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「三井ガーデンホテル銀座築地」

 三井不動産と三井不動産ホテルマネジメントは917日、「三井ガーデンホテル銀座築地」のプレス内覧会を実施し、930日に開業すると発表した。インバウンド客の中長期滞在・宿泊を想定し、「三井ガーデンホテル」シリーズとしては初めて全室に洗濯乾燥機・電子レンジ・冷凍冷蔵庫を備えたほか、本物の木や観葉植物やアップサイクルの素材を多用したデザインにより、〝上質なくつろぎと安らぎ〟を演出しているのが特徴。

施設は、東京メトロ日比谷線・都営浅草線東銀座駅から徒歩3分・東京メトロ日比谷線築地駅から徒歩4分、中央区築地4丁目の商業地域に位置する敷地面積約761㎡の14階建て全183室。客室面積20.2㎡~46.6㎡(中心は約26㎡)。直床、天井高は2500ミリ、浴槽は一部のタイプで、シャワー室が中心。客室単価は3万~6万円台を想定。付帯施設は大浴場(地下1)、カフェ(1階)、リフレッシュスペース(2階)、フィットネスジム(9階)、レストラン・バー(14階)。

プロジェクトコンセプトは「少し上質な日常を過ごせる場所〝LIFE PLAACE〟」。外構や屋内に本物の緑をふんだんに取り入れ、同社グループの社有林の木材を活用した家具や、アップサイクルのアートなどサステナブルにも配慮している。

デザインコンセプトは「築地だからこそ〝素(しろ)から始まる〟。染色していない絹の素材の色を多用し、アール形状のデザインを取り込むことで、全館が優しい雰囲気を醸し出すように工夫されている。

客室は、インバウンド客の中長期滞在・宿泊を想定し、「三井ガーデンホテル」シリーズとしては初めて各室に洗濯乾燥機・電子レンジ・冷凍冷蔵庫を備えている。

内覧会で三井不動産ホテルマネジメント三井ガーデンホテル銀座築地総支配人・櫻井賢子氏は「着工した202211月は、『Stay in the Garden』へリブランディングしたのと同時で、新たな舵を切ったホテル。上質なくつろぎと安らぎを表現している。中長期滞在のニーズに応え、街に開かれた空間も設け、新たなサービスも付加した。オールデイで楽しんでいただける」と話した。

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ロビー(上部の緑はフェイク)

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デラックストリプル

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洗濯乾燥機・電子レンジ・冷凍冷蔵庫

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リフレッシュスペース

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大浴場

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櫻井氏

        ◆     ◇

 櫻井氏が話した「Stay in the Garden」「上質なくつろぎと安らぎ」そのもののホテルだ。ラグジュアリーホテルによくある奇を衒ったデザインなど一つもない。〝優しさ〟がストレートに伝わってきた。

 何より素晴らしいのは、本物の観葉植物を多用していることだ。1階には沖縄から探してきたという2本のシンボルツリー(アムステルダムキング、ベンガレシスリオ)が配されており、天井高6mのロビーの上部の緑はフェイクだったが、レストランや客室のベランダにも本物の植物が植えられていた。木製の家具やアメニティにはサステナブルな取り組みが見て取れた。木調の家具、伝統工芸品の有松絞「suzusan」を纏ったランプシェード、フラワーアートも目を引いた。

 驚いたのは、福岡・京都を中心に多彩なレストランを展開するONO GROUPが東京に初出店した14階のレストラン「GINZA ONO Gratia-Smoke Dining-」だった。

「薪焼き」を得意とするレストランで、ヒノキやクヌギの本物の薪がデザインとして取り込まれており、1000度以上の火で柔らかくした鉄をアトランダムに叩いて造ったというアート(炎をイメージしたそうだが、記者は人間に見えた)と、その背景のえもいわれぬ臙脂にしばし見とれた。

客室料金について。高いのか安いのかわからない。新型コロナが猖獗を極めていたとき、あるホテル会社はキャンペーン料金として「一泊2,980円」を打ち出し話題になった。記者はその2年後、初めてその会社のホテルを利用した。値段は確か56,000円だった。いま、そのホテル料金を調べたら15,000円だ。すべての商品は市場が値段を決めるのだろうから、何も言うことはない。

取材を終え、タバコを吸いたくて喫茶店を探したがなかった。〝せんべろ〟の日高屋があった。300円のビールを頼み、タバコを2本吸った。これは安いと思う。

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レストラン「GINZA ONO Gratia-Smoke Dining-

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GINZA ONO Gratia-Smoke Dining-

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GINZA ONO Gratia-Smoke Dining-」バルコニー

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ロビー

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有松絞「suzusan」を纏ったランプシェード

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木製のアメニティ

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エレベータホールのアート(階数により異なる)

        ◆     ◇

 あらゆる建築物を分譲マンションに置き換えたらいくらになるかを考えるのが記者の習い性になっている。数年前まで、銀座・築地エリアでは大量のマンションが分譲された。三井不動産レジデンシャルも2015年に坪単価415万円の「パークリュクス銀座mono」を分譲し圧倒的な人気を呼んだ。しかし、ここ数年間は銀座・築地アドレスのマンションは供給されていないはずだ。

そんなことを考えながらホテルを見て回っていたら、ホテル隣接地は三井不動産レジデンシャルがマンションを建築中だと聞いた。東銀座駅から徒歩3分、歌舞伎座や築地本願寺に近い明治通りに面しているのだから、坪単価1,500万円でどうかとはじいた。

しかし、すぐ下方修正した。敷地面積はホテルと同じくらいの805㎡だが、住所は銀座ではなく「築地4丁目」だからだ。坪1,000万円はくだらないだろうが、高値追及は難しいと思った。賃貸になるのではないか。

2024年の地価公示を調べた。同じ「築地4丁目」で坪1,424万円(容積率800%)とあった。実勢はこの倍でも買えないのではないか。

〝業界のイチロー〟目指すのか 絶好調の住友不 マンション「銀座東」竣工(2019/5/23

銀座の柳の下に泥鰌? 人気「パークリュクス」近接 モリモト「ピアース銀座8丁目」(2017/10/28

「銀座初」に北海道から沖縄まで問合せ2,500件 NTT都市開発「銀座二丁目」(2015/5/12

バブルだ!中古が新築を上回る 三井レジ「パークリュクス銀座mono」(2015/2/23

 

カテゴリ: 2024年度

 国土交通省は「まちづくりGXセミナー~都市の未来が緑で変わる~」の第一弾を令和6年10月16日(水)、大阪で開催する。

 国交省は、緑地を確保する取組を評価し民間投資を呼び込む仕組みづくりを進めており、全国でセミナーを開催し、緑地にまつわる有識者の講演や事例紹介を行うことで、「緑×まちづくり」を考える場を設け、都市の良質な緑の創出・維持に向けた取組促進を図るのが目的。

 第1弾の大阪開催は10月16日(水)14時~17時、大手前合同庁舎1階共用会議室1。国交省のTSUNAG(優良緑地確保計画認定制度)の紹介のほか、打田篤彦氏(神戸大学ウェルビーイング先端研究センター 助教)の基調講演、日本政策投資銀行、積水ハウス、大阪府都市整備部公園課のまちづくり×緑の取り組みが紹介される。定員は100名(先着順)、申し込み締め切りは10月9日(水)。

 詳細は以下へ。
https://www.kkr.mlit.go.jp/news/top/press/2024/20240912-2matidukurigxsemina-.html

 

カテゴリ: 2024年度

 「神宮外苑地区まちづくり」の事業者は911日、計画エリアの新宿区と港区に在住・在所者を対象とした、緑化計画の見直し案に関する説明会を928日に開催すると発表した。

 緑化計画見直し案は、20239月の東京都の要請を受け、伐採樹木本数を削減するとともに、新たな緑を創出することを取りまとめたもので、説明会では樹木の更なる保全と新たなみどりを創出する取り組みや99日に発表したリリース内容などについて説明する。

 説明会の日時は、新宿区在住・在所者は2024928日(土)10:0012:00港区在住・在所者は2024928日(土)14:0016:00、説明会場は日本青年館ホテル8階会議室。

事前の申し込みが必要で、2024917日(火)13:00から事前予約フォームへアクセスが可能。先着順で定員に達した時点で受付を終了する。

プロジェクトサイト:https://www.jingugaienmachidukuri.jp/
神宮外苑再開発 樹木本数 当初計画の94本増から400本増の2,304本へ 都に報告(2024/9/9

 

 

 

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Screenshot 2024-09-11 at 18-41-22 見守りサービス標準装備、賃貸住宅に10月より試行導入開始|土地活用のことなら - 大東建託.png

 大東建託は9月11日、高齢者の独り暮らしや持病を持っている人、配偶者が単身赴任している家族の安心な暮らしを提供するため、新たな見守り機能を追加したホームセキュリティサービス「DK SELECTセキュリティプラス」を南首都圏・中京・京阪神エリアで10月から試行導入すると発表した。

 2023年3月から導入している従来の「DK SELECTセキュリティプラス」には、外から守るホームセキュリティサービスと、中から見守るIoTインターホンという2つの機能があり、今回新たに追加される見守り機能は「ワイヤレスマグネットセンサーをトイレのドアに設置し、一定時間以上開閉がない場合に異常信号を警備会社に送信する仕組み。異常が発生した際は迅速な対応が可能となり、状況によって家族などに連絡する。サービスの利用を希望する入居者は追加費用なく無料でご利用できる。

 2025年3月末までの試行期間中に得られたフィードバックと検討課題を確認し、2025年上半期中の全国運用と、導入率の低い地域の底上げを目指す。

 「DK SELECTセキュリティ」サービス導入率は2024年3月末で50%となっている。

 

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 大和ハウス工業は9月11日、同社恒例の「記者レクチャー会<2024年基準地価>」を開催し、マンション事業本部事業統括部部長・角田卓也氏がマンション市況について、同社住宅事業本部マーケティング室上席主任・小林高英氏が分譲住宅について、同社流通店舗事業本部事業統括部開発事業部事業部長・和田康紀氏が流通店舗事業について、同社建築事業本部営業統括部Dプロジェクト推進室担当次長・廣渡政和氏が物流施設についてそれぞれ説明し、記者団の質問に対して一つひとつ丁寧に答えた。

沖縄県の村の坪単価250万円の多目的型129戸も早期完売へ

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角田氏

 マンション市況について角田氏は、地価、建築費の上昇により全国的に価格の上昇は継続しているが、首都圏、近畿圏、地方とも利便性が享受でき、資産性の高い再開発、タワーマンションなどがパワーカップル、富裕層、インバウンドなどに支持されており、市場をけん引していると話した。ただ、一部の商品力が弱い物件の売れ行きが鈍っているとし、地方も需給バランスが崩れているところも見られると語った。

 同社の物件では、那覇空港から車で40分、中頭郡北中城村の多用途型「モンドミオ沖縄リゾートライカムヒルズ」129戸は坪250万円で、価格の安いタイプは地元の人にも売れており、もうすぐ完売だという。

 全800戸の昭島プロジェクトの第一弾「プレミスト昭島」481戸は1年もかからずに完売し、駅から3分のひ第2弾「プレミスト昭島モリパークグラン」277戸は、第一弾の坪250万円から「多少高くして」販売するという。

 小田急線梅ヶ丘駅から徒歩9分の「プレミスト世田谷梅丘」29戸は坪600万円弱で、代々木上原駅から徒歩8分の「プレミスト代々木上原」40戸は「相場並み」(坪900万円前後か)と語った。

市場弱含みもマーケットプライス重視で積極展開

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小林氏

 分譲住宅について小林氏は、分譲戸建ての着工戸数は2024年8月末で21か月連続して前年同月比でマイナスになっているように、建設費の高騰に加え、物価上昇による実質賃金の低下により、消費者の住宅購入マインドは高くないとしながらも、土地仕入れは6,000区画、建売住宅在庫は2,100棟(完成在庫1,500棟)確保しており、「いい物件は売れている」と販売に自信を見せた。

 一方で、「マーケットプライスを重視する」と、きめ細かな商品企画に力を入れていくとした。木造化にも注力し、比率は今期計上予定の2,650戸の33~34%くらいになる見通しであることを明かした。

商業開発は老朽化CSの再興、オフィスは地方に注力

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和田氏

  流通店舗事業について和田氏は、商業開発は十分な商圏と一定規模の土地を確保し、新たに商業を開発していくことが困難になりつつあり、老朽化SCの再興が今後カギとなり、今後は「雇用」という観点からも開発エリアを検討していく必要があると語った。

オフィス分野については、同社は潜在的ニーズがある地方に注目しており、一定規模の人口がある地方において、利便性がありながら、新規オフィスの供給が数年間ないエリアなども注力していく予定とした。

 ホテル分野については、国内旅行市場は、物価上昇による宿泊料金の高騰などの影響はあるが、旅行ニーズは高く今後も堅調に推移すると予想。また、インバウンド市場では、外資系ホテルブランドによるホテル開発を推進していくとした。

物流は需給バランスの調整局面 投資は引き続き積極化

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廣渡氏

 物流市場について廣渡氏は、新規需要が旺盛で、それにこたえる供給も増加していることから、空室率はここ1~2年は9%前後で推移しているが、今年度末から来年度にかけては需給調整が行われ、需給バランスは落ち着くのではないかと語った。

 同社の「第7次中期経営計画(2022年4月~2027年3月)」目標である投資額1兆1,660億円に対する投資は堅調に行っており、売却も順調に推移していると話した。

◇        ◆     ◇

 以下は、何の根拠もない記者のたわごと。予想が外れても責任は取らないことを承知の上で読んでいたただきたい。(これまでマンションの予想記事は意外と当たっているが…)

 この先のマンション価格についてだ。高額マンションのメルクマールになるのは、積水ハウスが主幹事の「うめきた2期」の46階建てマンション「グラングリーン大阪」全484戸だ。

 先に行われた同社の経営計画説明会で、同社・仲井嘉浩社長は、「坪1,000万円で、販売開始から1年もたたずに20倍の競争倍率で完売した」と語った。多分、募集対象外住戸248戸を含む戸数だと思う。記者も、販売開始前から坪単価は1,000万円だろうと予想したが、見事的中した。

 20倍もの倍率に達したのは驚いたが、敷地南側の約4.5haの「うめきた公園」が眼下に臨め、将来にわたって緑環境が保障されるのだから、人気になるのは当然か。これから分譲される公園の南側の駅に近い第2弾は坪1,500万円くらいではないかと予想する。(「うめきた公園」の用途地域は、従前は日影規制が掛った準工業地域だったが、市は用途規制がない商業地域に変更した。第2弾はその恩恵を受けるはず)

 大阪の一等地のマンションが坪1,500万円なら、首都・東京の一等地なら少なくとも倍の坪3,000万円はくだらないはずだ。「大・丸・有」エリアは坪5,000万円と記者は予想しているのだが、三菱地所レジデンス・宮島正治社長は「街づくりについて区分所有者から反対されるリスクを考えると難しい」と話した。ならば、ほかのデベロッパーが名乗りを上げても不思議でないと思う(森ビル「麻布台ヒルズ」ではいろいろなうわさが飛び交っているが…)。

 都心3区(千代田、中央、港)ばかりか都心5区、6区の渋谷、新宿、文京、目黒なども坪2,000万円以上となり、都心ターミナルに近い準都心も坪1,000万円になるのではないか。

 周辺の23区の利便性の高いエリアは500万円をはるかに突破する。都内で坪300万円以下は消えるかもしれない。

 神奈川、埼玉、千葉も引きずられて上昇するのは間違いない。いま記者がもっとも注目している、浦和駅前の野村不動産が主幹事の「URAWA THE TOWER」525戸(非分譲234戸含む)は坪530万円くらいではないかと予想していたのだが、関係者などの話からすると、とんでもない価格になる可能性が高い。「十条」が坪470万円、「大山」が550万円だから、県都・浦和の一等地なら坪600万円を超えても驚かないが…。質は、野村不動産の「プラウドタワー亀戸クロス」と同レベルのはずだ。

 心配なのは、郊外・地方だ。この日の記者レクチャー会で和田氏は、ホテルの用地は坪300万円以上と語ったのは当然だと思うが、物流担当の廣渡氏の「噂だが、相模原は坪180万円と聞いた」と語ったのにはびっくりした。容積率は300%だが、それでも1種60万円だ。

 土地代がただでもマンションの分譲坪単価は200万円以下はありえないが、廣渡氏によると、物流用地も1種25~30万円だから、マンション用地はもっと高くなる。高額物件のメルクマールは坪1,000万円と冒頭に書いたが、今後は郊外も地方も最低ラインは坪250万円になるのではないか。坪250万円の新築マンションを買える第一次取得層はどれだけいるのか。記者は、新築より中古のリフォーム・リノベーションマンションのほうがレベルははるかに高いと思うが、消費者の方はどう考えるだろうか。

実勢は公示地価の3~5倍が日常化建築費も上昇物流は調整局面大和ハウス説明会(2024/3/20)

「昭島」1期は262戸/建築費5割アップへ 2024年問題からみ深刻化大和ハウス(2023/9/15)

. マンションは1,000戸「昭島」戸建ては〝3点セット〟注目大和ハウスレクチャー会(2023/3/17)


 

 

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須藤氏

 オープンハウスグループは9月9日、「家じまいと空き家予備軍の最新事情」をテーマにした記者レクチャー会を開催。2025年には団塊世代が75歳以上になり、「大相続時代」が到来し、「空き家予備軍」が増加していることから、同社開発事業部営業推進部長・須藤光輝氏が同社の「空き家」直接買取りなどについて説明した。

◇        ◆     ◇

 記者は時間を間違えたため、会場のGINZA6に着いたときにはレクチャー会は半分以上経過していた。空き家問題はテーマが大きすぎ、手に負えないので、これまで取材はほとんど行ってこなかったが、ある限りなく限界集落に近い街をレポートした時はアクセスが殺到した。数万件に達したはずだ。影響の大きさを考えて、街の名前を伏せたため、大マスコミからも「場所を教えて」と懇願されたが、すべて断った。

 同社とLIFULLとの共同調査「家じまいに関する意識調査」結果を待つまでもなく、記者も団塊世代なので空き家問題は自分自身の問題でもある。

 空き家売却経験者が苦労したこと-「思うような価格で売れなかった」(39%)、「依頼する不動産会社を複数しっかり比較しなかった」(27%)、「家の中にある残置物で売れそうなものがあったが、手間と時間で売ることができなかった」(21%)、「買い主が見つかるまで何度も内覧があり時間と手間がかかった」(19%)、「残置物の整理や取り壊し、修繕の発生など手間とお金がかかった」(16%)、「名義変更の手続きがよくわからず、手間取った」(16%)、「売却完了まで時間がかかり、無駄な支払いが発生した」(15%)、「相続人同士の意見が分かれ、なかなか売却できなかった」(6%)、「両親が病気や認知症になってしまい、売却が大変だった」(6%)-なんだか自分のことを言われているような気がした(絵画や書籍は高く売れそうなものを持っているが、身内でその価値をわかるものは皆無だろう)。

 また、空き家売却を検討する人が一番心配なのは、「希望の値段で売れるか」(38%)、「売却に掛る手間」(16%)、何もわからないのが不安」(15%)、売却や相続に関する税金関連の知識がなく不安」(14%)、「売却にどれくらい時間がかかるか」(9%)というのもよくわかる(こういうときに欲の皮が突っ張るのは余の常、人の常で、貧すれば鈍するにもつながる)。

 驚いたのは、そんなこんなの苦労、悩みを同社の直接買取は、24時間以内に査定し、仲介手数料なしで翌日買取も可能で、他社に断られた変形地(接道義務違反など既存不適格はかなりの数に達するはず)や取り壊しが必要な物件もOKで、残置物処理を含めて一気通貫・手間要らずのビジネスモデルを構築したというのだ。

 さらに驚嘆したのは、何とその数は、自らも群馬県の限界集落出身という須藤氏によると「直接買取は6年前から開始しており、現在は首都圏で年間3,500~4,000件(棟数にして6,000~7,000棟)、全国で1万棟」に達するというのだ。

 2023年9月期の同社グループの戸建て関連事業売上高は5,903億円(前期比114.3%)で、建売住宅販売棟数は10,096棟(仲介含む)だ。直接買取物件は解体して建売住宅として販売するそうだから、同社の戸建て関連事業が好調な要因の一つに直接買取が奏功しているともいえそうだ。記者は、土地を仲介会社から取得していたとずっと思っていた。〝時は金なり〟〝機を見るに敏〟-いかにも荒井正昭社長が考えそうなことだ。すこし古いが、荒井社長の人となりがわかる記事を添付する。

オープンハウス「これから家を買うなら…」新築戸建て一都三県駅圏ランキング(2024/8/2)

続・駅前の限界集落後期高齢者は4人に1人の割合〝死中に活〟光明見出す声も(2021/9/29)

オープンハウス荒井社長 今期経常利益50億円達成に自信(2010/1/26)

オープンハウス 9月期決算予想 過去最高の増収増益へ(2009/5/19)

 

 


 

 

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神宮外苑イチョウ並木(青山通りから昨年8月写す) 

  神宮外苑地区まちづくり事業者の三井不動産、日本スポーツ振興センター、明治神宮、伊藤忠商事の4者は9月9日、2023年9月12日付の東京都からの要請を受け、事業者間で協議した結果、当初計画では再開発前の3m以上の樹木1,904本から再開発後は94本増の1,998本としていたのを、再開発後は400本増の2,304本になると、東京都へ報告したと発表した。

 増加する400本は、伐採本数減少124本、今回の新植本数増加261本、当初計画での樹木増加94本の合計から、枯損など79本を差し引いた本数。

 新ラグビー場敷地及び聖徳記念絵画館前の既存樹木について、施設計画の工夫により伐採本数を66本削減し、2023年に実施した毎木調査の結果、樹木の樹勢回復などを踏まえ、16本を伐採から移植へ見直したほか、枯損などによる伐採予定樹木42本の減少を反映した結果、伐採本数は当初計画の743本から619本へ124本減少となる。新植樹木は当初計画の837本から261本増加し1,098 本となる。

 4列イチョウ並木を保全するため、新野球場棟のセットバック幅を当初計画の約8mら約10.3m拡大し、約18.3mに設定する方針とする。方針は、複数の樹木医などの専門家の意見をもとに、調査方法の検討や結果分析を行い、第三者からのセカンドオピニオンを得たうえで決定したとしている。

 都は2023年9月23日付の事業者宛て要請文で「神宮外苑地区のまちづくりの推進にあたっては、多くの都民の理解と共感を得ることが極めて重要であり、都は、既存樹木について、設計の工夫などにより極力保存又は移植するなど、一本一本を大切に扱い、神宮外苑の豊かな自然環境の質の保全に努めること…新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書で示された検討を行った結果として樹木の保全に関する具体的な見直し案をお示しください。併せて、その他の区域についても、施設の設計の工夫等による更なる樹木の保全策を検討し、お示しいただくよう要請します」としていた。

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神宮外苑軟式野球場

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 今回のリリースでは、どの樹種を伐採から保存に変更するかなどの詳細な報告はないが、記者は評価したい。特に、絵画館前事業で当初伐採が予定されていた57本が保存へ変更され、18本が枯損による伐採予定から外されたのを歓迎したい。軟式野球場をなくすのはやむを得ないとしても、テニスコートや駐車場を整備し、広場を確保するのに、どうして樹齢100年超の巨木を伐採しないといけないのかの説明はなかったし、巨木を避けて整備できるはずだとずっと思っていた。

 一つ、事業者にお願いしたいのは、量の増加によって質はどうなるかについてだ。専門家などが指摘している樹冠被覆率は再開発前と再開発完了時点でどのように変わるのか。20年後、30年後にはどうなるのか、分かりやすく説明すべきだと思う。

神宮外苑問題は都知事選の争点になるのか 〝街路樹の味方〟の記者の独白(2024/7/2)

藤井氏の熱弁に拍手鳴りやまず会場100人+オンライン180人三鷹で講演会(2024/5/12)

神宮外苑再開発全エリア全樹木データ保存・移植・伐採と移植難易度の関係は不明(2024/1/15)

最多はカイヅカイブキ外来種のヒマラヤシダー、フウなど目立つ神宮外苑の既存樹木(2024/1/9)

秩父宮ラグビー場が「未供用」の謎「広場」は都市公園ではない神宮外苑再開発(2023/8/9)

野村不&JR東日本芝浦PJ「BLUE FRONT SHIBAURA」イメージは寄り添う夫婦(2024/5/31)

素晴らしい槇文彦氏、田村奈穂氏、片山正通氏日本財団渋谷公園トイレPJ(2020/9/21)

 

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 旭化成ホームズ、積水ハウス、大和ハウス工業は9月4日、それぞれ個社の生物多様性保全の取り組みを統合すれば生態学的に補完し合うことが実証されたとし、国際目標である2030年のネイチャー・ポジティブ(生物多様性の損失を止め、反転させ、回復軌道に乗せること)実現に向けて、3社が連携して都市の生物多様性保全活動を推進すると発表した。今後、住宅・不動産業界全体で推進し、加速させることに貢献していくとしている。

 3社それぞれの生物多様性の取り組みを琉球大学発のスタートアップであるシンク・ネイチャーが分析した結果、琉球大学発のスタートアップ、シンク・ネイチャーが分析した結果、生態学的に補完し合い、ネイチャー・ポジティブの実効性におけるシナジーが明示されたとしている。

 旭化成ホームズは様々な高さの樹木(階層構造)を植栽し街並みへの貢献と都市に小さな森を創出することを目指した「まちもり」を、積水ハウスは生態系に配慮し地域の気候風土にあった在来樹種を中心に植栽する「5本の樹」計画を、大和ハウス工業は様々な用途の不動産に50%以上の在来種を植栽する「みどりをつなごう!」をそれぞれ取り組んでいる。

 今回の結果を受けて3社は、在来樹種に着目した植栽提案を住宅・不動産業界全体で推進し、生物多様性保全への取り組みを加速させることに貢献していくとしている。

 今回の協働について、琉球大学理学部教授でシンク・ネイチャーCEO久保田康裕氏は「本分析プロジェクトは、複数企業の植栽事業のネイチャー・ポジティブ効果を可視化することが社会的シグナルとなりうる、世界で初めてのケースだろう。これにより、さらなる企業を巻き込んだ集団的アクションが促され、不動産住宅建設ビジネスにおいて、生物多様性が新たな価値基準となり、アーバンネイチャーポジティブの文脈で、業界全体として高付加価値される状況、新たなビジネス機会の創出を期待したい」とコメントしている。

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 リリースが発表された4日は、「グラングリーン大阪」のメディア向け内覧会の取材があり、朝4時に起き、夜に帰って酒を飲んでいるときにざっと読み、いま改めて読んだ。記事化が遅れたのはそのためだが、酒を飲むのが忙しいのはいつものことだが、最近は2024バリンオリンピックのころから夜も昼も区別できなくなり、取材も結構入っているからでもあり。西武が負けるころには寝込んでいる。

 「グラングリーン大阪」の「うめきた公園」は素晴らしく、感動すら覚えたが、今回の協働もまた素晴らしい。住宅そのものの省エネ、脱炭素化、安心・安全の取り組みはかなり進んでいるが、外構・植栽の取り組みは遅れているとずっと思ってきた。住宅と緑環境は不可分なはずなのに、それを統合した価値基準は可視化されていない。

 今回の発表を受けて、久保田教授が「生物多様性が新たな価値基準となり、アーバンネイチャーポジティブの文脈で、業界全体として高付加価値される状況、新たなビジネス機会の創出を期待したい」とコメントしているが、デベロッパーも3社に負けない取り組みを行っているデベロッパーはある。住宅・不動産の垣根を超えた取り組みになるよう期待したい。


 

 

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「グラングリーン大阪」(写真提供:©Akira Ito.aifoto

総開発面積9.1haのうち約半分の4.5haが都市公園として整備される大阪駅北口の「うめきた2期」再開発事業である「グラングリーン大阪」の事業者9社は9月3日、メディア向け内覧会を行った。総事業費は第1期の約4,000億円の「グランフロント大阪」を含めると1兆円超のビッグプロジェクトだ。先行街びらきは96日行われる。以下、見学した各施設を紹介する。

駅直結の「うめきた公園 樹木・草花はすべて和名表記

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「うめきた公園」(クレジットなしは記者撮影)

大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級と言われる4.5haの「うめきた公園」が素晴らしい。圧倒的な緑の量に感動した。ただ、本音を言えば、中高木は積水ハウスの「新・里山」はともかく、「赤坂グリーンクロス」や三菱地所の「ホトリア広場」のように成木がたくさん植えられているのを期待していたのだが、そうではなく、(予算に限界があったのだろう)人間に例えれば少年・少女ばかりだった。まあ、時の経過とともに成長し指定管理期限が切れる50年後には「新・里山」と一体となった森に成長するのは間違いない。未来の都市公園のあり方を示唆するものだ。

感動しながら公園のほぼ全域を見て回った。最初のころは、「黒松」「赤松」「博打木」「白樫」などと樹木や草花の表記が和名になっているのを変だとは思ったが、それほど気にも留めなかった。小説や俳句などの「樅ノ木は残った」「馬酔木」「女郎花」がカタカナでは具合が悪い。しかし、回っているうちに、フリガナは付されているが「一ッ葉櫤(ヒトツバタゴ)」
「躑躅(ツツジ)」など誰も読めそうもない樹木・草花も和名になっていたので、強い意図を感じた。

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左から「博打木」「一ッ葉櫤」「沙羅樹」

 そこで、関係者に説明して回っていたガイドさんに尋ねた。「カタカナではなく和名表記にしているのは、大阪府知事か大阪市長の指示ですか。それとも安藤忠雄さんですか」と。ガイドさんは答えなかったが、近くにいた関係者の一人の女性が「ランドスケープデザインを担当された、キャサリン・メモリアルを手掛けられたGGN(グスタフソン・ガスリー・ニコル)さんが決められたんだと思います」と話した。「えっ、専門家の方ですか」と名刺を差し出したら、その方は微笑みながら名刺をくれた。「池邊このみ」とあるではないか。すっかり忘れていた(小生も歳を取ったものだ。若いころは女性の名前と顔を忘れることは絶対なかった)。

 この機会を逃してなるものかと、コメントを求めた。池邊氏は「彼女は日本の固有種には和名がいいと判断されたのだと思います。私は安藤忠雄さんなどと『うめきた2期』の事業者選定の選定委員になっていました。公園? 非常によくできていると思います。森をうまく設計されているし、水辺をいい形で配され、美しい庭園を表現されている。ほら、あそこに蝶々が飛んでいるでしょ。生物多様性にもよく配慮されています」

 記者はすかさず、「大阪市の指定管理者選定に当たって、審査委員が100点満点で77点の評点をつけたのはいかがですか。5段階評価で5にはならない」と畳みかけた。「そうですね。5じゃないですね。指定管理公園では80点以上取るようにしないといけない」と語った。

 ついでに、池邊氏が昨年5月の東京都環境影響評価審議会の委員に選ばれなかったことと神宮外苑問題について聞こうと思ったら、随行人の方に「池邊さんはこれから見学もありますので」と遮られた。残念。

 1万人規模の集客開催も可能なイベントスペースとカフェ・レストランなどの飲食施設が入る「大屋根」の設計は、建築家の妹島和世と西沢立衛氏が率いるSANAA(サナア)だ。サナアは「南北に約120mの長さを持つ大屋根は、都市公園のランドスケープと呼応するようにゆるやかに起伏します。半屋外の大屋根イベントスペースと、情報発信棟、カフェ・レストラン棟を1つの屋根の下にそれぞれ配置することにより、中と外が自然とつながり、公園と地域に開いた場所となります」とコメントしている。

 公園について一つ提案だ。公園隣接の建築物は公園の環境価値を享受できるのだから、アメリカなどのように公園税を課すべきだと思う。大阪市は「うめきた2期」の開発に当たって、従前は日影規制が適用されていた準工業地域から規制がない商業地域に変更したように、公園の南側に位置する建築物に配慮している。緩和には見返りも必要だ。

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「うめきた公園」(写真提供:©Akira Ito.aifoto

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「グラングリーン大阪」(写真提供:©Akira Ito.aifoto)

安藤忠雄氏監修の「VS.」では11万円のコーヒーが飲める

建築家の安藤忠雄氏が設計監修した名称が意味深な「VS.」は、いかにも安藤氏らしいコンクリート打放しの内外観が特徴だ。安藤氏は「機能の大部分を地下に埋設し、地上部分は壁面緑化によって緑のボックスとすることで、周辺の公園環境に溶け込むような外観となることを意図しています。訪れる人々が、緑豊かな環境の中で、未来について施策を巡らすことのできる場となることを期待しています」とコメントしている。

施設内のコーヒーカクテルが楽しめる「LOHE(ローエ)」も安藤氏が設計したもので、端正なレイアウトが美しい。そして、何よりも世界大会で優勝したバリスタ・バーテンダーが監修した110,000円のコービー(記者が外出先で飲むコーヒーの1か月分)が飲めるのが〝売り〟の一つだ。Executive Managerの山口貴一氏によると「豆はパナマ産で、くらっとする、上質の酒のようなえも言われぬ味わい」だそうだ。豆を見せてもらった。深煎りしていないからなのか、ふっくらした琥珀色で、甘い香りが鼻腔を満たした。めまいがするコーヒーを飲みたい。

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LOHE(ローエ)」

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山口氏

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1杯10,000円のコーヒー豆

〝ごちゃまぜ感〟がする中核機能「JAM BASE」は美しい

民間、行政、経済団体が一丸となってイノベーション活動の拠点を目指す「JAM BASE」は、内装に木や本物の観葉植物がふんだんに用いられており、デザインも美しい。入居するさくらインターネットのスタッフの方々としばし談笑した。施設は「ごちゃまぜ感」がするのがよく、大阪の女性は心が広くて強いそうだ。

なるほど。取材を終えてからタバコを吸うため記者がいつも利用するコーヒー店で「ブレンドS」を注文したら、「ラージを注文された」と初めて見る特大が出された。値段は4割増し。「S」と「L」を同じと捉える、ごちゃまぜにするおおらかさはちょっと真似ができない。

1階の中華、ハンバーガー、コーヒー、居酒屋で構成される新食店「re:Dine」もごちゃまぜ店舗だ。96日から13日の1週間は生ビール・ハイボールが何倍でも1100で飲め、コーヒーが1か月500円で飲み放題のキャンペーン(930日まで)も行う。

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「JAM BASE」(写真提供:©Akira Ito.aifoto)

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「JAM BASE」(写真提供:©Akira Ito.aifoto)

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「JAM BASE」(写真提供:©Akira Ito.aifoto)

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「JAM BASE」(写真提供:©Akira Ito.aifoto)

公園、市街地が一望できる「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」

「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」(客室数308室、32㎡中心)は日本初のライフスタイルブランド。南西角の客室からは「うめきた公園」や市内の中心市街地が一望できる。インバウンド客を想定した和テイストはわからないわけではなく、最大127㎡でも客室料金は30万円~とのことで安いとは思ったが、記者の好みではなかった。設計・デザインは日建設計。

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「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」(写真提供:©Akira Ito.aifoto)

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「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」

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カテゴリ: 2024年度

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うめきた公園が一望できる「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」から 

 総事業費が6,000億円で、第1期の「グランフロント大阪」を含めると1兆円超の大阪駅北口再開発事業「うめきた2期」である「グラングリーン大阪」の先行街びらきが96日行われるが、街びらきに先立つ93日、その全容がメディアに公開された。素晴らしいの一言だが、その前に、関係者もわれわれメディアも住民も考えないといけない問題を提起する。

 「うめきた公園」についてだ。関係者とメディアで総勢数百人が参加したこの日(3日)、主催者は「大阪最後の一等地の開発」「公園の中に街をつくる」「東京丸の内とおなじ大きさ」「世界的に珍しい駅前公園」などと〝自画自賛〟した。

 記者は、「世界的に珍しい」については、海外の公園は全く知らないので留保するが、素晴らしい公園であることに異論はない。

考えないといけないのは、そんな素晴らしい公園であるにも関わらず、専門家の評価はそれほど高くないということだ。大阪市は昨年12月、「大阪市公園及びその他施設指定管理予定者選定会議」で「うめきた公園」の指定管理者として事業者9社で構成される一般社団法人うめきたMMOを選定した。別表に示したように、大阪公立大学大学院農学研究科教授・加我宏之氏、和歌山大学経済学部教授・足立基浩氏、公認会計士・生野徳彦氏の3氏の審査委員による評点は100点満点で77点だった。

Screenshot 2024-09-03 at 22-16-39 大阪市:うめきた公園指定管理予定者の選定結果について (… 指定管理者募集・選定状況 全ての選定結果情報).png

記者は、つい先日までこの評点を知らなかった。皆さんは100点満点で77点をどう評価されるか。記者の小中学校時代の通信簿は相対評価だったので、77点は5段階評価で「5」にはならないし、環境評価でよく用いられる「S」ランクでもなく、飲食店の「松竹梅」の「竹」で、宅建試験の合格ラインでしかないと思うがいかがか。

公園の設計は日建設計、三菱地所設計で、施工は竹中工務店だ。これ以上ないメンバーだ。安藤忠雄氏も関与している。しかも、国際的な環境評価制度で「Sランク」を取得しているにも関わらずだ。内覧会でこの点を質そうと手を挙げたが、指名はされなかった(メディアは200人くらい参加していたのではないか)。

誤解がないよう断っておくが、記者は評点が低いことだけを問題にせよとは考えていない。都市計画や造園の専門家などの意見は尊重しないといけない。なぜそのような評点になったかは審査委員の方々はきちんと述べられているはずだ。意見を公表せず、委員の方をABCと記号化し、結果として「質の高い公園マネジメントの展開が期待できる」「地域全体の賑わいが創出できる」「収支計画の考え方が明確に示されている」と結論付ける傲岸不遜の市の姿勢を問いたいのだ。ただ意見を聞く置くだけというこの種の審議会や委員会制度にも問題があるが…。

そして何より問題なのは、77点の評点に対して地元のメディアはなにも伝えていないのではないかということだ。メディア・リテラシーが問われる。

この日(3日)、ばったりお会いした千葉大学グランドフェロー・池邊このみ氏にこの点について聞いたら、「詳細な評点が分からないが、指定管理者制度では80点以上、Sランクを取得しないといけない」と語った。池邊氏は、UR都市機構が平成30年に「うめきた2期」の事業者を決定した審査委員会(委員長:西尾章治郎・大阪大学総長)の委員の一人だ。「うめきた公園」のランドスケープデザインを〝絶賛〟した(詳細は別稿)。

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「博打木(ばくちのき)」(わが国固有種の樹木や草花はすべて和名表記) 

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カテゴリ: 2024年度
 

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