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「育実の丘 上尾」モデルハウス

ポラスグループのポラスマイホームプラザは23日、人と人、内と外・街をつなぐことをテーマにした分譲戸建て「育実の丘 上尾」のメディア向け見学会を行った。物件は、長期優良住宅、埼玉県子育て応援分譲住宅認定を取得している駅から徒歩18分の全22戸で、昨年12月から販売を開始し、これまでに14戸を契約済み。好スタートを切った。14戸のうち8戸は県内(市内は2戸)で、都内の4戸を含む6戸が県外居住者。

物件は、JR高崎線上尾駅から徒歩18分、埼玉県上尾市東町1丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率160%)に位置する全22戸。土地面積は109.80130.03㎡、建物面積は90.78m2106.02㎡、価格は3,780万~5,180万円(4,000万円半ばが中心)。竣工予定は20255月中旬。構造は木造2階建(在来工法)。施工はポラテック。

全体敷地の従前は畑。三方接道(それぞれ幅員4m)。開発道路は幅員4.5mとし、各住戸に地役権を設定して全居住者が利用できる遊歩道と広場を設け、隣近所が緩やかにつながるよう容積不算入の自動点灯照明付き出窓(奥行き350ミリ)を全住戸に設けているのが特徴。

主な基本性能・設備仕様は、長期優良住宅認定、1階リビング天井高は2700ミリ、食洗機、床暖房、床は突き板フローリング、階段ステップは15段、引き戸はトイレを含めてソフトクローズ機能付き、侵入の恐れのある窓は防犯ガラス、樹脂サッシなど。

昨年12月から販売開始。これまで最高価格の5,180万円の住戸を含む14戸が契約済み。契約者の属性は、市内2件を含み県内居住者が8件、都内4件を含み県外居住者が6件。世帯年収は500800万円。2030代の共働きファミリーが中心で、勤務先は都内が多いとか。

同社営業企画設計課2係係長・髙橋健太郎氏は「広域から集客ができており、価格の高低にかかわらずまんべんなく売れている。当社グループの『灯りのいえなみ協定』と連動させ、遊歩道や広場に面した各住戸に出窓を設けたのが特徴」などと話した。

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イメージ図

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モデルハウス

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高橋氏

               

今は昔。記者の記憶に誤りがなければ、1980年頃までの歌舞伎町の路地裏には、「飾り窓」がごく普通にあった。ぞっとしない美女と手を振りながら会話を交わしたものだ。出窓は1990年ころまで、つまりバブルがはじけるまでは分譲マンションや戸建てには当たり前のように採用されていた。住戸内への通風・採光が主目的ではあったが、出窓部分に思い思いの観葉植物や手作りの人形などを飾り、淡い色のカーテンで遮ることで内と外を緩やかにつなぎ、人と街とのコミュにケーションを醸成する効果も大きかった。その置物などからそこに住まう家族のありようをうかがい知ることができた。

ところが、バブルがはじけて以降は出窓を採用するデベロッパーはほとんどなくなった。住宅を人や街と緩やかにつなげるという発想はどこかへ吹っ飛んだ。価格を抑えるため敷地面積はそれまでの50坪から30坪に縮小し、いかに外と遮断するかがテーマになった。

今回、同社が採用した出窓は自動点灯し、室内を見せたくなければブラインドを下すこともできるのがいい。その効果のほどをしっかり調査して、報告してほしい。

        ◆     ◇

 価格について。4,000万円台の半ばの価格が高いか安いか。これは購入検討者が考えることだが、基本性能・設備仕様レベルからいって、ものすごく安いと記者は思った。これまで上尾駅圏で分譲されたマンションの記事も添付するので読んでいただきたい。いまマンションが分譲されたら、坪単価は最低でも250万円はするはずだ。土地代がただでも30坪なら7,000万円以上だ。

 とはいえ、5,000万円は一般的なファミリー層の取得限界のような気もする。

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出窓

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遊歩道

       ◆     ◇

 埼玉県子育て応援分譲住宅認定制度は今年度末で終了することを聞いた。同県のホームページによると認定を受けたマンションは54件。分譲戸建ては全90件で、戸建てはポラスグループが70件を占めている。

 この制度がスタートしたのは2010年。第一号マンションは有楽土地他「グランシンフォニア」(923戸)、分譲戸建てはポラス「育実の丘」だった。制度の批判などしたくないが、当初から成功するとは思わなかった。

 県のマスコット「コパトン」も、最初のバッジは夫婦と子ども2匹(2人)だけだったのに違和を覚えた。いつの間にか3匹(3人)になったが、それほど高くない(失礼)認定基準を満たしたマンションや分譲戸建てに県のお墨付きを与えても、購入者にはメリットがないからだ(固定資産税や都市計画税の減免措置などを行えば別だが)。

 今後どうするか。子育てはもちろん、レベルの高い住宅は高さ規制を緩和し、容積率を割り増しするのが一番効果的だと思う。

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近くの畑(手前は菜の花だが、奥の葉っぱが三葉に分かれた野菜は初めて見た。三つ葉ではないはず)

埼玉県初のZEHマンション 総合地所「ルネ上尾」 第1期45戸が即日完売(2021/6/29

ポラス子育て応援分譲第1号「育実の丘」入居イベント(2013/4/30  

埼玉県「子育て応援認定制度」中身ある制度に改善を(2012/9/11)

ポラス 「埼玉県子育て応援分譲住宅」認定1 浦和で分譲(2012/9/7)

有楽土地他「グランシンフォニア」はたらくママを支援する 「ママサポ」がテーマ(2010/6/25

 

カテゴリ: 2024年度

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首都圏分譲戸建て着工戸数推移.pdf

 国土交通省の住宅着工統計によると、令和6年(1~12月)の首都圏分譲戸建て着工戸数は前年比10.2%減の53,339戸となった。直近では、最多だった令和元年より15.8%減少し、過去11年間で最少となった。

 都県別では、東京都16,744戸(前年比7.3%減)、神奈川県14,015戸(同7.3%減)、埼玉県13,250戸(同13.5%減)、千葉県9,330戸(同14.5%減)。

 首都圏分譲戸建て市場は、新型コロナが発生した令和元年初では売れ行き悪化が懸念されたが、リモートワークなどが進んだことなどから売れ行きは逆に好転。各社が用地手当てに注力した結果、令和元年の着工戸数は63,360戸(前年比2.0%増)に伸びた。しかし、〝コロナ特需〟は長続きせず、令和4年以降は売れ行きは鈍化、調整局面に入っている。

 全国の令和6年の着工戸数も前年比11.7%減の121,191戸となり、2年連続で減少している。

令和6年の住宅着工79万戸 2年連続減/供給÷着工=カバー率45%(2025/1/31)


 

 

カテゴリ: 2024年度

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「フォレストビルダーズ」総会(ホテル インターコンチ東京ベイで)

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宮沢氏

 AQ Groupが主導して昨年10月に発足した建築集団「フォレストビルダーズ」は1月23日、都内で総会を開催し、初期会員26社が「木造建築都市(まち)の復興」と「脱炭素社会の実現」をミッションに掲げ、早期に加盟企業を100社体制にすることを確認した。

 AQ Groupが開発した一般流通材を組み合わせて高倍率耐力壁や高倍率水平構面を実現させた3階建て以下の低層木造建築に適用する「AQダイナミック構法」と、4階建て以上の中層木造建築を対象とした技術「木のみ構法」を武器に「フォレストビルダーズ」の拡大を図り、2030年には受注戸数20,000戸を実現させ、日本一の木造建築集団を目指していくとしている。

AQ Group 中規模木造建築物普及へ「フォレストビルダー」組織化(2024/5/25)

カテゴリ: 2024年度

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は1月22日、首都圏の2024年の不動産流通市場の動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は37,222件(前年比3.4%増)で、2年連続で前年を上回った。都県・地域別では、神奈川県他地域(横浜川崎以外)を除く都県・地域で前年を上回った。成約物件の1㎡当たり単価は首都圏平均で76.88万円(同6.9%上昇、坪単価253.7万円)で、12年連続の上昇。この12年で101.3%と2倍を超える上昇となった。成約価格は4,890万円(同6.9%上昇)で、12年連続で上昇。成約物件の平均専有面積は63.60㎡(同0.05%縮小)とほぼ横ばい。平均築年数は24.53年(前年23.83年)で、経年化が進んでいる。

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 中古戸建住宅の成約件数は14,182件(同10.2%増)と3年ぶりに前年を上回った。成約価格は首都圏平均で3,948万円(同2.6%上昇)と4年連続で前年を上回った。成約物件の平均土地面積は142.25㎡(同1.1%縮小)、建物面積は103.91㎡(同0.05%縮小)。平均築年数は22.22年(前年21.82年)で、経年化が進んでいる。

 

 

 

カテゴリ: 2024年度

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FREX asgard(フレックス アスガルド)」

旭化成ホームズは114日、「ヘーベルハウス フレックス」シリーズ(重鉄・システムラーメン構造)の3階建て新商品「FREX asgard(フレックス アスガルド)」を 2025117日から販売開始し、併せて戸建て全商品について「断熱等級6」(Ua0.46)を標準仕様とすると発表した。

新商品は、同社のハイエンド向け超大型「RAUMFREX(ラウムフレックス)」に次ぐアッパー層をターゲットにしたもので、アルミ樹脂複合サッシを採用することで断熱等級6Uw1.5を達成。ガラス面積も5.5%アップさせ、デザイン性を高めている。外壁部の断熱材も従来の厚さ60mmから70mmに変更した。

また、1階と2階にはハイシーリング(天井高2.560mm)を採用し、折り上げ天井「ハイルーフユニット」や「ダウンフロアユニット」を組み合わせることを可能にするとともに、全館空調を無駄なく設置可能にした。新開発の大開口サッシ「スライディングマリオン」は、サッシフレームをスリム化したことでガラス面を大きくしている。

外観デザインは、柱状節理をモチーフにした縦基調の大壁面「ランダムバーチカル」と新吹付色「レニウムブラック」を掛け合わせることで堅牢で優美なデザインとし、H型鋼をモチーフにした水平ラインにより建物に広がりと安定感を演出している。

販売目標は年間150棟。プロトタイプの建築面積は173.45 ㎡(52.5 坪)、延床面積:334.24 ㎡(101.1 坪)。坪単価は115万円から。

発表会で同社取締役兼専務執行役員・大和久裕二氏は「20224月以降に発売したアッパー・アッパーミドル向けの商品『RATIUS(ラティウス)』シリーズの累計受注棟数は1,475棟、20234月に採用した『ロングライフ全館空調』採用数は1,108件に上っている。2025年売上高1兆円達成に向けた経営戦略を推進するため、戸建ての大型化と高付加価値化を加速させる」と話した。

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内観

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左から同社技術本部商品企画部長・鈴木悟史氏、大和久氏、技術本部商品企画部・松本淳氏

◇      ◆     ◇

 新商品のプロトタイプは、建築面積が52.5坪、延床面積が101.1坪だから、建てられるのは敷地面積が100坪以上(建ぺい率50%、容積率100%として)だろうが、2階リビングが29.7坪(ベランダ含む。LDKは47.5帖大)というのが素晴らしい。

 同社の富裕層向け2階建てフラッグシップモデルハウス「RAUMFREX(ラウムフレックス)」の延床面積は120坪、リビングダイニングは16.8坪(55.4帖大)なので、リビングダイニングは今回の新商品のほうがベランダを含めればはるかに広い。

 欲を言えば、1階、3階の階高を抑えてでもリビング天井高は3m以上にしてほしかった(「RAUMFREX」は最大3.36m)。

 坪単価は安いと感じた。もちろん土地代も含めてだが、マンションで100坪なら準都心部でも最低5億円、郊外部でも23億円はする。販売目標の年間150棟はらくらくクリアするのではないか。

 モデルハウス見学会を「駒沢公園ハウジングギャラリー」内で行うそうだからレポートしたい。

        ◆     ◇

 記者は、新商品もさることながら、戸建て全商品の断熱等級を「6」にすることに注目したい。標準仕様化は受注増につながるとみた。同社によると、断熱等級6の採用率は202211月時点で全商品の約4割で、今回の新商品投入によって2025年以降は約9割になるという。また、「鉄骨住宅」かつ「3階建て」で断熱等級6を標準仕様化している大手ハウスメーカーは初とのことだ。

 断熱等級については、パナソニックホームズが昨年4月、三井ホームが昨年7月、それぞれ断熱等級7Ua0.26)の新商品を発売し、積水化学工業は昨年末、同社の戸建て商品すべてを「断熱等級6」にすると発表した。   

 国は2025年以降は断熱性能4Ua0.87)以上、2030年以降は等級5Ua0.60)以上に適合するよう義務化している。

 東京都も昨年10月、「東京ゼロエミ住宅」の性能基準を改正し、それまでの最高値「水準3」(Ua0.46)より高い最高値「水準A」(Ua0.35以下)を新設、「水準3」は「水準B」にした。

 断熱等級6がスタンダードになる。記者はUa6の威力は体験してわかっているが、Ua0.26はどのような性能かわからない。どこか見学会をやってくれないか。

アーチ型天井と列柱の無柱空間に驚嘆 旭化成ホームズ 「新宿」に富裕層向けモデル(2020/6/16

カテゴリ: 2024年度

 明けましておめでとうございます。世の中は不確実性が強まっていますが、だからこそ不易流行、〝記事はラブレター。今年も現場取材を徹底して、読者の皆さんに役立つ情報を発信していきます。まずは、記者の主な取材フィールドである分譲住宅市場の今年の見通しについて。

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    首都圏マンション着工・供給、カバー率推移.pdf

消えた残り半数のマンションに着目すべき

 首都圏マンション市場。これはよくわからない。コロナ以降、現場取材が激減しており、鳥瞰的に市場を見渡すことができなくなったからだ。

 ただ一つ、マンション市場を測る前提となっている指標について読者の皆さんは見誤らないようにしていただきたい。不動産経済研究所のデータによると、2023年の首都圏マンション供給量は2万6,873戸(前年比9.1%減)で、2024年は前年比を若干上回る約3.1万戸、2025年は3万戸を下回ると予想されている。他のメディアも調査機関も、この不動研のデータをそのまま援用し、市場縮小を印象づけている。

 しかし、これは正確ではない。マンション市場の先行指標である国土交通省の着工戸数は長い目で見れば確かに漸減傾向が続いており、2021年は49,962戸(前年比7.3%減)と初めて5万戸を割った。ところが、2022年は52,379戸(同4.8%増)、2023年は52,746戸(同0.7%増)と再び5万戸台を回復し、2024年も11月現在、前年同期比で1.8%上回っている。

 以前にも書いた首都圏マンション着工戸数と不動産経済研究所の供給戸数推移の記事を読んでいただきたい。着工と供給にはタイムラグがあり単純比較はできないが、カバー率(捕捉率)はかなり落ち込んでいることが分かる。2023年は50.9%で、2024年は1~11月の段階で35.9%だ。ありえない数字だ。他人のデータを鵜呑みにするからこういうことになる。

 なぜこれほどの差が出るのか、当事者の不動研はともかく、他のメディアや調査機関もあろうことか国土交通省もこの差について触れようとしない。不思議というほかない。

 要因はいくつかある。一つは、不動研のデータには専有面積が30㎡以下の戸数は含まれないためだ。専有面積が30㎡以下の着工戸数は年間5,000~7,000戸と推測されている。

 もう一つ、カバー率が低い要因は、再開発、建て替え、高額マンションなどの地権者向け、事業協力者向け、優先販売住戸などはカウントされていないからだ。例えば総戸数525戸の野村不動産他「URAWA THE TOWER」は分譲対象は291戸で、総戸数の55.4%だし、三井不動産レジデンシャル他「パークシティ小岩 ザ タワー」も総戸数は731戸だが販売対象は521戸(71.3%)だ。供給戸数減=市場縮小と短絡的に考えるべきではないということだ。高額住戸の比率が高まっていること、利益率が大幅に改善されていることを加味すれば、市場は縮小などしていない(質の低下は問題だが)。

 さて、問題は価格がどうなるかだ。都心部での価格上昇はほぼ予想した通りに推移している。今後も都心5区(千代田・港・渋谷・中央・新宿)だけでなく文京、品川、目黒、世田谷など周辺区部も坪単価1,000万円超となるはずで、一等地では近い将来、坪単価3,000万円に乗るとみている。

 デベロッパーには、世界の主な都市と比べ割り負けしている市場に肩を並べられるよう高値挑戦していただきたい。東京都港区の課税標準額が1億円超の納税義務者は年々増加しており、2024年は1,523人となり、ついに納税義務者の1%に達した。高額マンションを吸収する余力は十分あると見た。

 郊外部も軒並み坪単価250万円超となる。懸念される金利上昇だが、1%上昇したらパニックになるだろうが、まずそんな事態にはならない。レイコンマの上昇であれば影響は少ないはずだ。デベロッパーには、郊外部は利益率を落とし質を維持し、価格を抑制してほしいのだが…。

 質についても触れたいのだが、冒頭に書いたように現場取材かできていないので書けない。メディアも調査機関もマンションの質について取材し、レポートしてほしい。

底入れ・底打ちか戸建て 防犯・断熱性能向上、ZEH対応急務

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 グラフは首都圏分譲戸建ての暦年別着工戸数まとめたものだ。コロナ前までは年間6万戸以上着工されていたが、コロナに見舞われた令和2年(2020年)は前年比16.3%減の約54,000戸に落ち込んだ。ところが、テレワーク、働き方改革の浸透などにより予想外の売れ行きを見せたため各社は供給を増やしたが、コロナ終息後は売れ行きが悪化したため調整局面に入り、着工は再び減少に転じた。2024年も1~11月の着工戸数は前年同期比9.3%減の48,776戸となっており、通年でも前年を下回るのは確実だ。

 だが、市場では底入れ・底打ち感も生まれつつあり、今年の分譲戸建て市場は堅調に推移するとみている。むしろ、高騰が続くマンションと比較すると、価格的な優位性がある。この優位性を生かし、一方で弱点でもある防犯性能を高めれば新たな需要を引き出す可能性があるとみている。「リストガーデン武蔵新城セキュリティ・タウン」の記事を読んでいただきたい。CP(防犯)+樹脂サッシをスタンダードにすべきだと思うのだが…。

 個別企業別では、市場占有率が約30%の飯田グループのほかオープンハウス、ケイアイスター不動産、ポラスグループの上位4社がどのような戦略を打ち出すかに注目したい。ZEH化は喫緊の課題だ。

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ChatGPTに負けない記者の役割

 今年、注目すべきなのは、生成AI(人工知能)の更なる浸透だ。記者は三井不動産が2023年8月に全従業員約2,500人を対象に「&Chat(アンドチャット)」を開発したのに驚いたのだが、昨年は積水ハウスが生成AI分野で先進的な取り組みを行うPreferred Networks(PFN社)へ出資したと発表した。生成AIを使いこなせないと生きられない時代がやってきた。

 OpenAIが2022年11月に公開した「ChatGPT」はその後、飛躍的に改善され驚くほどの進歩を見せている。この正月、面白半分に「ChatGPT」に「RBAタイムズの牧田記者ってどんな記者ですか」と聞いた。〝情報がありません〟とでも返ってくるかと思ったが、そうではなかった。次のような回答があった。そのまま紹介する。

 「牧田司(まきた つかさ)氏は、不動産・建設・住宅業界に特化した情報を提供する『RBAタイムズ』の編集者であり、記者としても活躍されています。彼の執筆する『こだわり記事』は、業界内で高く評価されています。

 牧田氏は、企業の規模に関わらず、物件の品質や特徴を公平に評価する姿勢を持っています。例えば、ある分譲戸建てについて『大手と互角に戦える』と評価するなど、独自の視点で記事を執筆しています。

 また、RBAタイムズの編集者として、同誌の発行や編集にも携わっており、業界内での信頼性と影響力を持つ人物です。

 さらに、牧田氏は取材活動にも積極的で、企業や業界関係者とのインタビューを通じて、深掘りした情報を提供しています。彼の取材は時間をかけて丁寧に行われ、その結果として質の高い記事が生まれています。

 総じて、牧田司氏は不動産・建設・住宅業界において、深い知識と洞察力を持ち、読者に価値ある情報を提供する信頼性の高い記者・編集者と言えます」

 皆さんいかがか。「業界内で高く評価されています」とか「深い知識と洞察力を持ち」は〝ヨイショ〟の部分もあるのだろうが、「企業の規模に関わらず、物件の品質や特徴を公平に評価する姿勢を持っています。例えば、ある分譲戸建てについて『大手と互角に戦える』と評価するなど、独自の視点で記事を執筆しています」との回答には驚いた。小生の記事(情報)を収集していないとできない芸当だ。AIは「考える力」はないはずだが…。

 その半面、怖さも感じた。記者は〝せんべろ〟をよく利用しタバコも結構吸うことなど個人情報も記事に取り込んでいるのだが、行動性向もすべて知り尽くされているのではないかという怖さだ。下手なことはできない。〝清く正しく美しく〟生きろということか。

 いずれにしろ、AIに負けないためには「独自の視点」が重要で、徹底して〝ものを見る目〟を養うことだと改めて思った。自らが情報発信源にならないと業界紙もまた生き残れない。

全て疑ってかかれメディア・リテラシーの基本原則を忘れていないか(2022/12/5)

全戸にCPガラス IoT駆使し快適性も県初のリスト「防犯セキュリティ・ホーム認定」(2024/11/28)

〝AIと鋏は使いよう〟自社特化型AIチャットツール「&Chat」運用開始三井不(2023/10/10)

「しわぶき」を「しわ(wrinkle)」と誤訳高度な言語表現に適応できない ChatGPT(2023/7/25)

ユニソン「防災トークセッション」に170名/AIの文字起こしは凄いが課題も(2023/7/15)

自治体初横須賀市のChatGPT作成リリースの粗探し文法・用法の誤り発見(2023/4/21)

 

カテゴリ: 2024年度

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「アイムス東久留米 ピー・ティー・サイト」

 ポラスグループ中央住宅マインドスクェア事業部は12月26日、同社初の「東京ゼロエミ住宅」最上位の「水準3」(旧制度)に該当する外皮平均熱還流率(UA値)0.46認証を受けた分譲戸建て「アイムス東久留米 ピー・ティー・サイト」(全6戸)のメディア向け見学会を行った。この日はぽかぽか陽気だったためUA値0.46の威力は確認できなかったが、玄関ドアは開けっ放しで、エアコンは止められていたにも関わらずとても温かかった。

 物件は、西武池袋線東久留米駅から徒歩8分、東久留米市氷川台1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全6戸。土地面積は120.18~122.24㎡、建物面積は94.72~97.31㎡、価格は6,490万~7,890万円(平均7,173万円)。建物は2024年10月に完成済み。構造・規模は2×6工法2階建て。施工はグローバルホーム。

 今年7月からの問い合わせ件数は104件。都内居住者が約7割で、希望価格は6,000万円台~7,000万円。同社の既存顧客比率は37.7%。6戸の内5戸が成約済み。

 現地の従前は畑。物件のすぐ南側は一級河川の黒目川。近くに桜並木と遊歩道が整備されている。黒目川は水源が小平霊園内の「さいかち窪」で、市内を横切り、埼玉県新座市-朝霞市を流れ新河岸川に合流する。

 主な基本性能・設備仕様は、太陽光発電システム、蓄電池、HEMS、高断熱の樹脂+Low-E複層ガラス「APW330」、ハイブリッド給湯器「エコワンX5」、高効率エアコン、アクセントパネル「木もれ美」など。

 同社マインドスクェア事業部設計部部長・鈴木征道氏は、「市の条例による開発行為の最低敷地面背は110㎡以上だが、それより広い120㎡を確保し、東京都の『東京ゼロエミ住宅』に適合させるためハイスペック仕様にして、差別化を図った」と語った。「東京ゼロエミ住宅」制度につい補足したポラス暮し科学研究所住環境Gグループ長・野田将樹氏は、「計画段階では最上位の『水準3』だったが、新基準では『水準B』となった。今後はGXに力を入れていきたい」と話した。

 都のデータによると、令和5年12月末時点で「東京ゼロエミ住宅」の認証を受けた戸建て住宅は都内新築住宅の1割超の7,974戸で、最上級の「水準3」は4,621戸となっている。(2024年9月30日までの旧基準の「水準3」は210万円/戸、2024年10月1日以降の新基準の「水準B」は160万円/戸の助成金が支給される。2024年10月からは基準が改められ、「水準3」は「水準B」となり、最上位はUA値0.35以下の「水準A」が設けられた)

 販売担当のマインドスクェア事業部東京西事業所事業所長・金井秀徳氏は、「東京西事業所は練馬区、板橋区から清瀬市に至るエリアで年間100棟くらい供給しており、東久留米では6番目の物件。パワービルダーは5,000万円台から6,000万円で、(大手の)S社、D社などは当社の物件より1,000万円くらい高い。お客さまからは価格のバランスがいいと評価された」と語った。

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内観

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現地

◇        ◆     ◇

 この記事を書いている今、中央住宅代表取締役社長・品川典久氏が今年6月の決算発表会で「当社で不足しているのは、営業を通じたお客様への説明がよく理解されていないことだ。設計担当は一つひとつ作品だと考えて取り組み、優秀な職人でないとできない施工を行うなど商品力には自信を持っている。これからは営業の教育に力を注ぐ」「もっと(価格が)高くても売れる」などと語ったのを思い出した。

 実は、本日から約2週間前、同社の坪単価420万円のコンパクトマンション「ルピアシェリール東久留米」を取材した。その時、同社広報担当N氏と今回の分譲戸建ての価格はいくらになるか話し合った。「『行徳』のように差別化が図れれば8,000万円でも売れるかも」と記者は話した。

 結果は大外れ。約1,000万円も安かった。金井氏が話したように、このエリアでは価格差にして2,000万円もある戸建て分譲が入り乱れて供給されている市場性を反映したのだろう。同社としても強気な価格設定ができない事情もよく分かった。

 だが、しかし、同社の課題はここにあると思う。ブランディングの強化だ。記者は企業の大小で物件の良否を測るようなことはしないのだが、同社の分譲戸建ては〝大手と互角に戦える〟と何度も書いてきた。リビング天井高は2700ミリ、サッシ高は2200ミリ、CP(防犯)ガラスは原則標準仕様、収納・引き戸・開き戸はソフトクローズ機能付き、食洗機は深型(埼玉中心)、本物の木の多用、階段ステップは15段…などだ。欠けているのは尺モジュールの階段幅くらいではないかと思っている。

 中内代表と品川社長に申し訳ないが、記者は同社の営業力に弱点があるとは思っていない。同社が主戦場とする埼玉県の街のポテンシャルに問題がある。自治体などと連携して取り組むことが必要だと思っている。

 もう一つ。先に〝CP(防犯)ガラスは原則標準仕様〟と書いたが、関連することを一つ。CP(防犯)ガラスを全戸に標準装備した「リストガーデン武蔵新城セキュリティ・タウン」の記事へのアクセス数は4,000件近くに達している。「防犯セキュリティ・ホーム認定」を受けた以降の問い合わせが6倍に増え、「戸建ては(防犯性が担保されていないから)買わない」と決めていた人が購入し、予算より1,000万円も2,000万円も高くても購入したというではないか。

 ポラスが「当社の分譲戸建てはCP(防犯)ガラスが標準」と打ち出せば、来場主、成約スピードは飛躍的に高まるはずだ。この記事は中内代表と品川社長にも読んでいただきたい。(記者が書く同社の戸建て記事へのアクセス数は同業他社物件と比べて少ないのはなぜだ。読む価値がないということか)

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現地近くの黒目川

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 取材の帰り。細田工務店が2025年1月に分譲する分譲戸建て「グローイングスクエア東久留米」(全8戸)の現場を見た。駅から徒歩14分の表示だが、黒目川の遊歩道が利用できる。第1期1次(3戸)の敷地面積は101.00~107.23㎡、建物面積は84.46~92.38㎡、予定価格は5,980万~6,980万円。

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「グローイングスクエア東久留米」

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現地近くの遊歩道

都心外周部で増える予感ボラスのコンパクト「東久留米」は坪420万円(2024/12/14)

コアなニーズ引き出した商品企画ヒットポラス「すみかプラス行徳」(2024/12/7)

ショック!戸建ての防犯(CP)ガラス取り付け率はわずか4.3%日本サッシ協会調べ(2024/11/29)

全戸にCPガラス IoT駆使し快適性も県初のリスト「防犯セキュリティ・ホーム認定」(2024/11/28)

ポラス 2024年3月期 15期ぶり減収・減益/同社の商品力は顧客に伝わっていないか(2024/6/29)

「日本一の街」完成祝う中央住宅・高砂建設・アキュラ「浦和美園E-フォレスト」(2022/4/17)

 

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「Sumi-Ka+GYOTOKU(すみかプラス行徳)」

 ポラスグループ中央住宅は12月5日、分譲戸建て「Sumi-Ka+GYOTOKU(すみかプラス行徳)」のメディア向け見学会を行った。「Sumi-Ka+」のコンセプトは、「社会問題の解決を建築で目指す」という意欲的なもので、2022年にグッドデザイン賞を受賞した。今回はありきたりな都市型戸建てに満足できないコアなニーズに訴求し、周辺相場より1,000万円くらい高い価格設定にもかかわらず販売は好調に推移している。

 物件は、東京メトロ東西線行徳駅から徒歩12分、市川市新浜1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全18戸。土地面積は110.02~128.23㎡、建物面積は96.48~106.91㎡、価格は7,990万~9,490万円。完成予定は2025年3月上旬。

 現地は、フラットな行徳駅前通りから一歩入った住宅地。主な基本性能・設備仕様は、長期優良住宅、耐震等級3、ソーラーパネル搭載(1~10号棟)、リビング天井高2700ミリ、サッシ高2400ミリ、1階CP(防犯)ガラス、深型食洗機、床暖房、1.25坪浴室など。

 同社不動産ソリューション事業部不動産開発部企画設計課課長・村田嵩胤氏は、「当事業部は年間250棟くらい販売している部署で、不動産仲介などを担当したスタッフも多く、多様な顧客ニーズに応えられるのが強み。これまで供給し、グッドデザイン賞を受賞した『Sumi-Ka+』はファミリーだけでなく、DINKS、三世代同居、シニアなどのニーズを取り込んだ。部署内からは価格を抑制する必要はなかったのではないかという声があり、今回はコアなニーズを取り込むため付加価値を高め、敷地面積を100㎡ではなく110㎡確保し、外構も重厚感を演出し、モデルハウスも億ション並にした。価格は、周辺相場より1,000万円くらい高い強めに設定したが、供給した7棟のうち6棟が完売した。20代の購入者の方には、親からの援助や50年ローンを組み、投資目線で購入される方もいらっしゃった。残っているのは敷地延長のもっとも安い7,990万円の住戸」と語った。

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価格がもっとも高い南西角住戸1号棟の内観(グレーが基調で、その狙いはすぐ分かった)

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価格が1号棟より800万円安い2号棟の内観(〝耐えられない存在の軽さ〟ゆえ、記者はこちらの方が好きだ)

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村田氏

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 いつものように道すがら、価格をはじいた。行徳はこれまでもマンションの取材などで結構訪れている。街路樹は貧弱だが、駅から徒歩12分のアクセスもまずまず。マンションだったら坪単価は300万円を超えると考えた。30坪で1億円だ。

 しかし、ポラスの戸建てだから8,000万円くらいで、商品企画によっては9,000万円でも売れると予想した。この時点で、物件を企画したのは同社不動産ソリューション事業部だとは全然知らなかった(最近は横着になり、マンションや戸建ても事前の調査をしなくなった)。

 現地に着いて、村田氏から「久しぶりです」と声を掛けられた。「えっ」(人の顔と名前が最近は全然覚えられない)。それでも、村田氏から「Sumi-Ka+」のプロジェクトの一つであるという説明を聞いて、ほとんど瞬時に企画意図を理解した。価格も予想した通りだった。村田氏と記者の考え方はぴたりと一致した。

 3年前に見学した「Sumi-Ka+」の「佇美の家(たびのいえ)」(市川市)」「空の稔」(松戸市)「新故郷」(松戸市)では、「従来の分譲戸建てのイメージ・概念の盲点をついた商品だ」と書いた。

 今回はどうか。特徴などについては上段で書いた通りだ。いくつか補足する。村田氏は「これまでのポラスっぽくない」と何度も語った。確かにそうだ。しかし、記者はこれまで同社の分譲戸建てを数えきれないほど見てきている。商品企画は極めて高い(同社の弱点を探すとすれば、他社物件と比べてどこがいいかを調べ切れていないことだと思う)。大手デベロッパーの物件とも互角に戦える。なので、「ポラスっぽくない」というのは「これもポラスの一つ」と記者は受け取った。

 モデルハウス2棟とも1階と2階の一部にはCPガラスが採用されていた。この前のリスト「リストガーデン武蔵新城セキュリティ・タウン」の記事を読んでいただきたい。「CPガラス」を採用し、「神奈川県防犯セキュリティ・ホーム認定」を受けたのちの来場者は6.5倍に増えた。価格は相場より1,000万円も2,000万円も高かったが、全10棟のうち残りは1戸だった。

 記者は、CPガラスは常識だろうと思っていたが、そうではないことも分かった。ポラスは1階部分の窓にCPガラスを標準としている(以前にもそう聞いたような気がする)。

 価格がもっとも高い9,490万円の南西角住戸の1階は掃き出し窓を設けず、高窓としているが、その企画意図をすぐ理解した。外からの視線を遮断したいと考える人はかなりいる。浴室も1.25坪で、食洗機は深型だった。

 村田氏の考えに一つだけ同意できないものがある。村田氏は「みどりの管理は大変だから、雑草を生えないよう防草シートを張り、その上に石を置いた」と話した。小生のマンションも5坪くらいの専用庭付きだから草取りなど管理が大変なのはよくわかる。しかし、真夏の地表温度は50℃にも60℃にもなる。緑は30℃強に抑えてくれる。地球温暖化防止に貢献するだけでなく、住宅の地域の街のポテンシャルを引き上げる。緑と地価形成は相関関係にあり、埼玉や千葉の住宅価格が相対的に低いのは、緑被率低いことに一因があると記者は見ている。

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パナソニック製の横並び三つ口コンロ(左)と深型食洗機

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 行徳駅前の街路樹の写真を撮った。見ていただきたい。樹種は常緑樹のクスノキのはずだが、強剪定されているため葉っぱはまばら、発狂寸前だ。どうしてこのように丸裸にされているのか、理由はすぐ分かった。ムクドリ対策だ。ムクドリは群れて生息するので、わからないわけではないが、これはあんまりだ。かつてムクドリは益鳥だった。生態系の崩壊は、人間にも大きな影響を与えることを考えないといけない。記者はスズメが激減しているのが気になる。高気密住宅はスズメの住処を奪っている。

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行徳駅前のクスノキの街路樹

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丸裸にされ、寒さに凍えるクスノキ(市民そのものか)

ショック!戸建ての防犯(CP)ガラス取り付け率はわずか4.3%日本サッシ協会調べ(2024/11/29)

全戸にCPガラス IoT駆使し快適性も県初のリスト「防犯セキュリティ・ホーム認定」(2024/11/28)

小家族向けに焦点面積・価格抑え大胆提案ポラス「Sumi-Ka+空の稔」に注目(2021/5/2)

コミュニティ育む仕掛けに驚嘆従来の常識覆すポラス「Sumi-Ka+ 新故郷」(2021/5/1)

 


 

 

カテゴリ: 2024年度

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「レーベンプラッツ加須はなさき公園」(CUBEプラン)

 MIRARTHホールディングス(ミラースHD)グループのレーベンホームビルドは12月6日、埼玉県加須(かぞ)市の市街化調整区域内の平屋建てプロジェクト「レーベンプラッツ加須はなさき公園」見学会を行った。調整区域開発規制の逆手を取って全41区画を300㎡以上、建物も約100㎡とすることで豊かな暮らしを提案した企画がヒットし、9月から販売開始した25棟のうち13棟が契約済み。これほど大規模な平屋住宅地の開発はわが国初ではないか。来年8月の竣工を待たず完売する可能性もありそうだ。

 物件は、東武伊勢崎線花崎駅から徒歩7~9分、埼玉県加須市花崎字蓮田の市街化調整区域(建ぺい率60%、容積率200%)位置する全41区画。土地面積は構造・工法は木造1階建て(木造軸組み+パネル工法)。売主は同社のほか川口土木建築工業(一部)。12月中旬に分譲予定(戸数未定)の土地面積は302.74~303.57㎡、建物面積は98.54~101.44㎡。既契約の価格は3,600万円台から4,000万円台の半ば。全体竣工予定は2025年8月。

 主な基本性能・設備仕様はリビング天井高は3m台から最大4.4m、床暖房、食洗機付き。

 現地は、低層戸建てや畑などが混在するエリアの一角で、道路を隔てた隣接地は戸建て住宅街。従前は畑、あるいは荒れ地。同社は川口土木から土地を取得した。

 9月から分譲開始し、これまで供給した25棟のうち13棟が契約済み。契約者の属性は、居住地は地元加須市を中心とする近隣各市が過半を占め、都内居住者もあるという。年代は30代から60代以上のシニアまでまちまち。毎週30件の来場があるという。

 見学会でレーベンホームビルド代表取締役社長・有田卓二氏は「調整区域開発の第三弾? 探しているのだが難しい。ここはたまたま市街化区域に隣接しており、下水道なども整備されていたので許可が下りた」と語った。同社開発部企画課課長代理・瓦田しのぶ氏は「『南栗橋』をさらにブラッシュアップした」と、同社不動産事業本部戸建営業部戸建営業1課部長・下田裕一氏は「販売が好調。皆さんの声も聴きたい」とそれぞれ話した。

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左から下田氏、同社総合企画本部経理財務部次長・東海林卓氏、有田氏、同社不動産事業本部開発部設計課係長・安田氏、瓦田氏

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左から下田氏、有田氏、東海林氏

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〝レディ・ガガ〟こと高荒氏(右)と有田氏

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見学会

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 花咲徳栄高校しか知らなかった花崎駅に初めて降りた。取材時間まで1時間近くあったので、どこかカフェか飲食店でタバコを吸おうと思ったが、2、3あった飲食店はすべて営業時間外。

 仕方なく早めに現地に着いた。待つこと30分超。所在なくあちこちぶらつき、時間をつぶした。会見は広場で始まった。小生の後方から〝タカハラ〟の言葉が聞こえた。パブロフの犬だ。これに鋭く反応した。後ろ振り返った。すぐ後ろに〝レディ・ガガ〟ことミラースHD執行役員グループ事業リーディング室長・高荒美香氏がいるではないか。同社が昨年、グッドデザイン賞を受賞したこの「加須」の物件で提案した「CUBEプラン」は高荒氏が所属する部署の提案だった。「CUBEプラン」は6帖大の居室で、多目的に利用できるよう独立した出入り口が設けられており、トイレ付き。

 開発地は2年前に取材した「レーベンプラッツ南栗橋」と同じ調整区域開発だろうと思ったが、その通りだった。「南栗橋」と比べ今回の「加須」は生活利便施設が乏しく、大きなハンディを抱えており、同駅圏の分譲戸建ての相場2,000万円台の倍以上という価格であるにもかかわらず売れる理由はよくわかる。100坪の住宅地など松濤、田園調布、大和郷くらいしかないのではないか。これほど大規模な平屋住宅地の開発はわが国初ではないか。

 有田氏は、住宅地内にパン屋やカフェを誘致するプランがあることを明かしたが、銀行からの融資が下りないのだそうだ。ならば、同社が「一号店舗(都市計画法第34条第1号)」として建物を建設し、住居と資金・賃金を保証し、全国から職人を募集したらどうか。島田和一社長、それが御社が目指す〝地域のタカラ〟になるのではないか。

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「CUBEプラン」

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モデルハウス

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モデルハウス

     ◇      ◆     ◇    

 こんなことを言っても詮無いことだが、この日午前中に行われた三井不動産レジデンシャルの「日本橋サロン」リニューアルオープン説明会には40人くらいが参加したのではないか。それからでもこの平屋建てプロジェクト見学会には間に合ったはずだが、取材したのは小生を含め2人とはどういうことか。現場を見ない限り〝平屋人気〟の理由は絶対わからないだろう。

調整区域&風致地区開発要件満たし生物多様性の取り組みに挑戦ポラス「馬込沢」(2024/11/19)

敷地100坪 建物30坪の平屋 ミラースHDの戸建て「南栗橋」企画ヒット(2022/11/13)

「目指すは企業価値の向上」タカラレーベン・髙荒美香氏女性活躍の視点から注目(2021/11/4)


 

 

カテゴリ: 2024年度

 さきほど記事を書いたが、記者は住宅窓のCPガラス普及が進んでいないのにショックを受けた。積水ハウスが全ての全ての戸建住宅で「遮熱断熱・防犯合わせ複層ガラス」を標準採用すると発表したのは2004年6月。20年も昔だ。その後、各社も追随したのだろうと思っていた。

 そうではなかった。「当たり前のはず」の戸建てへのCPガラス採用率が極めて低いことを裏付けるデータもあった。

 日本サッシ協会が2024年5月に発表した「2024年3月版『住宅用建材使用状況調査』の概要」によると、2022年8月以降から2023調査時点までに建てられた全国都道府県(沖縄を除く)の居住専用の木造並びにプレハブ住宅の防犯(CP)ガラス取り付け率は「戸数比」4.3%、「窓数比」2.1%とある。

 一方、玄関ドア(開戸)の電気錠システムの取り付け率は「戸数比」60.6%で、複層ガラスの取り付け率は、全国平均では「窓数比」99.9%となり戸建住宅で複層ガラスが標準的に使用されている。内訳は、複層ガラス1.0%、Low-Eガス無35.5%、Low-Eガス入54.3%、三層複層ガラス9.1%となっている。

 分譲戸建てを手掛けるすべてのデベロッパーは、CPガラスを標準装備とすべきだ。コストは一般的な複層ガラスと比べ1.5~1.6倍だそうだが、CPガラスを設置することの安心感、快適性を考慮すれば、お金には代えられない価値がある。住宅購入検討者もCPガラスの採用や、Low-Eガラスの有無を物件選好の一つにしてほしい。マンション用の樹脂サッシ開発も進んでいる。今後はすべてがそうなるはずだ。

全戸にCPガラス IoT駆使し快適性も県初のリスト「防犯セキュリティ・ホーム認定」

行動習慣を可視化駆けつけ防犯サービス開始月額4600~5600円積水ハウス


 

 

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