割以上だと思う。同社の記念碑どころか、今後の新しいマンション事業のメニューになる可能性を秘めているので書くことにした。記事を書いたことで、同社が今後の取材を拒否する可能性はゼロではないが、まずないと見た。黙認するはずだ。
物件は、小田急線代々木上原駅から徒歩4分、渋谷区元代々木町の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する敷地面積約870㎡、建築面積約621㎡、地下2階地上5階建て延床面積約2,893㎡の全9戸。着工予定は2025年6月、竣工予定は2027年8月。事業主は小田急不動産。施工は竹中工務店。
現地は、比高差にして2層くらいありそうな南下がりの傾斜地。敷地は東、南、西側道路に接道。三菱地所レジデンスが2018年に分譲して圧倒的な人気を呼んだ「ザ・パークハウス代々木上原」47戸が道路を挟んだ東側に隣接。
情報はこれだけしかない。道路制限、日影規制、北側斜線などの法律がどうなっているのか、容積不算入の部分がどれくらいあるのかわからないが、有効率を80%と仮定すると、単純計算して1戸当たり平均専有面積は約257㎡(約78坪)になる。
坪単価はもちろんわからないが、立地条件からして最低坪1,300万円とみた。このままの好調市場が継続すれば坪1,500万円もありうる。グロス価格は最低でも約10億円、高値追及すれば約12億円だ。
この価格予想も間違っていないと思う。比較可能な前例もある。シーラ「THE SYLA SHIBUYA-TOMIGAYA(ザ・シーラ 渋谷富ヶ谷)」7戸と諸戸の家「代々木上原の邸宅」だ。前者は1フロア1戸の約30坪のマンションで、坪単価900万円、平均価格は2.7億円。後者は敷地面積242.12㎡(73.21坪)の戸建てで、価格は10億円超。いずれも竣工までにほぼ完売している。
今回の物件は、駅からの距離、1低層の南傾斜の住環境などからして価格はこれらを上回るのは間違いない。施工も竹中だ。レベルの低いマンションになるはずがない。
価格10億円超分譲戸建ての歴史を変えた諸戸の家「代々木上原」完売(2025/3/6)
1フロア1戸の全7戸 30坪で価格2.7億円シーラ初の「渋谷富ヶ谷」早期完売(2025/2/17)
代々木上原の一等地〝徳川山〟大京の最上位ブランド「リジェ」全12戸が人気(2024/1/12)
坪800万円をはるかに突破?三菱地所レジフラッグシップの「代々木大山」(2023/9/9)
マンション管理適正評価制度 2024年度末の登録件数は8,250件 満点の★5つは31%
マンション管理業協会は4月14日、2024年度第4四半期終了時点のマンション管理適正評価制度の登録状況をまとめ発表。2024年度末(2025年3月末)の登録件数は8,250件となり、目標としていた2024年度末で会員会社が管理する全物件の10ェに当たる10,000件は達成できなかった。大手デベロッパー系の管理会社は10%以上達成した模様だが、中堅以下の普及がいま一つのようだ。同協会は引き続き普及に努めていくとしている。
評価別登録数は、★5つが2,525件(30.6%)、★4つが3,494件(42.4%)、★3つが1,837件(22.3%)、★2つが390件(4.7%)となっている。
都県別では、東京都の2,540件(30.8%)が最多で、神奈川県1,108件(13.4%)、大阪府749件(9.1%)の順。竣工年別では1991年~2000年竣工が全体の29.5%を占めている。
★5つの戸数別分布では、400戸以上は77.3%がもっとも多く、50戸未満は24.6%となっており、戸数が多いほど割合が高くなっている。
管理評価項目別では、耐震性ポイント(平均:9.45点/10点満点)、管理体制ポイント(平均:18.29点/20点満点)が高い数値を示しているが、管理組合収支ポイント(平均:29.16点/40点満点)、生活関連ポイント(平均:4.27点/10点満点)が低い数値にとどまっている。
工事原価上昇続く2025年3月 前年同月比4.7%増 建築物価調査会
建設物価調査会は4月10日、2025年3月の建設物価建築費指数(東京2015年平均=100)をまとめ発表。工事原価は136.0(暫定)で前月比0.4%増(0.5ポイント(以下,p)、前年同月比4.7%増(+6.1p)となった。純工事費では137.1(暫定)で前月比0.4%増(+0.6p)、前年同月比4.7%増(+6.1p)となった。
昭和記念公園が徒歩圏 設備仕様レベル高い トヨタホーム「ANESIA THE CENTRAL」
「ANESIA THE CENTRAL(アネシア ザ・セントラル)」
トヨタホームが5月中旬に分譲するマンション「ANESIA THE CENTRAL(アネシア ザ・セントラル)」 を見学した。国営昭和記念公園に隣接する区画整理事業地内の一角で、同社の首都圏初の戸建てとの大規模複合開発。共用施設、設備仕様は間違いなく水準以上だ。
物件は、JR中央・青梅線東中神駅から徒歩10分、昭島市もくせいの杜二丁目の第2種住居地域に位置する9階建て全68戸。専有面積は63.40~81.31㎡、価格は未定で、坪単価は300万円に乗るかどうか。竣工予定は2025年12月上旬。設計・監理はウィル・アーキテクツオフィス。デザイン監修はコトナ。施工は森組。販売開始は5月半ば。現在までのモデルルーム来場者は約50組。
現地は、都市再生機構施行による9.5haの「立川基地跡地昭島地区土地区画整理事業地」内の一角にあり、開発面積は約3.0ha。同社としては全157区画の戸建て街区「トヨタホーム ザ・セントラル」との首都圏初の大規模複合開発。
街全体にヤシノキを数十本植樹しているほか、有孔ブロックを多用しデザインを統一。また、タウンセキュリティを導入、車の出入り口を3か所に限定し、防犯カメラも設置。街区内の道路は車のスピードを抑えるための植栽帯の設置、電線・電柱の地中化などを図っている。国営昭和記念公園入口までは徒歩12分。
建物は南向きと南西向き約6:4の割合。主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ(最上階は3000ミリ)、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンター、ソフトクローズ機能付きリビングドア、木調へだて壁、水栓付きバルコニー奥行き2m、浴室タオル掛け2か所、パナソニックの浴槽美泡湯など。共用施設としてパーティルームと併用のゲストルーム(約60㎡)が設けられている。
同社はこれまでマンション販売は他社に委託してきたが、今回は自社で販売するという。力が入っている物件だ。
ランドスケープ
パーティルーム併用のゲストルーム(最上階の右端)
模型の駐車場はすべてトヨタのミニカー(1000万円超のレクサスもあるとか)
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同社のマンション見学は2017年の「アネシア築地ステーションレジデンス」以来久々だった。「築地」はミサワホームとのJVだったが、今回は単独。昭和記念公園に隣接した〝世界のトヨタ〟の商品企画を観るのが取材の目的だった。
取材の目的は、立川駅圏ではマンション坪単価は400万円をはるかに超え、JR青梅線昭島駅圏では大和ハウスの「プレミスト昭島」が圧倒的な人気を呼んでおり、物件レベルや価格などを確認することにあった。
立地は申し分ない。敷地南側は戸建て街区なので日照面で問題はないし、南西向きの住戸も敷地からセットパックして建てられており、緑地・歩道を合わせると幅は10mくらい確保されている。
基本性能・設備仕様も水準以上だ。モデルルームに当てられている75㎡の角住戸プランは横入り玄関で、他の住戸も単純な田の字型ではないし、ディスポーザーも標準仕様としているのもいい。共用施設として、パーティルームとの併用だが、公園が一望できる8階の角住戸をシャワー室付きのゲストルームにしているのにびっくりした。この規模でゲストルームを設けているマンションは少ないはずだ。
問題は、価格はいくらになるかだ。立川駅圏は坪400万円をはるかに突破しているので価格的には優位にあるが、昭島駅圏では坪280~290万円の大和ハウス「プレミスト昭島」があり、価格下げ圧力もかかっている。同社は「坪単価は300万円を目指す」としているが、記者も300万円前後だろうと予想する。
駅周辺ではURの賃貸マンションの建て替えなど約55.9haの東中神駅周辺地区住宅市街地整備計画もあり、整備されれば街並みは一変するが、現段階で詳細は未定なので、強気な価格設定は難しいと見た。
シンボルツリーのヤシノキ(車のスピードを緩める効果もある)
現地(緑地帯・歩道の広さが分かる)
東中神駅舎(左)と南口の再開発エリア
「プレミスト昭島」第2弾の第1期1次は143戸全戸の半数以上大和ハウス(2023/11/15)
平均75㎡レベル高いマリモ「昭和記念公園」 4カ月で半分以上の90戸超成約済み(20211/13)
トヨタホーム・ミサワ築地駅直結の「アネシア築地」は坪500万円突破か(2017/11/13)
中古マンション、中古戸建てとも成約件数が大幅増加 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は4月10日、2025年3月の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は4,991件(前年同月比31.0%増)、坪単価は260.7万円(同4.1%増)、価格は4,945万円(同2.6%増)、専有面積は62.58㎡(同1.5%減)。成約件数は5か月連続で前年同月を上回った。坪単価は59か月連続で前年同月を上回った。
中古戸建ての成約件数は2,195件(同62.8%増)、価格は4,030万円(同2.6%減)、土地面積は144.91㎡(同0.2%減)、建物面積は103.85㎡(同1.2%減)。成約件数は5か月連続で前年同月を上回った。
共働き子育て世帯の「住みたい駅」1位は品川 都心部が上位独占 オープンハウス
須藤氏
オープンハウスは4月10日、子育て中の共働き世帯の「住みたい駅・路線ランキング2025」を発表。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に住む20~40代の男女697人に聞いたもので、人気駅ランキングトップは品川で、目黒、五反田、横浜が同じ56ptで2位。ベスト10のうち都内が8駅を占めた。東京以外では2位の横浜と8位の川崎がランクインした。
首都圏駅ランキングは、64ポイント(1人5駅が選択できる)を獲得した品川駅がトップで、以下、目黒・五反田・横浜(各56pt)、恵比寿(52pt)、東京(46pt)、新宿(44pt)、大崎(41pt)、川崎(40pt)、代々木(38pt)の順でベスト10。
都県別では、東京都はこのほか9位池袋(37pt)、10位渋谷(36pt)がベスト10入り。神奈川県は横浜、川崎に次いで新横浜(30pt)かベスト3。埼玉県は大宮(37pt)、浦和(21pt)、和光市(14pt)、千葉県は千葉・柏(11pt)、西船橋(10pt)の順でベスト3。千葉・柏は埼玉県東川口駅と同じ。人気のなさが浮き彫りになった。
人気の路線ランキングは、山手線(512pt)、JR東海道本線(204pt)、JR中央線※(138pt)がベスト3。JRが上位8路線を独占し、民間は9位の小田急線(102pt)、10位の東武東上線(81pt)のみ。
※( )書きで(快速)とある。中央線各駅停車駅を含めると3位以下になるという意味か。私鉄は特急、急行、快速などがある。京王線特急は特別料金なしで、数分置きから10分置きに新宿発がある。
家を購入する際に重要視するのは、自宅から駅まで徒歩15分以内、土地の地形・形状(戸建て検討者か)、住居の向き・採光状況、教育環境、商業施設が上位にランクされた。住宅設備では耐震性・耐火性がもっとも重視され、金額の条件では住宅ローンの月々の支払金額が現在住んでいる居住費より+3万円なら許容できるとしている。
◇ ◆ ◇
記者は、この種の調査は信じないことにしているが、根拠を示せば問題ないし、住宅購入検討者が何を考えているかの参考にもなる。同社の発表会は、ランキングを発表した同社開発事業部営業推進部長・須藤光輝氏の話がとても面白い(SBIアルヒの「本当に住みやすい街大賞」を徹底して批判したのは、何の根拠もないのに根拠がありそうに装ったからだし、メディアもそれに乗っかったからだ)。
今回の取材も面白かった。須藤氏は大崎の自社マンションを買って住んでおり(購入時は坪420万円か)、本社のある東京駅JPタワーまでドアツードアで36分(奥さんは1時間)。〝便立地〟〝好立地〟だったら中古でも坪600万円はするはずだ。笑いが止まらないのではないか。大崎が7位に入ったのを喜んでいた(記者は高輪ゲートウェイ、浜松町を上位にするが)。
須藤氏は昨年に引き続き〝穴場駅〟(記者はそのような駅はないと思う)として赤羽、東北沢、板橋、新綱島、登戸、橋本、戸田公園、新浦安、海浜幕張を取り上げた。子育てにふさわしい駅とは思えないが、これも須藤氏の勝手。記者はコメントなどしない。
それより気になったことがいくつかある。最たるものは、調査項目の「居住環境で重視するもの」には「緑環境」がないことだ。共働き子育て世帯が「緑環境」を考慮しないはずはない。調査項目に「緑環境」を入れたら結果はまったく別のものになるのではないか。
もう一つは、アンケートの設問そのものだ。〝住みたい〟駅・路線、つまり単なる〝願望〟に過ぎないので、それはそれで結構なのだが、上位10駅はマンションの坪単価にして1,000万円以上のところばかりだ(須藤氏が住む大崎はそこまでしないと思うが)。10坪でも億ションとなる。紹介された東京・神奈川・埼玉・千葉のそれぞれ上位各10駅(全体で40駅)のうち坪300万円以下の駅は5~6駅しかない。皆さん、あまりにも楽観的にすぎるのではないか。もう少し現実的な選択はできないものか。
さらにもう一つ、同社グループが現在扱っている〝穴場〟の新築戸建て住宅の安さだ。条件は駅から徒歩15分以内、家族3人(子ども一人)で75㎡というものだ。例えば北区赤羽。平均価格は6,380万円で、住宅地の地価公示価格も示されており坪571万円だ。記者はこの安さに驚愕した。土地が20坪でも1億円を突破する。3階建てでも75㎡を確保するとなると、住宅地の建ぺい率、容積率を考えると土地面積は最低15坪は必要だ。15坪で8,565万円だ。
現在、同社にこのような物件はあるのか確認してもらっている。なければ大きな問題になる。〝おとり広告〟として公取協から摘発されかねないし、われわれメディアのチェック能力も問われる。
「空き家」直接買取り首都圏で年間6,000~7,000棟オープンハウスグループ(2024/9/10)
オープンハウス「これから家を買うなら…」新築戸建て一都三県駅圏ランキング(2024/8/2)
〝めっちゃ〟10連発井上咲楽さん LIFULL HOME'S「住みたい街ランキング」発表(2024/1/31)
ターゲットは不動産業界も IAMリーディングカンパニー ドキュサイン 日本市場に注力
竹内氏(右)と同社シニア・プロダクトマーケティングマネージャー寺村翔氏
インテリジェント契約管理(Intelligent Agreement Management、以下IAM)のリーディングカンパニーであるドキュサイン・ジャパンは4月9日、「2025年度事業戦略説明 および『Docusign IAM for CX』」発表会を開き、日本市場に特化した「Docusign IAM for CX」を4月30日から本格ローンチすると発表した。
Docusign IAMは、AIを活用して契約書の作成をスピードアップし、交渉を強化し、契約ポートフォリオを管理するための戦略的洞察を提供することで、シームレスな契約書の準備、締結、活用を実現する。
Docusign IAM for CXは契約業務における顧客体験(CX)の向上に特化したサービスで、①コンバージョン率の向上(エラーを減らし、スピードを上げる)②面倒さの解消(基幹システムとのデータ連携もノーコードで可能にする)③信頼性の提供(公的身分証を利用した本人確認を契約プロセスの中で実施可能)などにより、契約ライフサイクルの一元管理を民主化する。
会見で同社取締役社長の竹内賢佑氏は「Docusign IAMは契約管理プロセスを刷新し、企業が煩雑なプロセスをシームレスで効率的、なおかつ安全に遂行できるよう支援します。また、この度、顧客体験(CX)の向上に特化したDocusign IAM for CXを日本市場に導入できることを大変嬉しく思います。これにより、企業は業務の効率化を進め、顧客満足度をさらに向上させるための強力なツールを手に入れることが可能になります。今後も、お客様のニーズを満たし、ビジネス上の課題を解決するソリューションの提供に努めてまいります」と語った。
米国Docusign, Inc.は、180か国以上、160万社以上の顧客と10億人を超えるユーザーが同社のソリューションを利用しているIAMのリーディングカンパニー。ドキュサイン・ジャパンは日本法人。
竹内氏(左)と寺村氏
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取材の案内が届いたときは、取材対象外で、門外漢の記者が話を聞いてもちんぷんかんぷんだろうとは思ったが、誘いがあればNOと言わないのが記者のモットーだ。ひょっとしたら何かが得られると考え取材を申し込んだ。上段はほとんどプレス・リリースのコピペ。何を書いているのかさっぱりわからない。
分からないけれども、竹内社長が会見で切り出した「ビジネスの世界ではすべて契約で成り立っている。お金の動きがあるところには必ず契約がある。わが国では長らく口約束がたくさん存在していたが、ここ20年くらい前からようやく紙などできちんと締結しようというようになってきた。ゆるぎない信頼はきちんとした契約がないと得られない」-これが全てだと理解した。ビジネスだけでなく、世の中は契約=約束で成り立っている。
竹内氏は「注力市場は日本など8か国」「ターゲットは中小企業」などと語り、具体的な業種として「不動産業界」を名指ししなかったが、頭の中には〝アナログの代表格〟と目されている不動産業界や物量業界があるのは間違いない。国土交通省によると、不動産業の売上高は43.4兆円(全産業に占める割合は2.8%)、不動産業の法人数は32.9万社(同11.5%)、従業員数は133.7万人(同2.7%)だ。中小企業が多数を占める全宅連の会員数は約10万社。コンビニよりはるかに多い。宝の山かもしれない。
ただ、不動産会社の社長の平均年齢は62.6歳(帝国テータバンク調査)で、全業種でもっとも高い。古い社長の頭を変えるのは容易でないとも思う。どう攻略するのか。
そしてまた、住宅・不動産業界の記者も頭を切り替えないといけない。観る目がない記者、聞く耳を持たない記者、そしてそれを表現する技術がない記者は生き残れない。生成AIにとってかわられる。絶滅危惧種である自覚が足りないような気がする。
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同社がターゲットにしていると思われるわが不動産業界。記者は、いわゆる全宅連などの街の不動産会社を取材したことはほとんどなく、自身の賃貸借契約も40年以上経験していない。友人・知人のアパート契約に立ち会ったときは、契約は賃貸人と賃借人は対等で、仲介業者も公平であるべきなのに、オーナーの立場、仲介業者の利益しか考えない対応に腹が立ったので、オーナーに直談判して賃貸借契約を改めさせたことがある。
一方、令和4年5月の宅建業法の改正によって、宅地建物取引士による記名・押印の必要がなくなり、重要事項説明書などの書面も電磁化が可能になり、オンライン相談も含めマンションデベロッパーなどは当たり前になっているはずだ。顧客一人当たりの対応時間は少なくとも数時間(もっとか)短縮できているはずだ。
ところが、2025年2月25日付の不動産流通推進センターのプレス・リリースによると「国土交通省の令和5年度調査によれば、宅建業者の取引オンライン化の導入状況は、書面電子化で11%、IT重説で18%にとどまっています」とある。
記者は30年も40年も昔から「不動産近代化センター」の名称を改めよと主張してきた。現在の不動産流通推進センターの名称に変更になったのは今から10年前だ。国交省のデータは、いまだに〝アナログ体質〟から抜け出せない、時代遅れの商習慣から脱却できない業界の現状を浮き彫りにしている(3%+6万円を保障している法律に問題はないのか)。
雲散霧消した不動産流通推進センターに対する積年の疑問 「嫌悪施設」取材(2024/10/24)
唯一残っていた「近代化」が消える 不動産流通近代化センターが名称変更(2014/11/4)
時は春、すべて〝外〟は音もなし 全戸防音ルーム付き タカラレーベン「南千住」
「ラグゼナプラス(LUXENA+)OTO 南千住」
MIRARTHホールディンググループのタカラレーベンの賃貸マンション新シリーズ「LUXENA+」第1号物件「ラグゼナプラス(LUXENA+)OTO 南千住」を見学した。全戸に防音ルームを設置し、多様化する賃貸ニーズに対応したもので、相場より高めの賃料設定にも拘わらず、全26戸のうち10戸が成約するなど順調なスタートを切った。
物件は、JR常磐線・つくばエクスプレス・東京メトロ南千住駅から徒歩6~7分、荒川区南千住五丁目に位置する14階建て全26戸。専用面積51.83・53.81㎡、賃料は24.3万~26.6万円/月、坪賃料は1.6万円弱。竣工は2025年2月28日。
案件は、同社グループのタカラレーベン投資開発事業本部が手掛ける開発事業の一環で、管理はグループのレーベントラストが担当している。同部署ではこれまで43件のプロジェクトを手掛けている。
現地は、西側の水戸街道など三方に接道。建物は1フロア2戸。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、食洗機、Aタイプ6700ミリ、Bタイプ6350ミリのワイドスパン、二重サッシ(防音室のみ)、タオル掛けなど。
防音ルームは、24時間演奏可能なD-70以上(外部に音はほとんど伝わらない)とし、200V電源システムを完備。グランドピアノなどの楽器のほか多目的用途にも対応している。
昨年11月からリーシングを開始しており、賃料設定は相場より2~3割高だが、これまで10室が成約済み。うち8割は楽器演奏希望者。
防音ルーム
検知
◇ ◆ ◇
防音ルールの仕様・レベルがどのようなものかチェックするのが取材の主な目的だった。住戸全体の仕様レベルは同社の分譲マンションに近いとみた。防音ルームの性能については、同社広報担当のWさんにモデルルームに備えられているグランドピアノを弾いてもらい、居室の外で音が聞こえるかどうか試した。
結果はほぼ完ぺき。かすかにピアノらしい音は聞こえたが、ベートーヴェンのピアノソナタかショパンのノクターンか、あるいは〝ドキドキ ドキドキ1年生 ピアノが弾けるかな〟のド・レ・ミ・ファ…か、全くわからなかった。分譲マンションへの展開も可能と見た。
そこで一句。時は春、すべて〝外〟は音もなし。
防音ルームでピアノを弾くWさん
ドアの外はほとんど聞こえないレベル