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「住友不動産中野駅前ビル(左)・中野ステーションレジデンス」

 住友不動産は4月24日、「住友不動産中野駅前ビル・中野ステーションレジデンス」のメディア向け完成内覧会を行った。JR中野駅周辺で進む11のまちづくり事業のなかで最も早く竣工するプロジェクトで、都心から少し離れてはいるが、都心にはない魅力を備えていることから、ビルは満床稼働、賃貸マンションも3割弱が契約・申し込み済みとなるなど好調なスタートを切った。今後の開発に弾みをつけそうだ。

 JR中野駅周辺では現在、11の再開発などのプロジェクトが進行中で、南口では駅前広場の整備、東西南北同線の整備、商業・事務所・住宅開発による駅南口の活性化とにぎわい創出を目指す「中野二丁目土地区画整理事業」と「中野二丁目地区第一種市街地再開発事業」が行われており、「住友不動産中野駅前ビル・中野ステーションレジデンス」は市街地再開発事業によるもの。ペディストリアンデッキで駅とつながっている。11プロジェクトの中でもっとも早く竣工するもの。

 「中野駅前ビル」は、敷地面積約1,717㎡、中間免震構造の20階建て延べ床面積約5,676㎡、基準階貸付面積約1,759㎡で、天井高は3m。竣工は2024年2月末。設計・監理はアール・アイ・エー。施工は西松建設。

 1~5階は店舗。三段階の無停電対応を採用しており、送電停止、ガスの供給が途絶えても共用部の照明などに72時間給電するBCP対策なども評価され、満床稼働した。テナントは金融機関、エンタメ系、薬品、金融機関など幅広い職種にわたっているという。

 「中野ステーションレジデンス」は、敷地面積約4,404㎡、免震構造の37階建て延べ床面積約49,991㎡。専用面積は26.67~211.15㎡。賃料は1K(約27㎡)が約16万円、1LDK(約48㎡)が約30万円、2LDK(約72㎡)が約50万円、3LDK(約150㎡)が約110万円、4LDK(約210㎡)が約210万円。二重床・二重天井、リビング天井高2700ミリ(最上階37階は3100ミリ)。竣工は2024年2月末。施工は西松建設。

 3月15日から入居開始しており、3割弱が契約・申し込み済み。コンパクトタイプは近隣居住者、新宿・大手町などに勤務する単身者や、沿線に通学する学生など。大型住戸は会社経営者、弁護士、医師など「士業」の富裕層。

 同社ビル事業本部賃貸住宅事業所長・永山貴氏は「当社は1980年代から賃貸住宅事業に力を入れてきた。2024年3月末で保有戸数は約6,500戸。入居率は97%だが、残り3%は入居率にカウントしない原状回復期間なので、ほぼ100%。3月15日オープンした今回の施設は、天井高2700ミリを確保し、分譲にはない広めのサイズを提供することで、富裕層などのニーズを取り込んだ結果、3割弱が契約・申し込み済み。24年前から供給を開始した最上級の『La Tour(ラ・トゥール)』は、〝狭い〟〝英語が通じない〟などの不満が多かった日本駐在の外国人が9割を占めたが、現在は逆転した。所有に固着する『分譲』と異なり、適切なサイズを求めて3~4年で住み替えることができる富裕層向けの『賃貸』は堅調に推移する。今後の目標値などは定めていないが、適地があれば積極的に手掛けていく。『中野』は東京都心も含めた選択肢の一つになる」などと語った。

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2階賃貸エントランス

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13階モデルルーム

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36階眺望

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37階天井高3.1m、キッチン(7.8帖)・リビング(41.4帖)からの眺望

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内覧会に臨んだ同社賃貸事業所営業統括・鳴海智也氏(左)と永山氏

◇        ◆     ◇

 永山氏の話を聞きながら〝なるほど〟と思った。20年前に見学した〝ワールドワイズ〟がうたい文句だった「ラ・トゥール新宿」を思い出した。同社が展開する「ラ・トゥール」を中心とする賃貸住宅事業は、わが国の「賃貸住宅」「分譲住宅」それぞれの弱点を補完・解消するものだ。賃貸は、分譲と比較して基本性能などあらゆる点で劣る。相対的に家賃は高く、だからこそ〝賃貸脱出〟などの言葉もある。

 一方で、分譲も最近は価格高騰が続き、専有面積の圧縮は甚だしい。かつて3LDKといえば73㎡(22坪)はあったのに、最近は70㎡(21坪)あれば広いほうで、都心部などでは66㎡(20坪)あるかどうかだ。

 同社の「中野」はどうか。設備仕様レベルは都心部の高額マンションほどではないが、基本的な住宅の質である広さについては1LDKで約48㎡、2LDKで約72㎡、3LDKで約150㎡だ。家賃はその分高くなるが、坪賃料平均2.3万円というのは、分譲相場から利回りなどを考慮して計算するとリーズナブルな値段だ。天井高を2700ミリ確保しているのにびっくりした(三井不動産レジデンシャル「パークシティ中野」は2650ミリ)。

 永山氏は明言を避けたが、天井高2700ミリを確保している賃貸マンションは1割もないはずだ。

 同社は今後、「御殿山」「大崎三丁目」「横浜」「南青山」で竣工予定で、「松濤」「元麻布」でも計画中という。

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現地

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中野サンモール

エントリー数1万件超坪700万円突破も納得三井不レジ「パークシティ中野」(2024/4/24)

約4,000戸 入居率98% 住友不「ラ・トゥール」28棟目「新宿ファースト」完成(2023/4/19)

住友不 44階建て全842戸の賃貸マンション「セントラルパークタワー ラ・トゥール新宿」竣工へ(2009/9/18)

カテゴリ: 2024年度

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AQ Group新社屋

 AQ Groupは4月22日、わが国初の8階建て純木造の新社屋が完成したのに伴う完成発表会を行った。新社屋は埼玉県さいたま市西区に完成した8階建て延べ床面積約6,076㎡で、市場に流通している木造プレカット材を使用し、わが国の伝統的な組子・格子ザインを構造壁に取り込み、特殊金物を用いず、一般の工務店でも施工できる「普及型純木造ビル」としているのが特徴。発表会はメディア向けを含め三部構成で230人超が詰めかけた。同社・宮沢俊哉社長は「いよいよ木は熟した。5月にはフォレストビルダーを立ち上げ、全国の街並みの木造化を復活させる」と語った。

 宮沢社長は、木造ビルを開発するきっかけとなった木造耐力壁研究の第一人者であるホルツストラ・稲山正弘氏(前東京大学大学院教授)との付き合いは20年に及ぶと紹介し、その後の2014年の埼玉北支店、2017年のつくば支店、2018年の港北展示場、2022年の川崎展示場などにつながったことなどを話し、「先生から『やってみないとわからない』と言われながら何度も失敗、実証実験を繰り返し、モジュール化やグリッド化を図り、『普及型純木造ビル』として今回の新社屋が完成した。今後は5階建て以下の非木造の16兆円市場に参入するため、5月には全国のビルダーに呼びかけ、フォレストビルダー組織を立ち上げる」などと語った。具体的案件としてさいたま市、赤羽、東陽町、墨田区などで計画を進めていることも明らかにした。

 続いて登壇したゲストのアルセッド建築研究所・三井所清典氏(第10代日本建築士会連合会会長)は、「新社屋の施工期間が17か月というのもすごいが、その前の9か月の間に宮沢さんと稲山さんがタッグを組んで技術開発などを行ったのが驚異的だ。それをやってのけたのは天才肌のお二人の熱い思いだ。国産材の利用率は36.6%と聞いているが、目標とすべき50%は実現できる」などと絶賛した。

 新社屋ビルは、JR大宮駅からバス約15分、さいたま市西区三橋5丁目に位置する敷地面積約9,000㎡(約2,700坪)、延床面積約6,076㎡。基本・実施設計は野沢正光建築工房。構造設計はホルツストラ。施工は田中工務店、伊佐建設。着工は2022年9月。今年4月に完成。

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宮沢氏(左)三井所氏

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 木造ファンの記者は、これまで木造マンション・ビル、木質化空間はかなり見学取材している。みんな素晴らしい。いくつか記事を添付する。

 今回の同社の新社屋の何が素晴らしいかといえば、宮沢氏や稲山氏、三井所氏が強調したように、特殊技術を用いずに普通の工務店の技術で木造現しを実現できることを証明したことだ。たくさん写真に収め、同社提供の写真も紹介するので見ていただきたい。

 見学会で一つ気になったことがある。外観デザインについてだ。全体としてモノトーンとして統一されており、ビルの特徴である組子格子デザインがガラス越しに透けて見える。曇天のこの日は風景にすっかりなじんでいた。

 しかし、記者は水平ラインか縦マリオンなどにアクセントとして目を引くデザインを施してもよかったのではと思う。記者は黒と白の喪服(特に女性)が最高に美しいと思うのだが、これはわが国の文化をよく表しており、うなじや裾からのぞく白でも黒でもない褐色の肌を際立たせるからだ。

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「これは埼玉県産材のヒノキ(左)。この組子格子耐力壁はカラマツで、光と風を取り込める(中)。住宅用の耐力壁の14倍の強度を持つが、特殊な金物など使わずビスで止めている。わが国の伝統的な木組みの技によって実現した(右)」などと語る稲山氏

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 この種の見学会ではよくあるアンケート用紙が見学時に配布された。設問は、「今回の『新社屋』(はどれ)くらいの価値があるか 坪単価で答えていただきたい」という1項目のみだった。

 これには驚いた。マンション坪単価だったら自信がある。最近では三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスの「三田ガーデンヒルズ」の坪単価を分譲開始の1年半前に1,300万円と予想しズバリ的中させたし、2018年分譲の三井不動産「MID TOWER GRAND」の430万円(実際は434万円)、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」の坪単価800万円も的中させている。外すのは2割くらいか。

 しかし、賃貸オフィスは全くわからない。白紙にすることも考えたが、宮沢社長は「アンケートに回答していただいた後に、実際はいくらだったかお知らせしますので、ご協力ください」と呼び掛けたので、回答することにした。

 多くのメディア・関係者が坪単価200万円前後と答えるだろうと宮沢社長は考えているはずなので、「坪単価200万円」と書こうと思ったのだが、木造の価値-CO2の大幅削減とかストレスがたまらない労働環境、一般に流通している資材をそのまま活用し、普通の工務店が施工できる価値などを総合的に判断すると「金額では測れない価値がある」と回答した。

※この日、発表会後に配布されたニュース・リリースには施工単価も記されているのだが、解禁日は4月23日午前11時となっているので、明日以降に価格を発表する(記者は的中したのか大外れなのか)。⇒ニュース・リリースには「純木造8階建て新社屋の炭素貯蔵量は1,444t-CO2で、一般木造住宅に換算すると95棟分。CO2排出量削減に至っては鉄筋コンクリート造と比較すると43%削減。普及に向けて大きな課題としてあげられた建築費が、このプロトタイプの純木造8階建てAQ Group本社ビルは坪145万円で、大手ゼネコンによる先導的な木造ビルに比べると1/2。鉄骨鉄筋コンクリート造の約3/4と大幅に建築費を抑えられることを実証した」とある。

◇      ◆     ◇

 われわれメディアもそうだが宮沢社長、これからは坪単価を図るモノサシを変えようではありませんか。これまでのモノサシは鉄やコンクリが基本にあり、木造を鉄やコンクリの土俵に上がらせ、〝火に弱い〟〝地震に弱い〟などの〝弱点〟に対して木造派は〝価格が安い〟ことを強調してきた。

 これはもう時代遅れだ。それぞれが他にない特徴を持っている。先に書いたように単なるコストだけでは測れない価値を価格に換算する手法を編み出さないといけない。

全て流通材、組子格子耐力壁を現しで表現AQ Group「8階建て純木造ビル」見学会(2023/8/26)

〝美は現しにあり〟木と鉄骨のハイブリッド実現野村不&清水建設「溜池山王ビル」(2023/11/21)

ナイス木造2階建て八角堂の保育施設「Rita School」完成雄鶏も歓迎の時(鬨)の声(2023/4/23)

わが国初の「5階建て純木造ビル」/「カベワンGP」7度目V アキュラホーム(2022/11/15)

賃料は「調布並み」でも申し込み殺到三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸(2021/12/9)

さすが三井不動産わが国初の本物の木造〝杉乃木〟ホテル「神宮外苑」に誕生(2019/11/13)

ポラスグループ国内最大木質ハイブリッド構造の本社ビル完成(2012/2/22)

坪1300万円でどうか旧逓信省庁舎跡地の三井&三菱「三田ガーデンヒルズ」(2022/4/30

 

カテゴリ: 2024年度

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「京橋三丁目東地区第一種市街地再開発事業」

 東京建物は4月19日、参加組合員として事業参画している「京橋三丁目東地区第一種市街地再開発事業」の市街地再開発組合が4月18日に設立されたと発表した。

 事業地は、中央区京橋三丁目に位置する敷地面積約6,820㎡、地下4階地上35階建て延床面積約164,900㎡(容積率約1,990%)。主要用途は事務所、ホテル、店舗、駐車場等。本体工事着工は2026年度で、竣工予定は2030年度。

 京橋駅と接続する地下歩行者通路と地下駅前広場を整備し、東京駅から京橋駅に至る地下歩行者ネットワークを拡充するほか、「Tokyo Sky Corridor」とつながる接続空間を整備し、西京橋ビル・東京橋ビル・新京橋ビルの上部空間を緑豊かな歩行者空間に転換する。

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カテゴリ: 2024年度

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「かくれんぼ横丁会館」

 ナイスグループ菊池建設は4月18日、新宿区神楽坂のテナント木造耐火建築物「かくれんぼ横丁会館」が竣工したと発表した。

 既存建物の建て替え工事で、木造2階建ての1時間耐火構造。柱や梁、壁などを強化石膏ボード等で耐火被覆したうえで、仕上げとしてヒノキの羽目板を施工することで、耐火構造ながら無垢材が現しとなり、木質感のあふれる空間となっている。建物内には、既存建物で使用されていた床材のベンチや欄間、框などを再利用し、内装材には国産ヒノキを採用している。

 事業主はマイナビ不動産、構造は木造・2階建て(1時間耐火)、建築面積は約144㎡、延べ面積は約271㎡。主要用途は飲食店・物販店5区画。設計監理はMONO 建築空間研究所。施工は菊池建設。

 

カテゴリ: 2024年度

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 青木茂建築工房は4月18日、 「(仮称)ドミトリー朝日台」リファイニング工事解体見学会を開催した。築39年の新耐震基準による共同住宅で、耐震診断により躯体に問題がないことからそのまま生かし、不適合箇所の是正、メンテナンス性の向上を図ることで、第三者機関による耐用年数評価で100年超の〝お墨付き〟を取得しているのが特徴。見学会には定員75人を超える78人が参加した。

 物件は、都営大江戸線豊島園駅から徒歩5分、練馬区練馬2丁目に位置する敷地面積約901㎡、4階建て共同住宅27戸。建築年は昭和60年(1985年)。リファイニング工事の設計は青木茂建築工房(建築)・DN-Archi (構造)・シード設計社(設備)、施工は内藤建設。竣工予定は2024年9月。

 既存建物は、新耐震基準の建物であるが検査済証の交付はされておらず、そのため、ガイドライン調査によって法適合調査を行い、不適合箇所の是正を行うとともに無届け増築となっていた屋根付き駐輪場を更新して増築することで検査済証の取得を目指す。

 また、給排水管を一新し、PSスペースや床スラブ配管などのメンテナンスを共用部に移す計画にしたことなどにより、第三者機関による建物の耐用年数評価では100年超の評価を取得した。

 見学会に臨んだ同社・青木茂会長は、「既存建物の耐震性に問題がないのは、施工を担当する(海がない)岐阜県の内藤建設のビルも同様、海砂を使っていないことも要因の一つと考えられる。この種の調査をする会社が少ないのが課題」などと語った。

 同社・川村航大氏は、「耐震診断の結果、問題がないことが分かったので、躯体はそのまま生かしてプランニングした。第三者機関による耐用年数評価では、あと100年もつとのお墨付きももらっている」と話した。

 物件オーナーは、「親父から相続したもので、建て替えも考えたが、ニュースで青木先生を知り、きれいで長持ちするものにしていただいた。賃料は10.5万円(28.05㎡)を予定している。入居者のほとんどは音楽関係の学生さん。防音性を担保する特別な工事は行っていないが、〝お互い様〟を周知徹底している」と話した。

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左から内藤建設担当者、川村氏、青木氏

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オーナー

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解体工事現場

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印のついている鉄筋がむき出しの部分を補修するのだそうだ

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現地

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 見学会の案内が届いたのは4月8日の午前9時38分。見学時間は午前11時~、午後1時~、午後2時20分~の三部構成で定員は各25人。記者が参加申し込みをしたのは8日の10時過ぎ。すると12時41分に「満員御礼につき、『(仮称)ドミトリー朝日台』リファイニング工事解体見学会の参加申し込み受付を終了いたしました」のメールが届いた。

 つまり、わずか30分の間に定員75人枠を突破したということだ。困った記者は、「見学会では青木新会長と秋山新社長の話が聞きたい。何とかならないか」と返事したところ、青木会長から直々に「午後の部にはわたしが参加するから」と許可を頂き、取材が実現した。

 建築・設計業界のことはよくわからないが、ハウスメーカーやデベロッパーの現場見学会ではまずありえない。商業施設など関係者・一般の方も参加される見学会はともかく、メディア向けの見学会では多くて40~50人、少ないのは数人だ。

 過去にもこのようなことはしばしばあった。どれほど同社の現場見学会が人気か、端的な例を紹介する。

 コロナ禍の2020年9月15日に同社は「ヴァロータ氷川台」の見学会を三井不動産レジデンシャルと共同で行った。5部構成で満席の200人超が集まった。一方、同じ日には安藤忠雄氏が設計・デザインした日本財団「THE TOKYO TOILET」の一つ「神宮通公園トイレ」(あまやどり)のお披露目見学会が行われた。メディアは50人だった。記者の記事に対するアクセス数は前者が約2,500件、後者が約1,200件だった。

 対象が関係者を含むのとメディア限定の差はあるにせよ、〝青木茂〟(秋山徹氏は継承するはず)の動員力のすごさがわかる。記者は〝予約が取れないリファイニング(refining)見学会〟と名付けることにした。

 オーナーの〝お互い様〟もまたいいではないか。分譲も賃貸も居住者のクレームはつきものだ。〝風鈴がうるさい〟〝ハイヒールの音がする〟〝新聞配達のバイクの音が気になる〟〝排気口からニンニクのにおいがする〟…などだ。これは居住者どうしの人間関係が希薄で、供給サイドもまたそれを解消する取り組みを行わないからだ。多様性を認め合うようにすればこれらの問題は解決するはずだ。

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秋山氏(同社ホームページから)

青木茂建築工房代表取締役に秋山徹氏青木茂氏は会長&調査会社代表取締役に(2024/4/1)

安藤忠雄氏を超えた? 青木茂氏×三井不 「氷川台」リファイニング見学会に200人超(2020/9/16)

「美しい公衆トイレ発信できた」安藤忠雄氏/世界からオファー 日本財団PJ(2020/9/16)

 

カテゴリ: 2024年度

 野村不動産と阪急阪神不動産は4月16日、参加組合員として事業参画している「立石駅南口東地区第一種市街地再開発事業」の再開発組合設立が2024年4月15 日付で東京都から認可されたと発表した。

 事業地は、京成立石駅の南側に位置する葛飾区立石一丁目及び立石四丁目の施行面積約1.0ha。葛飾区有数の商業集積を誇る賑わいのある街並みである一方、老朽化した建物が密集し、狭隘道路が多数存在しており、防災面に課題があった。事業を通じ地区内の基盤整備を進め、防災性の向上、商業機能の更なる強化、質の高い住環境の整備などに寄与する。

 住宅の予定戸数は約440戸で、高さは約120m。事業協力者は長谷工コーポレーション。事業コンサルタントは総合不動産鑑定コンサルタント。着工は2027年度、竣工予定は2030年度。

 同駅北口の2.2haでは「立石駅北口地区市街地再開発組合」による再開発事業が行われており、東京建物、旭化成不動産レジデンス、首都圏不燃建築公社が参加組合員として事業参画している。マンションは36階建て710戸の予定で、全体竣工予定は2030年。


 

 

カテゴリ: 2024年度

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「木と生きる」イントロダクション

 三井不動産とディスカバー・ジャパンは4月16日、東京ミッドタウン日比谷で開催するイベント「木と生きる」のプレス内覧会を行った。イベントは、木や森との持続的な共存と未来を考えるのが目的で、トヨタ自動車、三井物産、パナソニックグループ、ソニー、竹中工務店、サントリーホールディングス、乃村工藝社、東京都など18団体が共同参加。初日の「オープントーク」では建築家・藤本壮介氏が「大阪・関西万博 大屋根リング」の意義、今後の展開などについて語った。様々なシンポジウムのほか、音など五感で体感できるイントロダクションや18団体のパネルエキシビション・ワークショップも行われる。イベントは4月21日までの6日間。

Screenshot 2024-04-09 at 14-40-36 【取材ご案内(三井不動産他)】木や森の魅力を体感し、持続的な共存と未来を考えるイベント 東京ミッドタウン[...].png

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 建築家・藤本壮介氏とDiscover Japan統括編集長・髙橋俊宏氏による「木と生きる」をテーマにしたトークセッションに集まったのは、参加予定の300人をやや下回ったようだが、その数の多さに驚いた。

 どのような人が集まったのか知りたかったのだが、高橋氏が冒頭、ヒントを与えてくれた。高橋氏は「木の文化に興味のある方」「環境に興味のある方」「藤本さんの話に興味のある方」「ディスカバー・ジャパンをご存じの方」と4つの質問を発し、手を挙げてくださいと問いかけたところ、それぞれ数十人が応じた。半数くらいの人は18団体関係者か、森林・林業や環境問題、木造建築物に興味のある方だろうと判断した。

 記者は、藤本氏の話を集中して聞いた。藤本氏は自ら手掛けた4つのプロジェクト「大宰府天満宮の仮殿」「博多・明治公園のPark-PFI事業」「岐阜・飛騨市の共創拠点施設」「大阪・関西万博の大屋根リング」について語った。「仮殿」は屋根の上に緑を配し、周囲の緑との調和を図ったもの。「明治公園」は5層からなる立体公園の提案で、都立明治公園と同様、東京建物がPark-PFIの代表提案者になっている。「共創拠点」は飛騨市が盆地であることに着想を得てすり鉢状の自然と一体となる施設を整備するものだ。

 「大屋根リング」については「炎上、世間をお騒がせしている」と笑わせたあと、なぜリングなのか、どうして木造としたのか、解体する理由は何かなどわかりやすく説明した。わが国の大規模木造建築の取り組みは海外と比べ遅れているとも指摘し、持続可能な社会の実現に向け、新たな可能性を提案したものだと強調した。

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藤本氏(左)と高橋氏

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トークセッション

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 1階アトリウムのイントロダクションエリアの演出が素晴らしい。空間プロデュースを担当しているのは乃村工藝社で、同社クリエイティブ本部第一デザインセンター デザイン4部・井上裕史氏は、一般には流通しない木端(こっぱ)と呼ばれる木くずを敷き詰め、歩くことで音、香り、感触など五感で自然を体感しながら、東京芸大院生や卒業生の木彫作品を鑑賞できると説明した。井上氏は、わが故郷・三重県の皇学館大学で神学を学んだことも明かした(小生はその隣の高校出身)。

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木端(こっぱ)

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 地階の「パネルエキシビション・ワークショップ」はゆっくり見学する時間がなかったが、トヨタ自動車のブースは他団体よりひときわ大きく、わが故郷・三重県の宮川村の社有林(1,689ha)も紹介されていた。皆さんはご存じないだろうが、この山林はかつて〝日本一の山林王〟と称された諸戸家から譲り受けたもので、管理しているのは地元の速水林業だ。

 他では、40種の好きな匂いを選択しかぐことができるソニーの「におい提示装置」にほれ込んだ。値段は250~300万円とやや張るが、コストダウンしたら多様な用途に使える。乃村工藝社のブースは井上氏の作品も展示されている。これがまた素晴らしい。MUJI HOUSEの「SE構法」(エヌ・シー・エヌ)もいい。

 三井不動産は神宮外苑地区まちづくりはそれぞれ別々に展示されていた。「神宮外苑」の街づくりについては詳細な説明・展示はなかったが、せっかくの機会だから、大きなスペースを割いてしっかり説明してほしかった。新たなコーポレートメッセージ「さあ、街から未来をかえよう」を発表したばかりだ。同社の街づくりランドスケープデザインは他のデベロッパーに負けない。「HARUMI FLAG」はその集大成だ。反対者の中には同社に対するかなりの誤解もある。誤解は解かなければならない。

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トヨタ自動車

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ソニー

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ワークショップ

18団体が共同参加 「木と生きる」イベント4/16~4/21 三井不 ミッドタウン日比谷(2024/4/9)

カテゴリ: 2024年度

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「(仮称)北仲通北地区A1・2地区プロジェクト」

 

 住友不動産と大和地所は4月10日、横浜市中区で開発を進めている「(仮称)北仲通北地区A1・2地区プロジェクト」内のホテルと住宅の概要が決定したと発表した。ホテルは、ヒルトンのラグジュアリーブランド「コンラッド・ホテルズ&リゾーツ」、住宅は、住友不動産の最上級賃貸レジデンス「La Tour/ラ・トゥール」となる。

 物件は、横浜市中区北仲通6丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率750%)に位置する敷地面積約9,302㎡、40階建て延べ床面積約97,081㎡。1~16階がホテル(272室)、18~40階が賃貸住宅(224戸)。竣工は2026年11月。設計は久米設計。施工は鹿島建設。

 計画地は、都市再生特別措置法に基づく特定都市再生緊急整備地域の「横浜都心・臨海地域」に位置し、本計画を含む北仲通北地区は、多機能な国際交流拠点・みなとみらい地区と関内地区の結節点として位置づけられている。2階に横浜市役所から続くペデストリアンデッキを整備することで桜木町駅と馬車道駅への回遊性を向上する。

 賃貸住宅は、住友不動産の最上級賃貸ブランド「La Tour/ラ・トゥール」で、平均専有面積100㎡超、最大280㎡、全部屋バルコニーレス。パーティールームやフィットネスなどの共用施設を備え、24時間バイリンガル対応のコンシェルジュサービス、ヴァレーサービスなどラグジュアリーホテル並みのサービスを提供する。

 ホテルは、ヒルトンのラグジュアリーブランド「コンラッド・ホテルズ&リゾーツ」が運営する「コンラッド横浜」で、現在運営中の「コンラッド東京」「コンラッド大阪」、2026年開業予定の「コンラッド名古屋」に次ぐ4軒目の開業となる。約48㎡のスタンダードルームを中心とした全272室の客室のほか、料飲施設4店舗、ジム、スパ、屋内プール、エグゼクティブラウンジやウェディングチャペルに加え、宴会や会議の需要にも対応できる約360㎡のボールルームやミーティングスペースを備える予定。

 

 


 

 

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わが家の玄関(左から散歩の帰りに摘んだハナニラ、1か月前の大和ハウスの記者懇の帰りにもらった鉢植え、廃棄する予定の葉っぱを観葉植物レンタル会社からもらって10年くらい経過するポトス…みんなただ)

 閑話。皆さんは群馬県の県庁所在地が前橋市であることをご存じか。本日、RBAスタッフから指摘されて初めて知った。そんな筈はないと、県庁に電話した。文化財保護課の担当者は「確かに明治時代の一時期、高崎城跡に県庁を置いていましたが、その後はずっと前橋市です」とのことだった。65年間も高崎市だと思い込んでいた。

 小生は地理が得意で、中学生のときは、47都道府県の地形や県庁所在地はもちろん主な都市名や山、川、産業、特産品などを覚えるのが好きだった。福島県は郡山市でなく福島市で、山口県は下関市でなく山口市であることも間違えなかった。祖母がファンだった三波春夫の「大利根無情」(舞台は千葉県だが)を覚えたのは中学1年のころで、いまでも数少ない十八番の持ち歌だ。24歳のときに結婚しようと思った彼女の出身地も群馬県だった(見事に捨てられたが)。

 なぜ間違って覚えたか…いまだにわからない。

 

 

 


 

 

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Screenshot 2024-04-09 at 14-40-36 【取材ご案内(三井不動産他)】木や森の魅力を体感し、持続的な共存と未来を考えるイベント 東京ミッドタウン[...].png 

三井不動産とディスカバー・ジャパンは416()421()、企業や個人が環境や社会・文化と向き合い、木や森との持続的な共存と未来を考えるイベント「木と生きる」を東京ミッドタウン日比谷で開催する。イトーキ、エステー、大林組、カリモク家具、サントリーホールディングス、神宮外苑地区まちづくり、ソニー、ダイキン工業、竹中工務店、東京都、トヨタ自動車、日建設計、乃村工藝社、パナソニックグループ、三井物産、三井ホーム、MUJIHOUSE、良品計画の18団体・企業が共同参加する。

 イベント初日には、建築家・藤本壮介氏と、日本の再発見を通して、”ニッポンの魅力、再発見”をコンセプトに持つDiscover Japanの統括編集長・髙橋俊宏氏による「木と生きる」をテーマにしたトークセッションのほか、様々なシンポジウム、イントロダクション、パネルエキシビジョン、ワークショップが行われる。

木や自然を題材に様々な角度で読み解いていくシンポジウムや、木とのかかわりあい方をインスタレーションで表現するイントロダクションエリア、共同参加団体の取り組みを展示するパネルエキシビジョン、木に直接触れられる作品を作るワークショップなど様々な“木を知る”体験を通じ、「木と生きる」未来を考えるきっかけを創出するのが狙い。

        ◆     ◇

 東京都が共同参加しているのに林野庁が入っていないのは不思議だが、素晴らしい企画だ。神宮外苑問題が耳目を集めている時だけになおさらだ。16日にはプレス内覧会も行われるのでしっかり取材したい。トヨタ自動車、サントリー、パナソニックグループなどの取り組みも興味がある。上海に本社があるトヨタサントリーミドリエ園芸有限公司の動きに注目している。トヨタが新しい事業を始めるならキーワードは「みどり」ではないか。

 

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