コンセプトは大地に生える二本の大樹 監修は隈研吾氏 三菱地所レジ「武蔵小杉」
「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」
三菱地所レジデンスは9月27日、「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」の記者発表会を開催し、同社代表取締役社長執行役員・宮島正治氏が「ザ・パークハウス」ブランドについて、同社第二開発部開発第一グループマネージャー・原喬弘氏がマンションの概要についてそれぞれ説明。宮島氏、外観デザインを監修した建築家・隈研吾氏と物件レポーターを務める俳優・高橋一生氏によるトークセッションも行われた。発表会にはメディア約60人が参加した。
現地は、武蔵小杉駅北側エリアの日本医科大学武蔵小杉キャンパス跡地で、市の「小杉駅周辺まちづくり推進地域構想」により、教育施設のA地区、医療地区のB地区、住宅のC地区に分かれて整備が行われており、今回の物件はC地区に該当。地域に開かれた「まち一体型複合開発」として整備される。
物件の中央には、地域に開かれ、まちの賑わいの拠点となる芝生の広場「コスギコミュニティパーク」を設け、2棟の間には、地域の人々も通ることができる「コスギプロムナード」を東西に敷設する。緑地率は約30%。建物は免震構造で、ZEH-M Oriented、ABINC認証を取得する予定。
外観デザインは、建築家・隈研吾氏が監修。デザインコンセプトは、ツインタワーを「大地から生える二本の大樹」に見立て、大地に近い低層部には緑とオープンスペースを広く確保し、大地と幹を繋ぐバーク(樹皮)をイメージした斬新なキャノピー(天蓋状の庇)を設ける。ファザードデザインはガラスとバークルーバーを重層的に重ね、上空へ伸びる大樹が大地から空に向かってグラデーションで溶け込むようなイメージで色調が整えられている。
物件の魅力を紹介する特設サイトには、レポーターとして俳優の高橋一生氏を起用。隈氏やプロジェクト開発担当者との対談を紹介する。
物件は、JR南武線・東急東横線武蔵小杉駅から徒歩3~6分、川崎市中原区小杉町1丁目に位置する敷地面積約20,172㎡、50階建て全1,438戸(サウス719 戸、ノース719戸)。専有面積は44.07~136.04㎡、価格は未定。竣工予定はサウスが2027年9月、ノースが2028年5月。設計・施工はフジタ。売主は同社のほか東京建物、東急、東急不動産。2024年9月27日からエントリー受付を開始し、来春にモデルルーム事前内覧会を開催する予定。
主な付帯施設(予定)は、高齢者福祉施設、高齢者住宅、クリニック、保育所、スポーツジム、スーパー、ドラッグストアなど。
宮島氏は、〝一生ものに、住む〟をスローガンに掲げる「ザ・パークハウス」の特徴として①品質②エコロジー=エコノミー③こだわりのカスタマイズ化④安心・安全⑤上質な暮らしを提案する管理からなる「5つのアイズ」を強調した。
隈氏は、「みどりの大地とシームレスにつながるデザインを低層部に施し、存在感のある2本の大樹の理想形を提案できた」と語った。
施設全体完成予想図
コスギプロムナード
エントランスホール(サウス)
エントランスホール(ノース)
フォトセッション(東京會館で)
左から宮島氏、高橋氏、隈氏
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川崎市の「新総合計画」に基づく約37haの再開発エリアの第一号マンション「THE KOSUGI TOWER」(689戸)が分譲開始されたのは2006年で、坪単価は220万円だった。売主は伊藤忠都市開発・東京建物・ジョイント・コーポレーションの3社。
それから20年近く。これまで供給されたマンションは1万戸(今回の物件を含む)を突破するはずだ。一つの駅圏でこれほど大量のマンションが分譲されたのは近年では武蔵小杉以外にない。記者はほとんどのタワーマンションや商業施設などを取材しており、訪れたのは20回はあるはずだ。
駅南口に林立するタワーマンションに圧倒され、街は好きになれないのだが、今回のマンションは駅北口で、周辺は低中層の建築物も多く、南口とは様相がやや異なる。高橋氏もそのあたりを紹介するのではないか。
さて、価格はいくらになるか。原氏は「未定」としており、モデルルームもないので現時点で予想するのは難しいが、最近の市況と隈氏のプレミアム価格も加味し、坪単価はボトムで550万円とみた。
当たるかどうかは自信はない。記者は、2013年分譲の同社の「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」の坪単価800万円もズバリ的中させたように、「これまで」の的中率は高いはずだが、ここ1~2年の価格暴騰にはついていけない。常識的に考えたら、この坪550万円だってべらぼうに高い。20坪で1億円超だ。隈氏が監修したタワーマンションは、2015年分譲の三井不動産レジデンシャル「パークコート赤坂檜町ザ タワー」以来ではないか。
物件が竣工する2028年ころには、武蔵小杉再開発の最終章となる、駅徒歩1分の三井不動産レジデンシャル「(仮称)小杉町一丁目計画」8約500戸)の分譲が始まるのではないか。
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この日駆けつけた報道陣は約60人。最近のマンション見学会では突出した多さだ。しかし、2か月前、吉永小百合さんが登壇した三井不動産レジデンシャルの「パークウェルステイト西麻布」のメディア向けトークセッションには確か200人のメディアが参加した。宮島氏、隈氏、高橋氏が束になってかかっても吉永さんにかなわないということか。
新国立競技場だけでない三井レジ「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修圧倒的人気(2015/12/22)
日本イコモス 神宮外苑地区街づくに関する公開説明会の開催を都に要望
日本イコモス国内委員会は9月24日、「神宮外苑地区街づくり」計画に関する事業者、東京都、国際NGOイコモス3者による公開説明会の開催と、東京都都市計画審議会の再審を求める要望書を小池百合子・東京都知事宛てに提出した。事業者の「事後報告書」は、以下の5点で不適切であるとしている。
1. 事業者が提出した「事後報告書」(2024年9月9日)は、樹木の本数のみの報告であり、都知事が要請された「緑の質」に関する検討が欠落している。
2. 日本イコモスは3年間に及ぶ調査により146本の毎木調査を実施し、指摘してきた。今回の報告では一切、検討が行われていない。環境影響評価は、科学的分析に基づくことが基本であり、再提出が必要である。
3. 環境影響評価書における科学的調査の欠落は、日弁連会長声明(2024年3月14 日)においても指摘されていた。今回、提示された芝生広場における計画は風致地区Aであるにも関わらず、一切、科学的調査が行われていない。植物社会学にもとづく、群落調査を実施し、環境影響評価書の再提出と審査が必須である。
4. 東京都は、港区長からのイチョウ並木保全の要請(2023年9月25日)、港区民からの同・要請(2024年9月9日)を受けとめ、ただちに名勝指定に必要な手続きをすすめ、文化庁に名勝指定要望を行うことを要請する
5. 日本イコモスが要請してきた「人命の安全保障の検証」(群集津波に関して)が欠落している。
リスト アジアを中心とした海外不動産取扱高100億円突破 前年同期比1.6倍増
取引例 物件名:THE LAUNIU WARD VILLAGE(ザ・ラウニウワードビレッジ=アメリカ・ハワイ) 151.43㎡ 価格386万USD(56,042万JPY、坪1,221万円)、レート:USD=145円
リストグループのリストインターナショナルリアルティ(LIR)は9月26日、2022年1月に設立したアジア不動産を中心に取り扱うアウトバウンドチームの海外不動産の取扱高が2024年9月17日時点で100 億円を突破し、取引件数は前年同期比で約1.6倍に増加したと発表した。
取引の増加について同社は、近年の円安傾向により日本円だけで資産を持つことはリスクだと考える顧客が増え、海外不動産へ資産分散をする傾向が強まっていることや、国内不動産の高止まり傾向により、投資機会を高める目的でアジア不動産へ関心を持つ顧客が増えたことが要因になっており、新たな傾向として、ハイブランドのレジデンスが集まっているドバイ不動産の取引が増加しているとしている。
LIRウェルスマネジメント事業部アウトバウンドチーム 課長・比留間雄大氏は「顧客の海外資産保有への関心は引き続き高いと感じており、特に米ドル資産を保有している顧客は外貨安メリットを受けやすく、資産の組み換えのために海外不動産購入に動いている傾向があります。また、これまで潜在ニーズの高かったドバイでエージェント提携を開始したことで、商品選択の幅が広がったことも取引増加の要因の一つ。一方で、日本の金融機関が提供する海外不動産向けの融資商品が皆無であるため、購入方法のほとんどがキャッシュです。海外不動産購入のハードルをさげるべく今後はローン商品も当社が率先して組み立てていきたい」とコメントしている。
取引例 物件名:One89 Wireless(ワンエイティナインワイアレス=タイ・バンコク)226.00 ㎡ 価格11,300万THB (47,460万JPY、坪693万円)、レート:THB=4.2円
「内閣総理大臣賞」などの「冠」の価値は高いか 第18回キッズデザイン賞表彰式
最優秀賞(内閣総理大臣賞)を受賞した「あそび大学」(右は吉田宣弘・経済産業大臣政務官)
キッズデザイン協議会は9月25日、「第18回キッズデザイン賞」表彰式を行い、最優秀賞(内閣総理大臣賞)の「あそび大学」(特定非営利活動法人あそび研究会)をはじめ優秀賞、奨励賞などが表彰された。
住宅・不動産業界からは、優秀賞(男女共同参画担当大臣賞)子どもたちを産み育てやすいデザイン部門で「誰でも使いやすい 座って囲める『キッチンテーブル』」(積水ハウス)、奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)子どもたちを産み育てやすいデザイン部門で「リーフィア狛江 蒼翠の街」(小田急不動産)と「For PET #子どもと育つ、家族で育む」(LIXIL住宅研究所)、特別賞(審査委員長特別賞)子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門で「子どもの身体活動からみた園庭園舎デザイン検証プロジェクト」(ミサワホーム総合研究所、ミサワホーム他)が選ばれた。
表彰式の冒頭、同協議会会長・坂井和則氏(TOPPANホールディングス代表取締役副社長執行役員COO)は、「今年の応募は409点で受賞作は237点。作品にはインクルーシブやジェンダーなど、時代と子どもの課題が如実に反映されている。優秀作品へノミネートされた33作品は素晴らしいものばかり」とあいさつした。
審査委員長の益田文和氏(インダストリアルデザイナー/オープンハウス代表取締役)は、「私は、この会場(六本木ヒルズ)の近くで生まれ育ったが、いい加減(都市生活を)やめようと山口県のオフグリットの田舎に引っ越した。することもないから毎日、虫を見ている」と切り出し、すべての動物はそれぞれに種特有の知覚世界をもって生きており、それを主体として行動しているという「ウンベルト」(環社会)の概念を引き合いにし「人間が世界を支配していると考えるのは大間違い。人間も自然・生き物の一つにしか過ぎない。虫も人間も一緒。大人になるとだんだん悪くなり、悪知恵が働くようになる。しかし、子どもは争わない、一人で生きられないという危機感を持っているし、物事の本質に気付いている。その意味で、子どもたちを支援するというより、その生きざまを形に表して奉仕するのが文明、文化。キッズデザイン協議会はその最先端にいる」と総評した。
坂井氏(左)と益田氏
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益田氏は記者と同い年の昭和24年生まれだ。いつ山口県に引っ越しされたのか。記者とは違って、都会育ちの益田氏が田園の憂鬱に耐えられるかどうか心配だ。3年が勝負だろう。
その益田氏と同協議会にはお願いがある。キッズデザイン賞が掲げる①子どもの安心・安全に寄与する②こどもの創造性や感性に寄与する③子どもや子育てにかかわる人に寄与する-この3つのミッションはよくわかるのだが、記者の取材分野である住宅などはユニバーサルデザイン(UD)の視点も取り込んで審査していただきたい。住宅・不動産業界はそのような視点でモノづくりを行っている。そうすれば応募はもっと増える。益田氏はIAUD国際デザイン賞の審査副委員長を務めているではないか。
もう一つ。最優秀賞の内閣総理大臣賞や優秀賞の経済産業大臣賞、こども政策担当大臣賞、消費者担当大臣賞、男女共同参画担当大臣賞などと「冠」を付けるのは結構だが、国民の支持率がくるくる変わり、低いときは2割くらいしかない内閣総理大臣賞はそんなに価値が高いか。それより、分かりやすい「金」「銀」「銅」か「益田文和賞」など各審査員の名前を付したほうが不変の価値があり、みんな喜ぶのではないか。官製の冠は競馬、競輪、相撲、花火大会、コンクール…ぞっとしない類の大会がふさわしい。日展、二科展、院展など芸術作品にそのような冠をつけるのは自殺行為だと思う。
グローバル化も進んでいる。「iF DESIGN AWARD」との連携を強化し、国内外でこの賞が注目されるようにしてはいかがか。
表彰式会場(虎ノ門ヒルズフォーラム)
阪急阪神不 積水ハウス・シドニー郊外のマンション事業に参画 約2,000戸開発
阪急阪神不動産は9月24日、積水ハウスが開発を進めているオーストラリア・シドニー近郊のマンション分譲事業「メルローズパーク」の南側街区ステージ1~7に参画し、共同で事業に取り組むと発表した。
「メルローズパーク」は、積水ハウスオーストラリアが2014年から開発を進めている約30haの大規模開発で、これまで1,075戸のマンションを分譲しており、今後約4,700戸の開発を計画している。阪急阪神不はそのうち約2,000戸の開発に参画する。
阪急阪神不にとって、オーストラリアでは初めての住宅分譲事業で、海外の同事業としてはベトナム・タイ・フィリピン・インドネシア・マレーシアに続く6か国目。今回の事業を含めて59プロジェクト約67,140戸の規模となる。
タカラレーベン 今後供給する全マンションをZEH対応に
MIRARTHホールディングスは9月24日、同社グループのタカラレーベンが今後分譲するマンブランド「LEBEN(レーベン)」、都市型コンパクトマンション「NEBEL(ネベル)」シリーズすべてに太陽光パネルを標準設置し、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)対応にすると発表した。
同社はこれまで「レーベン大分駅南LUXES」、「レーベン富山神通本町ONE TOWER」、「レーベン長野中御所THE PEERLESS」などでZEH対応マンションを供給している。
小田急不「リーフィア狛江 蒼翠の街」 キッズデザイン協議会会長賞受賞
「リーフィア狛江〈蒼翠の街〉」
キッズデザイン協議会「第18回キッズデザイン賞 子どもを産み育てやすいデザイン部門」の奨励賞「キッズデザイン協議会会長賞」を受賞した小田急不動産の分譲戸建て「リーフィア狛江〈蒼翠の街〉」を見学した。全8戸をZEH仕様(ZEH5戸、Nearly ZEH3戸)とし、開発地の中央にクルドサックを設け、各住戸が向き合うよう安全性にも配慮した企画が評価された。表彰式は9月25日に行われる。
物件は、小田急線「狛江駅から徒歩9分、狛江市中和泉三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)位置する全8戸。全区画に地役権(4.36~8.50㎡)が設定されており、分譲中の住戸(1戸)の土地面積は106.36㎡(約32.17坪)、建物面積は84.96㎡(約25.70坪)、価格は7,950万円。構造は2×4工法2階建て、建物は2023年8月下旬に完成済み。施工は三井ホームエンジニアリング。
◇ ◆ ◇
同社は、受賞が決まった時点でプレス・リリースを発表したが、コピペ記事を書きたくなく、自分の目で確認したかったので同社にお願いして、見学が実現した。物件を見て、各住戸に地役権を設定してクルドサックを設ける開発手法は珍しくないが、開発道路とクルドサックを居住者の交流の場にしようという企画意図がストレートに伝わってきた。残り1戸の価格は安いと思う。敷地面積は30坪強だが、クルドサックを含めれば50坪にも見える。
23区で市域面積がもっとも小さい狛江市は、以前住んでいた調布市に隣接し、好きな作家・宮尾登美子さんが住んでいたところなので、とても好きな街の一つだ。今回の受賞物件がある駅北口は、すぐ緑が豊富な住宅地が広がるのもいい。
あらゆる賞もそうだが、キッズデザイン協議会にはお願いが一つある。記者はこれまで同賞の受賞表彰式をリアルで取材してきたが、約2時間、黙って式の模様を眺めるのは苦痛だ(今年はオンライン参加にした)。
コピペ記事も書きたくないので、受賞したハウスメーカーやデベロッパーにお願いして取材したことはあるが、建築物などの受賞作はほとんど完成済みで、供用開始されているものばかりだ。結構気も使う。
発表から表彰式の間に、メディアや一般の人も参加できる審査員も参加した見学会を開催したら、同賞の意義や認知度が高まるのではないか。
現地
現地
残り1戸すこぶる好調小田急不動産の戸建て「世田谷喜多見」全10棟(2020/11/9)
建ぺい40%、容積80%の邸宅跡地に21区画売れ行き好調の小田急不「狛江」(2020/2/11)
積水ハウス「男性育休白書2024」 取得率は過去最高27% 「とるだけ育休」課題も
積水ハウスは、「育休を考える日」として記念日制定している9月19日、男性の育休取得実態を探る「男性育休白書2024」を発表した。
レポートによると、育休を取得した男性は27.3%となり、2019年(9.6%)から2.8倍増え、取得率は過去最高を記録。育休取得日数は平均29.9日となり、2019年(2.4日)から12.6倍も長くなり、育休を取得した男性の取得期間は「1か月以上」(49.7%)が約半数を占めた。
2人目以降の育休取得については、「2人目以降で初めて育休を取得」した人が36.8%と多くなっており、「以前と比べて育休を取る人が増えたから」(女性36歳)、「会社の理解が良くなったから」(男性39歳)など、社会全体が育休を取りやすい環境へ変化していることをうかがわせている。
育休取得後復職した男性は「子どもがいる人への配慮」「お互い様という気持ち・行動」「時間管理の意識」などプラスの変化あり、育休取得期間が長いほど職場環境が改善されたという報告がある。
夫の育休取得に「満足」した女性は、「不満足」な女性と比べ職場への復職率が高く、復職のタイミングも早く、夫の育休取得日数が長いほど、妻の「仕事への意欲が増加」「キャリアアップに前向き」「仕事の幅を広げたくなった」など働く意欲も高まっているとしている。
一方で、取得した育休が「とるだけ育休」と思う男性は34.8%、女性は42.0%に上っており、家事・育児への影響は限定的としている。
結果について、積水ハウス執行役員ダイバーシティ推進部長・山田実和氏は、「当社では2018年から男性育休の取得を促進し、日本でも男性の育休取得が当たり前になる社会を目指し、賛同企業の皆様と共に取り組みを進めて参りました。今回、育休取得率も育休取得日数も過去最高になり、社会の変化を感じています。一方で『とるだけ育休』という課題も浮き彫りになっています」とコメントしている。
山田氏
積水ハウス「男性育休白書」 男性の家事・育児力トップ沖縄県/ランク乱高下はなぜ
積水ハウスが9月19日に発表した「男性育休白書」の都道府県別「男性の家事・育児力全国ランキング2024」によると、1位は「沖縄県」(220点/前年7位)、2位は同スコアで「秋田県」(193点/前年46位)と「鹿児島県」(193点/前年28位)となった。調査は2019年から実施されているもので、今回が6回目。-
調査は、①妻から見た夫が行っている家事・育児の実践数などを4段階で評価②男性の「育休取得経験」③妻から見た夫の「家事・育児時間」を基準④男性の「家事・育児参加による幸福感」の4指数を数値化し47都道府県別にランキングし、1位に47点〜47位に1点を付与して算出したもの。
調査対象は、全国47都道府県別に、配偶者および小学生以下の子どもと同居する20〜50代の男女200人の合計9,400人を人口動態に基づきウエイトバック集計したほか、従業員10人以上の企業の経営者・役員、部長クラスの男女400人、有職かつ一般社員クラスの20代~50代の男女800人。
1位になった沖縄県の玉城デニー知事は「現在、沖縄県では『第6次沖縄県男女共同参画計画〜DEIGOプラン〜』において62の具体的施策に取り組んでおり、県における直近の男性の育休取得率は40.3%であり、目標値である30 %を大きく上回ることができました。これもひとえにワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる企業や団体等の皆様の多大な御尽力によるものであり、関係者の皆様には深く感謝申し上げます」とコメントを寄せている。
◇ ◆ ◇
記者はいつもこのランキングを楽しみにしている。〝男尊女卑〟の文化が色濃く残っていそうな熊本県や佐賀県、鹿児島県など九州の各県が上位にランクされ、下位に甘んじていた〝秋田美人〟の秋田県、〝かかあ天下〟の群馬県が急浮上するなど予想外の波乱に満ちた結果が出るからだ。
ただ、どうしても理解できないことが一つある。絶対評価ではなく、相対評価で1ランクにつき1点を加点する調査方法だからそうなるのはわかるが、株価のように毎年ランクが乱高下していることだ。47都道府県のこの3年間のランキングをグラフで示したので参照していただきたい。
今年トップになった沖縄県は、2019年2位、2020年9位、2021年1位、2022年2位、2023年7位であるようにいつも上位にランクされているが、他の都府県は変動が大きい。例えば、3年前は3位だった香川県は今年45位に、同じように大分県は4位から44位へ、鳥取県は3位から35位、栃木県は6位から42位へ大きく後退している。逆に、3年前は40位だった群馬県は今年6位へ、36位だった福岡県は8位へ、41位だった奈良県は22位へ上昇。前年46位の秋田県は2位に急浮上している。変わらないのは、下位に低迷している長野県、愛知県、静岡県、奈良県、山口県などだ。
同社には、どうしてこのように乱高下するのか、その理由・原因を探ってほしい。「男性育休白書」が浸透し、自治体や企業の取り組みが強化されている結果ならいいのだが、サンプル数が少なく、回答者になんらかのバイアスがかかっており、ウエイトバック集計に影響を与えている可能性もあるような気がする。
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ランキングと関係があるかどうかはわからないが、婚姻率と離婚率について紹介する。
2022年の婚姻率(人口千対)の全国平均は4.1件で、データがある1935年の8.0件からほぼ一貫して減少している。もっとも高いのは東京都の5.6件で、大阪府の4.7件、愛知県の4.6件と続く。もっとも低いのは秋田県の2.6件で、青森県と山形県がそれぞれ3.1件。沖縄県は4.5件で全国水準を上回っている。
参議院常任委員会調査室・特別調査室によると、「婚姻件数は、男性比率が高い都道府県や男性の賃金が高い都道府県では増加するとともに、女性の賃金が高い都道府県では減少する傾向があるのではないか」としており、その理由として「男性にとっては、賃金とは豊かな家庭生活を支える原資となるものでもあり、男性の賃金が上昇して男性の経済力が高まることは、結婚・婚姻に向けての男性の決意・決断を後押しすることにつながる」「女性の賃金については、賃金が上昇して女性の経済力が高まると、(考え方は人それぞれであるが)自らにプロポーズする男性への期待水準や要求水準なども同様に高まるということも考えられるのではないだろうか」としているが、それだけだろうか。
記者の経験からいっても、秋田県の女性はみんな美しい。婚姻率が低いのは醜男(※)と結婚したくないと考える女性が多いからではないか。わが故郷・三重県も同様で、美しい女性が多く、婚姻率は3.8件と全国平均を下回っている。
大都市圏の婚姻率が高いのは、一人では生きられない分断社会が背景にあり、絶対的な人数が多いことや多様な生き方ができるからではないだろうか。
一方で、2022年の離婚率(人口千対)は、全国平均が1.47件で、2015年の1.18件をピークに漸減している。もっとも高いのが沖縄県の2.13件で、大阪府の1.70件、宮崎県と福岡県の1.68件と続き、もっとも低いのは富山県の1.08件で、新潟県1.13件、石川県1.14件、福井県1.15件と続く。(北陸が低いのは住宅環境と関係はあるのかないのか)
記者は離婚=悪などと単純な発想はすべきでないと思う。愛と憎しみは表裏一体、紙一重だ。いつ暗転するかわからない。何物にも縛られることなく、より自由な高次の愛を求めて取っ替え引っ替えするのは人間らしい生き方ではないか。同社の業績が劇的にアップしているのは、経営理念に「人間愛」を掲げているのと無関係ではないはずだ。残念ながら、沖縄県の離婚率が高いのは「愛」ではない、経済的社会的背景が大きいような気がする。
※小生と同じ軽薄短小、醜男の皆さんに、チャールズ・ブコウスキー「町でいちばんの美女」(新潮文庫)をお勧めしたい。町でいちばん美しい女性と、町でいちばん醜男の男性の切ない物語だが、読むと勇気が湧いてくる。移住するなら秋田だ。三重もいいよ。
男性の家事・育児力 1位は高知県ワーストは茨城県積水ハウス「男性育休白書」(2023/9/19)
男性の家事・育児力 1位高知 2位沖縄 3位鳥取ワーストは山口積水「男性育休白書(2022/9/14)
三重と福岡同じ育児時間で幸福度は47位と1位積水ハウス「男性育休白書」(2021/10/1)
大和ハウス「昭島プロジェクト」第二弾 第一弾より多少高い「多少」はいくらか
「プレミスト昭島 モリパークグラン」
大和ハウス工業は9月20日、3棟・総戸数850戸超のマンション「昭島プロジェクト」のうち、第一弾として昨年9月に販売開始し、今年5月に完売した全481戸の「プレミスト昭島 モリパークレジデンス」竣工内覧会と、第二弾の全277戸の「プレミスト昭島 モリパークグラン」モデルルーム内覧会を行った。
先に紹介した第一弾に続き、第二弾の「プレミスト昭島 モリパークグラン」について。第一弾より駅に2分近い分だけ価格は「多少」高くなりそうだが、設備仕様レベルはほとんど同じで、ターゲットも同じ。第一弾のエントリー数は引き継がれるはずで、こちらも早期完売すると見た。
物件は、JR青梅線昭島駅から徒歩3分、昭島市田中町の近隣商業地域に位置する14階建て全277戸。専有面積は57.67~90.04㎡、価格は未定。販売開始は2024年11が上旬。竣工予定は2026年3月。売主は同社(事業比率70%)のほか京王電鉄(20%)、住友商事(10%)。施工は長谷工コーポレーション。
建物は、第一弾と同じコの字型で、東向き住棟の1階住戸6戸は専用庭から出入りが可能で、大型犬の飼育も可能にする。主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented認定、ディスポーザー、食洗機、ルーバー面格子、浴室タオル掛け2か所など。
同社東京本店マンション事業部販売事務所長・松澤祐輔氏は「来年11月までに完売するのが目標」と語った。
松澤氏
◇ ◆ ◇
物件概要を見て気が付いたことが2つ。1つは、第一弾でも売主になっていた住友商事の事業比率が10%に減り(第一弾は30%)、減った20%分だけ京王電鉄が名を連ねていたことだ。同社は理由を示さなかったが、おそらく京王線沿線で両社が手を組むからだと思う。(住友商事とは福岡の九州大キャンパス跡地で大規模開発を行う)。
もう一つは、工期が第一弾の1年7か月から第2弾は1年11か月と4か月延びていることだ。第一弾は規模が大きく、1層分低いので単純比較はできないが、2024年問題が絡んでいるのは間違いなさそうだ。
モデルルームを見学して、驚いたことが一つ。専有面積が70㎡のベーシックタイプのトイレのドア把手が壁面までセットバックされていたことだ。誰もそんなことに目を向けないが、記者はとても大事なことだと思う。把手は小さな子どもの頭の高さにある。凶器にもなりうる。セットバックを標準仕様にしているのは積水ハウス、コスモスイニシア、フージャースコーポレーションくらいだ。ポラスはほとんどプッシュプルドアにしている。大和ハウスもそうするのかどうかは不明だが、ぜひそうして欲しいし、できないのなら把手の先は丸くするくらいの配慮をすべきだと思う。そのようなきめ細かな提案がユーザーに浸透し、ブランド力を高めることになる。
価格について松澤氏は「未定」としか語らなかったが、先の記事にも書いたように、第一弾の坪252万円から「多少」高い坪280~290万円と見たが、どうだろう(東本氏は「多少」とはグロスで500万円と話したが…)。
トイレドア把手
大和ハウス昭島プロジェクト第一弾歩留まり率27%東本氏の読みズバリ的中(2024/9/21)的中
81.5haの物流「GLP昭島プロジェクト」敷地内に4.5haの樹林地開発に疑問の声も(2024/9/21)
竣工予定の8月を待たず8か月で全481戸完売大和ハウス「プレミスト昭島」(2024/5/28)
わずか2か月で全戸数481戸の6割強の第1期295戸を成約大和ハウス「昭島」(2023/11/19)
〝東京の軽井沢〟レベル高い「来年6月までに完売」あるか大和ハウス「昭島」(2023/5/26)