積水ハウスCVC 生成AIリーディングカンパニーPFN社に出資
積水ハウス、積水ハウス イノベーション&コミュニケーション(積水ハウス イノコム)は12月23日、コーポレート・ベンチャー・キャピタル・ファンド(CVCファンド)「積水ハウス投資事業有限責任組合」を通じ、生成AI分野で先進的な取り組みを行うPreferred Networks(PFN社)へ出資したと発表。PFN社の先進的な生成AI技術を活用し、営業、設計、施工、アフターフォローといった住宅事業の各業務においてさらなる深化を目指す。
同CVCファンドは、積水ハウスグループのオープンイノベーションの取り組みを加速させるために2024年4月に設立。本件は4社目の投資実行となる。
PFN社は2014年3月設立。生成AIやAI半導体、先端技術を応用したソフトウェア・ハードウェア・ネット ワーク技術の研究・開発・販売を行っている。
野村不HD 都心型戸建ての安定供給のため戸建て施工会社・中里建設を傘下に
野村不動産ホールディングスは12月19日、戸建て施工会社・中里建設の株式を取得し、2025年4月1日付で野村不動産グループ入りすると発表した。都心型戸建事業の安定供給体制構築が目的。
中里建設は中里建設は2004年6月設立。本社は埼玉県新座市、社長は中里且也氏、資本金は500万円、従業員数は23名。これまで戸建の施工を中心に累計1,000戸超の戸建て施工実績があり、とくに難易度の高い都心エリアでの施工を強みとしているという。
野村不動産は、都心型戸建事業に力を入れており、これまで累計150戸(2024 年12月現在)を供給している。今後、建築費上昇や労働力不足など受注先の選定は難易度が増す可能性があり、中里建設をグループに迎えることで都心型戸建事業の安定的な供給体制を構築する。
リサイクル部材だけの「循環する家(House to House)」 2050年に発売 積水ハウス
積水ハウスは12月4日、「循環する家(House to House)」プロジェクト発表会を開催し、住宅業界のサーキュラーエコノミー(以下、CE)移行を目指し、3万点以上からなる家の部材を見直し、リサイクル部材(リユース、リニューアブルなど含む)だけで構成された家「循環する家(Circular Design from House to House)」(House to House)を2050年までに発売すると発表した。
発表会で同社代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏は、「当社は①脱炭素②生物多様性保全③資源循環を三本柱にCEに取り組んでおり、これまでに工場、新築施工現場、リフォーム、アフターメンテナンスにおいてゼロエミッションを達成しており、『資源循環センター』では80分別し再資源化している。この取り組みは、国際的な非営利団体CDPによる、世界でたった12社、国内に限ると2社(もう1社は花王)しかないトリプルA認定を取得している。今後も解体廃棄物の回収、製品化、リサイクル・リユース、さらに解体を前提とした新築段階での設計にも取り組み、本日、『循環する家(Circular Design from House to House)』プロジェクトの開始を宣言する」と挨拶した。
その一方で、「しかし、これは非常に難しいプロジェクト。我々だけで実現できるものではない。すべてのサプライヤー、住宅業界、ステークホルダーと協力しないと実現しない。一致団結して開発・研究を重ねて住宅業界の未来を変えたい」と述べた。
続いて登壇した経済産業省GXグループ資源循環経済課・水上智弘氏は、CEの市場(静脈産業)は今後大幅に拡大が見込まれるとし、日本国内では2020年50兆円から、30年80兆円、50年120兆円の市場規模を見込むとする一方で、マテリアル輸入の増大、価格高騰による国富流出、国内物価上昇のリスクもあり、CE性を担保しない製品は世界市場から排除される可能性があると図示し、対応が遅れれば、成長機会の損失だけでなく、廃棄物処理の海外依存の可能性があると指摘した。
◇ ◆ ◇
記者はこの日(4日)、RBA野球大会の取材がありそちらを優先し、同社の発表会はアーカイブで視聴することに決めていた。視聴したのは昨日(7日)だった。その2日前(5日)には、「家具の買取再販は2030年にはサーキュラー デザイン(CD)のスタンダードになると聞いたのにいささかショックを受けた」と、12月3日に行われた三井デザインテックのメディア向けセミナーに関する記事を書いた。その2日後に「循環する家」だ。Wショックを受けた。
三井デザインテックも積水ハウスもそこまでの具体的な工程表・タイムテーブルは示さなかったが、世の中は劇的に変わるということだ。
一つ疑問も湧いた。CE、CDは避けられないにしろ、使用・流通しているケミカル製品などを回収し新たな製品に再生するのに要するコスト、CO2消費量と、ケミカルを中心とするマテリアル素材を使って同種の製品を製造するコスト、CO2消費量とをはかりにかけたらどうなるのかということだ。
例えば、いま世界中で注目されているプラスチック規制。三井デザインテックのセミナーではプラスチック由来の「BENCH SOFA」も紹介されたが、多分、再生コストは新製品製造コストの数倍かかっているはずだ。(時価10万円と思われる本革の椅子を再生するコストはいくらもかかっていないはず)。つまり、仲井氏も話したが、解体を前提とした、環境に負荷を与えない部材の採用・設計が肝になると記者は思う。
だとすると、住宅は木造以外ありえない。坂茂氏の「紙の家」もあるかもしれないが、そもそも木由来の紙をつくるのには大量の水を消費する。「紙の家」は限定的にならざるを得ない。
発表会でもそれらしきヒントも与えられた。同社R&D本部総合住宅研究所長・東田豊彦氏は「かつてわが国の住宅は木と石でできていた。立ちどまることも必要」と語った。質疑応答では「もともとわが国の住宅はサーキュラーエコノミーだった。(それを壊したのは、大量生産・消費してきた)プレハブにも問題があるのではないか」という記者の質問も飛んだ。
確かに、この記者の方の指摘は正しい。小生は昭和24年生まれだから、もちろん住宅は木と石(土と紙と植物も重要な役割を果たしていた)でつられていた。電化製品などなく、エネルギー源は薪炭だった。だが、しかし、質問した記者の方も化石燃料、ケミカル製品のおかげで生きているはずだ。小生などは薪炭時代への逆戻りなどまっぴらだ。
もう一つ、考えたことがあった。仲井氏も紹介した環境省のCDの定義だ。同省は「従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すもの」とある。
この定義に照らせば、これまた木造しかありえないと思う。同社ESG経営推進本部業務役員環境推進部長・井阪由紀氏は「循環する家」はどのような工法かなどについては示さなかったが、築60年の「セキスイハウスA型」を紹介した。これもヒントになるのか。おそらく同社は、重量鉄骨と木造由来の2タイプを発売し、選択できるようにするはずだ。あと26年。記者が生きていたら100歳だ。予想は的中するか。
コルク・食品廃棄物をオーナメントに 三菱地所「サーキュラーシティ丸の内」第5弾(2024/12/8)
「金利0.01%で55%が預貯金は正気の沙汰じゃない」「不動産は愛」シーラ杉本氏
杉本氏
既報の通り、シーラテクノロジーズ(以下、シーラ)とクミカ(旧リベレステ)は2025年2025年6月1日付で経営統合すると発表した。シーラ取締役会長・杉本宏之氏は発表会でシーラのMISSION「世界中の不動産投資を民主化する」、VISION「愛とテクノロジーで世紀を超えて永続する」、TARGET「不動産資産運用プラットフォームを通じ社会問題解決に挑む」を紹介し、「民主化(非民主的)とは何か」「不動産への愛」とは何かについて、〝記事はラブレター〟〝人生は愛〟がモットーの記者の質問に次のように答えた。
「非民主的というのは、わが国は島国という地政学的な要因と、太平洋戦争以前のABCD包囲網下でなにもかも自分たちで調達しなければならなかったという歴史的な背景による国民性の問題だと思っています。さすがに(個人の金融資産は約2,141兆円)のうち55%が0.01%の金利で貯金を続けているのは、私の個人的な見解では正気の沙汰ではないと。パブル崩壊とリーマン・ショックを経験しているので、不動産に対するアレルギーがあると思うんですが、これは是正しないといけないという使命感を持っています。不動産投資について、一つひとつ丁寧に説明し、理解を求めていくしかないと思っています。非民主的というのは国民性に起因するというのが私の考えです」
(杉本氏のいう通りだと思う。ただ、これは不動産業に限ったことではないが、消費者保護を宅建業法でうたわなければならないのは、かつて消費者を欺く商法があったからだ。さらにまた、おとり広告が後を絶たない現状がある。業界全体がしっかり取り組まないといけない)
「不動産への愛」については、「前回の失敗から学んだのは、自分たちがしっかり手掛けたプロジェクトは一つも失敗事例がなかった一方で、利益を出そう、業績のためにやめにやろうとした仕事はことごとく失敗したということです。その反省点に立って考えたのは、モノのづくりへの愛です。まず、創業者が情熱をもって命をかけて全力で事業に取り組まないとベンチャー企業の成長はない。『利回りくん』などのサービスもそうですが、面白い、楽しいとお客様に触れていただいていると実感している。自信を持って言える。お客様に対してやらなければならないことと、自分たちがやりたいことがようやく一致するようになってきた。ワンルーム事業としてありえない共用部分の充実を図ってきたことが結果につながってきた。創業者と社員のモノづくりへの情熱と愛、これが全てです」
シーラとクミカが経営統合統合後クミカはシーラHDに社名変更/億ション即完(2025/12/2)
会見場(シーラテクノロジーズで)
シーラとクミカが経営統合 統合後クミカはシーラHDに社名変更/億ション即完
クミカ代表取締役社長・飯島弘徳氏(左)とシーラテクノロジーズ取締役会長・杉本宏之氏(シーラテクノロジーズで)
シーラテクノロジーズ(以下、シーラ)とクミカ(旧リベレステ)は12月2日、合同経営戦略発表会を開催し、クミカを完全親会社、シーラを完全子会社化とする株式交換による経営統合を行う予定と発表した。
株式交換により、クミカはシーラの株主に対してシーラの普通株式1株につきクミカ普通株式110株式会社(時価総額ベースではクミカ1:シーラ2.85)を割り当てる。
統合スケジュールは2025年2月14日の臨時株主総会で双方が議決し、2025年5月29日にシーラはNASDAQ市場での上場が廃止となり、株式交換の効力発生日は2025年6月1日。
経営統合後は、クミカは社名をシーラホールディングスに変更し、シーラ取締役会長・杉本宏之氏が代表取締役会長に、シーラ代表取締役社長グループ執行役員COO・湯藤善行氏が代表取締役社長に就任する予定。
経営統合が発表された午前11時すぎ、東証スタンダード市場のクミカの株価が暴騰。午後3時時点で始値340円に対してストップ高の410円(値上がり率20.6%)、NASDAQ市場のシーラは前日比0.060USD高の1.75USD(3.55%高)となっている。
◇ ◆ ◇
発表会でシーラ取締役会長・杉本宏之氏は、「不動産投資を取り巻く外部環境は厳しいが、当社は岩盤収益源である賃貸約4,000戸を管理しており、また、当社は売上原価の多くを占めるゼネコン機能を有しており、全物件を自社施工できる体制を構築する。設計、デザイン料などは内製化できている強みがある。2030年5月期には売上高700億円、総資産1,000億円をめざすが、双方の資産は300億円にのぼり、600億円を家賃収入、400億円をデベロップ部門をベースにする。在庫は(賃貸収入を生む)資産。M&Aを強化して大手デベロッパーが手薄な分野で各個撃破する」と語った。
杉本氏は1977年(昭和52年)生まれ。不動産業を営んでいた父親はバブル崩壊(1990年)をきっかけに事業に失敗、同年に母親を亡くす。その後、生活保護を受けながら、風呂がない四畳半のアパートでの生活を余儀なくされなくなったこと、父親との確執、大学進学をあきらめ高校卒業後、専門学校に通い宅建士の資格を得て不動産会社に就職、営業成績はトップクラスだったことなど、少青年期の波乱万丈の人生を赤裸々に明かしている。勤務先の不動産会社では商品企画に疑問を抱き、24歳の2001年12月、投資用ワンルーム事業を中心としたエスグラントコーポレーションを仲間らと設立し、初代社長に就任。同社はリーマン・ショック後の2009年、民事再生法の適用を申請し破綻。
その翌年の2010年11月、シーラテクノロジーズ(旧シーラホールディングス)を創業。不動産投資に特化した自社ブランドマンション「SYFORME」の開発・売買・管理・仲介を展開。2021年6月、不動産クラウドファンディング「利回りくん」のサービスを開始。2023年3月、国内不動産業界としては初となる米国ナスダック市場に上場。
シーラの2024年12月期決算予想は、売上高29,000百万円(前期比27.5%増)、営業利益は1,800百万円(同24.9%増)。
クミカ代表取締役社長・飯島弘徳氏は、「シーラさんとは今後供給する『大宮』『川崎(八丁畷)』での協業は進んでいるが、当社の創業社長が出資法違反で逮捕されて以降は経営基盤が不安定で、経営統合は企業価値を向上させるためには不可欠と判断した」と語った。
クミカの旧社名は1970年創業の河合工務店で、創業地の埼玉県越谷市を中心にマンション事業を展開、温泉付き「ベルドゥムール」で業容を拡大し、1999年には社名を「リベレステ」に変更、2000年には株式を店頭公開した。しかし、2023年、創業社長の河合純二氏が出資法違反の「抱き合わせ融資」で逮捕されるなど厳しい経営環境にあり、2024年6月、「リベレステ」から社名を「クミカ」へ変更、2024年8月、第三者割当増資6億円をシーラテクノロジーズが引き受け、シーラテクノロジーズは同社の30.58%の株式を取得した。
クミカの2024年5月期の売上高は4,765百万円(前期比36.0%減)、営業利益は295百万円(同72.7%減)、経常利益は302百万円(同72.0%減)、純利益は212百万円(同72.2%減)。
経営統合後の単純合算で売上高は337億円、営業利益は19.4億円となり、2026年度は売上高450億円、営業利益23億円を目指す。
◇ ◆ ◇
代理店から発表会の案内が届いたとき、気は進まなかった。シーラは投資用マンションやコンパクトマンションを展開している会社のようだが、記者の取材経験からして玉石混交というより〝石〟だらけの市場だと思っているからだ。しかし、クミカは河合工務店時代だから20数年前から温泉付きマンションを何度か取材しており、記者と同い年(確か75歳)の創業社長の河合純二氏が「井戸を2か所も掘ったんだ。温泉付きではない他のマンションにも特別車両で源泉を運ぶ」と得意げに話したのを覚えているので、参加することに決めた。それでも資本・業務提携だけでは前途は多難だろうと思い、記事にもそう書く予定だった。
記者が会場に着いたのは発表会の予定時間11:30の15分くらい前だった。いきなり、司会者から「有益な情報を伝えるため」と11:45分に延期すると知らされた。双方ともいい加減な会社だと正直思った。これでは先が思いやられると。ところが、会見の冒頭、司会者から経営統合発表会と知らされて、その理由がよく分かった。東証などへの報告事務があったからだと判断した。この時点で、前途に光が見えたように思った。経営統合は正解だろうと。
発表会の事前にシーラのホームページを調べた。同社初の富裕層向けマンション「THE SYLA SHIBUYA-TOMIGAYA(ザ・シーラ 渋谷富ヶ谷)」が紹介されていた。住所は代々木公園駅から徒歩5分の渋谷区富ヶ谷一丁目で敷地は188㎡(56坪)しかないが、1フロア1戸で専有面積は90.99㎡、間取り1LDKとあるではないか。物件概要を読んで、坪単価は1,000万円だと予想した。グロスで2億7,572万円だ。これまで低層で1フロア1戸という事例はあったが、高層マンションで1フロア1戸、しかも99㎡のマンションの供給事例はほとんどないはずだ。平屋を積み上げたプランは、ひょっとしたら売れるかもしれないと考えた。
会見後にこれだけは聞こうと杉本氏に尋ねたら「決済は済んでいませんが、8月に分譲開始し、即日完売しましたよ。坪単価平均は900万円」と話した。
また、「投資用・コンパクトマンション市場は厳しい。差別化を図らないと」聞いたら、「当社はこれまでも差別化を図っている。現段階でプランは公表できませんが、クミカさんと共創する『大宮』も『八丁畷』もジムやレストラン、コワーキングスペースなどを予定している」と杉本氏は話した。
シーラはこれまでの投資用・コンパクトマンションデベロッパーと全く違うと確信した。取材前にイメージした杉本氏の〝虚像〟は音を立てて崩れた。杉本氏は〝投資市場の自由化〟〝愛〟についても熱っぽく語った。前途洋々とは言い切れないが、発表会での話を聞きながら、こういう会社を応援したくなった。
「THE SYLA SHIBUYA-TOMIGAYA(ザ・シーラ 渋谷富ヶ谷)」は、東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩5分、渋谷区富ヶ谷一丁目の近隣商業地域、第1種低層住居専用地域(建ぺい率100%・70%、容積率400%・150%)に位置する敷地面積約188㎡、延床面積約764㎡、8階建て全8戸(販売戸数7戸)。専有面積は90.99㎡。坪単価は900万円。間取り1LDK。設計・監理はエム・エスデザイン、デザイン監修はSTUMP、施工はシーラ。竣工予定は2024年12月下旬。
オープンハウスG 2024年9月期 増収 営業・経常利益減 戸建ては回復基調へ
オープンハウスグループは11月14日、2024年9月期決算を発表。売上高1兆2,958億円(前期比12.8%増)、営業利益1,190億円(同16.3%減)、経常利益1,202億円(同12.2%減)、純利益929億円(同0.9%増)となった。売上高、純利益は過去最高。
戸建関連事業の売上高は5,890億円(前期比0.2%減)、売上総利益率は14.4% (同2.2ポイント減)、営業利益は496億円(同21.4%減)、営業利益率は8.4%(同2.3ポイント減)となったが、在庫調整に取り組んだ結果、販売は回復基調を示しているとしている。
マンション事業の売上高は892億円 (同28.4%減)、営業利益は106億円(57.6%減)、営業利益率は11.9%(同8.2ポイント減)、プレサンスコーポレーションの売上高は1,808億円(同12.1%増)、営業利益は274億円(同6.5%増)、営業利益率は15.2%(同0.8ポイント減)となった。
収益不動産事業の売上高は1,960億円(同6.1%増)、営業利益は172億円(同14.6%減)となった。
その他(アメリカ不動産など)の売上高は1,808億円(同12.0%増)、営業利益は114億円(同32.1%増)となった。
2025年9月期は、売上高1兆3,000億円(前期比0.3%増)、営業利益1,300億円(同9.2%増)、経常利益1,230億円(同2.3%増)、純利益820億円(同11.8%減)を予想。
売上高は過去最高 利益率は改善 ケイアイスター不 2025年3月期2Q決算
ケイアイスター不動産は11月11日、2025年3月期第二四半期決算を発表。売上高は1,509億円(前年同期比20.3%増)、営業利益は69億円(同50.6%増)、経常利益は60億円(同52.8%増)、純利益は36億円(同20.8%増)となり、売上高は過去最高を記録した。
分譲住宅事業は、販売棟数3,943棟(土地販売含む)、売上高1,431億円(同18.4%増)、セグメント利益82億円(同28.1%増)。売上総利益率は12.6%で、2024年3月期の11.5%から1.1ポイント改善した。注文住宅事業は、販売棟数169棟、売上高32億円(同29.4%増)。
戸建分譲事業は回復傾向 飯田グループHD 2025年3月期2Q決算
飯田グループホールディングスは11月11日、2025年3月期第二四半期決算を発表。売上高6,871億円(前年同期比2.3%増)、営業利益379億円(同3.3%増)、経常利益341億円(同4.2%減)、純利益230億円(同4.4%減)となり、戸建分譲事業は回復傾向を見せた。
セグメント別では、戸建分譲事業の売上高は5,857億円(同103.8%)、売上総利益率は14.0%(同0.3ポイント増)、販売棟数は18,804戸(同100.6%)、1棟単価は3,115万円(同103.2%)。9月末時点の未契約在庫数は22,382棟で、今期計画に対して若干下回る水準。
マンション事業の売上高は311億円(同77.3%)、売上総利益は59億円(同63.5%)、売上総利益率は19.1%(同4.1ポイント減)。フォーム事業は、オプション工事を含めた売上高は152億円(同120.9%)と伸びた。
セグメント別の戸建分譲事業の件数(宅地など含む)、売上高(前年同期比)は次の通り。
・一建設グループ 5,049件1,497億円(同7.0%増)
・飯田産業グループ 3,016件1,112億円(同6.5%増)
・東栄住宅グループ 2,307件 872億円(同7.2%増)
・タクトホームグループ 2,223件 747億円(同7.0%増)
・アーネストワングループ 4,656件1,184億円(同4.4%減)
・アイディーホームグループ 1,542件 439億円(同0.8%減)
「利益率(8.8%)を高めたい」大和ハウス・芳井社長 大手デベの住宅事業は20%超
大和ハウス工業は11月13日、2025年3月期第2四半期決算のマスコミ向けスモールミーティングを開催し、同社代表取締役社長CEO・芳井敬一氏が約1時間にわたって前日11月12日に発表した決算内容について記者団の質問に答えた。
2025年3月期第2四半期の売上高は2兆6,526億円(前年同期比4.2%増)、営業利益2,346億円(同22.8%増)、経常利益2,209億円(同17.5%増)、純利益1,563億円(同1.2%増)となり、コスモスイニシアと大和リゾートの連結範囲変更に伴う売上高592億円、営業利益23億円の減少要因があったものの、売上高は4期連続の増収、営業利益、純利益とも2期連続の増益となった。
◇ ◆ ◇
スモールミーティングは、メディアの方が何を質問されたのか、芳井社長がどのように答えたのか、耳が遠くなった記者はほとんど聞き取れなかった。聞き取れたのは、芳井社長が「経営者にとって利益率をどう高めていくかが課題。とくに米国は粗利益率を重視している」と語り、新政権に対して「経営者目線より、住宅購入者目線が大事。新政権には、先の住宅エコポイントように途中で打ち切るのではなく、切れ目のない政策を要望する」と話したことのみだった。
利益率については質問に答えたというより自ら口にしたことだ。確かに、同社の利益率が高くないのは昔からの課題で、今回の2025年3月期2Qの売上高2兆6,526億円に対して営業利益は2,346億円で、営業利益率は8.8%だ。同業の積水ハウスの2025年1月期2Qの売上高1兆8,591億円、営業利益1,571億円、営業利益率8.5%のいずれの数値も上回ってはいるが、大手デベロッパーの国内住宅事業の営業利益率と比較すると大きな差がある。
例えば2025年3月期2Qの三井不動産は22.0%、三菱地所は2.4%(下期に引き渡しが集中するためと思われる)、住友不動産は30.2%、野村不動産HDは37.0%、東急不動産HDは21.1%、東京建物は25.2%(2023年12月期3Q)だ。粗利益率は住友不動産と三井不動産は非開示だが、30%を超えている模様で、東京建物は29.2%、野村不動産HDは26.7%、三菱地所は26.3%だ。
これほどの差が出るのは、デベロッパーの国内住宅事業は経営資源を都心部に集中しており、原価高騰を価格に転嫁し、さらに最近の市場に合わせた価格の高値設定やコスト削減効果が顕著に表れていると見ることができるのに対し、大和ハウスは全国展開しているため(最近のマンション分譲は地方圏は少なくなっているが)、用地・建築費高を価格に転嫁しづらい環境が続いているためと思われる。
しかし、記者は住宅事業の営業利益率は10%前後が適正ではないかとみている。BtoBの事業はともかく、一般消費者の実質賃金は上昇していないのだから(アッパーミドル・富裕層向けマンションなどはどんどん高値挑戦すべきだと思っているが)、利益率を落とし、その分を消費者に還元すべきだと考えている。〝利益を消費者に還元してどこが悪い〟と口にする経営者は出てこないかと期待しているのだが…。かつて三井不動産の役員(社長ではなかった)が「何事も腹八分目、残りの二分はお客様に還元するんだよ」と呵々大笑したのを思い出した。
◇ ◆ ◇
同社は11月12日、2024年8月7日に公表した2025年3月期の業績予想を上方修正し、期末配当を増配すると発表した。売上高は5兆3,700億円(前回予想5兆3,500億円)、営業利益4,400億円(同4,300億円)、経常利益4,100億円(同3,900億円)、純利益2,670億円(同2,600億円)。期末配当予想は77円(同75円)で、年間配当予想は147円(同145円)。
住友不動産販売の商号を来年4月1日付で「住友不動産ステップ」へ変更 住友不動産
住友不動産は11月8日、同社完全子会社の「住友不動産販売株式会社」の商号を2025年4月1日から「住友不動産ステップ株式会社」に商号変更すると発表した。来年度は会社設立50周年を迎え、「すみふの仲介ステップ」で親しまれる「ステップ」ブランドを社名に冠することとした。
変更の理由として、住友不動産販売は、1975年に住友不動産の分譲マンションや宅地の販売を担う会社として設立され、社名はそれに由来するものだったが、現在では、住友不動産の分譲マンション事業の営業は住友不動産自身が担い、不動産仲介専業の会社に進化したため、会社の名が体を表さなくなっていたとし、住友不動産販売は目下、①投げ込みチラシや登記情報に基づいたダイレクトメール中心のアナログ広告からデジタル広告へ全面的に移行し②透明性の高い「ステップオークション」による客付けシステム導入、さらに③DXによる徹底した業務の見える化を図り、顧客の利益を損なう「囲い込み」が起こり得ない、疑われようがない体制構築を推進しており、また④人事給与制度の改革⑤店舗網の再編を含め、聖域なき構造改革に取り組んでいくためとしている。