調整区域・1号店舗の適用受けた「なないろこまち」キッズデザイン賞 最優秀賞
「なないろこまち」(右の調整区域内の農地、左の住宅地に挟まれたエリア)
キッズデザイン協議会は9月28日、「第16回キッズデザイン賞」表彰式・シンポジウムを開催。最優秀賞の「なないろこまち」(黒田潤三アトリエ / なないろレディースクリニック)をはじめとする全優秀賞に賞状を授与するとともに、シンポジウムでは最優秀賞・優秀賞9作品の関係者によるプレゼンテーション、益田文和・審査委員長と赤池学・副審査委員長によるコメントが発表された。
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同賞には、住宅・不動産業界からは、中央住宅の「育てることで育む『農』のある暮らし ハナミズキ春日部・藤塚」と、積水ハウス「エルミタージュクール」がそれぞれ奨励賞を受賞したことは紹介したので省略する。記事を参照していただきたい。記者は、表彰式のみ取材して帰ったので、リアルのシンポジウムは参加しなかったが、黒田氏に話を聞き、シンポジウムもアーカイブで視聴した。
なにが素晴らしかったかといえば、最優秀賞の内閣総理大臣賞を受賞した「なないろこまち」(黒田潤三アトリエ / なないろレディースクリニック)の作品だった。
作品は、つくばエクスプレス線つくば駅から車で20分のつくば市西大沼の調整区域の農地を転用したもので、敷地面積約9,972㎡、RC造+木造平屋建て(一部2階)延べ床面積約4,432㎡の施設だ。
子どもが生まれる前に受診する「外来棟」と産んでから静養する「入院棟」からなる産婦人科を中心に小児科棟、ホール、カフェ、託児などの機能を持つコミュニティ棟から構成されている。
入院棟は、耐火構造にしなくてもよかったが、耐火・耐震性など総合的に判断してRC造としているとのことだ。他は平屋の木造としているのが大きな特徴で、外壁には焼杉を張り、内装材も木調を基本にしている。
なぜ、1万㎡近くもある敷地にこのようなゆったりした配棟の施設にできたのかといえば、都市計画法市第34条第1号(1号店舗)の適用を受けているからではないかと記者は考えた。市内の地価公示からして、隣接する松代町の住宅地は坪30万円くらいするはずだが、調整区域は10分の1くらいだろう。住宅地であれは土地代だけで約9億円だが、調整区域は1億円以下だ。1号店舗の条項を活用したからこそ実現した施設ということができる。中央住宅「ハナミズキ春日部・藤塚」も調整区域内の開発だった。
ネーミングがまたいいではないか。「なないろ」は施設と地域を結ぶ虹の架け橋であり、新生児の未来を指し示す希望の光だ。「こまち」は、「子」であり、女の子であれば「小町娘」であり、英語であれば共同、繋ぐ意味を持つ「co」である。
黒田氏のプレゼンテーションもよかった。「最初に道をつくり、街をつくった」と語った。記者はこの「最初に道をつくった」というフレーズに感動を覚えた。わが国の街並み設計に大きな影響を与えた建築家・宮脇檀の建築・街並み設計手法と同じだったからだ。
宮脇氏が亡くなったのは24年も昔だ。黒田氏が宮脇氏の設計思想に影響を受けたかどうかは分からないが、赤池氏はシンポジウムで何度も「温故知新」を語った。偶然の一致ということか。
中央が黒田氏
益田氏
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以下は付録だ。同協議会への注文をひとくさり。
この日(28日)、表彰式の会場となった六本木ヒルズ49階「アカデミーヒルズ49」には主催者、受賞者、メディアなど200名以上集まっていた。10時から主催者の同協議会・坂井和則会長のあいさつに始まり、来賓の経産省、内閣府(少子化対策、男女共同参画担当)、内閣府(消費者担当)、東京都の祝辞・挨拶、同賞審査委員長・益田文和氏の総評、受賞36作品の賞状授与、iFデザインアワード日本オフィスの来賓あいさつが終わるまでの約1時間半、みんな身じろぎもせず聴き入り、しわぶき一つ聞こえなかった。その都度、拍手も湧いた。落ち着きなく左右に揺れていたのは小生一人くらいだったろう(小生は、小中学生のときは45分間の授業時間に我慢がならず、紙飛行機を飛ばしたり、前に座る女の子の髪と椅子をセロテープでくっつけたりしていたずらばかりしていたので、先生に怒られ、いつも廊下に立たされていた)。前日の国葬もそうだったが、なんてわが国の人々は行儀がいいのだろうと感服した。
しかし、挨拶はみんな、記事にできるような気の利いたフレーズなど一つもなく、意味は分からなくとも美しい祝詞でもなく、枕詞の連呼ばかりだった。いったい総理大臣、経産大臣…などの冠に何の価値があるのか、小生はさっぱり分からない。
もう一つ。赤池氏はシンポジウムで黒田氏に対し、自らも益田氏も審査委員を務めるウッドデザイン賞への応募を勧め「高い点数が付くはず」と呼び掛けた。記者はこれまでも書いてきたが、キッズデザインとウッドデザインとは極めて親和性が強く、グッドデザイン賞も含めて、世界に通用するユニバーサルデザイン賞(UD)と統合してはどうかと考えている。外国には「キッズデザイン」という概念はないようで、だからこそiFデザインアワードと連携することになったのだろが、日本発の「キッズデザイン」は世界に通用するのか。
中央住宅と積水ハウスが奨励賞受賞 第16回キッズデザイン賞36点発表(2022/9/22)
「一般社団法人 日本ウッドデザイン協会」設立 会長に隈研吾氏(2021/12/9)
積水、旭化成、ケイアイスターが受賞/記者にも見る機会を 第15回キッズデザイン賞(2021/9/30)
福岡・大濠公園に近い一等地で坪500万円超 大和ハウス「プレミスト大濠二丁目」
大和ハウス工業が福岡市の大濠公園に近い一等地・大濠2丁目で坪単価500万円超のマンション「プレミスト大濠二丁目」を分譲することが分かった。現段階で同社のホームページには公開されていないので、いつ分譲するのか、あるいは公開しないまま販売するのかは分からない。
物件は、福岡市空港線唐人町駅から徒歩6分、福岡市中央区大濠2丁目12区115番1(地番)の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,951㎡、10階建て全35戸。専有面積は82.33~148.03㎡、価格は未定だが、坪単価は500万円を突破する模様。竣工予定は2023年3月下旬。施工は松尾建設。
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このマンションについては今年3月、〝単価については触れない〟という条件付きでタカラレーベン「レーベン福岡天神 ONE TOWER」を取材したとき、同社マンション事業部 営業推進事業部 第1営業統括部 第1営業部1課長・松島勇一郎氏が「果たして大和ハウスさんはいくらの値を付けるか」と気にしていた。
タカラレーベンの坪単価には記者も仰天したのだが、大和ハウスの「プレミスト大濠二丁目」は、同社広報から「坪単価は500万円超」との回答があった。タカラレーベンをはるかにしのぐ。もちろん、九州地方の最高坪単価マンションになる。少なくとも最低価格は1億円を突破し、最高価格は3億円を超える可能性もある。現段階ではホームページに公開されていないので、クローズドのまま販売するのかもしれない。
この前は、坪単価が700万円超になる隈研吾氏が設計を担当した「プロスタイル札幌 宮の森」の記事を書いたばかりだ。いま地方、とくに札幌を中心とする北海道、福岡、沖縄を中心とする九州が元気だ。都内では、目をそむけたくなるような劣悪な住環境でも〝駅近〟などは坪単価は500万円を突破している。
それと比べれば、地方の垂涎の的の一等地のマンションが坪500万円超というのは結構なことだと小生は思う。昨年分譲の坪単価650万円の東京建物「ブリリア タワー堂島」から、潮目は完全に変わった。
福岡の最高峰 第1期100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」(2022/3/15)
隈研吾氏が設計 坪700万円超でも好調スタート プロポライフ「札幌 宮の森」(2022/9/23)
〝どう見ても美しい〟大阪の市場を変える 東京建物「堂島」は坪単価650万円(2021/11/25)
三菱地所の国際ビルと東宝・出光美術館の帝劇ビル 一体的建て替え
国際ビル(左)帝劇ビル
三菱地所、東宝、出光美術館は9月27日、皇居外苑のお濠と丸の内仲通り双方に面した千代田区丸の内3丁目に位置する三菱地所の「国際ビル」、東宝と出光美術館の「帝劇ビル」を一体的に建て替えると発表した。建て替え後は帝国劇場・出光美術館の再開を予定している。建て替えスケジュールは未定。
帝劇ビルにある帝国劇場は、1911年に開設されたのち、1966年に建替え竣工した2代目。出光美術館は、出光興産の創業者である出光佐三が70余年の歳月をかけて蒐集した美術品を展示・公開するため開館され、現在、国宝2件・重要文化財57件を含む約1万件のコレクションを有する美術館。
国際ビルは1966年9月竣工の敷地面積約5,623㎡、9階建て延床面積約76,918㎡。
帝劇ビルは、1966年9月竣工の敷地面積約3,825㎡、9階建て延床面積約39,419㎡。
初期費用無料 太陽光PPAサービス導入第一弾「杉並区宮前PJ」着工 野村不
野村不動産は9月27日、東京電力エナジーパートナーが提供する太陽光PPAサービス「エネカリプラス」を同社の戸建て分譲シリーズ「プラウドシーズン」に導入する第1弾「(仮称)杉並宮前プロジェクト」を着工したと発表した。
PPAは、Power Purchase Agreement(電力販売契約)の略称で、顧客がPPA事業者に敷地や屋根などのスペースを提供し、PPA事業者が太陽光システムなどの発電設備の設置と運用・保守を行うもの。
「エネカリプラス」は、初期費用無料で太陽光発電設備を設置させてもらい、毎月定額で利用できる東電EPの定額機器利用サービス。余剰電力は東電EPへ売電する。
同社は今後、同様のスキームで年間300戸相当への導入を予定しており、その総発電出力はメガソーラー発電と同規模の1,000kWとなる。
物件は、JR荻窪駅から徒歩19~20分、杉並区宮前3丁目に位置する全16戸。敷地面積は90.00~107.89㎡、延床面積は91.50~106.06㎡。設計・施工は細田工務店、三菱地所ホーム。
ハードル高い建売住宅のZEH化 快適性の見える化必要 大和ハウス 勉強会に参加して
小山氏(左)と秋元氏
大和ハウス工業は9月26日、リアルとオンラインによる「業界動向勉強会(環境篇)」を開催。芝浦工業大学建築学部長教授・秋元孝之氏が「脱炭素社会を担う次世代の建築・住宅」と題する講演を行い、同社技術統括本部環境部長・小山勝弘氏が「大和ハウスグループの脱炭素社会への取り組み」について説明した。
秋元氏は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すためのZEB、ZEHなどの取り組みの現状や課題なとについて語り、「人類の活動によって生じる温室効果ガスの増加による気候変動が、世界に深刻な災害を引き起こしている現在、地球環境への負荷低減が喫緊の課題となっている。日本政府が掲げた2030年度までにCO2を46%削減(2013年度比)するという宣言の中で、家庭部門は66%の削減を求められている。あと8年。個人が現実に喫緊の課題として受け止めているか? 無責任な目標を掲げるのではなく、国民が不利益を被らないよう配慮した取組を進めて行くためにはまだまだ議論すべきことが多い。産官学全てのプレーヤーが将来の日本に責任を持って議論に参画していくことが重要ではないか」と締めくくった。
小山氏は、同社の脱炭素社会への取り組みについて説明。自社施設のZEB化+自社発電でRE100を中心とする再エネ100%のモノづくりと、ZEH・ZEB+全棟太陽光を中心とする再エネ100%のまちづくりを掛け合わせてカーボンニュートラルへ貢献すると話した。「2030年までに、やれることはすべてやる」と強調した。
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同社住宅事業本部事業統括部分譲住宅グループ部長・本間生志氏が「今期計上する約1,600戸の分譲戸建てのうち8割はZEH対応。5年後には100%にする」と9月15日に話したばかりだ。
それから、間、髪をいれず今回の勉強会だった。テーマは時宜を得たもので、両氏の話はとても分かりやすかった。秋元氏が脱炭素社会の実現は喫緊の課題と語り、小山氏は「やれることはすべてやる」と意気込みを示した。
小生も、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指すSDGsに賛同し、実践するためにもらったバッジをいつも胸に付け、17項目の目標の一つである「つくる責任 つかう責任」を「書く責任」に置き換えて記事を書いているつもりだ。
今回のテーマである建築・住宅分野でのカーボンニュートラルの取り組みは、速度は遅いかもしれないが確実に前進していると思う。中でも注文住宅の分野では、大手ハウスメーカーが先頭を切ってZEH化を進めており、2020年度目標である半数以上を上回る56.3%を達成している。全体では24.0%にとどまっているものの、これから加速することに期待したい。
分譲マンションを中心とするZEH-M の取り組みも進んでいる。2021年9月現在、ZEH-Mデベロッパー登録は44社(D登録)、建築請負会社登録も33社(C登録)に達している。主要なプレーヤーがほとんど名乗りを開けていると理解できる。2025年くらいには分譲マンションの30~40%はZEH化が実現するのではないか。
しかし、賃貸住宅もそうだが、建売住宅のZEH化は遅々として進んでおらず、この先も過大な期待は持てそうにないのが現状だ。2020年度の建売ZEHは2,886戸にとどまっており、着工戸数129,351戸の2.2%に過ぎない。建売住宅ZEHビルダー登録はわずか20件だ。
積水ハウス、大和ハウス工業など大手ハスウメーカーなどは100%近いZEH率を達成しているが、全体市場に占めるハスウメーカーのシェアは10%にも満たないと思われる。
一方で、記者が〝建売御三家〟と呼ぶ年間販売戸数が約4万戸の飯田グループホールディングス、約5.5千戸のオープンハウスグループ、約4.8千戸のケイアイスター不動産3社の合計販売棟数は約5万戸だ。この3社グループのうちZEH化を進めているのは飯田グループの東栄住宅1社しかない。
この3社グループがZEH化を進めれば建売住宅のZEH化は一挙に進むが、いまのところその気配はない。ハードルが高いからだ。
例えば飯田グループ。同社の2022年3月期の建売住宅の1戸当たり平均価格は2,866万円(前期比146万円増)だ。価格が上昇したのは、用地費、建築費上昇を価格に転嫁したからで、利益率は減少している。これに、ZEH化に伴う価格上昇を仮に300万円とし、価格に転化すれば平均価格は一挙に10%以上アップの約3,200万円になる。ZEH化の課題とされる「顧客の予算」「顧客の理解を引き出すことができない」「初期投資費用が高い」「投資回収年数が長い」壁が立ちはだかる。
では、この「顧客の予算」「顧客の理解を引き出すことができない」壁をどのように突破するかだが、一つは105万円の補助金制度の活用だ。あとの200万円上昇分をどこで相殺するかだが、光熱費などのランニングコスト減だけでは20年も30年もかかる。経済的効果だけでは顧客を納得させるのは難しいと記者は考える。
そこで、欠かせないのは快適性の〝見える化〟〝見せる化〟だ。これが決定的に欠けている。記者は、建売ZEHやZEH-Mの取材も30件以上取材しており、外断熱マンションやZEH仕様の戸建てに体験宿泊しているので、ZEHの威力を体感しているが、住宅購入検討者のうちZEHを体感している人は10人に1人もいないはずだ。取材現場で感じたことだが、Low-Eガラスや樹脂サッシの効果を理解できていない営業担当者もかなりいた。
説明する本人がZEHを体験していなければその良さを顧客に伝えることなどまずできない。営業担当者はもちろん、顧客にもZEHを体験させる機会を設けることが欠かせない。
一番適しているのはモデルハウスだろうが、住宅展示場は火気厳禁で、宿泊も不可だ。これを早急に改めるべきだ(一部のハウスメーカーはそのような規制を受けない単独の展示場を設けて効果をあげている)。建売住宅のZEH仕様のモデルハウスは極めて少ない。
体験できるようにすれば、真冬でもエアコン1台で床暖房は使わなくても、トイレも浴室も廊下も室温が一定であることが分かるはずで、顧客の理解度を飛躍的に向上させることができるのだが…。妙案はないのか。
最後に記者の提案。虫眼鏡で帽子に穴をあけるのと同じ原理で、レーザー砲が実用化される時代が来てはほしくないのだが、記者は学生時代、民家の2階の北向き3畳間に間借りしたことがある。何とか光を取り込もうと隣家の屋根に鏡を置き、反射させて成功させた。押し入れの中まで光が入った。
いまある太陽光採光システムも原理は同じだ。コストがとてつもなくかかるようだが、技術革新によって光が届く時間を遅らせるか、光を貯めることはできないのか。
「今期分譲戸建て1,600戸の8割はZEH仕様」本間部長 大和ハウス 記者レクチャー(2022/9/18)
大和ハウス工業「平和台」 同社初の「ZEH-M Ready」 申し込み殺到 早期完売へ(2020/9/15)
日常と非日常演出 従来の「スイート」とは異なる「ミマルスイート 東京・日本橋」
「ミマルスイート 東京・日本橋」
コスモスイニシアとコスモスホテルマネジメントは9月29日、アパートメントホテル「ミマル(MIMARU)」の新シリーズで、全室2ベッドルーム以上のスイートタイプで構成する「ミマルスイート(MIMARU SUITES)」の第2弾「ミマルスイート 東京・日本橋」を開業する。開業に先立つ26日、メディアに公開した。
物件は、東京メトロ日比谷線・都営浅草線人形町駅から徒歩2分、中央区日本橋堀留町2丁目に位置する11階建て延床面積約3,035㎡の全36室。1フロア4室で、客室は58~60㎡。2階に一般の人も利用できるカフェラウンジを併設する。開業は9月29日。
「ミマル(MIMARU)」は、2018年2月開業の第一弾「MIMARU 東京 上野NORTH」を皮切りにこれまで東京で13か所、京都で7か所、大阪で3か所、合計23か所で運営しており、約40㎡以上の広い客室に食器、調理器具付きキッチンやリビング・ダイニング、洗濯機を備えているのが特徴。2ベッドルームを備えた「MIMARU SUITES」の第一弾は2021年開業の「MIMARU SUITES 京都四条」。
同社は今後、「東京日本橋」に続き、2022年12月には「MIMARU SUITES東京浅草」を、さらに池袋と大阪・心斎橋に2つ、合わせて5つのホテルを年内にオープンする予定。
宿泊料金は1室1泊約36,000円〜。6名で宿泊の場合は1泊・1名当たり約6,000円の料金設定になっている。
運営を担当するコスモスホテルマネジメント広報担当者によると、現時点の予約者の半数が7泊以上を希望し、このところ予約は倍増しているともいう。
リビング
バスルーム
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意表を突いたホテルだ。記者は、「スイート」というからには、内装はさぞかし豪華な建具・家具が備えられ、設備仕様レベルも高いのだろうと想像していたのだが、そうではなかった。広さは「スイート」にふさわしいものだが、2人宿泊を想定しているものではなく、国内外の親子、兄弟姉妹、三世代、親戚同士、友人などとのグループ旅行など多様なニーズにも対応できるものだった。(旅館タイプは多人数で宿泊できるものが多いが、いびき・歯ぎしりなどを気にし出すと眠れなくなり、朝早くから風呂に入る人もいるので、ほとんど一睡もできなかったこともしばしばあった)
何がいいかといえば、メインのトイレ、浴室のほかに、もう一つのベッドルームにはトイレ・洗面・シャワー室が備えられていることだった。双方の浴室・シャワー室にはタオル掛けも2か所についていた。非日常を演出しながら、日常のシーンも想定し、冷え切った関係を修復し、それぞれのコミュニケーションを劇的に向上させる可能性を秘めた企画がいい。6名利用したら1人6,000円というから、並みの20㎡前後のツインとは比較にならないほど〝豪華〟といえば豪華だ。
そして、2階のロビー、ラウンジ、カフェコーナーがまたいい。広さは、記者が見学したこれまでの「MIMARU」より広く、備えられている器やアート、約300冊の書籍などを客室に持ち込むことが可能で、食器類や小物などは購入できるようになっていた。それらは決して高額な商品ではなく、小生の家庭でも使っているような日常的に使えるものばかりだった。
書籍は、外国人利用も想定してか、わが国の浮世絵や伝統的な文化や歴史に関する写真付きのものが多い。そして、嬉しいことに、人形町界隈の酒屋から取り寄せた日本酒を無料(飲み放題ではないが)で試飲できるというではないか。
書籍といえば、昨年4月に見学した積水ハウスの民泊運用型セカンドハウス「YANAKA SOW」を思い出した。「愛とエロス」と名付けられた客室があり、客室に備えられていた背表紙に「Shunga」と書かれた書籍には北斎、英泉、国貞、歌麿らによるくんずほぐれつの、知らない人は卒倒しそうな春画が描かれていた。「MIMARU」はそんな本は置けないのはよく分かる…。
ロビー
額装されたアート
ロビー
ロビー
〝骨太ニッチ〟アパートメントホテルで独走 コスモスイニシア第一弾「上野」開業(2018/2/2)
東急不他「十条」1期1次は105戸(当初予定の約半分)坪単価は470万円か
「ザ・タワー十条」
業界関係者の間で話題になっている東急不動産・日鉄興和不動産の「ザ・タワー十条」578戸の第1期1次105戸の登録申し込みが9月23日から始まった。当初、第1期1次の販売戸数は分譲対象394戸の半分近い186戸とされていたが、その半数強に減少した。申し込み締め切りは10月2日で、3日に抽選が行われる。
物件は、JR十条駅から徒歩1分、北区上十条二丁目の商業地域(建ぺい率66%、容積率797%)に位置する39階建て全578戸(事業協力者住戸184戸含む)。第1期1次(105戸)の専有面積は58.23~127.37㎡、価格は8,290万~30,000万円(最多価格帯11,100万円台)。竣工予定は2024年9月末日。販売代理は東急リバブル。施工は前田建設工業。事業コンサルタントは日本設計。
現地は、住宅・商業・公益一体の複合開発「十条駅西口地区第一種市街地再開発事業」(地区面積約1.7ha)。2005年11月に十条駅西口地区まちづくり協議会が発足してから2012年10月の都市計画決定、2021年3月の着工を経て今回の分譲開始となった。両社は参加組合員として事業参画している。
1階〜4階の一部は商業・業務フロア、住戸は6階からで平均専有面積74.32㎡と広いのが特徴。今回の分譲対象は26階以上の高層階となっている。
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物件ホームページには基本性能・設備仕様レベルなどは公開されておらず、記者は見学していないのでいい加減なことは書かない。いいか悪いか、買うか買わないかは検討者が考えることだ。
ただ、坪単価にはびっくりした。最低価格の住戸が専有面積約58㎡の住戸であるとすれば坪470万円だし、最高価格住戸の専有面積が約127㎡であれば坪777万円だ。(比較にはならないが、今春に分譲開始され、3か月で完売した十条駅から徒歩4分の三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス十条」41戸の坪単価は353万円だった。地所レジ関係者はどう思っているのか、切歯扼腕しているのか)
建物の四方は開けており、下層階でも眺望が妨げられる要因は今のところなく、この26階の坪470万円が平均値になる可能性が高い。(個人的には最上階と思われる住戸はとても安いと思う。単価通りのラッキーセブンだ。どこにでもお金持ちはいる。坪1,000万円でも安いのではないか)。
だとすると、この坪470万円は周辺の今後予定されている周辺物件の値付けに大きな影響を与えるのは必至だ。さしずめ、同じような立地条件から競合しそうなのは、先に分譲開始された三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」であり、住友不動産の各物件だ。中でも住友不動産は周辺エリア、あるいは単価的に同レベルと思われる大規模物件を続々供給する。以下の通りだ。
・住友不動産「シティタワーズ板橋大山」(ノースタワー88戸、サウスタワー239戸) 来年1月分譲予定。竣工は2024年7月上旬。
・住友不動産「シティタワー千住大橋」466戸(駅5分、今年11月分譲予定)。竣工予定は2025年4月中旬。
・住友不動産「シティタワー綾瀬」427戸(駅1分、来年1月分譲予定)。竣工は2024年12月中旬。
・住友不動産「シティテラス赤羽」438戸(駅7分、THE EAST300戸、THE WEST 138戸)。今秋から来年1月分譲予定。竣工予定は2024年12月。
・「赤羽一丁目第一地区第一種市街地再開発事業」(住友不動産が事業参画。開発準備組合が設立された段階)
・「上板橋駅南口駅前地区第一種市街地再開発事業」(住友不動産が事業参画する)
上記のうち「赤羽一丁目」と「上板橋」はあと2~3年先にならないと詳細は固まらないだろうが、「十条」によって価格を上方修正するのではないか(その逆もあり得ないわけではないが)。ほくそ笑んでいるかもしれない。
同じ北区では、企画力がある大和地所レジデンスが30周年記念プロジェクトとしてフラッグシップブランド〝グラン〟を冠した「ヴェレーナグラン北赤羽 マスタープレイス&マナープレイス」571戸(駅5分、マスタープレイス318戸、マナープレイス253戸)のエントリーを開始した。来春分譲開始予定で、竣工は2024年末から2025年初。概要には「工業地域」とあるので、価格を抑え、企画で勝負に出るのは間違いない。
また、着工したばかりで競合は微妙だが、板橋駅前では野村不動産と東日本旅客鉄道が事業参画している「板橋駅板橋口地区第一種市街地再開発事業」がある。
「十条」の影響はこれだけにとどまらない。再開発計画がたくさんある城東エリアだ。野村不動産が事業参画している「平井五丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」(住宅は370戸、竣工予定は2024年度内)や三井不動産レジデンシャルと日鉄興和不動産が事業参画している「JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業」(住宅は730戸、竣工予定は2027年度)にも影響を及ぼすことになる。街のポテンシャル、東京駅までの交通便を考えれば、「十条」には負けないと考えるのが妥当だ。坪単価は400万円をはるかに突破してもおかしくない。
参考までに、最近分譲された周辺物件と準都心部のマンションの記事を以下に紹介する。
反響3000件超 ランドスケープ抜群 三菱地所レジ他「板橋大山大楠ノ杜」(2021/12/11)
三菱地所レジ「十条」41戸は坪353万円3か月で完売/台風の目「ザ・タワー十条」(2022/8/1)
南北・銀座戦争か? 北の「十条」と競合あるか 三菱地所レジ他「戸越公園」(2022/9/10)
エリアの最高値更新へ 三菱地所レジ コンパクト&ファミリー「赤羽」(2021/9/17)
第1期は全227戸の約6割の135戸 大和ハウス他「王子神谷」圧倒的な人気(2021/12/3)
総武線(亀戸~小岩)の開発に拍車 再開発中心に5000戸超 「亀戸」の上値圧力も(2021/9/1)
隈研吾氏が設計 坪700万円超でも好調スタート プロポライフ「札幌 宮の森」
「プロスタイル札幌 宮の森」(写真は全てリリース、物件ホームページ)
プロポライフグループのログスイート(LogSuite)とプロスタイル(Prostyle)は9月21日、隈研吾氏が設計を担当した「プロスタイル札幌 宮の森」が3年3か月の工期を経て8月31日に竣工。同時に、棟内モデルルームと現地事務所を設け、販売を開始したと発表した。第一種低層住居専用地域の高級住宅地に立地する全20戸の傾斜地マンションで、坪単価は市内のこれまでの記録を大幅に更新する700万円超ながら、すでに申し込みが5件入ったという。
物件は、札幌市営地下鉄東西線円山公園駅から車で約7分、札幌市中央区宮の森4 条の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率60%)に位置する敷地面積約4,413㎡、11階建て(建基法では地下2階地上3階建)延べ床面積約4,997㎡(容積対象面積約2,634㎡)の全20戸。専有面積は124.26~176.65㎡(他にテラス26.78~122.75㎡、プライベートガーデン17.58~105.87㎡など)、価格は18,800万~40,000万円(最多価格帯26,000万円台3戸)、坪単価は700万円強。設計・監修は隈研吾建築都市設計事務所。施工は砂子組。
現地は、「例えるならば渋谷・松濤、横浜・山手町」「札幌の街を一望できる眺望と残された自然の借景を、全ての住戸に取り入れています。特徴である天然木を贅沢に用いたデザインで、自然に溶け込んだ斬新な集合住宅」(リリース)というのが特徴。
建物は、モノレール型のエレベーターを採用、外気に面する梁・壁の室内側に約55㎜厚、最下階住戸の床下に約35㎜~約50㎜厚の結露発生を抑制する断熱材を施工。主な基本性能・設備仕様は、IHヒーター、食洗機、天然無垢材建具・家具・床仕上げ、デュポン・コーリアン製天板、DURAVIT社製スタルク浴槽、プライベートサウナ、高断熱トリプルガラスなど。
隈氏は、物件ホームページのインタビューで「今回僕自身で現地に足を運び、非常に魅力的な敷地だと感じました。丘を生かした建築を構想していました。それを実際に成立させるためにはかなりの時間をかけたプロジェクトでしたね(設計期間は3年半、施工期間は3年3か月)。恐らく今後、そう容易く誰もがここまでの建築に取りくむチャンスがあるわけではないと思う」「事業主のProstyle社とLogSuite社は、天然無垢材を必ず採用することにこだわった会社です。これに共鳴した部分が大きくあります」「コンクリートを流す枠に無垢の丸太を使うことは大変稀で、技術としても非常に難しいものです。木を自然な形で使用できるこの丸太の残存型枠は、一般的な都会型のマンションではできない、今回ならではの挑戦でした」などと語っている。
現地の販売担当者は「数か月で完売できるのではないか」と話していた。
外壁は北海道産のスギ
エントランス
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このマンションは、不動産流通研究所のWeb「R.E.port」が9月22日に報じるまで全く知らなかった。隈氏が設計したのに驚いたのだが、それ以上に仰天したのは価格だった。最低でも坪単価は500万円を突破するではないか。現在の札幌市内の最高値マンションは、大和ハウス「ONE 札幌ステーションタワー」の415万円のはずだが、それを一気に抜き去った。(抜かれた大和ハウスは福岡・大濠公園の近くでこれまでの市内の最高単価をはるかに超えるマンションを計画していると聞く)
早速、ログスイートとプロスタイル、物件ホームページで確認した。両社は持ち株会社プロポライフグループの会社で、同社グループは創業15年間で約2,000件のリノベーションマンションの実績があるとしている。しかも全てスケルトンリノベを施し、二重床・二重天井にし、床から建具・家具、天井に至るまで無垢材仕上げにしているとあった。扱う物件も都心部のアッパーミドル・富裕層をターゲットにした億ションが中心だった。
これに合点がいった。床や建具・家具は天然木がいいのに決まっている。バブル期は最高級のマホガニー、チーク、紫檀・黒檀などが当たり前だったし、数年前まではモリモトが突板仕上げなどで他社との差別化を図って成功していた。分譲戸建てではポラスグループが「木」にこだわっており、構造材の現し、挽板仕上げが多い。
話を元に戻す。「プロスタイル札幌 宮の森」の物件概要には、建ぺい率40%、容積率60%(田園調布、山手町、芦屋市・六麓荘も40%、80%)とあるではないか。設計に3年半、施工に3年3か月かけたことでも法規制をクリアするのに苦労したであろうことは素人の記者でも分かる。傾斜地であることを巧みに生かし、建基法の地盤面規定を利用して実現したのだろう。
傾斜地マンションといえば、〝傾斜の魔術師〟と呼ばれた故・井出共治氏設計の「ヒルサイド久末」(清水建設施工)「ヒルサイドテラス平山城址」(同)「ゆりが丘ヴィレッジ」(鹿島建設施工)を思い出す。他では、竹中工務店施工の「テラス寺尾台」もいい物件だった(安藤忠雄氏の「六甲」は見ていない)。「プロスタイル札幌 宮の森」もまた、わが国の代表的な傾斜地マンションとして歴史に刻まれるのだろうか。近ければ飛んでいきたい。以下に隈氏が手掛けたマンションを紹介する。
隈研吾氏がデザイン 〝グランデ〟首都圏第一号 阪急不「ジオグランデ元麻布」(2017/3/6)
新国立競技場だけでない 三井レジ「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気(2015/12/22)
究極の隈研吾マンション 豊島区庁舎と一体の東京建物「Brillia Tower 池袋」(2013/3/19)
「神楽坂『赤城の杜』プロジェクト」完成 三井不レジが見学会(2010/8/20)
驚嘆の安さ 坪318万円 隈研吾氏がデザイン監修 三井不・東電不「パークコート神宮前」(2008/11/19)
大和ハウス 再生可能エネルギー供給を加速 全商業・事業施設に太陽光発電
「オンサイトPPA」を採用した物流施設「DPL 三郷Ⅱ」
大和ハウス工業は9月22日、再生可能エネルギー供給を加速するため、同社が建設・開発する商業施設・事業施設の全ての屋根に、太陽光発電システムを提案すると発表した。
同社グループは、「第7次中期経営計画(2022~2026 年度)」で、2023年度には業界初となる「RE100」達成、2030年度までに国内でZEB・ZEH率100%を目指すことを打ち出している。今年度から分譲住宅を含む戸建て住宅全商品をZEH仕様としたほか、賃貸住宅もZEH-M仕様の提案を強化している。
また、着工中の一部の事業施設でも10月1日から商業施設・事業施設の全ての屋根に、太陽光発電システムの提案を本格的に開始する。
今回の提案では、顧客との通常の請負方式に加え、同社が屋根を借りて太陽光発電システムを無償で設置し、発電した電力を供給する「オンサイトPPA」方式を活用。発電した再生可能エネルギーを入居テナント企業に使用してもらうことで、顧客のCO2削減にも寄与する。
静音空間&睡眠解析サービス提供開始 カプセルホテル「ナインアワーズ大手町」
「ナインアワーズ大手町」(Nine Hours Otemachi - Imperial Palace)
コスモスイニシアは9月26日、同社が保有するカプセルホテル「ナインアワーズ大手町」(Nine Hours Otemachi - Imperial Palace)に遮音性の高い新型静音カプセル「9h sleep dock」を初導入し、睡眠解析サービス「9h sleep fitscan」の提供を開始する。運用・サービス提供を前にした9月21日、プレス内覧会を実施した。
新型カプセル「9h sleep dock」(計8床)は、ヤマハ発動機と共同開発したもので、従来はロールカーテンで仕切られていたカプセルの入り口を遮音性に優れたハッチ型にすることで、いびき音や廊下を歩く音などを聞こえづらくする「静音空間」のほか「個別温湿度管理」「クリーン換気」機能を持つ。
睡眠解析サービス「9h sleep fitscan」は、2021年12月から導入を開始したもので、宿泊客に了解の上で、睡眠データを赤外線カメラ、集音マイク、体動センサーで収集・解析し、後日、心拍数やいびき、無呼吸になった回数・時間などをレポート形式で提供する。サービス利用者は現在1万人を超え、約7%の睡眠時無呼吸症候群が検出されている。
今後、同社が運営する19店舗、年間利用者100万人に近い利用者へサービスを拡大することで、数年以内には数百万人~1千万人規模の睡眠データベースの構築を見据えている。
この種の「睡眠ビッグデータ」は世界に類がなく、睡眠障害は統合失調症、うつ病、パーキンソン病、認知症などの疾患と関連があることから、データが疾病メカニズムの解明や治療に貢献すると期待されているという。
施設は、東京メトロ東西線竹橋駅から徒歩3分・神保町駅から徒歩4分、千代田区神田錦町3丁目に位置する敷地面積約166㎡、8階建て延べ床面積約829㎡、客室数129室(男性76室/女性53室)。チェックイン・アウトは14:00~10:00、宿泊料金は変動制でこの日(21日)は約3,000円(「9h sleep dock」は+1,000円)。
東京駅や大手町、皇居に近いため出張や旅行の際のトランジットサービスとして、宿泊や仮眠などさまざまな需要に応えるカプセルホテルで、皇居ランナーなどにはシューズロッカーの提供やランニングウェア、ランニングシューズのレンタルサービスも行っている。
10月には、コワーキングスペースとして電源・Wi-Fi完備のデスク・ラウンジが使える当日/月額プランの販売を開始する予定。
新型カプセル「9h sleep dock」
ピクトサイン
洗面室
◇ ◆ ◇
カプセルホテルは苦い経験しかない。大成有楽不動産が一昨年開業した「BAYHOTEL東京浜松町」を取材したときも書いたが、終電に間に合わず家に帰るよりはるかに安く済むので同僚などと何回か利用したことがある。ゴムひも付きのカギを手首にはめさせられ、囚人服のようなパジャマを着せられ、2段ベッドに押し込められるのには閉口した。浜に打ち寄せられたトドの死骸のよう格好の湯上り姿のサラリーマン(さすがにそんな女性はいなかった)を見ると、情けないやら悲しいやら、酔いがぶり返した。その都度〝絶対、お前らとは飲まないぞ〟と誓ったが、酒の誘惑には勝てなかった。
今回のカプセルは、昔利用したものとは異なっていた。テレビはなかった。スマホがあればいいのだそうだ。酔っぱらいなどはあまり利用しないことも初めて知った。
白を基調にした内装デザイン、廣村デザイン事務所によるピクトサインは美しく、シャワー室のシャワーヘッドは立派なものだったのが印象に残った。ただ、人間洗濯機のようなカプセルはどうしても馴染めなかった。
睡眠解析サービスについてはよく分からないが、無呼吸、いびき・歯ぎしりは重大な疾患と関係があることは身内、知人を通じてよく知っている。カプセルだけでなく、同社の「MIMARU」に導入してもいいのではないか。
コワーキングスペース
外観
大成有楽不 ホテル&カプセル 「BAYHOTEL東京浜松町」4月24日開業(2020/3/18)