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不動産流通経営協会(FRK)は530日、定時総会後に懇親会を開催、太田陽一理事長(東急リバブル社長)は次のようにあいさつした。

理事長の太田でございます。第55回定時総会が無事開催されましたことをご報告申し上げます。

さて、足下の不動産流通市場は、令和5年度の首都圏の既存住宅市場について東日本レインズのデータでは、令和4年度に比べて中古マンション・中古戸建ともに成約件数が増加し、成約価格も上昇するなど、引き続き順調に推移しております。

不動産業におきましては、少子化、高齢化の進行に伴う空き家の増加、脱炭素への取り組みなど多くの課題が山積しております。これからの若い世代が持っている多様な価値観をしっかりとらえて、画一的ではないサービスの提供に努めるべきと考えます。

FRKでは、税制改正要望として、各種特例における最低床面積要件の緩和を求めております。これは、様々な価値観を持つ人が、多様な選択肢の中で、床面積にかかわらず、住宅取得の機会が与えられるべきという考えに基づいています。二拠点居住や多拠点居住についても、使える人には複数の住宅を使っていただくことで、空き家問題解決の一助にもなるのではないでしょうか。

今年度も「政策提言」と、その基となる「調査研究」、そして適時・適確な「情報発信」

を重点に取り組みを進めてまいりたいと思います。

また、不動産IDの活用など、デジタル社会における共通インフラを活用し、新たな不動産流通制度・システムの構築にも貢献して参りたいと考えております。

不動産流通市場において、売主と買主の間に仲介が入る、人を介することで取引を順調に進めるシステムは、先人から引き継がれた知恵であります。消費者の皆様から信頼され、高く評価されるよう、その担い手となる従事者への教育研修には、これまで以上に注力して参りたいと考えております。

今後とも、関係団体の皆様と連携しつつ、会員相互の結束のもと、協会活動の一層の充実を図り、不動産流通業の発展に寄与して参る所存であります。

 

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国土交通省は531日、令和64月の新設住宅着工統計をまとめ発表。持家が減少したが、貸家、分譲住宅が増加したため、全体で前年同月比13.9%増、11か月ぶリ増の76,583戸となった。持家の減少幅は2か月連続して5%以内に収まっている。首都圏持家は前年同月比2.1%増の3,780戸で、令和312月以来28か月ぶりに前年同月を上回った。

内訳は、持家は17,878戸(前年同月比3.9%減、29か月連続の減少)、貸家は34,598戸(同20.6%増、先月の減少から再びの増加)、分譲住宅は22,955戸(同16.5%増、4か月ぶりの増加)。分譲住宅の内訳はマンション12,226戸(同69.0%増、4か月ぶりの増加)、一戸建住宅10,579戸(同14.4%減、18か月連続の減少)。

首都圏の総数は26,747戸(同11.7%増)、内訳は持家3,780戸(同2.1%増)、貸家12,039戸(同8.2%増)、分譲住宅10,856戸(同19.8%増)、マンションは6,247戸(同66.2%増)、都県別は東京都2,451戸(同11.6%増)、神奈川県1,887戸(同53.4%増)、埼玉県505戸(同92.0%増)、千葉県1,404戸(同1,905.7%増)。

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 持家もそうだが、分譲戸建ての着工減も目立つ。3カ月連続して2ケタ減だ。4月の首都圏着工戸数は4,501戸で前年同月比13.8%減少。都県別は東京都1,461(同5.9%減)、神奈川県1,047戸(同15.4%減)、埼玉県1,220戸(同10.0%減)、千葉県773戸(同28.2%減)となっている。この1年間では東京都と埼玉県はそれほど落ち込んでいないが、神奈川県と千葉県の減少が目立つ。

 分譲戸建て供給上位の飯田グループホールディングス、オープンハウスグループ、ケイアイスター不動産の直近の決算数字も芳しくない。各社ともここ当分は在庫圧縮に取り組むはずで、底入れは見通せない。

ケイアイスター 2024年3月期 売上増も大幅減益 原価上昇、需要正常化響く(2024/5/13  

飯田グループHD 2024年3月期 上高は前期並みも利益半減 戸当り営業利益146万円(2024/5/14

オープンハウスGr 2024年9月期2Q 戸建ては増収も利益率低下し減益(2024/5/16

 

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市川氏 

 日本木造住宅産業協会(木住協)の市川晃会長(住友林業代表取締役会長)は5月30日行われた総会後の懇親会の冒頭、「住宅着工の持家は28か月連続して減少しており、厳しい状況が続いているが、木造は様々な支援策もいただいている。今後も木造の普及促進を推進していく」としたうえ、次のようにあいさつした。

 「少し気になっているのは、かつて学校関係は全体の20%超が木造だったのが、直近は15%以下に減っていることだ。これはコロナ禍、資材の高騰などの要因もあるが、木造の公共建築物をもっと増やさないといけない。その心はなぜかというと、建物は永久ではなく、必ず建て替えが必要になってくる。例えば木造住宅の解体費用は200~300万円なのに対して、RCは倍以上かかる。耐用年数、解体費用を含めてどのような建物が一番適切であるかを考える必要がある。高層ビルはまだまだ木造は技術的にこれからという部分はあるが、少なくとも中大規模建築物は木造の方がRCや鉄骨造より優位性かある。さらにCO2の吸収・炭素固定に加えて、将来コストなどライフサイクルを考え、木造の価値を見直さないといけない。木住協は住宅以外の新しい建築物にも取り組んでおり、公共建築物の木造化・木質化にしっかり寄与していく」

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木住協懇親会(明治記念館)

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 木住協の前任の矢野龍会長(住友林業会長=当時)もそうだったが、市川会長の公式ではないこの種の会合での話はとても面白い。この話はメディア向けというよりは国土交通省住宅局長・石坂聡氏、林野庁木材産業課長・石田良行氏、住宅金融支援機構・毛利信二氏、 住宅生産団体連合会・芳井敬一会長(大和ハウス工業社長)など来賓を意識したものだろう。

 別表を見ていただきたい。国土交通省「建築着工統計」をもとに林野庁が試算したものだ。令和4年度の建築物全体の床面積約11,872万㎡のうち木造率は41.1%なのに対して、公共建築物の木造率は13.5%でしかなく、国に至ってはわずか2.7%だ。3階建て以下では、建築物全体の木造率は67.9%に達しているのに対して公共建築物は29.2%にとどまっている。国の施設は8.2%しかない。

 学校関係はどうなっているかわからないが、市川氏はきちんとチェックしているのだろう。記者も以前書いたことがあるが、国の木造化・木質化の取り組みは遅々として進んでいないという印象を受ける。市川氏の指摘は正鵠を射ていると思う。また、建基法の耐火・防火基準が厳しいからでもあるが、施設のうち自転車置き場、倉庫、車庫、トイレなどの比率が少なくないことも考えないといけない。

 市川氏に続いて登壇した石坂氏は「建築物のライフサイクルカーボン算定ツールを公表したばかり。公共木造建築物、中大規模の木造建築物もしっかりと取り組みたい」と、石田氏は「川上から川下まですべてが成長発展していくグリーン戦略に取り組んでいる。木材や木造建築物が適切に市場で評価されるよう願う」とそれぞれ祝辞を述べたが、国の施設の木造化・木質化については言及がなかった。

 この場の雰囲気を和らげる意図があったのかなかったのか、毛利氏は「昨年に続いてご挨拶させていただく機会を与えていただき、また、温かい拍手で迎えていただき、ありがとうございます。さすが木(気)遣いの木住協さん」と爆笑を誘い、雰囲気を一変させた。芳井氏は「住団連の会長としても、中大規模の木造建築物の取り組みは大切なことだと思う」とエールを送った。

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左から石坂氏、石田氏、毛利氏、芳井氏

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脱炭素・循環型社会への取組み推進木住協・市川会長/三交不・中村社長と歓談(2024/6/2)

「木の特性を分かりやすく伝える必要あり」市川会長木住協が総会・懇親会(2023/5/26)

またショック全国10万人以上259市の地価公示下落率最大はわが故郷・伊勢市(2023/3/25)

平成30年度国の低層建築物木造化率は9割超多くは車庫など20坪国交省(2020/3/18)

木造建築物は不遇・暗黒の50年か、進化の50年か木住協の懇親会で考えたこと(2018/5/26)

トイレ、車庫、犬(舎)小屋…情けない国の木材利用状況(2017/3/8)

公共建築物の木造化 24年度は100戸のマンション1棟分(2013/11/9) 

「time flies like an arrow 光陰〝矢野〟如し」木住協・矢野会長(住林会長)が退任(2016/5/30)

 

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市川氏

 日本木造住宅産業協会(木住協)は5月30日、定時総会後に記者会見・懇親会を開催した。同協会会長・市川晃氏(住友林業代表取締役会長)は次のようなあいさつ文を記者団に配布した。(メモを取らなくて済む。他団体もそうすべき)

 本日は、令和6年度 一般社団法人日本木造住宅産業協会 定時総会記者会見にご参集を賜り、誠に有り難うございます。当協会は、本年4月で設立38年目となりました。これも長きにわたり会員の皆様、並びに関係各位が協会の活動にご協力、ご尽力いただいた賜物であり、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 はじめに、元旦に発生した能登半島地震から間もなく5か月を迎えようとしています。復旧・復興にはまだまだ時間を要する状態でもあり、被災者の皆様に、心からお見舞いを申し上げるとともに、復興への歩みを加速していかなければならないという思いを強くしております。

 さて、世界を見渡しますと、2年にわたるロシアのウクライナ侵攻やガザ地区の混乱は大国間の政治的な分断を広げており、中国の不動産バブルの終焉はコロナ後の世界経済へ影を落としています。一方、日本経済はインバウンドが急増し、全体としての経済活動が戻りつつある中、円安や人手不足よる物価上昇に追いつこうと賃上げの動きも加速していますが、金利上昇圧力もあり先行き不透明な状況にあります。

 業界に目をむけますと、昨年は三省連携で実施された「住宅省エネ2023キャンペーン」により、ZEH住宅の普及や住宅の省エネリフォームが大きく進んだ一年だったと思います。

 本年も子育て支援をテーマとした多くの施策が用意されており、「子育てエコホーム支援事業」を主体とした「住宅省エネ2024キャンペーン」を軸に、「住宅ローン減税における子育て世帯等の借入限度額の上乗せ」や「フラット35子育てプラス」などあります。

 現状の住宅業界は厳しい環境下にありますが、次世代を支える優良なストックつくりにしっかりと取り組んでいかねばならないと思っています。

 加えて、2050年カーボンニュートラル実現に向けた住宅性能の一層の向上に向け、2025年から省エネ基準への適合義務化が予定されています。国産材を含む木材利用の促進による脱炭素社会への動きも加速しており、さらには、クリーンウッド法が改正され、2025年より川上の事業者による木材製品の合法性確認が義務化されます。

 当協会は設立以来、質の高い木造軸組工法の住宅や建築物の開発と普及を進めておりますが、今後も会員の皆様と共に、様々な協会事業を通じて脱炭素・循環型社会への取組みを進めてまいります。

 冒頭に申し上げました能登半島地震への対応につきましては、木造仮設住宅の建設に向けて石川県と協定を締結いたしました。今後、具体的な仮設住宅建設に向け、会員企業の皆様にご協力をいただき、被災地の一日も早い復旧・復興に取り組んでいきたいと思います。

 災害時の仮設住宅建設に関する協定については、昨年度は、石川県のほか、北海道、岩手県、埼玉県、広島県、宮崎県と締結が進み、宮崎県では河野知事との調印式を行ったところです。

 引き続き、協定締結に努めるとともに、締結済みの26都道府県とは、具体的な支援準備について協議を進めてまいります。皆様のご協力をお願い致します。

 また、当協会は10支部体制となっており、各支部において会員の皆様のご意見をお伺いしながら地域への貢献活動を展開しております。

 木造応急仮設住宅や木材利用促進協定といった共通課題だけでなく、地域には人手不足や空き家問題など様々な課題があります。引き続き当協会の本部並びに支部の体制を強化し、都道府県・市町村との関係密に、地域の活性化に貢献できるようにしてまいりたいと思います。

 また、会員サービスの向上を図るため、研修・セミナー等の充実に取り組んでまいりますので、皆様からご希望やご意見を聴かせていただければ幸いです。

 報道関係各位におかれましては、今後も「木のポテンシャル」を活かした木住協の取組みにご期待いただくとともに、これまで以上のご支援をお願いいたします。

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 わが故郷・三重県の磯部町を皆さんはご存じか。記者は数回訪れたことがある。町の中心には近畿日本鉄道(近鉄)志摩線特急停車駅の志摩磯部駅(かつては「志摩スペイン村」の副駅名がついていた)があり、世界の的矢牡蠣として知られる佐藤養殖場もここが最寄り駅だ。2004年に隣り合う阿児町、大王町、浜島町、志摩町と合併し志摩市となったため自治体としての磯部町は消滅した。

 なぜ磯部町を取り上げるかといえば、この日の懇親会に三交不動産の社長でもある同協会理事の中村充孝氏(61)と初めてお会いし、中村氏は磯部町出身であることを明かしたからだ。

 三交不動産がどのようなデベロッパーであるかは関係者ならご存じのはずだ。地元三重県ではどこのハウスメーカー、デベロッパーにも負けない戸建て住宅地を開発している。首都圏でのマンション分譲は多くはないが、最近では、長谷工コーポレーションの新しい間取り提案「Be-Fit」を初採用した「ルネ松戸みのり台(マツドリームPJ)」は総合地所と同社の共同物件だ。

 中村氏との会話は弾んだ。志摩半島の高校生は帰りの電車・バスがなくなることから伊勢市の高校には通えず下宿をしたこと、大杉谷の渓谷やスギ、ヒノキの山林は美しいこと、諸戸家はトヨタに山林を譲渡したこと、的矢の牡蠣は小粒だが、ふっくらしており甘みが濃く絶品であること、内瀬ミカン、さめのたれ、ウツボはとてもおいしいこと、昔はあこや貝をよく食べたこと、夫婦和合の形をしたかいづの干物はなくなったことなどだ。

 コンパニオンの女性の方が木(気)を利かして、どんどんワインを運んでくれた。お礼の意味を込めて、この女性の方に〝記事はラブレター〟を延々と語った。気が付いたら、同協会副会長・中内晃次郎氏(ポラテック代表取締役)のお開きのあいさつの時間だった。数えてはいなかったがワインは少なくとも10杯は飲んだはずだ。最初から最後まで約2時間30分、席を移動しなかったのは初めての経験だった。

 二人の様子は深海で戯れるオスとメスのサメに映ったのか、関係者から「相当絡んでいましたね」と声をかけられたが、そんなことはない。しっかり取材はした。メモも取った。ただ、中内氏の話のメモを後で見たら、ミミズのようにのたうっており、全然判読できなかった。〝サイゼリア〟の文字だけがかろうじて読めた。

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中村社長(右)と同社推進役・冨山挙男氏

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中内氏

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かいづの干物(30年以上前の写真)

遅々として進まない公共建築物の木造化・木質化をチクリ木住協・市川会長(2024/6/2

「木の特性を分かりやすく伝える必要あり」市川会長 木住協が総会・懇親会(2023/5/26

爆発的にヒットするか長谷工コーポの新提案「Be-Fit」総合地所「みのり台」公開(2024/4/11)

省エネ基準、長期優良、太陽光、ZEH伸びる木住協令和4年度自主統計(2023/8/31)

「木の特性を分かりやすく伝える必要あり」市川会長木住協が総会・懇親会(2023/5/26)

またショック全国10万人以上259市の地価公示下落率最大はわが故郷・伊勢市(2023/3/25)

 

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仲井氏(如水会館で)

 プレハブ建築協会は5月31日、通常総会後に記者会見を開き、任期満了に伴う役員改選で前会長の堀内容介氏(積水ハウス代表取締役副会長執行役員)に代わって仲井嘉浩氏(積水ハウス代表取締役社長執行役員)が会長に就任したと発表した。

 仲井氏は会見で、「当協会は工業化住宅に資する部材の供給・開発をする住宅メーカーが集まっており、良質な住宅ストック形成を大きな柱にしている『住生活向上プラン2025』を今後もしっかり推進していく。また、工業化住宅は完工期、リードタイムが短いというのが特徴で、労働力不足の中でこの技術は今の時代に求められていると考えている。応急仮設など緊急性を要する建築物にも力を発揮できる」とあいさつした。

 住宅着工戸数の持家は2024年3月末時点で28か月連続の減少(同日発表では4月まで29か月連続減)、プレハブ建築は10か月連続の減少(同11か月連続減)が続いていることに対して、「コロナ禍の反動減、資材高騰、物価高など様々な要因があるがZEH、長期優良住宅は伸びている。良質住宅の価値はお客さまにも認められている。ここにしっかり訴求していくことが大事」と語った。

 同協会の能登半島地震への対応として、石川県の要請を受け5月末時点で75か所3,762戸の引き渡しを行い、15か所402戸を建設中で、7か所120戸を着工する予定で、トータルで102か所4,284戸に上り、同協会による応急仮設住宅は全体の約70%を占めている。

 また、DX技術の採用により協議から着工までは大幅に時間が短縮された一方で、半島型災害の特徴として、インフラが遮断され、資材の搬入が困難なことなどから、これまで仮設住宅は30日以内に完成していたのに対し1.5倍の時間がかかることも報告された。

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「BLUE FRONT SHIBAURA(ブルーフロント芝浦)」中央が建築中のS棟(船上から)

 野村不動産と東日本旅客鉄道は5月30日、共同で推進している国家戦略特別区域計画の特定事業「芝浦プロジェクト」記者発表会を行い、街区名称を「BLUE FRONT SHIBAURA(ブルーフロント芝浦)」に決定したと発表した。同社の最近の発表会では最多の約90人のメディアが参加した。発表会後には2025年竣工予定のS棟28階の「スカイラウンジ」先行内覧会と舟運「BLUE FERRY」の船上から芝浦を望むツアーも行われた。

 プロジェクトは、浜松町ビルディング(東芝ビルディング)の建替事業で、区域面積は約4.7ha、延床面積約55万㎡のオフィス・ホテル・商業施設・住宅を含む約10年間に及ぶ大規模複合開発。高さ約230mのツインタワー43階建てS棟(2025年2月竣工予定)と、45階建てN棟(2030年度竣工予定)が建設される。

 設計は槇総合計画事務所、清水建設、オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン・リミテッド、日建設計。施工は43階建てS棟は清水建設、45階建てN棟は未定。

 街区名称「BLUE FRONT SHIBAURA」は、空と海の最前列である「東京ベイエリア」が持つ圧倒的な開放感を表しており、都内有数の舟運ターミナル「日の出ふ頭」や「芝浦運河」と近接していることから、舟運の活性化や水辺のにぎわい創出に取り組む。また、羽田空港から都心部への玄関口である「浜松町駅周辺エリア」は、複数の大規模開発が進行中で、2025年春頃には「浜松町駅との緑のアプローチ」が開通する。

 S棟の高層部は日本初進出のホテルブランド「フェアモントホテル」が入居し、中層部のオフィスフロアは都内有数の約1,500坪の広さで、一人ひとりに寄り添う、芝浦の豊かな自然環境を活かした「TOKYO WORKation」を提案。空と海の開放感を体感できるテラス付きの共用部「スカイラウンジ」をはじめ、街全体をワークスペースとして利用できるようにする。約7割のテナントが内定している。

 低層部の商業施設では、芝浦運河や船着場、浜松町駅との緑のアプローチとシームレスにつながり、水辺に面したバルコニーや緑に囲まれたテラスなどを整備。飲食店を中心に約40店舗で構成される。

 建物は、ビル全体を制震装置化し、オフィスとホテル切り替えフロア34階の上階に免震層を設置する「BILMUS(ビルマス)」を世界初採用。非常時対策として中圧ガスを採用して約10日間の発電を可能にし、水害対策として1階に防潮板を設置、脱炭素対応として街区全体のCO2排出量実質ゼロを実現する。

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S棟28階からの眺望(HARUMI FLAGが正面に見える)

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 発表会場をよく確認しなかったため大幅に遅刻(最近はこのようなミスが多い)。冒頭の野村不動産ホールディングス代表取締役社長兼社長執行役員グループCEO・新井聡氏、東日本旅客鉄道執行役員マーケティング本部副本部長・竹島博行氏のあいさつは聞けず、野村不動産代表取締役社長・松尾大作氏のプロジェクト説明も半ば過ぎていた。

 記者が注目しているのはN棟に予定されている住宅だが、松尾氏は触れなかったようで、メディアからの質問もなかった。広報に確認したら、「戸数も分譲か賃貸かについても未公表」とのことだった。つまり、これまで予想されていた「賃貸」だけでなく「分譲」の可能性もあるということだ。施設内に分譲マンションが併設されるのは流行になっている。2030年に市場はどうなるか全く不明だが、坪単価は2,000万円を突破するかもしれない。

 全体で54ページある報道用資料のS棟オフィス概要に目が留まった。天井高は3000ミリとあった。階高は4.55mだ。直近の名だたるビルと比較すると低くはないが、高くもない。これは、羽田空港の飛行ルートと関係があるような気がする。階高を抑え、かつ天井高を確保する-清水建設の技術なのだろう。

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左から竹島氏、新井氏、松尾氏

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 S棟28階の「スカイラウンジ」先行内覧会と「BLUE FERRY」船上ツアーはとても楽しかった。

 スカイラウンジは「ラウンジエリア」「共創エリア」「ウェルネスエリア」「バケーションエリア」「テラスエリア」「会議室エリア」の6エリアで構成されており、ウェルネスエリアには岩盤浴、シャワールームも完備。バケーションエリアとテラスエリアでは飲酒も可能(喫煙は不可)。

 「BLUE FERRY」は約30分間、豊海-HARUMI FLAG-東京湾-レインボーブリッジ-芝浦埠頭-日の出埠頭を巡った。

 船上で担当者からとてもいい話を聞いた。設計デザインを担当している槇総合計画事務所の名誉顧問・槇文彦氏(95)のデザイン意図は、美人画で有名な鈴木春信の「雪中相合傘」のように二つのタワーは寄り添う夫婦をイメージしたものだそうだ。報道用資料には「離れた場所から見ても、その2本のタワーのシルエットは見る角度により様々な姿に変化し、スケールを消し去ったミニマリズムの彫刻のように見え、一度見たら忘れられないシルエットになることであろう」と記されている。

 いかにも槇氏らしいと思う。槇氏のデザインがいかに素晴らしいか。槇氏が担当した日本財団の17か所の「THE TOKYO TOILET」の「恵比寿東公園」の写真と記事を添付する。見学をお勧めする。これほど美しいトイレはない。一度見たら忘れられないはずだ。

 「BLUE FERRY(ブルーフェリー)」は、野村不動産と東京湾クルージングの東京都が推進する舟運活性化の取り組みのひとつで、舟旅通勤の実装に向けた補助制度によって2024年5月22日(水)から運航が開始されている。晴海五丁目船着場(晴海五丁目ターミナル)と野村不動産が整備した日の出船着場(Hi-NODE)を5分間(電車は30分)で結ぶ。運賃は500円(電車で勝どき~日の出は17分で367円、BRT利用だと34分で471円)。

ウエルネスエリア(フィットネス) ※掲載時は要「@Gensler」表記.jpg
ウェルネスエリア(提供:@Gensler)

テラスエリア&海眺望 ※掲載時は要「@Gensler」表記.jpg
テラスエリア(提供:@Gensler)

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ラウンジエリア(提供:@Gensler)

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バケーションエリア(提供:@Gensler)

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Hi-NODE

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担当者が紹介した鈴木春信「雪中相合傘」コピー(きれいに撮れなかったのが残念)

素晴らしい槇文彦氏、田村奈穂氏、片山正通氏日本財団渋谷公園トイレPJ(2020/9/21)

「日の出」の新しい顔「Hi-NODE(ハイ-ノード)」開業野村不グループ×東京都(2019/8/2)


 

 

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「LaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ 東京ベイ)」

 三井不動産とMIXIは5月29日、千葉県船橋市の収容客数1万人規模の大型多目的アリーナ「LaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ 東京ベイ)」が竣工したのに伴うプレス説明会・内覧会&お披露目イベントを開催した。プレス説明会・内覧会には約200人が駆けつけ、お披露目イベントには、千葉交響楽団ウェルカム演奏が行われ、三井不動産・植田俊社長、MIXI・木村弘毅社長、松戸徹船橋市長をはじめ、日本バスケットボール協会・三屋裕子会長、ジャパン・プロフェッショナル・バスケットホールリーグ・島田慎二チェアマン、千葉ジェッツふなばし・田村征也社長、同・富樫勇樹選手、プロフィギュアスケーター・宇野昌磨選手、船橋市在住の梨の妖精・ふなっしーも参加して、抽選で当選した招待客約2,500人と完成を祝った。

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3階のVIP LBAICONYからの内観

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お披露目イベント テープカット

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左からふなっしー、宇野昌磨選手、富樫勇樹選手

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施設は、JR南船橋駅から徒歩6分、敷地面積約20,000㎡、地上4階建て鉄骨造の延床面積約31,000㎡。収容客数は約11,000人。設計・施工は清水建設。両社で設立したTOKYO-BAYアリーナマネジメントが施設運営・管理を行う。一次エネルギー消費量を30%以上削減し、「ZEB Oriented」認証を取得している。

外観デザインは、船の航跡とジェット気流をイメージした有孔アルミパネルで躍動感を演出。アリーナ空間は音楽コンサートやプロバスケットボールゲームなどの演者や選手と客席の距離が近く感じられることを目指し、すり鉢型のボウルデザインを採用している。

メインアリーナは4フロア構成で、昇降可能な約423インチのセンタービジョンと、アリーナ内を囲むように全長約120mのリボンビジョン(1か所あたりの長さ約40m)を常設。可動席により2パターンのステージ利用が可能。

食事を楽しみながら観戦・鑑賞も可能な「VIP ROOM」「VIP BOX」、大人数で楽しめるスタンド席「Balcony」、イベントの前後も楽しめるラウンジ空間「VIP LOUNGE」「BOOSTER SQUARE」を3階に設置。メインアリーナに隣接する約720㎡のサブアリーナも設置している。

 お披露目イベントで三井不・植田社長は「スポーツ・エンタメを通じた街づくりは当社の重点テーマの一つ。アリーナ事業は初のプロジェクトで、熱狂、感動、興奮を提供していく。商業施設とのシナジー効果も高い。感動の街づくり、盛り上がりに期待していただきたい」とあいさつ。

MIXI・木村社長は「これまでにないインタラクティブを駆使して新たなバスケット観戦のスタンダードを提供していく。より豊かなコミュニティを創造することを誓います」と語った。

松戸市長は「様々な期待をもって完成を心待ちにしていた。全国から愛されるアリーナに期待したい」と述べた。

三屋氏は「最初に感じたのは、わっ、すごい。見やすい。その次は千葉ジェッツが羨ましいでした。みなさん、しっかり背中を押してやってください」とエールを送った。

 三井不動産は、40年以上にわたって「三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY」をはじめとした商業施設や屋内型スケートリンク、住宅、物流施設などさまざまな事業を展開。アリーナの誕生を機に、スポーツ・エンターテインメントの力を活用し、さまざまなイベントによる非日常の感動体験とイベント前後の買い物や食事など一日中楽しむことができる環境を提供する。

MIXIは、スポーツ、ライフスタイル、デジタルエンターテインメントの3つの領域でコミュニケーションサービス事業を推進しており、スポーツ領域ではプロスポーツチーム「千葉ジェッツ」「FC東京」の経営などの観戦事業、車券販売のプラットフォームサービスの提供など公営競技事業を展開している。施設は、千葉ジェッツのホーム・アリーナとなる。

千葉ジェッツは、2016年のB.LEAGUE開幕から4シーズン連続で観客動員数1位となり、天皇杯では2017年からの3連覇、昨年から2連覇の合計5回優勝。リーグ戦でもB.LEAGUE FINALS 2020-21で初制覇を達成したほか、昨シーズンは24連勝や最高勝率(88.3% 537)といったB1リーグ記録を更新。MIXI2017年からパートナーシップ契約を締結。2019年からはグループ会社となっている。

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左から植田氏、木村氏、松戸氏、三屋氏

◇      ◆     ◇

 この日(5月29日)には、吉村洋文・大阪府知事、横山英幸・大阪市長、三菱地所執行役常務・大野郁夫氏も出席するうめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」先行まちびらき100日前記念イベントが行われ、「ららアリーナ 東京ベイ」のお披露目イベントと重なったため、どちらを選択すべきか同業の記者に尋ねたところ「『うめきた』はこれから何度も取材機会がある。『ららアリーナ』を優先すべき」と言われたのでそうした。大正解だった(当の記者の方の姿は見られなかった)。

 小生は、バスケットボールに関心はないのだが、平日にもかかわらず老若男女を問わず大勢の招待客が列をなして集まる光景に目を奪われた。

 5~6組に話を聞いた。30代の夫婦は「千葉ジェッツファン。お目当ては富樫選手とふなっしー、宇野昌磨さん。千葉ロッテ? 野球には興味ありません」と奥さんが答えた。このほかの方々もほとんどが千葉ジェッツファン。ロッテファンは3組くらいだった。 

 お披露目イベントでも、富樫選手の登場に誰よりも大きな拍手が会場内に響き渡った。富樫選手はわが国初のプロバスケットボール1億円プレーヤーだそうだ(プロ野球の日本人1億円プレやーは100人近いはず)。

 「ららアリーナ」は千葉ジェッツのホーム・アリーナになり年間30試合の公式戦が行わると聞いたが、365日運営するにはバスケの試合の10倍以上のスポーツイベント、コンサート、催しなどを開催する必要があるが、関係者は自信を見せていた。(記者はホテルがないのは弱点だと思うが)

 プレス説明会で、どこかの記者の方から「この種のアリーナでは見えないという課題がある」という質問が飛んだ。その方はバスケではなく、コンサートなどのことを尋ねたようで、同社執行役員 商業施設・スポーツ・エンターテインメント本部副本部長兼リージョナル事業部長・肥田雅和氏は「ステージが見えないという声があるのは承知している。対策として客席の勾配を35度にするとか座席の間隔に工夫を凝らすなどしている」と答えた。

 3階のVIP LOUNG・ROOM・BOX・BAICONYも見学した。東京ドームのそれと比べ豪華さではやや劣るが、バスケフロアまで距離は近く、一等席になるという説明には納得もした(千葉ジェッツの1試合観客動員数は4,395人。2023年の巨人は12球団で阪神に次ぐ2番目で38,145人。わが西武は楽天より少し多い11番目の20,040人)。その他のイベントも同じだろう。収容客数が少ないメリットがある。

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VIP BOX

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VIP LOUNG

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音楽コンサート イメージ図

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プレス説明会(左から肥田氏三井不動産常務執行役員商業施設・スポーツ・エンターテインメント本部長・若林瑞穂氏、木村氏)

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プレス説明会

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現地(隣接公園から)

. 巨人の築地移転なし 後楽園とスポーツ・エンタメの2つの聖地へ 三井不など会見(2024/5/20)

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カテゴリ: 2024年度

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「WOOD DESIGN EXPERIENCE~木を使って、暮らしと街と社会を良くする2日間@東京~」

 日本ウッドデザイン協会(略称:JWDA、会長:隈研吾氏)は6月14日(金)・15日(土)、暮らしや街を良くするための多様な木の使い方を体感・実感・共感できるJWDA初のイベント「WOOD DESIGN EXPERIENCE~木を使って、暮らしと街と社会を良くする2日間@東京~」を東京・丸の内の丸ビル1階のマルキューブで開催する。7月5日(金)・6日(土)には同様のイベントを名古屋会場・KITTE名古屋イベントスペースでも開催する。

 イベント特設の「都市のビルに里山がやってくる」がテーマの展示空間(空間デザイン:日建設計Nikken Wood Lab 大庭 拓也氏)では、「少花粉スギ」の苗木を使用し、空間内にはシーンごとのテーブルやチェア、木製文具や雑貨、おもちゃなどを展示する。

 このほか、デザインと機能性に優れた家具、木製品や木質空間をオフィス、飲食・店舗や子育てのシーンごとに再現するほか、設計・建築関係者向けセミナー、国産材楽器ライブ、ライフスタイルトークショー、木育ワークショップ&ライブセッションなど多彩なイベントを実施する。

 セミナー、ライブ、トークショーの参加方法は5月30日から開始予定のJWDAサイトhttps://www.jwda.or.jp/申し込みフォームから。

 

カテゴリ: 2024年度

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甲州街道のケヤキの街路樹

 もう慣れっこになっているが、この日(524日)もとても嫌な気分にさせられた。旭化成不動産レジデンスと丸紅都市開発の「アトラスシティ千歳烏山グランスイート」の取材の行き帰りだ。マンションは、都の「マンション環境性能表示」で「みどり」をはじめオール満点の★15個を獲得しており、取材には大満足したのだが、販売事務所が面する甲州街道の街路樹のケヤキが無残にも強剪定されていたからだ。以前、調布市にも三鷹市にも住んでいた記者はとても悲しくなった。甲州街道は国道だから、国が管理しているのだろうが、市や市民はどう考えているのか。

 ネットで検索したら、令和3年10月6日~令和3年11月5日にかけて調布市が実施した「調布市街路樹管理計画(素案)に対するパブリック・コメント」の結果がヒットした。意見提出件数は28件(6人)と少ないのは気になったが、主な意見を紹介する。( )内が市の回答。

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酷暑にケヤキは耐えられるのか

        ◆     ◇

意見 この計画でカバーするのは、市道の街路樹のことだと思われます。公園の樹、国道、都道の街路樹は対象外なのでしょうか? 

回答 本計画の対象範囲及び街路樹管理基準は,道路や野川サイクリングロードなど、道路管理課が所管する市道等の高木・中木・低木・地被類等を対象としています。そのため、公園内の樹木、国道及び都道の街路樹は対象外となります)

意見 実際の管理業務は業者委託でやむを得ないかもしれませんが、仕上がりを把握する植木造園の専門職の市職員はいないのでしょうか? もしいなくても、担当者や受託業者そろっての講習会などを年に2回以上はやるべきではないでしょうか(現在、街路樹を担当している職員は植木造園の専門職ではございません。御提案いただきました、受託業者との講習会開催等については、検討させていただきます)

意見 樹木の名前は今、個人宅委託の保存樹には付けられていますが、公園や街路樹にはありません。同種の数本に1本は名前札を付けられませんか? (市内全ての路線において名前札を設置することについては困難ですが、今後の検討とさせていただきます)

意見 「調布市環境基本計画(概要版)」に「街路樹」の文言が一言も出てこないことをまず反省すべきである。街路樹を道路法で規定された道路の付属物だけと捉えることはせず、調布市内全体の環境問題を改善させるための施策として、街路樹を増やすことを宣言し、樹木の減少はさせないこと、市内緑被率を低下させずに、街路樹含めた緑化状況を改善させることを目的とするべきである(「調布市環境基本計画」等の関連する計画と相互に連携・整合を図って参ります)

 意見 管理コストを減らすために街路樹を減少させることがあってはならない。街路樹は枯死や倒木の危険がある場合を除き、原則伐採せず、保全すること。また、「ゼロカーボンシティ」実現のために街路樹を含めた樹木を保全または増加させることを本計画に明記するべきである。未来の調布市が現在よりもっと緑豊かな街になるよう希望する

意見 調布の緑がどんどん失われていくのが悲しいです。駅前広場はその象徴です

意見 駅近の市役所通りや電通大前の通りの花水木はお粗末 ハナミズキが植樹されたが、手入れがほとんどなく枝も葉も花も瀕死の状態(御指摘いただきました市道南29号線(東急前の通り)及び調布駅北側の西友から電通大までの間にある街路樹については、駅周辺の利用の多い地域であること、また、建物に囲まれ日陰が多く生育状況の悪い樹木があることから、景観及び環境にも配慮し、適切に維持管理を行って参ります)

意見 甲州街道の強せん定は気になります。電柱などの地下埋設物は歩道ではなく車道の端部に置き、街路樹の根が歩道側に延びるようにすれば、樹木は車道側に枝を張り、枝葉が車道と歩道両方に延びて特に車道に日影をつくり(樹冠被覆)道路の温度を下げます

意見 今年の初夏に、住んでいるマンション前の甲州街道沿いのケヤキの枝がばっさり切られて驚きました。前から他の区域で切られているのを見て無残だと思っていたのですが、自分の家の前まで切られてしまうとは…甲州街道のけやき並木は見事で、新緑は美しく、夏はたっぷりと木陰を広げてくれました。これから暑くなるという時だったのでほんとうにショックでした。甲州街道は国道で市の管理するものではないかもしれませんが、住民の意見としてこういうものもあることを伝えてください(甲州街道の街路樹の剪定方法等に関する御要望の内容については、市から国土交通省相武国道事務所へ伝えさせていただきます)

意見 野川の桜も切られていました。どうしてあんなにきるのですか(倒木等の危険性のある桜については伐採等を行い、道路利用者の安全確保を図っておりますが、今後は、策定する「街路樹のサクラに関する管理方針」に基づき、桜の更新について検討して参ります)

意見 今年は下布田公園の桜も無残に剪定されていました(御意見いただきました下布田公園の桜の剪定については,所管部署である緑と公園課へ内容を伝えさせていただきます)

        ◆     ◇

 ミライアクションみたかが511日(土)に行った講演会で千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏は「1970年ころまでは、街路樹管理は自治体の技術職員が民間委託業者に剪定方法を指示していたが、それ以降は技術職員の退職による不補充と担当者の定期異動で〝素人集団〟になり、適切な選定方法を支持できなくなり、また、選定結果を専門的に評価できなくなり、苦情に対しても対応できず、過剰な安全志向で強剪定が日常化していると指摘した。

  この調布市のパブリック・コメントの質問はもっとも至極だと思うが、市がパブリック・コメント結果を発表してから2年半が経過する。今回の強剪定は昨年末に行われたはずで、これはどう理解すればいいのか。

 職員がいかに素人集団であるか。記者は戸田市の職員との対応で実感した。その記事も添付する。記事には「戸田市の公園緑地課に電話をして、街路樹の整備状況について聞こうとした。最初に出た担当者はまったく話が通じなかった。市内に何本の街路樹が植えられているか維持管理費にどれぐらいの予算が計上されているかまったく把握していなかった。街路樹の樹種についても『ハナミズキ』『アカシア』の2本しか出てこなかった」と。

藤井氏の熱弁に拍手鳴りやまず 会場100人+オンライン180 三鷹で講演会(2024/5/18

「多摩中央公園改修」の疑問氷解 樹木5000 うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/10/21

貧弱な戸田市の緑・街路樹 市民の満足度が上がらないのは行政の責任(2012/3/13

街路樹比較 戸田市は35人に1本 多摩市は15人に1本の割合(2012/3/14

カテゴリ: 2024年度

 伊藤忠商事、KDDI、豊田自動織機、三井不動産、三菱地所は5月17日、2024年度中のフィジカルインターネットの事業化に向け共同検討することについて合意し、覚書を締結したと発表した。業界を横断したパートナー5社で物流改革を推進し、国内における物流の2024年問題の解決を含む持続可能な物流の実現を目指す。

 以下、プレス・リリースをほぼそのまま紹介する。

 物流は、日本の経済基盤を支える屋台骨であるにも関わらず、人口減少に伴う担い手不足に加え、トラックドライバーの時間外労働規制(「物流の2024年問題」)、カーボンニュートラルへの対応、燃料高・物価高等の影響を受け、業界を取り巻く環境は日に日に厳しさを増しており、このままでは将来的にモノが運べなくなる恐れがあります。物流を今後も持続可能なものとするには、荷主、事業者、一般消費者が一体となり現状の課題に向き合うことに加え、物流の標準化(パレット活用拡大等)やDX・GXによる効率化といった次世代の解決策を講じることが不可欠です。

 次世代の解決策として期待されるのが、フィジカルインターネットです。フィジカルインターネットとは、荷物や倉庫、車両の空き情報などをデジタル技術で可視化し、業種を超えた複数企業の倉庫やトラックを相互接続させたネットワークで、発着点間で最適な輸送ルートを導き出し物流効率を高める、新しい共同配送の仕組みです。パケット単位で効率的な情報の送受信を実現しているインターネットの考え方を物流に適用しています。

 経済産業省は2021年から各産業界にフィジカルインターネットの活用を働きかけ、2022年には実現に向けたロードマップを作成しました。フィジカルインターネットの活用によって物流業務を標準化・効率化することで、物流の担い手の負担を軽減することができます。また、トラックをはじめとした物流リソースを有効活用することができるようになるため、燃料消費量が抑制され、温室効果ガスの排出量削減にも寄与します。

 5社は今後、本覚書に基づき、2024年度中のフィジカルインターネットサービスの事業化を視野に入れ、新会社設立に向けた具体的な協議を進めていきます。また、荷主会社や運送会社とも連携を行い、物流輸送網の構築を図っていきます。将来的には、フィジカルインターネットの活用による物流業務の効率化に加え、同サービスによって生み出されたコストメリットを荷主・運送会社等の利用者が享受できる仕組みを構築することで、物流の新たなスタンダードとなるサービス形態を目指します。5社は業界の垣根を越えて物流改革を推進し、2024年問題の解決および持続可能な物流の実現に向けて邁進してまいります。

◇        ◆     ◇

 記者は、物流のことはよくわからないが、2019年9月、Hacobuが他業種企業との取り組みを通じ、オープンな物流情報プラットフォーム「MOVO(ムーボ)」上で物流ビッグデータを蓄積・利活用することで、ドライバー不足等の物流課題を解決する「Sharing Logistics Platform®(シェアリング・ロジスティクス・プラットフォーム)」構想を発表したのを取材している。

 先日の大和ハウス工業の決算説明会で、どこかの記者の方が「2024年問題は、御社の業務に弊害はあるか、支障はないか」と質問した。これに対して、芳井敬一社長は「当社は以前、法令に触れることを行ったことがある。法律を守らないということはありえない。法律を守れないような無理な計画を立てるな、そんな数字を挙げてはならないとしっかり伝えている」と、その記者を諭した。(小生は、馬鹿な記者もいるもんだとあきれ返るとともに、ものすごく腹が立った。芳井社長の答えも怒気を含んでいるように思った)

 大和ハウス工業も三井不動産も「Sharing Logistics Platform®」構想に参画している。あれから5年近くが経過する。その後の進捗状況を聞きたい。今回の5社連携は結構なことなのだろうが、遅すぎはしないのか。「業界を取り巻く環境は日に日に厳しさを増しており、このままでは将来的にモノが運べなくなる恐れがある」と危機感を募らせている割には、動きはスローだ。どうして他の物流大手企業やトラック業界は入っていないのか。アナログの世界の解消は遅々として進んでいないのか。

ナイスは今年の117日、「新春経済講演会」を開催し、「どうなる!? 2024」をテーマに物流、弁護士、シンクタンク、木材、建設、住宅設備メーカーによるトークセッションを行った。とても参考になった。記事を一部紹介する。

悲観することない着工減 住宅の資産価値向上に取り組む

住宅設備メーカー 山田昌司氏(パナソニック ハウジングソリューションズ代表取締役 社長執行役員)

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山田氏

 2023年の住宅着工は約83万戸で、前年比3.9%減。2024年もほぼ同じ水準ではないか。棟数は減少しているが、住宅投資額は17兆円レベルをキープしており、それほど悲観する必要はない。住宅の省エネ化、カーボンニュートラルへの取り組みなど住宅の資産の維持・向上への政策に向き合うことが必要。業界構造変化では、いわゆるパワービルダーへ需要がシフトし、地域の注文住宅を中心とするビルダーは苦しくなる。一方で、大手メーカーによる地域工務店への支援によって新しいビジネスモデルが生まれる。リフォーム、リニューアルは堅調に推移し、非住宅は改修期を迎えているものが多く、市場は拡大する。

Ⅱ 物流に関しては、必要な時に届けてもらえなくなってきている。運んでもらえないことも発生しており、深刻な問題。サプライチェーンはこれからの課題で、資材を運ぶことが住宅建設工程の計画の一部であるという考え方に転換しないと物流問題は解決しない。

 パナソニックグループは2050年までに現在の世界のCO2総排出量の「約1%(3億トン)」の削減を目指しており、「Panasonic GREEN IMPACT」と称する3つ取り組みを行っている。一つは、自社工場など28の拠点でCO2排出量をゼロにする「OWN IMPACT」で、これはすでに達成済み。二つ目は、既存の水素、省エネ、再エネ技術、廃材利用などの「CONTRIBUTION IMPACT」、3つ目は新しい技術で進める「FUTURE IMPACT」。着実に進めていく。

2024年問題は織り込み済み 工期延長にはならない

建設 熊野聡氏(長谷工コーポレーション取締役専務執行役員)

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熊野氏

 東京のマンション価格が1億円を突破したなどとショッキングな報道がなされたが、これは一部を切り取った情報。都心部で高級マンションが供給されたためで、23区の平均価格は8,424万円と前年比で30%上昇した。それ以外の平均は5,300万円で、そんなに大幅に上昇したという印象は持っていない。近畿圏の市場はほぼ横ばい。超高級マンションは経営者など富裕層、スタートアップなどの需要が旺盛で、実需も伴っておりバブルではない。今年は金利先高観による買い急ぎはあるかもしれないが、底堅い市場に支えられ、それほどぶれないと予想している。

 2024年問題は工期に大きな影響はない。ゼネコンでは4週8休は取り込み済み。運送コスト上昇による価格上昇への影響はある。現場技術者の残業を減らすDX、IT、職人の働きやすい環境をつくる、ロス少なくするなど生産性を高める取り組みを進めていく。

Ⅲ 当社も木造推進委員会を設けて研究している。すでに23件の共用部分の木質化を行っており、賃貸マンションの上層階の木造化も行っている。分譲でも生かせないか考えている。

残業規制は労働者の人権 脱法行為はありえない

法律 秋野卓生氏(弁護士 匠総合法律事務所 代表社員)

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秋津氏

Ⅱ 最近は、人不足により残業時間制限720時間の上限を超えてしまうという相談が増えている。このような質問には、立法趣旨を説明する。月80時間以上残業すれば過労死する危険性があり、残業規制は労働者の人権を守ることで、法律を守らないということはありえないと。一方で、労基法は1日8時間、100%の力で働くことを経営者は労働者の要請していい法律。これを実践しているか、残業代が生活費の一部になっていないか、これをチェックする必要があると提案している。

 DXで働き方改革が実現できるのであれば、建設業法、労働安全衛生法などの法律を改正すべき。デジタル臨調でもそのような論議がなされた。2027年度の全国展開を目指す国土交通省のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)確認申請にも注目している。現場三次元の取り組みも加速させる必要がある。

長距離輸送に理解を 再配達は有料に

物流 馬渡雅敏氏(全日本トラック協会副会長)

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馬渡氏

 残業制限は建設業などは720時間となっているが、トラック業界は960時間。われわれの業界の長距離輸送は3~4割占める。法令を守れないから撤退する、あるいは長距離を受けないというところも出てきている。また、厚労省の法律も今年4月からより厳しくなる。住宅関連では、持ち帰り、転送などが多々ある。再配達でも1回分の配達料金しかいただけない。再配達は有料にするなど改善しないといけない。国土交通省の商習慣の見直しのガイドラインでもそのような方向性が示されるはずだ。

 国内のCO2排出量の2割が運輸部門。その中でわれわれのみどりナンバーの営業用はその2割、全体の4%がトラック業界。2030年までに2005年比で3割削減を目標に掲げているが、大型トラックはEVもハイブリッドもわが国では開発されていない。再配達とか物理的な無駄をなくしていくほかない。軽くて頑丈な国産材のパレットを開発していただきたい。プラパレばっかり。

用材自給率80%へ 熱を逃がす窓、ドアの木造化急げ

木材 鈴木信哉氏(ノースジャパン素材流通協同組合理事長)

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鈴木氏

 いま木材自給率は50%を超えつつある。今後は山の中から丸太をどのように下すのが最大のポイントとなるが、林道の整備が進んでいない。おろすまで3時間も4時間もかかる。林道整備とともに、中間ストックヤードを設けることも必要。納入するのに20台、30台も並ばなければならないようなことをなくさないと、残業時間を減らすことができない。受け入れ時間を長くし、かつての日本通運のような大型の事業体が出現することに期待したい。川下、川中、川上が連携して安定的な発注システムを構築しなければならない。

 10年後の用材自給率は80%まで伸びるのではないか。問題は梁桁。レッドウッド、ベイマツの集成材からどうやって奪い取るか。国産集成材に頑張ってもらう必要がある。木造のきれいな公共建築物を見ると、唯一木が見えないのがサッシとかドアの開口部。アルミと木材の熱伝導率は3600倍違う。寒いところで熱を逃すために造っているようなもの。これは10年間で木に変えないといけない。バス、トイレ、キッチンにどうやって木を使っていくか。クオーター契約の導入も必要。

どうなる今年の経済・景気、2024年問題、カーボンニュートラル ナイス講演会(2024/1/24

アナログの世界に楔 IoT活用で物流市場を変える Hacobu多業種と連携し課題解決構想(2019/9/22)

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