大和久氏の社長抜擢「人柄、リーダーシップ力、芯の強さ」川畑会長 旭化成ホームズ
大和久氏(左)と川畑氏
旭化成ホームズは4月2日、新社長就任に伴う合同会見を開き、4月1日付で同社代表取締役社長から代表取締役会長に就任した川畑文俊氏(66)と、同社取締役専務執行役員兼マーケティング本部長から代表取締役社長に就任した大和久裕二氏(61)が社長交代に至った経緯、今後の抱負などを語った。
会見では川畑氏が口火を切り、「8年前に2025年までに売上高1兆円、利益1,000億円を目指すと話したが、その目標がほぼ達成できた。この間、コロナとか戦争など予期せぬ変化もあったが、それを乗り越え、目標を達成した社員の成長と努力に敬意を表したい。大変うれしく思っている。これから次のステージに入ってくわけだが、今まで以上に拡大と成長を目指すためには、新社長でやるほうがより成功確率は高まると交代を決めた。私も会長として全体を全力でサポートしていく」と語った。
これに答える形で大和久氏は、「私は入社後ほぼ一貫して現場を担当してきた。『(川畑社長が8年前に)2025年に売上高1兆円、営業利益1,000億円達成は私の使命』と打ち出したときは、想像を超える数値だと思った。それが現実のものとなりつつある。有言実行の人であることを学んだ。社長の責任の大きさを感じるが、私も受け継いでいきたい。目指すのは、一つは国内の住宅事業をさらに成長させていくこと。海外事業や投資事業などリスクが伴う事業も積極的に取り組んでいく。もう一つは、当社の強みでもある人材の育成。自ら考え、行動しイノベーションにつなげることが必要不可欠。そのような人材を全力で支えていく」と抱負を述べた。
社長交代について川畑氏は、「社長の役割は、次期後継者を育てるのも大きな役割の一つ。8年前に社長に就任した時から大和久は有力候補の一人と考えていた。仕事の面でも被る時期が多く、なによりも彼の素晴らしいのは人柄の良さ、人間性。それと仲間を支えるリーダーシップ力、芯の強さが決め手。社長交代は1年くらい前に伝えた」と話した。8年間を振り返り、「事業環境は厳しがったが、運がよかった」などと報道陣を笑わせた。
大和久氏も川畑氏の意向をくみ取っていたようで、覚悟はできていたようだ。趣味についての質問に「趣味は2つあってゴルフとテニス。ゴルフは珍しいレフティ」と話した。また普段心がけているのは「チャレンジしていくこと、そして成し遂げるために工夫を凝らすこと。これをモットーにしている」と語った。ゴルフのハンディは非公表、ドライバー飛距離は230ヤード。
写真も記事も視点が大事(大和久氏はスタイリッシュな自分をアピールしたかったのか、半身に構えていた。それとも、謙虚な姿勢の表れか、虚勢を張るようなことはしなかった。川畑氏は威風堂々。全然お構いなし)
◇ ◆ ◇
同社が力を入れる不動産開発事業について。記者は、注文住宅や賃貸住宅市場はよくわからないが、分譲マンションと分譲戸建ては40年以上取材してきているのである程度のことは分かる。寡占化が進むマンション事業で同社がその一角の座を占めるのは容易ではないが、可能性はあると見ている。売上高や供給量のことではない。消費者から選ばれるトップブランド10社に入るかどうかだ。
現在のマンション市場は、三井不動産レジデンシャルが飛びぬけており、野村不動産、住友不動産、三菱地所レジデンスが追い、積水ハウス、東京建物、東急不動産、日鉄興和不動産、大和ハウス工業などが続いている。あと1社を挙げるとすれば同社のほか阪急阪神不動産、近鉄不動産、日本エスコン、大和地所レジデンス、タカラレーベン…などか。紙一重だと思う。オリックス不動産(大京)にも期待していたのだが、圏外に消えた(失礼)。
同社の強みは、何といっても建て替え・再開発事業で培ってきたノウハウだ。「宇田川町」「池尻」「江戸川台」「日暮里」「茗荷谷」「北千住」「国領」「調布富士見町」「四谷」「宮益坂」(順不同)…マンションブランド「アトラス」の実績は他社に負けない。商品企画力もここ数年、飛躍的に向上している。
負けないけれども、何かが欠けている。これは積水ハウスにも大和ハウスにも言えることだが、個人住宅や賃貸住宅とのシナジー効果を向上せるためのブランディングが欠かせないと思う。
◇ ◆ ◇
どうでもいいことだが、会見は思いもよらぬ展開になった。会見場には余裕を持って数分前に到着したのだが、数十人は座れるメインのメディア席はほとんど埋まっており、同社広報担当から「空いているのはあそこだけです」と最前列の右端を案内された。
嫌な予感がした。小生は前が嫌いなのだ。悪戯好きの小生は小学生のときから〝授業の邪魔者〟扱いされ、いつも廊下に立たされた。中学では〝出ていけ〟と授業を免除された。裏山で時間を過ごしたり、そのまま家に帰ったりしたことも何度もあった。高校に入って間もなく最前列の教壇の前に座らされた。毎日のように遅刻し、2時間目くらいには授業中に弁当を食べ終え、成績も後ろから数えたほうが早かったことに対する先生の配慮だったのか。座り心地は最悪だったが、卒業するころの成績は逆転した。効果はあったのだろう。
そんな昔のことを思い出した。質問する勇気も消え失せた。ただ、いいこともあった。最前列の右端だと会見場が俯瞰でき、他の記者がきちんと話を聞いているのか、理解できているのかが一目瞭然だ。特等席でもある。
残念だったのは、メディアの方々はみんな小生とは逆の優等生ばかり。社長も会長も立ち往生する質問は一つもなかった。(小生は川畑氏が社長に就任したとき「待望の大型(最重量)社長」と記事にした)
まあ、これも仕方がないとあきらめ、川畑氏が「私よりうまい」と語った大和久氏のゴルフの腕前を会見後に聞くこと1本に絞った。回答は上段の通りハンディは非公開、飛距離は230ヤード。川畑氏は「ドライバー? 230ヤード以下。腹が邪魔してクラブが振れない。まあ、シニアとしてはこれくらいではないか」と満足しているようだった。
もう一つ、大きな収穫があった。同業の記者の方とタッグを組んで社長の座右の銘と好きな作家を聞くことだった。大和久氏は次のように話した。
「私の利点は謙虚。笑われるかもしれないが、いずれも古典的。座右の銘は『実るほど頭を垂れる稲穂かな』です。これは入社3年後に二世帯住宅の契約をしていただいたお客さんのお父さんから教わった言葉です。好きな作家はアンドリュー・カーネギー」
――謙虚、稲穂。なかなかできないことだ。
最前列の端っこからだとこんな写真が苦もなく撮れる(同社本社が入居する神保町三井ビル)
旭化成ホームズ THE グローバル社と業務資本提携約10%の株式を取得(2025/3/11)
旭化成ホームズ新社長に大和久裕二・取締役兼専務執行役員、川畑社長は会長へ(2025/2/7)
「社員が明るくなった」川畑社長旭化成ホームズオフィスを全面リニューアル(2023/2/2)
富裕層の〝こころ躍る〟旭化成不レジ「ATLAS」マンションギャラリー「渋谷」開設(2022/1/17)
つくば市に大規模複合着工 マンションは市内最大級の602戸 大和ハウス工業
「(仮称)つくば学園南プロジェクト」
大和ハウス工業は4月3日、茨城県つくば市の大規模複合開発「(仮称)つくば学園南プロジェクト」を本格着工すると発表した。総敷地面積約155,390㎡(東京ドーム約3.3個分)に602戸の分譲マンションや教育施設、商業施設、事業施設等を建設する。
分譲マンションは、つくば市最大戸数の602戸。商業施設にはスーパーマーケット「カスミ」や思学舎グループの学習塾が出店するほか、茗溪学園中学校高等学校が移転する計画。つくば市が推進する「つくばスーパーサイエンスシティ構想」の実現に貢献することを目指す。
マンションは、つくばエクスプレス研究学園駅から徒歩9分、つくば市学園南2丁目に位置する敷地面積約23,513㎡、15階建て全602戸。専有面積は61.67 ~108.17㎡、価格は未定(坪単価は250万円以上か)。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2027年7月。
住宅・不動産各社入社式 積水ハウスは「グラングリーン大阪」開催、パナは「鵬雛」
積水ハウの入社式(手前が「うめきた公園」、背後は同社本社が入居する「新梅田ビル」)
住宅・不動産各社は4月1日、それぞれ趣向を凝らした入社式を行った。各社から送付された社長の祝辞を紹介する。(順不同)
将来ある「鵬雛(ひな)」が最初に辿り着いた当社
パナソニック ホームズ代表取締役社長 藤井孝氏
入社おめでとうございます。本日皆さんを当社の一員として迎えられることを、私をはじめ、ここに列席の取締役一同とても嬉しく思っています。
皆さんは、本日まさに自分の力で社会に降り立ちました。私の母校では、卒業生が「鵬雛は図南に旅立つ」という言葉と共に巣立ちます。「鵬」は、中国の文献「荘子」に登場する伝説の大きな鳥で、時が来ると翼をはばたかせ、九万里先の南の海を目指して飛び立つと言われています。将来ある「鵬雛(ひな)」である皆さんが旅立って、最初に辿り着いた場所が当社だと思います。
当社は、創業者 松下幸之助の“良家づくり”の想いで設立され、今年創業 62 年目を迎えます。創業当初からハードとしての「家」ではなく、そこに住む「人」起点で「くらし」を文化として捉え、「新・くらし文化の創造」を理念として掲げています。この理念は私たちが大切にしている価値観ですので、皆さんも是非心に留めておいてください。また、当社は何のためにあるのか、私たちは何のために働いているのかについても、創業者は綱領として定めていますので、しっかりと覚えておいてください。
新入社員の皆さんへ期待することを3点お話しします。先ずは、①失敗を恐れずチャレンジすること。会社の先輩の武器は、過去の成功体験から得た知見ですが、皆さんの最大の武器は「何も知らないこと」にあります。何事も変化が加速している現代では、過去の経験に囚われることなく失敗を恐れず、柔軟な思考や新しい視点を業務に活かして変化に対応することが重要です。次に、②チームワークの重要性です。
皆さんは、これから必ず困難な状況や課題と向き合うことになりますが、その局面こそ組織の力(チームワーク)が試されます。個の能力を最大限発揮するためにはお互いが協力し合い支え合うことが不可欠です。
最後に、③自己成長とキャリアです。皆さんのキャリアは本日から始まります。自己成長を目指し、常に新しい知識やスキルを身につける努力をお願いします。物を見る・人と話す・読書するなども、自己成長を図る上で大切なことだと思います。
また、創業者の言葉「一商人ナリトノ観念を忘れず」についても、新入社員として心得てください。創業者は「一商人」の要件として、商売の意義がわかること・お客様の心が読めること・人よりも頭が下がること、の3つを挙げています。自分たちの商売の存在意義を認識し、お客様の思いに人一倍敏感になり、常に謙虚で感謝の言葉を忘れないことへの心構えを忘れずにいてください。
当社の親会社であるプライム ライフ テクノロジーズグループの合同入社式が、明後日開催されます。皆さんは、当社の考えや思いを体得した上で、グループ各社が持つ伝統・風土も理解しながら、コミュニケーションを図っていただきたいと思います。
「人を、想う力。街を、想う力。」一緒に次に行こう
三菱地所執行役社長 中島 篤氏
中島氏
・ 入社おめでとう。三菱地所の仲間として迎えられたことを大変嬉しく思う。ぜひ、今の初心を大切にし、これからの成長につなげてほしい。
・ 三菱地所グループは「まちづくりを通じて社会に貢献する」という基本使命を掲げている。その根幹には、「三菱三綱領(所期奉公・処事公明・立業貿易)」の理念があり、この価値観を受け継ぎ、誠実に仕事に取り組んでほしい。
・ 企業の力の源泉は人財である。世界情勢が大きく動き、テクノロジーも進化する今、過去の経験が通用しない局面が多くある。そうした環境の中で、長期経営計画 2030 を達成するためには新しい感性を持つ皆の力が欠かせない。更に「2040 年」「2050 年」には皆が中心となって未来を切り拓いていくことを期待している。
・ 今後仕事をする上で、大切にしてほしいことは二つある。「①向上心を持ち、自身
を成長させること」そして「②周りの人への尊重を忘れないこと」だ。
・ ①について、当社の事業は単独で完結するものではなく、社内外の多くの関係者
と協力しながら価値提供をしていくものだ。「この人ともう一度仕事がしたい」と思ってもらえる様、基本的な業務遂行力はもちろん、語学力やグローバルな対応力も磨き、世界に通用するデベロッパー人財へと成長して頂きたい。
・ また、「②周りの人への尊重を忘れないこと」も大切にしてほしい。意見や立場が
異なるときは、意見を戦わせながらもお互いに敬意をもって接することで、仕事が円滑に進み、自己成長にもつながるはずである。
・ 当社のブランドスローガンは「人を、想う力。街を、想う力。私たち三菱地所グループは、チャレンジを続けます。」だ。世界中からナンバーワンと言われる不動産事業グループを目指し、一人ひとりがチャレンジを続け、一緒に次に行こう。
「Try forhappiness」 選ばれ続ける住まいを
三菱地所レジデンス代表取締役社長執行役員 宮島 正治氏
宮島氏
当社は三菱地所グループの基本使命である「まちづくりを通じて社会に貢献する」ことを実現するため、お客様から選ばれ続ける質の高い住まいづくりに取り組んでいる。さらに多様化するライフスタイルに応えるため、これまでに培ったノウハウを生かし、様々なアセットを通して、お客様に快適な暮らしを提供している。
社会や当社の事業環境は絶えず変化しているが、その中で求められているのは資産価値の高いマンションだと感じている。「手放したくない」、そうお客様に思っていただける住まいづくりを行いたい。
近年は立地や仕様だけでなく、環境配慮や防災など、建物における社会的意義が住まいに求められている。当社としては ZEH の標準化や太陽光発電システム「soleco」の導入等を継続し、CO2排出量削減に努めるとともに、コンクリート型枠合板のトレーサビリティ確保など業界に先駆けた取り組みを進めている。また、防災については居住者の皆様との防災訓練やオリジナル防災ツールの一般公開などを通じて、災害時に地域の方々が迅速に対応できるよう、防災力強化のための活動を行っている。
今後もあらゆるステークホルダーから選ばれ続ける企業であるために、当社では「Try forhappiness」というスローガンを掲げ、積極的な「Try」を推進している。皆さんにも、お客様や社会の幸せについてとことん向き合い、挑戦をしていってもらいたい。
本日から同じ職場の仲間として働いていけることを嬉しく思っている。これからの三菱地所レジデンスを一緒に盛り上げていこう。
「まだ見ぬ、Life&Time Developer」へ
野村不動産ホールディングス代表取締役社長グループCEO 新井聡氏
野村不動産グループに入社された387名の皆さん、誠におめでとうございます。
最初に、皆さんが人生における新しいステージに入られたことに対してお祝い申し上げます。そして、皆さんのここまでの成長を支えて下さったご家族をはじめとする方々に、皆さんと一緒に深く感謝したいと思います。
2025年は、当社グループにとって大きな節目の年になります。当社グループは、この夏に、47年前に本社を構えた新宿から港区のブルーフロント芝浦に本社を移転します。単に本社の場所を変えるということではなく、当社で働く皆さんの意識を変えることにより、当社グループが新たなステージに進化していくきっかけにしたいと考えています。当社の強みである「お客様のニーズを起点にして、優れた商品・サービスを産み出し、提供し続ける」ことに変わりはありません。
この強みを活かしながら、価値創造の手法を変革し、提供する商品・サービスの価値をさらに高めていくことにより、新たなステージである「まだ見ぬ、Life&Time Developer」への進化を加速させていきます。人々を幸せにして、社会を豊かにする、そのようなグループになることを目指していきます。
グループの仲間になった皆さんに、私からお願いしたいことが二点あります。
一つ目は、今日から自分自身を磨くことに今まで以上に力を入れていただきたいということです。仕事を離れた場においても、様々なことに好奇心をもって、自らの知見を拡げる努力を続けて下さい。たゆまない努力によって得られる幅広い知見は、必ず将来の皆さんの糧になるはずです。
二つ目は、皆さんが働く職場に新たな風を吹き込んでいただきたいということです。新人だからこそ、経験が少ないからこそ新たに気づくことや考えることもあるはずですので、遠慮せずにそれらを周りの人に伝えて下さい。皆さんのそのような行動が職場に新たな風を吹き込むことに繋がりますので、是非とも前向きに取り組んで下さい。
最後になりますが、人々を幸せにして、社会を豊かにしていくことを目指す野村不動産グループに加わった皆さんを、あらためて心から歓迎致します。
今日から、皆さんは私たちのグループの一員です。これから全員で明るい未来を創っていきましょう。何卒よろしくお願いします。
選ばれ続けるナンバーワンブランドへ
野村不動産ソリューションズ代表取締役社長 日比野勇志氏
皆さん、入社おめでとうございます。
春の穏やかな天気と満開の桜の中、人生の新しい大きな一歩を踏みだされる皆様を心から祝福します。また、ここにいる野村不動産ソリューションズの経営陣、そして全社員で皆さんを心より歓迎いたします。
不動産を必要としている人に届ける、単に壊してしまうのではなく新しい活用アイデアを提供していく、これらのアクションは社会のインフラやシステムを維持していくためにも極めて社会的な意義が高いビジネスであると言えます。
「私たち野村不動産ソリューションズは、不動産サービスの提供を通じて、広く信頼され、高い評価を頂くことで、選ばれ続けるナンバーワンブランドを目指します」。この理念の根底にあるのは、徹底したお客様目線を貫くことでお客様を幸せにし、私たちも幸せになりましょうということです。お客様のありがとうを一つひとつ積み重ねることで、私たち自身を幸せにしていきましょう。
皆様に二つだけアドバイスをしたいと思います。一つ目は、人生においても圧倒的に環境変化が起きた今、つまりストレスがかかった状態は、自分を色々な意味でジャンプアップさせるチャンスであります。ぜひこの環境の激変を乗り越えて成長していく過程を楽しんでいただきたいな、と思います。
もう一つは、自分にベクトルを向ける、ということを忘れないでほしいということです。周りにベクトルを向けて自分を守ることばかりしていると、前に進むことはできませんし、ましてや成長することはできません。目をそらさず自分にベクトルを向けた上で、周りの先輩方に相談してください。聞くことや相談することは決して恥ずかしいことではありません。私たちは全員ずっと皆さんの味方であります。
野村不動産ソリューションズは、皆さんの力を必要としています。そして、本日、皆さんは私たちの家族となりました。ここにいる経営陣は経営理念を実践することで、皆さんをはじめとするすべてのステークホルダーを幸せにすることができる会社を作るために、全力を尽くすことをここにお約束します。
一緒に明るく頑張っていきましょう。これからよろしくお願いいたします。本日は本当におめでとうございます。
自己成長と社会貢献が実感できる企業へ
ポラスグループ代表 中内 晃次郎氏
中内氏
現代は先行きが不確実、不透明であると言われています。今に始まった話ではありませんが、人々の生活観や働くことへの価値観は大きく変化し、またデジタルなどテクノロジーも進化しています。過去の成功体験が必ずしも通用しない現代だからこそ、皆さんにとっては大きなチャンスでもあります。
研究開発や教育研修を行う中・大規模木造建築「ポラステクノシティ」を吉川美南に新設しました。また、ポラス建築技術訓練校では、一流の大工技能者を養成する取り組みを約40年間続けています。さらには、当社では10年連続でベースアップも実施していますが、これからも人材への投資は維持、加速させていきたいと思っています。
これらの人材投資を行うのは、性別、年齢、キャリアなどに関係なく、全てのグループ社員が輝き、そして自己成長と社会貢献が実感できる企業でありたいとの思いからであります。
ここにいる皆さんの大いなる可能性と成長に期待をしていますので、ぜひ一緒に頑張っていきましょう。
「一隅を照らす」 その光は社会を照らす
大和ハウス工業代表取締役社長 大友浩嗣氏
新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。本日から社長を務める大友です。当社は4月5日に創業70周年を迎えます。この節目の年に新しい仲間として皆さんを迎え入れることができ、うれしく思います。
1.創業者の著書などを通じて当社の企業理念や価値観を知ること 企業理念は皆さんが業務を進めるうえで目指すべき方向性を示す指針となります。諸先輩方は企業理念をヒントに、様々な困難を乗り越えたことで当社は今日まで成長してきました。企業理念を理解し、自らの行動に反映させてください。
2.プロフェッショナルとしての意識を持つこと 皆さんがこれから取り扱う商品は数千万・数億円単位の非常に高額なものであり、お客さまの「夢」を具現化する仕事です。業界のプロとして、金額に見合うだけの価値を提供することが求められます。常に仕事に誇りを持ち、高い品質を追求してください。
3.学び これから皆さんは社内、取引先、企業、行政など、仕事を通じて多くの諸先輩と出会います。様々な人から積極的に知識を吸収し、成長してください。また、新聞を毎日読む習慣をつけてください。新聞はビジネスの最前線を知るための重要な情報源です。経済や業界の動向を把握し、仕事に活かすことができます。インターネットだけの情報で全てを理解した気にならず、人に会い、新聞を読み、様々な情報を入手して多くの学びを積み重ねてください。
4.挨拶の徹底 挨拶をすることは、社会人としての基本です。挨拶はコミュニケーションの第一歩であり、信頼関係を築くための重要な手段です。元気な挨拶を心掛け、周囲の人々との良好な関係を築いてください。
5.感謝と初任給 今月末、皆さんは社会人としての初任給を得ることになりますが、その一部を使ってこれまでお世話になった家族など、大切な人に恩返しをしてください。皆さん自身も社会人として新たな一歩を踏み出す準備が整います。
6.天台宗の宗祖である最澄の言葉「一隅を照らす」 自分の持ち場で、全力を尽くして輝いてください。その光が周囲を照らし、やがて大きな光となって社会を照らすのです。皆さん一人ひとりが大和ハウスの未来を照らす光となることを期待しています。
2055年、当社は創業100周年を迎えます。その時の主役は皆さんです。皆さんの努力と情熱が、会社の未来を作り上げます。今年、当社は創業70周年を迎えますが、70年前の創業時はまさにベンチャー企業のひとつでした。これからも常に挑戦を続け、新しい価値を創造し続けてください。これからの活躍を心から楽しみにしています。
“「わが家」を世界一幸せな場所にする”
積水ハウス代表取締役社長執行役員兼CEO 仲井嘉浩氏
「うめきた公園」三角屋根
仲井氏
皆さん、ようこそ積水ハウスグループへ。皆さんと共にこれから仕事ができることを本当に嬉しく思います。当社はあえて入社式と言わず、「新入社員歓迎会」と言っています。皆さんは社会人になられました。社会人の定義とは、何らかの価値を世の中に与えるポジションになったことだと私は思います。いろいろな選択肢がある中で、積水ハウスグループを選んでくれたことを本当に感謝しています。積水ハウスグループを選んでいただいたということは、当社の資産をうまく利用して、世の中に価値を与えるという選択をしたということです。
では積水ハウスグループの資産とは何なのかと言うと、先人たちに培っていただいたブランド力や技術力、施工力などです。当社は260万戸以上の住宅を供給してきました。おそらく世界一だと思いますが、そのお客様も立派な資産です。そういった資産を利用して、価値を提供していくことが私たちの仕事です。資産については、皆さんもこれから勉強していくと思います。
今日は皆さんへのプレゼントがあります。お渡ししている紙袋に1冊の本が入っています。ぜひ読んでいただきたいと思い、今日、配布させていただきました。実は、新入社員の方々にこの本を配るのは、今年が初めてです。この冊子は、当社が創業した 1960年から1990年までの30年間を綴った物語です。創業の精神と言いますか、当社は1960年に、戦後の住宅難を解消する、そして住まい手の命と財産を守るためにできた会社です。読んでいただくと、先人たちが創業からの30年でいかに困難を乗り越えて、苦労されて、この世界的にも類のない、工業化住宅というビジネスモデルをつくったのか、または技術力、施工力、アフターサービスなど、どのようにしてお客様と一緒に住宅をつくってきたのかがわかります。
また、当社は注文住宅がメインですので、お客様との距離が非常に近い会社です。お客様と共にこのような会社、ビジネスモデルをつくりあげてきたということもわかります。そして、このようなビジネスモデルだけではなく、「人間愛」という企業理念がどうやってできたのか、お客様第一主義のポリシー、DNAがどうやって培われてきたのかということも、この本を読んでいただければわかります。
会社、経営というものには守るべきものと変えていくべきものが両方あると、私は思っています。本にある企業理念やDNAは変えてはいけないものです。そして、変えなければいけないものとは、やはりイノベーションです。
“「わが家」を世界一幸せな場所にする”というビジョンがありますが、そのためには時代に応じたイノベーションが必要です。イノベーションで新しい価値をお客様にどう提供するか。その主役はまさしく皆さんです。守るものと変えていくもの。変えていくのは皆さんのイノベーションの力です。
今、社内の合い言葉は「イノベーション&コミュニケーション」です。イノベーションとコミュニケーションは両方大事です。まずはイノベーション。いいアイデアが生まれたら、同期や先輩とぜひともコミュニケーションしてください。そうすることによってイノベーションのアイデアが洗練、ブラッシュアップされ、もっと大きく充実したイノベーションに発展する可能性があります。もしくは「イノベーションなんてなかなか思いつかない」ということもあります。そのときも、コミュニケーションが大事です。今日は900名近い人が集まっています。ぜひ同期の方とコミュニケーションを取っていただいて、話しているうちに、イノベーション、アイデアが浮かぶこともあります。先輩と話すうちに、お客様と話すうちに、もっとこうすれば喜んでいただけると、イノベーションが生まれます。もしくは来年入ってくる後輩ともコミュニケーションを取ることでイノベーションが生まれます。
イノベーション&コミュニケーションには、そのような想いが込められています。皆さんもぜひ、このことを頭の片隅において仕事をしてほしいと思います。
さて、まだ開業間もない、このグラングリーン大阪は世界的に注目を集めています。中でもこの広大な緑地、大屋根のイベントスペースは中心的存在です。そのような場所で入社イベントを行うのは、日本中で皆さんが初めてです。
皆さんとともに歴史を刻めることも喜ばしく思っています。そして、梅田スカイビルができたのは1993年、32年前です。このビルは従業員がいきいき、わくわくして会社に来れるようなビルにしたいという思いで開発されました。
32年前からこのようなコンセプトでした。その梅田スカイビルを背景に行う入社イベントは非常に感慨深いですし、このうめきたエリアの開発に携わり続けて30年が経った今、この梅田スカイビルとグラングリーン大阪が一体になったことは、私としては万感の想いです。
“「わが家」を世界一幸せな場所にする”、そして「イノベーション&コミュニケーション」。お客様を幸せにするために、まずは皆さんに幸せになっていただきたい。その秘訣は、社会人の先輩として言えることは、家族、友人、同期の仲間たちを大切にすることです。それが幸せの基盤づくりの一丁目一番地だと思います。
皆さんがイノベーションを起こして、次世代の積水ハウスグループの開拓者になることをお祈りいたしまして、私の歓迎の挨拶とさせていただきます。今日は本当におめでとうございます。
フレッシュな「妄想」⇒「構想」⇒「実現」へ
三井不動産代表取締役社長 植田俊氏
入社おめでとうございます。
本年2月に新しくオープンした、この「&MIND-学びの杜-」という研修施設で皆さんをお迎えできることを大変嬉しく思います。本日、皆さんが社会人として第一歩を踏み出されるにあたり、私からお話をさせていただきます。
三井不動産グループは1941年の創立以来、時代の変化をチャンスと捉え、進取の気性の精神で多くの挑戦を続けてきました。これまでに、埋め立て事業、日本初の超高層ビル「霞が関ビル」をはじめとするオフィスビル事業、住宅事業、商業施設事業、東京ドームをはじめとするスポーツ・エンターテインメント事業、物流施設事業、ホテル・リゾート事業等を推進してきました。そして、ミッドタウンや日本橋に代表されるように、それらを統合したミクストユースの街づくりを進め、今やこれらの街づくりは東京、そして日本を代表するウェルビーイングな街として結実しています。ビジネスの舞台はグローバルに広がり、欧米やアジアの各都市等世界中で街づくり型事業を進めています。
さらに、近年では、ハードな建物だけではなく、「場」と「コミュニティ」の提供を行うことで、そこに集う人々や企業が「イノベーション」を起こし、社会に新しい価値や産業を生み出すお手伝いをしています。「不動産デベロッパー」の枠を超えた「産業デベロッパー」というプラットフォーマーとして、社会の付加価値創造と新たなイノベーション創出にチャレンジしています。先代たちから続く、この未来を開拓していくチャレンジ精神、それがまさに当社のDNAです。
ところで、話は変わりますが、今から約46億年前に地球が誕生しましたが、その長い地球の歴史の中で、約5億年前にカンブリア紀という時代がありました。カンブリア紀には、遺伝子の爆発的変容というパラダイム転換が起き、多数の生物が誕生しましたが、この時代の勝者は最強の捕食者ではなく、弱々しいナメクジウオの祖先であるピカイアという生き物でした。ピカイアは脊索動物である私たち人類の祖先と言われていますが、環境の変化に対応できたもの、つまり、「適者生存」したものだけが生き延びたことが分かっています。
現在、世界は歴史的な転換点を迎えています。本年1月に就任したトランプ政権の保守的な政策等によるインパクトが各国経済に与える影響が懸念されています。国内に目を向けますと、賃上げが継続し、物価上昇の好循環の兆しが見え始め、金利ある世界が戻ってくる等、まさに「失われた30年」からの転換点に来ています。
「失われた30年」はデフレの時代でした。デフレの時代というのは、極論すれば安いものが勝つ。付加価値が正当に評価されず、心も萎縮し、イノベーションも起きづらい時代でした。デフレからの脱却により、これまで美徳とさえされてきた「良いものを安く」から、「良いものは価格で評価する」という考えに、供給者サイドも消費者サイドもマインドセットをしていく必要があります。特に供給者サイドは、戦略的に付加価値を作り出し、差別化できなければ生き残れない、マーケットにおける優勝劣敗・二極化の構造は、さらに進んでいくと考えます。
また、今後もデジタルシフトによる行動変容や生成AIの発展等が加速し、事業環境の激しい変化が予想されます。まさに、ビジネスのカンブリア紀に突入しています。そのような不確実性が増す時代に、最も大切なことは「顧客志向」であると私は考えています。前例踏襲やマニュアルに従うだけでは環境変化や多様化する顧客ニーズには対応できず、突き抜けた発想で付加価値を創出しなければ、激しい競争に打ち勝つことはできません。
昨年4月に公表したグループ長期経営方針「&INNOVATION2030」は、ありたい姿を「妄想」し、戦略を「構想」することで、「実現」につなげていくという強い決意をもって策定しました。徹底した顧客志向をもとに、社会に付加価値をいかに創出できるか、高められるかが求められています。顧客志向の中に「妄想」するヒントが必ずあります。
皆さんの若くてフレッシュな「妄想」が、新しいビジネスの芽を育てて「構想」となり、「実現」につながっていくと期待しています。もし、失敗したとしても、ベストを尽くした結果が失敗であるならば、それは皆さんの将来にとって必ず大きな財産となるでしょう。私たちを取り巻く環境がダイナミックに変化するなか、当社はイノベーションを通じて新たな価値を創造し、社会・経済におけるリーダーシップを高めながら持続的に成長していくことを目指します。この挑戦に果敢に立ち向かい、次なる一歩を共に踏み出しましょう。
最後に、改めて当社グループの事業は地球規模で社会的意義が大きく、人々に夢と感動を与えられる産業だと私は心から信じています。そして、当社は、仕事を通じた自己実現によって、日本全体ひいては世界全体のイノベーションに大きな影響を与えることのできる会社だと信じています。
高い志を持って自己実現を目指す者にとっては、最高のステージとなるでしょう。
当社グループがさらに魅力あふれる企業グループであり続け、また今後もたくましく成長していけるよう、当社グループのコーポレートメッセージ『さあ、街から未来をかえよう』を胸に刻みながら、共に頑張りましょう。
「お客様第一」と進取の精神が当社の原点
東京建物代表取締役社長執行役員 小澤 克人氏
皆さん、本日は入社おめでとうございます。新しい仲間を迎えることができ、大変嬉しく思います。
当社は、1896(明治29)年に安田財閥の創始者である安田善次郎翁が「不動産取引の近代化」と「市街地開発の推進」を使命として創業した会社であり、今年で 129 年目を迎える、日本で最も歴史ある総合不動産会社です。「東京建物」という名称は、安田善次郎翁の「建物があってこそ、不動産は価値を生むもの」という信念に基づき名づけられたと言われています。
創業以来、安田善次郎翁が旨とした「お客様第一」の精神と、時代の流れを先んじて捉える進取の精神を企業活動の原点として、時代のニーズを捉えた新しいアセットの開発をはじめ、多様な不動産開発事業を東京建物グループ全体として展開してまいりました。こうした、創業の目的や、創業者の精神は、今も当社グループの中に深く根付いており、企業理念である「信頼を未来へ」とともに、当社グループの企業文化や風土、DNAを形成しています。
そして現在、当社は、グループの長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」を掲げ、事業を通じて「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立することで、すべてのステークホルダーにとっての「いい会社」となることを目指し取り組んでいます。これまでも先人たちは、さまざまな社会課題に直面する中でその解決に尽力してきましたが、変化の著しい時代の中で当社が発展していくためには、「社会課題の解決」と「企業としての成長」をこれまでとは違ったレベルで両立する必要があるのではないかという問題意識のもと、「次世代デベロッパーへ」を掲げたものです。「デベロッパー」には、単にビルや住宅というハードを造って収益を積み上げるだけでなく、人が「住む」「働く」「憩う」場をサービスも含めて創造し、長期的な視点からまちの文化や機能を発展させていく、不動産開発にかかわる社員だけでなく、販売や管理などにかかわる社員も含めたすべてのグループ役職員が、まちや社会を“Develop”する意識を持って携わっていくという意味を込めています。
さらに当社では、長期ビジョン達成のため、事業を通じて実現する社会との共有価値を意識し、「社会価値創出」と「価値創造基盤」の2つの観点から14のマテリアリティ(重要課題)を特定しています。
「社会価値創出」における社会との共有価値としては「「場の価値」と「体験価値」の創出」、「地球環境との共生」を掲げており、具体的には、当社が創業以来拠点を構える YNK(八重洲、日本橋、京橋)エリアを中心に、事業を通じた国際都市東京の競争力強化や「ウェルビーイング」の向上に貢献するほか、脱炭素社会・循環型社会の推進にも取り組んでいく方針です。一方、「価値創造基盤」における社会との共有価値としては、「価値を創造する人材」「サステナビリティ経営の実現」を掲げており、本年公表した新たな中期経営計画にもある「成長を支える経営インフラの高度化」を通して、企業としての成長とともに、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えています。
組織、人材の面では、フラットな組織で、役職員の自立や主体性とともにチームでの成果を重視され、質の高いチームプレーや円滑なコミュニケーションを可能とする組織風土が当社の強みと考えています。
また、経営と現場の距離が近いことで上下双方のコミュニケーションも活性化しており、現場のアイデアが反映されやすく、変化を受容する柔軟性も備えていると考えています。こうした組織が力を発揮するためには、役職員一人ひとりの人間力が大切になります。当社において重視されてきた「凡事徹底」や「内発的行動」の価値をこれまで以上に重視し、世代を超えて「次世代デベロッパー」を目指していきたいと思います。
最後に、私は「企業は人なり」「人材こそ最大の財産である」と捉えており、役職員一人ひとりが自らの仕事に誇りを持ち、持てる力を最大限に発揮できる企業文化、風土を育み、ともに「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立するために邁進していきたいと思います。
皆さんの挑戦と成長が当社グループの発展の原動力となることを大いに期待しています。以上、私からの祝辞といたします。
AQ Group入社式(本物の組子デザインが素晴らしい本社ビル。〝カンナ社長〟こと宮沢会長=写真右のカンナ削りの技はプロ中のプロでも難しいとされる厚さ4ミクロン。日本一は2ミクロン)
「失敗を恐れず、しっかり根を張り、人生を豊かにしよう」加藤社長 AQ Group入社式(2025/4/1)
厚さ数ミクロンのカンナ削りの技を競う 「第30回全国削ろう会 小田原大会」(2014/11/10)
「失敗を恐れず、しっかり根を張り、人生を豊かにしよう」加藤社長 AQ Group入社式
AQ Group入社式
加藤氏
AQ Groupは4月1日、「キニナル(木に成る・気になる)入社式~伝統のカンナ削り入社式20回目記念~」を開催。同社創業社長・宮沢俊哉氏代わって新たな社長に就任した加藤博昭氏(正式には5月28日開催の株主総会)が次のように祝辞を述べた。
祝辞全文掲載は同社広報課の協力により実現したものだ。、この日入社式に参加された全120人の新入社員はもちろん、全国数十万人の新入社員の方に読んでいただきたい。生きるヒントはここにある。
式典後は、恒例のカンナ削り、木のストローづくりのほか、加藤氏の発案か、新たにアスナロの植樹イベントも行われた。
◇ ◆ ◇
新入社員の皆さん、ご入社、誠におめでとうございます。本日、こうして皆さんをAQグループのお仲間として、迎えられることができましたことを心から歓迎いたします。皆さんは厳しい採用プロセスを経て今日この場にいることは、これまでの皆さん自身の努力の成果です。
新たなスタートを切れることに、改めて心よりお祝いを申し上げます。まず初めに、今年3月、AQグループの新年度を迎えたんですけども、これにあたりましてこれまで47年間、創業者として、そして社長としてこのAQグループを成長させてこられた宮沢さんから私に社長が交代することとなり、既に新しい体制でスタートを切っております。
私もかつて新入社員としてこの会社に入社をしました。私の出社の初日の仕事は、電話当番でした。それ以外に役に立つことがなかったからです。しかし初めて電話を受けたときに、緊張のあまり、うまく言葉が出ず、そして相手の名前もよく聞き取れず、要件も復唱すらできないまま、1回目の電話を終えて迷惑をかけてしまいました。
散々なスタートだったことを今でも覚えていまして、その当時を思い出しながら、今日この場に立っております。当時、当社は小さな工務店でしたが、今、こうして日本初の純木造ビルを建築する技術を持ち、しかも私が社長として皆さん祝辞をすることは、想像もできなかったことは、いうまでもありません。
私はこれまで多くの成長機会をいただき、一つひとつの挑戦をしては、失敗を繰り返してまいりました。ただ、その失敗をそのたびに素直に認めて、それをしっかり振り返って、周りの人にも助けを乞い、そして学びを得て、その経験を周囲の人たち、先輩後輩たちに伝えてきました。
その取り組みがあったからこそ、今があると感じています。皆さんも失敗を恐れず、思考にロックをかけずにたくさんの挑戦をしていってほしいなと思っています。さて私達は、これからチームで、社員総員で宮沢会長の思いを繋ぎ、今後もお客様や社会に価値を提供することを使命に取り組み続けます。
注文住宅では日本一を目指し、中大規模木造建築分野では世界に、私達の持つ技術を提供していきたいと考えています。これは皆さん1人ひとりの力も相重なって、その未来への原動力となって実現してまいりましょう。そのためにも、私達AQグループは創業者の強い信念である木造建築の技術を磨き続け、このDNAを持ち続けて展開をしてまいります。
本日の入社式の式典の後には、皆さんに植樹、カンナ削り、木のストロー制作といった体験をしていただきます。木はただの材料ではありません。人の手によって形を変え、ぬくもりある空間を生み出し、何十年、何百年と生き続ける存在です。
木とともに歩む私達は、木を使うということの意味を深く理解し、責任を持たなければなりません。植樹は、未来へと繋がる命を育む行為です。カンナ削りは、職人の技そして木が持つ美しさ、これをじかに感じることができます。
木のストローを作るということは、環境を考え、持続可能な社会に向けた小さな一歩を実感する、そんな機会になるでしょう。これらの体験を通じて、匠の心と環境を繋ぐということがどういうことなのか、ぜひ感じ取ってください。
そして、この学びを皆さん自身の成長の糧とし、会社の一員としてだけでなく、木造の技術を受け継ぐ者としての誇りと責任に繋げ、挑戦し続ける姿勢を大切にしてほしいと思います。私達は、若い皆さんの力と、新しい使命に大きな期待を寄せています。
失敗を恐れず、自ら考え行動し、新たな可能性を切り開いてくれることを願っています。最後になりますが、皆さんがどんな道を歩むのか、経験をするのか非常に楽しみです。AQグループでの経験が木のようにしっかりと根を張って、皆さんの人生を豊かにすることを心から願い、祝辞とさせていただきます。
ともに学び、ともに成長し、素晴らしい未来を築いてまいりましょう。
カンナ削り
カンナ削りイベント
植樹イベント
植樹イベント
木のストロー体験イベント
総戸数は微増 分譲戸建ては28か月連続減少 令和7年2月 住宅着工
国土交通省は3月31日、令和7年2月の住宅着工統計をまとめ発表。総戸数は前年同月比2.4%増の60,583戸となり、10か月ぶりの増加となった。内訳は持家16,272 戸(前年同月比0.2%減)で2か月連続の減少、貸家25,744戸(同3.2%増)で先月の減少から再びの増加、分譲住宅18,213戸(同5.1%増)で10か月ぶりの増加。分譲住宅の内訳はマンション8,422戸(同12.5%増、2か月連続の増加)、一戸建住宅9,628戸(同0.8%減、28か月連続の減少)。
首都圏マンションは3,995戸(同4.2%減)で、都県別は東京都2,413戸(同8.5%増)、神奈川県552戸(同37.6%増)、埼玉県717戸(同17.4%減)、千葉県313戸(同63.0%増)。一戸建て住宅は4,282戸(1.3%減)で、都県別は東京都1,401戸(同1.1%減)、神奈川県1,120戸(同11.4%増)、埼玉県1,030戸(同12.5%減)、千葉県731戸(同0.9%減)。
Park-PFI活用した多摩中央公園4月5日オープン カフェなど整備し回遊性高める
「ケヤキハウス」
多摩市は3月30日(日)、Park-PFI制度を活用した「多摩中央公園」のリニューアル工事完了に伴い、メディア向け内覧会を実施した。カフェや遊具を新設することで既存の公園内施設との連携を図り、「誰もが楽しめる賑わいある公園」として生まれ変わる。グランドオープンは4月5日(土)。当日は午前10時から午後8時までマルシェ、飲食キッチンカ―、物販、LIVEなど様々なセレモニー、イベントが行われる。
多摩中央公園は、京王・小田急多摩センター駅から徒歩5分、多摩市落合2丁目に位置する面積約112,900㎡。開設年は昭和62年10月。開設から30年以上が経過し、一部施設の老朽化が進んでおり、最近の公園ニーズに対応するためPark-PFI制度を活用。令和3年10月に公募し、応募があった2グループのうち、市の事業費総額約30億円に対して約27億円の提案を行った物林株式会社を代表企業とするTAMAセントラルパークJV9社が事業者として選ばれた(落選グループは約30億円)。国の補助事業として15.7億円の社会資本整備総合交付金を活用する。事業期間は令和25年3月末までの20年間。
新たな施設として「ケヤキハウス」「エディブル&フラワーガーデン」などを整備。老朽化したカスケード、大池のろ過・浄水設備の更新を行った。
また、公園内のパルテノン多摩、中央図書館(2023年開館)、グリーンライブセンター(G.L.C)、旧富澤家住宅の4つの特定施設との連携を強化し、回遊性を高めるため舗道を整備している。
この他、幼児~小学生向け遊具広場、車いす利用者も楽しめるウェルビーイング遊具広場、運動用具が収納できる自由広場、BOOKパーク、きらめきの広場、大池前テラスなどが新設されている。
公園内の植栽計画では、ナラ枯れ、東側法面の土砂崩壊対策、整備事業による伐採樹木は全体の2割以上の1,125本となったが、広島市から寄贈された原爆二世アオギリが植樹され、サクラもたくさん新植されている。
内覧会のナビゲーターで公園の改修整備・運営事業者JVグループ統括責任者・室橋智氏(物林営業本部長)は「既存の施設を設計、施工した会社からもヒアリングを行った。難しい事業ではあったが、コストを抑える工夫もし、国産材の木を使い、周辺環境との親和性を重視した」と説明した。
多摩中央公園(市のホームページから)
パルテノン多摩「きらめきの広場」
「足るを知る」がコンセプトの水盤
大池
「エディブル&フラワーガーデン」
遊具広場
ウェルビーイング遊具広場
原爆二世のアオギリ
手前は新植されたと思われるサクラ
室橋氏
自由広場(室橋氏の背後は運動用具などを収納できる小屋。右側は隣接する桜美林大学の敷地だが、公園との垣根は設けられていない)
◇ ◆ ◇
小生は公園の緑や街路樹をかなり見てきたが、Park-PFIによる公園整備事業は三井不動産「MIYASITA PARK」、積水ハウス・三菱地所他「海の中道海浜公園官民連携推進事業」、東京建物「都立明治公園」、大和リース「鳥居崎海浜公園」、東急不動産グループ「代々木公園Park PFI」しか知らない。
なので、今回の以下の記事が正鵠を射ているかどうかの自信はない。さらにまた、多摩市民として利用してきたこともあり、市民だから贔屓目に見ようとする自分と、市民だからこそ厳しい目で見ようと考えるもう一人の自分がいた。取材中の2時間、双方がせめぎ合いをしたが、贔屓目に見る必要はそれほどなく、厳しい目で見ても「合格点」が付けられると結論付けた。第三者が厳しい目で評価しても同じ結論に達するのではないか。
とくに評価したのは3点。第一は公園運営事業者の管理センターとトイレが併設されている「ケヤキハウス」だ。木造平屋建てのカフェは外壁のスギ材のほか、内装にも本物の木がたくさん採用されており、ペット同伴利用も可能(一部除く)。
第二は、リニューアルオーブンされるグリーンライブセンターだ。これまでは植物鑑賞が中心だったが、市民参加するセンターへと生まれ変わる。コナラとサクラの巨木の萌芽更新は興味深いし、水琴窟は移設して残されている。シンボルツリーのカツラは見事な自然樹形を描いており、高さは20mくらいある。また、センターの維持管理にかかわってきた恵泉女学園大学が最後の活動として植えた草花もオープンに彩を添えている。同大学はアダプト制度による多摩センター駅周辺の美化に大きな役割を果たした。
第三は、豊かな緑と4つの特定施設の回遊性を高めた遊歩道の新設だ。公園内の回遊性が飛躍的に向上した。
市はこれまで公園利用者数をカウントしてこなかったが、これを機にカウントするという。Before Afterはわからないが、利用者が大幅に増加するのは間違いない。
ペット同伴可能の「ケヤキハウス」テラス席(天井高が2400ミリくらいで低いとは思ったが、座って利用するので問題ないか。右側は広場が展開する)
よく見えないかもしれないが、手前の建物は事業者が整備した管理センター、その奥は市が費用負担したトイレ(軒裏は手前はケミカル製品、億は本物の木。このあたりにも事業者がコストを抑制した努力がうかがわれる)
新設された旧富澤家への遊歩道
旧富澤家
土砂崩壊対策として樹木は伐採され、全面芝生が植えられた東側法面。背後はグリーンライブセンター(芝生の管理は大変だが、費用は事業者の収益から充当するので市の負担増はないという)
萌芽更新のトライ(手前はサクラ、奥はコナラ)
水琴窟
シンボルツリーのカツラ
伐採木は総理大臣賞を受賞したNPO多摩グリーンボランティア森木会などが再利用する)
木調ルーバー多用した施設デザイン抜群東急不など「代々木公園 Park PFI」(2025/2/25)
Park-PFI活用「都立明治公園」来園者240万人突破東京建物/公園を考える(2025/2/7)
「うめきた公園」事業者は自画自賛でも大阪市の指定管理者評価の評点は77点(2024/9/4)
「多摩中央公園改修」の疑問氷解樹木5000本うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/10/21)
三菱地所・積水ハウスなど国営公園初のPark-PFI「海の中道海浜公園官民連携事業」(2021/5/17)
プレ協 「住生活向上推進プラン2025」の進捗など活動報告会
「2024年度プレハブ建築協会活動紹介&懇談会」(TPKガーデンシティ御茶ノ水で)
プレハブ建築協会(プレ協)は3月26日、「2024年度プレハブ建築協会活動紹介&懇談会」を開催。A4判79ページにもわたる膨大な資料をもとに住宅部会、PC建築部会、企画建築部会、広報委員会、教育委員会など7部会・委員会が活動報告を行い、報告会後は協会関係者と約20人の報道陣との意見交換を行った。
住宅分科会は、主な取り組みの一つ「住生活向上推進プラン2025」について、戸建てZEH供給率87%(目標85%)、ストック住宅断熱・省エネリフォームにおける消費量削減率50%(同30%)、工場生産のCO2排出量70%(同65%)、工場における再エネ電気の利用率90%(同75%)は目標数値を引き上げ、そのほかの住宅性能表示取得率(戸建85%、共同10%)、長期優良住宅認定取得率(戸建85%、低層共同10%)などは目標達成を目指す。
環境分科会は、工場生産段階、居住段階でのGHG排出量は大きく削減が進展しており、今後はサプライチェーンのCO2排出量の削減に取り組んでいくとしている。また、「微景観」という新しい概念を導入し、環境に配慮した住宅供給に力を入れていくとしている(別掲の記事参照)。
住宅ストック分科会は、各社ともリフォーム売上高は堅調に実績を伸ばしており、「住宅省エネキャンペーン2024」の利用率は62,000件で、前年度比60.6%増加したことを報告した。
PC建築部会は、PC(Precast Concrete)工法は生産性向上による小人化、働き方改革による担い手不足、地球環境への配慮の観点からPC工法は有効であることを強調した。
規格建築部会は、令和6年能登半島地震応急仮設住宅建設について、1月~10月までの着工戸数は石川県が6,882戸で、プレ協が4,467戸(プレ協比率64.9%)であることを報告した。
◇ ◆ ◇
懇親会の冒頭で乾杯の音頭を取った創樹社代表取締役社長・中山紀文氏は、最近の住宅市場について触れ、持家の着工戸数が減少し厳しい状況が続いていること、プレハブ住宅の着工戸数は初めてツーバイフォー住宅に追い抜かれるなど、プレハブ業界は〝転機〟にあるとし、新しい展開を求めた。
記者もその通りだと思う。持家着工戸数は、近年で最多だった平成25年の354,772戸から漸減傾向が続いており、令和6年は218,132戸(前年比2.8%減)と38.5%減少。3年連続して分譲住宅薬効戸数を下回った。また、プレハブ着工戸数も、近年で最多だった平成28年の148,528戸より37.8%減の93,077戸(同10.0%減)となり、ツーバイフォー住宅の95,095戸(同4.7%増)に初めて暦年で追い抜かれた。
今後も、少子高齢化、人口減少、社会経済状況の変化、空き家の増加、持家ニーズの減退などからこの状況は続くと思われる。ただ、協会会員の個社で見ると、各社とも海外事業や非住宅などへの多角化を進めており、業績自体はそれほど落ち込んでいない。
Prefabrication由来による「プレハブ建築協会」と会員会社の事業内容からすると、「プレハブ」の呼称は変更すべきだと40年昔から考えているが、歴史・由緒ある名称が変更される可能性はないと見ている。
〝転機〟を迎えているのはむしろメディアのほうだ。いまはプレハブも在来もハウスメーカーもデベロッパーも同じ事業を行っており、垣根はない。なのに、ハウスメーカーを取材源とする業界紙はデベロッパーを全く取材しない。紙媒体にしがみついている陋習も含めて改めるべきだ。
プレ協狭小住宅に新概念「微景観」ハウスメーカーの矜持見たい(2025/3/27)
オープンハウス 耐災力養う「子どもと学ぶ在宅避難!おうちのサバイバル体験」
「子どもと学ぶ在宅避難!おうちのサバイバル体験」
オープンハウスは3月26日、一般社団法人デイリーストックアクションと共催して「子どもと学ぶ在宅避難!おうちのサバイバル体験」イベントを同社渋谷ショールームで開催した。激甚化する自然災害に備えるには、事前の備えや在宅避難(耐災力)が大切だとする同社の取り組みの一環で、春休みということから定員30人を超える親子連れ家族約40人が参加、地震の揺れ体験、災害時トイレの使い方、ローリングストックの試食などを体験しながら学んだ。
イベントでは、①在宅避難って何? ②地震が起きた際どうする? もしもの避難シミュレーション③おうちのセーフティーゾーンはどこ? ④携帯用トイレを設置してみよう⑤災害時の食事の大切さとローリングストックについて⑥常温保存食品!こんなにお手軽で満足ランチ⑦地震の揺れを体験ゾーンなどか行われた。
同社は、大きな災害が起こった際に命を守る力「耐災力」をテーマに掲げており、ひとりひとりの事前防災、いざという時の備えが重要だとしている。一方で、都心部の子育て世代には浸透していると言い難いことからイベントを実施したもの。
デイリーストックアクションは2018年、一般社団法人日本ソイフードマイスター協会内に発足、2023年に単独法人化。在宅避難時の食料備蓄対策に特化し、日常の小さな災害にも役立つ常温保存食品を活用したレシピを通じて災害時対策も兼ねた日常生活に浸透する家庭での食料備蓄の在り方を啓蒙している。
参加者に提供される試食品
フレキシブルオフィスシリーズ旗艦施設「xLINK丸ビル」開業 三菱地所
「xLINK丸ビル」ラウンジ
三菱地所は3月28日、フレキシブルオフィスブランド「xLINK(クロスリンク)」シリーズの旗艦施設「xLINK丸ビル」を4月1日に開業すると発表。同日、施設をメディアに公開した。
施設は「丸の内ビルディング」(丸ビル)の27階と28階に設けたもので、27階には107坪の共用ラウンジを新設。ラウンジにはカフェ、ソロワークブース、フォーカスブース、ミーティングブース、ボックスシート、リフレッシュルームなどが設けられている。
ラウンジに併設する形で用途・規模の異なるフレキシブルオフィス3種「サービスオフィス」「会議室付小割オフィス」「ハーフセットアップオフィス」を新規導入する。
同社は2030年までに丸の内エリアにフレキシブルオフィスを3万坪(丸の内エリアの貸付有効面積の5%程度)に拡大する。「Torch Tower」への導入も検討している。
「xLINK丸ビル」ラウンジ
「ハーフセットアップオフィス」
エントランス
◇ ◆ ◇
上段の記事は同社のブレス・リリースをコピペしたものだ。見学・体験会では同社執行役常務・荒木治彦氏、同社フレキシブル・ワークスペース事業部長・河野安紀氏、同社フレキシブル・ワークスペース事業部ユニットリーダー・岩本祐介氏、それと入居企業のもう一人の方がスピーチされた。記者は、配布された資料にメモしたのだが、その資料を会場に忘れてきたので紹介できない。
ただ、河野氏のスピーチの一部だけは鮮明に覚えている。記者の心に響いたからだ。河野氏は次のように話した。
「手前味噌で申し訳ございませんが、『xLINK(クロスリンク)』が入居の方々に支持されるのは、圧倒的な立地です。この圧倒的な緑と空の抜け感。皇居の自然が都会の喧騒から一歩引いた静けさと品格を漂わせています。ここには創造力と集中を高める力があり、唯一無二の存在感があります」
なぜこの部分だけ覚えているかといえば、唯一無二の〝価値〟はここ(大丸有)にしかないと思っているからだ。案内された28階の66坪のオフィスからは皇居が見渡せた。皇居が見渡せる価値は何ものにも代えがたい。記者はこれまで10回以上は皇居が見渡せるオフィス、ホテルを経験している。
だが、しかし、分譲マンションはどうかというと、眼下に皇居が見下ろせるマンションは同社の「ザ・パークハウ グラン千鳥ヶ淵」(73戸)と三井不動産「パークマンション千鳥ヶ淵」(63戸)しかないはずだ(2物件とも見学した人はほとんどいないのでは)。
「緑の価値」について補足すると、大手町・丸の内・有楽町・永田町地域の緑被率は23.89%だ。都心部でこれほど緑被率が高いのはここしかない。
そこで、この唯一無二の価値を測った。この66坪のオフィスを分譲したら、坪単価にして5,000万円とはじいたが、ラウンジなどの価値を含めたらこれでも安いと思う。賃料について荒木氏は「一般的なオフィスの数倍」と話すのにとどめ、岩本氏も「豪華にしようと思えばいくらでもできるが、アッパーミドルの利用を想定して内装などは極めてシンプルにした」と語ったのをどう受け止めるか。
見学したオフィスは、廊下を含めた共用部分のデザインが素晴らしい。「xLINK(クロスリンク)」の開業に合わせリニュアルしたそうで、ラウンジのアール形状が目立ったのは、女性利用も想定しているからだろうか。造作家具などを配置するだけで済み、初期費用を抑え、退去時の原状回復費用が少なくて済むハーフセットアップオフィスはとてもいい。
左から荒木氏、河野氏、岩本氏
廊下
66坪のオフィス(皇居の写真も撮ったが、掲載するのはためらわれる)
オフィス入り口部分
プレ協 狭小住宅に新概念「微景観」 ハウスメーカーの矜持見たい
プレハブ建築協会の「まちなみワーキンググループ」(構成会社:積水化学工業、 積水ハウス、大和ハウス工業、パナソニックホームズ、ミサワホーム、岩村アトリエ、エムエフクリエイツ)がまとめた「都市型住宅地のデザインメソッド」を公表し、敷地が狭小な都市型住宅の優れた景観づくりにはきめ細かな細部への配慮・こだわりが欠かせないとし、新たな概念として「微景観」を打ち出した。
「微景観」は、3月26日に行われた同協会のメディア向け2024年度活動報告会で公表されたもので、「コンパクトであっても単なるミニ開発ではない、ハウスメーカーとしての矜持を感じるデザイン理論を今後とも構築していく」とし、一つ一つの素材選定、デザイン、配置に対して、きめ細かな対応を図ることで、全体に統一感を感じ、まちなみ全体に落ち着きを感じる景観を創ることができ、また、狭いスペースにも可能な限り植栽を施すことで、まちなみに潤いを感じる景観を創出することは可能としている。
具体的なデザインコーデとして、相隣間で補う借景的微景観、室内からの微景観、アプローチ周りの微景観、微景観阻害要因の軽減、微景観における宅盤段差のデザインなど事例などを紹介しながら17ページにまとめている。
◇ ◆ ◇
記者は「微景観」なる造語をまったく知らなかった。そもそも「微」は微細、微小、微妙、微笑、微力、衰微などの熟語が示すように、どちらかといえば目立たない、取るに足りないことなど示す言葉だ。〝美景観〟の誤字ではないかと思ったくらいだ。
都市型住宅については、明確な定義はない。バブル崩壊後に生まれた言葉だ。バブル崩壊前の分譲戸建てといえば、敷地規模は最低40坪、郊外住宅地では50坪、60坪が当たり前だった。一部のデベロッパーが供給していた敷地規模が30坪未満の住宅は〝ミニ開発〟として、銀行も住宅ローンの対象外としていた。
ところが、バブル崩壊後はハウスメーカーもデベロッパーも敷地規模が30坪前後、他建物規模が30坪前後の分譲戸建てを積極的に供給するようになり、最近では敷地が15坪くらいの超ミニ開発も珍しくない。
これらの現状に対し、プレ協のまちなみワーキンググループが一石を投じる形で「微景観」を打ち出したようだ。
論より証拠だ。記者は敷地規模が30坪未満では敷地の緑化は難しいと考えているが、「微景観」を採用したこれらまちなみワーキンググループが供給している戸建ての見学を申し込むつもりだ。どこが見せてくれるか。