大東建託 不動産開発事業強化へ デベロッパーのアスコット子会社化
大東建託は1月31日、スタンダード市場上場のアスコットを公開買付けにより取得し、子会社化することを決議したと発表した。アスコットの親会社・森燁有限公司(所有割合44.96%)と、第2位株主のSBI ホールディングス(同32.17%)と同日付けで本公開買い付けに応募する旨の契約も締結した。買い付け額は351億円(普通株式1株260円)。
アスコットは1999年4月設立。首都圏を中心に分譲マンションや賃貸マンション事業を展開してきたが、一方で、2024年9月30日時点で、スタンダード市場の上場維持基準である流通株式比率25%以上を充足していないなどの経営課題を抱えていた。
大東建託は、中期経営計画で2030年までに不動産開発事業をグループの柱の一つとすることを目指している。
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少し驚いたが、まあ納得できる。大東建託が不動産開発事業に力を入れることを読めなかったのが悔しい。同社は昨年10月、経団連会館で記者懇親会を開いた。竹内啓社長は体調不良とかで、代わりの方があいさつし、「不動産事業を拡大する」と話した。
記者は同社が分譲事業部門を立ち上げると解釈し、その方に質問したのだが、言下に否定された。あれからわずか3か月だ。当たらずとも遠からず。M&Aのほうがはるかにコスト・エネルギーは抑えられる。
そのアスコット。中央区日本橋・人形町で商品企画に優れたマンションを供給していたというイメージしかない。資金力・情報力に勝る大手デベロッパーとは戦えず、最近は地方に転出しているのではないか。
大東建託が何を考えているかよくわからないが、中途半端なことはしないほうがいいと思う。同社の建設・賃貸事業で培ったノウハウ・資源を生かせば、既存の不動産開発市場に風穴あけることができるのではないか。分譲戸建て、不動産売買・仲介に留まらず、〝地方創生〟〝令和の日本列島改造〟の風の流れをつかむことができるかどうかではないか。
新型コロナ不動産業界再編促すかアスコットTHEグローバル社を連結子会社化(2020/11/14)
令和6年の住宅着工79万戸 2年連続減/供給÷着工=カバー率45%
カバー率=供給戸数÷着工戸数(%)
国土交通省は1月31日、令和6年12月と令和6年計の新設住宅着工戸数をまとめ発表。12月の総戸数は62,957戸(前年同月比2.5%減)で8か月連続の減少で、利用関係別では持家は17,821戸(同4.6%増)で3か月連続の増加、貸家は26,424戸(同2.1%増)で3か月ぶりの増加、分譲住宅は18,182戸(同14.7%減)で8か月連続の減少。分譲住宅の内訳は、マンションは7,550戸(同22.3%減)で先月の増加から再びの減少、一戸建住宅は10,513戸(同8.3%減)で26か月連続の減少。
首都圏マンションは3,087戸(同45.7%減)で、都県別は東京都1,997戸(同0.6%増)、神奈川県651戸(同65.9%減)、埼玉県310戸8同45.8%減)、千葉県129戸(同89.4%減)。
令和6年計では、総戸数は792,098戸(前年比3.4%減)となり、2年連続の減少。利用関係別では、持家は218,132戸(同2.8%減)で3年連続の減少、貸家は342,044戸(同0.5%減)で2年連続の減少、分譲住宅は225,309戸(同8.5%減)で2年連続の減少。分譲住宅の内訳はマンションは102,427戸(同5.1%減)で2年連続の減少、一戸建住宅は121,191戸(同11.7%減)で2年連続の減少。
首都圏の総戸数は前年比2.9%減で、内訳は持家(同2.9%減)、貸家(同0.0%増)、分譲住宅(同6.6%減)。分譲住宅の内訳はマンション(同3.3%減)、一戸建住宅(同10.2%減)。建築工法別では、プレハブは93,077戸で3年連続の減少(前年比10.0%減)、ツーバイフォーは95,095戸で3年ぶりの増加(前年比4.7%増)となった。
首都圏マンションは50,990戸(前年比3.3%減)で、都県別では東京都26,612戸(同3.0%増)、神奈川県14,064戸(同8.3%減)埼玉県5,525戸(同5.1%減)、千葉県4,789戸(同16.6%減)となった。
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グラフは、不動産経済研究所の2024年首都圏マンション供給戸数を住宅着工戸数で割ったもので、カバー率とした。首都圏全体の供給戸数は23,003戸、着工戸数は50,990戸なので、カバー率は45.1%と50%を割っている。都県別のカバー率は東京都38.8%、神奈川県35.0%、埼玉県60.0%、千葉県93.1%となっている。これほど差が大きいのに、その理由に触れずマンション市場について論じることが適切なのか、考えていただきたい。
秩父宮ラグビー場のイチョウ 移植検討に向けた調査実施 三井不動産
秩父宮ラグビー場のイチョウ(昨年1月撮影)
三井不動産は1月27日、秩父宮ラグビー場の東側に所在する港区道のいちょうについて移植検討のための調査を2月から行うと発表した。
今回調査するのは全19本のうちの2本。樹木医の立会いのもと、舗装・砕石を撤去し、歩道や車道に伸びている根や土壌の状況、一部舗装下の根系の密度や伸長状況を調査し、根回しを実施した場合の効果を測定するため、歩道側の太根の一部を環状剥皮し、樹木周囲の一部について根回しを実施する。
その調査結果を踏まえ、樹勢助長措置、維持管理・継続調査、発根調査、外観診断、デンドロメーターによる幹周変化の比較などを実施する。
調査結果の概要については、東京都環境影響評価審議会に報告を行うとともに、公式ウェブサイトなどを通じて公表するとしている。
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「樹齢100年超の巨木を移植した事例はあるでしょうか。あったなら、その移植に関する費用はどれくらいでしょうか。ないのであれば、その理由をお聞かせください」とchatGPTに質問した。
ほとんど瞬時に回答があった。次の通りだ。
「樹齢100年を超える巨木の移植事例は存在します。例えば、東京の日比谷公園にある『首かけイチョウ』は、樹齢約400年の巨木で、1901年に道路拡張工事のため、約500メートル離れた現在の場所に移植されました。
巨木の移植には多大な労力と費用が伴います。具体的な費用は、樹木の大きさ、移植距離、作業環境などによって大きく異なります。一般的な庭木の移植費用は、人件費を基に算出されますが、巨木の場合、特殊な機材や専門的な技術が必要となるため、費用はさらに高額になります。
巨木の移植が困難な主な理由は以下の通りです。
技術的な難しさ:巨木は根系が広範囲に広がっており、根を傷つけずに掘り起こすことは非常に難しいです。また、移植後の活着(根付くこと)を確実にするためには、専門的な知識と技術が求められます。
高額な費用:前述の通り、巨木の移植には多大な費用がかかります。特に、特殊な機材の使用や専門家の人件費などが費用を押し上げる要因となります。
環境への影響:巨木の移植は、その周辺の生態系や景観に影響を及ぼす可能性があります。また、移植先の環境が適切でない場合、樹木が適応できず枯れてしまうリスクもあります。
これらの理由から、樹齢100年を超える巨木の移植は慎重に検討されるべきであり、実施には専門家の綿密な計画と評価が必要です」
皆さんいかがか。「首かけイチョウ」は記者も知っている。しかし、ChatGPTは自らの知識の少なさを隠すためか、「例えば」としてしか「首かけイチョウ」を紹介できなかった。(記者の質問がいけなかった。「過去10年に事例はあるか、あったら何件か」と聞けばよかった)
費用については回答がなかった。Chatも取材不足を露呈したということだ-Chatが記者の記事を読んでいるのは確認した。Chatで公開されても恥ずかしくない、間違いでない記事を書こうと思う。Chatとは絶対喧嘩しないことだ。
「首かけイチョウ」
木造建築の復興・拡大目指す「フォレストビルダーズ」 初期会員26社が総会
「フォレストビルダーズ」総会(ホテル インターコンチ東京ベイで)
宮沢氏
AQ Groupが主導して昨年10月に発足した建築集団「フォレストビルダーズ」は1月23日、都内で総会を開催し、初期会員26社が「木造建築都市(まち)の復興」と「脱炭素社会の実現」をミッションに掲げ、早期に加盟企業を100社体制にすることを確認した。
AQ Groupが開発した一般流通材を組み合わせて高倍率耐力壁や高倍率水平構面を実現させた3階建て以下の低層木造建築に適用する「AQダイナミック構法」と、4階建て以上の中層木造建築を対象とした技術「木のみ構法」を武器に「フォレストビルダーズ」の拡大を図り、2030年には受注戸数20,000戸を実現させ、日本一の木造建築集団を目指していくとしている。
全389戸の90%に可動収納「UGOCLO(ウゴクロ)」総合地所他「柏ディアパーク」
「ルネ柏ディアパーク」
総合地所は1月30日、ZEH-M Oriented、「BELS(ベルス)」5ランク、ABINC認証などを取得している京成電鉄、FJネクストとの共同事業マンション「ルネ柏ディアパーク」の販売を開始したと発表した。
物件は、JR柏駅から徒歩15分、柏市豊四季台1丁目に位置する14階建て全389戸。専有面積は61.98~84.94㎡、価格は4,188万~7,598万円(先着順)。竣工予定は2026年8月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。
全50タイプ347戸の90%に長谷工コーポレーションが開発した可動収納ユニット「UGOCLO Plus(ウゴクロ プラス)」(2列可動)、「UGOCLO S(ウゴクロエス)」(1列可動)、また新築分譲マンションとして初めて「UGOCLO Half(ウゴクロ ハーフ)」(1列可動・通り抜け可)を採用。共用施設はパーティールーム・マルチラウンジ・ゲストルーム・サウナルーム、スタディラウンジ、ランドリールームなど。管理は外部管理者方式「smooth-e(スムージー)」を採用している。
物を持たない生活提案 三菱地所レジ「Roomot」第5弾「Sotomo」
イメージ図
三菱地所レジデンスは1月30日、多様化するライフスタイルに応じた間取りの改善や自分らしい暮らし方を賃貸マンションシリーズ「ザ・パークハビオ」で提案する「Roomot(ルーモット)」の第5弾「Roomot Sotomo(ルーモット ソトモ)」を「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」に導入すると発表した。
「Roomot Sotomo」は、専有空間だけでなく、「外も」もっと活用すれば自由で豊かな暮らし方ができるとし、PacPortが開発したIoT宅配ボックス「Pabbit Locker」サービスを活用し、シェアリングサービスなどと組み合わせ、物を持たない住まい方を提案するもの。
「Pabbit」は、専用アプリ「Pabbit APP」を用い、荷物の伝票番号を認証キーとしてマンションの集合玄関および着床制限付エレベーターのセキュリティを解錠することで、居住者が不在でも「Pabbit Locker」まで配達を可能にする。入居者は「Pabbit APP」を通じて宅配ボックスへの配達状況やシェアリングサービス、サブスクリプリションサービスなど外部サービスにアクセスできる。非対面配送だけでなく、日対面集荷(当面はクリーニング)も可能にする。
「Roomot(ルーモット)」は、2021年の第一弾「MIXINK」をはじめ第2弾「Luxwer」、第3弾「desko」、第4弾「BathMor」を2023年までに発表。今回の「日本橋三越前」には初めて「BathMor」を採用する。
発表会で同社建築マネジメント部長・森島大登氏は「今回の提案は『ルーモット』シリーズ初のソフト面での取り組み。社会情勢やトレンド、ライフスタイルが劇的に変化する中、限られた生活領域をどうしたら確保できるか試行錯誤を行ってきた。専有部分に留まらず外のサービスを上手に活用すれば、自由な暮らしが実現できる」と語った。
「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」は、東京メトロ三越前駅から徒歩7分、中央区日本橋堀留町1丁目に位置する敷地面積約385㎡、10階建て全54戸。専用面積は27.86~61.32㎡。竣工予定は2025年3月10日。
森島氏
「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」エントランス
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以下は、記者の持論であって今回の同社の発表会とは関係がないことをお断りしておく。
マンション購入者・居住者の不満が収納の少なさにあることから、発表会では収納率について語られた。従来から理想は専有面積の10%以上と言われており、デベロッパーは10%以上確保するよう取り組んできた。10年くらい前までは3LDKの広さは21~22坪(69~73㎡)が標準だった。
現在はどうか。首都圏で分譲される平均専有面積は約20坪(66㎡)まで縮小している。なぜか、理由は簡単だ。用地費・建築費などがどんどん上昇する一方で、購入検討者の収入は上昇してこなかった。デベロッパー各社は専有面積圧縮を図り、天井高を下げたり設備仕様レベルを下げたりして、利益を確保しながら価格抑制を行ってきた(収納効率を上げるため涙ぐましい努力はしているが)。
さて、そこで記者の提案だ。このまま用地・建築費高騰が続けば、デベロッパーは専有面積を広げ、収納率を挙げるようなことはまずしない。となると、購入者・居住者が対策を練るほかない。一番簡単で有効なのは、サブスクを活用しながら〝余分なものは持たない〟〝必要ないものは捨てる〟ことだ。
記者は自分の持ち物を捨てられたことは数えきれないほどあるが、妻の持ち物を〝捨てろ〟などとは一言も言ったことはない(自分が捨てられるのが怖いからでもあるが)。世の男性諸氏もそうだろうと思う。夫婦が共同で利用するものを除き、夫と妻の二人の所有物(収納量)を100としたら、持ち分比率は夫30%:妻70%くらいではないかと考えている(乖離はもっと大きいか)。
女性の皆さん、余分なものは捨ててはいかがか。今回の「三越前」を分譲マンションとして考えれば、坪単価は1,000万円だ。収納スペースを1坪とし、利回り5%として計算すると年間収納コストは50万円(月4.2万円)だ。郊外はどうか。坪250万円以下はほとんどないので、20坪で収納率10%とすれば収納コストは25万円(月2.1万円)。決して安くない。着なくなった衣服、履かない靴などを保管するためにいかに無駄遣いをしているかを考えてほしい。
以上。皆さんは馬鹿馬鹿しいと考えるかもしれないが、記者は大まじめだ。今回の提案は、記者の考えと一致する。
そして何よりいいのは、「Roomot」の第4弾「バスタブユニット」を「三越前」に初採用することだ。これは以前にも書いた。記者もそうだが、湯船につかる人は少なくなっているはずだ。シャワーで十分。浴槽を取っ払えば電気、ガス、上下水道代の節約になるし、苦痛なバス掃除からも解放される。
今は持ち運べるバスがあるではないか。マンションの共用部分に採用するのもいい。そうすれば価格は下げられるし、専有部の収納スペースを広げられる。仮にそのスペースを0.5坪とすれば50戸で25坪だ。その効果は計り知れない。
洗い場とバスタブを兼ねた「Roomot BathMor」「日本橋三越前」に導入地所レジ(2023/12/17)
阪急阪神不動産 新築マンションの管理業者管理方式を積極導入
阪急阪神不動産、阪急阪神ハウジングサポートは1月29日、マンションの管理組合の管理業務を管理会社が代わって行う「外部管理者方式(管理会社管理方式)」を今後分譲するマンションなどで積極的に導入すると発表した。
近年、マンションの高経年化及び入居者の高齢化による「管理組合の役員のなり手不足」や「管理不全マンションの増加」などが社会的な課題となっているのに対応するもの。
阪急阪神ハウジングサポートでは昨年10月、同方式に対応する専門の組織「外部管理者方式推進部」を新設。同部をマンション管理の実務を行う部門とは明確に切り分け、各管理組合に設置される監事については外部専門家(マンション管理士、弁護士など)を選任する体制にした。これにより、利益相反取引となり得るものについては、原則として組合員に情報を開示し、総会などで承認を得ることとしている。
導入するのは「ジオ練馬富士見台」をはじめ、「ジオ板橋浮間舟渡」、「ジオ市谷仲之町」、「ジオ横浜大通り公園」、「ジオ阪急川西The Front」など。
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新築マンションへの管理会社管理方式は各社が導入しているが、マンションの共用部分の維持・管理などの受託業務と、管理組合の総会などの業務との契約関係が不明確なケースが相当数あり、しっかり契約を定め、利益相反を生じない体制づくりが欠かせない。
記者は、新築だけでなく中古マンションへも管理業者管理方式を導入すべきだと思っている。
「今年に託す言葉」管理協賀詞交歓会&住宅広報連絡会新年会参加者に聞く(2025/1/20)
見事な模型紹介コーナー 物件に込めた意気込みひしひし 日鉄興和不「文京小石川」
「リビオシティ文京小石川」
日鉄興和不動産(事業比率60%)、東京建物(同15%)、中央日本土地建物(同15%)、住友商事(同10%)が分譲中の「リビオシティ文京小石川」モデルルームを見学した。定期借地権付きであることによる価格の安さ、小石川植物園に近接した文京区最大敷地面積の立地などからして人気になるのは分かるのだが、本物の石や地衣類・観葉植物を採用した50~60坪の模型展示コーナーの充実ぶりに物件に込めた意気込みがひしひしと伝わってきた。
物件は、東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅徒歩12分・茗荷谷駅徒歩13分、都営三田線・大江戸線春日駅徒歩11分、都営三田線白山駅から徒歩10分、文京区小石川四丁目の準工業地域に位置する敷地面積約12,487㎡、10階建て全522戸。期間75年の定期借地権付き。専有面積は35.89~95.57㎡。竣工予定は2026年11月下旬。デザイン監修はIAO竹田設計。設計・施工は長谷工コーポレーション。
2024年2月22日~2024年12月下旬までのエントリー数は12,000件、昨年10月から分譲開始し、これまで供給した155戸のうち130戸を成約。販売価格は9,090万円~21,990万円。坪単価は未公表だが、坪500万円台の半ばから後半と思われる。
現地は、茗荷谷駅からだと桜並木が美しい播磨坂を下ったところで共同印刷本社に隣接。敷地北側は千川通りに接道。敷地所有者は共同印刷。小石川植物園までは徒歩2分。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、低炭素住宅、ABINC、SEGES認定、二重床・二重天井、リビング天井高2460ミリ、ディスポーザー、深型食洗機、フィオレストーンキッチン天板、食器棚、多目的スペース「モアトリエ」、奥行2m超のバルコニー、浴室タオル掛け2か所など。主な共用施設は、屋上テラス、フィットネスラウンジ、ワーク&スタディルーム、ライブラリーラウンジ、ゲストルームなど。店舗面積1,700㎡超の都市型スーパーマーケットを併設する。
北側外観
屋上テラス
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これまでの区内の敷地面積がもっとも広いマンションは、2014年分譲の第一種低層住居専用地域に位置する住友不動産「インペリアルガーデン」(167戸)だった。用途地域が異なるので単純比較はどうかと思うが、それを上回る約1.2haの規模は希少だ。
物件特性などは上段で紹介した通りだが、記者が驚いたのは50~60坪はありそうな模型紹介コーナーだった(販売事務所の1フロアの面積は約80坪)。
模型そのものの大きさは50分の1だからそれほど大きいわけではないが、至るところに本物の観葉植物・地衣類を配し、屋上テラスに採用する静岡県真鶴町産の本小松石が敷き詰められていた。3m×8mのスクリーンは2つ。
これほど見事な模型コーナーは過去どれくらい見たか考えた。最近の物件では東京建物「堂島」、積水ハウス他「グラン・グリーン大阪」をすぐ思い出したのだが、東建では「番町」、積水ハウスでは「品川シーサイド」も見事だった。鹿島建設「勝どきザ・タワー」も凄かった。ほかにもあるのだろうが、ベスト10を選べば今回の「文京小石川」は間違いなく入る。
売主には同じみずほグループの東建と中央日土地が入っており(住友商事とはこれまでも共同事業が多いとか)、〝負けられない〟という強い意志が込められていると理解した。「品川」も見学を申し込んでいるので、実現したらレポートしたい。〝リビオ〟に注目だ。
販売事務所
模型展示コーナー
模型展示コーナー
「リビオ」の歴史紹介コーナー(日鉄ライフ・新日鉄都市開発・興和不動産の歴史を紹介してもよかった)
第一種低層の外観が美しい住友不動産「インペリアルガーデン」竣工(2015/3/19)
用地取得から10年 小石川植物園に隣接した住友不動産「インペリアルガーデン」(2014/1/14)
呉越同舟効果「5本の樹計画」の本領発揮積水「品川シーサイド」1期207戸!(2017/3/24)
「雨にわ」の普及・実証事業 グリーンインフラ大賞「国土交通大臣賞」受賞
「おでかけひろば FUKU*fuku(左)と「世田谷トラストまちづくりビジターセンター」に設置されている「雨庭」
国土交通省が推進するグリーンインフラ官民連携プラットフォーム第5回グリーンインフラ(GI)大賞「国土交通大臣賞」に特定非営利活動法人雨水まちづくりサポート(共催:一般財団法人世田谷トラストまちづくり)の「武蔵野台地における『雨にわ』によるNbSの普及・実証事業」と、首都高速道路の「おおはし里の杜~都市部の道路空間を活用した”生きもの中心の緑地”~」が受賞し、表彰式が1月29日、東京ビックサイト「グリーンインフラ産業展2025」で行われる。
「雨にわ」は、市民・民間が参画する「地域共生」「流域治水」の取り組みの一つで、2地域(世田谷区、武蔵野市)での実践と地中も含めた雨水の見える化を実現し、様々なプログラムを通じた幅広い世代への普及・啓発を実施していることが評価された。「おおはし里の杜」は、大橋ジャンクション整備後のモニタリング・管理活動を通じた地域社会との共生の取り組みが評価された。
雨庭とは、屋根などに降った雨水を集めて、一時的に貯留し、ゆっくりと地面へ浸透させる庭(植栽帯を含む)のことで、雨が直接地面に浸透するため、下水道などにかかる雨水の流入負荷を軽減させ、生物多様性が豊かになり、水質を浄化する効果が期待されている。
GI大賞を受賞した取り組みは、武蔵野市(協力:武蔵野市ほか)と合わせて、取組効果として、親子向け普及ワークショップ、市民向け実践ワークショップなどのイベント参加者は未就学児から70代以上の市民まで延べ300名以上が参加し、モニタリングの結果、世田谷区に設置した約3㎡の雨庭で2023年は26㎥以上の雨水が地中に浸透したことが分かった。
グリーンインフラ官民連携プラットフォームは2020年3月に設立された。グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようというのが目的。2021年3月に第1回グリーンインフラ大賞「国土交通大臣賞」が決定された。
共催団体である世田谷トラストまちづくりの「雨庭」の取り組みは、2020年度に次大夫堀公園内里山農園でモデルの雨庭をつくり、個人宅で気軽につくることができる「自分でもできる雨庭」のコンセプトをまとめスタートした。世田谷区から委託を受け2021年度から「世田谷グリーンインフラ学校」を実施し、「雨庭づくりを通じて、グリーンインフラの魅力や意義を地域の中で率先して広めていく」リーダーの育成を目指し講座も行われている。ているもので、雨庭は「世田谷トラストまちづくりビジターセンター」(成城4丁目)、「おでかけひろば FUKU*fuku(雨水まちづくりサポートと共催)」(喜多見9丁目)などで実装されている。
「おでかけひろば FUKU*fuku(左)と
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大橋ジャンクションは、マンションが分譲されたとき取材しており、その後も数回訪れているので知ってはいたが、「雨庭」は全然知らなかったので、同財団にお願いして、上段の2か所の見学が実現した。もっと大掛かりなものかと思ったが、そうではなかった。やろうと思えば素人でもできそうなのがいい。
同財団の「自分でもできる雨庭の手引き」によると、材料はホームセンターで購入な材料・資材を用い、ガーデニングの延長線上で取り組むことができるとある。
作り方も簡単だ。スコップなどで約3.3㎡(1坪)のスペースに深さ約30センチの穴を掘り、そこに砕石、軽石、発泡ガラスレットなど浸透貯留材を深さ15~20cm投入し、その上に植物を植えたり枯山水仕上げとしたりするだけでよい。雨樋を利用した雨水タンクを併設することも推奨されている。施工費の目安は約4万円(植物:2万円、資材約2万円)。雨とみどりに関する区の助成制度もある。
効果も大きいではないか。記者の試算では、たった1坪(1.8m×1.8m)で深さ約8mの雨水をゆっくり地中に浸透させることができる。上下水道代に換算したら数千円にもなる。
そこですべてのデベロッパー、ハウスメーカーにお願いだ。雨水タンクの設置は当たり前になっているが、一歩進めて注文住宅、分譲住宅に「雨庭」を採用してほしい。それくらいのSDGsの「つくる責任」を果たしていいはずだ。
また、行政は「雨庭」を設けることを開発行為の条件に加え、採用されている住宅には上下水道代に見合う額を減免してはどうだろう。加速度的に普及するのではないか。
それにしても、世田谷トラストまちづくりは凄い。今回の「雨庭」を含め、「市民緑地・ちいさな森」「地域共生のいえ」「空き家等地域貢献活用」など「ひと」「まち」「自然」の取り組みを会員や市民、ボランティアとともに進めているのがとてもいい。区が住宅地として高い評価を得ている理由の一因は、こうした取り組みにあるのだろうと改めて感じた。
「世田谷トラストまちづくりビジターセンター」のそばに流れる野川
早大、ポラスら越谷市の産官学民の空き家対策連携協定 共同研究報告会に30人参加
「越谷市空家等対策に係る産官学民の連携協力に関する協定」共同研究報告会
埼玉県越谷市、早稲田大学リサーチイノベーションセンター、大里東自治会、ポラスグループは1月27日、「越谷市空家等対策に係る産官学民の連携協力に関する協定」に関する共同研究報告会を行った。報告会では、同大学学生1~3チーム(各2人)の空き家活用提案に対する参加自治会員約30人による〝人気投票〟も行われ賑わった。
会の冒頭、越谷市都市整備部建築住宅課調整幹・高森良浩氏は、空き家は全国に約900百万戸あり、47都道府県の空き家率がもっとも低いのは埼玉県の9.29%(約33万戸)で、同市は県内53市のうちもっとも低い志木市の5.22%、2番目の八潮市の5.32%に次ぐ3番目に低い6.22%(9,570戸)であると紹介。
平成27年度から令和6年12月までの空き家に関する市への通報は1,031件で、特定空き家認定は116件(うち86件が改善)、空き家になる要因の約6割が相続であることから令和4年に予防・抑制策として「住まいの終活ノート」配架開始し、セミナーなどを通じて所有者から寄せられた相談件数193件のうち106件で問題解消したこと、空き家発生の可能性の高い住宅は2,262件あることなどを報告した。
早稲田大学建築街づくりリサーチファクトリー・岡村竹史氏は、昨年11月に行った大里東自治会役員へのアンケート「あったらいいな こんな場所」では、気軽にお茶などが飲める、おしゃべりができる〝みんなの家〟や情報交換ができる場所、コミュニティを育むことができる店舗などを求める回答が多く寄せられたとし、自治会エリア内には18件の空き家があり、このうち市外在住が9人(県外2人、海外7人)に上るなど対応の難しさも指摘した。
この後、同大学修士1年の6人が3グループに分かれて、貸し本・古本屋などの「大里東 まちの図書室」、地域通貨を通じた新しい学童「MIX BASE」、多世代が利用できる「こしがや交差亭」をそれぞれ提案。参加自治会員約30人による人気投票の結果、「まちの図書館」が7票、「MIX BASE」が11票、「こしがや交差亭」が9票を獲得した。
中央住宅・髙橋重弘氏は、地区内にある約105㎡の土地に延べ床面積約115㎡の貸家(2戸)を建築した場合、総事業費は約3,147万円で、借入金3,000万円、返済期間30年(金利1.50%)だと表面利回りは6.6%になることなどを提案した。
参加者の一人で広報担当・髙橋さん(66)は、「空き家の利活用にはお金がかかる。自治会にお金はない。理想と現実には隔たりが大きい。予防策も大事。今後5年間どうなるのか見守りたい」と語った。
同協定は昨年7月に締結されたもので、2028年3月までに大里東自治会(約740世帯)区域内の空き家の利活用や予防・抑制などの試験的な取り組みを行い、空き家対策のモデルとなる仕組みづくりに寄与するのが目的。
左から高森氏、高橋氏、岡村氏、川村耕治・自治会長
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「空き家」問題の解決が喫緊の課題であることは分かるのだが、突き詰めていくと私的所有権の是非を問わなければならなくなるので、記者は敬遠・忌避することにしている。
今回の取材の誘いも断ろうと思ったのだが、何か新しい発見があるのではないかと受けることにした。
大正解だった。前日(26日)には、世田谷トラストまちづくりの空き家を活用した「おでかけひろば FUKU*fuku」を見学し、子ども連れの家族で賑わっていたのに嬉しくなったが、この日の学生さんの提案もとてもよかった。本好きの記者は「大里東 まちの図書室」が一番いいと思ったが、「MIX BASE」も「こしがや交差亭」も甲乙つけられなかった。
空き家を利活用するハードルは高いが、気前よく土地・建物を提供する篤志家が現れ、市が空き家を賃借し、固定資産税、都市計画税などの税金減免などを行い、利用者には無料でサービスを提供できるようになればいいのだが…。
岡村氏
「大里東 まちの図書室」を提案した山岸さん(左)と白鳥さん
「MIX BASE」を提案した大友さん(左)と澤村さん
「こしがや交差亭」を提案した西村さん(左)と井上さん
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