土壌改良、自動潅水、ウッドデッキなど 神宮外苑 イチョウ並木の樹勢回復措置
神宮外苑地区まちづくり事業を推進している三井不動産など事業者は7月26日、いちょうの生育環境をよりよくするため、2023年に以下の6つの樹勢回復措置を実施したと発表した。回復措置をとったのは、樹勢の衰えが指摘されている青山通りから都道四谷角筈通りに入った西側舗道のテニスコートがあるところから絵画館前広場までの4列いちょう並木(50本くらいか)で、都道から秩父宮ラグビー場に続く18本は対象外。
(1)ヘデラ・下草の除去 いちょうの根系域上層に植えられているヘデラカナリエンシス(ヘデラ)は極めて生育旺盛な植物であり、いちょうへの水分供給に伴う競合ストレスを避けるため撤去した
before⇒after
(2)水圧穿孔による土壌改良 土壌調査の結果、土壌の硬さと固結部分の存在が明らかとなりました。対策として、水圧穿孔による土壌改良を実施した
(3)稲ワラマルチ設置 特に夏期の土壌の乾燥を防ぎ、秋期・冬期の保温のため、稲ワラマルチを設置した
before⇒after
(4)灌水設備設置 いちょうの根系に充分な水分を供給するため、自動で定期的に水分供給が可能な灌水設備を設置いたした
before⇒after
(5)旧通路舗装基盤の撤去 現在のテニスコートが建設される前に敷設された旧通路について、根系伸長の分断・阻害の原因となっていることから、舗装基盤を撤去し、良質土にて埋戻しを行った
(6)いちょう並木沿道店舗内ウッドデッキ設置 店舗テラス部分のインターロッキングブロックを撤去し、水圧穿孔による土壌改良、さらに乾燥防止のための稲ワラマルチ・灌水設備の設置をした上で、浮き床構造のウッドデッキへ変更した
before⇒after
◇ ◆ ◇
記者は、樹木医の診断では「移植不可」とされているのに対し、事業者は「移植の可能性」を探っている、都道から現在の秩父宮ラグビー場エントランスに続く舗道植えられているイチョウ18本がどうなるか注目している。仮に移植するとしても樹齢1400年超の巨木をどのように動かすのか、費用はどれくらいかかるのか。
事業者は「現時点では詳細調査等を行ったうえでの移植を検討しております。移植先は新球場の北側を想定しており、新球場の工事着手前までの移植を検討しています。移植時期・期間は未定」としている。
神宮外苑再開発全エリア全樹木データ保存・移植・伐採と移植難易度の関係は不明(2024/1/15)
大工・電気・設備の3人がワンチームで技術競う 大東建託「匠マイスター」予選に千名
「第2回 匠マイスター技能選手権(地区大会)」(東京ビックサイト)
大東建託の施工協力会社で構成される大東建託協力会は7月27日、第2回 匠マイスター技能選手権(地区大会)を開催。首都圏中心の15支部(チーム)が出場し、豊富な知識と経験を持ち、模範として認定された、大工・電気・設備の3職種の「匠マイスター」3人が1チームとなり、2.5畳大の建屋を制限時間3時間で仕上げる競技に挑戦。審査の結果、金賞を受賞した熊谷支部(チーム)、銀賞の横浜支部(同)、銅賞の八王子支部(同)など5支部(同)か来年11月に行われる全国大会に出場することが決定した。大会会場となった東京ビックサイトには匠の関係会社、家族などを含め約1,000人が参加した。
冒頭、大会委員長で大東建託協力会副会長・西田芳則氏は、「本日のこの東京会場では54支部の中から選ばれた15支部45名の方々が参加されております。このうち上位5支部のチームが来年の全国大会に出場されます。金沢でも同時進行の形で12支部42名の方が競技を行っています。昨年の50周年記念大会では各支部の結束力を強固なものにすることができました。今回は昨年の個人戦と異なり、大工・電気・設備の3人がチームとなって戦うことが大きな特徴です。お互いが切磋琢磨し、競技レベルを上げていきましょう。大会を通じて職人の魅力を発信し、建設業への進路意欲向上を図りましょう。皆さんのご活躍が将来の職人への道しるべとなることを期待しています。がんばりましょう」とあいさつ。
審査委員長の大東建託執行役員中日本建築事業本部部長・田中等氏は「個々の技術力を超えて、大工、電気、設備の各業種間が協力し合うことで一つのチームとなって卓越した技術を披露していただきたい」と述べた。
「匠マイスター」は、大東建託協力会の職種23種の中から「豊富な知識と経験を持ち作業員の模範となる職人」として認定された人で、①安全・品質の牽引役②若手技能者の育成・技術の継承③生産性の向上-などを主な目的としている。
今回の大会に出場した支部(チーム)は、都内が江東、板橋、世田谷、国分寺、八王子の5支部、埼玉県が春日部、熊谷、川越の3支部、千葉県が柏、千葉支部、神奈川県は横浜、厚木支部、静岡県が静岡、浜松支部、茨城県がつくば支部の15支部。協力会会員は約14,000社、約15万人。
競技は、5500ミリ×5000ミリのブース内に設置された2.5帖大の建屋の天井、壁にグラスウールを充填し、石膏ボードで仕上げ、排水管、電気設備を制限時間3時間以内に設計図通り完成させるもの。ブースは2分されており、分化されたスペース内では安全性を確保するたる1人しか同時に作業できない条件が付されていた。
この条件が厳しいのか、15チームのうち建屋を完成させたのは5チームにとどまった。会場は、見学者にとっては寒いくらいの温度設定だったが、大工さんなどは汗だくになっていた。
審査の結果、最優秀の金賞に輝いたのは熊谷支部で、銀賞は横浜支部、銅賞は八王子支部、入賞はつくば支部と浜松支部。この5支部が来年11月に行われる全国大会に出場することが決定した。
会場では、応援の家族などが楽しめるようカブトムシの詩か緑コーナーなどキッズエリア、スタンプラリー抽選会、屋台エリアも設置された。
西田氏(左)と田中氏
金賞を受賞した熊谷支部チーム
熊谷支部の完成作品
銀賞受賞の横浜支部チーム
横浜支部チームの完成作品
銅賞を受賞した八王子支部チーム
八王子支部の完成作品
◇ ◆ ◇
この種の競技を初めて取材した。現場でのこぎりを挽き、カンナで削り、のみでほぞ穴をあけ、墨ツボで線を引く、昔の大工さんとは全く違うのに時代が変わったことを再認識させられた。
一番驚いたのは、天井や壁の仕上げに採用される石膏ボードの重さだった。大工さんは脚立を使い、畳1帖大の石膏ボードをいとも簡単に張り付けていたが、重さを聞いたら16キロだった。厚さによっては30キロくらいのものも一人で張り付けるという。一つ間違えれば大事故につながる危険な作業だ。女性の職人は1人も出場していなかったのもよく分かった。
授賞式では金賞を受賞した横浜支部チームの職人の方が感極まって「もう泣きそう」と喜びを爆発させた。の以下、会場で拾った「匠マイスター」と関係者の声を紹介する。
「楽しめてよかった」浜松支部の創匠・森坂勇太さん(大工)と「パパ、がんばって」ご家族
八王子支部の応援団(左端が沼上さん)「前回が全国大会で3位だったので、今回も頑張ってもらいたい」(沼上さん)
八王子支部を応援していた進栄建設・小野清さん(81)「電気工事歴80年。まだ現役です。職人さんの一挙手一投足でその技が分かる」
春日部支部の左から染谷実さん(電気)、山田秀樹さん(設備)、長尾邦公さん
右から春日部支部の大翔(大工)社長の自身も大工の長男・田島勇翔さん(24)、長女・杏洵さん(11)、二男・真翔さん(21)「とにかく気持ちだけで負けるな。頂点目指し頑張れ。私? まだ早い。経験も必要」(勇翔さん)「まだ学生なので進路は決めていないが、大雲選択肢の一つです(真翔さん)
左から「30分くらい経過してやばいと思った。汗が噴き出してきた」浜松支部の電気担当・竹内岳朗さん(38)、「楽しくやれた」設備担当の佐々木一吉さん(41)
飛谷から世田谷支部応援団の方、「体重? 100キロ超。しんどかった。時間制限があるからきつい。チームで機能できるかがかぎ」設備担当の刈田大輔さん(44=右)、「私も体重は100キロ超」の電気担当の山口克徳さん
未完成(左)と完成作品はこれくらいの差がついた
コスモスイニシア 9施設目となるシェアオフィス「MID POINT 市ヶ谷」オープン
「MID POINT 市ヶ谷」
コスモスイニシアは7月24日、「職住近接」をテーマに2018年11月から展開している「MID POINT」として9店舗となるシェアオフィス「MID POINT 市ヶ谷」を7月22日にオープンしたと発表した。
施設は、都営新宿線市ヶ谷駅から徒歩3分、千代田区四番町2番地1「クレール東郷坂1F」。構成はコワーキング22席、1名ブース4室、1名個室29室、2名個室2室、3名個室2室、4名個室1室、5名個室1室、6名個室1室、会議室(4名)1室など。24時間・365日利用、住所登記・ポスト利用が可能。運営事業パートナーPhotosynthが提供する施設運営代行サービス「Migakun(ミガクン)」を通じて、各種イベントを開催していく。
7月21日(日)に行ったプレオープンイベントには、入居者、入居予定者をはじめ、地域居住者も含めて総勢70人が参加。もっともおいしいコーヒーを淹れることを競う「ワールドエアロプレスチャンピオンシップ」で2014年に世界チャンピオンになったバリスタが経営する自家焙煎コーヒー専門店「PASSAGE COFFEE ICHIGAYA」の協力を得て、来場者に淹れたてのコーヒーを提供した。
「MID POINT」は、起業家やフリーランスなど「個」で働く人が増加し、働く場所を自由に選択する働き方が定着している一方で、人との繋がり、新たなコミュニティ求める需要の高まりに応えるため、「住居と職場の中間点」「企業の成長過程における新たなステージ への通過点」をテーマとして取り組んできた。
プレオープンイベント
駅直結 約130店舗 地域の〝ベース(ハブ)〟目指す 相鉄「ゆめが丘ソラスト」開業
下飯田駅側「ゆめが丘ソラスト」エントランス(写真提供:相鉄グループ、以下同じ)
相鉄グループは7月22日、「ゆめが丘ソラスト」のプレス説明会・内覧会を実施した。開業は7月25日。初年度売上高200億円、来場者数は1,000万人を見込む。
施設は、相鉄線ゆめが丘駅直結(横浜市営地下鉄下飯田駅から徒歩1分)、「センターⅠ地区の商業施設・立体駐車場棟は場敷地面積約3.4万㎡、鉄骨造4階建て延床面積約6.2万㎡。テナント区画数は128区画。センターⅡ地区の1階商業施設・2~3階駐車場棟は敷地面積約8,185㎡延床面積約1.6万㎡。事業主は相鉄アーバンクリエイツ、CMは日建設計コンストラクション・マネジメント、環境監修・内装監理は乃村工藝社、施工は福田組・第一建設工業。工期は2022年12月~2024年5月末。
施設ビジョンは〝Dear Life、Dear Local〟で、地域資源を生かした体験交流拠点=地域の〝ベース(ハブ)〟となる思いが込められている。MDコンセプトは「知・食・遊・衣・住」で、相鉄グループや日揮、横浜ケーブルビジョン、横浜薬科大学などから構成される「ゆめが丘エリアマネジメント協議会」を設立し、地域の生産者との交流が生まれる工夫を凝らし、地域交流拠点などを整備する。
施設は、様々な循環型社会を実現する様々な取り組みを行うのも特徴の一つで、同日、バックヤードツアーが行われた。以下、主な施設と取り組み。
①太陽光発電 施設屋上に約3,000枚の太陽光パネルを設置し、発電された電機は施設の店舗区画や共用部に供給。施設の年間電気使用量の約7.5%を賄う
②衣料リサイクルボックス 施設内にIoT機能を持つ衣料回収ボックスを日揮ホールディングスと協働して設置。リユース・リサイクルに再資源化する。衣料回収アプリを通じでポイント還元(10キロで約500円相当)される。「相鉄ジョイナス」「ジョイナステラス二俣川」でも同様のリサイクルボックスを設置する
③SAF(Sustainable Aviation Fuel(サスティナブル・アビエーション・フューエル) SAFは食用油の廃油など化石燃料以外から製造される航空機燃料のことで、施設の飲食店などから排出される食用油を回収し、SAFに再生する。日揮ホールディングスとレインボーインターナショナルと共同で実施する
④生ごみのたい肥化 施設の飲食店などから排出される食品残渣を集め、NTTビジネスソリューションズの分解装置「フォースターズ」を使用して一次発酵させ、リサイクルセンターへ運搬する。さらに発行させ肥料化したたい肥は施設内の植栽に生かすほか、地域の農家に提供し、そのたい肥で採れた農作物の流通化も目指す
⑤井水・中水再利用 施設内に井戸を掘り、1日100トンの井戸水を利用することで、1日320トンの水を利用する施設の3分1を賄う。また、施設内から排出された厨房排水や雑排水を中水増水設備により処理することで、施設のトイレの洗浄用水や植栽散水に再利用する。施設の上水使用量の約30%削減を目指す
⑥自動配送ロボットの導入 施設内の店舗商品をアプリで注文して顧客がロッカーから標品をピックアップできるモバイルオーダーシステムと連携させ、自動配送ロボットが指定された場所まで商品を届けるサービス。ロボットは公道も走行可能で、最速時速6キロで運搬することができる。自動配送ロボットの商業施設での本格導入は全国で初の取り組み
ゆめが丘駅側(左)と下飯田駅側の外観
屋上の約3,000㎡の「そうにゃんぱーく」
館内
ファミリートイレ
「遊び」「学び」「体験」できる「ASOBLE」
自動配送ロボット(記者写す)
〝街路樹虐待は自分の首を縛るようなこと〟藤井・千葉大名誉教授 強剪定を批判
藤井氏
環境植栽学・造園学の第一人者、千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏は7月20日、約130人(うちオンライン視聴50人)が参加した渋谷区玉川上水緑道利用者の会の「温暖化と街路樹・緑道・公園」セミナーで、「日本の街路樹の幹は強剪定後の胴吹き跡でデコボコ」「強剪定では人も猛暑に耐えられなくなるから自殺行為。樹冠を広げて直射日光を遮る樹形が基本」「大きくならない樹種や葉が少ない樹種では猛暑に対応できない」「樹木医は資格取り立てから熟練者まで様々」「(金属支柱によって)首絞められたり、地下支柱のベルトや金具が幹元や支持根に食い込んで生きられない」などと指摘し、わが国の最近の街路樹設計・管理、剪定について改善を促した。
セミナーでは神宮外苑の樹木伐採に反対しているロッシェル・カップさんもミニ講演を行い、いたるところで進められているPark-PFIの危険性を指摘した。
主催者の利用者の会は「先生の生きとし生けるものへの温かい眼差し、長年の研究に基づくお話、東京だけではなく日本全体で起こっている温暖化の影響。多くの方に知っていただければと思います」とXでコメントを寄せている。藤井氏は、利用者の会の相談を受け、渋谷区が「玉川上水旧水路緑道公園」で伐採することを決めていた189本の樹木の多くが健全であると指摘した。
渋谷区は平成30年、文化服装学院のある代々木三丁目から京王新線初台-幡ヶ谷-笹塚に至る総延長約2.6㎞、約3.4haの都市公園「玉川上水旧水路緑道公園」が都市計画決定から40年が経過し、緑道全体の傷みや老朽化が進んでいるとして再整備することを決定。当初は緑道内の189本を「不健全」と判断し、伐採対象にしていたが、渋谷区玉川上水緑道利用者の会など住民の反対により整備計画を見直し、伐採対象だった樹木のうち134本は残すことに変更。令和6年3月、都市計画公園として都市計画決定した。緑道は、従来通り都市公園として位置づけられている。※
※都市計画変更前(左)と変更後 従前は緑道と道路とも都市計画道路として位置づけられており、従後は都市計画道路は廃止され、緑道の位置付けは都市計画公園。住民らはこの変更を疑問視している。緑道は従前、従後とも都市公園法で管理されるが、都市公園そのものではない。ここが味噌。
「温暖化と街路樹・緑道」セミナー(幡ヶ谷区民会館)
ロッシェル・カップさん
「玉川上水旧水路緑道公園」(渋谷区資料から)
◇ ◆ ◇
藤井氏は講演の冒頭、樹冠被覆率は地球温暖化への対応、ヒートアイランド現象を緩和するための重要な指標であるとし、「メルボルン(オーストラリア)は現状の22%を2040年までに40%に、リヨン(フランス)は現在27%なのを2030年までに30%にしようとしているんです。世界の大都市の多くは20%以上です。わが国はどうかというと、渋谷区は代々木公園などがあるから14.4%ですが、世田谷区10.6%、目黒区9.2%、大きな緑地のない区は5%前後です」と語った。
ここで、緑に関する様々な指標について整理しよう。環境イノベーション情報機構によると、「樹冠被覆率は、上から樹冠を地面に向かって水平に投影した時にできる陰影の面積が(全体)敷地に占める面積の割合」で、「緑被率は、ある地域又は地区における緑地(被)面積の占める割合。平面的な緑の量を把握するための指標で都市計画などに用いられる。『緑地』の定義は場合により異なるので注意が必要。また、『個々の土地』の面積についても、厳密に樹木、芝、草花など植物によって覆われた部分の土地(樹木の場合、その樹冠を水平面に投影した土地)の面積のみをいう場合(この場合、緑被率ということが多い)と、樹林地や農地など『緑地』と定義された一団の土地の面積をいう場合(この場合、緑地率と言うことが多い)とがある」と定義づけしている。
また、「みどり率は、平成12年(2000年)12月に東京都が策定した『緑の東京計画』に取り入れられた指標。樹林地や農地など緑で覆われた土地面積に加えて、公園内の緑で覆われていない土地面積や水面などの面積(オープンスペース)を加えた面積が対象とする地域全体面積に占める割合をいう」としている。
このほか、敷地の道路側立面に対する緑の立面積(道路から見たみどり)の割合をいう「緑視率」や、敷地面積に対する建築物の緑化施設(上から見たみどり)の割合をみた「緑化率」も用いられることがある。
◇ ◆ ◇
指標が異なると、どのように数値が異なるか。港区の公表資料を見比べていただきたい。上段が「緑被率」で、下段が「樹木被覆率」だ。全然異なることがわかる。緑被率は23区のうち7区が20%以上で、すべての区で10%以上だ(みどり率は区部平均24.2%)。一方、樹木被覆率は20%を超える区は1つもなく、8区が10%を下回っている。
参考までに、記者が2022年8月に書いた東京都の街路樹に関する記事を添付する。当然のことだが、モノサシによって数値は異なり、行政は総じて都合のいい数値しか公表しないと考えるべきだ。
東京23区の緑被率(港区資料から)
東京23区の樹木緑被率(港区資料から)
藤井氏の熱弁に拍手鳴りやまず会場100人+オンライン180人三鷹で講演会(2024/5/12)
1人当たり街路樹 最多は江戸川区の8.9本1本当たり維持管理費は1.5万円(2022/8/17)
「LEED-NDプラン認証」と「SITES予備認証」を同時取得 「グラングリーン大阪」
うめきた公園を含む開発エリア全体に植樹される1,600本以上の樹木の樹種・本数・胸高直径から年間のCO2固定量を算出すると、年間の総CO2固定量は35.9tという結果となり、これは出力370Wの太陽光パネルが発電する際のCO2削減量に換算すると約190枚分に相当する
三菱地所を代表企業とするグラングリーン大阪開発事業者JV9 社は7月17日、開発を進めている「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」が米国のグリーンビルディング協会(USGBC®)による国際的な環境性能認証制度「LEED®」のまちづくり部門「ND(Neighborhood Development:近隣開発)」のプラン認証と、ランドスケープのサステナビリティを主に評価する「SITES® (The Sustainable SITES Initiative)」の予備認証でGOLD評価を同時取得したと発表した。「LEED-NDプラン認証」と「SITES予備認証」を同時取得するのは、都市公園を含む複合開発で日本初となる。
「LEED-NDプラン認証 (GOLD評価)」は、USGBC(U.S. Green Building Council)が開発したビルト・エンバイロメント(建物や都市の環境)を評価する認証制度で、審査はGBCI®(Green Business Certification Inc.)が行い、LEED NDは、建物単体ではなく、エリアの環境性能評価を目的としたLEED 認証システムで、ウォーカビリティ、職住近接、多様な用途、コンパクトシティ、自然資源保護などを評価するもの。
「SITES予備認証 (GOLD評価)」は、ランドスケープのサステナビリティを評価する米国の認証制度で、GBCIが審査を行い、計画・設計の内容だけでなく、敷地の選定や計画プロセス、施行時・施行後の運用維持管理段階も評価対象となり、生物多様性保全や水資源保全、省エネルギー、資源循環、ヒートアイランド現象緩和、健康増進、教育など多面的な要素を評価する。
「グラングリーン大阪」は、地区面積約91,000㎡のうち約45,000㎡を都市公園とし、地区面積の約3分の1となる約30,000㎡に約320種(在来種約270種を含む)、1,600本以上の樹木で多様な緑地を形成し、西日本最大のターミナル駅前に圧倒的なみどり空間を創出する。上記認証のほか、「DBJ Green Building 認証」、「ABINC ADVANCE認証」、「ZEB Oriented認証(事務所部分)」「CASBEE スマートウェルネスオフィス認証」の6つを取得している。
◇ ◆ ◇
記者は、この「LEED-NDプラン認証」「SITES予備認証」なるものの価値がさっぱりわからない。プレス・リリースをコピペしたに過ぎない。専門家ならいざ知らず、読者の方も同じように受け取られるのではないか。これまで何度も書いてきたが、わが国の「みどり」の価値を可視化する取り組みが圧倒的に遅れている証左だ。
事業者は、都市公園のオープンセレモニーを9月に行うはずで、しつかり見学してレポートしたい。今回のプロジェクトは、公園指定管理者制度に基づくものだが、「都市公園リノベーション協定制度」や都の「公園まちづくり制度」を活用した都市公園と民間施設を一体的に開発する事例は加速度的に増えるはずだ。
一つ、分かりやすく説明すると、都市公園面積約4.5haそのものはそれほど大きくはない。都内の駅に近い公園と比較すれば、77.8haの葛西臨海公園や60.7haの光が丘公園などとは比較にならず、わが多摩市の11.3haの多摩中央公園の4割だ。規模的には4.3haの芝離宮恩賜庭園に近い。
地区内約3.0haに1,600本以上の樹木を植えることについても何とも言えない。この3.0haは都市公園を含む面積だから、都市公園全体が樹木でおおわれるわけではない。今日も記事にしたが、東京都は「公園内で樹木などの緑で覆われていない面積の割合」も「みどり率」にカウントしている。このモノサシで測ると、「グラングリーン大阪」は相当のみどりが植えられることになる。
樹木の本数1,600本以上というのも比較するものがないが、例えば、いま話題になっている「神宮外苑再開発」はどうか。開発面積約28.4haに現在の1,904本(質は問わない)から1,998本(同)に増える計画だ。断っておくが、「神宮外苑再開発」は都市公園の整備ではないことだ。都市公園と都市計画公園は似て非なるものであることを我々は知る必要がある。
「グラングリーン大阪」9月6日まちびらきうめきたMMOが公園指定管理者に決定(2024/2/24)
「多摩中央公園改修」の疑問氷解樹木5000本うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/10/21)
バブルに乗り踊った故・長田高明氏(99) 東京カンテイが「お別れ会」
R.E.portは7月16日、「東京カンテイは16日、4月24日に99歳で死去した同社取締役会長・長田高明氏のお別れの会を、オークラ東京オークラプレステージタワー『オーチャード』」で開催。故・長田氏は1924年7月、山梨県北杜市生まれ。東京第三師範学校を卒業後、陸軍幹部候補生として兵籍に編入。陸軍特攻隊訓練中に終戦を迎えた。その後、小学校教員などを経て、63年に三共建物(現・朝日管理)を設立。79年に東京カンテイを設立した」と報じた。
見出しだけ読んだだけだが、不動産経済通信も同日、長田氏の「お別れの会」が「しめやかに行われた」と報じた。
◇ ◆ ◇
この記事を読んで、記者は複雑な気持ちになった。確かに長田氏は東京カンテイの創業者ではあるが、同氏が設立した旧朝日建物について触れないのはいかがなものかという思いだ。この記事を書いた記者の方は長田氏に会ったこともなく、朝日建物がどのような会社だったかを知らないはずだからやむを得ないのだろうが…せめて長田氏をよく知る参列者の声を載せてほしかった。(経済通信は載せたのか)
斯くいう記者も、長田氏とは2~3回くらい会っただけ、話し込んだことは一度もない。陸軍特攻隊員だったのを初めて知った。ただ、朝日建物のマンションは昭和50年代の後半から60年代の前半にかけてかなり見学した。準都心部で今でいう〝駅近〟マンションを供給していた。最後に見学したのは、1996年竣工の「朝日パリオ越谷」だった。
同社は質の高いマンションを供給したが、実兄の故・長田庄一氏(元東京相和銀行取締役会長)との関係も触れないわけにはいかない。中古マンション価格が新築マンション価格を上回った異常なバブル期に同社は中古マンションを買い漁り、いわゆる〝マンション転がし〟の急先鋒の役割を果たした。直接、同社に取材したわけではないが、年間にして数百億円、数百戸を売買していたはずで、その事業資金は東京相和銀行から流れていたというのは業界の周知の事実だった。
1999年、東京相和銀行の破綻により、朝日建物は東京地裁に和議を申請し、その後、セコムが営業権を譲り受け、ホリウチコーポレーション(堀内建設)と合併させてセコムホームライフとしてマンション分譲を継続してきた。セコムホームライフは2020年、穴吹興産グループ入りし、社名もあなぶきホームライフに変更された。そして昨年10月、穴吹興産は同社を吸収合併し、あなぶきホームライフは解散した。
東京カンテイと朝日管理の社長は、長田氏の実子の長田千江美氏のようだが、記者は東京カンテイが設立された時、目黒駅前の雑居ビルに取材に行ったのを覚えている。今のような大きな会社になるとは夢にも思わなかった。
余談だが、「お別れの会」は本当に「しめやかに」行われたのか。記者などはこの年(75歳)になって「しめやかに」葬られるのはまっぴらごめんだ。参列者(来てくれるかどうか)に失礼だ。葬儀には好きなヘンデルの「水上の音楽」を流すよう身内に頼んでいる。
外国人に人気№1は「今川焼(抹茶クリーム)」 「MIMARU」&ニチレイフーズ
コスモスイニシアのアパートメントホテル「MIMARU」とニチレイフーズは7月12日、外国人宿泊客に対する試食アンケート調査結果を発表。食後の評価ナンバーワンは「今川焼(抹茶クリーム)」で、2位は「本格炒め炒飯®」、3位は「朝にGood!パンケーキ(メープルクリーム)」だった。
ニチレイフーズが販売する冷凍食品の中から、「MIMARU」スタッフが「朝食におすすめ」「ランチ・夜食におすすめ」の6種類をセレクトし、ホテルに宿泊したゲストに、その中から食べたいものを1人1品ずつ選んで客室内で調理・試食してもらい、食べた結果を5段階評価してもらったもの。
食べた後の評価第1位は「今川焼(抹茶クリーム)」で、「驚くほどおいしい」「抹茶が大好き」というコメントのほか、抹茶のイメージを活かしたパッケージも魅力的と評価された。
第2位は「本格炒め炒飯®」で、最大の冷凍炒飯ブランド(最新年間売上:2023年)としてギネス世界記録に認定された実力を発揮。「風味豊かで本当に美味しく、また買いたいと思う」という声があがった。
第3位は「朝にGood!パンケーキ(メープルクリーム)」で、「子どもたちは朝食のパンケーキをとても気に入っていた!」と家族で楽しんでもらえたという。
また、自国に帰っても食べたい商品の第1位は「本格炒め炒飯®」、2位は「たいやき」、3位は「焼おにぎり」だった。
◇ ◆ ◇
記者は、かみさんが好きなので、取材に行ったときは人形町・柳屋、麻布十番・浪花家総本店の「たいやき」を数個必ず買うが、食べるのは半分くらい。「今川焼」はもう数十年も食べたことがない。この他は見たこともない。
それにしても、「今川焼(抹茶クリーム)」や「たいやき」は饅頭じゃないのか。外国人は朝食やランチで本当に食べるのか。記者のおすすめは固形のふかひれスープ。袋入りラーメンに入れるとふかひれラーメンになる。
この前、品川のカフェ&バー、スーパーでビールの値段を見たら、アメリカのクラフトビールが800~1,000円前後、わが国の缶ビールは200円強。どうなっているんだ。
「物流施設」=「嫌悪施設」=「倉庫」なのか 三井不 ロジスティクス記者説明会
篠塚氏
三井不動産は7月11日、ロジスティクス事業記者説明会を開催。2024年4月に公表した新グループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」に基づく戦略について、同社執行役員ロジスティクス本部長・篠塚寛之氏は国内新規8物件の開発を決定し、国内外開発施設は75物件、延床面積約600万㎡、累計総投資額約1兆2,000億円に事業拡大すると発表した。が次の事業を強化すると説明した。主な重点事業は以下の通り。
①広場などの整備や、地域の防災拠点・交流の場の設置、ドローンの実証実験フィールドを併設するなど「街づくり型物流施設」の開発を推進
②DXを活用した物流の自動化や、物流ソリューションの提案・提供により荷主企業のサプライチェーン改革を支援
③冷凍・冷蔵倉庫の開発推進、データセンター事業の拡大、工場・インフラの設備など事業領域を拡大
④テナント向け「グリーン電力提供サービス」など物流業界における先駆的な環境配慮の取り組みを推進
「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」
◇ ◆ ◇
記者は、物流は素人だが、同社が行う事業説明会や施設見学会などは欠かさず見学している。強烈な印象として残っているのは2018年5月に行った事業記者説明会で、当時、同社常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏(58)=現顧問=が「もはや、後発ではない。嫌悪施設ではない」などと約1時間40分にわたって熱弁をふるったことだ。
三木氏は「2012年4月に事業参入して7年目を迎えたが、当初10人足らずだったスタッフは60人体制になり、稼働施設は18棟、開発中は14棟、総施設数は32棟、総延べ床面積約270万㎡、累計総投資額は約4,800億円に達した」と語った。
あれから約6年。施設数、延べ床面積、投資額とも2倍以上に達した。篠塚氏も当時からロジスティクス事業に携わっていたはずなので、質問したいことが2つあった。
一つは、現在の物流業界で同社はどのような位置を占めるのか、アナログ業界と言われる業界にどのようなソリューションをもたらすかだ。この点について、篠塚氏はかなり詳細に説明し、「地域の誇りとなれるよう」「地域に愛される」などと語ったが、いま一つわからなかった。
もう一つは、物流施設が「嫌悪施設」でないのなら、業界全体として、われわれメディアもどう呼べばいいのかだ。「嫌悪施設」は法律用語ではなく、公益財団法人不動産流通促進センターが「物流施設」をそう呼んでいるに過ぎない。その一方で、建築基準法では「物流施設」は名称のいかんに問わず「倉庫」として定義されており、様々な建築規制が設けられている。住居系用途地域では小規模な施設を除き、倉庫の建築は不可だ。
しかし、同社の施設もそうだし、最近の物流施設には保育施設や事務所、レストラン、公共施設などが入居し、公園など広場も整備されている。(倉庫が多い準工エリアはほとんどなんでも可の地域)
そのような施設がどうして「嫌悪施設」としてひと括りにされるのか。記者が物流業界に身を置いていたら、不動産流通促進センターに削除を申し入れる。建基法の改正も必要だと思う。「物流施設」=「倉庫」ではない。マンションで人気の「駅近」だって、子育て環境としては最悪の「嫌悪施設」が林立しているではないか。
この点について篠塚氏は「我々がそう呼んでいるわけではないので…」と言葉を濁した。
積水ハウス第3回「都市の生物多様性フォーラム2024」に東急不HD、三菱地所レジ
「都市の生物多様性フォーラム2024」左から久保田氏、松本氏、井坂氏、井上氏、八木氏(KABUTO ONE HALL)
積水ハウスは7月9日、第3回「都市の生物多様性フォーラム2024」を開催、二部構成で一部では冒頭、仲井嘉浩・同社代表取締役社長執行役員兼CEOがあいさつしたほか、環境省自然環境局生物多様性主流化室長・浜島直子氏が同省の取り組みを紹介、東京大学大学院農学生命科学研究科准教授・曽我昌史氏、琉球大学理学部教授(シンク・ネイチャー代表取締役)・久保田康裕氏がそれぞれ基調講演を行った。
仲井氏は、「大変心強い企業」「都市の生物多様性に取り組んでいる第一線、第一人者」「大変光栄」「大変楽しみ」と「大変」を3度口にし、フォーラムに参加した東急不動産ホールディングスと三菱地所レジデンスを持ち上げた。
曽我氏は研究の結果、在来種を中心とした庭の植栽が鬱(うつ)症状の発症リスクを抑える効果があることが分かったと報告。
久保田氏は、新たに開発した「生物多様性可能化提案ツール」はネイチャー・ポジティブの効果を可視化するものとしてBtoCの展開に期待した。
その後の二部構成のパネルディスカッションには東急不HDグループサステイナビリティ推進部部長・松本恵氏、三菱地所レジデンス商品企画部技術環境室グループマネージャー・井上直樹氏がパネラーとして出席、久保田氏と積水ハウスESG経営推進本部環境推進部環境マネジメント室長・井坂由紀氏、同室・八木隆史氏と「都市における生物多様性保全の取り組みの先に見据える未来」をテーマに語りあった。
松本氏は、2010年のCOP10生物多様性交流フェアに参加したことが生物多様性の取り組みを重視するきっかけになったと紹介。生物多様性の保全優先度が高い「広域渋谷圏」の緑地割合面積は年々減少している一方で、同圏内にある同社の39拠点の緑地面積比率は2012年回復に転じていることなどを報告。TNFDレポートの一部を紹介した。
井上氏は、2015年から分譲マンション「ザ・パークハウス」での「ビオ ネット イニシアチブ」、ABINC認証取得に積極的に取り組んできたことなどを紹介。ABINC認証マンションは25物件を超えたと報告した。
仲井氏(左)と浜島氏
曽我氏(左)と久保田氏
◇ ◆ ◇
同社は同日、同社の「5本の樹」計画とシンク・ネイチャーの生物多様性ビッグデータを活用して、顧客の庭における生物多様性保全効果を最大化できる樹木などを提案する社内ツール「生物多様性可視化提案ツール」を6月に共同開発したと発表。
現在、1都3県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)で試験運用を開始して効果を検証し、今後の全国導入を目指す。同ツールを用いることで、従前の提案と比較し約2.6倍の効果を見込んでいる。2001年から開始した「5本の樹」計画の累積植栽本数は2,000万本を達成したことも明らかにした。
◇ ◆ ◇
同社は同日、東京大学大学院農学生命科学研究科・曽我昌史准教授と共同で研究している生物多様性と健康に関する最新の分析内容を発表。庭の在来樹種数が増えることで多様な生きものを呼び込み、敷地内での生きもの(鳥・昆虫)とのふれあい頻度が高まり、それが住まい手のウェルビーイングの向上(幸福感・人生の充実度の向上、鬱症状の低下)に寄与し得ることが分かったとしている。
その一例として、鬱症状の場合、身近な生きもの(主に鳥)を見たり鳴き声を聞いたりする頻度が「全くない」から「よくある」に増加すると、鬱症状の発症リスクが54%から34%に減少する(20pt減る)ことが推定されたと報告した。
◇ ◆ ◇
今回のフォーラムで不思議に思ったことが2つあった。一つは、久保田氏の基調講演は、積水ハウス「5本の樹」計画をもとにしたデータなので当然だとしても、首都圏の戸建て(分譲住宅)は土地の狭小化が進み、緑被率(みどり緑)は退行しており、ぺんぺん草も生えない分譲戸建てが圧倒的シェアを占めているのが現状であり、街路樹は電信柱のように強剪定され、公園などの樹木も大量に伐採されているネガティブの一方なのに、久保田氏はポジティブな話に終始したことだ。
もう一つは、国や自治体の主催ならわからないではないが、積水ハウスが主催なのにどうして同業の東急不HDと三菱地所レジデンスがパネリストに名を連ねたのかだ。記者は、東急や三菱地所と同レベルかそれ以上の生物多様性の取り組みを行っているデベロッパーは少なくとも3~4社はあるとみている。
そこで、①都市の生物多様性の取り組みは全体として退行しているのではないか②どうして東急不動産と三菱地所レジデンスなのか-の2点についてストレートに質問した。
②の質問に対して積水ハウス・井坂氏は「久保田先生が定量評価されているデベロッパーとして紹介された」と回答した。
①について久保田氏は「定量評価した大手(積水ハウス、東急、三菱地所)の対象エリアでは(生物多様性回復は)底を打ち、改善の方向に向かっていることがデータでも示されている。現状ではまだまだ収益性を重視したものが多い。生物多様性の取り組みを重視することが幸せになることを、一般の人にどう広めていくか、メディアの発信力も大事」などと話した。
この回答で疑問は氷解した。東急と三菱は久保田氏からの紹介であり、生物多様性が回復傾向にあるというのは、この3社の施設やマンション、戸建て(東急と三菱の分譲戸建てはほとんどゼロ)を対象にしたものであるということだ。確かに「5本の樹」計画は別格としても、最近の両社の取り組みは半端でない、だが、しかし、全体でみれば〝退行している〟との記者の考えはそれほど的を外していないと理解した。メディア(小生もその端くれ)の発信力が大事(「弱い」と同義語)という指摘はその通りだと思う。目に見えない価値を可視化し、どう伝えていくか、我々は問われている。
背後には、左から本物のアオダモ、コナラ、アオハダ、ナナカマド、アカシデ、シラ菓子、ナツハゼ、アカシデ、アオダモの鉢植えが飾られていた
.緑の質量に圧倒 エントランスに樹齢100年巨木「江古田の杜」街びらきに千数百人(1018/9/23)
生物多様性育む植栽管理計画 導入第一号 東急不動産「ブランズ自由が丘」(2024/6/4)
本物の緑に感動 無国籍・多国籍の店舗構成も納得 東急プラザ原宿「ハラカド」(2024/6/4)
息をのむ自然共生・歴史継承の取り組み 三菱地所レジ「板橋大山 大楠ノ杜」完成(2023/11/13)
本日COP15開幕生物多様性の情報開示焦点積水ハウスのフォーラムから(2022/12/8)