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鳩山町ホームページトップ

 大東建託は9月7日、「街の幸福度&住み続けたい街ランキング2022<首都圏版>」の「街の幸福度(自治体)ランキング」トップは昨年に続き埼玉県鳩山町になったと発表した。

 記者は、この種のネットによるアンケート調査は、〝半身〟に構えて読むことにしている。公平性を装った恣意的な質問で回答を誘導するものも少なくないからで、鳩山町が「幸福度」ナンバーワンと言われても〝そうなの〟とやり過ごせばいいのだが、住宅購入検討者をミスリードする危険性もあると考えるので、再批判せざるを得ない。以下は、昨年の批判記事「幸福度トップ自治体は鳩山町 根拠希薄・無神経な大東建託ランキングやめるべき」(2021/9/8)と一緒に読んでいただきたい。

 最初に断っておく。鳩山町はとてもいい町だと思う。最寄り駅の東武東上線高坂駅からバス便だが、昭和を代表する素晴らしい「鳩山ニュータウン」のほか東京電機大のキャンパスもあり、ゴルフ場も3か所ある。そのうちの一つ「鳩山カントリー」は何度か利用したことがある。

 「鳩山ニュータウン」は、日本新都市開発( 2003年8月特別清算) が開発した面積約140ha、約3200戸の大規模住宅地で、当時としては珍しい地区計画を採用し、美しい街並みを形成した。バブル期には1億円超の「松陰坂」も分譲されたが、基本的には中堅所得層向けの昭和の時代の良好な住宅団地だ。

 しかし、バブル崩壊後は都心から50キロ圏のバス便、ニーズの変化などによる人口転出、高齢化が加速度的に進んでいる。同ニュータウンの人口は、平成11年は約1万人で、町全体の人口の57.8%を占めていたが、20年には54.2%へ、令和3年には51.8%へ、そして今年9月1日現在では51.2%(約6.8千人)へと減少。平成11年からの人口減少率は町全体で23.8%であるのに対し、「鳩山」は32.5%減と町全体を大きく上回っている。高齢化率も令和4年1月現在50%超となっており、町の高齢者比率45.1%を上回っている。

◇        ◆     ◇

 それでも「街の幸福度(自治体)ランキング」トップになったのは、町や民間の活性化の取り組みが奏功したからと受け止めたい。町のホームページには平成16年以降、「待機児童ゼロ」を継続しているほか、子育て世代包括支援センターでは母子保健コーディネーターが子育てママ・パパを支援し、平成21年2月2日以降13年間「交通死亡事故」が一度も発生しておらず、犯罪率も県内トップクラスであり、町民なら誰でも利用できる乗合型のデマンドタクシーは町内のどこへでも200円で行くことができるなどとある。

 また、建築家で埼玉県出身の東京藝術大学准教授・藤村龍至氏は町の施設の指定管理者として名乗りを上げ、様々な個人・団体を巻き込んで団地の活性化に取り組んでいる。

 そうした取り組みが、町民の幸福度を高めているのであればなおさら、調査結果に反映すべきだ。しかし、同社は「幸福度の評点は、非常に幸福だと思う場合を10点、非常に不幸だと思う場合を1点とする10段階の回答平均を100点満点にするために10倍した」としか説明していないし、いったい何をもって「幸福」「不幸」とするのかアンケートでは聞いていない。

 もちろん、「幸福」「不幸」の概念を明確に示せる人など一人もいない。物質的・経済的に豊かなのが「幸福」というのであれば、ほんの一握りの人しかいないはずだ。多くの人は物質的・経済的に恵まれていないと考えるから、それ以外の精神性などに安息の場を求める。神仏がその代表だろうし、「国家」のあらゆる呪縛や社会的規範から解き放たれた自由人こそが幸福者かもしれない。

 まあ、そんな哲学的なことはともかく、鳩山町の回答者は78人だ。同町の人口約1.3万人の0.6%でしかない。しかも、回答者は無作為(これだって正確な回答が出るかは分からないが)によって選ばれた人ではなく、マクロミルの登録モニターだ。モニターは自由意志で登録できるはずだから、一定の登録者が「幸福」と答えれば、数値は大幅に変わる。ネットアンケートには常に同調と反発が裏表一帯のバイアスの問題をはらむ。同社は全回答者207,659名の数を誇示するが、数の問題ではない。質の問題だ。 

 先にも書いたように、ランキングを公表するのであれば、だれもが納得する「幸福」とは何かを示すべきだし、78人の属性も公表すべきだ。

幸福度トップ自治体は鳩山町 根拠希薄・無神経な大東建託ランキングやめるべき(2021/9/8)

鳩山NT活性化を「私自身がアート」藝大卒・菅沼朋香氏「ニュー喫茶 幻」開業(2019/3/23)

頂門の一針、蜂の一刺しにならないが アルヒ「本当に住みやすい街大賞」批判(2021/12/12)

 

 東急が昨年11月に販売開始した東急新横浜線・新綱島駅直結の商・住・公の複合マンション「ドレッセタワー新綱島」が95日までに完売した。

 物件は、2022年度下期開業予定の東急新横浜線新綱島駅に直結、東急東横線綱島駅から徒歩3分、新綱島駅前地区第一種市街地再開発事業地内に位置する地上29階地下1階建て全252戸(非分譲住戸73戸含む)。専有面積は44.88113.45㎡、第1期(66戸)の価格は5,360万~18,290万円(最多価格帯6,500万円台・7,800万円台各4戸)。第1期の坪単価は400万円。竣工予定は202310月下旬。設計・監理は東急設計コンサルタント。施工は東急建設。販売代理は東急リバブル、東急ライフィア。

坪単価400万円に納得 駅直結・再開発の力まざまざ 東急「新綱島」166戸即完へ(2021/11/17

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「建築デザイナーになりたい!」

ケイアイスター不動産は96日、埼玉県主催の「夢を見つける!リアル体験教室」の一環として職業体験教室「建築デザイナーになりたい!」を826日(金)に実施し、募集人数12名に対して306名の応募があったと発表した。

子どもたちは、同社の大会議室でCADを操作しながらゲーム部屋や漫画部屋などの理想の家と、美しい街並みの模型を完成させた。埼玉県が実施した当日のアンケートでは「とても楽しかった」「楽しかった」が100%となった。

「リアル体験事業」は、埼玉県在住の小学4年生から6年生までを対象に、リアルな職業体験を提供することで、子供たちの将来の夢の発見、実現を支援する事業。埼玉県ゆかりの企業のプロフェッショナルが講師となり、直接学べる体験教室を行っている。

埼玉県本庄市を拠点としている同社の職業体験教室「建築デザイナーになりたい!」は今回で7回目の開催。これまでも埼玉県内で行われているジュニアサッカー大会やミニバスケットボール大会への支援など社会貢献活動に取り組んでいる。

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左から川端氏、高橋さん、黒沼さん(丸ビル1階マルキューブ内特設ステージで)=PR会社提供

三菱地所と三菱地所プロパティマネジメントは96日、「丸ビル20周年・新丸ビル15周年アニバーサリーイヤーオープニングセレモニー」を開催。モデル・タレントの高橋ユウさんを特別ゲストにトークショー、「丸ビル20th×レゴみんなで作る街づくり」お披露目、「THE FRONT ROOM」おすすめメニュー試食、フォトセッションなどを行った。

最初に登壇した三菱地所プロパティマネジメント代表取締役・川端良三氏は「竣工してから20年。人間でいえば二十歳の成人式。あっという間で感無量。コロナ禍で働き方も買い物の価値観も多様化した。リニューアルでは1階の『THE FRONT ROOM』とコラボしたほか、これまで丸の内にはなかった新しいショップも展開し、将来のニーズを先取りした魅力を発信していく」と挨拶した。

高橋さんは、100分の1の丸ビルのジオラマとわが国唯一のプロが作製したレゴには「全部レゴ? 鳥肌が止まらない」と驚き、「THE FRONT ROOM」から提供された試食「ホイップバターとメープルシロップのフレンチトースト」に「ウワァー、ボリュームが凄い!分厚くて食べる前から柔らかいの分かる。メープルの甘い香りが漂ってくる」と歓声を上げ、食べながら何度も目を閉じ「バターが口の中で何段階にも広がってくる。パンもフワフワ、これは衝撃ですね」と感嘆の声をあげた。

THE FRONT ROOM」は同日オープンしたHUGEが創る初のカフェ業態。「Timeless & Borderless」をコンセプトに、気軽に利用できるサードプレイスとして様々な飲食を提供する。

イベントでは、高橋さんの姉・高橋メアリージュンさんも出席する予定だったが、体調不良のため欠席した。

高橋ユウさんは1991119日生まれ。滋賀県出身。モデル・タレント。「Cawaii!」の専属モデルを経て、「仮面ライダーキバ」、ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」シリーズなどで女優としても活躍。2018年にK-1ファイターのト部弘嵩選手と結婚。2020年に第一子を出産。現在は、バラエティー番組に多数出演している。

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高橋ユウさん(PR会社提供)

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PR会社提供

        ◆     ◇

この種のトークイベントの取材は難しい。主催者の企図するもの、伝えたいことは何なのかを把握していないといけないし、演出者(登壇者)の来歴も把握しておく必要があるし、そして何より読者になにを伝えるべきかを分かっていないと取材にならない。

その点、今回の記者は失格だった。丸ビル=モデル・タレント、お笑い芸人が結びつかず、演出者についてもまったく予備知識(本来は事前にきちんと調べるべき※)がなかったからだ。

主役を務める高橋ユウさんも、MCの吉本興業所属のお笑い芸人(ご本人がそう話した)・くろぬままことさんも初めて聞く名前で、まったく存じ上げないので、お二人の会話からくろぬまさんがレゴの世界ではよく知られた方で、高橋さんは丸ビルをよく利用し、話し出すと関西出身であることがすぐ分かり、ご主人は引退された格闘家で、二人の間には2歳の男の子と、お腹には12月に出産予定の男の子がいること、子どもには自分が好きなピアノや夫が空手少年だったので空手をやらせたいとか、何事にも前向きな心の持ち主に育ってほしいとか、自分はすぐ泣き、姉からは「感情表現が上手」と言われ、姉の弱音を吐かない強さにはかなわないこととか、いまは妊娠安定期に入っておりパワフルであるとか…これらの情報にいったいどれだけの価値があるのかさっぱりわからなかった。

おぼろげながら分かったのは、「丸ビル」の35階のレストランで一人23万円の食事をしたり、一足10万円の靴を買ったり、数十万円のアクセサリーを平気で購入したりする富裕層だけではなく、気軽に立ち寄って食事などを楽しめる街の拠点として利用してもらおうという三菱地所の深謀遠慮、強かな計算が働いているに違いないということだった。

ソクラテスの「無知は罪なり」なのか、ジョージ・オーウェルの「無知は力なり」なのか。

※記者の鏡というべき扇谷正造は人を取材するとき、大学教授であれば論文を、小説家は作品を渉猟し、分からないときはその人の住む近所の魚屋、八百屋などで聞き込みをし、どのような生活をしているかを知るためにごみ箱まで漁ったことがあるという。そこまでやるから、取材対象者は自分をさらけ出してしゃべるのだという。

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川端氏

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以上、記者のデジカメで写す

フレンチトースト、サラダのチーズは絶品 丸ビル「THE FRONT ROOM」試食会(2022/8/29

https://www.rbayakyu.jp/rbay-kodawari/item/6649-the-front-room

 

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「丸ビル」

三菱地所は95日、丸の内再構築の初弾プロジェクトとして建て替えた「丸ビル」が96日で開業20周年を迎えるにあたり、同社執行役社長・吉田淳一氏の次のようなコメントを発表した。

・丸ビル開業後、この20年で丸の内エリアは大きな変化・進化を遂げた。現在も弊社のフラッグシップとして大きな役割を担っている。

・弊社は、130年以上にわたる丸の内の開発・マネジメントの歴史において、常に社会や時代の要請に先駆け、まちの姿を変化させてきた。

・近代日本の黎明期に本格的なビジネスセンターを整備した第1次開発、高度経済成長期の増大するオフィス需要に応え、大規模ビルへと建て替えた第二次開発、国際競争力の強化や文化・芸術機能の整備、環境共生の推進と同時に、「世界で最もインタラクション(相互作用)が活発なまち」を目指した第三次開発と推進しており、今もなお、変化・進化の真っただ中にいる。

・現在進行中の「NEXTステージ」では、イノベーション創発とデジタル基盤の強化を通じ、個人のクオリティオブライフ向上と社会的課題の発見・解決を生み出すまちづくりを目指しており、今後も豊かなまちづくりを通じて、社会に貢献していく。

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「丸ビル」前の仲通り(ストリート・パーク)

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同社は丸ビルの建替えを皮切りに20年で18棟の再開発を完了。現在、丸の内再構築は「NEXT ステージ」として、主に常盤橋・有楽町エリアでの地方連携をはじめ、アーティストなど多彩な人が集う多様性あふれるまちづくりを進行中。20周年の丸ビルと15周年の新丸ビルは2023年春にかけて順次リニューアル予定。

この20年間で丸の内エリアの日曜日の歩行者通行量は約3倍、店舗数は約3倍(約280900店以上)、丸の内の当社ビルの延床面積は約1.9倍(1,586千㎡3,026千㎡)に増加。

現在、エリア内に本社機能がある上場企業は118社で、日本橋の89社、虎ノ門の37社、品川の33社、渋谷の36社などを凌ぐ。外国金融機関事業所数も72か所で、虎ノ門の19か所以下を圧倒。FORTUNE GLOBAL 500本社数は20社で、ニューヨークの16社、ロンドンの15社より多い。上場企業の連結売上高は約122兆円(日本の総売上高の約8.85%)、就業者数は約28万人、建物棟数は102棟/約4,300事業所、建物延べ床面積は約940ha

丸ビルは、敷地面積約10,029㎡、地下4階、地上37階建て延床面積約159,838㎡。設計・監理は三菱地所設計。施工は丸ビル建築工事共同企業体。着工は1999 4月、竣工は20028月、開業は200296日。

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旧丸ビル

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「レーベン弘前GRAND RESIDENCE」

 タカラレーベングループのタカラレーベン東北は9月5日、青森県弘前市のマンション「レーベン弘前GRAND RESIDENCE」を9月4日から販売開始したと発表した。

 青森県内では「レーベン弘前THE MID TOWER」「レーベン青森新町THE GRAND MID」に続く第3弾。弘前市内最大級のマンションで、デザイン性と居住性を追求することで、街の新たなシンボルになることを目指した物件。

 〝2戸1〟エレベーターのほか、二重サッシ・ペアガラス、内廊下方式(2戸1エレベーターで内廊下方式とはどのような構造なのかよく分からないのだが)、外壁断熱などが特徴。

 物件は、弘前市大字北瓦ヶ町に位置する15階建て全112戸(ほかにゲストルーム1戸)。専有面積は58.15~86.18㎡。第1期(60戸)の価格は3,258万~6,698万円。竣工予定は2024年8月下旬。施工は鉄建建設。

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〝2戸1〟エレベーター・両面バルコニープラン

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 記者は、この種のリリースはほとんど記事にしない。マンションデベロッパーがマンションを売るという当たり前のことをコピペして記事にする「か・ち・も・な・い」と考えているからだ。

 この日(9月5日)、同社からリリースを届いたときもスルーするつもりでざっと読んだ。「今世紀最大級、弘前を誇る全112邸のランドマークレジデンス」「第1期60戸供給御礼!」「すべての中心を、誇る」「想像は時を超越する」などと、おどろおどろしい、コピーを書いた本人も赤面するのではないかと同情したくなる宣伝文句が物件ホームページを飾っていた。

 〝よくぞここまで〟とあきれ返ったのだが、小さな文字の「両面バルコニー」に目がとまった。かつて首都圏でも流行した〝2戸1〟エレベーターを採用し、両面バルコニーを実現したプランだ。最近はほとんど見られなくなった。

 建物は15階建てだから、単純計算して1層は7~8戸。〝2戸1〟エレベーターにするには4基が必要になる。エレベーター設置率は1基/28戸だ。最近の首都圏マンションではまずないはずだ。青森県では供給されたことがあるのかどうか分からないが、ないとすれば、大げさな宣伝コピーも受け入れられるかもしれないし、インパクトもあると判断し、記事化することを決めた。

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 第1期戸数が60戸というのにも驚いた。全住戸の2分の1以上ではないか。不動産経済研究所の調査によると、首都圏の7月の新規マンションの1件当たり販売戸数は約14戸だ。この数字と比べても、この戸数の多さがよく分かる。

 弘前市の人口は約16.5万人で、青森市の約27.3万人、八戸市の約22.2万人に次ぐ3番目だ。そんな小都市(大変失礼)で一挙に60戸も供給して売れるのだろうか。売れたら凄い(価格は前段参照。高いのか安いのはさっぱり分からない)。原忠行氏が率いるタカラレーベン東北は、同社のリリースによると、2015年から2021年までで岩手県4棟/230戸、宮城県14棟/1,137戸、山形県3棟/295戸、秋田県3棟/193戸、福島県10棟/505戸、青森県2棟/169戸、合計36棟/2,529戸を供給し、東北エリアナンバーワンというではないか。年間にして約500戸だ。これまた凄い数字だ。

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 タカラレーベンはもうずっと以前から、競争の激しい首都圏から地方へ軸足を移している。首都圏物件も大手デベロッパーとの競合を徹底して避ける戦略を取っている。

 それが奏功しているのだろう。最近見学した「検見川浜」「戸田公園」「東川口」「小田原」などがことごとく人気になった。地方も好調なのだろう。「レーベン福岡天神ONE TOWER」の価格と売れ行きには唖然とした。「一頭地を抜く」という言葉がぴったりのデザイン・意匠、商品企画が秀逸だ。「弘前」もそうだ。

県初のPPP事業4か月で全143戸完売 タカラレーベン・埼玉建興「東川口」(2022/7/14)

タカラレーベン 小田原駅徒歩1分「レーベン小田原THE TOWER」完売(2022/8/18)

福岡の最高峰 第1期100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」(2022/3/15)

タカラレーベン東北 医療従事者応援 私募債発行・贈呈式(2021/11/20)

 

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 あまり論じられない新築マンションの質、着工戸数と供給戸数の違い、新築と中古の坪単価などについて考えてみる。

 まず、新築マンションの質について。ここ3~4年間、地価や建築費の上昇に反比例するように基本性能・設備仕様の劣化・退化が進んでいるが、これについて言及した書籍や記事など寡聞にして知らない。

 かくいう記者も、新築マンションの記事を書くとき基本性能・設備仕様レベルについて極力触れるようにしてはいるが、そもそも劣悪な(と思える)物件は取材しないし、ここ10年くらいは年間100物件前後しか見ていないので、マンションの質を論じる資格はない。歯がゆい限りだ。

 しかし、過去に書いた記事から、いかに最近のマンションの質が劣るかは証明することができる。10年前の2012年に分譲されたマンションの記事を紹介する。

 この年を代表する首都圏マンションの一つ、三井不動産レジデンシャル「パークコート千代田富士見ザ タワー」では「標準階高は3,450ミリ。モデルルームはセンのフローリング、エントランスの天井布クロス、紫檀のドアハンドル、天然石巾木、オニキス洗面ボウル、アントニオ・チッテリオデザインの水栓、センで統一した和室(以上181㎡の「粋」)、チーク材の突き板フローリング、ホワイトオーク材の建具、アルミ真鍮ガラスの多用、天然石モザイク貼りだった」と書いた。坪単価は476万円だった。近く分譲される準都心部の〝駅近〟タワーマンションとほぼ同じだ。

 坪単価370万円の野村不動産「プラウド小石川」はどうか。「共用部分の床はカリン材。壁はブビンガ。専有部分にも自然石、自然木がふんだんに用いられており、シルバーハート、アフドルモシアなど聞いたことも見たこともない面材が採用されていた。ドア・把手はイタリア製、システムキッチン・御影石天板はジーマティック製。浴槽のエプロンなども天然御影石だ」と記事にした。

 坪単価270万円の三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス日吉」は「キッチンの天板が大きめの御影石で、バックカウンターの天板も同じ御影石を採用し、吊戸棚を含めて標準装備。ディスポーザー、食洗機、ミストサウナも標準装備」とある。

 坪単価310~320万円のモリモト「ディアナコート文京千石」は「マホガニーを家具・面材、床材に採用している。床は厚さ2ミリだ。このほか玄関、キッチン、洗面室にはふんだんに大理石、御影石を採用。設備仕様では、ディスポーザー、食洗機などを標準装備。サッシは高さ2300ミリ」と紹介した。

 このような質の高いマンションはこの年に限ったことではない。三菱地所レジデンス(当時、三菱地所)が2006年に足立区で初めて分譲した「北千住パークハウス」の記事をぜひ読んでいただきたい。記事には「天井高最大2.7メートル、二重床・二重天井、ワイドスパン、ディスポーザー、御影石の玄関床、複層ガラス採用など、間違いなく足立区や伊勢崎線の物件では水準以上だと判断した。坪単価は185万円で相場並みとみた」と書いている。同社の矜持が商品企画に表れている好例だ。

 では、いったい質の劣化はいつごろから始まったか。記者は2018~2019年ころの着工で、2019~2020年ころの分譲開始物件ではないかと考えている。2017年分譲開始の住友不動産「シティタワーズ東京ベイ」は「御影石キッチンカウンター、ディスポーザー、食洗機、リビング天井高2600mm、ワイドスパン、二重サッシ、Low-Eガラス」だった。

 同じ2017年分譲開始の長期優良住宅認定を受けた積水ハウス「グランドメゾン品川シーサイドの杜」は「設備仕様では、メーターモジュール、ドア把手の壁面までのセットバック、折上げ天井の廊下、天然石のキッチン天板、食洗機、ミストサウナなどが標準装備。リビング天井高は2500~2650ミリ」だ。坪単価は308万円だった。

 2020年に野村不動産「プラウド神田駿河台」を見学し、記事には「主な基本性能・設備仕様はリビング天井高2700(11階まで)~2800ミリ(12階から)、階高3200~3400ミリ、二重床・二重天井、食洗器、木製フローリング、木製壁パネルなど」と書いたのだが、この時、天井高がどんどん低くなっていることを関係者と話したのを記憶している。

 それにしても、マンションの基本性能・設備仕様、居住性能などについて論じられることがほとんどないのは、自戒も含めてジャーナリストを名乗る人やメディアの劣化もまた進んでいるからではないか。

◇        ◆     ◇

 冒頭の表を見ていただきたい。着工戸数と供給戸数はかなり差(捕捉率)がある。この11年間で見ると、もっとも捕捉率が高いのは2013年の83.0%で、もっとも低いのは2020年の50.5%だ。平均では63.7%となっている。

 国交省の着工戸数は、着工時点の分譲用として建築確認が行われた戸数で、その後、取り下げられたり、あるいは用途変更されたりした場合まで追跡していない。

 一方で、不動産経済研究所の数値には、30㎡未満や1棟売りなどは調査対象外で、再開発や建て替えなどによる地権者用住戸や事業協力者向け・優先分譲などは含まれていない。

 これが捕捉率に表れている。記者は、当初分譲予定だったのをリートなどに1棟で売却する戸数は年間3,000~5,000戸、地権者向け・事業協力者向け住戸は年間7,000~10,000戸、30㎡未満のコンパクト・投資用は7,000~9,000戸、合計年間17,000~24,000戸くらいあるとみており、この数字を加えるとほぼ住宅着工戸数と一致する。

 マンション市況を論じる場合、この捕捉率にも注目する必要がある。供給戸数が減っているから市況が低調とは限らない。むしろ逆のケースもありうるわけで、マクロデータを鵜呑みにしてはいけない。

 新築供給戸数と成約件数の推移を見てみよう。2016年に新築の供給戸数35,772戸を中古戸数37,189戸が上回って話題になったが、この年の住宅着工は64,769戸(捕捉率55.2%)だった。その後、6年連続して中古が新築を上回っているが、表面に出ない数値も考慮しないといけない。〝新築低調、中古好調〟という単純な図式にはならないということだ。ただ、中古の成約件数と坪単価は2021年に過去最多・最高となったのは注目に値する。

 新築と中古の坪単価について。新築はこの10年間で45.1%も上昇している。2020年には坪300万円を突破した。20坪(66㎡)で6,000万円だ。

 ただ、この数値も前段で書いた基本性能・設備仕様ベルや専有面積の推移と一緒に考えないと市場を捉えたことにはならない。専有面積でいえば、2021年の平均面積は66.86㎡で、坪単価が200万円以下だった2002年の73.73㎡から実に6.87㎡(約2.1坪)、畳数にしたら約4.2畳大も縮小している。価格が大幅に上昇し、質も面積も低下の一途なのが今の市場だ。

 中古はどうか。中古もすさまじい上昇を続けている。2021年は坪197.4万円で、2012年の126.0万円から56.7%の上昇だ。マンションの45.1%と比較すると11.6ポイントも高いのは、新築の価格上昇、供給減、基本性能・設備仕様の退行のほかリフォーム・リノベ物件による魅力付けなど様々な要因が考えられ、詳細な分析が必要だ。専有面積はこの10年間63~65㎡台で推移している。

 新築価格を100%とした場合の中古価格の割合は60前後で推移してきたが、2021年は63.9に上昇した。これも中古の市場・先高観を反映しているのかもしれない。 

三井不動産レジデンシャル「パークコート千代田富士見ザ タワー」(2012/11/5)

「まだ間に合う」 借景が見事な野村不動産「プラウド小石川」(2012/5/25)

三菱地所レジ「ザ・パークハウス日吉」全97戸が2カ月で完売(2012/5/22)

モリモト「ディアナコート文京千石」 床も面材・家具もマホガニー(2012/4/2)

「9割がワイドスパン、最強の間取り」全1,539戸の住友不「東京ベイ」(2020/3/28)

呉越同舟効果 「5本の樹計画」の本領発揮 積水「品川シーサイド」1期207戸!(2017/3/24)

隣接明大校舎の巨木の借景見事 日本初の木造ハイブリット 野村不「神田駿河台」(2020/11/24)

三菱地所の足立区初の「北千住パークハウス」が完売間近(2006/3/10)

 


 

 

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オープンハウスグループは94日、同社がトップスポンサーになっている東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手の大記録更新を祈念し、「1億円の東京の家」をプレゼントする特別ホームラン賞を実施すると発表した。

同社は、2016年から明治神宮球場開催のスワローズホームゲームで、同社の看板またはホームランゾーンにホームラン球を直撃させたスワローズの選手に東京の家をプレゼントする「オープンハウス ホームラン賞」を実施しているが、今回の特別ホームラン賞は、通常の「オープンハウス ホームラン賞」の対象ゾーンを反転させたエリアで、56本以上の全打席が対象。

上限価格は1億円(税込)で、立地や間取りは、シーズン終了後に村上選手本人と相談して決定する。

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赤いゾーンが対象エリア

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ここは対象外

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いい企画だ。同社の業績は絶好調、広告宣伝費(として計上できるのかは不明)だと考えれば安いものだ。プレゼントするのはマンションか戸建てか分からないが、マンションであれば現在分譲中の物件は「四谷三丁目」「代々木参宮橋」「恵比寿コート」などかヒットした。みんな坪単価500万円以上だろう。

 村上選手は9月4日現在、本塁打は51本。ヤクルトの残り試合は22試合(うち神宮球場9試合)。121試合で51本だから、確率的には56号以上を放つのは135試合目の9月22日の中日戦以降の8試合。獲得する可能性は極めて高い。ネットによると村上選手の今季年俸は2億2,000万円。本塁打1本で年俸の半分近くが懐に入る計算だ。

 そこで提案。荒井社長、そこまでやるなら、打たれた投手にも1,000万円は多すぎるので100万円くらい「アシスト賞」として贈呈してはいかがか。これならだれも傷つかない。

 ついでに西武の後藤社長、西武は残り18試合。12勝すれば優勝間違いなし。成功報酬として勝利に貢献した選手に1試合1,000万円プレゼントというのはどうか。みんな委縮して投げられなくなり打てなくなるリスクはあるが…。

 プロ野球の本塁打記録保持者は、2013年に60本を放ったヤクルトのバレンティン選手。2位は王(巨人)、ローズ(近鉄)、カブレラ(西武)の各55本。

勝率にかけた15,600円「バファローズ優勝おめでとう宿泊プラン」 オリックス(2021/10/30

「日本で一番スワローズな家」早くも問い合わせ数件 オープンハウス「北参道」(2021/10/28

祝ヤクルト優勝「日本で一番スワローズな家」1戸販売 オープンハウス「北参道」(2021/10/27

 

 

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「多摩川住宅ホ号棟マンション建替事業」

住友不動産と長谷工コーポレーションは92日、参加組合員として事業参画している「多摩川住宅ホ号棟マンション建替事業」の工事を85日に着工したと発表した。事業は国土交通省「マンション長寿命化等モデル事業」(令和3年度)に採択されている。

「多摩川住宅」は、1968年竣工の東京都住宅供給公社初の大規模団地。東京都調布市と狛江市にまたがる約48.9ha(調布市約32.9ha・狛江市約16.0ha)のエリアに、賃貸住宅(約1,800戸)と分譲住宅(約2,100戸)の約3,900戸のほか商業施設、幼稚園、小・中学校などの生活利便施設が整備された。当時、モデル団地として話題になった。

建物の老朽化が進んだことから2007年に「多摩川住宅まちづくり協議会」が結成された。両社は事業協力者として201511月に選定され、20208月、団地一括建替え決議が成立。20214月に調布市の認可を受け、「多摩川住宅ホ号棟マンション建替組合」が設立された。

「ホ号棟」は5階建て380戸(11棟)からなり、地区計画により「住宅再生A地区」として建ぺい率は26%から40%へ、容積率は60%から160%にそれぞれ緩和されたことから905戸(7棟)の建設が可能になった。

特徴は、長期優良住宅認定、CASBEE建築(新築)、ZEHの認証申請予定など。既存のケヤキの巨木の保全など緑環境にも配慮する。

地区計画では、このほか住宅福祉複合地区、住宅再生促進地区、住宅公益複合地区として再生・整備される。

物件は、京王線調布駅からバス1213分、徒歩47分(小田急線狛江駅もほぼ同様)、調布市染地三丁目に位置する敷地面積約37,638㎡、12階建て全905戸(非分譲住戸245戸含む)。専有面積は30.6887.01㎡。完成予定は202411月下旬(I工区)。設計・施工は長谷工コーポレーション。

「多摩川住宅全景」空撮(2021年8月撮影).jpg
空撮

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 現地は、商品企画が素晴らしかった都公社「ソシア多摩川」を見学して以来30年以上も訪れていないが、緑環境はその後も年々成長しているに違いない。他の地区計画エリアの再生がどうなるか未定の部分もあるが、新しい街に生まれ変わる。多摩川にも近く、住環境としては最高だ。調布駅、狛江駅へのバス便も豊富だ。長期優良、CASBEESになるのか)、ZEHも取得するようだからレベルの高いマンションが期待できる。

 着工したばかりなので価格はいくらになるか分からないが、同じ長谷工コーポレーション施工の東京建物他「ブリリアシティ石神井公園アトラス」(844戸)は坪270万円くらいで販売好調のようだ。「多摩川住宅」も負けない。このままの市況が継続すれば単価は最低坪260万円、アッパーで坪280万円くらいではないかと予想する。課題は、他の沿線と比べ割り負けしている京王線の魅力をアピールできるかだ(石神井公園は知っていても、多摩川住宅を知っている人は地元の人くらいだろう)。企画・訴求次第で爆発的な人気を呼ぶ可能性もあるとみた。

 「ホ」について。惚れたの「ホ」ではない。イロハニホヘト(色は匂えど)だ。昔の物件名は一郎、次郎、三郎…末男、トメ子と一緒。同じエリアで分譲すると第1、第2、第3…などと付けた。某デベロッパーなどは20以上もある。

 国土交通省は8月31日、令和4年7月の新設住宅着工動向を発表。総戸数は前年同月比5.4%減の72,981戸で、3か月連続の減少。内訳は、持家が22,406戸(前年同月比14.1%減、8か月連続の減少)、貸家が29,668戸(同1.5%増、17か月連続の増加)、分譲住宅が20,612戸(同4.0%減、先月の増加から再びの減少)となった。

 分譲住宅の内訳は、マンションが8,053戸(同11.7%減、先月の増加から再びの減少)、一戸建住宅が12,461戸(同1.8%増、15か月連続の増加)。分譲マンションは首都圏、近畿圏、中部圏とも2ケタ減となったが、その他は25.2%増と大幅に増加した。

 首都圏マンションは3,532戸(同12.8%減)で3か月連続減。都県別では東京都が2,291戸(同-26.5%減)、神奈川県が824戸(同45.1%増)、埼玉県が32戸(同83.5%減)、千葉県が385戸(同127.8%増)。1~7月では、首都圏全体は29,149戸(同10.9%)で、東京都が24.7%減、神奈川県が5.4%減となり、埼玉県が17.6%増、千葉県が49.0%増となっている。

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 持家の着工減が止まらない。1~7月では145,571戸(前年同期比9.0%減)となっており、分譲住宅の148,857戸(同3.7%増)を下回っている。このまま推移すれば、2006年(平成18年)の持家358,519戸、分譲住宅379,181戸以来16年ぶりに分譲住宅が持家を上回る可能性が高まった。

 

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