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 大和ハウス工業は915日、9月下旬に発表される基準地価を前に、記事を書くのに参考となる「記者レクチャー会〈2022年基準地価〉」を開催した。記者は別の取材のため録画で視聴した。

分譲マンションについては同社マンション事業本部事業統括部部長・角田卓也氏が、分譲戸建てについては同社住宅事業本部事業統括部分譲住宅グループ部長・本間生志氏が、物流事業についてはDプロジェクト推進室上席主任・藤田渉氏が、オフィス・ホテルについては流通店舗事業本部事業統括部開発事業部開発グループグループ長・和田康紀氏がそれぞれ約10分間、事業環境などについて説明した。

角田氏は、首都圏マンションは引き続き好調に推移し、DINKSDEWKS、富裕層の資産性を重視する旺盛な需要を背景に、販売価格も引き続き上昇しているとした。近畿圏や地方都市でも首都圏ほどではないが、再開発・複合開発などに対する需要の高まりがみられると説明した。

このような需給関係から、仕入れ競争も激化し、マンション用だけではなく賃貸用として取得するデベロッパーとの競合もあり、良好な適地には各社が群がり入札になると話した。

本間氏は、今年度上半期は在庫減少が要因で低調に推移したが、下半期はZEH仕様比率を大幅に高め、人気の家事シェアタウンなどを積極的に分譲すると話した。在庫(販売物件)が減少(最小期2,800区画⇒現在は3,400区画)したことから、今年設けた82名の用地企画マネージャーを通じて仕入れを強化し、3月末には年間在庫数(販売数)4,000区画に戻すという。

今後の地価動向については「全く読めない。いつ下落してもおかしくない」と警戒感も強めている。

物流市場について藤田氏は、EC・通信販売の継続進展、コロナ禍によるEC利用の定着・決済環境の充実などからBtoC、EC市場規模は順調に拡大し2026年度は29兆円を超えると話した。また、消費形態の変化と冷凍技術の進化に伴う冷蔵冷凍倉庫需要の増加などから物流適地が不足しており、好立地の物流用地は高値で取引されていると説明した。

オフィス・ホテルマーケットについて和田氏は、東京・大阪・名古屋圏のオフィスはテレワークやサテライトオフィスなど働き方の多様化により、乱立する都心のオフィスビルは波乱含みとした。

ホテルはコロナ禍で固定賃料の大幅減額や固定賃料が負担となり撤退を余儀なくされるホテルも見受けられ、本格回復は2024年と読み、これからは、売上に応じた変動賃料やホテル運営委託が主流になってくるとした。ホテルオペレーターの質(運営力 ・組織力・サービス・財源)が求められる時代になったと語った。

◇      ◆     ◇

これまでもそうだが、同社の記者レクチャーは非常に面白い。今回も4氏の説明は40分くらいで、残りの約50分間を質疑応答に割いた。そのため、メディアの質問が相次いだのだが、ハウスメーカー担当記者の関心事でもあるのだろうか、分譲戸建てに関する質問が多かった。

意図したことかどうかは分からないが、本間氏が質問を誘発するような本音の話をしたからでもある。本間氏は冒頭、各地区別の分譲戸建ての表データを示し「これは未公表資料ですので、転載は控えていただきたい」と前置きしながら、「赤字が目立ちかっこ悪いのだが、これが実態。今年度上半期の分譲戸建ては低調に推移した。分譲は〇%、土地は〇%減少した(戸数のことか)。大幅な在庫減が要因…価格は建売住宅が〇万円、戸建ては〇万円上昇した。要因は建売住宅はZEHを推進しており、土地は一等地戦略を取っているから(金額的には小幅減少にとどまったということか)…下期にはZEH比率を飛躍的に高める」などと具体的な数字を交えながら話したからだ。

(本間さん、ご安心ください。わたしのパソコンは表の映りが鮮明ではなく、ほとんど読めませんでした。転載のしようがありません。ただ、上記に書いたように、本間さんが話されたことのうち数字は〇にしましたが…これは書いてよろしいのでしょうか)

当然のように、この件にメディアは反応した(本間氏の計算通りか)。本間氏は具体的な数値を示し丁寧に対応した。小生もそこまで赤裸々に〝内幕〟を話したのには驚いたのだが、それは同社だけでなく戸建て業界全体の実態を話したのに過ぎない。この件についてはこれ以上触れない。

本間氏はポータルサイトによる反響が大幅に減少していることにも言及したので(検討者の知りたいのはセカンドオピニオンだ。ポータルサイトにはこれが全然ないのが課題だと記者は思う)、〝一強〟サイトの東京都の新築戸建てを検索した。約11,000件がヒットした。東京都の令和3年の分譲住宅の着工戸数は48,610戸だ(マンション31,221戸、戸建て17,389戸)。全着工戸数に占めるこのポータルサイトの捕捉率がどれくらいか分からないが、年間着工戸数の63%が分譲中というのはあり得ない数字だと思うが…。

そして「ZEH」で検索しようと思ったら、その項目はない。仕方なく「長期優良住宅」で検索したら503件だった。

ZEH」でヒットしないのは、分譲戸建てのZEH比率は微々たるものであるからだろう。国土交通省のデータによると、2019年度の分譲戸建ての着工戸数146,154戸のうちZEH住宅は1,901戸、わずか1.3%しかない。年間400500戸をコンスタントに供給している三井不動産レジデンシャルはZEHに取り組み始めたばかりで、2025年度までに50%という目標を公開している。野村不動産もこれからではないか。

なので、同社がZEHを標準仕様にするのは大賛成だ。本間氏は「時代に沿って先頭を走ろうと舵を切った。今期計上する約1,600戸の分譲戸建てのうち8割はZEH対応。5年後には100%にする」と話した。先頭を走るから価値がある。後ろからついていくのは誰だってできる。依拠すべきは良質住宅を求める顧客だ。価格が多少上昇しても、ZEHの魅力を丁寧に説明できれば購入検討者はみんな買いあがる。同業の積水ハウスは分譲戸建てもZEHが標準仕様と聞いている。

首都圏マンションはどうかというと、23区内は軒並み坪300万円以上で、駅近(どれほどの価値があるか分からないが)は400万円、500万円以上だ。20坪で1億円の相場となりつつある。神奈川、埼玉、千葉だって主要都市は坪250万円以上で、300万円を突破してきている。ZEHマンションは相場より坪単価(総額ではない)は1、2割高くてもみんなよく売れている。分譲戸建てをZEH化することで分譲価格が上昇しても、マンションにしたら1坪くらいではないか。

 参考までに、年間4万戸以上販売する飯田グループホールディングスの2023年度第1四半期決算を紹介すると、分譲住宅の販売棟数は9,266戸(前年同期比9.5%減)で、平均価格は3,007万円(前年同期比5.0%、143万円増)に上昇。建物原価、土地原価上昇分を販売価格に反映しきれずに、1棟当たりの売上総利益額は35万円減少した。2年前の1棟単価は2,656万円だったので、この2年間で351万円上昇している。同社グループでZEH住宅を分譲しているのは東栄住宅のみで、同社は今後すべてZEH化すると打ち出した。

分譲戸建て「仕入れ強化。Nearly ZEH進める」本間部長 大和ハウス 恒例レクチャー会(2022/3/17

27棟にオリジナル樹木 敷地全体では5+1本 大和ハウス「武蔵府中ひかりテラス」(2021/7/2)

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「東京ミッドタウン八重洲」

 三井不動産は9月15日、八重洲二丁目北地区市街地再開発組合の一員として事業参画しているミッドタウンブランド3施設目の「東京ミッドタウン八重洲」を2023年3月10日(金)にオープンすると発表。同日、施設が竣工したのに伴う記者会見を行い、9月17日に先行オープンする地下1階の13店舗、オフィスゾーン、地下4階のエネルギーセンターの内覧会を実施した。

 東京駅八重洲駅前で進行中の隣接する「八重洲一丁目地区」(51階建て延べ床面積約225,200㎡、2025年度竣工予定)と「八重洲二丁目中地区」(43階建て延べ床面積約388,300㎡、2028年度竣工予定)の先陣を切るプロジェクトで、施設コンセプトに「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド ~日本の夢が集う街。世界の夢に育つ街~」を掲げ、世界中・日本中から人や情報、モノ・コトが集まり、交わり、新しい価値を生み出し、世界に向けて発信していく街づくりを目指す。

 施設は、ミクストユース型の多様な機能を備えているのが特徴で、セントラルタワーの地下1~2階の「バスターミナル東京八重洲」と地下1階の13店舗からなる商業施設を9月17日に先行オープンしたほか、地下4階に八重洲エネルギーセンター、地下1~3階に商業ゾーン、1~4階に中央区立城東小学校、4~5階にビジネス交流施設「イノベーションフィールド八重洲」、5階に屋上テラス、7階にワークスタイリング、24階にテナント向け会員制施設・サービス「mot.三井のオフィスfor Tomorrow」を備える。オフィスフロアは7~38階。40~45階には日本初の「ブルガリ ホテル東京」が2023年4月に開業する。セントラルスクエア2~3階には「認定こども園」が開設される。

 「日本橋」「豊洲」に次ぐ第三弾となる「八重洲エネルギーセンター」も今秋から稼働する。

 施設概要は、JR東京駅地下直結(八重洲地下街経由)、中央区八重洲二丁目地内の区域面積約1.5haに位置する地下4階・地上45階建て延べ床面積約約283,900㎡の「八重洲セントラルタワー」と、地下2階・地上7階建て延べ床面積約5,850㎡の「八重洲セントラルスクエア」で構成。基本設計・実施設計・監理は日本設計、実施設計・施工は竹中工務店、マスターアーキテクトはPickard Chilton。建物は2022年8月31日に竣工。

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オフィスロビー

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24階オフィス

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「八重洲エネルギーセンター」のコージェネレーションシステム(CGS)

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 他の取材もあり途中で退席したので、地下1階の商業施設は見学できなかったのだが、記者会見・内覧会で同社ビルディング本部ビルディング事業三部長・藤井卓也氏と同社商業施設本部アーバン事業部長・牛河孝之氏が「類を見ない再開発」「周辺エリアを包含する再開発」「行きたくなるオフィス」「国内最大級のZEB Ready認証」「ワーカー・ツーリスト・ファミリーなど、全ての人の好奇心をくすぐる」「東京の新名所の多彩な店舗」「SC初」などと強調したように、コロナ以後を見据えた新しい働き方の提案や、オフィスワーカーはもちろんバスタ利用者、観光客のほか「都心生活者」も大きなターゲットの一つにしているのに注目した。

 記者は、コロナ前までは三菱地所の「丸の内北口ビル(丸の内オアゾ)」が勤務地で、オフィスにいるときは必死でキーワードを叩き、取材で外出するときは街路樹と建物ばかり眺めていたので、街行く人には関心を払わなかったので確証は得られないのだが、コロナ禍の三井不動産「コレド室町」「COREDO室町テラス」「MIYASHITA PARK」、三菱地所の仲通りをはじめとする「大丸有」エリアの街は、コロナ前とは様相が一変したように感じる。目立って増えたのは小さな子ども連れた女性グループだ。これだけでオフィスワーカーでないことが一目瞭然だし、着ている衣服も労働者のそれではないし、昼間から平気でワインなどを飲んでいる。

 どこから湧き出てくるのだろうと考えるのだが、おそらく人口が爆発的に増えている中央区を始めとする千代田、港区、渋谷区居住のアッパーミドル・富裕層だろう。

 この仮説が当たっていれば、「都心生活者」のキーワードの謎が解ける。今後、来街者の争奪戦はますます激化する。負ければ商業施設だけにとどまらず、オフィス空室率の悪化を招く。いかに来街者を増やし、滞在時間を延ばすかが大きなテーマになってくるのではないか。

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藤井氏(左)と牛河氏

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「東京ミッドタウン八重洲」

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 オフィスロビーと24階の会員向け施設は整備途中だったが、それぞれ2層吹抜けで床材・壁材には天然石や天然目の突板が多用されている。24階はカーペット敷きだった。(通常階のオフィスフロア天井高は2800ミリとか)

 顔認証による「完全タッチレスオフィス」や「デリバリーロボット」の導入は驚きはしなかったが、小生のようにタバコを吸うためにしょっちゅう席を外す人は全部カウントされ、配達料は取らないというが、ロボットに趣向まで知られるのは気持ちのいいものではない。そのうち〝カロリーの取りすぎですよ〟〝もっとましなものを食べなさい〟などと注文をつけるロボットが出現するのではないか。

 今年3月に行われた施設見学会でも確認しているのだが、今回の内覧会でもセントラルタワーの外観はゆるやかなカーブを描いたシンメトリー形状であることを再確認した。この前見学した三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス グラン三番町26」もそうだった。

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顔認証完全タッチレス(認証されない人はたちまち赤い警報が出る)

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デリバリ―ロボット

国内最大級「バスターミナル東京八重洲」9月17日開業UR都市機構・京王電鉄バス(2022/9/17)

「バスターミナル東京八重洲」に名称決定9月17日開業UR都市機構・京王電鉄バス(2022/3/16)

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「ミッドタワーいわき」

フージャースコーポレーション(事業比率51%)と日本エスコン(同49%)は915日、常磐線いわき駅前の商業・住宅一体の「ミッドタワーいわき」のマンションパビリオンが完成したのに伴うメディア向け見学会を開催した。免震の21階建て全216戸で、うち3スパン55戸はシニア層をターゲットにした「シニアバリアフリー」住戸としているのが特徴だ。フージャースコーポにとっては市内で4棟目の分譲で、両社のJVは今回が初。

物件は、JR常磐線・磐越東線いわき駅から徒歩3分、いわき市平並木の杜1番の商業地域に位置する敷地面積約5,609㎡、免震21階建て全216戸(権利者住戸10戸含む)。専有面積は62.89131.57㎡、価格は未定。駐車場は自走式222台。竣工予定は20242月下旬。設計・監理は熊谷組、UG都市建築、施工は熊谷組・加地和組・堀江工業特定建設工事共同企業体。販売開始は10下旬~11月上旬の予定。

プロジェクトは、平成263月に「いわき市並木通り地区復興市街地再開発ビル協議会」が設立されてから、平成303月の都市計画決定、フージャースコーポの事業協力者選定などを経て、20222月に着工。市の中心市街地活性化基本計画の一つ。

名称は「並木の杜シティ」で、全体敷地面積約1.1ha4階建て商業棟の1街区とマンション棟、駐車場棟からなる2街区で構成。「並木の杜」としているように、前面道路の国道の歩道部分幅員5mと再開発事業地内の幅員5mを合わせた幅員10mの部分は2段植栽のプロムナード(歩道)として整備するのも特徴の一つ。

主な基本性能・設備仕様は免震構造、直床、リビング天井高2500ミリ、食洗機(プレミアム住戸のみ)などで、共用施設にはクラブラウンジ、マルチスタジオなど。シニア層をターゲットにした「シニアバリアフリー」住戸はベンチ付き玄関、全居室・浴室引き戸ドア、メーターモジュール廊下など。

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模型

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ベンチ付き玄関(左)と2枚引き戸の浴室

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現地(右は「ホテルB4Tいわき」)

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 いわき駅に降りてすぐ、他の地方都市と同様、街の活性化が急務であることが分かった。来年1月開業予定の駅直結のJR東日本のスマートホテル「ホテルB4Tいわき」と駅前の再開発商業ビル「ラトブ」は目立つのだが、その他の建物は古く、駅前通りのケヤキ並木は美しいのだが、どこか暗い影を落としているように感じた。人通りも少なかった。

マンション取材を終え、一杯飲んでから帰ろうと思い、担当者に飲食街を尋ねた。マンションパビリオンのすぐ裏手がそうだと教えられたので足を踏み入れた。車がやっと通れるような狭い路地裏には大小の古い雑居ビルに飲食店・歓楽施設が櫛比していた。その佇まいは隆盛を極めた「常磐炭鉱」の昭和の時代にタイムスリップしたようで、時間が午後4時過ぎだったためもあるのだろうが、営業している店はほとんどなく、廃墟の町に迷い込んだような錯覚も覚えると同時に、おどろおどろしい光景に足がすくんだ。

そんな記者を見下すように、3匹の野良猫が毛を逆立て〝お前が来るところではない〟と殺意のこもったまなざしで睨めつけてきた。馬鹿にされまいと小生も睨み返したら、そのうちの一匹は記者の剣幕に怖気ついたのか脱糞(マーキングか)した。

猫とそんなやり取りをしていても埒があかないので、その飲食街と目と鼻の先の「ラトブ」1階のカフェ&バーでワインを飲んだ。安くておいしかった。そろそろ帰ろうとしたら、目の前の対面の店に「営業中」の電灯がついた。午後5時過ぎだったか。落ちぶれ果てても小生は記者だ。この目で疲弊する飲み屋の実態を探ろうと、店の前のベンチに腰かけていた女子高生3人組に勧められるままに3店並んだ真ん中の「わら焼 湊」に入った。

カツオなど新鮮な魚介類を本物の藁で焼いて食べさせる店だった。店内に入った途端、L字型の無垢の白木のカウンターが目に飛び込んできた。幅(奥行き)にして50cm、長さにして3m+6m9mはあった。樹種を聞いたらイチョウだった。値段は百数十万すると思ったが、「神社の御神木だったのをただで譲り受けたもの」とのことだった。

高級材の、しかも御神木だった貴重なイチョウのカウンターで酒が飲める僥倖に記者は舞い上がり、早速お勧めの酒を注文した。宮城県栗原市の一ノ蔵酒造の「祥雲金龍」だった。初めて味わう酒だった。甘さが抑えられている分だけ旨みと辛みが口腔に広がった。肴もおいしい。

会計を済ませるころには相当酔っぱらっていた。東京に戻るのは夜中になりそうだったので帰るのを断念、ホテルに泊まった。

翌日は「ラトブ」の45階にある市の図書館に立ち寄った。三猿文庫・愚庵文庫など背表紙を見ただけで読みたくなるような歴史的な書籍・文献がたくさんある。同市の所蔵図書の多さは東北一だそうだ。

飲まずに東京に戻っていたら、いわき市の悪いイメージしか残らなかったはずだ。酒に十の徳あり。(今年5月に行われた、フランスの日本酒コンクール「Kura Master 2022」純米酒部門で「祥雲金龍 純米吟醸」が部門最高賞「審査員賞」を受賞したとある)

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いわき駅近くの飲食・歓楽街の昼と夜

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〝お前は誰だ〟〝大きなお世話だ〟(脱糞したのは手前の猫)

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イチョウ材のカウンター(左)と生カキのわら焼き・「祥雲金龍」

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 「シニアバリアフリー」は成功するとみた。これはどこのエリアのマンションにも通用するはずだ。肝心の坪単価だが、担当者から「書かないで頂きたい」と言われたので書かない。今回で4棟目の分譲というフージャースコーポは「年間100戸は厳しい」地域の需給関係を知悉しているはずで、高値追求しないとみた。市の人口動態などのデータも強気になれない数値を示している。

 同市は昭和41年、県が主導して行った広域市町村合併によって生まれた中核市だ。市域面積1,232k㎡は当時日本一広い市として話題になった。その後、他の地域でも合併が相次いだため、現在は富山市(1,241k㎡)に次いで全国12番目の広さとなっている。

令和49月現在の人口は326,000人。福島県全人口の18.2%を占め、仙台市の1,068,129人(令和49月現在)に次ぐ東北エリア2番目の多さだ。しかし、人口は平成10年の360,661人をピークに減少の一途で、高齢化率も31.5%(令和2年)と30%を超えている。

「並木の杜シティ」が街の再生の起爆剤になるよう願う関係者の気持ちはよく分かる。

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駅前通り

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「バスタ―ミナル東京八重洲」バス出発式

 東京駅前に竣工した「東京ミッドタウン八重洲」の地下1、2階に整備された、都市再生機構が所有し、京王電鉄バスが運営する国内最大級の高速バスターミナル「バスタ―ミナル東京八重洲」の第1期エリアが9月17日開業する。開業に先立つ9月15日、両社は竣工記者会見を行い、施設を公開した。

 バスターミナルは、これまで各方面に向かう高速乗合バス、空港連絡バスなど約1,200便/日の停留所が東京駅前交通広場では充足できず、周辺の道路上に散在しているため、鉄道との乗り換えが不便であり、道路上での乗降により車両交通や歩行者運行が妨げられるなどの課題を解消するもの。

 今回の第1期エリアでは、JR東京駅(八重洲南口改札口)から八重洲地下街を通ってアクセスが可能になり、案内カウンター、待合スペース、トイレ、授乳室などのほか、物販・サービスなどの店舗を併設。約1,200便のうち約550便/日が施設内に収容され、新たに設けられた便約50便/日と併せ、約600便/日の高速バスが発着する。三井不動産が整備した地下1階の13店舗も9月17日に同時オープンする。

 第2期は令和7年度竣工予定の再開発事業「東京駅前八重洲一丁目東B地区」に、第3期は令和10年度竣工予定の「八重洲二丁目中地区」にそれぞれ整備される。全体が完成すると、20バース、約21,000㎡の国内最大級の高速バスターミナルとなる。3施設は地下通路で結ばれる。

 3つの再開発事業はそれぞれ事業主体やスケジュールが異なり、また、施設の性格上、事業採算性が低いことから国からの補助を受け、UR都市機構が施設を取得し、京王電鉄バスが運営することになったもの。

 記者会見でUR都市機構東日本都市再生本部都心事業部担当部長・大貫英二氏は「長期的な視点で支出を抑え、収入を増やすよう取り組んでいく」と語り、京王電鉄バス取締役ターミナル営業部長・福島八束氏は「新たな需要を創出する」と話した。

 会見後には、バス発着先の千葉県、石川県、名古屋市、仙台市、大阪府の5体のキャラクターを交えたフォトセッションや、東京ミッドタウン八重洲の1~4階に併設される中央区立城東小学校6年生21名のバス出発式が行われた。

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左から東京大学大学院新領域創成科学研究科特任教授・中村文彦氏、中央区副区長・吉田不曇氏、京王電鉄バス代表取締役社長・宮坂周治氏、UR都市機構東日本都市再生本部本部長・中山靖史氏、国土交通省都市局街路交通施設課課長・服部卓也氏、八重洲二丁目北地区市街地再開発組合理事長・百合達哉氏

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「東京ミッドタウン八重洲」

「バスターミナル東京八重洲」に名称決定9月17日開業UR都市機構・京王電鉄バス(2022/3/16)

 

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 積水ハウスは9月14日、「男性育休白書2022」を発表。「男性の家事・育児力」都道府県ランキングは1位が高知県で、2位は沖縄県、3位は鳥取県となった。

 このほか調査では、男性の育休取得率は17.2%で、前年から5ポイント上昇し、夫のリモートワークが家事・育児の分担を促進した結果、女性の家事・育児時間は勤務日4.73時間(前年−19.8分)、休日7.42時間(前年−35.4分)に減少したとしている。

 一方で、国の「産後パパ育休」制度の認知は高まっているものの、本人・上司・同僚ともそれぞれ不安を感じている実態も明らかにしている。マネジメント層には「家庭を大切にしてほしい」(75.5%)と喜ぶ気持ちより「人手不足で会社の業務に支障が出る」(76.0%)と心配ごとが優先されてしまうとしている。

 ランキングトップとなった高知県の濵田省司知事は「本県では、平成30年度より、県内の企業・団体のトップの方々に、従業員の『育児休業・育児休暇取得促進宣言』を行っていただき、本年7月末時点で、県内の895の企業・団体が宣言されるなど、男性の育児休業取得率を30%とする目標に向け、官民協働でさまざまな取り組みを推進しております。今回の結果は、これら取り組みが改めて評価された」とコメントを寄せている。知事自身も令和2年度に「イクボス宣言」を行ったという。

 調査は、全国の小学生以下の子どもを持つ20代〜50代の男女9,400人を対象とし、①配偶者評価②育休取得日数③家事・育児時間④家事・育児参加による幸福感の4つの指標をポイントに置き換えて実施したもの。同社は、ESG経営のリーディングカンパニーを目指しており、男性の育児休業取得を促進させようと9月19日を「育休を考える日」記念日に定め、2019年から「男性育休白書」を発行している。

また、2018年9月からスタートさせた男性社員の育児休業1か月以上の完全取得を目指した特別育児休業制度では、2022年8月末時点で取得期限(子が3歳の誕生日の前日まで)を迎えた男性社員1,423名全員が1か月以上の育児休業を取得、2019年2月以降、取得率100%を継続している。

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 同社の白書をもとに、全国47都道府県のこの4年間のランキングを表にまとめた。

 今年トップになった高知県は前年10位からのランクアップで、2位の沖縄県、3位の鳥取県はそれぞれランクを1つ下げた。

 ワーストは前年46位の山口県で、46位は前年4位から急下降した長野県、45位は前年19位の富山県となった。前年ワーストの三重県は11ランクを上げ36位。

 4年間の平均順位のベスト10は1位・沖縄県、2位・鳥取県、3位・山形県、4位・熊本県、5位・島根県、6位・沖縄県、7位・栃木県と新潟県、9位・宮崎県、10位・福井県の順。

 ワースト10は、47位・山口県、46位・愛知県、45位・岐阜県、44位・広島県、43位・滋賀県、42位・静岡県、41位・群馬県、40位・秋田県、38位・大阪府と青森県。

 これらの結果、4年間平均のベスト10には中国・四国・九州の6県が入っている一方で、ワースト10には底這い状態が続く山口県と隣接する広島県の中国2県が入り、東海圏の愛知県が46位、岐阜県が45位、静岡県が42位(三重県は26位)と低迷を続けていることが分かる。

 いったい、これらの差はどこから由来するのか。小生は、その都道府県の経済的社会的状況のほか、気候風土などからくる県民性も影響しているのではないかと考えるのだが、同じ文化圏であるはずの3位の山形県と38位の青森県、7位の栃木県と41位の群馬県など、どうしてそんなに大きな差が生じるのか。回答者に何らかのバイアスがかかっているからなのか。過去3年間はベスト10入りしていた長野県が46位に急落した理由も知りたい。

 さらにまた、ランキングに冷水を浴びせかける意図は全くないのだが、四国・九州地方の高知県や沖縄県、宮崎県、大分県、愛媛県などは離婚率が高い県として知られている。〝愛と憎しみは紙一重〟ということなのか。それとも、男も女も自立しているせいで、期待を裏切らればお互いスバッと見捨てることができるということか。それはそれで立派ではないか。

 一方で、東京都や神奈川県など首都圏は意外と離婚率は低い。これは、離婚したらたちどころに住宅ローンが支払えなくなる経済的な理由が大きいからだと記者は考えている。何が幸か不幸か、分からない世の中だということか。

三重と福岡 同じ育児時間で幸福度は47位と1位 積水ハウス「男性育休白書」(2021/10/1)


 

 

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「ザ・パークハウス グラン 三番町26」

 三菱地所レジデンスは9月13日、都心のフラッグシップマンションシリーズ「ザ・パークハウス グラン」(102戸)の8物件目となる「ザ・パークハウス グラン 三番町26」の報道機関向け内覧会を行い、分譲対象78戸のうち半数以上の40戸を第一期として9月17日(土)から販売開始すると発表した。平均坪単価は1,000万円前後となる模様で、バブル崩壊後の同社の分譲マンションとしては最高値となる。

 物件は、東京メトロ半蔵門線半蔵門駅・市ケ谷駅から徒歩8分、千代田区三番町26番の第二種住居地域・商業地域・第二種文教地区(建ぺい率84%、容積率471%)に位置する敷地面積約1,734.28㎡、17階建て全102戸(募集対象外住戸24戸含む)。専有面積は67.99~237.69㎡、第1期は40戸で、坪単価は平均1,000万円前後となる模様。売主は同社のほか三菱倉庫。竣工予定は2024年11月下旬。施工は東急建設。

 現地は、二松学舎大、大妻女子大、東京家政学院大などのキャンパスがある文教エリアの一角で、四方道路に囲まれた従前オフィスだった土地。敷地西側は桜並木が美しい「大妻通り」に面している。

 事業化に当たっては、地区計画により通常なら14階くらいしか建てられないのを千代田区の総合設計制度を活用することで容積緩和・高さ規制緩和を受け17階建てとし、内廊下方式、全住戸ワイドスパンなどを採用。

 デザインでは、同社の「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」や「ザ・パークハウス五番町」などを手掛けた三菱地所設計 シニアアーキテクト・石井邦彦氏を起用。全16本の列柱とエンタシスのフォルムのほか、低層部の水平ライン部分には自然石、エントランスにはロートアイアンを採用するなど重厚感を演出している。

 敷地北側のカスケードガーデンには「三春滝桜」の子孫木を配し、敷地四方に植栽を施し、「BIO NETINITIATIVE」にも取り組んでいる。

 主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2700~3000ミリ、100㎡超ワイドスパン、Miele、SieMatic製の水回り、脱臭機能付き専有部ごみ置き場、タモ材の居室扉・壁・床仕上げ、床大理石張り、全館空調(エアロテック)、洋室ヘリンボーンパネル(有償)、トランクルームなど。

 内覧会で同社執行役員第二販売部長・岡橋志郎氏は、「当社はこれまで番町エリアで14物件846戸を手掛けているが、今回の物件を当社最高水準の〝グラン〟としたのは、豊かな緑と四方道路に囲まれた希少立地を生かすため。総合設計制度を活用し、立体的空間をキーワードに天井高を高くするとか全館空調、専有部ごみ置き場など消費者インサイトに応えられる仕様レベルにした」と語った。

 これまで問い合わせは約2,700件、7月からのモデルルーム来場者は約270件。そのうち約半数は千代田区、港区居住者。在日外国人投資家からの反響もあるという。第1期で販売対象の半分以上の40戸を供給できることから好調に推移していると説明した。

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エントランス

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レジデンスラウンジ

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 同社のこれまでの〝グラン〟シリーズのうち「南青山四丁目」を除く「三番町」「千鳥ヶ淵」「南青山」「南青山高樹町」「麻布仙台坂」「南青山四丁目」「神山町」の6物件を見学している。

 今回の1,000万円前後という坪単価は、これまでの番町エリアの最高値885万円を上回り、同社のバブル後の分譲マンション単価としても高値更新するというのは、価格の上昇からして〝さもありなん〟と納得した。

 基本性能・設備仕様レベルもとくに驚くようなことはなかったが、全館空調(エアロテック)をグランシリーズでは初めて採用(未確認だが)しているのと、建物デザイン・住戸プランがとてもよくできているのが印象に残った。建物は、四方道路に囲まれた長方形の敷地の利点を最大限に生かしたシンメトリックな形状がとても美しい。〝美しいもののみが機能的である〟とはよく言ったものだ。「千鳥ヶ淵」も素晴らしかったが、石井氏の最高傑作となるのだろう。

 住戸プランもしかり。3~14階までは1フロア7戸。タイプは60㎡、70㎡、100㎡(2スパン)、110㎡(2スパン)、15・16階が4戸。タイプは120㎡、170㎡(2スパン)、200㎡、最上階の17階が3戸。タイプは200㎡、230㎡、240㎡。スパンは60㎡が10,515ミリ、100㎡が14,855ミリ、110㎡が19,482ミリ、200㎡が25,840ミリなどだ。

 この前見学した野村不動産「プラウドタワー目黒MARC」も60㎡台で8,000ミリ以上というワイドスパンが人気だと聞いたが、こちらは比較にならないほど長い。全ての居室が窓側に面しており、廊下幅は1,200ミリ以上ある。逆梁とし全て腰窓のカウンター付きとしているのもいい。

 専有部に約1㎡のごみ置き場を設けているのにはびっくりした。専有部のごみ置き場は高級物件には採用事例があるようだが、記者は初めて見た(共用部の外廊下にごみ置き場を設けた事例は取材したことがある)。操作一つでマンション管理センターに通知でき、玄関サイドに設けられたドアから掃除担当者がごみを運び出すのだという。

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専有部ごみ置き場

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手前からSIC、SK付きUT(この左側にごみ置き場がある)、洗濯機置き場

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玄関サイドのごみ置き場出入口(右が玄関ドア) 

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110タイプ

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 余計なことかもしれないが、書くべきだと判断して書く。どこのメディアの方か分からなかったが、200㎡のモデルルームを見て「これって1億円超えるの? 」と担当者に質問した。小生は唖然とした。事前の説明会で同社は坪単価は1,000万円前後と話した。200㎡だから70坪近い。1,000万円×70坪=7億円(モデルルーム住戸は中層階想定で8億円台とか)というのは子どもだって計算できるではないか。この方だったか他の方だったか、「来場者270件」の意味するもの、「全館空調」が何だか分からない記者もいた。

 つまり、「猫に小判」「豚に真珠」だ。同社は詳細にわたって説明したのに、聞いている記者はマンションのことなど全然わかっておらず、坪単価、全館空調、ワイドスパン、総合設計なども何のことやらちんぷんかんぷんということだ。この素人記者の方は何を書くのだろうか。読者はその記者が書く記事から何を読み取るのか。

 そこで、同社をはじめデベロッパーにお願いだ。これまでも何度も書いてきたが、この種の内覧会をどんどん実施して、よく分かっていない記者向けにはマンションのイロハから説明する機会を設けていただきたい。必死で話しても相手に伝わらない、聞く側はなにを話しているのか理解できない…こんな不幸なことはない。

 一つ書き忘れた。同社の物件の背中合わせの隣接地約2,670㎡では三井不動産レジデンシャルが18階建て共同住宅を2022年11月に着工する旨の標識が掛かっていた。おそらく分譲マンションだろう。分譲時期は異なりそうなので競合はしないだろうが、三井不動産レジデンシャルだって負けていられない。坪単価は1,000万円超となるのは必至だ(階高だけなら三菱地所レジデンスが勝つのか)。

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モデルルーム リビング

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モデルルーム 洗面室

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モデルルーム 主寝室

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現地

三菱地所レジ マンション単価もバブル後最高値更新 「神山町」は坪800万円台後半 (2021/9/15)

三菱地所レジ 「ザ・パークハウス グラン麻布仙台坂」は坪800万円(2016/7/15)

三菱地所レジ 「ザ・パークハウス グラン」第4弾「南青山」は坪800万円弱(2015/6/4)

皇居が一望できる唯一無二の地所レジ  〝グラン〟第3弾「千鳥ケ淵」(2013/8/5)

三菱地所レジ〝グラン〟第2号「ザ・パークハウス グラン三番町」(2013/5/24)

三菱地所レジ 都心のフラッグシップ 「ザ・パークハウス グラン」発売(2013/2/18)

「地価公示日本一」六番町にフェルメールを見た 大和ハウスが億ション(2016/3/14)

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は9月12日、2022年8月度の不動産流通市場の動向をまとめ発表。

 首都圏中古マンションの成約件数は前年同月比10.3%減の2,346件、成約坪単価は同13.7%上昇の222.0万円で、20年5月から28か月連続、成約価格は同13.4%上昇の4,280万円で、20年6月から27か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。専有面積は同0.2%縮小の63.60㎡で、21年6月から15か月連続で前年同月を下回った。8月末の在庫件数は38,344件で、前年同月比10.8%増となり、7か月連続、在庫坪単価は241.7万円で、18年2月から55か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。

 中古戸建て住宅の成約件数は同16.2%減の877件、成約価格は同10.3%上昇の3,779万円で、20年11月から22か月連続で前年同月比を上回った。

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 首都圏中古マンションの今年1~8月までの累計成約件数は23,735件となり、前年同期の26,899件より11.8%減少している。しかし、成約単価、成約価格、在庫価格、在庫数などは上昇・増加を続けている。

 生活必需品など一般的な商品であればありえないが、新築マンションの供給が減少する一方で、価格も上昇の一途をたどっていることと密接な関係がある。2~3年前まで、山手線沿線の新築物件は一部を除き坪400万円台で推移していたのが、いまでは軒並み500万円を突破してきている。新築と連動する中古も、よほどの住宅取得環境が変化しない限り、価格の上昇は続きそうだ。

 ただ、価格・単価の調整弁的な働きをする専有面積は15か月連続縮小しており、63.60㎡というのはファミリー層にとっては譲れない面積ではないか。物件情報サイトで「東京23区」「~4,500万円未満」「~70㎡未満」「2K~3LDK」で検索したら、23区全体の約23,000件のうちヒットしたのは26件しかなく、しかも、具体的な物件は表示されず問い合わせ先のみだった。

 新築に置き換えてみると、坪単価222万円以下というエリアは、都内ならば舎人ライナー、八王子以遠、神奈川県は平塚以遠、横浜線・相模原線の一部、小田急線厚木以遠、埼玉県は大宮以遠、所沢以遠、東武野田線、千葉県は千葉ニュータウン線の一部、総武線千葉以遠、内房線、外房線、京葉線の一部か。

中古マンション 成約価格は2ケタ上昇7月の不動産流通市場 東日本レインズ(2022/8/12)

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「(仮称)D プロジェクトみえ朝日町」

 大和ハウス工業は9月12日、開発中の物流施設「(仮称)D プロジェクトみえ朝日町」が「中部地方※」初の「いきもの共生事業所認証(ABINC認証)」 を日本トランスシティとともに取得したと発表した。同施設は2023年6月30日の竣工と同時に日本トランスシティが取得予定。

 プロジェクトでは、地域の生態系に配慮して、コナラやヤマザクラ、ツツジ類、ヤマハギなどの在来種から草木を選定。また、本計画地は三重県が準絶滅危惧種に指定するコチドリの生息地に近接することから、コチドリの営巣環境を整備するために砂や小石を敷いた環境を整備する予定。さらに、周辺の水田や水路などに生息するメダカ、ドジョウなどの生き物を敷地内に整備した水辺のあるビオトープエリアに放流する予定。

 施設は、伊勢湾岸自動車道みえ朝日インターチェンジより約700m、三重県三重郡朝日町大字埋縄に位置する開発面積約77,403㎡、鉄骨造3階建て延べ床面積約64,203㎡。着工は2022年7月1日。竣工予定は2023年6月30日。

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 これまでABINC認証を受けた128件のうち中部地方としては初、物流施設は今回で5件目、わが故郷・三重県の施設なので取り上げることにした。

 まず、同町が「中部地方」に含まれていることについて。同社は中部地方とは新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県としているのでいいのだが、三重県は愛知、静岡、岐阜とともに東海地方(あるいは名古屋圏)で、学校では近畿地方に入っているはずだ。経済・文化的に近畿圏とつながっているのは伊賀地方と南部の尾鷲・熊野エリアのみなので、近畿と切り離し、東海地方として独立させたほうがいいと思う。

 「朝日町」のことを全く知らなかったのでネットで調べた。四日市市に隣接する面積99K㎡という県下でもっとも小さな行政区で、人口は11,067人(令和4年3月末)とあった。

 驚いたのは人口動態だ。昭和51年の7,076人をピークに漸減し、平成16年には6,721人まで減少している。しかし、その後はほぼ一貫して増加しており現在に至っている。この28年間の人口増加率は実に64.7%だ。こんな町村はほかにあるか。

 ちなみに、東京都中央区は平成9年(1997年)の71,806人をボトムに、令和4年9月現在では173,198人になっており、約2.4倍増だ。平成16年からだと89.0%増となっており、おそらく人口伸び率は全国的に見ても突出しているはずだ。「HARUMI FLAG」もあるのでまだまだ爆発的に増えるのではないか。

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 東急リバブルは9月11日、今年3月に創立50周年を迎えたのを機に、新たなブランドスローガン「つなぐ。答えへ。未来へ。」を掲げ、コーポレートブランドを刷新すると発表した。ブランドスローガンには、同社の様々な専門領域を通じ顧客新たな価値を創造する意味が込められている。9月16日から新たなロゴを使用したTVCMを放映する。 

 シンボルマークの「L」は「Live」「Life」など同社が扱う物件や生活空間などの場を、二つのアルファベットをつなぐように隠れている「L」は「Livable」「Lead」「Link」など同社の役割を、「I」は「I(お客様・社員)」、「Information」「Intelligence」「Innovation」「Imagination」など同社が持っている技術・知見、社員やお客様をそれぞれ表している。

 デザインは、スマートフォンなどのデジタルデバイスでも可読性が保てる垂直や水平を多用したシンプルなものとし、配色は現在のロゴにも使用しているイノベーティブブルーとプロフェッショナルブルーとした2色配置にしている。

 

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「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」

 三菱地所レジデンス、大成建設、東急、首都圏不燃建築公社、大成有楽不動産の5社は9月9日、戸越公園駅から徒歩1分(50m)の再開発マンション「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」を同日から販売開始したと発表した。

 物件は、東急大井町線戸越公園駅から徒歩1分、品川区戸越5丁目に位置する23階建て全241戸(募集対象外住戸70戸含む)。専有面積は30.60~120.45㎡。第一期(65戸)の価格は4,480万~24,800万円。竣工予定は2024年2月下旬。施工は大成建設。

 地域の賑わい・魅力あるまちづくりを目指す「戸越公園駅周辺まちづくりビジョン」内の市街地再開発事業「戸越五丁目19番地区第一種市街地再開発事業」で、駅前のランドマークとなる商・住複合マンション。大成建設による外観デザインと制振構法「TASS-Flex FRAME」、乃村工藝社デザインチームFOO監修による共用空間デザイン「EDIT STYLE PLAN」をそれぞれ採用する。

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「EDIT YOUR LIFE」

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 乃村工藝社デザインチームFOOに注目している。同チームは2019年にリニューアルオープンした東京會舘新本舘のレストランなどを手掛けているが、それより1年前の2018年、東京建物・三菱地所レジデンス「Brillia 一番町」を取材した際、販売事務所の企画を乃村工藝社が初めて手掛けたことを聞き、「(同社が)本格的にこの事業に乗り出したら販売事務所のあり方そのものを一変させるかもしれない」と書いた。

 今回の「EDIT YOUR LIFE」が同チームによるものかどうかは分からないが、有償のメニュープランを12タイプ用意する。コンパクト住戸は、「お気に入りに囲まれる至高のシングルライフ」をテーマにできるだけ仕切りをなくし、それぞれの空間を行き来することや、住まい全体をより有意義に使えるようにしているという。例えば、例えば55Nタイプではキッチンを90°回転させたり、居室と居室の間に「マルチファンクションエリア」を設けたりする。

 これは、実際に見てみないとどのようなものか分からない。取材を申し込むことにする。坪単価はいくらになるのか。野村不動産「目黒」や旭化成不動産レジデンス「五反田」よりはかなり安いはずで、東京建物「池袋」と同じ坪520~530万円くらいではないか。第一期分譲は分譲対象の半分だ。確かな手ごたえを感じているのか。

 「戸越公園」といえば「戸越銀座」も近い。同じ駅1分の「十条銀座」で知られる東急不動産「十条」との競合はあるのかないのか。「銀座戦争」であり、北区と南の大田区の「南北戦争」と見ることもできる。周辺は中低層の街並みが広がっているという意味でもよく似ているし、交通便だってどこを起点にするかだが、東京駅まで双方とも約30分だ。どちらが勝つのか負けるのか。相乗効果となればめでたしめでたしだが…。部外者としては興味津々だ。

坪750万円でも好調 「Brillia」最高峰 東建・地所レジ「一番町」サロンに乃村工藝(2018/4/18

 

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