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 東京建物は6月7日、再開発組合の一員として参画している「東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業」にワーカーのウェルビーイング向上を支援する食堂等を整備することを決定したと発表した。

 八重洲プロジェクト13階にオフィス入居者向けのウェルビーイングフロア「(仮称)Wab. (ワボ)」を設け、食を通じてワーカーの生き生きとした生活をサポートする食堂や、生産者を招き食材・レシピの紹介等を通じてワーカーと交流するイベントキッチンなど、ウェルビーイング向上に寄与する施設を導入する。

 食堂では、キリンホールディングスと協業し、免疫ケアフードメニューを提供するほか、47都道府県各地の郷土料理やこだわりの調味料の提供を通してコミュニケーション機会の創出と地域の食文化の継承・発展を目指す。

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 記者は、この種の取り組みについてはよくわからないのだが、今年3月、コリアーズ・インターナショナル・ジャパンの取材をしたとき、同社レポートで多くのオフィスワーカーが希望する設備として「食堂」「コンビニ」「リフレッシュルーム/カフェスペース」を求めていることを知った。

 また、日本ビジネスシステムズ(JBS)は2024年4月に本社を虎ノ門ヒルズ ステーションタワーへ移転し、併設するカフェ&ダイニング「Lucy’s Tokyo」の利用とともに、集い行き交うコミュニケーションプレイス=“ Park ”(公園)を実現するというニュースもあった。

 最近はせんべろの日高屋しか利用しないが、47都道府県の郷土料理が食べられるというのはとてもいい。わが故郷の「伊勢うどん」がお勧めだ。黒いおつゆ(昔はたまり醤油)に真っ白で柔らかいうどんが浮かび、それと歯ごたえのある赤白のかまぼこ、青々とした細ネギが載っているのみ。シンプルで美しい。600円くらいか。

オフィスワーカーの欲しい設備「食堂」/Z世代の働きたい場所「東京」コリアーズ(2024/3/18)

 

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「Asu-haus(アスハウス)」甲州街道モデル

 旭化成ホームズは6月5日、木造戸建て住宅の新ブランド「Asu-haus(アスハウス)」甲州街道モデルハウスをメディア向けに公開した。外気温は30度を超えていたにもかかわらず、エアコン1台で建物内は25度前後に保たれる断熱等級7のすごさを初めて体験し、豊かな緑に圧倒された。〝武蔵野リゾート〟と名付けた。

 〝Asu-haus(アスハウス)の未来につながる暮らしと空間〟がコンセプトで、「暮らし」については、エアコン1台で季節・時間・場所を問わず快適な生活ができる「経験価値」、断熱等級6のエアコンをつけたままの全館空調より消費電力は約40%削減できる「経済価値」、ZEHからLCCM(Life Cycle Carbon Minus)の「環境価値」をそれぞれ実現。「空間」については、断熱等級が国内最高クラスの断熱等級7の「温熱性能」、長期にわたって快適性を担保する「構造安全・耐久性能」、地域や自然とつながり多用途に使える「デザイン」としているのが特徴。

 これにより、温度差は±1℃以内、温度は夏26~28℃、冬20~23度、湿度は夏60%以下、冬40~60%、壁・床・天井などの表面温度は室温±2℃以内の理想的な環境を目指す。

 主なターゲットは、必要最小限の空間と環境を重視し、クリエイティブでファミリー志向の60代夫婦。間取りはシンプルな田の字型で、汎用性を重視している。

 見学会に臨んだ同社GREENOVATION推進室室長・白石真二氏は「未来のあるべき姿を見据え、暮らしと空間のそれぞれ3つの価値を実現する。そのために、具体的な4つの温度・湿度の目標値を設定した」と語り、合わせて、ブランドコンセプトである「GREENOVATIONには、環境性と経済性の両立という概念を取り込み、さらに若々しく健康に生きようという意味も込めた」と語った。

 また、同推進室企画グループ・高梨拓己氏は外観・外構などについて「5.5寸の切妻屋根を採用することでソーラーの設置、都下での北側斜線制限にも対応できるようにし、日射を遮断するパーゴラのほか、ベビーカー、車椅子にも対応できるスロープを設けた。エクステリアでは14本の中高木を植樹した」と話した。

 モデルハウスは、多摩モノレール線甲州街道駅から徒歩4分、敷地面積は約50坪、建物は木造軸組工法(平屋~2階)の切妻屋根の延床面積約30坪。断熱等級7(Ua値0.26W/㎡・K以下)、耐震等級3、耐風等級2。坪単価は135万円から。家庭用エアコン1台で快適性が保たれる全館空調を採用。床はクリ材の突板、窓はトリプル樹脂サッシ。最大天井高はロフトを含めて約6m。販売棟数は2024年度16棟、2025年度25棟を上限とする限定販売。販売エリアは東京都城南・城西地区、都下の一部。6月1日から販売開始されている。

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植栽(手前はじゃかご)

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 〝武蔵野の別荘はかくやあらん〟-これが見学した率直な感想だ。これほどコンセプトが明確で、ターゲットも的確なモデルハウスは他にそうないはずだ。

 建物外観と外構を見たとき、勾配屋根と左官調仕上げの飽きのこないヴァナキュラーデザインに惹かれ、〝5本の樹計画〟をはるかに上回る圧倒的な緑量に興奮すら覚えた。売上高1兆円を目指す同社にとって2024~2025年度の販売棟数41棟は微々たるものだろうが、〝堅牢だが価格が高い〟〝コンクリート住宅〟とは違った世界観、価値観を垣間見ることができた。

 植栽計画について。玄関エントランスには樹肌・樹皮に横縞模様がある「武蔵野ヒノキ」が植えられていた。樹高は高くならないよう建物の高さ6mくらいにコントロールするとのことだった。(どうして「武蔵野」がついているのか、ネットで調べたがわからなかった)。この他はシラカシ、ヤマボウシ、ナナカマド、シャラ、ポプラ、オリーブ、ソヨゴなど。

 住宅性能、特に断熱性について。あちらこちらの部屋の壁、サッシ枠、ガラスの温度などを確認した。熱伝導率が異なる木、鉄、コンクリ、ガラスなどが室温とほとんど同じ25℃前後で一定していた。普通はありえないことだ。ただ、断熱等級7は初めての体験だったので、断熱等級6や一般的な全館空調との差はいまひとつよくわからなかった。これは体験してみないとわからないことだ。真夏か真冬が一番いい。

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玄関の温度計は外気温31.2℃、建物内は24.5℃を示していた

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リビング

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モデルハウス(2階から写す)

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モデルハウス

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武蔵野ケヤキ

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外観

旭化成ホームズGr 今期売上高9,600億円へ木造戸建て参入トライアル(2024/5/13)

効果てきめん三菱地所ホーム全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30)

この冬一番の寒さの中世界水準のUA値0.46を体感「浦和美園 E-フォレスト」(2016/12/7)

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「ハラカド」(左)と「オモカド」

表参道と明治通りが交差する神宮前交差点にある「東急プラザ原宿『ハラカド』」を見て回った。東急不動産と東京地下鉄が共同で開発を進めてきた75の物販・飲食店舗からなる施設で、2024417()にオープン。7階の屋上テラスをはじめ4階フロアの「みどり」はすべて本物で、その圧倒的な量に感動し、わが国と思えない無国籍・多国籍の人の集まりを想定した店舗構成になるほどと思った。小生のような日本人年寄りはほとんどいなかった。平日にも拘わらず多くの人で賑わっていた。

施設は、感度の高いヒト・モノ・コトと「出会う」「つながる」「体験する」「楽しむ」を掛け合わせることで、新たな原宿カルチャーの創造・体験の場を実現するのがテーマだそうで、対面にある「東急プラザ表参道『オモカド』」とともに原宿の名物になるのは間違いない。

訪れたのは63日の午後2時過ぎ。何か食べようと5階に上った。そのものずばりの「FAMiRES」や「居酒屋スタンド ジャンプ」「一風堂」「TOKYO MEAT 酒場」「紫金飯店」「原宿牡蠣屋 Tokyo Seafood」「da pai dang 105」「まぐろ問屋 恵み」「カンブチキン」「トーキングゴリラ」「PRETTY PORK FACTORY & KATSU プリポー」など、路地裏の屋台を1フロアに収めたような造りにしばし呆然。一番なじみやすい昭和レトロの居酒屋に入り、ビール2杯とアジフライを注文した。〆て2,000円少し。小生が最近ほれ込んでいる日高屋のメニューの倍の料金だ。〝ここは原宿〟と自分を納得させるほかなかった。

周囲を見渡した。小生のような日本人年寄りはほとんど皆無。アジア系と思われる外国人が多数派を占め、ファッションショーから抜け出してきたような長身でスタイル抜群の若い人には口をあんぐり。遮るものがない通路を眺めながら酒を飲めるのもまたいい。

7階の屋上テラスの豊富な樹木にも圧倒された。写真を撮ったり、ベンチで寝そべったり食事をしたりする人の姿が目立った。これまたあまり見ない光景だ。

4階の約312坪のフロア全体を「ハラッパ」に見立てた企画もまたいい。各方面のクリエイターが演出を担当しており、国籍・性別・年齢に関わらず皆がボーダレスに体験できるインスタレーション、コンテンツはもとより、配置されている観葉植物はすべて本物なのに、「フェイクをやめよ」と主張してきた記者はとてもうれしくなった。

これは不確実なので断定はできないが、東急不動産ホールディングスグループはもう10数年前から新卒採用基準を平均点主義から特技、長所などを重視する方針に変更しているはずだ。若い社員が「オモカド」や「ハラカド」の商品企画に加わっているからこそ、斬新なアイデアが生まれるのではないかと記者は考えている。

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屋上テラス

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屋上テラス

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屋上テラス

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4階「ハラッパ」

 

 

 

 

 三菱地所レジデンスは6月4日、同社が事務局となり施工会社、型枠工務店、型枠加工会社、木材卸会社、木材輸入商社など30社による「型枠用合板のトレーサビリティ普及促進勉強会」を2024年4月に発足させたと発表した。

 発足の趣意・背景について同社は、マンションの建築で利用する木材のうち型枠材は約45%を占めており、型枠工事に用いられる合板は精度・強度などに優れる点から、多くがマレーシアを中心とした南洋材を原料としているが、南洋材に由来する合板は合法性、人権・生物多様性に問題があると指摘されていることから、「型枠用合板のトレーサビリティ確保の認証スキーム」を広く普及促進するためとしている。

 同社は2020年6月、オフィスや住宅などの建設時に使用する型枠コンクリートパネルに持続可能性に配慮した調達コードにある木材(認証材並びに国産材)と同等の木材を使用すると発表している。現在、型枠材についてトレーサビリティを確保しているプロジェクトは30物件以上という。2030年度までにその使用率を100%にするとしている。

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 結構な取り組みだと思う。しかし、同社が環境に配慮したマンションの建設に積極的に取り組んでいるからこそ注文もしたい。マンション建築での木材利用の残り55%は何なのかの言及はないし、建築段階全体でどのようにしてCO2排出量を減らすのか、木造化・木質化を進めるのか、一歩踏み込んだ研究に取り組んでほしい。資材の運搬に用いられているパレットの軽量化・木質化のほか木製サッシ、ドア、フローリング、壁材など木質化の課題もあるはずだ。

 もう一つ、先日、野村不動産は先日、今後分譲するマンション全戸(全棟)にZEH水準を上回る「断熱性能等級6」を満たすと発表した。東急不動産も「みどり」の価値をの〝見える化〟を図る「ブランズ自由が丘」を竣工した。三井不動産レジデンシャルも木造マンションの供給に積極姿勢を見せている。 記者はこのマンション環境分野でどこがヘゲモニーを握るか、とても興味がある。

多摩産の「木」を多用した共用部が美しい三菱地所レジデンス「聖蹟桜ヶ丘」(2023/4/19)

三菱地所持続可能性に配慮した調達コードにある型枠パネル木材使用率100%へ(2020/6/1)


 

 

不動産流通経営協会(FRK)は530日、定時総会後に懇親会を開催、太田陽一理事長(東急リバブル社長)は次のようにあいさつした。

理事長の太田でございます。第55回定時総会が無事開催されましたことをご報告申し上げます。

さて、足下の不動産流通市場は、令和5年度の首都圏の既存住宅市場について東日本レインズのデータでは、令和4年度に比べて中古マンション・中古戸建ともに成約件数が増加し、成約価格も上昇するなど、引き続き順調に推移しております。

不動産業におきましては、少子化、高齢化の進行に伴う空き家の増加、脱炭素への取り組みなど多くの課題が山積しております。これからの若い世代が持っている多様な価値観をしっかりとらえて、画一的ではないサービスの提供に努めるべきと考えます。

FRKでは、税制改正要望として、各種特例における最低床面積要件の緩和を求めております。これは、様々な価値観を持つ人が、多様な選択肢の中で、床面積にかかわらず、住宅取得の機会が与えられるべきという考えに基づいています。二拠点居住や多拠点居住についても、使える人には複数の住宅を使っていただくことで、空き家問題解決の一助にもなるのではないでしょうか。

今年度も「政策提言」と、その基となる「調査研究」、そして適時・適確な「情報発信」

を重点に取り組みを進めてまいりたいと思います。

また、不動産IDの活用など、デジタル社会における共通インフラを活用し、新たな不動産流通制度・システムの構築にも貢献して参りたいと考えております。

不動産流通市場において、売主と買主の間に仲介が入る、人を介することで取引を順調に進めるシステムは、先人から引き継がれた知恵であります。消費者の皆様から信頼され、高く評価されるよう、その担い手となる従事者への教育研修には、これまで以上に注力して参りたいと考えております。

今後とも、関係団体の皆様と連携しつつ、会員相互の結束のもと、協会活動の一層の充実を図り、不動産流通業の発展に寄与して参る所存であります。

 

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「ブランズ自由が丘」

 東急不動産が引き渡しを開始した「ブランズ自由が丘」を見学した。豊かな緑と多様な生き物が息づき、居住者に愛されるマンションを実現する長期植栽管理計画「GREEN AGENDA for BRANZ(グリーン アジェンダ フォー ブランズ)」の導入第一号物件だ。外観・外構からはその意気込みがストレートに伝わってきた。

 同計画は、同社と管理を担当する東急コミュニティー、同社グループの総合造園企業・石勝エクステリアがマンション計画時から連携協力し、「竣工後10年間の植栽管理計画」を策定するもので、これまでの植栽管理の知見を活かして樹木などみどりがもっとも美しくその地に根付くよう生育させるとともに、土中の微生物や虫や鳥など多様な生き物が集う美しい「景観」の創出を目指す。景観が豊かになっていく過程を居住者に〝見える化〟するイベントなども実施していく。

 物件は、東急東横線自由が丘駅から徒歩5分、世田谷区奥沢七丁目の第一種低層住居専用地域に位置する3階建て全24戸。平均専有面積113㎡。世田谷区初のZEH Orientedと低炭素建築物認定を同時取得しており、同社が標榜する〝環境先進マンション〟のフラッグシップ物件と位置付けている。

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エントランス

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植栽帯

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植栽帯

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壁面緑化

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 昨年3月、東京建物「Brillia自由が丘」を取材したとき、「ブランズ自由が丘」の存在を知ったが、〝環境先進マンション〟〝平均専有面積100㎡超〟などのプレス・リリースなどはスルーした。小生の守備範囲であるマンションは極力現地・現物を見て記事を書くことにしているからだ。

 今回(5月31日)リリースが発表されたことを同業の記者に聞き、現地を見ることにした。大きな収穫があった。立地条件は申し分なかった。自由が丘駅から徒歩5分の第一種低層住居専用地域この奥沢エリアしかないのではないか。坪単価はわからないが、東建の物件は750万円くらいだとすると、こちらのほうが高いはずだ。坪800万円を超えたのではないか。

 これまで1低層のマンションはたくさん見学しており、他社物件と比較してどうかは何とも言えないが、何よりも、みどりの景観が豊かになっていく過程を様々なイベントにより〝見える化〟する取り組みがいい。石勝エクステリアが計画に参画していることにその意気込みが伝わってきた。東急不動産社外取締役・涌井史郎氏の役割が大きいと確信した。

 少し長くなるが、涌井氏について少し紹介したい。涌井氏は1972年、27歳の若さで東急不動産グループの総合造園業として石勝エクステリアを設立、社長に就任した。当時の東急不動産社長だった五島昇の後押しがあったはずだ。

 2000年に同社を退職し、2010年に東京都市大学環境情報学部教授に就任した。不動産会社から大学教授に転身する嚆矢ではないか。

 東京都市大学教授だった2014年4月、積水ハウス取締役に就任した。記者はびっくりした。積水ハウスが涌井氏を招へいするのはよくわかった。「5本の樹計画」を中心とする環境問題でヘゲモニーを握ろうということだろうと理解した。解せなかったのは東急不動産だ。〝東急の宝〟のはずの涌井氏をあろうことか同業に〝流失〟させる同社は情けないと思った。

 ところが、そうではなかった。それから2か月後の2014年6月、東急不動産ホールディングス(当時社長:金指潔氏)はホールディングス体制下での専門家の知見・見識を経営に反映させる「アドバイザリーボード」を設置し、涌井氏を含む4人が就任したと発表した。涌井氏は2年後の2016年に東急不動産取締役に、その後、社外取締役に就任し、現在に至っている。頭脳流失というより、同業他社のノウハウを取り込もうとする意図が金指氏にあったのではないか。

 この間、涌井氏が経営にどのように関わってきたかわからないが、2019年7月に発表された同社とソフトバンクの「東京ポートシティ竹芝」を中心とする「Smart City Takeshiba」の植栽工事は石勝エクステリアだ。記者は、森ビル「虎ノ門ヒルズ」とこの「東京ポートシティ竹芝」を植栽計画が見事な都内のビルの双璧に選ぶ。2~6階部分の約6,600㎡のスキップテラスは見事というほかない。

 そして同社は2021年12月、〝環境先進マンション〟を前面に打ち出し、今回の「ブランズ自由が丘」に結実した。もともと、同社はもっとも早く「環境共生」に取り組んできたデベロッパーだ。

 三方角地の「ブランズ自由が丘」の敷地には、中高木のカツラ、ナナミノキ、アブラチャン、アオダモ、ソヨゴ、ミツバツツジ、シャリンバイ、イロハモミジ、ヤマボウシ、ウラジロガシ…一つ一つ名前がつけられていた。〝木の名前と虫の名前と鳥の名前を覚えると、一歩、歩くごとに人生3倍楽しくなる〟-涌井氏が石勝エクステリアの社長を務めていた時に聞いた言葉だ。20数年前のこの言葉は金科玉条のように頭の中にこびりついている。

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クチナシ

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外観(緑道から)

地区計画により日照・眺望担保最上階135㎡は37,498万円東建「自由が丘」人気(2023/3/27)

農水省・経産省・国交省・環境省と「建築物木材利用促進協定」ウッドデザイン協会(2023/6/6)

「花は夫婦の絆・カジノは緑が重要」的を射た涌井・東京都市大教授の仮説(2015/4/28) 

涌井・都市大特別教授「わが国の自然はかみさんと一緒。美しいが扱いも難しい」(2016/12/11)

 

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国土交通省は531日、令和64月の新設住宅着工統計をまとめ発表。持家が減少したが、貸家、分譲住宅が増加したため、全体で前年同月比13.9%増、11か月ぶリ増の76,583戸となった。持家の減少幅は2か月連続して5%以内に収まっている。首都圏持家は前年同月比2.1%増の3,780戸で、令和312月以来28か月ぶりに前年同月を上回った。

内訳は、持家は17,878戸(前年同月比3.9%減、29か月連続の減少)、貸家は34,598戸(同20.6%増、先月の減少から再びの増加)、分譲住宅は22,955戸(同16.5%増、4か月ぶりの増加)。分譲住宅の内訳はマンション12,226戸(同69.0%増、4か月ぶりの増加)、一戸建住宅10,579戸(同14.4%減、18か月連続の減少)。

首都圏の総数は26,747戸(同11.7%増)、内訳は持家3,780戸(同2.1%増)、貸家12,039戸(同8.2%増)、分譲住宅10,856戸(同19.8%増)、マンションは6,247戸(同66.2%増)、都県別は東京都2,451戸(同11.6%増)、神奈川県1,887戸(同53.4%増)、埼玉県505戸(同92.0%増)、千葉県1,404戸(同1,905.7%増)。

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 持家もそうだが、分譲戸建ての着工減も目立つ。3カ月連続して2ケタ減だ。4月の首都圏着工戸数は4,501戸で前年同月比13.8%減少。都県別は東京都1,461(同5.9%減)、神奈川県1,047戸(同15.4%減)、埼玉県1,220戸(同10.0%減)、千葉県773戸(同28.2%減)となっている。この1年間では東京都と埼玉県はそれほど落ち込んでいないが、神奈川県と千葉県の減少が目立つ。

 分譲戸建て供給上位の飯田グループホールディングス、オープンハウスグループ、ケイアイスター不動産の直近の決算数字も芳しくない。各社ともここ当分は在庫圧縮に取り組むはずで、底入れは見通せない。

ケイアイスター 2024年3月期 売上増も大幅減益 原価上昇、需要正常化響く(2024/5/13  

飯田グループHD 2024年3月期 上高は前期並みも利益半減 戸当り営業利益146万円(2024/5/14

オープンハウスGr 2024年9月期2Q 戸建ては増収も利益率低下し減益(2024/5/16

 

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市川氏 

 日本木造住宅産業協会(木住協)の市川晃会長(住友林業代表取締役会長)は5月30日行われた総会後の懇親会の冒頭、「住宅着工の持家は28か月連続して減少しており、厳しい状況が続いているが、木造は様々な支援策もいただいている。今後も木造の普及促進を推進していく」としたうえ、次のようにあいさつした。

 「少し気になっているのは、かつて学校関係は全体の20%超が木造だったのが、直近は15%以下に減っていることだ。これはコロナ禍、資材の高騰などの要因もあるが、木造の公共建築物をもっと増やさないといけない。その心はなぜかというと、建物は永久ではなく、必ず建て替えが必要になってくる。例えば木造住宅の解体費用は200~300万円なのに対して、RCは倍以上かかる。耐用年数、解体費用を含めてどのような建物が一番適切であるかを考える必要がある。高層ビルはまだまだ木造は技術的にこれからという部分はあるが、少なくとも中大規模建築物は木造の方がRCや鉄骨造より優位性かある。さらにCO2の吸収・炭素固定に加えて、将来コストなどライフサイクルを考え、木造の価値を見直さないといけない。木住協は住宅以外の新しい建築物にも取り組んでおり、公共建築物の木造化・木質化にしっかり寄与していく」

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木住協懇親会(明治記念館)

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 木住協の前任の矢野龍会長(住友林業会長=当時)もそうだったが、市川会長の公式ではないこの種の会合での話はとても面白い。この話はメディア向けというよりは国土交通省住宅局長・石坂聡氏、林野庁木材産業課長・石田良行氏、住宅金融支援機構・毛利信二氏、 住宅生産団体連合会・芳井敬一会長(大和ハウス工業社長)など来賓を意識したものだろう。

 別表を見ていただきたい。国土交通省「建築着工統計」をもとに林野庁が試算したものだ。令和4年度の建築物全体の床面積約11,872万㎡のうち木造率は41.1%なのに対して、公共建築物の木造率は13.5%でしかなく、国に至ってはわずか2.7%だ。3階建て以下では、建築物全体の木造率は67.9%に達しているのに対して公共建築物は29.2%にとどまっている。国の施設は8.2%しかない。

 学校関係はどうなっているかわからないが、市川氏はきちんとチェックしているのだろう。記者も以前書いたことがあるが、国の木造化・木質化の取り組みは遅々として進んでいないという印象を受ける。市川氏の指摘は正鵠を射ていると思う。また、建基法の耐火・防火基準が厳しいからでもあるが、施設のうち自転車置き場、倉庫、車庫、トイレなどの比率が少なくないことも考えないといけない。

 市川氏に続いて登壇した石坂氏は「建築物のライフサイクルカーボン算定ツールを公表したばかり。公共木造建築物、中大規模の木造建築物もしっかりと取り組みたい」と、石田氏は「川上から川下まですべてが成長発展していくグリーン戦略に取り組んでいる。木材や木造建築物が適切に市場で評価されるよう願う」とそれぞれ祝辞を述べたが、国の施設の木造化・木質化については言及がなかった。

 この場の雰囲気を和らげる意図があったのかなかったのか、毛利氏は「昨年に続いてご挨拶させていただく機会を与えていただき、また、温かい拍手で迎えていただき、ありがとうございます。さすが木(気)遣いの木住協さん」と爆笑を誘い、雰囲気を一変させた。芳井氏は「住団連の会長としても、中大規模の木造建築物の取り組みは大切なことだと思う」とエールを送った。

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左から石坂氏、石田氏、毛利氏、芳井氏

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脱炭素・循環型社会への取組み推進木住協・市川会長/三交不・中村社長と歓談(2024/6/2)

「木の特性を分かりやすく伝える必要あり」市川会長木住協が総会・懇親会(2023/5/26)

またショック全国10万人以上259市の地価公示下落率最大はわが故郷・伊勢市(2023/3/25)

平成30年度国の低層建築物木造化率は9割超多くは車庫など20坪国交省(2020/3/18)

木造建築物は不遇・暗黒の50年か、進化の50年か木住協の懇親会で考えたこと(2018/5/26)

トイレ、車庫、犬(舎)小屋…情けない国の木材利用状況(2017/3/8)

公共建築物の木造化 24年度は100戸のマンション1棟分(2013/11/9) 

「time flies like an arrow 光陰〝矢野〟如し」木住協・矢野会長(住林会長)が退任(2016/5/30)

 

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市川氏

 日本木造住宅産業協会(木住協)は5月30日、定時総会後に記者会見・懇親会を開催した。同協会会長・市川晃氏(住友林業代表取締役会長)は次のようなあいさつ文を記者団に配布した。(メモを取らなくて済む。他団体もそうすべき)

 本日は、令和6年度 一般社団法人日本木造住宅産業協会 定時総会記者会見にご参集を賜り、誠に有り難うございます。当協会は、本年4月で設立38年目となりました。これも長きにわたり会員の皆様、並びに関係各位が協会の活動にご協力、ご尽力いただいた賜物であり、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 はじめに、元旦に発生した能登半島地震から間もなく5か月を迎えようとしています。復旧・復興にはまだまだ時間を要する状態でもあり、被災者の皆様に、心からお見舞いを申し上げるとともに、復興への歩みを加速していかなければならないという思いを強くしております。

 さて、世界を見渡しますと、2年にわたるロシアのウクライナ侵攻やガザ地区の混乱は大国間の政治的な分断を広げており、中国の不動産バブルの終焉はコロナ後の世界経済へ影を落としています。一方、日本経済はインバウンドが急増し、全体としての経済活動が戻りつつある中、円安や人手不足よる物価上昇に追いつこうと賃上げの動きも加速していますが、金利上昇圧力もあり先行き不透明な状況にあります。

 業界に目をむけますと、昨年は三省連携で実施された「住宅省エネ2023キャンペーン」により、ZEH住宅の普及や住宅の省エネリフォームが大きく進んだ一年だったと思います。

 本年も子育て支援をテーマとした多くの施策が用意されており、「子育てエコホーム支援事業」を主体とした「住宅省エネ2024キャンペーン」を軸に、「住宅ローン減税における子育て世帯等の借入限度額の上乗せ」や「フラット35子育てプラス」などあります。

 現状の住宅業界は厳しい環境下にありますが、次世代を支える優良なストックつくりにしっかりと取り組んでいかねばならないと思っています。

 加えて、2050年カーボンニュートラル実現に向けた住宅性能の一層の向上に向け、2025年から省エネ基準への適合義務化が予定されています。国産材を含む木材利用の促進による脱炭素社会への動きも加速しており、さらには、クリーンウッド法が改正され、2025年より川上の事業者による木材製品の合法性確認が義務化されます。

 当協会は設立以来、質の高い木造軸組工法の住宅や建築物の開発と普及を進めておりますが、今後も会員の皆様と共に、様々な協会事業を通じて脱炭素・循環型社会への取組みを進めてまいります。

 冒頭に申し上げました能登半島地震への対応につきましては、木造仮設住宅の建設に向けて石川県と協定を締結いたしました。今後、具体的な仮設住宅建設に向け、会員企業の皆様にご協力をいただき、被災地の一日も早い復旧・復興に取り組んでいきたいと思います。

 災害時の仮設住宅建設に関する協定については、昨年度は、石川県のほか、北海道、岩手県、埼玉県、広島県、宮崎県と締結が進み、宮崎県では河野知事との調印式を行ったところです。

 引き続き、協定締結に努めるとともに、締結済みの26都道府県とは、具体的な支援準備について協議を進めてまいります。皆様のご協力をお願い致します。

 また、当協会は10支部体制となっており、各支部において会員の皆様のご意見をお伺いしながら地域への貢献活動を展開しております。

 木造応急仮設住宅や木材利用促進協定といった共通課題だけでなく、地域には人手不足や空き家問題など様々な課題があります。引き続き当協会の本部並びに支部の体制を強化し、都道府県・市町村との関係密に、地域の活性化に貢献できるようにしてまいりたいと思います。

 また、会員サービスの向上を図るため、研修・セミナー等の充実に取り組んでまいりますので、皆様からご希望やご意見を聴かせていただければ幸いです。

 報道関係各位におかれましては、今後も「木のポテンシャル」を活かした木住協の取組みにご期待いただくとともに、これまで以上のご支援をお願いいたします。

◇        ◆     ◇

 わが故郷・三重県の磯部町を皆さんはご存じか。記者は数回訪れたことがある。町の中心には近畿日本鉄道(近鉄)志摩線特急停車駅の志摩磯部駅(かつては「志摩スペイン村」の副駅名がついていた)があり、世界の的矢牡蠣として知られる佐藤養殖場もここが最寄り駅だ。2004年に隣り合う阿児町、大王町、浜島町、志摩町と合併し志摩市となったため自治体としての磯部町は消滅した。

 なぜ磯部町を取り上げるかといえば、この日の懇親会に三交不動産の社長でもある同協会理事の中村充孝氏(61)と初めてお会いし、中村氏は磯部町出身であることを明かしたからだ。

 三交不動産がどのようなデベロッパーであるかは関係者ならご存じのはずだ。地元三重県ではどこのハウスメーカー、デベロッパーにも負けない戸建て住宅地を開発している。首都圏でのマンション分譲は多くはないが、最近では、長谷工コーポレーションの新しい間取り提案「Be-Fit」を初採用した「ルネ松戸みのり台(マツドリームPJ)」は総合地所と同社の共同物件だ。

 中村氏との会話は弾んだ。志摩半島の高校生は帰りの電車・バスがなくなることから伊勢市の高校には通えず下宿をしたこと、大杉谷の渓谷やスギ、ヒノキの山林は美しいこと、諸戸家はトヨタに山林を譲渡したこと、的矢の牡蠣は小粒だが、ふっくらしており甘みが濃く絶品であること、内瀬ミカン、さめのたれ、ウツボはとてもおいしいこと、昔はあこや貝をよく食べたこと、夫婦和合の形をしたかいづの干物はなくなったことなどだ。

 コンパニオンの女性の方が木(気)を利かして、どんどんワインを運んでくれた。お礼の意味を込めて、この女性の方に〝記事はラブレター〟を延々と語った。気が付いたら、同協会副会長・中内晃次郎氏(ポラテック代表取締役)のお開きのあいさつの時間だった。数えてはいなかったがワインは少なくとも10杯は飲んだはずだ。最初から最後まで約2時間30分、席を移動しなかったのは初めての経験だった。

 二人の様子は深海で戯れるオスとメスのサメに映ったのか、関係者から「相当絡んでいましたね」と声をかけられたが、そんなことはない。しっかり取材はした。メモも取った。ただ、中内氏の話のメモを後で見たら、ミミズのようにのたうっており、全然判読できなかった。〝サイゼリア〟の文字だけがかろうじて読めた。

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中村社長(右)と同社推進役・冨山挙男氏

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中内氏

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かいづの干物(30年以上前の写真)

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仲井氏(如水会館で)

 プレハブ建築協会は5月31日、通常総会後に記者会見を開き、任期満了に伴う役員改選で前会長の堀内容介氏(積水ハウス代表取締役副会長執行役員)に代わって仲井嘉浩氏(積水ハウス代表取締役社長執行役員)が会長に就任したと発表した。

 仲井氏は会見で、「当協会は工業化住宅に資する部材の供給・開発をする住宅メーカーが集まっており、良質な住宅ストック形成を大きな柱にしている『住生活向上プラン2025』を今後もしっかり推進していく。また、工業化住宅は完工期、リードタイムが短いというのが特徴で、労働力不足の中でこの技術は今の時代に求められていると考えている。応急仮設など緊急性を要する建築物にも力を発揮できる」とあいさつした。

 住宅着工戸数の持家は2024年3月末時点で28か月連続の減少(同日発表では4月まで29か月連続減)、プレハブ建築は10か月連続の減少(同11か月連続減)が続いていることに対して、「コロナ禍の反動減、資材高騰、物価高など様々な要因があるがZEH、長期優良住宅は伸びている。良質住宅の価値はお客さまにも認められている。ここにしっかり訴求していくことが大事」と語った。

 同協会の能登半島地震への対応として、石川県の要請を受け5月末時点で75か所3,762戸の引き渡しを行い、15か所402戸を建設中で、7か所120戸を着工する予定で、トータルで102か所4,284戸に上り、同協会による応急仮設住宅は全体の約70%を占めている。

 また、DX技術の採用により協議から着工までは大幅に時間が短縮された一方で、半島型災害の特徴として、インフラが遮断され、資材の搬入が困難なことなどから、これまで仮設住宅は30日以内に完成していたのに対し1.5倍の時間がかかることも報告された。

 

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