東京建物、三菱地所、野村不、三井不 デベロッパー4社の地価公示コメント
地価上昇基調が継続する可能性 つねにマーケット重視
東京建物 小澤克人社長
今回発表された地価公示は、地域や用途によって差はあるものの、全国全用途平均で4年連続上昇、上昇幅も拡大した。分譲マンション市場の堅調さの持続に加え、国外からの観光客の増加によりホテルや店舗需要が好調であったこと、オフィス需要の回復基調が鮮明となってきたこと、さらには再開発の進展により利便性や賑わいの向上が期待されるエリアが増加したことが背景にあると考えられる。
オフィスマーケットは、好調な企業業績などを背景に業容拡大、人材確保を目的とした好立地・ハイグレードオフィスの需要は引き続き底堅く、空室率も低下傾向にある。特にワーカーの心身の健康に着目したウェルビーイングへの対応やサステナビリティに配慮した高付加価値のオフィスビルの需要は今後も一層増大すると見ている。当社は、本社を構える東京駅の東側、八重洲・日本橋・京橋エリアを中心に複数の再開発事業を地権者の皆様と推進しているが、八重洲で進める「TOFROM YAESU TOWER」ではオフィスフロアのコンセプトを「ウェルビーイング」とし、ワーカーのウェルビーイング向上をサポートする機能を多数実装する予定である。これらウェルビーイング向上施策に加えて東京駅前という立地特性を多くの企業さまからご評価いただき、竣工が来年であるにも関わらず、隣接する街区「TOFROM YAESU THE FRONT」と合わせたオフィスフロアの内定率は既に約60%に達している。
ホテルや商業施設においてはインバウンド観光客の増加などにより、東京・大阪・京都をはじめとした観光地・全国主要都市を中心にホテルの稼働率や飲食店舗の売上が増加するなど、今後も拡大が期待できる。当社においては昨年、ヒルトンのフラッグシップ・ブランド「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」として京都初進出となる「ヒルトン京都」を河原町三条にオープンした。313の客室を有するラグジュアリーホテルであり、先斗町や祇園至近という利便性も相まって、京都観光の拠点の一つとして大変ご好評をいただけている。
物流施設は、ECの拡大や人手不足などを背景とした企業側の物流拠点網の再整備に伴う需要が底堅く、今後、需要の拡大が期待できる。当社は今後、千葉県船橋市で冷凍・冷蔵物流施設、神奈川県厚木市で危険物専用倉庫併設の物流施設開発に着手するなど、さまざまなニーズに対応した競争力の高い物流施設を提供していく。
分譲マンションマーケットは、建築費の上昇や住宅ローン金利の動向など懸念はあるものの、共働き世帯(いわゆるパワーカップル)や富裕層からの利便性が高く良質な住宅への需要は依然として高く、特に都心部においては価格の上昇基調が継続している。一方で郊外においては需給のバランスにより価格上昇が落ち着き始めているエリアも見られ、エリアによる価格トレンドの強弱が出始めている状況である。
金利については日銀の金融政策による動向を引き続き注視すべき状況にあるものの、それほど大幅な上昇にはならないと見ており、当面不動産市場への影響は少ないと思われる。その他、地政学的リスクや為替変動の影響、国内外の物価動向や人手不足問題等、今後の景気への不安要素もあるが、経済活動がさらに活発化し、原材料上昇分の製品価格転嫁や賃金の上昇などがさらに進むことで、用途を問わず利便性の高いエリアを中心に、地価の上昇基調が継続する可能性がある。
当社としては、地価動向には引き続き注視するととともに、いつの時代もマーケットを重視し、お客様のニーズを的確に捉え、お客様にご満足いただける商品やサービスの提供を通じて、人々が安全・安心・快適に過ごせるまちづくりを推進していく。
不動産の本質的な価値を高める取り組み加速
三菱地所 中島篤社長
令和7年の地価公示では、全国平均で全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4 年連続で上昇し、上昇率も拡大した。特に、交通ないし生活利便性に優れたエリアや、インバウンド需要が見込まれるエリアでの地価上昇が顕著であった。また、オフィス市場においては空室率低下と賃料上昇の傾向が継続し、地価の上昇に反映されている。
住宅需要は堅調で、分譲マンションの価格が引き続き上昇を続けているほか、賃貸マンション等を含め今後も好調が続くものと見込んでいる。当社事業では、昨年発表した「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」の販売が順調に進んでおり、大阪エリアでも「ザ・パークハウス 心斎橋タワー」など、交通利便性の高い好立地の物件は人気だ。
商業地に目を向けると、インバウンド需要の増加を背景に、ホテル事業やアウトレット事業も好調を維持。当社が空港事業を手掛ける宮古島エリアでウルトラ・ラグジュアリークラスのホテル「ローズウッド宮古島」が本年3月に開業したほか、2025年度中には当社グループの三菱地所ホテルズ&リゾーツが運営する「ロイヤルパークホテルズ」ブランドの運営客室数が6,000を突破予定。今後も積極的に全国各地のインバウンド需要を取り込んでいく。
オフィス市場では賃料の上昇が進む。丸の内エリアの空室率は昨年12月時点で1.97%と低水準を維持しており、当社グループの事業戦略として、各企業の経営資源たるオフィスへの付加価値提供を進め、賃料水準の底上げに一層取り組んでいる。また、昨年9月には大阪駅前の「グラングリーン大阪」が先行開業し、既に多くの来場者を迎えているが、本年3月21日には南館のオフィス棟が開業し、本格的な街の稼働が始まる。みどりとイノベーションをコンセプトに掲げるプロジェクトとしてここからが真価を問われる局面であり、求められる価値を徹底的に考え、提供していく。
日本経済では賃上げの定着や日銀の追加利上げなど、グローバルレベルのインフレを前提とした大きな動きがある。こうした時代の流れを味方につけ、不動産の本質的な価値を高める取り組みを加速させ、業界全体の成長へとつなげることで好循環を生み出していく。
ハード・ソフト両面で価格上昇に見合う商品の開発に注力
野村不動産 松尾大作社長
今回の地価公示は、全国平均で全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅が拡大した。一方で、資材費や労務費を含む建築費の高騰が当面継続すると想定されるため、各事業セクターは厳しい事業環境にある。当社としては、動向を注視しながら、多様な用地取得方法の推進や、ハード・ソフト両面で価格上昇に見合う商品の開発等により今後も対応していく。
住宅市場に関しては、建築費の上昇により、厳しい事業環境が継続する見込みのため、急激に供給量が増えるとは考えづらい。しかし、昨今の賃上げ率拡大とそれに伴う世帯年収の増加により住宅取得意識は継続して強く、需給のバランスは当面崩れないと見ており、利便性の高い都心物件や郊外の駅地価物件などを中心に、売れ行きが依然好調である。住宅ローン金利は上昇傾向がみられるが、世帯年収の増加に伴い、現時点では顧客の購入マインドへの影響は軽微である。今後も引き続き動向を注視してゆく。
オフィス市場に関しては、出社や採用の増加により、当社主力ブランドのPMOに加えてサービスオフィスのH¹Oでもテナント企業の拡張移転ニーズが増えている。また、インフレ局面において、賃料増額へのテナント企業の理解は得られる傾向がある。2025 年に東京での新規供給が集中するため、一時的にマーケット全体で影響が出る可能性があるが、23 区全体のマーケット規模と過去からの供給量に鑑みると、需給バランスが急激に悪化するとは考えにくい。
ホテル市場に関しては、高い水準でインバウンド顧客の利用が続いており、当社運営ホテルにおいても直営ホテルとグループのUDSが運営するホテルが共に好調。「フェアモント東京」も開業することから、市況の活性化しているタイミングで多様なホテルタイプを提供することが出来る。
物流市場については、EC市場の需要増加と運転手の労働時間規制により人手不足が課題。一方で拠点分散の必要性により、賃貸ニーズは拡大している。当社では首都圏に加えて中間物流適地での事業拡大や、物流施設の開発のみならず、カテゴリーマルチの深化や物流オペレーションの自動化機器導入などの商品企画により、顧客ニーズを踏まえた付加価値を今後も提供していく。
今年2月末にはいよいよ「BLUE FRONT SHIBAURA」TOWER Sが竣工。3月には竣工式と、同日にJR浜松町駅から芝浦エリアをつなぐ緑のアプローチ「GREEN WALK」も開通。7月にはラグジュアリーホテル「フェアモント東京」、8月にはオフィスフロア、9月には商業店舗と順次開業を予定しており、当社の本社移転も予定している。オフィスフロアでは1フロア約1,500坪の都内最大級の「テナント企業専用の共用フロア」も提供する。他にも、多様な働き方に対応した多くのワークスペースを用意し、立地特性である空・海・緑に恵まれた自然環境を活かした水辺ならではの新しい働き方を当社自らが実現していく。
2030年をターゲットとする野村不動産グループビジョンに「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」を当社グループで掲げている。 そこに暮らす、働く、時を過ごす一人一人のお客様の生活「Life」や時間「Time」をさらに豊かにしていくために、新たな付加価値を創造し、お客様に多様な付加価値を提供できる不動産関連商品・サービスをこれからも提供していく。
地価公示は、不動産の取引動向や中期的な展望を反映したものであり、様々なマクロ指標と合わせて今後も重要指標のひとつとして注視していく。
デフレから脱却し成長型経済へ向かう「時代の転換点」
三井不動産 植田俊社長
今般公表された地価公示では、全国の全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。三大都市圏、地方圏ともに上昇傾向が続き、地域や用途により差があるものの、全体として上昇基調が鮮明となりました。景気回復の影響が全国的な地価上昇に波及した結果といえます。経済活動の活性化に伴い需要が創出され、日本の産業競争力強化、そして国富増大に結び付いているといえます。
都心部においては、大規模再開発事業が進展するエリアの地価上昇が顕著となりました。大規模再開発事業は、日本の国際競争力の強化に貢献し経済成長を牽引する役割を果たしており、我が国の未来を担うものとして、一層その必要性・重要性を高めています。また、オフィス空室率の低下や賃料が上昇傾向にあり、継続する住宅マーケットの好調さや、活況なインバウンド等から商業・ホテルの需要が堅調であり、地価上昇に反映されました。
地方圏では、引き続き、半導体関連企業の進出が進む地域や、物流施設需要が高まる地域での地価上昇がみられます。各地域の特色を活かした産業創造を進展させ、新しい時代の新しい形での地方創生が求められています。
世界では、トランプ政権の政策等のインパクトが各国経済および日本の経済・企業に与える影響をはじめ、様々な地政学リスクが懸念されます。日本経済においては、継続する賃上げにより賃金・物価の好循環への確度が少しずつ高まっています。日銀の利上げにより「金利のある世界」が戻り、デフレから脱却し成長型経済へ向かう「時代の転換点」にいます。
デフレの時代は付加価値が正当に評価されてきませんでした。付加価値を評価し、物価と賃金のプラスの連鎖を生み、成長型経済の実現につなげたいと考えます。
当社グループとしては、このような転換点を大きなチャンスととらえ、付加価値の創造力において圧倒的な力を発揮していきたいと考えています。「不動産デベロッパー」の枠を超えた「産業デベロッパー」として、日本の国際競争力の強化・新産業の創造に貢献し、新たな社会的価値と経済的価値の創出を両輪で実現してまいります。
令和7年地価公示 1990年の〝半値戻し〟 住宅地上昇率1位は2.4倍の沖縄・北中城村

流山おおたかの森駅(国土交通省ホームページから)
国土交通省は3月19日、令和7年地価公示(1月1日時点の地価)を公表。令和6年1月からの1年間の地価動向は、全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅が拡大した。
三大都市圏では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅が拡大。東京圏及び大阪圏では上昇幅の拡大傾向が継続しているが、名古屋圏では上昇幅がやや縮小した。
地方圏では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇。全用途平均・商業地は上昇幅が拡大し、住宅地は前年と同じ上昇率となった。地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)では上昇幅がやや縮小したが、その他の地域では概ね拡大傾向が継続している。

◇ ◆ ◇
地価上昇は続いているが、最も地価が高かったバブル期の1990年(平成2年)の地価水準と比較すると、令和7年の全国全用途の地価は50.1%で〝半値戻し〟であることが分かる。当時を知る高齢者の方はみんな〝異常〟であったことを認めるはずだが、いまの住宅・不動産市場が〝正常〟なの〝異常〟なのか分かる人は記者も含めてほとんどいないのではないか。
また、1990年と比較が可能な2025年の住宅地の価格でもっとも上昇率が高い区市町村は沖縄県の北中城村で、坪13.2万円から31.9万円と約2.4倍に上昇した。2位は約2倍の熊本県菊陽町、3位は1.8倍の北海道千歳市。
ベスト10のうち最北の北海道と最南の九州の9市町村が独占した。これらの地域はバブルの影響をほとんど受けていなかった地域でもある。

大阪一等地マンションは坪1,000万円沖縄の「村」は坪250万円でも人気大和ハウス(2024/9/11)
民泊も可能大和ハウス「沖縄」/増加する分譲ホテル・コンドリゾマンの行方は(2024/2/20)
2月の訪日外客数326万人 2月として過去最高 日本政府観光局
日本政府観光局(JNTO)は3月19日、2025年2月の訪日外客数は3,258,100人で、前年同月比で16.9%増となり、2 月として過去最高、初めて300万人を突破したと発表した。最多は韓国で847,300人(前年同月比3.5%増)で、中国722,700人(同57.3%増)、台湾507,300人(同1.0%増)。
一部市場で旧正月(春節)休暇が2月初旬まで続き、旅行需要の高まりがみられたほか、前月に引き続きスノー需要が高まる時期である中、豪州と米国を中心に訪日外客数が増加したことが押し上げた。
ベトナムで単月過去最高を更新したほか、19市場(韓国、台湾、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、北欧地域、中東地域)で2月として過去最高を記録した。
グローバル不動産投資 2030年度にAuM10兆円に拡大 三菱地所

中島氏(三菱地所本社で)
三菱地所は3月19日、グローバル不動産投資市場に関する記者懇談会を開催し、代表執行役執行役社長・中島篤氏と執行役員投資マネジメント事業部長・稲川純路氏が、同社の投資マネジメント事業と市場動向について説明した。
中島氏は「当社は2001年に日本初のJ-REITを上場し、不動産投資事業に25年間取り組んできた。現在、国内外4拠点の連携を強化し、AuM(Assets under Management:運用資産残高)は目標の5兆円を達成。新たに2030年度末までに10兆円を目指す」と述べた。
稲川氏は市場動向について、「2023年末時点で機関投資家の不動産運用額は上位20社で約9,118億ドル。シンガポールのGIC Private Limitedは2年間で595億ドルから1,001億ドルに増加。日本ではゆうちょ銀行が18位にランクインし、298億ドルを運用している」と説明。また、投資ファンド運用会社では米国のBlackstoneが5,860億ドルで首位を独占し、3位のPrologisは2年前の1,011億ドルから2,188億ドルへ増加するなど、業界の寡占化が進んでいるとした。
米国市場では、物流施設はコロナ禍で需要が急増したが、供給過多や建設コスト高騰により調整局面に入っている。一方、賃貸住宅市場は人口移動の影響で一時的に空室率が上昇したものの、サンベルト地域への人口流入と経済成長により堅調な需要が続いている。
三菱地所は、ファンドやREITを活用した「ノンアセット事業」と、海外事業グループと投資家の出資による「ハイブリッド・モデル」を推進し、リスク分散と投資機会の拡大を図る。2020年度に策定した「長期経営計画2030」では、ノンアセット事業を成長領域と位置付け、当初の5兆円目標を2022年度に前倒しで達成。2023年3月には新たに2030年度末までにAuM10兆円、事業利益3,500~4,000億円、EPS200円、営業利益300億円を目標に設定した。
2025年3月期2Q時点のAuMは約6兆円で、国内23,500億円、海外36,500億円(米国29,000億円、欧州4,500億円、アジア・パシフィック3,000億円)。
今後は、グローバルな機関投資家から支持されるトッププレーヤーを目指し、商品の国際展開、商品ラインアップ拡充、投資家向け営業体制の強化を進める。投資マネジメント事業のプラットフォームは「Mitsubishi Estate Global Partners(MEGP)」として展開中。
同社の強みとして、日本市場における機関投資家との関係、ハイブリッド・モデルによるシナジー効果、デベロッパーマインドを活かした起業家精神によるアルファの創出を挙げる。また、成長中の米国子会社TA Realtyはデータセンター事業に進出し、全米で2.5GW規模の開発案件を進めている。
国交省「TSUNAG 認定」トリプル・スター 東京建物/三菱地所など/積水ハウス

「新・里山」(2019年撮影)
東京建物「大手町の森」 平均1.7℃気温が低下

東京建物は3月18日、同社の大手町タワー(東京都千代田区)内の緑地「大手町の森」(3,600㎡)が、国土交通省「優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG)」の第一号認定で最高段階評価「★★★(トリプル・スター)」を獲得したと発表した。
大手町の森は、2013年8月に完成した大手町タワーの敷地の約3分の1に広がる緑地。千葉県君津市内の山林で約3年間をかけて実際に木々や草花を育成する「プレフォレスト」という手法をとり、建物の竣工にあわせて土壌や植物を移植した。敷地内は開発前後の比較で平均1.7℃気温が低下しており、昆虫類はウラナミアカシジミ、セスジイトトンボなど計129種、鳥類はタカやハヤブサなど計13種が確認されている。
三菱地所など「グラングリーン大阪」2期 街区全体で約1,600本の植栽

三菱地所を代表企業とするグラングリーン大阪開発事業者JV8社と一般社団法人うめきたMMOは3月18日、「グラングリーン大阪(うめきた2期地区)」が国土交通省「優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG)」第一号認定で最高ランクの「トリプル・スターに認定されたと発表した。
「うめきた公園」「北館・南館」で整備した緑地の量(緑地割合37%)、街区全体で約320種・約1,600本もの植栽整備によるCO2固定、生物多様性に配慮した緑地整備および維持管理、来街者の健康・運動に資するパークマネジメント・エリアマネジメントの取り組みなど、緑の質も評価された。
積水ハウス「新梅田シティ」 約8,000㎡の「新・里山」

積水ハウスは3月18日、野村不動産、ダイハツディーゼル梅田シティ、ウェスティンホテル大阪とともに保有・管理する「新梅田シティ」が、国土交通省「優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG)」第一号認定で最高ランクの「トリプル・スターを獲得したと発表した。
「新梅田シティ」の北側に整備した約8,000㎡の「新・里山」は、積水ハウスが推進する「5本の樹」計画に基づいて植栽が行われており、在来樹種を中心とする植栽は、都市部において生物多様性保全に効果があることが科学的に証明されている。
「TSUNAG 認定」トリプル・スターにはこのほか、★3つから赤坂インターシティAIR(日鉄興和不動産、赤坂インターシティマネジメント)、麻布台ヒルズ(森ビル)、東京ポートシティ竹芝オフィスタワー(東急不動産)と、★2つに大丸有地区 ホトリア広場・一号館広場・丸ビル外構(三菱地所)、BLUE FRONT SHIBAURA(野村不動産、東日本旅客鉄道、以下BLUE FRONT)の2件が認定された。
国交省「TSUNAG 認定」に異議あり「BLUE FRONT SHIBAURA」★2つはなぜ(2025/3/18)
〝負けたらあかんで東京に〟返上「グラングリーン大阪」南館3/21オープン(2025/3/17)
生物多様性育む植栽管理計画導入第一号東急不動産「ブランズ自由が丘」(2024/6/4)
東急不HDグループ「森をつなぐ」PJの一環商業施設で「森のつかい」実施(2021/3/23)
世界的潮流か大河のようなウェーブ、アール形状が美しい森ビル「麻布台ヒルズ」(2023/12/22)
国交省「TSUNAG 認定」に異議あり 「BLUE FRONT SHIBAURA」★2つはなぜ

「BLUE FRONT SHIBAURA」の「GREEN WALK」(壁面緑化)
国土交通省は3月18日、令和6年11月に施行された都市緑地法に基づく優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG:ツナグ)の「TSUNAG 認定」第1号に14件を認定したと発表した。
認定ランクは★3つから★1つの3段階で、住宅・不動産業界からは★3つに大手町タワー(東京建物)、赤坂インターシティAIR(日鉄興和不動産、赤坂インターシティマネジメント)、麻布台ヒルズ(森ビル)、東京ポートシティ竹芝オフィスタワー(東急不動産)、グラングリーン大阪(三菱地所など8社と一般社団法人うめきたMMO)、新梅田シティ(積水ハウス、野村不動産、ダイハツディーゼル梅田シティ、ウェスティンホテル大阪)の6件と、★2つに大丸有地区 ホトリア広場・一号館広場・丸ビル外構(三菱地所)、BLUE FRONT SHIBAURA(野村不動産、東日本旅客鉄道、以下BLUE FRONT)の2件が認定された。

「GREEN WALK」(以下、全て「GREEN WALK」)

◇ ◆ ◇
認定された7件をすべて見学している。みんな素晴らしい。甲乙をつけるのは難しいが、どうしてBLUE FRONTが★2つなのか、記者はわからない。評点の付け方が間違っているのではないか。審査員(そもそもいないのかも)はしっかり現場を確認しているのかと言いたい。他の6件の「TSUNAG 認定」は、麻布台ヒルズを除けば完成してから数年が経過している。だから評点が高いのか。
記者は★3つにBLUE FRONTを格上げするし、もう一つ上の★4つのランクを設けるならこのBLUE FRONTとグラングリーン大阪、新梅田シティを認定する。
実は昨日(17日)、芝浦エリアマネジネントが行った「芝浜まちづくりフェス」を取材したあと、BLUE FRONTの「GREEN WALK」を見て回った。感動で胸がふるえた。コンセプト、規模などが異なるので他の緑化空間と単純な評価はできないが、樹木の搬入・工事の難易度も考慮してどこよりも素晴らしいと採点した。
GREEN WALKは、浜松町駅や竹芝エリアと、芝浦エリアとの回遊性を高めるために、港区道である歩行者専用道路を中心に植栽や水景を整備したアプローチ。今後も今整備を続け、浜松町駅北口・竹芝方面までの伸長を予定しているので未完成ではあるが、浜松町駅からBLUE FRONTまでの歩道空間の植栽は見事というほかない。植栽された中高木は人間に例えればすでに青年期を迎えている。貧弱な幼木などではない。幅員が広くないのをカバーするためか、壁面緑化がまた素晴らしい。



◇ ◆ ◇
野村不動産は18日、ネイチャーポジティブ実現に向けた、具体的な生物多様性保全の取り組みを示す「Link NATURE Action」を策定したと発表した。
原則として、各行政で定められた緑化基準×110%以上の緑化計画とし、地域に根ざした在来種を60%以上採用し、定性的な指標として、大規模物件において生物多様性認証取得を原則取得するほか、生態系に配慮した植栽の維持管理、社員教育・環境コミュニケーションを実施するとしている。
〝12 KANDA〟1周年×〝the C〟クローズ合同イベントに500人 リビタ

「12 KANDA」
リビタ(ReBITA)が3月14日~17日行った「〝12 KANDA〟1周年×〝the C〟クローズ合同イベント SHARE P>P>F>」を見学した。最近、この種のシェアオフィスや賃貸マンションの見学取材が増えているが、「12 KANDA」は設計を担当しているsinato/南條設計室のデザインが素晴らしく、「the C」は洗面だけの約16㎡のシェアアパートメントの坪賃料が約2.6万円するのにびっくりした。期間中、2物件併せて約500人が見学した。
「12 KANDA」は、秋葉原駅から徒歩5分・神田駅から徒歩7分、千代田区神田須田町2丁目に位置する地下1階地上10階建て延床面積約1,944㎡。用途は事務所・店舗。区画数はプライベートオフィス34区画(KOAKINAI OFFICE含む)、プライベートデスク32区画、フリーデスク17席。区画面積は11.41~41.06㎡。24時間入退室可能。開業は2024年2月。設計・監理はsinato/南條設計室。施工は平井工業。
個人から様々な規模の法人にも対応するため全区画とも個室とし、共用のラウンジ、LDK、10分単位で予約可能な会議室、テラスなどと地階には3店舗が入居する「小商いMALL」を備えているのが特徴。開業1年で稼働率は7割。
「the C」は、神田駅から徒歩7分、小川町駅から徒歩4分、千代田区内神田1丁目の神田警察通りに面する地下2階地上9階建て延床面積約3,411㎡。竣工は1962年1月。リノベーション竣工は2014年12月。契約は終了し、入居者はすべて退去している。今後の予定は未定。
同社がビル所有者から賃借するまでの用途は「事務所」。稼働率は高くなかったが、リノベに当たっては用途に「寄宿舎」を追加してシェアアパートメント(54室)を新設。シェアオフィスも固定デスク(10室)、Full time Member(30室)、Night time Member(30室)としたことで稼働率は95%くらいに高まった。また、運営コストを削減するため2基あったエレベーターを1基したという。

「12 KANDA」

「the C」地階

キッチン、シャワー、トイレ、洗面付きの26㎡は家賃151,000円(共益費込み)左側の壁はアーティストインレジデンスの企画でペイントされている

the Cに入居していた人による〝寄せ書き〟

「the C」が入居するビル
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「12 KANDA」の外観写真を見ていただきたい。sinato/南條設計室のデザインが最高に素晴らしい。賃料は、5階の37.12㎡で総額約85万円(坪約7.6万円)。
「the C」の家具・調度品などは年季が入っていた。また、ラウンジの柱や壁などに入居者による〝寄せ書き〟がたくさん寄せられていた。同社によると、「これまでthe Cに入居されていた方々へこの場所で感じた様々な想いやエピソード、ちょっと先のシェア暮らしを妄想する未来に向けたアイデアを建物の柱や壁へ寄せ書きという形で表現してもらいました」とのことだ。
16㎡のシェアアパートメントの賃料は共益費込みで123,000円(坪賃料約2.6万円)。別にトイレ、シャワールーム、バスルーム、キッチン、コインランドリーなどが備わっているとはいえずいぶん高いと思った。

「the C」のビルが完成するころに植えられた神田警察通りのイチョウ(樹木ますは小さく、イチョウは高さ10mくらいに剪定されていた。すべて伐採予定)

取材の帰りに神田駅近くの居酒屋で食べたアユの塩焼き(アユがかわいそう)
進化する三菱地所「The Parkhabio SOHO」先進のスマートホーム 第5弾「関内」(2025/3/12)
一人暮らし環境を劇的に変える 野村不「コリビング賃貸」第一弾「品川中延」(2025/2/19)
「世界で戦えるスタートアップ支援」常識超えたレイアウト CIC Japan勉強会(2024/12/17)
芝浜小学校4年生93人 自然、環境、遊び場、交通テーマに発表会 芝浦エリマネ

「芝浜まちづくりフェス」(「HI-NODE」で)
芝浦エリアマネジネントは3月17日、野村不動産が開発した「HI-NODE」で芝浜小学校4年生による芝浦のまちづくりに関する校外授業「芝浜まちづくりフェス」と、港区が新設した新浜公園のお披露目会を行った。校外授業は、児童93人が30チームに分かれ、それぞれ自然、環境、遊び場、交通などをテーマにした研究成果を関係者や保護者に発表した。情報源はネットであることはすぐ分かったが、大人顔負けのテーマと内容にびっくり仰天した。
「芝浜まちづくりフェス」を総評して芝浜小学校・宮﨑直人校長は「みんなが取り組んだテーマも、しっかり報告できたことも素晴らしかった」と絶賛。野村不動産芝浦プロジェクト本部芝浦プロジェクト企画部企画課課長・曽田朋恵氏は「大人たち(まちづくり協議会)もしっかり受け止めました。みんな、やり切ったぜ!」と締めくくった。
「海と川」をテーマに〝汚い芝浦の海をきれいにしよう〟と呼びかけた1組のチームの保護者の女性は「家で見る顔と全然違う。テーマがみんな素晴らしく、Q&Aも深掘りされていた」と驚いていた。
同エリアマネジメントは、野村不動産と東日本旅客鉄道が2022年に「BLUE FRONT SHIBAURA(芝浦プロジェクト)」を推進するため共同で設立した一般社団法人。地元町会、行政とともに設立した協議会「芝浦一丁目地区まちづくり協議会」と連携し、芝浦一丁目地区を中心に地域コミュニティの活性化や防災の向上に寄与する活動を行っている。また、港区が推進する地域を担う人材育成プログラム「SKDs学びのまちプロジェクト」に協力しており、今回のイベントもその一環。
港区芝浦1丁目に新設された新浜公園は広さ約1,670㎡。区内の2か所に点在していた既存の公園を集約・再編成したもの。東側は古川・高速道路、南側は芝浦運河、西側は「BLUE FRONT SHIBAURA」に面している。


「芝浜まちづくりフェス」

新浜公園(人工芝は理解できなかった)
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小学4年といえば、自我が目覚めるころだ。記者もそうだった。毎日、漢字のテスト10問が行われ、その設問が前日に知らされていた。「くだら」があった。テキストにも辞書にもなかった。親も知らなかった。答えられないのが悔しく、近くに住む別の学校の校長に聞いてくれるよう親に頼んだ。「百済」だった。習っていない漢字テストをする国語の先生には頭にきたが、朝鮮の歴史に興味を持ったのもそのころからだし、いまでも「百済」は忘れないし書ける。今回の児童のテーマは、先生の指導・誘導ではないようだ。
さて、クエッション。児童の次の質問に皆さんは正答することができるか。①交通事故が一番多い季節は②1分間の交通事故数③3Rとは④47都道府県のうち東京都の水道水は何番目にまずいか⑤47都道府県で一番きれいな海はどこ⑥港区の外国人比率は何パーセントか⑦アンケートで「自然を増やして」と答えた人は何パーセントか⑧「きれい」を漢字で書けるか。みんなネットで調べたのだそうだ。オーストラリアが児童のSNSを禁止したのは何となくわかるような気がする。
【答え】①冬②1回③Reduce、Reuse、Recycle④6番目⑤沖縄県⑥7.9%⑦49%⑧綺麗(児童のQ&Aなので③と⑧以外は記者は責任を取りません)

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〝負けたらあかんで東京に〟返上 「グラングリーン大阪」南館3/21オープン

「グラングリーン大阪」南館
大阪・関西万博の開幕に照準を合わせた「グラングリーン大阪」南館が3月21日にグランドオープンするが、それに先駆けた3月14日、南館の〝目玉〟となっている「うめきた温泉蓮Wellbeing Park」「ホテル阪急グランレスバイア大阪」「タイムアウトマーケット大阪」のメディア向け内覧会が行われた(解禁は17日10:30の縛りあり)。
「グラングリーン大阪」の素晴らしさは昨年9月に行われた4.5haの「うめきた公園」内覧会でも確認しているが、今回取材してその意は確信に変わった。これまで何かにつけ〝大阪は東京の半分〟と考えてきたが、これは改めざるを得ない。「グラングリーン大阪」の街づくりは完全に東京を超えた。天童よしみさんは〝負けたらあかんで東京に〟と歌うが、東京のデベロッパーには〝負けたらあかんで大阪に〟と言いたい。敷地面積約3.1haの「東京トーチ(TOKYO TORCH)」はここにどこまで迫れるか。
(ヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド「ウォルドーフ・アストリア大阪」は4月3日開業予定で、今回の見学取材の対象にはなっていなかったが、1階のエントランス・車寄せの外構は自然石がたくさん配されており、植栽も豊富だ)

「ウォルドーフ・アストリア大阪」BALLROOM

「ウォルドーフ・アストリア大阪」presidential suite
南館は、敷地面積約約 25,260㎡、地下3階地上39階建てパークタワー、地下3階地上18階建てゲートタワー、地下3階地上28階建てサウスタワー合計延床面積約 314,250㎡。設計全体統括は日建設計・三菱地所設計、南館設計は三菱地所設計、日建設計、大林組、竹中工務店。デザインリードはGGN、デザインは三菱地所設計・日建設計。施工は竹中工務店・大林組。

サンクンガーデン

パレイ
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南館を見て、記者が惚れ込んだのは基壇部のデザインだ。濃淡が異なる数種のライトブラウンの外壁がひと際目立つのだが、かといって上層階や周囲の建物や環境によくなじんでいた。確認したら、施工を担当する竹中工務店のクラウディ工法特殊仕様(フッ素クリアー工法)とのことだった。専門的なことはわからないが、日本ペイントの環境に優しくコンクリートの美しさを引き上げ、雨水や紫外線などの劣化要因から長期間壁を守る仕上げ材のようだ。

基壇部の外壁デザイン

クラウディ工法特殊仕様(フッ素クリアー工法)による外壁。同じ色に写っているが、3つとも微妙に異なる
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「ホテル阪急グランレスバイア大阪」は、一泊基本料金がスタンダードダブル(22㎡)で6万円、ラグジュアリー(48㎡)で24万円は庶民にとっては高いと思うが、呑み助にはたまらないホテルだ。フロントの隣にあるレストランの入り口正面にはバーカウンターがあり、めまいがしそうなほど酒のボトルがたくさん並んでいた。「山崎」が1,800円、「シーバスリーガル」が1,200円だからそんなに高くない(「ジョニー・ウォーカー」最上位のブルーラベルは3,500円)。
もっとすごいのは、26階・27階のラグジュアリーの宿泊客専用のクラブラウンジだ。何と酒は飲み放題。ラベルを見た。そんな高価な酒はなかったような気がする。さすが阪急だ。食い倒れの大阪が本拠だけのことはある、飲み倒しされないようしっかり計算している…それでも酒好きだったら飲み代は数万円の価値はあるはずだ。

「ホテル阪急グランレスバイア大阪」(壁面は本物のグリーン。両開きの扉も突板のはず)

レストランのバーカウンター

ラグジュアリー宿泊者しか利用できないクラブラウンジ

クラブジュニアスイート
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風呂嫌いの小生でも、温泉施設、スーパー銭湯、スパ、旅館の大浴場はそれなりに利用したことがある。何種類もの浴槽に湯あたりし、飲む前に酔っぱらうのが常だ。最近見学した施設では、入ろうとは思わなかったが、都立明治公園内の東京建物の都市型スパ「TOTOPA都立明治公園店」が最高に素晴らしかった。
今回の取材をセットしてくれた「グラングリーン大阪」南館グランドオープン・広報事務局には申し訳ないし、冷水を浴びせたくはないが、南館の3階・4階にある〝売り〟の一つでもある関西最大級の健康増進施設「うめきた温泉蓮Wellbeing Park」(約6,000㎡)には一言いいたい。
施設は、規模もさることながら大浴場、岩盤浴、ヨガスタジオ、屋外・屋内プール、健康スタジオ、リラクゼーション&ビューティサロン、御食事処などか備わっているのはさすが、触れ込み通りだと思った。ロッカーは男女合わせ750個もある。ベーシックプランで一般の料金が3,190円(税込み)、1DAYパスポートで7,040円(同)というのもリーズナブルだと思った。
ところが、フロントと大浴場の設えは〝画竜点睛を欠く〟-他の立派な設備・サービスと釣り合わないと思った。フロントは広々としているのだが、壁際のグリーンはフェイクであることがすぐわかる。記者はこの神経が分からない。ラグジュアリーホテルや高級料理店のエントランスにそれと分かるフェイクグリーンが使われていたら、いやな気分になるのではないか。大浴場は小さく、同時に入れるのはせいぜい数人だろう。大阪ではこれが大浴場なのか。
さらに言えば、ほとんどの床はどこにでもあるシート張りだった。この種の施設は滑らないような配慮が必要だ。記者が最高だと思ったのは、住友不動産の「ヴィラフォンテーヌ羽田空港」ホテルの約2,000㎡、24時間営業の温浴施設「泉天空の湯 羽田空港」だ。展望露天風呂をはじめ、4種の内湯やサウナ・岩盤浴などが楽しめる。床は全面スギ材による「クラフトマン パネル 無垢不燃」ナグリ仕上げだった(脱衣室の床はフェイクのバンブーだったが…)。裸足で歩くとナグリ仕上げがいかに心地よいか…。

フロントのフェイクグリーン(壁面も)

右が大浴場(男湯、女湯ともほぼ同じ大きさ)
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取材時間がなくざっと見ただけだが、南館地階の「タイムアウトマーケット大阪」は、食と文化を体験できるアジア初進出の飲食街。「約3,000㎡のスペースに17のレストランと2つのバー、イベントスペースが集積。関西のトップクラスのシェフや有名レストランの料理をはじめ、受賞歴のあるミクスロジストカクテル、大阪の新進気鋭のアーティストによるカルチャー、エンタテイメントが楽しめる」(プレス用資料のコピペ)。
このような施設は東京でも最近増えている。各店舗は遮るものがないから、それぞれが混雑し、酒が入ったら声を張り上げないと会話できないのではと心配にもなった。

「タイムアウトマーケット大阪」

時とともに成長する「うめきた公園」美しい「JAM BASE」先行街びらき(2024/9/4)
「うめきた公園」事業者は自画自賛でも大阪市の指定管理者評価の評点は77点(2024/9/4)
東建&東建リゾート都市型スパ「TOTOPA都立明治公園店」3月22日開業(2024/3/16)
スイート、温浴施設が素晴らしい住友不「ヴィラフォンテーヌ羽田空港」12/21開業(2022/10/7)
ポラスグループ 吉川市と災害時の防災協定/延床5000㎡超の「ポラステクノシティ」

「ポラステクノシティ」
ポラスグループは3月13日、先に竣工した埼玉県吉川市の複合施設「ポラステクノシティ」で、中原恵人・吉川市長と中内晃次郎・ポラスグループ代表が出席して、吉川市と「災害時における帰宅困難者一時滞在施設の提供並びに防災倉庫の使用に関する協定」の締結式と施設見学会を行った。
締結式で中原氏は、「私の父親は日本家屋の設計士であることから、小さいころから建築には興味があった。今回の施設がどのようなものになるかわくわくして見ていた。東口の区画整理事業は文化の拠点にするのが一つのテーマ。木造住宅は日本の文化そのもの。このような木材の文化を継承し、さらには環境問題、子どもたちや市民に様々な学びを提供していただくことは大変ありがたい。この協定が吉川市の街づくり全体、そしてこの地で建てられる住宅が安心・安全につながっていくことを期待している。今後、ここには5,000人近い新しい市民が住まわれることになる。皆さんと様々な形で連携させていただく」とあいさつした。
中内氏は、「今回の協定の締結を機に、地域の活性化と安全・安心な街づくりに通じる活動を行っていく。『ポラステクノシティ』は当社の木造建築の情報発信拠点。構造から全て木造からなっており、3つの建物は当社のポラス暮し科学研究所の開発・研究施設として、また、『体感住まいパーク』は4棟の注文住宅のモデルハウスから構成されており、宿泊体験も可能な施設となっている。当社はこれまで市内で多くの分譲住宅、注文住宅を建設してきたが、吉川市内に常設の販売拠点を設けるのは初めて。また、この施設は当社の木造建築としては最大の延床面積。今後開発が進む吉川美南の東口の区画整理事業エリアにおいて、この施設を最大限活用し、地域活性化の一助になる事業を展開していく」と語った。
協定に基づき、施設は災害時の帰宅困難者の受け入れ、電気、水道などの提供、さらには防災備蓄倉庫も整備されることになっている。
「ポラステクノシティ」は、JR武蔵野線吉川美南駅から徒歩13分、吉川市による施行面積約59.1haの吉川美南駅東口周辺地区土地区画整理事業地内に位置する敷地面積約6,000㎡(1,800坪)の規模。ポラスグループ6か所目となるグループ単独の注文住宅展示場「体感すまいパーク吉川美南」4棟のほか、住まいに関する技術展示スペースと地域との交流の場となるイベントスペースを設けた「オフィス棟」(2,252㎡)、主にポラス暮し科学研究所が入る「研究棟」(1,342㎡)、実物大の住宅を収めた実験が可能な「実験棟」(1,050㎡)から構成されており、建築確認に当たっては、4施設を一つの建築物(事務所)として認定された。4棟全体の延床面積は5,127㎡となり、同社のこれまでの木造建築物としては最大規模。常時70~80人が勤務する。
3棟に共通するのは、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)認証取得。ZEB要件を達成。木造建築でBIM活用(国土交通省補助事業「建築BIM加速化事業」利用で、3棟合計で年間杉10,214本分、森林面積11.3ha分のCO2排出削減効果があるという。
オフィス棟は75分準耐火、研究棟は60分準耐火構造。一般流通材と大断面集成材、住宅用の金物を使用。オフィス棟の3階部分は12m×32m=384㎡の無柱空間となっている。実験棟は高さ15.5m×短辺20m×長辺52.5mの木造平屋建て。CLT材のノンビス高耐力壁を用いることで強度・靭性、施工性の両立を実現。一般的な構造用面材を用いた場合、439人の職人が必要なのに対して、191人で完成させた。実験棟の広さは、先月見学した三井ホームの埼玉工場内の25m×40m(約1,000㎡)の施設とほぼ同じ。

中原氏(左)と中内氏

左から中原氏、市のキャラクター・ナマリン(市はナマズで有名)、中内氏

オフィス棟

研究棟

実験棟

オフィス棟の無柱空間の3階(左)と階下の2階(2階は荷重がかかるため柱が必要とか)

オフィス棟1階ロビー
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取材の帰り。区画整理事業地内の植栽マスではシャリンバイが植えられていた。丈夫な常緑低木で、春には白い可憐な花を咲かせるが、どちらかといえば地味な樹木だ。歩道は自転車専用レーンも設けられており、幅は6mくらいあったが、駅前の街路樹は幼木(樹種は不明)だった。ここに限ったことではないが、区画整理事業地の街路樹はどこも貧弱だ。大きな課題だと思う。

シャリンバイ(左)と駅前の街路樹

