竣工予定の8月を待たず8か月で全481戸完売 大和ハウス「プレミスト昭島」
「プレミスト昭島 モリパークレジデンス」
大和ハウス工業は5月28日、昭島プロジェクトの第一弾「プレミスト昭島 モリパークレジデンス」(全481戸)が竣工予定の今年8月を待たず、5月16日に全戸完売したと発表した。2023年9月9日の販売開始から約8か月の完売。
「プレミスト昭島 モリパークレジデンス」は、JR青梅線昭島駅北口から徒歩5分に位置し、周辺には大型商業施設やスポーツ施設、緑豊かな環境が充実しているなど、生活利便性と自然環境を兼ね備えた分譲マンション。
専有部は、全66タイプの多彩なプラン(1LDK~5LDK)を用意するとともに、間取り変更ができる「ウォールドア」やオリジナルの収納型「ワークカウンター」などのほか、「置き配スペース」を玄関ポーチに設置。共用部には「プライベートサウナ」のほか個室を備えた「ワークスペース」や「ランドリールーム」「家庭菜園スペース」など多様なニーズに応える共用施設を設けている。
契約者からは、交通利便性の高い立地や充実した共用施設、利便性と快適性を追求した専有部の設備に加え、商業施設やスポーツ施設などが充実した都市型リゾートエリア「東京・昭島モリパーク」初の分譲マンションという点などが高く評価されたという。
平均坪単価約252万円、専有面積56.57~89.08㎡。契約者の年齢は20代約13%、30代約40%、40代約17%、50代約12%、60代以降が約14%、家族数は2人約45%、3人約28%、4人約13%、居住地は東京都内が約87%(うち昭島市内が約35%)。
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驚異的な売れ行きだ。昨年5月のメディア向け内覧会で、同社東京本店統括マンション事業部東京マンション事業部販売事務所長・東本剛氏が「現段階で価格は3LDKで5,000万円台としか言えないが、衣と食が揃っている『モリパーク』に住機能を備えることで、街の発展に寄与したい。次期以降の販売もあるので、来年の6月までに完売したい」と語ったときは、わが耳を疑った。とてもいい物件だとは思ったが、竣工までに売り切るのは至難の業だと思った。よくもそんな大風呂敷を広げられるものだ、稀代のほら吹きではないかと。
しかし、6月より1か月速く5月半ばで売り切った。東本氏には頭を下げるほかない。物件に力がないとできない芸当ではあるが…。
わずか2か月で全戸数481戸の6割強の第1期295戸を成約大和ハウス「昭島」(2023/11/19)
〝東京の軽井沢〟レベル高い「来年6月までに完売」あるか大和ハウス「昭島」(2023/5/26)
山梨県北杜市の青空オフィスで植樹活動開始 三菱地所ホーム
青空オフィス「YAMANASHI BASE」の記念樹に土掛けをする左から三菱地所ホーム社長・細谷惣一郎氏、山梨県緑化推進機構・鷹野裕司代表理事、三菱地所ホーム専務・花形雅人氏、北杜市・上村英司市長
三菱地所ホームは5月28日、山梨県北杜市にある同社の青空オフィス「YAMANASHI BASE」で5月9日に社員による植樹活動を開始したと発表した。昨年11月、森林整備および森林教育を推進する目的で山梨県北杜市、金ヶ岳山外二字恩賜林保護財産区、有限会社藤原造林との間で「森林整備協定」を締結した、その活動の一環。
同社は、国産材の積極活用を推進してきており、三菱地所グループの取り組みとして山梨県北杜市では、「地域社会との共生」をテーマに2008年度に「空と土プロジェクト」を立ち上げ、地域NPOとの連携や山梨県産材の木材利活用などの取り組みを行ってきた。新築注文事業の構造材に占める国産材比率は平均80%を超える水準に達している。
今回の森林整備・森林教育はその一環で、山梨県北杜市須玉町江草長者窪の同社の青空オフィス「YAMANASHI BASE」の一角0.5ha内にカラマツ・クリ・サクラ・コブシの苗木約900本を植樹した。
北杜市 上村市長コメント 森林は地球上で最も大切な資源の一つで、人間や生き物たちにたくさんの恩恵をもたらしてくれています。貴重な森林資源を保全することは、私たちの未来と地球にとって非常に大切です。北杜市としましても、関係者の皆様と協力しながら自然環境や景観の保全に努め、持続可能な社会の構築に向けて取り組んでまいります
同社社長・細谷氏コメント 当社は木造建築を生業にしている会社ではありますが、普段オフィスで仕事をしているだけでは、実際に木が育っていく姿を目にする機会はありません。本活動を通じて、当社を支えている源流がこの山にあることを社員が理解し、私たちが森林再生に関わることで持続可能な社会を次世代に繋げていくことが大事だと考えております。今日植樹する小さい苗木も、樹齢50年ほどになれば両手で抱えるほどの直径に育つと藤原造林の藤原代表よりお話がありました。長い林業の営みの延長線上に私たちの仕事があることを、参加者一同肌で感じ、伝えていきたいと思います
作業風景
三菱地所ホーム山梨県北杜市などと「森林整備協定」社員も森林・林業体験(2023/12/3)
住友林業が施工し、新素材研究所が設計した清春芸術村ゲストハウス「和心」公開(2019/4/7)
積水ハウス×山梨県×森林協会県産材の利活用で協定締結「甲州檜」の家発売(2017/12/16)
三菱地所CSR「空と土プロジェクト」10周年 純米焼酎「大手町」販売など活動強化(2017/9/9)
〝ケロ、ケロ、ケロ〟カエルも歓迎三菱地所・空土プロジェクト田植えツアー(2015/6/3)
三菱地所グループ「空と土プロジェクト」体験ツアーに同行取材(2012/1/10/19)
暮らしや街をよくする木の使い方を体感・実感・共感するイベント6/14・15 JWDA
「WOOD DESIGN EXPERIENCE~木を使って、暮らしと街と社会を良くする2日間@東京~」
日本ウッドデザイン協会(略称:JWDA、会長:隈研吾氏)は6月14日(金)・15日(土)、暮らしや街を良くするための多様な木の使い方を体感・実感・共感できるJWDA初のイベント「WOOD DESIGN EXPERIENCE~木を使って、暮らしと街と社会を良くする2日間@東京~」を東京・丸の内の丸ビル1階のマルキューブで開催する。7月5日(金)・6日(土)には同様のイベントを名古屋会場・KITTE名古屋イベントスペースでも開催する。
イベント特設の「都市のビルに里山がやってくる」がテーマの展示空間(空間デザイン:日建設計Nikken Wood Lab 大庭 拓也氏)では、「少花粉スギ」の苗木を使用し、空間内にはシーンごとのテーブルやチェア、木製文具や雑貨、おもちゃなどを展示する。
このほか、デザインと機能性に優れた家具、木製品や木質空間をオフィス、飲食・店舗や子育てのシーンごとに再現するほか、設計・建築関係者向けセミナー、国産材楽器ライブ、ライフスタイルトークショー、木育ワークショップ&ライブセッションなど多彩なイベントを実施する。
セミナー、ライブ、トークショーの参加方法は5月30日から開始予定のJWDAサイトhttps://www.jwda.or.jp/申し込みフォームから。
CLTによる規格化・工業化3階建て賃貸住宅 大東建託
「Forterb(フォルターブ)Ⅲ」
大東建託は5月27日、木造3階建て準耐火構造のCLT工法賃貸住宅新商品「Forterb(フォルターブ)Ⅲ」を6月1日から販売開始すると発表した。ZEHオリエンテッド標準で、販売地域は北海道、多雪地域、沖縄県、静岡県除く全国。販売目標は20棟(初年度)。
2019年に販売開始した第1弾の4階建て耐火共同住宅「Forterb(フォルターブ)」、2021年の第2弾の戸建注文住宅「Groun DK(グランDK)」に次ぐCLTシリーズ第3弾。床と壁のCLTパネルを厚くするなどして1時間準耐火構造を実現。室内外の床や壁にCLTパネルを現しにした、コンパクトな1LDK(40.45㎡)の賃貸住宅となっている。
内観イメージ図
CLT戸建て住宅施工例
甲州街道のケヤキの街路樹 見るも無残な強剪定 調布市民の声は届いたのか
甲州街道のケヤキの街路樹
もう慣れっこになっているが、この日(5月24日)もとても嫌な気分にさせられた。旭化成不動産レジデンスと丸紅都市開発の「アトラスシティ千歳烏山グランスイート」の取材の行き帰りだ。マンションは、都の「マンション環境性能表示」で「みどり」をはじめオール満点の★15個を獲得しており、取材には大満足したのだが、販売事務所が面する甲州街道の街路樹のケヤキが無残にも強剪定されていたからだ。以前、調布市にも三鷹市にも住んでいた記者はとても悲しくなった。甲州街道は国道だから、国が管理しているのだろうが、市や市民はどう考えているのか。
ネットで検索したら、令和3年10月6日~令和3年11月5日にかけて調布市が実施した「調布市街路樹管理計画(素案)に対するパブリック・コメント」の結果がヒットした。意見提出件数は28件(6人)と少ないのは気になったが、主な意見を紹介する。( )内が市の回答。
酷暑にケヤキは耐えられるのか
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意見 この計画でカバーするのは、市道の街路樹のことだと思われます。公園の樹、国道、都道の街路樹は対象外なのでしょうか?
回答 本計画の対象範囲及び街路樹管理基準は,道路や野川サイクリングロードなど、道路管理課が所管する市道等の高木・中木・低木・地被類等を対象としています。そのため、公園内の樹木、国道及び都道の街路樹は対象外となります)
意見 実際の管理業務は業者委託でやむを得ないかもしれませんが、仕上がりを把握する植木造園の専門職の市職員はいないのでしょうか? もしいなくても、担当者や受託業者そろっての講習会などを年に2回以上はやるべきではないでしょうか(現在、街路樹を担当している職員は植木造園の専門職ではございません。御提案いただきました、受託業者との講習会開催等については、検討させていただきます)
意見 樹木の名前は今、個人宅委託の保存樹には付けられていますが、公園や街路樹にはありません。同種の数本に1本は名前札を付けられませんか? (市内全ての路線において名前札を設置することについては困難ですが、今後の検討とさせていただきます)
意見 「調布市環境基本計画(概要版)」に「街路樹」の文言が一言も出てこないことをまず反省すべきである。街路樹を道路法で規定された道路の付属物だけと捉えることはせず、調布市内全体の環境問題を改善させるための施策として、街路樹を増やすことを宣言し、樹木の減少はさせないこと、市内緑被率を低下させずに、街路樹含めた緑化状況を改善させることを目的とするべきである(「調布市環境基本計画」等の関連する計画と相互に連携・整合を図って参ります)
意見 管理コストを減らすために街路樹を減少させることがあってはならない。街路樹は枯死や倒木の危険がある場合を除き、原則伐採せず、保全すること。また、「ゼロカーボンシティ」実現のために街路樹を含めた樹木を保全または増加させることを本計画に明記するべきである。未来の調布市が現在よりもっと緑豊かな街になるよう希望する
意見 調布の緑がどんどん失われていくのが悲しいです。駅前広場はその象徴です
意見 駅近の市役所通りや電通大前の通りの花水木はお粗末 ハナミズキが植樹されたが、手入れがほとんどなく枝も葉も花も瀕死の状態(御指摘いただきました市道南29号線(東急前の通り)及び調布駅北側の西友から電通大までの間にある街路樹については、駅周辺の利用の多い地域であること、また、建物に囲まれ日陰が多く生育状況の悪い樹木があることから、景観及び環境にも配慮し、適切に維持管理を行って参ります)
意見 甲州街道の強せん定は気になります。電柱などの地下埋設物は歩道ではなく車道の端部に置き、街路樹の根が歩道側に延びるようにすれば、樹木は車道側に枝を張り、枝葉が車道と歩道両方に延びて特に車道に日影をつくり(樹冠被覆)道路の温度を下げます
意見 今年の初夏に、住んでいるマンション前の甲州街道沿いのケヤキの枝がばっさり切られて驚きました。前から他の区域で切られているのを見て無残だと思っていたのですが、自分の家の前まで切られてしまうとは…甲州街道のけやき並木は見事で、新緑は美しく、夏はたっぷりと木陰を広げてくれました。これから暑くなるという時だったのでほんとうにショックでした。甲州街道は国道で市の管理するものではないかもしれませんが、住民の意見としてこういうものもあることを伝えてください(甲州街道の街路樹の剪定方法等に関する御要望の内容については、市から国土交通省相武国道事務所へ伝えさせていただきます)
意見 野川の桜も切られていました。どうしてあんなにきるのですか(倒木等の危険性のある桜については伐採等を行い、道路利用者の安全確保を図っておりますが、今後は、策定する「街路樹のサクラに関する管理方針」に基づき、桜の更新について検討して参ります)
意見 今年は下布田公園の桜も無残に剪定されていました(御意見いただきました下布田公園の桜の剪定については,所管部署である緑と公園課へ内容を伝えさせていただきます)
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ミライアクションみたかが5月11日(土)に行った講演会で千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏は「1970年ころまでは、街路樹管理は自治体の技術職員が民間委託業者に剪定方法を指示していたが、それ以降は技術職員の退職による不補充と担当者の定期異動で〝素人集団〟になり、適切な選定方法を支持できなくなり、また、選定結果を専門的に評価できなくなり、苦情に対しても対応できず、過剰な安全志向で強剪定が日常化していると指摘した。
この調布市のパブリック・コメントの質問はもっとも至極だと思うが、市がパブリック・コメント結果を発表してから2年半が経過する。今回の強剪定は昨年末に行われたはずで、これはどう理解すればいいのか。
職員がいかに素人集団であるか。記者は戸田市の職員との対応で実感した。その記事も添付する。記事には「戸田市の公園緑地課に電話をして、街路樹の整備状況について聞こうとした。最初に出た担当者はまったく話が通じなかった。市内に何本の街路樹が植えられているか維持管理費にどれぐらいの予算が計上されているかまったく把握していなかった。街路樹の樹種についても『ハナミズキ』『アカシア』の2本しか出てこなかった」と。
藤井氏の熱弁に拍手鳴りやまず 会場100人+オンライン180人 三鷹で講演会(2024/5/18)
「多摩中央公園改修」の疑問氷解 樹木5000本 うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/10/21)
野村不動産 分譲マンション全戸(全棟)を「断熱性能等級6」標準化
「プラウド横浜新子安」
野村不動産は5月24日、今後分譲するマンション全戸(全棟)にZEH水準を上回る「断熱性能等級6」を満たすと発表。第一弾の「プラウド横浜新子安」の公式HPをオープンした。
また、2024年4月から開始された省エネ性能ラベル表示の努力義務化に伴う対応として、4月以降に建築確認申請を行った分譲・賃貸マンションに第三者評価であるBELSに基づいた省エネ性能ラベルを全物件で掲載する。
「断熱性能等級6以上」は、①国の定める省エネ基準(断熱性能等級4)の仕様に対して2ランク高い仕様②ZEH水準(断熱性能等級5)の仕様に対して1ランク高い仕様③高断熱の住宅になり、冬でも部屋が寒くなりにくく、暖房効率が上がるため光熱費削減に寄与④ヒートショックの低減や室内の上下温度差の低減による居住空間の快適性、作業時の集中力向上など普段の生活にも良い影響を与える-などの特徴がある。世界基準になりつつある。
「プラウド横浜新子安」は、JR新子安・京急線京急新子安駅から徒歩9分、横浜市神奈川区入江一丁目に位置する6階建て全64戸。専有面積は70.00~83.88㎡。竣工予定は2025年6月下旬。
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これはすごい。記者は「断熱性能等級6」基準の戸建ては体験したことがあるが、外断熱のマンションやホテル以外に経験したことがない。同社が標準装備すると発表したのだから、同業他社も追随するのは必至だ。
この冬一番の寒さの中世界水準のUA値0.46を体感「浦和美園 E-フォレスト」(2016/12/7)
AQ Group 中規模木造建築物普及へ「フォレストビルダー」組織化
第1回フォレストビルダーズ「事業戦略セミナー」(同社本社ビル)
AQ Groupは5月24日、全国47都道府県の工務店や中小ゼネコンを対象に「フォレストビルダー」を組織化し、街並みから消えた木造ビルの復活に向けチャレンジすると発表。同社がこれまで培ってきた10年以上にわたる中規模木造建築のノウハウを加盟企業へ公開する。
同社は、中規模木造建築を普及させるためには地域のゼネコンや工務店・大工が設計施工可能となる“普及型”の開発が重要と考え、「より安く」「より普及できること」を念頭に研究開発を続けてきた。
2024年3月に竣工した「AQ Group新社屋 純木造8階建てビル」がその集大成で、同社が開発した特殊技術を使用せず建築が可能なノウハウを提供することで、地域ゼネコン・工務店、木材加工会社などが中規模木造建築の市場に参入することができ、全国の都市に「木造マンション」や「木造ビル」が加速度的に建築することが可能となるとしている。
5月22日に開催した第1回フォレストビルダーズ「事業戦略セミナー」には全国から31社55人の参加があり、参加者からは「市場を変える価値がある」「他社との差別化として提案したい」など、今後の中規模木造建築普及に対する期待の声が多く寄せられた。
「木は熟した」街並みを木造化するビルダー組織化へAQ Group新社屋は坪145万円(2024/4/22)
全て流通材、組子格子耐力壁を現しで表現AQ Group「8階建て純木造ビル」見学会(2023/8/26)
〝地域工務店が主役〟は達成された JAHBnet(ジャーブネット)25年の歴史に幕(2023/11/28)
わが国初の「5階建て純木造ビル」/「カベワンGP」7度目V アキュラホーム(2022/11/15)
まるでアート圧倒的な空間提案と日本の匠の技多用アキュラホーム新宿展示場(2020/6/26)
アキュラホーム木造建築の新時代開く大空間の「住まいと暮らしサロン」完成(2016/7/22)
京王線初か1低層の大規模 環境性能表示 満点の★15個 旭化成不レジ他「千歳烏山」
「アトラスシティ千歳烏山グランスイート」
旭化成不動産レジデンスと丸紅都市開発が分譲中の「アトラスシティ千歳烏山グランスイート」を見学した。築52年の第一種低層住居専用地域に位置する旧耐震の「給田北住宅」の建て替え事業で、新耐震基準に適合させ、空地を確保したことから容積の緩和を受けている。東京都「マンション環境性能表示」制度で5項目満点の★15個を獲得している希少性の高いマンションでもある。
物件は、京王線千歳烏山駅から徒歩9分・仙川駅から徒歩14分、世田谷区給田三丁目の第一種低層住居専用地域・第一種住居地域(建ぺい率49.59%、容積率138.61%)に位置する敷地面積約12,032㎡、4階建て全248戸(非分譲104戸含む)。専有面積は43.88~86.35㎡。現在先着順で販売中の「杜ノ棟」の住戸(4戸)の専有面積は69.02~72.20㎡、価格は8,998万~9,498万円。坪単価は450万円。竣工予定は2025年7月下旬。設計・監理はNEXT ARCHITECT & ASSOCIATES。施工は大末建設。
現地は、1971年竣工の7階建て東京都住宅供給公社「給田北住宅」(171戸)の跡地。2012年に耐震診断を実施した結果、耐震性不足が明らかとなり、建て替えの検討が始まり、2018年4月、旭化成不動産レジデンスと丸紅(現丸紅都市開発)が事業協力者として選定され、2021年5月、一括建替え決議が成立、2023年7月、本体工事が着手された。
建て替えに当たり、新耐震基準に適合させ、空地を確保したことから容積率が100%から137%へ緩和された。この結果、階数は7階建てから4階建てになったが、戸数は増加し、延床面積もほぼ倍増した(マンション円滑法第105条による容積率の緩和=※)。
建て替え後の建物は、京王線線路側の南向き中心の「風ノ棟」121戸(非分譲48戸含む)と、その北側の中庭付きの「杜ノ棟」127戸(同56戸含む)の2棟構成。「風ノ棟」の70㎡中心の1階住戸(17戸(非分譲除く)は専用庭付き&ミストサウナ付き。「杜ノ棟」は中央に配した955㎡の中庭を囲むように配棟。道路、敷地形状に合わせて雁行設計となっているのも特徴の一つ。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、食洗機、二重サッシ(風ノ棟の南側窓)、フィオレストーンキッチン・洗面天板、浴室タオル掛け、ソフトクローズ機能付き引き戸など。
旭化成不動産レジデンス開発営業本部販売部首都圏営業課課長・富永高弘氏は「世田谷区・調布市などの近隣にお住いの方が約7割、その他は沿線居住や京王線に縁のある方も多いが、外観デザインに惹かれて全く地縁の無い方にも多数来場いただいている。第1期として2月に『杜ノ棟』51戸を供給し47戸が成約済み。6月から『風ノ棟』の販売を開始します」と語った。
※マンション建替え円滑化法第105条では、耐震性不足による要除却マンションの認定を受けたマンションの建替えにあたり、一定の敷地面積を有し、市街地の環境の整備改善に資するものについて、特定行政庁の許可により容積率制限を緩和できることになっている。
中庭
モデルルーム
◇ ◆ ◇
坪単価は450万円くらいではないかと予想していたが、どんぴしゃりだった。京王線は、小田急線などと比較して割負けしており、新宿から15分の調布ですら坪500万円に届かない(今秋分譲の小田急不動産の調布の物件は坪500万円を突破するはず)。
現地も確認した。電車の音は二重サッシで遮断できるはずだ。周辺はほとんど戸建て住宅。いいと思ったのはランドスケープデザインだ。設計が『アトラス調布』と同じと聞いて納得した。
もう一つ、東京都「マンション環境性能表示」制度で公表されている980件のうち「建物の断熱性」「設備の省エネ性」「太陽光発電・太陽熱」「建物の長寿命化」「みどり」の5項目すべて★3つの満点★15個を獲得しているのに注目している。
これまで満点の★15個を獲得しているマンションは、この物件のほか「三田ガーデンヒルズ」「Brillia 聖蹟桜ヶ丘」「HARUMI FLAG」「ヴェレーナグラン二子玉川」「ベイズ タワー&ガーデン」など14物件しかない。
また、「みどり」で満点を獲得する物件は、「太陽光発電・太陽熱」の66件に次ぐ160件だ。他はどうかといえば「断熱性」は450件、「省エネ性」は779件、「長寿命化」は539件だ。「ZEH」も大事だが、自然エネルギーを積極的に取り込むパッシブデザインの視点が欠かせないと思う。
模型(東側から)
◇ ◆ ◇
京王沿線居住歴約50年の記者と、生まれも育ちも京王線という富永氏(年齢は30代か)とこれまでの京王線沿線の優れたマンションについてしばし話し合った。京王井の頭線の「浜田山パークシティ」は別格として、記者が最右翼だと評価しているのは「桜上水ガーデンズ」で、このほかでは同社の「アトラス調布」「アトラス国領」や「グローリア芦花公園」などを上位に挙げる。
今回の「千歳烏山」は完成していないので何とも言えないが、京王沿線の第一種低層住居専用地域での大規模マンションは、URのタウンハウスは別として記憶にない。今回が初めてではないか。全体として「桜上水」に次ぐかどうかは完成を待って評価したい。同社のランドスケープが優れていたのは、屋上に森を作った同潤会の建て替え「アトラス江戸川アパートメント」(旧同潤会江戸川アパートメント)だ。
現地
「HARUMI FLAG」で美しい花を咲かせたい光井純氏建築美を語る(2023/1/30)
「類まれな」レベルの高さ野村不・三井レジ「桜上水ガーデンズ」完成(2015/8/28)
「道」を景観に取り込んだプラン秀逸 旭化成不動産レジ「アトラス調布」完成(2015/5/20)
大成有楽不動産「オーベル蘆花公園」竣工 想像以上の出来栄え(2013/7/24)
分棟配置と雁行設計が優れた セコムホームライフ「グローリオ蘆花公園」(2008/10/15)
建て替えマンション「アトラス国領」人気必至(2007/2/13)
植栽が見事「東京テラス」「玉川上水グランドメゾン」(2006/5/31)
間取り自由自在の「ツクリエ」にマンション初の軟水器採用 伊藤忠都市「横浜沢渡」
「クレヴィア横浜沢渡」
伊藤忠都市開発が6月半ばに分譲する「クレヴィア横浜沢渡」のモデルルームを見学した。横浜駅からはややあるが、高台立地の南東向き、扁平梁や居室の広さや部屋数、収納の形状などを自由に選べる「TSUKURIE(ツクリエ)」を導入し、差別化を図っているのが特徴。最上階には、分譲マンションには初めての家庭用軟水器が採用される。
物件は、横浜駅西口から徒歩16分、横浜市営地下鉄ブルーライン三ッ沢下町駅から徒歩10分、横浜市神奈川区沢渡の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する敷地面積約1,681㎡、6階建て全36戸。専有面積は58.21~86.77㎡、6月中旬販売開始予定の第1期(10戸程度)の予定価格は6,300万円台~11,000万円台(最多価格帯7,600万円台)。竣工予定は2025年8月下旬。設計・監理は古沢建築工房。施工は松尾工務店。販売代理は伊藤忠ハウジング。
現地は日本郵政社宅跡地。三ツ沢公園や軽井沢公園など大小の公園、県立横浜翠嵐高校、神奈川学園中学・高校が徒歩圏。敷地は幅員6.6mの南側道路から約3.1m高い位置にあり、建物はシンメトリックな外観で全戸南東向き。
主な基本性能・設備仕様は、扁平梁、ハイサッシ(2200ミリ)、リビング天井高2450ミリ、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、タンクレストイレ、「TSUKURIE(ツクリエ)」など。浴室・洗面はタカラスタンダード製で、全23種類から3種類を無償で選べるマグネット小物付き。
モデルルーム
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記者はこれまで40余年、デベロッパーの数は100社以上、数千物件のマンションを見学取材してきた。このうち、期待以上の結果を得られたデベロッパー・物件は1割あるかどうか。数少ない期待以上の成果が得られた1割のデベロッパー・物件の中に同社は間違いなく入る。今も昔も同社ほど商品企画に熱心に取り組んでいる会社はそうない。伊藤忠アーバンコミュニティのマンション管理に関する記事も添付するので、読んでいただきたい。
今回の「TSUKURIE(ツクリエ)」は、収納をウォークインクローゼットにしたり、玄関脇をギャラリーにしたり、洋室を和室にしたりするなど、住戸内を複数のユニットに区分し、そのユニットごとに用意されたパーツを選ぶことで、居住空間を自在に組み合わせることができるもの。今回の物件では最大で776通りが可能という。2013年分譲の「クレヴィア豊田多摩平の森RESIDENCE」で初めて採用されたものだ。
坪単価は書かないという約束なので書かないが、物件概要からおおよその単価はわかる。リーズナブルな価格だと思う。
「TSUKURIE(ツクリエ)」の効果はさておく。それより三浦工業が開発・製造している家庭用軟水器「軟太郎ソフティナⓇ」に驚いた。水道水の硬度成分を限りなくゼロにするもので、入浴後のお肌カサカサ、水仕事後の手荒れ、浴槽・洗面室の汚れ、ヤカンやポットの汚れなどの悩みを解消する機器だそうだ。それを最上階住戸に採用するという。コストは安くないという。
記者も体験した。水道水で手を洗うとツルツルするのだが、「軟太郎ソフティナⓇ」だとヌルヌルする。石鹸が落ちていないのかとも思ったが、ヌルヌル=しっとり=すべすべなら合点がいく。女性はそのために時間とお金をかけて、入浴後や洗顔後に化粧水やらを塗りたくっているのだろう。
これまで「タカラの水」「良水工房」を取材してきており、その良さを理解しているが、これらと「軟太郎ソフティナⓇ」を組み合わせるとどうなるのか、飲料として、あるいは調理の水につかったらどうなるのか知りたい。相乗効果を発揮するのか、それとも相殺しあうのか。辛口の酒は硬水、甘口は軟水が多いはずで、秋田の酒は甘口(軟水)が多い。「秋田美人」と飲料水は関係があるのか。冷奴を「volvic(ボルヴィック)」でさらすと格別の味になるそうだ(「evian」はどうか知らない)。
浴室のマグネット
石鹸水を入れて振った後の軟水(左)と水道水の様子(軟水は泡立ち、水道水は泡はすぐ消えた)
星の数より件数 2年後の適正管理評価1万件目指す マンション管理協 総会・懇親会(2023/6/13)
退行する商品企画に一石 天井高2700ミリ&ワイドスパン 伊藤忠都市「新御徒町」 (2022/6/18)
天井高3.8m ロフト付き「七夕カップルの愛のある家庭内週末婚」公開 伊藤忠都市(2021/4/28)
相鉄グループ初の木造賃貸 三井ホーム最大級の「モクシオン」「ゆめが丘」に完成
「KNOCKS(ノックス)ゆめが丘」
相鉄不動産と三井ホームは5月22日、相鉄いずみ野線ゆめが丘駅前に完成した相鉄グループ初の木造賃貸マンション「KNOCKS(ノックス)ゆめが丘」のメディア向け内覧会を行った。設計・施工を担当した三井ホームは初の複合用途「MOCXION(モクシオン)」で、規模は過去最大。
物件は、相鉄いずみ野線ゆめが丘駅から徒歩2分、横浜市泉区(泉ゆめが丘土地区画整理事業地区内)の第1種住居地域(建ぺい率70%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,054㎡、木造枠組壁工法(1階はRC造)による5階建て延床面積約4,291㎡。74戸(1階はクリニックモールが入居し、2~6階が賃貸。賃貸の専用面積は24.18㎡(1K)~62.85㎡(3LDK)、賃料は73,000円(坪約1万円)~165,000円(同約8,700円)。設計・施工は三井ホーム。入居開始は2024年6月22日(土)。
建築物は、国土交通省の令和4年度「優良木造建築物等整備推進事業」と、横浜市の「木材利用優良建築物」に採択されている。木材使用量は765㎡で、炭素貯蔵量(CO2換算)は654tCO2(スギ換算で1,295本)。「ZEH-M Oriented」を取得している。
現地は、開発面積約23.9ha、総事業費約109億円の横浜最大級の土地区画整理事業地内に立地。2024年7月に開業するシネコン、約130店舗などからなる大規模集客施設「ゆめが丘ソラトス」に近接。
施工にあたっては、三井ホームの独自技術である屋根断熱構造材「DSP(ダブル・シールド・パネル)」を最上階の屋根に使用することで日射熱を遮断しているほか、高強度耐力壁「MOCX WALL(モクス ウォール)」や「高性能遮音床システム Mute(ミュート)」を採用。2~5階まで11プランの壁位置を合わせることで構造的な負担を軽減。RC造と同等の遮音性、断熱性、耐震性を確保している。
一部の床根太に国産材を使用したLVL(単板積層)材を使用、1階風除室とエントランスホールの一部の壁に天然木クロスと天然木パネルで仕上げ、東側サッシには木製ブラインドを設置している。
内覧会に臨んだ相鉄不動産賃貸施設事業部 賃貸開発センター課長・櫻井大将氏は「賃料は近隣相場の1~2割高。『木造人気』を感じている」と話した。
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記者は、三井ホームの美しくてデザイン性に優れた住宅にほれ込んでいる。何が美しいかといえば、女性もそうだが、化粧を施していない「木」そのものだ。
「MOCXION(モクシオン)」を含めた同社施工の建築物見学会も皆勤賞のはずだが、その美しさを「現し」として仕上げているものはごく一部でしかない。同社施工に限らず、木造建築物はほとんど石膏ボードやケミカル製品で覆い隠される。今回も「木」が感じられたのは壁パネルとサッシのみ。居室内もすべて木調パネル仕上げだった。
これに異議を唱えようかと思ったが、この日はほとんど眠っておらず質問する気力はなく、〝お前はいつまで現しにこだわるのだ。木造コンプレックスの呪縛から抜け出せないのか〟と一喝されそうなのて、口をつぐんだ。(木材は輸入材か国産材かの論議も、グローバルな視点からすればそれほど重要ではないという主張もわからないではない)
外観も内装もRC造と変わらないのに、賃料設定が相場の1~2割高なのはどうしてなのかも聞きたかったが…。これは相鉄&三井ブランドだからだと勝手に理解した。「木造現し」と「ケミカル仕上げ」は、身体的・心理的影響にどのような差があるか研究は進んでいるようだが、決定打となるものはあるのか。
収穫もあった。52㎡の1LDKのプランだ。間口は7200ミリ、キッチンと背面の洗面室・浴室との間は1010ミリ。同じ面積で一般的な2LDKの間取りもあり、どちらを選ぶかはライフスタイルによるだろうが、記者は1LDKがとてもいいと思う。分譲に採用したら圧倒的な人気を呼ぶのではないか。玄関と廊下は工夫次第で多目的スペースに変身する。
1LDKのキッチン(左)と洗面所とのスペース
現地