販売開始1か月で半数以上成約・申し込み 東武鉄道&大和ハウス「新柏」114戸
「ソライエ新柏プレミスト」
東武鉄道(事業比率60%)と大和ハウス工業(同40%)が分譲中の「ソライエ新柏プレミスト」を見学した。駅から徒歩1分、東武ストアに隣接した四方道路に囲まれた一等地で、第1期の坪単価は256万円。販売開始から1か月で全戸数114戸の半数を超える69戸が成約・申し込み済み。極めて好調なスタートを切った。
物件は、東武アーバンパークライン(東武野田線)新柏駅から徒歩1分(70m)、柏市新柏一丁目の近隣商業地域に位置する8階建て全114戸。現在先着順で分譲中の住戸(11戸)の専有面積は63.29~78.68㎡、価格は4,498万円~6,498万円。第1期の坪単価は256万円。竣工予定は2025年3月。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は大和ハウス工業。
1月6日からモデルルームをオープン。来場者は270件、3月10日に販売開始した第1期60戸は完売。その後2戸を成約、6戸に申し込みが入っている。これまでの反響数は888件。
敷地は四方道路に囲まれており、道路を挟んだ東側は平屋建ての東武ストア、南側は駅前ロータリー、西側に桜並木が近接。従前はパチンコ屋で、東武鉄道と大和ハウス工業が土地を取得した。
建物はL字型で、標準階の住戸は南東向きが9戸、南西向きが7戸。主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2550ミリ(1~2階)・2500ミリ(3階以上)、食洗機、タオル掛け1か所など。共用施設はラウンジ、ワーキングスペース。駐車場は敷地内69戸分。
販売代理の大和ハウス工業担当者は「当社の千葉県内の物件では『プレミスト千葉公園』150戸に次ぐ、売れ行きのいい物件。60歳以上の戸建てからの住み替え・買い増しされるお客様の比率が高く、50㎡台の住戸は単身女性の購入も目立ちます。将来の資産性を評価されているからでしょう」と語っている。
現地(敷地北側から)
現地(敷地西側から。当時はサクラがまだ残っていた)
4LDKは最高15倍 コロナ禍で驚異的売れ行き 東武鉄道他「流山おおたかの森」(2020/8/25)
エントリー数1万件超 坪700万円突破も納得 三井不レジ「パークシティ中野」
「パークシティ中野 ザ タワー エアーズ/ザ タワー ブリーズ」(左が「ブリーズ」)
三井不動産レジデンシャルは4月23日、「パークシティ中野 ザ タワー エアーズ/ザ タワー ブリーズ」のメディア向け内覧会を実施した。JR中野駅前の24階建てと20階建ての大規模再開発・免震タワーマンションで全807戸(販売対象は401戸)。敷地南側に遮るものがなく、「四季の森公園」に近接、武蔵野台地の免震構造・ZEH認証などを考えると、エントリー数が1万件超なのも納得できる。
物件は、JR中野駅から徒歩6分~8分、中野区中野4丁目の「囲町東地区第一種市街地再開発事業」地に位置する敷地面積約13,229㎡、24階建て「エアーズ」545戸(販売対象239戸)と20階建て「ブリーズ」262戸(同163戸)の全807戸(同401戸)。専有面積は30.65~125.12㎡。7月中旬に分譲する第1期1次80戸は駅に近い「タワーズ」が対象で、専有面積は54.80~125.12㎡、予定価格は12,000万円台~40,000万円台(最多価格帯14,000万円台)、坪単価は700~750万円。入居予定は2026年7月下旬。デザイン監修は三井純アンドアソシエーツ建築設計事務所。施工は東急建設。
現地は、中野駅周辺の約110haで11もの再開発事業が進行中のエリアの一角。敷地は東西軸が長い長方形で、駅に近い側からオフィス・商業棟の「中野M-SQUARE」-「エアーズ」-「ブリーズ」の3棟が建設され、「SQUARE」1~2階には大型スーパーマーケット、飲食店舗などが予定されている。駅北口からペデストリアンデッキで結ばれる。約1.5haの「四季の森公園」や中野区新庁舎、中野中学、東京警察病院、明治大、帝京平成大、早稲田大の大学施設、29年に開業予定の「NAKANOサンプラザシティ」などに近接。
今回分譲対象となる「エアーズ」の主な基本性能・設備仕様は、中間免震構造、ZEH-M Oriented認定、ワイドスパン、二重床・二重天井、リビング天井高2650ミリ(プレミアムの23・24階は3000ミリ)、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、Low-Eガラス、二重サッシ(南側)、リビング・居室床暖房など。パークシティシリーズで初となる東京ガスとパナソニックが開発した「熱交換気システム・AIR TES」を全住戸に採用し、室内の温度変化を抑制し、花粉なども排除する。
共用施設は、エントランスラウンジ、ライブラリーラウンジ、ゲストルーム、フィットネスルーム、屋上テラス、ファミリーラウンジなど。
昨年9月にホームページを開設してからこれまでのエントリー数は1万件超、5月下旬までのモデルルーム来場予約は満席の約350件。今回分譲の第1期1次では「エアーズ」のプレミアム住戸17戸のうち約半数が分譲される。
エントランスホール
ライブラリ―ラウンジ
パーティルーム
屋上テラス
ファミリーラウンジ
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坪単価は700万円を突破すると思っていたが、高くなったものだ。三菱地所レジデンスが2016年に分譲した駅から徒歩6分の「ザ・パークハウス 中野タワー」178戸(分譲149戸)は坪500万円を超えなかったはずだ。同業の記者によると、中古でも坪700万円するとか。
単価は安くはないが、新宿を起点にすれば、もっとも住みたい街(吉祥寺も悪くはないが)に「中野」は選ばれるのではないか。今回の物件が位置する駅北口エリアは、再開発によって生まれ変わる。駅に近いにもかかわらず嫌悪施設(もうこういう呼称はやめたほうがいいとも思うが)など一つもなく、緑も豊富。大学など教育施設、病院、商業施設もそろっている。道路を挟んだ南側は鉄道線路が走っているのをどう見るかだが、南側の日照なども担保されている。エントリー数が1万件を突破しているのもよくわかる。
「木は熟した」 街並みを木造化するビルダー組織化へ AQ Group新社屋は坪145万円
AQ Group新社屋
AQ Groupは4月22日、わが国初の8階建て純木造の新社屋が完成したのに伴う完成発表会を行った。新社屋は埼玉県さいたま市西区に完成した8階建て延べ床面積約6,076㎡で、市場に流通している木造プレカット材を使用し、わが国の伝統的な組子・格子ザインを構造壁に取り込み、特殊金物を用いず、一般の工務店でも施工できる「普及型純木造ビル」としているのが特徴。発表会はメディア向けを含め三部構成で230人超が詰めかけた。同社・宮沢俊哉社長は「いよいよ木は熟した。5月にはフォレストビルダーを立ち上げ、全国の街並みの木造化を復活させる」と語った。
宮沢社長は、木造ビルを開発するきっかけとなった木造耐力壁研究の第一人者であるホルツストラ・稲山正弘氏(前東京大学大学院教授)との付き合いは20年に及ぶと紹介し、その後の2014年の埼玉北支店、2017年のつくば支店、2018年の港北展示場、2022年の川崎展示場などにつながったことなどを話し、「先生から『やってみないとわからない』と言われながら何度も失敗、実証実験を繰り返し、モジュール化やグリッド化を図り、『普及型純木造ビル』として今回の新社屋が完成した。今後は5階建て以下の非木造の16兆円市場に参入するため、5月には全国のビルダーに呼びかけ、フォレストビルダー組織を立ち上げる」などと語った。具体的案件としてさいたま市、赤羽、東陽町、墨田区などで計画を進めていることも明らかにした。
続いて登壇したゲストのアルセッド建築研究所・三井所清典氏(第10代日本建築士会連合会会長)は、「新社屋の施工期間が17か月というのもすごいが、その前の9か月の間に宮沢さんと稲山さんがタッグを組んで技術開発などを行ったのが驚異的だ。それをやってのけたのは天才肌のお二人の熱い思いだ。国産材の利用率は36.6%と聞いているが、目標とすべき50%は実現できる」などと絶賛した。
新社屋ビルは、JR大宮駅からバス約15分、さいたま市西区三橋5丁目に位置する敷地面積約9,000㎡(約2,700坪)、延床面積約6,076㎡。基本・実施設計は野沢正光建築工房。構造設計はホルツストラ。施工は田中工務店、伊佐建設。着工は2022年9月。今年4月に完成。
宮沢氏(左)三井所氏
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木造ファンの記者は、これまで木造マンション・ビル、木質化空間はかなり見学取材している。みんな素晴らしい。いくつか記事を添付する。
今回の同社の新社屋の何が素晴らしいかといえば、宮沢氏や稲山氏、三井所氏が強調したように、特殊技術を用いずに普通の工務店の技術で木造現しを実現できることを証明したことだ。たくさん写真に収め、同社提供の写真も紹介するので見ていただきたい。
見学会で一つ気になったことがある。外観デザインについてだ。全体としてモノトーンとして統一されており、ビルの特徴である組子格子デザインがガラス越しに透けて見える。曇天のこの日は風景にすっかりなじんでいた。
しかし、記者は水平ラインか縦マリオンなどにアクセントとして目を引くデザインを施してもよかったのではと思う。記者は黒と白の喪服(特に女性)が最高に美しいと思うのだが、これはわが国の文化をよく表しており、うなじや裾からのぞく白でも黒でもない褐色の肌を際立たせるからだ。
「これは埼玉県産材のヒノキ(左)。この組子格子耐力壁はカラマツで、光と風を取り込める(中)。住宅用の耐力壁の14倍の強度を持つが、特殊な金物など使わずビスで止めている。わが国の伝統的な木組みの技によって実現した(右)」などと語る稲山氏
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この種の見学会ではよくあるアンケート用紙が見学時に配布された。設問は、「今回の『新社屋』(はどれ)くらいの価値があるか 坪単価で答えていただきたい」という1項目のみだった。
これには驚いた。マンション坪単価だったら自信がある。最近では三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスの「三田ガーデンヒルズ」の坪単価を分譲開始の1年半前に1,300万円と予想しズバリ的中させたし、2018年分譲の三井不動産「MID TOWER GRAND」の430万円(実際は434万円)、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」の坪単価800万円も的中させている。外すのは2割くらいか。
しかし、賃貸オフィスは全くわからない。白紙にすることも考えたが、宮沢社長は「アンケートに回答していただいた後に、実際はいくらだったかお知らせしますので、ご協力ください」と呼び掛けたので、回答することにした。
多くのメディア・関係者が坪単価200万円前後と答えるだろうと宮沢社長は考えているはずなので、「坪単価200万円」と書こうと思ったのだが、木造の価値-CO2の大幅削減とかストレスがたまらない労働環境、一般に流通している資材をそのまま活用し、普通の工務店が施工できる価値などを総合的に判断すると「金額では測れない価値がある」と回答した。
※この日、発表会後に配布されたニュース・リリースには施工単価も記されているのだが、解禁日は4月23日午前11時となっているので、明日以降に価格を発表する(記者は的中したのか大外れなのか)。⇒ニュース・リリースには「純木造8階建て新社屋の炭素貯蔵量は1,444t-CO2で、一般木造住宅に換算すると95棟分。CO2排出量削減に至っては鉄筋コンクリート造と比較すると43%削減。普及に向けて大きな課題としてあげられた建築費が、このプロトタイプの純木造8階建てAQ Group本社ビルは坪145万円で、大手ゼネコンによる先導的な木造ビルに比べると1/2。鉄骨鉄筋コンクリート造の約3/4と大幅に建築費を抑えられることを実証した」とある。
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われわれメディアもそうだが宮沢社長、これからは坪単価を図るモノサシを変えようではありませんか。これまでのモノサシは鉄やコンクリが基本にあり、木造を鉄やコンクリの土俵に上がらせ、〝火に弱い〟〝地震に弱い〟などの〝弱点〟に対して木造派は〝価格が安い〟ことを強調してきた。
これはもう時代遅れだ。それぞれが他にない特徴を持っている。先に書いたように単なるコストだけでは測れない価値を価格に換算する手法を編み出さないといけない。
全て流通材、組子格子耐力壁を現しで表現AQ Group「8階建て純木造ビル」見学会(2023/8/26)
〝美は現しにあり〟木と鉄骨のハイブリッド実現野村不&清水建設「溜池山王ビル」(2023/11/21)
ナイス木造2階建て八角堂の保育施設「Rita School」完成雄鶏も歓迎の時(鬨)の声(2023/4/23)
わが国初の「5階建て純木造ビル」/「カベワンGP」7度目V アキュラホーム(2022/11/15)
賃料は「調布並み」でも申し込み殺到三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸(2021/12/9)
さすが三井不動産わが国初の本物の木造〝杉乃木〟ホテル「神宮外苑」に誕生(2019/11/13)
ポラスグループ国内最大木質ハイブリッド構造の本社ビル完成(2012/2/22)
坪1300万円でどうか旧逓信省庁舎跡地の三井&三菱「三田ガーデンヒルズ」(2022/4/30
リニア開業は2027年度以降 どうなる値付け 東急不他「橋本」 多摩美大と産学連携
仮囲いに掲出されたグランプリ賞
東急不動産、小田急不動産、名鉄都市開発、総合地所、旭化成不動産レジデンス、ジェイアール東海不動産の6社は4月18日、リニア新幹線の神奈川停車駅が予定されている土地区画整理事業地に近接する超高層マンション「ブランズタワー橋本」について、多摩美術大学と産学共同研究契約を締結したと発表した。
物件が位置する相模原市は、多摩美術大学、JAXA 相模原キャンパス・相模川ふれあい科学館、など様々な教育・研究施設があり、相模原市も大学や研究機関との積極的な連携を進めていることから、今回の産学連携となった。
物件入居者と多摩美大の学生とのワークショップを行うなど、入居者がアートに触れる機会を創出するとともに、多摩美大の学生に自身のアートを表現する場を提供する。第一弾として、仮囲いデザインコンペを開催し、情報デザイン学科2年山本滉さんがグランプリを獲得、仮囲いに掲出された。
物件は、京王相模原線・JR 横浜線橋本駅から徒歩4分、相模原市緑区橋本二丁目の「橋本駅南口地区土地区画整理事業」に近接する敷地面積約10,472㎡、29階建て全458戸。専有面積は34.39~119.23㎡。竣工予定は2026年6月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。“環境先進マンション”として約4,100㎡の公開空地に緑豊かな景観を創造し、ZEH・低炭素建築物認定の取得を予定。分譲開始は今夏。
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2027年開業を目指して工事が進められてきたリニア新幹線は、南アルプストンネル静岡工区において静岡県の理解が得られず、開業は2027年度以降とされ、開業は2035年になるのではないかという憶測も流れていることから、事業者としては価格をいくらにするか、悩ましい選択が迫られている。トンネル掘削に反対してきた川勝平太・静岡県知事の辞職に伴う知事選が5月26日行われるが、その結果次第で工事は早まるのか。それとも引き続き交渉が続くのか。
記者は、予定通り2027年に開業するのであれば、坪単価は400万円をはるかに突破すると読んでいたが、開業が2027年度以降になったことから、坪400万円も微妙だと思う。
日本エスコン「橋本」は坪330~350万円販売代理リストの顧客対応はフル回転(2023/3/3)
「京橋三丁目東地区第一種市街地再開発事業」再開発組合設立 東京建物
「京橋三丁目東地区第一種市街地再開発事業」
東京建物は4月19日、参加組合員として事業参画している「京橋三丁目東地区第一種市街地再開発事業」の市街地再開発組合が4月18日に設立されたと発表した。
事業地は、中央区京橋三丁目に位置する敷地面積約6,820㎡、地下4階地上35階建て延床面積約164,900㎡(容積率約1,990%)。主要用途は事務所、ホテル、店舗、駐車場等。本体工事着工は2026年度で、竣工予定は2030年度。
京橋駅と接続する地下歩行者通路と地下駅前広場を整備し、東京駅から京橋駅に至る地下歩行者ネットワークを拡充するほか、「Tokyo Sky Corridor」とつながる接続空間を整備し、西京橋ビル・東京橋ビル・新京橋ビルの上部空間を緑豊かな歩行者空間に転換する。
神楽坂「かくれんぼ横丁会館」建て替えが竣工 菊池建設
「かくれんぼ横丁会館」
ナイスグループ菊池建設は4月18日、新宿区神楽坂のテナント木造耐火建築物「かくれんぼ横丁会館」が竣工したと発表した。
既存建物の建て替え工事で、木造2階建ての1時間耐火構造。柱や梁、壁などを強化石膏ボード等で耐火被覆したうえで、仕上げとしてヒノキの羽目板を施工することで、耐火構造ながら無垢材が現しとなり、木質感のあふれる空間となっている。建物内には、既存建物で使用されていた床材のベンチや欄間、框などを再利用し、内装材には国産ヒノキを採用している。
事業主はマイナビ不動産、構造は木造・2階建て(1時間耐火)、建築面積は約144㎡、延べ面積は約271㎡。主要用途は飲食店・物販店5区画。設計監理はMONO 建築空間研究所。施工は菊池建設。
予約が取れないリファイニング見学会 〝お互い様〟「ドミトリー朝日台」30分で満席
青木茂建築工房は4月18日、 「(仮称)ドミトリー朝日台」リファイニング工事解体見学会を開催した。築39年の新耐震基準による共同住宅で、耐震診断により躯体に問題がないことからそのまま生かし、不適合箇所の是正、メンテナンス性の向上を図ることで、第三者機関による耐用年数評価で100年超の〝お墨付き〟を取得しているのが特徴。見学会には定員75人を超える78人が参加した。
物件は、都営大江戸線豊島園駅から徒歩5分、練馬区練馬2丁目に位置する敷地面積約901㎡、4階建て共同住宅27戸。建築年は昭和60年(1985年)。リファイニング工事の設計は青木茂建築工房(建築)・DN-Archi (構造)・シード設計社(設備)、施工は内藤建設。竣工予定は2024年9月。
既存建物は、新耐震基準の建物であるが検査済証の交付はされておらず、そのため、ガイドライン調査によって法適合調査を行い、不適合箇所の是正を行うとともに無届け増築となっていた屋根付き駐輪場を更新して増築することで検査済証の取得を目指す。
また、給排水管を一新し、PSスペースや床スラブ配管などのメンテナンスを共用部に移す計画にしたことなどにより、第三者機関による建物の耐用年数評価では100年超の評価を取得した。
見学会に臨んだ同社・青木茂会長は、「既存建物の耐震性に問題がないのは、施工を担当する(海がない)岐阜県の内藤建設のビルも同様、海砂を使っていないことも要因の一つと考えられる。この種の調査をする会社が少ないのが課題」などと語った。
同社・川村航大氏は、「耐震診断の結果、問題がないことが分かったので、躯体はそのまま生かしてプランニングした。第三者機関による耐用年数評価では、あと100年もつとのお墨付きももらっている」と話した。
物件オーナーは、「親父から相続したもので、建て替えも考えたが、ニュースで青木先生を知り、きれいで長持ちするものにしていただいた。賃料は10.5万円(28.05㎡)を予定している。入居者のほとんどは音楽関係の学生さん。防音性を担保する特別な工事は行っていないが、〝お互い様〟を周知徹底している」と話した。
左から内藤建設担当者、川村氏、青木氏
オーナー
解体工事現場
印のついている鉄筋がむき出しの部分を補修するのだそうだ
現地
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見学会の案内が届いたのは4月8日の午前9時38分。見学時間は午前11時~、午後1時~、午後2時20分~の三部構成で定員は各25人。記者が参加申し込みをしたのは8日の10時過ぎ。すると12時41分に「満員御礼につき、『(仮称)ドミトリー朝日台』リファイニング工事解体見学会の参加申し込み受付を終了いたしました」のメールが届いた。
つまり、わずか30分の間に定員75人枠を突破したということだ。困った記者は、「見学会では青木新会長と秋山新社長の話が聞きたい。何とかならないか」と返事したところ、青木会長から直々に「午後の部にはわたしが参加するから」と許可を頂き、取材が実現した。
建築・設計業界のことはよくわからないが、ハウスメーカーやデベロッパーの現場見学会ではまずありえない。商業施設など関係者・一般の方も参加される見学会はともかく、メディア向けの見学会では多くて40~50人、少ないのは数人だ。
過去にもこのようなことはしばしばあった。どれほど同社の現場見学会が人気か、端的な例を紹介する。
コロナ禍の2020年9月15日に同社は「ヴァロータ氷川台」の見学会を三井不動産レジデンシャルと共同で行った。5部構成で満席の200人超が集まった。一方、同じ日には安藤忠雄氏が設計・デザインした日本財団「THE TOKYO TOILET」の一つ「神宮通公園トイレ」(あまやどり)のお披露目見学会が行われた。メディアは50人だった。記者の記事に対するアクセス数は前者が約2,500件、後者が約1,200件だった。
対象が関係者を含むのとメディア限定の差はあるにせよ、〝青木茂〟(秋山徹氏は継承するはず)の動員力のすごさがわかる。記者は〝予約が取れないリファイニング(refining)見学会〟と名付けることにした。
オーナーの〝お互い様〟もまたいいではないか。分譲も賃貸も居住者のクレームはつきものだ。〝風鈴がうるさい〟〝ハイヒールの音がする〟〝新聞配達のバイクの音が気になる〟〝排気口からニンニクのにおいがする〟…などだ。これは居住者どうしの人間関係が希薄で、供給サイドもまたそれを解消する取り組みを行わないからだ。多様性を認め合うようにすればこれらの問題は解決するはずだ。
秋山氏(同社ホームページから)
青木茂建築工房代表取締役に秋山徹氏青木茂氏は会長&調査会社代表取締役に(2024/4/1)
安藤忠雄氏を超えた? 青木茂氏×三井不 「氷川台」リファイニング見学会に200人超(2020/9/16)
「美しい公衆トイレ発信できた」安藤忠雄氏/世界からオファー 日本財団PJ(2020/9/16)
京成立石駅南側の再開発組合設立認可 マンション440戸 野村不・阪神阪急不
野村不動産と阪急阪神不動産は4月16日、参加組合員として事業参画している「立石駅南口東地区第一種市街地再開発事業」の再開発組合設立が2024年4月15 日付で東京都から認可されたと発表した。
事業地は、京成立石駅の南側に位置する葛飾区立石一丁目及び立石四丁目の施行面積約1.0ha。葛飾区有数の商業集積を誇る賑わいのある街並みである一方、老朽化した建物が密集し、狭隘道路が多数存在しており、防災面に課題があった。事業を通じ地区内の基盤整備を進め、防災性の向上、商業機能の更なる強化、質の高い住環境の整備などに寄与する。
住宅の予定戸数は約440戸で、高さは約120m。事業協力者は長谷工コーポレーション。事業コンサルタントは総合不動産鑑定コンサルタント。着工は2027年度、竣工予定は2030年度。
同駅北口の2.2haでは「立石駅北口地区市街地再開発組合」による再開発事業が行われており、東京建物、旭化成不動産レジデンス、首都圏不燃建築公社が参加組合員として事業参画している。マンションは36階建て710戸の予定で、全体竣工予定は2030年。
建築家・藤本壮介氏「大屋根リング」意義を語る 三井不動産「木と生きる」イベント
「木と生きる」イントロダクション
三井不動産とディスカバー・ジャパンは4月16日、東京ミッドタウン日比谷で開催するイベント「木と生きる」のプレス内覧会を行った。イベントは、木や森との持続的な共存と未来を考えるのが目的で、トヨタ自動車、三井物産、パナソニックグループ、ソニー、竹中工務店、サントリーホールディングス、乃村工藝社、東京都など18団体が共同参加。初日の「オープントーク」では建築家・藤本壮介氏が「大阪・関西万博 大屋根リング」の意義、今後の展開などについて語った。様々なシンポジウムのほか、音など五感で体感できるイントロダクションや18団体のパネルエキシビション・ワークショップも行われる。イベントは4月21日までの6日間。
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建築家・藤本壮介氏とDiscover Japan統括編集長・髙橋俊宏氏による「木と生きる」をテーマにしたトークセッションに集まったのは、参加予定の300人をやや下回ったようだが、その数の多さに驚いた。
どのような人が集まったのか知りたかったのだが、高橋氏が冒頭、ヒントを与えてくれた。高橋氏は「木の文化に興味のある方」「環境に興味のある方」「藤本さんの話に興味のある方」「ディスカバー・ジャパンをご存じの方」と4つの質問を発し、手を挙げてくださいと問いかけたところ、それぞれ数十人が応じた。半数くらいの人は18団体関係者か、森林・林業や環境問題、木造建築物に興味のある方だろうと判断した。
記者は、藤本氏の話を集中して聞いた。藤本氏は自ら手掛けた4つのプロジェクト「大宰府天満宮の仮殿」「博多・明治公園のPark-PFI事業」「岐阜・飛騨市の共創拠点施設」「大阪・関西万博の大屋根リング」について語った。「仮殿」は屋根の上に緑を配し、周囲の緑との調和を図ったもの。「明治公園」は5層からなる立体公園の提案で、都立明治公園と同様、東京建物がPark-PFIの代表提案者になっている。「共創拠点」は飛騨市が盆地であることに着想を得てすり鉢状の自然と一体となる施設を整備するものだ。
「大屋根リング」については「炎上、世間をお騒がせしている」と笑わせたあと、なぜリングなのか、どうして木造としたのか、解体する理由は何かなどわかりやすく説明した。わが国の大規模木造建築の取り組みは海外と比べ遅れているとも指摘し、持続可能な社会の実現に向け、新たな可能性を提案したものだと強調した。
藤本氏(左)と高橋氏
トークセッション
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1階アトリウムのイントロダクションエリアの演出が素晴らしい。空間プロデュースを担当しているのは乃村工藝社で、同社クリエイティブ本部第一デザインセンター デザイン4部・井上裕史氏は、一般には流通しない木端(こっぱ)と呼ばれる木くずを敷き詰め、歩くことで音、香り、感触など五感で自然を体感しながら、東京芸大院生や卒業生の木彫作品を鑑賞できると説明した。井上氏は、わが故郷・三重県の皇学館大学で神学を学んだことも明かした(小生はその隣の高校出身)。
木端(こっぱ)
◇ ◆ ◇
地階の「パネルエキシビション・ワークショップ」はゆっくり見学する時間がなかったが、トヨタ自動車のブースは他団体よりひときわ大きく、わが故郷・三重県の宮川村の社有林(1,689ha)も紹介されていた。皆さんはご存じないだろうが、この山林はかつて〝日本一の山林王〟と称された諸戸家から譲り受けたもので、管理しているのは地元の速水林業だ。
他では、40種の好きな匂いを選択しかぐことができるソニーの「におい提示装置」にほれ込んだ。値段は250~300万円とやや張るが、コストダウンしたら多様な用途に使える。乃村工藝社のブースは井上氏の作品も展示されている。これがまた素晴らしい。MUJI HOUSEの「SE構法」(エヌ・シー・エヌ)もいい。
三井不動産は神宮外苑地区まちづくりはそれぞれ別々に展示されていた。「神宮外苑」の街づくりについては詳細な説明・展示はなかったが、せっかくの機会だから、大きなスペースを割いてしっかり説明してほしかった。新たなコーポレートメッセージ「さあ、街から未来をかえよう」を発表したばかりだ。同社の街づくりランドスケープデザインは他のデベロッパーに負けない。「HARUMI FLAG」はその集大成だ。反対者の中には同社に対するかなりの誤解もある。誤解は解かなければならない。
トヨタ自動車
ソニー
ワークショップ
第1期90戸は坪421万円 高額住戸中心に人気 東京建物他「Brillia Tower 千葉」
「Brillia Tower 千葉」
東京建物(幹事会社)・野村不動産・中央住宅・ファーストコーポレーション4社JV「Brillia Tower 千葉」を見学した。千葉駅圏の一等地、三越千葉店跡地の23階建て免震タワーマンションで、第1期90戸は千葉駅圏最高値となる坪単価421万円だが、地元の富裕層を中心に約7割に申し込みが入り、好調なスタートを切った。
物件は、JR千葉駅から徒歩4分、千葉市中央区富士見二丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率800%=緩和あり)に位置する敷地面積約3,805㎡、23階建て全491戸 (販売住戸481戸、募集対象外10戸)。専有面積は33.99~160.10㎡。第1期90戸の専有面積は58.26~160.10㎡、価格は6,588万~29,998万円(最多価格帯8,400万円台)。坪単価は421万円。6月に分譲する第1期2次の専有面積は33.99~109.68㎡、価格は3,900万円台~19,000万円台。竣工予定は2026年8月下旬。設計・施工はファーストコーポレーション。デザイン監修は光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所、オイル。
現地は、三越千葉店の跡地で四方道路に接道。敷地北側は幅員約50mの大通りに面している。建物の1・2階に店舗、保育施設が入居し、住戸は3階以上で、中央部を吹き抜け空間とした外階段方式。標準階の住戸は南向きが10戸(角住戸含む)、東向きが4戸(同)、西向きが6戸(同)、北向きが8戸(同)。最上階の14戸は100㎡以上のプレミアム住戸。
2023年9月のホームページ開設以来、総エントリー数は3,000件超、2024年1月6日からオープンしたモデルルーム来場者は約800件。3月9日から申し込みを受け付けた、前建の影響が少ない15階以上の南向き中心の第1期は約7割に申し込みが入った。申込者の約7割は地元の富裕層が中心で、残りの3割もほとんどが千葉に地縁のある人。最上階のプレミアム住戸は12戸販売し、10戸に申し込みが入った(2戸キャンセル)。
主な基本性能・設備仕様は、2階と3階に免震装置を設置した中間層免震構造、二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ(最上階2800ミリ)、サッシ高2000ミリ(同2260ミリ)、ディスポーザー、食洗機、バックカウンター・カップボードなど。共用施設はコワーキングラウンジ、フィットネス・スペース、ハーディルーム、オーナーズスイートなど。
販売担当の東京建物住宅営業第二部営業グループ グループリーダー・岡部伸一氏は、「第1期は15階以上の南向きをメインに分譲しましたが、地元の富裕層の方々を中心に〝待ってました〟という評価を頂きました。第1期2次の戸数は未定ですが、第1期とは逆に都内居住者の反響が地元を上回っており、投資目的の方も目立っています」と話した。
エントランスラウンジ
モデルルーム
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記者の最大の関心事は、坪単価はいくらになるかだ。都内準都心部は言うに及ばず神奈川、埼玉の主要都市、札幌、仙台、福岡、那覇などの地方都市も軒並み坪400万円を突破するなど、坪400万円は都市の値打ちを測る分水嶺となっており、政令都市で人口が仙台に次ぐ12番目の県都・千葉も高値圏側への仲間入りを果たしても全然不思議でないと思っている。県内の船橋、柏、おおたかの森などの駅近は坪400~500万円必至と言われている。東京建物は「目黒」や「堂島」で劇的に相場を引き上げた〝実績〟もある。
しかし、第1期の坪単価421万円は、15階以上の南向きやプレミアム住戸が単価を引き上げた結果で、今後は下層階や東向き、西向き、北向きが供給されることから全体として坪400万円を超えることはなさそうだ。
坪400万円を超えられないのは、デベロッパーの値付け云々ではなく市場がそのように評価しているからだ。地価公示もその一つだ。令和6年の千葉市の商業地の最高価格は仙台市に大きく水をあけられている。都道府県庁所在地の住宅地価格は、平成元年比で上昇しているのは福岡市、札幌市、仙台市など5市しかなく、42の都道府県庁所在地が下落しているのだが、下落幅が最も大きいのは千葉市の58.4%だ。
ただ、市場の評価はどうであれ、決めるのは購入検討者だ。記者は幅員50m道路に面し、対面のビルの高さも14階以下の北向き住戸に魅力を感じる。例えば1スパン20戸ある44.80㎡の1LDKタイプ。間口は6900ミリだ。このほか北向き住戸は20坪前後・以下がほとんどだ。人気になると見たが…。岡部氏も「北向きも人気」と話した。
模型(北側)
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